説明

閉鎖用異形材にスライダーを取り付ける装置

本発明は、閉鎖用異形材(22)にスライダー(32)を取り付けるための装置に関し、その装置は、共通のモーター手段(150)により駆動される様々なアクチュエーター要素(110,120,130,140)を備え、閉鎖用異形材(22)に取り付けるステーションへと各スライダー(32)を連続的に移動させるために、切断可能な連結部(34)により暫定的に一体に連結されたスライダー(32)の鎖状体を駆動する駆動輪(110)を含む装置であって、当該装置は、他のアクチュエーター要素(120,130,140)に対する駆動輪(110)のための手動脱離手段(170)を有することを特徴とする。本発明はまた、上記のスライダー取り付け装置を実行する方法および装置、ならびに閉鎖用異形材およびそれが取り付けられたバッグにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダーが設けられたバッグ類のための閉鎖用異形材(プロフィール材)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
スライダーが設けられた閉鎖用異形材は数多くがすでに提案されている。
この分野における問題の一つは、異形材にスライダーを取り付けることに関連する。
特許文献1は公知のスライダーの一例を与えている。本発明は、具体的には、この文献に記載されるスライダーの使用に適用しうるものである。しかしながら、本発明は、この特定のスライダーに限定されない。
【0003】
閉鎖用異形材へのスライダーの取り付けを確実にすることを意図した異なった装置がすでに提案されている。
公知の装置の例が特許文献2および3に見出されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許US6490769
【特許文献2】フランス国特許FR2076345
【特許文献3】フランス国特許FR2076728
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、閉鎖用異形材へのスライダーの取り付けを、従来技術に係るものよりも優れた特性で、確実に行うように設計された新規の手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、閉鎖用異形材にスライダーを取り付けるための装置であって、共通のモーター手段により駆動される異なったアクチュエーター要素を備え、閉鎖用異形材に取り付ける位置へと各スライダーを連続的に移動させるために、ミシン目の入った連結部によりあらかじめ一体に連結されたスライダーの鎖状体を駆動する駆動輪を含む装置であって、当該装置は、他のアクチュエーター要素(120,130,140)に対する駆動輪(110)のための手動脱離手段(170)を備えることを特徴とする装置の発明により達成される。
【0007】
本発明はまた、上記のスライダー取り付け装置を使用する方法および機械、ならびに閉鎖用異形材およびこれが設けられたバッグ類に関連する。
本発明における他の特性、目的および利点は、非限定的な例として添付された図面を参照しつつ下記の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に適合するスライダー取り付け装置が設けられうるバッグ類の製造装置を概念的に示す斜視図である。
【図2】本発明に適合するスライダー取り付け装置を示す斜視図である。
【図3】本発明に適合するスライダー取り付け装置を示す斜視図である。
【図4】本発明に適合するスライダー取り付け装置を部分的に切断した側面図である。
【図5】図4におけるV−V断面に沿って装置を切断した断面図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面に沿って装置を切断した断面図である。
【図7】図4におけるVII−VII断面に沿って装置を切断した断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、具体的には、添付図1に概念的に示される自動製袋充填装置でのバッグ類の製造に適用される。
機械10は次のものを備える:
・閉鎖用異形材のストリップ22を供給する手段20、
・スライダーの鎖状体32を供給する手段30、
・本発明においてさらなる詳細が下記に記載された、ストリップ22に各スライダーを個別にかつ連続的に取り付けることを実行するステーション100、
・熱可塑性フィルム42を供給する手段40、
・フィルム42を初期の平面状態から筒状体にする充填用シュート60に結合された形成用ネック50、
・フィルム42における隣接する軸方向端部を軸方向に溶着することを確実にするとともに、スライダー32が設けられた閉鎖用ストリップ22をフィルム42に固定する手段70、および
・バッグを個別に分離する切断手段80と結合された、軸方向と直交する方向の溶着を行う顎状体80。
【0010】
このバッグは図1において参照番号90のものとして概念的に示されている。
図1において示される装置の一般的な構造は当業者において公知であるから、これ以上の詳細は記載されない。
【0011】
また、スライダー32が設けられた閉鎖用ストリップ22がフィルム42の端部に軸方向に、すなわちフィルム42の移送方向に平行に取り付けられる装置を、添付図1は示している。変形例として、スライダー32が設けられた閉鎖用ストリップ22はフィルム42を横切る方向に、すなわちフィルム42の移送方向に対して少なくとも実質的に垂直に取り付けられてもよい。
【0012】
他の変形例によれば、本発明に適合するスライダー取り付け装置100は、いかなる自動包装装置および空のバッグを製造するための溶着装置に使用されてもよい。
さらに、図1に示される内容によれば、スライダー取り付け装置100は、フィルムにストリップ22を溶着させる前に閉鎖用異形材のストリップ22に対してスライダー32を取り付けるように設計される。しかしながら、変形例によれば、本発明に係る取り付け装置100はまた、使用されるフィルム成型装置42の形式によらず、フィルム42に閉鎖用ストリップ22を溶着させた後にスライダー32を閉鎖用ストリップ22に取り付けるように使用されてもよい。
【0013】
本発明に適合する取り付け装置100はまた、閉鎖用異形材のストリップ22の固定された場所にスライダー32をあらかじめ取り付けること、およびそれゆえスライダーが設けられた閉鎖用ストリップを、引き続いての別の工程、場合によっては別の場所においてフィルムに固定することに使用されてもよい。
【0014】
本発明は、いかなるタイプのストリップ22、具体的には組み合わせるためのオス型とメス型の異形材、鉤型の異形材、U字型の連結ストリップによって一体化される異形材または開口指示部を形成する等価物などからなる閉鎖用ストリップに対しても適用される。
【0015】
本発明に適合し添付図面に示される取り付け装置100は4つのアクチュエーター要素を備える:すなわち、駆動輪110、プッシャー120、スペーサー130およびクランプ140である。これらの4つのアクチュエーター要素は、共通のモーター要素150、これは好ましくは気圧ジャッキ150からなる、により、さらに正確には、ジャッキピストン150に連結され、A−A軸を中心とする往復移動で指示通りに駆動されるロッド−バルブ組立体152により駆動される。
【0016】
これらの4つのアクチュエーター要素における一般的な構造は、前掲の特許文献2および3から知られている。それゆえ、ここではこれ以上の詳細について以下には記載されない。
【0017】
しかしながら、次の点はここで確認される:
・スペーサー130は好ましくは、二つの閉鎖用ストリップを分離すべくこれらの間に挟みこまれることを意図して固定された中央の挿入体132、および挿入体132を取り囲み好ましくは次の二つの位置間を交互に駆動される二つの顎状体134,136を備える。二つの位置の一方は挟み込み位置であって、そこでは、ストリップ22の移送がスライダー32の取り付けのために一時的に停止したときに、顎状体134,136は上記の異形材の支持布を挿入体32の外側の表面へと挟み込む。二つの位置の他方は、閉鎖用ストリップ22の移送を可能とする、引き離された位置である。顎状体134,136を上記の二つの位置の間でモーター150により駆動させることについて、数多くの構成を取り得る。好ましくは、顎状体134,136は、これらをかみ合わせるように弾性手段131により付勢され、ロッド−バルブ組立体152により保持され顎状体134,136に連結されたカム138と協働する一組のローラー137により引き離される。
【0018】
・ストリップ22の移送方向に関してスペーサー130の下流側に位置するクランプ14は、好ましくは、次の二つの位置を交互に駆動される二つの顎状体144,146を備える。二つの位置の一つは、挟み込み位置であって、そこでは、ストリップ22の移送がスライダー32の取り付けのために一時的に停止する間に、顎状体144,146は上記の異形材の支持布を挟み込む。二つの位置の他方は、閉鎖用ストリップ22の移送を可能とする、引き離された位置である。顎状体144,146を上記の二つの位置の間でモーター150により駆動させることについて、数多くの構成を取り得る。好ましくは、顎状体144,146は、これらをかみ合わせるように弾性手段142により付勢され、ロッド−バルブ組立体152により保持され顎状体144,146に連結されたカム148と協働する一組のローラー147により引き離される。
【0019】
以下に詳説される手段により、ストリップ22の移送方向と平行なO−O軸周りに駆動輪110は回転駆動され、ミシン目の入った連結部34により鎖状に一体に連結されたスライダー32を、スペーサー130とクランプ140との間に位置する取り付けステーションへと連続的に運ぶ。
【0020】
・ロッド−バルブ組立体152に結合されたプッシャー120はA−A軸に沿って往復移動して、対向配置されるスライダー32をストリップ22(ストリップの二つの異形材はスペーサー130によって上流側で引き離されている。)上へと押し、暫定的にスライダーを一体に結合しているミシン目の入った連結部34からスライダー32を分離する(好ましくは、このステーションに設けられた金台に対してこれらの連結部34を切断する。)。
【0021】
使用されるスライダー32の鎖状体は、一般的構造について、好ましくは特許文献3に適合する。それゆえ、ここではスライダー32のこれ以上の詳細について以下に記載されない。
【0022】
しかしながら、好ましくは、この鎖状体における各スライダー32は、次の点で特許文献1に適合する。すなわち、スライダー32は頂部において、プッシャー120の端部に設けられているタペット122(図7参照)によって作用されるように構成された2つの羽状部を備える。そのタペット122は、特許文献1に記載されるようにストリップ22に取り付けられる前にスライダーの側壁を引き離すためのものである。
【0023】
駆動輪100は数多くの構成を取り得る。スライダーを取り込んでスペーサー130とクランプ140との間に位置する取り付けステーションへとこれらを移送するように連続的に構成された一連の歯または支持部を、駆動輪はその周縁部に備える。
【0024】
ロッド−バルブ組立体152により駆動輪100を回転駆動する手段は、その形状において数多くの態様を取り得る。
一般的構造として、それらの手段は特許文献3に定義される手段に適合する。
【0025】
より正確には、添付図に示されるように、これらの手段は、好ましくは、O−O軸周りに回転するように装着される2つのアーム112,113を有するレバー111を備える。アームの一つ113は、バーまたは接続ロッド114を経由してロッド−バルブ組立体152に接続される。第二のアーム112は、アーム112に関して角度クリアランスがあり、駆動輪110に連結されるはめ歯歯車116と協働する歯止め115を保持する。
【0026】
歯止め115は回復用ばね117に結び付けられていてもよい。
特許文献3に記載されるように、ロッド−バルブ組立体152の移動方向における一方側に、歯止め115は歯車116を駆動し、それゆえ駆動輪110を一つの角度ピッチ分駆動する。ロッド−バルブ組立体152の移動方向における他方側に、歯止め115は、歯車116の新たな駆動動作を繰り返す前に、アーム112に対して離間しつつ止め歯歯車116における隣の歯に到達するように旋回する。
【0027】
駆動輪110および結合されている歯車116は摩擦ブレーキ160により制動され、レバー111および歯止め115の動作によりもたらされる方向と反対側に駆動輪110が回転することが抑制される。本発明に係る摩擦ブレーキは、2つの摩擦ワッシャまたはライニング162,164で形成され、これらはそれぞれ、駆動輪110の各側面に配置される。より正確には、2つの摩擦ライニング162,164およびこれらの間に挟まれる駆動輪110は、その片側において装置のフレームと、反対側において離脱可能なアクチュエーター要素170との間で締め付けられる。
【0028】
添付図に示される実施形態によれば、この要素170はライニング164の外側の表面上にあるリング状ベアリングで形成され、付勢された一組のばね172により締め付け位置へと引き込まれている。
【0029】
リング170はしかしながら、ねじ/ナットタイプのシステムによって、ライニング164と駆動輪110とが離れるように、駆動輪110から引き離されることが可能である。この実施形態について数多くの変形例が可能である。それゆえ、ここではさらなる詳細について以下に記載されないであろう。
【0030】
しかしながら、好ましくは、このねじ/ナットシステムは、リング170(そしてリング170には例えばばね172が位置する。)に連結された一組のタイロッド178を保持する板材176と協働するねじ切りされた輪状部材174を備え、この構成により、ねじ切りされた輪状部材174の回転は、プレート176およびタイロッド178を介して、駆動輪110の離脱を確実にするリング170の引張り力を確実なものとする。
【0031】
本発明に適合する装置100の一般的な作用は、具体的には、特許文献1に記載されこれから知得されるものと同一なままである。
しかしながら、駆動輪110を脱離可能とすることは、次のことを可能とする。すなわち、スライダー32の鎖状体の初期の導入時、またはメンテナンス作業時に、駆動輪110を他のアクチュエーター要素120,130,140から脱離させ、それゆえ、例えばスライダー32の鎖状体を取り付けや取り外しにおける駆動輪110の暫定的な自由回転を確実にする。
【0032】
しかる後、アクチュエーター要素120,130,140に対する駆動輪110の不可欠な精密な再同期化(スライダーはその移動中にプッシャー120に対してきわめて高精度に連続的に位置するようになされなければならないので、この精密な同期化は必須である。)は、ねじ切りされた輪状部材174を確実な固定のために締め付けるときに、歯止め115に近接する止め歯歯車116を単に配置することにより、確実に行われる。
【0033】
明らかに、本発明は、記載された特定の実施形態に限定されず、本発明の趣旨に適合するいかなる変形例についても拡張される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖用異形材(22)にスライダー(32)を取り付けるための装置であって、共通のモーター手段(150)により駆動される異なったアクチュエーター要素(110,120,130,140)を備え、閉鎖用異形材(22)に取り付けるステーションへと各スライダー(32)を連続的に移動させるために、ミシン目の入った連結部(34)により暫定的に一体に連結されたスライダー(32)の鎖状体を駆動する駆動輪(110)を含む装置であって、当該装置は、他のアクチュエーター要素(120,130,140)に対する駆動輪(110)のための手動脱離手段(170)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
駆動輪(110)は摩擦ブレーキ(160)に結合され、手動解除手段(170)は、摩擦ブレーキ(160)のライニングに作用するように構成されることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
手動解除手段(170)は、摩擦ブレーキ(160)のライニングに作用するように構成されたねじ/ナットシステム(174,176)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
摩擦ライニング(164)は締め付け位置へと弾性的に引かれることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
駆動輪(110)ははめ歯歯車(116)に連結され、はめ歯歯車(116)と協働する歯止め(115)が設けられた駆動レバー(112)を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
アクチュエーター要素がさらにプッシャー、スペーサーおよびクランプを備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
スライダー(32)を閉鎖用ストリップ(22)に取り付ける方法であって、請求項1から6のいずれかに適合する装置を使用することを特徴とする方法。
【請求項8】
スライダー(32)を閉鎖用ストリップ(22)に取り付ける機械であって、請求項1から6のいずれかに適合する装置を備えることを特徴とする機械。
【請求項9】
スライダー(32)が付設された閉鎖用ストリップが設けられたバッグを製造する手段(40,50,60,70,80)をさらに備えることを特徴とする、請求項8に記載の機械。
【請求項10】
請求項1から6のいずれかに適合する装置により固定されたスライダー(32)を備えることを特徴とする閉鎖用異形材。
【請求項11】
請求項1から6のいずれかに適合する装置により固定されたスライダー(32)が付設された閉鎖用異形材を備えることを特徴とするバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−515600(P2010−515600A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545170(P2009−545170)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050159
【国際公開番号】WO2008/084052
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(506118607)
【氏名又は名称原語表記】S2F FLEXICO
【Fターム(参考)】