開口部周り構造、開口部周り施工方法および開口部周り化粧部材
【課題】化粧部材の表面に釘等の固定具が露出せずに化粧部材を固定することができて、意匠性に優れる開口部周り構造、開口部周り施工方法および開口部周り化粧部材を提供する。
【解決手段】建物の躯体13の室外側に、開口部10の周りに沿って胴縁14が設けられ、この胴縁14に、室外側から化粧部材15が設けられており、化粧部材15は、外装材16と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、外装材16を開口部10の周りに固定するための固定板17とを備え、外装材16は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部21この外側板部21の一端部から屈曲された屈曲板部22とを備えており、化粧部材15は、外装材16の外側板部21が胴縁14の室外側でかつ周囲に配置された外壁板12と隣接して配置されるとともに、屈曲板部22が胴縁14の開口部10側に配置され、固定板17が胴縁14に固定金具およびねじ62により固定されている。
【解決手段】建物の躯体13の室外側に、開口部10の周りに沿って胴縁14が設けられ、この胴縁14に、室外側から化粧部材15が設けられており、化粧部材15は、外装材16と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、外装材16を開口部10の周りに固定するための固定板17とを備え、外装材16は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部21この外側板部21の一端部から屈曲された屈曲板部22とを備えており、化粧部材15は、外装材16の外側板部21が胴縁14の室外側でかつ周囲に配置された外壁板12と隣接して配置されるとともに、屈曲板部22が胴縁14の開口部10側に配置され、固定板17が胴縁14に固定金具およびねじ62により固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓等の開口部の周りに化粧部材が設置された開口部周り構造、開口部周り施工方法および開口部周り化粧部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓等の開口部の周りの施工において、特に建物の外観の重量感や高級感などの意匠性を高めるために用いられるサッシに対する壁勝ち納まりや、あるいは外張り断熱仕様の壁勝ち納まりなど、サッシよりも外壁が外側に位置する開口部周りの施工において、開口部の周りには、意匠性や防水性の観点から、外壁板の端面に隣接して化粧部材が設けられる。
【0003】
この化粧部材が設置された開口部周り構造としては、従来、例えば図11に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この開口部周り構造においては、化粧部材1は断面形状がほぼL字状の窯業系の外装材からなり、胴縁(下地材)2の室外側(外側)に配置される外側板部1aと、この外側板部1aから室内側(内側)に向けて屈曲された屈曲板部1bとを備えている。胴縁2は、開口部周りに沿って設けられており、化粧部材1の外側板部1aは開口部の周囲に配された窯業系の外壁板3と隣接して配置されるとともに、屈曲板部1bはその側端面が開口部の室内側へ向うように配置され、そして外側板部1aの室外側(表側)から胴縁2に釘4が打ち付けられることにより、化粧部材1が胴縁2に固定されている。外側板部1aと外壁板3との間の目地には、ハットジョイナー5が留め付けられ、シーリング6が打設されている。また、屈曲板部1bの室内側端面とサッシ7との間にはバックアップ材8が設けられ、シーリング6が打設されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3767569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような開口部周り構造にあっては、化粧部材3の表面から釘4が露出するので、美観が損なわれるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、化粧部材の表面に釘等の固定具が露出せずに化粧部材を固定することができて、意匠性に優れる開口部周り構造、開口部周り施工方法および開口部周り化粧部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の開口部周り構造は、建物の開口部の周りに化粧部材が設けられている開口部周り構造であって、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材が設けられ、この下地材に、室外側から前記化粧部材が設けられており、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記化粧部材は、前記外装材の前記外側板部が前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されている、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明においては、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板が下地材に固定手段により固定されているので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【0008】
請求項2に記載の開口部周り構造は、請求項2に記載の発明において、前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板が嵌入されるとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板が固定具により固定されるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明においては、化粧部材の外装材を開口部の周りに固定するために、固定板を下地材に固定する固定手段として、下地材の開口部側面に固定された固定金具の溝部に固定板が嵌入されるので、固定作業が容易であるとともに、下地材の室内外方向の寸法が変わっても、外装材の屈曲板部の幅寸法(室内外方向の寸法)を変えることなく固定作業を行うことができ、したがって外装材の屈曲板部の幅寸法を調整するために、困難な幅方向の切断作業を行う必要がない。
【0010】
請求項3に記載の開口部周り構造は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記開口部の周りの下部には、水切り皿板が室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設けられており、この水切り皿板の両端部にはそれぞれ、エンドキャップが側方から嵌合されており、このエンドキャップには、水平部が設けられており、この水平部を基準に前記化粧部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、水切り皿板の両端部にそれぞれエンドキャップが設けられているので、水切り皿板の両端部との接触による損傷を防止することができるとともに、水切り皿板の両端部から躯体内に水が浸入するのを防止することができる。また、水切り皿板の両端部にエンドキャップが側方から嵌合されることにより取り付けられているので、エンドキャップの取付作業が容易である。さらには、エンドキャップに水平部が設けられ、この水平部を基準に化粧部材が設けられているので、エンドキャップの水平部を基準にして化粧部材の必要な長さを測定して、化粧部材を切断し、この化粧部材を設置することができるため、化粧部材の取付作業を正確にかつ簡単に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の開口部周り施工方法は、建物の開口部の周りに化粧部材を設ける開口部周り施工方法であって、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材を設け、
前記外装材の前記外側板部を前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置するとともに、前記屈曲板部を前記下地材の前記開口部側に配置して、前記固定板を前記下地材に固定手段により固定することにより、前記下地材に、室外側から前記化粧部材を設ける、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明においては、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板を下地材に固定手段により固定するので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の開口部周り施工方法は、請求項4に記載の発明において、前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板を嵌入するとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板を固定具により固定するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、化粧部材の外装材を開口部の周りに固定するために、固定板を下地材に固定する固定手段として、下地材の開口部側面に固定された固定金具の溝部に固定板を嵌入するので、固定作業が容易であるとともに、下地材の室内外方向の寸法が変わっても、外装材の屈曲板部の幅寸法(室内外方向の寸法)を変えることなく固定作業を行うことができ、したがって外装材の屈曲板部の幅寸法を調整するために、困難な幅方向の切断作業を行う必要がない。
【0016】
請求項6に記載の開口部周り施工方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、予め、水切り皿板の両端部にそれぞれ、水平部が設けられているエンドキャップを側方から嵌合しておき、このエンドキャップが装着された水切り皿板を、前記開口部の周りの下部に、室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設け、前記エンドキャップの前記水平部を基準に前記化粧部材を設けることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明においては、水切り皿板の両端部にそれぞれエンドキャップを設けるので、水切り皿板の両端部との接触による損傷を防止することができるとともに、水切り皿板の両端部から躯体内に水が浸入するのを防止することができる。また、水切り皿板の両端部にエンドキャップを側方から嵌合することにより取り付けるので、エンドキャップの取付作業が容易である。さらには、エンドキャップに水平部を設け、この水平部を基準に化粧部材を設けているので、エンドキャップの水平部を基準にして化粧部材の必要な長さを測定して、化粧部材を切断し、この化粧部材を設置することができるため、化粧部材の取付作業を正確にかつ簡単に行うことができる。
【0018】
請求項7に記載の開口部周り化粧部材は、建物の開口部の周りに設けられる開口部周り化粧部材であって、
外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記外装材の前記外側板部が、前記建物の躯体の室外側に前記開口部の周りに沿って設けられた下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が、前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明においては、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板が下地材に固定手段により固定されているので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板を下地材に固定手段により固定するので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図10は、本発明の実施の形態に係る開口部周り構造を示す図であって、図1は正面図であり、図2は縦断面図であり、図3は部分横断面図であり、図4は化粧部材の斜視図であり、図5は化粧部材の横断面図であり、図6はコーナー役物の斜視図であり、図7は固定金具の斜視図であり、図8は固定金具を示す図であり、図9は水切り皿板の斜視図であり、図10は左右のエンドキャップの斜視図である。
【0022】
これらの図に示すように、この開口部周り構造は、建物の開口部10に引き違い式の窓サッシ(サッシ)11が設けられ、この窓サッシ11よりも室外側に外壁板(外壁)12が配置される、いわゆる壁勝ち納まりのものである。なお、引き違い式の窓サッシに限らず、ルーバー窓やFIX窓、縦すべり出し窓等の窓サッシ(サッシ)であっても勿論適用可能である。
建物の構造躯体13の室外側には、開口部10の周りに沿って胴縁(下地材)14が釘等の固定具により固定されている。この胴縁14と躯体13、窓サッシ11との間には、透湿防水シート、防水テープ、先張防水シート(下部のみ)が設けられている。
【0023】
上側および左右の胴縁14には、室外側から化粧部材15が設けられている。この化粧部材15は、外装材16と、この外装材16の裏面に沿って延び、該裏面に接着剤等により一体的に固定され、外装材16を開口部10の周りに固定するための固定板17とを備えている。
外装材16は、窯業系の外壁板12と同質の窯業系の材料からなり、横断面形状がほぼL字状に形成されており、胴縁14の室外側に配置される外側板部21と、この外側板部21の一側端部から室内側に向けて屈曲された屈曲板部22とを備えている。
【0024】
一方、固定板17は、ガルバリウム鋼板、ガルタイト鋼板、その他の表面処理鋼板、またはステンレス鋼板等からなり、横断面形状が概略L字状に形成されている。この固定板17には、外装材16の外側板部21の側端面の外側に、ハットジョイナー(目地ジョイナー)23が形成されている。また、固定板17には、外装材16の屈曲板部22の側端面の外側に、嵌入部24が室内側に向かって突出するように形成されているとともに、パッキン材支持部25が屈曲板部22の側端面に沿って(窓サッシ11の面内方向に)延び屈曲板部22の表面から外側に突出するように形成されている。パッキン材装着部25の先端部には室内側に向けて屈曲する装着部26が形成されており、この装着部26にパッキン材27が両面テープあるいは接着剤等により固定されている。パッキン材27は、EPDM発泡体、シリコーンゴム発泡体あるいは合成ゴム発泡体等の弾性材からなり、四角柱状に形成されている。
【0025】
化粧部材15の固定板17を固定するために用いられる固定金具(固定手段)31は、概略L字状に形成されており、固定部32と、この固定部32の下端から略直角に折曲されて延びるスペーサー部33と、この突き当て部33の先端から略直角に折曲されて短く延びる突き当て部34と、固定部32の根本部に鉤状に形成されて、固定部32との間に固定部32の先端側から固定板17の嵌入部24が嵌入可能な溝部35を形成する鉤状片部36とを備えている。
【0026】
また、開口部10周りの窓サッシ11の上部の左右の隅部にはそれぞれ、化粧部材としてコーナー役物45が下地材2の室外側から設けられている。このコーナー役物45は、平面視においてL字状に形成され、また固定板が外装材の両端面から外側に延びている点以外は、前述の直線状の化粧部材15と同様に構成されている。
すなわち、コーナー役物45は、外装材46と、この外装材46の裏面に沿って延び、該裏面に接着剤等により一体的に固定され、外装材46を開口部10の周りに固定するための固定板47とを備えている。
外装材46は、外壁板13と同質の窯業系の材料からなり、平面視においてL字状に形成され、また横断面形状がほぼL字状に形成されており、胴縁14の室外側に配置される外側板部51と、この外側板部51の一側端部から室内側に向けて屈曲された屈曲板部52とを備えている。
【0027】
一方、固定板47は、ガルバリウム鋼板、ガルタイト鋼板、その他の表面処理鋼板、またはステンレス鋼板等からなり、平面視においてL字状に形成され、また横断面形状が概略L字状に形成されている。この固定板47には、外装材46の外側板部51の側端面の外側に、ハットジョイナー(目地ジョイナー)53が形成されている。また、固定板47には、外装材46の屈曲板部52の側端面の外側に、嵌入部54が室内側に向かって突出するように形成されているとともに、パッキン材支持部55が屈曲板部52の側端面に沿って(窓サッシ11の面内方向に)延び屈曲板部52の表面から外側に突出するように形成されている。パッキン材装着部55の先端部には室内側に向けて屈曲する装着部56が形成されており、この装着部56にパッキン材57が両面テープあるいは接着剤等により固定されている。パッキン材57は、EPDM発泡体、シリコーンゴム発泡体あるいは合成ゴム発泡体等の弾性材からなり、L字状に折曲された四角柱状に形成されている。
【0028】
上部および左右に配置される化粧部材15および上部の左右2箇所の隅部に配置されるコーナー役物(化粧部材)40は、次のように胴縁14に取り付けられている。
すなわち、固定金具31は、その突き当て部34が窓サッシ11に突き当てられているとともに、その固定部32が胴縁14の開口部10側の側面に当接され、ねじ(固定具)60により固定されている。突き当て部34は、窓サッシ11の上枠11aでは上枠11aの上面に突き当てられ、左右の縦枠11cでは側方に突出する突出片11dに突き当てられている。固定金具31は、胴縁14の長手方向に間隔をおいて複数個が設けられている。
【0029】
化粧部材15は、固定板17の嵌入部24が固定金具31の溝部35に嵌入されているとともに、パッキン材27が窓サッシ11に押し当てられて密着している。パッキン材27は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられている。また、固定板17のハットジョイナー23の先端側の平板部が、上部あるいは左右の胴縁14の室外側の側面にスペーサー61を介在させてねじ(固定具;固定手段)62により固定されている。これにより、化粧部材15は、胴縁14の室外側に外装材16の外側板部21が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部22が配置されて、上部あるいは左右の胴縁14に取り付けられている。
【0030】
また、コーナー役物45は、固定板47の嵌入部54が固定金具31の溝部35に嵌入されているとともに、パッキン材57が窓サッシ11に押し当てられて密着している。パッキン材57は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられている。また、固定板47のハットジョイナー53の先端側の平板部が、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14の室外側の側面にスペーサー61を介在させてねじ62により固定されている。これにより、コーナー役物45は、胴縁14の室外側に外装材46の外側板部51が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部52が配置されて、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14に取り付けられている。
【0031】
化粧部材15およびコーナー役物45のハットジョイナー23、53の先端側の平板部の外側にはそれぞれ、外壁板12が留め付け金具63および釘64により設置されている。また、化粧部材15およびコーナー役物45と外壁板12との間の目地にはそれぞれ、シーリング材65が打設されている。固定板17のハットジョイナー23および固定板47のハットジョイナー53の各突起部の上面には、シーリング材65がハットジョイナー23、53に接着しないように、予めボンドブレーカーが設けられている。また、化粧部材15とコーナー役物45との間の目地には、シーリング材65が打設されている。この場合、コーナー役物45の固定板47において、外装材46の端面から化粧部材15側に延びている部分のうちの平面部47aが目地ジョイナーとして機能する。
【0032】
また、開口部10の周りの下部には、水切り皿板70が設けられている。水切り皿板70は、形材により形成されており、他端部側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜している平板状の本体部71と、この本体部71の一端部に形成された横断面形状が概略L字状の取付部72と、本体部71の他端部(外側の端部)に形成され、下方向かって折曲されている垂下部73とを備えている。水切り皿板70は、取付部72がねじ67により躯体13に固定されており、これにより水切り皿板70が外側(室外側)に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設置されている。
【0033】
水切り皿板70の両端部にはそれぞれ、エンドキャップ90が設けられている。このエンドキャップ90は、合成樹脂の成形品からなり、水切り皿板70の左側および右側に取り付けられる左側用および右側用としてそれぞれ、左右対称のエンドキャップ90A、90Bが用意されている。
エンドキャップ90は、水切り皿板70の本体部71および垂下部73に側方から嵌合する横断面形状が概略コ字状の嵌合部91と、この嵌合部91の端部の上部に形成され、水切り皿板70の取付部72の内側面に当接する当接部92と、嵌合部91の側端部の上部に立設され、水切り皿板70の取付部72の端面に当接する側板部93と、嵌合部91の中央部の上部に形成され、上面に水平部94を有する台座部95とを備えている。
【0034】
左右のエンドキャップ90は、水切り皿板70の両端部に側方から嵌合されることにより取り付けられている。左右のエンドキャップ90の各台座部95の各水平部94にはそれぞれ、左右の化粧部材15の下端が当接されており、台座部95の室外側の化粧部材15と水切り皿板70の上面との間には、シーリング材65が打設されている。また、水切り皿板70の下面と外壁板12との間に目地には、片ハットジョイナー97が設置され、そしてシーリング材65が打設されている。片ハットジョイナー97の突起部の上面には、予めボンドブレーカーが設けられている。
【0035】
次に、このような開口部周り構造の施工方法を説明する。
まず、下地材としての胴縁14を設置する。すなわち、窓サッシ11が設けられた建物の開口部10の周りに沿って胴縁14を設ける。具体的には、まず、予め、固定金具31の固定部32を胴縁14の開口部10側の側面に該側面の室外側の端(すなわち、胴縁14の室外側面の位置)に固定部32の先端を一致させて、ねじ60により固定しておく。つまり、固定金具31を胴縁14の開口部10側の側面に、該側面の室外側の端を基準に取り付けておく。固定金具31は、所定の間隔をおいて、複数個を取り付ける。
そして、この固定金具31の付いた胴縁14を、固定金具31の突き当て部34を窓サッシ11に突き当てた状態で釘等の固定具により躯体13に固定する。この場合、突き当て部34は、窓サッシ11の上枠11aでは上枠11aの上面に突き当て、左右の縦枠11cでは側方に突出する突出片11dに突き当てる。なお、開口部10の周りの下部の胴縁14には、固定金具31は取り付けない。
なお、胴縁14を設ける前に、胴縁14と躯体13、窓サッシ11との間には、透湿防水シート、防水テープ、先張防水シート(下部のみ)を設置しておく。
【0036】
次いで、水切り皿板70を設置する。すなわち、左右のエンドキャップ90が取り付けられた水切り皿板70を、開口部10の周りの下側の躯体13にねじ67により固定する。これにより、水切り皿板70は下方傾斜して設置され、水が室外側に流下するようになっている。
【0037】
次いで、コーナー役物45を設置する。すなわち、予め工場等でコーナー役物45を作製しておき、このコーナー役物45を開口部10の周りの上部の左右2箇所の隅部にそれぞれ設置する。
具体的には、コーナー役物45の固定板47の嵌入部54を、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14にそれぞれ固定されている各固定金具31の各溝部35に嵌入する。このようにすると、コーナー役物45の屈曲板部52の先端側部分(室内側の部分)が胴縁14と窓サッシ11との間に挿入されるとともに、コーナー役物45のパッキン材57が窓サッシ11に押し当てられて密着する。この場合、屈曲板部52の先端側部分は、窓サッシ11の上枠11a側では胴縁14と上枠11aの上面との間に挿入され、左右の縦枠11c側では胴縁14と側方に突出する突出片11dとの間に挿入される。また、パッキン材57は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられる。
【0038】
その後、コーナー役物45の固定板47のハットジョイナー53の先端側の平板部を、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14の室外側の側面にそれぞれ、スペーサー61を介在させてねじ62により固定する。これにより、コーナー役物45は、胴縁14の室外側に外装材46の外側板部51が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部52が配置されて、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14に取り付けられる。
【0039】
次いで、化粧部材15を設置する。すなわち、開口部10の周りの上部および左右にそれぞれ、化粧部材15を設置する。
具体的には、予め工場等で所定長さの化粧部材15を作製しておき、化粧部材15の必要な開口部10の周りに設置する際に、現場において化粧部材15を必要な長さに切断して、開口部10の周りの上部および左右にそれぞれ設置する。この場合、開口部10の周りの上部においては、2つのコーナー役物45の間の寸法を測定して、化粧部材15を必要な長さに切断する。また、開口部10の周りの左右においては、水切り皿板70に設けられたエンドキャップ90の台座部95の水平部94とコーナー役物45との間の寸法を測定して、化粧部材15を必要な長さに切断する。つまり、斜め下方に傾斜して設置されている水切り皿板70に設けられた水平部94を基準にして、化粧部材15の必要な長さを測定する。
【0040】
その後、化粧部材15の固定板17の嵌入部24を、胴縁14に固定されている固定金具31の溝部35に嵌入する。このようにすると、化粧部材15の屈曲板部22の先端側部分(室内側の部分)が胴縁14と窓サッシ11との間に挿入されるとともに、化粧部材15のパッキン材27が窓サッシ11に押し当てられて密着する。この場合、屈曲板部22の先端側部分は、窓サッシ11の上枠11a側では胴縁14と上枠11aの上面との間に挿入され、左右の縦枠11c側では胴縁14と側方に突出する突出片11dとの間に挿入される。また、パッキン材27は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられる。
【0041】
その後、化粧部材15の固定板17のハットジョイナー23の先端側の平板部を、胴縁14の室外側の側面にスペーサー61を介在させてねじ62により固定する。これにより、化粧部材15は、胴縁14の室外側に外装材16の外側板部21が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部22が配置されて、上部あるいは左右の胴縁14に取り付けられる。
【0042】
次いで、外壁板12を設置する。すなわち、開口部10の周囲の下部および上部にそれぞれ、開口部10の形状に沿った切欠部98、99が形成された外壁板12、12を設ける。具体的には、開口部10の周囲の下部の外壁板12を、水切り皿板70の下側および左右の化粧部材15の各ハットジョイナー23の先端側の平板部の外側に配置し、留め付け金具63および釘64により胴縁14等の下地材に固定する。その後、開口部10の周囲の上部の外壁板12を、上部および左右の化粧部材15の各ハットジョイナー23の先端側の平板部、ならびに左右の各コーナー役物45の各ハットジョイナー53の先端側の平板部の外側に配置し、留め付け金具63および釘64により胴縁14等の下地材に固定する。
【0043】
次いで、シーリング材65を打設する。すなわち、化粧部材15およびコーナー役物45と外壁板12との間の目地に、ならびに化粧部材15とコーナー役物45との間の目地にそれぞれ、シーリング材65を打設する。また、台座部95の外側の化粧部材15と水切り皿板70の上面との間、および水切り皿板70の下面と外壁板12との間に目地に、シーリング材65を打設する。
【0044】
この実施の形態にあっては、化粧部材15およびコーナー役物45がそれぞれ外装材16、46とこの外装材16、46の裏面に一体的に設けられた固定板17、47とを備えており、固定板17、47を胴縁14に固定手段としての固定金具31およびねじ62により固定するので、化粧部材15およびコーナー役物45の外装材16、46の表面に釘等の固定手段が露出せず、したがって開口部周りの意匠性を高めることができる。
【0045】
また、化粧部材15およびコーナー役物45が外装材16、46を開口部10の周りに固定するために、固定板17、47を胴縁14に固定する固定手段として、胴縁14の開口部10側の側面に固定された固定金具31の溝部35に固定板17、47の嵌入部24、54を嵌入するので、固定作業を容易に行うことができる。また、胴縁14の室内外方向の寸法が変わっても、外装材16、46の屈曲板部22、52の幅寸法(室内外方向の寸法)を変えることなく固定作業を行うことができ、したがって外装材16、46の屈曲板部22、52の幅寸法を調整するために、困難な幅方向の切断作業を行う必要がない。
【0046】
さらに、固定金具31がスペーサー部33を備えているので、予め固定金具31を胴縁14の開口部10側の側面にねじ60により固定しておき、この固定金具31の付いた胴縁14を、固定金具31の突き当て部34を窓サッシ11に突き当てた状態で釘等の固定具により躯体13に固定することにより、窓サッシ11と所定の間隔をおいて胴縁14を躯体10に取り付けることができ、ひいては窓サッシ11と所定の間隔をおいて化粧部材15およびコーナー役物45を取り付けることができる。このように、窓サッシ11に対する胴縁14の寸法出し、ひいては窓サッシ11に対する化粧部材15およびコーナー役物45の寸法出しを容易に行うことができ、したがって開口部周りの施工を簡便に行うことができる。なお、窓サッシ11と化粧部材15およびコーナー役物45の外装部16、46の屈曲板部22、52との間に正確に所定の間隔をおいて、化粧部材15およびコーナー役物45を設けることは、開口部周り構造において意匠性を高めるために重要である。
【0047】
さらには、固定金具31の突き当て部34を窓サッシ11に突き当てるので、引き違いサッシ場合のように障子の開閉による衝撃により窓サッシ11(上枠11a、突出片11d)が撓んで、他の部材(例えば、化粧部材15やコーナー役物45の屈曲板部22、52、あるいはその他の部材)に干渉するのを防止することができるため、窓サッシ11や他の部材が損傷するのを防止することができる。
【0048】
また、化粧部材15およびコーナー役物45の固定板17、47にハットジョイナー23、53を一体に形成したので、別体のハットジョイナーを別個に設置する場合に比べて、施工を簡略化することができる。さらに、コーナー役物45の固定板47に、目地ジョイナーとして機能する平面部47aを一体に形成したので、施工をより簡略化することができる。さらには、直線状の化粧部材15だけでなく、コーナー部にそのまま設置することができる平面視においてL字状のコーナー役物45を予め用意してあるので、現場においてコーナー部に合わせて化粧部材を切断加工する必要がないため、施工をより簡略化することができるとともに、コーナー部をすっきりと納めることができる。
【0049】
また、化粧部材15およびコーナー役物45の固定板17、47のパッキン材支持部25、55にパッキン材27、57を設け、このパッキン材27、57を窓サッシ11(上枠11a、突出片11d)に密着するようにしたので、手間のかかるシーリング材の打設作業を省略することができる。
さらに、窓サッシ11(上枠11a、突出片11d)、化粧部材15およびコーナー役物45の外装部16、46の屈曲板部22、52、パッキン材支持部25、55およびパッキン材27、57により形成される室外側に開口した溝部は、開口部10の周りに門形に形成されるので、この門形の溝部を雨水の排水経路として機能させることができる。雨水は左右の化粧部材により形成される溝部の下端から、水切り皿板70上に流下する。
【0050】
また、水切り皿板70の両端部にそれぞれエンドキャップ90を設けるので、水切り皿板70の両端部との接触による損傷を防止することができるとともに、水切り皿板70の両端部から躯体13内に水が浸入するのを防止することができる。また、水切り皿板70の両端部にエンドキャップ90を側方から嵌合することにより取り付けるので、エンドキャップ90の取付作業が容易である。さらに、エンドキャップ50に水平部94を設け、この水平部94を基準に左右の化粧部材15を設けているので、エンドキャップ90の水平部94を基準にして左右の化粧部材15の必要な長さを測定して、化粧部材15を切断し、この化粧部材15を設置することができるため、左右の化粧部材15の取付作業を正確にかつ簡単に行うことができる。
【0051】
なお、前述の実施の形態では、化粧部材15およびコーナー役物45が外装材16、46を開口部10の周りに固定するために、固定板17、47を胴縁14に固定する固定手段として、固定金具31を用いたが、これを用いずにねじ等の固定具などを用いて固定板17、47を胴縁14に固定するようにしてもよい。
【0052】
また、前述の実施の形態では、化粧部材15およびコーナー役物45の固定板17、47にハットジョイナー23、53を一体に形成したが、一体に形成せずに別体のハットジョイナー(目地ジョイナー)を用いてもよい。さらには、化粧部材15およびコーナー役物45と外壁板12との間の目地にシーリング材を打設する代わりに、乾式目地としてもよい。
【0053】
また、前述の実施の形態では、コーナー役物45の固定板47に、目地ジョイナーとして機能する平面部47aを一体に形成し、シーリング材を打設するようにしたが、目地ジョイナーとして機能する平面部47aを設けずに、コーナー役物45と化粧部材15との間に弾性材等からなるパッキンを介在させるようにして、乾式化するようにしてもよい。
【0054】
さらに、前述の実施の形態では、化粧部材15およびコーナー役物(化粧部材)45を建物の開口部10周りに用いたが、化粧部材15およびコーナー役物45を同一壁面で壁厚さを変えた場合の見切り部材としても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る開口部周り構造を示す図であって、正面図である。
【図2】同、縦断面図である。
【図3】同、部分横断面図である。
【図4】同、化粧部材の斜視図である。
【図5】同、化粧部材の横断面図である。
【図6】同、コーナー役物の斜視図である。
【図7】同、固定金具の斜視図である。
【図8】同、固定金具を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図9】同、水切り皿板の斜視図である。
【図10】同、エンドキャップの斜視図であり、(a)は左側用のエンドキャップ、(b)は右側用のエンドキャップである。
【図11】従来の開口部周り構造を示す部分横断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 開口部
12 外壁板
13 躯体
14 胴縁(下地材)
15 化粧部材
16、46 外装材
17、47 固定板
21、51 外側板部
22、52 屈曲板部
31 固定金具(固定手段)
35 溝部
45 コーナー部材(化粧部材)
62 ねじ(固定具;固定手段)
70 水切り皿板
90 エンドキャップ
94 水平部
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓等の開口部の周りに化粧部材が設置された開口部周り構造、開口部周り施工方法および開口部周り化粧部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓等の開口部の周りの施工において、特に建物の外観の重量感や高級感などの意匠性を高めるために用いられるサッシに対する壁勝ち納まりや、あるいは外張り断熱仕様の壁勝ち納まりなど、サッシよりも外壁が外側に位置する開口部周りの施工において、開口部の周りには、意匠性や防水性の観点から、外壁板の端面に隣接して化粧部材が設けられる。
【0003】
この化粧部材が設置された開口部周り構造としては、従来、例えば図11に示すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この開口部周り構造においては、化粧部材1は断面形状がほぼL字状の窯業系の外装材からなり、胴縁(下地材)2の室外側(外側)に配置される外側板部1aと、この外側板部1aから室内側(内側)に向けて屈曲された屈曲板部1bとを備えている。胴縁2は、開口部周りに沿って設けられており、化粧部材1の外側板部1aは開口部の周囲に配された窯業系の外壁板3と隣接して配置されるとともに、屈曲板部1bはその側端面が開口部の室内側へ向うように配置され、そして外側板部1aの室外側(表側)から胴縁2に釘4が打ち付けられることにより、化粧部材1が胴縁2に固定されている。外側板部1aと外壁板3との間の目地には、ハットジョイナー5が留め付けられ、シーリング6が打設されている。また、屈曲板部1bの室内側端面とサッシ7との間にはバックアップ材8が設けられ、シーリング6が打設されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3767569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような開口部周り構造にあっては、化粧部材3の表面から釘4が露出するので、美観が損なわれるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、化粧部材の表面に釘等の固定具が露出せずに化粧部材を固定することができて、意匠性に優れる開口部周り構造、開口部周り施工方法および開口部周り化粧部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の開口部周り構造は、建物の開口部の周りに化粧部材が設けられている開口部周り構造であって、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材が設けられ、この下地材に、室外側から前記化粧部材が設けられており、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記化粧部材は、前記外装材の前記外側板部が前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されている、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明においては、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板が下地材に固定手段により固定されているので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【0008】
請求項2に記載の開口部周り構造は、請求項2に記載の発明において、前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板が嵌入されるとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板が固定具により固定されるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明においては、化粧部材の外装材を開口部の周りに固定するために、固定板を下地材に固定する固定手段として、下地材の開口部側面に固定された固定金具の溝部に固定板が嵌入されるので、固定作業が容易であるとともに、下地材の室内外方向の寸法が変わっても、外装材の屈曲板部の幅寸法(室内外方向の寸法)を変えることなく固定作業を行うことができ、したがって外装材の屈曲板部の幅寸法を調整するために、困難な幅方向の切断作業を行う必要がない。
【0010】
請求項3に記載の開口部周り構造は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記開口部の周りの下部には、水切り皿板が室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設けられており、この水切り皿板の両端部にはそれぞれ、エンドキャップが側方から嵌合されており、このエンドキャップには、水平部が設けられており、この水平部を基準に前記化粧部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明においては、水切り皿板の両端部にそれぞれエンドキャップが設けられているので、水切り皿板の両端部との接触による損傷を防止することができるとともに、水切り皿板の両端部から躯体内に水が浸入するのを防止することができる。また、水切り皿板の両端部にエンドキャップが側方から嵌合されることにより取り付けられているので、エンドキャップの取付作業が容易である。さらには、エンドキャップに水平部が設けられ、この水平部を基準に化粧部材が設けられているので、エンドキャップの水平部を基準にして化粧部材の必要な長さを測定して、化粧部材を切断し、この化粧部材を設置することができるため、化粧部材の取付作業を正確にかつ簡単に行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の開口部周り施工方法は、建物の開口部の周りに化粧部材を設ける開口部周り施工方法であって、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材を設け、
前記外装材の前記外側板部を前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置するとともに、前記屈曲板部を前記下地材の前記開口部側に配置して、前記固定板を前記下地材に固定手段により固定することにより、前記下地材に、室外側から前記化粧部材を設ける、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明においては、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板を下地材に固定手段により固定するので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【0014】
請求項5に記載の開口部周り施工方法は、請求項4に記載の発明において、前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板を嵌入するとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板を固定具により固定するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明においては、化粧部材の外装材を開口部の周りに固定するために、固定板を下地材に固定する固定手段として、下地材の開口部側面に固定された固定金具の溝部に固定板を嵌入するので、固定作業が容易であるとともに、下地材の室内外方向の寸法が変わっても、外装材の屈曲板部の幅寸法(室内外方向の寸法)を変えることなく固定作業を行うことができ、したがって外装材の屈曲板部の幅寸法を調整するために、困難な幅方向の切断作業を行う必要がない。
【0016】
請求項6に記載の開口部周り施工方法は、請求項4または請求項5に記載の発明において、予め、水切り皿板の両端部にそれぞれ、水平部が設けられているエンドキャップを側方から嵌合しておき、このエンドキャップが装着された水切り皿板を、前記開口部の周りの下部に、室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設け、前記エンドキャップの前記水平部を基準に前記化粧部材を設けることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明においては、水切り皿板の両端部にそれぞれエンドキャップを設けるので、水切り皿板の両端部との接触による損傷を防止することができるとともに、水切り皿板の両端部から躯体内に水が浸入するのを防止することができる。また、水切り皿板の両端部にエンドキャップを側方から嵌合することにより取り付けるので、エンドキャップの取付作業が容易である。さらには、エンドキャップに水平部を設け、この水平部を基準に化粧部材を設けているので、エンドキャップの水平部を基準にして化粧部材の必要な長さを測定して、化粧部材を切断し、この化粧部材を設置することができるため、化粧部材の取付作業を正確にかつ簡単に行うことができる。
【0018】
請求項7に記載の開口部周り化粧部材は、建物の開口部の周りに設けられる開口部周り化粧部材であって、
外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記外装材の前記外側板部が、前記建物の躯体の室外側に前記開口部の周りに沿って設けられた下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が、前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明においては、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板が下地材に固定手段により固定されているので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、化粧部材が外装材とこの外装材の裏面に一体的に設けられた固定板とを備えており、固定板を下地材に固定手段により固定するので、化粧部材の外装材の表面に釘等の固定手段が露出しないため、開口部周りの意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図10は、本発明の実施の形態に係る開口部周り構造を示す図であって、図1は正面図であり、図2は縦断面図であり、図3は部分横断面図であり、図4は化粧部材の斜視図であり、図5は化粧部材の横断面図であり、図6はコーナー役物の斜視図であり、図7は固定金具の斜視図であり、図8は固定金具を示す図であり、図9は水切り皿板の斜視図であり、図10は左右のエンドキャップの斜視図である。
【0022】
これらの図に示すように、この開口部周り構造は、建物の開口部10に引き違い式の窓サッシ(サッシ)11が設けられ、この窓サッシ11よりも室外側に外壁板(外壁)12が配置される、いわゆる壁勝ち納まりのものである。なお、引き違い式の窓サッシに限らず、ルーバー窓やFIX窓、縦すべり出し窓等の窓サッシ(サッシ)であっても勿論適用可能である。
建物の構造躯体13の室外側には、開口部10の周りに沿って胴縁(下地材)14が釘等の固定具により固定されている。この胴縁14と躯体13、窓サッシ11との間には、透湿防水シート、防水テープ、先張防水シート(下部のみ)が設けられている。
【0023】
上側および左右の胴縁14には、室外側から化粧部材15が設けられている。この化粧部材15は、外装材16と、この外装材16の裏面に沿って延び、該裏面に接着剤等により一体的に固定され、外装材16を開口部10の周りに固定するための固定板17とを備えている。
外装材16は、窯業系の外壁板12と同質の窯業系の材料からなり、横断面形状がほぼL字状に形成されており、胴縁14の室外側に配置される外側板部21と、この外側板部21の一側端部から室内側に向けて屈曲された屈曲板部22とを備えている。
【0024】
一方、固定板17は、ガルバリウム鋼板、ガルタイト鋼板、その他の表面処理鋼板、またはステンレス鋼板等からなり、横断面形状が概略L字状に形成されている。この固定板17には、外装材16の外側板部21の側端面の外側に、ハットジョイナー(目地ジョイナー)23が形成されている。また、固定板17には、外装材16の屈曲板部22の側端面の外側に、嵌入部24が室内側に向かって突出するように形成されているとともに、パッキン材支持部25が屈曲板部22の側端面に沿って(窓サッシ11の面内方向に)延び屈曲板部22の表面から外側に突出するように形成されている。パッキン材装着部25の先端部には室内側に向けて屈曲する装着部26が形成されており、この装着部26にパッキン材27が両面テープあるいは接着剤等により固定されている。パッキン材27は、EPDM発泡体、シリコーンゴム発泡体あるいは合成ゴム発泡体等の弾性材からなり、四角柱状に形成されている。
【0025】
化粧部材15の固定板17を固定するために用いられる固定金具(固定手段)31は、概略L字状に形成されており、固定部32と、この固定部32の下端から略直角に折曲されて延びるスペーサー部33と、この突き当て部33の先端から略直角に折曲されて短く延びる突き当て部34と、固定部32の根本部に鉤状に形成されて、固定部32との間に固定部32の先端側から固定板17の嵌入部24が嵌入可能な溝部35を形成する鉤状片部36とを備えている。
【0026】
また、開口部10周りの窓サッシ11の上部の左右の隅部にはそれぞれ、化粧部材としてコーナー役物45が下地材2の室外側から設けられている。このコーナー役物45は、平面視においてL字状に形成され、また固定板が外装材の両端面から外側に延びている点以外は、前述の直線状の化粧部材15と同様に構成されている。
すなわち、コーナー役物45は、外装材46と、この外装材46の裏面に沿って延び、該裏面に接着剤等により一体的に固定され、外装材46を開口部10の周りに固定するための固定板47とを備えている。
外装材46は、外壁板13と同質の窯業系の材料からなり、平面視においてL字状に形成され、また横断面形状がほぼL字状に形成されており、胴縁14の室外側に配置される外側板部51と、この外側板部51の一側端部から室内側に向けて屈曲された屈曲板部52とを備えている。
【0027】
一方、固定板47は、ガルバリウム鋼板、ガルタイト鋼板、その他の表面処理鋼板、またはステンレス鋼板等からなり、平面視においてL字状に形成され、また横断面形状が概略L字状に形成されている。この固定板47には、外装材46の外側板部51の側端面の外側に、ハットジョイナー(目地ジョイナー)53が形成されている。また、固定板47には、外装材46の屈曲板部52の側端面の外側に、嵌入部54が室内側に向かって突出するように形成されているとともに、パッキン材支持部55が屈曲板部52の側端面に沿って(窓サッシ11の面内方向に)延び屈曲板部52の表面から外側に突出するように形成されている。パッキン材装着部55の先端部には室内側に向けて屈曲する装着部56が形成されており、この装着部56にパッキン材57が両面テープあるいは接着剤等により固定されている。パッキン材57は、EPDM発泡体、シリコーンゴム発泡体あるいは合成ゴム発泡体等の弾性材からなり、L字状に折曲された四角柱状に形成されている。
【0028】
上部および左右に配置される化粧部材15および上部の左右2箇所の隅部に配置されるコーナー役物(化粧部材)40は、次のように胴縁14に取り付けられている。
すなわち、固定金具31は、その突き当て部34が窓サッシ11に突き当てられているとともに、その固定部32が胴縁14の開口部10側の側面に当接され、ねじ(固定具)60により固定されている。突き当て部34は、窓サッシ11の上枠11aでは上枠11aの上面に突き当てられ、左右の縦枠11cでは側方に突出する突出片11dに突き当てられている。固定金具31は、胴縁14の長手方向に間隔をおいて複数個が設けられている。
【0029】
化粧部材15は、固定板17の嵌入部24が固定金具31の溝部35に嵌入されているとともに、パッキン材27が窓サッシ11に押し当てられて密着している。パッキン材27は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられている。また、固定板17のハットジョイナー23の先端側の平板部が、上部あるいは左右の胴縁14の室外側の側面にスペーサー61を介在させてねじ(固定具;固定手段)62により固定されている。これにより、化粧部材15は、胴縁14の室外側に外装材16の外側板部21が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部22が配置されて、上部あるいは左右の胴縁14に取り付けられている。
【0030】
また、コーナー役物45は、固定板47の嵌入部54が固定金具31の溝部35に嵌入されているとともに、パッキン材57が窓サッシ11に押し当てられて密着している。パッキン材57は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられている。また、固定板47のハットジョイナー53の先端側の平板部が、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14の室外側の側面にスペーサー61を介在させてねじ62により固定されている。これにより、コーナー役物45は、胴縁14の室外側に外装材46の外側板部51が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部52が配置されて、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14に取り付けられている。
【0031】
化粧部材15およびコーナー役物45のハットジョイナー23、53の先端側の平板部の外側にはそれぞれ、外壁板12が留め付け金具63および釘64により設置されている。また、化粧部材15およびコーナー役物45と外壁板12との間の目地にはそれぞれ、シーリング材65が打設されている。固定板17のハットジョイナー23および固定板47のハットジョイナー53の各突起部の上面には、シーリング材65がハットジョイナー23、53に接着しないように、予めボンドブレーカーが設けられている。また、化粧部材15とコーナー役物45との間の目地には、シーリング材65が打設されている。この場合、コーナー役物45の固定板47において、外装材46の端面から化粧部材15側に延びている部分のうちの平面部47aが目地ジョイナーとして機能する。
【0032】
また、開口部10の周りの下部には、水切り皿板70が設けられている。水切り皿板70は、形材により形成されており、他端部側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜している平板状の本体部71と、この本体部71の一端部に形成された横断面形状が概略L字状の取付部72と、本体部71の他端部(外側の端部)に形成され、下方向かって折曲されている垂下部73とを備えている。水切り皿板70は、取付部72がねじ67により躯体13に固定されており、これにより水切り皿板70が外側(室外側)に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設置されている。
【0033】
水切り皿板70の両端部にはそれぞれ、エンドキャップ90が設けられている。このエンドキャップ90は、合成樹脂の成形品からなり、水切り皿板70の左側および右側に取り付けられる左側用および右側用としてそれぞれ、左右対称のエンドキャップ90A、90Bが用意されている。
エンドキャップ90は、水切り皿板70の本体部71および垂下部73に側方から嵌合する横断面形状が概略コ字状の嵌合部91と、この嵌合部91の端部の上部に形成され、水切り皿板70の取付部72の内側面に当接する当接部92と、嵌合部91の側端部の上部に立設され、水切り皿板70の取付部72の端面に当接する側板部93と、嵌合部91の中央部の上部に形成され、上面に水平部94を有する台座部95とを備えている。
【0034】
左右のエンドキャップ90は、水切り皿板70の両端部に側方から嵌合されることにより取り付けられている。左右のエンドキャップ90の各台座部95の各水平部94にはそれぞれ、左右の化粧部材15の下端が当接されており、台座部95の室外側の化粧部材15と水切り皿板70の上面との間には、シーリング材65が打設されている。また、水切り皿板70の下面と外壁板12との間に目地には、片ハットジョイナー97が設置され、そしてシーリング材65が打設されている。片ハットジョイナー97の突起部の上面には、予めボンドブレーカーが設けられている。
【0035】
次に、このような開口部周り構造の施工方法を説明する。
まず、下地材としての胴縁14を設置する。すなわち、窓サッシ11が設けられた建物の開口部10の周りに沿って胴縁14を設ける。具体的には、まず、予め、固定金具31の固定部32を胴縁14の開口部10側の側面に該側面の室外側の端(すなわち、胴縁14の室外側面の位置)に固定部32の先端を一致させて、ねじ60により固定しておく。つまり、固定金具31を胴縁14の開口部10側の側面に、該側面の室外側の端を基準に取り付けておく。固定金具31は、所定の間隔をおいて、複数個を取り付ける。
そして、この固定金具31の付いた胴縁14を、固定金具31の突き当て部34を窓サッシ11に突き当てた状態で釘等の固定具により躯体13に固定する。この場合、突き当て部34は、窓サッシ11の上枠11aでは上枠11aの上面に突き当て、左右の縦枠11cでは側方に突出する突出片11dに突き当てる。なお、開口部10の周りの下部の胴縁14には、固定金具31は取り付けない。
なお、胴縁14を設ける前に、胴縁14と躯体13、窓サッシ11との間には、透湿防水シート、防水テープ、先張防水シート(下部のみ)を設置しておく。
【0036】
次いで、水切り皿板70を設置する。すなわち、左右のエンドキャップ90が取り付けられた水切り皿板70を、開口部10の周りの下側の躯体13にねじ67により固定する。これにより、水切り皿板70は下方傾斜して設置され、水が室外側に流下するようになっている。
【0037】
次いで、コーナー役物45を設置する。すなわち、予め工場等でコーナー役物45を作製しておき、このコーナー役物45を開口部10の周りの上部の左右2箇所の隅部にそれぞれ設置する。
具体的には、コーナー役物45の固定板47の嵌入部54を、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14にそれぞれ固定されている各固定金具31の各溝部35に嵌入する。このようにすると、コーナー役物45の屈曲板部52の先端側部分(室内側の部分)が胴縁14と窓サッシ11との間に挿入されるとともに、コーナー役物45のパッキン材57が窓サッシ11に押し当てられて密着する。この場合、屈曲板部52の先端側部分は、窓サッシ11の上枠11a側では胴縁14と上枠11aの上面との間に挿入され、左右の縦枠11c側では胴縁14と側方に突出する突出片11dとの間に挿入される。また、パッキン材57は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられる。
【0038】
その後、コーナー役物45の固定板47のハットジョイナー53の先端側の平板部を、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14の室外側の側面にそれぞれ、スペーサー61を介在させてねじ62により固定する。これにより、コーナー役物45は、胴縁14の室外側に外装材46の外側板部51が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部52が配置されて、上部の胴縁14および左右の一方の胴縁14に取り付けられる。
【0039】
次いで、化粧部材15を設置する。すなわち、開口部10の周りの上部および左右にそれぞれ、化粧部材15を設置する。
具体的には、予め工場等で所定長さの化粧部材15を作製しておき、化粧部材15の必要な開口部10の周りに設置する際に、現場において化粧部材15を必要な長さに切断して、開口部10の周りの上部および左右にそれぞれ設置する。この場合、開口部10の周りの上部においては、2つのコーナー役物45の間の寸法を測定して、化粧部材15を必要な長さに切断する。また、開口部10の周りの左右においては、水切り皿板70に設けられたエンドキャップ90の台座部95の水平部94とコーナー役物45との間の寸法を測定して、化粧部材15を必要な長さに切断する。つまり、斜め下方に傾斜して設置されている水切り皿板70に設けられた水平部94を基準にして、化粧部材15の必要な長さを測定する。
【0040】
その後、化粧部材15の固定板17の嵌入部24を、胴縁14に固定されている固定金具31の溝部35に嵌入する。このようにすると、化粧部材15の屈曲板部22の先端側部分(室内側の部分)が胴縁14と窓サッシ11との間に挿入されるとともに、化粧部材15のパッキン材27が窓サッシ11に押し当てられて密着する。この場合、屈曲板部22の先端側部分は、窓サッシ11の上枠11a側では胴縁14と上枠11aの上面との間に挿入され、左右の縦枠11c側では胴縁14と側方に突出する突出片11dとの間に挿入される。また、パッキン材27は、窓サッシ11の上枠11a側では上枠11aの上面に押し当てられ、左右の縦枠11c側では側方に突出する突出片11dに押し当てられる。
【0041】
その後、化粧部材15の固定板17のハットジョイナー23の先端側の平板部を、胴縁14の室外側の側面にスペーサー61を介在させてねじ62により固定する。これにより、化粧部材15は、胴縁14の室外側に外装材16の外側板部21が配置されるとともに、胴縁14の開口部側に屈曲板部22が配置されて、上部あるいは左右の胴縁14に取り付けられる。
【0042】
次いで、外壁板12を設置する。すなわち、開口部10の周囲の下部および上部にそれぞれ、開口部10の形状に沿った切欠部98、99が形成された外壁板12、12を設ける。具体的には、開口部10の周囲の下部の外壁板12を、水切り皿板70の下側および左右の化粧部材15の各ハットジョイナー23の先端側の平板部の外側に配置し、留め付け金具63および釘64により胴縁14等の下地材に固定する。その後、開口部10の周囲の上部の外壁板12を、上部および左右の化粧部材15の各ハットジョイナー23の先端側の平板部、ならびに左右の各コーナー役物45の各ハットジョイナー53の先端側の平板部の外側に配置し、留め付け金具63および釘64により胴縁14等の下地材に固定する。
【0043】
次いで、シーリング材65を打設する。すなわち、化粧部材15およびコーナー役物45と外壁板12との間の目地に、ならびに化粧部材15とコーナー役物45との間の目地にそれぞれ、シーリング材65を打設する。また、台座部95の外側の化粧部材15と水切り皿板70の上面との間、および水切り皿板70の下面と外壁板12との間に目地に、シーリング材65を打設する。
【0044】
この実施の形態にあっては、化粧部材15およびコーナー役物45がそれぞれ外装材16、46とこの外装材16、46の裏面に一体的に設けられた固定板17、47とを備えており、固定板17、47を胴縁14に固定手段としての固定金具31およびねじ62により固定するので、化粧部材15およびコーナー役物45の外装材16、46の表面に釘等の固定手段が露出せず、したがって開口部周りの意匠性を高めることができる。
【0045】
また、化粧部材15およびコーナー役物45が外装材16、46を開口部10の周りに固定するために、固定板17、47を胴縁14に固定する固定手段として、胴縁14の開口部10側の側面に固定された固定金具31の溝部35に固定板17、47の嵌入部24、54を嵌入するので、固定作業を容易に行うことができる。また、胴縁14の室内外方向の寸法が変わっても、外装材16、46の屈曲板部22、52の幅寸法(室内外方向の寸法)を変えることなく固定作業を行うことができ、したがって外装材16、46の屈曲板部22、52の幅寸法を調整するために、困難な幅方向の切断作業を行う必要がない。
【0046】
さらに、固定金具31がスペーサー部33を備えているので、予め固定金具31を胴縁14の開口部10側の側面にねじ60により固定しておき、この固定金具31の付いた胴縁14を、固定金具31の突き当て部34を窓サッシ11に突き当てた状態で釘等の固定具により躯体13に固定することにより、窓サッシ11と所定の間隔をおいて胴縁14を躯体10に取り付けることができ、ひいては窓サッシ11と所定の間隔をおいて化粧部材15およびコーナー役物45を取り付けることができる。このように、窓サッシ11に対する胴縁14の寸法出し、ひいては窓サッシ11に対する化粧部材15およびコーナー役物45の寸法出しを容易に行うことができ、したがって開口部周りの施工を簡便に行うことができる。なお、窓サッシ11と化粧部材15およびコーナー役物45の外装部16、46の屈曲板部22、52との間に正確に所定の間隔をおいて、化粧部材15およびコーナー役物45を設けることは、開口部周り構造において意匠性を高めるために重要である。
【0047】
さらには、固定金具31の突き当て部34を窓サッシ11に突き当てるので、引き違いサッシ場合のように障子の開閉による衝撃により窓サッシ11(上枠11a、突出片11d)が撓んで、他の部材(例えば、化粧部材15やコーナー役物45の屈曲板部22、52、あるいはその他の部材)に干渉するのを防止することができるため、窓サッシ11や他の部材が損傷するのを防止することができる。
【0048】
また、化粧部材15およびコーナー役物45の固定板17、47にハットジョイナー23、53を一体に形成したので、別体のハットジョイナーを別個に設置する場合に比べて、施工を簡略化することができる。さらに、コーナー役物45の固定板47に、目地ジョイナーとして機能する平面部47aを一体に形成したので、施工をより簡略化することができる。さらには、直線状の化粧部材15だけでなく、コーナー部にそのまま設置することができる平面視においてL字状のコーナー役物45を予め用意してあるので、現場においてコーナー部に合わせて化粧部材を切断加工する必要がないため、施工をより簡略化することができるとともに、コーナー部をすっきりと納めることができる。
【0049】
また、化粧部材15およびコーナー役物45の固定板17、47のパッキン材支持部25、55にパッキン材27、57を設け、このパッキン材27、57を窓サッシ11(上枠11a、突出片11d)に密着するようにしたので、手間のかかるシーリング材の打設作業を省略することができる。
さらに、窓サッシ11(上枠11a、突出片11d)、化粧部材15およびコーナー役物45の外装部16、46の屈曲板部22、52、パッキン材支持部25、55およびパッキン材27、57により形成される室外側に開口した溝部は、開口部10の周りに門形に形成されるので、この門形の溝部を雨水の排水経路として機能させることができる。雨水は左右の化粧部材により形成される溝部の下端から、水切り皿板70上に流下する。
【0050】
また、水切り皿板70の両端部にそれぞれエンドキャップ90を設けるので、水切り皿板70の両端部との接触による損傷を防止することができるとともに、水切り皿板70の両端部から躯体13内に水が浸入するのを防止することができる。また、水切り皿板70の両端部にエンドキャップ90を側方から嵌合することにより取り付けるので、エンドキャップ90の取付作業が容易である。さらに、エンドキャップ50に水平部94を設け、この水平部94を基準に左右の化粧部材15を設けているので、エンドキャップ90の水平部94を基準にして左右の化粧部材15の必要な長さを測定して、化粧部材15を切断し、この化粧部材15を設置することができるため、左右の化粧部材15の取付作業を正確にかつ簡単に行うことができる。
【0051】
なお、前述の実施の形態では、化粧部材15およびコーナー役物45が外装材16、46を開口部10の周りに固定するために、固定板17、47を胴縁14に固定する固定手段として、固定金具31を用いたが、これを用いずにねじ等の固定具などを用いて固定板17、47を胴縁14に固定するようにしてもよい。
【0052】
また、前述の実施の形態では、化粧部材15およびコーナー役物45の固定板17、47にハットジョイナー23、53を一体に形成したが、一体に形成せずに別体のハットジョイナー(目地ジョイナー)を用いてもよい。さらには、化粧部材15およびコーナー役物45と外壁板12との間の目地にシーリング材を打設する代わりに、乾式目地としてもよい。
【0053】
また、前述の実施の形態では、コーナー役物45の固定板47に、目地ジョイナーとして機能する平面部47aを一体に形成し、シーリング材を打設するようにしたが、目地ジョイナーとして機能する平面部47aを設けずに、コーナー役物45と化粧部材15との間に弾性材等からなるパッキンを介在させるようにして、乾式化するようにしてもよい。
【0054】
さらに、前述の実施の形態では、化粧部材15およびコーナー役物(化粧部材)45を建物の開口部10周りに用いたが、化粧部材15およびコーナー役物45を同一壁面で壁厚さを変えた場合の見切り部材としても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態に係る開口部周り構造を示す図であって、正面図である。
【図2】同、縦断面図である。
【図3】同、部分横断面図である。
【図4】同、化粧部材の斜視図である。
【図5】同、化粧部材の横断面図である。
【図6】同、コーナー役物の斜視図である。
【図7】同、固定金具の斜視図である。
【図8】同、固定金具を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図9】同、水切り皿板の斜視図である。
【図10】同、エンドキャップの斜視図であり、(a)は左側用のエンドキャップ、(b)は右側用のエンドキャップである。
【図11】従来の開口部周り構造を示す部分横断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 開口部
12 外壁板
13 躯体
14 胴縁(下地材)
15 化粧部材
16、46 外装材
17、47 固定板
21、51 外側板部
22、52 屈曲板部
31 固定金具(固定手段)
35 溝部
45 コーナー部材(化粧部材)
62 ねじ(固定具;固定手段)
70 水切り皿板
90 エンドキャップ
94 水平部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部の周りに化粧部材が設けられている開口部周り構造であって、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材が設けられ、この下地材に、室外側から前記化粧部材が設けられており、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記化粧部材は、前記外装材の前記外側板部が前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されている、
ことを特徴とする開口部周り構造。
【請求項2】
前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板が嵌入されるとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板が固定具により固定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の開口部周り構造。
【請求項3】
前記開口部の周りの下部には、水切り皿板が室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設けられており、この水切り皿板の両端部にはそれぞれ、エンドキャップが側方から嵌合されており、このエンドキャップには、水平部が設けられており、この水平部を基準に前記化粧部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開口部周り構造。
【請求項4】
建物の開口部の周りに化粧部材を設ける開口部周り施工方法であって、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材を設け、
前記外装材の前記外側板部を前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置するとともに、前記屈曲板部を前記下地材の前記開口部側に配置して、前記固定板を前記下地材に固定手段により固定することにより、前記下地材に、室外側から前記化粧部材を設ける、
ことを特徴とする開口部周り施工方法。
【請求項5】
前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板を嵌入するとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板を固定具により固定するものであることを特徴とする請求項4に記載の開口部周り施工方法。
【請求項6】
予め、水切り皿板の両端部にそれぞれ、水平部が設けられているエンドキャップを側方から嵌合しておき、このエンドキャップが装着された水切り皿板を、前記開口部の周りの下部に、室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設け、前記エンドキャップの前記水平部を基準に前記化粧部材を設けることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の開口部周り施工方法。
【請求項7】
建物の開口部の周りに設けられる開口部周り化粧部材であって、
外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記外装材の前記外側板部が、前記建物の躯体の室外側に前記開口部の周りに沿って設けられた下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が、前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されることを特徴とする開口部周り化粧部材。
【請求項1】
建物の開口部の周りに化粧部材が設けられている開口部周り構造であって、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材が設けられ、この下地材に、室外側から前記化粧部材が設けられており、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記化粧部材は、前記外装材の前記外側板部が前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されている、
ことを特徴とする開口部周り構造。
【請求項2】
前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板が嵌入されるとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板が固定具により固定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の開口部周り構造。
【請求項3】
前記開口部の周りの下部には、水切り皿板が室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設けられており、この水切り皿板の両端部にはそれぞれ、エンドキャップが側方から嵌合されており、このエンドキャップには、水平部が設けられており、この水平部を基準に前記化粧部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開口部周り構造。
【請求項4】
建物の開口部の周りに化粧部材を設ける開口部周り施工方法であって、
前記化粧部材は、外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記建物の躯体の室外側に、前記開口部の周りに沿って下地材を設け、
前記外装材の前記外側板部を前記下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置するとともに、前記屈曲板部を前記下地材の前記開口部側に配置して、前記固定板を前記下地材に固定手段により固定することにより、前記下地材に、室外側から前記化粧部材を設ける、
ことを特徴とする開口部周り施工方法。
【請求項5】
前記固定手段は、前記下地材の前記開口部側面に固定された固定金具の溝部に前記固定板を嵌入するとともに、前記下地材の室外側面に前記固定板を固定具により固定するものであることを特徴とする請求項4に記載の開口部周り施工方法。
【請求項6】
予め、水切り皿板の両端部にそれぞれ、水平部が設けられているエンドキャップを側方から嵌合しておき、このエンドキャップが装着された水切り皿板を、前記開口部の周りの下部に、室外側に向かうにつれて下側に向かうように傾斜して設け、前記エンドキャップの前記水平部を基準に前記化粧部材を設けることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の開口部周り施工方法。
【請求項7】
建物の開口部の周りに設けられる開口部周り化粧部材であって、
外装材と、この外装材の裏面に一体的に設けられ、該外装材を前記開口部の周りに固定するための固定板とを備え、前記外装材は、横断面形状がほぼL字状に形成され、外側板部とこの外側板部の一端部から屈曲された屈曲板部とを備えており、
前記外装材の前記外側板部が、前記建物の躯体の室外側に前記開口部の周りに沿って設けられた下地材の室外側でかつ周囲に配置された外壁板と隣接して配置されるとともに、前記屈曲板部が、前記下地材の前記開口部側に配置され、前記固定板が前記下地材に固定手段により固定されることを特徴とする開口部周り化粧部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−63752(P2008−63752A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240386(P2006−240386)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(305003542)旭トステム外装株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(305003542)旭トステム外装株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
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