説明

開閉部の開閉機構、画像形成装置

【課題】第2開閉部が必要以上に開くことで生じる弊害を防止する。
【解決手段】第2開閉部51のみを開放した状態から、第1開閉部50を開放した場合に、ガイド部70が第2アーム部材66の長溝66Aの終端部に当接して、装置本体12に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)が規制されるように構成する。
これにより、第1開閉部50及び、第2開閉部51を同時に開放した場合でも、第2開閉部51が装置本体12に対して所定角度以上開かない。このため、第2開閉部51が装置の周辺にあるものや装置本体12に衝突せず、第2開閉部が必要以上に開くことで生じる弊害を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部の開閉機構及びその開閉機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉カバーを装置本体に回動可能に設け、プリンタ本体の内部を開放できるようにした画像形成装置が知られている。このような画像形成装置では、さらに、開閉カバーに回動可能に支持された開閉部としての手差しトレイを備えたものがある(特許文献1参照)。
この構成によれば、手差しトレイを開放させることにより、手差しトレイから給紙が可能となる。
【特許文献1】特許3313554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような手差しトレイは、例えば、一端部が手差しトレイに連結され、他端部が開閉カバーに連結されたアーム部材により、開閉カバーに対する手差しトレイの開放角度が規制される。
【0004】
しかしながら、開閉カバーと共に手差しトレイを開放すると、アーム部材が手差しトレイと開閉カバーとの間で連結されているため、手差しトレイは、装置本体に対して、必要以上に開いた状態となり、手差しトレイが、装置本体及び装置の周辺にあるものに衝突してしまう。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、開閉部が必要以上に開くことで生じる弊害を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る開閉部の開閉機構は、装置本体に回動可能に支持された回動部材と、前記装置本体に回動可能に支持され、前記回動部材に対して開閉可能な開閉部と、一端部が前記回動部材に連結されると共に、他端部が前記開閉部に連結され、前記回動部材に対する前記開閉部の開放角度を規制する第1アーム部材と、一端部が前記装置本体に連結されると共に、他端部が前記開閉部に連結され、前記回動部材を回動可能とすると共に前記開閉部を開放した場合において前記装置本体に対する前記開閉部の回動角度を規制する第2アーム部材と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、一端部が回動部材に連結されると共に、他端部が開閉部に連結された第1アーム部材が、回動部に対する開閉部の開放角度を規制する。これにより、回動部を装置本体に対して回動させていない状態においては、開閉部が装置本体に対して、所定角度以上開かない。
【0008】
回動部材を回動すると共に開閉部を開放した場合においては、第2アーム部材が、装置本体に対する開閉部の回動角度を規制する。
【0009】
従って、回動部を回動させる、回動させないにかかわらず、開閉部が装置本体に対して所定角度以上開かず、開閉部が必要以上に開くことで生じる弊害を防止できる。
【0010】
本発明の請求項2に係る開閉部の開閉機構は、請求項1の構成において、前記第1アーム部材が規制する開放角度は、前記第2アーム部材が規制する回動角度よりも小さいことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、通常時において、すなわち、回動部が装置本体に対して回動していない状態において、開閉部を開放した場合は、第1アーム部材が開閉部の荷重を受け、第2アーム部材は、開閉部の荷重を受けないので、第2アーム部材に第1アーム部材よりも強度が弱いものを用いた場合でも、第2アーム部材が破損しにくい。
【0012】
本発明の請求項3に係る開閉部の開閉機構は、請求項1又は請求項2の構成において、一端部が前記回動部材に連結されると共に、他端部が前記装置本体に連結され、前記回動部材の回動角度を規制する第3アーム部材を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、一端部が回動部材に連結されると共に、他端部が装置本体に連結された第3アーム部材が、回動部材の回動角度を規制する。これにより、回動部が装置本体に対して所定角度以上開かず、回動部が必要以上に開くことで生じる弊害を防止できる。
【0014】
本発明の請求項4に係る開閉部の開閉機構は、請求項3の構成において、前記第3アーム部材が規制する回動角度は、前記第2アーム部材が規制する回動角度よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、開閉部が回動部に対して閉止された状態において、回動部が装置本体に対して回動した場合には、第3アーム部材が開閉部の荷重を受け、第2アーム部材は、開閉部の荷重を受けないので、第2アーム部材に第1アーム部材よりも強度が弱いものを用いた場合でも、第2アーム部材が破損しにくい。
【0016】
本発明に係る回動部材は、請求項5に記載のように、前記装置本体を開放可能な本体開閉部とすることができる。
【0017】
本発明の請求項6に係る開閉部の開閉機構は、請求項1〜5のいずれか1項の構成において、前記第2アーム部材は、前記第1アーム部材よりも小さくされていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第2アーム部材は、第1アーム部材よりも小さくされているので、第2アーム部材を取り付けるスペースが小さくてすみ、装置の省スペース化が図れる。
【0019】
本発明の請求項7に係る開閉部の開閉機構は、請求項1〜6のいずれか1項の構成において、前記第2アーム部材が前記開閉部に連結される連結位置は、前記第1アーム部材が前記開閉部に連結される連結位置より、前記開閉部のヒンジ部側に近いことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、第2アーム部材が開閉部に連結される連結位置は、第1アーム部材が開閉部に連結される連結位置より、開閉部のヒンジ部側に近いので、第2アーム部材を取り付けるスペースが小さくてすみ、装置の省スペース化が図れる。
【0021】
本発明の請求項8に係る開閉部の開閉機構は、請求項1〜7のいずれか1項の構成において、前記第2アーム部材が前記装置本体に連結される連結位置は、前記第1アーム部材が前記回動部材に連結される連結位置より、前記開閉部のヒンジ部側に近いことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、第2アーム部材が装置本体に連結される連結位置は、第1アーム部材が回動部材に連結される連結位置より、開閉部のヒンジ部側に近いので、第2アーム部材を取り付けるスペースが小さくてすみ、装置の省スペース化が図れる。
【0023】
本発明の請求項9に係る開閉部の開閉機構は、請求項1〜8のいずれか1項の構成において、前記第2アーム部材は、前記回動部材の外側に配置されていることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、第2アーム部材は、回動部材の外側に配置されているので、回動部材と干渉しない。
【0025】
本発明の請求項10に係る開閉部の開閉機構は、請求項1〜9のいずれか1項の構成において、前記第2アーム部材は、前記第1アーム部材の外側に配置されていることを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、第2アーム部材は、第1アーム部材の外側に配置されているので、第1アーム部材と干渉しない。
【0027】
本発明に係る開閉部の内側には、請求項11に記載のように、装置本体へ用紙を給紙する手差しトレイを設けてもよい。
【0028】
本発明に係る開閉部の内側には、請求項12に記載のように、装置本体から排紙される用紙を受ける排紙トレイを設けてもよい。
【0029】
請求項13に記載のように、本発明に係る第2アーム部材に、長手方向に沿って長溝が形成すると共に、本発明に係る装置本体に、長溝に係合してガイドするガイド部を設け、ガイド部が長溝の終端部に当接して、開閉部の開放角度を規制するように構成してもよい。
【0030】
本発明の請求項14に係る画像形成装置は、請求項1〜13のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上記構成としたので、開閉部が必要以上に開くことで生じる弊害を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の開閉部の開閉機構及びその開閉機構を備える画像形成装置に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0033】
まず、本実施形態に係る画像形成装置10の全体構成について、図1に基づき説明する。本実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、装置本体12を備え、装置本体12の下部には、用紙(記録媒体)Pが束状に積層されて収納される給紙トレイ14が配置されている。
【0034】
この給紙トレイ14の先端側(図1において右端側)の直上には、用紙Pの上面の先端側に圧接して給紙トレイ14から用紙Pを送り出すフィードロール16が配置されている。
【0035】
また、装置本体12には、給紙トレイ14の先端部から延出して、緩やかに湾曲し、装置前方側(図1において右側)で上方へ向かって略垂直に延びる第1搬送路22が形成されている。
【0036】
この第1搬送路22に沿って、用紙搬送方向の上流側から順に、用紙Pを挟持搬送する複数(例えば、2つ)の搬送ロール対24、画像が形成される用紙Pを静電吸着して搬送する無端状の搬送ベルト26が配置されている。
【0037】
搬送ベルト26は、上方に配置された張架ローラ27と、下方に配置された張架ローラ29に張架されており、張架ローラ27及び張架ローラ29のいずれかが、所定方向(図1において、時計回り方向)へ回転駆動することにより、搬送ベルト26が所定方向(図1において、時計回り方向)へ回転(循環駆動)する。
【0038】
この搬送ベルト26の用紙搬送方向上流側には、搬送ベルト26の表面上を帯電させると共に、搬送ベルト26へ静電吸着される用紙Pを搬送ベルト26へ押し当てる帯電ロール31が搬送ベルト26に隣接して設けられている。
【0039】
また、第1搬送路22を間に挟んで、搬送ベルト26に対向する横方向には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した複数のプロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kが、第1搬送路22に沿って、装置本体12に略垂直方向へ縦列配置されている。
【0040】
各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kには、それぞれ、所定方向(図1において反時計回り方向)へ回転する感光体ドラム30が設けられている。
【0041】
感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、それぞれ、感光体ドラム30上を帯電させる帯電ローラ32と、帯電した感光体ドラム30を露光して感光体ドラム30上に潜像を形成する露光装置34と、感光体ドラム30上に形成された潜像へ各色のトナーを付着させて現像する現像ローラ36と、が設けられている。
【0042】
この帯電ローラ32及び現像ローラ36は、各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kに、それぞれ、設けられている。
【0043】
このプロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kは、図4に示すように、横方向へ着脱可能とされ、各プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kには、幅方向両端部に、着脱の際に把持する把手58が設けられている。なお、図1では、把手58を省略して図示している。
【0044】
感光体ドラム30に対向する横方向には、図1に示すように、搬送ベルト26の内周側に、それぞれ、感光体ドラム30上に形成されたトナー画像を用紙Pへ所定の転写位置で転写する転写装置38が設けられている。
【0045】
搬送ベルト26より用紙搬送方向下流側には、転写されたトナー画像を用紙Pへ定着させる定着装置40、用紙Pを挟持搬送する搬送ロール対42、用紙Pを排出トレイ20へ排出する排出ロール対44が、この順で配置されている。
【0046】
また、片面に画像が形成された用紙Pを反転させて、再び第1搬送路22へ送り戻すための第2搬送路46が、搬送ベルト26を挟んで第1搬送路22に対向して形成されている。
【0047】
この第2搬送路46には、用紙Pを下方へ挟持搬送する複数(例えば、3つ)の搬送ロール対48が配置されており、両面に画像を形成する際には、片面に画像が形成された用紙Pは、排出ロール対44によりスイッチバックされて第2搬送路46に導かれ、複数の搬送ロール対48によって下方へ搬送され、第1搬送路22へ送り戻される。
【0048】
また、第2搬送路46に接続された第3搬送路47が形成されている。この第3搬送路47には、一対の給紙ロール49が設けられており、この給紙ロール49が、後述の手差しトレイ74に積載される用紙Pを、第2搬送路46へ送る。
【0049】
次に、本実施形態に係る画像形成装置における、画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0050】
本実施形態に係る画像形成装置において、用紙Pへ画像を形成する場合は、まず給紙トレイ14から取り出された用紙Pが、複数の搬送ロール対24によって搬送路22を上方へ搬送され、搬送ベルト26へ送り込まれる。搬送ベルト26へ送り込まれた用紙Pは、帯電ロール31によって搬送ベルト26へ押し当てられると共に、帯電する搬送ベルト26に静電吸着されて、上方へ搬送され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応した所定の転写位置へ順次送り込まれる。
【0051】
所定の転写位置へ送り込まれた用紙Pは、感光体ドラム30上に形成された各色のトナー画像が転写装置38によって転写され、フルカラー画像が形成される。さらに定着装置40へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置40により定着される。
【0052】
後述の手差しトレイ74に積載される用紙Pは、給紙ロール49により、第2搬送路46を経由して、搬送ベルト26に送り込まれ、上記と同様に、フルカラー画像が形成される。
【0053】
用紙Pの片面へのみ画像を形成する場合は、トナー画像が定着された後、用紙Pは排出ロール対44により排出トレイ20へ排出される。
【0054】
用紙Pの両面へ画像を形成する場合には、片面に画像が形成された後、用紙Pは、排出ロール対44でスイッチバックされ、反転して第2搬送路46へ送り込まれる。さらに、第2搬送路46から再び第1搬送路22へ送り込まれ、画像が記録されていない反対面に、上記と同様に画像が形成され、用紙Pの両面へ画像が形成される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0055】
次に、装置本体に回動可能に支持された回動部材としての第1開閉部(本体開閉部)と、第1開閉部を開閉可能に装置本体に支持された第2開閉部と、その第1開閉部及び第2開閉部の開閉機構について説明する。
【0056】
装置本体12は、図6に示すように、樹脂で形成された本体フレーム60と、本体フレーム60の側面に設けられた外装部材69を備えている。本体フレーム60には、装置本体12(本体フレーム60)から突出するヒンジ部62が設けられている。このヒンジ部62には、装置本体12に対し開閉可能にされた第1開閉部50が、取り付けられている。第1開閉部50は、ヒンジ部62に設けられた支軸63に回動可能に支持され、第1開閉部50が開放される開位置と、第1開閉部50が閉止される閉位置と、の間を回動可能とされている。
【0057】
また、ヒンジ部62には、図2に示すように、第1開閉部に対し開閉可能にされた第2開閉部51が、取り付けられている。第2開閉部51は、支軸63に回動可能に支持され、第1開閉部50と同軸上に支持されている。第2開閉部51は、第1開閉部50に重なって第1開閉部50の外面を覆う閉位置と、第1開閉部50から離間する開位置と、の間を回動可能とされている。
【0058】
また、第2開閉部51は、第1開閉部50に係止されるロック状態と、第1開閉部50に係止されないロック解除状態と、切り替え可能となっている。
【0059】
これにより、第2開閉部51は、ロック解除状態で、かつ、第1開閉部50が装置本体12に閉止された状態において、装置本体12側から装置外側へ(図2、図3においてA方向へ)回動して、開位置へ傾倒することにより、第1開閉部50の外面を開放すると共に、装置本体12に設けられた給紙口72を開放する(図2、図3参照)。
【0060】
第2開閉部51の内側には、装置本体12へ用紙Pを給紙する手差しトレイ74が設けられており、第1開閉部50が装置本体12に閉止されると共に、第2開閉部51を開放した状態において、手差しトレイ74からの給紙が可能となる。なお、図2においては、手差しトレイ74を省略して図示している。
【0061】
また、第2開閉部51は、第1開閉部50を開放した状態から、装置本体12側へ(図2、図3においてB方向へ)回動して、閉位置へ縦立することにより、第1開閉部50を閉鎖すると共に、装置本体12に設けられた給紙口72を閉鎖する(図4参照)。
【0062】
一方、第1開閉部50は、第2開閉部51が係止されるロック状態において、第2開閉部51と一体に、装置本体12側から装置外側へ(図5、図6においてC方向へ)回動して、開位置へ傾倒することにより、装置本体12の内部を開放する(図5、図6参照)。また、第1開閉部50は、装置内部を開放した状態から、第2開閉部51と一体に、装置本体12側へ(図5、図6においてD方向へ)回動して、閉位置へ縦立することにより、装置内部を閉鎖する(図4参照)。
【0063】
装置本体12の内部が開放されることより、図5に示すように、プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kを着脱して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kが交換できる。また、第1搬送路22が開放され、第1搬送路22で生じたジャム(紙詰まり)を解消できる。
【0064】
なお、図6は、プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28K及び搬送ベルト26を省略して図示している。
【0065】
第1開閉部50には、図5に示すように、搬送ベルト26を備えた搬送ベルトユニット52が、支軸53によって回動可能に取り付けられている。
【0066】
搬送ベルトユニット52には、搬送ロール対48の一方、転写装置38及び帯電ロール31が設けられている。この搬送ロール対48の一方及び搬送ベルト26を張架する張架ローラ27、29は、その軸方向両端部に設けられた搬送ベルトユニット52の一対の側板67に軸支されている。
【0067】
この搬送ベルトユニット52は、支軸53を中心に装置本体12側へ回動することにより、第2搬送路46を開放する。これにより、第2搬送路46で生じたジャム(紙詰まり)を解消できる。
【0068】
ここで、第1開閉部50の開放角度(回動角度)を規制する構成及び第2開閉部51の開放角度(回動角度)を規制する構成について説明する。
【0069】
第1開閉部50及び第2開閉部51の開閉機構11は、図7〜図10に示すように、第1開閉部50と第2開閉部51との間に設けられた一対の第1アーム部材64と、装置本体12と第2開閉部51との間に設けられた一対の第2アーム部材66と、第1開閉部50と装置本体12との間に設けられた一対の第3アーム部材68と、を備えている。
【0070】
なお、図7〜図10においては、一対の第1アーム部材64、一対の第2アーム部材66及び一対の第3アーム部材68のうち、一方の第1アーム部材64、一方の第2アーム部材66及び一方の第3アーム部材68を、それぞれ図示している。また、図7〜図10は、外装部材69を取り外して図示している。
【0071】
一対の第1アーム部材64は、図7に示すように、その長手方向一端部が、第1開閉部50の左右の外側面に、それぞれ、回動可能に連結されている。一対の第1アーム部材64の長手方向他端部は、第2開閉部51に、それぞれ、連結されている。
【0072】
第2開閉部51の内側には、長孔65が形成された側板(図示省略)が設けられ、第2開閉部51に連結された第1アーム部材64の連結部に設けられた係合軸64Aが、その長孔65を移動可能とされている。
【0073】
第2開閉部51が、第1開閉部50に閉止される際は、第1開閉部50に連結された第1アーム部材64の連結部が回動すると共に、第1アーム部材64の係合軸64Aが長孔65に沿って移動して、第1アーム部材64が第2開閉部51に収納される(図8参照)。
【0074】
第2開閉部51が開放される際は、第1アーム部材64の係合軸64Aが、長孔65の終端に当接して、第1開閉部50に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)が規制される(図7参照)。規制される開放角度(回動角度)θ1は、例えば、60度とされる。
【0075】
また、一対の第3アーム部材68は、図7、図8に示すように、その長手方向一端部が、第1開閉部50の左右の内側面に、それぞれ、回動可能に連結されている。第3アーム部材68の長手方向他端部は、本体フレーム60と外装部材69との間に挿入されている。
【0076】
第3アーム部材68の側面であって、本体フレーム60に対向する側の側面には、第3アーム部材68の長手方向に沿ってガイド溝71が形成され、本体フレーム60に設けられた突起部73が、このガイド溝71に係合して、第3アーム部材68の長手方向他端部側を移動可能に支持する。
【0077】
第3アーム部材68の上部には、第3アーム部材68の長手方向に沿って、図7〜10に示すように、ラック72が設けられている。本体フレーム60には、アーム部材64の上方位置に、第1開閉部50の開放時に、ラック72と噛合して回転するピニオン74が設けられている。
【0078】
このピニオン74の回転軸は、オイルダンパ(図示省略)に取り付けられており、ピニオン74の回転は、オイルダンパの作用により制動される。これにより、第1開閉部50の開放速度が緩やかになり、第1開閉部50が急激に開放されることで生じる第1開閉部50や装置本体12への衝撃を和らげる。なお、ピニオン74は、カバー体76より覆われている。
【0079】
第1開閉部50が装置本体12に閉止される際は、第3アーム部材68の長手方向他端部が移動して、第3アーム部材68は、本体フレーム60と外装部材69との間に収納される(図8参照)。第1開閉部50が、開放される際は、本体フレーム60に設けられた突起部73が、第3アーム部材68に係止されたガイド溝71の終端部に当接して、装置本体12に対する第1開閉部50の開放角度(回動角度)が規制される。規制される開放角度(回動角度)θ3は、例えば、80度とされ、第1アーム部材64が規制する開放角度(回動角度)θ1より大きくなっている。
【0080】
第2開閉部51が第1開閉部50に係止されるロック状態においては、第2開閉部51も第1開閉部50と一体に回動し、装置本体に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)も、θ3に規制される。
【0081】
また、一対の第2アーム部材66は、その長手方向一端部が第2開閉部51の左右の内側面に、それぞれ、回動可能に連結されている。第2アーム部材66が第2開閉部51に連結される連結位置は、第1アーム部材64が第2開閉部51に連結される連結位置より、第2開閉部51のヒンジ部側に近くなっている。
【0082】
一対の第2アーム部材66の長手方向他端部は、本体フレーム60に、それぞれ、連結されている。第2アーム部材66が本体フレーム60に連結される連結位置は、第1アーム部材64が第1開閉部50に連結される連結位置より、第2開閉部51のヒンジ部側に近くなっている。
【0083】
第2アーム部材66には、その長手方向に沿って長溝66Aが形成され、本体フレーム60には、長溝66Aに係合して、第2アーム部材66をガイドするガイド部70が設けられており、第2アーム部材66の他端部側は、移動可能とされている。
【0084】
また、第2アーム部材66は、図7に示すように、第1アーム部材64及び第3アーム部材68よりも小さく、細くされており、また、第1アーム部材64及び第3アーム部材68よりも強度が弱くされている。
【0085】
さらに、第2アーム部材66は、第1開閉部50の側面の外側に配置されると共に、第2開閉部51の回動軸方向において、第1アーム部材64の外側に配置されている。
【0086】
第2開閉部51が、第1開閉部50に閉止されると共に、第1開閉部50が装置本体12に閉止される際は、第2アーム部材66の長手方向他端部が、ガイド部70にガイドされて移動し、本体フレーム60と外装部材69との間に収納される(図8参照)。
【0087】
第1開閉部50が装置本体12に閉止されると共に、第2開閉部51が開放された際には、第2アーム部材66の長手方向他端部が、ガイド部70にガイドされて移動するが、ガイド部70は、長溝66Aの中間部に位置し、装置本体12に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)は規制されない(図7参照)。
【0088】
第2開閉部51が第1開閉部50に係止されてロック状態にある場合に、第1開閉部50が開放された際も、同様に、ガイド部70は、長溝66Aの中間部に位置し、装置本体12に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)は規制されない(図9参照)。
【0089】
第1開閉部50及び第2開閉部51が開放された際、具体的には、第2開閉部51が開放された後に、第2開閉部51が開放された状態で第1開閉部50が開放された際は、ガイド部70が長溝66Aの終端部に当接して、装置本体に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)が規制される。規制される開放角度(回動角度)θ2は、例えば、85度とされ、第1アーム部材64が規制する開放角度(回動角度)θ1及び第3アーム部材68が規制する開放角度(回動角度)θ3より大きくなっている。(図10参照)。
【0090】
次に、上記の実施形態について作用を説明する。
【0091】
本実施形態の構成によれば、第2開閉部51のロック解除状態で、かつ、第1開閉部50が装置本体12に閉止された状態において、第2開閉部51を装置本体12側から装置外側へ(図2、図3においてA方向へ)回動して、開位置へ傾倒することにより、第1開閉部50の外面を開放すると共に、装置本体12に設けられた給紙口72を開放する(図2、図3参照)。
【0092】
これにより、第2開閉部51の内側に設けられた手差しトレイ74からの給紙が可能となる。
【0093】
このとき、第1アーム部材64の係合軸64Aが、長孔65の終端に当接して、第1開閉部50に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)が規制される(図7参照)。
【0094】
なお、第3アーム部材68は、本体フレーム60と外装部材69との間に収納されている。また、本体フレーム60のガイド部70が、第2アーム部材66の長溝66Aの中間部に位置し、第2アーム部材66は作用しない。
【0095】
第2開閉部51を開放した状態から装置本体12の内部を開放する場合には、第2開閉部51を、一旦、第1開閉部50に閉止して、第2開閉部51が第1開閉部50に係止されるロック状態にする。
【0096】
そして、第2開閉部51が係止されるロック状態において、第2開閉部51と一体に、第1開閉部50を装置本体12側から装置外側へ(図5、図6においてC方向へ)回動して、開位置へ傾倒することにより、装置本体12の内部を開放する(図5、図6参照)。
【0097】
これにより、図5に示すように、プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kを着脱して、プロセスカートリッジ28Y、28M、28C、28Kが交換できる。また、第1搬送路22が開放され、第1搬送路22で生じたジャム(紙詰まり)を解消できる。
【0098】
このとき、本体フレーム60に設けられた突起部73が、第3アーム部材68に係止されたガイド溝71の終端部に当接して、装置本体12に対する第1開閉部50の開放角度(回動角度)が規制される(図9参照)。
【0099】
なお、第1アーム部材64の係合軸64Aが長孔65に沿って移動して、第1アーム部材64は第2開閉部51に収納される。また、本体フレーム60のガイド部70が、第2アーム部材66の長溝66Aの中間部に位置し、第2アーム部材66は作用しない。
【0100】
第2開閉部51のみを開放した状態から、誤って、第1開閉部50を開放した場合は、第1開閉部50と第2開閉部51との角度は変わらず、装置本体12に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)が大きくなるが、ガイド部70が第2アーム部材66の長溝66Aの終端部に当接して、装置本体12に対する第2開閉部51の開放角度(回動角度)が規制される。
【0101】
これにより、第1開閉部50及び第2開閉部51を同時に開放しても、第2開閉部51が装置本体12に対して所定角度以上開かない。このため、第2開閉部51が装置の周辺にあるものに衝突せず、また、第2開閉部51の下端部が、装置本体12のヒンジ部62などに衝突せず、第2開閉部51の破損及び装置本体のヒンジ部62などの破損を防止できる。
【0102】
なお、第2開閉部51の下端部に切欠を設けて、装置本体12のヒンジ部62などから第2開閉部51が逃げて衝突を防ぐ構成も考えられるが、第2開閉部51の下端部に切欠を設けると見栄えが悪くなる。
【0103】
また、第1開閉部50が装置本体12に閉止された状態において、第2開閉部51が開放される場合及び、第2開閉部51が第1開閉部50に係止されたロック状態において、第1開閉部50が開放された場合は、第2アーム部材66には、第1開閉部50及び第2開閉部51の荷重がかからないので、第2アーム部材66は強度が弱いものでもよく、第2アーム部材66を形成する材料の自由度が高い。また、第2アーム部材66は小さくてもよく、第2アーム部材66のヒンジ部62に近い側の近くに配置できるので、第2アーム部材66の取り付けスペースを小さくでき、装置の省スペース化が図れる。
【0104】
また、第2アーム部材66を、第1開閉部50及び第1アーム部材64の外側に配置することにより、第1開閉部50及び第1アーム部材64と干渉せず、第2アーム部材66が邪魔にならない。
【0105】
なお、上記実施形態では、第2開閉部51には、手差しトレイが設けられていたが、これに限られず、例えば、装置本体12から排紙される用紙Pを受ける排紙トレイを設ける構成であってもよい。
【0106】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変形、変更、改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る画像形成装置において、第2開閉部のみを開放した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る画像形成装置において、第2開閉部のみを開放した状態を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る画像形成装置において、第1開閉部及び第2開閉部を閉止した状態を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る第2開閉部が第1開閉部に係止されるロック状態にある場合において、第1開閉部を第2開閉部と一体に開放した状態を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る第2開閉部が第1開閉部に係止されるロック状態にある場合において、第1開閉部を第2開閉部と一体に開放した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、本実施形態に係る第2開閉部のみを開放した状態における各アーム部材の状態を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態に係る第1開閉部及び第2開閉部を閉止した状態における各アーム部材の状態を示す図である。
【図9】図9は、本実施形態に係る第2開閉部が第1開閉部に係止されるロック状態にある場合において、第1開閉部を第2開閉部と一体に開放した状態における各アーム部材の状態を示す図である。
【図10】図10は、本実施形態に係る第2開閉部が第1開閉部に係止されていないロック解除状態にある場合において、第1開閉部及び第2開閉部を開放した状態における各アーム部材の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0108】
10 画像形成装置
11 開閉機構
12 装置本体
50 第1開閉部(回動部材、本体開閉部)
51 第2開閉部(開閉部)
64 第1アーム部材
66 第2アーム部材
66A 長溝
68 第3アーム部材
70 ガイド部
74 手差しトレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に回動可能に支持された回動部材と、
前記装置本体に回動可能に支持され、前記回動部材に対して開閉可能な開閉部と、
一端部が前記回動部材に連結されると共に、他端部が前記開閉部に連結され、前記回動部材に対する前記開閉部の開放角度を規制する第1アーム部材と、
一端部が前記装置本体に連結されると共に、他端部が前記開閉部に連結され、前記回動部材を回動可能とすると共に前記開閉部を開放した場合において前記装置本体に対する前記開閉部の回動角度を規制する第2アーム部材と、
を備えたことを特徴とする開閉部の開閉機構。
【請求項2】
前記第1アーム部材が規制する開放角度は、前記第2アーム部材が規制する回動角度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項3】
一端部が前記回動部材に連結されると共に、他端部が前記装置本体に連結され、前記回動部材の回動角度を規制する第3アーム部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項4】
前記第3アーム部材が規制する回動角度は、前記第2アーム部材が規制する回動角度よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項5】
前記回動部材は、前記装置本体を開放可能な本体開閉部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項6】
前記第2アーム部材は、前記第1アーム部材よりも小さくされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項7】
前記第2アーム部材が前記開閉部に連結される連結位置は、前記第1アーム部材が前記開閉部に連結される連結位置より、前記開閉部のヒンジ部側に近いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項8】
前記第2アーム部材が前記装置本体に連結される連結位置は、前記第1アーム部材が前記回動部材に連結される連結位置より、前記開閉部のヒンジ部側に近いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項9】
前記第2アーム部材は、前記回動部材の外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項10】
前記第2アーム部材は、前記第1アーム部材の外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項11】
前記開閉部の内側には、前記装置本体へ用紙を給紙する手差しトレイが設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項12】
前記開閉部の内側には、前記装置本体から排紙される用紙を受ける排紙トレイが設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項13】
前記第2アーム部材には、長手方向に沿って長溝が形成され、前記装置本体には、前記長溝に係合してガイドするガイド部が設けられ、前記ガイド部が前記長溝の終端部に当接して、前記開閉部の開放角度を規制することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の開閉部の開閉機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−298710(P2007−298710A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126170(P2006−126170)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】