説明

関節の表面を彫成する装置

【課題】本発明は、最少侵襲的な手術処置を用いて個々の患者の関節運動特性を回復する方法およびデバイスを提供する。
【解決手段】本発明の機器装備は、所定様式で第2骨に対して通常的に関節結合する第1骨の関節結合表面を彫成する。上記機器装備は、骨彫成ツールと、該ツールを上記第2骨に取付ける取付部材とを含む。上記インプラント・システムは、関節の制約に対する術中の外科的選択肢を提供するインプラントであって個々の患者の解剖学的構造により定義される運動特性を回復すべく関節の適切な整列および配向を促進するインプラントを備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
足首関節(ankle)、膝関節(knee)、股関節(hip)または肩関節(shoulder)などの関節(joint)は概略的に、相互に対する関係を維持する比較的に堅固な2個以上の骨性構造(bony structure)から成る。各骨性構造間に張り亙る柔軟組織構造は各骨性構造を一体的に保持すると共に、一方の骨性構造に対する他方の骨性構造の動作の規定を助力する。たとえば膝関節において、夫々の骨性構造は脛骨(けいこつ)および大腿骨である。靱帯、腱、半月板および包などの柔軟組織は、脛骨および大腿骨に対する支持を提供する。関節結合軟骨組織(articular cartilage)から成る円滑で弾性的な表面は、各骨性構造を覆う。骨性構造の関節結合表面は柔軟組織構造と協力して作用し、各構造間の動作の包絡面(envelop)を画成するメカニズムを形成する。典型的な動作の包絡面内において、各骨性構造は相互に関して所定パターンで運動する。完全に関節運動されたとき、その動作は各骨性構造間の動作の全体的包絡面を画成する。膝関節において、関節に張り亙る柔軟組織構造は横方向平面において膝関節を安定化する傾向がある。この横方向の安定性により、各骨性構造は整然とした様式で相互上で摺動かつ回転し得る。
【0002】
関節結合表面は、該表面を損傷させる種々の疾患、偶発的状況などに晒される。関節の一般的な障害は、変性関節炎(degenerative arthritis)である。変性関節炎は、関節の漸進的な痛覚、膨潤および硬化を引き起こす。関節炎プロセスが進展するにつれて関節表面は摩耗し、関節に対して安定性を提供する周囲の柔軟組織の収縮に帰着する。関節炎から帰着する関節結合表面の変化により、安定性は低下して関節の平行移動が大きくなる。
痛みのある関節結合骨表面の治療は、特に関節結合表面に対する損傷の深刻さと、患者の年齢および概略的な身体の強靱さとに依存する。最終的な結果は一般的に関節置換手術を必要とし、その場合に関節の関節結合要素は一般的に、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から作成された部分と関節結合すべく金属から作成された部分を備える人工要素により置換される。
【0003】
中程度乃至深刻な膝部関節の変性を有する比較的に若年の患者は、多くの場合に薬剤療法により治療される。薬剤療法は痛覚の一時的な緩和を提供し得るが、結果的な変形および機能低下を伴う疾患の進展により、最終的には手術が必要とされる。非ステロイド系の抗炎症性薬剤、コルチゾン注入および関節鏡式壊死組織切除などの代替的な治療も同様に、症状の一時的な緩和を提供するのみである。
【0004】
たとえば大腿骨の遠位端における顆(condyle)が、研磨済金属顆を有する人工器管(prosthetic device)により相当に置換され且つ脛骨プラトーが、金属構成要素により支持され得るプラスチック担持部により置換される場合などの深刻な状況において、骨の関節結合表面全体は人工的表面により置換され得る。関節置換手術は、痛覚を軽減して関節の機能を回復する実績のある有効な方法となっている。
【0005】
関節置換手術において各構成要素を受容する関節の関節内剛性要素を調製する現在の方法は、相当の外科的露出を伴う。この露出は、引き続き人工表面により置換される軟骨組織を切削もしくは除去する鋸、工具および他の切削デバイスならびに他の器具の使用を案内する切断用ブロック(cutting block)と共に、関節上にもしくは関節内に載置されまたは関節に対して取付けられる案内要素の導入を許容するに十分とされねばならない。膝部関節の置換に対して大腿骨の遠位端は、全てが人工器管を受容する目的で、大腿骨の丈に対して概略的に平行で平坦な前部および後部表面と、該前部および後部表面に対して直交する平坦な端部表面と、上記の各表面を結合すべく角度付けされた平坦表面とを有すべく彫成(sculp)され得る。全体的な股関節置換に対しては、球状リーマにより寛骨臼関節結合表面および軟骨下骨が除去され、大腿骨骨頭が揺動鋸により切除され、且つ、近位骨髄管はブローチ(broach)により形状化される。全体的な股関節置換に伴う困難性は、処置の侵襲性により相当の術中血液喪失および膨大なリハビリテーションを引き起こすことである、と言うのも、大腿骨を可動化して寛骨臼窩の露出およびそれへのアクセスを得るためには近位大腿骨から筋肉および腱が離脱されねばならないからである。
【0006】
膝部関節の例を用いると、関節の完全置換は、通常の脛骨の担持表面を擬態すべく概略的に上方に向けられた担持表面を有すると共に大腿骨人工器官の顆表面と関節結合すべく設計された人工器官を受容するために、脛骨の基端を彫成する必要もある。典型的にこの手術は、骨の調製は肢の正しい整列と一致し且つ各部分は前頭位置(coronal position)および矢状位置(sagittal position)の両方において正しく配向される如く、切断用ブロックを配向する器具もしくは案内要素により実施される。上記案内要素は露出された骨上に載置されると共に、その骨の解剖学的箇所を概略的に基準とすることで切除平面を確立する。たとえば全体的膝関節置換では、たとえば骨髄内腔と顆上軸心および後部顆軸心とを基準とすることにより、関節形成用案内要素が用いられる。
【0007】
上記で言及された形式の膝部関節人工器官は公知であると共に、たとえばカスパリ等(Caspari et. al.)の米国特許第5,171,244号、第5,171,276号および第5,336,266号、ブラウン(Brown)の米国特許第4,892,547号、バースタイン等(Burstein et al.)の米国特許第4,298,992号、および、インソール等(Insall et. al.Iの米国特許第6,068,658号に記述されている。
【0008】
膝部関節置換においては、顆に対して適切な度合いの曲率を提供すべく相当の尽力が為されてきた。たとえば先に言及した米国特許第5,171,276号、第4,298,992号および第6,068,658号は、大腿骨人工器官の顆の前後方向における曲率の半径は、顆の前部の近傍の方が後部の近傍よりも幾分か大きくされ得ることを示している。またケスター等(Kester et al.)の米国特許第5,824,100号は、顆のこの曲率の一部が、大腿骨上における外側および内側の各側副靭帯の取付箇所間の間の直線に沿う原点を有する一定半径の回りに形成され得ることを教示している。
【0009】
歴史的には、種々のモジュール式人工関節インプラントが開発された。モジュール式インプラントに関する以下の記述は、特に膝関節に関している。多心式膝関節インプラントと称された膝関節インプラントに対する初期の設計態様は、内側および外側の区画に対する別体の構成要素により開発された。付加的に、所定位置に比較的に堅固に保持されるポリエチレン・インサートを有するモジュール式の担持部固定膝関節インプラントが開発された。代替的に、担持部可動の膝関節インプラントがあり、その場合にはポリエチレン担持部が脛骨用基板上において最小限の拘束でもしくは拘束なしで摺動もしくは運動すべく設計される。更に、金属製の脛骨用基板上に存在する別体のポリエチレン製担持部または単一のポリエチレン製担持部のいずれかを含む、半月板担持部および固定担持部の関節インプラントの両者が開発された。脛大腿関節の内側および外側上に固定担持要素もしくは可動担持要素を備えたインプラント・システムが開発される一方、脛大腿関節の一方側上の固定担持部と他方側上の可動担持部との組み合わせを有するシステムは開発されていない。
【0010】
可動担持部式脛骨インプラントは、膝関節の関節形成術の大腿骨側に対して更に適合して構成されることから、接触応力は更に小さくなる。結果的に小さな接触応力は、担持材料の降伏強度を超えたときに一定の固定担持部設計態様が遭遇することもある損傷の可能性を減少する。概略的に固定担持部のインプラント設計態様は可動担持部設計態様よりも、適切に整列して平衡化する上で困難性が少ない。可動担持部設計態様は多くの場合、担持表面の接触応力と結果的な摩耗とを減少する上で望ましい。しかし可動担持部設計態様によれば、担持部がインプラントから外れる可能性がある。付加的に可動担持部膝関節設計態様は植設する上で、固定担持部設計態様よりも手術的に厳しいものである。
【0011】
内側区画に対する固定担持部インサートと外側区画に対する可動担持部インサートとの組み合わせは特に魅力的である、と言うのも、外側大腿顆は外側脛骨プラトー上で10〜20ミリメートルも後方に後退するが、内側顆は数ミリメートルしか移動しないからである。可動担持部インサートは外側顆の後退に適応するが、内側顆に対しては必ずしもそうでない。
【0012】
現在における関節置換手術には、2つの主な困難性が存在する。これらは、処置の侵襲性と、その際の骨性構造と人工器官との適切な整列の達成に関している。斯かる困難性は、足首関節、膝関節、股関節および肩関節などの全ての全体的関節置換に存在する。現在の関節置換手術における困難性の一般的な例として、全体的膝関節および全体的股関節の関節形成術が記述される。
【0013】
整列:別体的な大腿骨および/または脛骨用構成要素のいずれかを有するモジュール式および非モジュール式の膝関節インプラントの両者を植設するのに伴う困難性は、各構成要素間の正しい関係を達成することである。今日まで入手可能な手術器具は、大腿骨および脛骨が正確な構成要素間配向で調製されるという複数部分を有するインプラントを植設する上でトラブルの無い用法を提供していない。整列案内要素は長骨の軸心に対する各構成要素の正確な配向を助力して正しい脛大腿整列(通常は4〜7°の外反)の回復を達成する一方、それらは、正しい構成要素間整列、および/または、整列を回復するための靱帯張力に対する適切な位置決めまたは案内が制限されている。
【0014】
関節を介して担持表面を剪断力ではなく圧縮力に委ねるべく、結果的な力に対してはインプラントを直交して配向するのが好適である。更に、インプラントの各構成要素は好適には、摩耗を最小化すべく相互に対して配向される。もしインプラントが支持骨に関して正しく配向されなければ、合併症が生じ得る。もしインプラントが機械的軸心に対し直交して載置されなければ、インプラントと骨との間には剪断力が発生し、インプラントの緩みに繋がり得る。
【0015】
適切に整列された膝関節において、脚部の機械的軸心(股関節部の中心から足首関節の中心に引いた直線)は膝関節の中心の僅かに内側を通過する。この整列は概略的に、脚部の総体的整列(gross alignment)と称される。各インプラントの整列は、脚部の総体的整列に影響する。もし各インプラントが不正整列されると、結果的な機械的軸心は内側にもしくは外側にシフトされ、内側顆もしくは外側顆により担持される負荷の不均衡に帰着し得る。この不均衡がもし深刻であると、インプラントの早期の破損に繋がり得る。
【0016】
これに加え、片顆および双顆のインプラントによる、たとえば第2および/または第3の大腿骨用構成要素に対する大腿骨用構成要素の配向、別体の第2脛骨用構成要素に対する脛骨用構成要素の配向、および、対応する脛骨用構成要素に対する大腿骨用構成要素の配向などの、相互に対する各構成要素の配向はそれほど対処されていない。これは、一定の臨床的研究により例証される如く、全体的膝関節インプラントに対する初期の双顆設計態様の大きな故障率(failure rate)、ならびに、片顆インプラントの大きな故障率を考慮しているのかも知れない。双顆および片顆の設計態様を考慮するときに他の部分に対する各部分の整列は、各構成要素の不正関節結合による摩耗の加速を回避するために重要である。
【0017】
患者に対しては種々の人工器管が好結果で使用されてきたが、たとえば膝部関節における各顆などの、人工器官の関節結合表面の形態および位置は、選択される人工器官に基づき事前決定される。適切な人工器官の選択およびサイズにより各患者の必要性に対して人工器官を適合調整すべく尽力されてはきたが、これは実際には問題が多い、と言うのも、各患者の関節の生理機能は患者毎に相当に異なり得るからである。
【0018】
侵襲性:骨の関節結合表面を適切に彫成すべく、多くの場合には関節を外科的に露出することが必要である。習用の膝部関節置換における大腿骨の場合、膝部関節の膝蓋骨腱は外科的に露出されると共に関節の一側へと移動され、関節に対する実質的に完全な前部アクセスを可能とする。各構成要素の容積および幾何学形状、ならびに、骨調製のための器具を収容すべく、外科的露出が必要とされる。斯かる外科的露出は出血、痛覚および筋阻害を増大させ;その全ては、患者が安全に家庭もしくは中間医療施設に送られ得る前の更なる長期入院の一因となる。
【0019】
相当の関節置換が実施される場合には膝十字靭帯の除去もしくは離脱が必要とされることが多いが、膝関節置換手術の場合には側副靭帯も膝十字靭帯も阻害されないことが望ましい。側副靭帯は、関節置換手術と協働して患者の膝関節に対する適切な張力調節を提供すべく、部分的に取り払われ又は離脱され得る。殆どの場合において斯かる離脱は、膝関節の関節形成術に対して歴史的に使用されてきた標準的な正中もしくは内側準膝蓋骨の切開よりも小寸の切開により達成され得る。
【0020】
損傷された関節内組織を除去して修復するためには、関節鏡手術が利用可能であり且つ有用である。(関節結合表面が円滑化されたりたとえば軟骨組織が修復されるべきときには)関節鏡処置は非常に侵襲性が低く且つ僅かな外科的修復に対しては好首尾なことも多いが、斯かる処置は概略的に、相当の関節置換に対しては適切でない。それは概略的に、人工インプラントによる関節表面の置換に対しては不適切である。
【0021】
単一区画的な全体的関節置換などの習用の外科的処置は歴史的に、相当の外科的露出、ならびに、長期の病院滞在およびリハビリテーションを必要とした。更に最近では、膝蓋骨の転位を必要としない小寸切開により、片顆膝部関節の置換処置が実施されている。痛覚は減少して膝関節機能の回復は更に迅速なので、病院滞在の長さは短くなり且つ強力な麻酔投薬は低減される。また斯かる利点は、患者に対して二区画および三区画による膝関節の関節形成術により実現するのが望ましい。
【0022】
膝関節におけるのと同様に、習用の全体的な股関節の関節形成術は股関節部の痛覚的関節炎に対して示される。この処置は、大寸の切開を介して股関節部を露出することで、外科医に対して股関節部および寛骨臼領域の完全視覚化を提供すると共に外科用動力式器具に対するアクセスを提供する。股関節部の骨性構造を適切に調製すべく、関節に張り亙る主要筋肉は一般的に分断され、関節の適切な露出が得られる。上記処置の各段階は、大腿骨骨頭を除去する段階に続き、近位大腿骨管を拡孔かつ穴刳りして股関節用ステムを支持する骨性表面を調製する段階を含む。上記ステムは植設されると共に、骨性内方成長に対して所定位置にセメント固定されるか圧力嵌めされ得る。寛骨臼は典型的に、出血骨まで軟骨組織を除去すべく半球リーマを用いて調製される。寛骨臼が調製されたなら寛骨臼用構成要素は、骨性内方成長に対して所定位置にセメント固定されるか圧力嵌めされることで植設される。6〜12インチの長さとされ得る外科的露出は、近位大腿骨内へと挿入される筋肉の離脱物と共に、股関節部を囲繞する柔軟組織に対する膨大な損傷に帰着し得る。
【0023】
調製された骨性表面は技術的には、寛骨臼窩、大腿骨の大腿管および骨幹端領域と称される。調製された空間内に最終的なインプラントを載置するに先立ち、近位大腿骨内には試行的な大腿骨骨頭および頚部と共に、一定のシステムにおいてはブローチとされ得る大腿骨試作物が載置され且つ寛骨臼内には寛骨臼試作物が載置されることで、最終的な全体的股関節インプラントの載置に先立ち動作の試行範囲と股関節安定性の評価が促進される。
【0024】
柔軟組織の損傷を最少化すると共に術後リハビリテーションを促進するという最少侵襲的な全体股関節形成術を可能とするシステムが必要とされる。更に、最少侵襲的な技術は本来的に手術部位の観察を制限し、調製済骨性表面の視覚化を阻害することから、調製済骨性表面の検査に対するデバイスも必要とされる。手術処置の間においては骨破片および血液が手術部位に集結するので、寛骨臼を視覚化するためには時的に除去する必要がある。寛骨臼の調製の後、寛骨臼用構成要素が植設される。現在では、セメント固定されたUHMWPEカップ、セメント固定もしくは圧力嵌めされたUHMWPE付き金属シェル、金属、または、セラミック担持部ライナなどの種々の寛骨臼用構成要素が用いられている。典型的に、圧力嵌めシェルを載置するには、インプラントを支持骨内に完全に着座させるべく衝撃力が必要である。但し、寛骨臼インプラントを適切に着座させて安定化させる力の適切な配向および付与に対し、最少侵襲的な切開のサイズおよび箇所は最適でないこともある。故に、全体股関節形成術に対して最少侵襲的露出と共に使用されるべく股関節を切り詰めもしくは関節結合させ乍ら寛骨臼用構成要素の衝撃を許容する衝撃デバイスが必要とされる。関節表面を調製してインプラントを位置決めすべく、外科的索行システムを用いるのが望ましいこともある。
【0025】
関節が全体的関節置換を要するほどには損傷もしくは罹患していない患者を含め、関節結合表面の置換を要する患者に対しては、関連筋肉、靱帯もしくは腱に対してそれほどの損傷もしくは傷害が一切無い様に、関節結合する関節表面に対して外科的アクセスを行い、骨性構造を適切に調製し、たとえば金属もしくはプラスチックなどの人工的な関節結合担持表面を配備し、且つ、手術部位を閉成すべく採用され得る外科的方法および装置を提供することが望ましい。この目標を達成するには、最少侵襲的な装置および処置を用いて関節の関節結合表面を適切に彫成し得るシステムおよび方法が必要とされる。
【0026】
【特許文献1】米国特許第5,171,244号明細書
【特許文献2】米国特許第5,171,276号明細書
【特許文献3】米国特許第5,336,266号明細書
【特許文献4】米国特許第4,892,547号明細書
【特許文献5】米国特許第4,298,992号明細書
【特許文献6】米国特許第6,068,658号明細書
【特許文献7】米国特許第5,824,100号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、個々の患者の関節運動特性を回復するインプラント・システムを含め、最少侵襲的な手術処置を包含する全体的関節置換に対するシステムおよび方法を提供する。開示される器具およびインプラントは、限られた外科的露出により、正確な骨および柔軟組織の調製、インプラント配向およびインプラント固定を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0028】
故に一実施例において本発明は、第2骨に対して通常的に関節結合する第1骨の関節結合表面を適切に彫成し且つ人工器管を植設する方法を提供する。上記方法は、第1骨の関節結合表面に対して骨彫成ツールを骨彫成係合し乍ら該骨彫成ツールを第2骨に対して直接的もしくは間接的に取付ける段階と、関節を切り詰め乍ら且つもし必要性が示されたならば一方の骨を他方の骨に関して移動し乍ら上記第1骨の上記関節結合表面を彫成する段階とを包含する。選択的に上記骨彫成ツールは、上記第2骨に直接的もしくは間接的に取付けられる取付部材に取付けられ得る。一定の状況においては、手術の間に上記第1骨を上記第2骨から伸延することが望ましいこともある。上記骨彫成ツールはまた、骨の骨髄管内に植設されたステム、試作物、リーマもしくはブローチに対して直接的もしくは間接的に取付けられまたは一体的とされる骨用取付部材に対しても取付けられ得る。
【0029】
膝部関節置換に対して上記インプラント・システムは、関節の制約に対する術中の外科的選択肢を提供するインプラントおよび機器装備であって個々の患者の解剖学的構造により定義される運動特性を回復すべく膝関節の適切な整列および配向を促進するインプラントおよび機器装備を備える。その様にするために上記インプラントは、膝関節の各区画(内側脛大腿関節、外側脛大腿関節および膝蓋大腿関節)に対する固定もしくは可動担持構成要素の選択を介して種々の度合いの関節安定性を復元する外科医の術中選択肢を提供する。一連のインプラントは、膝関節の唯一個の区画もしくは各区画を網羅し得ると共に、固定および可動担持部構成の組み合わせを含み得る。
【0030】
習用の全体的膝関節置換において、大腿骨用構成要素は概略的に単一片であり且つ脛骨用構成要素は単一片である。本発明において大腿骨側は2個もしくは3個の構成要素により表面再形成され得ると共に、脛骨側は2個の構成要素もしくは単一片により表面再形成され得る。上記各構成要素は、関節の境界内において相互に整列且つ/又は結合され得る。選択的に、大腿骨側の構成要素は複数の可撓セグメントを備え得る。
【0031】
インプラント構成要素の適切な整列および位置決めは、患者特有であるインプラントの整列および配向に対して骨切除部を案内すべく膝関節の柔軟組織構造を利用する機器装備により促進される。支持骨に関する上記インプラントの整列は、支持骨の解剖学的整列の回復もしくは改善に関する。支持骨に関するインプラントの配向は、2つの点において重要である。第1に、支持骨に関するインプラント構造の配向は、インプラントを介して伝達される力が骨性支持表面に対して概略的に直交しもしくは直角的となる如きものである。第2に、各インプラント構成要素の相互に関する配向は、大腿骨の関節結合表面を復元する各モジュール式構成要素が大腿骨側上の他のモジュール式構成要素と適切に整列することでインプラント構造の適切な軌跡追随を確実にする如きものである。同様に、脛骨の関節結合表面を復元する各モジュール式構成要素は脛骨側で他のモジュール式構成要素と適切に整列することでインプラント構造の適切な軌跡追随を確実とする。上記手術機器装備は単一の基準点から滑膜性関節の関節結合表面を調製することで、内側および外側脛大腿区画、ならびに膝蓋大腿区画に対して別体の各構成要素を正確な配向にて導入することを許容する。故に上記機器装備は、斯かる整列および配向の要件に従う骨切除部を提供する。上記位置決めは、膝部関節の解剖学的整列の適切な復元と、相互に対する各構成要素の適切な配向とに対して重要である。
【0032】
関節の関節結合表面の成形もしくは彫成に関し、本発明の上記方法によれば関節結合骨表面は、関節の生来の接合を可及的に復元すべく各患者の個々の生理機能に従い彫成され得る。この方法においては関節の各骨の一方に対して骨彫成ツールが取付けられると共に、関節が関節運動されるにつれて上記ツールは他方の骨の関節結合表面を彫成する。
【0033】
故に一実施例において本発明は、第2骨に通常的に関節結合する第1骨の関節結合表面を適切に彫成する方法を提供する。上記方法は、骨用取付部材に取付けられた骨彫成ツールを備える装置を配備する段階と、上記第1骨の関節結合表面に対して上記ツールを骨彫成係合させ乍ら上記取付部材を上記第2骨に対して堅固に取付ける段階と、次に各骨の一方を他方に対して関節運動させることで上記関節結合表面を彫成する段階とを包含する。
【0034】
一定の状況においては、術前にまたは手術の間に上記第1骨を第2骨から伸延させるのが望ましいこともある。故に、上記装置と共に伸延器が配備され得る。膝部関節置換において、彫成処置の間に大腿骨と脛骨との間に提供される伸延力は、関節結合表面から摩滅した物質を相殺する。伸延力を用いると、関節の通常的整列が概略的に再確立される。骨彫成器具による関節表面の調製に先立ち、または、関節表面の調製に続き、整列を復元すべく靱帯離脱が実施され得る。付加的に、関節の動作の範囲および患者の運動特性を評価すべく、術前に伸延器が使用され得る。
【0035】
別実施例において本発明は、第2骨に対して所定様式にて通常的に関節結合する第1骨の関節結合表面を彫成する装置を提供する。上記装置は、骨彫成ツールと、上記第2骨に堅固に取付可能な取付部材と、上記彫成ツールを上記取付部材に取付ける調節可能取付具であって上記第2骨が上記第1骨に関して関節運動されるにつれて上記関節結合表面が彫成される如く上記ツールの位置および配向を上記関節結合表面に対する骨彫成近傍へと調節し得る調節可能取付具とを備える。代替的に複数の骨彫成ツールが使用され得るが、その場合に各ツールは複数のツールを支持すべく個々の取付部材上にまたは単一取付部材上に位置される。
【0036】
本発明はまた、第1骨および第2骨の間における関節の各表面に置き換わるインプラントも提供する。該インプラントは、最少侵襲的切開に適合貫通すべく特に設計されると共に、固定および可動担持部インサートもしくは部品の任意の且つ全ての組み合わせを取入れる。手術処置は好適には最少侵襲的切開を通して実施されることから、上記インプラントは斯かる切開を適合貫通し且つ関節内で配向もしくは結合されるべく設計される。
【0037】
膝関節置換手術の場合に上記インプラントは、第2骨用基板および第1骨用インプラントを含む。上記第2骨用基板は、関節に関して第2骨の調製済表面の殆どを覆う単一片か、または、可動および固定の担持用人工構成要素と共に用いられる別体の各基板とされ得る。これに加えて上記第2骨用基板は、別体の固定および可動担持部インサートを収容し得る。第1骨用インプラントは、第1骨の担持表面に置き換わる複数の構成要素から成る。選択的に、上記第1骨用インプラントの一部は所定位置において結合された複数の可撓セグメントから構成され得る。斯かる構成によれば、各可撓セグメントを適切な位置にて成形すべく、第1骨に対する第2骨の関節結合が許容される。
【0038】
故に、更なる実施例において本発明は、第2骨に対して通常的に関節結合する第1骨の関節結合表面を適切に置き換える方法を提供する。上記方法は、骨用取付部材に取付けられた骨彫成ツールを備える装置を配備する段階と、上記第1骨の関節結合表面に対して上記ツールを骨彫成係合させ乍ら上記取付部材を上記第2骨に対して堅固に取付ける段階と、次に各骨の一方を他方に対して関節運動させることで上記関節結合表面を彫成する段階とを包含する。更に、上記関節結合表面は適切な最少侵襲的インプラントにより表面再形成され、その場合に各インプラントは関節腔の境界内において接合される。一実施例においては、上記第1骨の一部を表面再形成すべく複数の可撓セグメントが配備される。上記各可撓セグメントは、上記第1骨の切除済表面に沿い接着剤で固着される。
【0039】
特に、たとえば膝部関節置換において、本発明は大腿骨および脛骨の各表面を置き換えるべく使用され得る。故に、複数の構成要素を有する大腿骨インプラントと、脛骨用基板とが配備される。上記脛骨用基板は、固定担持部取付具ならびに可動担持部取付具を有し得る。
【0040】
全体的股関節部置換に適用されたときに本発明は、最小切開を介し、且つ、股関節の回りにおける筋腱構造の最小限の分断により大腿骨および寛骨臼の各表面を置き換えるべく使用され得る。最少侵襲的な全体的股関節処置に対する典型的な切開は、2〜4インチの長さである。尚、患者の生理機能、外科医の選好性および/または他の要因により一定の変形例があり得るものであり;述べられた範囲は例示的であり限定的ではない。小寸の切開に加え、関節包に接近するには特定の筋肉を断面切断するのではなく各筋肉群間の組織を分離することにより注意が払われる。
【0041】
全体的股関節置換においては、寛骨臼の調製に続き、圧力嵌めシェルなどの寛骨臼用構成要素が植設される。寛骨臼の支持骨内に圧力嵌め式の寛骨臼用構成要素を完全に着座させるために、股関節を切り詰めもしくは関節結合させ乍ら寛骨臼用構成要素の衝撃を許容する衝撃デバイスが提供される。上記衝撃デバイスと共に、上記寛骨臼用構成要素を位置決めする外科的索行システムが使用され得る。
【0042】
上記最少侵襲的処置において股関節は、転子窩を露出するに適切な切開であって大腿骨頚部の切除と大腿骨の骨頭および頚部セグメントの除去とを許容する切開を介してアクセスされる。大腿管は、転子窩および転子領域を介してアクセスされる。一連の拡孔および穴刳り段階により大腿骨インプラントを受容するために近位大腿骨を調製すべく、当業者に公知のリーマ、ラスプおよび他のデバイスが用いられる。調製されたなら、大腿骨頚部および転子領域の骨髄内管および保持領域は、寛骨臼を調製するMIAR(最少侵襲的寛骨臼用リーマ)を支持すべく用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
膝部関節の解剖学的構造および外科的手法:図1は、膝部関節の概略的な解剖学的構造を示している。大腿骨10はその膝部関節の関節結合表面上に、外側大腿顆12および内側大腿顆14を有する。脛骨16はその膝部関節の関節結合表面上に、(概略的に外側大腿顆12に対向する)外側半月板22および(概略的に内側大腿顆14に対向する)内側半月板20を有する。各靱帯は、前部膝十字靭帯24、後部膝十字靭帯28、内側側副靭帯26および外側側副靭帯27を含む。内側脛骨顆30および外側脛骨顆32は半月板20および22を支持する一方、これらの半月板は大腿骨10を支持する。付加的に、脛骨16に対しては腓骨34が係合する。
【0044】
典型的に全体的膝部関節置換は、外側大腿顆12、内側大腿顆14、内側脛骨顆30および外側脛骨顆32の各関節結合表面を置換する段階を包含する。外側半月板22および内側半月板20は除去される。望ましくは、側副靭帯26および27も膝十字靭帯24および28も阻害されない。但し、関節置換が完了された後に患者の膝関節に対する適切な張力調節を提供すべく、側副靭帯26および27は部分的に取り払われることもある。
【0045】
図2は、全体的膝関節置換手術に対する習用の正中切開40を示している。切開40は、大腿骨と脛骨との間の関節結合表面の実質的に上下に垂直に延在する。典型的に該切開は、長さが約8〜15センチメートルである。切開40は、膝蓋骨を亜脱臼もしくは転位させて膝部関節の関節結合表面全体を露出するに十分なほど大寸とされねばならない。しかも上記切開は、大腿骨の端部、脛骨の頂部および膝蓋骨の下側表面を完全に覆う各構成要素の挿入に適応せねばならない。植設される各構成要素の最大数は、外側脛大腿区画に対する大腿骨用構成要素および脛骨用構成要素、内側脛大腿区画に対する大腿骨用構成要素および脛骨用構成要素、ならびに、膝蓋大腿関節に対する大腿骨用構成要素および膝蓋骨用構成要素を含む。代替的に、外側大腿顆および膝蓋骨溝は共通インプラントにより覆われても良い。
【0046】
図3に見られる如く、膝部関節に沿い水平に延在する横方向切開42は、本発明の処置に対するひとつの選択肢である。切開42は、膝蓋骨を転位させずに内側脛大腿区画および外側脛大腿区画の各関節表面を露出すべく垂直に開成され得る。これにより、処置の間において膝蓋骨は大腿骨と接触して維持される。機器装備ならびにインプラントの各構成要素は最少侵襲性に対して寸法設定されることから、小寸切開により収容され得る。更に小寸の切開から帰着する少ない損傷は概略的に更に迅速で更に良好なリハビリテーションに帰着し、これは概略的に膝関節インプラントの効力を高める。
【0047】
図4は、本発明と共に用いられる代替的な切開形態を示している。膝蓋骨の各側には、垂直に延在する平行な2つの切開44および46が夫々形成され得る。これらの切開44および46は比較的に短寸であり、且つ、侵襲性は図3の水平切開のそれと同様である。各切開44および46は関節包を別体的に貫通延在し、膝蓋骨を転位させずに内側および外側の脛大腿区画を露出させる。
【0048】
機器装備:全体的膝関節置換に関する本発明の機器装備は概略的に、外側脛骨プラトーと内側脛骨プラトーとにおける脛骨の切除を必要とする。選択的に上記機器装備は遠位大腿骨を切除することで骨彫成機器装備を収容する延在空間を生成すべく使用され得る。この切除は、切除案内要素、鋸などを用いて当業者により公知の方法で行われ得る。代替的に図5に示すように、脛骨16内に切削工具43が直接的に前進され得る。切削工具43は、後部皮質壁54にてまたはその手前で停止されねばならない。図5は、図6および図7の切削工具47により脛骨プラトー内に生成されたキャビティの断面図である。
【0049】
図6および図7に見られる如く、上記切削デバイスは案内要素49の前端に固着された単一の切削工具45とされ得る。図6および図7の切削工具45は、脛骨プラトーを調製するときに内側から外側への方向における回転軸を有する。上記切削工具の半径は、生成されるキャビティの床部と後壁との間に対応半径を残置する。
【0050】
代替的に図8および図9に見られる如く、上記切削デバイスは複数の切削工具47を備え得る。図8および図9の切削工具47は、脛骨プラトーに生成されたキャビティの床部および後壁の間の角隅部を調製する。この様に調製された角隅部は、支持骨に対して応力を均一に分配し得る。各切削工具47は、上記キャビティの側壁と後壁との間における該工具の半径と同等の半径を生成する。斯かる半径は、脛骨インプラント設計態様により容易に適応され得る。図8および図9は複数の切削工具を有する切削デバイスを示すが、上記切削デバイスは一個の切削工具により構成され得る。
【0051】
図10は、概略的に51と表された脛骨プラトーに作成される骨切除部50および52の前面図である。内側脛骨顆および外側脛骨顆の適切な整列および配向を確実とすべく、内側切除部50の床部および外側切除部52の床部は好適には平行かつ共面的である。脛骨カッタを案内すべく用いられる外部ツールは、内側切除部および外側切除部の間の相対整列を提供し得る。代替的に、内側および外側切削工具47を共通平面内に拘束するヒンジにより2個の案内要素49を一体的に連結することで、脛骨プラトーにおける内側および外側キャビティは同時に調製され得る。上記外部ツールは更に脛骨プラトーの後部側に対する確定基準を提供することで、各切除部が後部皮質壁を貫通しないことが確実とされ得る。図10において、骨切除部は概略的に矩形の断面を有して示される。但し、骨彫成ツールが取付けられ得る任意の断面が使用され得る。たとえば、弧状断面が容認可能である。
【0052】
図11は、脛骨16における骨切除部50および52の平面図である。プラトー内へと加工されたキャビティを備えた脛骨16の断面図は、図12に示される。図12に見られる如く、骨切除部50は後部皮質壁54にてまたはその手前にて停止せねばならない。
【0053】
図13に見られる如く脛骨を切除したなら、たとえば概略的に60とされた大腿骨カッタなどの骨彫成ツールが取付部材内に載置されると共に、脛骨に生成されたキャビティに堅固に取付けられる。“堅固な取付け”とは概略的に、関節運動(articulation)の間において上記取付部材と脛骨との間の相対運動を防止するに十分な安定性を提供することを意味する。斯かる安定性は、脛骨切除部内に上記デバイスを単に載置するだけで提供され得る。上記大腿骨カッタは、大腿骨切除を行うときに脛骨切除部50および52を基準とすべく設計される。図13に示された一実施例において、取付部材は揺架(cradle)62であり、切除された脛骨内に設定される。揺架62内には切削要素(cutting element)64が取付けられ、可撓シャフト66は該切削要素を図14のモータ68に接続する。上記各デバイスは、内側および外側脛骨プラトーにおける切除部50および52に嵌合する。故に、切削要素は大腿顆に対して堅固に保持され、且つ、上記デバイスの案内表面は切除の深度を設定する。選択的に、逆側の脛骨切除部内には第2切削要素が載置され得る。故にたとえば、調製された脛骨プラトー内には、一方を内側キャビティ内として他方を外側キャビティ内として2個の切削要素が載置され得ると共に、該切削要素は大腿顆を同時に切除すべく使用され得る。2個の切削要素を同時に用いるに際して各切削要素はヒンジ機構65により一体的に連結されることで、各大腿顆を調製する間に夫々の切削要素を共通平面内に更に保持し得る(図32および図33を参照)。
【0054】
故にたとえば膝関節手術において上記ツールは脛骨に対して取付けられ、該ツールの彫成表面は大腿骨の顆表面、すなわち各顆の一方もしくは両方に対して係合され得る。膝部関節が関節運動(撓曲)されるにつれ、その患者の膝関節の個々の生理機能に依存し、すなわち側副靭帯、膝蓋骨腱などに依存する様式で、上記彫成ツールは適切に大腿骨の関節結合表面を彫成する。尚、本発明は全体的膝関節置換に関して記述されるが、限定的なものとしてで無く、片顆膝関節置換または同種移植関節表面置換(allograft joint surface replacement)などの様に機能を回復して痛覚を緩和すべく関節結合する関節の各表面が改変もしくは復元されるという整形外科の全体に亙り適用性があることは理解される。
【0055】
好適実施例において膝部関節包は膝蓋骨の外側転位なしで外科的にアクセスされることから、彫成プロセスの間において膝関節の通常的な撓曲を許容する。患者の個々の生理機能ならびに患者の柔軟組織と骨との間の相互作用は、大腿骨および/または脛骨の端部から軟骨組織および骨を彫成すべく用いられるデバイスを案内すべく作用する、と言うのも、大腿骨および脛骨は膝関節に関連するからである。膝関節の例において脛骨は、膝関節を囲繞して支持を提供する靱帯および柔軟組織により制御される案内経路に沿い大腿骨の端部の回りで進行する。
【0056】
代替的な取付形態は、工具が取付けられた外部固定具を包含する。該外部固定具は、大腿骨を彫成すべく脛骨に対して所定位置に工具を支持する任意の形態とされ得る。一例としては、該外部支持部材から延在するアームを有すると共に該アームの末端には工具が取付けられた外部支持部材が挙げられる。
【0057】
上記骨彫成ツールは、たとえばモータなどの駆動機構により動力供給され得る。上記モータは、切削要素と一体的な電気モータ、空気圧モータまたは油圧モータとされ得る。油圧モータの場合には、可撓シャフトが不要であることを銘記されたい。上記切削要素は、手術用ドリルMidas RexおよびAnspaq高速ドリル/カッタなどの入手可能な手術用動力式器具により駆動され得る。斯かる機器は、空気圧およびバッテリ駆動形態で利用可能である。上記切削要素は代替的に、本発明に対して独自に開発された動力源により駆動され得る。たとえば上記動力源は、電気モータもしくは空気圧モータとされ得る。それはまた、無菌塩水溶液により駆動される水圧モータともされ得る。
【0058】
塩水溶液により駆動される水圧モータの場合、図15〜図18に示すように該モータは切削カッタ内に取入れられ得る。上記水圧モータの翼板は選択的に、切削工具要素の回転軸の一部として加工され、または、切削工具要素の端部表面へと加工される。好適には切削デバイス55のハウジング53は、水圧モータを駆動する塩水溶液を収容するチャネル57を含む。図15および図16は、ハウジング53の末端におけるホィール59内に水圧モータの翼板が取入れられた実施例を示している。図17および図18に示すように、切削要素55のブレード61を水圧モータの翼板として機能させることも可能であり、その場合に塩水溶液は回転を強制すべく切削要素に対して導向される。
【0059】
図19〜図30は、本発明と共に用いられ得る種々の切削要素の断面図である。図19および図20は夫々、切削要素の一実施例の端面図および側面図である。切削工具72は取付部材73内に載置されると共に、内外側方向にて回転軸と共に配向される。図31においては、膝関節が撓曲されて脛大腿接触点が遠位に移動するにつれて大腿顆との接触を提供する複数の切削工具が示される。代替的に、膝関節撓曲の全体に亙り該切削工具が大腿顆と接触したままとなる如く、一個の切削工具が所定位置に載置され得る。一個もしくは四個の切削工具の選択肢のみが示されるが、本発明は揺架内に支持された一個以上の切削工具により実施され得る。更に上記揺架は、大腿顆に接触する滑走表面を有するショルダ71を備え得る。
【0060】
図21および図22は夫々、切削要素に対する代替実施例の端面図および側面図であり、切削工具74は大腿顆に形状化切除部を提供すべく形状化される。形状化切除部が除去する骨は少なく、且つ、残存する骨は概略的に、顆において更に深い骨よりも強力である。
【0061】
図23および図24に示された別実施例において、切削工具72はその回転軸を前後方向にして配向される。膝関節延伸時に、脛大腿接触点は上記切削工具の前端部の近傍である。膝関節が撓曲されるにつれ、上記接触点は後方に移動して上記切削カッタの後端部に接近する。
【0062】
同様の様式にて図25および図26は、夫々の回転軸が前後方向に配向された平行な3本の切削工具76、77および78を示している。斯かる実施例は、脛骨の一回の行程もしくは撓曲において大腿顆の広範囲な切除を提供する。図27に見られる如く内側および外側切削工具76および78は中央切削工具77よりも小径とされることで、大腿顆に生成されるキャビティの側壁と該キャビティの床部との間における更に小寸の対応半径を提供し得る。
【0063】
図28〜図30に示すように大腿顆の軟骨組織および骨は、削り要素80の一回以上の行程において除去され得る。削り要素80は取付部材81の表面からオフセットされることから、脛骨の行程もしくは撓曲毎に大腿顆から所定量の骨が削られる。上記切削要素の基部内には、一個以上の削り要素が支持され得る。
【0064】
示された機器装備を用いて大腿骨の関節結合表面は、脛骨を大腿骨に関して関節運動させることで患者の個々の生理機能に従い彫成され得る。該方法は、骨用取付部材に取付けられた骨彫成ツールを有する装置を配備する段階と、第1骨の関節結合表面に対して上記ツールを骨彫成係合し乍ら上記取付部材を第2骨に対して堅固に取付ける段階と、次に各骨を相互に関して関節運動させることにより上記関節結合表面を彫成する段階とを含む。図31は、大腿骨10の回りにおける脛骨16の関節運動の運動特性を示している。内側および外側大腿顆の骨切除部は、カッタを脛骨に固定して脛骨を関節運動させることで行われる。大腿骨および脛骨が原状とされた場合の前部および後部の膝十字靭帯の4本のバー連結の故に、大腿骨に関する脛骨の移動はJ曲線に従う。膝十字靭帯の一方もしくは両方が不在であると、膝関節が撓曲されるときの脛骨の移動は側副靭帯および関節包靱帯により制御される。この様に内側および/または外側大腿顆に生成された骨性支持表面は、所定患者の運動特性に対して形状化および位置決めされる。
【0065】
患者の術前評価:関節の変形性と、関節を再整列させるために必要とされる適切な間隔とを評価すべく、X線が使用され得る。付加的に、関節の動作の範囲および患者の運動特性を評価すべく、たとえばバルーンなどのスペーサが術前に使用され得る。
【0066】
手術の間においては各骨構造間に適切なスペーサが載置されることで、関節の適切な伸延および整列が提供される。彫成処置の間に大腿骨と脛骨との間に提供される伸延力は、関節結合表面から摩滅した物質を相殺すべく使用され得る。伸延力の使用により概略的に、関節の通常的整列が再確立される。斯かるスペーサはまた柔軟組織構造を張設することで、各骨構造間の動作の包絡面を縮小すると共に、関節の横方向および回転方向の安定性を高める。上記スペーサは更に、骨構造の切除の間において骨/切削要素を支持すべく使用され得る。上記スペーサの挿入に先立ち、適切な肢整列および靱帯張力/平衡を回復するに必要な靱帯離脱が実施され得る。
【0067】
靱帯包および腱の適切な張力を維持すべく、種々のデバイスの任意のものが使用され得る。斯かる張設デバイスとしては、限定的なものとしてで無く、下肢の重量による重力、関節内スペーサ、ブラダ、バルーン、ベローズ、ギヤ機構、シザー機構、他の膨張可能デバイス、または、関節の各側に係合もしくは取付けられる他の要素が挙げられる。更に伸延力は、上記切削要素における膨張基部により提供され得る。ショルダ上に滑走表面を有する取付部材と組み合わせて、伸延デバイスも有用であり得る。上記ショルダは、大腿骨に対する脛骨の関節運動と大腿骨の形状とにより、大腿骨切除の深度および形状を制御し得る。
【0068】
特に術前評価に対しては、バルーンなどのスペーサが内側および外側切除部の両方に配備され得る。手術の間、内側切除部にはバルーンが配備され得ると共に、外側切除部にはカッタが取付けられたベローズなどのスペーサが配備され得る。代替的には外側および内側切除部の両方に、カッタが取付けられたベローズが配備され得る。
【0069】
図32および図33は夫々、大腿顆を調製する間に共通平面内に各切削要素を維持すべくヒンジ機構65により連結された2個の切削要素61および63の閉成状態および開成状態を示している。ヒンジ機構65によれば、2個の切削要素61および63の相互に関する載置の調節性が許容される。
【0070】
脛骨プラトーにおける切除部の生成の後、図34の大腿骨彫成ツールは脛骨プラトーにおける各凹所内に載置され得る。ヒンジ機構65は、内外側方向においてツール・アーム172および174の調節を可能とすることで脛骨プラトーの切除部の間隔に適応すると共に、ツール・アーム172および174を共通平面内に保持することで、各大腿顆切除部の相互に関する適切な配向を確実とする。ツール・アーム172および174に対しては切削要素180が取付けられると共に、該切削要素はたとえば一対のギヤ機構などの駆動機構により駆動される。好適実施例において上記ギヤ機構は、補助的駆動ケーブル184および186に対してトルクを提供するギヤボックスを駆動する共通可撓駆動ケーブル178により駆動される。図35に示すように、切削要素182の表面は粗面化され又は切削溝を有することで、大腿顆の切削を行う。
【0071】
図36に示すように上記膝関節大腿骨彫成ツールは、脛骨プラトー190に作成された切除部内に載置され得る。切削ディスク180は、大腿顆188と接触する。膝関節が撓曲されて切削ディスクに亙る大腿顆の相対運動に帰着することで、大腿骨の内側および外側顆が同時に切除される。膝関節に張り亙る柔軟組織構造は、所定膝部関節の通常の運動動作に沿い切削動作を案内する。上記切削ディスクは、横方向平面内で回転する。
【0072】
図37および図38は夫々、該切削要素100を囲繞する伸延器104に対して付与される流体圧により上昇すべく構成されると共にプラットフォーム102に支持された切削要素100の端面図および平面図である。伸延器104に対して圧力を付与すると、切削工具は、上記切削要素の頂面により設定された所定深度まで大腿顆内に付勢される。上記切削要素の頂面と組み合わされた伸延器104は、膝部関節に張り亙る柔軟組織構造を張設し乍ら、適切な切除深度を確実とする。柔軟組織構造を張設することの利点は、膝関節の動作の包絡面を縮小し、膝関節を安定化し、且つ、大腿骨顆切除部の大きな精度および反復性を提供することである。代替実施例は、伸延力を提供すべく、脛骨に生成されたキャビティの床部と切削要素の底部との間に載置されたスペーサを使用し得る。
【0073】
図39は、大腿顆を支持して大腿骨10を伸延すべく使用されるバルーン・スペーサ110を示している。バルーン・スペーサ110に対しては、ホース114を介してシリンジもしくはポンプ112が取付けられ得る。バルーン・スペーサ110は、膨張可能スペーサの一例である。膨張可能スペーサが使用される場合には、術前評価が実施されるべきである。手術の間において膨張可能スペーサは、切除されるべき各骨構造間に載置される。上記切削要素は動的スペーサ内に収納され、切削要素は切除部の深度を設定すべく該動的スペーサに対して調節可能とされ得る。上記動的スペーサは負荷制御下で機能し得るが、その場合には、一連の動作の全体に亙り又は変位制御下で各骨構造間に一定の伸延力が付与される。変位制御下では、一連の動作の全体に亙り各骨構造間に一定変位が維持される。各々の場合、上記動的スペーサは切削要素を収納すると共に、関節は撓曲および延伸され乍ら、切除されつつある骨構造に対する事前設定深度にて上記切削要素は保持される。上記動的スペーサによれば関節の運動特性は、骨構造の各々における切除経路を定義し得る。
【0074】
脛骨が撓曲および延伸を介して関節運動するにつれ、上記大腿骨カッタは膝関節インプラントの大腿骨用構成要素を受容する切除部を大腿顆内に調製する。図40は、大腿顆における骨切除部130および132を示している。図41および図42は、所望とされ得る大腿顆の骨切除部の代替実施例を示している。
【0075】
インプラント:上記手術処置は好適には、膝蓋骨の亜脱臼もしくは転位を必要としない最少侵襲的切開により実施される。故に、最少侵襲的切開に適合貫通され得ると共に関節内にて配向されもしくは関節に結合され得る大腿骨インプラント、脛骨インプラントもしくは膝蓋骨インプラントなどのインプラントが設計される。大腿骨インプラントおよび脛骨インプラントは、限定的なものとしてで無くポリメチル・メタクリレートなどの習用の結合方法により、または、限定的なものとしてで無く孔性内方成長表面による骨への直接的取付けにより、骨に対して取付けられ得る。
【0076】
上記脛骨用基板は選択的に、膝関節に関する脛骨プラトーの調製済表面の殆どを覆うべく単一片として構成される。単一プラットフォームとして構成されたならば上記脛骨用基板は、内側もしくは外側の脛大腿区画のいずれかに対する固定担持部または可動担持部インサートのための捕捉機構を提供する。選択肢として、内側脛大腿区画に対する固定担持部捕捉機構と可動担持部捕捉機構とを提供する単一プラットフォーム、または、外側脛大腿区画に対する可動担持部インサートを受容する簡素なプラットフォームが設計される。左右の脛骨用基板が必要とされることから、可動担持部内側インサートおよび固定担持部外側インサートに対して同一の基板が用いられ得る。
【0077】
代替的に図43に示すように、上記脛骨インプラントは内側および外側区画に対する別体のプラトー基板として構成され得る。これらのプラットフォームは、それらの相互および/または大腿骨用構成要素に対する関係における配向を決定する整列器具により、相互に対して配向され得る。上記脛骨用基板は固定担持部とされ得ると共に、完全にポリエチレンで製造され得る。故に同一の膝関節置換手術においては、金属製支持トレイ151を備えた固定担持部脛骨用構成要素150と金属製支持トレイ153を備えた可動担持部脛骨用構成要素152とが使用され得る。更に上記脛骨用基板は、内側および外側区画のいずれかまたは両方において、別体の固定および可動担持部インサートに適合し得る。
【0078】
インプラントの全ては、小寸の切開を介して載置することが好適である。図44に示すように上記大腿骨インプラントは、内側顆の関節結合表面を表面再形成する第1構成要素132と、外側顆の関節結合表面を表面再形成する第2構成要素130とを含む。膝蓋大腿関節の大腿骨側を表面再形成すべく、選択的な第3構成要素134が配備され得る。大腿顆の凸状表面は担持表面であり、脛骨担持インプラントと相互作用する。選択的に上記大腿骨用構成要素は上方駆動植設のために、その支持部もしくは凸状内側表面に沿いフィンを含み得る。該フィンは、上記内側表面の一部から別の部分へと延在するウェブとして形状化され得る。
【0079】
図42に示すように、上記外側大腿骨インプラントは膝蓋骨フランジと連続的とされ、小寸切開を貫通し得る単一片136を形成し得る。上記連続片を収容すべく、外側顆構成要素および膝蓋大腿構成要素は選択的に、膝蓋大腿溝の頂部から延在する単一構成要素136であって遠位方向および後方の両方にて外側顆に亙り延在する単一構成要素136とされ得る。図45は、外側顆構成要素と膝蓋大腿構成要素とを組み合わせて単一構成要素136とした大腿骨インプラントの側面図である。
【0080】
上記担持要素は超高分子量ポリエチレンから製造され得るが、業界公知である任意の適切な生体適合性材料からも製造され得る。上記担持要素は概略的に3個の構成要素、内側脛骨顆、外側脛骨顆および膝蓋骨を含む。好適には担持要素の選択は、各区画に対する固定もしくは可動担持部に対して提供される。故にたとえば外科医は自らの判断で、一方は内側であり他方は外側である各脛骨用構成要素の各々に、可動担持部もしくは固定担持部インサートのいずれかを挿入する。
【0081】
上記大腿骨用構成要素は、別体的な各大腿骨用構成要素を、相互に対するおよび/または脛骨用構成要素に対する関係において配向する整列デバイスを含み得る。また、骨調製および構成要素配向と協働して使用され得る。
【0082】
上記大腿骨用構成要素は、種々のサイズで提供され、且つ、調製された大腿顆の形状の僅かな相違に対する最適適合を提供すべく可撓である構成要素を選択的に含む。
【0083】
図46は、可撓インプラントとして構成された大腿顆インプラントの選択的実施例を示している。該大腿顆インプラントの外側面は、関節結合表面を形成する好適にはコバルト・クロム合金である金属の薄寸体である。たとえばステンレス鋼、チタン合金またはニチノール(Nitinol(登録商標))などの、他の適切なインプラント等級の合金、ポリマもしくは金属が使用され得る。ひとつの平面内における均一な偏向を提供すべく、上記インプラントは薄寸であると共に断面が均一である。上記大腿顆インプラントの支持表面は、ポリメチル・メタクリレート(PMMAもしくはPMA)などの成形済の骨用セメントと、関節結合表面に結合されたスペーサとに対して整列される。上記スペーサは、作製の間に所定位置において成形されるに適したブロックもしくは他の任意の構成として形状化され得る。概略的に上記スペーサは、前頭面においては大腿顆インプラントの一側から他側へ張り亙るべく形状化される一方、所定間隔にて各スペーサに空間を提供することで、関節結合表面の穏やかな撓曲を促進する。斯かる撓曲により可撓大腿顆インプラントは、大腿顆において調製された骨性支持表面の固有形状に合致することで、運動特性的に画成された支持表面を最大限に利用する。斯かるインプラントは一連のサイズで提供されることで、個々の患者の生理機能に適合すると共に、調製された表面に合致すべく所定インプラントが行うこともある撓曲の量を最小化する。故に、関節結合表面の歪曲は最小限である。
【0084】
使用に際し、切除された大腿顆は未硬化の骨用セメントにより覆われる。骨用セメントが硬化するまで、大腿骨インプラントは切除された大腿顆に対して載置され且つ負荷される。
【0085】
上記大腿顆を調製する好適方法は、脛骨を切削カッタに対する支持部として使用する。膝関節の柔軟組織構造は、大腿顆の全体に亙りカッタを移動する動作の経路を提供する。膝関節の運動特性は、良好に理解されて定義される。この手法は必然的に、患者毎の柔軟組織構造および骨性構造の相違に依存して大腿顆へと加工された固有形状に帰着する。
【0086】
代替実施例においては、各大腿顆は隆起形成され且つ所定サイズとされ得る。各インプラントは、複数の構成要素170から構成される。各構成要素170は、インプラントと支持骨との間の空間を充填する注入材として作用する骨用セメントにより所定位置にセメント固定される。骨用セメントは、2ミリメートルまでの厚みで塗付されたときに長期のインプラント安定性を提供することが示されている。故に一連のインプラント・サイズは、予見される大腿顆サイズの範囲および予見される形状の相違を網羅する。
【0087】
本発明の好適実施例が記述されたが、発明の精神および添付の各請求項の有効範囲から逸脱せずに種々の変更、適合および改変が為され得ることは理解すべきである。
【0088】
股関節部の解剖学的構造および外科的手法:図47は、股関節部の概略的な解剖学的構造、ならびに、近位大腿骨202および寛骨臼204を露出する股関節部に対する典型的な外科的手法200を示している。習用の全体的股関節置換においては、股関節部に対して概略的に4通りの外科的手法がある。これらは、転子骨切りなしの後部手法、転子横断手法、転子骨切りなしの前部手法、および、Smith-Peterson手法を含む。斯かる手法は、1998年にメリーランド州(MD)のJ.B.Lippincott社のエム・ダブリュ・チャップマン(M. W. Chapman)により編集された“整形外科手術学(Operative Orthopedics)”などの種々の整形外科文献に詳細に記述されている。これに加え、全体股関節形成術に対しては一般的に直接的外側手法が用いられる。股関節に対する最も一般的な外科的手法は後部からのものであり、且つ、分断される筋系としては、短寸の内部および外部回旋筋、大腿筋膜張筋、大腿方形筋、梨状筋、および、一定の場合には、中殿筋および小殿筋の一部、および、大臀筋が挙げられる。
【0089】
図48に示すように、最少侵襲的な全体股関節手術において切開206は典型的に6cmである。6cmもしくは2〜4インチは最少侵襲的な外科的切開に対して典型的な長さである一方、患者の生理機能、外科医の選好性および/または他の要因により一定の変形例があり得る。上記外科的手法は、単刀直入な切開により大臀筋を分離して、股関節部包と転子窩とに対するアクセスを実現する段階を包含する。筋肉分断は通常的に、転子窩における梨状筋腱の離脱に制限される。尚、記述された外科的手法に対しては、当業者が公知の変形例が在ることを銘記されたい。
【0090】
図48は、股関節部に対する最少侵襲的な外科的手法を示している。概略的な手法は後部からのものであり、分断される筋系は梨状筋腱の離脱を含む。上記切開は、大腿骨骨頭および寛骨臼を露出し、且つ、半球リーマ208、駆動機構210および大腿骨用ブローチ212の載置を可能とするに丁度十分なだけ大寸である。
【0091】
提供される最少侵襲的技術と対照的に全体的股関節置換手術は、大寸切開を介して股関節部を露出することで外科医に対し、股関節部および寛骨臼領域の完全視覚化と、手術用動力式器具に対するアクセスとを提供する段階を包含する。大腿骨骨頭が除去されて大腿管が拡孔かつ穴刳りされることで、股関節用ステムを支持する骨性表面が調製される。上記ステムは、セメント固定されるか骨性内方成長のために圧力嵌めされ得る。寛骨臼は、最も典型的には外科用ハンド・ドリルに取付けられた半球リーマを用いて軟骨組織を出血骨まで除去することで調製される。図52に示された外科的露出は概略的に8〜12インチ長さの範囲であり、股関節部を囲繞する柔軟組織の相当の損傷に帰着することもある。
【0092】
最少侵襲的寛骨臼用リーマ・システム(MIAR):図49に見られる如く股関節置換手術と共に用いられる本発明のMIARは、大腿骨試作物216と、(一体的もしくは別体的な)駆動機構218と、寛骨臼窩から軟骨組織および骨を除去する半球リーマ220もしくは類似デバイスとを備えたモジュール式もしくは非モジュール式の構造である。半球リーマ220または類似デバイスは(不図示の)取付構成要素を含むが、該構成要素は、大腿骨に対して直接的もしくは間接的に取付けられ、または、該取付部材自体が大腿骨に対して直接的もしくは間接的に取付可能な取付部材に対して取付けられる。大腿骨に対してMIARを直接的もしくは間接的に取付ることの論議は、大腿骨(もしくは大腿骨用構成要素)に対する上記リーマの直接的な取付け、または、大腿骨(または大腿骨用構成要素)に対して取付けられた取付部材に対するリーマによる取付けを包含すべく広範囲に解釈されるべきである。特にモジュール式構造としての上記拡孔システムによれば、小寸切開を介して各構成要素の載置が可能とされ、且つ、器具セットにおける構成要素の個数が最小化される。上記最少侵襲的処置において近位大腿骨は、習用の股関節形成術により必要な如く寛骨臼の調製の間において変位される必要はない。故に上記処置は、筋肉および腱の最小限の離脱のみを必要とすることから、近位大腿骨に取付いている筋肉および腱に対して必要な損傷は最小限である。本発明は全体的股関節置換に関して記述されるが、本発明は、機能を回復し且つ痛覚を緩和すべく関節結合する関節の表面が改変もしくは表面再形成されるという整形外科の全体に亙る用途を有する。上記MIARシステムはリーマ、ブローチまたは他の適切なデバイスなどのデバイスに対して繋止されもしくは該デバイス上に取付けられた駆動機構を用いるが、このデバイスは、一方の骨に対して固定されると共に、関節を切り詰めまたは関節を切り詰めの位置に載置して、半球リーマもしくは適切な骨彫成ツールにより、人工構成要素を受容する関節の対向側を調製すべく起動され得る。
【0093】
股関節部に関して大腿骨骨頭は、挿入されるべき股関節用ステムもしくはブローチを支持する骨性表面を調製すべく大腿管が拡孔かつ穴刳りされる以前もしくは以後に除去される。上記最少侵襲的な寛骨臼用リーマは、近位大腿骨に挿入されたブローチ、リーマ、試行的大腿骨用構成要素もしくは他のデバイスに対して取付けられる。上記MIARを近位大腿骨に対して直接的に取付けることは可能であるが、上記器具および大腿骨インプラントは好適な支持構造を提供する、と言うのも、ラスプ、ブローチ、試作物もしくはインプラントなどのこれらの器具は調製された骨性表面に密接に合致して、上記MIARが取付けられ得る堅固な金属構造を提供するからである。故に好適実施例において上記MIARは、近位大腿管内に固定された大腿骨用ブローチに対して直接的もしくは間接的に取付けられる。尚、本記述の全体に亙り、ラスプ(rasp)、試作物(trial)、ブローチ(broach)、インプラント(implant)およびステム(stem)は上記MIARシステムに関して互換可能に使用されることを銘記されたい。付加的実施例は、大腿骨、大腿骨試作物もしくは大腿骨インプラントに対する上記MIARの直接的な取付けを含む。MIARを大腿骨に対して直接的もしくは間接的に取付け、リーマ・ヘッドは寛骨臼内へと載置される。MIARは、大腿骨が位置決めされるにつれて軟骨組織および骨の除去を開始すべく起動される。手術を行う外科医は必要に応じて脚部を載置および/または移動することでMIARを制御し、寛骨臼の球状拡孔を行う。外科的索行が利用され得る。
【0094】
上記大腿骨試作物は、近位大腿骨のサイズ範囲に適合すべく一連のサイズで利用可能である。また上記半球リーマは、寛骨臼のサイズ範囲に適合すべく一連の直径で利用可能である。好適実施例において上記駆動機構は、各大腿骨試作物の間で且つ各半球リーマ間で交換可能である。代替実施例は、各大腿骨試作物に対するまたは試作物の各群に対する駆動機構を含む。上記試作物は、サイズに依り、または、左右に依りグループ分けされ得る。与えられた例は、大腿骨用ラスプに対して直接的もしくは間接的に取付けられたMIARに対するものである。上記駆動機構が大腿骨試作物または大腿骨インプラントに対して直接的もしくは間接的に取付けられるとき、類似の組み合わせが可能である。
【0095】
本発明に係る処置の例は以下の各段階を含む:調製された近位大腿骨内へと適切な大腿骨試作物が載置され;大腿骨試作物の近位側上に駆動機構が載置されるのに続き、適切なサイズの半球リーマが駆動機構上に載置され;股関節は切り詰められ且つ拡孔システムは寛骨臼を調製すべく起動される。もちろん、上記MIARがモジュール式でなければ、それはユニットとして載置され、股関節が切り詰められ、且つ、上記拡孔システムが起動される。
【0096】
図54に示すように一連のサイズで提供される寛骨臼用リーマ220は、駆動機構218に対する迅速な取付けを提供する支持プレート235にて駆動機構218に取付けられる。上記リーマは好適には、関節結合の間においてMIARと大腿骨との間の相対運動を防止すべく十分な安定性が提供される如く、大腿骨側に堅固に支持される。斯かる安定性は概略的に、ブローチ216、大腿骨試作物もしくは大腿骨インプラントを大腿管内に載置することで提供される。図49は、本発明に係るMIARの実施例を示している。
【0097】
MIARに対する支持は、大腿骨用ブローチ216により提供される。駆動機構218は、大腿骨用ブローチ216により支持される。図49は更に、大腿骨用ブローチ3216により支持された駆動機構ハウジング内に支持された駆動機構218の駆動シャフト240を示している。
【0098】
図51に示すように駆動機構218は、寛骨臼用リーマに対して回転もしくは揺動を伝達すべくウォーム238およびウォームギヤ236の組み合わせ、ベベルギア、平歯車、ベルトもしくはチェーン・ドライブまたは他の適切な機構を使用し得る。図50においてウォームギヤ236は駆動シャフト234に取付けられる一方、該駆動シャフトは(ウォームギヤの背後の)ウォームにより駆動される。ウォームおよびウォームギヤの組み合わせは、上記寛骨臼用リーマを駆動すべく使用され得るひとつの可能的な駆動機構のみを表し、且つ、限定的なものとしてで無く例示的であることが意図される。当業者に公知の他の任意の駆動機構が本発明と共に使用され得る。図51は、入力駆動シャフト240により支持されたウォーム238を示している。
【0099】
図53に示すように、駆動シャフト240に対しては可撓駆動ケーブル228が取付けられる。選択的に、上記駆動機構ハウジングに対して取付けられたスリーブは、外科的切開を貫通延在し得ると共に、外科的切開の外側にて可撓ケーブル221が取付けられた駆動シャフト240を含み得る。上記駆動機構により生成されたトルクは、該駆動機構と大腿骨試作物との間において回転停止部242(図8参照)により反動される。
【0100】
寛骨臼は、該寛骨臼内で半球リーマを回転もしくは揺動することで調製される。上記寛骨臼用半球リーマは、寛骨臼窩から軟骨組織および骨を除去するために用いられるリーマ、カッタまたは他のデバイスとされ得る。代替的に、組織を除去するレーザ、水噴流切削、超音波プローブ、化学的なもしくは他のデバイスなどの非機械的切削器具が使用され得る。本発明において斯かるデバイスは、デバイスを大腿骨に支持させ乍らのリーマの回転もしくは揺動を包含する。図52に示すように上記MIARは、リーマを駆動する内部動力源を備えた自給式とされ得るか、または、リーマを駆動する外部動力源を有し得る。同様にモータ222は、駆動機構の内部とされ得るか、または、適切なシャフトまたは接続を介して駆動機構にトルクを伝達し乍ら外部とされ得る。上記駆動機構は、ギヤ、カム、レバー、ベルトおよびプーリもしくはチェーンなどの機械的構成要素で構築され得る。上記リーマを駆動する上記駆動機構に対する動力源としては、油圧モータを駆動する流体、空気圧モータを駆動する気体、(大腿骨試作物と一体的な、または、該モータを駆動機構に接続する可撓駆動ケーブルを介した)電気モータを駆動する電気、ソレノイド、または、リーマに対して回転もしくは揺動を提供する他の適切な動力源が挙げられる。代替的に上記駆動機構は、手術用ドリルMidas RexおよびAnspaq高速ドリル/カッタなどの入手可能な手術用動力式器具により駆動され得る。斯かる機器は、空気圧およびバッテリ駆動形態で利用可能である。好適実施例において上記駆動機構は、可撓駆動シャフトを介してトルクを伝達する外部動力源により駆動される。代替的に上記動力源は、大腿骨試作物もしくはブローチ内に収納され得る。
【0101】
代替的に上記駆動機構は、試行的頚部を大腿骨試作物に対して取付ける全体股関節システムの種々の製造業者により提供される取付機構の任意のものと共に使用すべく構成され得る。故に上記取付けは、溝内の突起、孔内の突起、円錐状テーパ部、ネジ嵌合、または、螺条形成取付とされ得る。好適実施例において上記駆動機構は、上記MIARが使用されつつある全体股関節システムを備えた大腿骨試作物もしくはラスプ/試作物に対して取付けられるべく設計される。上記駆動機構の近位表面は、一連の寛骨臼用リーマ・サイズに適合する迅速取付機構を備えて設計される。
【0102】
別実施例において上記駆動機構は、大腿骨骨頭インプラントもしくはインプラント試作物を支持する大腿骨テーパ部(femoral taper)により支持される。上記大腿用ステム試作物は調製済み大腿管内に載置され、且つ、適切な大腿骨頚部試作物が上記ステム試作物上に載置される。上記駆動機構は上記大腿骨頚部試作物のテーパ部上に載置され、且つ、適切なサイズとされた寛骨臼用リーマは上記駆動機構に対して直接的もしくは間接的に取付けられる。選択的に、上記大腿用ステム試作物および大腿骨頚部試作物は一体的に形成され得る。この手法においては、大腿管が調製されると共に、適切なサイズとされた大腿用ステムが患者の大腿骨の解剖学的構造に基づいて選択される。調製された大腿骨内には大腿用ステム・インプラントが載置されると共に、適切なサイズとされた寛骨臼用リーマを備えた駆動機構が上記インプラント上に載置されて寛骨臼を調製する。
【0103】
代替実施例において上記駆動機構は、大腿骨試作物もしくは寛骨臼用リーマに対して一体的とされ得る。上記半球リーマはモジュール式であると共に、処置の間においてリーマ・サイズの変更を許容する。図52に見られる如く外科的使用において、この場合には油圧モータ222である一体的駆動機構を備えた適切な大腿骨用ブローチ216は調製された近位大腿骨内に載置され、且つ、適切なサイズとされた半球リーマ220は上記駆動機構を介して上記ブローチに対し直接的もしくは間接的に取付けられる。上記試行的ステムは、ブローチ216の近位側内に収納された駆動機構222を含む。上記ブローチ内の油圧モータとされ得る駆動機構222は駆動シャフト226および支持プレート235を回転すると、これらの駆動シャフトおよび支持プレートは寛骨臼用リーマ220を回転することで寛骨臼を調製する。代替的に図58に見られる如く、一体的な駆動機構218を備えた適切な寛骨臼用リーマ220は寛骨臼窩232内に載置されると共に、大腿骨試作物216に対して直接的もしくは間接的に取付けられる。股関節部が関節運動され(切り詰められ)ることにより、寛骨臼の調製が実施される。
【0104】
図49、図50、図51、図53および図54は、上記MIARシステムの一実施例において使用される機械的な駆動機構を示している。図53は、半球リーマ220を寛骨臼232と接触させて近位大腿骨230内に載置されたMIARを示している。図54は、MIARシステムの一実施例の分解図である。駆動機構222から遠位方向に延在する駆動シャフト234は受容孔254内へと通過することで、駆動機構222をブローチ216に取付ける。抗回転ピン242は受容孔256に係合することで、上記駆動機構とブローチとの間に安定性および回転抵抗を付加する。リーマ220は、駆動機構218の一部である支持プレート235に取付けられる。リーマ220の表面258は、支持プレート235に対して円錐形に固定される。
【0105】
更に別の実施例において上記寛骨臼用リーマは畳み込まれた状態で組立てられることで、MIARシステムを所定位置として股関節部の切り詰めを容易とし得る。上記寛骨臼用リーマは、大腿骨ハウジングから、または、MIARの駆動機構もしくはギヤ機構から延長される。この延長は、各要素間に載置される詰め金プレート(shim plate)、スペーサもしくは他の適切なデバイスなどの種々のデバイスにより達成され得る。代替的に上記MIARは、空気圧、送りネジ(lead screw)または他の動力源により延長され得る。上記MIARが延長される様式は本発明にとり重要でなく、任意の適切なデバイスもしくは方法が使用され得る。股関節の回りにおける関節包および/または他の柔軟組織要素により十分な抵抗が生じたとき、上記MIARは寛骨臼の骨調製を開始すべく起動される。寛骨臼の拡孔のプロセスは、柔軟組織要素の張設を介して生成される圧力により増進される。空気力を用いる例においては、まず気体圧力がMIAR構造を延長する。延長に対して特定量の抵抗が生じた後、空気圧は、上記寛骨臼用リーマを転回するトルクを生成する各要素に対して伝達される。
【0106】
最少侵襲的な寛骨臼衝撃システム:寛骨臼が調製されたなら、通常は骨用セメントもしくは圧力嵌めのいずれかにより、寛骨臼用インプラントが支持骨に対して固定される。セメント固定された寛骨臼用構成要素の場合、骨表面はインプラントのサイズに対して過剰寸法とされる。骨性表面およびインプラントは、骨用セメントにより覆われる。上記インプラントは寛骨臼内に載置されて所定位置へと加圧されることで、寛骨臼用構成要素と支持骨との間に骨用セメントの均一層を形成する。圧力嵌め式の寛骨臼用構成要素の場合、骨表面はインプラント・サイズに対して輪郭対応(line-to-line)もしくは小寸サイズとされる。上記インプラントは、上記支持骨内の所定位置へと衝撃される。標準的な全体股関節手術においては、寛骨臼用構成要素を衝撃すべく一般的には直線状ハンドル付き衝撃器が用いられる。習用の全体股関節手術において典型的に用いられる相当の露出は、寛骨臼に対して衝撃器を整列するための間隙を提供する。ところが最少侵襲的な全体的股関節置換の場合には切開が小寸すぎて、標準的な直線状ハンドル付き衝撃器の適切な配向が許容されない。標準的な衝撃器を使用するには、寛骨臼に対して正しい配向で衝撃器を筋肉および組織に貫通させるべく、第2の切開を作成する必要がある。寛骨臼用構成要素は、通常機能を提供すべく且つ股関節部の転位を防止すべく、適切に位置決めされねばならない。しかし第2の切開を作成して更なる筋肉を分断することは、最少侵襲的処置の目標に反する。故に、最少侵襲的切開を介して寛骨臼用構成要素を衝撃するデバイスが必要とされる。一実施例において本発明は、大腿骨試作物に対して直接的もしくは間接的に取付けられ且つインプラントを適切に着座させる衝撃力を提供すべく設計されたデバイスを含む。また、種々の寛骨臼用構成要素およびそれを載置する方法が使用され得る。寛骨臼内に植設するための例示的構成要素としては、限定的なものとしてで無く、セメント固定されたシェルまたは圧力嵌めカップが挙げられる。
【0107】
図56に見られる如く上記衝撃デバイスは好適には、大腿骨用ブローチ216に取付け可能な空気圧衝撃ハンマ260と、寛骨臼用構成要素のシェル252に取付けられる選択的な取付構成要素とを含む。衝撃デバイス260および寛骨臼用構成要素252は独立して手術部位に載置されると共に、手術部位にて組立てられ得る。代替的に衝撃デバイス260および寛骨臼用構成要素252は、該衝撃デバイスをブローチ216上に載置するに先立ち組立てられ得る。上記寛骨臼用シェルは上記衝撃器に対して直接的もしくは間接的に取付けられ且つ上記衝撃器は大腿骨用ブローチに対して固定されて、上記シェルは股関節部を切り詰めることで寛骨臼内に載置される。上記ブローチ、大腿骨および脚部の塊状体は、上記衝撃デバイスの力を相殺する平衡錘の役割を果たす。上記衝撃デバイスに対しては、切開の外側に延在する接続シャフトであって衝撃力に対する錘もしくは外部抵抗に取付けられる接続シャフトを介して、付加的な平衡錘が直接的もしくは間接的に取付けられる。
【0108】
上記衝撃デバイスは、空気圧衝撃ハンマ、油圧ピストン、リニア・アクチュエータもしくはソレノイド、電気機械的デバイス、スプリング起動式デバイス、または、他の任意の適切な力生成機構により動力供給され得る。上記動力源は、手術部位の外側に由来しても良く、または、衝撃デバイスと一体的とされ得る。代替策として、最少侵襲的切開を介してのアクセスを許容すべく角度付けされたハンドルを備えた携帯式衝撃器が寛骨臼用構成要素を衝撃すべく使用され得る。好適実施例において上記衝撃器は、図67に示すようにシングルエンド形の空気駆動ピストンおよびシリンダである。衝撃器ハウジング268の背面292は、前述のブローチに取付けられるべく構成される。上記ハウジング内には、主要シリンダ294内を進行する主要ピストン282が在る。(示された)引込位置においては、主要ピストン282における保持溝288に対して二次的ピストン280のプッシュ・ロッド286が係合する。二次的ピストン280は、二次的スプリング278により延伸位置に保持される。上記システムを蓄力すべく、主要ピストン282の背後に対する主要管284を介して空気圧が付与される。主要ピストン282は、二次的ピストン280のプッシュ・ロッド286により所定位置に保持される。空気圧は二次的管276に対して付与されることで、主要ピストン282の保持溝288から上記プッシュ・ロッドおよび二次的ピストン280を引張り出すことで主要ピストン282を解除し、シリンダ298の頂面を衝撃する。上記衝撃力は、衝撃器ハウジング268を介して伝達され、カップ・アダプタ264を介して(不図示の)寛骨臼用シェルへと送給される。カップ・アダプタ264は、上記寛骨臼用シェルに係合する螺条形成端部290を有する。カップ・アダプタ264の他端は、衝撃器ハウジング268の頂面上の交合隆起部270に嵌装されるボックス形状凹所300を有する。
【0109】
衝撃サイクルの後、主要管284の圧力は解除されると共に、主要ピストン282は戻しスプリング274により引込位置へと戻される。主要ピストン282がその引込位置に在るとき、二次的管276に対する空気圧は解除されると共に、二次的ピストン280は二次的戻しスプリング278により固定位置へと押し戻される。主要管284に対しては圧力が再付与されることで上記衝撃器は蓄力されると共に、上記サイクルは反復される。
【0110】
外科的使用において、カップ衝撃器260およびブローチは手術部位の外部で組立てられてから、調製済みの近位大腿骨内に載置され得る。代替的に、まず上記ブローチが近位大腿骨内に載置されてから、カップ衝撃器260が該ブローチに取付けられても良い。カップ衝撃器260を所定位置として、カップ・アダプタ264はカップ・インプラントに取付けられ、且つ、上記アダプタにおける凹所300は上記カップ衝撃器の頂部上の交合隆起部270上に載置される。股関節部は切り詰められ、寛骨臼用シェルが寛骨臼内に載置される。骨盤に関して上記シェルを外科医が適切に配向するのを助力すべく、上記カップ衝撃器に対しては(不図示の)整列案内要素が取付けられる。代替的に、上記カップ衝撃器および寛骨臼を基準とすることで上記寛骨臼用シェルを位置決めすべく外科的索行システムが使用され得る。所定位置とされたなら上記シェルは、上記カップ衝撃器をトリガすることで連続的衝撃により寛骨臼内へと衝撃される。好適実施例において、上記トリガは1回の衝撃を放出し、次にカップ衝撃器は必要に応じて更なる衝撃に対してリセットされる。代替実施例において上記トリガは、該トリガが作動する存続時間に対して連続的な衝撃を放出する。
【0111】
勿論、上記衝撃デバイスは寛骨臼用構成要素以外のインプラントを載置する際の使用にも適している。上記衝撃デバイスは一切の関節置換においてインプラントを第2骨内に着座させるために使用可能であり、その場合にインプラントは上記衝撃デバイス上に載置され、第2骨と整列され、且つ、該インプラントに対しては第1骨および第2骨により反動される力が与えられる。
【0112】
MIARに対する典型的な手術処置は以下の如くである:示された機器装備を用い、寛骨臼の関節結合表面は患者の個々の生理機能に従い、寛骨臼に関して大腿骨を関節運動させることで彫成され得る。上記方法は、大腿骨試作物ステムなどの骨用取付部材に直接的もしくは間接的に取付けられた骨彫成ツールを有する装置を配備する段階と、上記ツールを寛骨臼に対して骨彫成係合させて上記取付部材を大腿骨に対して堅固に取付ける段階と、次に関節に関して大腿骨を関節運動させることで寛骨臼を彫成する段階とを包含する。
【0113】
股関節部はソケット継手内のボールであることから、上記MIARを支持し乍ら大腿骨を回転させると、寛骨臼の球状調製に帰着する。代替的に、適切なリーマおよび駆動機構を有する上記MIARは寛骨臼内に載置され、大腿骨を回転せずに骨を除去し得る。
【0114】
好適実施例において転子窩は、筋肉の最小限の分断と、転子および周囲領域に対する腱の最小限の挿入とにより、外科的にアクセスされる。上記手法は、中殿筋および小殿筋の後部境界にて、縫工筋と直筋との間の間隔の前部にて行われ、または、直接的な外側露出とされ得る。股関節は、後側手法が用いられるならば後方へと転位され、または、外側もしくは前側手法が用いられるならば前方へと転位され得る。代替的に、股関節は切り詰められたままとされる一方で大腿管が調製され且つ大腿骨頚部が切除される。
【0115】
大腿骨頚部は切除され且つ大腿骨骨頭は除去される。上記切除および除去は、揺動鋸などの習用の切削デバイスにより実施され得る。大腿骨は、大腿管を切開と整列すべく配向される。大腿管は、順次的な拡孔および穴刳りを用いて調製される。骨調製は、用いられる特定の全体股関節用ステムに対して固有の技術に関すると共に、外科医の判断である。
【0116】
大腿骨内には、適切に寸法設定された大腿骨試作物が載置される。上記駆動機構は、上記大腿骨試作物に対して直接的もしくは間接的に取付けられる。好適には上記駆動機構は、大腿骨試作物上に直接的に取付けられるべく設計される。
【0117】
上記寛骨臼用リーマは、上記駆動機構に対して直接的もしくは間接的に取付けられる。適切な寛骨臼用リーマは外科医により選択される。外科医は、最も適切に寸法設定された寛骨臼用リーマを選択する手掛かりとして、除去された大腿骨骨頭の直径を測定することを選択し得る。外科医はまた、外科的索行の使用を選択することもある。
【0118】
股関節部は切り詰められ、且つ、股関節は上記駆動機構および寛骨臼用リーマを所定位置とし乍ら関節運動される。股関節の回りにおいて柔軟組織要素を適切に張設すべく、MIAR構造の伸張が選択的に実施される。寛骨臼を調製すべく、上記駆動機構が起動される。必要であれば大腿骨は前進され乍ら股関節部が操作されることで、寛骨臼の球状的で均一な拡孔が確実とされる。寛骨臼用リーマの配向および深度をチェックすべく、撮像が使用され得る。
【0119】
外科医の判断にて、拡孔の深度および均一性は処置の間に定期的にチェックされ得る。これは、股関節を転位させ、リーマを取り外し、且つ、照射デバイスおよび潅流デバイス(または組み合わせ式照射/潅流デバイス)を大腿骨試作物に取付けることで行われ得る。股関節は上記照射デバイスおよび潅流デバイスを所定位置として切り詰められ、手術部位は潅流および吸引により清浄化される。次に、寛骨臼の調製済表面が検査され得る。検査の後、上記照射デバイスおよび潅流デバイスは取り外され、上記駆動機構およびリーマが置換えられる。代替的に、拡孔の深度は股関節部の螢光透視法撮像下で評価されても良い。
【0120】
寛骨臼を調製するための股関節部の関節運動は、適切なサイズに到達するまで順次的に大寸のリーマにより反復され得る。更に、サイズおよび調製は、必要に応じて照射デバイスおよび潅流デバイスを以てチェックされ得る。適切なサイズに到達したなら、上記寛骨臼用リーマおよび駆動機構は取り外される。
【0121】
寛骨臼の調製後、適切な寛骨臼用構成要素が植設される。適切な寛骨臼用構成要素は事前選択され得るか、寛骨臼の外科的調製後に選択され得る。所望の構成要素がセメント固定カップであれば、該カップは所定位置にセメント固定される。
【0122】
もし所望の構成要素が圧力嵌めカップであれば、カップ衝撃器が上記ブローチに取付けられると共に、調製済近位大腿骨内に載置される。代替的に、先ずブローチが調製済み大腿管内に載置されてから、カップ衝撃器が上記ブローチに取付けられ得る。寛骨臼用シェルは、上記カップ・アダプタに取付けられて上記カップ衝撃器上に載置される。股関節部が切り詰められると共に、上記シェルが寛骨臼窩内に位置される。衝撃の間において外科医が上記シェルを適切に配向するのを助力すべく、上記カップ衝撃器に対しては整列案内要素が取付けられる。上記カップ衝撃器はトリガされることで、上記シェルを衝撃する。圧力嵌めカップを載置する代替的技術は、撮像案内式手術、または、切開から突出する整列デバイスを使用することもある。上記案内システムは、上記カップを適切な配向へと前進させるために用いられる。最少侵襲的寛骨臼用衝撃器(MIAI)が起動され、上記カップを寛骨臼内に確実に着座させる。技術の如何に関わらず、上記圧力嵌めカップの載置後に上記衝撃デバイスは取り外される。代替的に、衝撃の間において上記カップもしくはカップ衝撃器を位置決め、整列および監視すべく、外科的索行システムが使用され得る。カップ監視は、カップ着座およびカップ整列を表示すべく、寛骨臼の調製後およびカップの載置前において外科的索行システムにより捕捉された解剖学的目印に対するカップ位置のリアルタイム評価を含む。
【0123】
上記シェル内には寛骨臼ライナが載置されると共に、大腿骨試作物上には試作的な大腿骨頚部および骨頭が載置される。動作の範囲および股関節安定性がチェックされると共に、適切な大腿骨インプラントが選択される。上記大腿骨試作物は取り外されると共に、製造業者の仕様により大腿骨用構成要素が植設される。
【0124】
故に、第2骨に対して通常的に関節結合する第1骨の関節結合表面を最少侵襲的に彫成する装置および方法が提供される。一実施例においては、脛骨が大腿骨に関して関節運動されるにつれて大腿骨を彫成すべく脛骨上に骨彫成ツールが配備される。別実施例においては、大腿骨上に骨彫成ツールを配備し、該骨彫成ツールを大腿骨に対して整列し、且つ、寛骨臼の表面を上記骨彫成ツールに対して係合させることで、寛骨臼が彫成される。
【0125】
本発明の有効範囲内において、当業者に公知の付加的構成要素もしくは段階が実施され得る。更に、本発明の有効範囲内において、列挙された段階もしくは構成要素のひとつ以上は処置において実施される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】膝部関節の平面図である。
【図2】全体的膝関節置換手術の間に膝部関節にアクセスする習用の正中切開を示す図である。
【図3】全体的膝関節置換手術の間において膝部関節にアクセスすべく本発明の方法および装置と共に用いられ得る切開を示す図である。
【図4】全体的膝関節置換手術の間において膝部関節にアクセスすべく本発明の方法および装置と共に用いられ得る代替的な切開を示す図である。
【図5】本発明の一実施例に従い脛骨プラトーに生成されたキャビティの断面図である。
【図6】本発明の一実施例に従い脛骨プラトーに切除部を生成する器具の平面図である。
【図7】図6の器具の端面図である。
【図8】本発明の第2実施例に従い脛骨プラトーに切除部を生成する器具の平面図である。
【図9】図8の器具の端面図である。
【図10】本発明に従い形成された脛骨切除部の平面図である。
【図11】図10に示された切除部の平面図である。
【図12】図10に示された各切除部の内のひとつの切除部の断面図である。
【図13】脛骨切除部に取付けられた切削要素を有する本発明の一実施例の平面図である。
【図14】本発明の代替実施例に従いモータに接続された図13の切削要素の一形態の側面図である。
【図15】本発明の一実施例に従い油圧モータにより駆動される切削要素の代替的な図である。
【図16】本発明の一実施例に従い油圧モータにより駆動される切削要素の代替的な図である。
【図17】本発明の代替実施例に従い油圧モータにより駆動される切削要素の代替的な図である。
【図18】本発明の代替実施例に従い油圧モータにより駆動される切削要素の代替的な図である。
【図19】本発明の一実施例に係る切削要素の端面図である。
【図20】図19の切削要素の側面図である。
【図21】本発明の第2実施例に係る切削要素の端面図である。
【図22】図21の切削要素の側面図である。
【図23】本発明の第3実施例に係る切削要素の端面図である。
【図24】図23の切削要素の側面図である。
【図25】本発明の第4実施例に係る切削要素の側面図である。
【図26】図25の切削要素の端面図である。
【図27】図25の切削要素の断面図である。
【図28】本発明の第5実施例に係る切削要素の端面図である。
【図29】単一の切削要素による図28の切削要素の断面図である。
【図30】複数の切削要素による図28の切削要素の断面図である。
【図31】本発明の実施例に係る膝部関節の関節結合の運動特性を示す図である。
【図32】本発明の実施例に係るヒンジ機構により連結された2個の切削要素の平面図である。
【図33】図32のヒンジ機構により連結された2個の切削要素の代替的状態の平面図である。
【図34】本発明の別実施例に係るヒンジ機構により連結された2個の切削要素の平面図である。
【図35】図34の切削要素の平面図である。
【図36】本発明の実施例に従い膝部関節内で展開されたヒンジ機構により連結された2個の切削要素の平面図である。
【図37】本発明の一実施例に係る切削要素および伸延器の断面図である。
【図38】図37の切削要素の平面図である。
【図39】本発明の実施例に従い膝部関節内で展開された伸延器の平面図である。
【図40】本発明の実施例に従い作成された大腿骨切除部の平面図である。
【図41】本発明の代替実施例に従い作成されて大腿骨インプラントを含む大腿骨切除部の平面図である。
【図42】本発明の更に別の実施例に従い作成されて大腿骨インプラントを含む大腿骨切除部の平面図である。
【図43】本発明の実施例に従う脛骨用基板の代替実施例の平面図である。
【図44】本発明の実施例に従い図38kの大腿骨切除部を表面再形成する大腿骨インプラントの平面図である。
【図45】本発明の実施例に従い図41の大腿骨切除部を表面再形成する大腿骨インプラントの平面図である。
【図46】本発明の実施例に係る大腿骨インプラントの平面図である。
【図47】股関節の解剖学的構造および全体的股関節置換に対する習用の露出を示す図である。
【図48】リーマによる最少侵襲的な全体的股関節置換に対する露出を示す図である。
【図49】本発明の一実施例に係る最少侵襲的な寛骨臼用リーマを示す図である。
【図50】本発明の一実施例に係る最少侵襲的な寛骨臼用リーマの矢状面における断面図である。
【図51】本発明の一実施例に係る最少侵襲的な寛骨臼用リーマの横方向平面における断面図である。
【図52】本発明の更なる実施例に係る一体的油圧駆動器を備えた最少侵襲的な寛骨臼用リーマを示す図である。
【図53】本発明の更なる実施例に係るウォームギヤ駆動機構を備えた最少侵襲的な寛骨臼用リーマを示す図である。
【図54】本発明の一実施例に係る最少侵襲的な寛骨臼用リーマの分解図である。
【図55】本発明のひとつの見地に従う手術部位の照射、視覚化、潅流および吸引を示す図である。
【図56】本発明の一実施例に係る最少侵襲的な衝撃システムを示す図である。
【図57】本発明の一実施例に係る最少侵襲的衝撃器の詳細図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1骨の担持表面を擬態して置き換わるべく構成された複数の構成要素から作成された第1骨用インプラントと、
第2骨の担持表面を擬態して置き換わるべく構成された第2骨用基板とを備え、
上記第1骨用インプラントおよび上記第2骨用基板の各構成要素は上記第1骨と上記第2骨との間の関節腔の境界内において接合される、
第1骨は第2骨に対して所定様式で通常的に関節結合するという第1骨と第2骨との間の関節の表面を置き換える装置。
【請求項2】
前記第1骨用インプラントおよび前記第2骨用基板の複数の構成要素は前記関節腔の境界内において相互に対して整列かつ配向される請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記基板は複数の基板構成要素を更に備えて成る請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1骨用インプラントは2個の構成要素から成る請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第1骨用インプラントは3個の構成要素から成る請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記第1骨は大腿骨であり且つ前記第2骨は脛骨であり、且つ、
前記第1骨用インプラントは大腿骨インプラントであり且つ前記第2骨用基板は脛骨用基板である請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記基板は単一片として構成される請求項1または6に記載の装置。
【請求項8】
前記基板は、固定担持部取付具およびそれに取付けられた担持部と、可動担持部取付具およびそれに取付けられた担持部とを更に備えて成る請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記基板は脛骨の内側および外側区画に対する別体の基板構成要素を含む請求項6記載の装置。
【請求項10】
前記基板構成要素の少なくとも一個は固定担持部である請求項3または9に記載の装置。
【請求項11】
前記基板構成要素の少なくとも一個は可動担持部である請求項3または9に記載の装置。
【請求項12】
前記各基板構成要素は固定担持部および可動担持部の組み合わせである請求項3または9に記載の装置。
【請求項13】
前記大腿骨インプラントは内側顆を表面再形成する第1構成要素と外側顆を表面再形成する第2構成要素とを備える請求項6記載の装置。
【請求項14】
前記第2構成要素は膝蓋骨溝も表面再形成する請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記大腿骨インプラントは、内側顆を表面再形成する第1構成要素と、外側顆を表面再形成する第2構成要素と、膝蓋骨溝を表面再形成する第3構成要素とを備える請求項6記載の装置。
【請求項16】
支持のために前記インプラントの各構成要素上の中央に配置されたフィンを更に備えて成る請求項1または6に記載の装置。
【請求項17】
各構成要素は植設のために前記第1骨内に打ち込まれるフィンを更に備えて成る請求項1または6に記載の装置。
【請求項18】
各構成要素は内面および外側面を有し、且つ、上記内面は複数の可撓セグメントから成る請求項1から6の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項19】
前記複数のセグメントは関節結合表面に対して結合される請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記外側面はインプラント等級材料の薄寸体である請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記可撓セグメントをセメント固定する硬化可能流体を更に備えて成る請求項18記載の装置。
【請求項22】
前記硬化可能流体は各構成要素上に被覆される請求項21記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【公開番号】特開2008−110244(P2008−110244A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16747(P2008−16747)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【分割の表示】特願2003−504843(P2003−504843)の分割
【原出願日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願人】(504148125)アレクサンドリア リサーチ テクノロジーズ,リミティド ライアビリティー カンパニー (4)
【Fターム(参考)】