説明

関節形成術を受ける関節のコンピュータモデルを生成する際の画像セグメント化のためのシステムおよび方法

関節形成術を受ける関節のコンピュータモデルを生成する際の画像セグメント化のためのシステムおよび方法が開示される。いくつかの実施形態は骨の画像を複数の領域に区分する方法を含んでもよく、その方法は、骨の複数の体積画像スライスを獲得する行為と、骨に関連する複数のスプライン曲線を生成する行為と、複数のスプライン曲線の少なくとも1つが骨の表面に追従することを検証する行為と、複数のスプライン曲線の少なくとも1つに基づいて3Dメッシュ表示を作成する行為とを含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2008年4月30日出願の米国仮特許出願第61/126,102号「関節形成術を受ける関節のコンピュータモデルを生成する際の画像セグメント化のためのシステムおよび方法」の優先権を主張し、かつ、2009年4月14日出願(速達便番号第EV681 612 934 US)の米国非仮特許出願第12/______号「関節形成術を受ける関節のコンピュータモデルを生成する際の画像セグメント化のためのシステムおよび方法」の優先権を主張する。これらの出願はどちらも、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、画像セグメント化に関する。特に、本発明は、関節形成術を受ける関節のコンピュータモデルを生成する際の画像セグメント化に関し、そのコンピュータモデルは関節形成術用ジグを設計および製造する際に使用可能である。
【背景技術】
【0003】
長年の間繰り返し使用されると、骨および関節は損傷または磨耗することがある。例えば、骨および関節に繰り返しかかるストレス(例えば、運動によるもの)、外傷、および何らかの疾患(例えば、関節炎)によって、普通はクッション効果を提供する関節範囲の軟骨が磨耗することがある。軟骨の磨耗の結果、関節範囲に水がたまる、痛み、凝り、および移動性の低下が起こることがある。
【0004】
関節形成術処置を使用して損傷した関節を修復することができる。通常の関節形成術処置の際、関節炎または他の原因で機能不全になった関節を作り変えたり元の状態に戻したりしてもよく、またインプラントを損傷した領域に移植してもよい。関節形成術処置は、膝、股関節、肩、または肘といった任意の数の異なる領域で行ってもよい。
【0005】
関節形成術処置の一種に、損傷した膝関節をプロテーゼインプラントに交換する全膝関節形成術(「TKA」)がある。膝関節は、例えば、関節炎(例えば、重篤な骨関節症または変性性関節炎)、外傷、または稀少な破壊的な関節の疾患によって損傷されたものでありうる。TKA処置の際、大腿骨の遠位領域の損傷した部分を除去して金属シェルに交換してもよく、脛骨の近位領域の損傷した部分を除去して、金属ステムを有するプラスチックの溝付き部片に交換してもよい。TKA処置によっては、膝蓋の状態に応じて膝蓋の表面の下にプラスチックのボタンを追加してもよい。
【0006】
損傷した領域に移植されたインプラントは損傷した領域に支持構造を提供することがあり、損傷した領域の回復を助け、それによってその機能を向上させることがある。損傷した領域にインプラントを移植する前に、損傷した領域がインプラントを受け入れる準備をすることがある。例えば、膝の関節形成術処置では、大腿骨および/または脛骨といった膝の範囲の1つ以上の骨を処置(例えば、切削、ドリル、リームおよび/または表面の更新)して、インプラントと整合しそれによってインプラントに対応可能な1つ以上の表面を提供することがある。
【0007】
インプラント整合の精度は、TKA処置の成功にとって重要な要因である。1〜2ミリメートルの平行移動の不整合、または1〜2度の回転の不整合の結果靭帯の不均衡が生じることがあり、それによってTKA処置の成果に大きく影響することがある。例えば、インプラントの不整合の結果、耐えがたい術後の痛みを生じることがあり、また患者は脚を完全に延ばしたり安定した足の屈曲をしたりするのができなくなることがある。
【0008】
正確なインプラントの整合を達成するため、骨の任意の領域を処置(例えば、切削、ドリル、リーム、および/または表面の更新)する前に、処置を行う場所および処置の方向を正しく決定することが重要である。方法によっては、関節形成術用ジグを使用して、切削、ドリル、リーム、または表面の更新用器具といった仕上げ器具を、骨の領域上で正確に位置決めおよび方向付けすることがある。関節形成術用ジグは、例えば、こうした器具を受け入れるように構成された1つ以上の開口および/またはスロットを含む。
【0009】
関節の劣化前の整合状態を回復する関節形成術処置を外科医が正確かつ迅速に実行できるようにして、この処置の成功率を改善するように構成された、カスタマイズ型関節形成術用ジグを製造するためのシステムおよび方法が開発されている。すなわち、カスタマイズ型関節形成術用ジグは、処置(例えば、切削、ドリル、リーム、および/または表面の更新)の対象となる骨の領域を対として受け入れるようにインデックスを付けられる。カスタマイズ型関節形成術用ジグはまた、骨の領域に対して処置の正しい位置と方向を提供するようにインデックスを付けられる。カスタマイズ型関節形成術用ジグにインデックスを付けることによって骨の領域の処置を迅速に高い精度で行うことができるので、インプラントによって患者の関節を一般に劣化前の状態に回復できるようになる。しかし、カスタマイズ型ジグを作成するためのシステムおよび方法は、コンピュータ画面上の骨モデルを「目視」してカスタマイズ型ジグを作成するために必要な設定を決定する人間に依存する事が多い。このコンピュータ画面上の骨モデルの「目視」または手動操作は非効率的で、カスタマイズ型関節形成術用ジグを製作に関連する時間、マンパワーおよびコストを不必要に増大する。さらに、手動によるアプローチが少ないほど結果として得られるジグの精度が改善されることがある。
【0010】
カスタマイズ型関節形成術用ジグの作成に関連する労力を低減するためのシステムおよび方法に対する必要が当業技術分野に存在している。また、カスタマイズ型関節形成術用ジグの精度を向上するためのシステムおよび方法に対する必要が当業技術分野に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願第11/656,323号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/146,862号明細書
【特許文献3】米国特許出願第11/642,385号明細書
【特許文献4】米国特許出願第11/959,344号明細書
【発明の概要】
【0012】
関節形成術を受ける関節のコンピュータモデルを生成する際の画像セグメント化のためのシステムおよび方法が開示される。いくつかの実施形態は骨の画像を複数の領域に区分する方法を含んでもよく、その区分する方法は、骨の複数の体積画像スライスを獲得する行為と、骨に関連する複数のスプライン曲線を生成する行為と、複数のスプライン曲線の少なくとも1つが骨の表面に追従することを検証する行為と、複数のスプライン曲線の少なくとも1つに基づいて三次元(3D)メッシュ表示を作成する行為とを含んでもよい。
【0013】
他の実施形態はモデル骨の表示を生成する方法を含んでもよく、その表示を生成する方法は、複数のスライスとして表示の画像スキャンを獲得する行為と、複数中の各スライスを1つ以上のセグメント化曲線にセグメント化する行為と、表示のメッシュを生成する行為と、骨の接触範囲が連続する画像スキャンの間で安定する範囲を含むように複数中の各スライスを調整する行為と、アンカーセグメント化がモデル骨の表示の境界に追従するようにアンカーセグメント化を生成する行為とを含んでもよい。
【0014】
他の実施形態はモデル骨の表示を使用して目標骨をセグメント化する方法を含んでもよく、その目標骨をセグメント化する方法は、表示のセグメント化形式を目標骨の画像スキャンに位置合わせする行為と、目標骨の境界の近くの表示のセグメント化形式の位置合わせを改良する行為と、表示のセグメント化形式からメッシュを生成する行為と、メッシュと目標骨の画像スキャンからの1つ以上のスライスとの交点に近似する複数のスプライン曲線を生成する行為とを含んでもよい。
【0015】
他の実施形態はモデル骨の表示を目標骨の画像スキャンにマッピングする方法を含んでもよく、そのマッピングする方法は、平行移動変換を使用して表示の生成された部分を目標骨の画像スキャンに位置合わせする行為と、相似性変換を使用して表示の生成された部分を目標骨の画像スキャンに位置合わせする行為と、アフィン変換を使用して表示の境界部分を目標骨の画像スキャンに位置合わせする行為と、スプライン変換を使用して表示の境界部分を目標骨の画像スキャンに位置合わせする行為とを含んでもよい。
【0016】
他の実施形態は目標骨の画像とモデル骨の表示との間の対応の度合いを決定するための方法を含んでもよく、その対応を決定する方法は、位置合わせすべきモデル骨の表示中の複数のサンプル点を選択する行為と、複数のサンプル点を複数のグループに区分する行為と、目標骨の画像をサンプリングする行為と、複数中の各グループについて目標骨の画像とモデル骨の表示との間のボクセル輝度の相関を決定する行為と、複数中の各グループについて決定された相関を平均する行為とを含んでもよい。
【0017】
他の実施形態はモデル骨の表示から目標骨への位置合わせを改良するための方法を含んでもよく、その改良する方法は、アンカーセグメント化メッシュを変換する行為と、変換されたアンカーセグメント化メッシュの周囲の複数の無作為点を生成する行為と、複数中の各点が、インダーク−アウトライト(InDark−OutLight)、インライト−アウトダーク(InLight−Outdark)、またはダーク−イン−ライト(Dark−In−Light)といったメッシュの1つ以上の内部にあるかを決定する行為と、複数の点の1つ以上が変換されたアンカーセグメント化メッシュの表面の閾値距離内にあるか否かを決定する行為と、点がインダーク−アウトライト、インライト−アウトダーク、またはダーク−イン−ライトメッシュ内にあるか否かに応じて複数中の各点を暗い点または明るい点として追加する行為とを含んでもよい。
【0018】
また他の実施形態は目標骨の対象特徴の表面を描くスプライン曲線を生成するための方法を含んでもよく、そのスプライン曲線を生成する方法は、特徴表面の3Dメッシュモデルと目標データの1つ以上のスライスとを交差させる(交点はポリライン曲線を定義する)行為と、ポリライン曲線を長さおよび接線変化の関数としてパラメータ表示する行為と、長さおよび接線のパラメータ表示の加重和を計算する行為と、計算行為の結果を使用してポリラインをサンプリングする行為とを含んでもよい。
【0019】
多数の実施形態が開示されるが、本発明のさらなる他の実施形態が、本発明の例示実施形態を図示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるだろう。認識されるように、本発明は本発明の精神および範囲から一切逸脱することなく様々な態様で修正が可能である。したがって、図面および詳細な説明は例示的な性質のものであって制限的なものではないと解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本出願に開示される自動ジグ製造方法を利用するシステムの概略図である。
【図1B】本出願に開示されるジグ製造方法の概要を示すフローチャート図である。
【図1C】本出願に開示されるジグ製造方法の概要を示すフローチャート図である。
【図1D】本出願に開示されるジグ製造方法の概要を示すフローチャート図である。
【図1E】本出願に開示されるジグ製造方法の概要を示すフローチャート図である。
【図1F】カスタマイズ型関節形成術用大腿骨ジグの例の底面透視図である。
【図1G】カスタマイズ型関節形成術用大腿骨ジグの例の上面透視図である。
【図1H】カスタマイズ型関節形成術用脛骨ジグの例の底面透視図である。
【図1I】カスタマイズ型関節形成術用脛骨ジグの例の上面透視図である。
【図2A】同様の画像輝度の大腿骨および脛骨ならびに隣接組織領域を示す矢状面画像スライスである。
【図2B】隣接画像スライスからスライス中に延びる領域を示す矢状面画像スライスである。
【図2C】画像スライスにほぼ正接する大腿骨の領域を示す矢状面画像スライスである。
【図3A】スライス全体にわたる輝度の勾配を示す矢状面画像スライスである。
【図3B】スライス全体にわたる別の輝度の勾配を示す矢状面画像スライスである。
【図3C】スライス全体にわたる別の輝度の勾配を示す矢状面画像スライスである。
【図4A】ノイズレベルの高い矢状面画像スライスを示す。
【図4B】ノイズレベルの低い矢状面画像スライスを示す。
【図5】大腿骨および脛骨の自動セグメント化の際良好な鮮明度が必要とされうる領域を示す大腿骨および脛骨の矢状面画像スライスである。
【図6】患者の膝関節の画像モダリティスキャンの自動セグメント化のための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図7A】セグメント化された大腿骨の矢状面画像スライスである。
【図7B】セグメント化された大腿骨および脛骨の矢状面画像スライスである。
【図7C】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7D】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7E】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7F】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7G】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7H】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7I】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7J】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図7K】セグメント化された大腿骨および脛骨の別の矢状面画像スライスである。
【図8】大腿骨および脛骨の自動的に生成されたスライス曲線を示す矢状面画像スライスである。
【図9】大腿骨の3Dメッシュジオメトリを示す。
【図10】脛骨の3Dメッシュジオメトリを示す。
【図11】ゴールデンテンプレートを生成するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図12A】ゴールデン脛骨領域の輪郭を示す輪郭曲線、成長した脛骨領域の輪郭を示す輪郭曲線、および境界ゴールデン脛骨領域の輪郭を示す輪郭曲線を示す矢状面画像スライスである。
【図12B】ゴールデン大腿骨領域の輪郭を示す輪郭曲線、成長した大腿骨領域の輪郭を示す輪郭曲線、および境界ゴールデン大腿骨領域の輪郭を示す輪郭曲線を示す矢状面画像スライスである。
【図13A】ゴールデン脛骨3Dメッシュを示す。
【図13B】ゴールデン大腿骨3Dメッシュを示す。
【図14A】脛骨のアンカーセグメント化領域を示す矢状面画像スライスである。
【図14B】大腿骨のアンカーセグメント化領域を示す矢状面画像スライスである。
【図15A】脛骨のアンカーセグメント化メッシュ、インダーク−アウトライトアンカーメッシュ、インライト−アウトダークアンカーメッシュ、およびダーク−イン−ライトアンカーメッシュを示す3Dメッシュジオメトリである。
【図15B】大腿骨のアンカーセグメント化メッシュ、インダーク−アウトライトアンカーメッシュおよびインライト−アウトダークアンカーメッシュを示す3Dメッシュジオメトリである。
【図16】ゴールデンテンプレート位置合わせを使用してスキャンデータの自動セグメント化を実行するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図17】画像位置合わせ技術を使用してセグメント化されたゴールデン大腿骨テンプレート領域を目標スキャンデータにマッピングするための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図18】一実施形態によって利用されうる位置合わせフレームワークを示す。
【図19】画像位置合わせ技術を使用してセグメント化されたゴールデン脛骨テンプレート領域を目標スキャンデータにマッピングするための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図20】図18の位置合わせフレームワークのためのメトリックを計算するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図21】アンカー位置合わせおよびアンカー領域を使用して位置合わせの結果を改良するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図22】脛骨の1組の無作為に生成された明るいサンプル点および暗いサンプル点を示す。
【図23】各目標MRIスライス中の対象特徴の概要を示すスプライン曲線を生成するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図24】n個の頂点を持つ多角形曲線を示す。
【図25】セグメントを調整するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。
【図26】隣接する画像スライスに由来する大腿骨の輪郭曲線が重ね合わされた、大腿骨の概要を示す制御点を持つ輪郭曲線を示す矢状面画像スライスである。
【図27】スプライン曲線の内側のボクセルを示す大腿骨の3Dスライス視覚化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
カスタマイズ型関節形成術用ジグ2およびこのジグ2を製造するためのシステムおよび方法が開示される。ジグは特定の患者の特定の骨表面に適合するようにカスタマイズされている。実施形態に応じて、程度の差はあるが、ジグ2は自動的に設計および作成され、2007年1月19日出願のPark他の特許文献1、「関節形成術用装置及び関連方法」、2002年5月15日出願のPark他の特許文献2、「改良された総合関節形成術用システム」、および2006年12月19日出願のPark他の特許文献3、「関節形成術用装置及び関連方法」といった3つの米国特許出願に開示されたのと同様のものでもよい。これら3つの特許文献は、その全体が参照によって本節に組み込まれる。
【0022】
a.カスタマイズ型関節形成術用切削ジグを製造するためのシステムおよび方法の概要
【0023】
カスタマイズ型関節形成術用ジグ2を製造するためのシステム4および方法を概説するため、図1A〜図1Eを参照する。図1Aは、本出願に開示される自動ジグ製造方法を利用するためのシステム4の概略図である。図1B〜図1Eは、本出願に開示されるジグ製造方法の概要を示すフローチャート図である。以下の概説は3つの節に分けられる。
【0024】
第1節は、図1Aおよび図1B〜図1Eの[ブロック100〜125]を参照して論じられ、三次元(「3D」)コンピュータモデル環境で、修復骨モデル28と呼ばれる3Dコンピュータモデルを基準とするのこ引きおよびドリル穴の位置30および32を決定する例示的方法に関する。実施形態によっては、結果として得られる「のこ引きおよびドリル穴データ」44の基準を修復骨モデル28として、関節形成術用インプラントによって患者の関節を劣化する以前の状態に修復できるようにするのこ引きおよびドリル穴を提供する。別言すれば、実施形態によっては、患者の関節を修復して外反、内反または中立いずれかの自然な位置に整合させる。
【0025】
本出願に開示される実施形態の多くは、関節形成術用インプラントによって患者の関節を修復し劣化前すなわち中立の位置に整合された状態にすることに関して論じられるが、本出願に開示される概念の多くは、患者の劣化前の状態が外反、内反または中立の何れであったかにかかわらず、関節形成術用インプラントが、患者の膝関節を修復して中立になるようなゼロ機械軸に整合させる実施形態に適用してもよい。すなわち、本開示は、中立整合だけに帰結する方法に制限されるべきではなく、ゼロ機械軸に帰結する方法にも適用可能であると見なすべきである。
【0026】
第2節は、図1Aおよび図1B〜図1Eの[ブロック100〜105および130〜145]を参照して論じられ、患者の関節骨の3Dコンピュータ生成関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42の3Dコンピュータ生成表面モデル40を3Dコンピュータ生成ジグモデル38にインポートする例示的方法に関する。結果として得られる「ジグデータ」46を使用して、患者の関節のそれぞれの骨の関節形成術目標範囲を対として受け入れるようにカスタマイズされたジグを製造する。
【0027】
第3節は、図1Aおよび図1Eの[ブロック150〜165]を参照して論じられ、「のこ引きおよびドリル穴データ」44を「ジグデータ」46と結合または統合して「統合ジグデータ」48を得る方法に関する。「統合ジグデータ」48をCNC機械10に提供して、CNC機械10に提供されたジグ素材50からカスタマイズ型関節形成術用ジグ2を製造する。結果として得られるカスタマイズ型関節形成術用ジグ2は、ジグ2が患者の骨の関節形成術目標範囲を対として受け入れる時、関節形成術用関節インプラントによって患者の関節線を一般に修復して元の劣化前の状態にするような形でのこ引きスロットおよびドリル穴が関節形成術目標範囲の準備の助けになるようにジグ2中に配置されたのこ引きおよびドリル穴を含む。
【0028】
図1Aに示すように、システム4は、CPU7、モニタまたは画面9および操作員インタフェース制御装置11を有する1つ以上のコンピュータ6を含む。コンピュータ6は、CTまたはMRI機械8のような医療用撮像システム8、およびCNCフライス盤10のようなコンピュータ制御機械加工システム10にリンクされている。
【0029】
図1Aに示すように、患者12は、交換すべき関節14(例えば、膝、肘、くるぶし、手首、股関節、肩、頭蓋骨/椎骨または椎骨/椎骨の接合部、等)を有する。患者12の関節14は撮像機械8でスキャンされている。撮像機械8は、各々関節14の薄いスライスに関する関節14の複数のスキャンを行う。
【0030】
図1Bから理解されるように、複数のスキャンを使用して、関節14の複数の二次元(「2D」)画像16を生成する[ブロック100]。例えば、関節14が膝14である場合、2D画像は大腿骨18および脛骨20のものになる。撮像はCTまたはMRIによって実行してもよい。MRIを利用する一実施形態では、撮像処理は、その全体が参照によって本節に組み込まれる、2007年11月27日出願の米国特許出願第11/946,002号、Park、「カスタマイズ型関節形成術用ジグを製作するために利用される3D骨モデルの作成のために使用可能なMRI画像の生成」に開示されたのと同様のものでもよい。
【0031】
図1Aから理解されるように、2D画像は、コンピュータ生成3Dモデルを作成するためコンピュータ6に送信される。図1Bに示すように、一実施形態では、2D画像16中で点Pが特定される[ブロック105]。一実施形態では、図1Aの[ブロック105]に示すように、点Pは、患者の関節14のほぼ内側外側方向および前後方向中心にあってもよい。他の実施形態では、点Pは、骨18、20または骨18、20によって形成される関節14の上、その近くまたはそれらから離れたどこかを含む、2D画像16中の何らかの他の場所にあってもよい。
【0032】
この概説中後で説明するように、点Pを使用して、2D画像16から作成されたコンピュータ生成3Dモデル22、28、36を配置して、3Dモデルによって生成された情報を統合してもよい。実施形態に応じて、点Pは、位置および/または方向の基準の役目を果たすものであり、基準Pが、2D画像16によって生成された3Dモデル22、28、36を位置決めおよび/または方向付けするために使用可能である限り、単一の点、2つの点、3つの点、点プラス平面、ベクトル、等でもよい。
【0033】
図1Cに示すように、2D画像16を利用して、患者の関節14を形成する骨18、20のコンピュータ生成3D骨オンリー(bone−only)(すなわち、「骨モデル」)22を作成する[ブロック110]。骨モデル22は、点Pが、X−Y−Z軸の原点(X0、Y0、Z0)を基準とする座標(X0-j、Y0-j、Z0-j)にあるように配置される[ブロック110]。骨モデル22は、骨関節症、負傷、それらの組み合わせ、等の結果でありうる、それぞれの関節面24、26が劣化した、現在劣化した状態にある骨18、20を示している。
【0034】
2D画像16から3Dコンピュータ生成骨モデル22を作成するためのコンピュータプログラムには、カンサス州Overland ParkのAnalyzeDirect,Inc.から入手可能なAnalyze、National Library of Medicine Insight Segmentation and Registration Toolkit (“ITK”)(商標)、www.itk.orgから入手可能なオープンソースソフトウェアであるInsight Toolkit(商標)、www.slicer.orgから入手可能なオープンソースソフトウェアである3D Slicer(商標)、ミシガン州Ann ArborのMaterialiseから入手可能なMimics(商標)、およびwww.paraview.orgから入手可能なParaview(商標)が含まれる。さらに、実施形態によっては、OtisMed,Inc.によって開発されたOMSegmentation(商標)といったカスタマイズされたソフトウェアを使用してもよい。OMSegmentationソフトウェアは「ITK」および/または「VTK」を広範に使用する。実施形態によっては、OMSegmentationの試作品の使用を含んでもよく、従ってInsightSNAPソフトウェア(商標)を利用してもよい。
【0035】
図1Cに示すように、3Dコンピュータ生成骨モデル22を利用して、劣化した表面24、26を劣化前のそれぞれの状態にほぼ修正または修復した3Dコンピュータ生成「修復骨モデル」または「設計骨モデル」28を作成する[ブロック115]。すなわち、修復骨モデル28の骨18、20は骨の劣化前の状態をほぼ反映している。修復骨モデル28は、点Pが、原点(X0、Y0、Z0)を基準とする座標(X0-j、Y0-j、Z0-j)にあるように配置される。すなわち、修復骨モデル28は、原点(X0、Y0、Z0)を基準とする同じ方向および位置を骨モデル22と共有している。
【0036】
一実施形態では、修復骨モデル28は、コンピュータ6の前に座って、コンピュータ画面9上の3Dコンピュータモデルとして骨モデル22およびそれらの劣化した表面24、26を視覚的に観察する人員によって骨モデル22から手動で作成される。人員は劣化した表面24、26を視覚的に観察して、3Dコンピュータ骨モデル22上の劣化した表面24、26を修復して劣化前の状態にするには、それらをどのようにかつどの程度修正する必要があるかを決定する。そして、コンピュータ制御装置11と対話することによって、人員は3Dモデリングコンピュータプログラムを介して劣化した3D表面24、26を手動で操作し、表面24、26を修復して人員が劣化前の状態を表すと考える状態にする。この手動修復処理の結果はコンピュータ生成3D修復骨モデル28であり、そこでは劣化前の状態の表面24’、26’が示される。
【0037】
一実施形態では、骨修復処理は一般に、または完全に自動化されている。別言すれば、コンピュータプログラムは骨モデル22およびそれらの劣化した表面24、26を分析して、3Dコンピュータ骨モデル22上の劣化した表面24、26を修復して劣化前の状態にするには、それらをどのようにかつどの程度修正する必要があるかを決定してもよい。そして、コンピュータプログラムは劣化した3D表面24、26を操作して、表面24、26を修復し、劣化前の状態を表すことを意図した状態にする。この自動修復処理の結果はコンピュータ生成3D修復骨モデル28であり、そこでは劣化していない状態の表面24’、26’が示される。
【0038】
図1Cに示すように、修復骨モデル28を作業前計画(「POP」)手順で利用して、関節形成術用関節インプラントによって患者の関節線を一般に修復して劣化前の位置に整合できるようにする、患者の骨中ののこ引きの場所30およびドリル穴の位置32を決定する[ブロック120]。
【0039】
一実施形態では、POP手順は手動処理であり、コンピュータ生成3Dインプラントモデル34(例えば、関節が膝である文脈では大腿骨および脛骨インプラント)および修復骨モデル28は、コンピュータ6の前に座って、コンピュータ画面9上のインプラントモデル34および修復骨モデル28を視覚的に観察し、コンピュータ制御装置11を介してモデル28、34を操作する人員によって、互いに対して手動で操作される。修復骨モデル28の上にインプラントモデル34を重ね合わせること、またはその逆の操作によって、インプラントモデル34の関節面は、修復骨モデル28の関節面と整合されまた対応するようにできる。モデル28、34の関節面をそのように整合させることによって、インプラントモデル34は、のこ引きの場所30およびドリル穴の場所32を修復骨モデル28を基準として決定できるように、修復骨モデル28を基準として位置決めされる。
【0040】
一実施形態では、POP処理は一般に、または完全に自動化されている。例えば、コンピュータプログラムはコンピュータ生成3Dインプラントモデル34(例えば、関節が膝である文脈では大腿骨および脛骨インプラント)および修復骨モデルまたは計画骨モデル28を互いに対して操作して、修復骨モデル28を基準としたのこ引きおよびドリル穴の場所30、32を決定してもよい。修復骨モデル28の上にインプラントモデル34を重ね合わせてもよく、またはその逆の操作を行ってもよい。一実施形態では、インプラントモデル34は原点(X0、Y0、Z0)を基準とする点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)にあるように配置され、修復骨モデル28は点P(X0-j、Y0-j、Z0-j)に配置される。モデル28、34の関節面を対応させるため、コンピュータプログラムは修復骨モデル28を点P(X0-j、Y0-j、Z0-j)から点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)に移動させてもよく、またその逆の操作を行ってもよい。一旦モデル28、34の関節面が近接すると、インプラントモデル34の関節面は、修復骨モデル28の関節面に整合されまた対応するように形状を整合させることができる。モデル28、34の関節面をそのように整合させることによって、インプラントモデル34は、のこ引きの場所30およびドリル穴の場所32が修復骨モデル28を基準として決定できるように修復骨モデル28を基準として位置決めされる。
【0041】
図1Eに示すように、一実施形態では、点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)を基準としたのこ引きおよびドリル穴の場所30、32に関するデータ44は、「のこ引きおよびドリル穴データ」44としてパッケージまたは集約される[ブロック145]。そして、「のこ引きおよびドリル穴データ」44は、図1Eの[ブロック150]を参照して以下論じるように使用される。
【0042】
図1Dから理解されるように、図1Cの[ブロック110]を参照して上述の骨モデル22を生成するために利用される2D画像16はまた、患者の関節14を形成する骨18、20のコンピュータ生成3D骨および軟骨モデル(すなわち、「関節炎モデル」)36を作成するためにも使用される[ブロック130]。上述の骨モデル22と同様に、関節炎モデル36は、点Pが、X−Y−Z軸の原点(X0、Y0、Z0)を基準とする座標(X0-j、Y0-j、Z0-j)にあるように配置される[ブロック130]。すなわち、骨および関節炎モデル22、36は、原点(X0、Y0、Z0)を基準とする同じ場所および方向を共有している。この位置/方向の関係は一般に、図1B〜図1Eに関して論じる処理を通じて維持される。したがって、骨モデル22およびその様々な派生物(すなわち、修復骨モデル28、骨切削の場所30およびドリル穴の場所32)の原点(X0、Y0、Z0)を基準とする移動は、関節炎モデル36およびその様々な派生物(すなわち、ジグモデル38)にも適用される。骨モデル22と関節炎モデル36およびそれぞれの派生物の間の位置/方向関係を維持することによって、「のこ引きおよびドリル穴データ」44は「ジグデータ」46に統合され、カスタマイズ型関節形成術用ジグ2を製造するCNC機械10によって利用される「統合ジグデータ」48を形成する。
【0043】
2D画像16から3Dコンピュータ生成関節炎モデル36を作成するためのコンピュータプログラムには、カンサス州Overland ParkのAnalyzeDirect,Inc.から入手可能なAnalyze、National Library of Medicine Insight Segmentation and Registration Toolkit (“ITK”)(商標)、www.itk.orgから入手可能なオープンソースソフトウェアであるInsight Toolkit(商標)、www.slicer.orgから入手可能なオープンソースソフトウェアである3D Slicer(商標)、ミシガン州Ann ArborのMaterialiseから入手可能なMimics(商標)、およびwww.paraview.orgから入手可能なParaview(商標)が含まれる。実施形態によっては、OtisMed,Inc.によって開発されたOMSegmentation(商標)といったカスタマイズされたソフトウェアを使用してもよい。OMSegmentationソフトウェアは「ITK」および/または「VTK」を広範に使用する。また、実施形態によっては、OMSegmentationの試作品の使用を含んでもよく、従ってInsightSNAPソフトウェア(商標)を利用してもよい。
【0044】
骨モデル22と同様に、関節炎モデル36は、骨関節症、負傷、それらの組み合わせ、等の結果でありうる、それぞれの関節面24、26が劣化した、現在劣化した状態にある骨18、20を示している。しかし、骨モデル22と異なって、関節炎モデル36は骨オンリーモデルではなく、骨に加えて軟骨を含んでいる。すなわち、関節炎モデル36は一般に、関節形成術処置の際にカスタマイズ型関節形成術用ジグ2が関節形成術目標範囲42を対として受け入れる時存在するような関節形成術目標範囲42を示す。
【0045】
図1Dに示しかつすでに上記で言及したように、骨および関節炎モデル36、36およびそれぞれの派生物の位置/方向を連携させるため、点Pから点P’への修復骨モデル28の移動を追跡して「関節炎モデル」36の一般に同一を変位を発生する[ブロック135]。
【0046】
図1Dに示すように、関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42のコンピュータ生成3D表面モデル40を、コンピュータ生成3D関節形成術ジグモデル38にインポートする[ブロック140]。すなわち、関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42を対として受け入れるようにジグモデル38を設定しまたはインデックスを付ける。こうしたジグモデル38に一致するように製造されたジグ2は、関節形成術処置の際に実際の関節骨の関節形成術目標範囲を対として受け入れるだろう。
【0047】
一実施形態では、ジグモデル38に関節炎目標範囲42に合わせてインデックスを付けるための処置は手動処理である。3Dコンピュータ生成モデル36、38は、コンピュータ6の前に座って、コンピュータ画面9上でジグモデル38および関節炎モデル36を視覚的に観察し、コンピュータ制御装置11と対話することによってモデル36、38を操作する人員によって互いに対して手動で操作される。一実施形態では、関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42の上にジグモデル38(例えば、関節が膝である文脈では大腿骨および脛骨)を重ね合わせること、またはその逆の操作によって、関節形成術目標範囲42の表面モデル40を、ジグモデル38にインポートすることができ、その結果ジグモデル38は、関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42を対として受け入れるようにインデックスを付けられる。また、点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)をジグモデル38にインポートすることができ、その結果ジグモデル38は点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)を基準として位置決めおよび方向付けされ、ジグモデル38は[ブロック125]の骨切削およびドリル穴データ44と統合される。
【0048】
一実施形態では、ジグモデル38に関節形成術目標範囲42に合わせてインデックスを付けるための処置は、その全体が参照によって本節に組み込まれる、2007年12月18日出願のParkの特許文献4、「関節形成術用ジグを製造するためのシステムおよび方法」に開示されるように、一般に、または完全に自動化されている。例えば、コンピュータプログラムは、関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42の3Dコンピュータ生成表面モデル40を作成してもよい。そして、コンピュータプログラムは、表面モデル40および点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)をジグモデル38にインポートしてもよく、その結果ジグモデル38は、関節炎モデル36の関節形成術目標範囲42を対として受け入れるようにインデックスを付けられる。また、結果として得られるジグモデル38は、点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)を基準として位置決めおよび方向付けされ、ジグモデル38は[ブロック125]の骨切削およびドリル穴データ44と統合される。
【0049】
一実施形態では、関節炎モデル36は、クローズドループ処理から生成されるような体積モデルでもよい。他の実施形態では、関節炎モデル36は、オープンループ処理から生成されるような3D表面モデルでもよい。
【0050】
図1Eに示すように、一実施形態では、点P’(X0-k、Y0-k、Z0-k)を基準としたジグモデル38および表面モデル40に関するデータは、「ジグデータ」46としてパッケージまたは集約される[ブロック145]。そして、「ジグデータ」46は図1Eの[ブロック150]を参照して以下論じるように使用される。
【0051】
図1Eから理解されるように、「のこ引きおよびドリル穴データ」44は「ジグデータ」46と統合され、結果として「統合ジグデータ」48が得られる[ブロック150]。上記で説明したように、「のこ引きおよびドリル穴データ」44、「ジグデータ」46およびそれらの様々な前身(例えば、モデル22、28、36、38)は、点PおよびP’を基準として位置および方向について互いに一致しているので、「のこ引きおよびドリル穴データ」44は「ジグデータ」46を基準として適切に位置決めおよび方向付けされ、「ジグデータ」46に適切に統合される。結果として得られる「統合ジグデータ」48によって、CNC機械10に提供される時、ジグ2は、(1)患者の骨の関節形成術目標範囲を対として受け入れるように構成され、かつ(2)関節形成術用関節インプラントによって患者の関節線を一般に修復して劣化前の位置にするような形で関節形成術目標範囲の準備を助けるのこ引きスロットおよびドリル穴を有する。
【0052】
図1Aおよび図1Eから理解されるように、「統合ジグデータ」44は、コンピュータ6からCNC機械10に転送される[ブロック155]。ジグ素材50がCNC機械10に提供され[ブロック160]、CNC機械10は「統合ジグデータ」を利用してジグ素材50から関節形成術用ジグ2を機械加工する。
【0053】
上述の処理によって製造可能な例示的なカスタマイズ型関節形成術用ジグ2について議論するため、図1F〜図1Iを参照する。上記で指摘したように、上述の処理は、膝、肘、くるぶし、手首、股関節、肩、椎骨結合部、等に関する関節形成術処置のために構成されたジグ2を製造するために利用されうるものだが、図1F〜図1Iに示すジグの例は、人工膝関節全置換術(「TKR」)または人工膝関節部分置換術(「PKR」)処置のためのものである。すなわち、図1Fおよび図1Gは、それぞれ、例示的なカスタマイズ型関節形成術用大腿骨ジグ2Aの底面および上面透視図であり、図1Hおよび図1Iは、それぞれ、例示的なカスタマイズ型関節形成術用椎骨ジグ2Bの底面および上面透視図である。
【0054】
図1Fおよび図1Gに示すように、大腿骨関節形成術用ジグ2Aは、内側側面または部分100および外側側面または部分102を含んでもよい。大腿骨切削ジグ2AがTKRまたはPKR処置で使用される時、内側側面または部分100は大腿骨下端の関節形成術目標範囲42に面してそれを対として受け入れ、外側側面または部分102は、内側部分100から見て大腿骨切削ジグ2Aの反対側にある。
【0055】
大腿骨ジグ2Aの内側部分100は、患者の大腿骨18の損傷した下端(すなわち、関節形成術目標範囲42)の表面形状に適合するように構成されている。すなわち、TKRまたはPKR手術の際、目標範囲42が大腿骨ジグ2Aの内側部分100に受け入れられると、目標範囲42と内側部分100との表面が適合する。
【0056】
大腿骨切削ジグ2Aの内側部分100の表面は機械加工または他の形で選択された大腿骨ジグ素材50A中に形成されるもので、患者の大腿骨18の損傷した下端または目標範囲42の3D表面モデル40に基づくかまたはそれから定義される。
【0057】
図1Hおよび図1Iに示すように、脛骨関節形成術用ジグ22Bは、内側側面または部分104および外側側面または部分106を含んでもよい。脛骨切削ジグ2BがTKRまたはPKR処置で使用される時、内側側面または部分104は脛骨上端の関節形成術目標範囲42に面してそれを対として受け入れ、外側側面または部分106は、内側部分104から見て脛骨切削ジグ2Bの反対側にある。
【0058】
脛骨ジグ2Bの内側部分104は、患者の脛骨20の損傷した上端(すなわち、関節形成術目標範囲42)の表面形状に適合するように構成されている。すなわち、TKRまたはPKR手術の際、目標範囲42が脛骨ジグ2Bの内側部分104に受け入れられる時、目標範囲42および内側部分104の表面が適合する。
【0059】
脛骨切削ジグ2Bの内側部分104の表面は機械加工または他の形で選択された脛骨ジグ素材50B中に形成されるもので、患者の脛骨20の損傷した上端または目標範囲42の3D表面モデル40に基づくかまたはそれから定義される。
【0060】
b.患者の骨の3D表面モデルを生成するためのスキャナモダリティ画像データの自動セグメント化
【0061】
一実施形態では、図1Cおよび図1Dの[ブロック110および130]に関して上記で論じたように、撮像システム8によって生成されるような患者の関節14の2D画像16(図1Aおよび図1Bの[ブロック100]参照)を分析して、3Dモデル22、36の生成に関して重要な骨および/または軟骨の表面の輪郭線を特定する。すなわち、2D画像16およびその2D画像16に関連するデータに関して多様な画像セグメント化処理を行ってもよく、骨モデル22および関節炎モデル36といった3D骨モデルにコンパイルされる輪郭線を特定する。画像セグメント化を実行するための多様な処理および方法は本節の残りの部分で開示される。
【0062】
撮像装置8は通常、反復的な撮像操作によって複数の画像スライス16を生成する。撮像装置8がMRIまたはCT撮像装置のどちらであるかによって、各画像スライスはMRIまたはCTスライスとなる。図2Aに示すように、画像スライスは、関節中の関心対象、例えば患者の膝関節14の大腿骨204の、海綿質骨200、海綿質骨を取り囲む皮質骨202、および皮質骨202の関節軟骨ライニング部分を示してもよい。画像はさらに、関節中の別の関心対象、例えば、膝関節14の脛骨210の海綿質骨206、皮質骨208を示してもよい。一実施形態では、各画像スライス16は2ミリメートル2D画像スライスでもよい。
【0063】
一実施形態は、患者の関節、例えば、膝、股関節、肘、等のMRIまたはCTスキャン中に存在する関心対象(例えば、骨)の1つ以上の形状を自動的にセグメント化してもよい。膝関節の通常のスキャンは、関節の約100ミリメートル×150ミリメートル×150ミリメートルの体積を表してもよく、矢状面で得られた約40〜80のスライスを含んでもよい。矢状面は対象(例えば、人体)の上から下に通ってそれを内側および外側の部分に分割する想像上の平面である。スライス間の間隔が大きいと、矢状面(例えば、yz平面)の解像度と、x軸に沿った解像度(例えば、xの値が一定で、各スキャンスライスがyz平面中にある)との間のアスペクト比が約1〜7のボクセル(体積要素)に帰結することがあることを認識されたい。例えば、150ミリメートル×150ミリメートルである2ミリメートルスライスは、(矢状面中で512×512の画像解像度の場合)約0.3ミリメートル×0.3ミリメートル×2ミリメートルのボクセルから構成されることがある。
【0064】
一実施形態では、各スライスは、解像度が512×512ボクセルのグレースケール画像でもよく、この場合ボクセル値はボクセルの明るさ(輝度)を表す。輝度は、0〜65,535の輝度範囲に帰結する16ビットの整数として格納してもよく、この場合0は黒を表してもよく65,535は白を表してもよい。各ボクセルの輝度は通常、ボクセル体積の平均輝度を表す。他の実施形態は、矢状面中のより高いかまたは低い解像度、異なるスライス間間隔、または輝度が24ビットベクトル(例えば、赤成分、緑成分および青成分のために各々8ビット)によって表されうる画像を有するスキャンを利用してもよい。さらに、他の実施形態は、32ビットの符号付き整数または浮動小数点値として輝度値を格納してもよい。
【0065】
通常のMRIおよびCTのスキャンデータは一般に、骨の境界の対象部分は明瞭でありうるが、骨の境界の他の部分は、とりわけボクセル体積の平均化、骨増殖体の成長の存在、セグメント化すべき対象に隣接した範囲に同様の画像輝度を有する組織が存在すること等によって決定が困難なことがある画像を提供する。画像中の骨の境界の一部がこのように不明瞭であるため、従来の自動セグメント化技術は失敗することがある。例えば、図2Aは、隣接する組織が対象形状とほぼ同じ輝度を有するため対象の境界が見えないスライス内の領域212を示す。図2Bには、ボクセルのアスペクト比が高いため隣接するスライスから当該スライスに延長しうる領域214が示されている。図2Cには、骨の境界218がスライスにほぼ正接する時消失するかまたは規則性を失うことがある領域216が示されている。
【0066】
一実施形態は、ゴールデンテンプレートを使用する画像セグメント化技術を利用して骨の境界をセグメント化し、従来の自動セグメント化技術に対して改良されたセグメント化の結果を提供してもよい。特定すべき対象内のピクセル間の相似がないかもしれない場合、この技術を使用して画像をセグメント化してもよい。すなわち、セグメント化すべき領域内のピクセルは、同様のピクセルを領域に関連付けるために利用しうる色、輝度またはテクスチャといったいくつかの特性または計算された性質に関して同様でないことがある。その代わり、他の対象に対する対象の空間的関係を使用して関心対象を特定してもよい。一実施形態では、セグメント化処理の際にセグメント化すべき対象特徴の3Dゴールデンテンプレートを使用して目標スキャンにおいて目標となる特徴を探し出してもよい。例えば、膝関節のスキャンをセグメント化する場合、既知の良好な大腿骨の通常の3D画像(ゴールデン大腿骨テンプレートと呼ぶ)を使用して目標スキャン中の大腿骨を探し出し輪郭を描いてもよい(すなわち、セグメント化)。
【0067】
一般に、セグメント化すべき骨の海綿質および皮質を取り囲む組織の多くは1つのMRIスキャンと別のMRIスキャンとで異なっていることがある。これは疾患および/または患者の関節の位置によることがある(例えば、患者は苦痛のため対象関節を真っ直ぐにできないことがある)。骨との安定した接続を有する周囲の領域(例えば、以下より詳細に説明するテンプレートの成長したゴールデン領域および境界ゴールデン領域)を使用することによって、位置合わせを改善してもよい。さらに、こうした領域の使用によって、セグメント化の際に、関心のない他の特徴ではなく、関心のある骨ジオメトリを取り込むことができる。さらに、セグメント化は、人工的に生成された画像を使用して骨の位置合わせを改良することに関して以下さらに詳細に説明するようにセグメント化の精度を選択的に増大する2Dおよび3D技術の組み合わせの使用を通じてスキャンデータのある方向での高い解像度を利用する。
【0068】
一実施形態によって利用されるセグメント化の方法はスキャンデータ全体にわたる多様な輝度勾配に対応しうる。図3A〜Cは、一実施形態によってセグメント化しうるスライス(図3Aに示すような上部および下部が暗い輝度勾配、図3Bに示すような下部が暗い輝度勾配、および図3Cに示すような側面が明るい輝度勾配220)中の輝度勾配(すなわち、画像全体にわたって輝度が不均一に変化すること)を示す。さらに、この実施形態は一般にセグメント化すべきスライス中のノイズがほぼ一定であることを必要としない。この実施形態は、例えば、図4Aに示すような高いノイズレベルや図4Bに示すような低いノイズレベルといった異なるノイズレベルに対応しうる。輝度勾配およびノイズレベルに対する感受性が低下しているのは通常、特徴が異なる輝度およびノイズレベルを含んでいることがあっても対象特徴の特定を可能にする、ゴールデンテンプレートを使用した画像位置合わせ技術のためである。
【0069】
セグメント化とは、一般にデジタル画像を多数の領域(例えば、2D画像の場合のピクセルの集合または3D画像の場合のボクセルの集合)に区分する処理を指す。セグメント化を使用して、画像中の対象特徴(骨、軟骨、靱帯、等)および境界(骨の境界または表面を表す直線、曲線、等)を探し出してもよい。一実施形態では、スキャンデータの自動セグメント化の出力は、各画像16が、それぞれの骨の場所および対象骨の形状(例えば、膝関節のスキャンデータ中の脛骨および大腿骨の形状および場所)を特定する骨の輪郭を表す抽出された閉じた輪郭の集合を含む、画像(スキャンスライス16)の集合でもよい。関節中の骨の表面の3Dモデル(例えば、骨モデル22および関節炎モデル36)を作成する関節画像スライス16の自動セグメント化は、カスタマイズ型関節形成術用切削ジグ2を製造するために必要な時間を短縮できる。実施形態によっては対象骨形状の開いた輪郭を生成して計算時間をさらに短縮しうる。
【0070】
一実施形態では、精密なジオメトリの復元が必要な範囲では良好な明瞭度を提供し、ジオメトリの復元にとって重要でない範囲では低い明瞭度を提供するスキャンプロトコルを選択してもよい。以下より詳細に説明するように、一実施形態の自動画像セグメント化は、自動セグメント化への入力として使用される画像モダリティの特性およびセグメント化すべき解剖学的構造の特徴に合わせてパラメータを調整しうる構成要素を利用する。
【0071】
一実施形態では、General Electric 3T MRIスキャナ(商標)を使用してスキャンデータを獲得してもよい。スキャナの設定は、パルスシーケンス:FRFSE−XL矢状PD、3ペインロケータ−スカウトスキャン厚さ:4ミリメートル、撮像オプション:TRF、高速、FR、勾配モード:全体、TE:約31、TR:約2100、エコートレイン長:8、帯域幅:50Hz、FOV:関節線を中心として16センチメートル、位相FOV:0.8または0.9、スライス厚さ:2ミリメートル、間隔:インタリーブ、マトリックス:384×192、NEX:2、周波数:SI、および位相補正:オンといったものでもよい。他のスキャナおよび設定を使用してスキャンデータを生成してもよいことを認識されたい。
【0072】
通常、スキャンデータのボクセルのアスペクト比は、患者が動かない間にどれだけ多くのスキャンスライスが獲得しうるかの関数である。一実施形態では、患者の膝関節のスキャンの際に2ミリメートルのスライス間間隔を使用してもよい。このスライス間間隔は患者の膝関節の3D骨モデルを構成するための十分な解像度を提供し、患者が動く前に関節を撮影することができる。
【0073】
図5は、画像の自動セグメント化の際に良好な明瞭度が必要とされうる画像領域を例示するMRIスキャンスライスを示す。通常、これは関節の隣の前方軸(anterior shaft)の範囲および関節から約10〜30ミリメートルの距離にある範囲の膝の運動の際骨が接触する範囲でありうる。良好な明瞭度は脛骨232の領域230および大腿骨236の領域234で必要とされることがある。領域238は、脛骨がスライスにほとんど正接しボクセル体積の平均化のため境界上方が失われることがある範囲を示す。
【0074】
ボクセル体積の平均化は、ボクセルサイズが識別すべき特徴の細部より大きい時データ取得処理の際に発生することがある。例えば、細部は黒輝度を有することがあり、周囲の領域は白輝度を有することがある。ボクセル中に囲まれる連続したデータの平均を取ると、平均ボクセル輝度値はグレーになることがある。すなわち、ボクセルのどの部分にその細部が属するかを決定できないことがある。
【0075】
領域240は、(輝度が同様なため)皮質骨と軟骨との間の境界面が不明瞭であったり、骨が損傷して修復を必要とすることがあったりする範囲、または疾患の形成(例えば、隣接する領域と同様の画像輝度を有する骨増殖体の成長)が存在するため海綿質骨と周囲の領域との間の境界面が不明瞭なことがある領域を示す。
【0076】
図6は、患者の膝関節の画像モダリティスキャン(例えば、MRIスキャン)の画像セグメント化のための1つの方法を例示するフローチャートを示す。まず、操作250は患者の膝関節のスキャンを獲得する。一実施形態では、スキャンは約50の矢状スライスを含んでもよい。他の実施形態はそれより多いかまたは少ないスライスを使用してもよい。各スライスは512×512ボクセルの解像度を有するグレースケール画像でもよい。スキャンは、患者の膝の約100ミリメートル×150ミリメートル×150ミリメートルの体積を表してもよい。膝の関節のMRIスキャンについて本発明を説明するが、これは例示であって制限ではない。本発明を使用して、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、超音波スキャン、ポジトロン放出断層撮影(PET)スキャン等、および股関節、肘関節、等を含むがそれらに制限されない他の関節といった他の種類の画像モダリティスキャンをセグメント化してもよい。さらに、各スライスの解像度はより高いかまたはより低くてもよく、画像はグレースケールではなくカラーでもよい。他の実施形態では、横位または冠状のスライスを使用してもよい。
【0077】
操作250が、撮像装置8によって生成されるスキャンデータ(例えば、スキャン画像16)を獲得した後、操作252はスキャンデータの大腿骨データのセグメント化を実行してもよい。図7A〜図7Kに示すように、この操作の際、大腿骨を探し出してもよく、スプライン曲線270を生成して、スキャンスライス中の大腿骨の形状または輪郭線を描いてもよい。大腿骨の形状および曲率ならびにスライス方向を基準とした大腿骨の方向に応じて、大腿骨の輪郭を描く1つ以上のスプライン曲線を各スライス中に生成してもよい。
【0078】
次に、操作254では、訓練された技術者が、操作252の際に生成された大腿骨のスプライン曲線の輪郭が大腿骨の表面に追従していることを検証してもよい。技術者は、特定のスライスでスプライン曲線が骨の形状に追従していないことを決定してもよい。例えば、図8は、自動的に生成された大腿骨のスプライン曲線274を示す。技術者は、大腿骨がその左下の部分276で摩耗して再建を必要とすることがあるためこの領域で曲線を拡大すべきであると決定してもよい。技術者は、セグメント化された大腿骨の全体的な3D形状を検査してスキャンデータの外側および内側の部分を比較することによってこのことを決定してもよい。調整された曲線280によって示されるように、技術者の決定通りにスプライン曲線274上に位置する1つ以上の制御点278をドラッグして曲線が大腿骨の境界により密接に追従するようにすることによって、スライスのセグメント化領域を拡大してもよい。スプライン曲線上の制御点の数は曲線の長さおよび曲率の変化に依存してもよい。通常、スプライン修正のため10〜25の制御点がスプライン曲線に関連してもよい。
【0079】
一旦技術者がスキャンスライス中の全ての大腿骨スプライン曲線に満足すると、操作256は、大腿骨の3D表面に近似する大腿骨セグメント化から隙間のない三角形メッシュジオメトリを生成する。このメッシュは大腿骨スプライン曲線270に密接に追従し、曲線間を滑らかに補間して大腿骨の3D表面モデルを生成する。図9は、一実施形態によって生成された目標大腿骨の通常の3Dメッシュジオメトリ290を示す。この3Dモデルは、それぞれオープンループ輪郭線またはクローズドループ輪郭線から得られた3D表面モデルまたは3D体積モデルでもよい。一実施形態では、図9に示すようなこの3Dモデルは骨モデル22または関節炎モデル36でもよい。
【0080】
操作256の後、操作258を実行してスキャンデータ中の脛骨データをセグメント化してもよい。この操作の際、図7A〜図7Kの脛骨スプライン曲線272によって示すように、脛骨を探し出し、スキャンスライス中に存在する脛骨の位置を特定し形状を描くスプライン曲線を生成してもよい。脛骨の形状および曲率ならびにスライス方向を基準とした脛骨の方向に応じて、脛骨の輪郭を描く1つ以上のスプライン曲線を各スライス中に生成してもよい。
【0081】
次に、操作260では、技術者は、操作258で生成された脛骨スプライン曲線を検証してもよい。技術者は、特定のスライスでスプライン曲線が脛骨の形状に追従していないことを決定してもよい。例えば、図8に戻ると、骨増殖体の成長284の存在によって脛骨の右側の部分で脛骨に追従していないことがある、自動的に生成された脛骨スプライン曲線282を示す。骨増殖体の成長284の存在は、隣接するスライスを検査することによって決定してもよい。この場合、セグメント化された領域は、スプライン曲線上に位置する1つ以上の制御点286をドラッグして脛骨スプライン曲線282を修正し調整された脛骨スプライン曲線282を獲得することによって減らしてもよい。前に論じたように、各スプライン曲線は、スプライン曲線の長さおよび曲率の変化に応じて約10〜25の制御点を有してもよい。
【0082】
一旦技術者がスキャンスライス中の全ての脛骨スプライン曲線に満足すると、操作262は、脛骨セグメント化から隙間のない三角形メッシュジオメトリを生成する。このメッシュはスプライン曲線に密接に追従しそれらの間を滑らかに補間して脛骨の3D表面モデルを生成する。図10は、一実施形態によって生成された目標脛骨の通常の3Dメッシュジオメトリ292を示す。この3Dモデルは、それぞれオープンループ輪郭線またはクローズドループ輪郭線から得られた3D表面モデルまたは3D体積モデルでもよい。一実施形態では、図10に示すような3Dモデルは骨モデル22または関節炎モデル36でもよい。
【0083】
スキャンデータ中で探し出す対象は通常、同様のボクセルを領域にグループ分けすることによってはセグメント化できないので、セグメント化処理の際対象特徴の通常のサイズおよび形状を表すゴールデンテンプレートを利用して対象目標特徴を探し出してもよい。
【0084】
図11は、ゴールデンテンプレートを生成するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。制限ではなく例示として、脛骨のゴールデンテンプレートを生成するための方法を説明する。この方法を使用して、大腿骨、股関節、等を含むがそれらに制限されない他の骨のゴールデンテンプレートを生成してもよい。
【0085】
まず、操作300は、損傷または疾患のない脛骨のスキャンを獲得する。多数のMRI脛骨スキャンを選別して、良好なMRI画像品質を有し、比較的平均的な、例えば、最大部分に対する骨幹の幅が不釣り合いでない形状(これは画像を肉眼分析することによって推定してもよい)を有する、海綿質および皮質に損傷のない脛骨を有する(すなわち、セグメント化の際目標スキャン中に対応する目標脛骨を探し出す固定画像として使用される脛骨領域に損傷のない)MRI脛骨スキャンを探し出すことによって適当な脛骨スキャンを選択してもよい。ここでゴールデン脛骨スキャンと呼ぶ、この脛骨スキャンデータを使用してゴールデン脛骨テンプレートを作成してもよい。脛骨(または対象となる他の骨)のいくつかのMRIスキャンを選択し、各スキャンについてテンプレートを生成し、各テンプレートを使用して目標MRIスキャンをセグメント化した時の成功率に関する統計値を収集し、最も高い成功率を有するものをゴールデン脛骨テンプレートとして選択してもよいことを認識されたい。
【0086】
そして、操作302では、各スキャンスライス中の脛骨をセグメント化する。図12Aに示すように、各セグメント化領域は脛骨の海綿質322および皮質324を含むが、軟骨質を含まず、輪郭線320によって描かれるゴールデン脛骨領域を形成する。
【0087】
次に、図13Aに示すように、操作304は、画像スライスの累積されたゴールデン脛骨輪郭からゴールデン脛骨メッシュ340を生成する。
【0088】
次に、操作306は、1つのMRIスキャンから別のMRIスキャンへの接触領域が一般に比較的安定である脛骨と隣接構造との間の境界を含む領域を成長させることによって、各スライス中のセグメント化領域を増大する。この成長した領域はここでは成長したゴールデン脛骨領域と呼んでもよく、図12Aに示すように、輪郭線328によって描かれる。
【0089】
成長したゴールデン領域を使用して、対象外の物質(軟骨、腱、水、等)から硬い骨(海綿質および皮質)を分離する表面を発見してもよい。表面の内側から表面の外側に進む時のボクセル輝度の変化を使用して、表面を画定してもよい。成長したゴールデン領域によって、位置合わせ処理で、表面近くでのゴールデンテンプレートの輝度の変化と同様の目標スキャン中での輝度の変化を発見することが可能になりうる。残念ながら、ゴールデンセグメント化領域は安定な輝度の変化(例えば、関節表面の近くの)を有さず、また輝度の変化の多くを有さないことがある。すなわち、こうした領域は追加の情報を提供せず、位置合わせすべき点の数が増大するため位置合わせを遅らせることがあるので、成長した領域は通常こうした領域を含まない。
【0090】
最後に、成長したゴールデン領域を使用すると、位置合わせ処理の際にメトリック関数が特徴を検出する距離を増大することがある。局所最適化を使用する場合、特定の方向への小さな移動によってメトリック関数が改善される時だけ位置合わせをその方向に移動してもよい。ゴールデンテンプレートの特徴が対応する目標骨の特徴からさらに遠い時(例えば、大きな形状の差がある時)、メトリックは通常その特徴の方向には移動しない。より大きく成長した領域を使用することによってメトリックが特徴を検出しその方向に移動できるようになる。
【0091】
次に、操作308は成長したゴールデン脛骨領域の大部分を切り離し、図12Aに示す境界ゴールデン脛骨領域330を獲得する。境界ゴールデン脛骨領域330は、輪郭曲線332を内側の境界とし、輪郭曲線328を外側の境界とする。
【0092】
境界領域を使用し、内側の硬い骨から外側の硬い骨への境界面を使用することによって目標骨のより正確な位置合わせを獲得してもよい。これは、悪い特徴の方に位置合わせを移動させ硬い骨の表面を探し出す精度を低下させうる他の範囲での輝度の変化(例えば、骨の内側深くの輝度の変化)を位置合わせの際使用しないように行ってもよい。
【0093】
そして、操作310は、ゴールデン脛骨スキャンの各スライス毎に2ピクセルの標準偏差のガウス平滑化を適用する。一実施形態では、vtkImageGaussianSmoothフィルタ(無償のオープンソースソフトウェアパッケージであるVisualization ToolKit(商標)の一部)を使用して、「標準偏差」パラメータを2の値に設定してガウス平滑化を実行してもよい。
【0094】
そして、操作312は、アンカーセグメント化を生成する。アンカーセグメント化は通常、大部分のMRIスキャン中で脛骨の境界が明瞭な原型セグメント化に追従する。脛骨の境界が不明瞭だが、脛骨の境界の近くに別の明瞭な特徴がある範囲では、アンカーセグメント化は代わりにその特徴に追従してもよい。例えば、健康な骨が普通軟骨を有する範囲では、損傷した骨は軟骨を有することも有さないこともある。この損傷した骨の領域に軟骨が存在する場合、骨の境界は暗い皮質骨を灰色の軟骨質から分離する。損傷した骨のこの範囲に軟骨が存在しない場合、暗い皮質骨の隣に白い液体質が存在することがあり、また損傷した骨の範囲の隣に別の暗い皮質骨が存在することがある。すなわち、損傷した骨のこの領域の皮質骨から外側の物質への境界面は通常、MRIスキャン1枚毎に変化している。こうした範囲では、皮質骨と内側の海綿質骨との間の境界面を使用してもよい。図14Aに示すように、これらの曲線は残りの脛骨範囲内で互いに滑らかに接続され、脛骨のアンカーセグメント化曲線358が獲得される。
【0095】
そして、操作314は、アンカーセグメント化境界に沿った3つの交わらない領域を決定してもよい。3つの領域は各々、大部分のMRIスキャン中で明瞭である。図14Aは、ある特定の画像スライスについてこれら3つの交わらない領域を示す。第1の領域350は、ここでは脛骨のインダーク−アウトライト領域と呼ばれ、アンカーセグメント化境界が内側の暗い輝度の皮質ボクセルを外側の明るい輝度の海綿質ボクセルから分離する領域を示す。第2の領域352は、ここでは脛骨インライト−アウトダーク領域と呼ばれ、境界が内側の明るい輝度の海綿質ボクセルを外側の暗い輝度の皮質ボクセルから分離する領域を示す。最後に、領域354は、ここでは脛骨ダーク−イン−ライト領域と呼ばれ、境界に沿って暗い輝度の皮質ボクセルの非常に薄い領域を有するが、境界から離れて(すなわち、境界の両側に)明るい輝度の海綿質ボクセルを有する領域を示す。一般に、アンカーセグメント化境界に沿った他の領域は、領域356が示すように、各スキャン毎に異なっており大部分のスキャンで明瞭でないことがある。こうした領域は任意の形状だが隣の領域とほぼ同じ輝度を有する骨増殖体の成長であることがある。すなわち、こうした領域は通常、本発明の一実施形態ではアンカー領域としては使用しない。
【0096】
最後に、操作316は、アンカーセグメント化に対応するメッシュを生成し、かつ各アンカー領域についてのメッシュも生成する。図15Aは、脛骨についてのアンカーセグメント化メッシュ360、インダーク−アウトライトアンカー領域メッシュ362、インライト−アウトダークアンカー領域メッシュ364、およびダーク−イン−ライトアンカー領域メッシュ366を示す。これらの3Dメッシュは、個々の領域中のゴールデン脛骨の表面をモデル化する。3Dメッシュは互いに異なっており、一般に結合されて複合メッシュを形成することはない。以下さらに詳細に説明するように、これらのメッシュを使用して、位置合わせ処理の際使用される人工固定画像を作成してもよい。
【0097】
また、大腿骨のゴールデンテンプレートを図11に示す方法を使用して同様の形で生成してもよい。図12Bは、輪郭曲線320Aによって描かれるゴールデン大腿骨領域、輪郭曲線328Aによって描かれる成長した大腿骨領域、および輪郭曲線332Aを内側の境界とし輪郭曲線328Aを外側の境界とする境界ゴールデン大腿骨領域30Aを示す。図13Bはゴールデン大腿骨メッシュ340Aを示す。図14Bは、大腿骨アンカーセグメント化曲線358A、大腿骨インダーク−アウトライト領域350A、および大腿骨インライト−アウトダーク領域352Aを示す。最後に、図15Bは、大腿骨についてのアンカーセグメント化メッシュ360A、インダーク−アウトライトアンカー領域メッシュ362A、およびインライト−アウトダークアンカー領域メッシュ364Aを示す。
【0098】
図16は、ゴールデンテンプレート位置合わせを使用して関節のスキャンデータ(例えば、膝関節のMRIスキャン)の自動セグメント化(例えば、図6の操作252または操作258)を実行するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。セグメント化の方法を使用して、左または右いずれかの膝の大腿骨(図6の操作252)および/または脛骨(図6の操作258)をセグメント化してもよい。異なるゴールデンテンプレートデータを使用して、左脛骨、右脛骨、左大腿骨または右大腿骨をセグメント化してもよい。さらに、他の実施形態は、セグメント化すべき対象特徴の適切なゴールデンテンプレートを使用することによって、股関節、肘関節を含むがそれらに制限されない他の関節をセグメント化してもよい。
【0099】
まず、操作370は、画像位置合わせ技術を使用して、セグメント化されたゴールデンテンプレートおよびマーキングした領域(例えば、成長した領域および境界領域)を目標スキャンデータにマッピングしてもよい。これを行って、目標スキャン中の対応する対象特徴(例えば、目標大腿骨または脛骨)を探し出してもよい。一実施形態では、3Dゴールデンテンプレートを目標スキャンデータにマッピングしてもよい。位置合わせはテンプレートの画像座標系を目標座標系に変換する。これによって、テンプレートの画像は目標画像と比較および/または統合される。
【0100】
次に、操作372は、対象特徴(例えば、骨)の境界の近くの位置合わせを改良する。アンカーセグメント化およびアンカー領域を3Dフリーフォーム変形の部分集合と共に使用して、スライスの平面(例えば、yz平面)内の点をスライスに対して横向きに(x軸に沿って)ではなく移動させてもよい。ボクセルの高いアスペクト比によって発生するエラーを補正するために当初の位置合わせ操作の改良が必要なことがある。ゴールデンテンプレートの点を目標スキャンにマッピングすると、それは一般にスキャンデータの隣接するスライスの間の点にマッピングされる。例えば、x方向に沿った平行移動が発生する場合、マッピングされる点は平行移動がスライススキャン間の距離の倍数(例えば、スライス間間隔が2ミリメートルである場合2ミリメートルの倍数)である時だけスライスと整合されうる。そうでない場合、点はスライス間にある点にマッピングされるだろう。こうした場合、2つの隣接するスライス中の対応する点(ボクセル)の輝度を平均することによって目標スキャン点の輝度を決定してもよい。これは画像の解像度をさらに低下させることがある。さらに、当初の位置合わせ操作の改良によって、健康でない範囲および/またはコントラストが制限された範囲によるエラーを補正してもよい。すなわち、当初の位置合わせ操作の際、疾患のある範囲および/または最小のコントラストの範囲の実際の骨の境界から(例えば、異なるコントラストを有する疾患のある範囲に向かって)ゴールデンテンプレートを部分的に引き離してもよい。
【0101】
次に、操作374は、セグメント化スキャンデータのポリゴンメッシュ表示を生成する。ポリゴンメッシュは通常、3Dオブジェクトの表面を定義しうる頂点、縁端、および面の集まりである。面は三角形、四角形または他の単純な凸多角形からなるものでもよい。一実施形態では、ポリゴンメッシュは、操作372で発見された位置合わせ変換を三角形ゴールデンテンプレートメッシュ(すなわち、メッシュの表面が三角形の面から構成されている)の全ての頂点に適用することによって生成してもよい。累積的位置合わせ変換は通常、最小の整合不良エラーでゴールデンテンプレートを目標MRIスキャンにマッピングする変換を表すことを認識されたい。
【0102】
最後に、操作376は、操作374によって生成されたメッシュと目標MRIスライスとの交差に近似するスプライン曲線を生成する。こうしたスプライン曲線は、(図6の操作254または操作260の際に)技術者によって検証してもよいことに注意されたい。
【0103】
図17は、画像位置合わせ技術を使用してセグメント化されたゴールデン大腿骨テンプレート領域を目標スキャンにマッピングするための1つの方法を例示するフローチャートを示す。位置合わせは、固定した画像を目標画像に整合させる空間マッピングを発見することを目標とした最適化の問題と考えてもよい。一般に、まず実際の大腿骨の場所および形状のおよその近似を発見するための粗画像近似および低次元変換グループから開始されるいくつかの位置合わせ操作を実行してもよい。これを行って、対象大腿骨の代わりに誤った特徴を発見する機会を減らしてもよい。例えば、当初フリーフォーム変形位置合わせが使用されてゴールデン大腿骨テンプレートを目標スキャンデータに登録している場合、テンプレートは対象大腿骨ではなく誤った特徴、例えば脛骨に登録されるかもしれない。また、微細な位置合わせより短い時間内に粗な位置合わせを実行して、位置合わせを実行するために必要な総時間を短縮してもよい。粗な位置合わせを使用して一旦大腿骨を近似的に探し出してから、微細な位置合わせ操作を実行して、大腿骨の場所および形状をより正確に決定してもよい。次の位置合わせ操作での大腿骨の初期近似として前の位置合わせ操作によって決定される大腿骨の近似を使用することによって、次の位置合わせ操作がより短い時間で解を発見できるようにしてもよい。
【0104】
一実施形態では、各位置合わせ操作は、図18に示す位置合わせフレームワーク390を利用してもよい。位置合わせフレームワーク390は画像の相似性に基づく方法を利用してもよい。この方法は一般に、固定(または基準)画像394(例えば、ゴールデン大腿骨テンプレート)の座標に適用して目標画像396の空間(例えば、MRIスキャン)中の対応する座標を探し出してもよい変換モデルT(X)392、所与の変換によって達成された両方の画像空間の間の対応の度合いを定量化する画像相似性メトリック398、および変換モデル392のパラメータを変更することによって画像相似性を最大化(または反対の関数を最小化)しようとするオプティマイザ400を含む。補間器402を使用して、グリッドのない場所(例えば、スライス間にある目標画像の点にマッピングされた基準画像の点)の目標画像の輝度を評価してもよい。すなわち、位置合わせフレームワークは通常、2つの入力画像、変換、メトリック、補間器およびオプティマイザを含む。
【0105】
再び図17を参照すると、操作380は粗な位置合わせ変換を使用してMRIスキャン中の成長した大腿骨領域を近似的に位置合わせしてもよい。一実施形態では、これは、MRIスキャンデータに対して網羅的な平行移動変換探索を実行して、目標画像の目標大腿骨にマッピングされた基準画像大腿骨の平行移動不整合を最小化する適切な平行移動変換パラメータを特定することによって行ってもよい。この粗な位置合わせ操作は通常、MRIスキャン中の適切な大腿骨の位置を決定する。この操作の際、平行移動変換を使用して基準画像の大腿骨を目標画像の目標大腿骨に重ね合わせ、大腿骨の平行移動の不整合を最小化してもよい。
【0106】
平行移動変換は、同じ3Dベクトルによって画像を平行移動(またはシフト)する。すなわち、目標画像中の1つ以上の軸に沿って基準大腿骨をシフトすることによって基準大腿骨を目標画像空間にマッピングし、不整合を最小化してもよい。この操作の際、基準大腿骨は回転、拡大縮小または変形しない。一実施形態では、1つのパラメータがその次元についての平行移動を規定する各次元についてのものである、平行移動変換についての3つのパラメータを生成してもよい。目標画像空間にマッピングされた基準大腿骨画像の座標の不整合を最小化する平行移動変換の最終パラメータを格納してもよい。
【0107】
次に、操作382はさらに、操作380によって決定された画像位置合わせを改良する。これは、相似性変換を使用して、基準ゴールデンテンプレート大腿骨の成長した大腿骨領域を目標MRIスキャンデータに近似的に位置合わせすることによって行ってもよい。一実施形態では、相似性変換は3D空間中で行ってもよい。基準ゴールデン大腿骨領域は、3D中で回転し、3D中で平行移動し、均一に拡大縮小してその座標を目標MRIスキャンデータにマッピングし、基準ゴールデン大腿骨領域と目標MRIスキャン中の対応する領域との間の不整合を最小化してもよい。実施形態によっては、特定の回転中心を基準として回転および拡大縮小両方の操作が実行されるように、回転中心を指定してもよい。一実施形態では、7つのパラメータによって指定される3D相似性変換を使用してもよい。1つのパラメータは拡大縮小係数を指定し、3つのパラメータは3D回転を表すベルソルを指定し、3つのパラメータは各方向での3D平行移動を表すベクトルを指定する。ベルソルは、三次元中の対象の方向および回転を表す便利な数学的表記を提供する単位四元数である。
【0108】
一実施形態では、相似性変換と共に局所最小化技術を利用して、前の操作190で発見され初期開始近似として使用される目標MRIスキャンへの基準ゴールデン大腿骨領域の位置合わせから遠くない目標MRIスキャンへの基準ゴールデン大腿骨領域の改良された位置合わせを獲得してもよい。成長したゴールデン大腿骨領域を位置合わせすることによって、位置合わせ処理の際メトリック関数が特徴を検出する距離を増大してもよい。局所最適化が使用される場合、特定の方向への小さな移動によってメトリック関数が改善される場合だけ位置合わせはその方向に移動することがある。ゴールデン大腿骨テンプレートの特徴が対応する目標大腿骨の特徴から遠く離れている場合(例えば、大きな形状の相違がある場合)、メトリックは通常その目標に向かって移動することはない。より大きな成長した大腿骨の領域を使用することによってメトリックが特徴を検出しそれに向かって移動するようになることがある。
【0109】
操作382の後、操作384はさらに、目標スキャンへのゴールデン大腿骨の画像位置合わせを改良する。一実施形態では、アフィン変換を使用して、ゴールデン大腿骨テンプレートの境界ゴールデン大腿骨領域の座標を目標MRIスキャンデータに位置合わせしてもよい。一実施形態では、操作382で発見された近似的な大腿骨位置合わせをアフィン変換のための初期開始近似として使用してもよい。
【0110】
アフィン変換は通常線形変換であり、それに平行移動が続く。アフィン変換は、点同士の間の共線性(すなわち、一線上にある3つの点は変換の後も同一線上にあり続ける)および線に沿った距離の比を保持する。一実施形態では、12のパラメータによって指定される、3Dアフィン変換を利用してもよい。アフィン変換の9つのパラメータは(3×3マトリックスによって表しうる)線形変換を指定し、アフィン変換の3つのパラメータは各次元での3D平行移動を指定する。目標MRIスキャンデータにマッピングされた境界ゴールデン大腿骨領域の不整合を最小化するアフィン変換のパラメータを格納してもよい。
【0111】
最後に、操作386はさらに、境界ゴールデン大腿骨領域の画像位置合わせを改良する。一実施形態では、スプライン変換を使用して、境界ゴールデン大腿骨領域の座標をMRIスキャンデータ(目標画像空間)に位置合わせしてもよい。一実施形態では、3D B−スプライン変形可能変換(3D B−Spline deformable transformation)を利用してもよく、操作384で発見された変換を3D B−スプライン変形可能変換のための初期変換として使用してもよい。
【0112】
B−スプライン変形可能変換は通常、変形ベクトルが空間中の各点に割り当てられる変形フィールドを使用する対象のフリーフォーム変形である。例えば、3D B−スプライン変形可能変換Tは、T:P→P+V(P)になるようにTによって移動される元の3D空間中の各点Pについて3DベクトルV(P)を指定してもよい。
【0113】
一実施形態では、B−スプライン変形可能変換は、MがB−スプライングリッド中のノードの数でありNが空間の次元であるM×Nのパラメータによって指定してもよい。一実施形態では、三次の3D B−スプライン変形可能変換を使用して、異なる3Dベクトルによって各基準画像の3D点を目標MRIスキャンにマッピングしてもよい。B−スプラインを使用してベクトルのフィールドをモデル化してもよい。通常、J、K、およびLが変換のパラメータである制御点のグリッドJ×K×Lを指定してもよい。
【0114】
一実施形態では、制御点のグリッド9×6×6による三次のスプラインを使用してもよい。すなわち、この変換は内側/外側方向(すなわち、x方向)の9つの制御点および他の方向(すなわち、yおよびz方向)の6つの制御点を利用する。各方向の3つの制御点(すなわち、x方向9のうち3、y方向の6のうち3およびz方向の6のうち3)を使用して、境界条件を指定してもよい。すなわち、内側のスプラインノードはサイズが6×3×3のグリッドを形成してもよく、境界条件はグリッドを9×6×6のサイズに増大する。この変換のためのパラメータ集合は、3×9×6×6=972の次元を有する(すなわち、各次元は制御点の9×6×6のグリッドを有してもよい)。基準ゴールデン大腿骨テンプレートと目標MRIスキャンデータとの間の不整合を最小化するスプライン変換の最終パラメータを格納してもよい。これはここでは累積的大腿骨位置合わせ変換と呼ぶこともある。
【0115】
図19は、画像位置合わせ技術を使用して、セグメント化されたゴールデン脛骨テンプレート領域を目標スキャンにマッピングするための1つの方法を例示するフローチャートを示す。一般に、まず実際の脛骨の場所および形状のおよその近似を発見するための粗画像近似および低次元変換グループから開始されるいくつかの位置合わせ操作を実行してもよい。これを行って、対象脛骨の代わりに誤った特徴を発見する機会を減らしてもよい。例えば、当初フリーフォーム変形位置合わせが使用されてゴールデン脛骨テンプレートを目標スキャンデータに登録している場合、テンプレートは対象脛骨ではなく誤った特徴、例えば大腿骨に登録されるかもしれない。また、微細な位置合わせより短い時間内に粗な位置合わせを実行して、位置合わせを実行するために必要な総時間を短縮してもよい。粗な位置合わせを使用して一旦脛骨を近似的に探し出してから、微細な位置合わせ操作を実行して、脛骨の場所および形状をより正確に決定してもよい。次の位置合わせ操作での脛骨の初期近似として前の位置合わせ操作によって決定される脛骨の近似を使用することによって、次の位置合わせ操作がより短い時間で解を発見できるようにしてもよい。
【0116】
一実施形態では、各位置合わせ操作は、図18に示す位置合わせフレームワーク390を利用してもよい。位置合わせフレームワーク390は画像の相似性に基づく方法を利用してもよい。この方法は一般に、固定した(または基準)画像394(例えば、ゴールデン脛骨テンプレート)の座標に適用して目標画像396の空間(例えば、MRIスキャン)中の対応する座標を探し出してもよい変換モデルT(X)392、所与の変換によって達成された両方の画像空間の間の対応の度合いを定量化する画像相似性メトリック398、および変換モデル392のパラメータを変更することによって画像相似性を最大化(または反対の関数を最小化)しようとするオプティマイザ400を含む。補間器402を使用して、グリッドのない場所(例えば、スライス間にある目標画像の点にマッピングされた基準画像の点)の目標画像の輝度を評価してもよい。すなわち、位置合わせフレームワークは通常、2つの入力画像、変換、メトリック、補間器およびオプティマイザを含む。
【0117】
右脛骨を含むスキャンデータを使用して自動セグメント化位置合わせ処理を説明する。これは例示であって制限ではない。再び図19を参照すると、操作410は粗な位置合わせ変換を使用してMRIスキャン中の成長した脛骨領域を近似的に位置合わせしてもよい。一実施形態では、これは、MRIスキャンデータに対して網羅的な平行移動変換探索を実行して、目標画像の目標脛骨にマッピングされた基準画像脛骨の平行移動不整合を最小化する適切な平行移動変換パラメータを特定することによって行ってもよい。この粗な位置合わせ操作は通常、MRIスキャン中の適切な脛骨の位置を決定する。この操作の際、平行移動変換を使用して基準画像の脛骨を目標画像の目標脛骨に重ね合わせ、脛骨の平行移動の不整合を最小化してもよい。
【0118】
平行移動変換は、同じ3Dベクトルによって画像を平行移動(またはシフト)する。すなわち、目標画像中の1つ以上の軸に沿って基準脛骨をシフトすることによって基準脛骨を目標画像空間にマッピングし、不整合を最小化してもよい。この操作の際、基準脛骨は回転、拡大縮小または変形しない。一実施形態では、1つのパラメータがその次元についての平行移動を規定する各次元についてのものである、平行移動変換についての3つのパラメータを生成してもよい。目標画像空間にマッピングされた基準大腿骨画像の座標の不整合を最小化する平行移動変換の最終パラメータを格納してもよい。
【0119】
次に、操作412はさらに、操作410によって決定された画像位置合わせを改良する。これは、相似性変換を使用して、基準ゴールデンテンプレート脛骨の成長した脛骨領域を目標MRIスキャンデータに近似的に位置合わせすることによって行ってもよい。一実施形態では、相似性変換は3D空間中で行ってもよい。基準ゴールデン脛骨領域は、3D中で回転し、3D中で平行移動し、均一に拡大縮小してその座標を目標MRIスキャンデータにマッピングし、基準ゴールデン脛骨領域と目標MRIスキャン中の対応する領域との間の不整合を最小化してもよい。実施形態によっては、特定の回転中心にを基準として回転および拡大縮小両方の操作が実行されるように、回転中心を指定してもよい。一実施形態では、7つのパラメータによって指定される3D相似性変換を使用してもよい。1つのパラメータは拡大縮小係数を指定し、3つのパラメータは3D回転を表すベルソルを指定し、3つのパラメータは各方向での3D平行移動を表すベクトルを指定する。ベルソルは、三次元中の対象の方向および回転を表す便利な数学的表記を提供する単位四元数である。
【0120】
一実施形態では、相似性変換と共に局所最小化技術を利用して、前の操作190で発見され初期開始近似として使用される目標MRIスキャンへの基準ゴールデン脛骨領域の位置合わせから遠くない目標MRIスキャンへの基準ゴールデン脛骨領域の改良された位置合わせを獲得してもよい。成長したゴールデン脛骨領域を位置合わせすることによって、位置合わせ処理の際メトリック関数が特徴を検出する距離を増大してもよい。局所最適化が使用される場合、特定の方向への小さな移動によってメトリック関数が改善される場合だけ位置合わせはその方向に移動することがある。ゴールデン脛骨テンプレートの特徴が対応する目標脛骨の特徴から遠く離れている場合(例えば、大きな形状の相違がある場合)、メトリックは通常その目標に向かって移動することはない。より大きな成長した脛骨の領域を使用することによってメトリックが特徴を検出しそれに向かって移動するようになることがある。
【0121】
操作412の後、操作414はさらに画像位置合わせを改良する。一実施形態では、アフィン変換を使用して、ゴールデン脛骨テンプレートの境界ゴールデン脛骨領域の座標を目標MRIスキャンデータに位置合わせしてもよい。一実施形態では、操作412で発見された近似的な脛骨位置合わせをアフィン変換のための初期開始近似として使用してもよい。
【0122】
アフィン変換は通常線形変換であり、それに平行移動が続く。アフィン変換は、点同士の間の共線性(すなわち、一線上にある3つの点は変換の後も同一線上にあり続ける)および線に沿った距離の比を保持する。一実施形態では、12のパラメータによって指定される、3Dアフィン変換を利用してもよい。アフィン変換の9つのパラメータは(3×3マトリックスによって表しうる)線形変換を指定し、アフィン変換の3つのパラメータは各次元での3D平行移動を指定する。目標MRIスキャンデータにマッピングされた境界ゴールデン脛骨領域の不整合を最小化するアフィン変換のパラメータを格納してもよい。
【0123】
最後に、操作416はさらに、境界ゴールデン脛骨領域の画像位置合わせを改良する。一実施形態では、スプライン変換を使用して、境界ゴールデン脛骨領域の座標をMRIスキャンデータ(目標画像空間)に位置合わせしてもよい。一実施形態では、3D B−スプライン変形可能変換を利用してもよく、操作414で発見された変換を3D B−スプライン変形可能変換のための初期変換として使用してもよい。
【0124】
B−スプライン変形可能変換は通常、変形ベクトルが空間中の各点に割り当てられる変形フィールドを使用する対象のフリーフォーム変形である。一実施形態では、B−スプライン変形可能変換は、MがB−スプライングリッド中のノードの数でありNが空間の次元であるM×Nのパラメータによって指定してもよい。一実施形態では、三次の3D B−スプライン変形可能変換を使用して、異なる3Dベクトルによって各基準画像の3D点を目標MRIスキャンにマッピングしてもよい。B−スプラインを使用してベクトルのフィールドをモデル化してもよい。通常、J、K、およびLが変換のパラメータである制御点のグリッドJ×K×Lを指定してもよい。
【0125】
一実施形態では、制御点のグリッド9×6×6による三次のスプラインを使用してもよい。すなわち、この変換は内側/外側方向(すなわち、x方向)の9つの制御点および他の方向(すなわち、yおよびz方向)の6つの制御点を利用する。各方向の3つの制御点(すなわち、x方向9のうち3、y方向の6のうち3およびz方向の6のうち3)を使用して、境界条件を指定してもよい。すなわち、内側のスプラインノードはサイズが6×3×3のグリッドを形成してもよく、境界条件はグリッドを9×6×6のサイズに増大する。この変換のためのパラメータ集合は、3×9×6×6=972の次元を有する。基準ゴールデン脛骨テンプレートと目標MRIスキャンデータとの間の不整合を最小化するスプライン変換の最終パラメータを格納してもよい。これはここでは累積的脛骨位置合わせ変換と呼ぶこともある。
【0126】
脛骨の形状は、大腿骨の形状の場合以上に患者毎に異なっていることがある。その結果、目標スキャン中の目標脛骨への十分に緊密な位置合わせを提供しないことがある。このため、スプライン変換が発見する局所最適条件は、範囲によっては実際の脛骨から離れていることがある。一実施形態では、アフィン変換およびスプライン変換の間に追加の位置合わせ操作を実行してゴールデン脛骨と目標脛骨とをより緊密に整合させ、スプライン変換を近くの(しかし誤った)局所最適条件ではなく正しい局所最適条件に収束させるようにしてもよい。
【0127】
利用される変換の種類は一般に、アフィン変換より多くの柔軟性(または自由度)を許容しB−スプライン変換より小さい自由度を許容するものであるべきである。自由度の数は一般に変換パラメータの数に等しい。一実施形態では、12より多く3×9×6×6より少ないパラメータを持つ種類の変換を使用してもよい。例えば、追加の変換操作として、(後続のスプライン変換で使用されるものより)少ない制御点によるB−スプライン変換を使用してもよい。代替的には、三次関数でなく二次関数を使用して変形をモデル化してもよい。
【0128】
別の実施形態では、例えば、O脚、X脚および正常な脛骨のゴールデン脛骨テンプレートといった、通常の脛骨の変形を表すいくつかのゴールデン脛骨テンプレートを使用してもよい。一実施形態では、平行移動変換、相似性変換およびアフィン変換の際に各ゴールデン脛骨テンプレートを使用して、アフィン変換位置合わせ操作で最高の一致(例えば、最高の相関)を提供するテンプレートを発見してもよい。このテンプレートを残りの位置合わせ操作で使用してもよい。
【0129】
最後に、一実施形態では、大腿骨のセグメント化の後に脛骨のセグメント化を実行し、脛骨が大腿骨に侵入しえないように脛骨の位置合わせ変換に対する制限を追加することによって脛骨の位置合わせを改善してもよい。一実施形態では、侵入に対するペナルティを導入することによってこれを実現してもよい。目標MRIでは、大腿骨スプラインの内側にある全てのボクセルにマーキングしてもよい。以下より詳細に説明する、位置合わせ操作で使用されるメトリック関数を、ペナルティ項を含むように修正してもよい。ペナルティ項は、ゴールデンテンプレートセグメント化の境界上の点の集合を選択し、(相関計算で使用されるサンプル点に変換を適用するのと同様な形で)その点の集合に変換を適用し、変換されたサンプル点がいずれかのマーキングされたボクセル中にあるかを決定し、いずれかのマーキングされたボクセル中にある変換されたサンプル点各々のペナルティ項に大きな値を追加することによって計算してもよい。
【0130】
上記の位置合わせ操作の各々で、メトリックを使用して基準画像と所与の変換によって達成された目標画像との両者の特徴間の対応の度合いを定量化してもよい。一実施形態では、メトリックは、変換されたゴールデンテンプレート画像が目標画像(例えば、目標MRIスキャン)にどの程度良好に適合するかを定量的に測定して、位置合わせされるべきゴールデンテンプレート領域中のサンプル点の集合を使用して画像のグレースケール輝度を比較してもよい。
【0131】
図20は、上記で説明した位置合わせ操作によって使用されるメトリックを計算するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。個々の位置合わせ操作について、メトリックは同様に計算してもよいが、メトリックは個々の位置合わせ操作にために指定された異なるパラメータを有してもよい。メトリックはここでは「サンプル点の局所相関」と呼んでもよい。まず、操作420は位置合わせすべきゴールデンテンプレート領域中のサンプル点の集合を選択する。
【0132】
平行移動変換および相似性変換の場合、サンプル点は以下のように選択してもよい。まず、3D空間中の骨全体をカバーするL×M×Nの直線グリッドを使用してもよい。L、M、およびNは1から16まで変化してもよい。一実施形態では、各画像スライス毎の8×8グリッドを使用して、ゴールデンテンプレートの成長したゴールデン領域中の均一なサンプル点を選択してもよい。各グリッドセルについて、第1のサンプル点を選択する。サンプル点が成長したゴールデン領域中にある場合、それを使用する。サンプル点がゴールデン領域外にある場合、それを廃棄する。
【0133】
アフィン変換およびスプライン変換の場合、MRIスライスの境界ゴールデン領域中の32の各点から1つを無作為に選択することによってサンプル点を決定してもよい。
【0134】
次に、操作422は選択された点をバケットにグループ化する。一実施形態では、以下のようにバケットを形成してもよい。第1に、直線グリッドを使用して、3D空間をセルに細分してもよい。同じセルに属するサンプル点を同じバケットに配置する。サンプル点をバケットにグループ化してMRIスキャン中の不均一な輝度を補償してもよいことに注意されたい。
【0135】
例えば、MRIスキャンデータは画像の中央で明るく画像の縁端に向かって暗くなることがある。この輝度勾配は通常スキャナによって異なると共に、スキャナを最後に較正してからの経過時間といった他のパラメータに依存することもある。さらに、高いアスペクト比のボクセルは通常ボクセル体積の平均化に帰結する。すなわち、皮質骨は、その表面がスライスにほぼ垂直な範囲では非常に暗く見えることがあり、一般に近くの組織と平均化されない。しかし、皮質骨は表面がスライスにほぼ正接する範囲では明灰色に見えることがあり、一般に大きな量の近くの組織と平均化されることがある。
【0136】
次に、操作424は目標MRIスライスをサブサンプリングする。目標空間のサブサンプリングは一般に、メトリック関数を平滑化する効果を有する。これは、局所最小化アルゴリズムがより深い最小値に収束するように、ごく小さな局所最小値を除去することがある。一実施形態では、(図19の)操作410および412の際に、各スライスを8×8のグリッドによってサブサンプリングしてもよい。(図19の)操作414および416の際に、各スライスを4×4のグリッドによってサブサンプリングしてもよい。すなわち、サブサンプリングの際には、各グリッドセルから1つの点を選択してもよく(例えば、最初の点)、グリッドセル中の残りの点を廃棄してもよい。
【0137】
次に、操作426は各バケット中の点と(マッピングした後の)目標MRIスキャン中の対応する点との輝度の相関を計算する。相関(NC)メトリックは次式のように表すことができる(ここで、和Σは、i=1からNまでの和をとるものとする)。
【0138】
NC(A,B)=(ΣA)/√(ΣAΣB)*(NΣA―ΣAΣB)/(√(NΣA−(ΣA)*√(NΣB−(ΣB))
【0139】
ここで、Aiは画像Aのi番目のボクセルの輝度であり、Biは画像Bのi番目のボクセルの輝度であり、Nは考慮されるボクセルの数であり、合計は1〜Nに等しいiから得られる。画像の差が最小化される時(または画像相似性の相関が最大化される時)メトリックが最適になりうることを認識されたい。NCメトリックは一般に2つの画像間の輝度シフトおよび倍数因子の影響を受けず、鋭いピークと明瞭な最小値を持つ費用関数を生じることがある。
【0140】
最後に、操作428は、バケット中のサンプル点の数に比例する重みを付けて各バケットで計算される相関を平均する。
【0141】
メトリックを計算するための上記の処理は、MRIスキャンデータ中の、例えば、図3A〜図3Cを参照して上記で説明したような不均一な輝度を補償しうるものであることを認識されたい。
【0142】
位置合わせ処理の際、オプティマイザを使用し、所与の変換モデルのパラメータを調整して目標画像中の基準画像座標の位置を調整することによって、基準画像と目標画像との間の画像相似性を最大化してもよい。一実施形態では、位置合わせ操作のためのオプティマイザは、その初期近似として以前の位置合わせ操作で変換された画像(例えば、変換されたゴールデンテンプレート)を使用してもよい。そして、局所最適化技術を使用して初期開始近似に近い局所最適条件を探索してもよい。これは以前の操作で確実に発見された対象特徴(例えば、膝関節の大腿骨または脛骨)から遠く離れた何らかの可能性のある一致を除去しうるように行ってもよい。
【0143】
平行移動変換に対して、サイズが5ミリメートルの平行移動ベクトルの10×10×10のグリッドを使用して網羅的探索を実行してもよい。グリッド中の各ベクトルについての平行移動を行ってもよく、サンプル点の最大局所相関を提供する平行移動を最適な平行移動として選択してもよい。
【0144】
相似性変換に対して、一実施形態では、規則的ステップ勾配降下(regular step gradient descent)オプティマイザを使用してもよい。規則的ステップ勾配降下オプティマイザは通常、勾配の方向に変換パラメータを進めるものであって、バイパーティション(bipartition)スキームを使用してステップサイズを計算してもよい。関数の勾配は通常最大変化率の方向を指し、その大きさは最大変化率に等しい。
【0145】
例えば、三次元空間についての勾配は次式によって与えられるものでもよい。
∇f(x、y、z)=(∂f/∂x,∂f/∂y,∂f/∂z)
【0146】
すなわち、勾配ベクトルは、変換を定義する全てのパラメータに対するメトリック関数の部分導関数から構成してもよい。一実施形態では、メトリック関数は、1つの外関数とN個の内関数との構成でもよい。外関数は、ベクトル{Ai}および{Bi}を前提として操作426および428によってメトリック値を計算してもよい。N個の内関数は、変換を使用してN個のサンプル点を固定した(基準)画像Aiから目標画像Biにマッピングし、マッピングされた点の目標画像Biの輝度を評価してもよい。各内関数は一般に、変換パラメータと、変換が適用される「変換元の」空間中の点とに依存する。部分導関数を計算する場合、関数合成の導関数を計算するための連鎖律を使用してもよい。
【0147】
局所最小値を発見するため、パラメータのステップは、現在の点の変換パラメータ空間上のメトリック勾配(または近似勾配)の負の方向に進めてもよい。これは一般に、通常目標画像の対応する特徴にマッピングされた基準画像の特徴が最小不整合を有する時局所最小値を有するメトリックを最適化する。
【0148】
相似性変換(例えば、図17の操作382)のための回転の初期中心は、変換位置合わせ(例えば、図17の操作380)で位置合わせされた特徴(例えば、骨)を囲むバウンディングボックス(または、座標平面に平行な辺を持つ最小サイズの立方体)の中心として指定してもよい。平行移動パラメータと結び付ける時拡大縮小パラメータとして約40ミリメートルの拡大縮小係数を使用してもよい。勾配計算は一般に何らかのメトリック関数が存在していると想定しているということを認識されたい。相似性変換を伴う場合、変換パラメータは同じ次元数を有しない。平行移動パラメータはミリメートルの次元を有する一方、回転角および拡大縮小についてのパラメータはミリメートルの次元を有しない。一実施形態では、メトリックMは次式のように定義してもよい。
【0149】
M=SQRT(X2+Y2+Z2+(40−millimeter*A1)+...)
【0150】
ここで、Xはx軸に沿った平行移動であり、Yはy軸に沿った平行移動であり、Zはz軸に沿った平行移動であり、A1は第1の回転角である、等である。(前方/後方および内側/外側方向の)対象骨の約半分のサイズであり、1ラジアン角の回転を実行すると点が約40ミリメートル移動することになるので、約40ミリメートルの拡大縮小係数を使用してもよい。
【0151】
一実施形態では、基準画像と目標MRIスキャンとの間の最小不整合に帰結する相似性変換のパラメータを決定するため、点毎に1.5ミリメートルの最大移動を指定してもよく、緩和係数を0.98に設定してもよく、最大300回の反復を実行してもよい。
【0152】
アフィン変換に対して、一実施形態では、規則的ステップ勾配オプティマイザを使用してもよい。平行移動パラメータと結び付ける時マトリックス係数変化のために約40ミリメートルの拡大縮小係数を使用してもよい。最小不整合に帰結するパラメータを決定するため、各反復について点毎に最大1.0ミリメートルの移動を設定してもよく、緩和係数を0.98に設定してもよく、最大300回の反復を実行してもよい。
【0153】
B−スプライン変換に対して、最上のB−スプライン変形可能変換を探索するため、一実施形態では修正規則的ステップ勾配降下オプティマイザを使用してもよい。MRI画像勾配は、(例えば、骨の接点に重篤な損傷がある場所および/または骨増殖体が成長している場所といった)疾患のある範囲の骨の表面に追従することが多い。こうした勾配はゴールデンテンプレートに変形を発生させセグメント化された骨の形状に大きな歪みを導入することがある。
【0154】
一実施形態では、各ベクトルがアフィン変換(例えば、図17の操作384)の際に発見されたゴールデンテンプレート形状中のもっとも近い点に向かうゴールデン境界ベクトルフィールドの法線を計算することによってこうした変形についてMRI画像勾配を補正してもよい。これは距離マッピング(距離変換とも呼ばれる)を使用して行ってもよい。距離マッピングは、画像の各ボクセルに、もっとも近い障害ボクセル(例えば、バイナリ画像中の境界ボクセル)への距離を提供する。一実施形態では、図17の操作384に見られるアフィン変換を使用して、ゴールデン脛骨領域の符号付き距離マッピングの勾配をマッピングしてもよい。一実施形態では、符号付きダニエルソン距離マッピング画像フィルタアルゴリズム(signed Danielsson distance map image filter algorithm)を使用してもよい。そして、MRI画像勾配をベクトルフィールドに投影して補正された勾配フィールドを獲得してもよい。この補正された勾配フィールドはゴールデン境界フィールドの法線に平行であり、通常、最適化の際にたどりうるB−スプライン変換の集合の非常に希薄な部分集合を定義する。
【0155】
さらに、変換空間について1つの勾配ベクトルを計算してそれに沿って進む代わりに、スプラインノード毎に独立した勾配を計算してもよい。一実施形態では、(J×K×Lの制御ノードを持つ)三次のB−スプラインを使用して、各制御点について1つのJ×K×Lの勾配を計算してもよい。反復毎に、各スプラインノードをそれぞれの勾配に沿って移動してもよい。これによってスプライン曲線は高コントラスト範囲で移動するのと同時に低コントラスト範囲でも移動するようになる。各スプラインノードについて0.95の緩和係数を設定してもよい。反復の際各点について1ミリメートルの最大移動を設定してもよく、目標MRIスキャンにマッピングされたゴールデン脛骨領域の最小不整合を提供するB−スプライン変換のパラメータを発見するため最大20回の反復を実行してもよい。
【0156】
画像位置合わせ(図16の操作370)を使用して一旦関節の対象特徴の位置および形状が決定したら、アンカーセグメント化およびアンカー領域を使用して位置合わせ結果を改良してもよい(図16の操作372)。図21は、アンカーセグメント化およびアンカー領域を使用して位置合わせ結果を改良するための1つの方法を例示するフローチャートを示す。通常、この操作の際、位置合わせフレームワーク390の固定した画像394のために人工的に生成した画像を使用して1つ以上の位置合わせを行ってもよい。人工画像を使用することで、通常スキャン毎に変化しない既知の良好な領域を位置合わせすることによって、全体の位置合わせを改善し、さもなければ位置合わせを歪めかねない疾患および/または低コントラスト範囲によるエラーを訂正してもよい。
【0157】
さらに、人工画像を使用して、関節表面および骨幹中央領域の表面検出精度を増大してもよい。画像スライスは通常2つの次元で高い解像度(例えば、yおよびz次元で0.3ミリメートル)を有し、第3の次元で低い解像度(例えば、x次元で2ミリメートル)を有する。関節表面および骨幹中央領域は通常、それらの表面が一般に画像スライスに垂直であるためスライス中で明瞭である。スライス間ではなくスライス内でのみ点を移動させることによってスライス内の精度を保持する2Dおよび3D技術の組み合わせを使用して表面検出精度を改善してもよい。さらに、スライスが互いに独立して変形しないように3D B−スプライン変換を使用してもよい。各スライスは十分な情報を含まないことがあるので、各スライスが独立して変形すると位置合わせ中に誤った特徴が生じることがある。そうせずに、位置合わせが望ましい特徴の近くに残るようにスライス全体を変形すればよい。各スライスは別様に変形することがあるが、1つのスライスから次のスライスへの変化はゆるやかで、スライス間の変形の差は一般に小さい。
【0158】
一実施形態では、人工画像はメトリックによって使用されうる暗および明のサンプル点の集合を備えてもよい。人工画像中の全ての暗い点は同じ輝度値(例えば、100)を有してもよく、人工画像中の全ての明るい点は同じ輝度値(例えば、200)を有してもよい。相関は一般に拡大縮小およびゼロシフトの影響を受けないことを認識されたい。暗い輝度値が明るい輝度値より低い限り、任意の輝度値を使用してもよい。
【0159】
まず、操作430は、(図16の操作370によって計算された)累積的位置合わせ変換をアンカー位置合わせメッシュおよびその3つの関連するアンカー領域メッシュ(例えば、インダーク−アウトライトメッシュ、インライト−アウトダークメッシュおよびダーク−イン−ライトメッシュ)に適用して、目標画像空間と同一の空間中にある変換されたアンカー位置合わせメッシュおよび関連する変換されたアンカー領域メッシュ(変換されたインダーク−アウトライトアンカーメッシュ、変換されたインライト−アウトダークアンカーメッシュおよび変換されたダーク−イン−ライトアンカーメッシュ)を生成する。
【0160】
そして、操作432は、変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面を取り囲むわずかな体積内にある無作為のサンプル点を生成する。一実施形態では、これは、ここでは1.5ミリメートル近傍と呼んでもよい、アンカーセグメント化メッシュ表面プラス1.5ミリメートルによって定義される外側境界と、アンカーセグメント化メッシュ表面マイナス1.5ミリメートルによって定義される内側境界とを有する体積でもよい。画像スライス内にあってスライス間にはない無作為のサンプル点を生成してもよい。例えば、画像スライスは、2ミリメートルの間隔(x軸位置0.0、2.0、4.0、...)でx軸を横断してもよい。サンプル点が選択される場合、そのx座標は0.0、2.0、4.0、等の1つでもよいが、1.7、3.0または2.0の倍数でない何らかの数でなくてもよい。
【0161】
一実施形態では、以下のように、1.5ミリメートル近傍に属する画像スライス毎にボクセルにマーキングしてもよい。第1に、変換されたアンカーメッシュと各画像スライスとの交点を発見してもよい。アンカーメッシュと画像スライスとの交点はポリラインでもよいことを認識されたい。そして、各画像スライスにおいて、ポリラインセグメントを横断してもよく、メッシュと交差する全てのピクセルにマーキングしてもよい。次に、1.5ミリメートルの半径を使用して、各画像スライスのマーキングされたピクセルに膨張フィルタを適用してもよい。膨張フィルタは通常、元のマーキングされた点から1.5ミリメートル以内の距離にある全ての点を追加することによってマーキングされた領域を拡大する。
【0162】
操作432の後、操作434は、サンプル点が変換されたインダーク−アウトライトメッシュ表面内にあるかを決定する。操作434がサンプル点がインダーク−アウトライトメッシュ表面内にあると決定すると、操作442が実行される。操作434がサンプル点がインダーク−アウトライトメッシュ表面内にないと決定すると、操作436が実行される。
【0163】
操作442は、サンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面内にあるかを決定する。操作442がサンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面内にあると決定すると、操作446が実行される。操作442が操作442がサンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面内にないと決定すると、操作448が実行される。
【0164】
操作436は、サンプル点が変換されたインライト−アウトダークメッシュ表面内にあるかを決定する。操作436がサンプル点が変換されたインライト−アウトダークメッシュ表面内にあると決定すると、操作444が実行される。操作436がサンプル点が変換されたインライト−アウトダークメッシュ表面内にないと決定すると、操作438が実行される。
【0165】
操作444は、サンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面内にあるかを決定する。操作444がサンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面内にあると決定すると、操作448が実行される。操作444がサンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュ表面内にないと決定すると、操作446が実行される。
【0166】
操作438は、サンプル点が変換されたダーク−イン−ライトメッシュ表面内にあるかを決定する。操作438がサンプル点が変換されたダーク−イン−ライトメッシュ表面内にあると決定すると、操作440が実行される。操作438がサンプル点が変換されたダーク−イン−ライトメッシュ表面内にないと決定すると、操作450が実行される。
【0167】
操作440は、サンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュの表面の0.75ミリメートル内にあるかを決定する。操作440がサンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュの表面の0.75ミリメートル内にあると決定すると、操作446が実行される。操作440がサンプル点が変換されたアンカーセグメント化メッシュの表面の0.75ミリメートル内にないと決定すると、操作450が実行される。
【0168】
操作446はサンプル点を暗い点として人工画像に追加する。そして、操作450が実行される。
【0169】
操作448は、サンプル点を明るいサンプル点として人工画像に追加する。そして、操作450が実行される。
【0170】
操作450は、人工画像に追加すべき無作為に生成されたサンプル点がより多く存在するかを決定する。操作450が人工画像に追加すべき無作為に生成されたサンプル点がより多く存在すると決定すると、操作434が実行される。操作450が人工画像に追加すべき無作為に生成されたサンプル点がより多く存在しないと決定すると、操作452が実行される。
【0171】
図22は、目標MRI464上で無作為に生成された明るいサンプル点460および暗いサンプル点462の集合を示す。一実施形態では、人工画像全体の上で約8,000のサンプル点(明および暗)を生成してもよい。
【0172】
再び図21を参照すると、操作450が人工画像に追加すべき無作為に生成されたサンプル点がより多く存在しないと決定すると、操作452は暗および明の点の集合を目標MRIスキャンに位置合わせする。この操作は、(図17に示す)位置合わせ操作196と同様の位置合わせを実行してもよい。この変換では、それぞれのスライスに沿って、それぞれのスライスに対して横向きではなく移動させる、B−スプライン変形可能変換の部分集合を実行してもよい。
【0173】
B−スプライン変形可能変換では、(例えば、J×K×Lの制御点の集合中の)各制御点のための平行移動ベクトルを指定してもよい。x座標に沿ってではなくyおよびzスライス座標に沿って3D空間中の任意の点を移動する変換を指定するため、制御点中の平行移動ベクトルの選択に対する制限を導入してもよい。一実施形態では、x座標をゼロに等しく設定した平行移動ベクトルだけを使用して、スライスの平面(例えば、yおよびz方向)中をスライスに対して横向きに(例えば、x方向)ではなく移動させてもよい。
【0174】
通常大部分の画像スキャン中で明瞭なアンカー領域メッシュを使用することによって、健康でない範囲、および/またはセグメント化すべき特徴と周囲の画像範囲との間のコントラスト差が最小の範囲による位置合わせエラーを減少させてもよい。例えば、健康な骨が普通軟骨を有する範囲では、損傷した骨は軟骨を有することも有しないこともある。この損傷した骨の領域に軟骨が存在している場合、骨の境界は暗い皮質骨を灰色の軟骨質から分離する。損傷した骨のこの範囲内に軟骨が存在していない場合、暗い皮質骨の隣に白い液体質が存在したり、損傷した骨の範囲の隣に別の暗い皮質骨が存在することがある。すなわち、損傷した骨のこの領域内の皮質骨と外側の物質との境界面は通常MRIスキャン毎に異なっている。こうした範囲では、皮質骨と内側の海綿質骨との間の境界面をアンカー領域として使用してもよい。
【0175】
B−スプライン変形可能変換の部分集合の使用によって、画像スライス間の2ミリメートルの間隔によるエラーを減少させてもよい。
【0176】
図23は、各目標MRIスライス中の対象特徴の表面を描くスプライン曲線を生成する(例えば、図16の操作376)ための1つの方法を例示するフローチャートを示す。まず、操作470は、特徴表面の生成された3Dメッシュモデルを目標スキャンデータのスライスと交差させる。この交差は、各スライス中の特徴(例えば、骨)の表面のポリライン曲線を定義する。骨がスライスの方向に対してそれほど真っ直ぐに位置していない場合、そのスライス中で2つ以上のスプライン曲線を生成してもよい。こうした場合、メッシュとスライス平面との交差は2つ以上のポリライン曲線を生成することがある。
【0177】
ポリライン曲線は、湾曲した特徴形状への区分的線形近似である。一般に、この曲線は制御点の集合による操作が容易なものであるべきである。ポリライン曲線は多くのセグメントを有することがあり、そのため(例えば、図6の操作254または260の際)ポリライン曲線の操作がより困難になる。一実施形態は、ポリライン曲線から1つ以上のコチャネック(Kochanek)スプラインを生成してもよい。各スプラインは通常、より少ない数の制御点を有し、通常、約0.2ミリメートルの偏差でポリライン曲線に適合する。一般に、コチャネックスプラインは、ポリライン曲線の曲率の高い領域に沿ったより多くの制御点と、ポリライン曲線の曲率が低い(曲線が平らになる傾向を有する)領域に沿ったより少ない制御点とを有してもよい。
【0178】
一旦ポリライン曲線が生成されたら、操作472は、ポリラインの長さの関数としてポリラインのパラメータ表示、Liを計算してもよい。図24は、n個の頂点、V0、V1、...Vi-1、Vi...Vn-1を持つポリライン曲線481を示す。頂点V0は頂点Vn-1に続き、閉じた輪郭の曲線を形成することに注意されたい。頂点Vi-1とViとを接続する線分の長さは、頂点Viでのポリラインの長さのパラメータ表示、Liが次式として表しうるようなΔLiによって示してもよい。
【0179】
i=ΔL0+ΔL1+...+ΔLi
【0180】
次に、操作474は、ポリラインの接線の変化の関数としてポリラインのパラメータ表示、Aiを計算してもよい。頂点Vi-1およびViを接続するベクトルと頂点ViおよびVi+1を接続するベクトルとの間の角度の絶対値は、頂点Viでの接線変化のパラメータAiが次式として表しうるようなΔAiによって示してもよい。
【0181】
i=ΔA0+ΔA1+...+ΔAi
【0182】
そして、操作476は、ポリライン長さのパラメータ表示と接線変化のパラメータ表示との加重和パラメータ表示を決定する。一実施形態では、頂点Viでの加重和パラメータ表示、Wiは次式のように計算してもよい。
【0183】
i=α*i+β*i
【0184】
ここで、一実施形態では、αは0.2に設定してもよくβは0.8に設定してもよい。
【0185】
そして、操作478は、操作476によって決定されるWのパラメータ表示の結果を使用して、ポリラインの均一なサンプリングを実行してもよい。一実施形態では、K個の新しいサンプル点を位置決めするためWパラメータ値の約3.7の間隔を使用してもよい。第1に、Kは次式のように計算してもよい。
【0186】
K=ROUND(Wn/3.7+0.5)
【0187】
すなわち、最後に計算した値WnであるWパラメータ値を3.7で除算してその結果をもっとも近い整数に丸めることで新しいサンプル点の数を得てもよい。そして、サンプル点の間隔、ΔWは次式のように計算してもよい。
【0188】
ΔW=Wn/K
【0189】
最後に、均一な間隔のK個の新しいサンプル点を、パラメータWの間隔ΔWで配置してもよい。結果として得られるサンプル点をコチャネックスプラインのための制御点として使用して、ポリラインをスプラインに変換してもよい。コチャネックスプラインは一般に、接線の挙動を変更するために使用しうる張力、バイアスおよび連続性のパラメータを有する。すなわち、K個の制御点を持つ閉じたコチャネックスプラインは通常、K個の曲線セグメントによって保管される。各セグメントは開始点、終了点、開始接線および終了接線を有する。一般に、張力パラメータは接線ベクトルの長さを変更し、バイアスパラメータは接線ベクトルの方向を変更し、連続性パラメータは接線間の変化の鮮鋭度を変更する。いくつかの実施形態では、張力、バイアスおよび連続性のパラメータをゼロに設定してキャットマルロム(Catmull−Rom)スプラインを生成してもよい。
【0190】
一実施形態では、操作478はWiおよびWi+1の線形補間を実行して、WiとWi+1との間にあるサンプル点を探し出してもよい。Wの補間された値を使用して、頂点ViおよびVi+1を接続する線分中の対応するサンプル位置を決定してもよい。
【0191】
いくつかの実施形態では、操作478はWパラメータ値を6で除算してサンプル点Kの新しい数を獲得してもよい。すなわち次式である。
【0192】
K=ROUND(Wn/6+0.5)
【0193】
そして、密接度(すなわち、スプラインがポリラインにどれだけ密接に追従しているか)を以下のように計算してもよい。第1に、スプラインの弧毎に7つのサンプル点(すなわち、7*K個のサンプル点)があるようにスプラインをサンプリングする。そして、サンプル点からポリラインまでの平方距離の合計を計算してもよい。次に、K個の制御点の座標を変化させてもよい(すなわち、2*K個のパラメータ)。そして、局所最適化アルゴリズムを使用してもっとも近いスプラインを発見してもよい。最適化の際に発見されたもっとも近いスプラインが一定の精度の範囲内(例えば、ポリラインの約0.4ミリメートル以内)にない場合、制御点の数、Kを1だけ増大してもよい。新しい数の制御点をWパラメータに沿って均一に分布させて、もう一度最適化を実行して新しいもっとも近いスプラインを発見してもよい。1〜2回の最適化によって望ましい精度(例えば、約0.2ミリメートル以内)でポリラインに追従するスプラインが提供される。
【0194】
最後に、操作480は、別の画像スライスについてスプライン曲線を生成すべきかを決定する。操作480が別の画像スライスについてスプライン曲線を生成すべきだと決定すると、操作472が実行される。操作480がそれ以上処理すべきスライスが存在しないと決定すると、方法は終了する。
【0195】
上記で論じたように、一実施形態では、セグメント化の出力は、関節(例えば、膝関節の大腿骨および脛骨)のセグメント化された骨の三角形メッシュ(例えば、3D表面モデル)でもよい。生成されたメッシュは一般にスライスのセグメント化された輪郭曲線に密接に追従する完璧な表面を表し、セグメント化された輪郭曲線の間をスムーズに補間し、少ない数の三角形を有してもよい。
【0196】
一実施形態では、三角形メッシュは以下のように生成してもよい。セグメント化されたデータは画像スライスがx方向を横断する座標(x,y,z)を使用して、3Dで表してもよい。すなわち、セグメント化された輪郭は、xの値が固定されたyz平面中にある。まず、セグメント化されたスライス各々についてスライス内距離画像を計算してもよい。スライス内距離画像中の各(y,z)ピクセルの値は、点が1つの輪郭の内側に位置する時輪郭中のもっとも近い点までの距離であり、点が全ての輪郭の外側にあるとき輪郭中のもっとも近い点までの距離の逆(すなわち、負数)である。
【0197】
マーチングキューブアルゴリズムをスライス内距離画像に適用してメッシュを生成してもよい。マーチングキューブアルゴリズムは、三次元スカラー場(またはボクセル)から等値面(すなわち、輪郭)の多角形メッシュを抽出するためのコンピュータアルゴリズムである。このアルゴリズムは通常ボクセルを通じて進み、一度に8つの隣接するボクセルを取り(すなわち想像上の立方体を形成し)、想像上の立方体を通過する等値面(すなわち、輪郭の一部を表すために必要な多角形を決定する。そして、個々の多角形を融合して望ましい表面にする。生成されたメッシュは一般に、メッシュが輪郭の近くにあるように、符号付き距離関数のゼロレベルを通過する。
【0198】
yおよびz方向の画像解像度は通常、符号付き距離関数のゼロレベルが元の輪郭にどれだけ良好に近似するかを決定するものであり、さらに結果として得られるメッシュ中の三角形の数を決定することもあるのを認識されたい。一実施形態では、yおよびz方向の1.5ミリメートルのボクセルサイズを使用してもよい。これは通常、元の輪郭の0.1ミリメートル以内の偏差を生じ、平滑なメッシュを生じる。
【0199】
一実施形態では、x方向(すなわち、画像スライスに対して横向きに)平滑化操作を実行して、(例えば、図6の操作260の際に)自動的に生成した輪郭を調整した時に導入されうる表面の波打ちを補償してもよい。こうした波打ちは、コントラストの変化が最小で曲線が技術者によって位置決めされる領域で発生することがある。通常、インプラントの位置を探し出すために使用されうる設計モデルを生成する場合、不確実な範囲内の平滑でもっとも妥当なメッシュが望ましいことがある。代替的には、ジグを作成する際に使用される関節炎モデルの場合のように、不確実な範囲内で平滑な過大評価が望ましいことがある。
【0200】
一実施形態では、単純な平滑化を使用して平滑化の量(すなわち、ボクセル値をどれだけ修正してもよいか)をMaxUpおよびMaxDownという2つのユーザ指定パラメータによって制御してもよい。ボクセルについて平均が計算された後、これらの値を使用してクランプし平滑化の量を制限する。平滑化操作は通常画像のコントラストが良好な範囲では画像を大きく変更することはない。不確実な範囲での平滑でもっとも妥当な平均化の場合、MaxUpおよびMaxDownは各々1ミリメートルに設定してもよい。不確実な領域での平滑な過大評価平均の場合、MaxUpは2ミリメートルに設定してもよく、MaxDownは0ミリメートルに設定してもよい。
【0201】
ここで、セグメントを調整する1つの方法(例えば、図6に示すフローチャートの操作254または操作260)のためのフローチャートを示す図25を参照して、セグメント化処理のセグメントを調整する操作を説明する。一実施形態では、セグメント化データは、コンピュータ6の前に座ってコンピュータ画面9上の画像スライス中の自動的に生成した輪郭曲線を視覚的に観察する訓練された技術者によって手動で調整してもよい。コンピュータ制御装置11と対話することによって、訓練された技術者は輪郭曲線を手動で操作してもよい。訓練された技術者が全ての輪郭を3D表面モデルとして視覚的に観察し、さらなる試験のために画像スライスを選択してもよい。
【0202】
まず、操作482では、検証のためスライスを選択する。一実施形態では、スライスは技術者によって手動で選択してもよい。
【0203】
次に、操作484は、選択されたスライス中のセグメント化輪郭曲線が良好かを決定する。操作484が選択されたスライス中のセグメント化輪郭曲線が良好であると決定すると、操作494が実行される。操作484が選択されたスライス中のセグメント化輪郭曲線が良好でないと決定すると、操作486が実行される。
【0204】
操作486は、セグメント化輪郭曲線がほぼ正しいかを決定する。操作486がセグメント化輪郭曲線がほぼ正しいと決定すると、操作492が実行される。
【0205】
操作492では、セグメント化輪郭曲線の正しくない点を再配置してもよい。一実施形態では、これは訓練された技術者によって手動で実行してもよい。技術者が、正しい輪郭曲線をある特定のスライス中のどこに配置すべきか決定するのが困難なことがあるのを認識されたい。これは、骨の境界が失われたり不明瞭だったりすることおよび/または画像の特徴を区別するためのコントラストがほとんどない範囲を原因とすることがある。一実施形態では、技術者が、現在のスライス中の輪郭曲線と隣接するスライス中の輪郭曲線とを視覚的に比較できるようにする比較機能を提供してもよい。図26は、現在の画像スライスについての輪郭曲線510の制御点512を伴う輪郭曲線510(例えば、スプライン曲線)と、現在の画像スライスに重ね合わされたそれぞれ1つ前および次の画像スライスの輪郭曲線514、516とを示す画像を示す。
【0206】
健康でない範囲、コントラスト差が制限された範囲および/またはボクセル体積の平均化の存在によって骨の境界が失われたり不明瞭になったりしているため、正しいセグメント化輪郭曲線をどこに配置すべきか決定するのが困難なことがある。隣接するスライスを視覚的に比較する場合、技術者は2D平面(xy、yzおよびxz)および3Dでデータを視覚化してもよい。一実施形態では、技術者は、任意のウィンドウ中のある場所に十字線を位置決めし、マウスボタンをクリックしてその画像点を選択することによって検査のための範囲を選択してもよい。十字点は望ましい点に配置され、各ウィンドウ中でデータを視覚化する際同じ場所を示すために使用してもよい。
【0207】
技術者はスプライン制御点を使用して曲線の形状を操作してもよい。これは、マウスを使用して制御点をクリックし望ましい場所にドラッグすることによって行ってもよい。さらに、技術者はスプライン曲線制御点を追加または削除してもよい。これは、マウスを使用して間に制御点を挿入または削除する2つの既存の制御点を選択することによって行ってもよい。代替的には、技術者はマウスカーソルを使用して、制御点を挿入すべき曲線状の場所をポイントしてもよい。一実施形態では、キーボード上で文字Iを押下してから望ましい場所にカーソルを配置し、左のマウスボタンをクリックすることによって制御点が挿入される。キーボード上で文字Dを押下してから削除が望ましい制御点の上にカーソルを配置することによって制御点を削除してもよい。選択された制御点は色が変化する.選択された制御点は左のマウスボタンをクリックすると削除される。
【0208】
再び図25を参照すると、操作486が輪郭曲線はほぼ正しくないと決定すると、操作488が実行され曲線を削除する。そして、操作490が実行される。
【0209】
操作490は画像スライスのための新しいセグメント化輪郭曲線を生成する。一実施形態では、技術者はスプライン描画ツールを使用して新しいスプライン曲線を挿入する.スプライン描画ツールによって、技術者は現在のスライス中の連続する点をクリックしてどこにスプライン曲線を配置すべきかを示してもよく、示された全ての点を通過するスプライン曲線が生成される。右マウスクリックを使用して、新しいスプライン曲線の最初と最後の点を接続してもよい。代替的には、技術者はペーストコマンドを使用して、以前のスライスから現在のスライスにスプライン曲線をコピーしてもよい。そして、スプライン制御点を操作してスプライン曲線を調整し、現在の画像スライス中の特徴に追従するようにしてもよい。
【0210】
別の実施形態では、技術者は相似ペースト(paste similar)コマンドを使用して以前のスライスから現在のスライスにスプライン曲線をコピーしてもよい。以前のスライスのスプライン曲線のコピーをペーストする代わりに、スプライン曲線を自動的に修正して両方のスライス中に存在する同様の画像特徴をパスするようにしてもよい。これは、曲線の外側約0.7ミリメートルから曲線の内側約5.0ミリメートルの以前のスライスのスプライン曲線の周囲の領域を位置合わせすることによって行ってもよい。まず、アフィン変換を使用してこの領域を位置合わせする。そして、アフィン変換の結果をB−スプライン変形可能変換のための開始値として使用してもよい。変換のために使用されるメトリックは以前説明したサンプル点メトリックの局所相関でもよい。通常、サンプル点が多いほど曲線に近くなり、サンプル点が少ないほど曲線から遠くなることがある。次に、発見された最終変換をスプライン制御点に適用することによってスプライン制御点を修正してもよい。さらに、訓練された技術者は、骨がスライスに正接していたり(例えば骨増殖体が成長している)コントラストが制限された範囲内にあったりするためスライスからの骨の境界の変化が大きい範囲内でゼロ〜いくつかの制御点を調整してもよい。そして、操作492が実行される。
【0211】
操作494は、検証すべき追加のスライスが存在するかを決定する。操作494が検証すべき追加のスライスが存在すると決定すると、操作482が実行される。
【0212】
操作494が検証すべき追加のスライスが存在しないと決定すると、操作496が実行される。操作496は、セグメント化された骨の3D表面モデルを生成する。
【0213】
そして、操作498は、3Dモデルが良好かを決定する。一実施形態では、技術者は3D表面モデルが良好かを手動で決定する。技術者は、図27に示す3D形状520によって例示するような、3D中の全てのスプラインの内部のボクセルを示すスライス視覚化を生成するスプライン3D視覚化ツールを使用してもよい。このスプライン3D視覚化ツールは通常リアルタイムで生成されることがあり、スプライン曲線が手動で編集される際対話的な更新を技術者に提供する。代替的には、技術者の命令に応じてメッシュ視覚化を生成してもよい。メッシュ視覚化は通常、全てのスプライン曲線の近くを通る平滑なメッシュ、例えば、図9に示すメッシュ290を生成する。
【0214】
操作498が3Dモデルは良好でないと決定すると、操作500が実行される。操作500は、3D形状が良好でない範囲内にあるスライスを選択する。一実施形態では、技術者は手動でスライスを選択してもよい。そして、操作482が実行される。
【0215】
操作498が3Dモデルは良好であると決定すると、本方法は終了する。
【0216】
患者の膝の大腿骨の下端および脛骨の上端の3D表面モデルを使用して関節形成術用ジグおよび/またはインプラントを作成してもよい。例えば、ParkおよびPark他によって出願され参照によってこの詳細な説明に組み込まれた様々な特許文献(米国特許出願)に開示されるように、モデルを使用して、患者の大腿骨および脛骨と共に使用可能な大腿骨および脛骨のジグを作成してもよい。3D骨モデルを生成するための画像データの自動セグメント化は再建手術を実行して機能不全の関節を修復するために必要な合計時間を短縮することがあり、患者の結果を改善することがある。
【0217】
特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の代替実施形態によって包含される説明された実施形態および/または方法に対する変更が行われうることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態はMRIまたはCT医療用撮像システムと共に機能しうる。また他の実施形態はここで開示された方法および処理の操作を省略または追加してもよい。したがって、本発明の正しい範囲はその特許請求の範囲によって定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨の画像を複数の領域に区分する方法であって、
前記骨の複数の体積画像スライスを獲得する行為と、
前記骨に関連する複数のスプライン曲線を生成する行為と、
前記複数のスプライン曲線の少なくとも1つが前記骨の表面に追従することを検証する行為と、
前記複数のスプライン曲線の前記少なくとも1つに基づいて三次元(3D)メッシュ表示を作成する行為とを備える方法。
【請求項2】
さらに、前記骨の異なる範囲にわたって選択的な解像度を利用する行為を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のスライスの間の均一な間隔が2ミリメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のスライスが矢状、横位または冠状方向である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記体積画像スライスが第2の骨と接触する骨の部分を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数中の少なくとも1つの画像スライスが、ボクセル体積平均化を通じて歪んだボクセルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のスプライン曲線が前記骨の形状および方向を定義する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
本方法が前記骨の設計モデルを生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検証する行為が、前記複数中の隣接するスライスを検査する行為を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに、モデル骨の表示を前記骨の前記画像に統合する行為を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記モデル骨の前記表示が損傷のある海綿質または骨質を有さない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
モデル骨の表示を生成する方法であって、
複数のスライスとして前記表示の画像スキャンを獲得する行為と、
1つ以上のセグメント化曲線を使用して前記複数中の各スライスをセグメント化する行為と、
前記表示のメッシュを生成するステップと、
前記骨の境界範囲が連続する画像スキャンの間で安定する範囲を含むように前記複数中の各スライスを調整する行為と、
アンカーセグメント化が前記モデル骨の前記表示の境界に追従するように前記アンカーセグメント化を生成する行為とを備える方法。
【請求項13】
前記セグメント化する行為が、前記モデル骨の前記表示に関連する軟骨のセグメント化を除外する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記画像スキャンを獲得する前記行為が磁気共鳴映像法(MRI)の使用を通じて行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記モデル骨の前記表示の少なくとも一部が2つのセグメント化曲線の間に存在する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ガウス平滑化が利用される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記モデル骨の前記表示の前記境界が皮質骨と海綿質骨との間の境界を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
さらに、複数の皮質および海綿質の境界範囲を互いに接続してアンカーセグメント化を獲得する行為を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の皮質および海綿質の境界が解体している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの海綿質ボクセルが前記アンカーセグメント化の内部にあり少なくとも1つの皮質ボクセルが前記アンカーセグメント化の外部にある、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
骨増殖体が前記アンカーセグメント化から除外される、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの皮質ボクセルが前記モデル骨の前記表示の前記境界に沿っており、少なくとも1つの海綿質ボクセルが前記モデル骨の前記表示の前記境界に隣接している、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記モデル骨の前記表示を表す3Dメッシュを生成する行為を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
さらに、隣接するセグメント化曲線の点の配置を比較することによって、前記1つ以上のセグメント化曲線上の点を再配置する行為を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
モデル骨の表示を使用して目標骨をセグメント化する方法であって、
前記表示のセグメント化形式を前記目標骨の画像スキャンに位置合わせする行為と、
前記目標骨の境界の近くの前記表示の前記セグメント化形式の前記位置合わせを改良する行為と、
前記表示の前記セグメント化形式からメッシュを生成する行為と、
前記メッシュと前記目標骨の前記画像スキャンからの1つ以上のスライスとの交点に近似する複数のスプライン曲線を生成する行為とを備える方法。
【請求項26】
前記方法が関節に対して実行される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
さらに、1つ以上のスライスに変換を適用する行為を備える、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記変換を適用する前記行為が、前記スライスの平面中の点を前記スライスに対して横向きにではなく移動させる行為を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
改良する前記行為が、隣接するスライスの1つ以上のボクセルを平均する行為を備える、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
さらに、前記複数のスプライン曲線の少なくとも1つが前記目標骨の表面に追従することを検証する行為を備える、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
検証する前記行為が、少なくとも2つの隣接するスライスを比較する行為を備える、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
モデル骨の表示を目標骨の画像スキャンにマッピングする方法であって、
平行移動変換を使用して前記表示の生成された部分を前記目標骨の前記画像スキャンに位置合わせする行為と、
相似性変換を使用して前記表示の前記生成された部分を前記目標骨の前記画像スキャンに位置合わせする行為と、
アフィン変換を使用して前記表示の境界部分を前記目標骨の前記画像スキャンに位置合わせする行為と、
スプライン変換を使用して前記表示の前記境界部分を前記目標骨の前記画像スキャンに位置合わせする行為とを備える方法。
【請求項33】
さらに、前記平行移動変換が前記モデル骨の前記表示と前記目標骨の画像スキャンとの不整合を最小化するように、前記平行移動変換の1つ以上のパラメータを調整する行為を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記相似性変換が前記表示と前記目標骨との間の一致を最適化するように変化する7つの要因を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記スプライン変換が3D B−スプライン変換である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記平行移動変換が前記表示を回転、拡大縮小または変形することなく行われる、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記相似性変換の際前記表示が回転、拡大縮小または変形される、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記骨が脛骨である場合、前記方法がさらに、前記アフィン変換およびスプライン変換の間で少なくとも1つの追加位置合わせ操作を使用する行為を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの追加位置合わせ操作が、1つ以上の二次関数を使用する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記モデル骨が内反である、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記モデル骨が外反である、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記目標骨が膝関節を含み、前記位置合わせする行為が、脛骨が大腿骨に侵入しないように実行される、請求項32に記載の方法。
【請求項43】
さらに、前記マッピングによって前記脛骨が前記大腿骨に侵入する場合前記マッピングにペナルティを導入する行為を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記相似性変換、アフィン変換、およびスプライン変換の際にステップ勾配降下オプティマイザが使用される、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記平行移動変換が網羅的オプティマイザの使用を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
さらに、前記画像スキャンの各ボクセルに最も近い境界ボクセルまでの距離を供給することによって、前記モデル骨の前記表示と前記目標骨の前記画像スキャンとの間の変化を補正する行為を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記相似性変換が、中心位置として、平行移動位置合わせの際に位置合わせされた前記目標骨を囲むバウンディングボックスの中心を利用する、請求項32に記載の方法。
【請求項48】
目標骨の画像とモデル骨の表示との間の対応の度合いを決定するための方法であって、
位置合わせすべき前記モデル骨の前記表示中の複数のサンプル点を選択する行為と、
前記複数のサンプル点を複数のグループに区分する行為と、
前記目標骨の前記画像をサンプリングする行為と、
前記複数中の各グループについて前記目標骨の前記画像と前記モデル骨の前記表示との間のボクセル輝度の相関を決定する行為と、
前記複数中の各グループについて決定された前記相関を平均する行為とを備える方法。
【請求項49】
前記区分する行為が、直線グリッドを使用して三次元画像空間を1つ以上のセルに細分し、同じセルに属する点が前記複数中の同じグループに配置される行為を備える、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記サンプル点が前記1つ以上のグループに区分され前記目標骨の前記画像中の不均一性を補償する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記不均一性が異なる撮像技術の間で変化する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記相関を決定する行為が次式によって実行され、
NC(A,B)=(ΣA)/√(ΣAΣB)*(NΣA―ΣAΣB)/(√(NΣA−(ΣA)*√(NΣB−(ΣB))
ここで、Aiは前記目標骨Aの前記画像のi番目のボクセルの輝度であり、Biは前記モデル骨Bの前記表示の前記画像の対応するi番目のボクセルの輝度であり、Nは考慮されるボクセルの数であって、和Σは1からまでの和を取るものとする、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記平均する行為が前記グループ中のサンプル点の数に関して相関を加重する行為を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
モデル骨の表示から目標骨への位置合わせを改良するための方法であって、
アンカーセグメント化メッシュを変換する行為と、
前記変換されたアンカーセグメント化メッシュの周囲の複数の無作為点を生成する行為と、
前記複数中の各点が、インダーク−アウトライト、インライト−アウトダーク、またはダーク−イン−ライトといったメッシュの1つ以上の内部にあるかを決定する行為と、
前記複数の点の1つ以上が前記変換されたアンカーセグメント化メッシュの表面の閾値距離内にあるか否かを決定する行為と、
前記点が前記インダーク−アウトライト、インライト−アウトダーク、またはダーク−イン−ライトメッシュ内にあるか否かに応じて、かつ前記点が前記変換されたアンカーセグメント化メッシュの内部または外部にあるかを決定するため、前記複数中の各点を暗い点または明るい点として追加する行為とを備える方法。
【請求項55】
前記複数の点が画像スライス内にある、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記各点が閾値距離内にあるかを決定する行為が、
前記アンカーセグメント化メッシュを各画像スライスと交差させる行為と、
前記アンカーセグメント化と交差する前記画像スライスの1つ以上のピクセルに注意する行為と、
前記閾値外の前記1つ以上のピクセルをフィルタリングする行為とを備える、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記フィルタリングする行為が膨張フィルタを使用して行われる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記閾値距離が0.75ミリメートルである、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記変換する行為が1つ以上のスプライン曲線を生成する行為を備える、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
目標骨の対象特徴の表面を描くスプライン曲線を生成するための方法であって、
前記特徴表面の3Dメッシュモデルを目標データの1つ以上のスライスと交差させ、交点がポリライン曲線を定義する行為と、
前記ポリライン曲線を長さおよび接線変化の関数としてパラメータ表示する行為と、
前記長さおよび接線のパラメータ表示の加重和を計算する行為と、
前記計算行為の結果を使用して前記ポリラインをサンプリングする行為とを備える方法。
【請求項61】
さらに、前記計算する行為の結果を使用して複数の新しいサンプル点を位置決めする行為を備える、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記新しいサンプル点が前記ポリライン曲線についての1つ以上の制御点として使用される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記制御点がコチャネックスプラインのためのものである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
骨の現在のスライスのスプライン曲線を生成する方法であって、
以前のスライスからスプライン曲線を獲得する行為と、
前記以前のスライスからの前記スプライン曲線を修正して、前記現在のスライスと前記以前のスライスの両者に存在する1つ以上の特徴を強調する行為とを備える方法。
【請求項65】
前記以前のスライスからの前記スプライン曲線を修正する前記行為が自動的に行われる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記以前のスライスからの前記スプライン曲線を修正する前記行為が、前記以前のスライスからの前記スプライン曲線の周囲の領域を位置合わせする行為を備え、該領域が1つ以上の閾値によって定義される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記1つ以上の閾値が前記以前のスライスからの前記スプライン曲線の外側約0.7ミリメートルから前記以前のスライスからの前記スプライン曲線の内側約5.0ミリメートルを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記領域がまずアフィン変換を使用して位置合わせされる、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記アフィン変換の結果がB−スプライン変形可能変換のための開始値として使用される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記領域が前記以前のスライスからの前記スプライン曲線に近づくに連れてより多数の点が前記現在と以前のスライスの間の一致を計算するために取り上げられる、請求項66に記載の方法。
【請求項71】
さらに、最終変換を適用することによって前記以前のスライスからの1つ以上の点を修正する行為を備える、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記現在及び以前のスライスが前記骨の境界に正接しているため前記骨の境界が変化する場合技術者が1つ以上の制御点を前記以前のスライスからの前記スプライン曲線に修正する、請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記骨の境界が骨増殖体の成長によって変化する場合、技術者が1つ以上の制御点を前記以前のスライスからの前記スプライン曲線に修正する、請求項65に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2011−519605(P2011−519605A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507530(P2011−507530)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/040629
【国際公開番号】WO2009/134620
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(510168335)オティスメッド コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】