説明

防振ゴム及びその製造方法

【課題】防振ゴムにおいて、空間部に不可避的に形成されるバリを破る工程を省略するとともに、防振ゴム本来の性能を維持しつつ、バリに起因する反転音の発生を抑制する。
【解決手段】第1パイプ部材23及び第1外筒体13と、筒軸方向と垂直な分割面61aを有する成形用金型61を用いて、第1パイプ部材23と第1外筒体13とを連結するように、これらの間に成形された第1ゴム弾性体33とを備え、第1ゴム弾性体33に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる第1及び第2すぐり孔33a,33bが形成された第1ゴムブッシュ3である。第1及び第2すぐり孔33a,33bは、成形用金型の分割面に不可避的に形成される第1及び第2バリ43,53によってそれぞれ筒軸方向に仕切られている。第1及び第2バリ43,53には、第1ゴム弾性体33と同時成形された貫通孔43a、43b,43b,53aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エンジンと車体との間に取り付けられてエンジンの変位等を抑制するトルクロッドや、車両のサスペンションのリンク部品等に用いられる防振ゴム、及び、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、内筒体及び外筒体と、それらの間に介設されるとともに筒軸方向に貫通する空間部(すぐり孔)が形成されたゴム弾性体とからなる防振ゴムが知られている。そして、かかる防振ゴムは、例えば、ゴム弾性体を内筒体と一体に加硫成形した一体成形品を、トルクロッド本体やリンク本体に設けられた外筒体に圧入することにより、トルクロッドやサスペンションのリンク部品等として広く用いられている。
【0003】
ところで、この種の防振ゴムでは、荷重入力方向のばね特性を柔らかなものとするために、ゴム弾性体に筒軸方向に延びる空間部を形成するが、通常、筒軸方向と垂直な分割面を有する成形用金型を用いて一体成形品を製造することから、本来筒軸方向に貫通するようにゴム弾性体に形成されるべき空間部に、成形用金型の分割面に沿って当該空間部を塞ぐようにバリが不可避的に形成されることが多い。
【0004】
そして、このようなバリが形成された防振ゴムを、エンジンの変位等を抑制するトルクロッドや、車両のサスペンションのリンク部品等に用いると、荷重が入力した際、かかるバリが圧縮されたり、引っ張られたりすることによって反転音が発生し、乗員に違和感を与えるという問題がある。
【0005】
そこで、かかるバリの発生を抑える技術が望まれているところ、例えば、特許文献1には、クリアランス空間(空間部)内の一部にゴム体(ゴム弾性体)の成形と同時に割り金型の割面に沿ってバリ防止膜を形成し、このバリ防止膜をゴム体のクリアランス空間に臨む縁部の少なくとも一部から分離させることによりスリット状の分断部を形成するようにした防振ゴムが開示されている。この防振ゴムによれば、ゴム体の成形時に割り面に沿って発生するおそれのあるバリが、ゴム体の分断部に沿う縁部に発生し難くなるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3410743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1のものでは、ゴム弾性体の縁部にバリが発生し難くなるものの、比較的厚肉のバリ防止膜が残存するため空間部が狭くなり、ゴム弾性体のばね特性に影響を与えるおそれがある。
【0008】
このため、従来は、一体成形品をトルクロッド本体やリンク本体に設けられた筒状部に圧入する際に、空間部を塞ぐように形成されたバリを手作業で破るなどして、バリに起因する反転音の発生を抑えていた。
【0009】
しかしながら、最近では、一体成形品を外筒体に圧入する工程を省略すべく、成形用金型に内筒体及び外筒体を装着し、ゴム弾性体をこれら内外筒体と一体に加硫成形することにより、防振ゴムを製造する方法が採用されてきている。そして、このように一体成形品の圧入を行わない製造方法を採用した場合、バリを手作業で破る工程を追加する必要があることから、製造効率が著しく悪化するという問題がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空間部が形成されたゴム弾性体を備える防振ゴム及びその製造方法において、空間部に不可避的に形成されるバリを破る工程を省略するとともに、防振ゴム本来の性能を維持しつつ、バリに起因する反転音の発生を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明では、ゴム弾性体に小さな荷重が入力した場合でもバリが自然に破れるように、ゴム弾性体の成形の際、バリの亀裂を誘発するための貫通孔を当該バリに形成するようにしている。
【0012】
具体的に、第1の発明は、内筒体及び外筒体と、筒軸方向と垂直な分割面を有する成形用金型を用いて、当該内筒体と当該外筒体とを連結するように、これらの内外筒体の間に成形されたゴム弾性体とを備え、当該ゴム弾性体に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる空間部が形成された防振ゴムを対象とする。
【0013】
そして、上記空間部は、上記成形用金型の分割面に不可避的に形成されるバリによって筒軸方向に仕切られており、上記バリには、上記ゴム弾性体と同時成形された、筒軸方向に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
第1の発明では、防振ゴムを成形用金型から取り出したときには、成形用金型の分割面に不可避的に形成されるバリに貫通孔が形成されており、かかる防振ゴムは、手作業によってバリを破る工程を省略して、直ちに出荷される。
【0015】
そうして、空間部にバリが張られたままの防振ゴムは、エンジンの変位等を抑制するトルクロッドや、車両のサスペンションのリンク部品等として用いられる場合、内筒体の軸心を通る主たる荷重入力方向線上に空間部が位置するように、車体等に取り付けられる。かかる防振ゴムに軸直角方向から荷重が入力すると、内筒体が外筒体に対して荷重入力方向に相対的に変位するのにともなって、バリが圧縮されたり引っ張られたりする。
【0016】
このように、貫通孔が形成されたバリが荷重入力方向に圧縮されたり引っ張られたりすると、たとえ小さな荷重が入力した場合であっても、当該貫通孔が基点となってバリに亀裂が生じ、かかる亀裂が荷重入力方向と略直角な方向に進展して、バリが自然にやぶれることになる。これにより、空間部に不可避的に形成されるバリを破る工程を省略しながら、最初の使用時にバリが確実に破れるので、バリに起因する反転音の発生を抑制することができる。
【0017】
また、かかる貫通孔は、内筒体の外筒体に対する相対変位やゴム弾性体の変形等を何ら阻害しないので、防振ゴム本来の性能を維持することができる。
【0018】
以上により、内筒体と外筒体との間に成形されるゴム弾性体に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる空間部が形成された防振ゴムにおいて、空間部に不可避的に形成されるバリを破る工程を省略するとともに、防振ゴム本来の性能を維持しつつ、バリに起因する反転音の発生を抑制することが可能となる。
【0019】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記貫通孔は、断面非真円形に形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
第2の発明によれば、貫通孔の断面形状を、例えば菱形やティアドロップ形といった非真円形とすることにより、応力集中が生じ易くなり、より確実にバリを破ることができる。また、亀裂を進展させたい方向に、例えば菱形やティアドロップ形の鋭角な頂点を向けることで、亀裂が進展する方向をコントロールすることができる。
【0021】
次に、本発明では、バリが形成される成形用金型の分割面において、型締め時の締付け力を用いて樹脂部材を膨張させることにより、当該バリに貫通孔(欠損部)を生じさせるための部分的なシールを行うようにしている。
【0022】
具体的に、第3の発明は、内筒体及び外筒体と、当該内筒体と当該外筒体とを連結するように、これらの内外筒体の間に成形されたゴム弾性体とを備え、当該ゴム弾性体に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる空間部が形成された防振ゴムの製造方法を対象とする。
【0023】
そして、筒軸方向と垂直な分割面を構成する一対の分割金型を有し、且つ、当該各分割金型に、上記ゴム弾性体を成形するためのキャビティを構成するキャビティ凹部と、当該キャビティ凹部で囲まれて筒軸方向に相対的に突出する、上記空間部を形成するための空間形成部とが形成された成形用金型を用意し、いずれか一方の上記分割金型の空間形成部の先端部に形成された筒軸方向に延びる挿入孔に、樹脂製の略棒状部材の一部を挿入する工程と、上記成形用金型を型締めして、上記略棒状部材の上記挿入孔から突き出た部位を、いずれか他方の上記分割金型の空間形成部の先端部で押圧することによって膨張させる工程と、上記キャビティ内へ所定のゴム材を注入する工程と、を含み、上記略棒状部材の膨張した部位によって、上記分割面を構成する上記空間形成部の先端面同士の間に形成されるバリに、筒軸方向に貫通する貫通孔を形成することを特徴とするものである。
【0024】
第3の発明では、いずれか一方の分割金型の空間形成部の先端部に形成された挿入孔に、樹脂製の略棒状部材の一部を挿入し、かかる挿入孔から突き出た略棒状部材の部位を、いずれか他方の分割金型の空間形成部の先端部で押圧して膨張させるようにしているところ、かかる膨張した部位が、部分的にシールの役目を果たすことから、完全に隙間を塞ぐことが困難な金型の分割面に、バリが形成されない部分(貫通孔)が生じる。
【0025】
これにより、既存の成形用金型を用いた簡単な構造で、第1の発明の防振ゴムを容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る防振ゴムによれば、軸直角方向から荷重が入力した際、内筒体が外筒体に対して荷重入力方向に相対的に変位するのにともなって、貫通孔が形成されたバリが圧縮されたり引っ張られたりすることから、当該貫通孔が基点となってバリに亀裂が生じ、かかる亀裂が荷重入力方向と略直角な方向に進展して、バリが自然に破れる。これにより、空間部に不可避的に形成されるバリを破る工程を省略しながら、最初の使用時にバリが確実に破れるので、バリに起因する反転音の発生を抑制することができる。
【0027】
また、かかる貫通孔は、内筒体の外筒体に対する相対変位やゴム弾性体の変形等を何ら阻害しないので、防振ゴム本来の性能を維持することができる。
【0028】
以上により、内筒体と外筒体との間に成形されるゴム弾性体に空間部が形成された防振ゴムにおいて、空間部に不可避的に形成されるバリを破る工程を省略するとともに、防振ゴム本来の性能を維持しつつ、バリに起因する反転音の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態1に係るトルクロッドを示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は縦断面図である。
【図2】第1パイプ部材が第1外筒体に対して相対的に長手方向外側に変位した状態を模式的に示す図である。
【図3】第1パイプ部材が第1外筒体に対して相対的に長手方向内側に変位した状態を模式的に示す図である。
【図4】第1及び第2すぐり孔に形成されたバリが破れた状態を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態1のトルクロッドの製造に用いられる成形用金型に、第1パイプ部材及び第1外筒体を装着した状態を模式的に示す縦断面図である。
【図6】下型を模式的に示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は縦断面図である。
【図7】上型を模式的に示す図であり、同図(a)は平面図であり、同図(b)は縦断面図である。
【図8】樹脂ボルトを模式的に示す図である。
【図9】下型の空間形成部の挿入孔に樹脂ボルトを螺合挿入した状態を模式的に示す縦断面図である。
【図10】下型に第1パイプ部材及び第1外筒体を装着した状態を模式的に示す縦断面図である。
【図11】樹脂ボルトが押圧されて膨張する様子を段階的に説明する模式図である。
【図12】本発明の実施形態2に係るトルクロッドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0031】
(実施形態1)
−防振ゴム−
図1は、本発明に係る防振ゴムを自動車のエンジンマウントの一種であるトルクロッドに適用した実施形態を示す。このトルクロッド1は、トルクロッド本体11と、内筒体としての第1及び第2パイプ部材23,25と、第1及び第2ゴム弾性体33,35とを備えている。
【0032】
トルクロッド本体11は、従来周知のように押出加工により製造されたアルミニウム合金製形材から切り出したものであり、略八角形筒状の第1外筒体13及び円筒状の第2外筒体15と、これらの外筒体13,15を繋ぐ2本のリブ7,7とを有している。より具体的には、第1及び第2外筒体13,15は、当該2本のリブ7,7によって、各々の軸線が平行になるように所定距離空けて連結されている。換言すると、トルクロッド1は、各々外筒体13,15とパイプ部材(内筒体)23,25とゴム弾性体33,35とを備える、大小2つのゴムブッシュ(第1ゴムブッシュ(防振ゴム)3及び第2ゴムブッシュ5)を2本のリブ7,7を介して組み合わせたものとなっている。
【0033】
第1及び第2パイプ部材23,25は、中央に貫通孔を有するアルミ製(鉄製でもよい)の丸パイプにより構成されている。第1パイプ部材23は第1外筒体13の内側に、また、第2パイプ部材25は第2外筒体15の内側にそれぞれ設けられており、これら第1及び第2パイプ部材23,25の外周に第1及び第2ゴム弾性体33,35がそれぞれ堅固に加硫接着されている。
【0034】
第1及び第2ゴム弾性体33,35は、筒軸方向と垂直な分割面61aを有する成形用金型61(図5参照)を用いて成形されたものであり、第1ゴム弾性体33は、第1パイプ部材23と第1外筒体13とを連結するように、当該第1パイプ部材23と当該第1外筒体13との間に成形されている一方、第2ゴム弾性体35は、第2パイプ部材25と第2外筒体15とを連結するように、当該第2パイプ部材25と当該第2外筒体15との間に成形されている。
【0035】
換言すると、第1及び第2ゴムブッシュ3,5は、各々パイプ部材23,25と外筒体13,15とがゴム弾性体33,35によって連結されて、両者3,5間に作用する荷重を弾性的に支持するようになっている。そうして、例えば、図1及び図2の右側に示す相対的に大径の第1ゴムブッシュ3の第1パイプ部材23が車体側部材(図示せず)に連結され、図1及び図2の左側に示す相対的に小径の第2ゴムブッシュ5の第2パイプ部材25がパワープラント(図示せず)に連結されて、パワープラントのロール慣性主軸回りの揺動を規制するように構成されている。
【0036】
また、第1ゴム弾性体33には、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びるすぐり孔(空間部)33a,33bが、第1パイプ部材23を挟んで、第1パイプ部材23の中心と第2パイプ部材25の中心とを結ぶ方向であるロッド長手方向(以下単に長手方向という)に対向するように2つ形成されている。このように第1ゴム弾性体33の長手方向両側にそれぞれすぐり孔33a,33bが形成されていることから、第1ゴムブッシュ3は、長手方向には柔らかなものとなり、例えばエンジン(図示せず)のアイドル運転時に発生するパワープラントのロール軸回り振動を、第1パイプ部材23及び第1外筒体13の相対変位によって吸収することができる。なお、以下の説明では、第1ゴム弾性体33の長手方向内側(図1及び図2の左側)のすぐり孔を第1すぐり孔33aと称し、長手方向外側(図1及び図2の右側)のすぐり孔を第2すぐり孔33bと称する。
【0037】
一方、エンジンの始動時や急加速時などのようにパワープラントが大きくロールしたり、大きく揺れたりするときには、第1及び第2すぐり孔33a,33bが潰れて、それ以上の第1パイプ部材23と第1外筒体13との相対変位が阻止されることにより、パワープラントの過度のローリングや揺れが規制される。なお、小径の第2ゴムブッシュ5の構造は、大径の第1ゴムブッシュ3と同様であるが、第1パイプ部材23と第1外筒体13とを連結する第2ゴム弾性体35には、すぐり孔35a,35aが第2パイプ部材25を挟んで、長手直角方向に対向するように2つ形成されている。
【0038】
上述の如く、第1及び第2ゴム弾性体33,35は、筒軸方向と垂直な分割面61aを有する成形用金型61を用いて成形されることから、第1及び第2ゴム弾性体33,35の各すぐり孔33a,33b,35a,35aは、成形用金型61の分割面61aに不可避的に形成されるゴム薄膜であるバリ43,53,45,45によって筒軸方向に仕切られている。
【0039】
ここで、第2ゴム弾性体35のように、すぐり孔35a,35aが極めて小さい場合には、ほとんど問題とならないが、第1ゴム弾性体33のように、すぐり孔33a,33bが稍大きい場合には、かかるバリ43,53に起因して以下のような問題が生じる。
【0040】
すなわち、このようなバリ43,53が形成されたトルクロッド1を用いて車体側部材とパワープラントとを連結すると、第1ゴムブッシュ3に荷重が入力して第1パイプ部材23及び第1外筒体13が相対変位した際、例えば第1すぐり孔33aが潰れるように変形すると、バリ43が圧縮され(バリ53が引っ張られ)、第2すぐり孔33bが潰れるように変形すると、バリ43が引っ張られ(バリ53が圧縮され)ることになる。そうして、このようにバリ43,53が圧縮されたり引っ張られたりすることによって反転音が発生し、乗員に違和感を与えるおそれがある。また、バリ43,53に起因するかかる反転音の発生を抑えるために、バリ43,53を手作業で破る工程を追加した場合には、製造効率が著しく悪化するという問題がある。
【0041】
そこで、バリ43,53を手作業で破る工程を追加することなく、このような反転音の発生を抑えるために、本実施形態のトルクロッド1では、第1及び第2すぐり孔33a,33bをそれぞれ仕切るように形成されたバリ43,53が自然に破れるように、これらのバリ43,53に、第1ゴム弾性体33と同時成形された、筒軸方向に貫通する断面円形の貫通孔43a,43b,43b,53aがそれぞれ設けられている(形成されている)。
【0042】
より詳しくは、第1すぐり孔33aに形成されたバリ43(以下、「第1バリ」ともいう)には、長手直角方向中央に第1貫通孔43aが形成されているとともに、かかる第1貫通孔43aを挟んで対称をなすように、長手直角方向両端部に第2貫通孔43b,43bが形成されている。一方、第2すぐり孔33bに形成されたバリ53(以下、「第2バリ」ともいう)には、長手直角方向中央に第3貫通孔53aが形成されている。
【0043】
このように、貫通孔43a、43b,43b,53aが形成された第1及び第2バリ43,53が荷重入力方向に圧縮されたり引っ張られたりすると、たとえ小さな荷重が入力した場合であっても、これら貫通孔43a、43b,43b,53aが基点となって第1及び第2バリ43,53に亀裂が生じ、かかる亀裂が荷重入力方向と略直角な方向に進展して、第1及び第2バリ43,53が自然にやぶれることになる。
【0044】
例えば、長手方向に荷重が入力し、図2に示すように、第1パイプ部材23が第1外筒体13に対して相対的に長手方向外側に変位して、第2すぐり孔33bが潰れるように変形すると、第1すぐり孔33aが主として長手方向に拡がる。このように、第1すぐり孔33aが拡がると、第1バリ43が長手方向に引っ張られて、各貫通孔43a、43b,43bに応力が集中する。これにより、第1貫通孔43aが基点となって、第1バリ43に亀裂が生じ、かかる亀裂が略長手直角方向(荷重入力方向と略直角な方向)両外側に進展するとともに、第2貫通孔43b,43bが基点となって、第1バリ43に亀裂が生じ、かかる亀裂が略長手直角方向内側に進展する。そうして、第1貫通孔43aから進展した亀裂と、第2貫通孔43b,43bから進展した亀裂とが繋がると、図2に示すように、第1バリ43が大きく破れて、その亀裂が第2貫通孔43b,43bよりもさらに外側に進展して、大きな破れ穴43cが形成されることになる。
【0045】
一方、長手方向に荷重が入力し、図3に示すように、第1パイプ部材23が第1外筒体13に対して相対的に長手方向内側に変位して、第1すぐり孔33aが潰れるように変形すると、第2すぐり孔33bが主として長手方向に拡がる。このように、第2すぐり孔33bが拡がると、第2バリ53が長手方向に引っ張られて、第3貫通孔53aに応力が集中する。これにより、第3貫通孔53aが基点となって、第2バリ53に亀裂が生じ、かかる亀裂が略長手直角方向両外側に進展して、大きな破れ穴53bが形成されることになる。
【0046】
そして、上述の如く、たとえ小さな荷重が入力した場合であっても、これら貫通孔43a、43b,43b,53aが基点となってバリ43,53が自然にやぶれることから、第1及び第2すぐり孔33a,33bに形成されたバリ43,53は、最初の使用時に、図4に示すように破れた状態となる。したがって、バリ43,53が圧縮されたり引っ張られたりすることによって反転音が発生するのを、確実に抑制することができる。
【0047】
なお、本実施形態のトルクロッド1では、貫通孔43a、43b,43b,53aが第1パイプ部材23の第1外筒体13に対する相対変位や第1ゴム弾性体33の変形等を何ら阻害せず、また、最初の使用以後は、破れた極薄肉のバリ43,53が残るだけなので、ゴムブッシュ本来の性能を維持することができる。
【0048】
−製造方法−
次に、本実施形態にかかるトルクロッド1の製造方法について説明するが、製造方法の説明に先立ち、先ず、トルクロッド1の製造に用いる成形用金型61について図5〜図7を用いて説明する。なお、図5〜図7では、成形用金型61のうち、本発明の製造方法に直接関連する部分のみを示す。
【0049】
図5に示すように、成形用金型61は、筒軸方向と垂直な分割面61aを構成する下型71及び上型81(一対の分割金型)を有しており、これら下型71及び上型81を組み合わせることで、かかる成形用金型61には、上記第1パイプ部材23及び第1外筒体13をインサート材として装着するための空間と、第1パイプ部材23と第1外筒体13との間に上記第1ゴム弾性体33を成形するためのキャビティ63が形成されるようになっている。
【0050】
なお、図中の符号79及び89は、第1パイプ部材23をその軸方向を上下方向に向けた姿勢でそれぞれ保持するための中子ピンを示す。これらの中子ピン79,89は、下型71及び上型81にそれぞれ設けられていて、第1パイプ部材23の内側に挿入されることにより、第1パイプ部材23を上下方向から挟み込むように保持する。
【0051】
下型71には、図6に示すように、第1ゴム弾性体33を成形するためのキャビティ63を構成する下側キャビティ凹部73と、当該下側キャビティ凹部73で囲まれて筒軸方向に相対的に突出する、第1及び第2すぐり孔33a,33bを形成するための第1及び第2下側空間形成部75,77とが形成されている。この第1下側空間形成部75は、平面視で略へ字状に形成されている一方、第2下側空間形成部77は、平面視で略コ字状に形成されている。
【0052】
そして、第1下側空間形成部75の先端部(上端部)には、図8に示す樹脂ボルト(樹脂製の略棒状部材)91のネジ部91b(一部)を挿入可能な、筒軸方向に延びる第1挿入孔75a及び第2挿入孔75b,75bが形成されている一方、第2下側空間形成部77の先端部には、樹脂ボルト91のネジ部91bを挿入可能な、筒軸方向に延びる第3挿入孔77aが形成されている。
【0053】
この樹脂ボルト91は、図8に示すように、高さhを有するテーパー状のボルト頭部91aと、雄ねじが切られたネジ部91bとを有している。テーパー状のボルト頭部91aは、5°の傾斜角を有しており、ネジ部91b側(下側)に向かうほど径が大きくなっていて、下端で最大径dを有している。また、ボルト頭部91aには、六角レンチが嵌め込めるように不図示のレンチ孔が形成されている。
【0054】
そうして、各挿入孔75a,75b,75b,77aの内周には雌ねじが切られており、かかる樹脂ボルト91をレンチを用いて螺合挿入できるようになっている。これにより、樹脂ボルト91は、ボルト頭部91aだけが各挿入孔75a,75b,75b,77aから突き出た状態で、第1及び第2下側空間形成部75,77の先端部に取り付けられる。
【0055】
一方、上型81には、図7に示すように、第1ゴム弾性体33を成形するためのキャビティ63を構成する上側キャビティ凹部83と、当該上側キャビティ凹部83で囲まれて筒軸方向に相対的に突出する、第1及び第2すぐり孔33a,33bを形成するための第1及び第2上側空間形成部85,87とが形成されている。第1上側空間形成部85は、下型71の第1下側空間形成部75と対応するように、平面視で略へ字状に形成されている一方、第2上側空間形成部87は、第2下側空間形成部77と対応するように、平面視で略コ字状に形成されている。
【0056】
そして、第1上側空間形成部85の先端部(下端部)には、樹脂ボルト91のボルト頭部91aを挿入可能な第1テーパー孔85a及び第2テーパー孔85b,85bが形成されている一方、第2上側空間形成部87の先端部には、樹脂ボルト91のボルト頭部91aを挿入可能な第3テーパー孔87aが形成されている。
【0057】
これらの第1〜第3テーパー孔85a、85b,85b、87aは、ボルト頭部91aの傾斜角と同じ5°の傾斜角を有し、且つ、ボルト頭部91aの最大径dと同じ最大径を有するとともに、孔の深さがボルト頭部91aの高さhよりも浅く形成されている。より詳しくは、第1〜第3テーパー孔85a、85b,85b、87aは、5°の傾斜角を有しており、第1及び第2上側空間形成部85,87の先端側(下側)に向かうほど径が大きくなっていて、下端で最大径dを有している。
【0058】
このため、下型71に上型81を重ねると、ボルト頭部91a,91a,91aがすんなりと第1及び第2テーパー孔85a,85b,85bに挿入されるとともに、ボルト頭部91a,91a,91aが若干飛び出した状態で第1及び第2テーパー孔85a,85b,85bに収容される。そうして、型締め状態では、第1下側空間形成部75及び第1上側空間形成部85の、分割面61aを構成する先端面同士が接近して、ボルト頭部91a,91a,91aが第1及び第2テーパー孔85a,85b,85bの孔壁(第1上側空間形成部85の先端部)によって押圧されて膨張する。このように、ボルト頭部91a,91a,91aが膨張することで、ゴム材が入り込まない程度に、ボルト頭部91aのテーパー面と各テーパー孔85a,85b,85bのテーパー面とが密着し、シールの役目を果たすようになっている。
【0059】
同様に、下型71に上型81を重ねると、ボルト頭部91aが若干飛び出した状態で第3テーパー孔87aに収容される。そうして、型締め状態では、第2下側空間形成部77及び第2上側空間形成部87の、分割面61aを構成する先端面同士が接近して、ボルト頭部91aが第3テーパー孔87aの孔壁(第2上側空間形成部87の先端部)によって押圧されて膨張する。このように、ボルト頭部91aが膨張することで、ゴム材が入り込まない程度に、ボルト頭部91aのテーパー面と第3テーパー孔87aのテーパー面とが密着し、シールの役目を果たすようになっている。
【0060】
したがって、この成形用金型61を用いれば、第1下側空間形成部75と第1上側空間形成部85の先端面同士、及び、第2下側空間形成部77と第2上側空間形成部87の先端面同士の間に形成されるバリ43,53に、欠損部を生じさせることが、換言すると、筒軸方向に貫通する貫通孔43a、43b,43b,53aを形成することが可能となる。
【0061】
次に、この成形用金型61を用いた、トルクロッド1の製造方法について説明する。
【0062】
先ず、図9に示すように、下型71の第1下側空間形成部75の第1挿入孔75a及び第2挿入孔75b,75b、並びに、第2下側空間形成部77の第3挿入孔77aに、レンチを用いて、樹脂ボルト91のネジ部91bを螺合挿入する。
【0063】
次いで、図10に示すように、かかる下型71に、インサート材として第1パイプ部材23及び第1外筒体13を装着する。
【0064】
次いで、下型71に上型81を重ね、50tonの型締力で成形用金型61を型締めして、樹脂ボルト91のボルト頭部91aを、各テーパー孔85a、85b,85b、87aの孔壁で押圧することによって膨張させる。このとき、各テーパー孔85a、85b,85b、87aは、ボルト頭部91aの傾斜角と同じ5°の傾斜角を有し、且つ、ボルト頭部91aの最大径dと同じ最大径を有していることから、図11(a)に示すように、ボルト頭部91aはすんなりと第3テーパー孔87aに挿入される。そして、各テーパー孔85a、85b,85b、87aは、孔の深さがボルト頭部91aの高さhよりも浅く形成されていることから、図11(b)に示すように、ボルト頭部91aは若干飛び出した状態で第3テーパー孔87aに収容される。
【0065】
そうして、型締め状態では、図11(c)に示すように、第2下側空間形成部77及び第2上側空間形成部87の、分割面61aを構成する先端面同士が接近して、ボルト頭部91aが第3テーパー孔87aの孔壁によって押圧されて膨張することで、ボルト頭部91aのテーパー面と第3テーパー孔87aのテーパー面とが密着する。なお、図11では、第3テーパー孔87aについて示したが、第1及び第2テーパー孔85a,85bについても同様である。
【0066】
次いで、キャビティ63内へ所定のゴム材を注入し、所定温度及び圧力の条件下に所定時間保持する。なお、加熱温度は150〜180℃とするのが好ましく、また、加熱時間は3〜30分程度とするのが好ましい。
【0067】
以上のようにして、第1パイプ部材23及び第1外筒体13に第1ゴム弾性体33が接着一体化しているとともに、ボルト頭部91aによって、筒軸方向に貫通する貫通孔43a、43b,43b,53aがバリ43,53に形成された、トルクロッド1を製造することができる。
【0068】
−効果−
本実施形態によれば、第1ゴムブッシュ3に軸直角方向から荷重が入力すると、第1パイプ部材23が第1外筒体13に対して荷重入力方向に相対的に変位するのにともなって、バリ43,53が圧縮されたり、引っ張られたりする。
【0069】
このように、貫通孔43a、43b,43b,53aが形成されたバリ43,53が荷重入力方向に圧縮されたり引っ張られたりすると、たとえ小さな荷重が入力した場合であっても、これらの貫通孔43a、43b,43b,53aが基点となってバリ43,53に亀裂が生じ、かかる亀裂が荷重入力方向と略直角な方向に進展して、バリ43,53が自然にやぶれることになる。これにより、第1及び第2すぐり孔33a,33bに不可避的に形成されるバリ43,53を破る工程を省略しながら、最初の使用時にバリ43,53が確実に破れるので、バリ43,53に起因する反転音の発生を抑制することができる。
【0070】
また、これらの貫通孔43a、43b,43b,53aは、第1パイプ部材23の第1外筒体13に対する相対変位やゴム弾性体の変形等を何ら阻害しないので、ゴムブッシュ本来の性能を維持することができる。
【0071】
以上により、第1パイプ部材23と第1外筒体13との間に成形される第1ゴム弾性体33に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる第1及び第2すぐり孔33a,33bが形成された第1ゴムブッシュ3において、第1及び第2すぐり孔33a,33bに不可避的に形成されるバリ43,53を破る工程を省略するとともに、第1ゴムブッシュ3本来の性能を維持しつつ、バリ43,53に起因する反転音の発生を抑制することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係る製造方法によれば、第1及び第2下側空間形成部75,77の先端部に形成された第1〜第3挿入孔75a,75b,75b,77aに、樹脂ボルト91,91,…のネジ部91b,91b,…を挿入し、かかる挿入孔75a,75b,75b,77aから突き出たボルト頭部91a,91a,…を、上型81の第1及び第2上側空間形成部85,87の先端部で押圧することによって膨張させるようにしているところ、かかる膨張した部位がシールの役目を果たすことから、完全に隙間を塞ぐことが困難な成形用金型61の分割面61aに、バリ43,53が形成されない部分(貫通孔43a、43b,43b,53a)が生じる。
【0073】
これにより、既存の成形用金型を用いた簡単な構造で、本実施形態の第1ゴムブッシュ3を容易に得ることができる。
【0074】
(実施形態2)
本実施形態は、トルクロッド1及び貫通孔の形状が上記実施形態1と異なるものである。以下、上記実施形態1と異なる点について図12を用いて説明する。なお、実施形態1と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
【0075】
本実施形態のトルクロッド1では、第1バリ43に、長手直角方向中央に、断面略菱形の第1貫通孔43dが、鋭角な頂点が長手直角方向両外側を向くように形成されているとともに、かかる第1貫通孔43dを挟んで対称をなすように、長手直角方向両端部に、略ティアドロップ形の断面形状を有する第2貫通孔43e,43eが、鋭角な頂点が長手直角方向内側を向くように形成されている。一方、第2バリ53には、長手直角方向中央に、断面略菱形の第3貫通孔53cが、鋭角な頂点が長手直角方向両外側を向くように形成されている。
【0076】
このように、貫通孔43d、43e,43e,53cの断面形状を非真円形としていることから、各貫通孔43d、43e,43e,53cの鋭角な角部に応力が集中し、より一層バリ43,53に亀裂が生じ易くなっているとともに、これらの鋭角な頂点を、亀裂を進展させたい方向に向けることで、亀裂が進展する方向をコントロールすることができるようになっている。
【0077】
例えば、第1バリ43が長手方向に引っ張られると、各貫通孔43d、43e,43eの鋭角な角部に応力が集中する。これにより、第1貫通孔43dの鋭角な角部が基点となって、第1バリ43に亀裂が生じ、かかる亀裂が略長手直角方向両外側に進展するとともに、第2貫通孔43e,43eの鋭角な角部が基点となって、第1バリ43に亀裂が生じ、かかる亀裂が略長手直角方向内側に進展する。
【0078】
一方、第2バリ53が長手方向に引っ張られると、第3貫通孔53cの鋭角な角部に応力が集中する。これにより、第3貫通孔53cの鋭角な角部が基点となって、第2バリ53に亀裂が生じ、かかる亀裂が略長手直角方向両外側に進展する。
【0079】
なお、これらの断面形状が非真円形の貫通孔43d、43e,43e,53cは、上記樹脂ボルト91のボルト頭部91aの形状を菱形やティアドロップ形とすることにより、容易に形成することができる。
【0080】
−効果−
本実施形態によれば、貫通孔43d、43e,43e,53cの断面形状を非真円形とすることにより、応力集中が生じ易くなり、より確実にバリ43,53を破ることができる。また、亀裂を進展させたい方向に、これらの鋭角な頂点を向けることで、亀裂が進展する方向をコントロールすることができる。
【0081】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0082】
上記各実施形態では、本発明の防振ゴムをトルクロッド1に適用したが、これに限らず、筒軸方向と垂直な分割面61aを有する成形用金型61を用いて、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる空間部が形成された防振ゴムであれば、どのような部材にも適用できる。
【0083】
また、上記実施形態1では第1〜第3貫通孔43a、43b,43b,53aの断面形状を円形とし、上記実施形態2では第1及び第3貫通孔43d、53cの断面形状を略菱形とし、第2貫通孔43e,43eの断面形状を略ティアドロップ形としたが、これに限らず、例えば三角形や楕円形といった様々な形状とすることができる。
【0084】
さらに、上記各実施形態では、貫通孔を、第1すぐり孔33aに3つ、第2すぐり孔33bに1つ形成したが、これに限らず、貫通孔の数は、すぐり孔の大きさや形状に合わせて適宜設定することができる。
【0085】
また、上記実施形態1では、樹脂製の略棒状部材として樹脂ボルト91を用いたが、これに限らず、例えば、ボルト頭部91aを有しない樹脂ネジを用いてもよいし、ねじ切りされていない棒状部材を用いてもよい。この場合には、第1及び第2上側空間形成部85,87の先端部にテーパー孔85a、85b,85b、87aを形成することなく、樹脂ネジ(又は棒状部材)の挿入孔75a,75b,75b,77aから突き出た部位を、第1及び第2上側空間形成部85,87の平坦な先端面(先端部)で押圧することによって膨張させることができる。
【0086】
さらに、上記実施形態1では、第1及び第2下側空間形成部75,77の先端部に挿入孔75a,75b,75b,77aを形成したが、これに限らず、例えば、第1及び第2上側空間形成部85,87の先端部に挿入孔を形成してもよい。
【0087】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明は、トルクロッドや、サスペンションのリンク部品等として用いられる、空間部が形成されたゴム弾性体を備える防振ゴム、及び、その製造方法等について有用である。
【符号の説明】
【0089】
3 第1ゴムブッシュ(防振ゴム)
13 第1外筒体(外筒体)
23 第1パイプ部材(内筒体)
33 第1ゴム弾性体(ゴム弾性体)
33a 第1すぐり孔(空間部)
33b 第2すぐり孔(空間部)
43 第1バリ(バリ)
43a,43d 第1貫通孔(貫通孔)
43b,43e 第2貫通孔(貫通孔)
53 第2バリ(バリ)
53a,53c 第3貫通孔(貫通孔)
61 成形用金型
61a 分割面
63 キャビティ
71 下型(分割金型)
73 下側キャビティ凹部(キャビティ凹部)
75 第1下側空間形成部(空間形成部)
75a 第1挿入孔(挿入孔)
75b 第2挿入孔(挿入孔)
77 第2下側空間形成部(空間形成部)
77a 第3挿入孔(挿入孔)
81 上型(分割金型)
83 上側キャビティ凹部(キャビティ凹部)
85 第1上側空間形成部(空間形成部)
87 第2上側空間形成部(空間形成部)
91 樹脂ボルト(略棒状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内筒体及び外筒体と、筒軸方向と垂直な分割面を有する成形用金型を用いて、当該内筒体と当該外筒体とを連結するように、これらの内外筒体の間に成形されたゴム弾性体とを備え、当該ゴム弾性体に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる空間部が形成された防振ゴムであって、
上記空間部は、上記成形用金型の分割面に不可避的に形成されるバリによって筒軸方向に仕切られており、
上記バリには、上記ゴム弾性体と同時成形された、筒軸方向に貫通する貫通孔が設けられていることを特徴とする防振ゴム。
【請求項2】
請求項1記載の防振ゴムにおいて、
上記貫通孔は、断面非真円形に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
【請求項3】
内筒体及び外筒体と、当該内筒体と当該外筒体とを連結するように、これらの内外筒体の間に成形されたゴム弾性体とを備え、当該ゴム弾性体に、筒軸方向両外側に開口して筒軸方向に延びる空間部が形成された防振ゴムの製造方法であって、
筒軸方向と垂直な分割面を構成する一対の分割金型を有し、且つ、当該各分割金型に、上記ゴム弾性体を成形するためのキャビティを構成するキャビティ凹部と、当該キャビティ凹部で囲まれて筒軸方向に相対的に突出する、上記空間部を形成するための空間形成部とが形成された成形用金型を用意し、
いずれか一方の上記分割金型の空間形成部の先端部に形成された筒軸方向に延びる挿入孔に、樹脂製の略棒状部材の一部を挿入する工程と、
上記成形用金型を型締めして、上記略棒状部材の上記挿入孔から突き出た部位を、いずれか他方の上記分割金型の空間形成部の先端部で押圧することによって膨張させる工程と、
上記キャビティ内へ所定のゴム材を注入する工程と、を含み、
上記略棒状部材の膨張した部位によって、上記分割面を構成する上記空間形成部の先端面同士の間に形成されるバリに、筒軸方向に貫通する貫通孔を形成することを特徴とする防振ゴムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−21564(P2012−21564A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159083(P2010−159083)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】