防振装置の製造方法
【課題】互いに強度が異なる防振装置の複数種類を、容易に且つ低コストに製造し得る防振装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第一の取付金具12が、その一部においてゴム弾性体15に埋設された状態で加硫接着された一体加硫成形品を準備した後、該一体加硫成形品のゴム弾性体15を、第二の取付金具14の包囲金具34と底壁金具32とにて、非接着で取り囲む一方、補強金具52の互いに形状又は強度の異なる複数種類のものを準備した後、それら複数種類の補強金具52のうちから任意のものを選択し、それを該包囲金具34に溶接固定するようにした。
【解決手段】第一の取付金具12が、その一部においてゴム弾性体15に埋設された状態で加硫接着された一体加硫成形品を準備した後、該一体加硫成形品のゴム弾性体15を、第二の取付金具14の包囲金具34と底壁金具32とにて、非接着で取り囲む一方、補強金具52の互いに形状又は強度の異なる複数種類のものを準備した後、それら複数種類の補強金具52のうちから任意のものを選択し、それを該包囲金具34に溶接固定するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置の製造方法に係り、互いに離隔配置された第一及び第二の取付金具と、かかる第一及び第二の取付金具の間に介装されて、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置の有利な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の防振装置の一種として、防振されるべき二つ部材にそれぞれ取り付けられた状態下で、径方向に離隔配置された、第一及び第二の取付金具としての内筒金具と外筒金具とをゴム弾性体にて連結してなる、所謂筒型マウントが知られており、これは、自動車のエンジンマウント等として、多く使用されてきている。
【0003】
ところで、このような筒型マウントにおいては、一般に、ゴム弾性体が、内筒金具と外筒金具とに対して、それぞれ加硫接着せしめられるようになっているところから、内筒金具と外筒金具とを連結したゴム弾性体に、加硫後の収縮による引っ張り歪みが生じ、それが、ゴム弾性体の耐久性に悪影響を及ぼすことが避けられなかった。それ故、かかる従来の筒型マウントでは、ゴム弾性体の引っ張り歪みを解消して、耐久性の向上を図るために、自動車のエンジンとボデーとの間等に介装せしめる際に、先ず、外筒金具を絞り加工し、その後、ボデー等に固定されるリング状ブラケットに外筒金具を圧入するといった、面倒で、手間の掛かる作業を行なう必要があった。
【0004】
かかる状況下、下記特許文献1には、上記の如き筒型マウントよりも製造が容易な防振装置が、明らかにされている。即ち、そこに開示される防振装置にあっては、ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈しており、エンジン等に取り付けられる、第一の取付金具(内側金具)が、その一部において、ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着されている。また、自動車のボデー等に取り付けられる第二の取付金具(外側金具)が、ゴム弾性体の基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように、金属平板をコ字状乃至はU字状に屈曲形成してなる包囲金具と、ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有する底壁金具とを含んで、構成されている。そして、第一の取付金具が加硫接着されたゴム弾性体が、その全周に亘って、第二の取付金具の包囲金具と底壁金具とにて、非接着で取り囲まれており、以て、第一の取付金具と第二の取付金具とが、それらの間に介装されたゴム弾性体にて弾性的に連結せしめられて、防振装置が構成されている。
【0005】
このような構造を有する防振装置にあっては、第一の取付金具がゴム弾性体に加硫接着されているものの、ゴム弾性体を取り囲む第二の取付金具が、ゴム弾性体に対して非接着とされているため、ゴム弾性体の加硫後の自由な収縮が可能となって、ゴム弾性体に引っ張り歪みが生ずるようなことが有利に回避され得る。そして、それにより、かかる引っ張り歪みを除去するために、従来の筒型マウント等において行なわれていた外筒金具に対する絞り加工や、外筒金具のリング状ブラケットへの圧入作業を行なう必要が皆無ならしめられ得て、製造工程の簡略化が効果的に図られ得るのである。
【0006】
ところが、かくの如き従来の非接着タイプの防振装置においては、上記せるように、第二の取付金具の包囲金具が、金属平板を下方に向かって開口するコ字状乃至はU字状に屈曲形成してなる形態、つまり、ゴム弾性体を取り囲んだ状態下において、ゴム弾性体を間に挟んで左右両側にそれぞれ位置するように、互いに対向配置された二つの平板状の側壁部と、それら二つの側壁部の上端部同士を互いに連結する天井壁部とを、一体的に有してなる形態とされているため、特に、上下方向や二つの側壁部の互いの対向方向への入力荷重に対する強度、つまり、二つの側壁部の互いの対向方向の内方や外方への屈曲乃至は曲げ変形(各側壁部の板厚方向への屈曲乃至は曲げ変形)に対する強度が十分に確保され難いといった問題が、内在していた。
【0007】
一方、下記特許文献2には、二つの側壁部のそれぞれにおける幅方向両側の端部が、二つの側壁部の対向方向外方に向かって、略直角に屈曲せしめられることにより、各側壁部に、平板状の補強リブが一体形成され、更に、そのような補強リブが、各側壁部の下端部から、二つの側壁部の互いの対向方向の外方に一体的に延び出すように一体形成された外フランジ部に接続されてなる包囲金具を用い、この包囲金具を、第一の取付金具と底壁金具とが予め加硫接着されたゴム弾性体に対して、その基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように組み付けて、目的とする防振装置を製造する手法が、明らかにされている。このような防振装置の製造手法によれば、包囲金具の各側壁部が補強リブにて補強されて、包囲金具、ひいては防振装置全体の強度の向上が図られ得ることとなる。
【0008】
しかしながら、そのような包囲金具を得るには、平板金具を長さ方向においてコ字状に屈曲せしめ、そして、その後、或いはそれに先立って、平板金具の幅方向両側の端部を直角に立ち上げるように屈曲させるといった、平板金具の同一の被加工部位に対する複数回の曲げ加工を含む、複雑で且つ困難なプレス加工を行う必要があった。そのため、そのようなプレス加工を必要とする従来手法には、包囲金具、ひいては防振装置全体の製造工程が不可避的に煩雑なものとなるといった欠点が、存していた。
【0009】
また、かかる従来手法にて、強度が互いに異なる複数種類の防振装置を製造する場合には、包囲金具として、その成形が容易でないにも拘わらず、補強リブの形状の違い等によって互いに異なる強度とされてなるものの複数種類を準備する必要があり、そのために、装置全体の製造工程が、更に一層煩雑なものとなり、しかも、補強リブの形状によっては、包囲金具をプレス成形するためのプレス装置の変更も余儀なくされて、大きな経済的負担を強いられる恐れさえもあったのである。
【0010】
【特許文献1】特開2003−202053号公報
【特許文献2】特開2006−177544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、互いに強度が異なる防振装置の複数種類を、容易に且つ低コストに製造し得る防振装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その要旨とするところは、互いに離隔配置された第一の取付金具及び第二の取付金具と、該第一の取付金具と該第二の取付金具との間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有してなると共に、該ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、更に、前記第一の取付金具が、その一部において、該ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着される一方、前記第二の取付金具が、該ゴム弾性体の基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる包囲金具と、該ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有する底壁金具とを含んでなると共に、それら包囲金具と底壁金具とが、該ゴム弾性体に対して非接着の状態で、互いに協働して、該ゴム弾性体を全周に亘って取り囲むように構成された防振装置を製造する方法であって、(a)前記第一の取付金具が、その一部において、前記ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で加硫接着されてなる、該第一の取付金具と該ゴム弾性体の一体加硫成形品を準備する工程と、(b)該準備された一体加硫成形品の前記ゴム弾性体を、その全周に亘って、前記第二の取付金具の前記包囲金具と前記底壁金具とにて非接着で取り囲む工程と、(c)前記第二の取付金具を補強する補強金具の互いに形状又は強度が異なる複数種類のものを準備する工程と、(d)該準備された複数種類の補強金具のうちから任意のものを選択して、該選択された補強金具を前記第二の取付金具に溶接固定する工程とを含むことを特徴とする防振装置の製造方法にある。
【0013】
要するに、この本発明に従う防振装置の製造方法にあっては、第二の取付金具の包囲金具や底壁金具とは別個の部材からなる補強金具を、第二の取付金具に溶接固定することによって、第二の取付金具、ひいては装置全体の補強が図られている。しかも、かかる補強金具として、例えば、形状の違いや厚さ、材質等の違いにより互いに異なる強度とされた複数種類のもののうちから任意に選択されたものを用いることによって、第二の取付金具や装置全体の強度を任意に変更し得るようになっており、また、互いに形状が異なるものの、強度が同程度とされた複数種類のもののうちから任意に選択されたものを用いる場合には、例えば、選択された補強金具の第二の取付金具への溶接位置を種々変更すること等によって、第二の取付金具や装置全体の強度を任意に変更し得るようになっている。換言すれば、本発明手法では、互いに強度が異なる複数種類の防振装置を得るに際して、防振装置を構成する部品のうち、補強金具を除く部品、つまり、第一の取付金具がゴム弾性体に加硫接着されてなる一体加硫成形品と、包囲金具及び底壁金具を含む第二の取付金具とを、共通の部品として用いることが可能となっている。
【0014】
このため、本発明に係る防振装置の製造方法においては、従来手法とは異なって、各側壁部の幅方向両側の端部が屈曲せしめられて、補強リブが一体形成された、成形が容易でない包囲金具が、何等用いられておらず、それ故、目的とする防振装置の強度の変更のために、補強リブの形状の違い等によって互いに異なる強度とされた複数種類の包囲金具を準備する必要が、皆無ならしめられ得る。そして、それによって、そのような互いに強度が異なる複数種類の包囲金具を形成するために、複数種類のプレス装置を準備するようなことも、有利に回避され得る。
【0015】
なお、本発明に従う防振装置の製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記第二の取付金具の前記包囲金具が、前記ゴム弾性体を取り囲んだ状態下において、該ゴム弾性体を間に挟んで左右両側に位置するように、互いに対向配置された二つの側壁部と、それら二つの側壁部のそれぞれにおける該ゴム弾性体の基部に対応位置する部分から、対向方向の外方に向かって一体的に延び出す外フランジ部とを有して構成される一方、前記補強金具が、板金具にて構成されて、該包囲金具の該側壁部と該外フランジ部とに対して、それらを相互に連結する状態で、溶接固定される。
【0016】
このような本態様によれば、比較的に簡略な構造において、第二の取付金具、ひいては装置全体を補強金具にて確実に補強して、かかる装置全体の強度の向上が効果的に図られ得る。
【0017】
さらに、本発明に従う防振装置の製造方法の望ましい別の態様の一つによれば、前記補強金具に係合部が設けられ、該係合部が、前記第一の取付金具の該ゴム弾性体への埋設部分の延出方向両側に位置する該ゴム弾性体の端面の何れか一方に係合せしめられ得るように、該補強金具が、該係合部を、前記第二の取付金具における前記包囲金具の内側方向に向かって延出させた状態で、該第二の取付金具に溶接固定される。
【0018】
この本態様によれば、目的とする防振装置において、補強金具の係合部を、ゴム弾性体の第二の取付金具内からの抜出し方向において、ゴム弾性体に係合させることが出来、それによって、ゴム弾性体の第二の取付金具内からの抜出しを有効に阻止させることが出来る。そして、その結果として、所望の防振性能が安定的に発揮され得る防振装置を、有利に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う防振装置の製造方法によれば、互いに強度が異なる複数種類の防振装置を、極めて容易に且つ低コストに製造することが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0021】
先ず、図1乃至図3には、本発明手法に従って製造された防振装置の一例として、主たる振動が上下方向に入力せしめられる自動車用のエンジンマウントが、その正面形態と上面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、エンジンマウント10は、所定距離を隔てて配設された第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それら両金具12,14間に介装されたゴム弾性体15によって弾性的に連結されて、構成されている。
【0022】
より詳細には、第一の取付金具12は、ボルト孔13が複数設けられた取付部16と、この取付部16から一体的に延び出す略五角柱状の軸部17とを有して、成っている。
【0023】
また、そのような第一の取付金具12と前記第二の取付金具14との間に介装されるゴム弾性体15は、エンジンマウント10の自動車への装着状態下で、主たる振動入力方向となる図1の上下方向の高さ寸法と、主たる振動入力方向に対して直角な方向となる図1の左右方向の幅寸法とが、略同一寸法とされ、且つかかる高さ方向(図1の上下方向)と幅方向(図1の左右方向)の両方に対して直角な方向となる図1の紙面に垂直な方向の厚さ寸法が、高さ及び幅よりも小さくされた、全体として、略矩形のブロック形状を有している。なお、以下からは、便宜上、ゴム弾性体15の高さ方向を上下方向、幅方向を左右方向、厚さ方向を前後方向と言うこととする。
【0024】
そして、かかるゴム弾性体15においては、その下側端部を与える基部18に対して、左右方向の両側においてそれぞれ膨出して、該基部18の幅を、基部18から上方に延び出す延出部位20の幅よりも大きく為す二つの肩部22a,22bが、それぞれ形成されている。また、基部18の幅方向中央部には、略台形状の肉抜空所28が、厚さ方向に貫通して延びるように形成されている。これによって、ゴム弾性体15の硬さが適度に柔らかくなるように、チューニングされている。
【0025】
さらに、ゴム弾性体15にあっては、基部18の下側底面となる基部底面24が、水平方向に広がる平坦面にて構成されている。また、かかる基部底面24の左右方向両側端部には、位置決め突起26が、前後方向に連続して延びる突条形態をもって、一体形成されている。
【0026】
そして、このようなゴム弾性体15の延出部位20に対して、前記せる第一の取付金具12の軸部17が、ゴム弾性体15の厚さ方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着されて、一体的に連結されている。つまり、ここでは、ゴム弾性体15と、その上部部位からなる延出部位20に一部が埋設された状態で加硫接着された第一の取付金具12とにて、一体加硫成形品30が、形成されているのである。
【0027】
一方、第二の取付金具14は、底壁金具32と包囲金具34とにて、構成されている。底壁金具32は、全体として、ゴム弾性体15の厚さと略同一の幅を有する長手矩形の平板形状を有している。また、この底壁金具32においては、その長さ方向の中間部に、十分に低い高さをもって下方に開口するコ字状位置決め部36が屈曲形成されており、このコ字状位置決め部36の上面が、位置決め突起26が幅方向両側に設けられたゴム弾性体15の基部底面24の形状に対応した形状とされている。更に、かかる底壁金具32の長さ方向の両側端部には、ボルト孔38が、それぞれ一つずつ穿設されている。
【0028】
包囲金具34は、底壁金具32と略同一の幅を有する長手矩形の金属板材を、長手方向の中間部分において、十分に高い高さをもって下方に向かって開口するコ字形状を呈するように、厚さ方向に屈曲せしめてなる如き形態を有している。つまり、包囲金具34にあっては、その長手方向の中間部分が、左右方向(長手方向)に所定距離を隔てて対向位置せしめられて、上下方向に延びる左側及び右側側壁部40a,40bと、それら二つの側壁部40a,40bの上端部同士を相互に連結する天井壁部42とを有するコ字状部44とされている一方、その長手方向の両側端部のそれぞれが、ボルト孔46を各々一つずつ有する平板状の左側及び右側取付フランジ部48a,48bとされている。
【0029】
また、かかる包囲金具34のコ字状部44は、ゴム弾性体15と略同じか又はそれよりも小さな高さを有すると共に、ゴム弾性体15の基部底面24を除く幅方向の左右両側の側面と先端面(基部底面24とは反対側の上端面)とを取り囲み得る大きさとされており、更に、左側及び右側の各側壁部40a,40bの下側部位には、ゴム弾性体15の基部18の幅方向の両側に膨出して設けられた左右二つの肩部22a,22bに対応した屈曲形状を呈する左側及び右側段部50a,50bが、それぞれ設けられている。なお、各段部50a,50bは、その内面部分の高さが、それぞれ、ゴム弾性体15の各肩部22a,22bの基部底面24からの高さよりも所定寸法小さくされている。
【0030】
そして、ここでは、そのような包囲金具34のコ字状部44と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、それら両金具34,32の幅方向に延びる筒状の収容部51が形成されるように、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bと底壁金具32の長さ方向の両端部側部分とが、前者を上側にして、互いに重ね合わされて、それら包囲金具34と底壁金具32とが組み付けられている。
【0031】
かくして、第二の取付金具14が、それら包囲金具34と底壁金具32の組付品として、構成されているのである。なお、この第二の取付金具14を構成する包囲金具34と底壁金具32の組付品は、図示されてはいないものの、後述するように、それら包囲金具34と底壁金具32にそれぞれ設けられたボルト孔46,38に、所定の取付ボルトが挿通されて、それが、パワーユニット又はボデーに取り付けられることによって、一体化されるようになっている。
【0032】
そして、ここでは、かかる第二の取付金具14の筒状収容部51内に、前記一体加硫成形品30を構成するゴム弾性体15の全体が、包囲金具34のコ字状部44と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、全周を包囲されて、圧入状態で、収容されている。換言すれば、包囲金具34と底壁金具32とが、ゴム弾性体15に対して非接着の状態で、互いに協働して、ゴム弾性体15を、圧縮させるように、全周に亘って取り囲んで位置せしめられている。
【0033】
すなわち、ゴム弾性体15の筒状収容部51内への収容状態下において、ゴム弾性体15の全体が、包囲金具34のコ字状部44の天井壁部42と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、上下方向に予圧縮せしめられていると共に、基部18の左右両側に膨出形成された二つの肩部22a,22bが、包囲金具34の左側及び右側段部50a,50bと底壁金具32との間で、上下方向に更に圧縮せしめられて、ゴム弾性体15の筒状収容部51内からの容易な抜出しが阻止されるようになっている。また、ゴム弾性体15の内部に埋設された第一の取付金具12の軸部17が、筒状収容部51の軸方向(包囲金具34や底壁金具32の幅方向)に延びるように位置せしめられ、更に、取付部16が、筒状収容部51内から軸方向一方側に突出させて、配置されている。
【0034】
かくして、かかるエンジンマウント10にあっては、第二の取付金具14が、第一の取付金具12が加硫接着されたゴム弾性体15に対して一体的に組み付けられ、以て、第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて、弾性的に連結されるようになっている。そして、図示されてはいないものの、第一の取付金具12が、取付部16の各ボルト孔13に挿通された取付ボルトによって、パワーユニットとボデーのうちの何れか一方に取り付けられる一方、第二の取付金具14が、包囲金具34と底壁金具32の各ボルト孔46,38に挿通された取付ボルトによって、パワーユニットとボデーのうちの何れか他方に取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ得るようになっているのである。
【0035】
而して、かくの如き構造とされたエンジンマウント10においては、特に、第二の取付金具14の包囲金具34に対して、4個の第一補強金具52が、溶接固定されている。それら各第一補強金具52は、図4及び図5に示されるように、板状補強部54と板状係合部56とを一体的に有する金属平板から成っている。
【0036】
そして、この第一補強金具52の板状補強部54は、全体として、略直角三角形形状を呈し、第一及び第二の取付金具12,14と略同一の厚さと、第二の取付金具14における包囲金具34の側壁部40の長さよりも少しだけ短い垂辺(直角三角形の直角の角部を底辺との間で形成する辺)の長さと、かかる包囲金具34の取付フランジ部48の延出長さよりも所定寸法短い底辺の長さとを有している(図1参照)。
【0037】
一方、板状係合部56は、板状補強部54と同一の肉厚と、包囲金具34の二つの側壁部40a,40b同士の間の距離の半分よりも所定寸法短い長さとを有する狭幅の長手平板形状を呈している。そして、板状補強部54の垂辺を与える側面の底辺側の部分に、底辺と平行に延びるようにして、一体的に突出形成されている。
【0038】
そして、図1及び図2に示される如く、そのような第一補強金具52の4個のもののそれぞれが、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bのそれぞれの先端側の幅広部位の上面における幅方向両端縁部に、板状補強部54の底辺を与える側面を重ね合わせると共に、左側及び右側の各側壁部40a,40bの幅方向両側の端面に対して、板状補強部54の厚さ方向一方の面における垂辺に沿って延びる端縁部を重ね合わせた状態で配置されて、かかる包囲金具34の各取付フランジ部48や各側壁部40に対して、それらへの重合せ部位において溶接固定されている。つまり、4個の第一補強金具52のうちの2個が、包囲金具34の左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aの幅方向両端部同士を互いに連結するように、また、残りの2個の第一補強金具52が、包囲金具34の右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bの幅方向両端部同士を互いに連結するように、包囲金具34に対して、板状補強部54においてそれぞれ溶接されているのである。
【0039】
かくして、ここでは、例えば、外力によって、包囲金具34の左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aとの間に形成される角部の角度が小さくなったり、大きくなったりするように、つまり、それら左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aとが互いに接近乃至は離隔するように、包囲金具34が曲げ変形することや、左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aのそれぞれが長さ方向の中間部で曲げ変形することが防止されている。また、それと同様に、右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bとが互いに接近乃至は離隔するように、包囲金具34が曲げ変形することや、右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bのそれぞれが長さ方向の中間部で曲げ変形することが防止されている。更に、底壁金具32の左側及び右側取付フランジ部48a,48bとの重合せ部分が曲げ変形することも、防止されている。そして、これによって、包囲金具34のみならず、第二の取付金具14の全体の強度が、効果的に高められている。
【0040】
また、かかる第一補強金具52にあっては、上記の如き包囲金具34への溶接固定状態下で、板状係合部56が、左側及び右側側壁部40a,40bの対向方向の内側に突出せしめられて、それら両側壁部40a,40bの間に配置されたゴム弾性体15の厚さ方向の端面に対して、接触乃至は対向位置せしめられている。換言すれば、左側側壁部40aの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第一補強金具52の板状係合部56同士と、右側側壁部40bの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第一補強金具52の板状係合部56同士とが、それぞれ、ゴム弾性体15の厚さ方向の両側に、ゴム弾性体15を間に挟んで、固定的に配置されている。これによって、各第一補強金具52の板状係合部56が、ゴム弾性体15に対して、第二の取付金具14のコ字状部44内からの抜出し方向において係合されるか若しくは係合可能とされ、以て、ゴム弾性体15のコ字状部44内からの抜出しが、各第一補強金具52の板状係合部56にて、有効に阻止され得るようになっている。
【0041】
次に、図6及び図7には、本発明手法に従って製造された防振装置の別の例としての自動車用のエンジンマウント60が、正面形態と上面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本例に係るエンジンマウント60にあっては、第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて弾性的に連結されてなる基本構造を有し、第二の取付金具14の包囲金具34に溶接固定される第二補強金具62の形状と包囲金具34への溶接位置以外は、図1乃至図3に示される前例のエンジンマウント10と略同一の構造とされている。なお、本例に関しては、前例のエンジンマウント10と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図3と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
【0042】
すなわち、エンジンマウント60にあっては、第一の取付金具12が、取付部16と軸部17とからなり、ゴム弾性体15に対して、軸部17が埋設されて、加硫接着されている。そして、それら第一の取付金具12とゴム弾性体15とにて、一体加硫成形品(30)が構成されている。また、第二の取付金具14が、底壁金具32と包囲金具34とを有し、それらが互いに重ね合わされて、組み付けられてなる組付品にて、構成されている。
【0043】
そして、ここでは、第二の取付金具14の包囲金具34に溶接固定される第二補強金具62が、図8及び図9に示されるように、上底と下底とそれらを繋ぐ二つの斜辺とを有する略台形状の金属平板からなる板状補強部64と、長手矩形状を呈する狭幅の金属平板からなる板状係合部66と、それら板状補強部64と板状係合部66とを相互に連結する板状連結部68とを一体的に有している。また、板状連結部68は、板厚方向において略S字状に屈曲せしめられており、それによって、かかる板状連結部68にて連結された板状補強部64と板状係合部66とが、第二補強金具62の平面視において、板厚方向に隣り合って互いに平行に延びるように位置せしめられている。なお、この第二補強金具62の厚さ及び全体の大きさは、前例における第一補強金具52の厚さ及び全体の大きさと、略同一とされている。
【0044】
そして、図6及び図7に示されるように、エンジンマウント60においては、上記の如き構造とされた第二補強金具62の4個のもののそれぞれが、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bのそれぞれの先端側の幅広部位の上面における幅方向両端縁部に、板状補強部64の二つの斜辺のうちの一方を与える側面を重ね合わせると共に、左側及び右側の各側壁部40a,40bの外面における幅方向両端縁部に対して、板状補強部64の他方の斜辺を与える側面を重ね合わせた状態で配置されて、かかる包囲金具34の各取付フランジ部48や各側壁部40に対して、それらへの重合せ部位において溶接固定されている。つまり、4個の第二補強金具62のうちの2個が、包囲金具34の左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aの幅方向両端部同士を互いに連結するように、また、残りの2個の第二補強金具62が、包囲金具34の右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bの幅方向両端部同士を互いに連結するように、包囲金具34に対して、板状補強部64においてそれぞれ溶接されているのである。
【0045】
かくして、本例のエンジンマウント60にあっても、前例と同様に、左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aとが、或いは右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bとが、互いに接近乃至は離隔するように曲げ変形することや、左側及び右側側壁部40a,40bと左側及び右側取付フランジ部48a,48bのそれぞれが、長さ方向の中間部で曲げ変形することが防止されている。また、底壁金具32の左側及び右側取付フランジ部48a,48bとの重合せ部分が曲げ変形することも、防止されている。そして、これによって、包囲金具34のみならず、第二の取付金具14の全体の強度が、効果的に高められている。
【0046】
しかも、ここでは、各第二補強金具62の板状補強部64が、長さ方向の両側にそれぞれ位置する側面において、包囲金具34の側壁部40の外面と取付フランジ部48の上面のそれぞれに対して重ね合わされて、溶接固定されている。そのため、例えば、前例のように、各第二補強金具62の板状補強部64が、包囲金具34の側壁部40の幅方向両側に位置する側面と取付フランジ部48の上面のそれぞれに対して重ね合わされて、溶接固定される場合とは異なって、板状補強部64の溶接固定により高められる包囲金具34の強度が、第二補強金具62の包囲金具34に対する接合強度に左右されることなく、板状補強部64が有する剛性に大きく依存せしめられていることで、十分に大きくされている。そして、それにより、本例のエンジンマウント60においては、前例のエンジンマウント10よりも大きな強度が、有利に確保され得るようになっている。
【0047】
また、かかる第二補強金具62にあっては、上記の如き包囲金具34への溶接固定状態下で、板状係合部66が、左側及び右側側壁部40a,40bの対向方向の内側に突出せしめられて、それら両側壁部40a,40bの間に配置されたゴム弾性体15の厚さ方向の端面に対して、接触乃至は対向位置せしめられている。換言すれば、左側側壁部40aの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第二補強金具62の板状係合部66同士と、右側側壁部40bの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第二補強金具62の板状係合部66同士とが、それぞれ、ゴム弾性体15の厚さ方向の両側に、ゴム弾性体15を間に挟んで、固定的に配置されている。これによって、各第二補強金具62の板状係合部66が、ゴム弾性体15に対して、第二の取付金具14のコ字状部44内からの抜出し方向において係合されるか若しくは係合可能とされ、以て、ゴム弾性体15のコ字状部44内からの抜出しが、各第二補強金具62の板状係合部66にて、有効に阻止され得るようになっている。
【0048】
そして、図示されてはいないものの、かくの如き構造とされたエンジンマウント60にあっても、パワーユニットとボデーのうちの何れか一方に、第一の取付金具12が取り付けられる一方、それらのうちの何れか他方に、第二の取付金具14が取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ得るようになっているのである。
【0049】
ところで、上記の如く、第二の取付金具14に対して、第一補強金具52と第二補強金具62のうちの何れかが溶接固定されることにより、互いに異なる強度を有するように構成された2種類のエンジンマウント10,60を製造する際には、その作業が、例えば、以下の手順に従って進められることとなる。
【0050】
すなわち、先ず、図4及び図5に示される如く、略三角形状の板状補強部54を有する第一補強金具52の4個と、図8及び図9に示される如く、略台形状の板状補強部64を有する第二補強金具62の4個とが、それぞれ成形されて、準備される。なお、第一補強金具52は、例えば、その外形形状と同一形状の刃先を有するパンチとダイとを用いて、金属平板に対して、プレス成形による公知の打抜き加工を行うこと等により、容易に得られる。また、第二補強金具62は、例えば、その外形形状と同一形状の刃先を有するパンチとダイとを用いて、金属平板に対して、プレス成形による公知の打抜き加工行った後、かかる打抜き加工品の板状連結部68に対して、プレス成形による公知の曲げ加工を1回だけ行うこと等により、容易に得られることとなる。
【0051】
また、第一及び第二の2種類の補強金具52,62を準備した後、或いはそれと同時に、若しくはそれに先立って、つまり、2種類の補強金具52,62を準備する一方で、所定の1枚又は複数枚の金属平板に対して、公知のプレス成形による打抜き加工や曲げ加工等が施されることにより、2個の包囲金具34と2個の底壁金具32とが、成形されて、準備される。
【0052】
その後、かくして準備された2個の包囲金具34のうちの1個と4個の第一補強金具52とが用いられて、図10及び図11に示されるように、各第一補強金具52が、厚さ方向一方の面の端縁部と一つの側面とにおいて、包囲金具34のコ字状部44における各側壁部40の幅方向両側の各側面と各取付フランジ部48の上面とに重ね合わされると共に、板状係合部56がコ字状部44の内側に突出するように位置せしめられる。そして、そのような配置状態下において、各第一補強金具52と包囲金具34とが、互いの重合せ部位同士において溶接される。そうして、包囲金具34に対して4個の第一補強金具52が一体的に接合されてなり、且つ、それら4個の第一補強金具52にて補強された包囲金具34からなる第一の一体接合品70が、製造される。
【0053】
また、それとは別に、2個の包囲金具34のうちの残りの1個と4個の第二補強金具62とが用いられて、図12及び図13に示されるように、各第二補強金具62が、二つの側面において、包囲金具34のコ字状部44における各側壁部40の外面の幅方向両側端部と各取付フランジ部48の上面とに重ね合わされると共に、板状係合部66がコ字状部44の内側に突出するように位置せしめられる。そして、そのような配置状態下において、各第二補強金具62と包囲金具34とが、互いの重合せ部位同士において溶接される。そうして、包囲金具34に対して4個の第二補強金具62が一体的に接合されてなり、且つ、それら4個の第二補強金具62にて補強された包囲金具34からなる第二の一体接合品72が、製造される。この第二の一体接合品72の製造は、第一の一体接合品70の製造の前でも、後でも、同時でも良い。
【0054】
また、それら第一の一体接合品70と第二の一体接合品72を製造する一方で、2個の第一の取付金具12が、公知のプレス成形等によって成形される。その後、かかる第一の取付金具12をインサート品として用いた、公知のインサート射出成形等の金型成形が行われて、第一の取付金具12の軸部17が埋設された状態で加硫接着されてなるゴム弾性体15、つまり、第一の取付金具12とゴム弾性体15からなる一体加硫成形品30が、2個形成される。
【0055】
そして、図14に示される如く、2個の底壁金具32のうちの1個のものにおけるコ字状位置決め部36上に、2個の一体加硫成形品30のうちの1個のものが、載置される。このとき、ゴム弾性体15の基部底面24の突設された2個の位置決め突起26,26が、コ字状位置決め部36を、底壁金具32の長さ方向両側から挟むように位置せしめられることで、底壁金具32に載置されたゴム弾性体15の位置が、予め設定された位置に位置決めされる。この第一の取付金具12の成形と一体加硫成形品30の形成、更には一体加硫成形品30の底壁金具32への載置は、第一及び第二の一体接合品70,72の製造の前でも、後でも、同時でも良い。
【0056】
その後、包囲金具34に4個の第一補強金具52が溶接固定されてなる第一の一体接合品70が、底壁金具32に載置された一体加硫成形品30に対して、上側から組み付けられる。具体的には、ゴム弾性体15が、包囲金具34のコ字状部44の内側に、下側から嵌め込まれると共に、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bが、底壁金具32の左右両側の端部側部位に上側から重ね合わされるようにして、第一の一体接合品70が、一体加硫成形品30と底壁金具32とに組み付けられる。
【0057】
これによって、図1に示されるように、ゴム弾性体15が、包囲金具34のコ字状部44と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、全周に亘って、非接着で取り囲まれる。また、このとき、ゴム弾性体15の左右両側に位置する二つの肩部22a,22bが、包囲金具34の左側及び右側段部50a,50bに接触位置せしめられると共に、各第一補強金具52の板状係合部54が、ゴム弾性体15の厚さ方向両側の端面に係合可能に位置せしめられる。
【0058】
そして、そのような状態下で、底壁金具32と包囲金具34の各取付フランジ部48に設けられたボルト孔38,46に取付ボルト(図示せず)が挿通されて、パワーユニット又はボデーに固定されることによって、ゴム弾性体15が、包囲金具34の天井壁部42及び二つの段部50a,50bと底壁金具32との間で挟圧保持される。かくして、第一の一体接合品70を含む第二の取付金具14と第一の取付金具12とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて相互に連結されて、エンジンマウント10が、形成されることとなる。
【0059】
一方、図15に示される如く、2個の底壁金具32のうちの残りの1個のものにおけるコ字状位置決め部36上に、2個の一体加硫成形品30のうちの残りの1個のものが、上記と同様に位置決め状態で、載置される。
【0060】
その後、エンジンマウント10を形成する際と同様な操作が行われて、包囲金具34に4個の第二補強金具62が溶接固定されてなる第二の一体接合品72が、底壁金具32に載置された一体加硫成形品30に対して、上側から組み付けられ、また、かかる組付状態下で、底壁金具32と包囲金具34の各取付フランジ部48のボルト孔38,46に挿通された取付ボルト(図示せず)がパワーユニット又はボデーに固定される。これによって、第二の一体接合品72を含む第二の取付金具14と第一の取付金具12とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて相互に連結されて、エンジンマウント10よりも大なる強度を有する、図6に示される如きエンジンマウント60が、形成されることとなる。
【0061】
このように、本実施形態においては、互いに異なる強度を有する2種類のエンジンマウント10,60を製造するのに、互いに形状が異なる2種類の補強金具52,62が準備されるものの、かかる補強金具52,62以外は、共通の部品が使用される。これによって、目的とする2種類のエンジンマウント10,60の製造過程で、各エンジンマウント10,60に専用の多数種類の部品を製造する手間とコストとが、有利に省かれ得る。
【0062】
しかも、2種類のエンジンマウント10,60のそれぞれにおいて専用に用いられる2種類の補強金具52,62は、単に、金属平板に対して、公知のプレス成形による打抜き加工を行うことによって、或いはかかる打抜き加工によって得られた加工品に対して、公知のプレス成形による1回の曲げ加工を行うだけの単純な作業にて、容易に得られる。
【0063】
従って、かくの如き本実施形態によれば、互いに強度が異なる2種類のエンジンマウント10,60が、極めて容易に且つ低コストに製造され得ることとなるのである。
【0064】
また、かかる本実施形態では、第一及び第二の2種類の補強金具52,62が、何れも、第二の取付金具14の包囲金具34に対して、左側側壁部40aと左側取付フランジ部48a同士、或いは右側側壁部40bと右側取付フランジ部48b同士を、相互に連結する状態で溶接固定される。これによって、第二の取付金具14、ひいては各エンジンマウント10,60の強度が、比較的に簡略な構造において、有利に高められ得る。
【0065】
さらに、本実施形態においては、第一及び第二の2種類の補強金具52,62の何れにも、板状係合部56,66が一体形成されて、各補強金具52,62が第二の取付金具14の包囲金具34に溶接固定された状態下において、かかる板状係合部56,66が、包囲金具34のコ字状部44の内側に嵌め込まれたゴム弾性体15の厚さ方向の端面に係合せしめられ、以て、ゴム弾性体15のコ字状部44内からの抜出しが有効に阻止され得るようになっている。これによって、2種類のエンジンマウント10,60の何れにおいても、所望の防振性能が、安定的に発揮され得ることとなる。
【0066】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0067】
例えば、前記実施形態では、第一及び第二の2種類の補強金具52,62として、互いに異なる形状のものが準備されて、それら各補強金具52,62が、包囲金具34に対して、互いに異なる位置に溶接されることで、包囲金具34、ひいてはエンジンマウント10,60の全体の強度が、互いに異なるように構成されていたが、かかる2種類の補強金具52,62として、例えば、大きさや厚さ、形状、材質の違い等によって、互いに強度が異なるものを準備し、それらを、包囲金具34に対して、互いに同一の位置か、若しくは互いに異なる位置に溶接固定することで、包囲金具34(第二の取付金具14)、ひいてはエンジンマウント10,60の全体の強度を、互いに異ならしめることも、可能である。
【0068】
なお、各補強金具52,62の具体的形状についても、例示された三角形状や台形状等に、何等限定されるものでないことは、言うまでもないところである。また、互いに強度が異なるので有れば、互いに同一の形状とされていても良い。
【0069】
さらに、前記実施形態では、各補強金具52,62が、それぞれ4個用いられて、包囲金具34に対して、左側及び右側側壁部40a,40bのそれぞれの幅方向の両側に1個ずつ位置せしめられた状態で、溶接固定されていたが、例えば、各補強金具52,62を、各側壁部40の幅方向の一方側のみに、或いは幅方向の中間部に位置せしめた状態で、包囲金具34に溶接固定しても良い。そして、各補強金具52,62の個数は、第二の取付金具14やエンジンマウント10,60に要求される強度等に応じて、適宜に変更され得るところである。
【0070】
更にまた、補強金具52,62に設けられる板状係合部56,66の形状や形成位置も、例示のものに、決して限定されるものではない。また、そのような板状係合部56,66は、本発明において必須のものではなく、包囲金具34に溶接固定される複数の補強金具52,62の一部、或いは全部のものにおいて、省略され得るものである。
【0071】
さらに、一つの防振装置の第二の取付金具に複数の補強金具が溶接固定される場合には、必ずしも、それら複数の補強金具が全て同一形状とされている必要なない。
【0072】
また、前記実施形態では、第二の取付金具14の包囲金具34が、第一の取付金具12とゴム弾性体15の一体加硫成形品30に組み付けられる前に、包囲金具34に対して、第一補強金具52や第二補強金具62が溶接固定されるようになっていたが、包囲金具34の一体加硫成形品30への組付後に、かかる包囲金具34に対して、第一補強金具52や第二補強金具62を溶接固定することも出来る。
【0073】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用のエンジンマウントの製造方法に適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、エンジンマウント以外の自動車用防振装置の製造方法、或いは自動車用以外の防振装置の製造方法の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0074】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明手法に従って製造されたエンジンマウントの一例を示す正面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの平面説明図である。
【図3】図2におけるIII−III断面説明図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントの第二の取付金具に溶接固定される補強金具を示す正面説明図である。
【図5】図4に示された補強金具の平面説明図である。
【図6】本発明手法に従って製造されたエンジンマウントの別の例を示す正面説明図である。
【図7】図6に示されたエンジンマウントの平面説明図である。
【図8】図6に示されたエンジンマウントの第二の取付金具に溶接固定される補強金具を示す正面説明図である。
【図9】図8に示された補強金具の平面説明図である。
【図10】図1に示されたエンジンマウントが有する第二の取付金具に補強金具が溶接固定されてなる一体接合品を示す正面説明図である。
【図11】図10に示された一体接合品の平面説明図である。
【図12】図6に示されたエンジンマウントが有する第二の取付金具に補強金具が溶接固定されてなる一体接合品を示す正面説明図である。
【図13】図12に示された一体接合品の平面説明図である。
【図14】本発明手法に従って、図1に示されたエンジンマウントを製造する際の一工程例を示す説明図であって、底壁金具上に載置された一体加硫成形品のゴム弾性体に対して、補強金具が溶接固定されてなる一体接合品を組み付ける状態を示している。
【図15】本発明手法に従って、図6に示されたエンジンマウントを製造する際の一工程例を示す説明図であって、図14に対応する図である。
【符号の説明】
【0076】
10,60 エンジンマウント 12 第一の取付金具
14 第二の取付金具 15 ゴム弾性体
30 一体加硫成形品 32 底壁金具
34 包囲金具 44 コ字状部
52 第一補強金具 54,64 板状補強部
56,66 板状係合部 62 第二補強金具
70 第一の一体接合品 72 第二の一体接合品
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置の製造方法に係り、互いに離隔配置された第一及び第二の取付金具と、かかる第一及び第二の取付金具の間に介装されて、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有する防振装置の有利な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の防振装置の一種として、防振されるべき二つ部材にそれぞれ取り付けられた状態下で、径方向に離隔配置された、第一及び第二の取付金具としての内筒金具と外筒金具とをゴム弾性体にて連結してなる、所謂筒型マウントが知られており、これは、自動車のエンジンマウント等として、多く使用されてきている。
【0003】
ところで、このような筒型マウントにおいては、一般に、ゴム弾性体が、内筒金具と外筒金具とに対して、それぞれ加硫接着せしめられるようになっているところから、内筒金具と外筒金具とを連結したゴム弾性体に、加硫後の収縮による引っ張り歪みが生じ、それが、ゴム弾性体の耐久性に悪影響を及ぼすことが避けられなかった。それ故、かかる従来の筒型マウントでは、ゴム弾性体の引っ張り歪みを解消して、耐久性の向上を図るために、自動車のエンジンとボデーとの間等に介装せしめる際に、先ず、外筒金具を絞り加工し、その後、ボデー等に固定されるリング状ブラケットに外筒金具を圧入するといった、面倒で、手間の掛かる作業を行なう必要があった。
【0004】
かかる状況下、下記特許文献1には、上記の如き筒型マウントよりも製造が容易な防振装置が、明らかにされている。即ち、そこに開示される防振装置にあっては、ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈しており、エンジン等に取り付けられる、第一の取付金具(内側金具)が、その一部において、ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着されている。また、自動車のボデー等に取り付けられる第二の取付金具(外側金具)が、ゴム弾性体の基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように、金属平板をコ字状乃至はU字状に屈曲形成してなる包囲金具と、ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有する底壁金具とを含んで、構成されている。そして、第一の取付金具が加硫接着されたゴム弾性体が、その全周に亘って、第二の取付金具の包囲金具と底壁金具とにて、非接着で取り囲まれており、以て、第一の取付金具と第二の取付金具とが、それらの間に介装されたゴム弾性体にて弾性的に連結せしめられて、防振装置が構成されている。
【0005】
このような構造を有する防振装置にあっては、第一の取付金具がゴム弾性体に加硫接着されているものの、ゴム弾性体を取り囲む第二の取付金具が、ゴム弾性体に対して非接着とされているため、ゴム弾性体の加硫後の自由な収縮が可能となって、ゴム弾性体に引っ張り歪みが生ずるようなことが有利に回避され得る。そして、それにより、かかる引っ張り歪みを除去するために、従来の筒型マウント等において行なわれていた外筒金具に対する絞り加工や、外筒金具のリング状ブラケットへの圧入作業を行なう必要が皆無ならしめられ得て、製造工程の簡略化が効果的に図られ得るのである。
【0006】
ところが、かくの如き従来の非接着タイプの防振装置においては、上記せるように、第二の取付金具の包囲金具が、金属平板を下方に向かって開口するコ字状乃至はU字状に屈曲形成してなる形態、つまり、ゴム弾性体を取り囲んだ状態下において、ゴム弾性体を間に挟んで左右両側にそれぞれ位置するように、互いに対向配置された二つの平板状の側壁部と、それら二つの側壁部の上端部同士を互いに連結する天井壁部とを、一体的に有してなる形態とされているため、特に、上下方向や二つの側壁部の互いの対向方向への入力荷重に対する強度、つまり、二つの側壁部の互いの対向方向の内方や外方への屈曲乃至は曲げ変形(各側壁部の板厚方向への屈曲乃至は曲げ変形)に対する強度が十分に確保され難いといった問題が、内在していた。
【0007】
一方、下記特許文献2には、二つの側壁部のそれぞれにおける幅方向両側の端部が、二つの側壁部の対向方向外方に向かって、略直角に屈曲せしめられることにより、各側壁部に、平板状の補強リブが一体形成され、更に、そのような補強リブが、各側壁部の下端部から、二つの側壁部の互いの対向方向の外方に一体的に延び出すように一体形成された外フランジ部に接続されてなる包囲金具を用い、この包囲金具を、第一の取付金具と底壁金具とが予め加硫接着されたゴム弾性体に対して、その基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように組み付けて、目的とする防振装置を製造する手法が、明らかにされている。このような防振装置の製造手法によれば、包囲金具の各側壁部が補強リブにて補強されて、包囲金具、ひいては防振装置全体の強度の向上が図られ得ることとなる。
【0008】
しかしながら、そのような包囲金具を得るには、平板金具を長さ方向においてコ字状に屈曲せしめ、そして、その後、或いはそれに先立って、平板金具の幅方向両側の端部を直角に立ち上げるように屈曲させるといった、平板金具の同一の被加工部位に対する複数回の曲げ加工を含む、複雑で且つ困難なプレス加工を行う必要があった。そのため、そのようなプレス加工を必要とする従来手法には、包囲金具、ひいては防振装置全体の製造工程が不可避的に煩雑なものとなるといった欠点が、存していた。
【0009】
また、かかる従来手法にて、強度が互いに異なる複数種類の防振装置を製造する場合には、包囲金具として、その成形が容易でないにも拘わらず、補強リブの形状の違い等によって互いに異なる強度とされてなるものの複数種類を準備する必要があり、そのために、装置全体の製造工程が、更に一層煩雑なものとなり、しかも、補強リブの形状によっては、包囲金具をプレス成形するためのプレス装置の変更も余儀なくされて、大きな経済的負担を強いられる恐れさえもあったのである。
【0010】
【特許文献1】特開2003−202053号公報
【特許文献2】特開2006−177544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、互いに強度が異なる防振装置の複数種類を、容易に且つ低コストに製造し得る防振装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その要旨とするところは、互いに離隔配置された第一の取付金具及び第二の取付金具と、該第一の取付金具と該第二の取付金具との間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有してなると共に、該ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、更に、前記第一の取付金具が、その一部において、該ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着される一方、前記第二の取付金具が、該ゴム弾性体の基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる包囲金具と、該ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有する底壁金具とを含んでなると共に、それら包囲金具と底壁金具とが、該ゴム弾性体に対して非接着の状態で、互いに協働して、該ゴム弾性体を全周に亘って取り囲むように構成された防振装置を製造する方法であって、(a)前記第一の取付金具が、その一部において、前記ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で加硫接着されてなる、該第一の取付金具と該ゴム弾性体の一体加硫成形品を準備する工程と、(b)該準備された一体加硫成形品の前記ゴム弾性体を、その全周に亘って、前記第二の取付金具の前記包囲金具と前記底壁金具とにて非接着で取り囲む工程と、(c)前記第二の取付金具を補強する補強金具の互いに形状又は強度が異なる複数種類のものを準備する工程と、(d)該準備された複数種類の補強金具のうちから任意のものを選択して、該選択された補強金具を前記第二の取付金具に溶接固定する工程とを含むことを特徴とする防振装置の製造方法にある。
【0013】
要するに、この本発明に従う防振装置の製造方法にあっては、第二の取付金具の包囲金具や底壁金具とは別個の部材からなる補強金具を、第二の取付金具に溶接固定することによって、第二の取付金具、ひいては装置全体の補強が図られている。しかも、かかる補強金具として、例えば、形状の違いや厚さ、材質等の違いにより互いに異なる強度とされた複数種類のもののうちから任意に選択されたものを用いることによって、第二の取付金具や装置全体の強度を任意に変更し得るようになっており、また、互いに形状が異なるものの、強度が同程度とされた複数種類のもののうちから任意に選択されたものを用いる場合には、例えば、選択された補強金具の第二の取付金具への溶接位置を種々変更すること等によって、第二の取付金具や装置全体の強度を任意に変更し得るようになっている。換言すれば、本発明手法では、互いに強度が異なる複数種類の防振装置を得るに際して、防振装置を構成する部品のうち、補強金具を除く部品、つまり、第一の取付金具がゴム弾性体に加硫接着されてなる一体加硫成形品と、包囲金具及び底壁金具を含む第二の取付金具とを、共通の部品として用いることが可能となっている。
【0014】
このため、本発明に係る防振装置の製造方法においては、従来手法とは異なって、各側壁部の幅方向両側の端部が屈曲せしめられて、補強リブが一体形成された、成形が容易でない包囲金具が、何等用いられておらず、それ故、目的とする防振装置の強度の変更のために、補強リブの形状の違い等によって互いに異なる強度とされた複数種類の包囲金具を準備する必要が、皆無ならしめられ得る。そして、それによって、そのような互いに強度が異なる複数種類の包囲金具を形成するために、複数種類のプレス装置を準備するようなことも、有利に回避され得る。
【0015】
なお、本発明に従う防振装置の製造方法の好ましい態様の一つによれば、前記第二の取付金具の前記包囲金具が、前記ゴム弾性体を取り囲んだ状態下において、該ゴム弾性体を間に挟んで左右両側に位置するように、互いに対向配置された二つの側壁部と、それら二つの側壁部のそれぞれにおける該ゴム弾性体の基部に対応位置する部分から、対向方向の外方に向かって一体的に延び出す外フランジ部とを有して構成される一方、前記補強金具が、板金具にて構成されて、該包囲金具の該側壁部と該外フランジ部とに対して、それらを相互に連結する状態で、溶接固定される。
【0016】
このような本態様によれば、比較的に簡略な構造において、第二の取付金具、ひいては装置全体を補強金具にて確実に補強して、かかる装置全体の強度の向上が効果的に図られ得る。
【0017】
さらに、本発明に従う防振装置の製造方法の望ましい別の態様の一つによれば、前記補強金具に係合部が設けられ、該係合部が、前記第一の取付金具の該ゴム弾性体への埋設部分の延出方向両側に位置する該ゴム弾性体の端面の何れか一方に係合せしめられ得るように、該補強金具が、該係合部を、前記第二の取付金具における前記包囲金具の内側方向に向かって延出させた状態で、該第二の取付金具に溶接固定される。
【0018】
この本態様によれば、目的とする防振装置において、補強金具の係合部を、ゴム弾性体の第二の取付金具内からの抜出し方向において、ゴム弾性体に係合させることが出来、それによって、ゴム弾性体の第二の取付金具内からの抜出しを有効に阻止させることが出来る。そして、その結果として、所望の防振性能が安定的に発揮され得る防振装置を、有利に製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う防振装置の製造方法によれば、互いに強度が異なる複数種類の防振装置を、極めて容易に且つ低コストに製造することが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0021】
先ず、図1乃至図3には、本発明手法に従って製造された防振装置の一例として、主たる振動が上下方向に入力せしめられる自動車用のエンジンマウントが、その正面形態と上面形態と縦断面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、エンジンマウント10は、所定距離を隔てて配設された第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それら両金具12,14間に介装されたゴム弾性体15によって弾性的に連結されて、構成されている。
【0022】
より詳細には、第一の取付金具12は、ボルト孔13が複数設けられた取付部16と、この取付部16から一体的に延び出す略五角柱状の軸部17とを有して、成っている。
【0023】
また、そのような第一の取付金具12と前記第二の取付金具14との間に介装されるゴム弾性体15は、エンジンマウント10の自動車への装着状態下で、主たる振動入力方向となる図1の上下方向の高さ寸法と、主たる振動入力方向に対して直角な方向となる図1の左右方向の幅寸法とが、略同一寸法とされ、且つかかる高さ方向(図1の上下方向)と幅方向(図1の左右方向)の両方に対して直角な方向となる図1の紙面に垂直な方向の厚さ寸法が、高さ及び幅よりも小さくされた、全体として、略矩形のブロック形状を有している。なお、以下からは、便宜上、ゴム弾性体15の高さ方向を上下方向、幅方向を左右方向、厚さ方向を前後方向と言うこととする。
【0024】
そして、かかるゴム弾性体15においては、その下側端部を与える基部18に対して、左右方向の両側においてそれぞれ膨出して、該基部18の幅を、基部18から上方に延び出す延出部位20の幅よりも大きく為す二つの肩部22a,22bが、それぞれ形成されている。また、基部18の幅方向中央部には、略台形状の肉抜空所28が、厚さ方向に貫通して延びるように形成されている。これによって、ゴム弾性体15の硬さが適度に柔らかくなるように、チューニングされている。
【0025】
さらに、ゴム弾性体15にあっては、基部18の下側底面となる基部底面24が、水平方向に広がる平坦面にて構成されている。また、かかる基部底面24の左右方向両側端部には、位置決め突起26が、前後方向に連続して延びる突条形態をもって、一体形成されている。
【0026】
そして、このようなゴム弾性体15の延出部位20に対して、前記せる第一の取付金具12の軸部17が、ゴム弾性体15の厚さ方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着されて、一体的に連結されている。つまり、ここでは、ゴム弾性体15と、その上部部位からなる延出部位20に一部が埋設された状態で加硫接着された第一の取付金具12とにて、一体加硫成形品30が、形成されているのである。
【0027】
一方、第二の取付金具14は、底壁金具32と包囲金具34とにて、構成されている。底壁金具32は、全体として、ゴム弾性体15の厚さと略同一の幅を有する長手矩形の平板形状を有している。また、この底壁金具32においては、その長さ方向の中間部に、十分に低い高さをもって下方に開口するコ字状位置決め部36が屈曲形成されており、このコ字状位置決め部36の上面が、位置決め突起26が幅方向両側に設けられたゴム弾性体15の基部底面24の形状に対応した形状とされている。更に、かかる底壁金具32の長さ方向の両側端部には、ボルト孔38が、それぞれ一つずつ穿設されている。
【0028】
包囲金具34は、底壁金具32と略同一の幅を有する長手矩形の金属板材を、長手方向の中間部分において、十分に高い高さをもって下方に向かって開口するコ字形状を呈するように、厚さ方向に屈曲せしめてなる如き形態を有している。つまり、包囲金具34にあっては、その長手方向の中間部分が、左右方向(長手方向)に所定距離を隔てて対向位置せしめられて、上下方向に延びる左側及び右側側壁部40a,40bと、それら二つの側壁部40a,40bの上端部同士を相互に連結する天井壁部42とを有するコ字状部44とされている一方、その長手方向の両側端部のそれぞれが、ボルト孔46を各々一つずつ有する平板状の左側及び右側取付フランジ部48a,48bとされている。
【0029】
また、かかる包囲金具34のコ字状部44は、ゴム弾性体15と略同じか又はそれよりも小さな高さを有すると共に、ゴム弾性体15の基部底面24を除く幅方向の左右両側の側面と先端面(基部底面24とは反対側の上端面)とを取り囲み得る大きさとされており、更に、左側及び右側の各側壁部40a,40bの下側部位には、ゴム弾性体15の基部18の幅方向の両側に膨出して設けられた左右二つの肩部22a,22bに対応した屈曲形状を呈する左側及び右側段部50a,50bが、それぞれ設けられている。なお、各段部50a,50bは、その内面部分の高さが、それぞれ、ゴム弾性体15の各肩部22a,22bの基部底面24からの高さよりも所定寸法小さくされている。
【0030】
そして、ここでは、そのような包囲金具34のコ字状部44と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、それら両金具34,32の幅方向に延びる筒状の収容部51が形成されるように、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bと底壁金具32の長さ方向の両端部側部分とが、前者を上側にして、互いに重ね合わされて、それら包囲金具34と底壁金具32とが組み付けられている。
【0031】
かくして、第二の取付金具14が、それら包囲金具34と底壁金具32の組付品として、構成されているのである。なお、この第二の取付金具14を構成する包囲金具34と底壁金具32の組付品は、図示されてはいないものの、後述するように、それら包囲金具34と底壁金具32にそれぞれ設けられたボルト孔46,38に、所定の取付ボルトが挿通されて、それが、パワーユニット又はボデーに取り付けられることによって、一体化されるようになっている。
【0032】
そして、ここでは、かかる第二の取付金具14の筒状収容部51内に、前記一体加硫成形品30を構成するゴム弾性体15の全体が、包囲金具34のコ字状部44と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、全周を包囲されて、圧入状態で、収容されている。換言すれば、包囲金具34と底壁金具32とが、ゴム弾性体15に対して非接着の状態で、互いに協働して、ゴム弾性体15を、圧縮させるように、全周に亘って取り囲んで位置せしめられている。
【0033】
すなわち、ゴム弾性体15の筒状収容部51内への収容状態下において、ゴム弾性体15の全体が、包囲金具34のコ字状部44の天井壁部42と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、上下方向に予圧縮せしめられていると共に、基部18の左右両側に膨出形成された二つの肩部22a,22bが、包囲金具34の左側及び右側段部50a,50bと底壁金具32との間で、上下方向に更に圧縮せしめられて、ゴム弾性体15の筒状収容部51内からの容易な抜出しが阻止されるようになっている。また、ゴム弾性体15の内部に埋設された第一の取付金具12の軸部17が、筒状収容部51の軸方向(包囲金具34や底壁金具32の幅方向)に延びるように位置せしめられ、更に、取付部16が、筒状収容部51内から軸方向一方側に突出させて、配置されている。
【0034】
かくして、かかるエンジンマウント10にあっては、第二の取付金具14が、第一の取付金具12が加硫接着されたゴム弾性体15に対して一体的に組み付けられ、以て、第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて、弾性的に連結されるようになっている。そして、図示されてはいないものの、第一の取付金具12が、取付部16の各ボルト孔13に挿通された取付ボルトによって、パワーユニットとボデーのうちの何れか一方に取り付けられる一方、第二の取付金具14が、包囲金具34と底壁金具32の各ボルト孔46,38に挿通された取付ボルトによって、パワーユニットとボデーのうちの何れか他方に取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ得るようになっているのである。
【0035】
而して、かくの如き構造とされたエンジンマウント10においては、特に、第二の取付金具14の包囲金具34に対して、4個の第一補強金具52が、溶接固定されている。それら各第一補強金具52は、図4及び図5に示されるように、板状補強部54と板状係合部56とを一体的に有する金属平板から成っている。
【0036】
そして、この第一補強金具52の板状補強部54は、全体として、略直角三角形形状を呈し、第一及び第二の取付金具12,14と略同一の厚さと、第二の取付金具14における包囲金具34の側壁部40の長さよりも少しだけ短い垂辺(直角三角形の直角の角部を底辺との間で形成する辺)の長さと、かかる包囲金具34の取付フランジ部48の延出長さよりも所定寸法短い底辺の長さとを有している(図1参照)。
【0037】
一方、板状係合部56は、板状補強部54と同一の肉厚と、包囲金具34の二つの側壁部40a,40b同士の間の距離の半分よりも所定寸法短い長さとを有する狭幅の長手平板形状を呈している。そして、板状補強部54の垂辺を与える側面の底辺側の部分に、底辺と平行に延びるようにして、一体的に突出形成されている。
【0038】
そして、図1及び図2に示される如く、そのような第一補強金具52の4個のもののそれぞれが、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bのそれぞれの先端側の幅広部位の上面における幅方向両端縁部に、板状補強部54の底辺を与える側面を重ね合わせると共に、左側及び右側の各側壁部40a,40bの幅方向両側の端面に対して、板状補強部54の厚さ方向一方の面における垂辺に沿って延びる端縁部を重ね合わせた状態で配置されて、かかる包囲金具34の各取付フランジ部48や各側壁部40に対して、それらへの重合せ部位において溶接固定されている。つまり、4個の第一補強金具52のうちの2個が、包囲金具34の左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aの幅方向両端部同士を互いに連結するように、また、残りの2個の第一補強金具52が、包囲金具34の右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bの幅方向両端部同士を互いに連結するように、包囲金具34に対して、板状補強部54においてそれぞれ溶接されているのである。
【0039】
かくして、ここでは、例えば、外力によって、包囲金具34の左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aとの間に形成される角部の角度が小さくなったり、大きくなったりするように、つまり、それら左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aとが互いに接近乃至は離隔するように、包囲金具34が曲げ変形することや、左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aのそれぞれが長さ方向の中間部で曲げ変形することが防止されている。また、それと同様に、右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bとが互いに接近乃至は離隔するように、包囲金具34が曲げ変形することや、右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bのそれぞれが長さ方向の中間部で曲げ変形することが防止されている。更に、底壁金具32の左側及び右側取付フランジ部48a,48bとの重合せ部分が曲げ変形することも、防止されている。そして、これによって、包囲金具34のみならず、第二の取付金具14の全体の強度が、効果的に高められている。
【0040】
また、かかる第一補強金具52にあっては、上記の如き包囲金具34への溶接固定状態下で、板状係合部56が、左側及び右側側壁部40a,40bの対向方向の内側に突出せしめられて、それら両側壁部40a,40bの間に配置されたゴム弾性体15の厚さ方向の端面に対して、接触乃至は対向位置せしめられている。換言すれば、左側側壁部40aの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第一補強金具52の板状係合部56同士と、右側側壁部40bの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第一補強金具52の板状係合部56同士とが、それぞれ、ゴム弾性体15の厚さ方向の両側に、ゴム弾性体15を間に挟んで、固定的に配置されている。これによって、各第一補強金具52の板状係合部56が、ゴム弾性体15に対して、第二の取付金具14のコ字状部44内からの抜出し方向において係合されるか若しくは係合可能とされ、以て、ゴム弾性体15のコ字状部44内からの抜出しが、各第一補強金具52の板状係合部56にて、有効に阻止され得るようになっている。
【0041】
次に、図6及び図7には、本発明手法に従って製造された防振装置の別の例としての自動車用のエンジンマウント60が、正面形態と上面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本例に係るエンジンマウント60にあっては、第一の取付金具12と第二の取付金具14とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて弾性的に連結されてなる基本構造を有し、第二の取付金具14の包囲金具34に溶接固定される第二補強金具62の形状と包囲金具34への溶接位置以外は、図1乃至図3に示される前例のエンジンマウント10と略同一の構造とされている。なお、本例に関しては、前例のエンジンマウント10と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図3と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
【0042】
すなわち、エンジンマウント60にあっては、第一の取付金具12が、取付部16と軸部17とからなり、ゴム弾性体15に対して、軸部17が埋設されて、加硫接着されている。そして、それら第一の取付金具12とゴム弾性体15とにて、一体加硫成形品(30)が構成されている。また、第二の取付金具14が、底壁金具32と包囲金具34とを有し、それらが互いに重ね合わされて、組み付けられてなる組付品にて、構成されている。
【0043】
そして、ここでは、第二の取付金具14の包囲金具34に溶接固定される第二補強金具62が、図8及び図9に示されるように、上底と下底とそれらを繋ぐ二つの斜辺とを有する略台形状の金属平板からなる板状補強部64と、長手矩形状を呈する狭幅の金属平板からなる板状係合部66と、それら板状補強部64と板状係合部66とを相互に連結する板状連結部68とを一体的に有している。また、板状連結部68は、板厚方向において略S字状に屈曲せしめられており、それによって、かかる板状連結部68にて連結された板状補強部64と板状係合部66とが、第二補強金具62の平面視において、板厚方向に隣り合って互いに平行に延びるように位置せしめられている。なお、この第二補強金具62の厚さ及び全体の大きさは、前例における第一補強金具52の厚さ及び全体の大きさと、略同一とされている。
【0044】
そして、図6及び図7に示されるように、エンジンマウント60においては、上記の如き構造とされた第二補強金具62の4個のもののそれぞれが、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bのそれぞれの先端側の幅広部位の上面における幅方向両端縁部に、板状補強部64の二つの斜辺のうちの一方を与える側面を重ね合わせると共に、左側及び右側の各側壁部40a,40bの外面における幅方向両端縁部に対して、板状補強部64の他方の斜辺を与える側面を重ね合わせた状態で配置されて、かかる包囲金具34の各取付フランジ部48や各側壁部40に対して、それらへの重合せ部位において溶接固定されている。つまり、4個の第二補強金具62のうちの2個が、包囲金具34の左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aの幅方向両端部同士を互いに連結するように、また、残りの2個の第二補強金具62が、包囲金具34の右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bの幅方向両端部同士を互いに連結するように、包囲金具34に対して、板状補強部64においてそれぞれ溶接されているのである。
【0045】
かくして、本例のエンジンマウント60にあっても、前例と同様に、左側側壁部40aと左側取付フランジ部48aとが、或いは右側側壁部40bと右側取付フランジ部48bとが、互いに接近乃至は離隔するように曲げ変形することや、左側及び右側側壁部40a,40bと左側及び右側取付フランジ部48a,48bのそれぞれが、長さ方向の中間部で曲げ変形することが防止されている。また、底壁金具32の左側及び右側取付フランジ部48a,48bとの重合せ部分が曲げ変形することも、防止されている。そして、これによって、包囲金具34のみならず、第二の取付金具14の全体の強度が、効果的に高められている。
【0046】
しかも、ここでは、各第二補強金具62の板状補強部64が、長さ方向の両側にそれぞれ位置する側面において、包囲金具34の側壁部40の外面と取付フランジ部48の上面のそれぞれに対して重ね合わされて、溶接固定されている。そのため、例えば、前例のように、各第二補強金具62の板状補強部64が、包囲金具34の側壁部40の幅方向両側に位置する側面と取付フランジ部48の上面のそれぞれに対して重ね合わされて、溶接固定される場合とは異なって、板状補強部64の溶接固定により高められる包囲金具34の強度が、第二補強金具62の包囲金具34に対する接合強度に左右されることなく、板状補強部64が有する剛性に大きく依存せしめられていることで、十分に大きくされている。そして、それにより、本例のエンジンマウント60においては、前例のエンジンマウント10よりも大きな強度が、有利に確保され得るようになっている。
【0047】
また、かかる第二補強金具62にあっては、上記の如き包囲金具34への溶接固定状態下で、板状係合部66が、左側及び右側側壁部40a,40bの対向方向の内側に突出せしめられて、それら両側壁部40a,40bの間に配置されたゴム弾性体15の厚さ方向の端面に対して、接触乃至は対向位置せしめられている。換言すれば、左側側壁部40aの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第二補強金具62の板状係合部66同士と、右側側壁部40bの幅方向両側にそれぞれ溶接固定された第二補強金具62の板状係合部66同士とが、それぞれ、ゴム弾性体15の厚さ方向の両側に、ゴム弾性体15を間に挟んで、固定的に配置されている。これによって、各第二補強金具62の板状係合部66が、ゴム弾性体15に対して、第二の取付金具14のコ字状部44内からの抜出し方向において係合されるか若しくは係合可能とされ、以て、ゴム弾性体15のコ字状部44内からの抜出しが、各第二補強金具62の板状係合部66にて、有効に阻止され得るようになっている。
【0048】
そして、図示されてはいないものの、かくの如き構造とされたエンジンマウント60にあっても、パワーユニットとボデーのうちの何れか一方に、第一の取付金具12が取り付けられる一方、それらのうちの何れか他方に、第二の取付金具14が取り付けられることによって、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめ得るようになっているのである。
【0049】
ところで、上記の如く、第二の取付金具14に対して、第一補強金具52と第二補強金具62のうちの何れかが溶接固定されることにより、互いに異なる強度を有するように構成された2種類のエンジンマウント10,60を製造する際には、その作業が、例えば、以下の手順に従って進められることとなる。
【0050】
すなわち、先ず、図4及び図5に示される如く、略三角形状の板状補強部54を有する第一補強金具52の4個と、図8及び図9に示される如く、略台形状の板状補強部64を有する第二補強金具62の4個とが、それぞれ成形されて、準備される。なお、第一補強金具52は、例えば、その外形形状と同一形状の刃先を有するパンチとダイとを用いて、金属平板に対して、プレス成形による公知の打抜き加工を行うこと等により、容易に得られる。また、第二補強金具62は、例えば、その外形形状と同一形状の刃先を有するパンチとダイとを用いて、金属平板に対して、プレス成形による公知の打抜き加工行った後、かかる打抜き加工品の板状連結部68に対して、プレス成形による公知の曲げ加工を1回だけ行うこと等により、容易に得られることとなる。
【0051】
また、第一及び第二の2種類の補強金具52,62を準備した後、或いはそれと同時に、若しくはそれに先立って、つまり、2種類の補強金具52,62を準備する一方で、所定の1枚又は複数枚の金属平板に対して、公知のプレス成形による打抜き加工や曲げ加工等が施されることにより、2個の包囲金具34と2個の底壁金具32とが、成形されて、準備される。
【0052】
その後、かくして準備された2個の包囲金具34のうちの1個と4個の第一補強金具52とが用いられて、図10及び図11に示されるように、各第一補強金具52が、厚さ方向一方の面の端縁部と一つの側面とにおいて、包囲金具34のコ字状部44における各側壁部40の幅方向両側の各側面と各取付フランジ部48の上面とに重ね合わされると共に、板状係合部56がコ字状部44の内側に突出するように位置せしめられる。そして、そのような配置状態下において、各第一補強金具52と包囲金具34とが、互いの重合せ部位同士において溶接される。そうして、包囲金具34に対して4個の第一補強金具52が一体的に接合されてなり、且つ、それら4個の第一補強金具52にて補強された包囲金具34からなる第一の一体接合品70が、製造される。
【0053】
また、それとは別に、2個の包囲金具34のうちの残りの1個と4個の第二補強金具62とが用いられて、図12及び図13に示されるように、各第二補強金具62が、二つの側面において、包囲金具34のコ字状部44における各側壁部40の外面の幅方向両側端部と各取付フランジ部48の上面とに重ね合わされると共に、板状係合部66がコ字状部44の内側に突出するように位置せしめられる。そして、そのような配置状態下において、各第二補強金具62と包囲金具34とが、互いの重合せ部位同士において溶接される。そうして、包囲金具34に対して4個の第二補強金具62が一体的に接合されてなり、且つ、それら4個の第二補強金具62にて補強された包囲金具34からなる第二の一体接合品72が、製造される。この第二の一体接合品72の製造は、第一の一体接合品70の製造の前でも、後でも、同時でも良い。
【0054】
また、それら第一の一体接合品70と第二の一体接合品72を製造する一方で、2個の第一の取付金具12が、公知のプレス成形等によって成形される。その後、かかる第一の取付金具12をインサート品として用いた、公知のインサート射出成形等の金型成形が行われて、第一の取付金具12の軸部17が埋設された状態で加硫接着されてなるゴム弾性体15、つまり、第一の取付金具12とゴム弾性体15からなる一体加硫成形品30が、2個形成される。
【0055】
そして、図14に示される如く、2個の底壁金具32のうちの1個のものにおけるコ字状位置決め部36上に、2個の一体加硫成形品30のうちの1個のものが、載置される。このとき、ゴム弾性体15の基部底面24の突設された2個の位置決め突起26,26が、コ字状位置決め部36を、底壁金具32の長さ方向両側から挟むように位置せしめられることで、底壁金具32に載置されたゴム弾性体15の位置が、予め設定された位置に位置決めされる。この第一の取付金具12の成形と一体加硫成形品30の形成、更には一体加硫成形品30の底壁金具32への載置は、第一及び第二の一体接合品70,72の製造の前でも、後でも、同時でも良い。
【0056】
その後、包囲金具34に4個の第一補強金具52が溶接固定されてなる第一の一体接合品70が、底壁金具32に載置された一体加硫成形品30に対して、上側から組み付けられる。具体的には、ゴム弾性体15が、包囲金具34のコ字状部44の内側に、下側から嵌め込まれると共に、包囲金具34の左側及び右側取付フランジ部48a,48bが、底壁金具32の左右両側の端部側部位に上側から重ね合わされるようにして、第一の一体接合品70が、一体加硫成形品30と底壁金具32とに組み付けられる。
【0057】
これによって、図1に示されるように、ゴム弾性体15が、包囲金具34のコ字状部44と底壁金具32のコ字状位置決め部36とにて、全周に亘って、非接着で取り囲まれる。また、このとき、ゴム弾性体15の左右両側に位置する二つの肩部22a,22bが、包囲金具34の左側及び右側段部50a,50bに接触位置せしめられると共に、各第一補強金具52の板状係合部54が、ゴム弾性体15の厚さ方向両側の端面に係合可能に位置せしめられる。
【0058】
そして、そのような状態下で、底壁金具32と包囲金具34の各取付フランジ部48に設けられたボルト孔38,46に取付ボルト(図示せず)が挿通されて、パワーユニット又はボデーに固定されることによって、ゴム弾性体15が、包囲金具34の天井壁部42及び二つの段部50a,50bと底壁金具32との間で挟圧保持される。かくして、第一の一体接合品70を含む第二の取付金具14と第一の取付金具12とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて相互に連結されて、エンジンマウント10が、形成されることとなる。
【0059】
一方、図15に示される如く、2個の底壁金具32のうちの残りの1個のものにおけるコ字状位置決め部36上に、2個の一体加硫成形品30のうちの残りの1個のものが、上記と同様に位置決め状態で、載置される。
【0060】
その後、エンジンマウント10を形成する際と同様な操作が行われて、包囲金具34に4個の第二補強金具62が溶接固定されてなる第二の一体接合品72が、底壁金具32に載置された一体加硫成形品30に対して、上側から組み付けられ、また、かかる組付状態下で、底壁金具32と包囲金具34の各取付フランジ部48のボルト孔38,46に挿通された取付ボルト(図示せず)がパワーユニット又はボデーに固定される。これによって、第二の一体接合品72を含む第二の取付金具14と第一の取付金具12とが、それらの間に介装されたゴム弾性体15にて相互に連結されて、エンジンマウント10よりも大なる強度を有する、図6に示される如きエンジンマウント60が、形成されることとなる。
【0061】
このように、本実施形態においては、互いに異なる強度を有する2種類のエンジンマウント10,60を製造するのに、互いに形状が異なる2種類の補強金具52,62が準備されるものの、かかる補強金具52,62以外は、共通の部品が使用される。これによって、目的とする2種類のエンジンマウント10,60の製造過程で、各エンジンマウント10,60に専用の多数種類の部品を製造する手間とコストとが、有利に省かれ得る。
【0062】
しかも、2種類のエンジンマウント10,60のそれぞれにおいて専用に用いられる2種類の補強金具52,62は、単に、金属平板に対して、公知のプレス成形による打抜き加工を行うことによって、或いはかかる打抜き加工によって得られた加工品に対して、公知のプレス成形による1回の曲げ加工を行うだけの単純な作業にて、容易に得られる。
【0063】
従って、かくの如き本実施形態によれば、互いに強度が異なる2種類のエンジンマウント10,60が、極めて容易に且つ低コストに製造され得ることとなるのである。
【0064】
また、かかる本実施形態では、第一及び第二の2種類の補強金具52,62が、何れも、第二の取付金具14の包囲金具34に対して、左側側壁部40aと左側取付フランジ部48a同士、或いは右側側壁部40bと右側取付フランジ部48b同士を、相互に連結する状態で溶接固定される。これによって、第二の取付金具14、ひいては各エンジンマウント10,60の強度が、比較的に簡略な構造において、有利に高められ得る。
【0065】
さらに、本実施形態においては、第一及び第二の2種類の補強金具52,62の何れにも、板状係合部56,66が一体形成されて、各補強金具52,62が第二の取付金具14の包囲金具34に溶接固定された状態下において、かかる板状係合部56,66が、包囲金具34のコ字状部44の内側に嵌め込まれたゴム弾性体15の厚さ方向の端面に係合せしめられ、以て、ゴム弾性体15のコ字状部44内からの抜出しが有効に阻止され得るようになっている。これによって、2種類のエンジンマウント10,60の何れにおいても、所望の防振性能が、安定的に発揮され得ることとなる。
【0066】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0067】
例えば、前記実施形態では、第一及び第二の2種類の補強金具52,62として、互いに異なる形状のものが準備されて、それら各補強金具52,62が、包囲金具34に対して、互いに異なる位置に溶接されることで、包囲金具34、ひいてはエンジンマウント10,60の全体の強度が、互いに異なるように構成されていたが、かかる2種類の補強金具52,62として、例えば、大きさや厚さ、形状、材質の違い等によって、互いに強度が異なるものを準備し、それらを、包囲金具34に対して、互いに同一の位置か、若しくは互いに異なる位置に溶接固定することで、包囲金具34(第二の取付金具14)、ひいてはエンジンマウント10,60の全体の強度を、互いに異ならしめることも、可能である。
【0068】
なお、各補強金具52,62の具体的形状についても、例示された三角形状や台形状等に、何等限定されるものでないことは、言うまでもないところである。また、互いに強度が異なるので有れば、互いに同一の形状とされていても良い。
【0069】
さらに、前記実施形態では、各補強金具52,62が、それぞれ4個用いられて、包囲金具34に対して、左側及び右側側壁部40a,40bのそれぞれの幅方向の両側に1個ずつ位置せしめられた状態で、溶接固定されていたが、例えば、各補強金具52,62を、各側壁部40の幅方向の一方側のみに、或いは幅方向の中間部に位置せしめた状態で、包囲金具34に溶接固定しても良い。そして、各補強金具52,62の個数は、第二の取付金具14やエンジンマウント10,60に要求される強度等に応じて、適宜に変更され得るところである。
【0070】
更にまた、補強金具52,62に設けられる板状係合部56,66の形状や形成位置も、例示のものに、決して限定されるものではない。また、そのような板状係合部56,66は、本発明において必須のものではなく、包囲金具34に溶接固定される複数の補強金具52,62の一部、或いは全部のものにおいて、省略され得るものである。
【0071】
さらに、一つの防振装置の第二の取付金具に複数の補強金具が溶接固定される場合には、必ずしも、それら複数の補強金具が全て同一形状とされている必要なない。
【0072】
また、前記実施形態では、第二の取付金具14の包囲金具34が、第一の取付金具12とゴム弾性体15の一体加硫成形品30に組み付けられる前に、包囲金具34に対して、第一補強金具52や第二補強金具62が溶接固定されるようになっていたが、包囲金具34の一体加硫成形品30への組付後に、かかる包囲金具34に対して、第一補強金具52や第二補強金具62を溶接固定することも出来る。
【0073】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車用のエンジンマウントの製造方法に適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、エンジンマウント以外の自動車用防振装置の製造方法、或いは自動車用以外の防振装置の製造方法の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0074】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明手法に従って製造されたエンジンマウントの一例を示す正面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの平面説明図である。
【図3】図2におけるIII−III断面説明図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントの第二の取付金具に溶接固定される補強金具を示す正面説明図である。
【図5】図4に示された補強金具の平面説明図である。
【図6】本発明手法に従って製造されたエンジンマウントの別の例を示す正面説明図である。
【図7】図6に示されたエンジンマウントの平面説明図である。
【図8】図6に示されたエンジンマウントの第二の取付金具に溶接固定される補強金具を示す正面説明図である。
【図9】図8に示された補強金具の平面説明図である。
【図10】図1に示されたエンジンマウントが有する第二の取付金具に補強金具が溶接固定されてなる一体接合品を示す正面説明図である。
【図11】図10に示された一体接合品の平面説明図である。
【図12】図6に示されたエンジンマウントが有する第二の取付金具に補強金具が溶接固定されてなる一体接合品を示す正面説明図である。
【図13】図12に示された一体接合品の平面説明図である。
【図14】本発明手法に従って、図1に示されたエンジンマウントを製造する際の一工程例を示す説明図であって、底壁金具上に載置された一体加硫成形品のゴム弾性体に対して、補強金具が溶接固定されてなる一体接合品を組み付ける状態を示している。
【図15】本発明手法に従って、図6に示されたエンジンマウントを製造する際の一工程例を示す説明図であって、図14に対応する図である。
【符号の説明】
【0076】
10,60 エンジンマウント 12 第一の取付金具
14 第二の取付金具 15 ゴム弾性体
30 一体加硫成形品 32 底壁金具
34 包囲金具 44 コ字状部
52 第一補強金具 54,64 板状補強部
56,66 板状係合部 62 第二補強金具
70 第一の一体接合品 72 第二の一体接合品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離隔配置された第一の取付金具及び第二の取付金具と、該第一の取付金具と該第二の取付金具との間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有してなると共に、該ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、更に、前記第一の取付金具が、その一部において、該ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着される一方、前記第二の取付金具が、該ゴム弾性体の基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる包囲金具と、該ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有する底壁金具とを含んでなると共に、それら包囲金具と底壁金具とが、該ゴム弾性体に対して非接着の状態で、互いに協働して、該ゴム弾性体を全周に亘って取り囲むように構成された防振装置を製造する方法であって、
前記第一の取付金具が、その一部において、前記ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で加硫接着されてなる、該第一の取付金具と該ゴム弾性体の一体加硫成形品を準備する工程と、
該準備された一体加硫成形品の前記ゴム弾性体を、その全周に亘って、前記第二の取付金具の前記包囲金具と前記底壁金具とにて非接着で取り囲む工程と、
前記第二の取付金具を補強する補強金具の互いに形状又は強度が異なる複数種類のものを準備する工程と、
該準備された複数種類の補強金具のうちから任意のものを選択して、該選択された補強金具を前記第二の取付金具に溶接固定する工程と、
を含むことを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項2】
前記第二の取付金具の前記包囲金具が、前記ゴム弾性体を取り囲んだ状態下において、該ゴム弾性体を間に挟んで左右両側に位置するように、互いに対向配置された二つの側壁部と、それら二つの側壁部のそれぞれにおける該ゴム弾性体の基部に対応位置する部分から、対向方向の外方に向かって一体的に延び出す外フランジ部とを有して構成される一方、前記補強金具が、板金具にて構成されて、該包囲金具の該側壁部と該外フランジ部とに対して、それらを相互に連結する状態で、溶接固定されるようにした請求項1に記載の防振装置の製造方法。
【請求項3】
前記補強金具に係合部が設けられ、該係合部が、前記第一の取付金具の該ゴム弾性体への埋設部分の延出方向両側に位置する該ゴム弾性体の端面の何れか一方に係合せしめられ得るように、該補強金具が、該係合部を、前記第二の取付金具における前記包囲金具の内側方向に向かって延出させた状態で、該第二の取付金具に溶接固定されるようにした請求項1又は請求項2に記載の防振装置の製造方法。
【請求項1】
互いに離隔配置された第一の取付金具及び第二の取付金具と、該第一の取付金具と該第二の取付金具との間に介装され、それらを弾性的に連結するゴム弾性体とを有してなると共に、該ゴム弾性体が、主たる振動入力方向において所定の高さを有するブロック形状を呈し、更に、前記第一の取付金具が、その一部において、該ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で、加硫接着される一方、前記第二の取付金具が、該ゴム弾性体の基部底面を除く左右両側面と先端面を取り囲むように屈曲形成されてなる包囲金具と、該ゴム弾性体の基部底面に対応した形状部分を少なくとも有する底壁金具とを含んでなると共に、それら包囲金具と底壁金具とが、該ゴム弾性体に対して非接着の状態で、互いに協働して、該ゴム弾性体を全周に亘って取り囲むように構成された防振装置を製造する方法であって、
前記第一の取付金具が、その一部において、前記ゴム弾性体に対して、その高さ方向と左右方向の両方向に対して直角となる方向に延びるように埋設された状態で加硫接着されてなる、該第一の取付金具と該ゴム弾性体の一体加硫成形品を準備する工程と、
該準備された一体加硫成形品の前記ゴム弾性体を、その全周に亘って、前記第二の取付金具の前記包囲金具と前記底壁金具とにて非接着で取り囲む工程と、
前記第二の取付金具を補強する補強金具の互いに形状又は強度が異なる複数種類のものを準備する工程と、
該準備された複数種類の補強金具のうちから任意のものを選択して、該選択された補強金具を前記第二の取付金具に溶接固定する工程と、
を含むことを特徴とする防振装置の製造方法。
【請求項2】
前記第二の取付金具の前記包囲金具が、前記ゴム弾性体を取り囲んだ状態下において、該ゴム弾性体を間に挟んで左右両側に位置するように、互いに対向配置された二つの側壁部と、それら二つの側壁部のそれぞれにおける該ゴム弾性体の基部に対応位置する部分から、対向方向の外方に向かって一体的に延び出す外フランジ部とを有して構成される一方、前記補強金具が、板金具にて構成されて、該包囲金具の該側壁部と該外フランジ部とに対して、それらを相互に連結する状態で、溶接固定されるようにした請求項1に記載の防振装置の製造方法。
【請求項3】
前記補強金具に係合部が設けられ、該係合部が、前記第一の取付金具の該ゴム弾性体への埋設部分の延出方向両側に位置する該ゴム弾性体の端面の何れか一方に係合せしめられ得るように、該補強金具が、該係合部を、前記第二の取付金具における前記包囲金具の内側方向に向かって延出させた状態で、該第二の取付金具に溶接固定されるようにした請求項1又は請求項2に記載の防振装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−36295(P2009−36295A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200798(P2007−200798)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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