説明

防汚性オーバーラミシート

【課題】長期間にわたり汚染の防止効果を有し、鮮明な状態を維持することができ、視覚的に不体裁になったり、商品イメージを損なったりすることがなく、また、必要に応じて容易に張替えを行なうことが可能な便宜性に優れた防汚性オーバーラミシートの使用方法を提供する。
【解決手段】透明な可撓性のシート状基材2の表面に、水の接触角が45°以下の、平均粒子径が0.1μm以下のシリカ系微粒子と、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂もしくはウレタン系樹脂との混合分散液である親水性樹脂組成物からなり、且つ該親水性樹脂組成物100重量部に対して前記シリカ系微粒子を5〜50重量部の範囲で含む防汚剤層3を形成すると共に、他面に粘着剤層4を形成してなる透明な防汚性オーバーラミシート1を表示シートの印刷面に貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚性オーバーラミシート、さらに詳しくは、看板、ポスター、道路標識あるいは工事標識等の標識類の汚染を防止することの可能な防汚性オーバーラミシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、看板、ポスター、横断幕、垂れ幕、道路標識、案内標識、工事標識等の表示シート、表示板等(以下これらを合わせて表示シートという)が多く使用されているが、かかる表示シート類は常に汚れのないクリーンな状態を維持させる必要がある。汚れが付着すると見た目に不快感を与え、ときには表示事項を読み難くし、また、商品、事業者のイメージを損なうおそれが生じる。
【0003】
しかし、標識類は屋外に取付けられることが多い関係から、塵埃等によって汚染し易く、鮮明な状態を維持するためには、たびたびの洗浄、取替えを必要とされてきた。
【0004】
屋外装置品の汚染を少なくする方法として、従来、撥水性の合成樹脂や、撥水性を高めるためにフッ系材料やシリコン系材料を含む防汚剤を塗布することが行われている。しかし、これらの撥水性を利用したものは、雨水等が付着すると水滴となり、そのまま乾燥されると乾燥跡に汚染物質が付着して点状の汚れを形成する問題がある。
【0005】
近年、汚染を少なくする方法として、表面を親水性化処理することが提案されている(特許文献1、2、3)。これは、表面を親水性にした場合には、親水性汚染物質は付着するが、雨等の自然浄化作用により除去され易く、一方、流失し難い親油性汚染物質は付着し難いという性質を利用するものである。
【0006】
しかし、表示シートの汚染を防ぎ、表示を長期間鮮明な状態に維持することについては提案されていない。また、汚染防止剤を塗布して表示シートの表面を親水性化する方式は、経時的に汚染防止効果が低下した場合、表示シート自体の取替えを必要とする問題がある。
【0007】
このため、汚染防止効果に優れた表示シートが得られ、汚染防止が低下した場合、再生の可能な汚染防止技術の開発が要請されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−267585号公報
【特許文献2】特開2004−142161号公報
【特許文献3】特開2003−55480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、長期間にわたり汚染の防止効果を有し、表示シートを鮮明な状態に維持することができ、視覚的に不体裁になったり、イメージを損なったりすることがなく、また、必要に応じて容易に取替えを行なうことが可能な便宜性に優れた防汚性オーバーラミシートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる問題点に着目して鋭意検討した結果なされたもので、具体的には、透明な可撓性のシート状基材の表面に、水の接触角が45°以下の、平均粒子径が0.1μm以下のシリカ系微粒子と、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂もしくはウレタン系樹脂との混合分散液である親水性樹脂組成物からなり、且つ該親水性樹脂組成物100重量部に対して前記シリカ系微粒子を5〜50重量部の範囲で含む防汚剤層を形成すると共に、他面に粘着剤層を形成してなる透明な防汚性オーバーラミシートの使用方法であって、表示シートの印刷面に貼付することを特徴とする防汚性オーバーラミシートの使用方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、表示シートが、看板、ポスター、横断幕、垂れ幕、道路標識、案内標識、工事標識、横膜、間仕切りシートであることを特徴とする請求項1記載の防汚性オーバーラミシートの使用方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、汚染の防止効果に優れ、透明性に優れており、表示シート等の印刷面に貼付して汚染を防止することができ、また、汚染防止効果が低下した場合には、防汚性オーバーラミシートのみを取り替えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明防汚性オーバーラミシートの一例を示す縦断面図
【図2】シート状基材の他の例を示す縦断面図
【図3】本発明防汚性オーバーラミシートの他の例を示す縦断面図
【図4】本発明防汚性オーバーラミシートのさらに他の例を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の防汚性オーバーラミシート1は、図1に示すように、可撓性のシート状基材2の一面に水の接触角が45°以下の親水性樹脂組成物からなる防汚剤層3を形成すると共に、他面に感圧接着剤による粘着剤層4を形成することによって構成される。
【0015】
可撓性のシート状基材2としては、可撓性を有する透明性の優れた材料が使用され、例えば、セロファン、セルロイド、あるいは、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体、あるいは、ポリプロピレン、プロピレンを主成分とするプロピレン・α−オレフィン共重合体等のプロピレン系重合体、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、アクリル系重合体、あるいは、ポリエステル系重合体等の耐候性と透明性に優れた熱可塑性樹脂が望ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂のシート状基材2は、Tダイ押出し成形、キャスト成形、カレンダー成形、インフレーション成形法によってフィルム状に形成することができる。また、得られたシートを二軸延伸することも透明性、腰、引張強度等を改良する上で望ましい方法である。
【0017】
本発明において、シートとは厚みに関係なく平坦なものを広く指称するものとし、シート状基材2としては、フィルム、シート、板状体、布状体を使用することができ、一般には、厚さが5〜300μm、好ましくは15〜200μmの範囲のものが使用される。
【0018】
なお、シート状基材2は、貼付される表示シートの印刷の鮮明さを阻害しないために透明性に優れた材料が用いられ、可視光線の透過率が85%以上、好ましくは90%以上とされ、さらに、各種表示シートに適応可能とする観点から可撓性材料が使用される。また、シート状基材2は、2種以上の熱可塑性樹脂を積層した積層シートとすることもでき、図2に示すように、強度の優れた基層6の表面に塗着性の優れた表層7を積層した積層シートを用いることができる。
【0019】
また、横膜、間仕切りシート等、強度を要する用途に使用する場合には、図3に示すように、上記の熱可塑性樹脂を一軸延伸して得られた延伸線条体8a、8bを経緯糸として織成した布状体9、あるいは、図4に示すように、延伸線条体8a、8bを縦横に交差するように並列し、その交点を熱融着して得られた交差結合布(ソフ)からなる布状体9に、必要に応じて熱可塑性樹脂のフィルム10が積層されたシート状基材2を使用することができる。
【0020】
延伸線条体8としては、熱可塑性樹脂を使用することができ、熱可塑性樹脂としては、機械的強度の優れた熱可塑性樹脂が用いられ、具体的には、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体、あるいは、ポリプロピレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン、プロピレンを主成分とするプロピレン・α−オレフィン共重合体等のプロピレン系重合体、ポリエステル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、エチレン系重合体、あるいは、プロピレン系重合体等のポリオレフィンが望ましい。
【0021】
布状体9を形成する延伸線条体8としては、テープ状体、モノフィラメント、長繊維、短繊維等を使用することができる。なかでも、透明性に優れたシートとする観点からテープ状体を平坦な状態で織成したものが好ましい。
【0022】
得られた布状体9は、布状体9のままでシート状基材2として使用することができるが、熱可塑性樹脂のフィルム状体10と積層した積層樹脂膜とすることが望ましい。
【0023】
フィルム状体10を形成する熱可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン系重合体、あるいは、ポリプロピレン、メタロセン触媒を用いて製造されたポリプロピレン、プロピレンを主成分とするプロピレン・α−オレフィン共重合体等のプロピレン系重合体、ポリエステル、ポリアミド等を用いることができる。中でも、エチレン系重合体、あるいは、プロピレン系重合体等のポリオレフィンが望ましく、特にメタロセン触媒を用いて製造されたエチレン系重合体又はプロピレン系重合体が好ましい。
【0024】
熱可塑性樹脂のフィルム状体10を積層する方法としては、自体公知の手段によって行なうことができ、たとえば、延伸線条体8で形成された布状体9をラミネーターに供給し、該布状体9と溶融状態のフィルム状体10とを重ねると共に、弾性ロールと金属ロールとで挟圧して布状体9と溶融した熱可塑性樹脂のフィルム状体10とを積層することができる。両面に熱可塑性樹脂のフィルム状体10を積層するときは、同様の方法によって他の面に溶融した熱可塑性樹脂のフィルム状体10を積層することによって、図3に示すように、布状体9を芯材としてその両面に熱可塑性樹脂のフィルム状体10、10が積層されたサンドイッチ構造とすることができる。
【0025】
また、上記のシート状基材2を構成する熱可塑性樹脂には、発明の効果を損なわない範囲で、適宜、各種の添加剤を配合することができ、具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系、ホスナイトなどの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属塩のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;ヒドラジン系、アミンアシド系等の金属不活性剤;抗菌剤等が挙げられる。
【0026】
可撓性のシート状基材2の表側面には防汚剤層3が形成される。防汚剤層3は、親水性の成膜性樹脂にシリカ系微粒子を添加した組成物によって形成することができる。成膜性樹脂は、シート状基材2の表面に皮膜を形成することのできる合成樹脂で、シリカ系微粒子を添加した組成物から得られた防汚剤層3が親水性を示す樹脂が使用される。親水性としては水の接触角が45°以下とされる。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂(シリコンポリウレア等の変性シリコンも含む)、あるいは、前記の熱可塑性樹脂の分子中に反応性基を導入し、硬化剤により硬化可能としたものが使用される。硬化の形態としては、熱硬化、光硬化が一般的であるが、その他どのようなものでもよい。熱硬化性樹脂中に導入する反応性基としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等が一般的である。
【0027】
シリカ系微粒子としては、シリカ系物質の微粉末あるいはシリカ系物質で表面処理された微粉末が使用され、シリカ、シリカゾル、あるいは、オルガノシリケート化合物で表面処理された無機粉末が使用される。
【0028】
シリカ系微粒子として好適なものは、シリカゾル又はオルガノシリケート化合物で表面処理された無機酸化物ゾルであり、シリカ系微粒子の平均粒子径は、通常0.1μm以下である。これらシリカ系微粒子の量は、成膜性樹脂100質量部に対して、通常0.1〜70重量部、好適には3〜60重量部、特に好適には5〜50重量部の範囲である。シリカ系微粒子の量が少なすぎると、親水性が不足し、耐汚染性等の防汚保護効果が低下し、反対に量が多すぎると、膜性能およびシート状基材2との接着性が悪化する。
【0029】
得られた防汚剤用組成物(塗布液)を、シート状基材2の表面上に塗布し、乾燥または硬化して塗膜化される。硬化条件は特に限定されないが、通常、60〜150℃の温度で1〜20分間行なう。防汚剤層3の厚みは、通常0.1〜15μm、好適には0.5〜10μmである。
【0030】
防汚性オーバーラミシート1は、通常は使用初期(施工直後から1ヶ月以内)に、表面の水接触角が45度以下、好ましくは40度以下となるように調製される。防汚性オーバーラミシート1表面の水接触角が45度以下であれば、耐汚染性を効果的に高め、長期にわたって維持することが可能となる。
【0031】
シート状基材2の他の面には感圧接着剤が塗布されて粘着剤層4が形成される。シート状基材2の粘着剤層4を塗布する面には、粘着剤との密着力を高めるため、その表面にサンドブラスト処理等の物理的処理や、火炎処理、コロナ処理もしくはプラズマ処理等の物理化学的処理、あるいは、プライマー処理等を施すことが好ましい。粘着剤は、通常、適宜の有機溶剤に溶解され、又は、エマルジョンとされて、シート状基材2上に塗工された後乾燥され、あるいは、離型処理が施された工程紙上に塗工後乾燥されたものが支持体上に転写されて、シート状基材2と粘着剤層4が積層された防汚性オーバーラミシート1とされる。塗工手段や乾燥方法に制限はなく、公知のものを採用できる。
【0032】
本発明に用いられる粘着剤としては、粘着テープ用の粘着剤として一般的に用いられるものでよく、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、天然ゴムや合成ゴム等のゴム系粘着剤、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体並びにこれらの水素添加物等のブロック共重合体系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、シリコン樹脂系粘着剤等が挙げられるが、なかでも耐久性や耐候性に優れ、取り扱い時の汚れも少ないアクリル樹脂系粘着剤が好適に用いられる。これらの粘着剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
【0033】
これらの粘着剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、反応型粘着剤、光重合可能なモノマー型粘着剤等のいずれの形態であってもよい。
【0034】
また、これらの粘着剤には、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、ポリイソシアネート系化合物やアジリジン系化合物、金属キレート系化合物等の架橋剤や、粘着性付与剤、カップリング剤、充填剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤(老化防止剤)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、消泡剤、難燃剤、帯電防止剤等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が添加されていてもよい。
【0035】
また、シート状基材2上に形成される粘着剤層4は、特に限定されるものではないが、その厚みが10μm〜0.5mmであることが好ましい。粘着剤層の厚みが10μm未満であると、防汚性オーバーラミシート1の粗面への接着性や凹凸追従性が不十分となることがあり、逆に粘着剤層4の厚みが0.5mmを超えると、粘着性や接着力はもはやそれ以上向上しないにもかかわらず、コスト高となる。
【0036】
アクリル樹脂系粘着剤についてさらに詳細に述べれば、アクリル樹脂系粘着剤としては、カルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を重合させて得られるアクリル系ポリマーが用いられる。
【0037】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のアルキル基の炭素数は4〜12程度が望ましく、具体的には、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特に、n−ブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートが好適である。
【0038】
カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等のモノカルボン酸;フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸やこれらのモノエステル等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体のうち、アクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。カルボキシル基含有重合性単量体は、単量体全体の1〜20重量%程度が望ましい。
【0039】
本発明で使用されるアクリル樹脂系粘着剤には、ガラス転移温度や極性等を調整する目的で少量の改質成分単量体が共重合されていてもよい。このような単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルピロリドン等が例示できる。
【0040】
アクリル系ポリマーには、分子内にカルボキシル基と反応する官能基を2個以上有する多官能性化合物、または多官能性化合物及び分子内に前記官能基を1個有する単官能性化合物を配合することによって架橋することができる。この種の官能基含有化合物としては、例えば、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基(或いはグリシジル基)含有化合物、アジリジニル基含有化合物、金属錯体、メラミン系化合物等が例示できる。
【0041】
また、粘着剤組成中に少量の可塑剤を配合することが好ましい。配合される可塑剤の種類は限定されるものではなく、例えば、脂肪族多価カルボン酸のエステル、芳香族多価カルボン酸のエステル、リン酸エステル等の低分子可塑剤やポリエステルのような高分子可塑剤等が例示できるが、脂肪族2塩基酸のエステルが特に有効であり、中でもアジピン酸ジエステルが最も好適である。その配合量は0.05〜4重量%が好ましい。
【0042】
粘着剤層4の上には、巻き戻す際の剥離力(展開力ともいう)を軽くするために、離型処理された離型紙を貼付するのが一般的である。離型処理としては、必要により硬化反応を伴うシリコン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキルグラフトポリマー系離型剤の塗布等を挙げることができる。
【実施例】
【0043】
(測定法)
a.接触角:
防汚剤層表面に蒸留水を1滴滴下し、1分間後の接触角を測定した。
b.光線透過率:
JIS−K7105に準拠して測定した。
c.防汚性能:
土木用防汚材料促進I種試験(カーボンブラックの5重量%水道水分散液を使用)に準拠して、白色度L値の差を測定した。
d.接着力:
JIS−Z0237に準拠して測定した。
【0044】
(実施例1)
厚さ50μmのアクリル製透明フィルム「サンデュレン014NST」[商品名、鐘淵化学工業(株)製]に、防汚剤(A)として、ポリエステル系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子(5重量%)との混合分散液をグラビア塗工機にて0.5μmの厚さに塗布し、これを100℃で1分間乾燥硬化させて防汚剤層を形成した。
【0045】
その後、離型剤の上にアクリル系粘着剤組成物「ニッセツKP−802L/CK−401=100重量部/1重量部の混合物」[商品名、日本カーバイド工業(株)製]溶液を乾燥時の粘着剤層の厚みが約25g/mとなるように塗布し、100℃で1分間熱風循環式乾燥機にて乾燥した粘着剤を貼り合わせ、23℃、65%RHの条件で7日間架橋させて防汚性オーバーラミシートを得た。得られた防汚性オーバーラミシートの親水性、光線透過率、防汚特性、接着力を測定した。その結果を表1に示す。
【0046】
(実施例2〜10、比較例1〜5)
表1に示すように、実施例1における防汚剤(A)の代わりに、アクリル系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子8重量%の防汚剤(B)を塗工し、UV照射して硬化したもの、防汚剤(B)のコロイダルシリカ系微粒子の配合量を12、20重量%と変化させたもの(防汚剤(C)、(D))、あるいは、ウレタン系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子との防汚剤(F)、もしくは、シリコン系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子との防汚剤(G)を塗布したものを調製し、実施例1と同様の方法で防汚性オーバーラミシートを得た。
【0047】
また、アクリル系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子との防汚剤(H)、(I)を厚さ50μmのフッ化ビニリデン製透明フィルム「デンカDXフィルム14S0250」[商品名、電気化学工業(株)製]に塗布し、あるいは、アクリル系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子との防汚剤(C)を50μmのポリエステル製透明フィルム「ダイヤホイルT600」[商品名、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製]、及び、50μmの塩化ビニル製透明フィルム「ハイエスペイント5080E」[商品名、日本カーバイド工業(株)製]にそれぞれ塗布したものを使用して実施例1と同様の方法で防汚性オーバーラミシートを得た。
【0048】
さらに、比較のために、実施例1のポリエステル系樹脂とコロイダルシリカ系微粒子からなる防汚剤(A)のコロイダルシリカ系微粒子を0.05重量%とした防汚剤(E)を使用しもの、及び、防汚剤を塗布しないシートを用いて実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。また、長期間保存し、防汚性能の経時的変化を測定した。その結果を表2に示す。
【0049】
【表1】




【0050】
【表2】

【符号の説明】
【0051】
1.防汚性オーバーラミシート
2.シート状基材
3.防汚剤層
4.粘着剤層
6.基層
7.表層
8.延伸線条体
9.布状体
10.フィルム状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な可撓性のシート状基材の表面に、水の接触角が45°以下の、平均粒子径が0.1μm以下のシリカ系微粒子と、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂もしくはウレタン系樹脂との混合分散液である親水性樹脂組成物からなり、且つ該親水性樹脂組成物100重量部に対して前記シリカ系微粒子を5〜50重量部の範囲で含む防汚剤層を形成すると共に、他面に粘着剤層を形成してなる透明な防汚性オーバーラミシートの使用方法であって、
表示シートの印刷面に貼付することを特徴とする防汚性オーバーラミシートの使用方法。
【請求項2】
表示シートが、看板、ポスター、横断幕、垂れ幕、道路標識、案内標識、工事標識、横膜、間仕切りシートであることを特徴とする請求項1記載の防汚性オーバーラミシートの使用方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−186478(P2011−186478A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62987(P2011−62987)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2004−242225(P2004−242225)の分割
【原出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(390019264)ダイヤテックス株式会社 (53)
【Fターム(参考)】