説明

防火ウェハーキャリア

ほぼポリカーボネートプラスチックから形成されたエンクロージャ部分を有するキャリアである。エンクロージャの選択された部分は、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火災伝搬指数を有するプラスチック材料からほぼ形成された外側表面部分を有している。適したプラスチック材料には、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンが含まれる。この発明によるキャリアエンクロージャは、大部分が、比較的低価格で容易に成形可能な透明のポリカーボネートから形成されている。より高コストな防火性ポリマ材料が、そのキャリアや他の隣接キャリアへの火災の広がりに影響を与える必要のあるエンクロージャ上に選択的に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、アメリカ合衆国特許出願第10/190,355号及びアメリカ合衆国仮特許出願第60/394,219の利益を請求しており、これらは各々参照によって全体を導入する。
【技術分野】
【0002】
この発明は、ウェハーキャリアに関する。さらに詳しくは、この発明は防火ウェハーキャリアに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウェハーを、完成した電子コンポーネントまで処理するには、一般的に、ウェハーを取り扱ったり処理したりしなければならない多くの処理工程が必要である。ウェハーは非常に高価であり、またきわめて繊細で、物理的及び電気的な衝撃によって容易に損傷を受ける。さらに、より収量の高い処理を行うには、清浄さは最高であって、また粒子やその他の汚染物質のないことが必要である。その結果、ウェハーの処理や取り扱い、及び搬送のときに使用される特殊なコンテナあるいはキャリアが開発されてきた。これらの容器は物理的及び電気的な危険からウェハーを保護してくれ、ウェハーを汚染から保護するためにシールが可能である。さらに、ウェハーディスクの処理は一般に自動化されていることから、ロボットでウェハーを取り出したり挿入したりするためにディスクを処理装置に対して正確に位置合わせする必要がある。ウェハーキャリアの別の目的は、搬送のときにウェハーディスクをしっかりと保持することである。
【0004】
キャリアは一般に、棚あるいはスロットの形である物品支持部材の中にウェハーあるいはディスクを軸方向に配置し、その周辺あるいはその近くでウェハーあるいはディスクを支持するような構造になっている。ウェハーあるいはディスクは通常は半径方向に上方あるいは側方へキャリアから取り出せるようになっている。キャリアは、ウェハーあるいはディスクを閉じ込めるために、補助の上部カバー、底部カバー、あるいはエンクロージャを有しているかもしれない。特殊なキャリアやそれらを形成するための方法の例が、米国特許第6,439,984号、第6,428,729号、第6,039,186号、第6,010,008号、第5,485,094号、第5,944,194号、第4,815,601号、第5,482,161号、第6,070,730号、第5,711,427号、第5,642,813号、第3,926,305号に開示されている。これらの特許はすべて本発明の所有者に譲渡されており、またすべてがここで参照によって導入されている。本明細書の目的では、“キャリア”という用語は、Hバー(H-bar)ウェハーキャリア、フロントオープニングユニファイドポッド(Front Opening Unified Pods)(FOUPs)及びスタンダードメカニカルインターフェースポッド(Standard Mechanical Interface Pods)(SMIFs)、レチクル(reticle)キャリア、WIPボックス、などの半導体ウェハーキャリアや、ハードドライブディスクなどの小さな電子コンポーネントやその他の雑多な機械式デバイスを貯蔵、搬送、組み立て、及び一般的に保持のために微細電子産業において使用されるその他のキャリアを含んでいるが、それらに限定されるわけではない。
【0005】
半導体産業では300mmの直径を有するウェハーを使用するような製造設備が発展してきている。300mmウェハーに使用されるウェハーキャリアは一般にフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)として形成されている。FOUPウェハーキャリアの例が米国特許第6,082,540号、第6,206,196号、第6,216,874号、及び第6,267,245号に開示されている。これらの特許の各々はこの発明の被譲渡人が所有しており、各々がここで参照によって全体が導入されている。
【0006】
キャリアのタイプや、問題としているキャリアの特定の部分に応じて、ウェハーキャリアとして有用で利点のある多くの材料特性が存在する。またキャリア材料は揮発性成分のアウトガスができるだけ少ない必要がある。なぜなら、これらもウェハー及びディスクに損傷を与える可能性のある汚染物質となる薄いフィルムを残すからである。キャリア材料は、キャリアに装填したとき、適切な寸法安定性、すなわち剛性を有している必要がある。寸法安定性は、ウェハーあるいはディスクに損傷を与えず、またキャリア内部におけるウェハーあるいはディスクの動きをできるだけ抑えるために必要である。ウェハー及びディスクを保持するスロットの公差は一般に非常に小さい。また、キャリアが変形すると、ウェハーあるいはディスクをキャリアに出し入れしたりキャリア内部で動いたりしたときに、非常に脆いウェハーに直接に損傷を与えたり、摩擦が増大して粒子の発生が増える可能性がある。また、搬送中にキャリアが積み重ねられるときや、キャリアが処理装置と一体化されるときなど、キャリアがある方向に装着されるときは、寸法安定性はきわめて重要である。キャリア材料はまた、貯蔵や洗浄のときに遭遇する高温のもとでその品質を維持する必要もある。米国特許第5,780,127号にはウェハーキャリア用材料の適切さに関連したプラスチックの様々な特性を述べており、この特許はここで参照によって導入されている。
【0007】
閉じた容器の内部のウェハーが見えることは非常に望ましいことであり、エンドユーザにとって必要でもあろう。ポリカーボネート材料は、その透明性や成形の容易さ、そして好ましい耐摩擦性、耐熱性、耐薬品性、アウトガス汚染、剛性、クリープ低減性、流体吸収汚染、UV保護、及びその他の性能のために、キャリアのエンクロージャ部分に広く使用されている。また、ポリカーボネートは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などキャリアでの使用に適した他の高分子に比べて一般に非常に安価である。
【0008】
こうした理由から、通常はキャリアエンクロージャ全体をポリカーボネート材料から形成している。ポリカーボネートは上で概略を述べた多くの好ましい特性を有しているけれども、しかしまた、比較的可燃性であって、容易に炎が伝わってしまう。4個だけのポリカーボネートFOUPウェハーキャリアを有するアレイに対するフリーバーンテストでは、1MW以上のピーク熱発散率(releaserate)を示した。一つの半導体処理施設において5,000から10,000のFOUPウェハーキャリアが貯蔵される可能性があるため、ポリカーボネートのウェハーキャリアが関係するそうした施設では火災の危険性が無視できない。半導体処理施設における火災は、財産の著しい損失や、施設における従業員の生命の安全性に危険を引き起こすだけでなく、小さな火災でも、空気中の粒子や燃焼生成物による汚染のために半導体製造プロセスにきわめて大きな混乱を引き起こす。従って、今日まではウェハーキャリア火災による火災の損害はないけれども、そうした事態の可能性や起き得る結果からすると、ウェハーキャリアに関係する火災安全性の改善は非常に望ましいものである。
【0009】
ウェハーキャリアは“ストッカ”として知られる多段式貯蔵ラックの中に通常は貯蔵される。ストッカの中では、キャリアは垂直方向に積み重ねられた段の中に並べて貯蔵される。これらのストッカは一般的に通路を挟んで対向するような形に配置され、ロボットによってそこからアクセスされる。各ストッカは多床高さのものであり、何百というキャリアを収容する。垂直方向の積み重ねはウェハーキャリアを含めた多くのタイプのデバイスや材料を貯蔵する効率の良い手段ではあるが、可燃性材料を積み重ねて配置すると、防火に関する懸念が生じる。これは、熱分解生成物が浮遊して炎がより容易に垂直方向に伝わるという一般的傾向のためである。さらに、積み重ねた材料のすべての領域をカバーする固定式の火災用スプリンクラによる防火は通常は非常に困難であり、実施するのに高価になる。その結果、垂直の貯蔵配置における火災の成長の大きさ及び速さを最小限に抑えるための一つの重要な防火戦略は、一つの貯蔵段内の材料から、次の段、すなわち垂直方向にすぐ隣接する段への垂直方向の火災の伝搬を遅らせるか、あるいは好ましくは防止することである。火が発火領域を越えて伝わる程度を遅くすることができれば、初期段階における火災の検出と抑制により多くの時間が提供され、損傷及び破壊を最小限に抑えられる。
【0010】
垂直方向の貯蔵における火災の伝搬に対して大きな影響を与えることができる二つの重要な変数は、貯蔵されているアイテムの幾何形状と、そのアイテムの材料成分の火炎伝搬特性である。一般的な防火工学の実際においては、これらの変数は、防火の観点から最適な結果を得るために時には変更される。しかし、ウェハーキャリアに対する半導体産業の要求は非常に厳しく、またプロセスクリティカルであることから、ウェハーキャリアは独特の難問を有している。例えば、ウェハーキャリアにおいては、ウェハーを所定の位置で繰り返し保持するために200以上の精密寸法が要求され、また、上述したようにキャリアに使用する材料の機械的な強度、構造的な品質、化学的安定性に対して厳格な材料基準も存在する。火災安全性のためにキャリアに加えられるどのような修正も、これらの基準と矛盾してはならない。こうした困難さのために、ウェハーキャリアの火災安全性を改善しようとするこれまでの努力は、既存のものも新たなものも、進歩が遅く、今日までウェハーキャリアの設計において大きな変更は行われていない。
【0011】
業界で今なお必要とされていることは、必要な透明性や、成形の容易さ、好ましい耐摩擦性や耐熱性、耐薬品性、アウトガス抑制、剛性、クリープ低減性、流体吸収抑制、UV保護、及び耐火特性を有する比較的低価格のキャリアである。
【特許文献1】米国特許第3,926,305号明細書
【特許文献2】米国特許第4,815,601号明細書
【特許文献3】米国特許第4,929,497号明細書
【特許文献4】米国特許第5,482,161号明細書
【特許文献5】米国特許第5,485,094号明細書
【特許文献6】米国特許第5,642,813号明細書
【特許文献7】米国特許第5,711,427号明細書
【特許文献8】米国特許第5,780,127号明細書
【特許文献9】米国特許第5,928,971号明細書
【特許文献10】米国特許第5,944,194号明細書
【特許文献11】米国特許第5,988,392号明細書
【特許文献12】米国特許第6,010,008号明細書
【特許文献13】米国特許第6,039,186号明細書
【特許文献14】米国特許第6,070,730号明細書
【特許文献15】米国特許第6,082,540号明細書
【特許文献16】米国特許第6,206,196号明細書
【特許文献17】米国特許第6,216,874号明細書
【特許文献18】米国特許第6,267,245号明細書
【特許文献19】米国特許第6,428,729号明細書
【特許文献20】米国特許第6,439,984号明細書
【発明の開示】
【0012】
この発明は、半導体処理産業の要求を満足するのに十分な性能特性を有する一方で、防火特性も著しく改善された比較的低価格なキャリアに対する要求をほぼ満足している。また、この発明は、特に多数のウェハーキャリアが垂直に配置されたストッカに貯蔵されているときに、火災の垂直方向の伝搬に対して抵抗性を有するウェハーキャリアに対する要求も満たしている。さらに、この発明によれば、キャリアに対して、低価格で成形がより容易なポリカーボネートプラスチックを使用することができ、なおかつ垂直方向の火災の伝搬に対する抵抗性が提供されている。
【0013】
この発明では、キャリアはほぼポリカーボネートプラスチックから形成されたエンクロージャ部分を有している。このエンクロージャの選択された部分は、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数(FirePropagation Index)を有する材料からほぼ形成された外側表面部分を有している。適した材料には、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンが含まれる。
【0014】
この発明の利点は、キャリアのエンクロージャの大部分が、比較的低価格で、容易に成形でき、透明なポリカーボネートから形成されていることである。キャリアへの、また他の隣接するキャリアへの火炎の広がりに影響を与えることが必要なところでは、エンクロージャにより高コストの耐火性ポリマ材料を選択的に配置することができる。
【0015】
この発明の別の利点は、既存のポリカーボネートキャリアの防火性が改善されていることである。
【0016】
従って、この発明による物品用キャリアは、外側表面を有するエンクロージャと、このエンクロージャの中に配置された物品サポートを有している。エンクロージャはポリカーボネートプラスチックからほぼ形成された第1の部分と、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された第2の部分とを有する。第2の部分はエンクロージャの外側表面の少なくとも一部を形成しており、この外側表面部分は火炎の垂直方向伝搬に対して比較的遅延性を有している。防火プラスチック材料は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るプラスチック材料のグループから選択される。
【0017】
この発明はまた、少なくとも上部、底部、一対の対向する側部、背部、及び開口した前部を有するポリカーボネートプラスチックからほぼ形成されたエンクロージャ部分を有するウェハーキャリアも含んでいる。このキャリアは開口した前部を閉じるためのドアも有している。ドアは、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るプラスチック材料のグループから選択されたプラスチック材料からほぼ形成された外側表面部分を有している。このプラスチック材料は9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有している。
【0018】
この発明の他の目的や利点、そして新たな特徴は、その一部は以下の説明において述べられるし、一部は以下の説明により当業者には明らかとなるであろうし、この発明を実施することによって理解されるであろう。この発明の目的及び利点は、添付されている請求項において特に指摘されている装置及び組み合わせによって実現され、達成されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付図面はこの発明のウェハー容器についての実施の形態と、その特徴及び構成要素を示している。前部及び後部、右及び左、上部及び底部、上側及び下側、水平及び垂直という言及は説明の便宜上のためであり、この発明あるいはの構成要素をいずれか一つの位置的あるいは空間的方向に限定するものではない。添付図面において特定された寸法や、こ本明細書は、この発明の範囲から逸脱することなく、この発明の実施の形態の潜在的設計や意図する用途によって変更することができる。
【0020】
図1には、一般的な垂直式のストッカ150の中に配列された複数のFOUPウェハーキャリアが描かれている。一般的な半導体処理設備は平行に配置された多数のストッカ150の列を有している。図のように列の間には通路180が設けられている。通路180ではロボットハンドリング装置が使用されて、ウェハーキャリア100がストッカ150から出し入れされる。各ストッカ150内にはウェハーキャリア100が水平方向のサポート160によって並んで支持されており、垂直方向に積み重ねられたウェハーキャリア100の段162を形成している。ウェハーキャリア100は、通常は、キャリアのドアが通路180に向けて外向きとなるようにストッカ150に配置されている。
【0021】
図2を参照すると、業界において使用されているような一般的なFOUPウェハーキャリア100はポリカーボネートプラスチックから形成されたエンクロージャ部分102を有しており、エンクロージャ部分102は上部104と、底部106と、一対の対向する側部108及び110と、背部112とを有する。ドア114がエンクロージャ部分102の開口した前部116を閉じていて、ドア溝118に嵌め込まれている。エンクロージャの中には半導体ウェハーを支持するウェハーサポート122が設けられている。エンクロージャの底部106の外面に取り付けられたキネマティックカップリング(kinematic coupling)124が、使用の際における容器の自動ハンドリングを容易にし、処理の際にウェハーをハウジングの中に位置決めするための参照データを提供するために設けられている。ロボット持ち上げ用フランジ126がエンクロージャ上部104の外側表面に取り付けられており、使用の際における容器100の自動ハンドリング及び搬送を容易にするために設けられている。
【0022】
ここで図1及び図2を参照するとわかるように、ストッカ150内部における火災の垂直方向の伝搬は、ウェハーキャリア100の側部108、110及び背部112においては、水平方向のサポート160にソリッド部分を設けて段の間の垂直開口部を閉塞することによって、段162間で遅らせることができる。しかし、前部においては、ドア114は垂直方向に位置が揃っていて、段162間における火災の垂直方向の伝搬経路を形成している。
【0023】
業界においては、材料の火災の伝搬のしやすさに従ってその材料の分類が行われている。大きな規模の火災において一般的な非常に発散性の火炎条件における材料の火災伝搬の様子を示すとみなされているそうした分類の一つは、その材料に対して定められた火災伝搬指数(Fire Propagation Index)(FPI)を使用している。材料のFPIを決定するためには、その材料を業界において周知の方法に従ってテストして、単位幅当たりのピーク化学的熱発散率(Q’ch)と、
【数1】



に従って計算される熱応答パラメータ(TRP)を求める。ここで、ΔTigはK°で表した雰囲気以上の材料の発火温度、kはkW/m-K°で表した材料の熱伝導度、ρはg/m3で表した材料密度、cpはkJ/g-K°で表した材料の比熱である。次に、FPIが
【数2】


の関係に従って計算される。
【0024】
材料は一般にそのFPI値によって分類される。7.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3未満のFPIを有する材料はグループN-1“非伝搬性”材料として分類される。10.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3未満の、しかし少なくとも7.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3のFPIを有する材料はグループD-1“減速性”材料として分類され、10.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3から20.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3の間のFPIを有する材料はグループ2“非加速伝搬性”材料として、そして20.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3を越えるFPIを有する材料はグループ3“加速伝搬性”材料として分類される。
【0025】
ウェハーキャリアのエンクロージャ及びドアに対して通常使用されるポリカーボネートプラスチックはグループ2あるいはグループ3の伝搬性材料として分類される約10.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3を越える火災伝搬指数(FPI)を有している。この発明においては、各ウェハーキャリアのドア114の少なくとも外側表面部分130は9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下のFPIを有するグループN-1あるいはグループD-1の防火プラスチック材料からほぼ形成されている。適当なFPIを有するどのような防火プラスチック材料もこの目的に適しているけれども、ウェハーキャリアに使用することができることがわかっていて、適当なFPIを有しているプラスチックは、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルスルフォン(PES)、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。現在最も好ましい材料は、例えばマサチューセッツ州ピッツフィールド(Pittsfield,Massachusetts)のジーイー・プラスチック・インコーポレーテッド(GE Plastic, Inc.)によって製造されているUltem1000などの、約8.1(m/s 1/2)(kW/m)−2/3から約8.6(m/s 1/2)(kW/m)−2/3の間のFPIを有するPEIである。
【0026】
この発明の好ましい実施の形態においては、少なくともドア114の外側表面部分130はPEI材料から形成されている。防火プラスチック材料から形成されている外側表面部分130の厚みは、少なくとも一般的に約0.3mmであるエンクロージャ部分102の一般的な厚みであることが現在最も好ましい。外側表面部分130は図2に示されているようにドア114の外側パネル132だけであることが現在最も好ましいけれども、図3に示されているようにドア114の外側パネル132の上に設けられた別の防火層134であってもよい。そうした防火層134は外側パネル132の上にオーバーモールドされて、外側パネル132と熱的及び機械的結合を形成していてもよいし、図4に示されているように接着剤あるいは機械式ファスナなどを含めた任意の適当な方法によって取り付けられた別のシールドパネル136でもよい。それとは違って、シールドパネル136は、ドア114の上に設けられた適当な受容構造に取り外し可能な形で“スナップ”フィットする構造を有していてもよい。
【0027】
これとは違って、外側の防火層は、フロントドアの前方を向いた表面にインサート成形された薄いフィルムでもよい。フィルムのインサート成形の適当な方法は、この発明の所有者によってともに所有されており、ここで全体を参照によって導入する”SEMICONDUCTOR COMPONENT HANDLING DEVICE HAVING A PERFORMANCE FILM”という名称の米国特許出願第 10/304,775号に開示されている。本出願人によって所有されているともに係属中の米国特許出願第09/317,989号には、キャリア及びコンポーネントを製造するためにオーバーモールドを使用することが記載されており、この特許願も参照によってここに導入する。シャーシ140やラッチ用部品、及び内側表面142など、ドア114の他の部分も、外側表面部分130に対して使用されているものと同じ防火材料から形成されており、これはウェハーキャリア100全体の防火性を改善する役割を果たしている。
【0028】
ポリカーボネートから成る外側表面を有する既存のウェハーキャリアを、この発明の装置及び方法を用いて改造することができる。こうした改造は、FOUPの場合、ポリカーボネートドアをこの発明に従って製造されたドア114で置き換えるか、上述したシールドパネル136で外側パネル132を上張りすることによって実施できる。こうしたシールドパネルは既存のドア構造に適当に接着されたフレキシブルシートでもよい。
【0029】
この発明の材料及び方法は、FOUP上の他の表面や、他のいかなるタイプのキャリアへも適用できることがわかるであろう。つまり、例えば、ストッカ150の水平サポート162に設けられた開口部によって防火表面が必要になる場合には、FOUPの側部108、110及び/あるいは背部112を、上述したような適当なFPIを有する防火プラスチックから成る外側表面で形成することができる。
【0030】
例えば図5に描かれているように、SMIFポッドキャリア200はベース部分202及びカバー部分220を有し、カバー部分220は側部222、前部224、及び背部228を有している。カバー部分220は溝部分282においてベース部分202と係合し、カバー部分220の底部周辺はベース202の周辺280のまわりに嵌合して、これを覆っている。ウェハー棚262を有するHバーウェハーキャリア260の形態の物品サポートはエンクロージャの内部でベース202と係合する。本発明においては、カバー部分220の外側表面232の選択された部分230は、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下のFPIを有するポリマ材料から形成される。選択された部分230においては、カバー部分220は図5aに描かれているような防火材料から全体が形成されている。この実施の形態においては、エンクロージャの第1の部分234はポリカーボネートから形成されており、第2の部分236は防火ポリマ材料から形成されている。第1及び第2の部分は、通常の成形技術を用いて一体に成形される。それとは違って、図5bに描かれているように、防火材料の層238を、上述したフィルムインサート成形、オーバーモールディング、あるいは溶接などのあらゆる適当な方法によって、選択された部分230においてポリカーボネートなどのより低価格なポリマの層240に適用してもよい。また、層238は最良の防火性を得るためには少なくとも厚みを0.3mmにすべきであることが予想される。それとは違って、別のシールドパネルを、上述した溶接、ファスナ、あるいは接着剤などによってポリカーボネートのカバー部分220に取り付けてもよい。
【0031】
図6に描かれている搬送用容器300においては、カバー部分302は9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下のFPIを有するポリマ材料から形成された外側表面306の選択部分304を有している。この場合にも、選択部分304において、カバー部分302の全体を防火材料から形成するか、防火材料の層を、上述したフィルムインサート成形、オーバーモールディング、あるいは溶接によって、ポリカーボネートなどのより低価格なポリマの層に適用してもよい。オーバーハング状のリップ部分310を防火プラスチック材料から形成することが特に好ましいと予想される。容器300の燃えているベース部分312からの高温分解生成物は、オーバーハング状のリップ部分310によって垂直表面314から離れて外側へ向けられ、それにより火災の垂直方向の伝搬が防がれる。さらに、ベース部分312が燃えて溶けると、カバー部分302が下方へ沈んで、下側の火災を鎮静する。
【0032】
上の説明は多くの特定事項を含んでいるけれども、これらはこの発明の範囲を限定するものではなく、現在におけるこの発明の好ましいいくつかの実施の形態を単に説明しているだけである。従って、この発明の範囲は、与えられた例によってではなく、添付の請求の範囲やそれらの法的均等物によって定められるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ストッカの中に配列された複数のウェハーキャリアの正面図である。
【図2】ウェハーキャリアの斜視図である。
【図3】この発明によるウェハーキャリアのドアに対する実施の形態の正面図である。
【図4】この発明によるウェハーキャリア及びドアを部分的に分解して示した斜視図である。
【図5】この発明によるキャリアに対する別の実施の形態を部分的に分解して示した斜視図である。
【図5a】図5におけるこの発明の実施の形態についての5a−5a線断面図である。
【図5b】図5におけるこの発明の実施の形態についての5b−5b線断面図である。
【図6】この発明による搬送用ボックスの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上部と、底部と、一対の対向する側部と、背部と、開口した前部とを有する、ポリカーボネートプラスチックからほぼ形成されたエンクロージャ部分と、
前記開口した前部を閉じるためのドアとを有し、前記ドアが、ポリイミドと、ポリエーテルイミドと、ポリアミドイミドと、ポリケトンと、ポリエーテルケトンと、ポリエーテルエーテルケトンと、ポリエーテルケトンケトンと、ポリエーテルスルフォンと、ポリテトラフルオロエチレンとから成るプラスチック材料のグループから選択されたプラスチック材料からほぼ形成された外側表面部分を有し、前記プラスチック材料が、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火災伝搬指数を有し、
それにより前記外側表面部分が火災の垂直方向の伝搬に対して比較的遅延性を有しているウェハーキャリア。
【請求項2】
前記外側表面部分がポリエーテルイミドプラスチックから形成されている請求項1記載のウェハーキャリア。
【請求項3】
前記外側表面部分がポリエーテルエーテルケトンプラスチックから形成されている請求項1記載のウェハーキャリア。
【請求項4】
前記外側表面部分が前記ドアの外側パネルから成っている請求項1記載のウェハーキャリア。
【請求項5】
前記外側表面部分が、ポリカーボネートプラスチックの層の上に設けられた防火プラスチック層から成っている請求項1記載のウェハーキャリア。
【請求項6】
前記防火プラスチック層が前記ポリカーボネートプラスチックの層の上に成形されている請求項5記載のウェハーキャリア。
【請求項7】
前記外側表面が接着剤で前記ドアに取り付けられたシールドパネルから成る請求項1記載のウェハーキャリア。
【請求項8】
前記外側表面部分が、複数のファスナで前記ドアに取り付けられたシールドパネルから成る請求項1記載のウェハーキャリア。
【請求項9】
外側表面を有するエンクロージャを有し、このエンクロージャがその中に物品サポートを有し、エンクロージャが、ほぼポリカーボネートプラスチックから形成された第1の部分と、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された第2の部分とを有し、第2の部分が少なくともエンクロージャの外側表面の部分を形成しており、それによりこの外側表面部分が火炎の垂直方向の伝搬に対して比較的遅延性を有している物品用キャリア。
【請求項10】
前記防火プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るプラスチック材料のグループから選択される請求項9記載のキャリア。
【請求項11】
前記防火プラスチック材料がポリエーテルイミドである請求項10記載のキャリア。
【請求項12】
前記防火プラスチック材料がポリエチルエチルケトンである請求項10記載のキャリア。
【請求項13】
前記エンクロージャが、開口した前部と、この開口した前部をシールするためにエンクロージャと選択的に係合可能なドアとを有し、前記ドアが9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された外側表面を有する請求項9記載のキャリア。
【請求項14】
前記第1の部分が、ポリカーボネートプラスチックから成る内側層と、この内側層の上に設けられた防火プラスチック材料から成る外側層とを有する請求項9記載のキャリア。
【請求項15】
前記防火プラスチック材料から成る外側層が、ポリカーボネートプラスチックから成る内側層の上に成形されている請求項14記載のキャリア。
【請求項16】
前記第2の部分が、接着剤で第1の部分へ取り付けられたシールドパネルから成る請求項9記載のキャリア。
【請求項17】
前記第2の部分が、複数のファスナで第1の部分へ取り付けられたシールドパネルから成る請求項9記載のキャリア。
【請求項18】
前記物品サポートが複数のウェハー保持棚を有する請求項9記載のキャリア。
【請求項19】
キャリアの外側にキネマティックカップリングを有する請求項9記載のキャリア。
【請求項20】
前記キャリアがSMIFポッドである請求項9記載のキャリア。
【請求項21】
前記キャリアが搬送用容器である請求項9記載のキャリア。
【請求項22】
前記キャリアがWIPボックスである請求項9記載のキャリア。
【請求項23】
前記キャリアが、防火プラスチック材料から形成されたオーバーハング状のリップ部分を有する請求項9記載のキャリア。
【請求項24】
防火性で前部開口式の一体ポッド型のウェハーキャリアを製造する方法であって、
少なくとも上部と、底部と、一対の対向する側部と、背部と、開口した前部とを有するエンクロージャ部分をポリカーボネートプラスチックから形成することと、
前記開口した前部を閉じるためのドアを形成することと、
を有し、前記ドアが、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有するプラスチック材料から成る外側表面部分を有する方法。
【請求項25】
前記ドアが外側パネルを有し、前記外側表面部分を前記外側パネルの上に成形する段階をさらに有する請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記ドアが外側パネルを有し、防火性の層部材を成形する段階と、この層部材を前記外側パネルへ取り付ける段階をさらに有する請求項24記載の方法。
【請求項27】
外側表面を有するエンクロージャ部分を有し、該エンクロージャがほぼポリカーボネートプラスチックから形成された第1の部分を有する物品用のキャリアの防火性を改善する方法であって、前記第1の部分の外側表面の少なくとも一部に、9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有するプラスチック材料の層を重ねて、前記プラスチック材料の層がエンクロージャの外側表面の少なくとも一部を形成するようにする方法。
【請求項28】
前記プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記プラスチック材料を別のシールドパネルに成形し、このシールドパネルを前記ドアへ取り付ける段階を有する請求項27記載の方法。
【請求項30】
ほぼポリカーボネートプラスチックから形成されたエンクロージャ部分を有し、該エンクロージャ部分がその中に物品サポートを有し、前記エンクロージャ部分が外側表面を有し、この外側表面の上における火災の広がりを遅らせるための手段が前記外側表面の上に設けられているウェハーキャリア。
【請求項31】
前記火災の広がりを遅らせるための手段が、前記ポリカーボネートプラスチックの上に設けられた防火プラスチック材料の層を有し、この防火プラスチック材料の層が9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火災伝搬指数を有する請求項30記載のキャリア。
【請求項32】
前記防火プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項31記載のキャリア。
【請求項33】
前記防火プラスチック材料がポリエーテルイミドである請求項32記載のキャリア。
【請求項34】
前記エンクロージャが、開口した前部と、この開口した前部をシールするためにエンクロージャと選択的に係合可能なドアとを有し、前記ドアが9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された外側表面を有する請求項30記載のキャリア。
【請求項35】
前記ドアがポリカーボネートプラスチックから形成されており、前記外側表面が防火プラスチック材料の別の層を有し、この防火プラスチック材料が9.0(m/s 1/2)(kW/m)−2/3以下の火災伝搬指数を有する請求項34記載のキャリア。
【請求項36】
前記防火プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項31記載のキャリア。
【請求項37】
前記防火プラスチック材料の別の層が前記外側表面の上に成形されている請求項31記載のキャリア。
【請求項38】
前記防火プラスチック材料の別の層が、別のシールドパネルとして成形され、接着剤あるいは複数のファスナで前記外側表面へ取り付けられている請求項31記載のウェハーキャリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上部と、底部と、一対の対向する側部と、背部と、開口した前部と、複数のウェハーサポートとを有する、ポリカーボネートプラスチックからほぼ形成されたエンクロージャ部分であって、前記ウェハーサポートは複数のスロットを提供し、各スロットは半導体ウェハーを受け入れるのに適合してなる、エンクロージャ部分と、
前記開口した前部を閉じるためのドアとを有し、前記ドアが、ポリイミドと、ポリエーテルイミドと、ポリアミドイミドと、ポリケトンと、ポリエーテルケトンと、ポリエーテルエーテルケトンと、ポリエーテルケトンケトンと、ポリエーテルスルフォンと、ポリテトラフルオロエチレンとから成るプラスチック材料のグループから選択されたプラスチック材料からほぼ形成された外側表面を有し、前記プラスチック材料が、9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火災伝搬指数を有し、
それにより前記外側表面部分が火災の垂直方向の伝搬に対して比較的遅延性を有しているウェハーキャリア。
【請求項2】
前記ドアの前記外側表面部分がポリエーテルイミドプラスチックから形成されている請求項1記載のウェハー容器
【請求項3】
前記ドアの前記外側表面部分がポリエーテルエーテルケトンプラスチックから形成されている請求項1記載のウェハー容器
【請求項4】
前記ドアの前記外側表面部分が前記ドアの外側パネルから成っている請求項1記載のウェハー容器
【請求項5】
前記ドアの前記外側表面部分が、ポリカーボネートプラスチックの層の上に設けられた防火プラスチック層から成っている請求項1記載のウェハー容器
【請求項6】
前記ウェハーキャリヤの前記ドアは防火プラスチック層ポリカーボネートプラスチックの層の上に成形することを含むプロセスによってつくられていて、前記防火プラスチック層が前記ドアの外側表面部分を形成する請求項1記載のウェハー容器
【請求項7】
前記ウェハーキャリヤの前記ドアは、防火プラスチックからつくられたシールドパネルを前記ドアに接着剤で取り付けるプロセスによってつくられていて、前記シールドパネルが前記ドアの外側表面部分を形成する請求項1記載のウェハー容器
【請求項8】
前記ウェハーキャリヤの前記ドアは、シールドパネルを前記ドアに複数のファスナで取り付けるプロセスによってつくられていて、前記シールドパネルが前記ドアの外側表面部分を形成する請求項1記載のウェハー容器
【請求項9】
外側表面を有するエンクロージャを有し、このエンクロージャがその中に物品サポートを有し、エンクロージャが、ほぼポリカーボネートプラスチックから形成された第1の部分と、9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された第2の部分とを有し、第2の部分がほぼ垂直であって少なくともエンクロージャの外側表面の部分を形成しており、それによりこの外側表面部分が火炎の垂直方向の伝搬に対して比較的遅延性を有している物品用キャリア。
【請求項10】
前記防火プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るプラスチック材料のグループから選択される請求項9記載のキャリア。
【請求項11】
前記防火プラスチック材料がポリエーテルイミドである請求項10記載のキャリア。
【請求項12】
前記防火プラスチック材料がポリエチルエチルケトンである請求項10記載のキャリア。
【請求項13】
前記エンクロージャが、開口した前部と、この開口した前部をシールするためにエンクロージャと選択的に係合可能なドアとを有し、前記ドアが9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された外側表面を有する請求項9記載のキャリア。
【請求項14】
前記第1の部分が、ポリカーボネートプラスチックから成る内側層と、この内側層の上に設けられた防火プラスチック材料から成る外側層とを有する請求項9記載のキャリア。
【請求項15】
当該キャリアが前記内側層の上に防火プラスチックの層を成形することにより前記外側層を形成することを含むプロセスによってつくられている請求項14記載のキャリア。
【請求項16】
前記ドアは、シールドパネルを前記内側パネルに接着剤によって取り付けて前記外側表面部分をつくることを含むプロセスによってつくられている請求項9記載のキャリア。
【請求項17】
削除
【請求項18】
前記物品サポートが複数のウェハー保持棚を有する請求項9記載のキャリア。
【請求項19】
キャリアの外側にキネマティックカップリングを有する請求項9記載のキャリア。
【請求項20】
前記キャリアがSMIFポッドである請求項9記載のキャリア。
【請求項21】
前記キャリアが搬送用容器である請求項9記載のキャリア。
【請求項22】
前記キャリアがWIPボックスである請求項9記載のキャリア。
【請求項23】
前記キャリアが、防火プラスチック材料から形成されたオーバーハング状のリップ部分を有する請求項9記載のキャリア。
【請求項24】
防火性で前部開口式の一体ポッド型のウェハーキャリアを製造する方法であって、
少なくとも上部と、底部と、一対の対向する側部と、背部と、開口した前部と、複数のウェハーサポートとを有する、エンクロージャ部分であって、前記ウェハーサポートは複数のスロットを提供し、各スロットは半導体ウェハーを受け入れるのに適合してなる、エンクロージャ部分を、ポリカーボネートプラスチックからほぼ形成することと、
前記開口した前部を閉じるためのドアを形成することと、
を有し、前記ドアが、9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火炎伝搬指数を有するプラスチック材料から成る外側表面部分を有する方法。
【請求項25】
前記ドアが外側パネルを有し、前記外側表面部分を前記外側パネルの上に成形する段階をさらに有する請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記ドアが外側パネルを有し、防火性の層部材を成形する段階と、この層部材を前記外側パネルへ取り付ける段階をさらに有する請求項24記載の方法。
【請求項27】
外側表面を有するエンクロージャ部分を有し、該エンクロージャがほぼポリカーボネートプラスチックから形成された第1の部分を有する物品用のキャリアの防火性を改善する方法であって、前記第1の部分の外側表面の少なくとも一部に、9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火炎伝搬指数を有するプラスチック材料の層を重ねて、前記プラスチック材料の層がエンクロージャの外側表面の少なくとも一部を形成するようにする方法。
【請求項28】
前記プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記プラスチック材料を別のシールドパネルに成形し、このシールドパネルを前記ドアへ取り付ける段階を有する請求項27記載の方法。
【請求項30】
ほぼポリカーボネートプラスチックから形成されたエンクロージャ部分を有し、該エンクロージャ部分がその中に物品サポートを有し、前記エンクロージャ部分が外側表面を有し、この外側表面の上における火災の広がりを遅らせるための手段が前記外側表面の垂直部分上に設けられているウェハーキャリア。
【請求項31】
前記火災の広がりを遅らせるための手段が、前記ポリカーボネートプラスチックの上に設けられた防火プラスチック材料の層を有し、この防火プラスチック材料の層が9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火災伝搬指数を有する請求項30記載のキャリア。
【請求項32】
前記防火プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項31記載のキャリア。
【請求項33】
前記防火プラスチック材料がポリエーテルイミドである請求項32記載のキャリア。
【請求項34】
前記エンクロージャが、開口した前部と、この開口した前部をシールするためにエンクロージャと選択的に係合可能なドアとを有し、前記ドアが9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火炎伝搬指数を有する防火プラスチック材料から形成された外側表面を有する請求項30記載のキャリア。
【請求項35】
前記ドアがポリカーボネートプラスチックから形成されており、前記外側表面が防火プラスチック材料の別の層を有し、この防火プラスチック材料が9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火災伝搬指数を有する請求項34記載のキャリア。
【請求項36】
前記防火プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項31記載のキャリア。
【請求項37】
前記キャリアは防火プラスチック材料の別の層前記外側表面の上に成形することを含むプロセスによってつくられている請求項31記載のキャリア。
【請求項38】
前記キャリアは前記防火プラスチック材料の別の層、別のシールドパネルとして成形、接着剤あるいは複数のファスナで前記外側表面の垂直部分へ取り付けることを含むプロセスによってつくられている請求項31記載のウェハーキャリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンクロージャ部分とドアとを有し、エンクロージャ部分はポリカーボネートプラスチックからほぼ形成されていて、少なくとも上部と、底部と、一対の対向する側部と、背部と、ドアを受け入れるためのドアフレームを形成する開口した前部と、複数のウェハーサポートと、エンクロージャ部分の底部のキネマティックカップリングとを有し、前記ウェハーサポートは複数のスロットを提供し、各スロットは半導体ウェハーを受け入れるのに適合しており、前記ドアは、
前記開口した前部をシール状態で閉じるためにドアフレーム内に受容可能であって、外面と内面と周部とを有し、また、前記ドアは、
前記ドアがドアフレーム内に受容されたときにエンクロージャ部分を外部からロボット操作可能な少なくとも一つのラッチ機構と、
ドアの内面のウェハークッション部とを有し、該ウェハークッション部はドアがドアフレームに受容されたときに半導体ウェハーに係合してクッションを与えるように適合されており、
前記ドアの外面が、ポリイミドと、ポリエーテルイミドと、ポリアミドイミドと、ポリケトンと、ポリエーテルケトンと、ポリエーテルエーテルケトンと、ポリエーテルケトンケトンと、ポリエーテルスルフォンと、ポリテトラフルオロエチレンとから成るプラスチック材料のグループから選択されたプラスチック材料からほぼ形成されたを有し、前記が、9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火災伝搬指数を有し前記外面部分が火災の垂直方向の伝搬に対して比較的遅延性を有している、半導体ウェハーをほぼ水平方向に保持するためのシール可能なウェハーキャリア。
【請求項2】
前記ドアの前記外面の前記層がポリエーテルイミドプラスチックから形成されている請求項1記載のウェハーキャリア
【請求項3】
前記ドアの前記外面の前記層がポリエーテルエーテルケトンプラスチックから形成されている請求項1記載のウェハーキャリア
【請求項4】
削除
【請求項5】
前記ドアの前記内面がポリカーボネートプラスチックから成っている請求項1記載のウェハーキャリア
【請求項6】
前記ウェハーキャリヤの前記ドアは防火プラスチック層をポリカーボネートプラスチックの前記層の上に成形することを含むプロセスによってつくられていて、前記防火プラスチック層が前記ドアの外面を形成する請求項1記載のウェハーキャリア
【請求項7】
前記ウェハーキャリヤの前記ドアは、防火プラスチックからつくられたシールドパネルを前記ドアに接着剤で取り付けるプロセスによってつくられていて、前記シールドパネルが前記ドアの外面を形成する請求項1記載のウェハーキャリア
【請求項8】
前記ウェハーキャリヤの前記ドアは、シールドパネルを前記ドアに複数のファスナで取り付けるプロセスによってつくられていて、前記シールドパネルが前記ドアの外面を形成する請求項1記載のウェハーキャリア
【請求項9】
削除
【請求項10】
削除
【請求項11】
削除
【請求項12】
削除
【請求項13】
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【請求項14】
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【請求項15】
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【請求項16】
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【請求項17】
削除
【請求項18】
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【請求項19】
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【請求項20】
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【請求項21】
削除
【請求項22】
削除
【請求項23】
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【請求項24】
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【請求項25】
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【請求項26】
削除
【請求項27】
各々がポリカーボネートプラスチックからほぼつくられたエンクロージャ部分とドアとを有し、エンクロージャ部分は、少なくとも上部と、底部と、一対の対向する側部と、背部と、ドアを受け入れるためのドアフレームを形成する開口した前部と、エンクロージャ部分内の複数のウェハーサポートと、エンクロージャ部分の底部のキネマティックカップリングとを有し、前記ウェハーサポートは複数のスロットを提供し、各スロットは半導体ウェハーを受け入れるのに適合しており、
前記ドアは、前記開口した前部をシール状態で閉じるためにドアフレーム内に受容可能であって、外面と内面と周部とを有し、また、前記ドアは、
前記ドアがドアフレーム内に受容されたときにエンクロージャ部分を外部からロボット操作可能な少なくとも一つのラッチ機構と、
ドアの内面のウェハークッション部とを有し、該ウェハークッション部はドアがドアフレームに受容されたときに半導体ウェハーに係合してクッションを与えるように適合されている、
半導体ウェハーをほぼ水平方向で保持するためのキャリアの防火性を改善する方法であって、前記ドアの外面の少なくとも一部に、9.0(m/s 1/2)(kW/m)-2/3以下の火炎伝搬指数を有するプラスチック材料の層を重ねて、前記プラスチック材料の層がドアの外面の少なくとも一部を形成するようにする方法。
【請求項28】
前記プラスチック材料が、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルスルフォン、及びポリテトラフルオロエチレンから成るグループから選択される請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記プラスチック材料の層を別のシールドパネルとして成形し、このシールドパネルを前記ドアへ取り付ける段階を有する請求項27記載の方法。
【請求項30】
削除
【請求項31】
削除
【請求項32】
削除
【請求項33】
削除
【請求項34】
削除
【請求項35】
削除
【請求項36】
削除
【請求項37】
削除
【請求項38】
削除


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−505921(P2006−505921A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−519941(P2004−519941)
【出願日】平成15年7月7日(2003.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/021161
【国際公開番号】WO2004/005163
【国際公開日】平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願人】(500481330)エンテグリス・インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】