説明

防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体、これを用いた防火ガラス組立体、及びその製造方法

【課題】透明性を維持するとともに、遮炎及び遮熱性能がよく、長時間耐候性及び耐久性にも優れ、防火ガラス用防火物質としての使用に適合した有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体、これを防火物質として用いた防火ガラス組立体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】アクリル単量体、金属アルコキシドゾル溶液、水溶性塩、りん系化合物、シランカップリング剤、第4級アンモニウム塩、重合開始剤、及び水を含む防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体、これを防火ガラス組立体、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火ガラスに用いられる有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体、これを用いた防火ガラス組立体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防火ガラスは、火災の際、火炎が建物の内部に伝播することを防ぐための用途として用いられるガラスを言う。
このような防火ガラスは、通常、2枚以上のガラスと、その内部に防火物質を満たして製造され、ガラスの種類としては、板ガラスまたは強化ガラスを用いているが、板ガラスの場合は、外部からの衝撃に弱いという短所があり、強化ガラスは、透明性が要求される目的には適するが、様々な外部環境に対応するための機能性を要求する状況には適応できないことがある。
【0003】
防火ガラスに用いられる防火物質は、防火性能と外観特性に優れていなければならない。すなわち、火炎に露出したとき、防火物質に含有された水の気化程度と、防火物質の断熱層の形成能力により、防火性能が左右されるので、防火物質が要求される防火性能を満足するためには、水含量が十分高くなければならず、加熱過程で形成された断熱層の保存能力に優れていなければならない。また、一定水準のガラスとの接着力及び自立が可能でなければならない。また、外観特性に要求される物性としては、枚葉ガラスと同レベルの透明性と、事物が歪んで見える光学的歪み現象が生じてはならない。また、低温及び高温安定性が確保されなければならず、光による変色が生じてはならない等、高い水準の物理的及び化学的特性が要求される。
【0004】
従来、防火物質に用いられる樹脂組成物としては、主成分が有機高分子であるヒドロゲルと無機物成分であるシリケートヒドロゲルが主に用いられている。有機高分子ヒドロゲルは、水の含量が無機物ヒドロゲルに比べて高いという長所があるが、熱により分解しやすいという短所がある。このような短所を補完するために、樹脂層を厚くする技術があるが、これにより、均質な反応が困難となるという問題があった。樹脂層が厚ければ、樹脂層の不均一な反応により、防火ガラスの反対側の事物が歪んでみえる視覚的変形が生じる可能性が高く、樹脂層の内部の不均一な反応により、火炎に露出したとき、局部的に温度が上昇することが有り得る。また、無機物ヒドロゲルは、原材料が無機物であり、水の含量が少ないため、加熱初期に加熱反対側の温度が急上昇する短所があり、原材料が高価であり、固形分の含量が高く、製品の単価が上昇し、工程上、樹脂組成物の粘度が高く、常温安定性が低く、特別な注意と設備が必要であり、製造工程が複雑であるという問題があった。
【0005】
樹脂組成物を用いた防火ガラス組立体の例としては、特許文献1及び特許文献2等に示すように、スペーサで互いに分離された2つ以上のガラス板間の空間に樹脂組成物を満たして製造する方法を用いている。このように防火物質として用いられるためには、樹脂組成物が、空間の厚さと形態にかかわらず、容易に注入され得なければならない。
このような防火物質に用いられる樹脂組成物の例としては、上記した特許文献1に、水溶性塩、アクリル単量体、水、及び腐食防止剤を含む構成が提案され、また特許文献3には、水溶性塩、アクリル単量体、及び架橋性難燃剤等を含む構成が提案されている。
【0006】
しかしながら、これらの特許に提案されている組成物は、主成分として有機高分子を用いるため、無機物を主成分とするヒドロゲルに比べて難燃性が低下し、一定水準の防火性能を発揮するためには、樹脂層の厚さを厚くしなければならず、これにより、製品の重さが重くなるという問題があった。また、製品の製造過程において、樹脂層の厚さが厚くなるほど、樹脂層の内部への熱伝達の偏差が大きいので、不均一な反応で事物が歪んで見える光学的歪み現象が発生する可能性が高いという問題があった。
【0007】
特許文献4には、樹脂組成物として無機シリケートヒドロゲルを主成分として用いた防火ガラス組立体が提案されている。この特許において提案されたヒドロゲルは、無機物が主成分であるため、全体比重が高く、数枚のガラスを用いて複層ガラスを作るため、製品が重くなるという問題があり、ガラスとの接着力を向上させるために、ガラスの表面を別途の化合物でコートしなければならないという問題があった。また、シリケート主成分の樹脂組成物は、組成物そのものが粘性を有するので、常圧による注入が困難であり、脱泡工程が長くなるという問題があり、注入前、シリケート溶液の常温貯蔵安定性が低いので、特別な管理が必要であるという問題があった。
【0008】
特許文献5には、防火物質として用いられたシリケート樹脂化合物の混合溶液を一定程度に乾燥した後、ガラスの表面に塗布し、熱と圧力を用いて均一かつ透明な防火ガラスを製造する方法が提案されているが、乾燥過程及び複層作業のような製造工程が極めて複雑であり、樹脂層の水分含量が少なく、厚さが薄く、数層の樹脂層とガラスで構成されなければ防火機能を発揮できないという問題があった。
したがって、防火ガラスとしての要求特性、すなわち、透明性、遮炎性、及び遮熱性とともに、長時間耐久性及び耐候性等の物理化学的特性にも優れた防火物質、及びこれを用いた防火ガラスを簡単に製造することができる方法についての要求が高いと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,830,913号公報
【特許文献2】韓国特許公告1996‐005270号
【特許文献3】米国特許第2003/0004247号公報
【特許文献4】米国特許第5,565,273号公報
【特許文献5】米国特許第6,379,825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、透明性を維持するとともに、遮炎及び遮熱性能がよく、長時間耐候性及び耐久性にも優れ、防火ガラス用防火物質としての使用に適合した有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体、これを防火物質として用いた防火ガラス組立体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、重合性アクリル単量体3〜10質量%、金属アルコキシドゾル溶液1〜10質量%、水溶性塩5〜30質量%、りん系化合物0.5〜5質量%、シランカップリング剤0.01〜0.2質量%、第4級アンモニウム塩0.5〜3質量%、重合開始剤0.01〜1.0質量%、及び水40〜85質量%を含む防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体を提供する。
また、本発明は、前記有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体を防火物質として含む防火ガラス組立体を提供する。
また、本発明は、前記有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体を用いて防火ガラス組立体を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による防火物質である有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体は、金属アルコキシドゾル溶液とアクリル樹脂の有機・無機ハイブリッドヒドロゲルを用いることにより、防火性能が向上するとともに、リン系化合物の適切な使用により、防火ガラス組立体において要求されるヒドロゲルの基本的な物性、例えば、ゲル強度、ガラスとゲルとの間の接着力、及び光学的歪み現象が生じない、ガラス水準の透明性の確保が可能であるとともに、耐熱性、長期耐候性にも優れ、防火ガラス用防火物質として好適な特性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
本発明の有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体は、重合性アクリル単量体3〜10質量%、金属アルコキシドゾル溶液1〜10質量%、水溶性塩5〜30質量%、りん系化合物0.5〜5質量%、シランカップリング剤0.01〜0.2質量%、第4級アンモニウム塩0.5〜3質量%、重合開始剤0.01〜1.0質量%、及び水40〜85質量%とを含んで構成される。
【0014】
本発明において、前記重合性アクリル単量体は、防火組成物に用いられるアクリル単量体であれば特に制限がなく、具体的な例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチルアクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N‐メトキシメチルアクリルアミド、N‐n‐ブトキシメチルアクリルアミド、N‐イソブトキシメチルアクリルアミド、tert‐ブチルアクリルアミドスルホン酸、tert‐ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N‐イソブトキシメチルメタクリルアミド、及びN‐エトキシメチルメタクリルアミドからなる群より選ばれた1種以上が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明において、前記重合性アクリル単量体は、複合体の全量に対して3〜10質量%の範囲で含まれることが好ましい。3%未満の場合は、ヒドロゲルのゲル強度が低く、ゲルの形態維持が困難であり、これにより、ゲルとガラスの接着力が低下し、10%を超えると、ヒドロゲルのゲル強度は増加するものの、衝撃及び熱により割れやすいという現象が生じ、ゲルの内部にかすみが生じ、これによる光学的変形が発生してしまう。
【0016】
本発明において、前記金属アルコキシドの具体的な例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタニウムプロポキシド、チタニウムメトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムトリエトキシドからなる群より選ばれた1種以上のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、前記金属アルコキシドゾル溶液は、金属アルコキシド10〜40質量%、水50〜80質量%、及び触媒0.1〜10質量%を均質に混合して製造される。この際、触媒はリン酸を用いてもよい。
本発明において、前記金属アルコキシドゾル溶液は、複合体の全量に対して1〜10質量%の範囲で含まれることが好ましい。1質量%未満であれば、防火性能の増加効果がなく、10質量%を超えると、ゲル強度が極めて高く、防火性能を却って低下させる結果をもたらす。
【0017】
本発明において、前記水溶性塩の具体的な例としては、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、及び塩化バリウムからなる群より選ばれた1種以上を用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
本発明において、前記水溶性塩は、複合体の全量に対して5〜30質量%の範囲で含まれることが好ましい。5質量%未満であれば、防火性能が低下し、30質量%を超えると、ヒドロゲルの透明性が低下する。水溶性塩は、反応速度には大きな影響を与えず、消火時間を遅延させる効果があり、燃焼後に残った炭化膜の形態を維持するのに寄与する。
【0018】
本発明において、前記リン系化合物は、消火時間の向上と膨張特性の向上のような難燃剤としての特性のみならず、樹脂組成物の反応時間とゲル強度を調節する補助の役割をする。重合性アクリル単量体と架橋剤を一定量以上使用すると、ゲル強度の増加のような物性は向上するが、ゲルの内部にかすみが発生し、視覚的変形現象を引き起こしてしまう。防火ガラス組立体の防火物質である樹脂組成物は、熱により化学反応が生じるため、樹脂組成物の内部と外部の反応温度の差を減らすことが極めて難しいので、内外部の均一な反応を誘導するためには、反応条件に特に注意しなければならない。特に、樹脂組成物の均一な反応のためには、反応温度と反応時間も重要であるが、特にリン系化合物が極大の影響を及ぼす。すなわち、リン系化合物は、反応時間は遅延させ、樹脂組成物の反応後の強度を調節する役割をする。リン系化合物の使用により、局部的に観察されたかすみや反対側の事物が歪んでみえる光学的歪み現象のない樹脂組成物の製造が可能となる。
【0019】
本発明において、前記リン系化合物の具体的な例としては、トリエチルフォスフェイト、ジフェニルフォスフェイト、トリクレジルフォスフェイト、環状フォスフェイト、2‐メタクリロイルエチルフォスフェイト、エチレングリコールメタクリレートフォスフェイト、グアニジンフォスフェイト、及びリン酸からなる群より選ばれた1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、前記リン系化合物は、複合体の全量に対して0.5〜5質量%の範囲で含まれることが好ましい。0.5質量%未満であれば、防火性能が低下し、5質量%を超えると、ヒドロゲルの透明性が低下する。
【0020】
本発明において、前記シランカップリング剤は、ガラスとゲルの接着力を増加させる役割をし、このようなシランカップリング剤の具体的な例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、Y‐メタクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン、Y‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、Y‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、Y‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐β(アミノエチル)Y‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐β(アミノエチル)Y‐アミノプロピルメチルジエトキシシラン、及びY‐メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群より選ばれた1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明において、前記シランカップリング剤は、複合体の全量に対して0.01〜0.2質量%の範囲で含まれることが好ましい。0.01質量%未満であれば、ゲルとガラスの接着力が低く、外部の衝撃により、ゲルとガラスとの間に空き空間が生じ、防火ガラスの透明性及び防火性能が低下し、0.2質量%を超えると、ヒドロゲル水溶液との相溶性が低く、ゲルの透明性が低下する。
【0022】
本発明において、前記第4級アンモニウム塩は、ヒドロゲルの低温での透明性を増加させる役割をし、このような第4級アンモニウム塩の具体的な例としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選ばれた1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、前記第4級アンモニウム塩は、複合体の全量に対して0.5〜3質量%の範囲で含まれることが好ましい。0.5質量%未満であれば、低温状態での凍結安定性が低下し、3質量%を超えると、透明性の増大効果がこれ以上発揮しない。
【0023】
本発明において、前記重合開始剤は、複合体組成物を反応させてゲル化させる役割をし、このような重合開始剤の具体的な例としては、過硫酸塩ナトリウム、過硫酸塩カリウム、過硫酸塩アンモニウムからなる群から選ばれた1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明において、前記重合開始剤は、複合体の全量に対して0.01〜1.0質量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0024】
本発明による前記ヒドロゲル複合体は、架橋剤または触媒を1種以上さらに含むことにより、性能をさらに向上させることができる。
このような架橋剤の具体的な例としては、N,N‐メチレンビスアクリルアミドを用いてもよい。また、触媒の具体的な例としては、ジメチルアミノプロピロニトリル、ジエチルアミノプロピロニトリル、及びトリエタノールアミンからなる群から選ばれた1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本発明によって得られた有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体組成物を用いて防火ガラス組立体を製造する。
防火ガラス組立体は、2層〜5層の防火ガラスからなる組立体の空き空間に、前記有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体組成物を注入させた後、密封して35〜90℃で反応させてゲル化させることにより製造する。
前記防火ガラスは、2枚〜5枚の強化ガラスで構成されることが好ましく、より好ましくは、3層の強化ガラスで構成される。
【0026】
前記強化ガラスのうち、陽光に露出する最外側に用いられる強化ガラスは、一面が金属酸化物でコートされたlow‐Eガラスであることが好ましい。low‐Eガラスは、一般ガラスまたは強化ガラスの表面に長波長反射率の高い金属(一般に銀または錫化合物)をコートさせたガラスであり、室内外の熱移動を極小化させるガラスを言う。
本発明の防火ガラス組立体の最外側のガラスとしてlow‐Eガラスを用いると、一般の強化ガラスを用いたときよりも、防火物質の長時間安定性がさらに確保される。最外側のガラスとしてlow‐Eガラスを用いる場合は、金属コーティング面が室外側に向かうようにすることが好ましい。low‐Eガラスは、一般ガラスに比べて、放射率が極めて低いながらも、透明性が維持されるので、赤外線遮断効果に優れ、ガラスとガラスとの間の空間に満たされた樹脂層を保護する役割もする。すなわち、一般ガラスを用いる場合、室外に長時間露出すると、樹脂層が熱により変形及び変色することがあるが、low‐Eガラスを用いると、このような問題を解決することができる。しかしながら、本発明の範囲は、最外側のガラスとしてlow‐Eガラスのみならず、一般の強化ガラスを用いる場合も含む。
【0027】
本発明において、前記最外側に用いられる強化ガラスは、厚さが3〜6mmであり、内部の強化ガラスの厚さは、それぞれ3〜6mmであることが好ましい。前記範囲よりも薄ければ、物理的強度が弱くなり、前記範囲よりも厚ければ、重さが重くなり過ぎることがある。
本発明において、前記有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体で満たされるそれぞれの空間の厚さは、1〜12mmであることが好ましい。前記範囲よりも薄ければ、物理的強度が弱く、防火性能に劣り、前記範囲よりも厚ければ、重さが重くなり過ぎることがある。
【0028】
以下、本発明による有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体を用いた防火ガラス組立体の防火原理について例を挙げて詳述する。
本発明の一具現例において、防火ガラス組立体は、low‐Eガラスを含めて3枚の強化ガラスで構成されており、その中間に用いられた強化ガラスは、防火物質である樹脂組成物が熱または火花によって燃え残った炭化膜と共に、火花または熱を遮断する遮断壁の役割をする。燃焼過程において、樹脂組成物は、材質表面で炭化反応が起きて炭化膜がガラス表面を覆い、これにより内部への熱伝達を妨害し、内部まで熱分解されることを遅延または妨害する。
【0029】
防火ガラス組立体が火災により燃焼する過程は次の通りである。
加熱面に接する第一のガラスは、low‐Eガラスとして、燃焼過程で第一の樹脂組成物と分離され、直ちに壊れると共に下方に崩れてしまいが、これは、ガラスが短時間の間多くの熱に露出したからである。以降、第一の樹脂組成物層は徐々に燃えていき、熱により燃え残った灰は、形態を維持したまま、厚さだけが減ることになる。樹脂組成物が熱により燃焼しながら、形態を維持したまま、厚さだけが減ることは、防火物質である樹脂組成物の組成と密接な関連がある。
続いて、高温の熱が加えられながら、樹脂組成物は、灰の形態で残り、一定の炭化膜を形成する。炭化膜は落ちずに、第二の強化ガラスに付着しており、この炭化膜が、第二のガラスが直接的に熱または火花と接触することを遮断する役割をするようになる。若し、第一の樹脂組成物層が燃焼過程で全て消失して消え、または炭化膜が薄すぎると、第二のガラスは、直接的に熱または火花に露出し、このため第一のガラスと同様に、壊れながら崩れてしまう。このようになると、第二の樹脂組成物に直接的な熱または火花が加えられながら、加熱反対側の温度が基準値以上に上昇するようになる。第一の樹脂組成物層が燃え残った炭化膜と第二の強化ガラスが互いに断熱膜の役割をし、第二の樹脂組成物層に加えられる熱は小さくなり、したがって、加熱反対側の温度は、基準値以下に測定されることである。
【0030】
防火ガラス組立体に用いられた中間ガラスとして、強化させなかった板ガラスを用いると、上記のような一定厚さの炭化膜が存在しても、熱に弱い特性のため、板ガラスは崩れやすくなる。本発明による防火ガラス組立体の強化ガラスの構成により、防火物質である樹脂組成物層の厚さを小さくすることができ、したがって、製品の重さを減らす効果がある。第一の樹脂組成物層の厚さは、例えば、8〜12mmであり、第二の樹脂組成物層の厚さは、6〜8mmの範囲となるようにする。すなわち、本発明によるlow‐Eガラスと強化させた2枚のガラスで構成された防火ガラス組立体は、耐候安定性が極めて優れるとともに、防火性能に優れた特性を有する。
【0031】
本発明による防火ガラス組立体の防火物質は、有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体で構成されており、ガラスと同レベルの透明性と一定の機能の遮熱性能を発揮することを特徴とする。有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体は、金属アルコキシドゾル溶液、アクリル樹脂、水溶性塩、リン系化合物、シランカップリング剤、第4級アンモニウム塩、重合開始剤、及び水で構成される。ゾル‐ゲル工程により製造された金属アルコキシドゾル溶液とアクリル樹脂との有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体の使用により、防火ガラス組立体の防火性能を向上させ、リン系化合物の適切な調節で、防火ガラス組立体において要求されるヒドロゲルの基本的な物性、例えば、ゲル強度、ガラスとゲルとの間の接着力、及び光学的歪み現象のないガラスと同レベルの透明性を有する樹脂組成物の製造が可能である。
【0032】
本発明によるヒドロゲル複合体は、−20〜80℃で透明性に優れ、−20℃以下で凍結せず、ガラスと適当な接着力を維持し、ガラスと樹脂組成物層との間に気泡が生成せず、火災発生時、ガラスから脱離され、ゲルの形態を維持することにより、優れた防火性能を示す。また、本発明による有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体組成物は、空間の厚さと形態にかかわらずに製造可能な特徴を有しているので、透明ガラス窓や透明プラスチックのように、透明性が要求される組立体のみならず、木材や鉄製材質の防火戸または防火組立体の内部防火充填剤としての適用が可能である。このように、本発明による有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体組成物は、注入が可能であるとともに、防火が要求される内外装材防火組立体の防火物質としても活用可能性が高い。
【0033】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をさらに詳述する。これらの実施例は、本発明の内容を理解するために提示されるものであるだけで、本発明の権利範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例において、%は質量%を意味する。
[実施例1]
水66%、塩化ナトリウム7%、塩化カリウム2%、塩化マグネシウム8%、トリエチルフォスフェイト1.5%、リン酸1%、テトラメチルアンモニウムクロライド1%を反応容器に入れて溶かした後、アクリルアミド5%、N‐メチロールアクリルアミド1%、メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.1%、過硫酸塩ナトリウム0.02%、N,N‐メチレンビスアクリルアミド0.05%を加え、1次混合溶液を製造する。水70%にテトラエトキシシラン25%とリン酸5%を混合してアルコキシシランゾル溶液を製造する。1次混合溶液にアルコキシシランゾル溶液を7.33%加えた後、約1時間の間攪拌し、有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体溶液を製造する。水溶液を減圧脱泡した後、ガラス内部に注入し、80℃のオーブンで静置して、重合とゲル化反応を行わせる。
【0035】
[実施例2]
水67%、塩化ナトリウム7%、塩化マグネシウム10%、トリエチルフォスフェイト1.5%、テトラメチルアンモニウムクロライド1%を反応容器に入れて溶かした後、アクリルアミド5%、N‐メチロールアクリルアミド1%、メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.1%、過硫酸塩ナトリウム0.02%、N,N‐メチレンビスアクリルアミド0.05%を加え、1次混合溶液を製造する。水75%にテトラエトキシシラン20%とリン酸5%を混合してアルコキシシランゾル溶液を製造する。1次混合溶液にアルコキシシランゾル溶液を7.33%加えた後、約1時間の間攪拌し、有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体溶液を製造する。水溶液を減圧脱泡した後、ガラス内部に注入し、80℃のオーブンで静置して、重合とゲル化反応を行わせる。
【0036】
[比較例1]
水74.33%、塩化ナトリウム7%、塩化カリウム2%、塩化マグネシウム8%、トリエチルフォスフェイト1.5%、テトラメチルアンモニウムクロライド1%を反応容器に入れて溶かした後、アクリルアミド5%、N‐メチロールアクリルアミド1%、メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.1%、過硫酸塩ナトリウム0.02%、N,N‐メチレンビスアクリルアミド0.05%を加え、混合溶液を製造する。混合溶液を減圧脱泡した後、ガラス内部に注入し、80℃のオーブンで静置して、重合とゲル化反応を行わせる。
【0037】
[比較例2]
水69%、塩化ナトリウム7%、塩化カリウム2%、塩化マグネシウム8%、テトラメチルアンモニウムクロライド1%を反応容器に入れて溶かした後、アクリルアミド5%、N‐メチロールアクリルアミド1%、メタクリロキシプロピルメトキシシラン0.1%、過硫酸塩ナトリウム0.02%、N,N‐メチレンビスアクリルアミド0.05%を加え、1次混合溶液を製造する。水70%にテトラエトキシシラン25%とリン酸5%を混合してアルコキシシランゾル溶液を製造する。1次混合溶液にアルコキシシランゾル溶液を5.3%加えた後、約1時間の間攪拌し、有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体溶液を製造する。水溶液を減圧脱泡した後、ガラス内部に注入し、80℃のオーブンで静置して、重合とゲル化反応を行わせる。
【0038】
性能評価
(1)防火試験
上記した実施例と比較例において作製された有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体の耐熱性の評価のために防火試験を行い、試験結果を表1に示した。
防火試験のための防火ガラス組立体の大きさは、1,700mm×900mmであり、複層構造は、6mm厚さのlow‐Eガラス1枚と5mm厚さの強化ガラス2枚を用いて、三重窓を作製し、ガラス窓の全厚さは34mmである。耐火試験による試験体の防火性能と遮熱性の測定のための裏面の平均及び最高上昇温度の測定結果を下記の表1に示した。防火試験は、A‐60等級窓に対して、IMO Res.A.754(18):1993の試験方法により耐火試験を行い、試験時間基準は60分であり、遮熱性評価のための基準として、裏面平均上昇温度基準と裏面最高上昇温度基準があり、加熱中、試験体の裏面に設置した熱電対の測定温度が、初期平均温度よりも140℃を超えて上昇してはならず、また、それぞれの熱電対で測定される裏面の最高上昇温度が180℃を超えてはならない。それぞれの試験は60分間進行され、試験進行中、ガラスの破損により火花が加熱反対面に露出する場合、直ちに試験を中断した。
【0039】
【表1】

【0040】
それぞれの実施例と比較例についての防火試験の結果、実施例1と実施例2は、加熱反対面の平均上昇温度及び最高上昇温度が試験規格以下に測定され、A‐60防火窓の試験規定を満足した。比較例2による防火試験では、55分に加熱反対面の最高上昇温度が203℃と観測され、基準値140℃を超えるものと測定された。比較例3による防火試験では、時間が50分経過したとき、加熱反対面の平均上昇温度及び最高上昇温度が基準値よりも高く観測された。
【0041】
(2)物性評価
有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体で構成された防火ガラス組立体の物性をISO‐12543‐4(Glass in building‐Laminated glass and Laminated safety glass)に準じて評価した。試験方法は、高温試験、湿度試験、及び輻射試験を行い、実験方法及び結果を下記の表2に示した。試片の大きさは、300×300mmである。
【0042】
【表2】

【0043】
防火性能とは別途に、防火ガラスの耐久性及び耐候性を評価するためのものであって、実施例1と実施例2を用いて高温特性、湿度特性、輻射特性等を観察し、観測結果、実験前と実験後の防火ガラス製品には変化がないものと評価された。
【0044】
(3)低温試験
低温試験は、零下の温度で、防火ガラス内部の樹脂層が透明な状態を維持する温度を測定するものであって、防火ガラス組立体単独と防火ガラス組立体を複層構造に作製し、−65℃まで使用可能な低温チェンバに、一面は低温チェンバの内部を向け、他面は室内(20℃)に向けて装着する。試験は、実施例1を基準としており、この際、試片の大きさ(横×縦)は550×850mmである。防火ガラス組立体単独の場合は、−20.3℃まで透明な状態を維持し、複層構造の防火ガラス組立体は−60℃まで、元の透明な状態を示した。
【0045】
(4)振動試験
防火ガラス内部の樹脂層とガラスの接着力を評価するために振動試験を行い、その基準は、U.S.NAVY MIL‐STD‐167‐1(Mechanical Vibrations of Shipboard Equipment(Type I, Environmental Vibration)に準じて評価しており、試験は、実施例1を基準として試片の大きさ(横×縦)は550×850mmである。振動試験の評価結果、ガラスと樹脂層の分離は、全体領域において発生しなかった。
【0046】
以上、詳述したように、本発明より、防火ガラス組立体は強化ガラスで構成されており、ガラスとガラスとの間の空き空間は防火物質層であり、防火物質は、有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体として、重合性アクリル単量体、水溶性塩、リン系化合物、シランカップリング剤、第4級アンモニウム塩、重合開始剤、金属アルコキシドゾル溶液、及び水からなる組成物をゲル化させて得られた複合体で構成されている。作製された防火ガラスを評価した結果、60分防火性能を満足させ、防火ガラス用樹脂に適合するものと評価され、その他の高温試験、湿度試験、また輻射試験の評価では、元の製品状態を維持しており、振動試験においてガラスと樹脂層の接着力が優れたものと評価され、低温試験でも優れた結果を示し、防火ガラス組立体としての適用に好適であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性アクリル単量体3〜10質量%、金属アルコキシドゾル溶液1〜10質量%、水溶性塩5〜30質量%、りん系化合物0.5〜5質量%、シランカップリング剤0.01〜0.2質量%、第4級アンモニウム塩0.5〜3質量%、重合開始剤0.01〜1.0質量%、及び水40〜85質量%を含む防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項2】
前記重合性アクリル単量体は、アクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチルアクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N‐メトキシメチルアクリルアミド、N‐n‐ブトキシメチルアクリルアミド、N‐イソブトキシメチルアクリルアミド、tert‐ブチルアクリルアミドスルホン酸、tert‐ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N‐イソブトキシメチルメタクリルアミド、及びN‐エトキシメチルメタクリルアミドからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項3】
前記金属アルコキシドは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、チタニウムプロポキシド、チタニウムメトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、及びアルミニウムトリエトキシドからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項4】
前記金属アルコキシドゾル溶液は、金属アルコキシド10〜40質量%、水50〜80質量%、及び触媒0.1〜10質量%を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項5】
前記水溶性塩は、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、及び塩化バリウムからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項6】
前記リン系化合物は、トリエチルフォスフェイト、ジフェニルフォスフェイト、トリクレジルフォスフェイト、環状フォスフェイト、2‐メタクリロイルエチルフォスフェイト、エチレングリコールメタクリレートフォスフェイト、グアニジンフォスフェイト、及びリン酸からなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項7】
前記シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、Y‐メタクリロキシプロピルメチルトリエトキシシラン、Y‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、Y‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、Y‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐β(アミノエチル)Y‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐β(アミノエチル)Y‐アミノプロピルメチルジエトキシシラン、及びY‐メルカプトプロピルトリメトキシシランからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項8】
前記第4級アンモニウム塩は、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドからなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項9】
前記重合開始剤は、過硫酸塩ナトリウム、過硫酸塩カリウム、及び過硫酸塩アンモニウムからなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項10】
架橋剤または触媒を1種以上さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項11】
前記架橋剤は、N,N‐メチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする請求項10に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項12】
前記触媒は、ジメチルアミノプロピロニトリル、ジエチルアミノプロピロニトリル、及びトリエタノールアミンからなる群から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項10に記載の防火ガラス用有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか一項記載の有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体を含む防火ガラス組立体。
【請求項14】
前記防火ガラスは、2枚〜5枚の強化ガラスで構成されており、ガラスとガラス間の空間が前記有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体で満たされたことを特徴とする請求項13に記載の防火ガラス組立体。
【請求項15】
前記強化ガラスのうち最外側に用いられる強化ガラスは、一面が金属酸化物でコートされたlow‐Eガラスであることを特徴とする請求項14に記載の防火ガラス組立体。
【請求項16】
前記強化ガラスのうち最外側に用いられる強化ガラスは、厚さが3〜6mmであり、内部強化ガラスの厚さは、それぞれ3〜6mmであることを特徴とする請求項14に記載の防火ガラス組立体。
【請求項17】
前記有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体で満たされるそれぞれの空間の厚さは、1〜12mmであることを特徴とする請求項14に記載の防火ガラス組立体。
【請求項18】
請求項1ないし12のいずれか一項記載の有機・無機ハイブリッド透明ヒドロゲル複合体を、2層〜5層の防火ガラスからなる組立体の空き空間に注入させた後、密封して35〜90℃で反応させてゲル化させることを含む防火ガラス組立体の製造方法。

【公開番号】特開2011−116948(P2011−116948A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226566(P2010−226566)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(510267029)サムゴン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】