説明

防犯センサ

【課題】検知対象物体の移動方向や位置に関わらず常に的確な検知を行うことができる信頼性の高い防犯センサを提供する。
【解決手段】検知エリアに向けてマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体からの反射波を受信して、その物体までの距離に対応する距離情報を出力するとともに、その物体の方向情報を出力するマイクロウエーブセンサ320と、これによって得られる2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて前記物体の移動パターンを認識し、その移動パターンに基づいて前記検知エリア内に検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段332と、この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段333とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロウエーブセンサを内蔵する防犯センサに関し、特に、誤報の発生を極力回避して信頼性を向上させた防犯センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯装置の一つとして、マイクロ波を検知エリアに向けて送信し、検知エリア内に人体(侵入者)が存在する場合には、その人体からの反射波(ドップラー効果によって変調したマイクロ波)を受信して人体を検知するマイクロウエーブセンサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
さらに、マイクロウエーブセンサの1タイプとして、周波数の異なる複数のマイクロ波を利用して検知エリア内に存在する人体などの検知対象物体までの距離を計測するようにしたものも提案されている。この種のセンサは、例えば周波数の異なる2種類のマイクロ波を検知エリアに向けて送信し、それぞれの反射波に基づく2つのIF信号の位相差を検出するようになっている。この位相差は、検知対象物体までの距離に相関があり、検知対象物体までの距離が大きいほど位相差も大きくなる傾向がある。つまり、この位相差を求めることにより検知対象物体までの距離を計測することが可能である。また、この位相差の時間的な変化を認識することにより検知エリア内の検知対象物体が移動しているか否かを判定することも可能である。これにより、例えば検知エリア内で移動している検知対象物体のみを識別することが可能になる。
【0004】
ところで、この種のセンサを防犯用センサとして使用し、上記位相差の時間的な変化を認識して、検知エリア内で移動している検知対象物体のみを認識するようにした場合、次のような問題点があった。例えば、屋外に設置した場合に、風による草木などの揺れによってその草木などを検知対象物体であると誤検知して誤報を発してしまう可能性がある。同様に、屋内に設置した場合には、換気用のファンの回転動作や、風によるブラインドやカーテンの揺れ、あるいはマイクロウエーブセンサ自体の振動などによっても人体以外の物体(非検知対象物体)を検知対象物体であると誤検知して誤報を発してしまう可能性があった。
【0005】
そこで、本発明の発明者は、人体などの検知対象物体と人体以外の非検知対象物体との判別を正確に行って誤報を回避する技術について既に提案している(特許文献2参照。)。
【0006】
この提案は、各反射波に基づいて検知エリア内に存在する物体までの相対距離の単位時間当たりの変化量を計測し、その変化量が所定の閾値以上であるときにのみ、その物体を検知対象物体であると判定するものである。つまり、風によって揺れている草木や回転しているファンなどは移動距離が僅かであるのに対し、人体などの検知対象物体では移動距離が大きくなるので、その差を認識することで検知対象物体であるか否かを的確に判定するようにしている。なお、以下の説明では、このような誤報防止対策を「草木対策」、上記の閾値を「草木対策レベル」と記すこととする。
【特許文献1】特開平7−37176号公報
【特許文献2】特開2003−207462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述のようなマイクロウエーブセンサでは、送受信アンテナとして比較的指向性の広いものをその送受信方向を固定して使用しているため、本来の検知対象物体である侵入者などを必ずしも正確に検知できない可能性があった。例えば、雨、昆虫などの接近、設置場所やマイクロウエーブセンサ自体の振動などによって影響を受け、誤報などを生じる場合があった。
【0008】
また、上述の「草木対策」を施した場合、検知対象物体がマイクロウエーブセンサに正対する方向とは直交する方向に移動すると、検知対象物体までの距離が大きく変化しないことがあり、検知対象物体の検知ができないいわゆる「失報」を生じることもあった。特に、窓際やフェンス際などの警戒を行う場合に、設置方向によってこれが軽視できない問題になることもあった。
【0009】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、検知対象物体の移動方向や位置に関わらず常に的確な検知を行うことができる信頼性の高い防犯センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の防犯センサは、検知エリアに向けて周波数の異なる複数のマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体からの前記マイクロ波それぞれの反射波を受信して、その物体までの距離に対応する距離情報を出力するマイクロウエーブセンサと、このマイクロウエーブセンサによる前記複数のマイクロ波の送受信方向を所定角度範囲内で変更可能な方向可変アンテナ装置と、この方向可変アンテナ装置に対して前記送受信方向の前記所定角度範囲内にわたる走査を指示するとともにその走査中に前記距離情報を監視することにより、物体が存在する方向情報とその物体までの距離情報とからなる2次元物体位置情報を求める走査測定手段と、この走査測定手段によって求められる前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて前記物体の移動パターンを認識し、その移動パターンに基づいて前記検知エリア内に検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段と、この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記方向可変アンテナ装置としては、例えばフェイズドアレーアンテナが挙げられるが、これに限るものではない。また、前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められる前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であれば、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。
【0012】
このような構成の防犯センサによれば、侵入者の移動方向に関わらず常に的確な検知が可能となり、防犯センサとしての信頼性を高めることができる。
【0013】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められた前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であって、かつ、前記2次元物体位置情報の時間的な変化が連続的であった場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。さらに、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて得られる移動速度が所定速度範囲内であることをこの判別条件に加えてもよい。
【0014】
このような構成の防犯センサによれば、誤報をさらに抑制して防犯センサとしての信頼性を一層高めることができる。
【0015】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を中心とする第1の所定幅の領域を前記物体が横切ったと認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。なお、前記第1の所定幅は可変としてもよいし、この防犯センサからの距離に応じて可変としてもよい。
【0016】
このような構成の防犯センサによれば、この防犯センサに対向する方向とは直交する方向の動きについても的確な検知が可能となり、防犯センサとしての信頼性を高めることができる。
【0017】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を含む第2の所定幅の領域を前記物体が横切り、かつ、前記物体がその後の所定時間以上もこの領域境界近傍に留まっていると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。なお、前記第2の所定幅は可変としてもよい。
【0018】
このような構成の防犯センサによれば、侵入者の典型的な挙動に基づいて検知を行うことができるので、例えば、小動物などが偶発的に接近したことによる誤報などを極力防止することが可能になる。
【0019】
また、前記防犯センサにおいて、さらに、前記検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて前記検知エリア内の検知対象物体の存在を示す赤外線検知信号を出力する受動型赤外線センサを備え、前記警告信号出力制御手段は、この受動型赤外線センサの有効な赤外線検知領域の位置情報を記憶しており、この情報および前記2次元物体位置情報に基づいて前記検知対象物体が前記赤外線検知領域の内部にあると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。
【0020】
このような構成の防犯センサによれば、前記マイクロウエーブセンサの検知エリアと前記受動型赤外線センサの有効な赤外線検知領域とが完全には重なっていないことによる誤報や失報を生じる可能性を極力抑えて、コンビネーションセンサとしての信頼性を高めることが可能となる。
【0021】
あるいは、本発明の防犯センサは、検知エリアに向けてマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体からの前記マイクロ波の反射波を受信して、その物体までの距離に対応する距離情報を出力するとともに、その物体の方向情報を出力するマイクロウエーブセンサと、このマイクロウエーブセンサから出力される前記距離情報および前記方向情報によって得られる2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて前記物体の移動パターンを認識し、その移動パターンに基づいて前記検知エリア内に検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段と、この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段とを備えることことを特徴としてもよい。
【0022】
ここで、前記マイクロウエーブセンサとしては、受信用に複数のアンテナを用いるモノパルス方式によってその物体の方向情報を出力するものが挙げられる。具体的には、例えば、受信用にビームの一部が重なり合う複数のアンテナを用いる振幅比較モノパルス方式によるものや、位相比較モノパルス方式によるものが挙げられる。なお、これらのモノパルス方式は、1つのビーム位置における1つのパルス(モノパルス)を処理するものである。
【0023】
このような構成の防犯センサによれば、侵入者の移動方向および位置に関わらず常に的確な検知が可能となり、反射波の時間的変動や妨害波による影響なども受けにくく、誤報や失報を極力回避して防犯センサとしての信頼性をさらに高めることができる。
【0024】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められる前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であれば、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。
【0025】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められた前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であって、かつ、前記2次元物体位置情報の時間的な変化が連続的であった場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。さらに、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて得られる移動速度が所定速度範囲内であることをこの判別条件に加えてもよい。
【0026】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を中心とする第1の所定幅の領域を前記物体が横切ったと認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。なお、前記第1の所定幅は可変としてもよいし、この防犯センサからの距離に応じて可変としてもよい。
【0027】
また、前記防犯センサにおいて、前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を含む第2の所定幅の領域を前記物体が横切り、かつ、前記物体がその後の所定時間以上もこの領域境界近傍に留まっていると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。なお、前記第2の所定幅は可変としてもよい。
【0028】
また、前記防犯センサにおいて、さらに、前記検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて前記検知エリア内の検知対象物体の存在を示す赤外線検知信号を出力する受動型赤外線センサを備え、前記警告信号出力制御手段は、この受動型赤外線センサの有効な赤外線検知領域の位置情報を記憶しており、この情報および前記2次元物体位置情報に基づいて前記検知対象物体が前記赤外線検知領域の内部にあると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別してもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の防犯センサによれば、侵入者の移動方向や位置に関わらず常に的確な検知が可能となり、防犯センサとしての信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る防犯センサ100の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
この図1に示すように、防犯センサ100は、マイクロ波の送受信方向を変更可能なフェイズドアレーアンテナ110と、このフェイズドアレーアンテナ110を使用して人体などの検知対象物体の検知を行うマイクロウエーブセンサ120と、これらを制御するワンチップマイコン130とを備えている。
【0033】
フェイズドアレーアンテナ110は、同一方向を向けて等間隔に配置された複数のアンテナ素子111と、これらのアンテナ素子111間の信号伝達経路における移相量を所定範囲内で制御する移相制御回路112とを有している。なお、フェイズドアレーアンテナ110の指向性は狭くしておくことが望ましい。また、移相制御回路112は、移相量を連続的に変更することによりその送受信方向も連続的可変であるタイプとする。
【0034】
マイクロウエーブセンサ120は、2つの異なる周波数のマイクロ波を送受信するタイプのもので、検知エリア内に対してフェイズドアレーアンテナ110からマイクロ波を送信する。送信されたマイクロ波は、検知エリア内に何らかの物体が存在すると反射され、反射されたマイクロ波の一部はフェイズドアレーアンテナ110の方向に戻って受信される。そして、マイクロウエーブセンサ120は、受信したそれぞれの反射波に基づく2つのIF信号の位相差を検出し、この位相差に基づいて検知物体距離信号を出力するように構成されている。
【0035】
ワンチップマイコン130は、走査測定部131と、検知対象物体存在判別部132と、警告出力制御部133とを有している。なお、これらはワンチップマイコン130の組み込みソフトウェアによって実現されているが、実現方法はソフトウェアに限るものではない。
【0036】
走査測定部131は、移相制御回路112に対して移相量の制御を指示するとともにマイクロウエーブセンサ120から出力される検知物体距離信号をモニターして検知物体が存在する方向情報およびその検知物体までの距離情報を求める。これにより、その検知物体の2次元位置情報を、防犯センサ100からの距離および方向で定まる極座標系で得ることができる。
【0037】
検知対象物体存在判別部132は、検知物体の2次元位置情報を常時あるいは周期的にモニターしており、その時間的な変化に基づいて検知物体の移動パターンを認識し、その移動パターンから検知エリア内に検知対象物体が存在しているか否かを判別する。認識可能なパターンについては、予め複数のパターンを準備しておき、それらを自動的に切り換えられるようにしてもよい。あるいは、ワンチップマイコン130の入力ポートなどに接続したDIPスイッチなどを設けて、手動で切り換えられるようにしてもよい。なお、具体例については後述する。
【0038】
警告出力制御部133の警告信号Dout1の出力形式はオープンドレインあるいはオープンコレクタとする。警告信号Dout1の出力は、検知対象物体存在判別部132が検知対象物体が存在していると判別しているときにONとなり、検知対象物体が存在していないと判別しているときにはオープンになるものとする。
【0039】
図2は、防犯センサ100によって検知対象物体が存在していることを判別する一の方法の説明図である。
【0040】
この図2に示すように、例えば、ある時点における検知物体の位置P1が防犯センサ100から距離d1、方向角θ1であり、所定時間経過後のその検知物体の位置P2が防犯センサ100から距離d2、方向角θ2である場合を考える。なお、方向角の基準は防犯センサ100の正面方向とし、向かって右側をプラス方向としておく。
【0041】
このような場合の検知物体の所定時間内の移動距離Δdは次式によって算出することができる。
【0042】
【数1】

そして、この移動距離Δdを予め定めておいた所定閾値と比較し、移動距離Δdがその所定閾値以上であれば、検知エリア内に侵入者などの検知対象物体が存在していると判別する。このように、単位時間内に所定閾値以上移動した物体のみを侵入者などの検知対象物体として判別することで、例えば、屋外の風で揺れている草木などを誤って検知対象物体であると検知してしまうことを極力防止できる。
【0043】
以上のような構成および判別方法を採用することで、侵入者の移動方向に関わらず常に的確な検知が可能となり、防犯センサとしての信頼性を高めることができる。
【0044】
なお、移動距離Δdだけでなく、所定時間経過中における検知物体の位置の変化が連続的であったか否かや、さらに、検知物体の位置の時間的変化に基づいて得られる(位置を時間で微分すればよい)移動速度が通常の侵入者として想定される所定の速度範囲内であるか否かも考慮に加えることで、誤報をさらに抑制して防犯センサとしての信頼性を一層高めることができる。
【0045】
図3は、防犯センサ100によって検知対象物体が存在していることを判別する別の方法の説明図であり、(a)はフェンス11の内側に防犯センサ100が設置された場合の上方から見た位置関係を示し、(b)は侵入者10の位置の時間的な変化の例を示すグラフである。
【0046】
図3(a)に示すように、防犯センサ100がフェンス11などの内部を警戒対象とする場合には、防犯センサ100の正面方向に形成される細長い楕円状の検知エリアA100がフェンス11の内側に沿うように設置される。
【0047】
ここで、防犯センサ100の正面方向をy軸、これに直交する方向をx軸、防犯センサ100前面の中心を両軸の原点とする直交座標系を定義し、上述のように極座標系で得られた検知物体の2次元位置情報は検知対象物体存在判別部132でこの直交座標系に変換されるものとしておく。
【0048】
この場合に、フェンス11の外側から内側への侵入者10があると、どのような侵入経路を辿るにせよ、検知エリアA100を横切ることになる。このような侵入者10を検知するには、検知物体の2次元位置情報のうちのx座標のみの時間的変化に着目して判別を行えばよい。
【0049】
具体的には、例えば、図3(b)に示すように、x軸の原点を中心とする所定幅W1の範囲を設定し、この範囲を検知物体のx座標が所定時間内に通過したことが検出されたときに侵入者10などの検知対象物体が存在していると判別すればよい。このことは、図3(a)では、防犯センサ100正面方向の所定幅W1の領域R1を侵入者10などが横切ったことに相当する。
【0050】
なお、所定幅W1については、ワンチップマイコン130の入力ポートなどに接続したDIPスイッチなどにより可変としてもよい。
【0051】
以上のような構成および判別方法を採用することで、防犯センサ100に対向する方向とは直交する方向の動きについても的確な検知が可能となり、防犯センサとしての信頼性を高めることができる。
【0052】
図4は、防犯センサ100によって検知対象物体が存在していることを判別するさらに別の方法の説明図であり、(a)は壁12および窓13の外側に防犯センサ100が設置された場合の上方から見た位置関係を示し、(b)は侵入者10の位置の時間的な変化の例を示すグラフである。
【0053】
図4(a)に示すように、防犯センサ100が壁12および窓13などの外部を警戒対象とする場合には、防犯センサ100の正面方向に形成される細長い楕円状の検知エリアA100が壁12および窓13の外側を覆うように設置される。
【0054】
ここでも、図3の場合と同様に、防犯センサ100の正面方向をy軸、これに直交する方向をx軸、防犯センサ100前面の中心を両軸の原点とする直交座標系を定義し、上述のように極座標系で得られた検知物体の2次元位置情報は検知対象物体存在判別部132でこの直交座標系に変換されるものとしておく。
【0055】
この場合、侵入者10の典型的な挙動としては、まず窓13に近づき、何らかの方法で窓13をこじ開けてから建物内部に侵入することが考えられるが、窓13をこじ開けるために必要な時間は侵入者10がほぼ同じ位置に留まることになる。このため、図3を参照して説明した判別方法では、検知エリアA100の設定位置などによって、侵入者10を的確に検知できない可能性がある。
【0056】
そこで、例えば、図4(b)に示すように、x軸の原点を含む所定幅W2の範囲を設定し(この範囲の中心は、防犯センサ100正面よりも壁12から離れる側に配置する)、この範囲を検知物体のx座標が所定時間内に通過した後、さらに一定時間T1以上、検知物体のx座標がこの範囲の上限近傍に留まっていることが検出されたときに侵入者10などの検知対象物体が存在していると判別すればよい。このことは、図4(a)では、防犯センサ100正面方向の所定幅W2の領域R2(その中心は防犯センサ100正面よりも壁12から離れる側に配置)を侵入者10などが横切った後、侵入者10が防犯センサ100正面近傍または窓13の前にしばらく留まっていることに相当する。
【0057】
なお、所定幅W2や防犯センサ100正面中心からのずれ量などについては、ワンチップマイコン130の入力ポートなどに接続したDIPスイッチなどにより可変としてもよい。
【0058】
以上のような構成および判別方法を採用することで、侵入者10の典型的な挙動に基づいて検知を行うことができるので、例えば、小動物などが偶発的に接近したことによる誤報などを極力防止することが可能になる。
【0059】
<第1実施形態の変形例>
上述の図3を参照して説明した判別方法では、防犯センサ100正面方向の所定幅W1の領域R1を侵入者10などが横切ったことを検出していた。しかし、防犯センサ100に広域エリアを持たせたり、フェイズドアレーアンテナのアンテナ素子数が少ない場合には、検知エリアA100全体の幅が広がることになる。
【0060】
上述の所定幅W1もそれに応じて拡大すると、防犯センサ100に極めて近い部分では、実際の検知エリアA100の有効幅よりも所定幅W1の方が大きくなる。このとき、例え侵入者10がここを横切ったとしても、検知エリアA100外における検知物体の2次元位置情報は得られないため、結果として侵入者10を検知できない失報が生じてしまうことになる。
【0061】
かと言って、防犯センサ100に極めて近い部分の検知エリアA100の幅に合わせて所定幅W1を小さくすると、防犯センサ100から離れたところでは、検知エリアA100の有効幅よりも所定幅W1の方が遙かに小さくなり、逆に誤報を生じやすくなる。
【0062】
そこで、第1実施形態の変形例に係る防犯センサ100aの構成として、検知エリアA100aの内部において侵入者10を検知するために適切な幅を有する領域R100aを予め求めておき、防犯センサ100aからの距離に応じたその領域R100aの幅を検知対象物体存在判別部132に記憶させておく。例えば、図5に示すように、3箇所程度の距離における領域R100aの幅を記憶させ、中間距離では記憶されているこれらの幅に基づく補完演算などから領域R100aの幅を算出してもよい。また、もっと多くの距離における領域R100aの幅を記憶させてもよい。
【0063】
そして、検知物体の2次元位置情報の時間的変化が、この領域R100aを横切ったことを示した場合に、侵入者10などの検知対象物体が存在していると判別すればよい。
【0064】
以上のような構成および判別方法を採用することで、侵入者の移動方向および位置に関わらず常に的確な検知が可能となり、誤報や失報を極力回避して防犯センサとしての信頼性をさらに高めることができる。
【0065】
<第2実施形態>
マイクロウエーブセンサと受動型赤外線センサ(以下「PIRセンサ」と記す)を組み合わせていわゆるAND検知を行うコンビネーションセンサを構成する場合、これらのセンサの有効な検知エリアが完全には重なっていないことによる誤報や失報を生じる可能性もあった。そこで、上述のようにマイクロウエーブセンサによる検知物体の2次元位置情報が得られることを利用して、このような誤報や失報が生じる可能性を極力抑えた構成を第2実施形態として以下で説明する。なお、上述の各実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、説明は主として相違点について行う。
【0066】
図6は、本発明の第2実施形態に係る防犯センサ200の概略構成を示すブロック図である。図7は、この防犯センサ200の検知エリアA200の概略説明図である。
【0067】
図6に示すように、この防犯センサ200は、第1実施形態の各構成要素に加えて、検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて検知対象物体の有無を示す信号(例えば、検知対象物体が存在するときはハイレベル、存在しないときはローレベル)を出力するPIRセンサ240を備えている。また、ワンチップマイコン230では、警告出力制御部233にPIRセンサ240の出力が接続されており、警告信号Dout2の出力の制御にPIRセンサ240の出力も考慮する点が異なっている。
【0068】
さらに、検知対象物体存在判別部232には、PIRセンサ240の有効な検知エリアA240の領域情報が記憶されており、検知物体の2次元位置情報がこの検知エリアA240の内部であることを示しているときに限って検知対象物体が存在していると判別するようにしておく。
【0069】
警告出力制御部233の警告信号Dout2の出力は、検知対象物体存在判別部232が検知対象物体が存在していると判別しており、かつ、PIRセンサ240の出力も検知対象物体が存在することを示すハイレベルであるときに、警告信号Dout2の出力をONとする。
【0070】
以上のような構成によれば、マイクロウエーブセンサ120の検知エリアA200とPIRセンサ240の検知エリアA240とが完全には重なっていないことによる誤報や失報を生じる可能性を極力抑えて、コンビネーションセンサとしての信頼性を高めることが可能となる。
【0071】
<第3実施形態>
上述の各実施形態では、検知物体の方向を認識するためにフェイズドアレーアンテナを利用しているが、受信時刻の異なる複数のビーム位置の受信データを使用するため、検知物体からのマイクロ波の反射強度が時間的に変動する場合に誤差が生じたり、妨害波に対しても影響を受けやすいという問題もあった。
【0072】
そこで、検知物体の方向情報(角度情報)を求める他の方法として、1つのビーム位置における1つのパルス(モノパルス)を処理することで角度情報が得られるモノパルス方式を採用したものを第3実施形態として以下で説明する。なお、上述の各実施形態と同じ構成要素には同じ参照符号を付すこととし、説明は主として相違点について行う。
【0073】
図8は、本発明の第3実施形態に係る防犯センサ300の概略構成を示すブロック図である。
【0074】
この図8に示すように、防犯センサ300は、振幅比較モノパルス方式によって検知物体の方向情報を求めて(測角)出力するとともに、上述の各実施形態と同様に2つの異なる周波数のマイクロ波を送受信することでその検知物体までの距離情報を出力することが可能なマイクロウエーブセンサ320と、検知対象物体存在判別部332および警告出力制御部333を有するワンチップマイコン330とを備えている。
【0075】
検知対象物体存在判別部332は、マイクロウエーブセンサ320から出力される検知物体の距離情報および方向情報を常時あるいは周期的にモニターすることで、その検知物体の2次元位置情報の時間的な変化に基づくその検知物体の移動パターンを認識し、その移動パターンから検知エリア内に侵入者などの検知対象物体が存在しているか否かを判別する。具体的には、上述の各実施形態と同様の判別を行えばよい。
【0076】
警告出力制御部333の警告信号Dout3の出力形式はオープンドレインあるいはオープンコレクタとする。警告信号Dout3の出力は、検知対象物体存在判別部332が検知対象物体が存在していると判別しているときにONとなり、検知対象物体が存在していないと判別しているときにはオープンになるものとする。
【0077】
図9は、マイクロウエーブセンサ320の主要部の概略構成を示すブロック図である。
【0078】
この図9に示すように、マイクロ波の受信用としては、アンテナビームの一部が互いに重なり合った2個のアンテナ321A、321Bが1組として用いられる。その後段には、これらのアンテナ321A、321Bの出力を合成して和信号(Σ)および差信号(Δ)を得るために、前置比較器323が置かれる。この前置比較器323の一方の出力には、ミキサー324AおよびIFアンプ326Aが順に接続されるとともに、前置比較器323の他方の出力には、ミキサー324BおよびIFアンプ326Bが順に接続される。また、ミキサー324A、324Bにはローカル発振器325が接続される。
【0079】
このような構成により、IFアンプ326Aから和信号(Σ)が出力されるとともに、IFアンプ326Bから差信号(Δ)が出力され、これらの出力が演算手段327に入力される。演算手段327はこれらの出力に基づいてアンテナ321A、321Bの正面方向からのずれ量(角度誤差)を後述する原理に従って算出する。
【0080】
一方、マイクロ波の送信用としては、1本のアンテナ321Cと発信器329とが変調器328を介して接続されている。この変調器328において、上述の各実施形態と同様に2つの異なる周波数のマイクロ波を送信するようにすれば、検知物体までの距離情報を得ることができる。なお、距離情報を得るための方法としては、他にもFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave:周波数変調連続波)方式や、パルス方式などが挙げられる。
【0081】
図10は、振幅比較モノパルス方式による角度誤差の検出原理であり、(a)は2個のアンテナのビームパターンを示すグラフ、(b)は和信号および差信号を示すグラフ、(c)は角度誤差を示すグラフである。
【0082】
図10(a)のように、アンテナビームの一部が互いに重なり合った2個のアンテナによって受信した信号からは、図10(b)に示すような和信号(Σ)および差信号(Δ)が得られる。そして、差信号(Δ)を和信号(Σ)で正規化、すなわち、「Δ/Σ」の
演算を行うことにより、図10(c)のようなS字状のグラフで表される角度誤差電圧εを求めることができる。なお、差信号(Δ)のみから角度誤差を求めようとすると、信号強度が目標の大きさや距離によって変化するために正確な測定ができなくなるので、正規化を行うことによってこのような問題を排除している。
【0083】
以上のような構成により、侵入者の移動方向および位置に関わらず常に的確な検知が可能となり、反射波の時間的変動や妨害波による影響なども受けにくく、誤報や失報を極力回避して防犯センサとしての信頼性をさらに高めることができる。
【0084】
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態のマイクロウエーブセンサ320は振幅比較モノパルス方式を採用していたが、代わりに位相比較モノパルス方式を採用してもよい。その場合には、マイクロウエーブセンサ320の受信側の構成を以下のように変更する。
【0085】
図11は、本発明の第3実施形態の変形例に係る防犯センサのマイクロウエーブセンサの受信側の概略構成を示すブロック図である。
【0086】
この図11に示すように、距離dを隔てて配置されたアンテナ421A、421Bの後段に、和信号(Σ)および差信号(Δ)を得るために前置比較器423が置かれる。この前置比較器423から出力される和信号(Σ)はそのまま演算手段427に入力され、差信号(Δ)は位相変位手段440を介して演算手段427に入力される。演算手段427はこれらの入力に基づいて角度誤差εを算出する。
【0087】
ここで、アンテナ421A、421Bの出力をそれぞれA、Bとし,おのおのの位相差をΨ、とすると
Ψ=(2πdζ)/λ
となる。なお、ζは角度α(アンテナの正面方向とは直交する方向と物体の方向のなす角度)の方向余弦cos(α)、λは送信波長である。
【0088】
このとき、振幅比較モノパルス方式とほぼ同様に,前置比較器423でAとBの和信号(Σ)および差信号(Δ)が取られる。
【0089】
Σ=A+B=2Acos(Ψ/2)・e-jΨ/2
Δ=A−B=2jAsin(Ψ/2)・e-jΨ/2
そして、差信号(Δ)はその位相が位相変位手段440によって90度回転させられた後に演算手段427に入り、和信号(Σ)で除されることにより(正規化されることにより)、角度誤差εが算出される。
【0090】
この角度誤差εはtan(Ψ/2)となり、アンテナビームの中央近傍ではほぼΨに比例した値となる。したがって、この角度誤差εによって、第3実施形態で採用していた振幅比較モノパルス方式と同様に、アンテナ正面方向からの目標のずれを検出することができる。
【0091】
<その他の実施形態>
第1実施形態のフェイズドアレーアンテナ110、マイクロウエーブセンサ120、および走査測定部131は、第2実施形態ではマイクロウエーブセンサ320に相当している。これらはいずれも、検知物体についての距離情報および方向情報からなる2次元位置情報を出力することができるマイクロウエーブセンサと見ることもできる。
【0092】
したがって、第1実施形態およびその変形例、第2実施形態などで説明した侵入者などの判別方法は、第3実施形態およびその変形例にも同様に適用が可能である。
【0093】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態に係る防犯センサの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る防犯センサによって検知対象物体が存在していることを判別する一の方法の説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る防犯センサによって検知対象物体が存在していることを判別する別の方法の説明図であり、(a)はフェンスの内側に防犯センサが設置された場合の上方から見た位置関係を示し、(b)は侵入者の位置の時間的な変化の例を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態に係る防犯センサによって検知対象物体が存在していることを判別するさらに別の方法の説明図であり、(a)は壁および窓の外側に防犯センサが設置された場合の上方から見た位置関係を示し、(b)は侵入者の位置の時間的な変化の例を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施形態の変形例に係る防犯センサの検知エリアの概略説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る防犯センサの概略構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る防犯センサの検知エリアの概略説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る防犯センサの概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る防犯センサが備えるマイクロウエーブセンサの主要部の概略構成を示すブロック図である。
【図10】振幅比較モノパルス方式による角度誤差の検出原理であり、(a)は2個のアンテナのビームパターンを示すグラフ、(b)は和信号および差信号を示すグラフ、(c)は角度誤差を示すグラフである。
【図11】本発明の第3実施形態の変形例に係る防犯センサのマイクロウエーブセンサの受信側の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
100 防犯センサ(第1実施形態)
110 フェイズドアレーアンテナ
111 アンテナ素子
112 移相制御回路
120 マイクロウエーブセンサ
130 ワンチップマイコン
131 走査測定部
132 検知対象物体存在判別部
133 警告出力制御部
100a 防犯センサ(第1実施形態の変形例)
200 防犯センサ(第2実施形態)
230 ワンチップマイコン
232 検知対象物体存在判別部
233 警告出力制御部
233 PIRセンサ
300 防犯センサ(第3実施形態)
320 マイクロウエーブセンサ
330 ワンチップマイコン
332 検知対象物体存在判別部
333 警告出力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知エリアに向けて周波数の異なる複数のマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体からの前記マイクロ波それぞれの反射波を受信して、その物体までの距離に対応する距離情報を出力するマイクロウエーブセンサと、
このマイクロウエーブセンサによる前記複数のマイクロ波の送受信方向を所定角度範囲内で変更可能な方向可変アンテナ装置と、
この方向可変アンテナ装置に対して前記送受信方向の前記所定角度範囲内にわたる走査を指示するとともにその走査中に前記距離情報を監視することにより、物体が存在する方向情報とその物体までの距離情報とからなる2次元物体位置情報を求める走査測定手段と、
この走査測定手段によって求められる前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて前記物体の移動パターンを認識し、その移動パターンに基づいて前記検知エリア内に検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段と、
この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段とを備えることを特徴とする防犯センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められる前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であれば、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められた前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であって、かつ、前記2次元物体位置情報の時間的な変化が連続的であった場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項4】
請求項1に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められた前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であって、かつ、前記2次元物体位置情報の時間的な変化が連続的であり、さらに、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて得られる移動速度が所定速度範囲内であった場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項5】
請求項1に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を中心とする第1の所定幅の領域を前記物体が横切ったと認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の防犯センサにおいて、
前記第1の所定幅は可変であることを特徴とする防犯センサ。
【請求項7】
請求項5に記載の防犯センサにおいて、
前記第1の所定幅をこの防犯センサからの距離に応じて可変とすることを特徴とする防犯センサ。
【請求項8】
請求項1に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を含む第2の所定幅の領域を前記物体が横切り、かつ、前記物体がその後の所定時間以上もこの領域境界近傍に留まっていると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項9】
請求項8に記載の防犯センサにおいて、
前記第2の所定幅は可変であることを特徴とする防犯センサ。
【請求項10】
請求項1に記載の防犯センサにおいて、
さらに、前記検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて前記検知エリア内の検知対象物体の存在を示す赤外線検知信号を出力する受動型赤外線センサを備え、
前記警告信号出力制御手段は、この受動型赤外線センサの有効な赤外線検知領域の位置情報を記憶しており、この情報および前記2次元物体位置情報に基づいて前記検知対象物体が前記赤外線検知領域の内部にあると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記方向可変アンテナ装置はフェイズドアレーアンテナであることを特徴とする防犯センサ。
【請求項12】
検知エリアに向けてマイクロ波を送信し、この検知エリア内に存在する物体からの前記マイクロ波の反射波を受信して、その物体までの距離に対応する距離情報を出力するとともに、その物体の方向情報を出力するマイクロウエーブセンサと、
このマイクロウエーブセンサから出力される前記距離情報および前記方向情報によって得られる2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて前記物体の移動パターンを認識し、その移動パターンに基づいて前記検知エリア内に検知対象物体が存在しているか否かを判別する検知対象物体存在判別手段と、
この検知対象物体存在判別手段によって検知対象物体が存在していると判別された場合に警告信号を出力するように制御する警告信号出力制御手段とを備えることを特徴とする防犯センサ。
【請求項13】
請求項12に記載の防犯センサにおいて、
前記マイクロウエーブセンサは、受信用に複数のアンテナを用いるモノパルス方式によってその物体の方向情報を出力することを特徴とする防犯センサ。
【請求項14】
請求項13に記載の防犯センサにおいて、
前記マイクロウエーブセンサは、受信用にビームの一部が重なり合う複数のアンテナを用いる振幅比較モノパルス方式によってその物体の方向情報を出力することを特徴とする防犯センサ。
【請求項15】
請求項13に記載の防犯センサにおいて、
前記マイクロウエーブセンサにおけるモノパルス方式は、位相比較モノパルス方式であることを特徴とする防犯センサ。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められる前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であれば、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項17】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められた前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であって、かつ、前記2次元物体位置情報の時間的な変化が連続的であった場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項18】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて求められた前記物体の単位時間移動距離が第1所定値以上であって、かつ、前記2次元物体位置情報の時間的な変化が連続的であり、さらに、前記2次元物体位置情報の時間的な変化に基づいて得られる移動速度が所定速度範囲内であった場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項19】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を中心とする第1の所定幅の領域を前記物体が横切ったと認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項20】
請求項19に記載の防犯センサにおいて、
前記第1の所定幅は可変であることを特徴とする防犯センサ。
【請求項21】
請求項19に記載の防犯センサにおいて、
前記第1の所定幅をこの防犯センサからの距離に応じて可変とすることを特徴とする防犯センサ。
【請求項22】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
前記検知対象物体存在判別手段は、前記検知エリア内におけるこの防犯センサ正面を含む第2の所定幅の領域を前記物体が横切り、かつ、前記物体がその後の所定時間以上もこの領域境界近傍に留まっていると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。
【請求項23】
請求項22に記載の防犯センサにおいて、
前記第2の所定幅は可変であることを特徴とする防犯センサ。
【請求項24】
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の防犯センサにおいて、
さらに、前記検知エリア内からの赤外線を受け、周囲との温度差に基づいて前記検知エリア内の検知対象物体の存在を示す赤外線検知信号を出力する受動型赤外線センサを備え、
前記警告信号出力制御手段は、この受動型赤外線センサの有効な赤外線検知領域の位置情報を記憶しており、この情報および前記2次元物体位置情報に基づいて前記検知対象物体が前記赤外線検知領域の内部にあると認められる場合に、前記検知エリア内に検知対象物体が存在していると判別することを特徴とする防犯センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−40895(P2007−40895A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226855(P2005−226855)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】