説明

防眩性のコーティングおよび物品

本発明は、防眩層を含む物品、防眩層の製造に適したコーティング組成物、防眩性物品の製造方法、および防眩性コーティング組成物の製造方法に関する。ある実施形態においては、該物品は、タッチスクリーンなどの(たとえば照明式)表示体である。該防眩層は、硬化した無機ポリマーマトリックス中に凝集シリカ粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国特許第5,725,957号明細書に記載されているように、ガラス基板の表面に関連するグレアを軽減する方法は主として2つ存在する。その第1の方法は、薄膜内の光学干渉を利用することによってグレアを制御する「干渉」コーティングスタックをガラス基板上に堆積させることを含む。このような薄膜は、コーティングおよびガラスの相対屈折率に依存して、通常は可視光の表示波長の約4分の1または2分の1の厚さを有する。第2の方法は、通常は、ガラス基板の最外面の特性を変化させること、またはガラス基板上の拡散コーティングのいずれかによって、ガラス表面に光散乱手段、すなわち拡散手段を形成することを含む。
【0002】
干渉コーティングは、解像度を低下させずにグレアを軽減する。しかし、これらを付着させるのは比較的費用がかかり、比較的コストの高いスパッタリングなどの真空蒸着技術、および厳密な製造条件を必要とするか、あるいは、非常に精密なアルコキシド溶液ディップコーティング技術の後に、乾燥および焼成を必要とするかである。厳密な厚さの制御および均一性が要求される。
【0003】
光を拡散させることでグレアを軽減しようとする試みにおいて、ある方法では、ガラス基板の外面のエッチング、またはガラス基板上に堆積されるコーティングの外面を他の方法で改質することが行われている。基板またはコーティングされた基板の表面特性のエッチングまたは他の方法の改質においては、多数の欠点がある。化学的手段によるエッチングでは、一般に腐食性の高い化合物(たとえばフッ化水素酸)の取り扱いおよび保管を伴う。このような化合物では、ますます厳しくなる環境法令を考慮すると処理および廃棄の問題が発生する。サンドブラストなどの非化学的手段によるエッチングでは、費用のかかる追加の加工作業が必要となる。米国特許第5,725,957号明細書においては、無機金属酸化物の前駆体を有機溶媒中に溶解させることで形成した前駆体溶液を、透明基板に吹き付け塗装している。代案として、別の方法では、多種多様な材料(たとえば異なる屈折率を有する混合酸化物)がコーティング組成物に混入されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グレアを軽減するための様々な方法が開示されているが、産業界では、防眩性表面を提供するための新規な方法に利点を見いだそうとしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様においては、本発明は、ガラス基板と、タッチスクリーン上の接触を検出するための能動素子と、防眩層とを含むタッチスクリーンなどの物品に関する。この防眩層は、硬化した無機ポリマーマトリックス中に凝集シリカ粒子を含み、この凝集体は、0.1マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲の大きさの表面構造を形成する。能動素子は、ガラス基板と防眩層との間に配置された透明伝導層(たとえば透明伝導性酸化物を含む)を含むことができる。
【0006】
ある実施形態においては、本発明の(たとえばタッチスクリーン)物品は、好ましくは、透明伝導層と、防眩層および/または液晶シラン表面層との間に配置された酸化ケイ素層を含む。
【0007】
本発明の(たとえばタッチスクリーン)物品は、典型的には、少なくとも150の反射ヘイズ(haze)、10%未満の反射率、および少なくとも80%の透過率を含む光学的性質のいずれか1つ、またはこれらの組み合わせを有する。
【0008】
本発明の(たとえばタッチスクリーン)物品は、典型的には、ナノスクラッチ(Nanoscratch)試験で測定して少なくとも10mNの耐擦傷性、テーバー(Taber)耐摩耗性試験が少なくとも100サイクル、および1マイクロメートルの防眩層について研磨試験(Polishing Test)により測定される破壊時間が少なくとも2時間、を含む耐久特性のいずれか1つ、またはこれらの組み合わせを有する。
【0009】
本発明のシリカ粒子は、典型的には約0.05マイクロメートル〜約0.15マイクロメートルの範囲の平均粒度を有する。
【0010】
表面構造は、典型的には少なくとも0.20マイクロメートルまたは0.30マイクロメートルの寸法を有する。表面層は、特定の全表面積を有し、表面構造は、その全表面積の少なくとも20%、少なくとも30%、または少なくとも40%を構成する。
【0011】
上記の硬化した無機ポリマーマトリックスは、ケイ素アルコキシドなどのオルガノシランから誘導される。硬化したオルガノシランは、典型的にはゾル−ゲル法より誘導される。
【0012】
別の実施形態においては、本発明は、オルガノシランと、0.2マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲の大きさの凝集したシリカ粒子とを含むコーティング組成物に関する。このシリカ粒子は、典型的には10重量%の濃度で存在する。
【0013】
別の実施形態においては、本発明は、本発明のコーティング組成物を有する防眩性物品の製造方法に関する。
【0014】
別の実施形態においては、本発明は、無機ポリマー前駆体と、0.05マイクロメートル〜0.15マイクロメートルの範囲の平均粒度を有するコロイダルシリカ粒子とを提供するステップと、無機ポリマー溶液と、2マイクロメートル以下の平均粒度を有する凝集したコロイダルシリカ凝集体とを同時に形成するステップとを含む、防眩性コーティング組成物の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、防眩(たとえば表面)層を含む物品、防眩層の製造に好適なコーティング組成物、防眩性物品の製造方法、および防眩性コーティング組成物の製造方法に関する。ある実施形態においては、本発明の物品は、タッチスクリーンなどの(たとえば照明式)表示体である。
【0016】
米国特許第4,198,539号明細書、同第4,293,734号明細書、および同第4,371,746号明細書などに記載されているように、種々のタッチスクリーンが当技術分野において周知である。タッチスクリーンは、典型的には、マサチューセッツ州メシューエンの3Mタッチ・システムズ(3M Touch Systems,Inc.,Methuen,MA)より市販されるものなどの(たとえばコンピュータ)タッチパネルを含む。
【0017】
図1の一例のディスプレイ10は、ガラス、プラスチック、または他の透明媒体などの絶縁基板14と、基板14上の能動部分15とを含むタッチパネル12を含む。タッチ入力を検出するための能動素子15は、典型的には、基板14上に直接堆積された透明伝導層16を含む。層16は、典型的には20〜60ナノメートルの厚さを有するドープした酸化スズ層であり、スパッタリング、真空蒸着、および当技術分野において周知の他の技術によって堆積することができる。伝導層16は、伝導性ポリマー材料または伝導性有機−無機複合材料を含むこともできる。ディスプレイと指またはスタイラスとの間の接触点を確定する目的で、伝導層16全体に均一な電界を提供するために、典型的には伝導層16の周囲に伝導性パターン(図示せず)が配置される。ディスプレイ10を取り付けることができるディスプレイユニット(図示せず)の電気回路によって生じうるノイズからディスプレイ10を遮蔽するために、場合により第2の伝導層20を設けることができ、第2の伝導層20も同様に、伝導層16に関して説明した方法と類似の方法で堆積された酸化スズ層を含むことができる。このタッチパネルは、本発明による防眩層18を含む。
【0018】
本発明の物品において、防眩層は、図1に示されるように表面層として存在することができる。あるいは防眩層は、表面層と基板(たとえば14)との間に配置される。防眩層の上に層が存在しても、後に説明するように構造的特徴、光学的性質、および防眩層の耐久性が損なわれることはない。
【0019】
防眩性表面層は、硬化した無機ポリマーマトリックス中に凝集シリカ粒子を含む。この凝集シリカ粒子は、0.1マイクロメートル〜約100マイクロメートルの範囲の最大寸法を有する。凝集シリカ粒子は、好ましくは少なくとも0.2マイクロメートル、より好ましくは少なくとも0.3マイクロメートルの最大寸法を有する。凝集体を形成する個別のシリカ粒子は、表面構造の大きさよりも実質的に小さい。本明細書において使用される場合、「凝集体」とは、互いに結合した少なくとも2つの粒子を意味する。表面構造は、1つ以上の凝集シリカ粒子で構成される。したがって、表面構造は、1つの凝集体の大きさから70マイクロメートル以上までの範囲の最大寸法を有する。
【0020】
理論によって束縛しようと意図するものではないが、表面構造を結合させるために硬化した無機ポリマーマトリックスを使用することによって、その結果得られる防眩性表面は、防眩性光学的性質と、高い耐久性との相乗作用的バランスを好都合に提供することができる。防眩性は、典型的には複数の光学的性質の組み合わせによって特徴づけられる。このような光学的性質の中では、通常、反射ヘイズおよび反射率が、防眩特性を最も良く表している。反射ヘイズは、典型的には少なくとも150であり、より典型的には少なくとも200である。反射ヘイズは、通常600未満であり、より典型的には550未満である。本明細書に記載される防眩性表面層は、一般に10%未満の反射率を有する。しかし、防眩性コーティングの適用によって、透過率、透過ヘイズ、および透明度を低下させることができる。透過率は、一般に80%を超える。好ましくは、透過率は、少なくとも85%であり、より好ましくは少なくとも90%以上である。防眩性表面層の透過ヘイズは、典型的には30%未満であり、好ましくは25%未満である。比較的小さい表面構造を有する防眩性表面層は、約10%の透過ヘイズを得ることができ、一方、より大きな表面構造を有する防眩性表面は10%未満の透過ヘイズ値を得ることができる。たとえば、この透過ヘイズは8%未満、7%未満、または6%未満にすることができる。透明度は、少なくとも70%であり、好ましくは少なくとも80%である。このような光学的性質を測定するための試験方法は、以下の実施例で説明されている。
【0021】
上述の光学的性質に加えて、本発明の防眩性表面層は高い耐久性も示す。たとえば、本発明のタッチスクリーンは、ナノスクラッチ(Nanoscratch)試験によって測定される耐擦傷性が少なくとも10mNであり、好ましくは少なくとも30mNである。あるいは、またはこれに加えて、本発明のタッチスクリーンは、1マイクロメートルの防眩層について研磨試験(Polishing Test)により測定される破壊時間が少なくとも2時間である。あるいは、またはこれに加えて、本発明のタッチスクリーンは、CS−10F砥石車を500gの荷重で使用して少なくとも100サイクルのテーバー(Taber)耐摩耗性試験を有する。このような耐久性を測定するための試験方法は、以下の実施例で説明されている。
【0022】
図2に示されるように、凝集体を形成するために使用されるコロイダルシリカ粒子、すなわち表面構造は約0.15マイクロメートル(150nm)の平均粒度を有する。典型的には、凝集体の形成に使用されるコロイダルシリカ粒子の約95重量%が、0.005マイクロメートル〜0.30マイクロメートルの範囲の大きさとなる。図2に示されるように、出発コロイダルシリカ粒子の分布では、0.30マイクロメートルを超える粒度を有する粒子が実質的に存在しない。後述するように、この出発コロイド粒子が凝集した後では、その組成物は、0.30マイクロメートルを超える大きさを有するかなりの量の凝集粒子を含む。たとえば、粒子の少なくとも10重量%は、0.30マイクロメートル〜2マイクロメートル(すなわち出発コロイダルシリカの平均粒度の10倍)の範囲の大きさとなる。このような比較的小さな凝集体を有するコーティングから調製した、50倍の倍率における防眩性表面層を図3に示している。少なくとも一部の実施形態においては、表面構造はほぼ均一に分布していることが図3から明らかである。
【0023】
防眩層の全表面積に対する表面構造の表面積は、典型的には少なくとも約20%である。表面構造の表面積は、典型的には約60%以下である。ある実施形態においては、表面構造の表面積は約40%〜約50%の範囲である。
【0024】
本発明の無機ポリマーは好ましくは、十分に加熱するとSiO2を形成するシリカ源を含む。
【0025】
硬化した無機ポリマーマトリックスは、好ましくは熱によって硬化したオルガノシラン溶液である。オルガノシラン溶液は当技術分野において周知であり、一般に「ゾル−ゲル」法によって得られる。
【0026】
オルガノシランは以下の一般式で表すことができ
nSiXm (式I)
上式中、Rは、ケイ素原子に結合した有機官能基であり、Xは、ケイ素原子に結合したハロゲンまたはアルコキシ基などの加水分解性基であり、nは1または2であり、mは4−nである。
【0027】
好ましいオルガノシラン溶液は、ケイ素アルコキシドの加水分解および縮合によって合成される(たとえば、C.J.ブリンカー(Brinker)およびG.W.シェーラー(Scherer),「ゾル−ゲル科学」(Sol−Gel Science),アカデミック・プレス(Academic Press),1990を参照されたい)。このようなシランは、非常に規則的な分子構造を有する。好ましいケイ素アルコキシドとしては、たとえばテトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、およびそれらの混合物が挙げられる。他の好適なオルガノシランは、当技術分野において周知であり、欧州特許出願公開第1 077 236号明細書などに記載されている。
【0028】
オルガノシランを希釈するため、およびコーティングされる基板表面にシランを移動させるために、通常は媒体が使用される。さらに、水は、オルガノシランと反応して、加水分解生成物またはシラノールを形成する。水とオルガノシランとの間の加水分解反応は、酸性溶液中で触媒されうる。したがって、溶液が塩基性である場合に溶液の沈殿が生じうる自己縮合反応に対してシラノールが安定となるようにするため、安定化剤を使用することができる。シラノールと基板との間に形成された結合は、交差縮合(cross condensation)反応を介して実現される。シラノールと基板上の分子との間の交差縮合反応は一般に遅い。この反応は加熱することによって加速させることができる。
【0029】
防眩性表面層は、通常、アルコール含有コーティング組成物から調製される。凝集体は、オルガノシラン溶液中に分散させたコロイダルシリカ前駆体からコロイダルシリカを凝集させることによって形成することができる。したがって、凝集粒子は、オルガノシラン溶液の調製と同時に調製される。しかし別の方法として、凝集体を別に形成し、場合により凝集していない粒子から分離し、続いて安定なオルガノシラン溶液に加えることもできる。
【0030】
本発明の防眩性コーティングの調製方法は、一般に、シリカ粒子前駆体を含むオルガノシラン溶液(たとえばゾル−ゲル法を介して)を調製するステップと、少なくとも一部のシリカ粒子を凝集させるためにその組成物を不安定化させるステップとを含む。「ゾル−ゲル法によるスクリーン用1段階防眩性ゾル−ゲルコーティング」(One step antiglare sol−gel coatings for screens by sol−gel techniques),Journal of Non−crystalline Solids 218(1997)163−168および米国特許第5,998,013号明細書などに記載されるように、コロイダルシリカ粒子を凝集させる様々な方法が公知となっている。
【0031】
好ましい凝集方法は、コロイダルシリカを、数種類のケイ素アルコキシド前駆体の中の少なくとも1種類と反応させて、シラン前駆体を形成し、その溶液に酸を加えることで不安定化することを含む。多種多様の酸を有効に使用することができる。通常は、塩酸、硝酸などの無機酸が使用される。上記溶液は、硬化ステップのコーティングの緻密化を改善するために、接着促進剤、焼結助剤、またはフラックスをさらに含むことができる。酢酸ナトリウムが好適な添加剤である。その調製において、これらの材料の添加順序は変更することができる。たとえば、ケイ素アルコキシド前駆体をアルコール溶液中に分散させ、次に(たとえば順次)焼結助剤および酸を加えることができる。次に、コロイダルシリカ溶液をこの混合物と混合することができる。比較的小さな凝集体を得るためには、この添加順序が好ましい。あるいは、ケイ素アルコキシド前駆体を最初にコロイダルシリカ溶液と混合し、次に(たとえば順次)酸、焼結助剤、およびアルコールを加えることもできる。
【0032】
本発明の防眩性コーティング組成物は、ケイ酸エチルを含むゾルをコロイダルシリカ粒子前駆体に加えることで調製することができる。粒子凝集の進行が遅くなり、きめの細かい防眩性仕上を行うことができる。
【0033】
本発明のシリカ凝集体は、アルコールなどの溶媒中に均一に分散させたコロイダルシリカから形成される。好適な溶媒の例としては、1−ブタノール、2−プロパノール、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、アセトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用される場合もあるし、2種類以上の組み合わせで使用される場合もある。コロイダルシリカ分散体の全重量を基準にした、コロイダルシリカ分散体中の%固形分は一般に約5〜50%(好ましくは、約15〜30%)である。コロイダルシリカは、様々な供給元から市販されている。マサチューセッツ州アッシュランドのナイアコル・ナノテクノロジーズ・インコーポレイテッド(Nyacol Nanotechnolgies,Inc.Ashland,MA)およびマサチューセッツ州ウォードヒルのアルファ・エイサー(Alfa Aesar,Ward Hill,MA)の両方は、20〜50nmの範囲の平均粒度を有するアルコール系ゾルを供給している。コロイダルシリカの好ましい種類の1つは、ナノテクノロジーズ・インコーポレイテッド(Nanotechnologies,Inc.)より商品名「ナイアコルDP5540」(Nyacol DP5540」で市販される、エチレングリコール中の100nmコロイダルシリカの30%溶液である。
【0034】
典型的には、低濃度のコロイダルシリカが使用される。好ましくはコロイダルシリカの濃度はコーティング組成物の10重量%未満である。より典型的には、コロイダルシリカの濃度は約2重量%である。
【0035】
本発明のコーティング組成物は一般に、基板をコーティングするためにコーティング組成物を使用する前に、約2〜10日間、室温で撹拌しながら密閉容器中で保管される。凝集体を含有するオルガノシランコーティング溶液は、薄く実質的に均一な層が得られる好適な方法を使用して適用される。精密ディップコーティング装置は、精密で正確な引き抜き速度において動作が円滑であるため、好ましいコーティング手段である。適切なレオロジーとなるように適切な改質が行われると、本明細書に記載されるコーティング組成物は、吹き付け塗装、メニスカスコーティング、フローコーティング、スクリーン印刷、またはロールコーティングによって適用することができる。
【0036】
本明細書に記載されるコーティング組成物は、多種多様の基板に対して十分な接着性を示す。ガラスおよび(たとえばセラミック)材料は、透明であり高耐久性であるため、照明式ディスプレイパネルに好ましい基板である。ガラス基板の厚さは、典型的には約0.4mm〜約4mmの範囲である。通常、ディスプレイにはソーダ石灰ガラスおよびホウケイ酸ガラスが使用される。本発明は、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、または酢酸酪酸セルロースなどの種々のプラスチック基板上の防眩性コーティングの耐久性の改善にも適している。
【0037】
あるいは、透明基板はプラスチックフィルムであってもよい。この透明基板の厚さは、一般に少なくとも20マイクロメートルであり、多くの場合少なくとも50マイクロメートルである。さらに、透明な基板は、多くの場合500マイクロメートル未満であり、さらに多くの場合250マイクロメートル未満である。プラスチックフィルムの表面は、防眩層の接着性を増加させるために、所望の場合に処理することができる。そのような処理の例としては、サンドブラストまたは溶媒の使用による表面粗さの形成、ならびにコロナ放電、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、またはオゾンの存在下での紫外光照射による表面の酸化が挙げられる。
【0038】
プラスチック基板の場合、(たとえばコーティングされた)基板と防眩性表面層との間の結合性を向上させるために、オルガノシランプライマー層を使用することができる。一般に、オルガノシランプライマー層は、非常に高濃度のヒドロキシル基および高角度のSi−O−Si結合を含んでいる。これらが防眩性表面層の結合部位となる。防眩性コーティング組成物とオルガノシランプライマー層との間の縮合反応によって永続的な結合が形成される。Si−O−Si結合は非常に耐久性が高い。
【0039】
ガラス基板の場合、基板と防眩層との間に、好ましくは酸化ケイ素層が配置される。このような酸化ケイ素層は、防眩層の基板への接着性を改善すると考えられる。さらに、酸化ケイ素層が存在することで、防眩層の耐久性、したがって物品の耐久性も改善されうる。たとえば、このような酸化ケイ素層が存在する表示体は、ナノスクラッチ(Nanoscratch)試験によって測定される耐擦傷性において少なくとも25%の増加を示すことができる。たとえば、少なくとも20mN、少なくとも30mN、または少なくとも40mNの耐擦傷性が得られている。さらに、このような酸化ケイ素層を有する表示体が、テーバー(Taber)耐摩耗性試験で測定して60%を超える耐摩耗性の増加を示すことも分かっている。酸化ケイ素層は、スパッタリング、蒸発、化学蒸着、およびゾル−ゲル法等の種々の方法によって適用することができる。米国特許第5,935,716号明細書、同第6,106,892号明細書、および同第6,248,397号明細書には、ガラス上への酸化ケイ素の堆積が開示されている。
【0040】
本発明の防眩性コーティング組成物をコーティングした後、コーティングされた基板を熱硬化させて溶媒を除去し、コーティング材料中の自己縮合反応を熱的に誘導することによって緻密な三次元フィルム構造を形成し、これによって、残留シラノール分子から水酸化物基を除去し、この構造が下にある基板と結合する。これは、電気抵抗素子またはガスオーブン中の1.5〜3時間の範囲の全サイクル時間によるバッチ方法によって行うことができる。十分に緻密化を行うと、一般に耐久性が増加する。コーティング組成物の完全な緻密化は一般に約800℃で行われるが、この硬化温度は基板の耐熱性に基づいて選択される。
【0041】
特にドープした酸化スズがコーティングされたガラスに適用される場合に、オルガノシラン溶液の好ましい硬化方法が米国特許第6,406,758号明細書に記載されている。この方法は、2.5〜6.0マイクロメートルの波長スペクトルで赤外線を発する赤外線ランプまたは外側に巻き付けられた加熱管が取り付けられたチャンバー内での熱と赤外線との併用を含む。赤外線を使用することで、コーティング中により多くのエネルギーが導入され、同時にガラス基板の熱曝露が減少する。これによって、硬化温度を約550℃未満に低下させることができる。
【0042】
硬化した防眩性ランド層(すなわち構造化されていないランドのある位置における)厚さは、通常少なくとも0.5マイクロメートルである。さらに、防眩性ランド層の厚さは通常1.5マイクロメートル以下である。
【0043】
防眩層は、表面上に配置された抗菌層をさらに含むことができる。好適な抗菌層の1つは、次式を有する液晶シランであり:
3Si(CH2pZ (式II)
上式中、p>1であり、
Xは、加水分解によりシラノールを形成することができる、Cl、Br、アルコキシ、ヒドロキシル基、およびそれらの混合物の群から選択され、
Zは、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルスルホニウム塩、アルキルホスホニウム塩、置換ビフェニル、ターフェニル類、アゾキシベンゼン類、シンナメート、ピリジン類、ベンゾエート、およびそれらの混合物の群から選択される官能基である。
【0044】
このような液晶シランは、ミシガン州ミッドランドのダウ・コーニング(Dow Corning,Midland,MI)より商品名「ダウ・コーニング5700」(Dow Corning 5700)および「ダウ・コーニング5772」(Dow Corning 5772」で市販されている。このような抗菌層によって、さらなる耐擦傷性を得ることができる。
【0045】
グレアを軽減する透明基板(たとえばガラス)は、陰極線管スクリーンまたはその他の表示装置(モニター、テレビ、液晶ディスプレイなど)、タッチスクリーンまたは入力パネルなどの入力または選択装置、ガラスで囲まれた展示(博物館またはその他の公開展示)、光学フィルター、絵画用額縁、建築用途の窓、鏡に使用されるガラス部品、ソーラーコレクターのカバープレート、アイウェアおよび観察用装置に使用される光学レンズ、ならびに乗り物の風防などの多様な用途において使用される。
【0046】
以下の実施例によって本発明の利点をさらに説明するが、実施例に記載される個別の材料およびそれらの量、ならびにその他の条件および詳細は、本発明を不当に限定するために構成されたものではない。特に明記しない限り、本明細書に記載されるすべてのパーセント値および比率は重量を基準としている。
【実施例】
【0047】
試験方法
研磨摩耗試験
コーティングしたガラスを、3cm×4cmの長方形の試料に切断した。破損を最小限にするため、縁端部およびコーナーにサンダー仕上を行った。次に、これらの試料を水で十分に洗浄して粒子を除去し、続いてイソプロパノール系ガラスクリーナーで洗浄し、次に残留する水を除去するためにアセトン中に1分間浸漬した。次に、糸くずの出ない布を使用してこれらの試料をきれいに拭き、30分間風乾し、次に秤量した(オハイオ州コロンバスのメトラー・トレド・インターナショナル・インコーポレイテッド(Mettler Toledo International Inc.,Columbus,OH)、製品番号(P.N.)AX205))。
【0048】
上記試料のガラスのコーティングされた側を、180gの試料ホルダー中100%の振幅で30分間研磨した。研磨装置は、ビューラー・ビブロメット2ポリッシャー(Buehler VIBROMET 2 Polisher)(イリノイ州レイクブラフのビューラー・リミテッド(Buehler LTD,Lake Bluff,IL)、製品番号(P.N.)67−1635)であった。研磨布は、ビューラー・マイクロクロス(Buehler Microcloth)(イリノイ州レイクブラフのビューラー・リミテッド(Buehler LTD,Lake Bluff,IL)、製品番号(P.N.)40−7222)であった。研磨媒体は、1000mlの脱イオン水中に1.0マイクロメートルのアルミナ粉末50gのスラリー(マイクロポリッシュII(MICROPOLISH II)、イリノイ州レイクブラフのビューラー・リミテッド(Buehler LTD,Lake Bluff,IL)、製品番号(P.N.)40−6321−080)であった。100%の振幅で30分間研磨した後、試料を取り外し、水で洗浄し、続いてイソプロパノール系クリーナーで洗浄し、続いてアセトンで洗浄した。次に、糸くずの出ない布を使用してこれらの試料をきれいに拭き、30分間風乾し、続いて再度秤量した。
【0049】
120分間研磨した後、表面の2点間で導通が生じるまで試料の研磨を続けた。マルチメーターを使用して、コーティングされた各ガラス試料の中心から2cm離れた2点における抵抗を測定した。
【0050】
120分の研磨時間における全重量減として摩耗速度を計算した。破損時間は、2cm離れた2点間において導通が生じる時間とした。
【0051】
ナノスクラッチ(Nanoscratch)
ナノスクラッチ試験機(Nanoscratch tester)(マサチューセッツ州ニーダムのCSMインストルメンツ(CSM Instruments,Needham,MA))を使用して、ナノスクラッチ(Nanoscratch)抵抗性を測定した。2mNから100mNまで増加するスクラッチ荷重を使用して試験を行った。プローブとして2マイクロメートルの球状ダイヤモンド圧子を使用した。
【0052】
テーバー耐摩耗性(Taber Abrasion Resistance)
テーバー・アブレーザー5130(Taber Abraser 5130)(ニューヨーク州ノーストナウォンダのテーバー・インダストリーズ(Taber Industries,North Tonawanda,NY))を使用して、試料を研磨した。ゴム中に埋め込まれたAl23粒子からなる2つのCS−10F砥石車(ニューヨーク州ノーストナウォンダのテーバー・インダストリーズ(Taber Industries,North Tonawanda,NY))を使用した。各砥石車には500gの荷重を加え、150グリットのサンドペーパー(ニューヨーク州ノーストナウォンダのテーバー・インダストリーズ(Taber Industries,North Tonawanda,NY)、製品番号(P.N.)ST−11)で再表面仕上を行った。試料に対して100サイクルの研磨を実施し、砥石車に対して上記サンドペーパーでさらに25サイクルの再表面仕上げを行った。印刷した中心点とそれを囲む環との間で、研磨前、および100サイクルの各組の後で抵抗を測定した。
【0053】
銀ペーストの薄膜を使用して、ガラスに、上記アブレーザー(Abraser)によって形成される摩耗領域を取り囲む2つの同心円状の環からなる試験パターンを印刷した。次に、このガラス試料をコーティングし、焼成し、5インチ(12.5cm)平方に切断した。
【0054】
電気抵抗が25%増加したときを、破壊として定義する。
【0055】
透過率
BYKガードナー・ヘイズ−ガード・プラス(BYK Gardner Haze−Guard plus)を使用して、物品の透過率を測定した。
【0056】
透過ヘイズ
BYKガードナー・ヘイズ−ガード・プラス(BYK Gardner Haze−Guard plus)を使用して、物品の透過ヘイズを測定した。
【0057】
透明度
BYKガードナー・ヘイズ−ガード・プラス(BYK Gardner Haze−Guard plus)を使用して、光学物品の透明度を測定した。試料は、光源の進路に対して垂直に配置した。円環型光検出器(circle and ring photo detector)により測定した、散乱しなかった透過光の値と、入射ビームから2.5℃未満で散乱した光の値から透明度を計算した。
【0058】
反射ヘイズ
BYK−ガードナー・ヘイズ−グロス・メーター(BYK−Gardner Haze−Gloss Meter)を使用して、反射ヘイズを測定した。
【0059】
反射率
正反射を含めてBYK−ガードナーTCS II(BYK−Gardner TCS II)を使用して、550nmにおける反射率を測定した。
【0060】
実施例1
防眩性コーティング組成物の3kgのバッチを以下のように調製した:撹拌パドルを取り付けた容器中で、34.06重量%のテトラエトキシシラン(ダイナジルA(Dynasil A)、シベント・コーポレーション(Sivento Corp.))を、19.45%のメチルトリエトキシシラン(ダイナシランMTES(Dynasilan MTES)、シベント・コーポレーション(Sivento Corp.))に加えた。続いて、撹拌を開始し、混合工程中は撹拌を続けた。次に、1.83%のエチルアルコールを加え、続けて12.73%の2−プロパノールを加えた。5分後、これに11.31%の脱イオン水と0.11%の酢酸ナトリウム三水和物との混合物を加えた。10分後、上記撹拌混合物に0.11%の濃硝酸を加えた。2時間の反応時間の後、13.65%の2−プロパノールを加えた。これによって得られた部分加水分解したケイ酸エチル溶液を、次に2日間エージングした。エージング終了後、6.75%のDP5540(ナイアコル・カンパニー(Nyacol Corp.))(エチレングリコール中に分散した30%の100nmコロイダルシリカ)を15ml/分の流速で加えた。こうして完成したコーティング組成物は、撹拌を続けながら保管した。使用前に、撹拌を続けながら室温において密閉容器中で、このコーティング組成物を2日間エージングした。次に、コーティング前に、このコーティング組成物を10μmメッシュフィルターで重力濾過した。
【0061】
実施例1を2種類の異なる基板上にコーティングした。第1の基板はソーダ石灰ガラスであった。第2の基板は、一方の面にフッ素ドープした酸化スズの透明伝導性コーティングを有する清浄なソーダ石灰ガラス板と、上記伝導性コーティング上に配置された酸化ケイ素の薄い(すなわち500オングストローム未満)層と、上記酸化ケイ素層上にさらに配置された、米国特許第6,727,895号明細書に記載されるような厚膜回路とで構成されたタッチスクリーン用のディスプレイパネルであった。加熱中、この厚膜回路が酸化ケイ素層に貫入することによって、下にある伝導層との電気的接触が形成される。
【0062】
精密ディップコーティング装置を0.13インチ(0.33cm)/秒の引き抜き速度設定で使用して、ガラス、またはディスプレイパネルの酸化ケイ素層のいずれかにコーティングを適用した。好適な精密ディップコーティング装置の1つは、カリフォルニア州ケマット・テクノロジー・ノースリッジ・インコーポレイテッド(Chemat Technology,Northridge Inc,CA)から商品名「ディップ−マスター200」(Dip−Master 200)で入手可能である。ディップコーティングサイクル終了後、1分間の乾燥時間が経過してから、コーティングした基板をディップコーティング装置の筐体から取り出した。コーティングした基板を、次に、米国特許第6,406,758号明細書に開示されるような赤外硬化オーブン中で硬化させた。
【0063】
米国特許第6,504,582号明細書および同第6,504,583号明細書に開示されるようにホメオトロピック液晶シラン溶液を基板に適用して硬化させることによって、上記のコーティングした基板に対して耐擦傷性および抗菌性の処理を行った。例示した構造体はこのような液晶シラン表面層を含んだが、この層を使用しなくても(すなわち防眩層が表面に存在する)類似の結果が得られた。
【0064】
防眩性表面層を顕微鏡(50倍)で観察した。実施例1の防眩性表面層を図3に示す。表面構造が分離したシリカ粒子で構成され、したがって実際に凝集体であることも、光学顕微鏡によって確認できた。
【0065】
表面構造の表面積の比率を、光学顕微鏡検査および画像解析ソフトウェア(イメージ・プロ・プラス4(Image Pro Plus 4)、メディア・サイバネティックス(Media Cybernetics))を使用して測定すると、実施例1の場合46%であった。
【0066】
コーティングした基板の光学的性質について、防眩層のない対照試料との比較を行った。以下の表1は、少なくとも3つの試料の平均値およびその標準偏差を示している。
【0067】
【表1】

【0068】
コーティングした基板の耐久性を評価した。以下の表2は、少なくとも3つの試料の平均値およびその標準偏差を示している。
【0069】
【表2】

【0070】
実施例1の耐摩耗性は、テーバー・アブレーダー(Taber Abrader)を使用して、酸化ケイ素層を有する場合と有さない場合で測定した。酸化ケイ素層が存在する場合、物品は破壊までに500サイクルに耐えることができ、一方酸化ケイ素層が存在しない場合は300サイクルで破壊が起こった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明による防眩性表面層を有するタッチパネルの三次元図である。
【図2】防眩性表面層の製造に使用すると好適な例示的コーティング組成物の粒度分布を示している。
【図3】50倍の倍率における代表的な防眩性表面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板と、前記タッチスクリーン上の接触を検出するための能動素子と、防眩層とを含むタッチスクリーンであって、前記防眩層が、硬化した無機ポリマーマトリックス中に凝集シリカ粒子を含み、前記凝集体が、0.1マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲の大きさの表面構造を形成する、タッチスクリーン。
【請求項2】
少なくとも150の反射ヘイズを有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項3】
10%未満の反射率を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項4】
少なくとも80%の透過率を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項5】
ナノスクラッチ試験で測定して少なくとも10mNの耐擦傷性を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項6】
少なくとも100サイクルのテーバー耐摩耗性試験を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項7】
1マイクロメートルの防眩層について研磨試験により測定される破壊時間が少なくとも2時間である、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項8】
前記シリカ粒子が約0.05マイクロメートル〜約0.15マイクロメートルの範囲の平均粒度を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項9】
前記表面構造が少なくとも0.20マイクロメートルの寸法を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項10】
前記表面構造が少なくとも0.30マイクロメートルの寸法を有する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項11】
前記硬化した無機ポリマーマトリックスがオルガノシランから誘導される、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項12】
前記硬化した無機ポリマーマトリックスがケイ素アルコキシドから誘導される、請求項11に記載のタッチスクリーン。
【請求項13】
前記硬化したオルガノシランがゾル−ゲルプロセスから誘導される、請求項11に記載のタッチスクリーン。
【請求項14】
前記表面の層が特定の全表面積を有し、前記表面構造が前記全表面積の少なくとも20%を構成する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項15】
前記表面の層が特定の全表面積を有し、前記表面構造が前記全表面積の少なくとも30%を構成する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項16】
前記表面の層が特定の全表面積を有し、前記表面構造が前記全表面積の少なくとも40%を構成する、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項17】
透明伝導層と前記防眩層との間に配置された酸化ケイ素層をさらに含む、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項18】
前記能動素子が、前記ガラス基板と前記防眩層との間に配置された透明伝導層を含む、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項19】
前記透明伝導層が透明伝導性酸化物を含む、請求項18に記載のタッチスクリーン。
【請求項20】
液晶シラン表面層をさらに含む、請求項1に記載のタッチスクリーン。
【請求項21】
防眩層を含む物品であって、前記防眩層が、硬化した無機ポリマーマトリックス中に凝集シリカ粒子を含み、前記凝集シリカ粒子が、0.2マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲の大きさの表面構造を形成する、物品。
【請求項22】
ディスプレイパネルである、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
コンピュータのモニター、テレビ画面、光学フィルター、絵画用額、窓、鏡、ソーラーコレクターのカバープレート、光学レンズ、および乗り物のウインドシールドを含む群から選択される、請求項21に記載の物品。
【請求項24】
オルガノシランと、0.2マイクロメートル〜2マイクロメートルの範囲の大きさの凝集シリカ粒子とを含む、コーティング組成物。
【請求項25】
前記シリカ粒子が10重量%未満の濃度で存在する、請求項24に記載のコーティング組成物。
【請求項26】
防眩性物品の製造方法であって:
透明な基板を提供するステップと、
請求項24に記載のコーティング組成物を前記基板にコーティングするステップと、
前記コーティング組成物を加熱するステップとを含む、方法。
【請求項27】
前記基板がガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、および酢酸酪酸セルロースから選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
防眩性コーティング組成物の製造方法であって:
無機ポリマー前駆体と、0.05マイクロメートル〜0.15マイクロメートルの範囲の平均粒度を有するコロイダルシリカ粒子とを提供するステップと、
無機ポリマー溶液の形成と、コロイダルシリカ凝集体の凝集とを同時に行うステップとを含む、方法。
【請求項29】
酢酸ナトリウムを添加するステップを含む、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−511071(P2008−511071A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529857(P2007−529857)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025331
【国際公開番号】WO2006/025956
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】