説明

防眩性積層体、塗膜防眩性積層体、防眩性材料、及び該防眩性材料の製造方法

【課題】優れた外観性、光学特性を有するとともに、その製造並びに加工が容易な、優れた偏光特性と紫外線カット特性の両特性を併せ持つ防眩性材料、及び該防眩性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】2枚の透明なプラスチック材料層と、該2枚の透明なプラスチック材料層で挟み込んだ偏光フィルム層と、前記プラスチック材料層と前記偏光フィルム層とを接着する蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤層とから、本発明の防眩性積層体を構成し、該防眩性積層体を含んで本発明の防眩性材料を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた紫外線カット特性を有するスポーツ用ゴーグル、サングラス等の防眩用途に使用され、優れた外観性、光学特性を有するとともに、その製造並びに加工が容易な、特に優れた偏光特性と紫外線カット特性の両特性を併せ持つ防眩性材料、及び該防眩性材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光特性を有するスポーツ用ゴーグルやサングラスは反射光のカット特性に優れる。このため、マリンスポーツ、スキー、釣り等のアウトドアでの活動での有用性が広く認識されるようになり、その需要は最近急激な伸びを示している。一方、眼や皮膚を紫外線から守るため、眼鏡用レンズ等のアイウェアーを含む防眩用品全般に対して優れた紫外線カット特性が要求されている。
【0003】
従来、偏光能を有するゴーグルやサングラス等の防眩用品は、一般的に偏光フィルムを主要原料として幾つかの加工工程を経て製造されている。このような偏光特性とともに紫外線カット特性をも有する製品を得る方法としては、大別して、最初からレンズ体に使用するプラスチック材料に紫外線カット特性を付与する方法と、加工工程で紫外線カット特性を付与する方法とが考えられる。
【0004】
前者の最初からレンズ体に使用するプラスチック材料に紫外線カット特性を付与する方法としては、紫外線吸収剤、蛍光増白剤および光安定剤を含有するポリカーボネート樹脂組成が提案されている(特許文献1)。
【0005】
後者の加工工程で紫外線カット特性を付与する方法については、種々の研究がなされており、例えばジエチレングリコールビスアリルカーボネートを主成分とするレンズを紫外線吸収剤を含有する溶液に浸漬することが提案されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開平17−206830号公報
【特許文献2】特開平17−338868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来、加工工程で紫外線カット特性を付与する方法による防眩性材料では、長波長の紫外線にまで優れたカット特性を持つ防眩性材料は見出されていなかった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スポーツ用ゴーグル、サングラス等の防眩製品において、加工工程で紫外線カット特性を付与する方法によって、優れた外観性、光学特性を有するとともに、その製造並びに加工が容易な、優れた偏光特性と紫外線カット特性の両特性を併せ持つ防眩性材料、及び該防眩性材料の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために防眩性積層体について鋭意研究を進めたところ、特定の蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤層を含む防眩性積層体が優れた偏光特性と紫外線カット特性の両特性を併せ持つことを見いだし、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明は下記の防眩性積層体、塗膜防眩性積層体、防眩性材料、光学製品、および防眩性材料の製造方法を提供する。
[1]
2枚の透明なプラスチック材料層と、該2枚の透明なプラスチック材料層で挟み込んだ偏光フィルム層と、前記プラスチック材料層と前記偏光フィルム層とを接着する、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤層とからなる防眩性積層体。
[2]
前記蛍光増白剤が、ベンゾオキサゾリル系化合物、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物およびカルボスチリル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]に記載の防眩性積層体。
[3]
前記紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系からなる群から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤であることを特徴とする[1]または[2]に記載の防眩性積層体。
[4]
前記透明なプラスチック材料がポリカーボネートシートであり、その厚みが20μm〜2mmであることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の防眩性積層体。
[5]
[1]から[4]のいずれかに記載の防眩性積層体の片面に塗膜層を設けた塗膜防眩性積層体。
[6]
[1]から[4]のいずれかに記載の防眩性積層体の両面に塗膜層を設けた塗膜防眩性積層体。
[7]
前記塗膜層が、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料からなる群から選ばれる1種以上の有機材料からなり、塗布後にUV硬化または熱硬化して形成され、その膜厚が0.1〜20μmであることを特徴とする[5]または[6]に記載の塗膜防眩性積層体。
[8]
[1]から[4]のいずれかに記載の防眩性積層体または[5]から[7]のいずれかに記載の塗膜防眩性積層体を、透明な熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなるレンズ体中に埋設してなる防眩性材料。
[9]
[1]から[4]のいずれかに記載の防眩性積層体または[5]から[7]のいずれかに記載の塗膜防眩性積層体を、透明な熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂よりなるレンズ体上に積層してなる防眩性材料。
[10]
[8]または[9]に記載の防眩性材料を含んで形成される光学製品。
[11]
偏光サングラスまたは偏光ゴーグルである[10]に記載の光学製品。
[12]
防眩性積層体または塗膜防眩性積層体に透明な熱可塑性樹脂を積層することを含む防眩性材料の製造方法であって、
前記防眩性積層体が、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤を用いて、2枚の透明なプラスチック材料で偏光フィルムを挟み込んで接着して形成されることを特徴とする防眩性材料の製造方法。
[13]
防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を透明な熱硬化性重合性組成物中に埋設し、次に該熱硬化性重合性組成物を重合することを含む防眩性材料の製造方法であって、
前記防眩性積層体が、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤を用いて、2枚の透明なプラスチック材料で偏光フィルムを挟み込んで接着して形成されることを特徴とする防眩性材料の製造方法。
[14]
前記蛍光増白剤が、ベンゾオキサゾリル系化合物、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物およびカルボスチリル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[12]または[13]に記載の防眩性材料の製造方法。
[15]
前記紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系からなる群から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤であることを特徴とする[12]から[14]のいずれかに記載の防眩性材料の製造方法。
[16]
前記透明なプラスチック材料がポリカーボネートシートであり、その厚みが20μm〜2mmであることを特徴とする[12]から[15]のいずれかに記載の防眩性材料の製造方法。
[17]
前記塗膜防眩性積層体が、前記防眩性積層体の片面に塗膜層を設けたことを特徴とする[12]から[16]のいずれかに記載の防眩性材料の製造方法。
[18]
前記塗膜防眩性積層体が、前記防眩性積層体の両面に塗膜層を設けたことを特徴とする[12]から[16]のいずれかに記載の防眩性材料の製造方法。
[19]
前記塗膜層が、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料からなる群から選ばれる1種以上の有機材料からなり、塗布後にUV硬化または熱硬化して形成され、その膜厚が0.1〜20μmであることを特徴とする[12]から[18]のいずれかに記載の防眩性材料の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる防眩性積層体は優れた偏光特性と紫外線カット特性の両特性を併せ持つ。このため、該防眩性積層体を含む本発明にかかる防眩性材料は、優れた紫外線カット特性を有するため、優れた外観性、光学特性を有する防眩用途のスポーツ用ゴーグル、サングラス等に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
本発明にかかる防眩性積層体は、2枚の透明なプラスチック材料層と、該2枚の透明なプラスチック材料層で挟み込んだ偏光フィルム層と、前記プラスチック材料層と前記偏光フィルム層とを接着する蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤層とからなることを特徴とする。本発明にかかる防眩性積層体は、紫外線吸収剤および蛍光増白剤を含有した合成系接着剤を用いた積層体であるため、優れた偏光特性と紫外線カット特性の両特性を併せ持ち、特に長波長の紫外線にまで優れたカット特性を有する。
【0014】
前記防眩性積層体における蛍光増白剤としては、蛍光増白作用を有する物質であれば特に限定されずに用いることができ、例えば、ベンゾオキサゾリン系化合物、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物およびカルボスチリル系化合物等を挙げることができる。これらの蛍光増白剤のなかでも、特に、波長変換特性の点からベンゾオキサゾリン系化合物である、2,5−ビス〔5−tert−ブチルベンゾオキザゾリル(2)〕チオフェンが好ましい。
【0015】
前記蛍光増白剤は、前記防眩性積層体における合成系接着剤固形分に対し、0.1〜5重量部用いられる。0.1重量部未満であると所望の蛍光増白効果が得られないため好ましくなく、5重量部を超えると溶解性が低下し、好ましくない。蛍光増白効果および溶解性の点から、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0016】
前記防眩性積層体における紫外線吸収剤としては、紫外線吸収作用を有する物質であれば特に限定されずに用いることができ、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系等を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤のなかでも、長波長、短波長両方の紫外線を効果的にカットできるものが好ましく、長波長の紫外線カット特性を持つ紫外線吸収剤と短波長の紫外線カット特性を持つ紫外線吸収剤とを併用することもできる。特に、長波長の紫外線カット特性を持つ2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよび短波長の紫外線カット特性を持つ2,2’−ヒドロキシ−3’−テトラブチル−5’メチルフェニル−5−クロロベンゾトリアゾンを併用することが好ましい。
【0017】
前記紫外線吸収剤は、前記防眩性積層体における合成系接着剤固形分に対し0.1〜5重量部用いられる。0.1重量部未満であると低吸収となり好ましくなく、5重量部を超えると溶解性が低下し、好ましくない。これらの点から、好ましくは0.5〜3重量部である。
【0018】
前記防眩性積層体における蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤としては、ある程度の耐熱性さえ有すれば特に限定されずに用いることができ、例えば、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコ−ン系材料等を挙げることができる。これらの合成系接着剤のなかでも、特に、前記防眩性積層体における透明なプラスチック材料として好ましいポリカーボネートとの接着性から、ウレタン樹脂系材料であるポリウレタンプレポリマーと硬化剤からなる2液型の熱硬化性ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0019】
前記ポリウレタンプレポリマーとしては、例えばジイソシアネート化合物とポリオキシアルキレンジオールとを一定割合で反応させた化合物であって、両末端にイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。ポリウレタンプレポリマーに使用されるジイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートを使用できるが、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましい。前記ポリオキシアルキレンジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが使用できるが、5〜30の重合度を有するポリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ポリウレタンプレポリマーの分子量は、数平均分子量500〜5000のものであり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
【0020】
前記硬化剤としては、水酸基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリウレタンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオール等が例示される。この中でも特定のイソシアネートと特定のポリオールから得られる末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましい。特にジイソシアネート化合物とポリオールから誘導される少なくとも両末端に水酸基を有するポリウレタンポリオールが好ましい。前記ジイソシアネート化合物としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートを使用できるが、トリレンジイソシアネートを使用することが好ましい。また、前記ポリオールとしては、トリメチロールプロパン等をエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイドと反応させたものを使用でき、重合度が5〜30のポリプロピレングリコール誘導体を使用することが好ましい。この硬化剤の分子量は数平均分子量500〜5000であり、好ましくは1500〜4000、より好ましくは2000〜3000である。
【0021】
これらのポリウレタンプレポリマー及び硬化剤は粘度調節のために酢酸エチル及びテトラヒドロフランなどの溶媒を加えて使用することができる。この方法は、特に、紫外線吸収剤および蛍光増白剤をウレタン樹脂中に均一に分散させるために有効である。
【0022】
前記防眩性積層体における偏光フィルムは、基本的にはある程度の耐熱性さえ有すれば、特に限定されず様々な偏光フィルムを用いることができる。この偏光フィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂から形成されてなることが好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂としては、特に限定なく一般的なポリビニルアルコール系フィルムを用いているものであれば使用可能である。このようなポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)共重合体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などを挙げることができる。これらのポリビニルアルコール系樹脂の中でも、ポリビニルアルコール樹脂が特に好ましい。
【0023】
前記偏光フィルムとしては、2色性色素を用いているものは耐熱性に優れるために好ましい。例えば、前記ポリビニルアルコール樹脂の場合には、2色性色素溶液中に該樹脂を室温〜50℃の加温下で浸漬することにより染色することができる。
【0024】
前記偏光フィルムの製造に用いる前記色素としては、例えばクリソフェニン(C.I.24895)、クロランチンファストレッド(C.I.28160)、シリウスイエロー(C.I.29000)、ベンゾパープリン(C.I.23500)、ダイレクトファーストレッド(C.I.23630)、ブリリアントブルーB(C.I.24410)、クロラゾールブラックBH(C.I.22590)、ダイレクトブルー2B(C.I.22610)、ダイレクトスカイブルー(C.I.24400)、ジアミングリーン(C.I.30295)、ソロフェニルブルー4GL(C.I.34200)、ダイレクトコッパーブルー2B(C.I.24185)、ニッポンブリリアントヴァイオレットBKconc(C.I.27885)、コンゴーレッド(C.I.22120)、アシドブラック(C.I.20470)等が挙げられ、これらの色素の中から目的に応じて2色以上の色素を選択して用いることができる。なお、括弧内には、有機合成協会編「新版 染料便覧」(丸善株式会社、1970年)に記載のColour Index No.を示した。
【0025】
前記偏光フィルムは、さらに金属化合物およびホウ酸により処理されていると、優れた耐熱性および耐溶剤性を有し、好ましい。具体的には、2色性色素溶液中で染色された前記偏光シートを金属化合物およびホウ酸の混合溶液に浸漬中あるいは浸漬後に延伸する方法、または2色性色素溶液中で染色および延伸された前記偏光シートを金属化合物およびホウ酸の混合溶液に浸漬する方法を用いて処理することができる。
【0026】
前記金属化合物としては、第4周期、第5周期、第6周期のいずれの周期に属する遷移金属であっても、その金属化合物に前記耐熱性および耐溶剤性効果の確認されるものが存在するが、価格面からクロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの第4周期遷移金属の酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの金属塩が好ましい。これらの中でも、ニッケル、マンガン、コバルト、亜鉛および銅の化合物が、安価で前記効果に優れるため、さらに好ましい。
【0027】
前記金属化合物としては、例えば、酢酸マンガン(II)四水和物、酢酸マンガン(III)二水和物、硝酸マンガン(II)六水和物、硫酸マンガン(II)五水和物、酢酸コバルト(II)四水和物、硝酸コバルト(II)六水和物、硫酸コバルト(II)七水和物、酢酸ニッケル(II)四水和物、硝酸ニッケル(II)六水和物、硫酸ニッケル(II)六水和物、酢酸亜鉛(II)、硫酸亜鉛(II)、硝酸クロム(III)九水和物、酢酸銅(II)一水和物、硝酸銅(II)三水和物、硫酸銅(II)五水和物などが挙げられる。これらの金属化合物のうち、いずれか1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いることもできる。
【0028】
前記金属化合物およびホウ酸の前記偏光シート中の含有率は、前記偏光シートに耐熱性および耐溶剤性を与える点から、偏光シート1g当たり、金属化合物では金属として0.2〜20mg含有されることが好ましく、1〜5mgがさらに好ましい。ホウ酸の含有率は、ホウ素として0.3〜30mgが好ましく、0.5〜10mgがさらに好ましい。処理に用いる処理液の組成は以上の含有率を満たすように設定され、一般的には、金属化合物の濃度は0.5〜30g/L、ホウ酸濃度は2〜20g/Lであることが好ましい。偏光シートに含有される金属およびホウ素の含有率の分析は、原子吸光分析法により行うことができる。
【0029】
前記金属化合物およびホウ酸による浸漬工程における浸漬条件は、通常、室温〜50℃で5〜15分である。浸漬後の加熱工程の条件は、70℃以上、好ましくは90〜120℃の温度で、1〜120分間、好ましくは5〜40分間加熱する。
【0030】
前記防眩性積層体における透明なプラスチック材料は、基本的にはある程度の耐熱性さえ有すれば、特に限定されず様々な透明シートを用いることができる。この透明なプラスチック材料としては、ポリカーボネート系樹脂、非晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられるが、機械的強度、光応答性の特性からポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0031】
前記ポリカーボネート樹脂としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンや2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジハロゲノフェニル)アルカンで代表されるビスフェノール化合物から周知の方法で製造された重合体が用いられ、その重合体骨格に脂肪酸ジオールに由来する構造単位が含まれるエステル結合を持つ構造単位が含まれても良い。好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるビスフェノールAポリカーボネート樹脂である。分子量についても特に制限はないが、賦型性や機械的強度の観点から粘度平均分子量で17000〜40000、より好ましくは20000〜30000のものである。
【0032】
前記透明なプラスチック材料の厚さは、20μm〜2mmであり、特に、曲面加工をする場合は、50μm〜1mmであることが好ましい。
【0033】
前記防眩性積層体の大きさ及び形状は自由に選定することができる。即ち、最終的に得られる防眩性材料の全体に亘る形状のものであってもよいし、或いは防眩性材料の一部を覆うようなものであってもよい。
【0034】
本発明にかかる塗膜防眩性積層体は、前述の防眩性積層体の片面または両面(透明なプラスチックシートの接着されていない側の面)に塗膜層を設けてもよい。その塗膜層は、透明なプラスチックシートの接着前に塗布しても、接着後に塗布してもよい。
【0035】
本発明にかかる塗膜防眩性積層体の透明なプラスチックシートの表面に塗布する材料は、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料の1種以上から選ばれた有機材料からなる有機皮膜である。この中でも、レンズ材との接着性、耐溶剤性からその主成分となる材料はアクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料が好ましく、特に紫外線硬化型ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びこれらの混合塗料が好ましい。
【0036】
前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリエステルジオールまたは脂肪族ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、1分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基及び水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを反応させることにより得られる2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを挙げることができる。これに、更に1個の官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー、2〜4個の官能基を有する(メタ)アクリレートモノマー、6個の官能基を有するジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートモノマー成分を必要に応じ混合することにより得られるウレタン(メタ)アクリレートを用いることもできる。
【0037】
前記ポリエステルジオールは、脂肪族ジオールと脂肪族カルボン酸とから誘導することができる。この脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等が例示される。また、脂肪族ジカルボン酸としてはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヒメリン酸、スベリン酸、セバシン酸等が例示される。
【0038】
前記ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネートが好ましく、例えば、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が例示される。
【0039】
前記2官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエステルジオールまたは脂肪族ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート等の1分子中に1個のアクリロイルオキシ基と水酸基を有するアクリレートモノマーとのウレタン化反応で得ることができる。
【0040】
前記1官能モノマーとしては、分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、スチレン、α−メチルスチレン等の不飽和化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物が挙げられる。特に好ましい化合物としては、分子中に1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0041】
前記2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
前記3,4官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えばグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
前記6官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
前記ポリエステルアクリレートは、多価アルコールと多価カルボン酸とアクリル酸またはそれらの誘導体とから得られる飽和もしくは不飽和ポリエステルアクリレートである。具体的には2価のアルコール、3価のアルコールまたは2価のアルコールと3価のアルコールの混合物に、多価カルボン酸として2価カルボン酸を用いて得られたものが挙げられる。
【0045】
前記塗膜防眩性積層体の塗膜層の硬化については、塗布する材料に応じて紫外線照射法、熱硬化法があるが、生産性から紫外線照射法が好ましい。また、塗膜層の膜厚は0.1〜20μm、機能面からは1〜10μmが好ましい。これら塗布する材料は無溶媒系と溶媒を使用する系とがあり、代表的溶媒としてはトルエン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチルセロソルブ等を挙げることができる。
【0046】
前記防眩性積層体に塗布する材料を塗布後、形成される前記塗膜防眩性積層体を得るために、スプレー、浸漬、カーテンフロー、ロールコーティング等公知の方法を用いて塗布した後、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ等の紫外線を照射することによって速やかに硬化させる方法を用いることができる。
【0047】
本発明にかかる防眩性材料は、以上の防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を、透明な熱可塑性樹脂に積層して製造することができ、または以上の防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を、透明な熱硬化性重合性組成物中に埋設または透明な熱硬化性重合性組成物層に積層して製造することができる。すなわち、以上の防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を、さらに射出成形または注型重合し、レンズ体中に埋設、またレンズ体上に積層することにより本発明にかかる防眩性材料を得ることができる。
【0048】
前記射出成形に用いる樹脂には特に制限はなく、通常の樹脂レンズの材料となるものをそのまま用いることができる。この中でも、ビスフェノールAポリカーボネートに代表される芳香族ポリカーボネートや、光弾性係数が55×10−12/N以下のポリカーボネートで、芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート又は脂肪族ポリカーボネートよりなるもの、あるいは該芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート又は脂肪族ポリカーボネートに芳香族ポリカーボネートを重量比として40%以下、特に10〜30%の範囲にて含有したものが好ましい。
【0049】
前記注型重合に用いる重合性組成物は特に制限はなく、通常の樹脂レンズの材料となるモノマーの組成物をそのまま用いることができる。その具体例としては、例えばメチルメタアクリレート等のメタアクリレート類、アクリレート類、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレート等のアリル基を有するモノマー、臭素若しくは塩素で置換された各種のメタクリレート類、アクリレート類、アリル化合物、さらには、内部にウレタン結合をもつウレタンアクリル系重合組成物、イソシアネートとチオールとを組み合せたチオウレタン系重合組成物、その他を挙げることができる。しかしながら、該積層体との相性から、チオウレタン系重合組成物が好ましい。
【0050】
前記チオウレタン系重合組成物で組み合わされるイソシアネート化合物の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。すなわち、ジエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,6−ビス(イソシアナトメチル)デカヒドロナフタレン、リジントリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、3−(2’−イソシアネートシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,2’−ビス(4−イソシアネートフェニル)プロパン、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビス(ジイソシアネートトリル)フェニルメタン、3,3’−ジメトキシベンジジン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルビフェニル、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトベンゼン)、1,1’−メチレンビス(3−メチル−4−イソシアナトベンゼン)、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(2−イソシアナト−2−プロピル)ベンゼン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(イソシアネートメチル)ジシクロペンタジエン、ビス(イソシアネートメチル)テトラヒドロチオフェン、ビス(イソシアネートメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアネートメチルノルボルネン、ビス(イソシアネートメチル)アダマンタン、ダイマー酸ジイソシアネート、1,3,5−トリ(1−イソシアナトヘキシル)イソシアヌル酸、2,5−ジイソシアナートメチル−1,4−ジチアン、2,5−ビス(4−イソシアナート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナートメチル−4−イソシアナート−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(3−イソシアナート−2−チアプロピル)−1,4−ジチアン、1,3,5−トリイソシアナートシクロヘキサン、1,3,5−トリス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチルチオ)メタン、1、5−ジイソシアネート−2−イソシアネートメチル−3−チアペンタン、1,2,3−トリス(イソシアネートエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアネートメチルチオ)プロパン、1,1,6,6−テトラキス(イソシアネートメチル)−2,5−ジチアヘキサン、1,1,5,5、−テトラキス(イソシアネートメチル)−2,4−ジチアペンタン、1,2−ビス(イソシアネートメチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアネート−3−イソシアネートメチル−2,4−ジチアペンタン、1,5−ジイソシアネート−3−イソシアネートメチル−2,4−ジチアペンタン等のポリイソシアネート類、これらのポリイソシアネート類のビュレット型反応による二量体、これらのポリイソシアネート類の環化三量体およびこれらのポリイソシアネート類とアルコールもしくはチオールの付加物等が挙げられる。さらには、上記化合物のイソシアネート基の全部または一部をイソチオシアネート基に変えた化合物等を挙げることができる。以上、本発明で用いられる、イソシアネート基および/またはイソチオシアネート基を有する化合物を例示したが、これらは単独でも、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0051】
これらの中でも、良好な耐熱性の点から、好ましくはポリイソシアネート類であり、特に好ましくは環状構造を有するポリイソシアネート類である。
【0052】
前記チオウレタン系重合組成物で組み合わされるチオール化合物の具体例としては、例えば以下の化合物があげられる。すなわち、1,2−ジメルカプトエタン、1,2−ジメルカプトプロパン、2,2−ジメルカプトプロパン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジメルカプトプロパン、2−メルカプトメチル−1,4−ジメルカプトブタン、2−(2−メルカプトエチルチオ)−1,3−ジメルカプトプロパン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、2,4−ビス(メルカプトメチル)−1,5−ジメルカプト−3−チアペンタン、4,8−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ビス(メルカプトメチル)−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、1,2,7−トリメルカプト−4,6−ジチアヘプタン、1,2,9−トリメルカプト−4,6,8−トリチアノナン、1,2,8,9−テトラメルカプト−4,6−ジチアノナン、1,2,10,11−テトラメルカプト−4,6,8−トリチアウンデカン、1,2,12,13−テトラメルカプト−4,6,8,10−テトラチアトリデカン、1,1,1−トリス(メルカプトメチル)プロパン、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、テトラキス(4−メルカプト−2−チアブチル)メタン、テトラキス(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,1−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ジメルカプトシクロヘキサン、1,3−ジメルカプトシクロヘキサン、1,2−ジメルカプトシクロヘキサン、1,4−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1−チアン、2,5−ビス(2−メルカプトエチル)−1−チアン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−メルカプトメチルフェニル)プロパン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3,4−チオフェンジチオール、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、グリセリルジチオグリコーレート、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、3−メルカプトメチル−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン等のポリチオール類およびこれらの2量体〜20量体といったオリゴマーを挙げることができる。
【0053】
前記チオール基の中でも不飽和基を有するチオール類としては、アリルチオール、2−ビニルベンジルチオール、3−ビニルベンジルチオール、4−ビニルベンジルチオール、2−ビニルチオフェノール、3−ビニルチオフェノール、4−ビニルチオフェノール等を挙げることができる。これらは単独でも、2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中でも、好ましい具体例はポリチオール類であり、特に好ましくはスルフィド構造またはエステル構造を有するポリチオール類である。
【0054】
前記注型重合に用いる注型重合用型としては、通常の眼鏡用レンズを製作するために一般に使用されているガラス製のものをそのまま用いることができる。
【0055】
本発明にかかる光学製品は、以上の防眩性材料を含んで形成されることを特徴とする。これらの光学製品としては、例えば、偏光サングラス、偏光ゴーグルなどを挙げることができる。この中でも、偏光サングラスまたは偏光ゴーグルであることが好ましい。
【0056】
また本発明は、本発明にかかる防眩性材料の製造方法に関する。すなわち、本発明にかかる防眩性材料の製造方法は、防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を透明な熱可塑性樹脂に積層することを含む防眩性材料の製造方法であって、前記防眩性積層体が、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤を用いて、2枚の透明なプラスチック材料で偏光フィルムを挟み込んで接着して形成されることを特徴とすることを特徴とする。また、本発明にかかる防眩性材料の製造方法は、防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を透明な熱硬化性重合性組成物中に埋設または透明な熱硬化性重合性組成物層に積層し、次に該熱硬化性重合性組成物を重合することを含む防眩性材料の製造方法であって、前記防眩性積層体が、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤を用いて、2枚の透明なプラスチック材料で偏光フィルムを挟み込んで接着して形成されることを特徴とする。
【0057】
本発明にかかる防眩性材料の製造方法における防眩性積層体または塗膜防眩性積層体については、本発明にかかる防眩性積層体または塗膜防眩性積層体の項で記載した通りである。
【0058】
前記蛍光増白剤は、ベンゾオキサゾリル系化合物、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物およびカルボスチリル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0059】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系からなる群から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0060】
前記透明なプラスチック材料は、ポリカーボネートシートであり、その厚みが20μm〜2mmであることが好ましい。
【0061】
前記塗膜防眩性積層体は、前記防眩性積層体の片面に塗膜層を設けるか、または前記防眩性積層体の両面に塗膜層を設けることが好ましい。
【0062】
前記塗膜層は、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料からなる群から選ばれる1種以上の有機材料からなり、塗布後にUV硬化または熱硬化して形成され、その膜厚が0.1〜20μmであることが好ましい。
【0063】
紫外線吸収剤および蛍光増白剤を含有する熱硬化性ポリウレタン樹脂接着剤を用いて、表面に塗膜層を設けた2枚の透明なポリカーボネートシートで偏光フィルムを挟み込んで接着した前記防眩性積層体の一例は、例えば、以下の方法により製造することができる。ポリウレタンプレポリマーを特定有機溶媒で希釈した溶液に、紫外線吸収剤を樹脂固形分に対して0.1〜3重量%の割合で加え、さらに蛍光増白剤を樹脂固形分に対して0.1〜3重量%の割合で加え、均一に攪拌混合する。その後、更にイソシアネート基(I)と硬化剤の水酸基(H)の比I/Hが0.9〜20、好ましくは1〜10を目安として硬化剤を加えてさらに攪拌し、溶液を形成させる。溶液中のポリマー濃度は、一般的には40〜90重量%が適当である。該溶液を(表面に塗膜層を設けた)透明なポリカーボネートシートの片面に塗布厚が5〜12μmとなるバーコーターを使用して塗布する。塗布後、室温下において1〜30分乾燥し、該合成樹脂シートの塗布面に偏光フィルムと貼り合わせ、該シートの偏光フィルム側の面と、他の(表面に塗膜層を設けた)透明なポリカーボネートシートの片面と貼り合わせ、サンドイッチ状とする。該積層シートを加熱し硬化剤を含むウレタンプレポリマーを硬化させ、透明な合成樹脂積層体を得る。ポリウレタンプレポリマーの硬化条件は、通常60〜140℃で、2時間〜1週間である。
【0064】
前記希釈溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンのような炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸イソブチル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキシルケトン等のケトン類、酢酸セルソルブ、ジエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、ジアセトンアルコール、tert−アミルアルコール等の三級アルコール及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。この中でも、特に、酢酸エチル、テトラヒドロフランおよびトルエンが好ましい。
【0065】
前記防眩性積層体または塗膜防眩性積層体は、さらに射出成形または注型重合し、レンズ体中に埋設、またレンズ体上に積層して、本発明の防眩性材料を製造することができる。
【0066】
前記射出成形に用いる樹脂、前記注型重合に用いる重合性組成物については、本発明にかかる防眩性材料の項で記載した通りである。
【0067】
前記注型重合に用いる注型重合用型としては、通常の眼鏡用レンズを製作するための一般に使用されているガラス製のものをそのまま用いることができる。
【0068】
前記注型重合を実施するための具体的操作においては、例えば、型の一方に重合性組成物を充填しておいてその上に該積層体を浮かべておき、ガスケットを介して型の他方を液密にセットした後、型内に重合性組成物を更に注入して重合する方法、適当な手段により該積層体を型内において支持させておいて重合性組成物を型内に注入して重合する方法、その他型の一方に該積層体を密着させておき、型内に重合性組成物を注入して重合する方法を利用することができる。
【0069】
用いる該積層体の大きさ及び形状は自由に選定することができる。即ち、最終的に得られるレンズの全体に亘る形状のものであってもよいし、或いはレンズの一部を覆うようなものであってもよい。そして、該積層体を一旦用いるモノマーで濡らした後に型内にセットするのが好ましく、これにより、気泡の混入を防止すると共に該積層体と重合性組成物を重合させて得られる該熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との密着性を確保することができる。重合性組成物中には、場合によって、重合開始剤が含有され、適当な温度に加熱されることによって重合が行われる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0071】
<測定方法>
以下の実施例および比較例で製造した防眩性材料の透過率、偏光度、および塗膜の厚み測定及び算出は以下の方法を用いて行った。
(A)透過率
透過率は、分光光度計 V−550(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
(B)塗膜の厚み
塗膜の厚みは、多層膜厚測定装置 DC−8200(グンゼ株式会社製)を用いて測定した。
【0072】
<実施例1>
(a)偏光フィルムの製造
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、商品名:VF−P#7500)をスミライトレッド 4B−P(C.I.28160)0.1g/L、クリソフェニン(C.I.24895)0.78g/L、スミライトスプラブルーG(C.I.34200)0.3g/L及び無水硫酸ナトリウム10g/Lを含む水溶液中で35℃で3分間染色した後、溶液中で4倍に延伸した。この染色フィルムを酢酸ニッケル2.5g/Lおよびホウ酸6.6g/Lを含む水溶液中35℃で3分浸漬した。そのフィルムを緊張状態が保持された状態で室温で3分乾燥を行った後、110℃で3分間加熱処理し、偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの光学特性は、可視部全域での視感度補正透過率T(vis.)=29.9%、偏光度P=94.3%であった。また、該フィルム中のニッケル含有量は1.2mg/gであり、ホウ素含有量は1.3mg/gであった。
【0073】
(b)透明なプラスチック材料
厚さ700μmのビスフェノールAポリカーボネートシート(三菱瓦斯化学株式会社製)を透明なプラスチック材料として用いた。
【0074】
(c)接着剤組成
プレポリマー50gと酢酸エチル66.7gおよび硬化剤5gを加えた溶液に、紫外線吸収剤2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン0.39gおよび2,2’−ヒドロキシ−3’−テトラブチル−5’メチルフェニル−5−クロロベンゾトリアゾン0.39g、蛍光増白剤2,5−ビス〔5−tert−ブチルベンゾオキザゾリル(2)〕チオフェン0.47gを添加し、室温下で1時間攪拌した。なお、上記プレポリマーは、NCO基当量重量(当量重量とは官能基1個あたりの平均分子量)が1500のポリウレタンプレポリマー(ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート)と平均重合度15のポリプロピレングリコールから調製したものである。上記硬化剤は、水酸基当量重量が10のポリプロピレングリコールから調製したものである。
【0075】
(d)本発明の防眩性積層体の製造
(b)の透明なポリカーボネートシートの片面に(c)で得た接着剤をバーコーター#12を用いて塗布し、室温で5分間乾燥させた後、(a)で得た偏光フィルムをラミネーター(株式会社MCK製)で貼り合わせた。この積層シートの偏光フィルム側に、もう1枚のポリカーボネートシートに上記と同様に接着剤を塗布したものとを同様に貼り合わせ、室温で24時間、70℃で24時間乾燥して本発明の防眩性積層体を得た。
【0076】
硬化後の接着剤塗膜の厚みは、7〜9μmになっていた。波長400nmにおける透過率、0.17%と優れた結果が得られた。また、280〜400nmの紫外域全波長において、透過率0.3%未満となった。各波長における透過率についてはその結果を図1に示した。
【0077】
<実施例2>
(a)偏光フィルムの製造
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、商品名:VF−P#7500)をスミライトレッド 4B−P(C.I.28160)1.83g/L、クリソフェニン(C.I.24895)0.69g/L、スミライトスプラブルーG(C.I.34200)1.1g/L及び無水硫酸ナトリウム10g/Lを含む水溶液中で35℃で3分間染色した後、溶液中で4倍に延伸した。この染色フィルムを酢酸ニッケル2.5g/Lおよびホウ酸6.6g/Lを含む水溶液中35℃で3分浸漬した。そのフィルムを緊張状態が保持された状態で室温で3分乾燥を行った後、110℃で3分間加熱処理し、偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの光学特性は、可視部全域での視感度補正透過率T(vis.)=19.0%、偏光度P=97.5%であった。また、該フィルム中のニッケル含有量は1.2mg/gであり、ホウ素含有量は1.3mg/gであった。
【0078】
上記(a)偏光フィルムを用いて、実施例1の(b)〜(d)と同様にして本発明の防眩性積層体を得た。硬化後の接着剤塗膜の厚みは、7〜9μmになっていた。波長400nmにおける透過率、0.55%と優れた結果が得られた。また、280〜400nmの紫外域全波長において、透過率0.7%未満となった。各波長における透過率についてはその結果を図2に示した。
【0079】
<実施例3>
(a)偏光フィルムの製造
ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製、商品名:VF−P#7500)をスミライトレッド 4B−P(C.I.28160)0.37g/L、クリソフェニン(C.I.24895)0.23g/L、スミライトスプラブルーG(C.I.34200)1.73g/L及び無水硫酸ナトリウム10g/Lを含む水溶液中で35℃で3分間染色した後、溶液中で4倍に延伸した。この染色フィルムを酢酸ニッケル2.5g/Lおよびホウ酸6.6g/Lを含む水溶液中35℃で3分浸漬した。そのフィルムを緊張状態が保持された状態で室温で3分乾燥を行った後、110℃で3分間加熱処理し、偏光フィルムを得た。
【0080】
得られた偏光フィルムの光学特性は、可視部全域での視感度補正透過率T(vis.)=19.8%、偏光度P=99.8%であった。また、該フィルム中のニッケル含有量は1.2mg/gであり、ホウ素含有量は1.3mg/gであった。
【0081】
(b)透明なプラスチック材料
厚さ700μmのビスフェノールAポリカーボネートシート(三菱瓦斯化学株式会社製)を透明プラスチック材料として用いた。
【0082】
(c)接着剤組成
実施例1と同様にして調製したプレポリマーと硬化剤を含む酢酸エチル溶液に、紫外線吸収剤2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン0.39gおよび2,2’−ヒドロキシ−3’−テトラブチル−5’メチルフェニル−5−クロロベンゾトリアゾン0.39g、蛍光増白剤2,5−ビス〔5−tert−ブチルベンゾオキザゾリル(2)〕チオフェン0.55gを添加し、室温下で1時間攪拌した。
【0083】
上記(a)〜(c)を用いて、実施例1の(d)と同様にして本発明の防眩性積層体を得た。硬化後の接着剤塗膜の厚みは、7〜9μmになっていた。波長400nmにおける透過率、0.71%と優れた結果が得られた。また、280〜400nmの紫外域全波長において、透過率1.0%未満となった。各波長における透過率についてはその結果を図3に示した。
【0084】
<実施例4>
紫外線硬化型ポリウレタン(メタ)アクリレート材料により、片面に塗膜層を設けた厚さ700μmのビスフェノールAポリカーボネートシートを用いて、実施例1と同様にして本発明の防眩性積層体を得た。
【0085】
<実施例5>
型締め力100tonの射出成形機を用い、予めφ75mmで打ち抜いた実施例1の積層体を曲面形状(球面半径=63mm)のキャビティーを有する設定温度80℃の金型内に装着した。次いで、予め100℃で6時間以上乾燥しておいたビスフェノールAポリカーボネートを、シリンダー温度300℃の射出成形機にて射出し、中心肉厚が3mmの、実施例1の積層体を上に積層したレンズ体(本発明の防眩性材料)を得た。
【0086】
<実施例6>
実施例1の積層体を直径60mmの円形に裁断し、曲率半径R=90mmの曲げ加工品を得た。次いで熱硬化性樹脂の原料組成物として、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン43.5g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)56.5g、ジメチルスズジラウリレート0.05g、およびブトキシエチルアシッドホスフェート0.2gを混合し均一とし、レンズモノマー組成物を調整した。その後、曲げ加工した積層体を所定のガラスモールド中に入れ、この上下にレンズモノマー組成物を注入し、20℃から100℃まで20時間かけて徐々に昇温し、100℃から120℃まで1時間かけて昇温した後、120℃で1時間加熱し、重合硬化させた。モールドから離型した後、120℃で1時間アニールして、実施例1の積層体を中に埋設したレンズ体(本発明の防眩性材料)を得た。
【0087】
<比較例1>
実施例1と同様にして調製したプレポリマーと硬化剤を含む酢酸エチル溶液に、紫外線吸収剤2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン0.39gおよび2,2’−ヒドロキシ−3’−テトラブチル−5’メチルフェニル−5−クロロベンゾトリアゾン0.94gを添加し、室温下で1時間攪拌した。この接着剤を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。硬化後の接着剤塗膜の厚みは、7〜9μmになっていた。
【0088】
波長400nmにおける透過率が1.73%と高い結果となった。また、紫外域の波長390〜400nmにおいて、透過率0.8%以上となった。各波長における透過率についてはその結果を図1に示した。
【0089】
<比較例2>
実施例2と同様の(a)偏光フィルムを用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。硬化後の接着剤塗膜の厚みは、7〜9μmになっていた。
【0090】
波長400nmにおける透過率が6.42%と高い結果となった。また、紫外域の波長390〜400nmにおいて、透過率2.0%以上となった。各波長における透過率についてはその結果を図2に示した。
【0091】
<比較例3>
実施例3と同様の(a)偏光フィルムを用いた以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。硬化後の接着剤塗膜の厚みは、7〜9μmになっていた。
【0092】
波長400nmにおける透過率が13.4%と高い結果となった。また、紫外域の波長390〜400nmにおいて、透過率4.0%以上となった。各波長における透過率についてはその結果を図3に示した。
【0093】
以上、実施例1〜3および比較例1〜3の結果を表1にまとめた。表1から明らかなように、本発明の防眩性積層体は紫外域波長において優れた吸収性を示した。
【0094】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明にかかる防眩性材料は、優れた紫外線カット特性を有するため、優れた外観性、光学特性を有する防眩用途のスポーツ用ゴーグル、サングラス等に適している。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の防眩性積層体の紫外線透過率を表すグラフを示す図である。
【図2】本発明の防眩性積層体の紫外線透過率を表すグラフを示す図である。
【図3】本発明の防眩性積層体の紫外線透過率を表すグラフを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の透明なプラスチック材料層と、該2枚の透明なプラスチック材料層で挟み込んだ偏光フィルム層と、前記プラスチック材料層と前記偏光フィルム層とを接着する、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤層とからなる防眩性積層体。
【請求項2】
前記蛍光増白剤が、ベンゾオキサゾリル系化合物、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物およびカルボスチリル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の防眩性積層体。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系からなる群から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の防眩性積層体。
【請求項4】
前記透明なプラスチック材料がポリカーボネートシートであり、その厚みが20μm〜2mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の防眩性積層体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の防眩性積層体の片面に塗膜層を設けた塗膜防眩性積層体。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の防眩性積層体の両面に塗膜層を設けた塗膜防眩性積層体。
【請求項7】
前記塗膜層が、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料からなる群から選ばれる1種以上の有機材料からなり、塗布後にUV硬化または熱硬化して形成され、その膜厚が0.1〜20μmであることを特徴とする請求項5または6に記載の塗膜防眩性積層体。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の防眩性積層体または請求項5から7のいずれか1項に記載の塗膜防眩性積層体を、透明な熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなるレンズ体中に埋設してなる防眩性材料。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか1項に記載の防眩性積層体または請求項5から7のいずれか1項に記載の塗膜防眩性積層体を、透明な熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂よりなるレンズ体上に積層してなる防眩性材料。
【請求項10】
請求項8または9に記載の防眩性材料を含んで形成される光学製品。
【請求項11】
偏光サングラスまたは偏光ゴーグルである請求項10に記載の光学製品。
【請求項12】
防眩性積層体または塗膜防眩性積層体に透明な熱可塑性樹脂を積層することを含む防眩性材料の製造方法であって、
前記防眩性積層体が、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤を用いて、2枚の透明なプラスチック材料で偏光フィルムを挟み込んで接着して形成されることを特徴とする防眩性材料の製造方法。
【請求項13】
防眩性積層体または塗膜防眩性積層体を透明な熱硬化性重合性組成物中に埋設し、次に該熱硬化性重合性組成物を重合することを含む防眩性材料の製造方法であって、
前記防眩性積層体が、少なくとも一方の層に蛍光増白剤および紫外線吸収剤を含有する合成系接着剤を用いて、2枚の透明なプラスチック材料で偏光フィルムを挟み込んで接着して形成されることを特徴とする防眩性材料の製造方法。
【請求項14】
前記蛍光増白剤が、ベンゾオキサゾリル系化合物、スチルベン系化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物およびカルボスチリル系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載の防眩性材料の製造方法。
【請求項15】
前記紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、トリアジン系からなる群から選ばれる1種以上の紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項12または13に記載の防眩性材料の製造方法。
【請求項16】
前記透明なプラスチック材料がポリカーボネートシートであり、その厚みが20μm〜2mmであることを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の防眩性材料の製造方法。
【請求項17】
前記塗膜防眩性積層体が、前記防眩性積層体の片面に塗膜層を設けたことを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の防眩性材料の製造方法。
【請求項18】
前記塗膜防眩性積層体が、前記防眩性積層体の両面に塗膜層を設けたことを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の防眩性材料の製造方法。
【請求項19】
前記塗膜層が、アクリル系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料からなる群から選ばれる1種以上の有機材料からなり、塗布後にUV硬化または熱硬化して形成され、その膜厚が0.1〜20μmであることを特徴とする請求項12から17のいずれか1項に記載の防眩性材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−105225(P2008−105225A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288830(P2006−288830)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(597003516)MGCフィルシート株式会社 (33)
【Fターム(参考)】