説明

除湿機

【課題】凝縮器の熱伝達効率を向上させる。
【解決手段】除湿機の凝縮器40は、空気中の水分を吸着した吸着部材から放出された水分を含む再生空気を冷却空気によって冷却して、再生空気中の水分を凝縮させるものであって、積層された複数枚の金属シート51を有する。金属シート51の隙間によって、再生空気が通過する再生流路41と冷却空気が通過する冷却流路42とが構成される。また、再生流路41と冷却流路42は交互に並んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮器を備えた除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、除湿機として、吸着部材に空気を通過させて除湿を行う除湿機が知られている。この除湿機では、水分を吸着した吸着部材に、加熱された再生空気を通過させることで、吸着部材を乾燥させて再生させる。また、除湿機は、吸着部材を通過した再生空気から水分を除去するために凝縮器を備えている。凝縮器は、吸着部材を通過した再生空気を冷却空気によって冷却して、再生空気中の水分を凝縮させる。
【0003】
例えば特許文献1の除湿機の凝縮器は、熱可塑性樹脂からなる複数枚の伝熱板を所定の間隔を空けて積層し、伝熱板の隙間に再生空気と冷却空気を交互に流している。伝熱板には、突起が形成されており、この突起が隣接する伝熱板に当接することにより、伝熱板の間に隙間が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、伝熱板は、熱可塑性樹脂で形成されているため、熱伝達性が低く、熱交換効率が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、凝縮器の熱交換効率を向上させることができる除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る除湿機は、空気中の水分を吸着して除湿する吸着部材と、前記吸着部材から放出された水分を含む再生空気を冷却空気によって冷却して、前記再生空気中の水分を凝縮させる凝縮器とを備え、前記凝縮器が、積層された複数枚の金属シートを有し、前記金属シートの隙間によって、前記再生空気が通過する再生流路と前記冷却空気が通過する冷却流路が構成され、前記再生流路と前記冷却流路は交互に並んでいることを特徴とする。
【0008】
この除湿機では、再生空気が通過する再生流路と冷却空気が通過する冷却流路は、積層された金属シートの隙間によってそれぞれ形成されていると共に、積層方向に交互に並んでいる。したがって、再生流路と冷却流路は、金属シートのみを介して並んでいる。金属シートは熱伝達性が高いため、熱交換効率を向上させることができる。
【0009】
第2の発明に係る除湿機は、第1の発明において、前記凝縮器は、前記隣接する2枚の金属シートの間に配置され、当該2枚の金属シートの間に前記再生流路または前記冷却流路を確保するスペーサを備えることを特徴とする。
【0010】
この除湿機では、スペーサによって金属シートの隙間を確保しているため、スペーサを設けないで金属シートのみで凝縮器を構成する場合に比べて、金属シートの形状を単純化できるため、凝縮器を製造しやすい。また、スペーサを設けない場合に比べて、凝縮器の強度を向上させることができる。そのため、金属シートを薄くすることができ、熱伝達性を向上させることができる。
【0011】
第3の発明に係る除湿機は、第2の発明において、前記凝縮器が、積層方向に沿って前記金属シートを挟んで配置された複数の前記スペーサを有しており、前記スペーサは、積層方向に隣り合うスペーサ同士を位置決めするための位置決め部を有することを特徴とする請求項2に記載の除湿機。
【0012】
この除湿機では、スペーサが位置決め部を有するため、スペーサ同士の位置決めを容易に行うことができる。また、スペーサの位置ずれを防止できる。
【0013】
第4の発明に係る除湿機は、第3の発明において、前記位置決め部は、前記スペーサの前記積層方向の両端面に形成された位置決め凹部および位置決め凸部であって、前記金属シートは、前記位置決め凸部が貫通する貫通孔を有することを特徴とする。
【0014】
この除湿機では、スペーサに設けられた位置決め凸部は、金属シートの貫通孔を貫通するとともに、この金属シートを挟んで隣接するスペーサに設けられた位置決め凹部に挿入される。これにより、スペーサに対して金属シートを位置決めできる。また、金属シートの位置ずれを防止できる。
【0015】
第5の発明に係る除湿機は、第2〜第4の発明のいずれかにおいて、前記複数枚の金属シートは、形状の異なる2枚の金属シートを含むシート組が複数積層された構成であって、隣り合う前記シート組の間に前記スペーサが配置されて、前記再生流路および前記冷却流路の一方の流路が確保されており、前記シート組を構成する2枚の金属シートの間に、前記再生流路および前記冷却流路の他方の流路が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この除湿機では、2枚の金属シートを含むシート組とスペーサとが積層方向に交互に配置されるため、金属シートとスペーサとが交互に配置される場合に比べて、スペーサの数を減らすことができ、材料コストを低減できる。
【0017】
第6の発明に係る除湿機は、第5の発明において、前記シート組を構成する2枚の金属シートの一方は、他方の金属シートから離れる方向に突出し且つ前記他方の流路を形成する凹部を有し、
前記スペーサは、前記凹部の両側において当該2枚の金属シートを支持する2つの支持部を有していることを特徴とする。
【0018】
この除湿機では、シート組を構成する2枚の金属シートの一方に凹部を設けて、凹部の両側にスペーサの支持部を配置するという簡易な構成によって、シート組を構成する2枚の金属シートの間に、再生流路または冷却流路となる隙間を確保できる。
【0019】
第7の発明に係る除湿機は、第6の発明において、前記支持部は、前記凹部に沿って延びていると共に、前記一方の流路に連通する開口を有することを特徴とする。
【0020】
この除湿機では、支持部は、凹部に沿って延びており、金属シートを支持する面積が広いため、金属シートの弛みや位置ずれを防止できる。
また、支持部には、空気の通路となる開口が形成されているため、隣り合うシート組の間に形成された流路の空気の流れを妨げることなく、支持部の支持面を拡大できる。
【0021】
第8の発明に係る除湿機は、第6または第7の発明において、前記凝縮器が、隣り合う前記シート組の間に配置され、前記一方の流路内に前記他方の流路の流れ方向に沿った方向の空気流が流入するのを防止する閉塞部を有することを特徴とする請求項6または7に記載の除湿機。
【0022】
この除湿機では、閉塞部によって、隣り合うシート組の間に形成された流路に、シート組を構成する2枚の金属シートの間に形成された流路の流れ方向(即ち、凹部に沿った方向)の空気流が流入するのを防止できる。
【0023】
第9の発明に係る除湿機は、第1〜第8の発明のいずれかにおいて、前記複数枚の金属シートが、積層方向に押圧された状態で配置されていることを特徴とする。
【0024】
この除湿機では、複数枚の金属シートが積層方向に押圧された状態で配置されているため、冷却流路および再生流路のシール性を向上させることができる。
【0025】
第10の発明に係る除湿機は、第1〜第9の発明のいずれかにおいて、前記再生流路の流れ方向長さが、前記冷却流路の流れ方向長さよりも長いことを特徴とする。
【0026】
この除湿機では、再生流路の流れ方向長さが冷却流路の流れ方向長さよりも長いため、再生空気を十分に冷却でき、再生空気中の水分を確実に凝縮させることができる。
【0027】
第11の発明に係る除湿機は、第1〜第10の発明のいずれかにおいて、前記再生流路は、下流側が上流側よりも低くなっていることを特徴とする。
【0028】
この除湿機では、再生流路の下流側が上流側よりも低くなっているため、再生流路内で凝縮した凝縮水は、再生流路の内面に沿って流れ落ちる。そのため、凝縮水が再生流路内に溜まって、熱交換効率が低下するのを防止できる。
【発明の効果】
【0029】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0030】
第1の発明では、再生空気が通過する再生流路と冷却空気が通過する冷却流路は、積層された金属シートの隙間によってそれぞれ形成されていると共に、積層方向に交互に並んでいる。したがって、再生流路と冷却流路は、金属シートのみを介して並んでいる。金属シートは熱伝達性が高いため、熱交換効率を向上させることができる。
【0031】
第2の発明では、スペーサによって金属シートの隙間を確保しているため、スペーサを設けないで金属シートのみで凝縮器を構成する場合に比べて、金属シートの形状を単純化できるため、凝縮器を製造しやすい。また、スペーサを設けない場合に比べて、凝縮器の強度を向上させることができる。そのため、金属シートを薄くすることができ、熱伝達性を向上させることができる。
【0032】
第3の発明では、スペーサが位置決め部を有するため、スペーサ同士の位置決めを容易に行うことができる。また、スペーサの位置ずれを防止できる。
【0033】
第4の発明では、スペーサに設けられた位置決め凸部は、金属シートの貫通孔を貫通するとともに、この金属シートを挟んで隣接するスペーサに設けられた位置決め凹部に挿入される。これにより、スペーサに対して金属シートを位置決めできる。また、金属シートの位置ずれを防止できる。
【0034】
第5の発明では、2枚の金属シートを含むシート組とスペーサとが積層方向に交互に配置されるため、金属シートとスペーサとが交互に配置される場合に比べて、スペーサの数を減らすことができ、材料コストを低減できる。
【0035】
第6の発明では、シート組を構成する2枚の金属シートの一方に凹部を設けて、凹部の両側にスペーサの支持部を配置するという簡易な構成によって、シート組を構成する2枚の金属シートの間に、再生流路または冷却流路となる隙間を確保できる。
【0036】
第7の発明では、支持部は、凹部に沿って延びており、金属シートを支持する面積が広いため、金属シートの弛みや位置ずれを防止できる。
また、支持部には、空気の通路となる開口が形成されているため、隣り合うシート組の間に形成された流路の空気の流れを妨げることなく、支持部の支持面を拡大できる。
【0037】
第8の発明では、閉塞部によって、隣り合うシート組の間に形成された流路に、シート組を構成する2枚の金属シートの間に形成された流路の流れ方向(即ち、凹部に沿った方向)の空気流が流入するのを防止できる。
【0038】
第9の発明では、複数枚の金属シートが積層方向に押圧された状態で配置されているため、冷却流路および再生流路のシール性を向上させることができる。
【0039】
第10の発明では、再生流路の流れ方向長さが冷却流路の流れ方向長さよりも長いため、再生空気を十分に冷却でき、再生空気中の水分を確実に凝縮させることができる。
【0040】
第11の発明では、再生流路の下流側が上流側よりも低くなっているため、再生流路内で凝縮した凝縮水は、再生流路の内面に沿って流れ落ちる。そのため、凝縮水が再生流路内に溜まって、熱交換効率が低下するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る除湿機の斜視図である。
【図2】除湿タンクと加湿タンクと加湿ユニットを本体から取り外した状態の除湿機の斜視図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】除湿ユニットの斜視図である。
【図6】除湿ユニットの正面図
【図7】除湿ユニットの一部の分解斜視図である。
【図8】凝縮器の一部の分解斜視図である。
【図9】図7のIX−IX線断面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の一部の分解斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の一部の分解斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る凝縮器の一部の分解斜視図である。
【図13】図12に示す凝縮器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態は、除湿機能、加湿機能、および空気清浄機能を有する除加湿機に本発明を適用した一例である。図1および図2に示すように、本実施形態の除加湿機1は、本体10と、本体10に対して着脱可能に構成された除湿タンク2、加湿タンク3および加湿ユニット30を備えている。本体10は、ファン4と、空気清浄フィルタユニット5と、除湿ユニット20とを収容している。除加湿機1は、空気清浄のみを行う空気清浄運転と、空気清浄と除湿を同時に行う除湿運転と、空気清浄と加湿を同時に行う加湿運転のいずれかを行うことができる。以下の説明において、図1中に示す上下方向、左右方向、前後方向を、単に、上下方向、左右方向、前後方向と称する。
【0043】
本体10の左右両側部の前側部分には吸込口11aが形成されており、本体10の天面の後側部分には、吹出口11bが形成されている。図3に示すように、本体10の内部には、ファン4によって発生する空気流Fを吸込口11aから吹出口11bに導くための流路が形成されている。この流路に上流側から順に、空気清浄フィルタユニット5、除湿ユニット20、加湿ユニット30の加湿ロータ31、ファン4が配置されている。ファン4を駆動することにより、吸込口11aから吸い込まれた空気流Fは、空気清浄フィルタユニット5、除湿ユニット20、加湿ロータ31を順に通過して、吹出口11bから吹き出される。
【0044】
図3に示すように、空気清浄フィルタユニット5は、本体10内の前側部分に配置されている。空気清浄フィルタユニット5は、これを通過する空気中の塵埃や臭気成分を除去する。
【0045】
図2および図4に示すように、加湿ユニット30は、加湿ロータ31と、加湿トレー34とを有する。
【0046】
加湿トレー34は、タンク受け部35と、ロータ浸漬部36と、仕切り壁37と、2本のロータ支持柱38とを有する。ロータ浸漬部36とタンク受け部35は、仕切り壁37によって仕切られている。仕切り壁37には、ロータ浸漬部36とタンク受け部35とを連通させる連通孔(図示省略)が形成されている。タンク受け部35には、加湿タンク3が配置され、加湿タンク3から供給された水が貯留される。加湿タンク3内に水がある限り、タンク受け部35内の水面高さは満水レベルに保たれるようになっている。ロータ浸漬部36には、タンク受け部35から連通孔(図示省略)を介して供給された水が貯留される。このロータ浸漬部36内の水が、後述する水汲み部33aによって汲み上げられて加湿ロータ31の気化部材32に供給される。
【0047】
加湿ロータ31は、ロータ浸漬部36の上方に配置されている。加湿ロータ31は、円形状であって、ロータ浸漬部36の上縁に設けられた2本のロータ支持柱38に回転自在に支持されている。加湿ロータ31は、水を吸水して気化させる気化部材32と、気化部材32を両側から保持する枠部材33とで構成される。また、加湿ユニット30は、気化部材32の最下部が、ロータ浸漬部36内の水の満水レベルよりも上方に位置するように構成されている。
【0048】
枠部材33の外周面には、歯部が形成されている。本体10には、枠部材33の歯部と噛合する歯車(図示省略)が設けられており、この歯車がモーター(図示省略)によって回転することで、加湿ロータ31は回転する。また、枠部材33の前面には、複数の水汲み部33aが周方向に並んで設けられている。水汲み部33aは、気化部材32にロータ浸漬部36内の水を供給するためのものである。
【0049】
加湿運転時には、加湿ロータ31が回転することにより、複数の水汲み部33aが順次加湿トレー34内に浸水して、浸水した状態から上昇していく際にロータ浸漬部36内の水を汲み上げる。そして、水汲み部33aが最上位置に近付くにしたがって、水汲み部33a内の水が気化部材32に供給される。そして、水を吸水した状態の気化部材32に空気流Fが通過することで、空気流Fが加湿される。
【0050】
図3および図4に示すように、加湿タンク3は、加湿ロータ31とファン4の右側に配置されており、気化部材32に供給するための水を貯留する。加湿タンク3は、加湿トレー34(および加湿ロータ31)が本体10に装着された状態で、本体10と加湿トレー34に対して着脱可能となっている。
【0051】
除湿タンク2は、除湿ユニット20の下方に配置されており、凝縮器40で凝縮した水を貯留する。除湿タンク2は、本体10に対して着脱可能となっている。
【0052】
図5および図6に示すように、除湿ユニット20は、吸着部材21と、循環ファン22と、ヒーター23と、流路形成部材24と、凝縮器40とを備えている。凝縮器40は、前後面が露出した状態で、流路形成部材24に収容される。
【0053】
吸着部材21は、多孔質体で構成されており、水分に対して高い吸着性を有する。吸着部材21は、円形状に形成されており、流路形成部材24に対して回転可能に取り付けられている。吸着部材21の外周端には、歯部(図示省略)が設けられている。除湿ユニット20は、この歯部に噛合する歯車(図示省略)と、この歯車を回転駆動するためのモーターとを有している。歯車をモーターによって回転させることで、吸着部材21は回転する。
【0054】
循環ファン22は、後方に突出するように流路形成部材24の上部に取り付けられている。ヒーター23は、吸着部材21の後側に配置されている。ヒーター23は、略扇形状であって、吸着部材21の後面の一部(略1/6)を覆うように流路形成部材24に取り付けられている。
【0055】
流路形成部材24は、第1流路24aと、第2流路24bと、第3流路24cと、凝縮器40が収容された凝縮器収容部24dと、第4流路24eとを有する。循環ファン22、第1流路24a、ヒーター23、第2流路24b、第3流路24c、凝縮器40、第4流路24eの順で空気が循環するようになっている。この循環する空気を再生空気という。
【0056】
第1流路24aは、循環ファン22からヒーター23に再生空気を送るための流路である。第2流路24bは、ヒーター23と吸着部材21を通過した再生空気を、第3流路24cに送るための流路である。第2流路24bは、略扇形状であって、吸着部材21の前面の一部分(略1/6)を覆うように形成されている。この第2流路24bとヒーター23とは、吸着部材21を介して対向配置されている。第3流路24cは、第2流路を通過した再生空気を下方に流して凝縮器収容部24d(凝縮器40)に送る流路である。第4流路24eは、凝縮器収容部24dを通過した再生空気を循環ファン22に送るための流路である。
【0057】
図7に示すように、凝縮器収容部24dは、略矩形箱状であって、前側が開口した本体部25と、本体部25の前側開口に取り付けられる2枚の前蓋26L、26Rで構成されている。本体部25は、その左上部に再生空気の流入口を有し、その右上部に再生空気の排出口を有する。また、本体部25の上壁および下壁は、右側ほど低くなるように形成されている。本体部25の下壁の右端には、凝縮器40において凝縮した水を排出するための排水孔(図示省略)が形成されている。
【0058】
本体部25の後壁の左右方向中央部には、矩形状の開口25aが形成されている。前蓋26L、26Rは、本体部25の前側開口25aの左右両縁に取り付けられる。そのため、凝縮器収容部24dは、前蓋26Lと前蓋26Rの間に、矩形状の開口26aを有する。開口25aと開口26aとは、ほぼ同じ大きさであって、対向する位置に形成されている。また、本体部25の内面(詳細には、後壁、下壁および上壁)には、帯状のシール材27が設けられている。シール材27は、開口25aの左右両側に設けられている。また、前蓋26L、26Rの後面の開口26a側端部には、帯状のシール材28が設けられている。
【0059】
凝縮器40は、略上下方向に積層された複数枚の金属シート51および複数のスペーサ60で構成されており、略直方体状に形成されている。凝縮器40は、凝縮器収容部24dの開口25aと開口26aの間に配置されている。凝縮器40は、凝縮器収容部24dの内面に設けられたシール材27、28と接触している。凝縮器40は、積層方向に押圧された状態で凝縮器収容部24dに配置されている。
【0060】
金属シート51は、例えばアルミで形成されており、その厚みは例えば0.2〜0.5mmである。スペーサ60は、例えば合成樹脂や金属で形成されている。
【0061】
図8および図9に示すように、凝縮器40は、形状の異なる2枚の金属シート51A、51Bからなるシート組50と、スペーサ60とが交互に複数積層された構成である。1つのシート組50において、金属シート51Aは、金属シート51Bの上側に配置されている。金属シート51A、51Bは、長方形状のシートを加工することで形成されている。金属シート51A、51Bは、左右方向長さ(詳細には、本体部25の上壁および下壁に沿った方向の長さ)が前後方向長さよりも長い。以下の説明において、本体部25の上壁および下壁に沿った方向を、左右方向という場合がある。
【0062】
金属シート51Aは、前後両端部が下方に折り曲げられている。金属シート51Bは、前後両端部が下方に折り曲げられてるとともに、その前後方向中央部に、下方に突出する凹部52を有する。凹部52は、金属シート51の長手方向に沿って延びている。金属シート51A、51Bは、凹部52の両側において接触している。凹部52の内面と、金属シート51Aとの間には、隙間が形成されており、この隙間によって、再生空気が通過する再生流路41が構成されている。つまり、シート組50を構成する金属シート51A、51Bの間に、再生流路41が形成されている。図6に示すように、再生流路41は、その下流側が上流側よりも低くなっている。
【0063】
また、図8に示すように、金属シート51の四隅には、スペーサ60の後述する位置決め凸部63が貫通する貫通孔51aが形成されている。
【0064】
スペーサ60は、隣り合うシート組50の間に配置されている。スペーサ60は、凹部52に沿って延びる2つの支持部61と、この2つの支持部61の間に配置されて2つの支持部61を連結する2つの閉塞部62で構成されている。
【0065】
2つの支持部61の上面は、金属シート51Bの凹部52の両側部分を支持する。支持部61の高さ(積層方向長さ)は、凹部52の深さよりも大きい。そのため、スペーサ60を挟んで配置された金属シート51Bの凹部と金属シート51Aとの間には、隙間が形成される。この隙間によって、空気流F(冷却空気)が通過する冷却流路42が構成される。つまり、隣り合うシート組50の間に、冷却流路42が形成されている。冷却流路42と再生流路41は、積層方向に交互に並んでいる。
【0066】
また、支持部61には、前後方向に貫通し、冷却流路42と連通する開口61aが形成されている。前側の支持部61の開口61aから冷却流路42に空気流Fが流入し、後側の支持部61の開口61aから冷却流路42を通過した空気流Fが排出される。
【0067】
閉塞部62は、2つの支持部61の左右方向端部を連結している。閉塞部62の上面は、支持部61の上面よりも低く形成されており、閉塞部62の下面は、支持部61の下端と同一面に形成されている。閉塞部62は、金属シート51Bの凹部52と、金属シート51Aの上面に接触しており、冷却流路42の左右方向両端部を塞いでいる。
【0068】
また、図8に示すように、支持部61の上面の左右方向両端部には、上方に突出する位置決め凸部63が形成されている。支持部61の下面には、積層方向から見て位置決め凸部63と同じ位置に、位置決め凹部64が形成されている。位置決め凸部63は、金属シート51A、51Bの貫通孔51aを貫通するとともに、この金属シート51A、51Bを挟んで隣接するスペーサ60に設けられた位置決め凹部52に挿入される。
【0069】
除湿運転時には、吸着部材21のうち、第2流路24bで覆われていない部分に、空気清浄ユニットを通過した空気流Fが通過することで、この空気流Fに含まれる水分が吸着部材21に吸収される。そして、吸着部材21が回転することにより、水分を保持している部分が、ヒーター23と対向する位置まで移動する。
【0070】
一方、循環ファン22を駆動することで、再生空気が循環ファン22から第1流路24aを介してヒーター23に流入する。再生空気は、ヒーター23で加熱された後、吸着部材21を後面側から通過する。この高温の再生空気が通過した領域では、吸着部材21の保持していた水分が気化するため、吸着部材21を通過した再生空気は、吸着部材21から放出された水分を含んだ状態で、第2流路24bに流入する。
【0071】
そして、第2流路24bおよび第3流路24cを通過して凝縮器40に供給された再生空気は、再生流路41に流入して、金属シート51に接触することで、空気流Fによって冷却される。これにより、再生に含まれる水分が凝縮して、再生流路41内に結露が生じる。凝縮水は、再生流路41の右端から排出された後、流路形成部材24の右下端に設けられた排水孔(図示省略)を通って除湿タンク2に流れ込む。また、凝縮器40で水分を放出した再生空気は、第4流路24eを通って、循環ファン22に吸い込まれる。
【0072】
また、吸着部材21が回転することで、吸着部材21のうち水分が放出された領域は、ヒーター23と対向する位置から移動して、新たな空気流Fの水分を吸着する。このように吸着部材21は、水分の吸着と放出とを繰り返す。
【0073】
<本実施形態の除加湿機1の特徴>
本実施形態の除加湿機1では、再生空気が通過する再生流路41と冷却空気が通過する冷却流路42は、積層された金属シート51の隙間によってそれぞれ形成されていると共に、積層方向に交互に並んでいる。したがって、再生流路41と冷却流路42は、金属シート51のみを介して並んでいる。金属シート51は熱伝達性が高いため、熱交換効率を向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態では、スペーサ60によって金属シート51の隙間を確保しているため、スペーサを設けないで金属シートのみで凝縮器を構成する場合に比べて、金属シートの形状を単純化できるため、凝縮器を製造しやすい。また、スペーサを設けない場合に比べて、凝縮器の強度を向上させることができる。そのため、金属シートを薄くすることができ、熱伝達性を向上させることができる。
【0075】
また、本実施形態では、スペーサ60が位置決め凸部63および位置決め凹部64を有するため、スペーサ60同士の位置決めを容易に行うことができる。また、位置決め凸部63は、金属シート51の貫通孔51aに貫通されるため、スペーサ60に対して金属シート51を位置決めできる。また、スペーサ60と金属シート51の位置ずれを防止できる。
【0076】
また、本実施形態では、2枚の金属シート51A、51Bからなるシート組50とスペーサ60とが積層方向に交互に配置されるため、金属シートとスペーサとが交互に配置される場合に比べて、スペーサの数を減らすことができ、材料コストを低減できる。
【0077】
また、本実施形態では、シート組50を構成する2枚の金属シート51A、51Bの一方に凹部52を設けて、凹部52の両側にスペーサ60の支持部61を配置するという簡易な構成によって、シート組50を構成する2枚の金属シート51A、51Bの間に、冷却流路42となる隙間を確保できる。
【0078】
また、本実施形態では、支持部61は、凹部52に沿って延びており、金属シート51を支持する面積が広いため、金属シート51の弛みや位置ずれを防止できる。
また、支持部61には、冷却空気の通路となる開口61aが形成されているため、冷却流路42の冷却空気の流れを妨げることなく、支持部の支持面を拡大できる。
【0079】
また、本実施形態では、閉塞部62によって冷却流路42の左右方向両端部が塞がれているため、冷却流路42に再生空気が流入するのを防止できると共に、冷却流路42から冷却空気が漏れるのを防止できる。
【0080】
また、本実施形態では、複数枚の金属シート51が積層方向に押圧された状態で配置されているため、冷却流路42および再生流路41のシール性を向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、再生流路41の流れ方向長さが冷却流路42の流れ方向長さよりも長いため、再生空気を十分に冷却でき、再生空気中の水分を確実に凝縮させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、再生流路41の下流側が上流側よりも低くなっているため、再生流路41内で凝縮した凝縮水は、再生流路41の内面に沿って流れ落ちる。そのため、凝縮水が再生流路41内に溜まって、熱交換効率が低下するのを防止できる。
【0083】
また、本体部25および前蓋26L、26Rに設けられたシール材27、28により、冷却流路42に再生空気が流入したり、冷却流路42内の冷却空気が漏れ出るのを防止できる。また、シール材27、28によって、凝縮器40の位置ずれを防止できる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0085】
上記実施形態では、シート組50を構成する2枚の金属シート51A、51Bの隙間によって再生流路41が構成され、隣り合うシート組50の隙間によって冷却流路42が構成されているが、シート組を構成する2枚の金属シートの隙間によって冷却流路が構成され、隣り合うシート組の隙間によって再生流路が構成されるようになっていてもよい。例えば、上記実施形態の凝縮器40の左右方向長さを短くするとともに、前後方向長さを長くして、積層方向の軸回りに90度回転させて設置してもよい。
【0086】
上記実施形態では、スペーサ60同士を位置決めするための位置決め部が、スペーサ60の上下両面に形成された位置決め凸部63と位置決め凹部64とによって構成されているが、位置決め部の構成はこれに限定されない。また、位置決め部は、スペーサ60同士を位置決めできる構成であれば、スペーサ60と金属シート51との位置決めはできない構成であってもよい。
【0087】
上記実施形態のスペーサ60は、4つの位置決め部(位置決め凸部63および位置決め凹部64と)を有するが、位置決め部の数は、5つ以上であっても、3つ以下であってもよい。また、位置決め部は設けなくてもよい。
【0088】
上記実施形態では、スペーサ60の支持部61に形成されている開口61aは1つであるが、例えば、図10に示すように、スペーサ160の支持部161に、複数の開口161aが形成されていてもよい。支持部161は、隣り合う開口161aの間の部分の下面が、金属シート51Aと接触可能に構成されていることが好ましい。これにより、シート組50を構成する2枚の金属シート51A、51Bの前後方向端部、および、スペーサ60と金属シートBの前後方向端部をより確実に密着させることができる。
【0089】
上記実施形態では、スペーサ60の支持部61は、凹部52に沿って延びているが、この構成に限定されない。例えば、図11に示すように、スペーサ260が、金属シート51の左右方向両端部に配置された2つのスペーサ片260aで構成されており、各スペーサ片260aが、前後方向両端部に支持部261を有していてもよい。
【0090】
上記実施形態では、スペーサ60の閉塞部62によって、冷却流路42の左右両端部を塞いでいるが、冷却流路42の左右両端部を塞ぐ構成は、この構成に限定されない。例えば、金属シート51の左右方向両端部を上方または下方に折り曲げて、冷却流路42の左右両端部を塞いでもよい。また、例えば、スペーサ60および金属シート51とは別体の部材によって、冷却流路42の左右両端部を塞いでもよい。
【0091】
積層方向に隣り合う金属シート51同士、または、金属シート51とスペーサ60は、接着剤などで接着されていてもよい。
【0092】
上記実施形態の凝縮器40は、2枚の金属シート51A、51Bからなるシート組50とスペーサ60とが交互に積層された構成であるが、3枚以上の金属シートからなるシート組とスペーサとが交互に積層された構成であってもよい。
【0093】
凝縮器は、金属シートとスペーサとが交互に積層された構成であってもよい。例えば、図12および図13に示す凝縮器は、2種類のスペーサ360A、360Bを有し、金属シート351A、スペーサ360A、金属シート351B、スペーサ360Bの順で積層されている。スペーサ360Aは、金属シートの前後両端部に配置され、左右方向に延びる2つのスペーサ片361Aで構成されており、スペーサ360Bは、金属シートの左右両端部に配置され、前後方向に延びる2つのスペーサ片361Bで構成されている。スペーサ360Aによって確保された隙間が、再生流路を構成し、スペーサ360Bによって確保された隙間が、冷却流路を構成する。なお、スペーサ360は位置決め部を有していないが、位置決め部を有していてもよい。また、金属シート351A、351Bは、前後方向両端部に折り曲げ部を有しているが、折り曲げ部はなくてもよい。
【0094】
スペーサの形状は、隣り合う金属シート51の間に流路となる隙間を確保できる形状であればよく、上記実施形態や上述の変更例の形状に限定されない。また、金属シートの形状も、上記実施形態や上述の変更例の形状に限定されない。
【0095】
凝縮器は、スペーサを有しないで、積層された複数枚の金属シートのみで構成されていてもよい。
【0096】
上記実施形態では、凝縮器40は、本体部25の上壁と下壁によって挟まれることで、積層方向に押圧されているが、凝縮器40を積層方向に押圧された状態に保持するための構成は、これに限定されない。例えば、凝縮器40の左右方向中央部にベルトを巻き付けて、このベルトによって凝縮器40を積層方向に押圧された状態で保持してもよい。
【0097】
凝縮器40が収容される流路形成部材24の形状は、上記実施形態と異なる形状であってもよい。この場合、金属シート51の積層方向は、上記実施形態と異なっていてもよい。
【0098】
上記実施形態の除加湿機1は、除湿機能に加えて、加湿機能と空気清浄機能を有するが、除湿機能さえ有していればよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明を利用すれば、凝縮器の熱伝達効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0100】
1 除加湿機(除湿機)
20 除湿ユニット
21 吸着部材
40 凝縮器
41 再生流路
42 冷却流路
50 シート組
51(51A、51B) 金属シート
51a 貫通孔
52 凹部
60 スペーサ
61 支持部
61a 開口
62 閉塞部
63 位置決め凸部
64 位置決め凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸着して除湿する吸着部材と、
前記吸着部材から放出された水分を含む再生空気を冷却空気によって冷却して、前記再生空気中の水分を凝縮させる凝縮器とを備え、
前記凝縮器が、積層された複数枚の金属シートを有し、
前記金属シートの隙間によって、前記再生空気が通過する再生流路と前記冷却空気が通過する冷却流路が構成され、
前記再生流路と前記冷却流路は交互に並んでいることを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記凝縮器は、前記隣接する2枚の金属シートの間に配置され、当該2枚の金属シートの間に前記再生流路または前記冷却流路を確保するスペーサを備えることを特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【請求項3】
前記凝縮器が、積層方向に沿って前記金属シートを挟んで配置された複数の前記スペーサを有しており、
前記スペーサは、積層方向に隣り合うスペーサ同士を位置決めするための位置決め部を有することを特徴とする請求項2に記載の除湿機。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記スペーサの前記積層方向の両端面に形成された位置決め凹部および位置決め凸部であって、
前記金属シートは、前記位置決め凸部が貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項3に記載の除湿機。
【請求項5】
前記複数枚の金属シートは、形状の異なる2枚の金属シートを含むシート組が複数積層された構成であって、
隣り合う前記シート組の間に前記スペーサが配置されて、前記再生流路および前記冷却流路の一方の流路が確保されており、
前記シート組を構成する2枚の金属シートの間に、前記再生流路および前記冷却流路の他方の流路が形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の除湿機。
【請求項6】
前記シート組を構成する2枚の金属シートの一方は、他方の金属シートから離れる方向に突出し且つ前記他方の流路を形成する凹部を有し、
前記スペーサは、前記凹部の両側において当該2枚の金属シートを支持する2つの支持部を有していることを特徴とする請求項5に記載の除湿機。
【請求項7】
前記支持部は、前記凹部に沿って延びていると共に、前記一方の流路に連通する開口を有することを特徴とする請求項6に記載の除湿機。
【請求項8】
前記凝縮器が、隣り合う前記シート組の間に配置され、前記一方の流路内に前記他方の流路の流れ方向に沿った方向の空気流が流入するのを防止する閉塞部を有することを特徴とする請求項6または7に記載の除湿機。
【請求項9】
前記複数枚の金属シートが、積層方向に押圧された状態で配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の除湿機。
【請求項10】
前記再生流路の流れ方向長さが、前記冷却流路の流れ方向長さよりも長いことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の除湿機。
【請求項11】
前記再生流路は、下流側が上流側よりも低くなっていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の除湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−86060(P2013−86060A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231033(P2011−231033)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】