説明

除電除塵装置及び除電除塵方法

【課題】被処理物の全面からの静電気と埃等の異物の除去と、除去された異物の被処理物への再付着の防止とが有利に実現可能な除電除塵技術を提供する。
【解決手段】イオンを気体と共に被処理物に吹き付ける複数の吹付ヘッド13を、互いに所定距離を隔てて離間して、配設すると共に、それら吹付ヘッド13同士の間を該被処理物10が通過するように、該吹付ヘッド13と該被処理物10のうちの少なくとも何れか一方を移動させる移動手段12を設け、更に、該吹付ヘッド13同士の離間方向内方で、且つ該吹付ヘッド13の移動方向の前方側又は該被処理物の移動方向の後方側に向かって、該吹付ヘッド13から前記気体が噴射されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電除塵装置及び除電除塵方法に係り、特に、イオンを気体と共に被処理物に吹き付けることにより、被処理物を除電・除塵処理する装置の改良された構造と、そのような被処理物の除電・除塵処理を有利に実施する方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂材料やゴム材料等の不導体(絶縁体)材料からなる、所謂不導体製品(以下からは、これら不導体材料からなる製品を不導体製品という)を、各種の金型を用いて、様々な成形手法により成形したり、或いは二次加工したりする場合には、それらの成形加工に用いられる金型と不導体製品との間で種々の帯電現象が惹起されて、不導体製品に静電気が不可避的に発生する。例えば、樹脂成形品を射出成形する際には、金型材料や樹脂材料により若干の差はあるものの、一般に、±20kV以上もの高電圧の静電気が発生せしめられるようになる。
【0003】
この不導体製品に発生した静電気は、製品表面に埃等の異物を引き寄せるため、例えば塗装等の表面処理の実施時における不具合の発生原因となっていた。また、そのような不導体製品以外にも、クリーンルーム内で組立加工等される各種の電子部品や医療用品等に、静電気によって埃等の異物が付着すると、クリーンルーム内に異物が持ち込まれるといった深刻な事態が惹起されることとなる。
【0004】
そこで、従来から、そのような不導体製品や電子部品、医療用品等の成形加工に際しては、上記の如き様々な不具合の発生を未然に防止すべく、それら不導体製品や電子部品、医療用品等の被処理物に対する除電処理と除塵処理とが実施されている。そして、近年では、かかる被処理物に対する除電・除塵処理の効率化を図るべく、除電処理と除塵処理とを一挙に行い得る除電除塵装置が、種々、提案されている。
【0005】
すなわち、例えば、(ア)エアガンの内部にイオン発生器が組み込まれてなり、イオン発生器にて発生させたイオンを、エアガンから噴射される圧縮空気と共に被処理物に吹き付けることによって、被処理物を除電・除塵処理する装置(例えば、下記特許文献1参照)や、(イ)被処理物が収容可能な収容部を備えた基台ボックスに、イオン発生器にてイオン化された空気を噴出する噴出ノズルが設けられてなり、収容部内に収容された被処理物に対して、噴出ノズルから噴出されるイオン化空気を吹き付けることによって、被処理物を除電・除塵処理する装置(例えば、下記特許文献2参照)、更には(ウ)取付板が、上下方向に延びるフレームに対して上下方向に往復移動可能に支持されると共に、かかる取付板に対して、圧縮空気吹付ノズルとイオン発生器とが取り付けられてなり、取付板の移動に伴って、それら圧縮空気吹付ノズルとイオン発生器とを上下方向に往復移動させつつ、イオン発生器にて発生させたイオンを、圧縮空気吹付ノズルから噴射される圧縮空気と共に被処理物に吹き付けることによって、被処理物を除電・除塵処理する装置(例えば、下記特許文献3参照)等が、提案されている。
【0006】
ところが、(ア)の除電除塵装置を用いる場合、イオンと共に圧縮空気を被処理物に吹き付ける作業を、作業者がエアガンを操作しながらの手作業で行わなければならず、そのため、そのような吹付作業が、手間の掛かる非効率的なものとなっていた。
【0007】
また、(イ)の除電除塵装置においては、被処理物に対するイオン化空気の吹付作業が自動で行われるものの、イオン化空気を噴射する噴射ノズルが位置固定とされているため、例えば、被処理物が比較的に大型のものであると、そのような被処理物の全体に、イオン化空気を均一に吹き付けることが困難であったのであり、しかも、そのために、一旦、被処理物から吹き飛ばされて舞い上がった埃等の異物が、被処理物に再付着する恐れさえもあったのである。
【0008】
さらに、(ウ)の除電除塵装置にあっては、圧縮空気吹付ノズルを、上下方向の一方向に自動で移動させつつ、イオンと共に圧縮空気を被処理物に吹き付けるようにすれば、被処理物が比較的に大型のものであっても、圧縮空気吹付ノズルと対向する側の面に限っては、その全体に、圧縮空気とイオンとを、手間無く且つ均一に吹き付けることが可能となるものの、反対側の面には、圧縮空気とイオンとを吹き付けることが不可能であった。それ故、圧縮空気吹付ノズルとの対向面から吹き飛ばされた埃等の異物が、かかる対向面とは反対側に回り込んで、反対側の面に再付着するといった懸念があったのである。
【0009】
【特許文献1】特開2005−211797号公報
【特許文献2】特開2006−7012号公報
【特許文献3】特開平7−275757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、被処理物の大きさに拘わらず、その全面に対して、イオンを気体と共に自動的に吹き付けて、被処理物の全面から静電気と埃等の異物とを効率的に除去することが出来、しかも、除去された異物の被処理物への再付着を効果的に防止し得る除電除塵装置と除電除塵方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、本発明にあっては、除電除塵装置に係る課題の解決のために、その要旨とするところは、イオン発生器にて発生させたイオンを気体と共に被処理物に吹き付けることにより、該被処理物を除電・除塵処理する除電除塵装置において、前記気体を噴射して、該気体と共に前記イオンを前記被処理物に吹き付ける複数の吹付ヘッドを、互いに所定距離を隔てて離間するように配設すると共に、それら互いに離間して配設された吹付ヘッド同士の間を該被処理物が通過するように、該吹付ヘッドと該被処理物のうちの少なくとも何れか一方をそれらのうちの少なくとも何れか他方に対して相対的に移動させる移動手段を設け、更に、該吹付ヘッドから噴射される前記気体の噴射方向が、該吹付ヘッド同士の離間方向内方で、且つ該吹付ヘッドの移動方向の前方側又は該被処理物の移動方向の後方側に向かう方向となるように構成したことを特徴とする除電除塵装置にある。
【0012】
なお、このような本発明に従う除電除塵装置の好ましい態様の一つによれば、前記吹付ヘッドから噴射される前記気体が、前記被処理物に対して部分的に吹き付けられると共に、前記移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動に伴って、該気体の該被処理物への吹付箇所が、該移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動方向に移動せしめられるように構成される。
【0013】
また、本発明に従う除電除塵装置の望ましい別の有利な態様の一つによれば、前記移動手段が、電気絶縁性を有する支持部を備え、前記被処理物を該支持部にて支持した状態で、前記吹付ヘッドに対して相対移動させ得るように構成される。
【0014】
さらに、本発明に従う除電除塵装置の別の有利な態様の一つによれば、前記互いに離間して配設された複数の吹付ヘッドのうちの何れか一方が、それらのうちの何れか他方よりも早く、前記イオンと前記気体とを該被処理物に吹き付け得るように構成される。
【0015】
更にまた、本発明に従う除電除塵装置の好適な他の態様の一つによれば、前記互いに離間して配設された複数の吹付ヘッドのうちの何れか一方が、それらのうちの何れか他方よりも、前記移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動方向の前方側に位置せしめられる。
【0016】
また、本発明に従う除電除塵装置の好ましい更に別の態様の一つによれば、前記吹付ヘッドが、互いの離間方向の両側のそれぞれにおいて、前記移動手段による吹付ヘッド又は被処理物該の移動方向に互いに所定距離を隔てて複数個ずつ配設されることとなる。
【0017】
さらに、本発明に従う除電除塵装置の有利な別の態様の一つによれば、前記複数の吹付ヘッドが内部に収容配置された筒状収容体が更に設けられ、該筒状収容体内で、該複数の吹付ヘッドのそれぞれから噴射される前記気体が、前記イオンと共に、前記被処理物に吹き付けられるように構成される。
【0018】
更にまた、本発明に従う除電除塵装置の他の望ましい態様の一つによれば、前記筒状収容体が、電気絶縁性を有する材料を用いて形成される。
【0019】
また、本発明に従う除電除塵装置の更に他の好ましい態様の一つによれば、前記筒状収容体が、電気絶縁体を介して床面上に設置される。
【0020】
そして、本発明にあっては、前記せる除電除塵方法に係る課題の解決のために、イオン発生器にて発生させたイオンを気体と共に被処理物に吹き付けることにより、該被処理物を除電・除塵処理する方法であって、(a)前記気体を噴射して、該気体と共に前記イオンを前記被処理物に吹き付ける複数の吹付ヘッドを、互いに所定距離を隔てて離間配置する工程と、(b)前記被処理物が、前記離間配置された前記吹付ヘッド同士の間を通過するように、該吹付ヘッドと該被処理物のうちの少なくとも何れか一方を、それらのうちの少なくとも何れか他方に対して相対的に移動させる工程と、(c)前記吹付ヘッド同士の離間方向内方で、且つ該吹付ヘッドの移動方向の前方側又は前記被処理物の移動方向の後方側に向かう方向に向かって、前記吹付ヘッドから前記気体を噴射させて、該気体を前記イオンと共に該被処理物に吹き付ける工程とを含むことを特徴とする除電除塵方法をも、また、その要旨とするものである。
【0021】
なお、このような本発明に従う除電除塵方法の好ましい態様の一つによれば、前記互いに離間して配設された複数の吹付ヘッドのうちの何れか一方にて、それらのうちの何れか他方よりも早く、前記イオンと前記気体とが該被処理物に吹き付けられることとなる。
【0022】
また、本発明に従う除電除塵方法の別の有利な態様の一つによれば、前記複数の吹付ヘッドが筒状収容体の内部に収容配置されて、該筒状収容体内で、該複数の吹付ヘッドのそれぞれから噴射される前記気体が、前記イオンと共に、前記被処理物に吹き付けられる。
【発明の効果】
【0023】
すなわち、本発明に従う除電除塵装置にあっては、吹付ヘッド又は被処理物が移動手段により移動せしめられつつ、被処理物に対して、それを間に挟んだ両側から、気体が、イオンと共に、各吹付ヘッドにて吹き付けられるようになっている。それ故、被処理物が小型のものである場合は勿論、比較的に大型のものであっても、かかる被処理物の両側の全面に、気体をイオンと共に自動的に且つ均一に吹き付けることが出来、以て、被処理物の表面に発生した静電気を中和除去すると共に、この静電気にて吸着された埃等の異物を被処理物の表面の全面から除去することが可能となる。
【0024】
また、かかる本発明装置では、被処理物の両側に、イオンと共に気体が吹き付けられるようになっているところから、被処理物の片側の面のみに、イオンと共に気体が吹き付けられるように構成された従来装置とは異なって、被処理物から吹き飛ばされた埃等の異物が、気体の吹付側とは反対側に回り込んで、被処理物の気体の吹付側とは反対側面に再付着することが、有利に回避され得る。
【0025】
しかも、本発明に係る除電除塵装置においては、各吹付ヘッドから噴射される気体が、被処理物を間に挟んで両側に位置せしめられる吹付ヘッド同士の離間方向内方で、且つ移動手段にて移動せしめられる吹付ヘッドの移動方向の前方側又は被処理物の移動方向の後方側に向かう方向に噴射されるようになっている。これによって、各吹付ヘッドから噴射された気体が、被処理物の表面に対して確実に吹き付けられ得る一方、かかる気体が被処理物の表面に反射して生ずる気流が、既に気体が吹き付けられた被処理物の表面部分に対して再び接触するようなことが有利に回避され得る。そして、その結果、かかる気流中に浮遊する埃等の異物が被処理物に再付着することが、効果的に防止され得る。
【0026】
従って、かくの如き本発明に従う除電除塵装置にあっては、被処理物の大きさに拘わらず、その全面から、静電気と埃等の異物とを効率的に除去することが可能で、しかも、除去された異物の被処理物への再付着を極めて確実に且つ効果的に防止することが出来るのである。
【0027】
そして、本発明に従う除電除塵方法にあっても、吹付ヘッド又は被処理物を移動させつつ、被処理物に対して、それを間に挟んだ両側から、気体をイオンと共に各吹付ヘッドにて吹き付けるように為し、しかもその際に、被処理物を間に挟んで両側に位置せしめられる吹付ヘッド同士の離間方向内方で、且つ吹付ヘッドの移動方向の前方側又は被処理物の移動方向の後方側に向かう方向に、各吹付ヘッドから気体を噴射するようにしたものであるところから、前述せる本発明に従う除電除塵装置によって奏される作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有効に享受され得ることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0029】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する除電除塵装置の一実施形態が、一部切欠部分を含む正面形態において概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の除電除塵装置は、除電・除塵処理されるべき樹脂成形品からなる、上面が意匠面とされた被処理物10を搬送する、移動手段としての搬送コンベヤ12と、この搬送コンベヤ12にて搬送される被処理物10に対して圧縮空気と共に所定のイオンを吹き付ける複数(ここでは4個)の吹付ヘッド13とを含んで構成されている。
【0030】
より具体的には、搬送コンベヤ12は、図1及び図2に示される如く、公知のベルトコンベヤ式の構造を有し、所定幅を有する、支持部としての無端の搬送ベルト14が巻き掛けられてなる長手の搬送部16と、この搬送部16を支持する複数の脚部18とを備えている。そして、搬送ベルト14が、搬送部16に固定された図示しない電動モータの駆動に伴って走行せしめられることにより、搬送ベルト14上に載置されて、支持された複数の被処理物10が、搬送部16の長手方向たる水平方向の一方向(図1及び図2中に、それぞれ、白抜き矢印で示す方向)に、順次、搬送され得るようになっている。
【0031】
また、かかる搬送コンベヤ12においては、搬送ベルト14が、例えばポリプロピレン等の合成樹脂材料を用いて形成された、比較的に大きな網目を有するメッシュベルトにて構成されており、それによって、搬送ベルト14に対して、電気絶縁性と十分な通気性とが付与されている。
【0032】
そして、このような搬送ベルト14を有する搬送コンベヤ12の長さ方向の一端側部分が、合成樹脂製で電気絶縁性を有する仕切壁20にて一般ルーム22と仕切られてなるクリーンルーム24内に突入位置せしめられている。即ち、搬送コンベヤ12が、仕切壁20に設けられた比較的に大きな矩形の窓部26を通じて、搬送部16における被処理物10の搬送方向(搬送ベルト14の走行方向)の下流側の端部部分をクリーンルーム24内に突入させた状態で、複数の脚部18にて、一般ルーム22の床面28上に設置されているのである。
【0033】
また、クリーンルーム24と一般ルーム22とを仕切る仕切壁20には、窓部26に対応した大きさの開口部を備えた矩形筒状を呈する、筒状収容体としてのトンネル部30が、窓部26の周りを取り囲んだ状態で、一般ルーム22内に所定長さで突出して、水平方向に延びるように一体形成されている。
【0034】
これによって、ここでは、トンネル部30が、仕切壁20と同じ合成樹脂材料を用いて形成されて、電気絶縁性が具備せしめられており、また、そのようなトンネル部30の内部に、搬送コンベヤ12の搬送部16の長さ方向中間部が、所定長さに亘って収容位置せしめられている。なお、このトンネル部30は、搬送コンベヤ12の搬送部16のうち、クリーンルーム24内に突入せしめられた一端側の端部とそれとは反対側の端部とを除く部分の全体を収容可能な、比較的に長い軸方向長さを有している。そして、その下面に一体形成された脚部32によって、一般ルーム22の床面28上に設置されている。
【0035】
一方、4個の吹付ヘッド13a,13b,13c,13dは、何れも、ヘッド本体34を有している。このヘッド本体34は、前記搬送コンベヤ12の搬送ベルト14の幅と略同程度の大きさの幅を有する横長矩形の筐体形態を呈している。そして、それら4個の吹付ヘッド13a〜dのうちの2個の吹付ヘッド13a,13bの各ヘッド本体34の上面には、給気パイプ36が、また、その下面には、複数(ここでは4個)のノズル38が、ヘッド本体34内に連通する状態で、それぞれ、取り付けられている。一方、4個の吹付ヘッド13のうちの残りの2個の吹付ヘッド13c,13dの各ヘッド本体34においては、それぞれの下面に、給気パイプ36が、また、その上面に、複数(ここでは4個)のノズル38が、ヘッド本体34内に連通する状態で、それぞれ、取り付けられている。
【0036】
そして、それら各吹付ヘッド13a〜dのヘッド本体34の上面又は下面に取り付けられた給気パイプ36が、ヘッド本体34側とは反対側の先端部において、例えば、圧縮空気の発生源たるコンプレッサ40に接続されており、また、その中間部には、例えば、一対の電極を有し、それら一対の電極間でのコロナ放電によりイオンを発生させる公知の構造を備えたイオン発生器42が設けられている。これによって、コンプレッサ40にて発生せしめられた圧縮空気が、先ず、給気パイプ36の上流側部分を通じてイオン発生器42内に導入されて、そこでのコロナ放電によりイオン化され、その後、このイオン化された空気(イオンを含む空気)が、イオン発生器42よりも下流側の給気パイプ36部分を通じて、各吹付ヘッド13a〜dのヘッド本体34内に供給されるようになっている。
【0037】
また、各吹付ヘッド13a〜dのヘッド本体34の下面又は上面に取り付けられた複数のノズル38は、何れも小径の筒状を呈し、ヘッド本体34の幅方向(図1中の紙面に垂直な方向で且つ図2中の左右方向)の互いに等間隔を隔てた位置に、それぞれ1個ずつ突設されている。更に、それら各ノズル38が、先端開口部を、鉛直方向に対して、ヘッド本体34の幅方向と直角な方向の一方側(図1中の右側)に所定角度だけ傾いた方向に開口させた状態で、位置せしめられている。これにより、各吹付ヘッド13a〜dのヘッド本体34内に供給されたイオン化された空気が、各吹付ヘッド13a〜dの各ノズル38から、その先端開口部の開口方向に向かって噴射されるようになっている。また、ここでは、各ノズル38が小径とされていることで、後述する如く、各ノズルから噴射されるイオン化空気を被処理物10に吹き付ける際に、イオン化空気が、被処理物10の全体でなく、その一部分に吹き付けられるようになっている。
【0038】
そして、本実施形態においては、そのような構造とされた4個の吹付ヘッド13a〜dが、トンネル部30の内面にそれぞれ取り付けられている。
【0039】
より詳細には、4個の吹付ヘッド13a〜dのうち、ヘッド本体34の下面に複数のノズル38が設けられた2個の吹付ヘッド13a,13bが、矩形の筒状を呈するトンネル部30内において、その長さ方向に所定距離を隔てた位置、換言すれば、トンネル部30内に収容される搬送コンベヤ12の搬送部16による被処理物10の搬送方向(移動方向)の上流側(後方)と下流側(前方)とに所定距離を隔てた位置に、複数のノズル38を、被処理物10の搬送方向に対して直角な方向(トンネル部30の長さ方向に直角な方向で且つ搬送コンベヤ12の搬送ベルト14の幅方向)に等間隔を隔てて並べた状態で、トンネル部30の上側筒壁部44の下面(内面)に固定されている。これによって、ヘッド本体34の下面に複数のノズル38が設けられた2個の吹付ヘッド13a,13bのうち、トンネル部30の上側筒壁部44における被処理物10の搬送方向の上流側に固定されたものと、その下流側に固定されたものとが、それぞれ、上流側第一吹付ヘッド13aと下流側第一吹付ヘッド13bとされている。
【0040】
また、そのような固定状態下で、それら上流側及び下流側第一吹付ヘッド13a,13bの各ヘッド本体34の上面に設けられた給気パイプ36が、トンネル部30の上側筒壁部44を貫通して、上方に延出せしめられている。更に、各ヘッド本体34の下面に設けられた複数のノズル38の全てが、搬送コンベヤ12による被処理物10の搬送方向の上流側(移動方向の後方側)に向かって下傾せしめられている。
【0041】
一方、4個の吹付ヘッド13a〜dのうち、上面に複数のノズル38が設けられた残りの2個の吹付ヘッド13c,13dは、トンネル部30内において、搬送コンベヤ12の搬送部16による被処理物10の搬送方向の上流側と下流側とに所定距離を隔てた位置に、上流側及び下流側第一吹付ヘッド13a,13bのトンネル部30内での配置形態と同様な形態で配置されて、トンネル部30の下側筒壁部46の上面(内面)に固定されている。これによって、ヘッド本体34の上面に複数のノズル38が設けられた2個の吹付ヘッド13c,13dのうち、トンネル部30の下側筒壁部46における被処理物10の搬送方向の上流側に固定されたものと、その下流側に固定されたものとが、それぞれ、上流側第二吹付ヘッド13cと下流側第二吹付ヘッド13dとされている。
【0042】
また、かかる固定状態下で、上流側及び下流側第二吹付ヘッド13c,13dの各ヘッド本体34の下面に設けられた給気パイプ36が、下側筒壁部46を貫通して、下方に延出せしめられている。更に、各ヘッド本体34の上面に設けられた複数のノズル38の全てが、搬送コンベヤ12による被処理物10の搬送方向の上流側(移動方向の後方側)に向かって上傾せしめられている。
【0043】
そして、ここでは、特に、トンネル部30の上側筒壁部44に固定された上流側及び下流側第一吹付ヘッド13a,13b同士の間の距離:L1 と、下側筒壁部46に固定された上流側及び下流側第二吹付ヘッド13c,13d同士の間の距離:L2 とが互いに同一とされているものの、上流側第二吹付ヘッド13cが、上流側第一吹付ヘッド13aよりも、所定寸法だけ、被処理物10の搬送方向の上流側(移動方向の後方側)に位置せしめられていると共に、下流側第二吹付ヘッド13dが、下流側第一吹付ヘッド13bよりも、所定寸法だけ、被処理物10の搬送方向の上流側(移動方向の後方側)に位置せしめられている。また、被処理物10の搬送方向における上流側第二吹付ヘッド13cと上流側第一吹付ヘッド13aとの間の距離:S1 や下流側第二吹付ヘッド13dと下流側第一吹付ヘッド13bとの間の距離:S2 は、上流側及び下流側第一吹付ヘッド13a,13b同士の間の距離:L1 (上流側及び下流側第二吹付ヘッド13c,13d同士の間の距離:L2 )よりも小さくされている。つまり、ここでは、上流側第二吹付ヘッド13cと上流側第一吹付ヘッド13aとが互いに対を為し、また、下流側第二吹付ヘッド13dと下流側第一吹付ヘッド13bとが互いに対を為した状態で、トンネル部30内に固定されている。
【0044】
かくして、本実施形態の除電除塵装置にあっては、トンネル部30内に、上流側第一吹付ヘッド13aと上流側第二吹付ヘッド13cとが、搬送コンベヤ12の搬送部16を間に挟んだ両側に、上下方向に所定距離を隔てて離間し、且つ上流側第二吹付ヘッド13cが、上流側第一吹付ヘッド13aよりも所定距離:S1 だけ被処理物10の搬送方向の上流側に位置せしめられた状態で、固定的に配置されると共に、それら上流側第一吹付ヘッド13aと上流側第二吹付ヘッド13cの固定位置よりも被処理物10の搬送方向の下流側において、下流側第一吹付ヘッド13bと下流側第二吹付ヘッド13dとが、搬送コンベヤ12の搬送部16を間に挟んだ両側に、上下方向に所定距離を隔てて離間し、且つ下流側第二吹付ヘッド13dが、下流側第一吹付ヘッド13bよりも所定距離:S2 だけ被処理物10の搬送方向の上流側に位置せしめられた状態で、固定的に配置されている。
【0045】
そして、搬送コンベヤ12の搬送ベルト14上に載置されて、支持された複数の被処理物10が、トンネル部30内において、各吹付ヘッド13a〜dに対して相対的に移動せしめられるように、上流側第一吹付ヘッド13aと上流側第二吹付ヘッド13cとの間、及び下流側第一吹付ヘッド13bと下流側第二吹付ヘッド13dとの間をそれぞれ通過して、クリーンルーム24内に次々と搬送されるようになっている。
【0046】
また、そのようにして被処理物10がクリーンルーム24内に搬送される途中で、各吹付ヘッド13の複数のノズル38からイオン化された空気が噴射されることによって、トンネル部30内で、かかるイオン化空気が、被処理物10に対して吹き付けられ得るようになっている(イオンと共に空気を被処理物10に吹き付け得るようになっている)。
【0047】
そして、このとき、1個の被処理物10におけるイオン化空気の吹付箇所が、かかる被処理物10の搬送に伴って、その搬送方向の下流側から上流側に向かって(移動方向の前方側から後方側に向かって)徐々に移動せしめられるようになる。また、かかるイオン化空気が、上流側及び下流側第一吹付ヘッド13a,13bの各ノズル38から、被処理物10の意匠面たる上面に対して、被処理物10の搬送方向の上流側に向かって吹き付けられる一方、上流側及び下流側第二吹付ヘッド13c,13dの各ノズル38から、被処理物10の非意匠面たる下面に対しても、被処理物10の搬送方向の上流側に向かって吹き付けられるようになっている。
【0048】
これによって、本実施形態の除電除塵装置では、被処理物10が小型のものである場合は勿論、比較的に大型のものであっても、かかる被処理物10の上下両側の全面に、イオン化空気を自動的に且つ均一に吹き付けることが出来、以て、被処理物10の意匠面と非意匠面の全面から、静電気と埃等の異物を、より確実に且つ効率的に除去することが出来る。そして、そのような清浄な状態とされた被処理物10を、クリーンルーム24内に順次搬送することが可能となる。
【0049】
しかも、かかる除電除塵装置においては、例えば、被処理物10の意匠面たる上面だけ、或いは下面だけにイオン化空気が吹き付けられる従来装置とは異なって、イオン化空気が被処理物10の上面又は下面に反射して生ずる気流が、イオン化空気の吹付側とは反対の面側に回り込んで、かかる反対側の面と接触し、それにより、そのような気流中に含まれる埃等の異物が、イオン化空気の吹付側とは反対側の面に再付着するようなことが有利に防止され得る。
【0050】
従って、本実施形態に係る除電除塵装置を用いれば、複数の被処理物10のそれぞれの表面の全面が、順次、効果的に且つ効率的に清浄化され得る。そして、そのような清浄な複数の被処理物10がクリーンルーム24内に次々と搬送され得、以て、クリーンルーム24内で、複数の被処理物10に対する種々の加工、処理を実施する際に、各被処理物10の表面に発生乃至は付着する静電気や埃等の異物により各種の不具合が生ずることが、極めて有利に防止され得ることとなる。しかも、埃等の異物が、被処理物10に付着した状態で、クリーンルーム24内に侵入せしめられることが、未然に阻止され得る。
【0051】
また、かかる本実施形態の除電除塵装置では、被処理物10におけるイオン化空気の吹付箇所が、被処理物10の搬送方向の下流側から上流側(被処理物10の移動方向の前方側から後方側)に徐々に移動せしめられると共に、イオン化空気が、被処理物10の上面と下面とに対して、被処理物10の搬送方向の上流側(被処理物10の移動方向の後方側)に向かって吹き付けられるようになっているところから、例えば、イオン化空気が被処理物10の表面に反射して生ずる気流が、既にイオン化空気が吹き付けられた被処理物10の表面部分に対して再び接触するようなことが有利に回避され得る。これによっても、かかる気流中に浮遊する埃等の異物の被処理物10への再付着が効果的に防止され得る。
【0052】
さらに、本実施形態においては、被処理物10の搬送方向の上流側に、上流側第二吹付ヘッド13cと上流側第一吹付ヘッド13aとが互いに対応して位置せしめられる一方、それらの下流側に、下流側第二吹付ヘッド13dと下流側第一吹付ヘッド13bとが互いに対応して位置せしめられている。そのため、1個の被処理物10が搬送コンベヤ12にてクリーンルーム24内に搬送される間に、かかる1個の被処理物10に対して、除電・除塵処理が2回にわたって実施され得、それによって、比較的に簡略な構造において、被処理物10が、より確実に清浄化され得る。
【0053】
その上、上流側第二吹付ヘッド13cが、上流側第一吹付ヘッド13aよりも被処理物10の搬送方向の上流側に位置せしめられていることで、上流側第二吹付ヘッド13cが、上流側第一吹付ヘッド13aよりも早く、被処理物10に対してイオン化空気を吹き付け得るようになっており、また、下流側第二吹付ヘッド13dが、下流側第一吹付ヘッド13bよりも被処理物10の搬送方向の上流側に位置せしめられていることで、下流側第二吹付ヘッド13dが、下流側第一吹付ヘッド13bよりも早く、被処理物10に対してイオン化空気を吹き付け得るようになっている。それ故、上流側第二吹付ヘッド13cと上流側第一吹付ヘッド13aからのイオン化空気の被処理物10への吹付時と、下流側第二吹付ヘッド13dと下流側第一吹付ヘッド13bからのイオン化空気の被処理物10への吹付時の何れにおいても、イオン化空気が、被処理物10の意匠面たる上面よりも先に、非意匠面たる下面に対して吹き付けられるようになる。
【0054】
これによって、例えば、被処理物10の上下両面に対して同時に、或いは意匠面たる上面に対して、非意匠面たる下面よりも先に、イオン化空気が吹き付けられる場合とは異なって、非意匠面たる下面から吹き飛ばされた埃等の異物が意匠面に付着することがあっても、この意匠面に付着した異物が、その後から意匠面たる上面に吹き付けられるイオン化空気により意匠面から吹き飛ばされて、除去され得る。そして、その結果として、被処理物10の意匠面が、より清浄化され得、以て、除電・除塵処理後に実施される種々の加工、処理に際して、かかる意匠面に発生乃至は付着する静電気や埃等の異物にて各種の不具合が生ずることが更に効果的に防止され得て、意匠面の良好な外観が有効に確保され得ることとなる。
【0055】
また、本実施形態では、1個の吹付ヘッド13a〜dに対して、複数のノズル38が、搬送コンベヤ12の搬送ベルト14の幅方向に並んで位置するように設置されているため、被処理物10に対して、イオン化空気を、可及的にムラなく均一に吹き付けることが可能となっている。
【0056】
さらに、かかる除電除塵装置においては、被処理物10を支持する搬送コンベヤ12の搬送ベルト14が、十分な通気性を有するメッシュベルトにて構成されているところから、搬送ベルト14の下側に設置された上流側及び下流側第二吹付ヘッド13c,13dの各ノズル38から噴射されるイオン化空気が、かかる搬送ベルト14の網目を通じて、被処理物10の下面に対して確実に吹き付けられ得る。また、そのような搬送ベルト14が、合成樹脂材料を用いて形成されて、電気絶縁性を有している。これによって、被処理物10の表面の全面に対する除電・除塵処理が、更に一層確実且つ効果的に行われ得るのである。
【0057】
更にまた、本実施形態では、被処理物10に対するイオン化空気の吹付による除電・除塵処理がトンネル部30内で実施されるようになっているため、除電・除塵処理後の被処理物10と埃等の異物が大量に浮遊する一般ルーム22内の空気との接触が可及的に防止され、それによって、除電・除塵処理後の被処理物10に対する埃等の異物の再付着が、より有利に阻止され得る。
【0058】
また、本実施形態においては、トンネル部30が、合成樹脂製で電気絶縁性を有しているところから、被処理物10に吹き付けられたイオン化空気中のイオンが、トンネル部30に吸着されることが効果的に防止され、それによって、かかるトンネル部30内での被処理物10に対する除電処理が、より確実に且つ効率的に実施され得る。
【0059】
さらに、本実施形態では、吹付ヘッド13a〜dが、被処理物10を一般ルーム22からクリーンルーム24内に搬送する搬送コンベヤ12を間に挟んで設置されているため、被処理物10を搬送するためのスペースに吹付ヘッド13a〜dを設置が可能となり、それによって、吹付ヘッド13a〜dを設置するための専用のスペースが有利に省略され得ると共に、被処理物10を除電・除塵処理するための専用スペースも効果的に省略され得る。
【0060】
以上、本発明の代表的な一つの実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示であって、本発明は、そのような実施形態における具体的な記述によって何等限定的に解釈されるものでない。
【0061】
例えば、前記実施形態では、吹付ヘッド13が位置固定とされる一方、被処理物10が、搬送コンベヤ12によって、吹付ヘッド13に対して相対的に移動せしめられるようになっていたが、それに代えて、被処理物10を位置固定とする一方、吹付ヘッド13を公知の移動装置によって、被処理物10に対して相対的に移動させたり、或いは被処理物10と吹付ヘッド13の両方を、互いに相対的に移動させたりしても良い。
【0062】
また、被処理物10を吹付ヘッド13に対して相対移動させ得るように構成する場合にあっても、この被処理物10の移動手段として、例示の搬送コンベヤ12以外の装置も適宜に用いられ得る。即ち、例えば、図3に示されるように、被処理物10を支持する支持部48が、案内レール50に沿って、ピニオンとラック等によるギヤ機構やボールねじ軸を利用したねじ送り機構等を利用した公知の各種の移動機構にてスライド移動可能とされた移動装置52にて、移動手段を構成することも出来る。なお、図3には、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1及び図2と同一の符号を付した。それによって、それらの部材及び部位に関する詳細な説明を省略した。
【0063】
さらに、被処理物10を搬送する搬送コンベヤ12にて移動手段を構成する場合にも、被処理物10を支持する支持部として、搬送ベルト14に代えて、多数の搬送ローラを用いることも可能である。なお、この場合には、かかる搬送ローラが、電気絶縁体にて構成されていることが、望ましい。
【0064】
更にまた、被処理物10と吹付ヘッド13のうちの何れか一方のみ又は両方を移動させる場合にあっても、それらの移動方向は、例示の水平方向に決して限定されるものでないことは、勿論である。
【0065】
また、吹付ヘッド13の数や設置位置も例示のものに、特に限定されるものではなく、互いに所定距離を隔てた二つ以上のものが、それらの間を被処理物10が通過可能に位置せしめられるようになっておれば良い。なお、吹付ヘッド13と被処理物10との間の距離は、吹付ヘッド13から被処理物10にイオンと共に気体を吹き付けることで、被処理物10の除電・除塵処理が確実且つ有効に実施可能な距離とされている必要がある。
【0066】
さらに、前記実施形態では、吹付ヘッド13がイオン化空気を噴射するようになっていたが、吹付ヘッド13は、イオンを気体と共に噴射し得るようになっておれば良く、従って、吹付ヘッド13から、イオン発生器にて発生せしめられたイオンが混入せしめられた気体を噴射するようにしても良く、また、1個の吹付ヘッド13に設けられた互いに別個のノズル38から気体とイオンとを別々に噴射させたり、或いは互いに異なる吹付ヘッド13のそれぞれのノズル38から、気体とイオンとを別々に噴射させたりすることも出来る。
【0067】
更にまた、吹付ヘッド13から噴射される気体は、必ずしも空気に限定されるものではなく、空気以外の気体であっても、何等差し支えない。
【0068】
また、吹付ヘッド13に設けられたノズル38を省略して、単なる噴出孔を通じて、吹付ヘッド13から気体が噴射されるように構成することも可能である。その場合には、噴射孔が気体が前述せる如き所定方向に噴射されるように、吹付ヘッド13の全体が傾けられた状態で設置される。
【0069】
更にまた、前記実施形態では、吹付ヘッド13から噴射された気体が、被処理物10に対して部分的に吹き付けられるようになっていたが、かかる気体が、被処理物10の全体に吹き付けられるように為すことも、勿論可能である。
【0070】
また、前記実施形態では、筒状収容体としてのトンネル部30の全体が、合成樹脂材料を用いて形成されることで、トンネル部30に対して電気絶縁性が付与されていたが、例えば、トンネル部30を支持する脚部32の全部又は一部を電気絶縁性材料にて構成することにより、トンネル部30が、電気絶縁体を介して、一般ルーム22の床面28上に設置して、トンネル部30全体を絶縁状態と為すことも出来る。これによって、トンネル部30の形成材料が自由に選択され得るといった利点が得られる。なお、かかるトンネル部30は、本発明において、何等必須のものでないことは言うまでもないところである。
【0071】
さらに、移動手段としての搬送コンベヤ12と、その搬送部16が収容される筒状収容部としてのトンネル部30とが、何れも移動可能とされていても良い。
【0072】
加えて、前記実施形態では、本発明を、樹脂成形品からなる被処理物の除電除塵装置と除電除塵方法とに適用したものの具体例を示したが、本発明は、樹脂成形品以外の被処理物の除電除塵装置と除電除塵方法の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0073】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に従う構造を有する除電除塵装置の一実施形態を示す一部切欠図を含む正面説明図である。
【図2】図1の横断面における部分拡大説明図である。
【図3】本発明に従う構造を有する除電除塵装置の別の実施形態の要部を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0075】
10 被処理物 12 搬送コンベヤ
13 吹付ヘッド 14 搬送ベルト
24 クリーンルーム 30 トンネル部
34 ヘッド本体 36 給気パイプ
38 ノズル 40 コンプレッサ
42 イオン発生器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン発生器にて発生させたイオンを気体と共に被処理物に吹き付けることにより、該被処理物を除電・除塵処理する除電除塵装置において、
前記気体を噴射して、該気体と共に前記イオンを前記被処理物に吹き付ける複数の吹付ヘッドを、互いに所定距離を隔てて離間するように配設すると共に、それら互いに離間して配設された吹付ヘッド同士の間を該被処理物が通過するように、該吹付ヘッドと該被処理物のうちの少なくとも何れか一方をそれらのうちの少なくとも何れか他方に対して相対的に移動させる移動手段を設け、更に、該吹付ヘッドから噴射される前記気体の噴射方向が、該吹付ヘッド同士の離間方向内方で、且つ該吹付ヘッドの移動方向の前方側又は該被処理物の移動方向の後方側に向かう方向となるように構成したことを特徴とする除電除塵装置。
【請求項2】
前記吹付ヘッドから噴射される前記気体が、前記被処理物に対して部分的に吹き付けられると共に、前記移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動に伴って、該気体の該被処理物への吹付箇所が、該移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動方向に移動せしめられるようになっている請求項1に記載の除電除塵装置。
【請求項3】
前記移動手段が、電気絶縁性を有する支持部を備え、前記被処理物を該支持部にて支持した状態で、前記吹付ヘッドに対して相対移動させ得るように構成されている請求項1又は請求項2に記載の除電除塵装置。
【請求項4】
前記互いに離間して配設された複数の吹付ヘッドのうちの何れか一方が、それらのうちの何れか他方よりも早く、前記イオンと前記気体とを該被処理物に吹き付け得るように構成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の除電除塵装置。
【請求項5】
前記互いに離間して配設された複数の吹付ヘッドのうちの何れか一方が、それらのうちの何れか他方よりも、前記移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動方向の前方側に位置せしめられている請求項4に記載の除電除塵装置。
【請求項6】
前記吹付ヘッドが、互いの離間方向の両側のそれぞれにおいて、前記移動手段による吹付ヘッド又は被処理物の移動方向に互いに所定距離を隔てて複数個ずつ配設されている請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の除電除塵装置。
【請求項7】
前記複数の吹付ヘッドが内部に収容配置された筒状収容体が更に設けられ、該筒状収容体内で、該複数の吹付ヘッドのそれぞれから噴射される前記気体が、前記イオンと共に、前記被処理物に吹き付けられるようになっている請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の除電除塵装置。
【請求項8】
前記筒状収容体が、電気絶縁性を有する材料を用いて形成されている請求項7に記載の除電除塵装置。
【請求項9】
前記筒状収容体が、電気絶縁体を介して床面上に設置されている請求項7又は請求項8に記載の除電除塵装置。
【請求項10】
イオン発生器にて発生させたイオンを気体と共に被処理物に吹き付けることにより、該被処理物を除電・除塵処理する方法であって、
前記気体を噴射して、該気体と共に前記イオンを前記被処理物に吹き付ける複数の吹付ヘッドを、互いに所定距離を隔てて離間配置する工程と、
前記被処理物が、前記離間配置された前記吹付ヘッド同士の間を通過するように、該吹付ヘッドと該被処理物のうちの少なくとも何れか一方を、それらのうちの少なくとも何れか他方に対して相対的に移動させる工程と、
前記吹付ヘッド同士の離間方向内方で、且つ該吹付ヘッドの移動方向の前方側又は前記被処理物の移動方向の後方側に向かう方向に向かって、前記吹付ヘッドから前記気体を噴射させて、該気体を前記イオンと共に該被処理物に吹き付ける工程と、
を含むことを特徴とする除電除塵方法。
【請求項11】
前記互いに離間して配設された複数の吹付ヘッドのうちの何れか一方にて、それらのうちの何れか他方よりも早く、前記イオンと前記気体とを該被処理物に吹き付けるようにした請求項10に記載の除電除塵方法。
【請求項12】
前記複数の吹付ヘッドを筒状収容体の内部に収容配置して、該筒状収容体内で、該複数の吹付ヘッドのそれぞれから噴射される前記気体を、前記イオンと共に、前記被処理物に吹き付けるようにした請求項10又は請求項11に記載の除電除塵方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106843(P2009−106843A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281262(P2007−281262)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000185617)小島プレス工業株式会社 (515)
【Fターム(参考)】