説明

障害物検出装置

【課題】複共振マイクロフォン21を用いて、遠距離モードと近距離モードとを切り替えることができ、この2つの異なるモードを実現するために、ハードウエア的またはソフトウエア的に共用化を行う。
【解決手段】マイクロフォン21に、高周波数駆動信号と低周波数駆動信号を提供する回路部23を備え、この回路部23を制御する制御手段3を備え、回路部23には、単一の周波数調整回路32から出力された超音波パルス信号をマイクロフォン21に昇圧して印加するトランスを備え、少なくとも一部が遠距離モード近距離モード共用のマイク駆動回路33を備え、車体上で隣り合って配置されたマイクロフォン同士は、一方が遠距離モード送信時は、他方は、近距離モード送信になるように駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の特に後方の障害物を超音波で検出する障害物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の障害物検出装置が知られている。この特許文献1は、近距離にある障害物であっても、遠距離にある障害物であっても、適切に検出可能な障害物検出装置を提供することを課題としている。
【0003】
そして、そのために、障害物検出装置が備える超音波センサ(以下、単にセンサとも言う)は、ECUからの指令に応じて、送波周波数および送波出力を変更可能である。これにより、狭指向性を有し、検出距離が長距離となる遠距離モードと、広指向性を有し、検出距離が短距離となる近距離モードとを切り替えて、障害物の検出及びエリアを変更することができている。
【0004】
検出エリアを変更する際には、例えば、車速Vが所定の閾値V2以下の場合には、近距離モードとされる。これにより、車両近傍の不感帯を減少させることができる。
【0005】
一方、車速Vが所定の閾値V2より大の場合には遠距離モードとされ、これにより、より遠方の障害物を精度良く検出できるようになっている。
【0006】
この特許文献1の技術に使われる超音波を送受信するマイクロフォン(以下、単にマイクとも言う)は、高周波数モードと低周波数モードとの二つに共用される。このうち、高周波モードは狭指向性であり、遠距離の障害物検出に向いている。また、低周波モードは高指向性を持ち、近距離での障害物検出に向いている
また、遠くの障害物検出は、路面を検出しないように、超音波のビームを細くしなければならない。ところが、細くしていくと、近くの上下が拾えない。よって、近くは、ある程度の幅が必要である。このために、上記特許文献1は、駆動周波数の切替により、指向性(ビームの広狭)を切替制御している。
【0007】
そして、この切替制御は、上述のように車速に応じて、また、検出距離に応じて、車両進行方向に応じて、あるいは任意に行われるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−14560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1の技術によると、複数の共振モードを持つ複共振マイクをセンサとして使用すれば、単一のマイクで高周波数モードと低周波数モードの駆動が可能と成るが、これを駆動する回路部は複数必要となる。そこで、第1に、極力回路部を共通化し、シンプルに構成する工夫が必要になる。
【0010】
次に、センサの配列は、例えば、車両の前方に2個または4個、後方に4個の配列である。センサ同士の距離が近く、同じ周波数で発信すると、混信する可能性がある。そこで、送信タイミングを設定する必要がある。
【0011】
しかし、これに関しては、上記特許文献1に詳しく書かれていない。そこで、第2に、複数のセンサを混信せず、かつ検出速度が遅くならないタイミングで、どのように切り替え制御するかの工夫が必要になる。
【0012】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、個々のセンサとして単一のセンサ(複共振センサ)を用いて、指向性が高くて、検出距離が長距離となる遠距離モードと、指向性が低くて、検出距離が短距離となる近距離モードとを切り替えることができ、この2つの異なるモードを実現するために、ハードウエア的またはソフトウエア的に共用化を行って、シンプルな回路構成または制御手段の構成を備えた障害物検出装置を提供することを課題とする。
【0013】
具体的には、極力回路部を共通化し、シンプルに構成することを課題とする。また、時と空間を時分割的に共用し、複数のセンサが混信せず、かつ検出速度が遅くならないタイミングで切り替え制御できる障害物検出装置の提供を課題とする。
【0014】
従来技術として列挙された特許文献1の記載内容は、この明細書に記載された技術的要素の説明として、参照によって導入ないし援用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記目的を達成するために、下記の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、センサ(5)内のマイクロフォン(21)に、高周波数駆動信号と低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して高周波数駆動信号または低周波数駆動信号として各マイクロフォン(21)に印加する単一のトランスを備えた高周波数駆動信号と低周波数駆動信号とに共用のマイク駆動回路(33)を備え、マイク駆動回路(33)は、高周波数駆動信号の方に、低周波数駆動信号よりも優先して回路調整されていることを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、マイク駆動回路(33)が高周波数駆動信号と低周波数駆動信号とに完全に共用されているから、マイク駆動回路(33)の構成がシンプルに成る。また、マイク駆動回路(33)は、少なくとも高周波数駆動信号側に優先的に回路調整されているから、充分な品質及びパワーの高周波数駆動信号をマイクロフォン(21)に提供することが出来、車両の遠方に存在する障害物を正確に検出できる。つまり、共用に際して、検出の困難な遠距離モードが優先され、マイク駆動回路(33)の回路調整が遠距離モードに合致し、近距離モードにおいても満足できる範囲内に収まる。換言すれば、マイク駆動回路(33)は、主として遠距離の障害物検出モードに調整しているので、近距離の障害物検出に多少不利に成るが、近距離の障害物検出には超音波の出力が多少弱くなっても検出性能の大きな落ち込みは抑制できる。それよりも、共通の回路を使用して、高周波数モードでの遠距離の障害物検出と、低周波数モードでの近距離の実質的に充分な障害物検出が成される効果の方が大きい。
【0017】
請求項2に記載の発明では、少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、センサ(5)内のマイクロフォン(21)に、高周波数駆動信号と低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して高周波数駆動信号または低周波数駆動信号として各マイクロフォン(21)に印加するマイク駆動回路(33)を備え、マイク駆動回路(33)には、高周波数駆動信号用の高周波数用トランス(33a2)と、低周波数駆動信号用の低周波数用トランス(33b2)が設けられ、これらの高周波数用トランス(33a2)、及び低周波数用トランス(33b2)の前段に切替回路(33c1)を介して共用ドライバ回路(33ab)が設けられていることを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、トランスはそれぞれ専用に設けられているが、前段の共用ドライバ回路(33ab)が共通使用されているため、マイク駆動回路の少なくとも一部が共用され、構成がシンプルに成る。
【0019】
請求項3に記載の発明では、少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、センサ(5)内のマイクロフォン(21)に、高周波数駆動信号と低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して高周波数駆動信号または低周波数駆動信号として各マイクロフォン(21)に印加するマイク駆動回路(33)を備え、マイク駆動回路(33)には、高周波数駆動信号用の高周波数用トランス(33a2)と、低周波数駆動信号用の低周波数用トランス(33b2)が設けられ、これらの高周波数用トランス(33a2)、及び低周波数用トランス(33b2)の前段に、それぞれ高周波数用ドライバ回路(33a1)及び低周波数用ドライバ回路(33b1)が設けられており、周波数調整回路(32)からの超音波パルス信号が切替回路(33c)を介して高周波数用ドライバ回路及び低周波数用ドライバ回路のいずれか一方に供給されることを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、周波数調整回路(32)からの超音波パルス信号が、切替回路(33c)を介して高周波数用ドライバ回路(33a1)及び低周波数用ドライバ回路(33b1)のいずれか一方に供給されるから、単一の周波数調整回路(32)から高周波数用または低周波数用の超音波パルス信号を出力すればよいため、回路構成をシンプルにすることが出来る。
【0021】
請求項4に記載の発明では、切替回路(33c及び33c1)は、スイッチ回路またはフィルタ回路から成ることを特徴としている。
【0022】
この発明によれば、切替回路(33c及び33c1)を、切替IC等の切替用のスイッチ回路またはフィルタ回路で構成することが出来る。
【0023】
請求項5に記載の発明では、センサ(5)は車両後方に多数並列して設けられ、センサ(5)の各々は、少なくともいずれかのグループに属し、隣り合うセンサ夫々の周波数調整回路(32)は、一方が遠距離モード送信の時は、他方は、近距離モードの送信になるように、制御手段(3)によって制御され、各センサ(5)内のマイクロフォン(21)が交互にマイク駆動回路(33)からの高周波数駆動信号または低周波数駆動信号にて駆動されることを特徴としている。
【0024】
この発明によれば、隣り合うセンサ(5)同士の距離が短くても、同じ周波数の駆動信号を出すことがなく、狭い空間を時分割的に共用しているから混信が防止できる。また、マイク駆動回路(33)が少なくとも一部共用化され、シンプルかつ小型に構成されているため、全体的に小型安価な装置を提供できる。
【0025】
請求項6に記載の発明では、周波数調整回路(32)は、制御手段(3)から送信された通信線(7)内の周波数設定フレームにセットされた送信周波数を、超音波パルス信号の送信周波数として設定し、設定された送信周波数の超音波パルス信号をマイク駆動回路(33)へ出力することを特徴としている。
【0026】
この発明によれば、制御手段(3)は、通信線を介しての周波数調整回路(32)を制御して、異なる周波数の超音波パルス信号を自在に出力することが出来る。
【0027】
請求項7に記載の発明では、少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、センサ内のマイクロフォン(21)に、高周波数駆動信号と低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して高周波数駆動信号または低周波数駆動信号として各マイクロフォン(21)に印加するマイク駆動回路(33)を備え、センサ(5)は車両後方に多数並列して設けられ、センサ(5)の各々は、少なくともいずれかのグループに属し、隣り合うセンサ(5)同士は、一方が遠距離モード送信時は、他方は、近距離モード送信になるように制御手段(3)によって、各センサ(5)内のマイクロフォン(21)が交互にマイク駆動回路(33)からの高周波数駆動信号または低周波数駆動信号にて駆動されることを特徴としている。
【0028】
この発明によれば、隣り合うセンサ(5)同士が同じ周波数の駆動信号を出すことがなく、狭い空間を時分割的に共用しているから隣同士で混信するのを防止できる。
【0029】
請求項8に記載の発明では、グループは、AグループとBグループとから成り、制御手段(3)には、近距離モード送信指令をAグループのセンサ(5)に送信する手段(S501)、Aグループのセンサ(5)から近距離モード障害物情報を取得する手段(S502)、遠距離モード送信指令をBグループのセンサ(5)に送信する手段(S601)、Bグループのセンサ(5)から遠距離モード障害物情報を取得する手段(S602)、遠距離モード送信指令をAグループのセンサ(5)に送信する手段(S503)、Aグループのセンサ(5)から遠距離モード障害物情報を取得する手段(S504)、近距離モード送信指令をBグループのセンサ(5)に送信する手段(S603)、Bグループのセンサ(5)から近距離モード障害物情報を取得する手段(S604)を備えることを特徴としている。
【0030】
この発明によれば、各センサ(5)は、制御手段(3)からの指令に従っているだけで、同じ周波数の超音波が混信せずに送信及び受信できる。
【0031】
請求項9に記載の発明では、マイクロフォン(21)から送波された超音波が障害物により反射され、その反射波がマイクロフォン(21)により受信され、その受信信号が入力されるゲイン調整回路(36)と、比較回路(38a)と距離演算回路(37)を備え、ゲイン調整回路(36)の受信信号が、比較回路(38a)によって閾値と比較され、比較回路(38a)が、受信信号は閾値よりも大であると判定した場合に、距離演算回路(37)が、超音波の送波開始時から反射波の受波までに要した時間から距離を演算し、距離を示す距離データを制御手段(3)へ出力し、マイク駆動回路(33)、周波数調整回路(32)、ゲイン調整回路(36)、比較回路(38a)、及び距離演算回路(37)が、マイクロフォン(21)に隣接するセンサ(5)内の回路部(23)内に収納されていることを特徴としている。
【0032】
この発明によれば、駆動信号を送信し、受信信号から距離を演算するまでの各回路が、マイクロフォン(21)に隣接する回路部(23)内に収納されているからシンプルで小型なセンサ(5)の回路構成を実現できる。
【0033】
なお、特許請求の範囲および上記各手段に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態における障害物検出装置全体の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、上記実施形態におけるセンサの外観を示した外形図であり、(b)は、超音波センサの内部模式構成図である。
【図3】上記実施形態におけるセンサ内部の回路部の構成を示すブロック図である。
【図4】上記実施形態における上記回路部内のマイク駆動回路の詳細ブロック図である。
【図5】上記実施形態における障害物検出処理のフローチャートである。
【図6】上記実施形態における各センサの送信タイミングを説明する車両平面方向から見た説明図である。
【図7】上記実施形態における各センサへの送信及び各センサからの障害物情報の取得の順序を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態における回路部内のマイク駆動回路の詳細ブロック図である。
【図9】本発明のその他の実施形態におけるマイク駆動回路の詳細ブロック図である。
【図10】サイドローブを利用するその他の実施形態を図示する車両後方での作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図7を用いて詳細に説明する。図1は、障害物検出装置全体の構成を示すブロック図である。なお、以下の説明において、上記特許文献1と共通する点は、一部省略して説明する。
【0036】
この障害物検出装置1は、制御手段を成す電子制御ユニット(ECUと言う)3、個々が複共振センサより成る6つのセンサ5(以下、個々のセンサ5を区別する場合には、センサ#1〜#6とも呼ぶ。)、シリアル通信線7等を備えている。
【0037】
また、ECU3には、速度センサ11、変速装置12、クリアランスソナー作動スイッチ13、駐車アシストシステム作動スイッチ14、アクティブ制御設定スイッチ15などからの信号が、直接または他のECU(図示略)を介して入力されるようになっている。
【0038】
センサ5は、車両の前方や後方に向けて超音波を送波し、障害物によって反射された反射波を受波して障害物の検知を行うものである。図2(a)は、センサ5の外観を示した外形図であり、図2(b)は、センサ5の内部模式構成図である。
【0039】
図2(b)に示すように、センサ5は、複共振マイクロフォン(マイク)21と回路部23とによって構成される。図3は、主としてセンサ5内部の回路部23の構成を示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、回路部23は、LAN制御回路31、周波数調整回路32、マイク駆動回路33、フィルタ回路35、ゲイン調整回路36、距離演算回路37、閾値調整回路38、比較回路38a、およびメモリ39によって構成されている。
【0041】
LAN制御回路31は、シリアル通信線7(図1参照)を介して、ECU3から送信された各種通信フレームを受信するとともに、測距した距離データを返信するためポーリングフレームを送信する。
【0042】
周波数調整回路32は、ECU3から送信された周波数設定フレームにセットされた送信周波数情報を超音波パルス信号の送信周波数として設定し、この設定した送信周波数の超音波パルス信号をマイク駆動回路33へ送信する。
【0043】
マイク駆動回路33は、周波数調整回路32からの超音波パルス信号により、高周波数駆動信号または低周波数駆動信号を生成してマイク21を駆動し、これにより、マイク21から超音波が送波される。この送波された超音波が障害物により反射されると、その反射波がマイク21により受信され、その受信信号がゲイン調整回路36へ出力される。
【0044】
このマイク駆動回路33の内部構成を図4を用いて説明する。図4は、この第1実施形態における上記回路部23内のマイク駆動回路33のブロック図である。マイク駆動回路33には、高周波数回路33aと低周波数回路33bが設けられている。
【0045】
高周波数駆動信号用の高周波数用トランス33a2と、低周波数駆動信号用の低周波数用トランス33b2が設けられ、これらの高周波数用トランス33a2、及び低周波数用トランス33b2の前段に、それぞれ増幅を行う高周波数用ドライバ回路33a1または低周波数用ドライバ回路33b1が設けられている。
【0046】
周波数調整回路32は、単一回路から成り、周波数調整回路32からの超音波パルス信号が、切替回路33cを介して、高周波数用ドライバ回路33a1及び低周波数用ドライバ回路33b1のいずれか一方に供給される。そして、切替回路33cは、図3のLAN制御回路31を介して図1のECU3からの指令信号CSで切替制御される。
【0047】
ゲイン調整回路36では、メモリ39に記憶されたゲインを参照して、上記の受信信号を所定倍に増幅し、増幅後の受信信号をフィルタ回路35へ出力する。
【0048】
このフィルタ回路35によってフィルタ処理された受信信号は、比較回路38aに出力され、比較回路38aでは、閾値調整回路38にて設定された障害物判定用の閾値電圧レベルと受信信号のレベルとを比較する。
【0049】
距離演算回路37では、比較回路38aが、受信信号は閾値よりも大であると判定した場合に、超音波の送波開始時から反射波の受波までに要した時間から距離を演算し、その距離を示す距離データをLAN制御回路31へ出力する。
【0050】
この第1実施形態において、マイク21及び回路部23を持つ図2(b)のセンサ5は、指向性および検出距離を2通りに変更することができる。具体的には、指向性が高くて(=狭指向性で)検出距離が長距離となる遠距離モード、および指向性が低くて(=広指向性で)検出距離が短距離となる近距離モードのうち、いずれかに切り替えて、超音波を送波することができる。
【0051】
このために、センサ5は、複数周波数に共振する複共振マクロフォンからなるマイク21を採用している。しかし、マイク21のみが単体で二つの機能(低周波数用と高周波数用)を備えても、回路部23が単一では駆動できない。そこで、通常は、回路部23も二つの回路部が必要となり、高価かつ大型となる。
【0052】
そこで、この第1実施形態では、実質的に一つの回路部でありながら。二つの機能(低周波数用と高周波数用)を備えるようにしている。このために、図3に示すマイク駆動回路33は、複共振マクロフォンからなるマイク21に、高周波数駆動信号と低周波数駆動信号の双方を効率よく送信するために、上述の図4の構成を採用している。
【0053】
図4において、マイク駆動回路33は、周波数調整回路32から2系統で高周波数駆動信号用の超音波パルス信号と低周波数駆動信号用の超音波パルス信号を受け取るのではなく、単一の信号受け入れ部(共用部)としての切替回路(切替IC)33cにて超音波パルス信号を受信する。そして、この切替回路33cと高周波数回路33aと低周波数回路33bがマイク駆動回路33に設けられている。
【0054】
そして、外部増幅器機能を持った高周波数用ドライバ回路33a1と、この高周波数用ドライバ回路33a1の後段に接続された高周波数用トランス33a2を備えている。一方、外部増幅器機能を持った低周波数用ドライバ回路33b1と、この低周波数用ドライバ回路33b1の後段に接続された低周波数用トランス33b2を備えている。
【0055】
これらのトランス33a2及び33b2は、マイク21内の図示しない圧電素子を駆動するために、高電圧まで昇圧する機能と、LC共振回路により共振を調整する機能を有している。
【0056】
これにより、センサ5内の回路部23は、一部のみを改造するだけで、近距離モード及び遠距離モード共に高効率で駆動できる。また、回路の大きさも、極力小さくすることができる。
【0057】
また、以上説明したようなセンサ5における遠距離モードと近距離モードとの切り替えや、センサ5による超音波の送波は、ECU3によって制御される。
【0058】
より詳しく説明すると、ECU3は、センサ5に対し、送波周波数および送波出力の変更を指示するためのモード変更指示フレーム、超音波の送波を指示するための送波指示フレーム、測距した距離情報の送信を指示するためのポーリングフレーム等、各種通信フレームを、シリアル通信線7を介してセンサ5へ送信する処理を行う。
【0059】
このうち、モード変更指示フレームには、センサID、メッセージID、送波出力レベル、送波周波数及びフィルタ中心周波数、エラー・チェック・コード(ECC)などのフィールドが含まれている。
【0060】
センサIDのフィールドには、各センサ5(センサ#1〜#6の各々)に予め割り当てられたIDがセットされ、センサ5では、このフィールドを参照することにより、自身に対する情報であるか否か判断する。
【0061】
メッセージIDのフィールドには、上述の各種通信フレーム毎に割り当てられたIDがセットされ、各センサ5では、このフィールドを参照することにより、通信フレームの種類を判断する。
【0062】
メッセージIDのフィールドがモード変更指示フレームに対応するIDである場合、そのメッセージIDに続くフィールドには、各センサ5において設定すべき超音波信号の送波出力レベル、及び送波周波数と、フィルタ回路35のフィルタ処理において設定すべき中心周波数がセットされている。
【0063】
各センサ5では、このフィールドを参照することにより、送波出力レベル、送波周波数、および中心周波数を判断する。
【0064】
(クリアランスソナー作動制御処理)
次に、クリアランスソナー作動時に、制御手段を成すECU3が実行する障害物検出制御処理について、図5に基づいて説明する。
【0065】
この障害物検出処理は、説明を省略した特許文献1のクリアランスソナー作動制御の中の一つのステップとして繰り返し実行されるものであり、詳しくは図5に示すような処理となる。すなわち、ECU3は、まず、超音波送波指令をセンサ#1〜#6へ送信する。これにより、各センサ#1〜#6では、超音波の送波、および反射波の受波が行われ(S305)、それら送波および受波の結果に基づいて、センサ毎に障害物の有無ないし障害物までの距離が検出される。
【0066】
ここで重要なことは、複数のセンサ5を混信せず、かつ検出速度が遅くならないタイミングでどのように切り替え制御するかである。なお、この切り替え制御については、全体説明を終えた後に説明する。
【0067】
次に、ECU3は、センサ#1〜#6から取得した障害物情報に基づいて、1以上のセンサが障害物を検出したか否かを判定する(S315)。ここで、1以上のセンサが障害物を検出していれば(S315:YES)、さらに、現在の車速Vが所定の上限値V1よりも大きいか否かを判定する(S320)。
【0068】
そして、現在の車速Vが所定の上限値V1以下である場合は(S320:NO)、障害物を検出したセンサに対応する警告灯を点灯し(S325)、障害物までの距離に対応する警告音を鳴動させる(S330)。
【0069】
一方、1以上のセンサが障害物を検出していても(S315:YES)、現在の車速Vが所定の上限値V1よりも大きい場合は(S320:YES)、警告灯を消灯し(S335)、警告音の鳴動を停止させる(S340)。
【0070】
なお、S315の処理において、いずれのセンサ5とも障害物を検出していなければ(S315:NO)、その場合も、警告灯を消灯し(S335)、警告音の鳴動を停止させる(S340)。
【0071】
次に、上述の図5のS305について詳述する。前述したように、重要なことは、複数のセンサ5を混信せず、かつ検出速度が遅くならないタイミングで切り替え制御するかである。個々のセンサ5として単一のセンサ5(複共振センサ)を用いて、特に車両後部に向かって、指向性が高くて、検出距離が長距離となる遠距離モードと、指向性が低くて、検出距離が短距離となる近距離モードとを切り替えて、障害物の検出、及びエリア変更ができる必要がある。
【0072】
図6は、この第1実施形態における各センサの送信タイミングを説明する、車両を平面方向から見た説明図である。図6において、各々が複数の周波数それぞれに共振する複共振センサであって車両の前方のフロントコーナ(右)に1個、フロントコーナ(左)に1個、車両後部バンパー内の孔にクッションを介して取り付けられた4個の同じセンサが設けられている。
【0073】
これらの4個のセンサ5は、それぞれリアコーナ(右)、リアセンタ(右)、リアセンタ(左)、リアコーナ(左)に設けられている。そして、全部で6個のセンサ5はAグループまたはBグループのいずれか一方のグループに属している。
【0074】
そして、隣り合うセンサ5同士は、一方が遠距離モード送信時は、他方は、近距離モードを送信とするという原則で制御される。図6において、破線ゾーンの扇型は近距離モード送信を示し、実線ゾーンは、遠距離送信モードを図示している。
【0075】
図7は、図5のS305を詳細に説明し、各センサ5への送信及び各センサからの障害物情報の取得の順序を明確にするためのフローチャートである。これによれば、処理は、2つに別れ、S501で近距離モード送信指令をAグループのセンサ5に送信する(図6上)。
【0076】
次に、S502で、上記Aグループのセンサ5から障害物情報を取得する。このとき同時に、他方の処理では、S601で遠距離モード送信指令をBグループのセンサ5に送信する(図6上)。次に、S602で、上記Bグループのセンサ5から障害物情報を取得する。
【0077】
更に、S503で遠距離モード送信指令をAグループのセンサ5に送信する(図6下)。次に、S504で、上記Aグループのセンサ5から障害物情報を取得する。このとき同時に、他方の処理では、S603で近近距離モード送信指令をBグループのセンサ5に送信する(図6下)。次に、S604で、上記Bグループのセンサ5から障害物情報を取得する。
【0078】
この図6及び図7ように、交互に各グループを遠近切替制御することで、同じ周波数の超音波が混信せずに送信及び受信される。なお、センサの総数が6個のものを示したが8個等でも良い。
【0079】
以上のように、第1実施形態によれば、図6のように、近・遠・近・遠、次には、遠・近・遠・近と交互送信することで、単一の複共振センサで、検出エリアを可変できるため、不感帯の少ない近距離検出と、不要報知の少ない長距離検出との混信を防止した同時検出が実現する。
【0080】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について図8にて説明する。この図8は、第2実施形態における回路部23(図3)内のマイク駆動回路33のブロック図である。
【0081】
第1実施形態では、図4に示したように、ドライバ回路とトランスを各々2組備えたが、更にコストを下げるためには、図8のように、共用ドライバ回路33ab1と共用トランス33ab2を1組だけ備えて、マイク21を低周波数で駆動する場合も、高周波数で駆動する場合も共用ドライバ回路33ab1とトランス33ab2を介して駆動してもよい。ただ、この場合は、特にトランス33ab2の回路調整(共振調整)が高周波数の遠距離モード側に優先的に合致するように調整することが重要である。
【0082】
即ち、主としてトランス33ab2を遠距離の障害物検出モードに調整しておいて、高周波数モードでの遠距離の障害物検出と、低周波数モードでの近距離の障害物検出とに共用する。
【0083】
これにより、共用に際して、検出の困難な遠距離モードが優先され、マイク駆動回路33の回路調整が遠距離モードに合致し、近距離モードにおいても満足できる範囲内に収まる。
【0084】
換言すれば、マイク駆動回路33は、遠距離の障害物検出モードに調整しているので、近距離の障害物検出に不利に成るが、近距離の障害物検出には超音波の出力が多少弱くなっても検出性能の大きな落ち込みは抑制できる。それよりも、共通の回路を使用して、高周波数モードでの遠距離の障害物検出と、低周波数モードでの近距離の実質的に充分な障害物検出が成される効果の方が大きい。
【0085】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、図4に示したように切替IC33cのスイッチング動作で回路を切替えたが、この切替回路33cの代わりにハイパスフィルタ、及びローパスフィルタ、またはバンドパスフィルタからなるフィルタ回路を設けて、周波数に応じて自動的に回路が切り替わるようにしても良い。
【0086】
更に、第2実施形態では、図8のように共用ドライバ回路33ab1とトランス33ab2を1組だけ備えて、マイク21を低周波数で駆動する場合も、高周波数で駆動する場合も共通の共用ドライバ回路33ab1とトランス33ab2を介して駆動したが、ドライバ回路は共通化し、トランスは、高周波用トランスと低周波数用トランスのように2つ備えて、スイッチまたはフィルタで切替えて使用するようにしても良い。図9は、これを図示したマイク駆動回路33のブロック図である。
【0087】
図9において、マイク駆動回路33には、高周波数駆動信号用の高周波数用トランス33a2と、低周波数駆動信号用の低周波数用トランス33b2が設けられ、これらの高周波数用トランス33a2、及び低周波数用トランス33b2の前段に切替回路33c1を介して共用ドライバ回路33abが設けられている。CSは図4と同じ指令信号である。
【0088】
これによれば、トランス33a2及び33b2はそれぞれ専用に設けられているが、前段のドライバ回路33abが共通使用されているため、マイク駆動回路の構成がシンプルに成る。なお、この場合も共用ドライバ回路33abは、高周波数の増幅性能が良いものを優先する。
【0089】
なお、超音波は指向性(ある1方向に向かうこと)をもっており、これをメインローブと呼ぶが、これ以外にそれより一定の角度をなした外側方向に、サイドローブとよばれる弱い波が発射される。換言すれば、マイクの中心、つまり音響レベル(音の強さ)が最大の角度より角度をずらしていったときの音響レベルを、中心よりの長さで示したグラフで指向性を示すが、中心よりの角度の増加にしたがって減少していきその後再び増加する特性がある。これをサイドローブ(side lobe)といい、周囲の物体に乱反射するなど検出特性に影響することがある。通常は、このようなサイドローブは有害なものとされている。
【0090】
図10は、このサイドローブSLを利用するその他の実施形態を図示するものである。高周波数での遠距離モードにおいて、図10のように、積極的にメインローブML以外にサイドローブSLの出るセンサを選定し、不感帯を少なくしても良い。40は縁石である。
【0091】
また、センサ5の隣り合う同士が同じ周波数で送信して混信しないようにするため、第1実施形態では、図6のように近・遠・近・遠、次に遠・近・遠・近のように交互に送信する周波数を変えた。しかし、遠距離モード(または近距離モード)のみで送信する場合は、間に送信しないモードのセンサ5を配置して(これを無と記す)、無・遠・無・遠、(無・近・無・近)次に遠・無・遠・無(近・無・近・無)のようなパターンで交互に送信すればよい。
【0092】
また、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン21として、単一の圧電素子を使用しながら複数の周波数に共振点を持つ複共振マイクロフォンを実施形態として記載したが、単一のセンサの内部に共振周波数の異なる複数の圧電素子及び信号切替回路が設けられ、見かけ上、一つのケースのセンサとして、複共振特性を持つマイクロフォンを使用することも出来る。
【符号の説明】
【0093】
1 障害物検出装置
3 電子制御ユニット(ECU)から成る制御手段
5 センサ
21 マイクロフォン
23 回路部
32 周波数調整回路
33 マイク駆動回路
33a 高周波数回路
33b 低周波数回路
33a1 高周波数用ドライバ回路
33b1 低周波数用ドライバ回路
33a2 高周波数用トランス
33b2 低周波数用トランス
33ab及び33ab1 共用ドライバ回路
33ab2 共用トランス
33c及び33c1 切替回路
A Aグループのセンサ
B Bグループのセンサ
CS 指令信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、
前記センサ(5)内の前記マイクロフォン(21)に、前記高周波数駆動信号と前記低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、
前記回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、
前記回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、前記周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して前記高周波数駆動信号または前記低周波数駆動信号として前記各マイクロフォン(21)に印加する単一のトランスを備えた前記高周波数駆動信号と前記低周波数駆動信号とに共用のマイク駆動回路(33)を備え、
前記マイク駆動回路(33)は、前記高周波数駆動信号の方に、前記低周波数駆動信号よりも優先して回路調整されていることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、
前記センサ(5)内の前記マイクロフォン(21)に、前記高周波数駆動信号と前記低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、
前記回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、
前記回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、前記周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して前記高周波数駆動信号または前記低周波数駆動信号として前記各マイクロフォン(21)に印加するマイク駆動回路(33)を備え、
前記マイク駆動回路(33)には、前記高周波数駆動信号用の高周波数用トランス(33a2)と、前記低周波数駆動信号用の低周波数用トランス(33b2)が設けられ、これらの前記高周波数用トランス(33a2)、及び前記低周波数用トランス(33b2)の前段に切替回路(33c1)を介して共用ドライバ回路(33ab)が設けられていることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項3】
少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、
前記センサ(5)内の前記マイクロフォン(21)に、前記高周波数駆動信号と前記低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、
前記回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、
前記回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、前記周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して前記高周波数駆動信号または前記低周波数駆動信号として前記各マイクロフォン(21)に印加するマイク駆動回路(33)を備え、
前記マイク駆動回路(33)には、前記高周波数駆動信号用の高周波数用トランス(33a2)と、前記低周波数駆動信号用の低周波数用トランス(33b2)が設けられ、これらの前記高周波数用トランス(33a2)、及び前記低周波数用トランス(33b2)の前段に、それぞれ高周波数用ドライバ回路(33a1)及び低周波数用ドライバ回路(33b1)が設けられており、前記周波数調整回路(32)からの超音波パルス信号が切替回路(33c)を介して前記高周波数用ドライバ回路及び低周波数用ドライバ回路のいずれか一方に供給されることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項4】
前記切替回路(33c及び33c1)は、スイッチ回路またはフィルタ回路から成ることを特徴とする請求項2または3記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記センサ(5)は車両後方に多数並列して設けられ、前記センサ(5)の各々は、少なくともいずれかのグループに属し、隣り合うセンサ夫々の前記周波数調整回路(32)は、一方が遠距離モード送信の時は、他方は、近距離モードの送信になるように、前記制御手段(3)によって制御され、各センサ(5)内の前記マイクロフォン(21)が交互に前記マイク駆動回路(33)からの前記高周波数駆動信号または前記低周波数駆動信号にて駆動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記周波数調整回路(32)は、制御手段(3)から送信された通信線(7)内の周波数設定フレームにセットされた送信周波数を、超音波パルス信号の送信周波数として設定し、この設定された送信周波数の超音波パルス信号を前記マイク駆動回路(33)へ出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の障害物検出装置。
【請求項7】
少なくとも複数個が車両後部に設けられ、車両の後方に超音波を高周波数駆動信号と低周波数駆動信号に基づいて送信するマイクロフォン(21)を備えたセンサ(5)と、
前記センサ内の前記マイクロフォン(21)に、前記高周波数駆動信号と前記低周波数駆動信号を提供する回路部(23)を備え、
前記回路部(23)を制御する制御手段(3)を備え、
前記回路部(23)には、周波数調整回路(32)と、前記周波数調整回路(32)から出力された超音波パルス信号を昇圧して前記高周波数駆動信号または前記低周波数駆動信号として前記各マイクロフォン(21)に印加するマイク駆動回路(33)を備え、
前記センサ(5)は車両後方に多数並列して設けられ、前記センサ(5)の各々は、少なくともいずれかのグループに属し、隣り合うセンサ(5)同士は、一方が遠距離モード送信時は、他方は、近距離モード送信になるように前記制御手段(3)によって、各センサ(5)内の前記マイクロフォン(21)が交互に前記マイク駆動回路(33)からの前記高周波数駆動信号または前記低周波数駆動信号にて駆動されることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項8】
前記グループは、AグループとBグループとから成り、
前記制御手段(3)には、
近距離モード送信指令をAグループのセンサ(5)に送信する手段(S501)、
前記Aグループのセンサ(5)から近距離モード障害物情報を取得する手段(S502)、
遠距離モード送信指令をBグループのセンサ(5)に送信する手段(S601)、
前記Bグループのセンサ(5)から遠距離モード障害物情報を取得する手段(S602)、
遠距離モード送信指令をAグループのセンサ(5)に送信する手段(S503)、
前記Aグループのセンサ(5)から遠距離モード障害物情報を取得する手段(S504)、
近距離モード送信指令をBグループのセンサ(5)に送信する手段(S603)、
前記Bグループのセンサ(5)から近距離モード障害物情報を取得する手段(S604)を備えることを特徴とする請求項5または7に記載の障害物検出装置。
【請求項9】
前記マイクロフォン(21)から送波された超音波が障害物により反射され、その反射波が前記マイクロフォン(21)により受信され、その受信信号が入力されるゲイン調整回路(36)と、比較回路(38a)と距離演算回路(37)を備え、
前記ゲイン調整回路(36)の受信信号が、前記比較回路(38a)によって閾値と比較され、前記比較回路(38a)が、受信信号は閾値よりも大であると判定した場合に、前記距離演算回路(37)が、超音波の送波開始時から反射波の受波までに要した時間から距離を演算し、前記距離を示す距離データを前記制御手段(3)へ出力し、
前記マイク駆動回路(33)、前記周波数調整回路(32)、前記ゲイン調整回路(36)、前記比較回路(38a)、及び前記距離演算回路(37)が、前記マイクロフォン(21)に隣接する前記センサ(5)内の前記回路部(23)内に収納されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の障害物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−230425(P2010−230425A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77130(P2009−77130)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】