説明

集合式光学基材、その製造方法、および、それを用いたレンズモジュール

【課題】第一ユニット予定部位を基準に第二ユニットを第一ユニットに連接して成形することによって第二ユニットの光学中心が第一ユニットの基準を参考にすることを可能にする集合式光学基材およびその製造法を提供する。
【解決手段】ステップaは、中心孔と、中心線L1を定義する定芯部とを有する第一ユニット10を用意する。ステップbは、充填空間を有し型穴中心線を構成する型ユニットを用意する。第一ユニット10予定部位は充填空間に連接する。ステップcは、第一ユニット10の定芯部の位置決めを行い、および、型穴中心線と第一ユニット10の中心線とを比較する。ステップdは、型ユニットの充填空間に透明な可塑性材料を注入して固化させることによって第一ユニット10に連接する第二ユニット20を成形すると光学基材1が完成する。ステップeは、型ユニットを開き、光学基材1を取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学基材に関し、詳しくは集合式光学基材、その製造方法、および、それを用いたレンズモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光学基材上の機能部位は通常中央部分に据えられ、外周部分は固定または装飾に用いられる。したがって単一の高価材料によって基材全体を製作するのはコストがあまりにも高すぎるため、集合式光学基材が生み出された。
【0003】
現今の集合式光学基材の場合、成形および接合過程において、モールドなどのユニットに微細な誤差が存在しているため、成形が完成した二つのユニットはそれぞれ光学的中心基準が異なる。そのうちの一つのユニット予定部位を基準に組み立ておよび校正を行う場合、第二ユニットの光学中心は所定位置に正確に対応することができないため、レンズ間の光学効果が不良な状態が生じる。
【0004】
上述した通り、従来の集合式光学基材は製作方法に改善の余地があるため、本発明者は研究開発および改良を積極的に進めた結果、本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、第一ユニット予定部位を基準に第二ユニットを第一ユニットに連接して成形することによって第二ユニットの光学中心が第一ユニットの基準を参考にすることを可能にする集合式光学基材およびその製造法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明による集合式光学基材の製造法は次のステップを含む。ステップaは、中心孔と、中心線を定義する定芯部とを有する第一ユニットを用意する。ステップbは、充填空間を有し型穴中心線を構成する型ユニットを用意し、第一ユニットを型ユニットに据える。第一ユニットの予定配置部位は充填空間に接続する。ステップcは、第一ユニットの定芯部の位置決めを行い、および、型穴中心線と第一ユニットの中心線とを比較する。ステップdは、型ユニットの充填空間に透明な可塑性材料を注入して固化させることによって第一ユニットに連接する第二ユニットを成形すると光学基材が完成する。ステップeは、型ユニットを開き、光学基材を取り出す。
【0007】
本発明は、上述した製造法によって製作された集合式光学基材を有するレンズモジュールを提供することが可能である。
【0008】
上述目的を達成するために、本発明は集合式光学基材を提供する。集合式光学基材は第一ユニットおよび第二ユニットを有する。第一ユニットは、中心孔と第一ユニットの中心線を定義する定芯部とを有する。第二ユニットは、第一ユニットに連接するように第一ユニットの中心孔に固化し、かつ第二ユニットの中心線を定義する。第二ユニットの中心線は第一ユニットの定芯部を基準にして決められる。
本発明は、上述した光学基材を有するレンズモジュールを提供することが可能である。また、集合式光学基材と別のユニットとを組み合わせた後、光学中心に正確に対応する効果を有することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における第一ユニットを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態において第一ユニットが型ユニットに装着された状態を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態において可塑性材料の充填成形が完了した状態を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態による完成品を示す断面図。
【図5】本発明の第2実施形態における第一ユニットを示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態において第一ユニットが型ユニットに装着された状態を示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態において可塑性材料の充填成形が完了した状態を示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態による完成品を示す断面図。
【図9】本発明の第3実施形態における第一ユニットを示す断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態において第一ユニットが型ユニットに装着された状態を示す模式図である。
【図11】本発明の第3実施形態において可塑性材料の充填成形が完了した状態を示す模式図である。
【図12】本発明の第3実施形態による完成品を示す断面図。
【図13】本発明によるレンズモジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による集合式光学基材とその製造法およびレンズモジュールを図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1から図4に示すように、本発明の第1実施形態による集合式光学基材の製造法は次のステップを含む。
【0011】
ステップa:中心孔11と、第一ユニット10の中心線L1を定義する定芯部とを有する第一ユニット10を用意する。第一ユニット10は、外環部13および内環部14を有する。定芯部は外環部13である。第一ユニット10は底面15および頂面16を有する。
【0012】
ステップb:充填空間M0を有しかつ型穴中心線L0を構成する型ユニットMを用意する。続いて第一ユニット10を型ユニットMに据える。第一ユニット10予定部位は充填空間M0に連接する。
【0013】
ステップc:第一ユニット10の定芯部および型穴中心線L0に位置決めおよび校正を行う。
【0014】
ステップd:型ユニットMの充填空間M0に透明な可塑性材料20Mを注入して固化させることによって第一ユニット10に連接する第二ユニット20を成形すると光学基材1が完成する。可塑性材料20Mの充填ステップはディスペンサー、射出または押し出し方式である。本実施形態において、第二ユニット20と第一ユニット10は連接方法によって結合する。可塑性材料20Mは光硬化型材料または低温硬化型材料である。
【0015】
ステップe:型ユニットMを開き、光学基材1を取り出す。
本実施形態において、型ユニットMの型穴中心線L0と第一ユニット10の中心線L1とはぴったりと一致する。
【0016】
上述したステップにより、本発明の第1実施形態は光学基材1を提供可能である。光学基材1は第一ユニット10および第二ユニット20を有する。第二ユニット20は第一ユニット接続部24、底面25および頂面26を有する。底面25および頂面26によって定義される第二ユニット20の中心線L2は第一ユニット10の中心線L1に完全に重なる。
【0017】
別のユニット(例えばレンズモジュール)に取り付ける際、第一ユニット10の外環部13によって第二ユニット20の中心線L2を設定の軸方向に正確に向ければ、正確な光学投射効果を得ることが可能である。
【0018】
(第2実施形態)
図5から図8は本発明の第2実施形態による集合式光学基材の製造法である。その大部分は前述した実施形態とほぼ同じである。光学基材1Aは第一ユニット10Aおよび第二ユニット20Aを有する。
【0019】
前述の実施形態との違いは、次の通りである。第1実施形態において、第二ユニット20と第一ユニット10とはドッキング結合方法によって結合する。本実実施形態において、第二ユニット20Aと第一ユニット10Aとは重ね合せ接合方法によって結合する。つまり第二ユニット20Aの接続部24Aは第一ユニット10Aの頂面16A上に載せて結合する。
【0020】
第一ユニット10Aの中心線L1と型ユニットMAの型穴中心線L0とを対照する際、第一ユニット10Aの内環部14Aを定芯装置Cによって位置決めする。あるいは前述した実施形態と同じように外環部13A(図中未表示)または両者を位置決めすることが可能である。
【0021】
位置決めまたは成形の便をはかるために、型ユニットMAの凹形穴部は第二型M2Aに配置される。
【0022】
(第3実施形態)
図9から図12に示すように、本発明の第3実施形態による集合式光学基材の製造法は、前述した実施形態とほぼ同じである。光学基材1Bは第一ユニット10Bおよび第二ユニット20Bを有する。第一ユニット10Bはさらに外環部13Bを覆い被せる被覆部30Bを有する。
【0023】
前述した実施形態との違いは次の通りである。前述した実施形態において、定芯部は外環部として用いられる。本実施形態において、定芯部は外環部を位置決めし、かつ被覆部30Bの外環周辺32Bとして用いられるため、中心軸は被覆部30Bユニット上に位置決めされる。
【0024】
第二ユニット20Bの中心線L2の位置決めに用いられる型穴中心線L0は、第一ユニット10Bの中心線L1に平行に移動し、第一ユニット10B中心線L1を参考に位置決めを行うため、別の集合式光学基材を構成することが可能である。第二ユニット20Bの中心線L2は第一ユニット10Bの中心線L1に向かい合う位置に正確に形成される。
【0025】
型ユニットMBに型コアM3Bを増設することが可能である。
上述した通り、本発明は、前述した製造法により集合式光学基材を提供することが可能である。あるいは上述した製造法に限らず別の製造法により集合式光学基材を提供することが可能である。本発明による光学基材は第一ユニット10、10A、10Bおよび第二ユニット20、20A、20Bを有する。
【0026】
第一ユニット10、10A、10Bは、中心孔11と、第一ユニット10、10A、10Bの中心線L1を定義する定芯部とを有する。
【0027】
第二ユニット20、20A、20Bは、第一ユニット10、10A、10Bに連接するように第一ユニット10、10A、10Bの中心孔11に固化し、かつ第二ユニット20、20A、20Bの中心線L2を定義する。第二ユニット20、20A、20Bの中心線L2は第一ユニット10、10A、10Bの定芯部を基準にして決められる。
【0028】
本発明は、レンズモジュール100を提供することが可能である。図13に示すように、レンズモジュール100は集合式光学基材1Cを有するだけでなく、排列の順が異なる別のレンズを装着することが可能である。集合式光学基材1Cは第一ユニット10Cが筒部に位置付けられ、第二ユニット20Cが軸方向に沿って筒部の透光孔に対応する
【0029】
上述した実施形態の説明および例、製造法のステップ、材料およびユニットの構造は互いに取り替えることが可能である。それぞれの実施形態を次のような組み合わせに変更することが可能である。
【0030】
第一ユニットは、外環部および内環部を有する。定芯部は内環部である。
可塑性材料の充填ステップは、ディスペンサー、射出または押し出し方式である。
【0031】
第二ユニットは、透光性材料を使用しなければならないのに対し、第一ユニットは透光性材料、半透光性材料または不透明材料を使用可能であるため、材料を汎用し、コストの削減を実現させることが可能となる。第一ユニットが半透光性材料または不透明材料である場合、遮断効果を得ることが可能である。第一ユニットおよび第二ユニットの材質は、ガラスのほかに300度から350度の高温に耐える耐高温樹脂を使用し、かつ型ユニットによって射出成形を行うことが可能である。
【0032】
第二ユニットは、凸レンズのほかに凹レンズにしてもよい。
型ユニットの型穴中心線と第一ユニットの中心線とは上述した通り、ぴったりと一致するか互いに平行に配置されるほかに、互いに角度を呈することが可能である。
【0033】
第二ユニットの中心線と第一ユニットの中心線とは上述した通り、ぴったりと一致するか互いに平行に配置されるほかに、互いに角度を呈することが可能である。
【0034】
上述した本発明の実施形態の説明により、本発明による集合式光学基材およびその製造法は、第一ユニット予定部位を基準に第二ユニットを第一ユニットに連接して成形することによって第二ユニットの光学中心が第一ユニットの基準を参考にすることを可能にするため、集合式光学基材と別のユニットとを組み合わせた後、光学中心に正確に対応する効果を有することが可能である。
【0035】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0036】
1、1A、1B、1C ・・・光学基材、
10、10A、10B、10C・・・第一ユニット、
11 ・・・中心孔、
13、13A、13B ・・・外環部、
14、14A、14B ・・・内環部、
15 ・・・底面、
16、16A ・・・頂面、
L1 ・・・中心線、
20、20A、20B、20C・・・第二ユニット、
20M ・・・可塑性材料、
24、24A、24B ・・・第一ユニット接続部、
25 ・・・底面、
26 ・・・頂面、
L2 ・・・中心線、
30B ・・・被覆部、
32B ・・・外環周辺、
100 ・・・レンズモジュール、
C ・・・定芯装置、
M、MA、MB ・・・型ユニット、
M0 ・・・充填空間、
L0 ・・・型穴中心線、
M3B ・・・型コア、
M1、M1A、M1B ・・・第一型、
M2、M2A、M2B ・・・第二型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心孔と、中心線を定義する定芯部とを有する第一ユニットを用意するステップaと、
充填空間を有し、型穴中心線を構成する型ユニットを用意し、前記第一ユニットを前記型ユニットに配置し、前記第一ユニットの予定配置部位を前記充填空間に接続するステップbと、
前記第一ユニットの前記定芯部の位置決めを行い、前記型穴中心線と前記第一ユニットの中心線とを比較するステップcと、
前記型ユニットの前記充填空間に透明な可塑性材料を注入して固化させることによって前記第一ユニットに結合する第二ユニットを成形すると光学基材が完成するステップdと、
前記型ユニットを開き、前記光学基材を取り出すステップeと、
を含むことを特徴とする集合式光学基材の製造法。
【請求項2】
前記第一ユニットは、外環部および内環部を有し、前記定芯部は外環部または内環部であることを特徴とする請求項1に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項3】
前記型ユニットの前記型穴中心線と前記第一ユニットの中心線とは、ぴったりと一致するか、互いに平行するあるいは角度を呈することを特徴とする請求項1に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項4】
前記第二ユニットと前記第一ユニットとは、ドッキング結合方法または重ね合せ接合方法によって結合することを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項5】
前記可塑性材料の注入は、ディスペンサー、射出または押し出し方式であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項6】
前記第一ユニットは、さらに前記第一ユニットの外環部を覆い被せる被覆部を有することを特徴とする請求項1、請求項2、または、請求項3に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項7】
前記第一ユニットの中心軸は、前記被覆部上に位置決めされることを特徴とする請求項6に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項8】
中心孔と、中心線を定義する定芯部と、を有する第一ユニットと、
充填空間、および、前記充填空間に接続する前記第一ユニットの予定配置部位を有し、型穴中心線を構成する型ユニットと、
前記型ユニットの前記充填空間に透明な可塑性材料を注入して固化させることによって前記第一ユニットに結合する第二ユニットと、を有し、
前記第二ユニットの中心線は前記第一ユニットの定芯部を基準にして決められることを特徴とする集合式光学基材。
【請求項9】
前記第一ユニットは、外環部および内環部を有し、前記定芯部は前記外環部または前記内環部であることを特徴とする請求項8に記載の集合式光学基材。
【請求項10】
前記第二ユニットの前記中心線と前記第一ユニットの前記中心線とは、ぴったりと一致するか、互いに平行するあるいは角度を呈することを特徴とする請求項8に記載の集合式光学基材。
【請求項11】
前記第二ユニットと前記第一ユニットとは、ドッキング結合方法または重ね合せ接合方法によって結合することを特徴とする請求項8、請求項9、または、請求項10に記載の集合式光学基材。
【請求項12】
前記可塑性材料の注入は、ディスペンサー、射出または押し出し方式であることを特徴とする請求項8、請求項9、または、請求項10に記載の集合式光学基材。
【請求項13】
前記第一ユニットは、さらに前記第一ユニットの外環部を覆い被せる被覆部を有することを特徴とする請求項8、請求項9、または、請求項10に記載の集合式光学基材。
【請求項14】
前記第一ユニットの前記中心軸は、前記被覆部上に位置決められることを特徴とする請求項13に記載の集合式光学基材の製造法。
【請求項15】
請求項1、請求項2、または、請求項3に記載の集合式光学基材の製造法によって製作された光学基材、または、請求項8、請求項9、または、請求項10に記載の集合式光学基材が装着されることを特徴とするレンズモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−255568(P2011−255568A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130983(P2010−130983)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(510279099)亞特控制系統股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】