説明

集積化微小電気機械システム(MEMS)センサ装置

【課題】集積化センサ装置を提供すること。
【解決手段】集積化センサ装置は、表面部分を含む第1の基板および積層構成で第1の基板の表面部分に結合される第2の基板を備え、そこでは空洞が、第1の基板と第2の基板との間に規定される。集積化センサ装置はまた、第1の基板内に少なくとも部分的に設置される1つまたは複数の微小電気機械システム(MEMS)センサを備え、そこではMEMSセンサは空洞と連通する。集積化センサ装置はさらに、1つまたは複数のセンサを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
パーソナルナビゲーション装置(PND)およびスマートフォンなどのモバイル装置は典型的には、ある種のナビゲーションおよび地図方位応用を有する。これらのモバイル装置はしばしば、装置が水平に保持されないときでさえ機能すべきである磁気コンパスを利用し、それは、微小電気機械システム(MEMS)加速度計またはジャイロスコープが磁気センサと集積化されることを必要とする。典型的なモバイル装置は、磁気コンパスセンサならびに別個のMEMS加速度計またはジャイロスコープセンサを含む。しかしながら、モバイル装置内に2つの別個のセンサ装置としてこれらのセンサを含むことは、大きなプリント回路板(PCB)フットプリントを占める。モバイルナビゲーション装置は、コストおよび寸法に非常に敏感であるので、コンパスハードウエアのコストまたはプリント回路板(PCB)フットプリントを低減するどんな解決策も、望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第5,820,924号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施形態は、集積化センサ装置を提供する。集積化センサ装置は、表面部分を含む第1の基板および積層構成で第1の基板の表面部分に結合される第2の基板を備え、そこでは空洞が、第1の基板と第2の基板との間に規定される。集積化センサ装置はまた、第1の基板内に少なくとも部分的に設置される1つまたは複数の微小電気機械システム(MEMS)センサを備え、そこではMEMSセンサは空洞と連通する。集積化センサ装置はさらに、1つまたは複数の追加のセンサを備える。
【0004】
本発明の特徴は、図面を参照して次の説明から当業者には明らかになるであろう。図面は、本発明の典型的な実施形態だけを描写し、従って範囲を限定すると考えるべきではないことを理解して、本発明が、添付の図面の使用を通じてさらに具体的におよび詳細に述べられよう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】集積化MEMSおよび磁気センサを備えるパーソナルナビゲーション装置(PND)の一実施形態の図である。
【図2A】積層MEMSセンサ装置の代替実施形態の横断面側面図である。
【図2B】積層MEMSセンサ装置の代替実施形態の横断面側面図である。
【図2C】積層MEMSセンサ装置の代替実施形態の横断面側面図である。
【図2D】図2Aの積層MEMSセンサ装置の上面図である。
【図3】集積化MEMSセンサ装置を形成する方法の一実施形態の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次の詳細な説明では、実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に述べられる。他の実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく利用されてもよいことは理解されるべきである。従って、次の詳細な説明は、限定すると受け取られるべきではない。
【0007】
これから先で述べられる実施形態は、MEMSセンサおよび磁気センサなどの少なくとも1つの追加のセンサを含む集積化微小電気機械システム(MEMS)センサ装置に関する。典型的には、MEMSセンサは、加速度計が機能するのに必要とされる空洞を作り出すために基板をかぶせられ、プラスチック成形パッケージ内に包み込まれる。MEMS基板およびキャップ基板の一部分はしばしば、未使用で残される。本発明の一実施形態では、MEMSセンサおよび磁気センサは、単独の積層構成に集積化される。一実施形態では、MEMSセンサのキャップの電気的に未使用の(ブランク)半導体領域は、集積化センサ装置を形成するために積層構成で1つまたは複数の追加のセンサを設けるために利用される。
【0008】
本集積化MEMSセンサ装置は、装置で使用される半導体基板材料の量を低減し、パッケージ化された装置のPCBフットプリントを同時に低減する小型センサ装置である。加速度計(また本明細書では傾斜センサとも呼ばれる)またはジャイロスコープおよび磁気センサを共通の半導体装置内に集積化することは、センサが個々の半導体チップ内に形成されるときと比較してセンサによって占められる寸法を低減する。例えば、磁気センサダイおよび傾斜センサダイは、パッケージ寸法およびそれによってパッケージフットプリントを低減するために一緒に積層されてもよい。すでに利用可能な基板領域は、本実施形態でより完全に使用されるので、製作コストもまた、より低いことになる。
【0009】
図1は、集積化MEMSおよび磁気センサ130を備えるパーソナルナビゲーション装置(PND)100の一実施形態である。PND100は、モバイル(携帯用)ナビゲーション装置、スマートフォン、またはナビゲーションおよび方位情報を必要とする応用でユーザを援助するように構成される任意の同様のモバイル装置であってもよい。例えば、ユーザは、専門的な第一応答者または公衆の一員であってもよい。PND100は、ナビゲーションおよび方位ルーチンモジュール120を動かすように構成されるプロセッサ110を含む。ディスプレイ140は、ユーザにナビゲーション情報を提示し、液晶ディスプレイ(LCD)、デジタルディスプレイ、または同様のものを備えてもよい。表示されてもよいナビゲーション情報は、位置情報、方位情報、地図、コンパス方向、所定の経路、またはナビゲーションで有用な任意の他の情報を含む。
【0010】
方位情報は、PND100の現在の方位に関する情報であり、集積化MEMSおよび磁気センサ130(また本明細書では集積化MEMSセンサとも呼ばれる)を使用して決定されてもよい。集積化MEMSおよび磁気センサ130は、加速度、回転、および方向データに関する(すなわち、コンパス方向に関する)情報をプロセッサ110に提供する。PND100は、1つの単独の集積化MEMSセンサ130内で加速度およびジャイロスコープデータのために3つの検知軸を使用してもよい。代替実施形態では、PND100は、各々が異なる軸の加速度またはジャイロスコープデータのための、複数の集積化MEMSセンサ130を備える。PND100の構成要素は、適切なインターフェースおよび相互接続を使用して必要に応じてお互いに通信可能に結合される。
【0011】
図2A〜2Cは、積層センサ装置の代替実施形態200、200’、および200’’を例示する。集積化MEMSセンサ装置200、200’、および200’’は、表面部分212を含む第1の基板210を備える。第1の基板210は、少なくとも1つのMEMSセンサ220を含む。第2の基板240は、第1の基板210の表面部分212に結合される。ある実施形態では、MEMSセンサ220の部分は、第2の基板240内に設置される。センサ装置200、200’、および200’’は、磁気センサなどの少なくとも1つの追加のセンサ250を備える。
【0012】
第1および第2の基板210、240は、シリコン、ガラス、石英、または同様のものなどのさまざまな材料から成ってもよい。一実施形態では、第2の基板240は、MEMSセンサ220を覆うために使用されるキャップである。キャップは、ガラスフリット接合、接着、または溶接などの周知の接合プロセスを使用して基板210の表面部分212に密封して取り付けられてもよい。
【0013】
MEMSセンサ220は、1つまたは複数の加速度計、ジャイロスコープ、またはそれらの組合せ、ならびに流量センサ、ガス検出器、または基板210もしくはキャップ240の少なくとも1つ内に電気的に未使用の部分を有するMEMS技術に適している任意の他のセンサを含んでもよい。例えば、3つの加速度計軸が、単独のセンサ装置200内で用いられてもよい。同様に、2つのジャイロスコープ軸が、単独のセンサ装置200内で用いられてもよい。一実施形態では、MEMSセンサ220は傾斜センサダイを含む。
【0014】
集積化センサ装置200、200’、および200’’はさらに、空洞230を備え、それは、第1の基板210と第2の基板240との間に形成される。第2の基板240は、MEMSセンサ220を外部環境から保護し、空洞230を密封するキャップの役割を果たす。MEMSセンサ220は、空洞230と連通する。図2A〜2Cで示されるように、空洞230は、基板210の表面部分212を通って形成される。しかしながら、代替実施形態では、空洞230は、第2の基板240の底部分242内に形成される。空洞230は、真空または不活性ガスを保持するために密封される。空洞230は、MEMSセンサ220に運動の自由を提供するために使用され、振動および回転などの運動を可能にする。
【0015】
第2の基板240(すなわち、キャップ)は、底部分242および上部分244を備える。MEMS装置内では、キャップ(および第1の基板210の一部)は典型的には、上部分244上に電気的に未使用の(すなわち、ブランク)部分を含む。基板のブランク部分は、MEMSセンサ220によって電気的に使用されない任意の部分である。図2Aは、1つまたは複数のセンサ250が第2の基板240内に設置される実施形態を例示する。センサ装置200のこの実施形態は、上部分244の電気的に未使用の部分の一部またはすべてが、1つまたは複数のセンサ250を設けると規定する。センサ250は、磁気センサ、圧力センサ、温度センサ、または任意の種類の適切な電子回路を含んでもよい。代替実施形態では、キャップはさらに、アクティブなMEMSセンサ要素を備える、または全集積化MEMSセンサ装置200の一部を形成する。図2Dは、図2Aの積層MEMSセンサ装置200の上面図であり、第2の基板240の上部分244内に1つまたは複数の追加のセンサ250を示す。
【0016】
図2Bの実施形態で示されるように、1つまたは複数の追加のセンサ250は、MEMSセンサ装置200’の第1の基板210の電気的に未使用の部分内に設置される。図2Cの実施形態で描写されるように、1つまたは複数の追加のセンサ250は、MEMSセンサ装置200’’の第1の基板210および第2の基板240の電気的に未使用の部分内に設置される。
【0017】
図2A〜2Dの実施形態では、MEMSセンサ220およびセンサ250は電気的に分離される。代替実施形態では、MEMSセンサ220およびセンサ250は電気的に分離されない。各センサからの導線は、それらの各基板から外へ延びてもよい。センサ装置200、200’、および200’’の実施形態はまた、センサ220および250からの出力が他の装置に接続される(例えば、ワイヤーまたは導線を介して)ことを可能にする金属または基板フレーム(図示されず)も備える。センサ装置200、200’、および200’’はまた、装置の次の段階への(PND100内などの)組立てのためのパッケージ(プラスチック成形パッケージなどの)も備える。パッケージ化は、センサ装置200、200’、および200’’をより取扱いが容易にし、より強固にする。
【0018】
図3は、センサをMEMS装置と集積化する方法300の一実施形態の流れ図である。MEMSセンサの少なくとも一部分は、第1の基板(310)内に形成される。もしMEMSセンサが、第1の基板内に完全に形成されないならば、残りは、第2の基板内に形成される。MEMSアクティブウェーハを製作する1つの例となる方法は、Micragem標準である。Micragem標準は、最初にガラスウェーハ内に空洞をエッチングするステップを含む。次いで電極、配線、および接合パッドが、パターン形成される。シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ハンドルウェーハが、ガラスウェーハに陽極接合される。シリコンハンドルウェーハおよび埋め込み酸化物層が、エッチングされる。次に、低応力金属が堆積される。リソグラフィパターン形成およびディープ反応性イオンエッチング(DRIE)が、シリコン微細構造を解放するために行われる。MEMSセンサ要素が、形成される。しかしながら、Micragem標準は、単に1つの例となる方法であり、当業者に周知のMEMSセンサを形成する他の適切な方法も考えられる。
【0019】
いったんMEMSセンサが形成されると(310)、1つまたは複数のセンサまたは電気回路が、形成される。これらの追加のセンサは、第1の基板、第2の基板(例えば、MEMSキャップウェーハ)、またはそれらの組合せのブランク部分の上または中に製作されてもよい(320)。キャップウェーハ上にセンサを製作する方法は、作られている特定のセンサに依存することになる。コンパスデータを提供するための磁気センサを製作する例となるプロセスについては、参照により本明細書に組み込まれる、題名「Method of Fabricating a Magnetoresistive Sensor」の、1997年6月6日出願の米国特許第5,820,924号を参照されたい。
【0020】
いったんすべてのセンサが製作されると、第2の基板(キャップウェーハ)が、既存の機械的プロセスを使用して第1の基板に接合される(330)。これは、集積化MEMSおよびセンサ積層を作り出し、それは次いで、小型センサ装置をもたらすためにパッケージ化される(340)。
【0021】
一実施形態では、単独の装置パッケージは、集積化磁気および傾斜センサを備える。傾斜センサダイの電気的に未使用のシリコン表面は、磁気センサダイとして使用される。磁気センサダイおよび傾斜センサダイは、パッケージ寸法およびそれによって装置のフットプリントを低減するために一緒に積層される。シリコン領域は、再使用されるので、コストおよびフットプリントが両方とも、低減されることになる。この組み合わされた傾斜センサおよび磁気センサは、PND内で位置および方位データを提供するために使用されてもよい。
【0022】
本発明は、その本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具体化されてもよい。特定の実施形態で述べられる態様および制限は、他の実施形態と結合できる。述べられる実施形態は、すべての点で例示としてだけで、制限的ではないと考えられるべきである。従って、本発明の範囲は、先の説明によってよりもむしろ添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価の意味および範囲内に入るすべての変更は、それらの範囲内に包含されるべきである。
【符号の説明】
【0023】
100 パーソナルナビゲーション装置(PND)
110 プロセッサ
120 ナビゲーションおよび方位ルーチンモジュール
130 集積化MEMSおよび磁気センサ
140 ディスプレイ
200 センサ装置
200’ センサ装置
200’’ センサ装置
210 第1の基板
212 表面部分
220 MEMSセンサ
230 空洞
240 第2の基板
242 底部分
244 上部分
250 追加のセンサ
300 センサをMEMS装置と集積化する方法
310 MEMSセンサの少なくとも一部分を第1の基板内に形成
320 追加のセンサを形成
330 第1の基板を第2の基板に接合
340 集積化MEMSおよびセンサ積層をパッケージ化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部分(212)を含む第1の基板(210)と、
積層構成で前記第1の基板の前記表面部分に結合される第2の基板(240)であって、空洞(230)が、前記第1の基板と前記第2の基板との間に規定される、第2の基板と、
前記第1の基板内に少なくとも部分的に設置され、前記空洞と連通する、1つまたは複数の微小電気機械システム(MEMS)センサ(220)と、
1つまたは複数の追加のセンサ(250)とを備える、集積化センサ装置(200)。
【請求項2】
前記1つまたは複数のMEMSセンサは、加速度計、ジャイロスコープ、流量センサ、ガス検出器、またはそれらの組合せを備え、
前記1つまたは複数の追加のセンサは、磁気センサ、圧力センサ、またはそれらの組合せを備える、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のMEMSセンサは、加速度データを提供するように構成され、
前記1つまたは複数の追加のセンサは、方向データを提供するように構成される少なくとも1つの磁気センサである、請求項1に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11329(P2011−11329A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−124387(P2010−124387)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】