説明

集積回路、集積回路装置、回転検出装置

【課題】 検出された回転を割り込み信号として出力することでプロセッサーを間欠駆動させて、かつ、回転の停止期間に応じてセンサーのサンプリング周期を変えることで、効果的に検出システムの電力消費を抑える集積回路等を提供することができる。
【解決手段】 センサーから出力される第1のパルスと第2のパルス200A、200Bを用いて回転を検出する集積回路10であって、第1のパルスと第2のパルスに基づいて、正回転検出を行う第1の回路11および逆回転検出を行う第2の回路12の少なくとも一方と、第1のパルスと第2のパルスに基づいて回転停止期間をカウントする第3の回路13と、を含み、第1の回路11は、第1の割り込み信号211を出力し、第2の回路12は、第2の割り込み信号212を出力し、第3の回路は、回転停止期間を示す信号213を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路、集積回路装置、回転検出装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
検出装置等で複数のサンプリング周期を切り換えることで消費電力を抑える手法が知られている。例えば特許文献1は、検出装置の一例である電子式水道メーターにおいて、流量に基づく回転体の回転を正常時のサンプリング結果と比較して、異常と判断した場合に限ってサンプリング周期を短くする。そのため、低消費電力化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−94401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子式水道メーターなどの検出装置は、一般にセンサーとその出力を処理するプロセッサーを含む。プロセッサーとは、例えばCPUやマイクロコントローラー(以下、MCU)等である。特許文献1では、センサー(回転検出器)とCPUとを含むが、開示された方法で低消費電力化を図ることができるのはセンサーのみである。そのため、CPUも含めた更なる低消費電力化は困難であった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明のいくつかの態様によれば、検出された回転を割り込み信号として出力することでプロセッサーを間欠駆動させて、かつ、回転の停止期間に応じてセンサーのサンプリング周期を変えることで、効果的に検出システムの電力消費を抑える集積回路等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、センサーから出力される第1のパルスと第2のパルスを用いて回転を検出する集積回路であって、前記第1のパルスと前記第2のパルスに基づいて、正回転検出を行う第1の回路および逆回転検出を行う第2の回路の少なくとも一方と、前記第1のパルスと前記第2のパルスに基づいて回転停止期間をカウントする第3の回路と、を含み、前記第1の回路は、第1の割り込み信号を出力し、前記第2の回路は、第2の割り込み信号を出力し、前記第3の回路は、前記回転停止期間を示す信号を出力する。
【0007】
本発明によれば、検出された回転を割り込み信号(第1の割り込み信号、第2の割り込み信号)として出力することで外部のプロセッサーを間欠駆動させる。そのため、割り込み信号が発生しない間、プロセッサーは例えば休止状態であってもよいのでシステムの消費電力を小さくできる。
【0008】
また、本発明によれば、第3の回路からの回転停止期間を示す信号によって、例えばプロセッサーが回転停止期間に応じたセンサーのサンプリング周期を選択する。そのため、センサーが消費する電力を抑えることができるので、システムの消費電力を小さくできる。
【0009】
なお、本発明では、センサーから出力される第1のパルスと第2のパルスを用いるので高い精度の回転検出を行うことができる。
【0010】
そして、第3の回路の回転停止期間を示す信号は、回転停止期間を示すカウント値であってもよいし、回転停止期間が所定の間継続したことを示すパルス信号であってもよい。このとき、パルス信号は割り込み信号として出力されてもよい。
【0011】
(2)この集積回路において、発振回路を含み、前記第3の回路は、前記発振回路から出力されるクロックに基づいてカウントしてもよい。
【0012】
本発明によれば、発振回路を含むことによって、発振回路から出力されるクロックに基づいて回転停止期間を正確に測定することが可能である。そして、正確な回転停止期間に基づいて、適切なセンサーのサンプリング周期を選択することで、効果的な低消費電力化を図ることが可能になる。
【0013】
(3)この集積回路において、前記第3の回路は、カウント値が所定の値になった場合に、前記回転停止期間を示す信号として第3の割り込み信号を出力してもよい。
【0014】
本発明によれば、第3の回路は前記回転停止期間を示す信号として第3の割り込み信号を出力する。そのため、例えばプロセッサーが定期的に回転停止期間を示すカウント値を読み出す必要がなくなる。割り込み信号が発生しない間、プロセッサーは例えば休止状態であってもよいのでシステムの消費電力を小さくできる。
【0015】
(4)この集積回路において、前記センサーの電源供給を制御する電源供給制御信号を出力してもよい。
【0016】
本発明によれば、センサーの電源を電源供給制御信号によって制御することで、効果的な低消費電力化を図ることが可能になる。このとき、第3の回路からの回転停止期間を示す信号によって電源供給制御信号を選択することが可能である。そのため、消費電力の比較的大きいセンサー部分の電力消費を、状況に応じて効果的に抑えることが可能になる。
【0017】
(5)本発明は、前記のいずれかに記載の集積回路を含む集積回路装置である。
【0018】
本発明によれば、前記の集積回路を1チップ化した集積回路装置とすることで小型化することができ、適用範囲の広めることが可能になる。
【0019】
(6)本発明は、前記のいずれかに記載の集積回路と、前記集積回路から割り込み信号を受け取るMCUと、を含み、前記MCUは、第1の動作モードにおいて回転量を算出し、第2の動作モードにおいて前記第1の動作モードより低消費電力で動作し、前記割り込み信号を受け取った場合に、前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに遷移する回転検出装置である。
【0020】
MCU(Micro Controller Unit)は、例えばプロセッサーであると共にROMやRAMなどのメモリーやインターフェース関連の周辺機能等を含んでいる。そのため、常に通常動作のモード(第1の動作モード)であると消費電力が大きくなる可能性がある。本発明のMCUは、例えばパワーセーブモードのような、消費電力を通常動作時より小さくするモード(第2の動作モード)を有している。なお、通常動作とは例えば回転検出装置が行う回転数の計算である。
【0021】
本発明によれば、集積回路からの割り込み信号を受け取ることで、第2の動作モードから第1の動作モードに遷移する。MCUは、割り込みが発生しない間は第2の動作モードであり、消費電力を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態の集積回路のブロック図。
【図2】第1実施形態の集積回路を含む集積回路装置と回転検出装置。
【図3】図3(A)は割り込みを説明する波形図。図3(B)は図3(A)の一部の拡大図。
【図4】図4(A)は第1の割り込み処理のフローチャート。図4(B)は第2の割り込み処理のフローチャート。
【図5】図5(A)は第3の割り込み処理のフローチャート。図5(B)はタイマー割り込み処理のフローチャート。
【図6】変形例のフローチャート。
【図7】図7(A)は回転検出装置が設置される流路の上面図。図7(B)はその部分断面図。
【図8】図8(A)〜図8(C)は磁気センサーを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態について図1〜図5(B)を参照して説明する。また、回転検出装置の動作について図7(A)〜図8(C)を参照して説明する。以下では、回転検出装置の動作について最初に説明し、その後に第1実施形態の集積回路等について説明する。
【0024】
1.1.回転検出装置の動作
回転検出装置の動作について、図7(A)〜図8(C)を参照して説明する。図7(A)は回転検出装置が設置される流路の上面図であり、図7(B)はその部分断面図を表す。なお、図7(A)では磁気センサーの図示は省略している。
【0025】
回転検出装置では、測定したい量(被測定量)を回転数に置き換えて、その回転数を例えば磁気センサーで検出して電気信号を出力する。電気信号は例えばMCUで処理されて被測定量が得られる。被測定量とは、例えば水等の液体の流量であってもよいし、圧力、温度、照度等であってもよい。以下では、液体の流量を測定する回転検出装置について説明する。例えば液体は水であり、このとき水道メーターに適用可能である。
【0026】
図7(A)では、液体の流路104に羽根車100が設置されている。液体が矢印X1の方向に流れる場合、羽根車100は矢印X2のように時計回りに回転する。回転数を測定することで液体の流量がわかる。ここで、羽根車100の軸には磁石102が取り付けられており、羽根車100が回転することで磁気が変化する。
【0027】
図7(B)は図7(A)の液体の流路104の断面図である。羽根車100の近くに、磁気センサー106が基板108に取り付けられて設置されている。このとき、磁気センサー106は羽根車100とは非接触である。磁気センサー106は、羽根車100が回転すると磁石102によって変化する磁気を検出する。そして、検出結果に基づいて電気信号を出力し、例えば基板108に取り付けられたMCU(図外)がその信号を受け取って回転数を計算する。また、MCUは回転数に基づいて液体の流量を計算する。
【0028】
ここで、羽根車100が時計回りに回転することを正回転、反時計回りに回転することを逆回転とよぶ。逆回転は、液体が矢印X1とは逆の方向に流れることを示している。磁気センサー106は逆回転を検出できてもよい。このとき、MCUは逆回転を示す電気信号を受け取って回転数、液体の流量を調整してもよい。
【0029】
図8(A)は、図7(B)の磁気センサー106が磁気を検出する様子を示すものである。磁気センサー106は、磁気により電気抵抗が変化する磁気抵抗素子R1〜R4で構成されるホイートストンブリッジ型の磁気検出回路70Aを含む。
【0030】
例えば、図8(A)では磁気抵抗素子R2とR3とを横切るように磁気が発生しているとする(図8(A)のX3)。このとき、例えば磁気抵抗素子R2とR3の抵抗値は“r”から“r+Δr”へと変化するが、磁気抵抗素子R1とR4の抵抗値は“r”のまま変化しない。その結果、信号A+の電位は上昇し、信号A−の電位は低下するので、コンパレーター72Aから出力される信号SRはローレベル(以下“0”とする)になる。逆に、磁気抵抗素子R1とR4とを横切るように磁気が発生した場合には、信号SRはハイレベル(以下“1”とする)になる。
【0031】
ここで、羽根車100が回転すると磁石102によって発生する磁気も回転する。つまり、図8(A)のθが時間とともに変化する。例えば、信号SRは図8(C)の上側の波形図のようにθの値に応じて変化する。磁気センサー106は、磁気検出回路70Aによって、磁気の回転に応じた信号SRを出力できる。
【0032】
ただし、磁気検出回路70Aは磁気の向きが180°反転しても同じように検出を行う。つまり、磁気検出回路70Aは磁気の向きまでは区別できない。そのため、1つの磁気検出回路70Aだけでは、正回転と逆回転の区別がつかない。従って、磁気センサー106は複数の磁気検出回路を含む必要がある。
【0033】
図8(B)は、磁気検出回路70Aと45°の狭角をもって設置される磁気検出回路70Bを表す。磁気検出回路70Bの磁気抵抗素子R5〜R8は磁気検出回路70Aと同じようにホイートストンブリッジを構成する。
【0034】
磁気検出回路70Bは磁気検出回路70Aと同じ磁気を検出するが、コンパレーター72Bから出力される信号SRは信号SRと位相が異なる。45°の狭角によって、図8(C)の下側の波形図のように、信号SRとは位相がずれた信号SRが出力されることになる。
【0035】
そのため、信号SRと信号SRとを組み合わせることで、正回転と逆回転の区別が可能になる。例えば信号SRを1ビット目、信号SRを2ビット目とする2ビットの信号であるセンサーサンプリング値を生成する。このとき、正回転であれば図8(C)のように1、0、2、3、1、0、2、3、…の順番でセンサーサンプリング値が変化する。逆回転であれば3、2、0、1、3、2、0、1、…の順番でセンサーサンプリング値が変化する。磁気センサー106は、2ビットのセンサーサンプリング値の変化によって正回転と逆回転とを区別することが可能である。そして、図8(C)が示すように、センサーサンプリング値の変化は45°の回転に対応する。
【0036】
なお、2つの磁気検出回路によって正回転、逆回転の区別は可能であるが、磁気センサー106は3つ以上の磁気検出回路を含んでいてもよい。このとき回転の検出精度を更に高めることができる。
【0037】
1.2.本実施形態の集積回路の構成
図1は本実施形態の集積回路10のブロック図である。集積回路10は、第1の回路11、第2の回路12、第3の回路13を含む。また、本実施形態のように、集積回路10は、タイマー21、電源供給制御回路22、発振回路23を含んでいてもよい。なお、本実施形態の集積回路10は、水の流量を測定する回転検出装置の一部として用いられ、正回転数をカウントするMCUが存在することを想定している。
【0038】
集積回路10は、第1のサンプリング値200A、第2のサンプリング値200Bを受け取り、これらの信号は第1の回路11、第2の回路12、第3の回路13に入力される。第1のサンプリング値200A、第2のサンプリング値200Bは、それぞれ前記の信号SR、SRに対応する(図8(A)〜図8(B)参照)。第1のサンプリング値200A、第2のサンプリング値200Bによって前記のセンサーサンプリング値を生成する。センサーサンプリング値の変化から回転の有無がわかり、正回転と逆回転との区別もできる。
【0039】
第1の回路11は正回転の検出(正回転検出)を行い、第2の回路12は逆回転の検出(逆回転検出)を行う。正回転検出により正回転が有ったと判断された場合には、第1の回路11から第1の割り込み信号211が出力される。逆回転検出により逆回転が有ったと判断された場合には、第2の回路12から第2の割り込み信号212が出力される。検出された回転を割り込み信号として出力することで、MCUを間欠駆動させることができるため、集積回路10を含むシステムの消費電力を小さくできる。
【0040】
なお、水道メーター等において水の流れる方向は決まっている。そのため、異常がない場合に水の流れによって羽根車が回転する方向を正回転の方向とする(図7(A)参照)。逆回転が生じるのは、例えば設置工事において接続を誤った場合や、異常が生じた場合である。逆回転が生じた場合には、例えばMCUは正回転数を減じる調整を行ってもよいし、しなくてもよい。また、逆回転が生じた場合には、例えばMCUは異常を表示等で知らせてもよい。
【0041】
第3の回路13は回転停止期間を示す信号を出力する。回転停止期間とは、センサー(図外)からの出力である第1のサンプリング値200A、第2のサンプリング値200Bが共に変化しない状態が続く期間である。第3の回路13は回転停止期間をカウントする。第3の回路13のカウンター(回転停止期間カウンター)は本実施形態のようにアップカウンターであってもよいし、ダウンカウンターであってもよい。
【0042】
第3の回路13は、回転停止期間を示す信号として、回転停止期間が所定の間継続した場合に変化する第3の割り込み信号213を出力する。そのため、例えばMCUが定期的に回転停止期間を示すカウント値を読み出す必要はない。また、上記のようにMCUを間欠駆動させることができるため、集積回路10を含むシステムの消費電力を小さくできる。なお、MCUは第3の割り込み信号213を受け取ることで、センサーのサンプリング周期を現在よりも長く設定して、システムの消費電力をさらに小さくしてもよい。
【0043】
本実施形態の集積回路10は、発振回路23、タイマー21、電源供給制御回路22も含む。発振回路23は、振動子74(例えば水晶振動子)と接続されて発振ループを生成しクロック223を出力してもよい。このとき、第3の回路13は、クロック223によって回転停止期間をカウントしてもよい。集積回路10に含まれる発振回路23のクロック223を用いることで、周波数等の情報を把握でき、回転停止期間を正確に測定することが可能である。
【0044】
タイマー21は、例えばMCUからの制御信号201によって設定される間隔で、周期的に発生するタイマー割り込み信号221を出力してもよい。例えばMCUは、タイマー割り込み信号221によって周期的に表示を更新することができる。
【0045】
電源供給制御回路22は、例えばMCUからの制御信号202によってセンサー等の電源をオン状態にするパルス信号の周期を選択する。センサー等は電源がオン状態のときに動作してデータをサンプリングする。つまり、電源供給制御回路22は、サンプリング周期を決定する。そして、電源供給制御回路22から出力される電源供給制御信号222は、このサンプリング周期をもつパルス信号であってもよい。
【0046】
例えば、MCUは第3の割り込み信号213により回転が停止していると判断できる。このとき、サンプリング周期を1/16秒とするモード(低速モード)の選択を、制御信号202によって電源供給制御回路22に指示してもよい。また、例えばMCUは第1の割り込み信号211により水が流れていると判断できる。このとき、低速モードからサンプリング周期を1/1024秒とするモード(高速モード)への変更を、制御信号202によって電源供給制御回路22に指示してもよい。適切なセンサーのサンプリング周期を選択することで、効果的な低消費電力化を図ることが可能になる。
【0047】
なお、発振回路23からのクロック223は、図外のモジュールなどに供給されてもよい。また、集積回路10における第3の回路13以外のブロックにもクロック223は供給されているが、図1では図示を省略しているものとする。
【0048】
また、本実施形態では、第1の割り込み信号211、第2の割り込み信号212、第3の割り込み信号213、タイマー割り込み信号221は、いずれも割り込みクリア信号によって割り込みフラグのクリアといったクリア処理がなされるものとする。割り込みクリア信号は、これらの割り込み信号に対応してそれぞれ存在するが、図1では図示を省略している。
【0049】
1.3.集積回路装置、回転検出装置
図2は、本実施形態の集積回路10を含む集積回路装置2と回転検出装置1を表す。なお、図1、図7(A)〜図8(C)と同じ要素については同じ番号、符号を付しており説明は省略する。
【0050】
図2のように、本実施形態の集積回路10は、回転検出装置1の一部として使用されてもよい。このとき、集積回路10は磁気検出回路70A、70B、コンパレーター72A、72B、スイッチ76とともに集積回路装置2として1チップ化されてもよい。磁気検出回路70A、70B、コンパレーター72A、72Bが磁気センサー106(図7(B参照)に相当する。以下、磁気検出回路70A、70B、コンパレーター72A、72Bをまとめてセンサーと表現する。
【0051】
集積回路装置2は、電源供給制御信号222によってセンサーの電源供給を制御する。例えば電源供給制御信号222が1のときだけ、スイッチ76がオン状態となり、センサーによってサンプリングが実行される。それ以外にはセンサーは電力を消費しないので消費電力を小さくできる。
【0052】
回転検出装置1において、MCU3は、制御信号202によって低速モード又は高速モードを指定して、サンプリング周期を選択してもよい。
【0053】
集積回路装置2は、割り込み信号211、212、213、221をMCU3に出力する。MCU3は、割り込み信号を受け取る場合以外は、通常動作のモード(第1の動作モード)よりも電力を消費しない第2の動作モードで動作していてもよい。これにより、低消費電力化を図ることができる。
【0054】
MCU3は、割り込み信号を受け取ると、まず第1の動作モードになる。MCU3は、例えば正回転数カウンターを有し、第1の割り込み信号、第2の割り込み信号を受け取った場合にそれぞれインクリメント、デクリメントを行ってもよい。正回転数カウンターの値は水の流量に対応する。また、第3の割り込み信号を受け取った場合に前記の制御信号202を変更してもよい。そして、タイマー割り込み信号221を受け取った場合に、図外の表示装置に表示する水の流量のデータを更新してもよい。
【0055】
なお、集積回路装置2では、コンパレーター72A、72Bは誤検出防止のためにヒステリシス機能を備えていてもよい。また、ヒステリシス機能は制御信号(図外)によってオンとオフが切り換えられてもよい。また、MCU3を含めて1チップ化して集積回路装置2としてもよい。
【0056】
1.4.波形図
図3(A)〜図3(B)は集積回路10の波形図である。なお、図1〜図2、図7(A)〜図8(C)と同じ要素には同じ番号、符号を付しており説明は省略する。
【0057】
図3(A)は割り込み信号の発生タイミングを表す。センサーサンプリング値は、第1のサンプリング値200Aを1ビット目、第2のサンプリング値200Bを2ビット目とする2ビットの値である。
【0058】
前記のように、電源供給制御信号222は、センサーをオン状態にするタイミングを与えるのでサンプリング周期を表す。本実施形態のサンプリング周期は、回転が停止している場合などに消費電力を抑える低速モードと、精度のよい検出を行う高速モードがある。
【0059】
低速モードの場合には、サンプリング周期は高速モードよりも長いTである。例えばTは1/16秒である。そして、高速モードの場合には、サンプリング周期はTである。例えばTは1/1024秒である。
【0060】
図3(A)の例では、当初低速モードであり、正回転を表す第1の割り込み信号211が最初に発生した時刻tに高速モードに変化している。そして、所定の間、回転停止期間が続くことを示す第3の割り込み信号213が発生した時刻tに低速モードに変化している。低速モード、高速モードは、割り込み信号を受け取ったMCU3(図2参照)が制御信号202で指定する。
【0061】
時刻tまでは、センサーサンプリング値は2、3、1、0、2、3、1と変化しており正回転していることがわかる(図8(C)参照)。そのため、第1の割り込み信号211がセンサーサンプリング値の変化に伴い発生している(時刻t、t、t、t)。MCU3は、第1の割り込み信号211を1度受け取ると、45°の正回転が生じたとして(図8(C)参照)正回転数カウンターをインクリメントする。
【0062】
時刻t以降時刻tまでは、センサーサンプリング値は1、3、2、0、1、3と変化しており逆回転していることがわかる(図8(C)参照)。そのため、第2の割り込み信号212がセンサーサンプリング値の変化に伴い発生している(時刻t、t、t、t)。MCU3は、第2の割り込み信号212を1度受け取ると、45°の逆回転が生じたとして(図8(C)参照)正回転数カウンターをデクリメントする。また、MCU3は、第2の割り込み信号212によっては正回転数カウンターを変化させないように設定可能であってもよい。
【0063】
時刻tでは、第3の割り込み信号213が発生し、MCU3は回転停止期間が所定の間、続いていると判断できる。そこで、MCU3はサンプリング周期を低速モードに設定して、センサーのサンプリング間隔を長くして消費電力を抑える。
【0064】
なお、タイマー割り込み信号221は、所定の時間間隔Tで他の割り込み信号とは無関係に発生してもよい。このとき、MCU3は時間間隔T毎に表示を更新してもよい。なお、MCU3は、時間間隔Tを制御信号201で変更することができる。
【0065】
図3(B)は図3(A)の一部を拡大して必要な信号を追加し、一部の信号を削除したものである。第1のサンプリング値200A、第2のサンプリング値200Bは、それぞれセンサーサンプリング値の1ビット目、2ビット目である。これらの信号は、電源供給制御信号222の立ち下がり、すなわちサンプリングデータが確定されるタイミングで変化する。電源供給制御信号222のパルス幅Tは例えば5μsである。図3(B)の例では、例えば時刻t10から5μsだけセンサーに電源が供給される。
【0066】
回転停止期間カウンターは、第3の回路13(図1参照)に含まれており、クロック223に同期して回転停止期間をカウントする。回転停止期間カウンターは、第1の割り込み信号211や第2の割り込み信号212によってリセットされる(時刻t11)。なお、回転停止期間カウンターのリセットは、第1の割り込み信号211や第2の割り込み信号212を受け取ったMCU3が行ってもよい。なお、第1の割り込み信号211や第2の割り込み信号212は、センサーサンプリング値が変化してから数クロック後(図3(B)では4クロック後)に発生してもよい。
【0067】
割り込み信号のそれぞれは割り込み信号クリア信号によってクリアされる。図3(B)では、第1の割り込み信号211の発生後に、MCU3が第1の割り込みクリア信号を発生させる(時刻t12)。そして、例えば1クロック後に第1の割り込みクリア信号がクリアされる(時刻t13)。
【0068】
なお、時刻t14〜t17はそれぞれ時刻t10〜t13における状態の繰り返しであり説明を省略する。時刻t18では、回転停止期間カウンターが所定の値である511となったために第3の割り込み信号213が発生している。
【0069】
1.5.フローチャート
本実施形態の集積回路10は、例えば水道メーターなどの水の流量を測定する回転検出装置の一部として用いられ、水の流量を正回転数カウンターでカウントして測るMCU3が存在することを想定している(図2参照)。そして、MCU3は集積回路10を制御する。ここでは、MCU3が割り込み信号を受け取ったときの制御について、図4(A)〜図5(B)のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、割り込み信号はそれぞれ独立しており、MCU3の割り込み処理も割り込み信号のそれぞれに対して独立に行われるとする。
【0070】
図4(A)は、MCU3が第1の割り込み信号211を受け取った場合に実行する第1の割り込み処理を表す。まず、MCU3は第1の割り込みクリア信号を発生させて、クリア処理を行う(S11)。そして、45°の正回転が生じたとして(図8(C)参照)正回転数カウンターをインクリメントする(S12)。そして、サンプリング周期を精度のよい検出を行う高速モードにする(S13)。高速モードでは1/1024秒毎にサンプリングが行われる。本実施形態では、低速モードと高速モードしか存在しない。そのため、既にサンプリング周期が高速モード設定の場合にはモードに変化はない。
【0071】
しかし、別の実施形態として3以上のモードが用意されてもよい。この場合には、よりサンプリング周期が短くなるモードへと切り換えを行う。例えば、サンプリング周期が1/1024秒、1/512秒、1/256秒、1/128秒、1/64秒、1/32秒、1/16秒である第1〜第7のモードがあるとする。例えば、今の状態が第4のモード(1/128秒)であって第1の割り込み信号211を受け取った場合には、第5のモード(1/64秒)へと移行してもよい。また、更に第1の割り込み信号211を受け取った場合には、第6のモード(1/32秒)へと移行してもよい。このとき、サンプリング周期を段階的に切り換えることによって、急激な設定の変化を回避して、より正確な流量の測定を行うことができる。
【0072】
図4(B)は、MCU3が第2の割り込み信号212を受け取った場合に実行する第2の割り込み処理を表す。まず、MCU3は第2の割り込みクリア信号を発生させて、クリア処理を行う(S21)。このとき、45°の逆回転が生じたと判断できるが、設定によって処理が分かれてもよい。逆回転が生じた場合に正回転数カウンターに反映させる設定であれば(S22Y)、正回転数カウンターをデクリメントする(S23)。しかし、設定が異なる場合には(S22N)正回転数カウンターを変化させない。その後、第1の割り込み処理と同じように、サンプリング周期を精度のよい検出を行う高速モードにしてもよい(S24)。
【0073】
なお、逆回転が生じた場合には異常であると判断されるため、サンプリング周期を高速モードにするステップ(S24)は省略されてもよい。また、ステップS24を実行する場合であって3以上のモードが用意されている場合には、よりサンプリング周期が短くなるモードへと切り換えを行ってもよい。
【0074】
図5(A)は、MCU3が第3の割り込み信号213を受け取った場合に実行する第3の割り込み処理を表す。まず、MCU3は第3の割り込みクリア信号を発生させて、クリア処理を行う(S31)。そして、回転停止期間カウンターの動作を停止させる(S32)。そして、消費電力を抑えるために、サンプリング周期を低速モードにする(S33)。
【0075】
なお、3以上のモードが用意されている場合には、よりサンプリング周期が長くなるモードへと切り換えを行ってもよい。このとき、サンプリング周期が最も長いモードになるまでは、回転停止期間カウンターの動作を停止させる(S32)必要はない。
【0076】
図5(B)は、MCU3がタイマー割り込み信号221を受け取った場合に実行するタイマー割り込み処理を表す。まず、MCU3はタイマー割り込みクリア信号を発生させて、クリア処理を行う(S41)。そして、正回転数カウンターの値に基づいて、表示装置に正回転数を表示する(S42)。データが一定の間隔で更新されるので、ユーザーはいつも最新の情報を得ることができる。なお、表示されるデータは正回転数でなく計算によって求められた水の流量であってもよい。
【0077】
このように、MCU3は割り込みが生じたときにだけ、割り込み処理を実行すればよい。例えば、MCU3が通常動作のモード(第1の動作モード)と消費電力を通常動作時より小さくするモード(第2の動作モード)を有しているとする。このとき、MCUは、割り込みが発生しない間は第2の動作モードであってもよく、消費電力を低く抑えることができる。
【0078】
また、MCU3は、第3の割り込み処理でサンプリング周期を低速モードにする。つまり、回転が停止している状態に応じたセンサーのサンプリング周期を選択することでシステムの消費電力を小さくできる。
【0079】
なお、本実施形態の集積回路はセンサーから出力される2つのパルス信号を入力して、45°という高い精度の回転検出を行うことができる。このとき、センサーとして磁気検出回路とコンパレーターとが2組必要なだけなので、例えばセンサーを含む集積回路装置においても面積が著しく増大することはない。
【0080】
2.変形例
本実施形態の変形例について図6を用いて説明する。図1〜図5(B)、図7(A)〜図8(C)と同じ要素については同じ番号、符号を付しており説明を省略する。
【0081】
変形例におけるMCU3の割り込み処理は、発生頻度の高いタイマー割り込み処理に第1〜第3の割り込み処理を組み込んだ処理である。
【0082】
図6のように、まずタイマー割り込み信号221の発生の有無が確認される(S1)。タイマー割り込み信号221の発生がない場合には何も実行されない(S1N)。タイマー割り込み信号221が発生すると(S1Y)、そのクリア処理が行われる(S41)。なお、ステップS41は図5(B)と同じである。
【0083】
その後、第1の割り込み信号211、第2の割り込み信号212、第3の割り込み信号213の発生の有無が確認される(S2、S4、S6)。これらの割り込み信号の発生がない場合には何も実行されない(S2N、S4N、S6N)が、発生した場合には(S2Y、S4Y、S6Y)はそれぞれ第1の割り込み処理S3、第2の割り込み処理S5、第3の割り込み処理S7が実行される。
【0084】
ここで、第1の割り込み処理S3は図4(A)の処理が対応し、第2の割り込み処理S5は図4(B)の処理が対応する。そして、第3の割り込み処理S7は図5(A)の処理が対応する。
【0085】
その後、表示装置に正回転数が表示される(S42)。ステップS42は図5(B)と同じである。
【0086】
この変形例は、第1〜第3の割り込み信号が、例えばレジスターにマッピングされた割り込みフラグとしてのみ得られる場合でも対応できる。そのため、MCUの割り込み入力ポート数に限りがあるような場合に用いられてもよい。
【0087】
これらの例示に限らず、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。
【0088】
例えば、本実施形態や変形例では磁気センサーを用いて説明したが、磁気センサーに限らず、圧力センサー、照度センサー、温度センサーを用いてもよい。例えば、圧力、照度、温度の上昇と低下をそれぞれ正回転と逆回転とに対応させることでこれらのセンサーへの置き換えが可能である。
【0089】
また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0090】
1…回転検出装置、2…集積回路装置、3…MCU、10…集積回路、11…第1の回路、12…第2の回路、13…第3の回路、21…タイマー、22…電源供給制御回路、23…発振回路、70A…磁気検出回路、70B…磁気検出回路、72A…コンパレーター、72B…コンパレーター、74…振動子、76…スイッチ、100…羽根車、102…磁石、104…流路、106…磁気センサー、108…基板、200A…第1のサンプリング値、200B…第2のサンプリング値、201…制御信号、202…制御信号、211…第1の割り込み信号、212…第2の割り込み信号、213…第3の割り込み信号、221…タイマー割り込み信号、222…電源供給制御信号、223…クロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーから出力される第1のパルスと第2のパルスを用いて回転を検出する集積回路であって、
前記第1のパルスと前記第2のパルスに基づいて、正回転検出を行う第1の回路および逆回転検出を行う第2の回路の少なくとも一方と、
前記第1のパルスと前記第2のパルスに基づいて回転停止期間をカウントする第3の回路と、を含み、
前記第1の回路は、第1の割り込み信号を出力し、
前記第2の回路は、第2の割り込み信号を出力し、
前記第3の回路は、前記回転停止期間を示す信号を出力する集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の集積回路において、
発振回路を含み、
前記第3の回路は、
前記発振回路から出力されるクロックに基づいてカウントする集積回路。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載の集積回路において、
前記第3の回路は、
カウント値が所定の値になった場合に、前記回転停止期間を示す信号として第3の割り込み信号を出力する集積回路。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の集積回路において、
前記センサーの電源供給を制御する電源供給制御信号を出力する集積回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の集積回路を含む集積回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の集積回路と、
前記集積回路から割り込み信号を受け取るMCUと、を含み、
前記MCUは、
第1の動作モードにおいて回転量を算出し、
第2の動作モードにおいて前記第1の動作モードより低消費電力で動作し、
前記割り込み信号を受け取った場合に、前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに遷移する回転検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−154722(P2012−154722A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12963(P2011−12963)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】