説明

電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラム

【課題】複数系統の電力源を有効利用し、省エネルギー化を向上する。
【解決手段】スリープモードでは、LVPS1のみが電力を供給する(LVPS2からの電力の供給を遮断)。電力切替コントローラ12の監視部56では、蓄電デバイス30の充電状態を監視しており、蓄電デバイス30の充電状態が良好、すなわち、予め定めた電力量を維持していると判定された場合は、トライアック22を制御して、配線を開放状態とし、商用電源14からの電力供給を遮断する。LVPS1からのメインコントローラ200、電力切替コントローラ12、ファクシミリ通信回路236への電力供給が断たれる。これに代わり、蓄電デバイス30からの電力が供給され、メインコントローラ200、電力切替コントローラ12、ファクシミリ通信回路236には、電力供給が継続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像処理装置では、太陽電池や二次電池等による電源を省エネルギーモードに利用することが提案されている。
【0003】
特許文献1には、省エネルギーモード時に商用電源電圧を入力として、本体回路部の電源電圧を供給する主電源をオフして、太陽電池回路による電源を本体回路部に供給して省エネルギー化を図ることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ホスト電源検出手段によりホストがオフ時に省エネルギーモードに移行して、その場合にエンジン負荷等に供給する主電源(24V、±12V等)を供給停止し、待機電源でホスト電源検出手段/省エネ制御手段(30、31、33)のみに電源供給を行うことが記載されている。また、この特許文献2には、待機電源を太陽電池と二次電池さらに小電力電源(46)で構成して、省エネルギーモード時に太陽電池→二次電池→小電力電源の優先順位で使用することで省エネルギー化を図ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−78196公報
【特許文献2】特開2002−63011公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数系統の電力源を有効利用し、本構成を有しない場合に比べて、省エネルギー化を向上することができる電力供給制御装置、画像処理装置、電力供給制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、商用電源から電力を受け当該電力を最大供給能力とする通常モード、この通常モードよりも低い電力の供給能力とするスリープモードの、少なくとも何れかへ遷移させるモード遷移制御手段と、前記スリープモード時に特定の制御系へ電力を供給し続ける第1の電力供給手段と、前記スリープモード時に電力の供給を遮断する第2の電力供給手段と、前記スリープモード時に前記第1の電力供給部の電力供給先である前記特定の制御系へ別系統で電力を供給する第3の電力供給部と、前記商用電源の電力供給を遮断する電源スイッチに対して下流側に設けられ、当該電源スイッチのオン・オフに拘らず、前記商用電源の電力供給配線系統を開状態又は閉状態とする配線系統開閉手段と、前記スリープモード時に前記第3の電力供給手段から電力が供給されている場合に、前記配線系統開閉手段を制御して、商用電源の電力供給配線系統を開放状態とする制御手段と、を有している。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記スリープモードへ遷移するとき、前記特定の制御系は、その内部の電力消費が段階的に低下していくように制御されており、前記第3の電源部からの前記特定の制御系への電力供給は、当該特定の制御系の内部の電力消費量が予め定めた値以下となった後に実行する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、前記特定の制御系は、前記第1の電力供給手段からの電力供給を必要とする主制御部と、スリープモード時に復帰要因を監視する副制御部と、を備え、前記特定の制御系の内部の電力消費量が予め定めた値以下となったか否かを、前記主制御部の機能停止で判断する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1〜請求項3の何れか1項記載の発明において、前記制御手段が、前記スリープモードから前記通常モードへの復帰の契機により、前記電力供給配線系統を閉状態とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の発明において、前記特定の制御系が、前記第3の電力供給手段の電力で動作している状態から、前記第1の電力供給手段からの電力の供給に切り替えたとき、当前記特定の制御系の内部の電力消費量を高くする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、少なくとも当該第1の電力供給手段からの電力供給過渡期の立ち上がり時間が経過した後、前記特定の制御系の内部の電力消費量を高くする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記請求項1〜請求項6の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記デバイスとして、原稿画像を読み取る画像読取手段と、画像データに基づいて記録用紙へ画像を形成する画像形成手段と、外部と画像を送受信するファクシミリ通信手段とを有する画像処理装置である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、前記請求項1〜請求項6の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、請求項7、請求項8記載の発明によれば、複数系統の電力源を有効利用し、本構成を有しない場合に比べて、省エネルギー化を向上することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、第3の電力供給手段の消費電力を極力抑えることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、特別な判定機能を不要とすることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、通常モードでの電力を確実に確保することができる。
【0019】
請求項5、請求項6に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、第3の電力供給手段の消費電力を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の概略図である。
【図2】本実施の形態に係るメインコントローラと電源装置との概略構成図である。
【図3】本実施の形態に係る電力供給系を示すブロック図である。
【図4】電力切替コントローラの監視部を主体とした電力供給制御回路図である。
【図5】本実施の形態に係る電力供給制御ルーチン(前段)を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る電力供給制御ルーチン(後段)を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係るモード毎の電力供給制御の流れを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部240と、原稿画像を読み取る画像読取部238と、ファクシミリ通信制御回路236を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ200を備えており、画像形成部240、画像読取部238、ファクシミリ通信制御回路236を制御して、画像読取部238で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部240又はファクシミリ通信制御回路236へ送出したりする。
【0022】
メインコントローラ200には図示しないインターネット等のネットワーク通信回線網が接続され、ファクシミリ通信制御回路236には図示しない電話回線網が接続されている。メインコントローラ200は、例えば、ネットワーク通信回線網を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路236を介して電話回線網を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0023】
画像形成部240は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、顕像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
【0024】
画像読取部238は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0025】
(メインコントローラ200)
図2は、前記メインコントローラ200の概略構成図である。
【0026】
図2に示される如く、メインコントローラ200は、CPU204、RAM206、ROM208、電力管理機能付ASIC210、及びこれらを接続するデータバスやコントロールバス等のバス212を有している。電力管理機能付ASIC210には、UI制御回路214を介してUIタッチパネル216が接続されている。また、電力管理機能付ASIC210には、ハードディスク(HDD)218、節電ボタン219が接続されている。電力管理機能付ASIC210の機能実行、並びに前記ROM208やハードディスク218等に記録されているプログラムに基づいて、CPU204が動作することによって、メインコントローラ200の機能を実現する。なお、該プログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM等)から該プログラムをインストールし、これに基づいてCPU204が動作することにより画像処理機能を実現してもよい。
【0027】
なお、節電ボタン219は、所謂ハードスイッチ(物理的に操作するスイッチ)であり、押圧操作する毎に、装置に対して、節電、節電解除を交互に指示するようになっている。
【0028】
本実施の形態のメインコントローラ200は、画像処理デバイスに対して、待機モード、スリープモードを指示するようになっている。待機モードは電力供給状態であり、スリープモードは復帰要求を監視する制御部(通信回線や節電ボタンやFAX回線やそれが接続される電力管理機能付ASIC210等)を除いてDC/DCコンバータ219A、219B、219Cの電源オン・オフ制御により電力遮断状態である。
【0029】
電力管理機能付ASIC210には、タイマ回路220、通信回線I/F222が接続されている。さらに、電力管理機能付ASIC210には、ファクシミリ(FAX)通信制御回路(モデム)236、画像読取部238、画像形成部240の各デバイスに接続されている。
【0030】
なお、前記タイマ回路220は、前記ファクシミリ(FAX)通信制御回路236、画像読取部238、画像形成部240を節電状態(電源非供給状態)とするための契機として、初期設定時間の計時を行うものである。
【0031】
電力切替コントローラ12(図3参照)はスリープモードの電源供給を切替制御する。
【0032】
(電力供給系統)
図3には、本実施の形態の示される如く、メインコントローラ200及び各画像処理デバイスへ電力を供給するためのシステム図が示されている。なお、図3では、電源線を1本の線で示しているが、実際には2本〜3本の配線である。
【0033】
画像処理装置10は、図1に示すように壁面Wまで配線された商用電源14の配線プレート16にコンセント18を差し込むことで電力の供給を受けるようになっている。
【0034】
図3に示される如く、コンセント18は、主電源スイッチ20の一端部に接続されている。また、主電源スイッチ20の他端部は、トライアック22を介して、定着部電圧供給部24、第1の低電圧供給部26(以下、「LVPS1」という場合がある)、第2の低電圧供給部28(以下、「LVPS2」という場合がある)にそれぞれ接続されている。定着部電圧供給部24は、主として画像形成部240の定着部に適用されるヒータ(ハロゲンランプやIHヒータ等)の加熱に適用される。また、LVPS2は、主として、画像形成部240、画像読取部238、UIタッチパネル216(画像処理デバイス)の動作系に適用される。
【0035】
また、LVPS1は、主としてメインコントローラ200、ファクシミリ(FAX)通信制御回路236の電力源として適用される。
ここで、LVPS1の出力線は、逆流防止用のダイオード24を介してメインコントローラ200へ接続されている。また、このダイオード24のカソード側とメインコントローラ200とを接続する接続線26には、電力切替コントローラ12及びファクシミリ(FAX)通信回路236が接続されている。
【0036】
また、ダイオード24のカソード側には、蓄電デバイス30からの出力線に接続された逆流防止用のダイオード28のカソード側と接続されている。
【0037】
このため、メインコントローラ200、ファクシミリ(FAX)通信制御回路236及び電力切替コントローラ12には、LVPS1と蓄電デバイス30との双方から電力が供給可能となる。なお、同時に電力が供給されたとしても、ダイオード25、27によって、それぞれに逆流することはない。また電力切替コントローラ12をLVPS1から電力供給したくない場合は、接続線26に接続しないで蓄電デバイス30に接続しても良い。
【0038】
一方、LVPS2は、UIタッチパネル216、画像読取部238、画像形成部240、蓄電デバイス30が接続されている。
【0039】
蓄電デバイス30には、予め定められた電力量が蓄積されるようになっており、その電力源として、LVPS2からの商用電源14の電力他、ソーラーパネル34による発電電力が供給され、充電される。
【0040】
本実施の形態の画像処理装置10では、各部で商用電力を供給する通常モードに加え、デバイスが非稼働状態のとき、商用電源からの電力を遮断するスリープモードを設けている。
【0041】
通常モードでは、LVPS1からメインコントローラ200、ファクシミリ(FAX)通信回路236、電力切替コントローラ12へ商用電源14からの電力が供給され、LVPS2からUIタッチパネル216、画像読取部238、画像形成部240へ商用電源14からの電力が供給されるようになっている。
【0042】
一方、スリープモードでは、LVPS1のみが電力を供給する。言い換えれば、LVPS2からの電力の供給を遮断する。なお、定着部電圧供給部24からの電力供給は、省エネ性の面から、スリープモード時は、定着部電圧供給部24を電力遮断状態にしている。
【0043】
ここで、電力切替コントローラ12の監視部56(図4参照)では、蓄電デバイス30の充電状態を監視しており、蓄電デバイス30の充電状態が良好、すなわち、予め定めた電力量を維持していると判定された場合は、トライアック22を制御して、配線を開放状態とし、商用電源14からの電力供給を遮断するようにしている。これにより、LVPS1からのメインコントローラ200、電力切替コントローラ12、ファクシミリ(FAX)通信回路236への電力供給が断たれることになる。しかし、これに代わり、蓄電デバイスの出力電圧を制御するDC/DCコンバータ219Dを出力オンして、蓄電デバイス30からの電力が供給されるため、メインコントローラ200、電力切替コントローラ12、ファクシミリ(FAX)通信回路236には、電力供給が継続される。
【0044】
図4は、電力切替コントローラ12の監視部56を主体とした、電力供給切替制御のための機能ブロック図が示されている。なお、図4では、図3に示す機能の一部を省略してある。
【0045】
ソーラーパネル34によって発生する発電部に配線された信号線50は、蓄電デバイス30のプラス側端子に接続されている。蓄電デバイス30は、例えばコンデンサ等の容量性蓄電部材の他、充電可能な電池が適用可能である。蓄電デバイス30のマイナス側はアースされている。これにより、蓄電デバイス30には、LVPS2及びソーラーパネル34から電力の供給を受けて充電されるようになっている。LVPS2からの入力電圧を蓄電デバイス30に合せて電圧制御する入力電圧制御回路30Aが蓄電デバイス30にあり、LVPS2からの充電オン/オフも制御する。
【0046】
蓄電デバイス30の両端には、それぞれ電圧検出信号線52、54が接続され、監視部56の一部を構成する電圧センサ58に接続されている。
【0047】
電圧センサ58は、電圧値取込部60に接続され、適宜電圧値が取り込まれるようになっている。
【0048】
電圧取込部60は、判定部62に接続されている。判定部62は、予め定められた充電量しきい値(電圧値)と比較することで、蓄電デバイス32の充電量が充分か否か(OK/NG)が判断され、その結果を電源系統切替制御部64へ出力する。
【0049】
電源系統切替部64は、トライアック22を制御し、商用電源13からの電力供給を受けるか(電源線の閉止状態)、或いは電力供給を遮断するか(電源線の開放状態)を選択するようになっている。
【0050】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0051】
図5及び図6は、電力供給制御の流れを示すフローチャートである。
【0052】
図5は、メインコントローラ200における電力供給制御であり、ステップ100では、ジョブを受け付けたか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ102へ移行して、ジョブの実行処理を行い、このルーチンは終了する。
【0053】
また、ステップ100で否定判定されると、ステップ104へ移行して所定時間が経過したか否かが判断される。このステップ104で否定判定されると、ステップ106へ移行して、節電ボタン219が操作されたか否かが判断される。また、このステップ106で否定判定されると、このルーチンは終了する。
【0054】
前記ステップ104で肯定判定されると、ステップ110へ移行して、画像処理デバイスをスリープモードへ遷移させる。
【0055】
この結果、LVPS1はオン(電力供給継続)、LVPS2はオフ(電力供給遮断)となる。
【0056】
次のステップ112では、蓄電デバイス30の電力量を読み出し、ステップ114へ移行する。ステップ114では、商用電源14を遮断しても充分な電力量が蓄積されているか否か(商用電源遮断OKか否か)が判断され、肯定判定されると、ステップ115で蓄電デバイスの出力オンをして、ステップ116へ移行してトライアック22をオフし、LVPS1の電力源を遮断する。この結果、メインコントローラ200、電力切替コントローラ12等へは、蓄電デバイス30から電力が供給される。
【0057】
また、ステップ114で否定判定、すなわち、商用電源14を遮断できないと判断(蓄積デバイス30の電力量が不十分と判断)された場合は、トライアック22をオンのままとする。これにより、LVPS1からの電力がメインコントローラ200、電力切替コントローラ12等へ供給され続けた状態でこのルーチンは終了する。
【0058】
なお、このフローチャートでは、記載していないが、例えば、商用電源14又はソーラーパネル34からの充電が進み、蓄電デバイス30が充分な電力量となった時点で、トライアック22をオフするようにしてもよい。
【0059】
前記ステップ106で肯定判定された場合、すなわち、節電ボタン219が操作された場合は、ステップ104で肯定判定(所定時間が経過したとき)と同じ制御であり、ステップ110へ移行して、上記工程を実行する。
【0060】
次に、図6のステップ152では、節電ボタン219が操作されたか否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ154へ移行して、メインコントローラ200からジョブ受付情報があったか否かが判断される。このステップ154で否定判定された場合は、ステップ152へ戻り、ステップ152、154の何れかで肯定判定されるまで繰り返す。
【0061】
ステップ152又はステップ154で肯定判定されると、ステップ156へ移行して、通常モードへ遷移させる。この通常モードは、トライアック22をオンさせ、商用電源14からの電力で、LVPS1、2が共にオン(電力供給)となる。
【0062】
次のステップ158では、メインコントローラ200が制御可能な状態に立ち上がったか否かが判断される。この「制御可能な状態に立ち上がる」とは、LVPS1の一次側に商用電源14の電力が供給され、二次側から正常電圧(例えば、5V)が出力されたか否かが判断される。このステップ158で肯定判定されると、ステップ166へ移行して、この電力切替コントローラ12での電力供給制御を終了する。
【0063】
次に、図7のタイミングチャートに従い、モード毎の電力供給制御の流れを説明する。なお、この図7におけるモードは、LVPS1,LVPS2,定着部電圧供給部24が全てオン状態である通常モード(スタンバイモード)と、少なくともLVPS2がオフとなるスリープモードの他、主電源スイッチオフモード、ウォームアップモードがあり、さらに、単に「スリープモード」はLVPS1がオンのときを指し、「スリープ0Wモード」はトライアック22及びLVPS1がオフのときを指す。
【0064】
主電源スイッチ20がオフからオンになると、ウォームアップモードへ遷移し、LVPS1、2がオンとなり、メインコントローラ200の消費電力が、0Wから15Wとなる。
【0065】
その後、通常モード(スタンバイモード)となり、ジョブの受付に応じて画像処理等が実行される。
【0066】
その後、画像処理が一定期間実行されない、或いは節電ボタン219が操作されると、スリープモードへ遷移する。このとき、LVPS2がオフとなり、メインコントローラ200では、スリープモード遷移の準備のための処理(スリープ遷移処理)が消費電力7Wで実行される。このときの処理は、長いときは1〜2分必要となる場合もある。
【0067】
前記スリープ遷移処理が終了すると、CPU204がオフされてメインコントローラ200の消費電力は0.7W程度まで下がり、蓄電デバイス30の充電量が充分であることを条件として、蓄電デバイス30からの電力を供給する。消費電力が低い状態で蓄電デバイスをオンするために蓄電デバイスの消費電力を抑制できる。蓄電デバイスがオンした後にトライアック22をオフ(LVPS1を電力遮断状態)する。これにより、モードは、スリープ0Wモードとなる。
【0068】
なお、蓄電デバイス30のオンと、LVPS1のオフとの間には、双方がオンとなる期間を積極的に設けており、メインコントローラ200等への電力供給が一時的に遮断されることを防止している。この場合、図3のダイオード24、28により、双方への電流の逆流はない。
【0069】
次に、スリープ0Wモードから復帰要因(ジョブ受付情報、節電ボタン操作)があると、トライアック22がオン(LVPS1がオン)となり、この結果、メインコントローラ200がCPUリセット解除動作を行うことになる。しかし、トライアック22のオンと同時にメインコントローラ200がCPUリセット解除動作を実行しようとすると、LVPS1からの電力が完全に立ち上がっていないため、電力不足となる場合がある。
【0070】
そこで、本実施の形態では、CPUリセット解除動作の開始を、トライアック22のオン時よりも遅らせる(例:約0.3msec程度)。その後、リセット解除動作が開始され、メインコントローラ200は約7W程度の電力消費となるが、このときは、LVPS1からの電力が確実に供給されているため、電力不足となるようなことはない。また蓄電デバイスの消費電力を抑制できる。
【0071】
メインコントローラ200のリセット解除動作に伴い、蓄電デバイス30からの電力供給は遮断される。また、メインコントローラ200は、リセット解除動作が終了すると、基板全体が通電されていき、約15Wの電力消費となる。
【0072】
その後、LVPS2をオン(前記スリープ復帰要因時のLVPS1のオンと同時でもよい)して、画像処理デバイスへ電力を供給する。上記のCPUリセット解除動作による制御は、CPU204に電力供給するDC/DCコンバータ219Dのオフ/オンの時間制御で実施しても良い。
【0073】
なお、本実施の形態では、監視部56を電力切替コントローラ12の一部としたが、メインコントローラ200に設けてもよい。また、蓄電デバイス30に、予め定められた充電量を境界として、二値信号を出力(例えば、充電量満足時はH信号、充電量不足時はL信号を出力)するようにしてもよい。電力切替コントローラ12では、この二値信号に基づいてトライアック22を制御すればよい。
【0074】
また、商用電源14以外の電力としてソーラーパネル34による太陽エネルギーを示したが、この太陽エネルギーの他、商用電源14以外の電力供給源として、画像読取部238や画像形成部240で適用されるモータの回転による発電、或いは制動時の回生エネルギー等が適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
10 画像処理装置
W 壁面
14 商用電源
16 配線プレート
18 コンセント
20 主電源スイッチ
22 トライアック
24 定着部電圧供給部
25 ダイオード
26 第1の低電圧供給部(LVPS1)
27 ダイオード
28 第2の低電圧供給部(LVPS2)
30 蓄電デバイス
34 ソーラーパネル
50 信号線
52、54 電圧検出信号線
56 監視部
58 電圧センサ
60 電圧値取込部
62 判定部
64 電源系統切替制御部
200 メインコントローラ
204 CPU
206 RAM
208 ROM
210 電力管理機能付ASIC
212 バス
214 UI制御回路
216 UIタッチパネル
218 ハードディスク
219A〜C DC/DCコンバータ
219 節電ボタン
220 タイマ回路
222 通信回線I/F
236 ファクシミリ通信制御回路
238 画像読取部
240 画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から電力を受け当該電力を最大供給能力とする通常モード、この通常モードよりも低い電力の供給能力とするスリープモードの、少なくとも何れかへ遷移させるモード遷移制御手段と、
前記スリープモード時に特定の制御系へ電力を供給し続ける第1の電力供給手段と、
前記スリープモード時に電力の供給を遮断する第2の電力供給手段と、
前記スリープモード時に前記第1の電力供給部の電力供給先である前記特定の制御系へ別系統で電力を供給する第3の電力供給部と、
前記商用電源の電力供給を遮断する電源スイッチに対して下流側に設けられ、当該電源スイッチのオン・オフに拘らず、前記商用電源の電力供給配線系統を開状態又は閉状態とする配線系統開閉手段と、
前記スリープモード時に前記第3の電力供給手段から電力が供給されている場合に、前記配線系統開閉手段を制御して、商用電源の電力供給配線系統を開放状態とする制御手段と、
を有する電力供給制御装置。
【請求項2】
前記スリープモードへ遷移するとき、前記特定の制御系は、その内部の電力消費が段階的に低下していくように制御されており、
前記第3の電源部からの前記特定の制御系への電力供給は、当該特定の制御系の内部の電力消費量が予め定めた値以下となった後に実行する請求項1記載の電力供給制御装置。
【請求項3】
前記特定の制御系は、前記第1の電力供給手段からの電力供給を必要とする主制御部と、スリープモード時に復帰要因を監視する副制御部と、を備え、
前記特定の制御系の内部の電力消費量が予め定めた値以下となったか否かを、前記主制御部の機能停止で判断する請求項2記載の電力供給制御装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記スリープモードから前記通常モードへの復帰の契機により、前記電力供給配線系統を閉状態とする請求項1〜3の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項5】
前記特定の制御系が、前記第3の電力供給手段の電力で動作している状態から、前記第1の電力供給手段からの電力の供給に切り替えたとき、当前記特定の制御系の内部の電力消費量を高くする請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電力供給制御装置。
【請求項6】
少なくとも当該第1の電力供給手段からの電力供給過渡期の立ち上がり時間が経過した後、前記特定の制御系の内部の電力消費量を高くする請求項5記載の電力供給制御装置。
【請求項7】
前記請求項1〜請求項6の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記デバイスが、原稿画像を読み取る画像読取手段と、画像データに基づいて記録用紙へ画像を形成する画像形成手段と、外部と画像を送受信するファクシミリ通信手段と、を有する画像処理装置。
【請求項8】
コンピュータを、前記請求項1〜請求項6の何れか1項記載の電力供給制御装置として実行させる電力供給制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−16096(P2012−16096A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148233(P2010−148233)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】