説明

電力増幅器、及び、電子装置

【課題】
出力の線形性を改善した電力増幅器、及び、電子装置を提供する。
【解決手段】
電力増幅器は、所望波が差動入力される一対の第1増幅部と、前記第1増幅部の出力側に接続される一対の第2増幅部と、前記第2増幅部の出力側に接続されるトランスと、電源から前記第1増幅部に電力を供給するとともに、前記トランスを介して前記第2増幅部に電力を供給する電力供給線と、前記第1増幅部と前記第2増幅部との間に接続され、前記所望波を前記第2増幅部に通過させるとともに、前記所望波の二次歪み成分を遮断する遮断回路とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器、及び、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力増幅器では、例えば、次のようなことを行っていた。複数段ある電界効果トランジスタの各段の動作時出力が飽和出力に比べてバックオフ量で5dB以上の余裕がある場合には、その電界効果トランジスタの相互コンダクタンスの2次微分係数がゼロとなるバイアスポイントに電界効果トランジスタのバイアスポイントを設定する。また、各段の電界効果トランジスタの動作出力が飽和出力に比べてバックオフ量で5dB未満と余裕がない場合には、その電界効果トランジスタをAB級動作させるようにバイアスポイントを設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−145736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電力増幅器は、出力に含まれる歪み成分を低減するために、上述のように動作させていた。
【0005】
しかしながら、歪み成分を低減するためには複雑なバイアスポイントの設定が必要であり、歪み成分を低減するのは容易ではなかった。
【0006】
歪み成分は、電力増幅器の出力の線形性を悪化させるため、低減されることが望ましい。
【0007】
そこで、出力の線形性を改善した電力増幅器、及び、電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態の電力増幅器は、所望波が差動入力される一対の第1増幅部と、前記第1増幅部の出力側に接続される一対の第2増幅部と、前記第2増幅部の出力側に接続されるトランスと、電源から前記第1増幅部に電力を供給するとともに、前記トランスを介して前記第2増幅部に電力を供給する電力供給線と、前記第1増幅部と前記第2増幅部との間に接続され、前記所望波を前記第2増幅部に通過させるとともに、前記所望波の二次歪み成分を遮断する遮断回路とを含む。
【発明の効果】
【0009】
出力の線形性を改善した電力増幅器、及び、電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】比較例の電力増幅器の回路構成を示す図である。
【図2】電力増幅器における波形を示す図である。
【図3】比較例の電力増幅器に含まれるバイアス回路を示す図である。
【図4】実施の形態1の電力増幅器を含む携帯電話端末機500を示す図である。
【図5】実施の形態1の電力増幅器100の回路構成を示す図である。
【図6】実施の形態1の電力増幅器100のインピーダンス回路120の回路構成を示す図である。
【図7】インピーダンス回路120の入力インピーダンスの周波数特性を示す図である。
【図8】実施の形態1の電力増幅器100に含まれるOTA130の回路構成を示す図である。
【図9】実施の形態1の電力増幅器100と比較例の電力増幅器10の増幅部16A、16Bにおける入力電力に対する出力電力の特性を示す図である。
【図10】実施の形態2の電力増幅器のインピーダンス回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電力増幅器、及び、電子装置を適用した実施の形態について説明する。
【0012】
実施の形態の電力増幅器、及び、電子装置について説明する前に、まず、図1及び図2を用いて、比較例の電力増幅器の問題点について説明する。
【0013】
図1は、比較例の電力増幅器の回路構成を示す図である。図2は、電力増幅器における波形を示す図である。図3は、比較例の電力増幅器に含まれるバイアス回路を示す図である。
【0014】
比較例の電力増幅器10は、一対の入力端子11A、11B、増幅部12A、12B、伝送線13A、13B、インダクタL1、L2、キャパシタ14A、14B、バイアス回路15、抵抗器R1、R2、増幅部16A、16B、トランス17、出力端子18、電力入力端子19、及び電力供給線19Aを含む。
【0015】
入力端子11A、11Bは、差動信号が入力される電力増幅器10の入力端子である。入力端子11Aの出力側は、伝送線13Aを介して増幅部12Aのゲートに接続されており、入力端子11Bの出力側は、伝送線13Bを介して増幅部12Bのゲートに接続されている。
【0016】
入力端子11A、11Bには、例えば、図2(A)に示す差動信号が入力される。ここでは、図2(A)の上側に示す信号が入力端子11Aに入力され、図2(A)の下側に示す信号が入力端子11Bに入力されることとして説明を行う。
【0017】
差動信号は、電力増幅器10を含む電子装置が必要とする所望波から生成された差動信号であり、所望波と同一の周波数を有する。差動信号の周波数は、電子装置の用途に応じて決められる。なお、差動信号は、例えば、所望波を単相差動変換器で変換することによって生成される。
【0018】
増幅部12A、12Bは、NMOS(N type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。増幅部12Aのゲートは入力端子11Aに接続され、ドレインは伝送線13Aに接続され、ソースは接地されている。増幅部12Bのゲートは入力端子11Bに接続され、ドレインは伝送線13Bに接続され、ソースは接地されている。
【0019】
増幅部12A、12Bは、図2(A)に示すような差動信号が入力されると、それぞれ、差動信号を増幅した信号を出力する。
【0020】
伝送線13Aは、増幅部12Aのドレインと増幅部16Aのゲートを接続し、増幅部12Aで増幅された電力を増幅部16Aのゲートに伝送する。同様に、伝送線13Bは、増幅部12Bのドレインと増幅部16Bのゲートを接続し、増幅部12Aで増幅された電力を増幅部16Aのゲートに供給する。
【0021】
インダクタL1、L2は、互いに直列に接続された状態で、伝送線13Aと伝送線13Bとの間に接続されている。インダクタL1の一端(図1中の上側の端子)は伝送線13Aに接続され、インダクタL1の他端(図1中の下側の端子)は、インダクタL2の一端(図1中の上側の端子)に接続されている。インダクタL2の他端(図1中の下側の端子)は伝送線13Bに接続されている。
【0022】
キャパシタ14A、14Bは、それぞれ、伝送線13A、13Bに挿入されている。キャパシタ14A、14Bは、それぞれ、伝送線13A、13Bに増幅部12A、12Bから入力される直流成分を除去するために設けられている。
【0023】
抵抗器R1、R2は、互いに直列に接続された状態で、伝送線13Aと伝送線13Bとの間に接続されている。抵抗器R1の一端(図1中の上側の端子)は伝送線13Aに接続され、抵抗器R1の他端(図1中の下側の端子)は、抵抗器R2の一端(図1中の上側の端子)とバイアス回路15とに接続されている。抵抗器R2の他端(図1中の下側の端子)は伝送線13Bに接続されている。
【0024】
バイアス回路15は、抵抗器R1、R2の中点に接続されており、電源から入力される電圧Vxを電圧Vb1に変換して抵抗器R1、R2の中点に出力するバイアス回路である。電圧Vb1は、増幅部16A、16BをB級動作させるための動作点を決める電圧であり、抵抗器R1、R2を介して増幅部16A、16Bのゲートに入力される。
【0025】
バイアス回路15は、図3に示すように、PMOS(P type Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ15AとNMOSトランジスタ15Bを有する。PMOSトランジスタ15Aのドレインは電源に接続されており、ゲートには電圧Vxが入力され、ソースはNMOSトランジスタ15Bのドレインとゲートに接続されている。NMOSトランジスタ15Bは、ドレインがPMOSトランジスタ15Aのソースと自己のゲートに接続され、ゲートが自己のドレインとPMOSトランジスタ15Aのソースに接続され、ソースが接地されている。NMOSトランジスタ15Bのゲートは、バイアス回路15の出力端子であり、電圧Vb1を出力する。
【0026】
増幅部16A、16Bは、それぞれ、ゲートが伝送線13A、13Bに接続され、ドレインがトランスの一次巻線21A、21Bに接続され、ソースが接地されるNMOSトランジスタである。増幅部16A、16Bは、バイアス回路15の出力電圧Vb1がゲートに入力されることにより、B級動作を行う。
【0027】
増幅部16Aには、図2(B)の上側に示す信号が入力され、増幅部16Bには、図2(B)の下側に示す信号が入力される。図2(B)の上側に示す信号は、増幅部12Aで増幅された信号であり、入力端子11Aに入力される信号と同一の周波数を有する。また、図2(B)の下側に示す信号は、増幅部12Bで増幅された信号であり、入力端子11Bに入力される信号と同一の周波数を有する。
【0028】
増幅部16Aは、B級動作により図2(C)の上側に示す信号を出力し、増幅部16Bは、B級動作により図2(C)の下側に示す信号を出力する。
【0029】
トランス17は、一次巻線21A、21Bと二次巻線22とを有する。一次巻線21Aの一端(図1中の上側の端子)は増幅部16Aのドレインに接続され、他端(図1中の下側の端子)は、一次巻線21Bの一端(図1中の上側の端子)と、電力供給線19Aに接続される。
【0030】
一次巻線21Bの一端(図1中の上側の端子)は、一次巻線21Aの他端(図1中の下側の端子)と、電力供給線19Aとに接続され、他端(図1中の下側の端子)は、増幅部16Bのドレインに接続される。
【0031】
二次巻線22は、一端(図1中の上側の端子)が出力端子18に接続され、他端(図1中の下側の端子)が接地される。
【0032】
一次巻線21Aと二次巻線22は同一極性で巻回されており、一次巻線21Bと二次巻線22は逆極性で巻回されている。
【0033】
このため、トランス17の一次巻線21A、21Bに、それぞれ、図2(C)の上側及び下側に示す波形の信号が入力されると、二次巻線22からは、図2(D)に示す波形の信号が入力される。
【0034】
図2(D)に示す信号は、図2(A)に示す差動入力信号が増幅された波形を有する。なお、図2(B)、(C)、(D)に示す波形は歪みがない場合の理想的な波形であり、周波数は図2(A)に示す差動入力信号と同一である。
【0035】
出力端子18は、電力増幅器10の出力端子であり、トランス17の二次巻線22に接続されている。出力端子18には、負荷回路30が接続される。出力端子18は、トランス17の二次巻線22から出力される電力を負荷回路30に供給する。なお、図1には負荷回路30を抵抗器の記号で示すが、電力増幅器10が携帯電話端末機に実装される場合は、負荷回路30は、例えば、アンテナであり、所望波の信号は、携帯電話端末機の通信用の信号である。携帯電話端末機の所望波は、例えば、約1GHz程度の周波数の信号である。
【0036】
電力入力端子19は、電力供給線19Aを介して、インダクタL1、L2の中点、及び、トランス17の一次巻線21A、21Bの中点に接続されている。電力入力端子19には、出力電圧がVddの電源31が接続される。電源31から電力入力端子19に入力される電力は、電力供給線19Aを介して、インダクタL1、L2の中点、及び、トランス17の一次巻線21A、21Bの中点に供給される。
【0037】
ところで、増幅部16A、16Bの出力には二次歪み成分が含まれる。ここで、トランス17の一次巻線21A、21Bの中点と、インダクタL1、L2の中点とは、電力供給線19Aを介して接続されている。このため、増幅部16A、16Bのゲートには、電力供給線19A、インダクタL1、L2、及び伝送線13A、13Bを介して、増幅部16A、16Bの出力に含まれる二次歪み成分が入力される。この二次歪み成分は、増幅部16A、16Bに入力される差動信号に対する二次歪み成分である。
【0038】
このため、増幅部16A、16Bには、差動信号に加えて、自己の出力に含まれる二次歪み成分が入力されることになる。
【0039】
増幅部16A、16Bに差動信号と二次歪み成分がともに入力されると、増幅部16A、16Bの出力には、差動信号に対する三次歪み成分が含まれることになる。
【0040】
ここで、所望波の角周波数をω1とすると、入力端子11A、11Bを介して増幅部12A、12Bに入力される差動信号の角周波数、増幅部16A、16Bに入力される差動信号の角周波数は、ともにω1である。また、二次歪み成分の角周波数を(ω1−ω2)であり、三次歪み成分の角周波数を(2ω1−ω2)とする。
【0041】
一般的に、非線形な増幅器の入出力特性は(1)式で表される。
【0042】
【数1】

【0043】
ここで、x(t)は入力信号、y(t)は出力信号、α1〜α3は増幅器の一次、二次、三次の歪み係数を表す。
【0044】
所望波と2次歪み成分を合わせた信号は、(2)式で表される。
【0045】
【数2】

【0046】
(1)式の入出力特性を持つ増幅器に、所望波と2次歪み成分がともに入力した場合の出力信号は、(1)式に(2)式を代入することにより(3)式で示される。
【0047】
【数3】

【0048】
なお、(3)式には記載を簡略化するために3次の歪み成分だけを表す。
【0049】
このように、増幅部16A、16Bに差動信号と二次歪み成分がともに入力されると、増幅部16A、16Bの出力には、所望波に対する三次歪み成分が含まれることになる。
【0050】
三次歪み成分は、電力増幅器の出力の線形性を低下させる大きな要因の一つであるため、低減させることが望ましい。
【0051】
しかしながら、比較例の電力増幅器の出力には三次歪み成分が含まれるため、比較例の電力増幅器では、出力の線形性が低いという問題があった。
【0052】
このため、以下で説明する実施の形態1、2では、出力の線形性を改善した電力増幅器、及び、電子装置を提供することを目的とする。以下、実施の形態1、2の電力増幅器、及び、電子装置について説明する。
【0053】
<実施の形態1>
図4は、実施の形態1の電力増幅器を含む携帯電話端末機500を示す図であり、(A)は斜視透視図、(B)は携帯電話端末機500に含まれる基板504を示す図である。
【0054】
図4(A)に示すように、携帯電話端末機500の筐体501の外面には、表示部502及び操作部503が設けられており、筐体501の内部には、破線で示す基板504が収納されている。
【0055】
ここで、携帯電話端末機500は電子装置の一例であり、基板504は、回路基板の一例である。
【0056】
筐体501は、樹脂製又は金属製の筐体であり、表示部502及び操作部503を設置するための開口部を有する。表示部502は、例えば、文字、数字、画像等を表示できる液晶パネルであればよい。また、操作部503は、テンキーに加え、携帯電話端末機500の機能を選択するための種々の選択キーを含む。なお、携帯電話端末機500は、近接通信装置(赤外線通信装置、電子マネー用の通信装置等)又はカメラ等の付属装置を含んでもよい。
【0057】
また、図4(B)に示す基板504は、例えばFR4(Flame Retardant type 4:ガラス布基材エポキシ樹脂基板)規格の基板であり、表面504Aには銅箔をパターニングすることにより配線部505が形成されている。配線部505は、電子機器の駆動に必要な各種信号の伝送経路となるものである。配線部505は、例えば、レジストを用いたエッチング処理によってパターニングされている。
【0058】
なお、図4(B)には、基板504の表面に形成される配線部505を示すが、基板504は複数の配線部を有する積層基板であり、内層に電源用の配線部を含む。
【0059】
基板504には、携帯電話端末機500で通話等の通信を行うために必要なアンテナ511、RF通信部512、DA (Digital to Analog)コンバータ513、ベースバンド処理部514、及びCPU(Central Processing Unit)チップ515が実装されている。
【0060】
アンテナ511、RF通信部512、DAコンバータ513、ベースバンド処理部514、及びCPUチップ515は、例えば、半田ボールによって配線部505に接続されることにより、基板504に実装されている。
【0061】
実施の形態1の電力増幅器は、例えば、RF通信部512に含まれる。また、アンテナ511は、RF通信部512に含まれる電力増幅器の出力端子から電力供給を受ける素子の一例である。
【0062】
CPUチップ515で処理が行われた音声等の信号は、ベースバンド処理部514でベースバンド処理が行われた後に、DAコンバータ513でアナログ信号に変換され、RF通信部512で増幅処理とフィルタ処理等が行われた後に、アンテナ511から放射される。
【0063】
基板504として用いるFR4は、一般に、複数の絶縁層を積層し、各絶縁層の間(層間)、積層構造の最上面、及び積層構造の最下面にパターニングされた銅箔を有する。
【0064】
また、基板504は、配線部505を形成でき、回路を搭載することのできる誘電体製の基板であれば、FR4以外の基板であってもよい。
【0065】
また、配線部505は、電力損失が小さく、導電率が高い金属であれば銅(Cu)以外の金属(例えば、アルミニウム(Al)等)であってもよい。
【0066】
なお、図4には、電子装置の一例として携帯電話端末機500を示したが、電子装置は、携帯電話端末機500に限定されず、例えば、スマートフォンの端末機、地上デジタルテレビ放送用のチューナー等の通信を行う装置であってもよい。また、電子装置は、PC(Personal Computer)又はサーバ等であってもよい。
【0067】
次に、図5を用いて、実施の形態1の電力増幅器100について説明する。
【0068】
図5は、実施の形態1の電力増幅器100の回路構成を示す図である。
【0069】
電力増幅器100は、一対の入力端子11A、11B、増幅部12A、12B、伝送線13A、13B、インダクタL1、L2、キャパシタ14A、14B、フィルタ回路110、増幅部16A、16B、トランス17、出力端子18、電力入力端子19、及び電力供給線19Aを含む。
【0070】
これらのうち、フィルタ回路110以外の構成要素は、比較例の電力増幅器10に含まれる各要素と同様であるため、説明を省略する。
【0071】
ここで、増幅部12A、12Bは、所望波が差動入力される一対の第1増幅部の一例であり、増幅部16A、16Bは、増幅部12A、12Bの出力側に接続される一対の第2増幅部の一例である。また、トランス17は、増幅部16A、16Bの出力側に接続されるトランスの一例であり、電力供給線19Aは、電源から増幅部12A、12Bに電力を供給するとともに、トランス17を介して増幅部16A、16Bに電力を供給する電力供給線の一例である。
【0072】
フィルタ回路110は、インピーダンス回路120A、120Bを有する。フィルタ回路110は、増幅部12A、12Bと、増幅部16A、16Bとの間に接続され、所望波を増幅部16A、16Bに通過させるとともに、所望波の二次歪み成分を遮断する遮断回路の一例である。
【0073】
インピーダンス回路120A、120Bは、互いに直列に接続され、伝送線13Aと伝送線13Bとの間に接続される。インピーダンス回路120Aと120Bとの中点には、電源から電圧Vxが入力される。
【0074】
インピーダンス回路120A、120Bは、それぞれ、所望波の二次歪み成分を通過させる低インピーダンスを示すとともに、所望波を遮断する高インピーダンスを示す回路である。
【0075】
インピーダンス回路120A、120Bが、所望波の二次歪み成分を通過させる低インピーダンスを示すとともに、所望波を遮断する高インピーダンスを示すことにより、フィルタ回路110は、所望波を増幅部16A、16Bに通過させるとともに、所望波の二次歪み成分を遮断する。
【0076】
次に、図6を用いて、インピーダンス回路120A、120Bの具体的な回路構成について説明する。インピーダンス回路120A、120Bの構成は同一であるため、ここではインピーダンス回路120A、120Bを区別せずにインピーダンス回路120と称して説明する。
【0077】
図6は、実施の形態1の電力増幅器100のインピーダンス回路120の回路構成を示す図である。図7は、インピーダンス回路120の入力インピーダンスの周波数特性を示す図である。
【0078】
インピーダンス回路120は、入力端子121、バイアス電圧入力端子122、LPF(Low Pass Filter:ローパスフィルタ)123、124、及びOTA(Operational Transconductance Amplifier:トランスコンダクタンスアンプ)130A、130Bを有する。
【0079】
入力端子121は、伝送路13A、13B(図5参照)に接続される端子である。インピーダンス回路120Aの入力端子121は、伝送路13Aに接続され、インピーダンス回路120Bの入力端子121は、伝送路13Bに接続される。
【0080】
インピーダンス回路120の内部では、入力端子121は、LPF123の入力端子と、OTA130Bの出力端子とに接続される。
【0081】
バイアス電圧入力端子122は、電圧Vxを出力する電源に接続される端子である。バイアス電圧入力端子122は、OTA130Aの非反転入力端子と、OTA130Bの反転入力端子とに接続される。また、バイス電圧入力端子122は、OTA130AとOTA13Bにバイアス電圧を供給する。
【0082】
LPF123の入力端子は、入力端子121に接続され、LPF123の出力端子がOTA130Aの反転入力端子に接続される。LPF123は、抵抗器R11とキャパシタC11を有する。抵抗器R11は、入力端子121とOTA130Aの反転入力端子との間に挿入されている。キャパシタC11は、一端(図6中の上側の端子)がR11とOTA130Aの反転入力端子とに接続され、他端(図6中の下側の端子)が接地される。
【0083】
LPF123は、角周波数ω1の所望波を遮断し、角周波数(ω1−ω2)の二次歪み成分を透過する帯域特性を有する。
【0084】
OTA130Aは、反転入力端子がLPF123の出力端子に接続され、非反転入力端子がバイアス電圧入力端子122に接続され、出力端子がLPF124の入力端子に接続される。
【0085】
OTA130Aは、LPF123を通過した二次歪み成分が反転入力端子に入力されると、反転入力端子に入力される電圧の位相に応じた電流を出力する。
【0086】
LPF124は、入力端子がOTA130Aの出力端子に接続され、出力端子がOTA130Bの非反転入力端子に接続されている。LPF124は、抵抗器R12とキャパシタC12を有する。抵抗器R12は、一端(図6中の上側の端子)がOTA130Aの出力端子とOTA130Bの非反転入力端子とに接続され、他端(図6中の下側の端子)が接地される。キャパシタC12は、一端(図6中の上側の端子)がOTA130Aの出力端子とOTA130Bの非反転入力端子とに接続され、他端(図6中の下側の端子)が接地される。
【0087】
LPF124は、角周波数ω1の所望波を遮断し、角周波数(ω1−ω2)の二次歪み成分を透過する帯域特性を有する。
【0088】
OTA130Bは、反転入力端子がバイアス電圧入力端子122に接続され、非反転入力端子がLPF124の出力端子に接続され、出力端子が入力端子121に接続されている。
【0089】
OTA130Bは、LPF124を通過した二次歪み成分が非反転入力端子に入力されると、非反転入力端子に入力される電圧の位相に応じた電流を出力する。
【0090】
ここで、OTA130A、130BのコンダクタンスをそれぞれGm1、Gm2とすると、入力端子121から見たインピーダンス回路120の入力インピーダンスZxは、(4)式で表される。
【0091】
【数4】

【0092】
なお、s=jωである。
【0093】
インピーダンス回路120の入力インピーダンスZxは、図7に示すような周波数特性を有する。なお、LPF123の抵抗器R11の抵抗値(R11)とキャパシタC11の静電容量(C11)、LPF124の抵抗器R12の抵抗値(R12)とキャパシタC12の静電容量(C12)の間には、1/(C12・R12)<1/(C11・R11)が成立するものとする。
【0094】
入力インピーダンスZxは、入力端子121に入力する信号の角周波数ωがω=1/(C12・R11)である場合には、Zx≒1/(Gm1・Gm2・R12)になる。また、ω=1/(C11・R11)である場合には、Zx≒R1になる。
【0095】
従って、LPF123の抵抗器R11の抵抗値(R11)とキャパシタC11の静電容量(C11)は、所望波の角周波数ω1に対して、ω1>1/(C11・R11)が成立するように設定すればよい。これにより、インピーダンス回路120で所望波を遮断することができる。
【0096】
また、LPF124の抵抗器R12の抵抗値(R12)とキャパシタC12の静電容量(C12)は、二次歪み成分の角周波数(ω1−ω2)に対して、(ω1−ω2)<1/(C12・R12)が成立するように設定すればよい。これにより、インピーダンス回路120に二次歪み成分を引き込むことができる。
【0097】
以上のような構成のインピーダンス回路120は、所望波を遮断するとともに、二次歪み成分を引き込むことができる。
【0098】
図6に示すインピーダンス回路120は、実際には図5に示すようにインピーダンス回路120A、120Bとして、伝送路13A、13Bの間に接続されており、それぞれの入力端子121は、増幅部16A、16Bのゲートに接続されている。
【0099】
従って、実施の形態1の電力増幅器100によれば、二次歪み成分はインピーダンス回路120A、120Bに引き込まれ、所望波はインピーダンス回路120A、120Bには引き込まれずに増幅部16A、16Bのゲートに入力されることになる。すなわち、増幅部16A、16Bのゲートに二次歪み成分が入力されることを抑制することができる。
【0100】
次に、実施の形態1の電力増幅器100のインピーダンス回路120に含まれるOTA130A、130Bの回路構成について説明する。OTA130A、130Bは、コンダクタンスが異なるが、回路構成は同様である。従って、ここでは、OTA130A、130Bを区別せずにOTA130と称して説明を行う。
【0101】
図8は、実施の形態1の電力増幅器100に含まれるOTA130の回路構成を示す図である。
【0102】
OTA130は、PMOSトランジスタ131、132、133、NMOSトランジスタ134、135、及び、出力端子136を有する。
【0103】
PMOSトランジスタ131は、ドレインが電源ライン140に接続され、ゲートに電源から電圧Vxが入力され、ソースがPMOSトランジスタ132、133のドレインに接続されている。PMOSトランジスタ131は、電圧Vxが入力されることにより、ドレインーソース間に電流2Iが流れるサイズを有することとする。
【0104】
PMOSトランジスタ132とPMOSトランジスタ133は、並列に接続されている。PMOSトランジスタ132のサイズとPMOSトランジスタ133のサイズは同一である。PMOSトランジスタ132のドレインは、PMOSトランジスタ131のソースとPMOSトランジスタ133のドレインに接続されている。PMOSトランジスタ132のゲートは、OTA130の非反転入力端子(IN+)に接続され、PMOSトランジスタ132のソースはNMOSトランジスタ134のドレインに接続されている。
【0105】
PMOSトランジスタ133は、PMOSトランジスタ132と並列に接続されており、ドレインがPMOSトランジスタ131のソースとPMOSトランジスタ132のドレインに接続され、ゲートがOTA130の反転入力端子(IN−)に接続され、ソースがNMOSトランジスタ135のドレインに接続されている。
【0106】
PMOSトランジスタ132とPMOSトランジスタ133は、サイズが等しいため、PMOSトランジスタ131に流れる電流2Iは、PMOSトランジスタ132とPMOSトランジスタ133で等分される。このため、PMOSトランジスタ132、133のドレインーソース間には、それぞれ、Iの電流が流れる。
【0107】
NMOSトランジスタ134、135は、カレントミラー回路を構築している。NMOSトランジスタ134のドレインは、自己のゲート、NMOSトランジスタ135のゲート、及び、PMOSトランジスタ133のソースに接続されている。NMOSトランジスタ134のゲートは、自己のドレインとNMOSトランジスタ135のゲートに接続されている。NMOSトランジスタ134のソースは、電源ライン141に接続されている。電源ライン141は接地されている。
【0108】
NMOSトランジスタ135のドレインは、PMOSトランジスタ133のソースに接続されている。NMOSトランジスタ135のゲートは、NMOSトランジスタ134のゲートと、NMOSトランジスタ134のドレインに接続されている。NMOSトランジスタ135のソースは、電源ライン141に接続されている。
【0109】
カレントミラー回路を構築するNMOSトランジスタ134、135のドレイン電圧はともにVb2であり、NMOSトランジスタ134、135には、それぞれ、PMOSトランジスタ132、133から流入する電流Iが流れることになる。
【0110】
出力端子136は、PMOSトランジスタ133のソースと、NMOSトランジスタ135のドレインとの間に接続されている。OTA130がOTA130Aの場合は、出力端子136は、LPF124の入力端子に接続される。また、OTA130がOTA130Bである場合は、出力端子136は、インピーダンス回路120の入力端子121に接続される。
【0111】
すなわち、OTA130がOTA130Bである場合には(図5に示すインピーダンス回路120A、120BのOTA130Bである場合には)、出力端子136は、増幅部16A、16Bのゲートに接続されることになる。
【0112】
ここで、図8に示すOTA130の動作を図6に示すOTA130A、130Bのそれぞれに当てはめた場合の動作について簡単に説明する。
【0113】
OTA130Aは、非反転入力端子(IN+)に入力されるバイアス電圧Vxと、反転入力端子(IN−)にLPF123から入力される電圧との位相に基づき、NMOSトランジスタ134、135で構築されるカレントミラー回路から電流I2を出力する。出力端子136からは出力される出力電圧は、LPF124に入力される。
【0114】
OTA130Bは、非反転入力端子(IN+)にLPF124から入力される電圧と、反転入力端子(IN−)に入力されるバイアス電圧Vxとの位相に基づき、NMOSトランジスタ134、135で構築されるカレントミラー回路から電流I2を出力する。出力端子136から出力される出力電圧は、インピーダンス回路120の入力端子121の電圧として、増幅部16A、16Bのゲートに入力される。
【0115】
このように動作するOTA130A及びOTA130Bを含むインピーダンス回路120は、二次歪み成分を引き込み、所望波を遮断するため、増幅部16A、16Bには、所望波が入力される。
【0116】
以上のように、インピーダンス回路120は、角周波数がω1の所望波に対しては高いインピーダンスを示し、角周波数が(ω1−ω2)の二次歪み成分に対しては低いインピーダンスを示すことにより、所望波を遮断し、二次歪み成分を引き込む。
【0117】
すなわち、インピーダンス回路120A、120B(図5参照)が、所望波の二次歪み成分を通過させる(引き込む)とともに、所望波を遮断するため、フィルタ回路110は、所望波を増幅部16A、16Bに通過させるとともに、所望波の二次歪み成分を遮断することになる。
【0118】
従って、増幅部16A、16Bへの二次歪み成分の入力が抑制され、増幅部16A、16Bの出力に三次歪み成分が生じることを抑制できる。
【0119】
このため、実施の形態1によれば、出力の線形性を改善した電力増幅器100と、電力増幅器100を含む電子装置を提供することができる。
【0120】
ここで、OTA130Bのサイズを調整すれば、比較例のバイアス回路15の出力電圧と等しい電圧を増幅部16A、16Bに供給できるため、OTA130Bを含むインピーダンス回路120A、120Bは、比較例のバイアス回路15と同様にバイアス回路としても機能することになる。
【0121】
図3に示した比較例のバイアス回路15のNMOSトランジスタ15Bのサイズをβ1、閾値電圧をVth、NMOSトランジスタ15Bに流れる電流をIとすると、バイアス回路15の出力電圧Vb1は、(5)式で表される。
【0122】
【数5】

【0123】
また、OTA130Bのカレントミラー回路を構築するNMOSトランジスタ134、135のサイズをβ2、閾値電圧をVth、出力端子136の出力電圧をVb2とすると、NMOSトランジスタ134、135には電流Iが流れることから、OTA130Bの出力電圧Vb2は、(6)式で表される。
【0124】
【数6】

【0125】
ここで、(7)式が成立する場合、(8)式が成立する。
【0126】
【数7】

【0127】
【数8】

【0128】
従って、バイアス回路15のNMOSトランジスタ15Bと、OTA130BのNMOSトランジスタ134、135との間に(7)式が成立するようにOTA130Bを設計すれば、実施の形態1の電力増幅器100において、比較例の電力増幅器10と等しいバイアス電圧を増幅部16A、16Bのゲートに印加できる。
【0129】
この結果、実施の形態1の電力増幅器100においても、比較例の電力増幅器10と同様に、増幅部16A、16Bの安定的なB級動作を実現することができる。
【0130】
図9は、実施の形態1の電力増幅器100と比較例の電力増幅器10の増幅部16A、16Bにおける入力電力に対する出力電力の特性を示す図である。図9に示す特性は、回路シミュレータによるシミュレーションによって得られたものである。
【0131】
図9に示すように、実施の形態1の電力増幅器100の増幅部16A、16Bの出力電力は、比較例の電力増幅器10の増幅部16A、16Bの出力電力に比べて約10(dBm)程度改善されている。
【0132】
これは、実施の形態1の電力増幅器100において、増幅部16A、16Bに入力する所望波を減衰させることなく二次歪み成分を低減し、増幅部16A、16Bの出力における三次歪み成分を低減できたことを表している。
【0133】
以上のように、実施の形態1によれば、出力の線形性を改善した電力増幅器100を提供することができる。
【0134】
なお、以上では、フィルタ回路110がインピーダンス回路120A、120Bを含む形態について説明した。しかしながら、フィルタ回路110は、上述の回路構成に限定されるものではなく、所望波を増幅部16A、16Bに通過させるとともに、所望波の二次歪み成分を遮断することができれば、他の回路構成であってもよい。
【0135】
また、以上では、インピーダンス回路120A、120Bが2次フィルタ型の回路構成を有する形態について説明したが、インピーダンス回路120A、120Bは、OTA130BとLPF124を含まない1次フィルタ型の回路構成であってもよい。
【0136】
<実施の形態2>
図10は、実施の形態2の電力増幅器のインピーダンス回路を示す図である。
【0137】
実施の形態2の電力増幅器は、インピーダンス回路の構成が実施の形態1の電力増幅器100のインピーダンス回路120A、120Bと異なる。その他の構成は実施の形態1の電力増幅器100と同様であるため、同一又は同等の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0138】
図10に示すインピーダンス回路220は、実施の形態1の電力増幅器100のインピーダンス回路120A、120Bの代わりに組み込む回路である。ここでは、実施の形態1のインピーダンス回路120A、120Bが同一の回路構成を有していたのと同様に、実施の形態2の電力増幅器の伝送路13A、13Bの間に含まれる2つのインピーダンス回路も同一の回路構成を有する。このため、ここでは、2つのインピーダンス回路を区別せずに、図10に示すインピーダンス回路220について説明する。
【0139】
実施の形態2のインピーダンス回路220は、実施の形態1のインピーダンス回路120(図6参照)に、OTA130CとLPF125を追加して、3次フィルタにしたものである。
【0140】
LPF125は、入力端子がOTA130Bの出力端子に接続され、出力端子がOTA130Cの非反転入力端子に接続されている。LPF125は、抵抗器R13とキャパシタC13を有する。抵抗器R13は、一端(図10中の上側の端子)がOTA130Bの出力端子とOTA130Cの非反転入力端子とに接続され、他端(図10中の下側の端子)が接地される。キャパシタC13は、一端(図10中の上側の端子)がOTA130Bの出力端子とOTA130Cの非反転入力端子とに接続され、他端(図10中の下側の端子)が接地される。
【0141】
LPF125は、角周波数ω1の所望波を遮断し、角周波数(ω1−ω2)の二次歪み成分を透過する帯域特性を有する。
【0142】
フィルタ125の抵抗器R13の抵抗値(R13)とキャパシタC13の静電容量(C13)は、実施の形態1で説明した(7)式及び(8)式のR12とC12の代わりに、(7)式及び(8)式を満たすように設定される。
【0143】
OTA130Cは、反転入力端子がバイアス電圧入力端子122に接続され、非反転入力端子がLPF125の出力端子に接続され、出力端子が入力端子121に接続されている。
【0144】
OTA130Cは、LPF125を通過した二次歪み成分が非反転入力端子に入力されると、非反転入力端子に入力される電圧の位相に応じた電流を出力する。
【0145】
上述のように、実施の形態2の電力増幅器は、インピーダンス回路220が3次フィルタにされている。3次フィルタ型のインピーダンス回路220は、2次フィルタ型のインピーダンス回路120よりも、二次歪み成分をより効果的に除去することができる。
【0146】
このため、実施の形態2の電力増幅器は、実施の形態1の電力増幅器100と同様に、増幅部16A、16Bへの二次歪み成分の入力が抑制され、増幅部16A、16Bの出力に三次歪み成分が生じることを抑制できる。
【0147】
また、実施の形態2によれば、出力の線形性を改善した電力増幅器100を提供することができる。
【0148】
以上、本発明の例示的な実施の形態の電力増幅器、及び、電子装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
以上の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
所望波が差動入力される一対の第1増幅部と、
前記第1増幅部の出力側に接続される一対の第2増幅部と、
前記第2増幅部の出力側に接続されるトランスと、
電源から前記第1増幅部に電力を供給するとともに、前記トランスを介して前記第2増幅部に電力を供給する電力供給線と、
前記第1増幅部と前記第2増幅部との間に接続され、前記所望波を前記第2増幅部に通過させるとともに、前記所望波の二次歪み成分を遮断する遮断回路と
を含む電力増幅器。
(付記2)
前記遮断回路は、前記一対の第1増幅部の一方の出力を前記一対の第2増幅部の一方に伝送する第1伝送線と、前記一対の第1増幅部の他方の出力を前記一対の第2増幅部の他方に伝送する第2伝送線との間に接続される一対のインピーダンス回路を有し、
前記一対のインピーダンス回路は、それぞれ、前記所望波の二次歪み成分を通過させる低インピーダンスを示すとともに、前記所望波を遮断する高インピーダンスを示す、付記1記載の電力増幅器。
(付記3)
前記一対のインピーダンス回路は、それぞれ、
前記所望波の二次歪み成分を通過させ、前記所望波を遮断する低帯域通過フィルタと、
前記低帯域通過フィルタの出力側に接続されるトランスコンダクタンスアンプと
を有する、付記2記載の電力増幅器。
(付記4)
前記一対の第2増幅部は、B級動作を行う一対のトランジスタであり、
前記トランスは、
前記一対のトランジスタの一方の出力側に接続される第1の一次巻線と、
前記一対のトランジスタの他方の出力側に接続される第2の一次巻線と、
前記第1の一次巻線及び前記第2の一次巻線と結合される二次巻線と
を有し、前記第1の一次巻線と前記二次巻線は同一極性で巻回され、前記第2の一次巻線と前記二次巻線とは逆極性で巻回される、付記1乃至3のいずれか一項記載の電力増幅器。
(付記5)
前記第1増幅部及び前記第2増幅部は、MOSトランジスタである、付記1乃至4のいずれか一項記載の電力増幅器。
(付記6)
付記1乃至5のいずれか一項に記載の電力増幅器と、
前記電力増幅器の出力端子に接続され、前記出力端子から電力供給を受ける素子と
を含む、電子装置。
【符号の説明】
【0149】
11A、11B 入力端子
12A、12B 増幅部
13A、13B 伝送線
L1、L2 インダクタ
14A、14B キャパシタ
15 バイアス回路
16A、16B 増幅部
17 トランス
18 出力端子
19 電力入力端子
19A 電力供給線
21A、21B 一次巻線
22 二次巻線
30 負荷回路
100 電力増幅器
110 フィルタ回路
120 インピーダンス回路
121 入力端子
122 バイアス電圧入力端子
123、124 LPF
130、130A、130B OTA
131、132、133 PMOSトランジスタ
134、135 NMOSトランジスタ
136 出力端子
220 インピーダンス回路
500 携帯電話端末機
511 アンテナ
512 RF通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望波が差動入力される一対の第1増幅部と、
前記第1増幅部の出力側に接続される一対の第2増幅部と、
前記第2増幅部の出力側に接続されるトランスと、
電源から前記第1増幅部に電力を供給するとともに、前記トランスを介して前記第2増幅部に電力を供給する電力供給線と、
前記第1増幅部と前記第2増幅部との間に接続され、前記所望波を前記第2増幅部に通過させるとともに、前記所望波の二次歪み成分を遮断する遮断回路と
を含む電力増幅器。
【請求項2】
前記遮断回路は、前記一対の第1増幅部の一方の出力を前記一対の第2増幅部の一方に伝送する第1伝送線と、前記一対の第1増幅部の他方の出力を前記一対の第2増幅部の他方に伝送する第2伝送線との間に接続される一対のインピーダンス回路を有し、
前記一対のインピーダンス回路は、それぞれ、前記所望波の二次歪み成分を通過させる低インピーダンスを示すとともに、前記所望波を遮断する高インピーダンスを示す、請求項1記載の電力増幅器。
【請求項3】
前記一対のインピーダンス回路は、それぞれ、
前記所望波の二次歪み成分を通過させ、前記所望波を遮断する低帯域通過フィルタと、
前記低帯域通過フィルタの出力側に接続されるトランスコンダクタンスアンプと
を有する、請求項2記載の電力増幅器。
【請求項4】
前記一対の第2増幅部は、B級動作を行う一対のトランジスタであり、
前記トランスは、
前記一対のトランジスタの一方の出力側に接続される第1の一次巻線と、
前記一対のトランジスタの他方の出力側に接続される第2の一次巻線と、
前記第1の一次巻線及び前記第2の一次巻線と結合される二次巻線と
を有し、前記第1の一次巻線と前記二次巻線は同一極性で巻回され、前記第2の一次巻線と前記二次巻線とは逆極性で巻回される、請求項1乃至3のいずれか一項記載の電力増幅器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電力増幅器と、
前記電力増幅器の出力端子に接続され、前記出力端子から電力供給を受ける素子と
を含む、電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−9203(P2013−9203A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141138(P2011−141138)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】