説明

電力変換装置のコンデンサ容量判定方法

【課題】電力変換装置のコンデンサ容量判定において、入力電圧とコンデンサ電圧から充電時間を測定し、コンデンサ容量から演算される時間と比較して判定した場合、測定中に外乱が起こった場合、誤判定が生じる。
【解決手段】充電時間からコンデンサ容量の異常を判定する方法に代わり、入力電圧とコンデンサ電圧と充電抵抗器の値から充電電流を演算し、充電電流から充電完了までにコンデンサに蓄えられた電荷を演算し、充電完了時のコンデンサ電圧で割ることによりコンデンサ容量をもとめ、コンデンサ容量測定時の誤差を無くす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置搭載のコンデンサ容量の自動試験方法に関するもので、特に、入力側電圧の変動による誤判定を回避するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道用電力変換装置ではその入力部にコンデンサを設けて、出力電圧の安定化、LCフィルタによる高調波成分の除去および非停電離線時間の確保を行なっている。
そのため、フィルタコンデンサ容量の低下は前述の機能に影響を与え、最悪の場合、装置破損につながる恐れがあるが、容量確認のための作業は容易に行なうことができない。
そこで、フィルタコンデンサの容量確認を容易に行なう方法として、電力変換装置搭載のコンデンサ容量を自動測定することが行なわれている。
電力変換装置搭載のコンデンサ容量を自動測定する方法としては、充電開始からコンデンサ電圧が入力電圧と同じ電圧になるまでの時間を測定し、設計時における正常値を有するコンデンサ容量(設計時コンデンサ容量)から計算される充電時間と比較し、コンデンサ容量の異常を判定する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−202250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術においては、以下に示す問題点がある。
鉄道用電力変換装置の場合、入力電圧は架線からの供給となり、架線の負荷の状態によっては変動が大きくなる。
コンデンサ充電中に入力電圧が変動した場合、入力電圧が変動しなかった場合に対して充電完了までの時間が大きく変化してしまう。
そのため、充電時間を測定し、設計時コンデンサ容量から求められる充電時間と比較し、容量の異常を判定する方法の場合は誤判定される場合がある。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によれば、
鉄道用電力変換装置において、
コンデンサと抵抗器と入力電圧検出器とコンデンサ電圧検出器から成り、
該入力電圧検出器で検出される入力電圧値と該コンデンサ電圧検出器で検出されるコンデンサ電圧値と該抵抗器の抵抗値から総電荷量を演算し、該コンデンサ容量を測定し、コンデンサの状態を判定することを特徴とするコンデンサ容量判定装置。
【0006】
請求項2の発明によれば、
鉄道用電力変換装置において、
コンデンサと抵抗器と入力電圧検出器とコンデンサ電圧検出器から成り、
該入力電圧検出器で検出される入力電圧値と該コンデンサ電圧検出器で検出されるコンデンサ電圧値と該抵抗器の抵抗値から総電荷量を演算し、該コンデンサ容量を測定し、コンデンサの状態を判定することを特徴とするコンデンサ容量判定方法。
【0007】
本発明では、問題点を解決するために、充電時間を演算する演算器に代わり、入力電圧検出器とフィルタコンデンサ電圧検出器と充電抵抗器の抵抗値から充電された総電荷量を演算し、コンデンサ容量を演算する。
【発明の効果】
【0008】
電力変換装置のコンデンサ容量判定において、入力電圧とコンデンサ電圧から充電時間を測定し、設計時コンデンサ容量から演算される時間と比較して判定した場合、測定中に外乱が起こった場合、誤判定が生じる。
よって、本発明では、充電時間からコンデンサ容量の異常を判定する方法に代わり、入力電圧とコンデンサ電圧と充電抵抗器の値から充電電流を演算し、充電電流から充電完了までにコンデンサに蓄えられた電荷を演算し、充電完了時のコンデンサ電圧で割ることによりコンデンサ容量をもとめ、コンデンサ容量測定時の誤差を無くすことを企図した。
本発明の方法を用いることにより、入力電圧変動等による外部環境の変化に左右されず、コンデンサ容量の状態が判定でき、かつコンデンサ容量をほぼ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一実施例を示す論理図である。
【図2】図2は、本発明および一従来例を示す回路図である。
【図3】図3は、一従来例を示す論理図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電流演算手段を新たに追加することにより、コンデンサに蓄えられる電荷を演算することが可能となり、最終的に蓄えられた電荷と最終的なコンデンサ電圧からコンデンサの容量を正確に測定することができる。
【実施例1】
【0011】
充電時間による判定から、コンデンサ容量を測定する方法に変更する。
入力電圧およびコンデンサ電圧を検出し、充電電流を計算し、充電完了までにコンデンサに蓄えられた電荷を求め、充電完了時のコンデンサ電圧で割ることによりコンデンサ容量を求める。
【産業上の利用可能性】
【0012】
鉄道車両用電力変換装置のような、コンデンサ容量を測定器によって測定するために、部品を取り出すという作業が非常に困難な装置において、コンデンサの容量を自動的に精度よく測定することができ、メンテナンスに非常に有用である。
【符号の説明】
【0013】
1 入力電圧検出器
2 コンデンサ電圧検出器
3 抵抗器
4 コンデンサ
5 電圧入力用電源
6 スイッチ
7 演算装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用電力変換装置において、
コンデンサと抵抗器と入力電圧検出器とコンデンサ電圧検出器から成り、
該入力電圧検出器で検出される入力電圧値と該コンデンサ電圧検出器で検出されるコンデンサ電圧値と該抵抗器の抵抗値から総電荷量を演算し、該コンデンサ容量を測定し、コンデンサの状態を判定することを特徴とするコンデンサ容量判定装置。
【請求項2】
鉄道用電力変換装置において、
コンデンサと抵抗器と入力電圧検出器とコンデンサ電圧検出器から成り、
該入力電圧検出器で検出される入力電圧値と該コンデンサ電圧検出器で検出されるコンデンサ電圧値と該抵抗器の抵抗値から総電荷量を演算し、該コンデンサ容量を測定し、コンデンサの状態を判定することを特徴とするコンデンサ容量判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−75507(P2011−75507A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229754(P2009−229754)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】