説明

電力変換装置

【課題】 この発明になる電力変換装置は、電力変換装置を構成する単相インバータやDC−DCコンバータ等のゲート電源を共通化し、ユニット構成を簡略化して安価で性能の良い電力変換装置を提供するものである。
【解決手段】系統に並列もしくは直列に接続された少なくとも2つ以上の単相インバータを備え、各インバータ間を接続する端子と同電位のソース端子を有するスイッチ群を駆動するゲート用の電源を共通化したことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関し、例えば系統に直列に直送スイッチを接続した無瞬断電源装置として用いられる電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、無瞬断電源装置として種々の回路構成のものが提案されており、例えば特開平1−222635号公報(特許文献1参照)や特開平8−223822号公報(特許文献2参照)に示されるものがある。
【0003】
特許文献1に示される従来の無瞬断電源装置は、交流入力電圧を一旦直流に変換した後、再び交流に逆変換して出力する定電圧定周波数電源装置(CVCF)と、このCVCFをバイパスする半導体スイッチからなるバイパス回路とを備えており、正常時も電圧低下時もコンバータを通して一旦交流を直流化し、その直流をインバータで交流化する構成を採っている。このため、正常時においても常に電流が半導体を通過することとなり、ロスが常に発生すると共に、装置全体の総合効率を低下させ、冷却のために装置が大型化する問題がある。また、インバータの出力はPWM制御された矩形波が必要となるため、その平滑のために大型のフィルタが必要となる課題があった。
【0004】
また、特許文献2に示される従来の無瞬断電源装置では、正常時には直送スイッチで商用ラインを負荷に直結しているが、商用ラインが一定電圧以下に低下した場合には、直送スイッチを切り離し、インバータと昇圧トランスを通してバッテリの電力を負荷に供給する構成を採っている。このような構成の場合、昇圧トランスは、インバータにて発生する矩形電圧の平滑機能を備える必要があり、また商用周波数の電圧を伝達する必要があるため、電圧時間積(磁束量)の大きなものが要求されることとなり、そのため大型で高価なシステムとなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−222635号公報
【特許文献2】特開平8−223822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上述のような電力変換装置を構成する単相インバータやDC−DCコンバータ等のゲート電源を共通化し、ユニット構成を簡略化して安価で性能の良い電力変換装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電力変換装置は、系統に並列もしくは直列に接続された少なくとも2つ以上の単相インバータを備え、各インバータ間を接続する端子と同電位のソース端子を有するスイッチ群を駆動するゲート用の電源を共通としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の電力変換装置によれば、ゲート電源を共通化することができるので、ゲート電源の数を大幅に削減でき、簡単・安価にして、しかもノイズ電流や漏洩電流を減少してノイズならびにロスの少ない制御回路構成を実現することができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無瞬断電源装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す無瞬断電源装置のインバータ部分の回路例を示す。
【図3】図1に示す無瞬断電源装置のチョッパ部分の回路例を示す。
【図4】本発明の実施の形態2に係るDC―DCコンバータ部分の構成図と動作波形図を示す。
【図5】図1に示す無瞬断電源装置のゲート回路部分の回路例を示す。
【図6】図1に示す無瞬断電源装置の電圧増加動作を説明する波形図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る無瞬断電源装置の出力波形の一例を示す擬似正弦波形である。
【図8】系統電圧の変動に応じて各インバータと系統間における電力の送受を説明する図である。
【図9】図1に示す無瞬断電源装置の単相インバータ群を無効電力補償装置として動作させた場合の波形図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る無瞬断電源装置の詳細回路図である。
【図11】図10において、ゲート電源の共通化を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る無瞬断電源装置の概略構成図を示している。図1において、電源1は通常、系統電圧Voを有する商用交流電源であり、リレー等の機械式スイッチからなる直送スイッチ3を介して負荷2へ直接電力を供給している。上記負荷2には、それぞれの交流側端子が上記系統と並列関係に挿入された単相インバータ群4、5、6と、上記系統と直列関係に挿入された単相インバータ7とが接続されている。上記単相インバータ4乃至7の直流側端子はそれぞれコンデンサ8乃至11が接続され、それぞれの電圧VB4、VB3、VB2、VB1のエネルギーをDC−DCコンバータ12を介して、上記単相インバータ群4、5、6と、上記単相インバータ7との間でやり取りできるように構成されている。
【0011】
また、上記DC−DCコンバータ12はバッテリ13からチョッパ14を介して所定の直流電圧を供給され、このチョッパ14からの出力は上記単相インバータ4の直流側端子にも供給されている。上記単相インバータ群4、5、6の出力端はそれぞれ直列接続され、フィルタ15を介して上記負荷2に接続されている。
ここで単相インバータ4乃至7は、それぞれ図2に示されるように、単相ブリッジ接続された例えばMOSFETなどのスイッチ20乃至23と、各素子に逆並列接続された寄生ダイオード24乃至27と、各スイッチのゲートを駆動するゲート駆動回路30乃至33とからなる周知の構成を採用することができる。
【0012】
次に、チョッパ回路14は図3に示されるように、リアクトル40及びMOSFETなどのスイッチ41、42と、ダイオード43、44と、ゲート回路45、46とで構成されており、入力端子に接続されたバッテリ13の電圧は昇圧されて出力端子から出力される。 また、DC−DCコンバータ12は、図4(a)に示されるように、複数の巻き線N1、N2、N3、N4を有するトランス50と、それぞれの巻き線N1乃至N4に直列に設けられたMOSFETなどのスイッチ51乃至54と、ダイオード55乃至58と、ゲート回路59乃至62とから構成されており、上記スイッチ51乃至54を制御することによりコンバータ制御を行っている。図4(b)は上記スイッチ51乃至54の導通制御の一例を示しており、詳細は後述する。更に、図5はゲート回路の一例を示すものであり、図中、フォトカップラ65、直流電源66は、抵抗67、増幅バッファ68から構成されている。
【0013】
次に、図1の無瞬断電源装置の動作について図6乃至図9を参照しながら説明する。正常時においては直送スイッチ3が閉じており、これを通して系統電源1から系統電圧Voが直接負荷2へ供給されている。この際、単相インバータ4、5、6は整流器として働かせ、それぞれの直流側コンデンサ8、9、10を充電すると共に、単相インバータ7はゼロを出力するようになされている。無瞬断電源装置の動作として大きく2つに分けられる。1つは、系統1の電圧が低下もしくは増加した場合の増電圧、減電圧補償作用であり、もう1つは系統が停電に至った場合の電圧補償作用である。
【0014】
まず、系統1の電圧が低下した場合について考える。図6において、時刻toにて系統の電圧Voが低下したとすると、インバータ7が動作を開始する。インバータ7の直流コンデンサ11にはDC電圧VB1が充電されており、インバータ7が系統の周波数に同期して、交流電圧VB1outを出力することにより負荷電圧Vdは各極性共にVB1だけ増加した波形となる。これにより系統電圧の低下分を補償することができる。なお、直流コンデンサ11による電力の送受については実施の形態2において説明する。
【0015】
反対に、系統電圧Voが増加した場合には、系統電圧Voと逆極性にインバータ7の出力を発生させれば負荷電圧には所定の電圧が印加されることとなる(図示せず)。
続いて、系統が停電した場合について説明する。系統が停電すると、まず直送スイッチ3が切り離され、チョッパ回路14が動作して、バッテリ13から単相インバータ4の直流コンデンサ8に電力を供給する。また、直流コンデンサ8からDC/DCコンバータ12によって各直流コンデンサ9、10、11に電力を伝送する。例えば、各直流コンデンサの電圧VB1〜VB4の関係は、例えば1:2:4:8とする。実際は各直流コンデンサの関係としてはその他にも多数考えられ、例えば1:3:9:27とすることもでき、また各電圧を全く同じとすることもできる。
【0016】
直送スイッチ3が切り離されると、4つのインバータ4乃至7は全て負荷に直列に接続されることになるから、4つのインバータの出力を組み合わせて、所望の波形を生成することができる。例えば、1:2:4:8の場合、2進数の組み合わせにより、片側16レベル(ゼロを含む)の電圧を出力することが可能である。片側16レベルの電圧波形を出力することができるから、出力フィルタの効果も合わせて、ほぼ正弦波状の電圧を負荷に供給することが可能となる。図7は、片側16レベルにて生成された擬似正弦波を示すものである。このように、4つのインバータの出力を組み合わせることにより、系統の停電時にも負荷2に電力を供給することが可能となる。なお、1:3:9:27の関係の場合、片側40レベルの波形を出力することが可能である。さらに、少なくとも1個以上のインバータをPWM動作させると更にきめ細かい波形の制御が可能となる。
【0017】
次に、系統の電圧が低下もしくは増加した場合のコンデンサ11による電力の送受について説明する。コンデンサ11によるVB1の電力は、系統電圧Voが増加した場合は負荷2側から流入し、系統電圧Voが低下した場合は負荷2へ流出する。従って、DC/DCコンバータ12によってその電力を送受してやる必要がある。インバータ4〜6の3つのインバータは、その出力電圧の組み合わせによってやはり正弦波などを生成することが可能であるから、例えばVB2〜VB4までの電圧の関係を3:9:27として、最大、片側14レベルの電圧を出力することにより、出力レベルを正弦波に近似させ、フィルタ15で平滑化することにより、各インバータから系統に電力を流出させることが可能となる。
【0018】
例えば、系統の電圧Voが低下した場合、単相インバータ7の出力電圧VB1outにより補償してやるためには、DC/DCコンバータ12を通して直流コンデンサ8、9、10から直流コンデンサ11に電力を送る必要がある。そのためには、直流コンデンサ8、9、10に対して電力を系統から注入しなければならない。具体的には、図8(a)に示されるように系統電圧より低い電圧をインバータ4〜6が出力する状態すなわち整流器運転にすれば、系統からインバータ4〜6に電流が流れ込み、直流コンデンサ8、9、10に充電される。すなわち直流コンデンサ8、9、10のトータル電力が増加する。それにより、DC/DCコンバータ12を通して直流コンデンサ8、9、10から直流コンデンサ11に電力を供給することができる。
【0019】
また反対に、系統電圧Voが増加した場合、単相インバータ7の出力電圧VB1outにより補償してやるためには、今度は、DC/DCコンバータ12を通して直流コンデンサ11から直流コンデンサ8、9、10に電力を送る必要がある。そのためには、直流コンデンサ8、9、10のVB2、VB3、VB4からトータル電力を系統へ注入してやる必要がある。具体的には、図8(b)に示されるように系統電圧より高い電圧をインバータ4〜6が出力すれば、系統へインバータ4〜6から電流が流れ込み、直流コンデンサ8、9、10のトータル電力が減少する。それにより、DC/DCコンバータ12を通して直流コンデンサ11から直流コンデンサ8、9、10に電力を供給することができる。すなわち、VB1から系統に電力を戻すことができる。このような制御を施すことにより、VB2〜VB4までの全体の電圧波形は非常にきめ細かいものとなり、平滑フィルタ15は従来の場合に比べて格段に小さな容量で済む。
【0020】
実施の形態2.
次に、DC/DCコンバータ12の詳細について説明する。図4(a)はこの発明になるDC/DCコンバータ12の回路図であり、図から明らかなように、1個の絶縁トランス50からなっている。絶縁トランス50の1次側には、巻き線N1とMOSFETなどのスイッチ51と、ダイオード55と、ゲート回路59とからなる周知の回路ユニットが接続されている。また、絶縁トランス50の2次側には、巻き線N2とMOSFETなどのスイッチ52と、ダイオード56と、ゲート回路60とからなる回路ユニットと、巻き線N3とMOSFETなどのスイッチ53と、ダイオード57と、ゲート回路61とからなる回路ユニットと、巻き線N4とMOSFETなどのスイッチ54と、ダイオード58と、ゲート回路62とからなる回路ユニットとが直列接続されている。
【0021】
この際、巻き線N1〜N3と巻き線N4は、互いに巻き線方向を反対にして、電圧の発生タイミングが逆転するように構成されている。すなわち、DC/DCコンバータ12は巻き線N1〜N3と、それらに接続されているスイッチ51〜53とによって、双方向性のフォワード型のDC/DCコンバータを構成しており、また、巻き線N1と巻き線N4は、それらに接続されているスイッチ51、54とによって双方向性のフライバック型のDC/DCコンバータを構成している。
【0022】
上記のように構成することにより、スイッチ51、52、53のゲート電圧は、図4(b)の上段に示されているように同じタイミングでHとなり各スイッチが導通することになり、これにより、DC/DCコンバータ12の出力は、巻き線N1〜N3の巻き数比に比例した電圧が発生することになる。その結果コンデンサ8から10にも巻き線N1〜N3の巻き数比に比例した電圧がチャージされることになり、VB2=VB4*N2/N4、VB3=VB4*N3/N4となる。なお、上式において、N2、N3、N4は巻き線N2、N3、N4の巻き数を表している。
このような構成にしておくことにより、各インバータ4〜6の直流部の電圧の関係も巻き線N1〜N3の巻き数比に固定することができる。
各スイッチ51〜53のスイッチング周波数を負荷電流の変化速度、つまり商用周波数よりも十分に高くしておくことにより、電力の移行は準静的に行われるから効率のよいコンバータが形成できる。
【0023】
一方、巻き線N1と巻き線N4およびそれらに接続されているスイッチ51と54とによって構成されている双方向性のフライバック型のDC/DCコンバータについて説明する。スイッチ54のゲート電圧は、図4(b)下段に示すように、スイッチ51のゲート電圧と互いに論理が反転しているため、トランス50に励磁エネルギーを蓄えて、自分のスイッチがオフの期間中に相手側に電力を供給するように動作することができる。フライバック型の動作として、トランス50の励磁電流が連続でゼロにならないとき(電流連続モード)には以下の関係が成り立つ。
VB4*d=VB1*(1-d)*N1/N4
VB1=VB4*d/(1-d)*N4/N1
【0024】
ここで、d=Td/To(デューティ比)、N4、N1は巻き線N4、N1の巻き数を表している。つまり、VB1の電圧はVB4の電圧とデューティ比dとにより表わされ、従って、デューティ比dを変化することにより、系統電圧Voの変化に応じてVB1の大きさを変化することが可能となる。
上記のようなDC/DCコンバータの構成とすることにより、インバータ4、5、6は常に固定の電圧値および固定の電圧関係に維持しながら、dを変化することによりVB1の値を自由に変えることができる。従って、インバータ4、5、6を用いて安定した電圧を出力して電力を系統に送受しつつ、系統電圧が低下もしくは増加したときに負荷に一定電圧を供給することが容易となるものである。
【0025】
なお、インバータ4〜6にて正弦波を出力できることから、インバータ4〜6を並列型の無効電力補償回路として動作させることもできる。その動作を図9に示す。図9(a)は負荷が遅れ負荷、すなわち系統電圧Vに対して、負荷電流Idの位相が遅れて動作する場合を示している。ここで、単相インバータ4、5、6は、系統の電流Iが系統の電圧Vと同じ位相になるよう電流Ixを系統に流し込む動作を行う。すなわち、Ixが単相インバータ4、5、6から系統に流れ込むように、各出力レベルをコントロールし、またはPWM制御を施し、平滑フィルタ15の効果によってIxを滑らかにする。これにより、系統電流Iと系統電圧Vとは位相が一致するので、系統から見ると力率1の負荷が接続されているように見え、無効電力を補償できると共に、高調波成分による系統への逆流を防止することができる。更に、系統に流れる電流の実効値を低下することができるため、ケーブル等の損失が低下するものである。
【0026】
図9(b)は、整流器負荷が接続された場合の動作例である。(a)の場合と同様に、単相インバータ4、5、6は系統に力率1の電流Iが流れるよう、電流Ixを系統に流し込む。単相インバータ4、5、6ではきめ細かい波形の制御が可能であるため、整流器負荷等の電流変化が激しい場合でも、系統に力率1の電流Iが確実に流れるよう制御することができる。これは、フィルタ15が小さな容量で済むことにより制御系のゲインを上げることができることによる。このような動作においては、単相インバータ4、5、6へ流出入する電流の量は異なる場合がほとんどであり、VB2〜VB4の電圧関係は容易に崩れてしまう。これを補正するために、先に説明したように、DC―DCコンバータ12を動作させ、DC―DCコンバータ12がVB2〜VB4の電圧がそれぞれ所定の値を保つようにエネルギーをやりとりする。これにより系統に流れる電流は有効電力分のみとなり、系統側の電流実効値や高調波が低下し、ノイズの低減、ロスの低減に結びつけることができるものである。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3は、上述したような本発明の無瞬断電源装置を構成する単相インバータやDC―DCコンバータ等のゲート電源を共通化し、ユニット構成を簡略化したものである。図10は、本発明の無瞬断電源装置のチョッパ回路部分14、DC―DCコンバータ部分12、インバータ部分3を含む詳細回路を示したものである。図に示すように、各部分を構成しているMOSFETなどのスイッチには全てゲート駆動回路が必要となっており、これらはまた全て電源が必要となる。ところが、上述したように単相のインバータを直列に接続した構成においては、各単相インバータが単位ユニットという考え方が一般的であるため、単位ユニットの中で各ゲート電源をまかなうというのが一般通念として存在していた。しかし、スイッチの数だけゲート用電源を準備すると、言うまでもなく構成が煩雑となり、またコスト高となってしまう。
【0028】
従来、母線を共通とする複数のインバータなどで、ゲート電源を共通化する技術は存在した(例えば、特開2002−199743号公報参照)が、本願発明の実施形態のように、母線が共通化されていない構成においては、次のような理由でゲート電源を共通化することは行われなかった。
すなわち、インバータを直列接続し出力端子の一部が各インバータで共通化されているいわゆる直列多重インバータにおいては、通常、出力線にはPWMによる高周波電流が流れるため、出力線に大きな電位変動が発生する。従って、たとえ直流的には同電位部分でも高周波的には大きな電位変動が生ずることになり、これによってノイズ電流や漏洩電流が増加する傾向があった。
【0029】
このため、これらノイズ電流や漏洩電流のゲート電源への影響を少なくする観点から、ゲート電源を共通化することは、一般に困難とみなされていた。ところが、本実施形態によるインバータ構成によれば、上述したように、出力波形をインバータ出力の組み合わせで生成するため、スイッチング周波数が大幅に低減されることになり、従って、各インバータは低周波のスイッチングで十分であり、上記のノイズ電流や漏洩電流は激減することになる。これにより、直流的に同電位の部分のゲート電源を共通化することが可能となったものである。すなわち、図10に示したように、N段直列(ここではN=4)されたインバータにおいて、インバータNの出力端子でインバータN-1に導かれている端子がソース端子となるインバータN側のスイッチ(4S3)と、上記インバータN-1に導かれている端子に接続されているインバータN-1側のスイッチ(3S1)とのゲート電源を共通化することが可能である。
【0030】
さらに考え方を発展させると、各インバータのN側母線に共通のソース端子を持つ組み合わせ、即ち、4G4と4G2と46と59、および3G4、3G2、60、および2G4、2G2、61、および1G4、1G2、62に対し、それぞれPS1、PS2、PS3、PS4を割り当てる。
次に、インバータを直列に接続する線にてソース部分が共通となっているペア、4G3、3G1、および3G3、2G1、および2G3、1G1、に対し、それぞれPS6、PS7、PS8を割り当てる。こうすることにより、ゲート用の電源の数が大幅に低下する。この様子を示したものが図11である。図11に示すように、各ペアもしくは組み合わせのゲート回路、すなわちPS1〜PS4、PS6〜PS8に対し、それぞれ1つの共通ゲート用電源にて電力を供給している。
従って、本実施の形態によれば、ゲート電源の数が大幅に削減できるため、簡単・安価な回路構成が実現できるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 交流電源、 2 負荷、
3 直送スイッチ、 4、5、6 単相インバータ群、
7 単相インバータ、 8、9、10、11 コンデンサ、12 DC―DCコンバータ、 13 バッテリ、
14 チョッパ、 15 フィルタ、
50 絶縁トランス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統に並列もしくは直列に接続された少なくとも2つ以上の単相インバータを備え、各インバータ間を接続する端子と同電位のソース端子を有するスイッチ群を駆動するゲート用の電源を共通化したことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記単相インバータをN段直列構成としたものにおいて、インバータNの出力端子でインバータN-1に導かれている端子がソース端子となるインバータN側のスイッチと、上記インバータN-1に導かれている端子に接続されているインバータN-1側のスイッチとのゲート電源を共通化したことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−88300(P2010−88300A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12172(P2010−12172)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【分割の表示】特願2004−293743(P2004−293743)の分割
【原出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】