説明

電力変換装置

【課題】一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動用信号が回り込むのを防止して、通常時および放電時の双方で確実にスイッチング素子の駆動制御を行える電力変換装置を提供することである。
【解決手段】電力変換装置において、コンデンサCaと、スイッチング素子Qaと、通常時駆動回路1と、通常時駆動用電源4とを備え、コンデンサCaに蓄積された電荷を放電する際にスイッチング素子Qaを駆動する放電時駆動回路2と、放電時駆動回路2を作動させる放電時駆動用電源5と、通常時駆動用電源4とスイッチング素子Qaとの間および放電時駆動用電源5とスイッチング素子Qaとの間の双方に介在され通常時駆動回路1および放電時駆動回路2のうち一方の駆動回路から他方の駆動回路に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止する回り込み防止手段3とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ,スイッチング素子,駆動回路,駆動用電源などを少なくとも備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力変換装置では、平滑用のコンデンサに蓄積された電荷を放電するにあたって、全てのスイッチング素子をオン状態にし、スイッチング素子に流れる電流が過電流となる前に、一以上のスイッチング素子をオフにする技術が開示されている(例えば特許文献1を参照)。また、主電源からの直流電圧の出力オフ時に、電流制限手段によってスイッチング素子の制御電圧を制御する技術が開示されている(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232620号公報
【特許文献2】特開平9−201065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の電力変換装置では、スイッチング素子の駆動制御を行うことで平滑用のコンデンサに蓄積された電荷の放電を行えるが、当該駆動制御を行う駆動回路に対する電力の供給が絶たれるとスイッチング素子を駆動できずに放電も行えないという問題がある。この問題を解決する方策としては、通常時(すなわち電力変換を行う時期)に作動する駆動回路とは別個に、放電時(すなわちコンデンサに蓄積された電荷の放電を行う時期)に作動する駆動回路を設けるとともに、当該二つの駆動回路には個別の電源から電力を供給する構成が考えられる。
【0005】
しかし、二つの駆動回路を並列接続し、当該二つの駆動回路から個別に出力する駆動用信号によってスイッチング素子の駆動制御を行おうとすると、一方の駆動回路から接続点を通じて他方の駆動回路に駆動用信号が回り込む場合がある。駆動用信号が回り込むと、当該他方の駆動回路が誤動作する可能性がある。
【0006】
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動用信号が回り込むのを防止して、通常時および放電時の双方で確実にスイッチング素子の駆動制御を行える電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、電力供給源の出力側両端に接続して平滑するコンデンサと、前記電力供給源から供給される電力を変換して出力するスイッチング素子と、前記電力を変換する際に前記スイッチング素子を駆動する通常時駆動回路と、前記通常時駆動回路を作動させる通常時駆動用電源とを備える電力変換装置において、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する際に、前記スイッチング素子を駆動する放電時駆動回路と、前記通常時駆動用電源とは別個に設けられ、前記放電時駆動回路を作動させる放電時駆動用電源と、前記通常時駆動用電源と前記スイッチング素子との間、および、前記放電時駆動用電源と前記スイッチング素子との間の双方に介在され、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路のうち一方の駆動回路から他方の駆動回路に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止する回り込み防止手段とを有することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、回り込み防止手段は、通常時駆動用電源とスイッチング素子との間、放電時駆動用電源とスイッチング素子との間の双方に介在するので、一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動用信号が回り込むのを確実に防止する。したがって、通常時および放電時の双方で確実にスイッチング素子の駆動制御を行うことができる。
【0009】
なお、「通常時」は通常の電力変換を行う時期や期間を意味し、「放電時」は電力変換を行わずにコンデンサに蓄積された電荷の放電を行う時期や期間を意味する。よって、通常時と放電時とが同時期になることはない。「スイッチング素子」にはスイッチング機能を有する任意の半導体素子を用いることができ、例えばIGBTやパワートランジスタ等が該当する。「コンデンサ」には平滑機能を実現するために電荷の蓄積と放電(放出)が可能な任意の回路素子を用いることができ、キャパシタ等の蓄放電手段を含む。「通常時駆動回路」はスイッチング素子ごとに対応して備える必要がある。「放電時駆動回路」および「回り込み防止手段」は、放電時に駆動される一以上のスイッチング素子ごとに対応して備えればよい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記回り込み防止手段は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路に内在させることを特徴とする。この構成によれば、通常時駆動回路と放電時駆動回路とを並列接続しても、双方の駆動回路には回り込み防止手段が内在するので、一方の駆動回路から他方の駆動回路に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止することができる。したがって、通常時および放電時の双方で確実にスイッチング素子の駆動制御を行えるとともに、配線の簡略化や、回路部品の組み付けの簡易化が行える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記回り込み防止手段には、整流素子(整流器)を適用することを特徴とする。この構成によれば、簡単な構成で駆動用信号の回り込みを阻止でき、コストを低く抑えることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記回り込み防止手段には、スイッチング素子を適用することを特徴とする。この構成によれば、導通時(スイッチング素子のオン時)における電圧降下の影響を少なく抑えることができる。また、通常時と放電時とでスイッチング素子のオン/オフを制御できるので、駆動用信号の回り込みを確実に阻止することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記スイッチング素子としてMOSトランジスタを用いることを特徴とする。この構成によれば、PMOSトランジスタ(すなわちPチャネル型MOSトランジスタ)を用いる場合には、導通時(MOSトランジスタのオン時)における電圧降下の影響を少なく抑えることができ、最小の面積で実現することができる。NMOSトランジスタ(すなわちNチャネル型MOSトランジスタ)を用いる場合には、オンとオフとの切り換えを高速で行うことができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記MOSトランジスタがPMOSトランジスタであるとき、前記PMOSトランジスタのゲート端子とソース端子との間に、前記PMOSトランジスタの誤動作を防止する誤動作防止手段を有することを特徴とする。この構成によれば、ノイズ等の誤動作要因によってPMOSトランジスタが誤動作するのを防止する。したがって、ノイズ等が発生しても、駆動用信号の回り込みを確実に阻止することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路は、それぞれ前記スイッチング素子の駆動に必要な電圧を生成する電圧生成部を有し、前記回り込み防止手段は、前記電圧生成部と各駆動回路に対応する駆動用電源との間に介在することを特徴とする。この構成によれば、電圧生成部によってスイッチング素子の駆動に必要な電圧が生成され、しかも回り込み防止手段は電圧生成部(より具体的にはフィードバック端子)と駆動用電源との間に介在する。そのため、電圧生成部によって生成された電圧は、電圧降下が生じることなくスイッチング素子(より具体的にはゲート端子)に伝達される。したがって、駆動用信号の回り込みを確実に阻止するとともに、通常時および放電時の双方でスイッチング素子の駆動を確実に行うことができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記放電時駆動回路は、前記通常時駆動回路が前記スイッチング素子をオフにするオフ制御部が作動しているときは、前記スイッチング素子を駆動しないことを特徴とする。オフ制御部は、電源から供給される電力の電圧値が基準値(例えば10[V])よりも低下するとスイッチング素子を強制的にオフにし、このオフ制御は作動可能な閾値よりも低下するまで継続する。この構成によれば、電源から供給される電力の電圧値が閾値よりも低下した後、放電時駆動回路は駆動用信号を出力する。したがって、オフ制御部の作動時における駆動用信号の回り込みを阻止することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路は、それぞれ前記スイッチング素子をオフにするオフ制御部を備え、前記オフ制御部の誤動作を防止する誤動作防止手段を有することを特徴とする。この構成によれば、ノイズ等の誤動作要因によってオフ制御部が誤動作するのを防止する。したがって、ノイズ等が発生しても、オフ制御部による制御を確実に行うことができる。
【0018】
請求項10に記載の発明は、前記誤動作防止手段には、抵抗器およびコンデンサのうち一方または双方の回路素子を適用することを特徴とする。この構成によれば、簡単な構成で誤動作を阻止できるので、コストを低く抑えることができる。
【0019】
請求項11に記載の発明は、前記通常時駆動用電源と前記スイッチング素子との間に介在される前記回り込み防止手段は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路の双方から制御を行え、前記放電時駆動用電源と前記スイッチング素子との間に介在される前記回り込み防止手段は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路の双方から制御を行えることを特徴とする。この構成によれば、通常時に通常時駆動用電源が機能しない場合や、放電時に放電時駆動用電源が機能しない場合でも、残りの駆動用電源から供給される電力によって駆動回路を駆動して、回り込み防止手段を作動させる。したがって、回り込み防止手段が作動しなくなる事態を防止することができ、駆動用信号の回り込みを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電力変換装置の構成例を模式的に示す図である。
【図2】回り込み防止手段をスイッチで実現する例を示す図である。
【図3】回り込み防止手段を整流素子で実現する例を示す図である。
【図4】回り込み防止手段をトランジスタで実現する例を示す図である。
【図5】駆動回路に駆動電圧生成回路を内在させる第1構成例を示す図である。
【図6】駆動回路に駆動電圧生成回路を内在させる第2構成例を示す図である。
【図7】駆動回路のオン側回路に回り込み防止手段を内在させる例を示す図である。
【図8】駆動回路のオフ側回路に回り込み防止手段を内在させる例を示す図である。
【図9】回り込み防止手段に誤動作防止手段を備える例を示す図である。
【図10】駆動回路に電圧検出回路を備える例を示す図である。
【図11】インバータ回路への適用例を示す図である。
【図12】コンバータ回路への適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的な接続を意味する。また、連続符号は記号「〜」を用いて簡略化する。例えば「スイッチング素子Q1〜Q6」は「スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6」を意味する。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。
【0022】
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、図1〜図10を参照しながら各種の構成例を説明する。まず図1には、電力変換装置の構成例を模式的にブロック図で示す。より具体的には、図1(A)には各駆動回路とスイッチング素子との間に回り込み防止手段を介在させる例を示す。図1(B)には、駆動回路に回り込み防止手段を内在させる例を示す。
【0023】
図1(A)に示す電力変換装置は、通常時駆動回路1,放電時駆動回路2,回り込み防止手段3,通常時駆動用電源4,放電時駆動用電源5,コントローラ6,スイッチング素子Qa,ダイオードDaなどを有する。これらの要素のうち、通常時駆動回路1はスイッチング素子Qaごとに対応して備える必要がある。これに対して、放電時駆動回路2および回り込み防止手段3は、放電時(通常時以外の時期であってコンデンサCaに蓄積された電荷の放電を行う時期)に駆動される一以上のスイッチング素子Qaごとに対応して備えればよい。他の要素については、電力変換装置内に一以上を備えていればよい。
【0024】
スイッチSwは、電力供給源Esから供給される電力について受電(オン)/非受電(オフ)を切り換える機能を担う。このスイッチSwには、コントローラ6等からオン/オフの切り換え制御が行える素子を用いるのが望ましい。放電時にはコンデンサCaに蓄積された電荷の放電を行うが、電力供給源Esから電力が供給され続けるとコンデンサCaの放電自体を行えない。よって、放電時にスイッチSwを非受電(オフ)に切り換えて、コンデンサCaに蓄積された電荷を放電可能な環境にする。
【0025】
コンデンサCaは、電力変換装置および電力供給源Esのうち一方または双方に備えられ、電力供給源Esの出力側両端に接続して平滑する機能を担う。電荷の蓄積と放電(放出)が可能な素子であればよく、他には例えばキャパシタ等を適用してもよい。
【0026】
通常時駆動回路1は、通常時(通常の電力変換を行う時期)において、コントローラ6から信号入力端子Paに入力される指令信号に基づいて駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)に出力し、当該スイッチング素子Qaのオン/オフを制御する。この通常時駆動回路1は通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Va)を受けて作動する。駆動用信号はスイッチング素子を駆動可能な信号であればよく、例えばパルス幅変調信号などが該当する。
【0027】
放電時駆動回路2は、放電時(通常時以外の時期であってコンデンサCaに蓄積された電荷の放電を行う時期)において、駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)に出力し、当該スイッチング素子Qaのオン/オフを制御する。駆動用信号の出力は、コントローラ6から信号入力端子Pbに入力される指令信号に基づいて行う構成と、放電時駆動回路2が自らの判断に基づいて行う構成(以下では「能動構成」と呼ぶ。)のうち一方または双方で実現する。能動構成は、例えば後述する第7構成例や第8構成例などが該当する。すなわち、通常時駆動回路1に供給される電力(電圧Va)を監視し、当該電力(電圧Va)が通常値から変化して所定閾値(例えば3[V]等)に達すると、自発的に駆動用信号をスイッチング素子Qaに出力する。この放電時駆動回路2は、放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vb)を受けて作動する。
【0028】
回り込み防止手段3は、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2のうち、一方の駆動回路(例えば通常時駆動回路1)から他方の駆動回路(例えば放電時駆動回路2)に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止する機能を実現する。この回り込み防止手段3は、通常時駆動回路1とスイッチング素子Qaとの間、および、放電時駆動回路2とスイッチング素子Qaとの間の双方に介在して接続される。なお、回り込み防止手段3の具体的な構成例については後述する(図2〜図10を参照)。
【0029】
スイッチング素子Qaは、電力供給源Esから供給される電力を変換して出力する機能を担う。このスイッチング素子Qaには、例えばIGBTやパワートランジスタ等のように、スイッチング機能を有する任意の半導体素子を用いる。ダイオードDaは、スイッチング素子Qaの入力端子(ソース端子)と出力端子(エミッタ端子)との間に並列接続され、いずれも還流(フリーホイール)ダイオードとして機能する。図1(A)に示すように一つのスイッチング素子Qaを接続してもよく、二以上(複数)のスイッチング素子Qaを縦列接続してもよい(後述する図10,図11を参照)。
【0030】
通常時駆動用電源4と放電時駆動用電源5とは別個の電源であり、一方の電源が機能しなくなって電力の供給が絶たれても、他方の電源から電力の供給が可能となるように構成される。コントローラ6は、電力変換装置や他の装置・回路等に含まれるスイッチング素子の作動(オン/オフ)を制御したり、他の制御を行う制御装置である。
【0031】
図1(B)に示す電力変換装置は、図1(A)に示す電力変換装置とほぼ同等の構成であるが、回り込み防止手段3の配置が相違する。すなわち、図1(A)では各駆動回路とスイッチング素子Qaとの間に介在して接続するのに対して、図1(B)では各駆動回路に内在させる。具体的には、回り込み防止手段3aを通常時駆動回路1に内在させ、回り込み防止手段3bを通常時駆動回路1に内在させる。図1(A)に示す回り込み防止手段3と、図1(B)に示す回り込み防止手段3aおよび回り込み防止手段3bとは同等の構成である。言い換えれば、各駆動回路の一部として回り込み防止手段3を構成する。したがって、電力変換装置の作動および作用効果は同じである。
【0032】
以下では、回り込み防止手段3の具体的な構成例について、図2〜図10を参照しながら説明する。なお、図1に示す要素と同一の要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
(第1構成例)
まず図2(A)および図2(B)に示す回り込み防止手段3は、スイッチS3a,S3bなどを有する。スイッチS3a,S3bは、コントローラ6(あるいは他の制御装置等)によって接続状態のオン/オフを切り換える機能を有する電子部品であれば任意である。例えば、接点スイッチ,電磁スイッチ(リレーを含む),半導体スイッチ等が該当する。スイッチS3aは通常時駆動回路1とスイッチング素子Qaとの間に介在して接続され、スイッチS3bは放電時駆動回路2とスイッチング素子Qaとの間に介在して接続される。スイッチS3aおよびスイッチS3bは、互いにオンとオフが逆の状態となるように作動が制御される。
【0034】
例えば通常時では図2(A)に示すように、スイッチS3aをオンにし、スイッチS3bをオフにする。よって、通常時駆動回路1から駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子に出力する際、スイッチS3bがオフであるので当該駆動用信号が放電時駆動回路2に回り込むことはない。一方、放電時では図2(B)に示すように、スイッチS3aをオフにし、スイッチS3bがオンにする。よって、放電時駆動回路2から駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子に出力する際、スイッチS3aがオフであるので当該駆動用信号が通常時駆動回路1に回り込むことはない。
【0035】
なお、図示しないが、上述した図2(A)および図2(C)に示すスイッチS3a,S3bを各駆動回路の一部として内在させる構成としてもよい。すなわち、スイッチS3aを通常時駆動回路1の出力端子側に内在させ、スイッチS3bを放電時駆動回路2の出力端子側に内在させる。この構成とした場合でも、別体構成とした場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
図2(C)に示す回り込み防止手段3は、スイッチS3cなどを有する。スイッチS3cは、いわゆる三点スイッチである点を除いて、上述したスイッチS3a,S3bと同様に、コントローラ6(あるいは他の制御装置等)によって接続状態を切り換える機能を有する電子部品であれば任意である。
【0037】
例えば通常時では、実線で示すようにスイッチS3cを通常時駆動回路1側に切り換える。よって、通常時駆動回路1から駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子に出力する際、当該駆動用信号が放電時駆動回路2に回り込むことはない。一方、放電時では、破線で示すようにスイッチS3cを放電時駆動回路2側に切り換える。よって、放電時駆動回路2から駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子に出力する際、当該駆動用信号が通常時駆動回路1に回り込むことはない。
【0038】
(第2構成例)
図3に示す回り込み防止手段3は、ダイオードD3a,D3bなどを有する。ダイオードD3a,D3bには、整流作用を奏する整流素子(あるいは整流器)であれば任意である。ダイオードD3a,D3bの双方とも、アノード(陽極)側を対応する駆動回路にそれぞれ接続し、カソード(陰極)側をスイッチング素子Qaに接続する。よって、スイッチング素子Qaに向かって駆動用信号が流れても、当該駆動用信号が駆動回路に向かって流れるのを阻止されるので、駆動用信号の回り込みが防止される。
【0039】
なお、図示しないが、上述した図3に示すダイオードD3a,D3bを各駆動回路の一部として内在させる構成としてもよい。ダイオードD3aを通常時駆動回路1の出力端子側に内在させ、ダイオードD3bを放電時駆動回路2の出力端子側に内在させる。この構成とした場合でも、別体構成とした場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
(第3構成例)
図4に示す回り込み防止手段3は、スイッチング素子Q3a,Q3bとともに、誤作動防止手段としてコンデンサC3a,C3bおよび抵抗器R3a,R3bなどを有する。スイッチング素子Q3a,Q3bには、配線や線路の導通/非導通を切り換え可能な半導体素子であれば任意である。例えば、PMOSトランジスタやNMOSトランジスタ等のようなMOSトランジスタを適用することができる。スイッチング素子Q3a,Q3bの制御端子(ゲート端子)は、それぞれ対応する駆動回路の信号出力端子Sa1,Sb1に接続される。この接続によって、スイッチング素子Q3a,Q3bは個別に当該信号出力端子Sa1,Sb1から出力される制御信号に従ってオン(導通)/オフ(非導通)の切り換えが制御される。すなわち、スイッチング素子Q3aとスイッチング素子Q3bとは、互いにオンとオフが逆の状態となるように連携して作動が制御される。
【0041】
また、スイッチング素子Q3aは通常時駆動回路1とスイッチング素子Qaとの間に介在して接続される。より具体的には、通常時駆動回路1の信号出力端子Sa2とスイッチング素子Q3aの入力端子(ソース端子)とを接続し、スイッチング素子Q3aの出力端子(エミッタ端子)とスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)とを接続する。スイッチング素子Q3bは、上述したスイッチング素子Q3aと同様にして、放電時駆動回路2とスイッチング素子Qaとの間に介在して接続される。
【0042】
さらに、スイッチング素子Q3aの制御端子(ゲート端子)と入力端子(ソース端子)との間には、コンデンサC3aおよび抵抗器R3aが並列接続される。同様にして、スイッチング素子Q3bの制御端子(ゲート端子)と入力端子(ソース端子)との間には、コンデンサC3bおよび抵抗器R3bが並列接続される。これらのコンデンサC3a,C3bおよび抵抗器R3a,R3bは、それぞれノイズ等によってスイッチング素子Q3a,Q3bが誤動作するのを防止する。
【0043】
なお、図示しないが、上述した図4に示すスイッチング素子Q3a,Q3bを各駆動回路の一部として内在させる構成としてもよい。スイッチング素子Q3a(さらにはコンデンサC3aおよび抵抗器R3a)を通常時駆動回路1の出力端子側に内在させ、スイッチング素子Q3b(さらにはコンデンサC3bおよび抵抗器R3b)を放電時駆動回路2の出力端子側に内在させる。この構成とした場合でも、別体構成とした場合と同様の作用効果を得ることができる。また、スイッチング素子Q3a,Q3bに代えて、MOSトランジスタ(PMOSトランジスタやNMOSトランジスタ等)を用いてもよい。
【0044】
(第4構成例)
図5に示す回り込み防止手段3は、駆動回路に内在し、スイッチS3a,S3bなどを有する。スイッチS3aは通常時駆動回路1に内在し、スイッチS3bは放電時駆動回路2に内在する。通常時駆動回路1の信号出力端子Sa1および信号入力端子Sa3と、放電時駆動回路2の信号出力端子Sb1および信号入力端子Sb3とは、いずれもスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)に接続される。通常時駆動回路1の接地用端子Sanと放電時駆動回路2の接地用端子Sbnとは、スイッチング素子Qaの出力端子(エミッタ端子)に接続される。以下では、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の各内部構成例等について簡単に説明する。なお、駆動電圧生成回路1a,2aはそれぞれ「電圧生成部」に相当し、オフ側回路1c,2cはそれぞれ「オフ制御部」に相当する。
【0045】
通常時駆動回路1は、上述したスイッチS3aのほかに、駆動電圧生成回路1a、オン側回路1b、オフ側回路1cおよび抵抗器R1a,R1bなどを有する。駆動電圧生成回路1aは、通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Va)を受けて、オン側回路1bを経てスイッチング素子Qaを駆動するための電力を生成して出力する。オン側回路1bは、通常時にスイッチング素子Qaを作動させるための駆動用信号を信号出力端子Sa2から出力する機能を担う。オフ側回路1cは、ゲート放電時もしくは通常時オフ駆動等に信号入力端子Sa3から接地用端子Sanを通じて放電を行う機能を担う。直列接続される抵抗器R1a,R1bは、オン側回路1bの入力端子と接地用端子Sanとの間に接続される。駆動電圧生成回路1aの出力端子は抵抗器R1aと抵抗器R1bとの接続点に接続される。よって、オン側回路1bの入力端子と接地用端子Sanとの間は、抵抗器R1a,R1bを介してフィードバックループを構成する。
【0046】
スイッチS3aは、通常時駆動用電源4から供給される電力の入力端子と、オン側回路1bの入力端子との間に接続される。スイッチS3aがオン(導通時)のとき、オン側回路1bは通常時駆動用電源4から供給される電力を受ける。スイッチS3aがオフ(非導通時)のとき、オン側回路1bは駆動電圧生成回路1aで生成される電力を受ける。すなわち、スイッチS3aのオン/オフに応じて電力の供給源が切り換えられる。特に放電時はスイッチS3aがオフになり、オフ側回路1cを経て駆動用信号がオン側回路1bに流れようとしても抵抗器R1a,R1bによって大きく減衰するので無視できる。
【0047】
放電時駆動回路2は、上述したスイッチS3bのほかに、駆動電圧生成回路2a、オン側回路2b、オフ側回路2cおよび抵抗器R2a,R2bなどを有する。駆動電圧生成回路2aは、放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vb)を受ける点を除いて、上述した駆動電圧生成回路1aと同等の機能を担う。オン側回路2bは上述したオン側回路1bと同等の機能を担い、オフ側回路2cは上述したオフ側回路1cと同等の機能を担う。スイッチS3bおよび抵抗器R2a,R2bの接続は、上述したスイッチS3aおよび抵抗器R1a,R1bと同様である。よって、オン側回路2bの入力端子と接地用端子Sbnとの間は、抵抗器R2a,R2bを介してフィードバックループを構成する。また、スイッチS3bのオン/オフに応じて電力の供給源が切り換えられる。通常時はスイッチS3bがオフになり、オフ側回路2cを経て駆動用信号がオン側回路2bに流れようとしても抵抗器R2a,R2bによって大きく減衰するので無視できる。
【0048】
なお図5では、通常時駆動回路1内に駆動電圧生成回路1aとオン側回路1bとを別個に備える別体構成とし、放電時駆動回路2内に駆動電圧生成回路2aとオン側回路2bとを別個に備える別体構成とした。この構成に代えて、駆動電圧生成回路1aとオン側回路1bとを兼ねる構成(一体構成)としたり、駆動電圧生成回路2aとオン側回路2bとを兼ねる構成(一体構成)としてもよい。例えば、オン側回路1b内に駆動電圧生成回路1aを備えるとともに、オン側回路2b内に駆動電圧生成回路2aを備えた構成例を図6に示す。図示しないが、駆動電圧生成回路1a内にオン側回路1bを備えたり、駆動電圧生成回路2a内にオン側回路2bを備える構成としてもよい。同様にして、図5に示す通常時駆動回路1と図6に示す放電時駆動回路2との組み合わせや、図5に示す放電時駆動回路2と図6に示す通常時駆動回路1との組み合わせ等のように、別体構成と一体構成とを混在させてもよい。
【0049】
(第5構成例)
図7に示す回り込み防止手段3は、駆動回路に内在し、スイッチング素子Q1b,Q2bなどを有する。スイッチング素子Q1bは通常時駆動回路1に内在し、スイッチング素子Q2bは放電時駆動回路2に内在する。以下では、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の各内部構成例等について簡単に説明する。
【0050】
通常時駆動回路1のオン側回路1bを構成するスイッチング素子Q1bは、通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Va)を受けてスイッチング素子Qaの駆動用信号を出力する機能が本来の機能であり、回り込み防止機能を兼ねる。すなわちスイッチング素子Q1bは、コントローラ6から信号入力端子Pbに入力される指令信号に基づいて、通常時はオン/オフの切り換えを行って上述した駆動用信号を出力し、放電時は放電時駆動回路2から回り込もうとする駆動用信号を阻止するためにオフ状態となる。
【0051】
放電時駆動回路2のオン側回路2bを構成するスイッチング素子Q2bは、放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vb)を受けてスイッチング素子Qaの駆動用信号を出力する機能が本来の機能であり、回り込み防止機能を兼ねる。すなわちスイッチング素子Q1bは、コントローラ6から信号入力端子Pbに入力される指令信号に基づいて、通常時は通常時駆動回路1から回り込もうとする駆動用信号を阻止するためにオフ状態となり、放電時はオン/オフの切り換えを行って上述した駆動用信号を出力する。
【0052】
(第6構成例)
図8に示す回り込み防止手段3は、駆動回路に内在し、スイッチング素子Q1c,Q2cなどを有する。具体的には、スイッチング素子Q1cは通常時駆動回路1に内在し、スイッチング素子Q2cは放電時駆動回路2に内在する。これらのスイッチング素子Q1c,Q2cには、例えばNMOSトランジスタ(Nチャネル型MOSトランジスタ)を用いる。以下では、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の各内部構成例等について簡単に説明する。なお、図7に示す第5構成例と類似するので、主に相違点を説明する。また、第6構成例はオフ側回路1c,2cに駆動用信号が回り込むのを防止するための構成であるので、オン側回路1b,2bは別個に駆動用信号が回り込むのを防止するように構成するのが望ましい(例えば図5や図6を参照)。
【0053】
通常時駆動回路1のオフ側回路1cを構成するスイッチング素子Q1cは、入力端子(ソース端子)が信号入力端子Sa3を介してスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)に接続され、出力端子(ドレイン端子)が接地用端子Sanを介してスイッチング素子Qaの出力端子(エミッタ端子)に接続される。また、スイッチング素子Q1cの制御端子(ゲート端子)と出力端子(ドレイン端子)との間には、抵抗器R1cが接続される。このスイッチング素子Q1cは、通常時はコントローラ6から信号入力端子Paに入力される指令信号に基づいて作動し、オン(導通)状態か、オフ(非導通)状態となり、放電時はオフ(非導通)状態となる。抵抗器R1cは、通常時駆動用電源4から電源の供給が絶たれた場合等によってスイッチング素子Q1cが誤動作するのを防止する。
【0054】
放電時駆動回路2のオフ側回路2cを構成するスイッチング素子Q2cは、放電時はコントローラ6から信号入力端子Pbに入力される指令信号に基づいて作動し、オン(導通)状態か、オフ(非導通)状態となり、通常時はオフ(非導通)状態となる。スイッチング素子Q2cの接続形態および作用は、上述したスイッチング素子Q1cと同様である。抵抗器R2cは、放電時駆動用電源5から電源の供給が絶たれた場合等によってスイッチング素子Q2cが誤動作するのを防止する。
【0055】
なお、図8に示す構成例ではスイッチング素子Q1c,Q2cとしてオン/オフの切り換えを高速で行えるNMOSトランジスタを用いたが、配線や線路の導通/非導通を切り換え可能な他の半導体素子を用いてもよい。例えば、PMOSトランジスタ(Pチャネル型MOSトランジスタ)、NPNトランジスタやPNPトランジスタ等を用いることもできる。
【0056】
(第7構成例)
図9に示す回り込み防止手段3は、第3構成例と同一構成である(図4を参照)。図4に示す第3構成例との相違点は、通常時駆動用電源4および放電時駆動用電源5から供給する電力の経路と、接地用端子San,Sbnの接続点である。電力の経路については、通常時駆動用電源4の電力を通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の双方に供給可能に接続し、放電時駆動用電源5の電力を通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の双方に供給可能に接続する。また、通常時駆動回路1の接地用端子Sanを放電時駆動回路2の信号出力端子Sb1に接続し、放電時駆動回路2の接地用端子Sbnを通常時駆動回路1の信号出力端子Sa1に接続する。
【0057】
上述した構成によれば、何らかの要因によって通常時駆動用電源4および放電時駆動用電源5のうち一方の電源から電力の供給が絶たれても、他方の電源から電力の供給が継続される。この状態においても通常時と放電時とでスイッチング素子Q3a,Q3bのオン/オフを確実に切り換えて、回り込もうとする駆動用信号を阻止することができる。また、放電時駆動回路2が能動構成を有する場合には、コントローラ6が作動しなくなって指令信号を受けない場合でも、駆動用信号をスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)に出力し、当該スイッチング素子Qaのオン/オフを制御することができる。
【0058】
なお、図9に示す構成例では図4に示す第3構成例を適用したが、他の構成例(すなわち第1構成例、第2構成例、第4構成例〜第6構成例)を適用してもよい。これらの構成例を適用した場合であっても、他方の電源から電力の供給が継続され、通常時と放電時とで回り込もうとする駆動用信号を阻止することができる。
【0059】
(第8構成例)
図10に示す回り込み防止手段3は、第1構成例と同一構成である(図2を参照)。図4に示す第1構成例との相違点は、通常時駆動回路1に電圧検出回路1vを備え、放電時駆動回路2に電圧検出回路2vを備えたことである。電圧検出回路1vは放電時駆動用電源5から供給される電力の電圧値を検出し、電圧検出回路2vは通常時駆動用電源4から供給される電力の電圧値を検出する。
【0060】
通常時駆動回路1は、何らかの要因で通常時駆動用電源4から供給される電力の電圧値が基準値(例えば10[V])よりも低下すると、スイッチング素子Qaを強制的にオフにするオフ機能を備える。オフ機能は、通常時駆動回路1が作動可能な電圧値(以下では「閾値」と呼ぶ;例えば3[V])よりも低下するまで作用する。オフ機能が作動しているときに、放電のために放電時駆動回路2から駆動用信号を出力すると当該駆動用信号が通常時駆動回路1に回り込む可能性がある。そこで、電圧検出回路2vによって通常時駆動用電源4から供給される電力の電圧値を検出し、当該電圧値が閾値よりも低下した後に放電時駆動回路2が放電のために駆動用信号を出力するように構成する。この構成によれば、放電時駆動用電源5から供給される電力が絶たれる場合であっても、電圧値が閾値よりも低下した後に放電時駆動回路2から駆動用信号を出力するので、通常時駆動回路1側のオフ機能が作用するために生じる駆動用信号の回り込みを防止することができる。
【0061】
放電時駆動回路2は、電圧検出回路2vの検出対象が放電時駆動用電源5から供給される電力である点を除いて、上述した通常時駆動回路1と同様に構成する。この構成によれば、通常時駆動用電源4から供給される電力が絶たれる場合であっても、電圧値が閾値よりも低下した後に放電時駆動回路2から駆動用信号を出力するので、放電時駆動回路2側のオフ機能が作用するために生じる駆動用信号の回り込みを防止することができる。また、放電時駆動回路2が能動構成を有する場合には、第7構成例と同様にコントローラ6が作動しなくなって指令信号を受けない場合でも、スイッチング素子Qaのオン/オフを制御することができる。
【0062】
なお、図10に示す構成例では図2に示す第1構成例を適用したが、他の構成例(すなわち第2構成例〜第6構成例)を適用してもよい。これらの構成例を適用した場合であっても、駆動回路のオフ機能が作用するために生じる駆動用信号の回り込みを防止できる。
【0063】
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。まず請求項1に対応し、コンデンサCaに蓄積された電荷を放電する際に、コンデンサCaから供給される電力を受けてスイッチング素子Qaを駆動する放電時駆動回路2と、通常時駆動用電源4とは別個に設けられ、放電時駆動回路2を作動させる放電時駆動用電源5と、通常時駆動用電源4とスイッチング素子Qaとの間、および、放電時駆動用電源5とスイッチング素子Qaとの間の双方に介在され、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2のうち一方の駆動回路から他方の駆動回路に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止する回り込み防止手段3とを備えた(図1(A)を参照)。この構成によれば、回り込み防止手段3は、通常時駆動用電源4とスイッチング素子Qaとの間、放電時駆動用電源5とスイッチング素子Qaとの間の双方に介在するので、一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動用信号が回り込むのを確実に防止する。したがって、通常時および放電時の双方で確実にスイッチング素子Qaの駆動制御を行うことができる。
【0064】
請求項2に対応し、回り込み防止手段3は、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2に内在させる構成とした(図1(B)を参照)。この構成によれば、通常時駆動回路1と放電時駆動回路2とを並列接続しても、双方の駆動回路には回り込み防止手段3が内在するので、一方の駆動回路から他方の駆動回路に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止できる。したがって、通常時および放電時の双方で確実にスイッチング素子Qaの駆動制御を行えるとともに、配線の簡略化や、回路部品の組み付けの簡易化が行える。
【0065】
請求項3に対応し、回り込み防止手段3はダイオードD3a,D3b(整流素子)を用いて構成した(図3を参照)。この構成によれば、簡単な構成で駆動用信号の回り込みを阻止でき、コストを低く抑えることができる。
【0066】
請求項4に対応し、回り込み防止手段3はスイッチング素子Q3a,Q3bを用いて構成した(図4を参照)。この構成によれば、スイッチング素子Q3a,Q3bの導通時における電圧降下の影響を少なく抑えることができる。また、通常時と放電時とでスイッチング素子Q3a,Q3bのオン/オフを制御できるので、駆動用信号の回り込みを確実に阻止することができる。
【0067】
請求項5に対応し、スイッチング素子としてMOSトランジスタを用いて構成した(図4,図8を参照)。PMOSトランジスタを用いる場合には、導通時(MOSトランジスタのオン時)における電圧降下の影響を少なく抑えることができ、最小の面積で実現することができる。NMOSトランジスタを用いる場合には、オンとオフとの切り換えを高速で行うことができる。
【0068】
請求項6に対応し、MOSトランジスタがPMOSトランジスタであるとき、PMOSトランジスタの制御端子(ゲート端子)と入力端子(ソース端子)との間に抵抗器R3a,R3bおよびコンデンサC3a,C3bのうち一方または双方(誤動作防止手段)を備える構成とした(図4,図9を参照)。この構成によれば、ノイズ等が発生しても、スイッチング素子Q3a,Q3b(PMOSトランジスタ)が誤動作するのを防止し、駆動用信号の回り込みを確実に阻止できる。
【0069】
請求項7に対応し、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2は、それぞれスイッチング素子Qaの駆動に必要な電圧を生成する駆動電圧生成回路1a,2a(電圧生成部)を備える構成とした(図5を参照)。また、スイッチS3a,S3b(回り込み防止手段3)は、駆動電圧生成回路1a,2aと各駆動回路に対応する駆動用電源との間に介在させる構成とした(図5を参照)。この構成によれば、駆動電圧生成回路1a,2aによって生成された電圧は、電圧降下が生じることなくスイッチング素子Qaの制御端子(ゲート端子)に出力される。したがって、駆動用信号の回り込みを確実に阻止するとともに、通常時および放電時の双方でスイッチング素子Qaの駆動を確実に行うことができる。
【0070】
請求項8に対応し、放電時駆動回路2は、通常時駆動回路1がスイッチング素子Qaをオフにするオフ側回路1c,2c(オフ制御部)が作動しているときは、スイッチング素子Qaを駆動しない構成とした(図10を参照)。この構成によれば、通常時駆動用電源4から供給される電力の電圧値が閾値よりも低下した後、放電時駆動回路2は駆動用信号を出力する。したがって、オフ側回路1cの作動時における駆動用信号の回り込みを阻止することができる。
【0071】
請求項9に対応し、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2は、それぞれスイッチング素子Qaをオフにするオフ側回路1c,2c(オフ制御部)と、オフ側回路1c,2c(具体的にはスイッチング素子Q1c,Q2c)の誤動作を防止する抵抗器R1c,R2c(誤動作防止手段)を備える構成とした(図8を参照)。この構成によれば、ノイズ等が発生しても、オフ側回路1c,2cによる制御を確実に行うことができる。
【0072】
請求項10に対応し、誤動作防止手段には、抵抗器R3a,R3bおよびコンデンサC3a,C3bのうち一方または双方の回路素子を用いる構成とした(図4,図9を参照)。この構成によれば、簡単な構成で誤動作を阻止できるので、コストを低く抑えることができる。
【0073】
請求項11に対応し、通常時駆動用電源4とスイッチング素子Qaとの間に介在されるスイッチング素子Q3a(回り込み防止手段3)は、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の双方から制御を行う構成とした(図9を参照)。また、放電時駆動用電源5とスイッチング素子Qaとの間に介在されるスイッチング素子Q3b(回り込み防止手段3)は、通常時駆動回路1および放電時駆動回路2の双方から制御を行う構成とした(図9を参照)。この構成によれば、通常時に通常時駆動用電源4が絶たれた場合や、放電時に放電時駆動用電源5が絶たれた場合でも、残りの駆動用電源から供給される電力によって駆動回路を駆動して、スイッチング素子Q3a,Q3bを確実に作動させることができる。したがって、スイッチング素子Q3a,Q3bが作動しなくなる事態を防止することができ、駆動用信号の回り込みを阻止することができる。
【0074】
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1で示した各構成例をインバータ回路に適用した例であり、図11を参照しながら説明する。なお、図示および説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
以下の説明において実施の形態1との関連では、インバータ回路20は「電力変換装置」に相当する。コンバータ回路10は「電力供給源Es」に相当する。コンデンサC2は「コンデンサCa」に相当する。スイッチング素子Q1〜Q6はそれぞれ「スイッチング素子Qa」に相当する。ダイオードD1〜D6はそれぞれ「ダイオードDa」に相当する。通常時駆動回路M1a〜M6aはそれぞれ「通常時駆動回路1」に相当する。放電時駆動回路M1b〜M6bはそれぞれ「放電時駆動回路2」に相当する。通常時駆動回路M1a、放電時駆動回路M1bおよび回り込み防止手段B1には、第1構成例〜第8構成例のいずれを適用してもよい。同様にして、通常時駆動回路M2a〜M6a、放電時駆動回路M2b〜M6bおよび回り込み防止手段B2〜B6には、それぞれ第1構成例〜第8構成例のいずれを適用してもよい。スイッチSwは、コンバータ回路10とコンデンサC2との間に介在される。
【0076】
図11に示すインバータ回路20は、給電機能および送電機能のうち一方または双方の機能を実現可能に構成される。給電機能は、直流電源E1からコンバータ回路10を介して供給される直流電力(電圧VH)を三相交流電力に変換して発電電動機30(エンジン始動および発電の双方が行える出力機器)に供給する機能である。送電機能は、発電電動機30が発電した三相交流電力を整流し、コンバータ回路10を介して直流電源E1に還流する機能である。直流電源E1の出力端子側には平滑用のコンデンサC1が接続され、コンバータ回路10の出力端子側には平滑用のコンデンサC2が接続される。なお、スイッチSwおよびコンデンサC2のうち一方または双方は、インバータ回路20に内在させてもよい。
【0077】
インバータ回路20は、通常時駆動回路M1a〜M6a、放電時駆動回路M1b〜M6b、回り込み防止手段B1〜B6、スイッチング素子Q1〜Q6、ダイオードD1〜D6、抵抗器R1〜R6などを有する。これらのうち、通常時駆動回路M1a〜M3a、放電時駆動回路M1b〜M3b、回り込み防止手段B1〜B3、スイッチング素子Q1〜Q3、ダイオードD1〜D3、抵抗器R1〜R3などは上アーム側に配置される。通常時駆動回路M4a〜M6a、放電時駆動回路M4b〜M6b、回り込み防止手段B4〜B6、スイッチング素子Q4〜Q6、ダイオードD4〜D6、抵抗器R4〜R6などは下アーム側に配置される。なお、放電時駆動回路M1b〜M6bおよび回り込み防止手段B1〜B6は、それぞれ一以上を備えればよい。図11の構成例では、実線で示すようにU相の放電時駆動回路M1b,M4bおよび回り込み防止手段B1,B4のみを備える。放電時駆動回路および回り込み防止手段にかかる他の構成例としては、V相のみ、W相のみ、いずれか選択する二相(例えばU相とV相)、三相全部のいずれに備えてもよい。
【0078】
通常時駆動回路M1a〜M6aはそれぞれ「通常時駆動回路1」に相当する。通常時駆動回路M1a〜M3aは、スイッチング素子Q1〜Q3の出力端子(エミッタ端子)を基準電位として通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Va)を受けて作動する。通常時駆動回路M4a〜M6aはスイッチング素子Q4〜Q6の出力端子(エミッタ端子)を基準電位として通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Vc)を受けて作動する。これらの通常時駆動回路M1a〜M6aは、それぞれコントローラ6から個別に信号入力端子P1a〜P6aに入力される指令信号に従って、対応するスイッチング素子Q1〜Q6の制御端子(ゲート端子)に駆動用信号を出力する。
【0079】
放電時駆動回路M1b〜M6bはそれぞれ「放電時駆動回路2」に相当する。放電時駆動回路M1b〜M3bは、スイッチング素子Q1〜Q3の出力端子(エミッタ端子)を基準電位として放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vb)を受けて作動する。放電時駆動回路M4b〜M6bは、スイッチング素子Q4〜Q3の出力端子(エミッタ端子)を基準電位として放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vd)を受けて作動する。これらの放電時駆動回路M1b〜M6bは、それぞれコントローラ6から個別に信号入力端子P1b〜P6bに入力される指令信号に従って、対応するスイッチング素子Q1〜Q6の制御端子(ゲート端子)に駆動用信号を出力する。
【0080】
通常時駆動用電源4は一つ備える形態でもよく(図11を参照)、通常時駆動回路M1a〜M6aごとに対応して複数備える形態でもよい。放電時駆動用電源5についても同様であり、一つ備える形態でもよく(図11を参照)、放電時駆動回路M1b〜M6bごとに対応して複数備える形態でもよい。なお、上述した電圧Va,Vb,Vc,Vdは、同じ電圧となる場合に限らず、基準電位の相違によって異なる電圧となる場合もある。
【0081】
スイッチング素子Q1〜Q6には、例えばセンス電流を出力するセンス端子Ps1〜Ps6を備えたIGBTを用いる。センス端子Ps4〜Ps6と基底電位Nとの間は、それぞれ抵抗器R4〜R6を接続する。抵抗器R1〜R3はそれぞれ対応するスイッチング素子Q1〜Q3の各出力端子(エミッタ端子)と接続される。基底電位Nは、インバータ回路20内で共通する電位(同電位グランド)であり、接地された場合には0[V]になる。
【0082】
インバータ回路20内の回路素子は、二点鎖線で囲って示すように三相(本形態ではU相,V相,W相)に分けられ、コントローラ6によって相ごとに作動が制御される。U相は、通常時駆動回路M1a,M4a、放電時駆動回路M1b,M4b、スイッチング素子Q1,Q4、ダイオードD1,D4、抵抗器R1,R4などで構成される。V相は、通常時駆動回路M2a,M5a、放電時駆動回路M2b,M5b、スイッチング素子Q2,Q5、ダイオードD2,D5、抵抗器R2,R5などで構成される。W相は、通常時駆動回路M3a,M6a、放電時駆動回路M3b,M6b、スイッチング素子Q3,Q6、ダイオードD3,D6、抵抗器R3,R6などで構成される。U相のスイッチング素子Q1,Q4は、直列接続されてハーフブリッジを構成する。V相のスイッチング素子Q2,Q5と、W相のスイッチング素子Q3,Q6とについても同様に、直列接続されてハーフブリッジを構成する。ハーフブリッジの各接続点と発電電動機30の三相端子とは、線路Ku,Kv,Kwによって相ごとに接続される。線路KuにはU相電流Iuが流れ、線路KvにはV相電流Ivが流れ、線路KwにはW相電流Iwが流れる。
【0083】
コントローラ6は、コンバータ回路10やインバータ回路20等について全体の作動を司る。すなわち入力される信号情報に基づいて、コンバータ回路10に備える通常時駆動回路M1a〜M6aや放電時駆動回路M1b〜M6bに対して個別に指令信号を出力する。信号情報には、外部ECU(これに相当する外部制御装置を含む)から伝達される信号(例えばトルク指令等)や、状態検知情報(例えばセンス電圧,温度,ゲート電圧,端子間電圧など)、発電電動機30に備えられた検知器(例えば電圧計,電流計,レゾルバなど)から伝達される検知信号などが該当する。また、上記外部ECUに対して信号情報を出力したり、検知器に対して作動用の信号を出力する。
【0084】
上述した各機能を果たす限りにおいて、コントローラ6は任意に構成してよい。例えば、CPU(マイコンを含む)によってソフトウェア制御を行う構成としてもよく、IC(LSIやゲートアレイ等を含む)やトランジスタ等の電子部品を用いてハードウェア制御を行う構成としてもよい。
【0085】
上述のように構成されたインバータ回路20では、次のように作動する。通常時には、コントローラ6から信号入力端子P1a〜P6aに個別に入力される指令信号に基づいて通常時駆動回路M1a〜M6aから駆動用信号がスイッチング素子Q1〜Q6の制御端子(ゲート端子)に駆動用信号が伝達され、コンバータ回路10から供給される電力を変換して発電電動機30に出力する。また放電時には、コントローラ6から信号入力端子P1b〜P6bに個別に入力される指令信号に基づいて放電時駆動回路M1b〜M6bから駆動用信号がスイッチング素子Q1〜Q6の制御端子(ゲート端子)に駆動用信号が伝達され、コンデンサC2に蓄積された電荷を放電する。回り込み防止手段B1〜B6が介在するので、通常時駆動回路M1a〜M6aおよび放電時駆動回路M1b〜M6bのうち一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動用信号が回り込むのを阻止することができる。
【0086】
上述した実施の形態2に示すインバータ回路20は、実施の形態1に示す通常時駆動回路1,放電時駆動回路2および回り込み防止手段3を適用するので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、実施の形態1で示した各構成例をコンバータ回路に適用した例であり、図12を参照しながら説明する。なお、図示および説明を簡単にするために実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明する。よって実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
以下の説明において実施の形態1との関連では、コンバータ回路10は「電力変換装置」に相当する。直流電源E1は「電力供給源Es」に相当する。コンデンサC1は「コンデンサCa」に相当する。スイッチング素子Qu,Qdはそれぞれ「スイッチング素子Qa」に相当する。ダイオードDu,Ddはそれぞれ「ダイオードDa」に相当する。通常時駆動回路Mua,Mdaはそれぞれ「通常時駆動回路1」に相当する。放電時駆動回路Mub,Mdbはそれぞれ「放電時駆動回路2」に相当する。通常時駆動回路Mua、放電時駆動回路Mubおよび回り込み防止手段Buには、第1構成例〜第8構成例のいずれを適用してもよい。同様にして、放電時駆動回路Mub、放電時駆動回路Mdbおよび回り込み防止手段Bdは、それぞれ第1構成例〜第8構成例のいずれを適用してもよい。スイッチSwは、直流電源E1とコンデンサC1との間に介在される。
【0089】
図12に示すコンバータ回路10は、直流電源E1から供給される電力(電圧VL)を昇圧して出力する昇圧機能を実現するため、通常時駆動回路Mua,Mda、放電時駆動回路Mub,Mdb、スイッチング素子Qu,Qd、ダイオードDu,Dd、インダクタL10などを有する。
【0090】
通常時駆動回路Mua,Mdaはそれぞれ「通常時駆動回路1」に相当する。通常時駆動回路Muaは、スイッチング素子Quの出力端子(エミッタ端子)を基準電位として通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Va)を受けて作動する。通常時駆動回路Mdaは、スイッチング素子Qdの出力端子(エミッタ端子)を基準電位として通常時駆動用電源4から供給される電力(電圧Vc)を受けて作動する。これらの通常時駆動回路Mua,Mdaは、それぞれコントローラ6から個別に信号入力端子Pua,Pdaに入力される指令信号に従って、対応するスイッチング素子Qu,Qdの制御端子(ゲート端子)に駆動用信号を出力する。
【0091】
放電時駆動回路Mub,Mdbはそれぞれ「放電時駆動回路2」に相当する。放電時駆動回路Mub、スイッチング素子Quの出力端子(エミッタ端子)を基準電位として放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vb)を受けて作動する。放電時駆動回路Mdbは、スイッチング素子Qdの出力端子(エミッタ端子)を基準電位として放電時駆動用電源5から供給される電力(電圧Vd)を受けて作動する。これらの放電時駆動回路Mub,Mdbは、それぞれコントローラ6から個別に信号入力端子Pub,Pdbに入力される指令信号に従って、対応するスイッチング素子Qu,Qdの制御端子(ゲート端子)に駆動用信号を出力する。なお、上述した電圧Va,Vb,Vc,Vdは、同じ電圧となる場合に限らず、基準電位の相違によって異なる電圧となる場合もある。
【0092】
回り込み防止手段Bu,Bdは、それぞれが「回り込み防止手段3」に相当する。回り込み防止手段Buは、通常時駆動回路Muaとスイッチング素子Quとの間、および、放電時駆動回路Mubとスイッチング素子Quとの間の双方に介在して接続される。回り込み防止手段Bdは、通常時駆動回路Mdaとスイッチング素子Qdとの間、および、放電時駆動回路Mdbとスイッチング素子Qdとの間の双方に介在して接続される。これらの回り込み防止手段Bu,Bdは、いずれも実施の形態1に示す第1構成例〜第8構成例のいずれを適用してもよい。
【0093】
スイッチング素子Qu,Qdは、直列接続されてハーフブリッジを構成している。このスイッチング素子Qu,Qdには、例えばセンス電流を出力するセンス端子Psu,Psdを備えたIGBTを用いる。センス端子Psdと基底電位Nとの間には、抵抗器Rdを接続する。抵抗器Ruは、センス端子Psuと、スイッチング素子Qdの入力端子(ソース端子またはコレクタ端子等)との中間接続点との間に接続される。この中間接続点は、さらにインダクタL10を介して直流電源E1のプラス電極に接続する。このインダクタL10には、例えばチョークコイルを用いる。スイッチング素子Qu,Qdに並列接続されるダイオードDu,Ddは、それぞれフリーホイールダイオードとして機能する。スイッチング素子Qdの出力端子(エミッタ端子)は、直流電源E1のマイナス電極(すなわち基底電位N)に接続する。
【0094】
コンバータ回路10以外では、スイッチSw、コンデンサC1,C2などがある。スイッチSwは、直流電源E1から供給される電力について受電(オン)/非受電(オフ)を切り換える機能を担う。このスイッチSwは、直流電源E1とコンデンサC1との間に接続され、コントローラ6等からオン/オフの切り換え制御が行える素子を用いるのが望ましい。平滑用のコンデンサC1は、直流電源E1の両端(プラス電極とマイナス電極の間)に接続される。平滑用のコンデンサC2は、コンバータ回路10の出力側両端に接続される。スイッチSwおよびコンデンサC1のうち一方または双方は、コンバータ回路10に内在させてもよい。
【0095】
上述のように構成されたコンバータ回路10では、次のように作動する。通常時には、コントローラ6から信号入力端子Pua,Pdaに個別に入力される指令信号に基づいて通常時駆動回路Mua,Mdaから駆動用信号がスイッチング素子Qu,Qdの制御端子(ゲート端子)に駆動用信号が伝達され、直流電源E1から供給される電力を変換(昇圧)して出力する。また放電時には、コントローラ6から信号入力端子Pub,Pdbに個別に入力される指令信号に基づいて放電時駆動回路Mub,Mdbから駆動用信号がスイッチング素子Qu,Qdの制御端子(ゲート端子)に駆動用信号が伝達され、コンデンサC1に蓄積された電荷を放電する。回り込み防止手段Bu,Bdが介在するので、通常時駆動回路Mua,Mdaおよび放電時駆動回路Mub,Mdbのうち一方の駆動回路から他方の駆動回路に駆動用信号が回り込むのを阻止することができる。
【0096】
上述した実施の形態3に示すコンバータ回路10は、実施の形態1に示す通常時駆動回路1,放電時駆動回路2および回り込み防止手段3を適用するので、当該実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜3に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
【0098】
上述した実施の形態2ではインバータ回路20に適用し、実施の形態3ではコンバータ回路10に適用した。この形態に代えて、図1に示す通常時駆動回路1およびスイッチング素子Qaを少なくとも備える他の回路や装置であって、放電時に作動する放電時駆動回路2とともに回り込み防止手段3を備えるものについても同様に適用することが可能である。こうした他の回路や装置であっても、上述した実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
【0099】
上述した実施の形態3では、出力機器として三相の発電電動機30を適用した(図11を参照)。この形態に代えて、三相以外の発電電動機や、相数にかかわらずインバータ回路20から出力する電力を受けて作動可能な他の出力機器を適用してもよい。他の出力機器としては、例えば回転機(すなわち発電機や電動機等)、電力系統、負荷等のうちで一以上が該当する。三相以外の発電電動機や他の出力機器であっても、インバータ回路20によって作動させることができるので、上述した実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
【0100】
上述した実施の形態1〜3では、電力変換用のスイッチング素子Qa,Q1〜Q6,Qu,Qdとしてセンス端子を有するIGBTを適用した(図1〜図12を参照)。この形態に代えて、スイッチング機能を備えた他の半導体素子を適用してもよい。他の半導体素子としては、センス端子を有しないIGBTや、パワーMOSFET等が該当する。単にスイッチング素子の種類が相違するに過ぎないので、上述した実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
【0101】
実施の形態1〜3では、回り込み防止手段3の構成要素であるスイッチング素子Q3a,Q3bやスイッチング素子Q1c,Q2cとして、MOSトランジスタを適用した(図4,図8,図9を参照)。この形態に代えて、配線や線路の導通/非導通を切り換え可能な他の半導体素子を適用してもよい。他の半導体素子としては、MOSトランジスタ以外のトランジスタ,ダイオード,バリスタ,サイリスタなどが該当する。単に半導体素子の種類が相違するに過ぎないので、上述した実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0102】
Es 電力供給源
Ca コンデンサ(蓄放電手段)
1 通常時駆動回路
1a,2a 駆動電圧生成回路
1b,2b オン側回路
1c,2c オフ側回路
1v,2v 電圧検出回路
2 放電時駆動回路
3 回り込み防止手段
4 通常時駆動用電源
5 放電時駆動用電源
6 コントローラ
Qa スイッチング素子
Da ダイオード
10 コンバータ回路(電力変換装置)
20 インバータ回路(電力変換装置)
30 発電電動機(出力機器)
E1 直流電源(電力供給源)
C1,C2 コンデンサ(平滑用コンデンサ,キャパシタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源の出力側両端に接続して平滑するコンデンサと、前記電力供給源から供給される電力を変換して出力するスイッチング素子と、前記電力を変換する際に前記スイッチング素子を駆動する通常時駆動回路と、前記通常時駆動回路を作動させる通常時駆動用電源とを備える電力変換装置において、
前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する際に、前記スイッチング素子を駆動する放電時駆動回路と、
前記通常時駆動用電源とは別個に設けられ、前記放電時駆動回路を作動させる放電時駆動用電源と、
前記通常時駆動用電源と前記スイッチング素子との間、および、前記放電時駆動用電源と前記スイッチング素子との間の双方に介在され、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路のうち一方の駆動回路から他方の駆動回路に向かって回り込もうとする駆動用信号を阻止する回り込み防止手段と、
を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記回り込み防止手段は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路に内在させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記回り込み防止手段には、整流素子を適用することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記回り込み防止手段には、スイッチング素子を適用することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子としてMOSトランジスタを用いることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記MOSトランジスタがPMOSトランジスタであるとき、前記PMOSトランジスタのゲート端子とソース端子との間に、前記PMOSトランジスタの誤動作を防止する誤動作防止手段を有することを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路は、それぞれ前記スイッチング素子の駆動に必要な電圧を生成する電圧生成部を有し、
前記回り込み防止手段は、前記電圧生成部と各駆動回路に対応する駆動用電源との間に介在することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記放電時駆動回路は、前記通常時駆動回路が前記スイッチング素子をオフにするオフ制御部が作動しているときは、前記スイッチング素子を駆動しないことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路は、それぞれ前記スイッチング素子をオフにするオフ制御部を備え、
前記オフ制御部の誤動作を防止する誤動作防止手段を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記誤動作防止手段には、抵抗器およびコンデンサのうち一方または双方の回路素子を適用することを特徴とする請求項6または9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記通常時駆動用電源と前記スイッチング素子との間に介在される前記回り込み防止手段は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路の双方から制御を行え、
前記放電時駆動用電源と前記スイッチング素子との間に介在される前記回り込み防止手段は、前記通常時駆動回路および前記放電時駆動回路の双方から制御を行えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−217479(P2011−217479A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81948(P2010−81948)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】