説明

電力変換装置

【課題】自然エネルギー発電機の出力における最大電力点を安価な構成で追跡する。
【解決手段】本電力変換装置は、最大電力点を有する直流電源からの出力電圧をDC/DC昇圧変換する第1D/Dコンバータと、第1D/Dコンバータの出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1電圧検出回路と、第1電圧検出回路の出力信号の電圧と第1目標電圧との差に応じて第1D/Dコンバータに対して定電圧制御を行う第1定電圧制御回路と、第1D/Dコンバータの出力電圧をDC/DC降圧変換する第2D/Dコンバータと、第2D/Dコンバータの出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第2電圧検出回路と、第2電圧検出回路の出力信号の電圧と第2目標電圧との差に応じて第2D/Dコンバータに対して定電圧制御を行う第2定電圧制御回路と、第1電圧検出回路の出力信号の電圧が低下すると、第2電圧検出回路の出力信号の電圧と第2目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する調整回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最大電力点を有する直流電源に対する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(a)に一般的な太陽電池の出力電流−出力電圧特性、図1(b)に出力電流−出力電力特性を示す。図1(a)に示すように、太陽電池の出力電圧は、出力電流が増加すると徐々に減少するが、出力電流が所定の値を超えると急激に減少するような特性を有している。このような特性から、図1(b)に示すように、出力電力P(=出力電圧V×出力電流I)は、出力電流が所定の値になるまでは増加するが、所定の値を超えると急激に減少する。電圧を基準に考えた場合にも、所定の電圧値を超えると急激に出力電力Pが減少することになる。
【0003】
このような特性を有する太陽電池などの直流電源から出力される電力を効率的に利用するためには、電力極大値である最大電力点において蓄電池などの負荷に電力を伝えることが必要となる。すなわち、最大電力点追跡(Maximum Power Point Tracking)制御が必要となり、そのための技術が幾つか存在している。
【0004】
例えば特開昭63−57807号には、太陽電池の出力電圧と出力電流を検出し、出力電圧の微分値を利用した最大点追尾方法が開示されている。この技術は、最大電力点での微分値がゼロであることを利用する方法で、現動作点での制御信号に微少変位を与えたときの電圧及び電流を検出し、アナログデジタル(A/D)変換した後、演算により電力の微分値を求め、この電力の微分値がゼロになるように制御する。この技術には、A/D変換や演算のためにマイコンやDSP(Digital Signal Processor)が必要となるため、高価となる。
【0005】
また、特開昭62−85312号には、いわゆる山登り法での最大電力点追尾方法が開示されている。この方法は、2点の電圧及び電流値を測定し、各点での電力を算出した後、電力値を比較し、電力値が大きい方に制御点を移動して行き、制御点移動方向が交互に上昇下降する点で安定させる制御方法である。この制御方法では、制御点の移動量分、最大電力点を挟んで、変動をし続けることになり、移動量を大きく出来ない。また、移動量を小さくしすぎると、最大電力点付近まで制御点を移動するのに時間がかかり、太陽電池の出力電力特性の変化に追従できなくなってしまう。
【0006】
さらに、特開平7−072941号では、3点以上の電圧電流点を検出しそれぞれの電力を算出した後近似式にて最大電力点を推測し、この推測点で制御する方法が開示されている。この方法は、太陽電池の特性変化に従って、3点以上の電圧電流値から各々の電力を算出し、近似式で暫定最大電力点を見つけ出す手法である。しかし、この方法によれば、少なくとも1点の電圧電流点が最大電力点を越えたところの点であり、且つ少なくとも1点の電圧電流点が最大電力点を越えていないところの点である必要がある。従って、このような電圧電流点に制御点を移動させる必要があり、そのための制御回路が複雑且つ高価になる。
【0007】
また、特開平7−129264号には、太陽電池の出力電圧と電力変換部の出力電流の変動傾向から動作点位置を検出して最大電力点を追尾する方法が開示されている。この方法では、太陽電池の出力電圧と電力変換部の出力電流の変動傾向から、電力変換部を制御する指令値に対し、ΔVだけ増減させるため、電力変換部の出力変化量は、デジタル的な変動をすることになる。このことは、太陽電池の、日射量変化等による特性変化に対し、ΔVが大きければ、電力変換部の出力変化量が大きくなるためばたつきが発生し、ΔVが小さければ、安定するのに時間がかかることになり、固定のΔVでは、素早く且つ安定に制御できないという問題がある。また、変動傾向から太陽電池の動作位置を検出した後、指令値を変化させるため、遅延が大きくなり応答性が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−57807号
【特許文献2】特開昭62−85312号
【特許文献3】特開平7−072941号
【特許文献4】特開平7−129264号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上で述べたように、従来技術には、気象状況等に応じて出力電力が変動する太陽電池や風力発電機などの直流電源の出力における最大電力点を高速に追跡する安価な電力変換装置は開示されていない。
【0010】
従って、本発明の目的は、一側面において、気象状況等に出力電力が応じて変動する太陽電池や風力発電機などの直流電源の出力における最大電力点を追跡できる安価な電力変換装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、気象状況等に応じて出力電力が変動する太陽電池や風力発電機などの直流電源の出力における最大電力点を高速に追跡できる電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様に係る電力変換装置は、(A)最大電力点を有する直流電源からの出力電圧をDC/DC昇圧変換する第1のD/Dコンバータ回路と、(B)第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1の電圧検出回路と、(C)第1の電圧検出回路の出力信号の電圧と第1の目標電圧との差に応じて、第1のD/Dコンバータ回路に対して定電圧制御を行う第1の定電圧制御回路と、(D)第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧をDC/DC降圧変換する第2のD/Dコンバータ回路と、(E)第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第2の電圧検出回路と、(F)第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と第2の目標電圧との差に応じて、第2のD/Dコンバータ回路に対して定電圧制御を行う第2の定電圧制御回路と、(G)第1の定電圧制御回路による制御にもかかわらず第1の電圧検出回路の出力信号の電圧が低下すると、第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と第2の目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する調整回路とを有する。
【0013】
最大電力点を有する直流電源の場合、第1及び第2の定電圧制御回路が直流電源の電力供給能力を超えて電力を引き出そうとして第1及び第2のD/Dコンバータ回路を駆動すると、第1及び第2の定電圧制御回路による制御にも拘わらず第1及び第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧が低下する。そうすると、第1及び第2の電圧検出回路の出力信号の電圧も低下し、上で述べたように調整回路が動作する。調整回路が動作すると、第2の定電圧制御回路は、自らの制御の効果が現れたと判断し、第2のD/Dコンバータ回路の駆動レベルを、第1の電圧検出回路からの出力信号の電圧低下前の状態程度に戻してゆく。すなわち、第2のD/Dコンバータ回路の目標出力電圧が引き下げられたような現象が生じて、それに応じてさらに第1のD/Dコンバータ回路の目標出力電圧も引き下げられたようになる。そうすると、直流電源から引き出す電力も直流電源の電力供給能力よりも減少するので、第1及び第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧は上昇することになる。このような動作が繰り返されて、最大電力点の追跡が行われる。また、このような回路は、安価な回路素子のみで構成することができる。なお、第1の電圧検出回路からの出力信号の電圧がある程度下がれば調整回路が動作するので、最大電力点の高速な追跡が可能となる。
【0014】
また、D/Dコンバータ回路を2段構成とすることで出力電力が多様に変化するような直流電源に対応することができるようになる。
【0015】
さらに、上で述べた調整回路は、第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、第2の目標電圧を低下させる動作を行う回路を有するようにしてもよい。簡易な構成で上記調整回路を実現することができる。なお、第2の目標電圧を低下させる動作は、例えば放電回路による放電などによって実現される。
【0016】
また、上で述べた調整回路が、(G1)第2の電圧検出回路の出力信号の極性を反転させる第1の反転回路と、(G2)第1の反転回路の出力信号の電圧を、第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、引き下げる反転信号調整回路と、(G3)反転信号調整回路によって電圧が引き下げられた第1の反転回路の出力信号の極性を反転させる第2の反転回路とを有するようにしても良い。このようにすれば、第2の電圧検出回路の出力信号の電圧を適切に調整することができるようになる。
【0017】
本発明の第2の態様に係る電力変換装置は、(A)最大電力点を有する直流電源からの出力電圧をDC/DC昇圧変換する第1のD/Dコンバータ回路と、(B)第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1の電圧検出回路と、(C)第1の電圧検出回路の出力信号の電圧と第1の目標電圧との差に応じて、第1のD/Dコンバータ回路に対して定電圧制御を行う定電圧制御回路と、(D)第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧をDC/DC降圧変換する第2のD/Dコンバータ回路と、(E)第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第2の電圧検出回路と、(F)第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と第2の目標電圧との差に応じた定電圧制御のための第1の誤差信号を生成する第1の誤差検出回路と、(G)第2のD/Dコンバータ回路から出力される電力を蓄電する蓄電池に流れる電流の電流値を検出する蓄電池充電電流検出回路と、(H)蓄電池充電電流検出回路により検出された電流値と当該電流値の目標値との差に応じた定電流制御のための第2の誤差信号を生成する第2の誤差検出回路と、(I)第1の誤差信号又は第2の誤差信号に応じて第2のD/Dコンバータ回路を駆動する駆動回路と、(J)第1の誤差信号の電圧が第2の誤差信号の電圧より高い場合には第1の誤差信号を駆動回路に出力し、第2の誤差信号の電圧が第1の誤差信号の電圧以上である場合には第2の誤差信号を駆動回路に出力する切替回路と、(K)第1の定電圧制御回路による制御にもかかわらず第1の電圧検出回路の出力信号の電圧が低下すると、第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と第2の目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する調整回路とを有する。
【0018】
蓄電池に流れる電流の電流値に関する第2の誤差信号の電圧が第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧に関する第1の誤差信号の電圧以上である場合には、直流電源から十分な電力供給がなされており且つ蓄電池に充電を行っている途中であるから、第2の誤差信号に応じて定電流制御を行う。また、第1の誤差信号の電圧より第2の誤差信号の電圧が高い場合には、直流電源からの供給電力が不足しているか、蓄電池が満充電となった場合であり、この場合には第1の誤差信号に応じて定電圧制御を行う。定電圧制御時には、第1の態様のように最大電力点を追跡するように動作するので、より効率的に蓄電池への蓄電が行われるようになる。
【0019】
なお、上で述べた調整回路は、第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、第2の目標電圧を低下させる動作を行う回路を有するようにしてもよい。
【0020】
また、上で述べた調整回路が、第2の電圧検出回路の出力信号の極性を反転させる第1の反転回路と、第1の反転回路の出力信号の電圧を、第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、引き下げる反転信号調整回路と、反転信号調整回路によって電圧が引き下げられた第1の反転回路の出力信号の極性を反転させる第2の反転回路とを有する。
【0021】
さらに、第1の態様に係る電力変換装置を複数備え、当該複数の電力変換装置に含まれる一つの電力変換装置と複数の直流電源に含まれる一つの直流電源とが、1対1で接続されており、複数の電力変換装置の出力が接続されている電力システムを採用するようにしても良い。このような電力システムであれば、各直流電源の状況に応じて電力変換制御が行われるようになるので、簡単な構成でシステム全体として効率的に制御が行えるようになる。なお、複数の電力変換装置のそれぞれの出力電流が加算されて、蓄電池や負荷などに供給される。
【0022】
さらに、第1の態様に係る電力変換装置を複数備え、当該複数の電力変換装置に含まれる一つの電力変換装置と複数の直流電源に含まれる一つの直流電源とが、1対1で接続されており、電力変換装置の正極側出力を上位の電力変換装置の負極側出力に接続し、電力変換装置の負極側出力を下位の電力変換装置の正極側出力に接続し、最上位の電力変換装置の正極側出力を負荷側に接続し、最下位の電力変換装置の負極側出力を接地するような電力システムを採用するようにしてもよい。このような電力システムであれば、各直流電源の状況に応じて電力変換制御が行われるようになるので、簡単な構成でシステム全体として効率的に制御が行えるようになる。なお、複数の電力変換装置のそれぞれの出力電圧は加算されて、蓄電池や負荷などに供給される。
【0023】
以下、上で述べた本発明の一側面をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、気象状況等に応じて出力電力が変動する太陽電池や風力発電機などの直流電源の出力における最大電力点を安価に追跡できるようになる。
【0025】
また、本発明の他の側面によれば、気象状況等に応じて出力電力が変動する太陽電池や風力発電機などの直流電源の出力における最大電力点を高速に追跡できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)及び(b)は、太陽電池の特性を表す模式図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【図3】図3は、第2の実施の形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【図4】図4(a)及び(b)は、太陽電池の特性を表す模式図である。
【図5】図5(a)乃至(d)は、第2の実施の形態に係るシステムの動作を説明するための波形図である。
【図6】図6は、第2の実施の形態の実施例に係る回路例を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態の実施例に係る回路例を示す図である。
【図8】図8は、第2の実施の形態の実施例に係る回路例を示す図である。
【図9】図9(a)乃至(i)は、第2の実施の形態の実施例の動作を説明するための波形図である。
【図10】図10(a)乃至(o)は、第2の実施の形態の実施例の動作を説明するための波形図である。
【図11】図11(a)は、リチウムイオン二次電池の充電方式の一例を示し、図11(b)は、制御弁式鉛蓄電池の充電方式の一例を示す図である。
【図12】図12は、定電圧制御と定電流制御の切り換えについて説明するための図である。
【図13】図13は、第3の実施の形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【図14】図14は、第3の実施の形態の実施例に係る回路例を示す図である。
【図15】図15(a)乃至(h)は、第3の実施の形態の実施例に係る回路の動作を表す波形図である。
【図16】図16(a)乃至(h)は、第3の実施の形態の実施例に係る回路の動作を表す波形図である。
【図17】図17(a)乃至(h)は、第3の実施の形態に係る回路例の動作を説明するための波形図である。
【図18】図18は、第4の実施の形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【図19】図19(a)乃至(d)は、第4の実施の形態に係るシステムの動作を説明するための波形図である。
【図20】図20は、第4の実施の形態の実施例に係る回路例を示す図である。
【図21】図21(a)乃至(j)は、第4の実施の形態の実施例に係る回路の動作を表す波形図である。
【図22】図22(a)及び(q)は、第4の実施の形態の実施例に係る回路の動作を表す波形図である。
【図23】図23は、第5の実施の形態に係るシステムの機能ブロック図である。
【図24】図24は、第5の実施の形態の実施例に係る回路例を示す図である。
【図25】図25は、複数の太陽電池及び電力変換装置を含む太陽電池システムの一例を示す図である。
【図26】図26は、複数の太陽電池及び電力変換装置を含む太陽電池システムの他の例を示す図である。
【図27】図27は、複数の太陽電池及び電力変換装置を含む太陽電池システムの他の例を示す図である。
【図28】図28は、接続方法を説明するための図である。
【図29】図29は、複数の太陽電池及び電力変換装置を含む太陽電池システムの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施の形態1]
図2に、本実施の形態に係る電力変換装置を含むシステムの一例を示す。すなわち、図2に示すシステムは、太陽電池システムであって、太陽電池100と、太陽電池100からの出力に対して電力変換を行う電力変換装置200と、電力変換装置200の出力に接続されている負荷蓄電池300及び様々な負荷A乃至Cなどとを有する。太陽電池100及び負荷蓄電池300は、従来と同じである。また、負荷A乃至Cは、D/Dコンバータ回路付きの装置やD/Aインバータ回路付きの装置などであり、これらも従来と同じである。なお、太陽電池100は一例であって、例えば風力発電機などの他の自然エネルギー発電機であってもよい。
【0028】
電力変換装置200は、太陽電池100からの出力直流電圧を昇圧させる昇圧回路部210と、昇圧回路部210の出力直流電圧を降圧する降圧回路部220とを有する。このように2段構成を採用することによって、太陽電池だけではなく最大電力点を有する様々な直流電源でも対応できるようになる。
【0029】
昇圧回路部210は、(A)太陽電池100からの出力電圧をDC/DC変換によって昇圧する昇圧回路211と、(B)昇圧回路211の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1出力電圧検出回路212と、(C)第1出力電圧検出回路212からの出力信号の電圧と第1の目標電圧との差に応じて昇圧回路211に対する定電圧制御を行う第1定電圧制御回路213とを有する。
【0030】
また、降圧回路部220は、(A)昇圧回路部210からの出力電圧をDC/DC変換によって降圧する降圧D/Dコンバータ回路221と、(B)降圧D/Dコンバータ回路221の出力電圧に応じた出力信号を出力する第2出力電圧検出回路222と、(C)第2出力電圧検出回路222からの出力信号の電圧と第2目標電圧との差に応じて、降圧D/Dコンバータ回路221に対する定電圧制御を行う第2定電圧制御回路224と、(D)第1定電圧制御回路213による制御にも拘わらず(すなわち駆動レベルを上げているにも拘わらず)第1出力電圧検出回路212の出力信号の電圧が低下すると、第2出力電圧検出回路222の出力信号の電圧と第2目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する調整回路223とを有する。
【0031】
太陽電池100のような最大電力点を有する直流電源の場合、第1及び第2定電圧制御回路213及び224が、太陽電池100の電力供給能力を超えて電力を引き出そうとして昇圧回路211及び降圧D/Dコンバータ回路221を駆動すると、昇圧回路部210及び降圧回路部220の出力電圧は低下する。よって、第1定電圧制御回路213による制御にも拘わらず昇圧回路211の出力電圧が低下して、第1出力電圧検出回路212の出力信号の電圧も低下する。
【0032】
このように第1出力電圧検出回路212の出力信号の電圧が低下すると、調整回路223は、第2出力電圧検出回路222の出力信号の電圧と第2目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する。そうすると、第2定電圧制御回路224は、自らの制御の効果が現れたと判断して、降圧D/Dコンバータ回路221の駆動を、第2出力電圧検出回路222の出力信号の電圧低下前程度の状態に戻す。すなわち、降圧D/Dコンバータ回路221の目標出力電圧があたかも引き下げられたような現象が生じる。そうすると、昇圧回路部210から引き出す電力もその電力供給能力よりも減少するので、降圧D/Dコンバータ回路221の出力電圧は上昇することになる。さらにこれに連動して、太陽電池100から引き出す電力もその電力供給能力よりも減少するので、昇圧回路部210の昇圧回路211の出力電圧が上昇する。
【0033】
このような動作が繰り返されて、太陽電池100の最大電力点の追跡が行われる。また、このような電力変換装置は、マイクロプロセッサやDSP(Digital Signal Processor)などの高価な素子を用いずに構成できるため、安価に構成できる。
【0034】
なお、電位差を狭める方法は、いずれか一方を調整する方法の他、両方を調整する方法もある。
【0035】
[実施の形態2]
図3に、本発明の第2の実施の形態に係るシステムの機能ブロック図を示す。図3に示すシステムは、太陽電池システムであって、太陽電池100と、太陽電池100からの出力に対して電力変換を行う電力変換装置400と、電力変換装置400の出力に接続されている負荷蓄電池300及び様々な負荷A乃至Cなどが接続されている。太陽電池100及び負荷蓄電池300は、従来と同じである。また、負荷A乃至Cは、D/Dコンバータ回路付きの装置やD/Aインバータ回路付きの装置などであり、これらも従来と同じである。以下の実施の形態でも同様である。なお、太陽電池100は一例であって、例えば風力発電機などの他の自然エネルギー発電機であってもよい。
【0036】
電力変換装置400は、太陽電池100からの出力直流電圧を昇圧させる昇圧回路部410と、昇圧回路部410の出力直流電圧を降圧する降圧回路部420とを有する。
【0037】
昇圧回路部410は、(A)太陽電池100からの出力電圧をDC/DC変換によって昇圧する昇圧回路411と、(B)昇圧回路411の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1出力電圧検出回路412と、(C)第1出力電圧検出回路412からの出力信号の電圧と第1の目標電圧Vref_1との差に応じて昇圧回路411に対する定電圧制御を行う第1定電圧制御回路413とを有する。
【0038】
なお、昇圧回路411は、スイッチを有しており、当該スイッチをオンにする期間を変化させることによって、昇圧の度合いを調整するようになっている。このスイッチをオンにする期間をデューティー比(Dutyと表す)で表す。
【0039】
また、降圧回路部420は、(A)昇圧回路部410からの出力電圧をDC/DC変換によって降圧する降圧D/Dコンバータ回路421と、(B)降圧D/Dコンバータ回路421の出力電圧に応じた出力信号を出力する第2出力電圧検出回路422と、(C)第2出力電圧検出回路422からの出力信号の電圧と第1出力電圧検出回路412の出力に応じて変更された目標電圧V_Vrefとの差に応じた電圧の誤差信号を出力する誤差検出回路423と、(D)誤差検出回路423の出力信号に応じて降圧D/Dコンバータ回路421を駆動する駆動信号発生回路424と、(E)第1出力電圧検出回路412からの出力信号の電圧低下を検出すると、当該低下の度合いに応じて第2目標電圧Vref_2を低下させることで目標電圧V_Vrefを生成し、第2出力電圧検出回路422の出力電圧Vo2_fbと目標電圧V_Vrefとの差を強制的に狭める目標電圧調整回路425とを有する。
【0040】
次に、図4及び図5を用いて、図3に示した電力変換装置400の動作について説明する。なお、太陽電池100からの出力電力をPpv、電力変換装置400の昇圧回路部410の出力電圧をV1d_out、出力電力をP1d、第1定電圧制御回路413から昇圧回路411への出力をDuty、第2目標電圧をVref_2、目標電圧調整回路425から誤差検出回路423への出力電圧をV_Vref、降圧回路部420の出力電圧をVout、出力電力をPoutと表すものとする。
【0041】
図4(a)は、図1(b)と基本的には同じであり、太陽電池100の出力電流Iと出力電力Pの関係を表す図である。もう一度説明すると、電流Ipv_maxまでは出力電流Iを増加させると出力電力P自体も増加し、電流Ipv_maxにおいて出力電力Pは最大電力点Ppv_maxとなり、電流Ipv_max以上となった場合には出力電力Pは急激に減少する。すなわち、電流Ipv_max以上となると、出力電力Pが急激に減少するというのは、出力電圧Vも低下していることを表している。
【0042】
ここで、電流Ipv_maxより大幅に低い電流値に対応する電力点をAとし、電流Ipv_max以上の近傍の電流値に対応する電力点をBとし、電流Ipv_max以下の近傍の電流値に対応する電力点をCとする。なお、電力点Bに完全に一致しないがほぼ同じ電流値の電力点をB2、B3といったように表す。また、電力点Cに完全に一致しないがほぼ同じ電流値の電力点をC2、C3といったように表す。さらに、最大電力点Ppv_maxを簡単にMと表すものとする。
【0043】
なお、図4(b)は、図1(a)と全く同じである。
【0044】
図5(a)乃至(d)は、本実施の形態に係る電力変換装置400の動作を表す。なお、以下で動作を説明するための波形図においては、横軸は時間を表し、縦軸は電圧[V]を表す。但し、電力の場合にはW、デューティー比の場合には%の場合がある。図5(a)は、太陽電池100からの出力電力Ppv、昇圧回路部410の出力電力P1d、及び降圧回路部420の出力電力Poutの時間変化を表している。なお、昇圧回路部410にも降圧回路部420にも損失があるので、ほぼPpv>P1d>Poutの関係が成り立つ。比較のため、最大電力点Ppv_maxも示されている。また、図5(b)は、昇圧回路部410の出力電圧V1d_out及び降圧回路部420の出力電圧Voutの時間変化を表す。図5(c)は、目標電圧調整回路425からの目標電圧V_Vrefの時間変化を表す。比較のため第2の目標電圧Vref_2も示されている。図5(d)は、昇圧回路411に対する第1定電圧制御回路413であるスイッチングパルスのデューティー比Duty[%]の時間変化を表す。
【0045】
まず、太陽電池100からの出力電力が、電力点Aより小さい電力から電力点Aを超えて電力点Mに到達するまでについては、電力変換装置400が通常どおり動作する。簡単に述べれば、昇圧回路部410の第1定電圧制御回路413は、第1出力電圧検出回路412の出力電圧と第1目標電圧Vref_1との誤差電圧に応じて昇圧回路411を駆動して太陽電池100からの出力電圧を昇圧する。
【0046】
また、目標電圧調整回路425では何もせずに目標電圧Vref_2がそのまま誤差検出回路423に出力され(図5(c))、V_Vref=Vref_2である。従って、誤差検出回路423は、V_Vref=Vref_2と第2出力電圧検出回路422の出力電圧との差に応じた信号を生成して、当該信号によって駆動信号発生回路424は降圧D/Dコンバータ回路421の駆動信号を生成して駆動するようになっている。
【0047】
但し、電力点Aを超えて太陽電池100から電力を引き出そうとすると、昇圧回路411をそれまでと同じように駆動するだけでは第1出力電圧検出回路412の出力電圧が下がってしまう。そこで、第1定電圧制御回路413は、図5(d)に示すように、昇圧回路411のスイッチに対するスイッチングパルスのデューティー比Dutyを徐々に上げるように動作する。このようにすれば、図5(b)に示すように、電力変換装置400の出力電圧Voutが一定に維持される。
【0048】
その後、太陽電池100から引き出す電力が電力点Mに達すると、図5(a)及び(b)に示すように、太陽電池100からの出力電力Ppvは急激に低下するので、それにつられて昇圧回路部410の出力電圧V1d_out、出力電力P1dも低下する。そうすると、やや遅れて、降圧回路部420の出力電圧Vout、出力電力Poutも低下する。
【0049】
そうすると、第1定電圧制御回路413は、第1出力電圧検出回路412の出力電圧と第1目標電圧Vref_1との差が大きくなったことを検出して、昇圧回路411のスイッチに対するスイッチングパルスのデューティー比Dutyを最大値DutyMaxまで上昇させる。これが太陽電池100から引き出す電力が電力点Bに達するあたりで発生する。
【0050】
なお、図5(a)に示すように、電力変換装置400が太陽電池100から引き出そうとする電力と、太陽電池100の実際の出力電力Ppvとが、電力点Bで釣り合うことになる。
【0051】
このような状況が発生すると、目標電圧調整回路425は、第2目標電圧Vref_2から目標電圧V_Vrefを引き下げるように動作する。これによって、図5(c)に示すように、V_Vrefが第2目標電圧Vref_2から下降する。
【0052】
そうすると、第2出力電圧検出回路422の出力電圧と目標電圧V_Vrefとの差が小さくなるので、駆動信号発生回路424によって駆動される降圧D/Dコンバータ回路421の駆動レベルが下がり、昇圧回路部410から引き出そうとする電流が少なくなる。これに応じて、図5(a)及び(b)に示すように、電力点Bに達した時点以降は、昇圧回路部410の出力電圧V1d_out、出力電力P1dも上昇する。さらに、やや遅れて降圧回路部420の出力電圧Vout及び出力電力Poutも上昇する。そうすると、第1出力電圧検出回路412の出力電圧も上昇するので、第1定電圧制御回路413では第1目標電圧Vref_1との差が縮小したように見えるので、昇圧回路411のスイッチに対するスイッチングパルスのデューティー比Dutyを引き下げる。そうすると、昇圧回路部410においても、太陽電池100から引き出される電流が減少する。
【0053】
しかし、目標電圧調整回路425からの目標電圧V_Vrefを引き下げることによって降圧D/Dコンバータ回路421の駆動がより小さくなって太陽電池100及び昇圧回路部410から引き出される電流が少なくなり過ぎてしまうので、出力電力Ppvは最大電力点Mを過ぎて再度減少する。
【0054】
一方、目標電圧調整回路425による目標電圧V_Vrefの調整が終了すると、目標電圧V_Vrefは徐々に上昇する。これに応じて降圧回路部420の出力電力Vout及び出力電力Poutも徐々に上昇する。これに遅延して、昇圧回路411のスイッチに対するスイッチングパルスのデューティー比Dutyも徐々に上昇する。目標電圧V_Vrefの上昇には時定数(例えばCRによる充電の時定数)があり急激に上昇するわけではないので、上でも述べたように出力電力Ppvは最大電力点Mを過ぎて電力点Cに到達してしまう。電力点Cでは、太陽電池100の出力電力Ppvと電力変換装置400が引き出す電力とが釣り合うことになる。
【0055】
なお、昇圧回路部410の出力電圧V1d_outは、第1定電圧制御回路413が一定になるように制御しているので、図5(b)に示すように、次に電力不足となる電力点Mに達するまでは一定となる。図5(d)に示すように、昇圧回路部410の出力電圧V1d_outを一定にするために、昇圧回路411のスイッチに対するスイッチングパルスのデューティー比Dutyを徐々に上昇させる。
【0056】
その後、図5(a)に示すように、太陽電池100の出力電力Ppvは上昇して再度電力点Mに達する。この後の動作は、最初に電力点Mに達した後とほぼ同じになる。但し、図5(c)に示すように、目標電圧V_Vrefは、第2目標電圧Vref_2に戻っておらず、降圧回路部420の出力電圧Voutも目標値に達していないので、動作としては同じでも目標電圧V_Vrefの引き下げ幅などは若干異なってくる。このように完全に同じ動作ではないので、電力点CではなくC1やC2、電力点BではなくB1やB2で、図4(b)のカーブ上動作を切り替えることになる。
【0057】
結局のところ、最大電力点をはさんで電力点B又はその近傍と電力点C又はその近傍間を行き来することになる。すなわち、最大電力点追跡が可能となっている。上で述べた動作は、太陽電池100の発電電力がほぼ一定であることを前提としている。
【0058】
なお、電力点Bと電力点Cの差は、出力電力や出力電圧に応じて決まるが、降圧D/Dコンバータ回路421などを含む制御系のゲイン調整で調整することができる。すなわち、より最大電力点近傍で動作させることができる。
【0059】
[実施の形態2の実施例]
図6乃至図8に本実施の形態に係る具体的回路例を示す。
【0060】
図6は、太陽電池100の具体的回路例と、昇圧回路411の具体的回路例と、第1出力電圧検出回路412の具体的回路例と、第1定電圧制御回路413の具体的回路例とを示している。また、図7は、降圧D/Dコンバータ回路421の具体的回路例と、第2出力電圧検出回路422の具体的回路例と、蓄電池300の具体的回路例とを示している。さらに、図8は、駆動信号発生回路424と電圧誤差検出回路423とを有する第2定電圧制御回路の具体的回路例と、目標電圧調整回路425の具体的回路例とを示している。
【0061】
端子A及びBを介して第1出力電圧検出回路412(図6)と降圧D/Dコンバータ回路421(図7)とが接続されている。また、端子Cを介して第1出力電圧検出回路412(図6)と目標電圧調整回路425(図8)とが接続されている。また、端子Eを介して第2出力電圧検出回路422(図7)と第2定電圧制御回路の電圧誤差検出回路423(図8)とが接続されている。さらに、端子Dを介して第2定電圧制御回路の駆動信号発生回路424(図8)と降圧D/Dコンバータ回路421の駆動回路(図7)とが接続されている。
【0062】
図6における昇圧回路411は昇圧チョッパ回路として示されているが、他の方式により太陽電池100の出力電圧を昇圧するD/Dコンバータ回路であってもよい。第1定電圧制御回路413は、第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fbと第1目標電圧Vref_1との差に応じてスイッチングパルスPul_1のデューティー比を変化させ、昇圧回路411の出力電圧を一定になるように制御する。
【0063】
降圧D/Dコンバータ回路421は、一例としてハーフブリッジ方式の降圧D/Dコンバータ回路であり、そのためのドライバICを含む駆動回路が用いられている。また、フルブリッジ方式、プッシュプル方式、フォワード方式、フライバック方式、降圧型チョッパ回路などで、絶縁型、非絶縁型を用途により選択できる。ドライバICを含む駆動回路は、採用された降圧D/Dコンバータ回路に応じて適宜選択される。
【0064】
目標電圧調整回路425においては、通常時には、第2の目標電圧Vref_2が電圧誤差検出回路423のオペアンプの正極側入力端子に入力されるように、コンデンサC1に電荷がチャージされるようになっている。一方、Vo1_fbが低下すると、目標電圧調整回路425のオペアンプの出力電圧A3_outが上昇する。そうすると、三角波VTW_3以上となる期間が発生する場合がある。そうすると、A3_Outが、コンパレータの出力電圧CMP3_Oがその期間中ハイになり、コンパレータの出力側に設けられているローパスフィルタによって平滑化されるが、FETのゲート電圧VGは上昇してFETがオンになる。このFETが、オンの期間中コンデンサC1から放電されるようになり、目標電圧V_Vrefは放電の間引き下げられることになる。
【0065】
次に、図6乃至図8に示した回路の動作を図9及び図10を用いて説明する。なお、基本的な動作については図5(a)乃至(d)で説明したので、ポイントとなる部分だけを説明する。
【0066】
まず、図5(a)の電力点Aなどにおいて十分太陽電池100から電力供給が可能である状態における動作を図9(a)乃至(i)を用いて説明する。なお、図9(a)乃至(i)は、ある短い時間の動作を示しており、図6乃至図8に示した回路の基本的な動作説明を行うための図である。
【0067】
図9(a)は、第1定電圧制御回路413の出力であるスイッチングパルスPul_1を表している。この間、昇圧回路411の出力電圧及び当該出力電圧に応じた第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fb(図9(b))は、図中は大げさに示されているが、スイッチングに応じて多少リプルが発生する程度の変動だけである。図9(c)に示すように、このような第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fbから第1定電圧制御回路413のオペアンプによって生成される信号A1_Outは、三角波VTW_1と比較されて、信号A1_Outの電圧の方が高い期間、図9(a)に示すようなスイッチングパルスがハイとなる。
【0068】
一方、図9(d)は、駆動信号発生回路424の出力Pul_2を表しており、図9(e)は、第2出力電圧検出回路422の出力電圧Vo2_fbを表している。このように、降圧D/Dコンバータ回路421の動作周波数は、昇圧回路411の動作周波数とは異なっている。
【0069】
図9(b)に示した第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fbは、目標電圧調整回路425に入力されると、前段のオペアンプで図9(g)に示すような出力信号A3_Outに変換される。このように波形は反転される。また、目標電圧調整回路425の後段のコンパレータでは、出力信号A3_Outと三角波VTW_3とが比較される。しかしながら、出力信号A3_Outは三角波VTW_3よりも電圧が高くなることはないので、図9(h)に示すように、コンパレータの出力CMP3_O及びFETのゲート電圧VGはローのままとなる。そうすると、図9(i)に示すように、目標電圧調整回路425の出力電圧である目標電圧V_Vrefは、初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2のままとなる。
【0070】
そうなると、第2定電圧制御回路の電圧誤差検出回路423における前段のオペアンプでは、第2出力電圧検出回路422の出力電圧Vo2_fbと初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2とが比較され、誤差信号A2_Outが生成される。この誤差信号A2_Outは、駆動信号発生回路424において三角波VTW_2と比較され、誤差信号A2_Outの方が電圧が高い期間オンになるパルス波Pul_2(図9(d))が生成される。
【0071】
次に、図10(a)乃至(o)を用いて、昇圧回路411の出力電圧が低下し始めて、第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fbも低下し始めた場合の動作について説明する。なお、図10(a)乃至(o)は、本実施の形態の特徴を強調するように描かれているので、実際とは多少異なる部分もある。
【0072】
図10(a)及び(b)に示すように、太陽電池100からの電力供給が減少するか最大電力点を超えて電力を引き出そうとすると、第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fbは下がりだし、昇圧回路411のFETのゲート端子に対するスイッチングパルスPul_1のデューティー比は、例えば最大になる。これは、図10(c)に示すように、第1定電圧制御回路413のオペアンプの出力A1_Outは、上昇して三角波VTW_1よりも高くなる期間が長くなる。
【0073】
一方、昇圧回路部410の出力電圧が低下するため降圧D/Dコンバータ回路421の出力電圧も低下するため、図10(e)に示すように、第2出力電圧検出回路422の出力電圧Vo2_fbも低下してゆく。
【0074】
また、図10(g)に示すように、目標電圧調整回路425の前段のオペアンプの出力A3_Outは、図10(b)に示した出力電圧Vo1_fbの低下とは反対に徐々に上昇して、三角波VTW_3よりも高くなる期間が発生する。そうすると、図10(h)に示すように、目標電圧調整回路425の後段のコンパレータの出力CMP3_O及びFETのゲート電圧VGは、ハイになる期間が発生する。図10(i)に示すように、目標電圧調整回路425のFETがオンになると、目標電圧調整回路425のコンデンサC1に蓄えられた電荷がオンの期間中放電されるようになるので、目標電圧V_Vrefは、初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2よりも低下するようになる。なお、FETがオフになると、コンデンサC1には電荷が蓄えられて目標電圧V_Vrefは上昇する。FETがオフの期間が長ければ、目標電圧V_Vrefは、初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2に戻ることができるが、FETがオンの期間が長くなって、FETがオフの期間が短くなると、目標電圧V_Vrefは初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2に戻れなくなる。
【0075】
なお、図10(f)は、図10(i)に示すような目標電圧V_Vrefの低下を反映しない場合を示しており、第2定電圧制御回路の電圧誤差検出回路423の出力電圧A2_Outは、三角波VTW_2と比較され、出力電圧A2_Outの方が高い期間中、スイッチングパルスPul_2がハイになる(図10(d))。
【0076】
上で述べ且つ図10(j)に示すように、目標電圧調整回路425の動作によって、第2出力電圧検出回路422の出力電圧Vo2_fbの低下に伴って、目標電圧V_Vrefは徐々に低下するので、両者の差は狭められたことになる。そうすると、第2定電圧制御回路では、出力電圧Vo2_fbの低下に応じて駆動レベルを上げた結果、あたかも効果があったようにみえるので駆動レベルを下げることになる。すなわち、図10(k)に示すように、電圧誤差検出回路423の誤差信号A2_Outはやや低下して、三角波VTW_2と比較すると、誤差信号A2_Outの電圧が高くなる期間は短くなる。なお、付加されているダッシュは調整済みを表している。
【0077】
そうすると、降圧D/Dコンバータ回路421の駆動レベルが下がるので、昇圧回路411の出力電圧が上昇する。また、第1出力電圧検出回路412の出力電圧Vo1_fbも、図10(m)に示すように上昇する。そうすると、図10(n)に示すように、第1定電圧制御回路413のオペアンプの出力A1_Outは低下するので、三角波VTW_1よりも電圧が高くなる期間は短くなる。これに応じて、図10(o)に示すように、昇圧回路411のFETに対するスイッチングパルスPul_1はデューティー比が低くなる。すなわち、ハイの期間が短くなる。
【0078】
以上のような動作を行うことで、太陽電池100の供給電力と電力変換装置400によって引き出される電力とが早期に釣り合うようになる。その後は、太陽電池100からの電力供給状態に応じて上で述べたものと同様の動作を繰り返せば、最大電力点を追跡していることになる。
【0079】
このように高価なプロセッサなどを用いることなく安価な素子のみで最大電力点追跡が可能となる。
【0080】
なお、上で述べた各回路の構成は一例であって、同様の機能を実現する様々な変形が可能である。
【0081】
[実施の形態3]
図11(a)に、リチウムイオン二次電池の充電方式の一例を示す。図11(a)において、横軸は時間であり、縦軸は充電電圧及び電流を表す。図11(a)から分かるように、充電電流を満充電になるまで一定に制御する。この際、電圧は図示するようなカーブを描きながら上昇する。一方、満充電になると充電電圧を一定となるように制御する。そうすると、充電電流は急激に減少することになる。同様に、図11(b)に、制御弁式鉛蓄電池の充電方式の一例を示す。図11(a)と同様に、図11(b)でも、横軸は時間であり、縦軸は充電電圧及び電流を表す。基本的に、鉛蓄電池もリチウムイオン二次電池と同様の方式で充電する。
【0082】
負荷蓄電池300のこのような充電方法と太陽電池100の供給電力状態とを勘案すると、図12に示すような制御切換を行えば効率的に蓄電を行うことができるようになる。すなわち、太陽電池100の発電電力が十分である場合(発電電力充足の場合)であって負荷蓄電池300が満充電状態であれば、定電圧制御を行う。但し、満充電時電圧が電圧制御の目標電圧の場合には最大電力点追跡(MPPT:Maximum Power Point Tracking)は動作しない。また、太陽電池100の発電電力が十分である場合(発電電力充足の場合)であって負荷蓄電池300が充電中(すなわち充電未完了)であれば、定電流制御を行う。すなわち、太陽電池100から十分な電力が供給されている場合には、満充電になった場合と満充電でなくなった場合とに、図12の双方向矢印Aに示すように制御を切換える。
【0083】
さらに、太陽電池100の発電電力が十分ない場合(発電電力不足の場合)であって負荷蓄電池300が満充電状態であれば、MPPTを伴う定電圧制御を行う。また、太陽電池100の発電電力が十分ない場合(発電電力不足の場合)であって負荷蓄電池300が充電中(すなわち充電未完了)であれば、MPPTを伴う定電圧制御を行う。このように、太陽電池100の発電電力が十分ない場合(発電電力不足の場合)には、制御の切換えは不要となっている。
【0084】
しかし、負荷蓄電池300に対して充電中である場合には、太陽電池100の発電電力が十分ある場合と十分ない場合とで、図12の双方向矢印Bに示すように制御を切換える。特に、双方向矢印Bで示す制御の切換は、充電中であるため適切に切換えることにより、充電が効率よく行われるようになる。
【0085】
このような制御の切り換えを行うため、本実施の形態では図13に示すような構成を採用する。
【0086】
図13に示すシステムは、太陽電池システムであって、太陽電池100と、太陽電池100からの出力に対して電力変換を行う電力変換装置500と、電力変換装置500の出力に接続されている負荷蓄電池300及び様々な負荷A乃至Cなどが接続されている。太陽電池100及び負荷蓄電池300は、従来と同じである。また、負荷A乃至Cは、D/Dコンバータ回路付きの装置やD/Aインバータ回路付きの装置などであり、これらも従来と同じである。なお、太陽電池100は一例であって、例えば風力発電機などの他の自然エネルギー発電機であってもよい。
【0087】
電力変換装置500は、昇圧回路部510と降圧回路部530とを有する。昇圧回路部510は、(A)太陽電池100からの出力電圧をDC/DC変換によって昇圧する昇圧回路511と、(B)昇圧回路511の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1出力電圧検出回路512と、(C)第1出力電圧検出回路512からの出力信号の電圧と第1の目標電圧Vref_1との差に応じて昇圧回路511に対する定電圧制御を行う第1定電圧制御回路513とを有する。
【0088】
また、降圧回路部530は、(A)昇圧回路部510からの出力電圧をDC/DC変換によって降圧する降圧D/Dコンバータ回路531と、(B)降圧D/Dコンバータ回路531の出力電圧に応じた出力信号を出力する第2出力電圧検出回路532と、(C)第2出力電圧検出回路532からの出力信号の電圧と第1出力電圧検出回路512の出力に応じて変更された目標電圧V_Vrefとの差に応じた電圧の第1の誤差検出信号を出力する電圧誤差検出回路537と、(D)第1出力電圧検出回路512からの出力信号の電圧低下を検出すると、当該低下の度合いに応じて第2目標電圧Vref_2を低下させることで目標電圧V_Vrefを生成し、第2出力電圧検出回路532の出力電圧Vo2_fbと目標電圧V_Vrefとの差を強制的に狭める目標電圧調整回路538と、(E)負荷蓄電池300に流れる電流に応じた電圧の出力信号を出力する蓄電池充電電流検出回路533と、(F)蓄電池充電電流検出回路533からの出力信号の電圧と予め設定されている目標電流に相当する電圧との差に応じた電圧の第2誤差検出信号を出力する電流誤差検出回路534と、(G)電流誤差検出回路534の第2の誤差検出信号と電圧誤差検出回路537の第1の誤差検出信号とのいずれかをその電圧値に応じて切り換える切換回路535と、(H)切換回路535の出力に応じて降圧D/Dコンバータ回路531を駆動する駆動信号発生回路536とを有する。
【0089】
本実施の形態では、図12に示したような定電流制御を行うべき状態であれば、電流誤差検出回路534の第2誤差検出信号の電圧が、電圧誤差検出回路537の第1誤差検出信号の電圧以上となる。従って、切換回路535は、第2誤差検出信号を駆動信号発生回路536に出力する。すなわち、電流誤差検出回路534及び駆動信号発生回路536の組み合わせで定電流制御が行われ、蓄電池充電電流検出回路533において検出される、負荷蓄電池300に流れる電流が一定になるように動作する。
【0090】
一方、図12に示したような定電圧制御を行うべき状態であれば、電圧誤差検出回路537の第1誤差検出信号の電圧が、電流誤差検出回路534の第2誤差検出信号の電圧を超えるようになる。従って、切換回路535は、第1誤差検出信号を駆動信号発生回路536に出力する。すなわち、電圧誤差検出回路537、目標電圧調整回路538及び駆動信号発生回路536の組み合わせで定電圧制御が行われる。定電圧制御が有効化されている場合には、基本的な動作は第2の実施の形態と同じになる。
【0091】
このように制御を切り換え、さらに定電圧制御を実施する際には第2の実施の形態と同じようにMPPTを実施することになるので、効率的に負荷蓄電池300への充電を行うことができる。
【0092】
[実施の形態3の実施例]
本実施の形態に係る具体的回路例を、図14に図6乃至図8との差分の部分のみを示す。図6に示している太陽電池100は本実施の形態でも同じである。図6の昇圧回路411、第1出力電圧検出回路412及び第1定電圧制御回路413は、本具体的回路例における昇圧回路511、第1出力電圧検出回路512及び第1定電圧制御回路513と同じである。また、図7の降圧D/Dコンバータ回路421及び第2出力電圧検出回路422は、本具体的回路例における降圧D/Dコンバータ回路531及び第2出力電圧検出回路532と同じである。それ以外の回路については、図14に示されている。
【0093】
図14に示すように、蓄電池300及び蓄電池充電電流検出回路533は直列に接続されており、端子F及びGを介して図7の第2出力電圧検出回路に接続される。図14の駆動信号発生回路536の出力は、端子Dを介して図7の降圧D/Dコンバータ回路の駆動回路に接続される。図14の電圧誤差検出回路537の入力は、端子Eを介して図7の第2出力電圧検出回路と接続されている。図14の目標電圧調整回路538の入力は、端子Cを介して図6の第1出力電圧検出回路と接続されている。
【0094】
本具体的回路例における切換回路535は、電流誤差検出回路534の出力と電圧誤差検出回路537の出力とをダイオードORする回路である。これによって、電圧の高い方の誤差検出信号を駆動信号発生回路536に出力するようになっている。本具体的回路例における目標電圧調整回路538は、第1の実施の形態における回路例と同じになっている。また、本具体的回路例において電圧誤差検出回路537は、単純に第2出力電圧検出回路532の出力電圧Vo2_fbと目標電圧調整回路538から出力される目標電圧V_Vrefとの差を検出するような回路となっている。電流誤差検出回路534も、蓄電池充電電流検出回路533の出力と目標電流に相当する電圧I_Vrefとの差を検出するような回路となっている。
【0095】
次に、図15乃至図17を用いて、本実施の形態における具体的回路例の動作を説明する。図15(a)乃至(h)は、定電流制御が行われている場合の動作を示す。
【0096】
図15(a)及び(b)から分かるように、定電流制御では徐々に電圧変換装置400の出力電圧Vo2は上昇する(図15(b))。図15(b)では、出力電圧Vo2の平均値Vo_aveが上昇することも示されている。また、蓄電池充電電流検出回路533の出力電圧Vbi_fbは、電流誤差検出回路534において目標電流に相当する電圧I_Vrefと比較され、出力電圧Vbi_fbはこの電圧I_Vref以上となっている期間ハイになる矩形波CMP_Iが生成される。但し、電流誤差検出回路534にはCRによるローパスフィルタが含まれているので、電流誤差検出回路534の出力信号Vfb_Iは図15(e)に示すような波形になる。矩形波CMP_Iのハイの期間が長ければ、出力信号Vfb_Iの電圧は高くなる。
【0097】
図15(f)に示すように、第2出力電圧検出回路532の出力電圧Vo2_fbは、出力電圧Vo2に連動して上昇する。しかし、第1出力電圧検出回路512の出力は低下しないので目標電圧V_Vrefは初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2のままで、出力電圧Vo2_fbが目標電圧V_Vrefを超える期間は徐々に長くなる。すなわち、図15(g)に示すように徐々にハイの期間が長くなる矩形波CMP_Vが電圧誤差検出回路537により生成されるが、図15(d)で示したCMP_Iよりもハイの期間は短くなる。従って、電圧誤差検出回路537に含まれるローパスフィルタによって平滑化された信号Vfb_Vの電圧は、図15(e)に示すように、電流誤差検出回路534からの出力信号Vfb_Iの電圧より低くなる。なお、出力電圧Vo2_fbと連動して上昇する点については同じである。従って、切換回路535は、電流誤差検出回路534からの出力信号Vfb_Iを図15(h)に示す信号Vfbとして駆動信号発生回路536に出力する。
【0098】
駆動信号発生回路536は、図15(h)に示すように、三角波VTW_2と信号Vfbとを比較して、三角波VTW_2の方が電圧が高い期間にハイになる駆動パルス波Pul_2(図15(a))が生成される。
【0099】
これに対して蓄電池300への充電が完了した場合の動作を図16(a)乃至(h)を用いて説明する。なお、図16(a)は、基本的なパルス波Pul_2を示しており、定電流制御から定電圧制御への切換が反映されていない。
【0100】
図16(b)に示すように、満充電になるまで電力変換装置500の出力電圧Vo2は上昇し、満充電になると一定になるように制御される。一方、図16(c)に示すように、蓄電池充電電流検出回路533の出力電圧Vbi_fbは、満充電になると、低下することになる。そうすると、出力電圧Vbi_fbが目標電流に相当する電圧I_Vrefを超える期間が短くなって、図16(d)に示す矩形波CMP_Iがハイになる期間がなくなってしまう。そのため、電流誤差検出回路534のローパスフィルタの出力電圧Vfb_Iは、図16(e)に示すように、急激に低下してゼロになってしまう。
【0101】
一方、第1出力電圧検出回路512の出力電圧Vo1_fbは低下しないので、目標電圧V_Vrefは初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2のままとなる。但し、図16(f)に示すように、第2出力電圧検出回路532の出力電圧Vo2_fbは上昇するので、目標電圧V_Vrefを超える期間が長くなり、電圧誤差検出回路537のコンパレータの出力CMP_Vは、図16(g)に示すように、ハイの期間が長くなって、その後常にハイになってしまう。そうすると、図16(e)に示すように、電圧誤差検出回路537のローパスフィルタで平滑化された電圧Vfb_Vは、徐々に上昇し、その後最大値で一定となる。
【0102】
従って、図16(e)に示すように、途中で電流誤差検出回路534の出力電圧Vfb_Iより電圧誤差検出回路537の出力電圧Vfb_Vが高くなる。そうすると、図16(h)に示すように、切換回路535は、電圧の高い入力を駆動信号発生回路536に出力するので、途中で電圧誤差検出回路537の出力電圧Vfb_VをVfbとして駆動信号発生回路536に出力するようになる。駆動信号発生回路536は、三角波VTW_2と出力電圧Vfbとを比較して、三角波VTW_2の方が高い期間がハイとなる矩形波Pul_2を生成する。図16(h)の例では、非常に短い期間のみハイとなる。
【0103】
次に、図17(a)乃至(h)を用いて、太陽電池100からの電力供給が不足してしまうためMPPTを伴う定電圧制御を実施する場合の動作について説明する。なお、図16(a)は、基本的なパルス波Pul_2を示しており、定電流制御から定電圧制御への切換が反映されていない。
【0104】
図17(b)に示すように、電力変換装置500の出力電圧Vo2は、電力不足のため徐々に低下する。同様に、その平均電圧Vo_aveも低下する。また、電力不足で太陽電池100から引き出される電流も低下するため、図17(c)に示すように、蓄電池充電電流検出回路533の出力電圧Vbi_fbも徐々に低下する。出力電圧Vbi_fbが目標電流に相当する電圧I_Vrefを常に下回るようになると、図17(c)に示すように、電流誤差検出回路534で生成される矩形波CMP_Iもハイになる期間がなくなってしまう。従って、電流誤差検出回路534のローパスフィルタで生成される第2誤差検出信号Vfb_Iは、矩形波CMP_Iがローになってしまうと、それに応じてゼロになってしまう。
【0105】
一方、図17(f)に示すように、第1出力電圧検出回路512の出力電圧Vo1_fbは電力不足のため低下するので、目標電圧調整回路538は、目標電圧V_Vrefを、初期目標電圧(=第2目標電圧)Vref_2から強制的に引き下げるように動作する。第2出力電圧検出回路532の出力電圧Vo2_fbも低下するので、目標電圧V_Vrefとの差は小さくなる。但し、本例では、図17(f)に示すように、目標電圧V_Vrefよりも出力電圧Vo2_fbが高くなるので、電圧誤差検出回路537における矩形波CMP_Vのハイの期間が長くなって、その後ハイのままになる。そうすると、図17(e)に示すように、第1誤差検出信号Vfb_Vは、第2誤差検出信号Vfb_Iより高くなるので、この信号がVfbとして出力されるようになる。駆動信号発生回路536は、三角波VTW_2と出力電圧Vfbとを比較して、三角波VTW_2の方が高い期間がハイとなる矩形波Pul_2を生成する。図17(h)の例では、非常に短い期間のみハイとなる。
【0106】
以上のような動作を行うことによって、定電流制御から定電圧制御に適切に切り換えが行われるようになる。すなわち、蓄電池300に効率的に蓄電されるようになる。なお、定電圧制御から定電流制御への切り換えについては、上で述べたものと逆になるので、説明を省略する。
【0107】
また、定電圧制御においては、第2の実施の形態と同様にMPPTが行われるようになる。
【0108】
なお、回路例は様々な変形が可能であり、上で述べたような機能を実現できる他の構成を採用することも可能である。
【0109】
[実施の形態4]
図18に本実施の形態に係るシステムの機能ブロック図を示す。図18に示すシステムは、太陽電池システムであって、太陽電池100と、太陽電池100からの出力に対して電力変換を行う電力変換装置600と、電力変換装置600の出力に接続されている負荷蓄電池300及び様々な負荷A乃至Cなどが接続されている。太陽電池100及び負荷蓄電池300は、従来と同じである。また、負荷A乃至Cは、D/Dコンバータ回路付きの装置やD/Aインバータ回路付きの装置などであり、これらも従来と同じである。なお、太陽電池100は一例であって、例えば風力発電機などの他の自然エネルギー発電機であってもよい。
【0110】
電力変換装置600は、太陽電池100からの出力直流電圧を昇圧させる昇圧回路部610と、昇圧回路部610の出力直流電圧を降圧する降圧回路部620とを有する。
【0111】
昇圧回路部610は、(A)太陽電池100からの出力電圧をDC/DC変換によって昇圧する昇圧回路611と、(B)昇圧回路611の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1出力電圧検出回路612と、(C)第1出力電圧検出回路612からの出力信号の電圧Vo1_fbと第1の目標電圧Vref_1との差に応じて昇圧回路611に対する定電圧制御を行う第1定電圧制御回路613とを有する。
【0112】
なお、昇圧回路611は、スイッチを有しており、当該スイッチをオンにする期間を変化させることによって、昇圧の度合いを調整するようになっている。このスイッチをオンにする期間をデューティー比(Dutyと表す)で表す。
【0113】
また、降圧回路部620は、(A)昇圧回路部610からの出力電圧をDC/DC変換によって降圧する降圧D/Dコンバータ回路621と、(B)降圧D/Dコンバータ回路621の出力電圧に応じた出力信号Vo2_fbを出力する第2出力電圧検出回路622と、(C)第2出力電圧検出回路622からの出力信号の電圧Vo2_fbを第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbに応じて変更して調整後信号Vof3を生成する検出信号調整回路623と、(D)検出信号調整回路623の出力である調整後信号Vof3と固定目標電圧V_Vrefとの差に応じた電圧の検出信号を出力する誤差検出回路624と、(E)誤差検出回路624の出力信号に応じて降圧D/Dコンバータ回路621を駆動する駆動信号発生回路625とを有する。
【0114】
検出信号調整回路623は、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbが所定基準以上低下するまでは、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbをそのまま調整後信号Vof3として誤差検出回路624に出力する。一方、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbが所定基準以上低下すると、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbも低下しているが、検出信号調整回路623は、強制的に固定目標電圧V_Vrefとの差を狭めるように出力電圧Vo2_fbを上昇させるようにする。V_Vrefを上回ることもあるが、差の絶対値は小さくなる。従って、誤差検出回路624では、電圧低下に応じて駆動レベルを上げた効果が現れて固定目標電圧V_Vrefとの差が小さくなったように見えるため、駆動信号発生回路625に駆動レベルを下げるような駆動信号を生成させるようになる。これによって、太陽電池100からの供給電力低下に応じて駆動レベルを調整することができるようになる。
【0115】
次に、図19を用いて、図18に示した電力変換装置600の動作について説明する。なお、太陽電池100からの出力電力をPpv、電力変換装置600の昇圧回路部610の出力電圧をV1d_out、出力電力をP1d、第1定電圧制御回路613から昇圧回路611への出力をDuty、固定目標電圧をV_Vref、検出信号調整回路623の出力をVof3、降圧回路部620の出力電圧をVout、出力電力をPoutと表すものとする。
【0116】
図19(a)乃至(d)に、図18に示した電力変換装置600の動作を説明するための波形図を示す。図19(a)(b)及び(d)は、第2の実施の形態の場合と同じである。本実施の形態では、上でも述べたように、太陽電池100から電力を引き出しすぎると、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fb、昇圧回路部610の出力電圧V1d_out及び降圧回路部620の出力電圧Voutも低下することになる。従って、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbも低下して、それに応じて検出信号調整回路623の出力電圧Vof3も低下する。しかし、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbが所定基準以上低下すれば、検出信号調整回路623が、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbを強制的に上昇させる。すなわち、図19(c)に示すように、調整後信号Vof3を上昇させて、固定の目標電圧V_Vrefとの差を狭めることによって、誤差検出回路624及び駆動信号発生回路625による降圧D/Dコンバータ回路621の駆動レベルを低下させるように調整している。このように、太陽電池100から電力を引き出しすぎるという状況になると、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbを調整して、固定の目標電圧V_Vrefとの差を狭めるように調整することで、第2の実施の形態と同様に、太陽電池100の最大電力点を安価な回路素子で追跡させることができるようになる。
【0117】
[実施の形態4の実施例]
本実施の形態に係る具体的回路例を、図20に図6乃至図8との差分の部分のみを示す。図6に示している太陽電池100は本実施の形態でも同じである。図6の昇圧回路411、第1出力電圧検出回路412及び第1定電圧制御回路413は、本具体的回路例における昇圧回路611、第1出力電圧検出回路612及び第1定電圧制御回路613と同じである。また、図7の降圧D/Dコンバータ回路421及び第2出力電圧検出回路422は、本具体的回路例における降圧D/Dコンバータ回路621及び第2出力電圧検出回路622と同じである。それ以外の回路については、図20に示されている。
【0118】
図20に示すように、図7の第2出力電圧検出回路の出力は、端子Eを介して図20の検出信号調整回路623に接続されている。図20の駆動信号発生回路625の出力は、端子Dを介して図7の降圧D/Dコンバータ回路の駆動回路の入力に接続されている。
【0119】
誤差検出回路624及び駆動信号発生回路625は、検出信号調整回路623からの出力Vof3について定電圧制御を行う回路である。一方、検出信号調整回路623は、コンパレータ又はオペアンプ毎に機能が分かれている。具体的には、左下に示したオペアンプは、第1定電圧制御回路613の前段のオペアンプと同様に目標電圧Vref_1と検出信号Vo1_fbとの誤差を検出して誤差信号A3_Outを生成する。コンパレータでは、三角波VTW_3と誤差信号A3_Outとを比較して、三角波VTW_3の方が電圧が高い期間オンになるパルス波CMP3_Oが生成される。パルス波CMP3_Oは、コンパレータの後段に設けられているローパスフィルタで平滑化されてFET(S2)のゲート電圧VGが生成される。このFET(S2)がオンとなっている場合には、コンデンサC2には電荷が貯まらない。一方、FET(S2)がオフになると、その期間だけコンデンサC2に電荷が貯まるため、徐々にトランジスタTのベースに印加される電圧VQBが上昇する。トランジスタTは、電圧VQBが所定電圧以上になると、オンになる。
【0120】
一方、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbが入力されるオペアンプ(右上)では、出力電圧Vo2_fbを反転させて中間信号Vof2を生成する。さらに、もう1つのオペアンプは、中間信号Vof2を反転させて、検出信号調整回路623の出力Vof3を生成する。
【0121】
第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbが所定基準以上下がってトランジスタTがオンになると、トランジスタTのエミッタは接地されているので、中間信号Vof2の電位は、強制的に引き下げられる。このように、トランジスタTがオンになると、中間信号Vof2は強制的に引き下げられる。一方、後段のオペアンプでは、中間信号Vof3を反転させるので、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbが所定基準以上下がってトランジスタTがオンになると、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbは反対に引き上げられて、その結果が出力Vof3として得られるようになる。
【0122】
次に、本実施例に係る電力変換装置600の動作を図21及び図22を用いて説明する。まず、図5(a)の電力点Aなどにおいて十分太陽電池100から電力供給が可能である状態における動作を図21(a)乃至(j)を用いて説明する。なお、図21(a)乃至(j)は、ある短い時間の動作を示しており、図20等に示した回路の基本的な動作説明を行うための図である。
【0123】
図21(a)は、第1定電圧制御回路613の出力であるスイッチングパルスPul_1を表している。この間、昇圧回路611の出力電圧及び当該出力電圧に応じた第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fb(図21(b))は、図中は大げさに示されているが、スイッチングに応じて多少リプルが発生する程度の変動だけである。図21(c)に示すように、このような第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbから第1定電圧制御回路613のオペアンプによって生成される信号A1_Outは、三角波VTW_1と比較されて、信号A1_Outの電圧の方が高い期間、図21(a)に示すようなスイッチングパルスにおいてハイとなる。
【0124】
一方、図21(d)は、駆動信号発生回路625の出力Pul_2を表しており、図21(e)は、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbを表している。このように、降圧D/Dコンバータ回路621の動作周波数は、昇圧回路611の動作周波数とは異なっている。
【0125】
図21(b)に示した第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbは、検出信号調整回路623に入力されると、初段のオペアンプで図21(h)に示すような出力信号A3_Outに変換される。このように波形は反転される。また、検出信号調整回路623の次段のコンパレータでは、出力信号A3_Outと三角波VTW_3とが比較される。しかしながら、出力信号A3_Outは三角波VTW_3よりも電圧が高くなることはないので、図21(i)及び(j)に示すように、コンパレータの出力CMP3_O及びFETのゲート電圧VGはハイのままとなる。そうすると、図21(j)に示すように、検出信号調整回路623のトランジスタTのベース電圧VQBは、ゼロのままになる。
【0126】
そうなると、検出信号調整回路623に入力された第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fb(図21(e))は、検出信号調整回路623の上段の2つのオペアンプで単純な信号の反転が行われて、図21(f)に示すように、検出信号調整回路623の調整後信号Vof3は、ほぼ出力電圧Vo2_fbと同じになる。
【0127】
誤差検出回路624では、調整後信号Vof3と固定目標電圧V_Vrefとが比較され、誤差信号A2_Outが生成される。駆動信号発生回路625では、誤差信号A2_Outと三角波VTW_2とが比較され、誤差信号A2_Outの電圧の方が高い期間ハイになる矩形波Pul_2が生成される(図21(d))。
【0128】
次に、図22(a)乃至(q)を用いて、昇圧回路611の出力が低下し始めて、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbも低下し始めた場合の動作について説明する。なお、図22(a)乃至(q)は、本実施の形態の特徴を強調するように描かれているので、実際とは多少異なる部分もある。
【0129】
図22(a)及び(b)に示すように、太陽電池100からの電力供給が減少するか最大電力点を超えて電力を引き出そうとすると、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbは下がりだし、昇圧回路611のFETのゲート端子に対するスイッチングパルスPul_1のデューティー比は、例えば最大になる。これは、図22(c)に示すように、第1定電圧制御回路613のオペアンプの出力A1_Outは、上昇して三角波VTW_1よりも高くなる期間が長くなる。
【0130】
一方、昇圧回路部610の出力電圧が低下するため降圧D/Dコンバータ回路621の出力電圧も低下するため、図22(e)及び(k)に示すように、第2出力電圧検出回路622の出力電圧Vo2_fbも低下してゆく。
【0131】
また、図22(h)に示すように、検出信号調整回路623の初段のオペアンプの出力A3_Outは、図22(b)に示した出力電圧Vo1_fbの低下とは反対に徐々に上昇して、三角波VTW_3よりも高くなる期間が発生する。そうすると、図22(i)及び(j)に示すように、検出信号調整回路623の次段のコンパレータの出力CMP3_O及びFETのゲート電圧VGは、ローになる期間が発生する。そうすると、図22(j)に示すように、検出信号調整回路623のFET(S2)がオフになると、コンデンサC2に電荷がチャージされはじめて、トランジスタTのベース電圧VQBは、FET(S2)がオフの期間は上昇する。FET(S2)がオフの期間が長くなり頻繁に発生するようになると、トランジスタTのベース電圧VQBは、トランジスタTをオンにする程度まで高くなる。
【0132】
なお、検出信号調整回路623による出力電圧Vo2_fbに対する調整が行われるまでは、図22(f)に示すように、出力電圧Vo2_fbと同じような波形が調整後信号Vof3となる。中間信号Vof2は、出力電圧Vo2_fbを反転させた信号である。誤差検出回路624は、固定目標電圧V_Vrefと調整後信号Vof3との誤差信号A2_Outを生成し(図22(g))、駆動信号発生回路625は、三角波VTW_3と誤差信号A2_Outとを比較して、誤差信号A2_Outの電圧が高い期間ハイになる矩形波Pul_2が生成される(図22(d))。
【0133】
図22(l)に示すように、ベース電圧VQBが上昇してトランジスタTがオンになり、中間信号Vof2が引き下げられると、反対に調整後信号Vof3は引き上げられることになる。図22(l)で丸で示した部分が、中間信号Vof2の引き下げ及び調整後信号Vof3の引き上げが行われている部分である。これによって、固定目標電圧V_Vrefと調整後信号Vof3の差は、固定目標電圧V_Vrefと出力電圧Vo2_fbとの差よりも狭められている。両者の上下関係は反転することもある。なお、図22(l)以降の図においてダッシュが付されている記号は、検出信号調整回路623の調整の影響を受けていることを表している。
【0134】
なお、図22(m)に示すように、誤差検出回路624の出力電圧A2_Outは、三角波VTW_2と比較され、出力電圧A2_Outの方が高い期間中、スイッチングパルスPul_2がハイになる。
【0135】
出力電圧Vo2_fbが低下すると、降圧D/Dコンバータ回路621の駆動レベルを上げて出力電圧Vo2_fbを上昇させるように誤差検出回路624及び駆動信号発生回路625は動作する。しかし上で述べたように、調整後信号Vof3と固定目標電圧V_Vrefとの差を狭めるように検出信号調整回路623は動作するので、出力電圧Vo2_fbの低下に応じて駆動レベルを上げた結果、あたかも効果があったように見えるので、誤差検出回路624及び駆動信号発生回路625が駆動レベルを下げるようになる。すなわち、図22(m)に示すように、誤差検出回路624の誤差信号A2_Outはやや低下して、三角波VTW_2と比較すると、誤差信号A2_Outの電圧が高くなる期間は短くなる。
【0136】
そうすると、降圧D/Dコンバータ回路621の駆動レベルが下がるので、昇圧回路611の出力電圧が上昇する。また、第1出力電圧検出回路612の出力電圧Vo1_fbも、図22(o)に示すように上昇する。そうすると、図22(p)に示すように、第1定電圧制御回路613のオペアンプの出力A1_Outは低下するので、三角波VTW_1よりも電圧が高くなる期間は短くなる。これに応じて、図22(q)に示すように、昇圧回路611のFETに対するスイッチングパルスPul_1はデューティー比が低くなる。すなわち、ハイの期間が短くなる。
【0137】
以上のような動作を行うことで、太陽電池100の供給電力と電力変換装置600によって引き出される電力とが早期に釣り合うようになる。その後は、太陽電池100からの電力供給状態に応じて上で述べたものと同様の動作を繰り返せば、最大電力点を追跡していることになる。
【0138】
このように高価なプロセッサなどを用いることなく安価な素子のみで最大電力点追跡が可能となる。
【0139】
なお、上で述べた各回路の構成は一例であって、同様の機能を実現する様々な変形が可能である。
【0140】
[実施の形態5]
第5の実施の形態では、第4の実施の形態を、第3の実施の形態に従った形で変形した構成を採用する。
【0141】
本実施の形態に係るシステムは、太陽電池システムであって、図23に示すように、太陽電池100と、太陽電池100からの出力に対して電力変換を行う電力変換装置700と、電力変換装置700の出力に接続されている負荷蓄電池300及び様々な負荷A乃至Cなどが接続されている。太陽電池100及び負荷蓄電池300は、従来と同じである。また、負荷A乃至Cは、D/Dコンバータ回路付きの装置やD/Aインバータ回路付きの装置などであり、これらも従来と同じである。なお、太陽電池100は一例であって、例えば風力発電機などの他の自然エネルギー発電機であってもよい。
【0142】
電力変換装置700は、昇圧回路部710と降圧回路部730と有する。昇圧回路部710は、(A)太陽電池100からの出力電圧をDC/DC変換によって昇圧する昇圧回路711と、(B)昇圧回路711の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1出力電圧検出回路712と、(C)第1出力電圧検出回路712からの出力信号の電圧と第1の目標電圧Vref_1との差に応じて昇圧回路711に対する定電圧制御を行う第1定電圧制御回路713とを有する。
【0143】
また、降圧回路部730は、(A)昇圧回路部710からの出力電圧をDC/DC変換によって降圧する降圧D/Dコンバータ回路731と、(B)降圧D/Dコンバータ回路731の出力電圧に応じた出力信号を出力する第2出力電圧検出回路732と、(C)第2出力電圧検出回路732からの出力信号の電圧Vo2_fbを第1出力電圧検出回路712の出力電圧Vo1_fbに応じて変更して調整後信号Vof3を生成する電圧検出信号調整回路737と、(D)電圧検出信号調整回路737の出力である調整後信号Vof3と固定目標電圧V_Vrefとの差に応じた電圧の検出信号を出力する電圧誤差検出回路738と、(E)負荷蓄電池300に流れる電流に応じた電圧の出力信号を出力する蓄電池充電電流検出回路733と、(F)蓄電池充電電流検出回路733からの出力信号の電圧と予め設定されている目標電流に相当する電圧との差に応じた電圧の第2誤差検出信号を出力する電流誤差検出回路734と、(G)電流誤差検出回路734の出力信号と電圧誤差検出回路738の出力信号とのいずれかをその電圧値に応じて切り換える切換回路735と、(H)切換回路735の出力に応じて降圧D/Dコンバータ回路731を駆動する駆動信号発生回路736とを有する。
【0144】
本実施の形態では、図12に示したような定電流制御を行うべき状態であれば、電流誤差検出回路734の第2誤差検出信号の電圧が、電圧誤差検出回路738の第1誤差検出信号の電圧以上となる。従って、切換回路735は、第2誤差検出信号を駆動信号発生回路736に出力する。すなわち、電流誤差検出回路734及び駆動信号発生回路736の組み合わせで定電流制御が行われ、蓄電池充電電流検出回路733において検出される負荷蓄電池300に流れる電流が一定になるように動作する。
【0145】
一方、図12に示したような定電圧制御を行うべき状態であれば、電圧誤差検出回路738の第1誤差検出信号の電圧が、電流誤差検出回路734の第2誤差検出信号の電圧を超えるようになる。従って、切換回路735は、第1誤差検出信号を駆動信号発生回路736に出力する。すなわち、電圧誤差検出回路738、電圧検出信号調整回路737及び駆動信号発生回路736の組み合わせで定電圧制御が行われる。定電圧制御が有効化されている場合には、基本的な動作は第4の実施の形態と同じになる。
【0146】
このように制御を切り換え、さらに定電圧制御を実施する際には第4の実施の形態と同じようにMPPTを実施することになるので、効率的に負荷蓄電池300への充電を行うことができる。
【0147】
[実施の形態5の実施例]
本実施の形態に係る具体的回路例を、図24に図6乃至図8との差分の部分のみを示す。図6に示している太陽電池100は本実施の形態でも同じである。図6の昇圧回路411、第1出力電圧検出回路412及び第1定電圧制御回路413は、本具体的回路例における昇圧回路711、第1出力電圧検出回路712及び第1定電圧制御回路713と同じである。また、図7の降圧D/Dコンバータ回路421及び第2出力電圧検出回路422は、本具体的回路例における降圧D/Dコンバータ回路731及び第2出力電圧検出回路732と同じである。それ以外の回路については、図24に示されている。
【0148】
図24に示すように、蓄電池300及び蓄電池充電電流検出回路733は直列に接続されており、端子F及びGを介して図7の第2出力電圧検出回路に接続される。図24の駆動信号発生回路736の出力は、端子Dを介して図7の降圧D/Dコンバータ回路の駆動回路に接続される。図24の電圧検出信号調整回路737の入力は、端子Eを介して図7の第2出力電圧検出回路と接続されている。図24の電圧検出信号調整回路737の入力は、端子Cを介して図6の第1出力電圧検出回路と接続されている。
【0149】
本具体的回路例における切換回路735は、電流誤差検出回路734の出力と電圧誤差検出回路738の出力とをダイオードORする回路である。これによって、電圧の高い方の誤差検出信号を駆動信号発生回路736に出力するようになっている。本具体的回路例における電圧検出信号調整回路737は、第4の実施の形態における回路例と同じになっている。電流誤差検出回路734も、蓄電池充電電流検出回路733の出力と目標電流に相当する電圧I_Vrefとの差を検出するような回路となっている。
【0150】
本具体的回路例における定電流制御と定電圧制御の切り換えについては第3の実施の形態と同じであり、MPPTを伴う定電圧制御について第4の実施の形態と同じである。従って、ここでは説明を省略する。
【0151】
[実施の形態6]
第1、第2及び第4の実施の形態に係る電力変換装置は、例えば図25のように用いることができる。図25の例では、5つの太陽電池の各々に、電力変換装置を接続する。そして、全ての電力変換装置の全ての出力は、コンデンサ2001と、負荷蓄電池2003と、DC/ACインバータ回路やDC/DCコンバータ回路などの様々な負荷に接続される。
【0152】
1つの大きな太陽電池に対して1つの電力変換装置を接続するような構成では、当該太陽電池の一部分だけ影などにより出力が低下した場合、当該太陽電池の出力電力カーブが複雑になるため、最大電力点の追跡が難しくなる。しかし、図25に示すように、太陽電池をある程度の大きさに分割して、各太陽電池に電力変換装置を接続して、各々で最大電力点を追跡するようにすれば、一部の太陽電池の出力電力が低下したりしても、その太陽電池に合わせて担当の電力変換装置が出力電力を引き下げるように動作する。すなわち、全体としても最大電力点に追従することが容易になり、全体として効率の良いシステムが得られるようになる。
【0153】
太陽電池の出力電圧が高電圧(例えば、開放電圧が300V度設定)、出力電流が低電流(例えば、短絡電流1A程度設定)の場合は、図25のように接続することが好ましい。図25の例では、負荷蓄電池2003に供給される電流Io_Dは、全ての電力変換装置の出力電流の和になる。すなわち、Io_D=Io_D1+Io_D2+Io_D3+Io_D4+Io_D5となる。一方、出力電圧Vo_Dは一定である。
【0154】
D/Dコンバータ回路の出力電圧を400Vとしたいとき、約1.5乃至2倍程度の昇圧比として図25のように接続することで、総電力は大きく取り出せることになるとともに、D/Dコンバータ回路を効率の良い領域で使用することが出来る。
【0155】
さらに、図26に示すように、各電力変換装置の出力にダイオードのカソードを接続し、全てのダイオードの全てのアノードを接続することによって、システムの電力変換装置の出力をダイオードOR回路で接続するようにしても良い。
【0156】
また、図27に示すような構成も可能である。すなわち、コンデンサ2001及び負荷蓄電池2003などに接続されている電力変換装置_1を最上位として、負極側端子が接地されている電力変換装置_5を最下位とした時、最上位及び最下位の電力変換装置を除く電力変換装置の正極側出力を上位の電力変換装置の負極側出力に接続し、電力変換装置の負極側出力を下位の電力変換装置の正極側出力に接続し、最上位の電力変換装置の正極側出力をコンデンサ2001等に接続し、最下位の電力変換装置の負極側出力を接地する。図28に一部を示すように、電力変換装置の第2出力電圧検出回路の端子Pを正極側端子とし、第2出力電圧検出回路の端子Qを負極側端子としている。
【0157】
太陽電池の出力電圧が低電圧(例えば、開放電圧が30V程度の設定)、出力電流が低電流(例えば、短絡電流10A程度設定)の場合は、図27に示すように接続することが好ましい。図27の例では、負荷蓄電池2003に供給される電圧Vo_Dは、全ての電力変換装置の出力電圧の和となる。すなわち、Vo_D=Vo_D1+Vo_D2+Vo_D3+Vo_D4+Vo_D5となる。一方、出力電流Io_Dは一定である。
【0158】
また、D/Dコンバータ回路の出力電圧を400Vとしたいときは、D/Dコンバータ回路を約1.5乃至2倍程度の昇圧比として、電力変換回路を10直列程度にすることで、目標電圧を得ることができる。D/D昇圧比を低くすることができるため、効率の良い領域で使用することが出来る。
【0159】
さらに、図29に示すように、図27に示した回路の各電力変換装置の負極側端子にダイオードのアノードを接続し、正極側端子にカソードを接続するような構成を採用するようにしても良い。
【0160】
上では太陽電池と電力変換装置の組み合わせを5つ利用する例を示したが、個数は5に限定されるものではない。
【0161】
当然ながら太陽電池は一例であり、風力発電機など他の自然エネルギーからの発電機にも適用できる。さらに、風力発電機や太陽電池などを複合的に用いるシステムにおいても適用可能である。
【0162】
以上本発明の実施の形態を説明したが、同様の機能を実現する他の回路例を採用することもできる。
【符号の説明】
【0163】
100 太陽電池
200,400,500,600,700 電力変換装置
300 負荷蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最大電力点を有する直流電源からの出力電圧をDC/DC昇圧変換する第1のD/Dコンバータ回路と、
前記第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1の電圧検出回路と、
前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧と第1の目標電圧との差に応じて、前記第1のD/Dコンバータ回路に対して定電圧制御を行う第1の定電圧制御回路と、
前記第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧をDC/DC降圧変換する第2のD/Dコンバータ回路と、
前記第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第2の電圧検出回路と、
前記第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と第2の目標電圧との差に応じて、前記第2のD/Dコンバータ回路に対して定電圧制御を行う第2の定電圧制御回路と、
前記第1の定電圧制御回路による制御にもかかわらず前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧が低下すると、前記第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と前記第2の目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する調整回路と、
を有する電力変換装置。
【請求項2】
前記調整回路は、前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、前記第2の目標電圧を低下させる動作を行う回路を有する
請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記調整回路が、
前記第2の電圧検出回路の出力信号の極性を反転させる第1の反転回路と、
前記第1の反転回路の出力信号の電圧を、前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、引き下げる反転信号調整回路と、
前記反転信号調整回路によって電圧が引き下げられた前記第1の反転回路の出力信号の極性を反転させる第2の反転回路と、
を有する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
最大電力点を有する直流電源からの出力電圧をDC/DC昇圧変換する第1のD/Dコンバータ回路と、
前記第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第1の電圧検出回路と、
前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧と第1の目標電圧との差に応じて、前記第1のD/Dコンバータ回路に対して定電圧制御を行う定電圧制御回路と、
前記第1のD/Dコンバータ回路の出力電圧をDC/DC降圧変換する第2のD/Dコンバータ回路と、
前記第2のD/Dコンバータ回路の出力電圧に応じた電圧の出力信号を出力する第2の電圧検出回路と、
前記第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と第2の目標電圧との差に応じた定電圧制御のための第1の誤差信号を生成する第1の誤差検出回路と、
前記第2のD/Dコンバータ回路から出力される電力を蓄電する蓄電池に流れる電流の電流値を検出する蓄電池充電電流検出回路と、
前記蓄電池充電電流検出回路により検出された前記電流値と当該電流値の目標値との差に応じた定電流制御のための第2の誤差信号を生成する第2の誤差検出回路と、
前記第1の誤差信号又は前記第2の誤差信号に応じて前記第2のD/Dコンバータ回路を駆動する駆動回路と、
前記第1の誤差信号の電圧が前記第2の誤差信号の電圧より高い場合には前記第1の誤差信号を前記駆動回路に出力し、前記第2の誤差信号の電圧が前記第1の誤差信号の電圧以上である場合には前記第2の誤差信号を前記駆動回路に出力する切替回路と、
前記第1の定電圧制御回路による制御にもかかわらず前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧が低下すると、前記第2の電圧検出回路の出力信号の電圧と前記第2の目標電圧との電位差を強制的に狭める動作を実施する調整回路と、
を有する電力変換装置。
【請求項5】
前記調整回路は、前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、前記第2の目標電圧を低下させる動作を行う回路を有する
請求項4記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記調整回路が、
前記第2の電圧検出回路の出力信号の極性を反転させる第1の反転回路と、
前記第1の反転回路の出力信号の電圧を、前記第1の電圧検出回路の出力信号の電圧の低下度合いに応じて、引き下げる反転信号調整回路と、
前記反転信号調整回路によって電圧が引き下げられた前記第1の反転回路の出力信号の極性を反転させる第2の反転回路と、
を有する請求項4記載の電力変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1つの記載の複数の電力変換装置と、
複数の直流電源と、
を有し、
前記複数の直流電源に含まれる一つの直流電源と前記複数の電力変換装置に含まれる一つの電力変換装置とが1対1で接続されており、前記複数の電力変換装置の出力が接続されている
電力システム。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか1つの記載の複数の電力変換装置と、
複数の直流電源と、
を有し、
前記複数の直流電源に含まれる一つの直流電源と前記複数の電力変換装置に含まれる一つの電力変換装置とが1対1で接続されており、
前記電力変換装置の正極側出力を上位の前記電力変換装置の負極側出力に接続し、前記電力変換装置の負極側出力を下位の前記電力変換装置の正極側出力に接続し、最上位の前記電力変換装置の正極側出力を負荷側に接続し、最下位の前記電力変換装置の負極側出力を接地する
電力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−8913(P2012−8913A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146058(P2010−146058)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】