説明

電力変換装置

【課題】リアクトルとコンデンサとが面している配置においても、コンデンサの温度上昇を抑制することができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール130、コンデンサ5及びリアクトル7と、該半導体モジュール130を両主面から冷却する冷却器6とを備えた電力変換装置1である。上記冷却器6は、上記半導体モジュール130の両主面に配される複数の冷媒流路60を備え、上記複数の冷媒流路60と上記半導体モジュール130とが互いに積層されて積層体13を構成している。上記コンデンサ5は、上記積層体13における積層方向Xの一端に配置されており、上記リアクトル7は、上記コンデンサ5に対して、上記積層方向Xに直交する方向に配置されている。そして、上記コンデンサ5と上記リアクトル7との間には、両者間の熱の移動を遮る遮熱板3が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサとリアクトルの両方を備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等には、モータを駆動させるため、バッテリからの直流電力を交流電力に変換する電力変換装置が搭載されている。該電力変換装置は、例えばエンジンルーム内等の限られた空間に搭載するため、小型のものが望まれている。
【0003】
上記の電力変換装置の例として、例えば特許文献1や特許文献2に開示された電力変換装置が提案されている。特許文献1に開示された電力変換装置は、半導体モジュールと冷媒流路とが交互に積層されてなる積層体に対し、該積層体の積層方向と直交する方向にコンデンサが配置されている。また、特許文献2に開示された電力変換装置は、上記積層体における積層方向の一端にリアクトルが配置されている。これらの電力変換装置は、コンデンサやリアクトル等の電子部品を上記積層体に対して特定の位置に配置することにより、省スペース化を図ろうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−114966号公報
【特許文献2】特開2008−220042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンデンサとリアクトルとの双方を備えた電力変換装置においては、コンデンサとリアクトルとを互いに対向した状態で配置せざるを得ない場合がある。この場合、上記リアクトルから発生する熱が、該リアクトルに面して配置された上記コンデンサに、対流もしくは放射によって伝わることにより、該コンデンサの温度が上昇しやすくなるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたもので、リアクトルとコンデンサとが面している配置においても、コンデンサの温度上昇を抑制することができる電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール、コンデンサ及びリアクトルと、該半導体モジュールを両主面から冷却する冷却器とを備えた電力変換装置であって、
上記冷却器は、上記半導体モジュールの両主面に配される複数の冷媒流路を備え、
上記複数の冷媒流路と上記半導体モジュールとが互いに積層されて積層体を構成しており、
上記コンデンサは、上記積層体における積層方向の一端に配置されており、
上記リアクトルは、上記コンデンサに対して、上記積層方向に直交する方向に配置されており、
上記コンデンサと上記リアクトルとの間には、両者間の熱の移動を遮る遮熱板が配置されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0008】
上記電力変換装置は、上記コンデンサと上記リアクトルとの間に、両者間の熱の移動を遮る遮熱板が配置されている。これにより、上記リアクトルが発熱する際に、その熱が、上記電力変換装置内において、対流もしくは放射によってコンデンサへ伝わることを遮ることができる。その結果、上記コンデンサの温度上昇を抑制することができる。
【0009】
以上のごとく、上記態様によれば、リアクトルとコンデンサとが面している配置においても、コンデンサの温度上昇を抑制することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1における、遮熱板側から見た電力変換装置の平面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】図1のB−B線矢視断面図。
【図4】実施例1における、電力変換装置の回路を示す説明図。
【図5】実施例2における、コンデンサ挿入用開口部を積層方向に設けたコンデンサ収容部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記電力変換装置において、上記遮熱板は、上記リアクトル及び上記コンデンサの少なくとも一方と接触しておらず、間に空隙を有することが好ましい。これにより、熱伝導によって上記リアクトルの熱が上記コンデンサへ伝わることを防ぐことができる。
【0012】
また、上記遮熱板は、上記リアクトルから上記コンデンサへの熱の移動を必ずしも完全に遮断するものではなく、上記コンデンサの温度上昇を抑制することができるものであればよい。つまり、上記遮熱板がない場合に比べて、上記遮熱板を有する場合の方が上記コンデンサの温度上昇を低減することができればよい。これは、例えば上記遮熱板が上記リアクトルと上記コンデンサとの間で対流する空気の少なくとも一部を遮ったり、上記リアクトルから上記コンデンサへ向かう輻射熱の一部を遮ったりすることができるよう構成してあればよい。
【0013】
また、上記遮熱板は、上記冷媒流路に当接する当接板と一体に形成されていてもよい(請求項2)。
この場合には、上記遮熱板が上記リアクトルから受ける熱を、上記当接板を介して上記冷媒流路へ放熱することができる。これにより、上記遮熱板の温度上昇を抑制することが可能となるため、該遮熱板と上記コンデンサとの間での熱の移動を低減することができる。その結果、上記コンデンサの温度上昇をより抑制することが可能となる。
【0014】
また、上記コンデンサと上記当接板との間には伝熱部材が充填されていてもよい(請求項3)。
この場合には、上記コンデンサの熱を、上記伝熱部材と上記当接板とを介して上記冷媒流路へ効率よく放熱することができる。その結果、上記コンデンサの温度上昇をより抑制することが可能となる。
【0015】
また、上記遮熱板は、厚み方向に上記コンデンサの電極端子を挿通させるための端子挿通用開口部を設けていてもよい(請求項4)。
この場合には、上記端子挿通用開口部から上記コンデンサの電極端子を引き出すことができる。その結果、上記コンデンサの電極端子への配線距離を短くしたり、上記電力変換装置の構成を簡素化したりすることが可能となる。
【0016】
また、上記コンデンサは、上記遮熱板を含んでなるコンデンサ収容部に収容されており、該コンデンサ収容部は、上記コンデンサを挿入するためのコンデンサ挿入用開口部を、上記リアクトルに面する方向と反対方向、もしく直交する方向に開口させていてもよい(請求項5)。
この場合には、上記半導体モジュールの間の配線を接続した後に、上記コンデンサを上記コンデンサ挿入用開口部より挿入し、組み付けや端子の接続等を行うことができる等、上記電力変換装置の組み立て手順の自由度を向上させることができる。また、上記半導体モジュール間の接続に抵抗溶接やアーク溶接を用いる場合において、溶接時の電流が上記コンデンサに充電されることを防止できる。そして、上記コンデンサからのサージ電流が上記半導体モジュールへ流入することを抑制し、上記半導体モジュールが上記サージ電流により破壊されることを防止することができる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
上記電力変換装置の実施例について、図1〜図4を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図2に示すごとく、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール130、コンデンサ5及びリアクトル7と、半導体モジュール130を両主面から冷却する冷却器6とを備えている。また、図1及び図2に示すごとく、冷却器6は、半導体モジュール130の両主面に配される複数の冷媒流路60を備えており、この複数の冷媒流路60と半導体モジュール130とが互いに積層されて積層体13を構成している。また、図2に示すごとく、コンデンサ5は、積層体13における積層方向(以下、この向きを積層方向Xという。)の一端に配置されており、リアクトル7は、コンデンサ5に対して、積層方向Xに直交する方向に配置されている。そして、コンデンサ5とリアクトル7との間には、両者間の熱の移動を遮る遮熱板3が配置されている。
【0018】
積層体13とコンデンサ5とは、積層方向Xを法線とする一対の側壁100と、積層方向Xに垂直な方向(以下、この向きを横方向Yという。)を法線とする一対の側壁101とから構成されるフレーム10に四方を囲まれることにより保持される。また、コンデンサ5は、積層方向Xに垂直なフレーム10の側壁100と積層体13との間に設けられたコンデンサ収容部2に収容されている。そして、リアクトル7は、コンデンサ5に対して積層方向Xと横方向Yとの双方に直交する方向(以下、この向きを高さ方向Zという。)、すなわちフレーム10の開放面側に配置される。具体的に、リアクトル7はコンデンサ5の下方に配置される。
【0019】
積層体13は、図1に示すごとく、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール130と複数の冷媒流路60と交互に積層することにより形成されている。また、この冷媒流路60は、冷媒導入パイプ63、冷媒排出パイプ64及び連結管62とともに、半導体モジュール130を冷却する冷却器6を構成している。
【0020】
冷媒流路60は、積層方向Xと直交する方向(横方向Y)に長尺な冷却管61によって構成されている。冷却器6は、図1に示すごとく、この冷却管61を積層方向Xに複数並べてなるとともに、その長手方向(横方向Y)の両端部付近において、積層方向Xに隣り合う冷却管61同士を連結管62によって連結してなる。そして、冷却器6は、隣り合う冷却管61の間に半導体モジュール130を両主面から狭持することができるよう構成されている。これにより、半導体モジュール130は、積層方向Xに配列されている。
【0021】
なお本例では、隣り合う冷却管61の間には、互いに直列に接続される2つの半導体モジュール130が狭持されている。また、冷却器6は8本の冷却管61を積層方向Xに並列しており、隣り合う冷却管61の間に形成される7段のスペースに、それぞれ2つずつの半導体モジュール130が互いに横方向Yに並んで配置されている。
【0022】
また、積層方向Xにおいてコンデンサ5が配置される側の一端に配された冷却管61には、その横方向Yにおける両端に、図1に示すごとく、冷媒導入パイプ63及び冷媒排出パイプ64が配設されている。冷媒導入パイプ63と冷媒排出パイプ64とは、積層体13における積層方向Xの一端を基端として積層体13から積層方向Xにおけるコンデンサ5側へ延伸され、フレーム10の積層方向Xにおける側壁100から突出している。
【0023】
これにより、冷媒導入パイプ63から導入された冷却媒体は、連結管62を適宜通り、各冷却管61に分配されると共にその長手方向(横方向Y)に流通可能となる。そして、各冷却管61を流れる間に、冷却媒体は半導体モジュール130との間で熱交換を行うことができる。熱交換により温度上昇した冷却媒体は、下流側の連結管62を適宜通り、冷媒排出パイプ64に導かれ、冷却器6より排出される。
【0024】
冷却器6に狭持される半導体モジュール130は、図2に示すごとく、IGBT素子等のスイッチング素子131を樹脂モールドしてなるモールド部132と、該モールド部132から互いに反対方向に突出した主電極端子133及び制御端子とから構成される。なお、主電極端子133の突出方向は、高さ方向Zの下方、すなわちコンデンサ5に対してリアクトル7の配置される方向である。また、便宜上、制御端子については図2への記載を省略した。
【0025】
この半導体モジュール130は、図2に示すごとく、積層体13において主電極端子133及び制御端子が高さ方向Z、すなわちフレーム10の開放面に向けて突出するよう配置されている。この主電極端子133間は、バスバー11等の配線部材により適宜電気的に接続され、図4に示す電力変換回路を構成している。なお、バスバー11以外の配線部材については、図1への記載を便宜上省略した。
【0026】
また、冷却器6の冷媒導入パイプ63と冷媒排出パイプ64との間において、図2及び図3に示すごとく、コンデンサ収容部2がフレーム10に設けられている。コンデンサ収容部2は、図1に示すごとく、高さ方向Zから見た平面視の形状が略長方形をなす箱状の凹部であり、図2に示すごとく、高さ方向Zに開口したコンデンサ挿入用開口部22が形成されている。コンデンサ挿入用開口部22は、リアクトル7と反対側、すなわち上方へ開口している。また、フレーム10は、図2及び図3に示すごとく、コンデンサ挿入用開口部22の下面側に遮熱板3を備えている。本例では、遮熱板3はフレーム10の一部に形成され、アルミニウムや鉄等の金属より構成されている。
【0027】
遮熱板3は、コンデンサ収容部2の底板部を構成し、コンデンサ5に対して高さ方向Zにおける下方に配置されている。これにより、遮熱板3は、コンデンサ5と、コンデンサ5に対して高さ方向Zに離れた位置に配置されるリアクトル7との間に配置されている。
【0028】
また、図1及び図2に示すごとく、遮熱板3の一部には、高さ方向Zに貫通した略長方形の穴である、端子挿通用開口部30が設けられている。この端子挿通用開口部30は、図3に示すごとく、高さ方向Zに突出しているコンデンサ5の電極端子51の寸法に対して遊び寸法を持つ大きさに形成されている。これにより、高さ方向Zからコンデンサ5の一対の電極端子51を挿通できるように構成されている。
【0029】
図1に示すごとく、フレーム10は、コンデンサ5と積層体13との間に、積層方向Xを法線とする側壁100に対して平行な当接板4を有する。当接板4は、その横方向Yの両端部40において、横方向Yに垂直な一対の側壁101と各々接続され、一対の側壁101の間を差し渡すように形成されている。また、当接板4の一部は、積層方向Xにおける積層体13側のコンデンサ収容部2の側板21を兼ねており、コンデンサ収容部2の底板から構成される遮熱板3と一体に形成されている。そして、当接板4には、積層体13の積層方向Xの一端に配された冷却管61が当接している。
【0030】
また、積層方向Xにおける当接板4とコンデンサ5との間には、図2に示すごとく、シリコーン樹脂からなる伝熱部材42が充填されている。本例では、コンデンサ5をコンデンサ収容部2へ挿入した後に液状のシリコーン樹脂をコンデンサ収容部2へポッティングしている。これにより、伝熱部材42はコンデンサ5の周囲に充填されている。なお、伝熱部材42は、シリコーン樹脂に限るものではなく、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の、公知の熱伝導性材料を適用することができる。
【0031】
コンデンサ挿入用開口部22は、コンデンサ収容部2において遮熱板3と対向する方向、つまりコンデンサ収容部2の上方を開口させた略長方形の開口部である。コンデンサ挿入用開口部22は、図2及び図3に示すごとく、コンデンサ5の寸法に対して遊び寸法を持つ大きさに形成されている。これにより、コンデンサ5を高さ方向Zから挿入できるように構成されている。
【0032】
このコンデンサ収容部2に収容されるコンデンサ5は、図2及び図3に示すごとく、コンデンサ5の本体部50より高さ方向Zに向けて突出した一対の電極端子51を有する。コンデンサ挿入用開口部22を通じて高さ方向Zより挿入されたコンデンサ5は、図2に示すごとく、その本体部50がコンデンサ収容部2内に配置されるとともに、端子挿通用開口部30を通じて電極端子51をコンデンサ収容部2の下方に貫通させている。また、コンデンサ収容部2の下方に突出させた一対の電極端子51は、図1に示すごとく、積層方向Xに延伸された一対のバスバー11(11a、11b)とボルト12により締結され、電気的に接続されている。
【0033】
なお、コンデンサ収容部2へのコンデンサ5の配置及び電極端子51とバスバー11との締結は、バスバー11と半導体モジュール130の主電極端子133とが接続される前に行われる。また、一対のバスバー11は、半導体モジュール130の主電極端子133と、アーク溶接や抵抗溶接等の方法を用いて接続される。
【0034】
次に、本例の作用効果を説明する。電力変換装置1は、図2に示すごとく、コンデンサ5とリアクトル7との間に、両者間の熱の移動を遮る遮熱板3が配置されている。そのため、リアクトル7が発熱する際に、その熱が、電力変換装置1内において、対流もしくは放射によってコンデンサ5へ伝わることを遮ることができる。その結果、コンデンサ5の温度上昇を抑制することができる。
【0035】
また、遮熱板3が、図2に示すごとく、冷媒流路60に当接する当接板4と一体に形成されている。そのため、遮熱板3がリアクトル7から受ける熱を、当接板4を介して冷媒流路60へ放熱することができる。これにより、遮熱板3の温度上昇を抑制することが可能となるため、遮熱板3とコンデンサ5との間での熱の移動を低減することができる。また、コンデンサ5と当接板4との間には、図2に示すごとく、伝熱部材42が充填されている。そのため、コンデンサ5の熱を、伝熱部材42と当接板4とを介して冷媒流路60へ効率よく放熱することができる。これらの結果、コンデンサ5の温度上昇をより抑制することが可能となる。
【0036】
また、遮熱板3は、図3に示すごとく、厚み方向にコンデンサ5の電極端子51を挿通させるための端子挿通用開口部30を設けている。そのため、端子挿通用開口部30からコンデンサ5の電極端子51を引き出すことができる。その結果、コンデンサ5の電極端子51への配線距離を短くしたり、電力変換装置1の構成を簡素化したりすることが可能となる。
【0037】
また、コンデンサ5は、図2に示すごとく、遮熱板3を含んでなるコンデンサ収容部2に収容されており、コンデンサ収容部2は、コンデンサ5を挿入するためのコンデンサ挿入用開口部22を、リアクトル7に面する方向と反対方向に開口させている。そのため、半導体モジュール130の主電極端子133間をバスバー11により接続した後に、コンデンサ5をコンデンサ挿入用開口部22より挿入し、組み付けや電極端子51の接続等を行うことができる等、電力変換装置1の組み立て手順の自由度を向上させることができる。また、半導体モジュール130間の接続に抵抗溶接やアーク溶接を用いる場合において、溶接時の電流がコンデンサ5に充電されることを防止できる。その結果、コンデンサ5からのサージ電流が半導体モジュール130へ流入することを抑制し、半導体モジュール130がサージ電流により破壊されることを防止することができる。
【0038】
以上のごとく、本例によれば、リアクトルとコンデンサとが面している配置においても、コンデンサの温度上昇を抑制することができる電力変換装置を提供することができる。
【0039】
(実施例2)
本例は、図5に示すごとく、コンデンサ収容部2におけるコンデンサ挿入用開口部22を、リアクトル7に面する方向に対して直交する方向に開口させた例である。本例におけるコンデンサ収容部2は、積層方向Xにおける一対の側面のうち、積層体13から遠い側面を開口させたコンデンサ挿入用開口部22を有する。そして、遮熱板3の一部に形成する端子挿通用開口部30が、コンデンサ挿入用開口部22と連続して形成されている。また、コンデンサ5に対して高さ方向Zの上方に、上板部23を有する。
【0040】
また、積層方向Xにおけるコンデンサ5と当接板4との間において、予めシート状に加工された伝熱部材42がコンデンサ5及び当接板4に密着している。その他は、実施例1と同様である。
【0041】
次に、本例の作用効果を説明する。本例におけるコンデンサ収容部2では、コンデンサ挿入用開口部22を、リアクトル7に面する方向と直交する方向に開口させている。そのため、コンデンサ5を積層方向Xからコンデンサ挿入用開口部22より挿入し、組み付けや電極端子51の接続等を行うことができる。その結果、半導体モジュール130間の接続を行った後に、フレーム10の上下の向きを入れ替えることなく、コンデンサ5の組付けを行うことが可能となり、組み付け作業を効率的に行うことができる。その他、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
なお、実施例1及び実施例2においては、リアクトル7をコンデンサ5の下方に配置した例を示した。これらの場合、リアクトル7の熱により上昇気流が発生するため、コンデンサ5へ熱が伝わりやすいところ、リアクトル7の上方であってコンデンサ5の下方に遮熱板3を配置することで、リアクトル7の熱がコンデンサ5へ伝わることを効果的に抑制できる。つまり、実施例1及び実施例2のような配置の時、特に遮熱板3の機能が効果的に発揮される。ただし、リアクトル7とコンデンサ5との位置関係は、これに限定されるものではなく、上下が逆の場合や、水平方向の位置関係であっても遮熱板3の機能は発揮しうる。
【符号の説明】
【0043】
1 電力変換装置
13 積層体
130 半導体モジュール
2 コンデンサ収容部
3 遮熱板
30 端子挿通用開口部
4 当接板
42 伝熱部材
5 コンデンサ
6 冷却器
60 冷媒流路
7 リアクトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール、コンデンサ及びリアクトルと、該半導体モジュールを両主面から冷却する冷却器とを備えた電力変換装置であって、
上記冷却器は、上記半導体モジュールの両主面に配される複数の冷媒流路を備え、
上記複数の冷媒流路と上記半導体モジュールとが互いに積層されて積層体を構成しており、
上記コンデンサは、上記積層体における積層方向の一端に配置されており、
上記リアクトルは、上記コンデンサに対して、上記積層方向に直交する方向に配置されており、
上記コンデンサと上記リアクトルとの間には、両者間の熱の移動を遮る遮熱板が配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、上記遮熱板は、上記冷媒流路に当接する当接板と一体に形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換装置において、上記コンデンサと上記当接板との間には伝熱部材が充填されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記遮熱板は、厚み方向に上記コンデンサの電極端子を挿通させるための端子挿通用開口部を設けてなることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記コンデンサは、上記遮熱板を含んでなるコンデンサ収容部に収容されており、該コンデンサ収容部は、上記コンデンサを挿入するためのコンデンサ挿入用開口部を、上記リアクトルに面する方向と反対方向、もしく直交する方向に開口させていることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85393(P2013−85393A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224067(P2011−224067)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】