説明

電力消費施設の管理システム

【課題】電力変換効率の高い電力消費機器に選択的に電力を供給することにより、効率的に仕事量を得ると共に、効果的な消費電力量のピークカットを実現する。
【解決手段】商用電源20から供給される深夜の商用電力、及び/又は、商用電源20以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電池8と、蓄電池8を介すること無く商用電源20から供給される商用電力にて駆動される第1の電動圧縮機16と、蓄電池8に貯蔵された電力にて駆動される第2の電動圧縮機17と、両電動圧縮機16、17が接続されて冷媒回路9が構成された冷凍サイクル装置10と、両電動圧縮機16、17への電力の供給を制御する統合管理コントローラ30とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から電力消費機器に電力を供給する電力消費施設の管理システムであって、特に、蓄電手段を備えたものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、店舗や施設内のショーケース、冷凍機、空調機などの冷設機器をネットワーク化し、統合管理コントローラにて各機器の状態監視・制御を行う店舗統合管理システムがある。係るシステムでは、各制御対象機器をそれぞれの制御装置が分散制御しながら、且つ、それらを一元管理する統合コントローラが複数機器の運転状態を考慮した連携制御により、店舗全体の省エネ等のサービスを提供している。
【0003】
また、昨今では商用電源から供給される商用電力以外に太陽光発電装置や燃料電池と、それらが発電する電力を蓄電する蓄電池とコントローラを主要構成要素とする蓄電システムの導入により、商用電力のピークカット(デマンド制御)や停電時の電力供給などの技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の電源システムでは、商用電源から負荷や負荷回路に供給される商用電力を負荷電力検出手段にて検出し、当該消費電力量が所定の設定値以下の場合には、商用電源のみから負荷や負荷回路に商用電力を供給して運転を行うと共に、消費電力量が所定の設定値を上回る場合には、商用電源からの供給電力を制限し、太陽電池により発電された電力をDC/DCコンバータを介して直接負荷回路に供給、若しくは、太陽電池による発電された電力を蓄電した電力貯蔵装置から負荷回路に放電させている。これにより、商用電力の消費電力量の抑制(ピークカット)を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−332128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、係る特許文献1における構成では、商用電源からの供給電力を制限することにより不足した電力は、太陽電池又は電力貯蔵装置から賄うこととしているが、この際、太陽電池又は電力貯蔵装置から供給される直流電力は、インバータにより周波数制御が行われる圧縮機などの電力消費機器に供給される。当該インバータが介設された電力消費機器に商用電源から電力供給する場合には、交流を直流に変換する整流器部を介して行われている。そのため、商用電力をそのまま電源とする電力消費機器については、格別に商用電力を整流器部によって交流から直流に整流し、再度周波数変換(商用周波数)に変換する場合でなければ、太陽電池又は電力貯蔵装置から供給される直流電力を供給することができず、太陽電池又は電力貯蔵装置からの直流電力を用いた効率的な商用電力の消費量のピークカットを行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明は、従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、電力変換効率の高い電力消費機器に選択的に電力を供給することにより、効率的に仕事量を得ると共に、効果的な消費電力量のピークカットを実現することができる電力消費施設の管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電力消費施設の管理システムは、商用電源から供給される商用電力、及び/又は、商用電源以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電手段と、該蓄電手段を介すること無く商用電源から供給される商用電力を仕事に変換する第1の電力消費機器と、蓄電手段に貯蔵された電力を仕事に変換する第2の電力消費機器と、これら電力消費機器への電力の供給を制御する制御手段とを備え、両電力消費機器の仕事を合算した仕事量を得ることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明の電力消費施設の管理システムは、商用電源から供給される商用電力、及び/又は、商用電源以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電手段と、該蓄電手段を介すること無く商用電源から供給される商用電力にて駆動される第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機と、蓄電手段に貯蔵された電力にて駆動される第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機と、両電動圧縮機が接続されて冷媒回路が構成された冷凍サイクル装置と、両電動圧縮機又は両凝縮器用送風機への電力の供給を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、上記発明において、蓄電手段の蓄電残量を検出する蓄電残量検出手段を備え、制御手段は、蓄電手段の蓄電残量が所定の限界蓄電残量以上であることを条件として当該蓄電手段からの電力により第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動することを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、上記発明において、制御手段は、蓄電手段の蓄電残量が、限界蓄電残量よりも高い所定の余裕蓄電残量以上である場合、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機に対して、優先的に第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動することを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、上記請求項2乃至請求項4の発明において、商用電力の消費電力量を検出する商用電力消費量検出手段を備え、制御手段は、商用電力消費量検出手段により検出される消費電力量が所定の抑制値を上回った場合、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量を抑制することを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、上記発明において、制御手段は、商用電力消費量検出手段により検出される消費電力量が抑制値よりも高い所定の削減値を上回った場合、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量を、抑制よりも更に大きく低下させる方向に削減することを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、上記発明において、蓄電手段の蓄電残量を検出する蓄電残量検出手段とを備え、制御手段は、蓄電手段の蓄電残量が所定の限界蓄電残量以上であることを条件として当該蓄電手段からの電力により第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動すると共に、消費電力量が削減値を上回り、且つ、蓄電手段の蓄電残量が限界蓄電残量未満である場合、消費電力量を更に削減する所定のデマンド制御を実行することを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、上記請求項5乃至請求項7の発明において、第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機はインバータにより駆動されるインバータ圧縮機又はインバータ送風機であり、制御手段はインバータを制御して第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機の運転周波数を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、上記請求項5乃至請求項8の発明において、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機は商用電力により駆動される定速圧縮機又は定速送風機であり、複数台設けられることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、上記請求項5乃至請求項9の発明において、冷凍サイクル装置は、店舗に設置されたショーケースの陳列室を冷却するものであり、制御手段は、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給抑制を行う場合、店舗の空気調和機に優先して商用電力を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電力消費施設の管理システムによれば、商用電源から供給される商用電力、及び/又は、商用電源以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電手段と、該蓄電手段を介すること無く商用電源から供給される商用電力を仕事に変換する第1の電力消費機器と、蓄電手段に貯蔵された電力を仕事に変換する第2の電力消費機器と、これら電力消費機器への電力の供給を制御する制御手段とを備え、両電力消費機器の仕事を合算した仕事量を得ることにより、商用電源からの消費電力量を効果的に抑制し、両電力消費機器の仕事の合算により大きな仕事量を実現することができる。
【0019】
請求項2の発明の電力消費施設の管理システムによれば、商用電源から供給される商用電力、及び/又は、商用電源以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電手段と、該蓄電手段を介すること無く商用電源から供給される商用電力にて駆動される第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機と、蓄電手段に貯蔵された電力にて駆動される第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機と、両電動圧縮機が接続されて冷媒回路が構成された冷凍サイクル装置と、両電動圧縮機又は両凝縮器用送風機への電力の供給を制御する制御手段とを備えたことにより、蓄電手段からの電力により駆動される第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を運転することで、商用電源からの商用電力により駆動される第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機の消費電力量を効果的に抑制しつつ、両電動圧縮機により大きな冷却能力を実現し、両凝縮器用送風機により大きな冷媒凝縮能力を実現することができる。
【0020】
上記発明に加えて、請求項3の発明の如く、蓄電手段の蓄電残量を検出する蓄電残量検出手段を備え、制御手段は、蓄電手段の蓄電残量が所定の限界蓄電残量以上であることを条件として当該蓄電手段からの電力により第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動すると共に、請求項4の発明の如く、蓄電手段の蓄電残量が、限界蓄電残量よりも高い所定の余裕蓄電残量以上である場合、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機に対して、優先的に第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動することにより、蓄電手段の蓄電残量に応じた適切な第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機の駆動制御を実現することができる。
【0021】
特に、蓄電手段の蓄電残量が余裕蓄電残量以上である場合には、商用電力により駆動される第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機に対して、優先的に第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動するため、効果的に商用電源からの消費電力量を抑制し、電気コストの低減を図ることができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、上記請求項2乃至請求項4の発明に加えて、商用電力の消費電力量を検出する商用電力消費量検出手段を備え、制御手段は、商用電力消費量検出手段により検出される消費電力量が所定の抑制値を上回った場合、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量を抑制することにより、商用電源の消費電力量を効果的に抑制しつつ、蓄電手段からの電力により第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動させる、若しくは、運転率を上昇させることで、所定の冷却能力又は冷媒凝縮能力を実現することができる。
【0023】
これにより、商用電源からの第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への電力供給量を抑制しても、不足した第1の電動圧縮機の冷却能力又は第1の凝縮器用送風機の冷媒凝縮能力を、蓄電手段からの電力供給により駆動する第2の電動圧縮機の冷却能力又は第2の凝縮器用送風機の冷媒凝縮能力によって補完することができ、円滑な機器の運転を継続して行うことが可能となる。そのため、格別に冷却能力や凝縮能力を低下させることなく、効果的な商用電力のピーク電力の抑制を実現することができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、上記発明に加えて、制御手段は、商用電力消費量検出手段により検出される消費電力量が抑制値よりも高い所定の削減値を上回った場合、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量を、抑制よりも更に大きく低下させる方向に削減することにより、より確実に商用電源の消費電力量を抑制することができ、当該消費電力量が所定の上限値を超えてしまうピーク電力の発生を未然に回避することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、上記発明に加えて、蓄電手段の蓄電残量を検出する蓄電残量検出手段とを備え、制御手段は、蓄電手段の蓄電残量が所定の限界蓄電残量以上であることを条件として当該蓄電手段からの電力により第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動すると共に、消費電力量が削減値を上回り、且つ、蓄電手段の蓄電残量が限界蓄電残量未満である場合、消費電力量を更に削減する所定のデマンド制御を実行することにより、消費電力量が所定の上限値を超えてしまうピーク電力の発生を回避することができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、上記請求項5乃至請求項7の発明において、第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機はインバータにより駆動されるインバータ圧縮機又はインバータ送風機であり、制御手段はインバータを制御して第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機の運転周波数を制御することにより、蓄電手段からの直流電力をインバータにより変換して所定の運転周波数として第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動することができる。そのため、商用交流電力を一旦直流に変換した後、インバータを介して第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機に給電する場合と比較して、電力変換による損失を極力抑制することができ、高効率な運転が可能となる。
【0027】
請求項9の発明によれば、上記請求項5乃至請求項8の発明に加えて、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機は商用電力により駆動される定速圧縮機又は定速送風機であることにより、商用交流電力をそのまま変換することなく第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機に供給して運転することができ、電力変換による損失を極力抑制することができる。
【0028】
また、当該第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機を複数台設けることにより、駆動する第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機の数や種類を選択的に行うことで、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機の運転能力を可変とすることができ、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量の抑制や削減を円滑に行うことができる。
【0029】
請求項10の発明によれば、上記請求項5乃至請求項9の発明に加えて、冷凍サイクル装置は、店舗に設置されたショーケースの陳列室を冷却するものであり、制御手段は、第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給抑制を行う場合、店舗の空気調和機に優先して商用電力を供給することにより、ショーケースよりも熱効率が高い空気調和機により店舗内温度を低く維持することで、ショーケース側の熱負荷を低減させて店舗全体で省エネ制御を実現することができる。
【0030】
このように、電力消費機器が設けられた電力消費施設全体で機器間の連携制御を行うことで、効果的な省エネを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を適用した電力消費施設の管理システムの概略構成図である。
【図2】統合管理コントローラの機能ブロック図である。
【図3】電力制御部のフローチャートである。
【図4】商用電源からの商用電力の消費電力量の変化を示す図である。
【図5】省エネ制御のマトリックス表である。
【図6】電力制御例を示すON/OFFパターンである。
【図7】第1及び第2の電動圧縮機の構成例を示す図である。
【図8】第1及び第2の電動圧縮機の電力変換効率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用した電力消費施設の管理システムSの概略構成図を示している。本実施例の管理システムSは、電力消費施設の一例として、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店舗等に設置されるものであり、当該店舗(施設)には、ショーケース2と、冷凍機3と、空気調和機4と、照明5等の電力消費機器と、蓄電システム1が設けられている。
【0033】
本実施例では、店舗内に設置された各ショーケース2と、冷凍機3との間に渡って冷媒配管が接続されて冷媒サイクル装置10が構成されている。本実施例における各ショーケース2は、縦型オープンショーケースであり、断面略コ字状の断熱壁と、この両側に取り付けられる側板により本体が構成され、本体内に陳列室(庫内)が形成される。陳列室内を冷却する蒸発器11が、減圧手段としての膨張弁12と冷気循環用送風機13と共に本体内に配設されている。尚、本実施例ではショーケースとして、オープンショーケースを例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。
【0034】
冷凍機3には、当該蒸発器11と、膨張弁12と共に冷凍サイクル装置10を構成する第1及び第2の電動圧縮機16、17と、凝縮器14と、凝縮器用送風機15が設けられている。
【0035】
冷凍サイクル装置10は、冷凍機3側に設置された第1及び第2の電動圧縮機16、17が並列に配管接続され、これら電動圧縮機16、17と、凝縮器14と、各ショーケース2内に設置されて陳列室内を冷却する蒸発器11に流入する冷媒量を制御する膨張弁12と、該蒸発器11等とが冷媒配管により環状に接続されて冷媒回路9が構成される。
【0036】
この場合、第1の電動圧縮機16と並列に接続される第2の電動圧縮機17の冷媒流入側及び冷媒流出側のそれぞれに冷媒の流入出を制御する電磁開閉弁(冷媒制御手段)18、19が設けられている。係る電磁開閉弁18、19は、第2の電動圧縮機17(後述するように複数ある場合には何れか一つ)が運転される場合には開放され、第2の電動圧縮機17(複数ある場合には、全て)が停止した場合には、閉じる制御が行われる。
【0037】
係る構成により、詳細は後述する如く第1及び第2の電動圧縮機16、17の何れか又はこれらを組み合わせて運転されると、各圧縮機16、17の吐出側から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器14にて放熱し、凝縮液化されて各ショーケース2の膨張弁12に至り、そこで減圧される。膨張弁12にて減圧された冷媒はショーケース2内に設置された蒸発器11に流入して蒸発し、周囲から熱を奪って冷却作用を発揮する。
【0038】
そして、蒸発器11と熱交換した冷気を冷気循環用送風機13にて陳列室内に循環する。この際、陳列室の前面開口には、冷気エアーカーテンが形成されることによって、開口からの外気の侵入が阻止若しくは抑制されると共に、陳列室内を冷気が循環することで、当該陳列室内を所定の温度に冷却する。これら蒸発器11から出た冷媒は、吸込側配管より各圧縮機16、17に帰還する。
【0039】
ショーケース2の図示しない照明、膨張弁12、冷気循環用送風機13等のショーケース側電力消費機器と、冷凍機3の第1の電動圧縮機16と、冷凍機3の電磁開閉弁18、19と、凝縮器用送風機15等の冷凍機側電力消費機器(第2の電動圧縮機17を除く)と、当該ショーケース2、冷凍機3以外の当該店舗における電力消費機器としての空気調和機4と、照明5等は、商用交流電力を供給する商用電源20がACライン(商用電力系統)21を介して接続されている。これにより、各ショーケース側電力消費機器と、第1の電動圧縮機16と、冷凍機側電力消費機器と、空気調和機4、照明5等の店舗における他の電力消費機器は、後述する蓄電池8を介することなく商用電源20から供給される商用電力を仕事に変換する。即ち、第1の電動圧縮機16は、商用電源からの商用電力によって駆動されると共に、他の電力消費機器は、当該電力によって作動する。尚、当該ACライン21には、商用電源20から当該店舗に供給された商用電力の消費電力量を検出する電力計(商用電力消費量検出手段)22が設けられている。
【0040】
一方、当該店舗に設置される蓄電システム1は、発電装置(発電手段)7と、蓄電池(蓄電手段)8により構成される。発電装置7は、一例として、照射される光の量(日射量)に応じて電力を発電する太陽光発電装置である。この発電装置7には、充放電可能な蓄電池8が接続され、当該発電装置7にて発電された直流電力が貯蔵される。尚、ここでは、発電装置7として太陽光発電装置を例に挙げているが、これ以外にも、他の自然エネルギーを用いて発電する風力発電装置、その他、燃料電池等の発電手段であってもよい。
【0041】
そして、本実施例では、当該蓄電システム1の蓄電池8には、商用交流電力を供給する商用電源20がACライン(商用電力系統)21を介して接続される。これにより、蓄電池8には、発電装置7にて発電された電力のみならず、日中の電力よりもコストパフォーマンスの高い深夜電力等が貯蔵可能とされる。一例として、日中の発電装置7によって発電された電力により満充電とされなかった場合、深夜の商用電力を用いて満充電にまで補完する。
【0042】
この蓄電池8には、DC/ACインバータ23を介して上記冷凍機3の第2の電動圧縮機17が接続されている。これにより、第2の電動圧縮機17は、蓄電池8により貯蔵された電力を仕事に変換する、即ち、当該電力にて駆動される。
【0043】
次に、当該管理システムSの制御手段について説明する。管理システムSの制御手段は、統合管理コントローラ30と、蓄電システムコントローラ31と、各機器コントローラ32〜36等から構成されている。いずれのコントローラも汎用のマイクロコンピュータにより構成されている。
【0044】
蓄電システムコントローラ31は、第1の通信ライン41を介して、統合管理コントローラ30と、発電装置7と、蓄電池8に接続されている。当該蓄電システムコントローラ31は、発電装置7により発電された直流電力の発電量と、蓄電池8に設けられた図示しない蓄電残量検出手段に基づく蓄電残量に基づき、統合管理コントローラ30と通信を行うことで、蓄電池8の充放電制御を行う。
【0045】
本実施例における機器コントローラは、冷凍サイクル装置10の機器コントローラ(圧縮機用)32と、機器コントローラ(ショーケース用)33と、機器コントローラ(凝縮器用)34と、空気調和機4の機器コントローラ(空気調和機用)35と、照明5の機器コントローラ(照明用)36とがあり、いずれも第2の通信ライン45を介して統合管理コントローラ30に接続される。
【0046】
冷凍サイクル装置10の機器コントローラ(圧縮機用)32は、各電動圧縮機16、17と、該電動圧縮機16、17に流入する冷媒の吸込圧力を検出する吸込圧力センサ(吸込圧力検出手段)42が接続されている。係る電動圧縮機16、17に吸い込む以前の冷媒の圧力は、当該冷凍サイクル装置10の熱負荷によって変動する。具体的には、何れかのショーケース2において、未だ陳列室内の温度が設定温度に到達せずに、蒸発器11への冷媒流入を制御する電磁弁が開いている場合には、当該吸込圧力に応じて電動圧縮機16、17を運転し、全てのショーケース2において陳列室内の温度が設定温度に到達し、該電磁弁の開度が最小となった場合には、全ての電動圧縮機16、17の出力を最小とする。即ち、冷媒回路9の吸込圧力(低圧側圧力)が所定の設定値に低下した場合には、全ての電磁弁の開度が最小となったものと判断して、全ての圧縮機16、17の出力を最小とする。何れかのショーケース2において、電磁弁が開放され、吸込圧力が所定の設定値より高くなれば(この場合には所定のヒステリシスが設けられる)、再び圧縮機16、17の出力を増大させる。
【0047】
当該機器コントローラ(圧縮機用)32は、吸込圧力センサ42により検出された吸込圧力に基づき、係る低圧制御を実施することで、各電動圧縮機16、17の圧縮能力を調節し、吸込圧力を目標値に維持する。この際、詳細は後述する如く、機器コントローラ(圧縮機用)32は、統合管理コントローラ30からの出力に基づき、商用電力にて駆動される第1の電動圧縮機16及び蓄電池8からの電力にて駆動される第2の電動圧縮機17への電力の供給を制御する。
【0048】
冷凍サイクル装置10の機器コントローラ(ショーケース用)33は、各膨張弁12と、蒸発器11への冷媒流入を制御する上記図示しない各電磁弁と、各冷気循環用送風機13と、各ショーケース2の陳列室内の温度を検出する庫内温度センサ(庫内温度検出手段)44が接続されている。当該機器コントローラ(ショーケース用)33は、当該庫内温度センサ44により検出された陳列室内の温度と、予め設定された設定温度との偏差に基づき、膨張弁12の開度制御及び電磁弁の開閉制御を行うことにより、蒸発器11に流入する冷媒量を調整する。また、機器コントローラ(ショーケース用)33は、統合管理コントローラ30と通信を行い、冷気循環用送風機13の運転制御を行う。
【0049】
冷凍サイクル装置10の機器コントローラ(凝縮器用)34は、各凝縮器用送風機15と、電動圧縮機16、17から吐出された高温高圧冷媒の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ(吐出圧力検出手段)43が接続されている。機器コントローラ(凝縮器用)34は、統合管理コントローラ30と通信を行い、吐出圧力センサ43により検出される吐出圧力に基づき、凝縮器用送風機15の運転制御を行う。
【0050】
空気調和機4の機器コントローラ(空気調和機用)35は、空気調和機4に接続され、統合管理コントローラ30との通信に基づき、運転制御が行われる。同様に、照明5の機器コントローラ(照明用)36も、店舗の各照明5に接続され、統合管理コントローラ30との通信に基づき、通電制御が行われる。
【0051】
次に、図2の統合管理コントローラ30の機能ブロック図を参照して、統合管理コントローラ30について詳述する。統合管理コントローラ30は、主制御部50と、通信制御部51と、省エネ制御部52と、電力制御部53と、主記憶部54と、外部入出力インターフェース部55とを有している。
【0052】
通信制御部51は、当該統合管理コントローラ30の主制御部50と、他の制御手段を構成する蓄電システムコントローラ31と、各機器コントローラ32〜36との通信を司るものであり、遠隔管理コントローラ57と、蓄電システムコントローラ31とが第1の通信ライン41を介して接続され、各機器コントローラ32〜36と、商用電源20からの消費電力量を検出する電力計22とが第2の通信ライン45を介して接続される。この通信制御部51を介して統合管理コントローラ30は、各蓄電システムコントローラ31や各機器コントローラ32〜36との間で定義された通信プロトコル、並びにコマンド通信仕様に基づき、周期的に各コントローラ31〜36に対してポーリング、又はデータ取得要求を行い、当該各コントローラ31〜36により出力される制御に必要な情報を取得する。また、通信制御部51は、省エネ制御部52と、電力制御部53とも接続され、これら制御部から出力される制御における設定値等の設定指示を各コントローラ31〜36に出力する。尚、本実施例では、当該統合管理コントローラ30の通信制御部51と、蓄電システムコントローラ31、各機器コントローラ32〜36は、インターネット等のネットワークを介して外部の遠隔管理コントローラ57と相互に接続可能とされる。
【0053】
主記憶部54は、各種制御プログラムや当該制御に用いられる制御定数等を保持するROM、各種データの一時記憶用のRAM、HDD等の大容量記憶装置、小型記憶装置などから構成される。
【0054】
外部入出力インターフェース部55は、各機器の計測値や設定値等のモニタリング、設定変更や、電力状態を確認するためのグラフィカルユーザインターフェースなどにより構成される。
【0055】
主制御部50は、通信制御部51と、省エネ制御部52と、電力制御部53と、主記憶部54と、外部入出力インターフェース部55、更には、データベース56と通信可能に接続される。これにより、これら各機器とデータ通信、更には、通信制御部51を介した他の制御手段とのデータ通信を行い、当該店舗内のショーケース2、冷凍機3、空気調和機4、照明5等の各機器の状況を把握し、各種制御プログラムを実行することにより、機器間の連携制御を行う。
【0056】
電力制御部53は、電力計22から商用電力の消費電力量を取得し、これに基づき詳細は後述する「しきい値判定処理」を行い、同じく詳細は後述する「蓄電サポートフラグ」のセットを行うと共に、蓄電池8の蓄電残量を取得し、これに基づき「蓄電池状態」の判定を行う。
【0057】
省エネ制御部52は、電力制御部53から出力された「蓄電サポートフラグ」と「蓄電池状態」に基づき、詳細は後述する「省エネ制御」において、各電力消費機器、この場合、第1及び第2の電動圧縮機16、17への電力の供給制御を実行する。
【0058】
以上の構成により、図を参照して管理システムSの電力制御について説明する。図3は電力制御部53のフローチャート、図4は商用電源20からの商用電力の消費電力量の変化を示す図、図5は省エネ制御のマトリックス表、図6は電力制御例を示すON/OFFパターンである。尚、本実施例では、商用電力の消費電力量抑制又は削減制御の説明を容易とするため、図7に示すように、商用電源20から供給される商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16を圧縮能力の異なる複数の定速圧縮機16A、16B、16Cにより構成し、蓄電池8からの直流電力により駆動される第2の電動圧縮機17を圧縮能力の異なる複数の定速圧縮機17A、17Bにより構成する。
【0059】
まずはじめに、ステップS1において、管理システムSの起動に伴い、全コントローラ、即ち、統合管理コントローラ30と、蓄電システムコントローラ31と、各機器コントローラ32〜36は、初期化処理を実行する。各機器(ショーケース2、冷凍機3、空気調和機4、照明5)と、各機器コントローラ32〜36との通信の確立、各コントローラ間の通信の確立、各種設定値の反映等を実行する。
【0060】
次に、ステップS2に進み、電力制御部53は、商用電力の消費電力量の取得、蓄電池8の蓄電状態の取得を行う。即ち、電力制御部53は、通信制御部51により電力計22により出力された店舗内全体の商用電力の消費電力量を取得する。尚、本実施例では、通信機能を有する電力計22により商用電力の消費電力量を取得しているが、これ以外にも商用電力の消費電力量を検出する電力センサと制御手段とを設け、当該制御手段から商用電力の消費電力量を取得する構成としてもよい。
【0061】
また、電力制御部53は、蓄電システムコントローラ31と通信することにより、蓄電池8の蓄電残量を(蓄電残量検出手段により)取得する。一例として、当該取得された蓄電池8の蓄電残量が、所定の限界蓄電残量(例えば、蓄電残量が満充電状態に対する20%)未満である場合は、充電のみ可能状態とし、当該限界蓄電残量以上、該限界蓄電残量よりも高い所定の余裕蓄電残量(例えば、蓄電残量が満充電状態に対する80%)未満である場合には、充放電可能状態とし、該余裕蓄電残量以上である場合、放電のみ可能状態と判定する。
【0062】
その後、電力制御部53は、ステップS3乃至ステップS7において、商用電力の消費電力量に基づく「しきい値判定処理」を実行する。通常、店舗や施設に設置される電力消費機器の消費電力量は、気温や湿度等の環境によっても大きく変化し、ある時間帯にピークが生じる。一般に、電力会社との契約により電気料金は、基本料金と電力量料金から算出される。この基本料金は、予め定められた単位時間(例えば30分間。デマンド時限)毎の施設全体の商用電力の消費電力量の最大値(最大デマンド)に基づいて決定されるため、当該最大デマンドを最小限に抑制することが求められる。そのため、商用電源20から供給される商用電力の消費電力量について、商用電力上限値(ピークカットレベル)が設定されている。
【0063】
本実施例のしきい値判定処理では、係る商用電力上限値よりも余裕を持たせた値とするため、当該商用電力上限値よりも低いしきい値を複数設け、当該しきい値に基づき「蓄電サポートフラグ」をセットする。ここでは一例として、複数のしきい値として、商用電力の消費電力量の抑制値と、当該抑制値よりも高く商用電力上限値よりも低い削減値を有する。尚、商用電力上限値に対する削減値及び抑制値については任意に設定可能とする。
【0064】
ステップS3において、電力制御部53は、現在取得された商用電力の消費電力量が前記削減値を上回っているか否かを判定する。当該取得された消費電力量が削減値よりも上回っている場合(図4中t2〜t3の範囲)には、ステップS4に進み、「蓄電サポートフラグ」を「2」にセットし、ステップS8に進む。尚、当該蓄電サポートフラグ=2は、後述する省エネ制御において「商用電力の電力消費量を削減せよ。」との意味を有する。
【0065】
ステップS3において、当該取得された消費電力量が削減値以下である場合には、ステップS5に進み、前記抑制値を上回っているか否かを判定する。当該取得された消費電力量が抑制値よりも上回っている場合(図4中のt1〜t2及びt3〜t4)には、ステップS6に進み、「蓄電サポートフラグ」を「1」にセットし、ステップS8に進む。当該蓄電サポートフラグ=1は、省エネ制御において、「商用電力の電力消費量を抑制せよ。」との意味を有する。取得された消費電力量が抑制値以下である場合(図4中開始〜t1及びt4以降)には、ステップS7に進み、「蓄電サポートフラグ」を「0」にセットし、ステップS8に進む。当該蓄電サポートフラグ=0は、省エネ制御において、「商用電力により通常運転せよ。」との意味を有する。
【0066】
本実施例のしきい値判定処理では、一度条件が成立した場合に、蓄電サポートフラグをセットするものとしているが、これに限定されるものではなく、複数回連続で上限が成立した場合に蓄電サポートフラグをセットするものとしてもよい。
【0067】
上記しきい値判定処理において0〜2の何れかの蓄電サポートフラグがセットされると、電力制御部53は、ステップS8において、省エネ制御部52に上記において判定された蓄電池8の蓄電池状態(充電のみ可能状態、充放電可能状態、放電のみ可能状態)と、蓄電サポートフラグを通知する。尚、電力制御部53と省エネ制御部52とが独立したプログラムモジュールとして実装されている場合には、両モジュール間で別途定義された通信プロトコルに準拠した通信方式により情報の受け渡しを行うものとする。若しくは排他制御された共有メモリ上で情報の受け渡しを行ってもよい。
【0068】
その後、電力制御部53は、ステップS9に進み、当該電力制御部53及び省エネ制御部52による一連の電力制御プログラムが終了したか否かを判断し、終了していない場合には、ステップS2に進み、ループ処理を実行する。
【0069】
次に、省エネ制御部52による「省エネ制御」について図5乃至図7を参照して説明する。上述した如く電力制御部53により、蓄電池8の蓄電池状態と、セットされた蓄電サポートフラグが通知された省エネ制御部52は、図5のマトリックス表に基づいて省エネ制御を実行する。当該省エネ制御では、統合管理コントローラ30の省エネ制御部52が、各機器を直接制御するそれぞれの機器コントローラ32〜36及び蓄電システムコントローラ31に指令コマンドを送信することにより行われる。当該指令コマンドを受信した各機器コントローラ32〜36及び蓄電システムコントローラ31は、予め実装されたプログラムに従い、コマンド指令に応じた機器の運転制御を実行する。
【0070】
一例として、蓄電池8が満充電の状態で、当該省エネ制御が開始された場合について説明する。尚、ここでは、図7に示すように、能力変化を容易に説明すべく、第1の電動圧縮機16は、電動圧縮機16A、16B、16C、第2の電動圧縮機17は、電動圧縮機17A、17Bのいずれも定速圧縮機であるものとして説明する。第1の電動圧縮機16Aは5HP、電動圧縮機16Bは10HP、電動圧縮機16Cは15HPとし、第2の電動圧縮機17Aは5HP、電動圧縮機17Bは10HPとする。尚、当該定速圧縮機の各能力については当然にこれに限られない。
【0071】
まず、現在、蓄電池8の蓄電池の蓄電残量が余裕蓄電残量以上である満充電であるため、電力制御部53により、放電のみ可能状態である旨、省エネ制御部52に出力されている。この状態で、電力制御部53により通知された蓄電サポートフラグが0である場合、即ち、現在の電力計22にて検出される商用電力の電力消費量が抑制値以下である場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に、何ら電力消費量が抑制されていない通常運転を行うコマンド指令を行う。この際、省エネ制御部52は、蓄電池8の蓄電残量が余裕蓄電残量以上であるため、機器コントローラ(圧縮機用)32に、商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16A〜16Cに優先して第2の電動圧縮機17A、17Bを駆動するように指令する。
【0072】
これにより機器コントローラ(圧縮機用)32は、吸込圧力センサ42により検出された吸込圧力に基づき、所定の圧縮能力を実現する(低圧制御を実施する)ように、小さい方から順に、第2の電動圧縮機17A、17Bを優先的に駆動し、不足した分を第1の電動圧縮機16A〜16Cを能力に応じて駆動させることにより実現する。これにより、蓄電池8の蓄電残量が余裕蓄電残量以上である場合には、かかる余裕な蓄電残量を使用して、第2の電動圧縮機を駆動することによって、効果的に商用電源20からの消費電力量を抑制し、電気コストの低減を図ることができる。
【0073】
尚、当該状況において、商用電力の電力消費量が第1の電動圧縮機16A〜16Cの駆動及び他の電力消費機器等の使用によって上昇していき、抑制値を上回った場合には、電力制御部53により蓄電サポートフラグが1である旨、通知される。この場合には、すでに、蓄電池8からの電力によって駆動する第2の電動圧縮機17A、17Bが最大能力で駆動されている場合、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に、駆動させる、即ち、商用電力を供給する第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせを変更することにより第1の電動圧縮機16A〜16Cへの商用電力の供給量を抑制するコマンド指令を行う等、商用電力の電力消費量を抑制する。これに従って、機器コントローラ(圧縮機用)32が、第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせ変更による圧縮能力の低減を行うことで、商用電源20の消費電力量を効果的に抑制しつつ、所定の冷却能力を確保することができる。
【0074】
その後、更に、商用電力の電力消費量が第1の電動圧縮機16A〜16Cの駆動及び他の電力消費機器等の使用によって上昇していき、抑制値よりも高い削減値を上回った場合には、電力制御部53により蓄電サポートフラグが2である旨、通知される。この場合には、すでに、蓄電池8からの電力によって駆動する第2の電動圧縮機17A、17Bは、最大能力で駆動されているため、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に、駆動させる、即ち、電力供給を行う第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせを変更することにより更に合計圧縮能力を低減させて、第1の電動圧縮機16A〜16Cへの商用電力の供給量を削減するコマンド指令を行う。これに従って、機器コントローラ(圧縮機用)32が、第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせ変更による更なる圧縮能力の低減を行うことで、商用電源20の消費電力量を効果的に削減しつつ、機器の運転を継続して行うことが可能となる。
【0075】
一方、上記蓄電池8の蓄電残量が余裕蓄電残量以上であることから、商用電源20から電力供給を受ける第1の電動圧縮機16より優先して蓄電池8からの電力により駆動する第2の電動圧縮機17を駆動することにより、蓄電池8の蓄電残量が低下していき、余裕蓄電残量を下回る。この場合、電力制御部53により通知された蓄電サポートフラグが0である場合、即ち、現在の電力計22にて検出される商用電力の電力消費量が抑制値以下である場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に、蓄電池8からの第2の電動圧縮機17への電力供給を停止(直流配電停止)し、商用電源20からの第1の電動圧縮機16への電力供給(交流配電)による通常運転を行うコマンド指令を行う。
【0076】
ここで、図6は、蓄電池8の蓄電残量が限界蓄電残量以上、余裕蓄電残量未満である場合の充放電可能状態における各圧縮機の駆動出力パターンを示している。これによると、実現する合計圧縮能力が5HPである場合(出力番号1)には、第1の電動圧縮機16Aのみを駆動し、そのほかの第1の電動圧縮機16B、16C、第2の電動圧縮機17A、17Bを停止する。合計圧縮能力が10HPである場合(出力番号2)は、第1の電動圧縮機16Bのみを駆動し、15HPである場合(出力番号3)は、第1の電動圧縮機16Cのみを駆動し、20HPである場合(出力番号4)は、第1の電動圧縮機16Aと16Cのみを駆動し、25HPである場合(出力番号5)は、第1の電動圧縮機16Bと16Cのみを駆動し、30HPである場合(出力番号6)は、第1の電動圧縮機16A〜16Cのみを駆動する。この際、蓄電池8からの電力により駆動される第2の電動圧縮機17A、17Bは、停止する。
【0077】
このように、省エネ制御部52は、第1の電動圧縮機16のみを駆動させて吸込圧力センサ42により検出された吸込圧力に基づき、所定の圧縮能力(何ら抑制されない通常運転)を実現するように、機器コントローラ(圧縮機用)32にコマンド指令を行う。これに従って、機器コントローラ(圧縮機用)32は、第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせ変更により、円滑な冷却運転を実現することができる。この際、商用電力の電力消費量が、所定の抑制値以下である場合には、商用電源20からの電力供給に余裕があるため、余裕蓄電残量を下回った状態の蓄電池8からの電力供給により第2の電動圧縮機17を駆動することなく、適切な冷却運転を実現でき、必要以上に蓄電池8の蓄電残量が低下してしまう不都合を回避することができる。
【0078】
当該状況において、商用電力の電力消費量が第1の電動圧縮機16A〜16Cの駆動及び他の電力消費機器等の使用によって上昇していき、抑制値を上回った場合には、電力制御部53により蓄電サポートフラグが1である旨、通知される。この場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に、蓄電池8から第2の電動圧縮機17への電力供給(直流配電)を行い、且つ、商用電源20から電力供給を行う第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせを変更することにより順次当該第1の電動圧縮機16の合計圧縮能力(交流配電)を低減させて、第1の電動圧縮機16A〜16Cへの商用電力の供給量を抑制するコマンド指令を行う。
【0079】
これにより、機器コントローラ(圧縮機用)32は、これまで駆動していた第1の電動圧縮機16A〜16Cの何れかを停止し、当該停止に伴って不足した圧縮能力を補完すべく、これまで停止していた第2の電動圧縮機17A又は17Bを駆動する。
【0080】
例えば、上記出力番号5の状態(合計圧縮能力25HP)で、蓄電サポートフラグが1となった場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に対し、第2の電動圧縮機17A(5HP)を駆動し、第1の電動圧縮機16B(10HP)を停止させて第1の電動圧縮機16A(5HP)を駆動させる(出力番号7。この場合も合計圧縮能力25HP)。同様に出力番号6の状態(合計圧縮能力30HP)で、蓄電サポートフラグが1となった場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に対し、第2の電動圧縮機17B(10HP)を駆動し、第1の電動圧縮機16B(10HP)を停止させて第1の電動圧縮機16A(5HP)を駆動させる(出力番号8。この場合も合計圧縮能力30HP)。
【0081】
これにより、蓄電池8からの電力により駆動される第2の電動圧縮機17Aを運転することで、商用電源20からの商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16の消費電力量を効果的に抑制しても、不足した第1の電動圧縮機16の冷却能力を、蓄電池8からの電力供給により駆動する第2の電動圧縮機の冷却能力によって補完することができ、両電動圧縮機によりこれまでの冷却能力を維持することができる。そのため、円滑な機器の運転を継続して行うことが可能となり、格別に冷却能力を低下させることなく、効果的な商用電力のピーク電力の抑制を実現することができる。
【0082】
そして、当該状況において、商用電力の電力消費量が第1の電動圧縮機16A〜16Cの駆動及び他の電力消費機器等の使用によって更に上昇していき、抑制値より高い削減値を上回った場合には、電力制御部53により蓄電サポートフラグが2である旨、通知される。この場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に、蓄電池8から第2の電動圧縮機17への電力供給をより優先して(優先直流配電)行い、且つ、電力供給を行う第1の電動圧縮機16A〜16Cの組み合わせを変更することにより順次当該第1の電動圧縮機16の合計圧縮能力(交流配電)を更に低減させて、第1の電動圧縮機16A〜16Cへの商用電力の供給量を削減するコマンド指令を行う。
【0083】
これにより、機器コントローラ(圧縮機用)32は、これまで駆動していた第1の電動圧縮機16A〜16Cの何れかを更に停止し、当該停止に伴って不足した圧縮能力を補完すべく、第2の電動圧縮機17A及び17Bを優先的に駆動する。
【0084】
例えば、上記出力番号7の状態(合計圧縮能力25HP)で、蓄電サポートフラグが2となった場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に対し、第2の電動圧縮機17A(5HP)及び17B(10HP)を駆動し、第1の電動圧縮機16A(5HP)、16C(15HP)を停止させて第1の電動圧縮機16B(10HP)を駆動させる(出力番号9。この場合も合計圧縮能力25HP)。同様に出力番号8の状態(合計圧縮能力30HP)で、蓄電サポートフラグが2となった場合には、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に対し、第2の電動圧縮機17A(5HP)及び17B(10HP)を駆動し、第1の電動圧縮機16A(5HP)、16B(10HP)を停止させて第1の電動圧縮機16C(15HP)のみを駆動させる(出力番号10。この場合も合計圧縮能力30HP)。
【0085】
これにより、蓄電池8からの電力により駆動される第2の電動圧縮機17A、17Bを第1の電動圧縮機16A〜16Cよりも優先させて運転することで、商用電源20からの商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16の消費電力量を抑制よりも更に大きく低下させる方向に低減しても、不足した第1の電動圧縮機16の冷却能力を、蓄電池8からの電力供給により駆動する第2の電動圧縮機の冷却能力によって補完することができ、両電動圧縮機によりこれまでの冷却能力を維持することができる。そのため、より確実に商用電源20の消費電力量を抑制することができ、当該消費電力量が所定の上限値を超えてしまうピーク電力の発生を未然に回避することができる。
【0086】
尚、この場合、第1及び第2の電動圧縮機16、17による合計圧縮能力を固定させて、商用電源20の消費電力量が抑制値又は削減値を上回った場合に、第1の電動圧縮機16への供給電力を抑制し、蓄電池8からの第2の電動圧縮機17への供給電力を増大させることとしているが、これに限定されるものではなく、省エネ制御部52は、商用電源20の消費電力量が抑制値又は削減値を上回る状況において、機器コントローラ(圧縮機用)32により冷却能力の出力増大が要求された場合、商用電源20から電力供給が行われる第1の電動圧縮機16の制御を固定し、蓄電池8から電力供給が行われる第2の電動圧縮機17への供給電力を増大させることとしてもよい。
【0087】
これにより、統合管理コントローラ30は、商用電源20からの電力消費量を監視しながら、所定の消費量(抑制値又は削減値)を超える状況では、第1の電動圧縮機16の出力を固定又は削減することで、電力消費量を抑制し、この抑制により不足した冷却能力分を、第2の電動圧縮機17への蓄電池8からの電力供給により賄うことで、商用電源20からの電力消費量の増大を効果的に抑制しつつ、不足する圧縮能力が第2の電動圧縮機17の駆動により補完され、安定したショーケース2の制御を継続することが可能となる。
【0088】
上述したような制御を行うことによって、上記蓄電池8の蓄電残量が更に低下していき、電力制御部53より、限界蓄電残量(この場合、満充電に対する20%)を下回った充電のみ可能状態である旨、通知された場合、省エネ制御部52は、機器コントローラ(圧縮機用)32に第2の電動圧縮機17を停止するコマンド指令を行う。
【0089】
これにより、機器コントローラ(圧縮機用)32は、蓄電池8の蓄電残量が限界蓄電残量未満である場合には、第2の電動圧縮機17への電力供給を停止する。この場合、電力制御部53により通知される蓄電サポートフラグが0である場合、即ち、現在の電力計22にて検出される商用電力の電力消費量が抑制値以下である場合には、商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16A〜16Cのみを組み合わせて駆動する。
【0090】
他方、電力制御部53により通知される蓄電サポートフラグが1である場合、即ち、現在の電力計22にて検出される商用電力の電力消費量が抑制値を上回る場合には、省エネ制御部52は、第2の電動圧縮機17への電力供給を停止したまま、第1の電動圧縮機16A〜16Cを駆動する組み合わせを変更することにより、順次当該第1の電動圧縮機16の合計圧縮能力(交流配電)を低減させて、第1の電動圧縮機16A〜16Cへの商用電力の供給量を抑制するコマンド指令を行う。
【0091】
更に、商用電力の電力消費量が増大していき、電力制御部53により通知される蓄電サポートフラグが2である場合、即ち、商用電力の電力消費量が削減値を上回る場合には、省エネ制御部52は、第2の電動圧縮機17への電力供給を停止したまま、第1の電動圧縮機16のデマンド制御を実行する。
【0092】
具体的には、冷却設定温度を所定値上昇させて、第1の電動圧縮機16への商用電力の電力消費量の低減を図る。これにより、第2の電動圧縮機17が蓄電池8からの電力により駆動できなくなった場合には、該第2の電動圧縮機の冷却能力による不足した冷却能力の補完が不可能となるが、このように、第1の電動圧縮機16のデマンド制御を実行することで、ショーケース2の冷却能力を低下させつつ、運転の継続を図ることができると共に、効果的に商用電力の電力消費量の低減を図ることができる。そのため、より確実に商用電源からの消費電力量を抑制することができ、当該消費電力量が所定の上限値を超えてしまうピーク電力の発生を未然に回避することができる。
【0093】
尚、当該実施例では、電力制御部53により通知される蓄電サポートフラグが2である場合、即ち、商用電力の電力消費量が削減値を上回る場合には、省エネ制御部52は、第2の電動圧縮機17への電力供給を停止したまま、第1の電動圧縮機16のデマンド制御を実行することとしているが、これ以外にも、統合管理コントローラ30の省エネ制御部52は、空気調和機4の機器コントローラ(空気調和機用)35と連携させて、商用電力の電力消費量を低減させる制御を行ってもよい。
【0094】
即ち、省エネ制御部52は、第1の電動圧縮機16への商用電力の供給抑制を行う場合、機器コントローラ(空気調和機用)35へ店舗内の冷却設定温度を下げる旨のコマンド指令を行い、各ショーケース2の第1の電動圧縮機16への商用電力の供給に優先して空気調和機4への商用電力の供給を行うこととする。
【0095】
これにより、ショーケース2よりも熱効率が高い空気調和機4により店舗内温度を低く維持することで、ショーケース2側の熱負荷を低減させて店舗全体で省エネ制御を実現することができる。このように、電力消費機器が設けられた電力消費施設全体で機器間の連携制御を行うことで、効果的な省エネを実現することができる。
【0096】
尚、上記実施例では、商用電力の消費電力量抑制又は削減制御の説明を容易とするため、商用電源20から供給される商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16を圧縮能力の異なる複数の定速圧縮機16A、16B、16Cにより構成し、蓄電池8からの直流電力により駆動される第2の電動圧縮機17を圧縮能力の異なる複数の定速圧縮機17A、17Bにより構成しているが、図8に示すように、蓄電池8からの直流電力により駆動される第2の電動圧縮機17をインバータ60により駆動されるインバータ圧縮機とすることが望ましい。
【0097】
この場合、省エネ制御部52はインバータ60を制御して第2の電動圧縮機17の運転周波数を制御することにより、蓄電池8からの直流電力をインバータ60により変換して所定の運転周波数として第2の電動圧縮機17を駆動することができる。そのため、商用交流電力を一旦直流に変換した後、インバータを介して第2の電動圧縮機に給電する場合と比較して、電力変換による損失を極力抑制することができ、高効率な運転が可能となる。
【0098】
この際、上記実施例のように、商用電力により駆動される定速圧縮機にて構成される第1の電動圧縮機16は、複数台設けられることにより、商用交流電力をそのまま変換することなく第1の電動圧縮機16に供給して運転することができ、電力変換による損失を極力抑制することができる。
【0099】
また、当該第1の電動圧縮機16を複数台設けることにより、駆動する第1の電動圧縮機16の数や種類を選択的に行うことで、第1の電動圧縮機16の運転能力を可変とすることができ、第1の電動圧縮機16への商用電力の供給量の抑制や削減を円滑に行うことができる。
【0100】
上述した如き本実施例では、ショーケース2において、商用電源20からの商用電力により駆動される第1の電動圧縮機16と、商用電源20から供給される深夜等の商用電力や商用電源20以外の発電装置にて発電された電力を貯蔵する蓄電池8からの直流電力により駆動される第2の電動圧縮機17とが、同一の冷凍サイクル装置に並列に接続され、商用電源20からの消費電力量及び蓄電池8の蓄電残量に応じて、両電動圧縮機16、17への電力の供給を制御することにより、両電動圧縮機16、17の圧縮能力を合算した圧縮能力を実現することで、商用電源20からの消費電力量を効果的に抑制し、両電動圧縮機16、17の圧縮能力の合算により大きな圧縮能力を実現している。
【0101】
また、これ以外にも、冷凍機3に設けられる凝縮器用送風機を、商用電源20からの商用電力により駆動される第1の凝縮器用送風機と、商用電源20から供給される深夜等の商用電力や商用電源20以外の発電装置にて発電された電力を貯蔵する蓄電池8からの直流電力により駆動される第2の凝縮器用送風機により構成し、商用電源20からの消費電力量及び蓄電池8の蓄電残量に応じて、両凝縮器用送風機への電力の供給を、上記第1の電動圧縮機16や、第2の電動圧縮機17と同様に制御することにより、両凝縮器用送風機の冷媒凝縮能力を合算した冷媒凝縮能力を実現することで、商用電源20からの消費電力量を効果的に抑制し、両凝縮器用送風機の冷媒凝縮能力の合算により大きな冷媒凝縮能力を実現してもよい。尚、この場合、第1の凝縮器用送風機は、上記第1の電動圧縮機16と同様に、商用電力により駆動される複数台の定速送風機としてもよく、第2の凝縮器用送風機は、上記第2の電動圧縮機17と同様に、インバータにより駆動されるインバータ送風機により構成し、インバータによって第2の凝縮器用送風機の運転周波数を制御してもよい。
【0102】
これ以外にも、空気調和機4においても、同様に、商用電源20からの商用電力により駆動される第1の電動圧縮機(望ましくは定速圧縮機。第1の電力消費機器)と、商用電源20から供給される深夜の商用電力や商用電源20以外の発電装置にて発電された電力を貯蔵する蓄電池8からの直流電力により駆動される第2の電動圧縮機(望ましくはインバータ圧縮機。第2の電力消費機器)とが、同一の空気調和機の冷凍サイクル装置に並列に接続されて、商用電源20からの消費電力量及び蓄電池8の蓄電残量に応じて、両電動圧縮機16、17への電力の供給を制御することとしても、同様の効果を奏することができる。
【0103】
また、これ以外にも、店舗内に設置される照明装置を、同一空間を照明する商用電源20からの商用電力により点灯するLED照明(第1の電力消費機器)と、商用電源20から供給される深夜の商用電力や商用電源20以外の発電装置にて発電された電力を貯蔵する蓄電池8からの直流電力により点灯する安定器を備えた蛍光灯(第2の電力消費機器)とし、商用電源20からの消費電力量及び蓄電池8の蓄電残量に応じて、両照明への電力の供給を制御することとしても、同様の効果を奏することができる。
【0104】
このように、商用電源20から供給される商用電力を圧縮や照明等の仕事に変換する第1の電力消費機器と、蓄電池8に貯蔵された電力を同様の圧縮や照明等の仕事に変換する第2の電力消費機器とを備え、両電力消費機器の仕事を合算した仕事量を得ることにより、商用電源20からの消費電力量を効果的に抑制し、両電力消費機器の仕事の合算により大きな仕事量を実現することができる。
【符号の説明】
【0105】
S 管理システム
1 蓄電システム
2 ショーケース(電力消費機器)
3 冷凍機(電力消費機器)
4 空気調和機(電力消費機器)
5 照明(電力消費機器)
7 発電装置(発電手段)
8 蓄電池(蓄電手段)
9 冷媒回路
10 冷凍サイクル装置
11 蒸発器
12 膨張弁(減圧手段)
13 冷気循環用送風機
14 凝縮器
15 凝縮器用送風機
16 第1の電動圧縮機
17 第2の電動圧縮機
18、19 電磁開閉弁
20 商用電源
21 ACライン(商用電力系統)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から供給される商用電力、及び/又は、前記商用電源以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電手段と、
該蓄電手段を介すること無く前記商用電源から供給される商用電力を仕事に変換する第1の電力消費機器と、
前記蓄電手段に貯蔵された電力を仕事に変換する第2の電力消費機器と、
これら電力消費機器への電力の供給を制御する制御手段とを備え、
前記両電力消費機器の仕事を合算した仕事量を得ることを特徴とする電力消費施設の管理システム。
【請求項2】
商用電源から供給される商用電力、及び/又は、前記商用電源以外の発電手段にて発電された電力を貯蔵する蓄電手段と、
該蓄電手段を介すること無く前記商用電源から供給される商用電力にて駆動される第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機と、
前記蓄電手段に貯蔵された電力にて駆動される第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機と、
両電動圧縮機が接続されて冷媒回路が構成された冷凍サイクル装置と、
前記両電動圧縮機又は両凝縮器用送風機への電力の供給を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする電力消費施設の管理システム。
【請求項3】
前記蓄電手段の蓄電残量を検出する蓄電残量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記蓄電手段の蓄電残量が所定の限界蓄電残量以上であることを条件として当該蓄電手段からの電力により前記第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動することを特徴とする請求項2に記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記蓄電手段の蓄電残量が、前記限界蓄電残量よりも高い所定の余裕蓄電残量以上である場合、前記第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機に対して、優先的に前記第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動することを特徴とする請求項3に記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項5】
前記商用電力の消費電力量を検出する商用電力消費量検出手段を備え、
前記制御手段は、前記商用電力消費量検出手段により検出される前記消費電力量が所定の抑制値を上回った場合、前記第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量を抑制することを特徴とする請求項2乃至請求項4のうちの何れかに記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記商用電力消費量検出手段により検出される前記消費電力量が前記抑制値よりも高い所定の削減値を上回った場合、前記第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給量を、前記抑制よりも更に大きく低下させる方向に削減することを特徴とする請求項5に記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項7】
前記蓄電手段の蓄電残量を検出する蓄電残量検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記蓄電手段の蓄電残量が所定の限界蓄電残量以上であることを条件として当該蓄電手段からの電力により前記第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機を駆動すると共に、
前記消費電力量が前記削減値を上回り、且つ、前記蓄電手段の蓄電残量が前記限界蓄電残量未満である場合、前記消費電力量を更に削減する所定のデマンド制御を実行することを特徴とする請求項6に記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項8】
前記第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機はインバータにより駆動されるインバータ圧縮機又はインバータ送風機であり、前記制御手段は前記インバータを制御して前記第2の電動圧縮機又は第2の凝縮器用送風機の運転周波数を制御することを特徴とする請求項5乃至請求項7のうちの何れかに記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項9】
前記第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機は前記商用電力により駆動される定速圧縮機又は定速送風機であり、複数台設けられることを特徴とする請求項5乃至請求項8のうちの何れかに記載の電力消費施設の管理システム。
【請求項10】
前記冷凍サイクル装置は、店舗に設置されたショーケースの陳列室を冷却するものであり、
前記制御手段は、前記第1の電動圧縮機又は第1の凝縮器用送風機への商用電力の供給抑制を行う場合、前記店舗の空気調和機に優先して前記商用電力を供給することを特徴とする請求項5乃至請求項9のうちの何れかに記載の電力消費施設の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−51785(P2013−51785A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187704(P2011−187704)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】