説明

電動式ディスクブレーキ装置

【課題】摩擦パッドに作用する面圧分布の偏りをなくし、面圧を均一にするような電動式ディスクブレーキ装置を提供する。
【解決手段】電動式ブレーキキャリパに独立して制御される2つの駆動部を設け、それぞれの駆動部が備える電動モータ23i,23oの回転力を進退運動に変換して、進退するピストンに荷重センサを設け、ディスクロータと摺接する摩擦パッドの押圧力を測定し、押圧力Fin,Foutと車輪速Sとを用いて記憶部100に予め記憶させた指令値データ98i,98oを参照することにより、駆動部の電動モータ23i,23oに新たに与える補正押圧力P*in,P*outとを演算し、演算された補正押圧力P*in,P*outに基づきそれぞれの電動モータ23i,23oを駆動することにより、摩擦パッドに生じる面圧を均一とするような押圧力を作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの制動装置に関し、特に摩擦材が押圧部材によって制動回転体に押付けられ回転を抑制する電動式ディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動式ディスクブレーキ装置の技術として、例えば特許文献1のように、電動モータを駆動力とし、並列配置された複数のピストンを作動させて摩擦パッドをディスクロータに摺接させる構造が開示されている。
また、特許文献2では、電動モータをブレーキの駆動力とするブレーキキャリパに及ぼす熱の問題に着目し、摩擦パッドに生じる熱をキャリパの駆動部に伝導させないための押圧部材に断熱材などを用いる構造が開示されている。
【特許文献1】特表2006−501413号公報
【特許文献2】特開2000−213575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記文献の構成は、並列配置された複数のピストンを共通の電動モータで駆動する構造は開示されているものの、ディスクブレーキのピストンの押圧による摩擦パッドに作用する面圧の問題については開示されていない。
【0004】
例えば、図9(a),(b)に示すようにディスクロータ2に摩擦パッド3を押圧するディスクブレーキにおいては、ディスクロータ2がディスクブレーキに入る側を回入側とし、出る側を回出側とした場合に、回出側に比べて、回入側の摩擦パッド3とディスクロータ2との接触面に大きな力が作用するため、特許文献1のような電動式ディスクブレーキにおいて、例えば車両が高速走行している場合や、低速時などでも急ブレーキの操作などの高負荷を与えて2つのモータに同じ押圧力が発生するように作動させた場合、摩擦パッド3の摺接面には、回入側と回出側に作用する面圧が不均衡となり、回入側の摩擦パッドの摩耗が回出側の摩擦パッドよりも激しくなる結果、摩擦パッドに偏摩耗が発生するおそれがある。また、高負荷時に偏摩耗が発生しないように、回出側に押圧力をオフセットすることが考えられるが、この場合低負荷時には逆に回出側に大きな押圧力が作用することになってしまい、偏摩耗が発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る第一の構成として、キャリパ本体の作用部及び反作用部のそれぞれからディスクロータに摺接可能に設けられた摩擦パッドと、前記摩擦パッドを押圧する押圧部材と、前記作用部側に設けられ前記押圧部材に押圧力を発生させる駆動手段と、前記駆動手段を制御する制御部と、記憶手段とを有する電動式ディスクブレーキ装置であって、前記駆動手段は、前記ディスクロータの回入側、回出側のそれぞれに配置された少なくとも第1及び第2の駆動部から成り、前記記憶手段は、予め設定した摩擦パッドに付加させるのに必要な押圧力を得る指令値データを記憶し、前記制御部は、前記記憶手段より読み出した指令値データより得た前記摩擦パッドに付加させるのに必要とする押圧力に応じて、前記第1及び第2の駆動部それぞれの前記押圧部材に対する押圧力を制御するディスクブレーキ装置とした。
本発明によれば、ディスクロータの回入側、回出側に第1及び第2の駆動部を配置し、第1及び第2の駆動部を制御する指令値データを制御部の記憶手段に予め設定して記憶させたことにより、指令値データに基づき第1及び第2の駆動部が個別に制御され、回入側、回出側にそれぞれ異なった押圧力で摩擦パッドをディスクロータに対して摺接させることで摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0006】
本発明に係る他の構成として、前記電動式ディスクブレーキ装置は、駆動部の摩擦パッドにかかる回入側、回出側の押圧力をそれぞれ検出可能な荷重センサを備え、前記指令値データは、前記荷重センサの出力に対応してそれぞれ変化する回入側入力荷重及び回出側入力荷重が得られるように予め個別に設定され、前記制御部は、当該回入側入力荷重及び回出側入力荷重を参照して必要な押圧力を読み出して第1,第2駆動部を個別に制御する構成とした。
本構成によれば、駆動部に荷重センサを備えたことにより駆動部の摩擦パッドにかかる回入側、回出側の押圧力を検出することができ、検出された押圧力に基づき駆動部の回入側入力荷重及び回出側入力荷重を指令値データから読み出して、第1及び第2の駆動部を個別に制御することで摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0007】
本発明に係る他の構成として、前記電動式ディスクブレーキ装置は、車輪速を検知する車輪速センサを備え、記憶手段の指令値データは、車輪速センサの出力する車輪速に応じて荷重が設定される回入側入力荷重及び回出側入力荷重が予め個別に設定され、前記制御部は、当該回入側入力荷重及び回出側入力荷重を参照して必要な押圧力を読み出す構成とした。
本構成によれば、車輪速を検知する車輪速センサを備えたことにより、車輪速センサにより検知された車輪速に基づき、車輪速に応じて荷重が設定される回入側入力荷重及び回出側入力荷重を指令値データから読み出して、回入側、回出側の押圧力を個別に制御することで摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0008】
本発明に係る他の構成として、前記電動式ディスクブレーキ装置は、駆動部の摩擦パッドにかかる回入側、回出側の押圧力をそれぞれ検出可能な荷重センサと、車輪速を検知する車輪速センサとを備え、記憶手段の指令値データは、前記荷重センサの出力する回入側、回出側の押圧力及び前記車輪速センサの出力する車輪速に対応してそれぞれ変化する回入側入力荷重及び回出側入力荷重が得られるように予め個別に設定され、前記制御部は、当該回入側入力荷重及び回出側入力荷重を参照して必要な押圧力を読み出す構成とした。
本構成によれば、荷重センサと車輪速センサを備えたことにより、荷重センサにより検出された駆動部の摩擦パッドにかかる回入側、回出側の押圧力と、車輪速センサにより検知された車輪速とに基づき、それぞれに対応する指令値データから摩擦パッドを押圧する回入側入力荷重及び回出側入力荷重を読み出して個別に制御することにより摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0009】
本発明に係る他の構成として、前記指令値データは、荷重センサの出力するクランプ荷重が大きくなるにつれて回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の方が増加率が大きくなるように予め設定される。
本構成によれば、クランプ荷重が大きくなるに従い、回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の増加率が大きくなるように予め設定したことにより摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0010】
本発明に係る他の構成として、前記指令値データは、車輪速センサの出力する車輪速が大きくなるにつれて回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の方が増加率が大きくなるように予め設定される。
本構成によれば、車輪速が大きくなるに従い、回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の増加率が大きくなるように予め設定したことにより摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0011】
本発明に係る他の構成として、前記指令値データは、車輪速とクランプ荷重の少なくとも一方が大きくなるにつれて回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の方が増加率が大きくなるように予め設定される。
本構成によれば、クランプ荷重と車輪速とのどちらかが大きくなるに従い、回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の増加率が大きくなるように予め設定したことにより摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0012】
本発明に係る他の構成として、前記指令値データは、車輪速とクランプ荷重の少なくとも一方が予め設定された閾値よりも大きいときに回出側入力荷重が回入側入力荷重より大きくなるように予め設定される。
本構成によれば、車輪速又はクランプ荷重のどちらかがそれぞれに設定された閾値よりも大きい場合に、回出側入力荷重が回入側入力荷重より大きくなるように予め設定したことにより摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1
以下、図面に基づき本発明の一実施例を詳述する。
図1は、車両において本発明の電動式ディスクブレーキ装置1を実装した場合のブレーキシステムを示す。図2は、図1の電動式ディスクブレーキ装置1を車両の1輪について実装した場合の概略構成を示す図である。
図2に示す電動式ディスクブレーキ装置1は、電動モータなどを駆動力とする電動式ブレーキ装置であり、ディスクロータ2と、摩擦パッド3と、ブレーキキャリパ4と、制動制御部13とによって構成される。
【0014】
ディスクロータ2は、図外の車輪とともに回転する円盤体であり、円盤体の両面に摩擦パッド3が近接し、摺接することにより回転が制動される。
摩擦パッド3は、前記ディスクロータ2を挟んで対向する一対の摩擦パッド3aと摩擦パッド3bとから構成される。摩擦パッド3a,3bはブレーキキャリパ4が作用することにより互いに近づく方向に押圧され前記ディスクロータ2と摺接すると、ディスクロータ2の回転する運動エネルギーを摩擦により熱エネルギーに変換し、車輪を制動する。
【0015】
以下ブレーキキャリパ4の構造及び構成について図3と図4とを用いて説明する。
図3(a)は、図3(b)におけるブレーキキャリパ4のK1−K1の断面図、図3(b)は、図3(a)におけるブレーキキャリパ4のK2−K2の断面図である。
図3に示すようにブレーキキャリパ4は、概略として、キャリパ本体7と、キャリパ本体7をスライド可能に支持するブラケット6と、キャリパ本体7の内部に介挿される一対の駆動部11,12を備える。
ブラケット6は、タイヤホイール内側の非回転部分に対してディスクロータ2を跨ぐように取付けられる断面コ字状の部材である。ブラケット6の対向する面には、一対の摩擦パッド3a,3bが互いに対向するように配置され、摩擦パッド3a,3bがディスクロータ2の回転方向に動かないよう強固に固着される。ブラケット6は、一対のスライド穴6a,6bを備え、キャリパ本体7に設けられた取付け孔7a,7bと位置決めされた状態でスライドボルト8,8が螺入されることにより、ブラケット6とキャリパ本体7がスライド可能に取付けられる。
【0016】
キャリパ本体7は、作用部9と、前記作用部9と対向し、ディスクロータ2を跨ぐように設けられた反作用部10とからなる。前記作用部9は、内部に回入側駆動部11と回出側駆動部12を備える。当該回入側駆動部11及び回出側駆動部12とが後述の制動制御部13によって制御され駆動されると、作用部9及び反作用部10を介してディスクロータ2の回転が制動される。
なお、本実施例において回入側駆動部11とは、図3において矢印で示す方向にディスクロータ2が回転すると仮定した場合に、ディスクロータ2がキャリパ本体7に入る側に位置する駆動部である。これとは逆に回出側駆動部12とは、ディスクロータ2がキャリパ本体7から出る側に位置する駆動部である。本実施例は車体が前進している場合を示す。従って、車体が後進した場合には回入側駆動部11が回出側となり、回出側駆動部12が回入側となる。本実施例においては、回入側駆動部11と回出側駆動部12とはディスクロータ2の回転方向に沿って並列に配置される。なお、上記回入側駆動部11及び回出側駆動部12については後述する。
【0017】
図3に示すように前記作用部9は、シリンダボディ32と、ミドルボディ33と、ボディエンド34と、モータカバー35とに分割構成される。
シリンダボディ32は、後述の回入側駆動部11と回出側駆動部12とを組み込むための回入側シリンダ36と回出側シリンダ37と、後述の固定ボルト68が螺入されるネジ孔67を有する。回入側シリンダ36及び回出側シリンダ37は、車体左右方向に延長する両端開口の孔として形成され、開口部55よりも縮径した段部43を備え、当該段部43よりもディスクロータ2側の空間が基径部38として形成され、段部43よりも開口部55側の空間が拡径部として形成される。基径部38のディスクロータ2側の端部には内周面に沿ってリング溝39が形成される。開口部55の周面には、後述のミドルボディ33に設けられた穴に対して突出する突起58が設けられる。
【0018】
回入側シリンダ36及び回出側シリンダ37内には其々、図4に示す回入側駆動部11、回出側駆動部12がベアリング41、シールリング45、押圧部材48及びダストシール65と一体に組み付けられる。以下、回入側シリンダ36,回出側シリンダ37内部に組み付けられる部材について詳述する。なお、回入側シリンダ36,回出側シリンダ37内に組み付けられる部材は基本的構成が同一であるため、一方の回入側シリンダ36に一方の回入側駆動部11を組み付ける場合を例として説明する。
【0019】
図4(a)に示すように、回入側駆動部11は概略としてピストン部21と、減速機構22と、駆動手段としての電動モータ23とによって構成される。ピストン部21は、ボールネジとして構成され、内部に軸方向に沿って貫通する貫通孔26及び貫通孔26からディスクロータ2側へ突出するボルト50を有するピストン24と、当該ピストン24を収容し、ピストン24とボールを介して螺合するボールナットとして構成された変換機構25とからなる。即ち、変換機構25が後述の電動モータ23の駆動により回転すると、ピストン24はディスクロータ2の側に向かって前進または後退する構成であり、ピストン24と変換機構25とは、いわゆるボールネジ機構のボールねじとボールナットの関係にある。変換機構25は、一端開口の筒状体であって、内周壁に前記ピストン24の外周に切られたネジと螺合するネジ部25aを備える。変換機構25の閉口した他端部は、丸型のフランジ42が形成される。フランジ42の一端面53には、フランジ42の中心と同心円となるように均等に配置された支持穴27が複数設けられ、それぞれに後述の減速機構22の一部が結合する。
【0020】
減速機構22は、太陽歯車28と、複数の遊星歯車29と、当該複数の遊星歯車29の回転を支える支持軸30と、外輪歯車31とから構成される。太陽歯車28は、電動モータ23の出力軸64に取付けられ、周囲に配置される複数の遊星歯車29と噛み合うことにより回転力を遊星歯車29に出力する。
遊星歯車29は、回転中心にベアリング57が取付けられ、ベアリング57を介して支持軸30と結合する。支持軸30は、軸部の中間に軸径よりも拡径した厚みを持つフランジ56を備え、一端が上述のフランジ42に設けられた支持穴27に嵌め込まれ、他端が遊星歯車29のベアリング57を支持することにより太陽歯車28の回転を変換機構25に伝達する。外輪歯車31は、後述のミドルボディ33の収容部に固定され、太陽歯車28の周囲を公転する複数の遊星歯車29と噛み合う。
減速機構22よりも電動モータ23側には円環状のスペーサ62が設けられる。スペーサ62の円環内周にはベアリング63が内挿される。ベアリング63は、電動モータ23の出力軸64を支持する。スペーサ62は後述のボディエンド34の内部に収容される。
【0021】
なお、遊星歯車29のベアリング57は、電動モータ23の出力軸64が、ボールネジ機構の軸と一致していれば、何れのベアリングを用いて良いが、例えば軸が多少なりともずれる場合には、偏心ベアリング等を用いることで構成や設計を変更しなくとも容易に減速機構22を構成することができる。
【0022】
電動モータ23は、ハーネス69によって後述のモータ制御部14に接続され、回転方向または回転角度が制御されるパルスモータである。なお、回転するモータだけでなく、リニアモータやソレノイドなど直動するものなどを用いて構成しても良い。本構成からなる回入側駆動部11によれば、電動モータ23の駆動によって出力軸64に設けられた太陽歯車28が回転すると、太陽歯車28の周囲に設けられた複数の遊星歯車29が回転し、支持軸30を介して連結された変換機構25が回転することから、変換機構25に収容されたピストン24が進退自在に駆動することができる。
【0023】
図4(b)を参照し、回入側シリンダ36の内部構成について詳述する。
回入側シリンダ36の内部には、ニードルベアリング41,41、スラストベアリング44、シールリング45、荷重センサ47、押圧部材48、ダストシール65が介挿される。ニードルベアリング41,41は基径部38の周壁に対して直列に内挿され、開口部55側から挿入される変換機構25の外周を回転可能に保持する。スラストベアリング44は、段部43と、変換機構25のフランジ42の他端面46との間に内挿され、変換機構25を回転可能に保持する。
【0024】
シールリング45は、前記スラストベアリング44よりも摩擦パッド3a側に内挿される部材であって、前記スラストベアリング44と当接する状態で組み込まれることにより、ベアリング内の円滑油の漏れ、外部からの粉塵等の異物の進入を防ぐ。荷重センサ47はシールリング45よりもディスクロータ2側に設けられる部材である。荷重センサ47は円筒状のロードセルよりなり、ロードセルの起歪体に取付けられた4つのひずみゲージによって後述の摩擦パッド3aに作用する荷重(クランプ荷重)を検出する。検出された荷重は、ハーネス47aを介して後述の制動制御部13へ出力される。ハーネス47aは、基径部38の先端側に形成されたハーネス取出し孔52より延出して後述の入力部101に接続される。
【0025】
荷重センサ47よりも摩擦パッド3a側には、摩擦パッド3aの基台3cが押圧する押圧部材48が取付けられる。押圧部材48は、荷重センサ47やピストン24などに摩擦パッド3aに生じる熱の流れを妨げる耐熱強度を備えたセラミックやその他複合素材断熱材質からなり、中央部にネジ穴49を備える。また、押圧部材48は、押圧面48cから摩擦パッド3a側に突出する複数の突起を備え、基台3cを保持する。
【0026】
押圧部材48及び荷重センサ47は、変換機構25が開口部55側から介挿された状態において、ピストン24のボルト50が押圧部材48のネジ穴49に螺入されることにより、ピストン24の先端面51に固着される。即ち、荷重センサ47は、押圧部材48の受圧面48aとピストン24の先端面51との間に狭持される。
ダストシール65は、円環状に形成されたシール部材であって、円環の内周面が押圧部材48の周囲に形成された溝48bに沿って嵌め込まれ、変換機構25が開口部55側から介挿された状態において、円環の外周面がリング溝39に嵌め込まれる。ダストシール65は、ピストン24の前進に伴い押圧部材48がシリンダ36の開口部36aより露出し、摩擦パッド3aの基台3cを押圧する場合に、外部から塵芥等の異物がシリンダ36内に進入するのを防止する。以上、全ての部材が回入側シリンダ36内に介挿された後、ピストン部21が開口部55側から回入側シリンダ36内に収容される。
【0027】
図3(a),(b)を参照して、作用部9に設けられた回入側シリンダ36,回出側シリンダ37内の其々に回入側駆動部11及び回出側駆動部12を組み込んだ状態を説明する。ピストン部21が両シリンダ36,37内に組み込まれると、減速機構22が支持穴27を介して組み付けられる。シリンダボディ32と、ミドルボディ33とはシリンダボディ32に設けられた突起58とミドルボディ33に設けられた穴とが嵌め合わされることにより位置決めされる。位置決めされた状態においてミドルボディ33の接触面60がベアリング54と当接する。ミドルボディ33が取付けられることにより減速機構22の外輪歯車31が収容され、ピストン部21及びピストン部21に組み付けられる減速機構22とが一体に支持される。
【0028】
ミドルボディ33は、固定ボルト68が貫通する貫通孔66を有し、電動モータ23側からボディエンド34が取付けられる。ボディエンド34は、ネジ孔67、ミドルボディ33に形成された貫通孔66と一致する貫通孔70を備え、固定ボルト68が貫通孔70,66を介してネジ孔67に螺入されることにより、ボディエンド34、ミドルボディ33及びシリンダボディ32とが一体に組み付けられる。ボディエンド34から突出した電動モータ23には、モータカバー35が被着される。
【0029】
図5は、電気式ディスクブレーキ装置1に係る制動制御部のブロック図を示す。なお、回入側に位置する構成と、回出側に位置する構成との区別を明確とするため、図面や明細書においてiやoを添字として用いる場合がある。添字iは、回入側に位置する構成を示し、添字oは、回出側に位置する構成を示す。
電気式ディスクブレーキ装置1は、記憶部100、入力部101、演算処理部102及び出力部103を備えた制動制御部13と、主として車体側に設けられ前記入力部101に各種の信号を出力するブレーキスイッチ81、ペダルセンサ82及び車輪速センサ84と、入力部101と電気的に接続され荷重信号を出力する回入側荷重センサ47i及び回出側荷重センサ47oと、出力部103と回入側電動モータ23i及び回出側電動モータ23oと電気的に接続され出力部103からの出力信号に基づいて回入側電動モータ23i及び回出側電動モータ23oの駆動制御を行うモータ制御部14とから構成される。
【0030】
ブレーキスイッチ81は、ブレーキペダル付近に設けられ、ドライバがブレーキの操作を行ったときにブレーキ信号91を入力部101に出力する。ブレーキ信号91としては、例えば、ブレーキ操作有りのときにはON、ブレーキ操作なしのときにはOFFとする所謂ON/OFF信号等が好適である。なお、ブレーキスイッチ81は、後述のペダルセンサ82によってON/OFF信号を出力しても良い。このブレーキ信号91により後述の制動制御プログラム200が実行される。
【0031】
ペダルセンサ82は、ブレーキの操作量及び操作方法を検出するセンサでブレーキペダルのストロークする部分(図1参照)に設けられる。ペダルセンサ82は、ブレーキペダルを操作したときの踏込み角度(踏込角度)及びブレーキペダルを操作したときの踏込み強さ(踏込荷重)として検出し、踏込角信号92と踏力信号93とを入力部101に出力する。
例えば、踏込角度を検出するセンサにはロータリエンコーダなど回転する角度を検出できるものなら良く、特にロータリエンコーダを使用したときには角度とその角度に至るまでの角速度を同時に検出できるため、同時に踏込角度と踏込速度とを検出することができる。踏込荷重を検出するセンサには荷重センサ、ロードセルなどによって踏込みの強さが検出できる。本実施例においては、ペダルセンサ82は踏込角度と踏込荷重とが出力できるセンサによって構成される。なお、ブレーキ操作を出力する信号は、踏込角信号と踏力信号とのいずれか一方でも良い。
【0032】
車輪速センサ84は、車輪の回転速度を検出するセンサで車輪とともに回転する車軸に設けられるハブなどに取付けられたエンコーダと、ハブ近傍の回転しない部分に取付けられた検出器とによって構成される。エンコーダは、ハブの回転方向に均等の間隔で高さが等しくなるように配置されたマグネットや金属からなる凹凸の集合体で、検出器によって検出される磁束の変化を車輪速信号94として入力部101に出力する。車輪速センサとしては、他の公知のセンサを使用または組み合わせて車輪速センサとしても良い。
【0033】
回入側荷重センサ47iと回出側荷重センサ47oとは、前述のとおりブレーキキャリパ4内に設けられ、摩擦パッド3aをディスクロータ2に摺接させるための押圧力を測定する荷重センサで、摩擦パッド3aを押圧する押圧部材48の受圧面48aとピストン24の先端面51とに生じる圧力を回入側荷重信号95iと回出側荷重信号95oとして入力部101に出力する。上記各センサから入力された信号は、入力部101から演算処理部102に出力される。
【0034】
演算処理部102は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアによって構成され、例えばROMに格納された処理プログラム及び記憶部100に格納された回入側指令値データ98i,回出側指令値データ98oを参照し、RAMを用いながら制御対象となる両電動モータ23i及び23oの押圧力の演算処理を実行する。
記憶部100は、例えばROM等の記憶媒体であり、演算処理部102による演算処理に必要な回入側指令値データ98i,回出側指令値データ98oを記憶する。
なお、記憶部100は、演算処理部102に含まれても良い。
【0035】
図7は、記憶部100の記憶する指令値データ98i及び指令値データ98oを示し、車輪速信号94に基づく車輪速Sと、回入側荷重信号95iと回出側荷重信号95oとに基づく回入側のクランプ荷重としての回入側実押圧力Finと回出側のクランプ荷重としての回出側実押圧力Foutと、回入側入力荷重としての回入側補正押圧力P*inと回出側入力荷重としての回出側補正押圧力P*outとの関係を示す。
指令値データ98iは、車輪速Sと回入側の実押圧力Finとに応じて補正押圧力P*inを求めるデータである。指令値データ98oは、車輪速Sと回出側の実押圧力Foutとから回出側の補正押圧力P*outを求めるデータである。
指令値データ98iと指令値データ98oとは、車輪速Sと実押圧力FinとFoutの少なくとも一方が大きくなるに従い、回出側の補正押圧力P*outが回入側の補正押圧力P*inよりも補正押圧力の増加率が大きくなるように設定される。
また、指令値データ98iと指令値データ98oは、図8(a)に示すように、車輪速Sと、実押圧力FinとFoutとが小さいときには摩擦パッド3に生じる面圧分布は制御の有無に関わらず変化が見られないため、車輪速Sと実押圧力FinとFoutの少なくとも一方が予め設定された値(閾値)よりも大きいときに回出側入力荷重が回入側入力荷重より大きくなるように設定しても良い。
なお、回入側指令値データ98iと回出側指令値データ98oとは、車輪速Sに応じるかまたは回入側と回出側で検出される実押圧力FinとFoutの何れか一方によって補正押圧力P*inとP*outとが出力され、回出側の補正押圧力P*outが回入側の補正押圧力P*inよりも補正押圧力の増加率が大きくなるように設定しても良い。
【0036】
モータ制御部14は、ブレーキキャリパ4に設けられた駆動源である電動モータ23i,23oと制動制御部13との間に介在して、制動制御部13から出力される電動モータ23i,23oへの目標押圧力信号96iと96oとを電動モータ23i,23oに適した回入側駆動信号97iと回出側駆動信号97oとに変換して出力する。
例えば電動モータ23がステッピングモータの場合、モータの回転は、制御信号として送られるパルス信号の数によって行われるため、制動制御部13から出力される信号が電流の場合には、パルス信号などに変換する。なお、モータ制御部14は、モータドライバによって構成されても良く、また、その機能が制動制御部13の中に組み込まれても良い。
【0037】
上記構成からなる電気式ディスクブレーキ装置1による制御方法を図6のフローチャートに基づいて説明する。
車両の走行時においてブレーキ操作が行われると、ブレーキスイッチ81の出力するブレーキ信号91が入力部101を介して出力され、演算処理部102は、制動制御プログラム200に基づく制御処理を開始する(S1)。
【0038】
ステップ1で、制御処理が開始されたことに基づき演算処理部102は、入力部101を介して入力される車輪速信号94、踏込角信号92及び踏力信号93を検出する(S2)。
【0039】
演算処理部102は、ステップ2において検出された踏込角信号92、踏力信号93及び車輪速信号94に基づき、運転者によるブレーキペダルの操作に応じた目標ブレーキ力に近づくようにディスクロータ2への摩擦パッド3aの目標押圧力Pin,Poutを演算し、演算結果を目標押圧力信号96i,96oとして出力部103に出力する(S3)。
【0040】
出力部103は、ステップ3において演算処理部102から出力された目標押圧力信号96i,96oをモータ制御部14に出力し、モータ制御部14は対応する回入側駆動信号97iと回出側駆動信号97oとに変換し、電動モータ23i,23oに出力する(S4)。
【0041】
電動モータ23i,23oは、ステップ4において出力部103から出力された回入側駆動信号97iと回出側駆動信号97oとに従った駆動力により、ピストン24i,24oとを突出させて摩擦パッド3aをディスクロータ2に押付ける(S5)。
【0042】
ステップ5においてピストン24i,24oが突出し、押圧部材48が摩擦パッド3aの基台3cと接触すると、ピストン24i,24oとの間に設けられた回入側荷重センサ47i及び回出側荷重センサ47oが、回入側実押圧力Finと回出側実押圧力Foutとを検出し、回入側実押圧力Finと回出側実押圧力Foutとを回入荷重信号95iと回出荷重信号95oとして制動制御部13の入力部101に出力する(S6)。なお、ブレーキ操作の初期状態においては、回入側荷重センサ47iと回出側荷重センサ47oとが検出した実押圧力FinとFoutにおいては、図8(b)の高負荷時で補正なしの図に示すような面圧分布が摩擦パッド3に生じることとなる。
【0043】
ステップ6において演算所処理部102は、回入荷重信号95i及び回出荷重信号95oが入力部101を介して入力されると、入力された回入側実押圧力Finと回出側実押圧力Fout(回入荷重信号95iと回出荷重信号95o)と、車輪速センサ84の出力する車輪速S(車輪速信号94)とに基づいて記憶部100に記憶された回入側指令値データ98iと回出側指令値データ98oとを参照しつつ回入側補正押圧力P*in及び回出側補正押圧力P*outを演算し、出力部103に出力する(S7)。
例えば、制御例として高速走行からの高負荷な制動とすれば回入側、回出側で検出される実押圧力FinとFoutは大きいため、回入側補正押圧力P*inと回出側補正押圧力P*outは、回入側指令値データ98iと回出側指令値データ98oとを参照し、回入側補正押圧力P*inよりも回出側補正押圧力P*outの方が大きくなるような回入側補正押圧力P*inと回出側補正押圧力P*outとを出力する。
【0044】
ステップ7において出力部103は、回入側補正押圧力P*inと回出側補正押圧力P*outとに基づいた補正押圧力信号96*iと96*oとをモータ制御部14に出力する。
【0045】
モータ制御部14は、補正押圧力信号96*iと96*oとを回入側補正駆動信号97*iと回出側補正駆動信号97*oとにそれぞれ変換し電動モータ23i,23oに出力する(S8)。回入側補正押圧力P*inと回出側補正押圧力P*outとに基づき電動モータ23i,23oが、摩擦パッド3aに対して補正押圧力P*in,P*outとなるように動作する(S9)。
以上のS6〜S9を繰り返すことにより摩擦パッド3に作用する面圧分布が均一となるような制御が繰り返される。
【0046】
上述のように、電動モータ23は、指令値データ98i,98oに基づく補正押圧力P*in,P*outと、回入側と回出側とに生じる実押圧力Fin,Foutとに基づいて制御され、運転者のブレーキ操作力に応じてディスクロータ2に作用する面圧の分布が均一となるようなブレーキ力が得られるように制御される。その結果、摩擦パッド3の面圧の分布が均一になることにより摩擦パッドの偏摩耗を防ぐことができる。
【0047】
実施の形態2
図10(a)は、本願発明に係る他の実施形態を示す。なお、実施の形態1と同一構成の部材については適宜符合を省略する。本実施形態においては、実施の形態1と同一構成からなる電動式ディスクブレーキ装置1に関し、荷重センサ47を作用部9でなく反作用部10に設けた点で異なる。具体的には、本実施例における荷重センサ77は、反作用部10側に設けられる。この状態において作用部9のピストン24i,24oが突出し、押圧部材48が摩擦パッド3aの基台3cを押圧すると、摩擦パッド3aはディスクロータ2と摺接する。同時にブラケット6のスライド孔6a,6bに沿ってキャリパ本体7は反力によってスライドし、反作用部10側の摩擦パッド3bがディスクロータ2に押圧される。これにより、実施の形態1でピストン24i,24oに設けた荷重センサ47i,47oと同じ作用が得られる。
【0048】
即ち、実施の形態2においては、作用部9側によって実押圧力Fin及びFoutを検出するのではなく、反作用部10側で実押圧力FinとFoutとを測定することを特徴とする。この方法によれば容易にキャリパ本体7に荷重センサ77を設置することができるとともに、例えば、摩擦パッド3aを押圧するピストンの数が複数個ある場合には、複数の荷重センサ47を用いずに1つの荷重センサ77で各ピストンの押圧力を制御することができる。
なお、荷重センサ77を単一の構成とするのではなく、反作用部10側でピストン24i,24oの軸芯と対応する位置に複数個設けることによっても精度良く実押圧力Fin及びFoutを検出することができる。
【0049】
実施の形態3
さらに、図10(b)に示すように、荷重センサ47i,47oとを荷重センサ77とを組み合わせて双方向から荷重を検出することでさらに精度の良い制御を行うことができる。例えば上述したように、作用部9のピストン24i,24oの突出により摩擦パッド3aがディスクロータ2に摺接することで、ブラケット6のスライド孔6a,6bに沿ってキャリパ本体7は反力によってスライドし、反作用部10側の摩擦パッド3bがディスクロータ2に摺接する。
【0050】
即ち、摩擦パッド3aに作用する押圧力に、摩擦パッド3bに作用する押圧力は依存しているため、摩擦パッド3a,3bとに作用する正確な押圧力を知るためには、作用部9と反作用部10とに荷重センサ47と荷重センサ77とを設けることで精度の良い制御が可能となる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る車両の電動式ディスクブレーキ装置の概念図。
【図2】本発明に係る車両の一部における電動式ディスクブレーキ装置の斜視図。
【図3】本発明の実施形態1に係る電動式ブレーキキャリパの断面図。
【図4】本発明の実施形態1に係る電動式ブレーキキャリパの構成図。
【図5】本発明の実施形態1に係る制動制御部のブロック図。
【図6】本発明の実施形態1に係る制動制御プログラムのフローチャート。
【図7】本発明の実施形態1に係る記憶部の記憶する指令値データグラフ。
【図8】本発明の実施形態1に係る補正の有無による摩擦パッドに作用する面圧分布図。
【図9】本発明に係る摩擦パッドに作用する一般的な面圧分布図。
【図10】本発明の他の実施形態に係る荷重センサの構成図。
【符号の説明】
【0053】
1 電動式ディスクブレーキ装置、2 ディスクロータ、3 摩擦パッド、
4 ブレーキキャリパ、11 回入側駆動部、12 回出側駆動部、13 制動制御部、14 モータ制御部、21 ピストン部、22 減速機構、23 電動モータ、
47 荷重センサ、81 ブレーキスイッチ、82 ペダルセンサ、
84 車輪速センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパ本体の作用部及び反作用部のそれぞれからディスクロータに摺接可能に設けられた摩擦パッドと、
前記摩擦パッドを押圧する押圧部材と、
前記作用部側に設けられ前記押圧部材に押圧力を発生させる駆動手段と、
前記駆動手段を制御する制御部と、
記憶手段とを有する電動式ディスクブレーキ装置であって、
前記駆動手段は、前記ディスクロータの回入側、回出側のそれぞれに配置された少なくとも第1及び第2の駆動部からなり、
前記記憶手段は、予め設定した摩擦パッドに付加させるのに必要な押圧力を得る指令値データを記憶し、
前記制御部は、前記記憶手段より読み出した指令値データより得た前記摩擦パッドに付加させるのに必要とする押圧力に応じて、前記第1及び第2の駆動部それぞれの前記押圧部材に対する押圧力を制御することを特徴とする電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項2】
前記電動式ディスクブレーキ装置は、駆動部の摩擦パッドにかかる回入側、回出側の押圧力をそれぞれ検出可能な荷重センサを備え、
前記指令値データは、前記荷重センサの出力に対応してそれぞれ変化する回入側入力荷重及び回出側入力荷重が得られるように予め個別に設定され、
前記制御部は、当該回入側入力荷重及び回出側入力荷重を参照して必要な押圧力を読み出して第1,第2駆動部を個別に制御することを特徴とする請求項1に記載の電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項3】
前記電動式ディスクブレーキ装置は、車輪速を検知する車輪速センサを備え、
記憶手段の指令値データは、車輪速センサの出力する車輪速に応じて荷重が設定される回入側入力荷重及び回出側入力荷重が予め個別に設定され、
前記制御部は、当該回入側入力荷重及び回出側入力荷重を参照して必要な押圧力を読み出すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項4】
前記電動式ディスクブレーキ装置は、駆動部の摩擦パッドにかかる回入側、回出側の押圧力をそれぞれ検出可能な荷重センサと、車輪速を検知する車輪速センサとを備え、
記憶手段の指令値データは、前記荷重センサの出力する回入側、回出側の押圧力及び前記車輪速センサの出力する車輪速に対応してそれぞれ変化する回入側入力荷重及び回出側入力荷重が得られるように予め個別に設定され、
前記制御部は、当該回入側入力荷重及び回出側入力荷重を参照して必要な押圧力を読み出すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項5】
前記指令値データは、荷重センサの出力するクランプ荷重が大きくなるにつれて回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の方が増加率が大きくなるように予め設定されることを特徴とする請求項2に記載の電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項6】
前記指令値データは、車輪速センサの出力する車輪速が大きくなるにつれて回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の方が増加率が大きくなるように予め設定されることを特徴とする請求項3に記載の電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項7】
前記指令値データは、車輪速とクランプ荷重の少なくとも一方が大きくなるにつれて回入側入力荷重よりも回出側入力荷重の方が増加率が大きくなるように予め設定されることを特徴とする請求項4に記載の電動式ディスクブレーキ装置。
【請求項8】
前記指令値データは、車輪速とクランプ荷重の少なくとも一方が予め設定された閾値よりも大きいときに回出側入力荷重が回入側入力荷重より大きくなるように予め設定されることを特徴とする請求項4に記載の電動式ディスクブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−25222(P2010−25222A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187023(P2008−187023)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】