説明

電動車両のバッテリ搭載構造

【課題】車室フロアの下側にバッテリユニットが搭載された電動車両のバッテリ搭載構造において、バッテリユニットのバッテリモジュール22内で発生したガスを、専用のガス排出配管を設けることなく、バッテリユニット22外へ効率的に排出できるようにする。
【解決手段】バッテリモジュール22が、バッテリモジュール22内で発生したガスをバッテリモジュール22外へ導出する導出口22dを有し、バッテリモジュール22を支持する支持部材の少なくとも一部を構成する中空のフレーム部材61b,63,68が、各バッテリモジュール22の導出口22dより導出されたガスを該フレーム部材内へ導くための導入口81と、該導入口81からフレーム部材内に導入されたガスを、バッテリユニット外へ排出するための排出口85とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室フロアの下側に、複数のバッテリモジュールと該複数のバッテリモジュールを支持する支持部材とを有するバッテリユニットが搭載された電動車両のバッテリ搭載構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電気自動車等の電動車両では、複数のバッテリモジュールを有するバッテリユニットが車室フロアの下側に搭載される。このような車両に用いられるバッテリユニットでは、複数のバッテリモジュールのうちの或る1つ又は複数に異常が生じて、そのバッテリモジュール内に高温のガス(一酸化炭素や水素等)が発生する場合があり、この場合、その高温のガスは、カバー部材等で覆われたバッテリユニット内に充満して、他の正常なバッテリモジュールにダメージを与える可能性が高くなる。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、各バッテリモジュール内で発生したガスを排出するための排出通路を設けて、該排出通路を介してガスを、バッテリモジュールを冷却した冷却風の排出通路に排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−277646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のものでは、上記ガスの排出のために専用のガス排出配管が必要となり、このため、バッテリユニットの搭載スペースが増大するとともに、コストアップを招く。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バッテリモジュール内で発生したガスを、専用のガス排出配管を設けることなく、バッテリユニット外へ効率的に排出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、車室フロアの下側に、複数のバッテリモジュールと該複数のバッテリモジュールを支持する支持部材と該複数のバッテリモジュールの周囲を覆うカバー部材とを有するバッテリユニットが搭載された電動車両のバッテリ搭載構造を対象として、上記各バッテリモジュールは、該バッテリモジュール内で発生したガスをバッテリモジュール外へ導出する導出口を有し、上記支持部材の少なくとも一部は、中空のフレーム部材で構成され、上記フレーム部材は、上記各バッテリモジュールの導出口より導出されたガスを該フレーム部材内へ導くための導入口と、該導入口からフレーム部材内に導入されたガスを、上記バッテリユニット外へ排出するための排出口とを有している構造とした。
【0008】
このことにより、バッテリモジュールを支持する支持部材の少なくとも一部を構成する中空のフレーム部材を利用して、バッテリモジュール内で発生したガスをバッテリユニット外へ排出することができる。また、このフレーム部材は、通常、全てのバッテリモジュールに隣接するように配設することが容易にできるので、バッテリモジュールの導出部からガスを即座にフレーム部材内に導入することができる。さらに、排出口の位置の自由度が高くて、適切な箇所からガスをバッテリユニット外へ排出することが可能になる。しかも、上記フレーム部材により、その内部のガスを冷却することも可能であり、特にフレーム部材の一部を外気に面するようにしておけば、フレーム部材内のガスを効果的に冷却することができる。したがって、専用のガス排出配管を設けることなくガスをバッテリユニット外へ効率的に排出することができる。
【0009】
上記電動車両のバッテリ搭載構造において、上記バッテリユニットは、電子部品が装着される電子部品装着部を有し、上記複数のバッテリモジュールは、平面視で上記電子部品装着部を挟んで互いに離れた位置に配設され、上記フレーム部材は、上記互いに離れた位置に配設されたバッテリモジュールをそれぞれ支持する第1及び第2支持部を有し、上記第1及び第2支持部は、その内部が互いに連通するように連結され、上記第1及び第2支持部の一方に、両者に共通の上記排出口が形成されていることが好ましい。
【0010】
このことで、電子部品装着部に装着された電子部品が、バッテリモジュール内で発生したガスに晒されてダメージを受けるようなことはなく、この結果、例えばバッテリモジュールに対する充放電制御等に関連する電子部品をバッテリモジュールと共にユニット化して車両に搭載することができる。
【0011】
上記電動車両のバッテリ搭載構造において、上記フレーム部材は、内部全周が連通する枠状フレーム部を有し、上記排出口は、上記フレーム部材における上記枠状フレーム部以外の部分に配設されていることが好ましい。
【0012】
こうすることで、ガスを枠状フレーム部内を通して冷却しながら排出口へ導くことができる。
【0013】
上記電動車両のバッテリ搭載構造において、上記複数のバッテリモジュールは、それぞれ、モジュール本体と、該モジュール本体に設けられ、該モジュール本体内で発生したガスをモジュール本体外へ排気するための排気口と、該モジュール本体の外側面に設けられ、上記導出口が形成されているとともに、上記排気口から排気されたガスを該導出口へ案内するガス案内部材とを有し、上記複数のバッテリモジュールのモジュール本体は、上記ガス案内部材が同じ面に設けられた同一形状のものであり、上記各バッテリモジュールは、上記フレーム部材に対するバッテリモジュールの置き方が互いに異なる第1及び第2のバッテリモジュール群のいずれか一方に含まれ、上記第1及び第2のバッテリモジュール群におけるバッテリモジュールのガス案内部材は、上記導出口ないしその近傍部を除いて略同じ形状のものであり、上記第1及び第2のバッテリモジュール群におけるバッテリモジュールのガス案内部材の導出口は、該バッテリモジュールの置き方に対応して、該ガス案内部材における上記フレーム部材に隣接する部位に設けられており、上記フレーム部材における上記導出口と対向する部位に上記導入口が形成されて、該導入口と上記導出口とが互いに接続されていることが好ましい。
【0014】
このことにより、第1及び第2のバッテリモジュール群のバッテリモジュールの置き方に対応して、ガス案内部材の一部(導出部ないしその近傍部)を変更するだけで、バッテリモジュール内で発生したガスをフレーム部材内へ容易に導くことができる。
【0015】
上記電動車両のバッテリ搭載構造において、上記フレーム部材の外側面の一部が外気に面していることが好ましい。
【0016】
こうすることで、フレーム部材内のガスを効果的に冷却することができ、高温のガスによるバッテリモジュールのダメージを極力低減することができる。
【0017】
上記電動車両のバッテリ搭載構造において、上記バッテリユニットは、該バッテリユニット内に外気を取り入れ、該取り入れた外気を、上記バッテリモジュールと上記カバー部材との間を通ってバッテリユニット外へ排出させる冷却構造を有していることが好ましい。
【0018】
すなわち、通常時は、冷却構造による冷却風によりバッテリモジュールが効果的に冷却されるが、複数のバッテリモジュールのうちの一部のバッテリモジュール内でガスが発生した際に、そのガスが冷却風に混じったとすると、冷却風がガスにより熱せられ、これにより、ガスが発生したバッテリモジュールの冷却風下流側に位置する他のバッテリモジュールがダメージを受ける可能性が高くなる。しかし、本発明では、バッテリモジュールに発生したガスがバッテリモジュールの導出部及びフレーム部材の導入口を通ってフレーム部材内へ導かれるので、ガスが冷却風に混じることはない。よって、ガスによるバッテリモジュールのダメージを極力低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の電動車両のバッテリ搭載構造によると、バッテリモジュール内で発生したガスを、フレーム部材を利用して、バッテリユニット外へ効率的に排出することができるとともに、専用のガス排出配管を設ける必要がなく、スペースの増大化やコストアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るバッテリ搭載構造が適用された電動車両の車室フロアの下側の構造を示す、斜め下側から見た斜視図である。
【図2】上記車両の車室フロアの下側の構造を示す、車両長さ方向に沿って切断した断面図(車両側方から見た断面図)である。
【図3】バッテリユニットを示す斜視図である。
【図4】バッテリユニットの上側カバー部材及び下側カバー部材を外した状態を示す斜視図である。
【図5】バッテリユニットのフレーム部材を示す斜視図である。
【図6】フレーム部材の第2支持部を拡大して示す斜視図である。
【図7】斜めフレーム部及び中間フレーム部の前端部を拡大して示す斜視図である。
【図8】バッテリユニットの第1搭載部(第1バッテリモジュール群)のバッテリモジュールを示す斜視図である。
【図9】バッテリユニットの第1搭載部を、フレーム部材の枠状フレーム部の高さ位置で水平方向に沿って切断した断面図(上から見た断面図)である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】バッテリユニットの第2搭載部(第2バッテリモジュール群)のバッテリモジュールを示す斜視図である。
【図12】図4のXII−XII線断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るバッテリ搭載構造が適用された電動車両(本実施形態では、電気自動車)の車室フロア1の下側の構造を示す。この車両についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0023】
上記車室フロア1は、フロントフロア部1aと、該フロントフロア部1aよりも上側の高さ位置に位置するリヤフロア部1bとから構成されている。すなわち、フロントフロア部1aとリヤフロア部1bとの間にキックアップ部1cが設けられ、このキックアップ部1cにより、リヤフロア部1bの高さ位置がフロントフロア部1aよりも高くなっている。
【0024】
リヤフロア部1bの上には後席シート(図示せず)が配置されており、フロントフロア部1aの後部が、該後席シートに着座した乗員の足置き場1dであって、フロントフロア部1aの前部よりも下側の高さ位置に位置する。フロントフロア部1aの前部の上には、運転席シート及び助手席シート(共に図示せず)が車幅方向に並んで配置される。
【0025】
フロントフロア部1aの前端部は、ダッシュパネル2の下端部に連結されている。フロントフロア部1aの車幅方向両端部は、車両長さ方向(前後方向)に延びる左右一対のサイドシル(図示せず)に連結されている。
【0026】
フロントフロア部1aの下面における車幅方向両端部よりも車幅方向内側の部分には、車両長さ方向に延びる左右一対のフロントフロアフレーム7が設けられている。各フロントフロアフレーム7は、後方に向かって車幅方向内側に僅かに傾斜している。すなわち、左右のフロントフロアフレーム7の間隔が後方に向かって小さくなっている。左右のフロントフロアフレーム7の前端部は、左右のフロントサイドフレーム8の後端部にそれぞれ接続されている。
【0027】
リヤフロア部1bの後端部は、荷室フロア3の前端部に繋がる。この荷室フロア3には、スペアタイヤパン3aが下側に膨出するように形成されている。リヤフロア部1b及び荷室フロア3の下面における車幅方向両端部には、車両長さ方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム9がそれぞれ設けられている。左右のリヤサイドフレーム9の前端部は、上記左右のサイドシルの後端部にそれぞれ連結されている。リヤフロア部1bの下面の後端部には、車幅方向に延びかつ上記左右のリヤサイドフレーム9同士を連結するクロスメンバ10が設けられている。左右のリヤサイドフレーム9の間隔は、左右のフロントフロアフレームの間隔よりも大きい。
【0028】
図3は、上記車室フロア1の下側に搭載されたバッテリユニット21を示す。上記車両(車室フロア1の下側)に搭載された該バッテリユニット21は、複数(本実施形態では、14個)のバッテリモジュール22(図4参照)と、該複数のバッテリモジュール22を支持する支持部材としてのフレーム部材40(図5参照)と、上側カバー部材23及び下側カバー部材24とを有している。すなわち、車室フロア1の下側に、複数のバッテリモジュール22がユニット化された状態で搭載されている。バッテリユニット21は、フロントフロア部1aの下側に搭載された第1搭載部21aと、該第1搭載部21aの後側に連続して設けられかつ上記リヤフロア部1bの下側に搭載された第2搭載部21bとを有している。
【0029】
尚、以下に説明するバッテリユニット21についての前、後、左、右、上及び下は、それぞれ、バッテリユニット21が上記車両に搭載された状態での前、後、左、右、上及び下のことであり、上記車両についての前、後、左、右、上及び下と同じである。
【0030】
上記上側カバー部材23及び下側カバー部材24は、上記複数のバッテリモジュール22の周囲を覆っている。すなわち、上側及び下側カバー部材23,24間に、バッテリモジュール22及びフレーム部材40が収容される空間が形成されている。但し、フレーム部材40の一部は、上側カバー部材23の周縁部と下側カバー部材24の周縁部との間から外側にはみ出しており、これにより、フレーム部材40の外側面の一部が外気に面していることになる。
【0031】
そして、バッテリユニット21は、該バッテリユニット21内(バッテリモジュール22が収容される空間)に外気を取り入れ、該取り入れた外気を、バッテリモジュール22と上側カバー部材23及び下側カバー部材24との間を通ってバッテリユニット21外へ排出させる冷却構造を有している。すなわち、バッテリユニット21は、該バッテリユニット21内に空気(外気)を取り入れるための空気取入れ口37と、該取り入れた空気を排出するための空気排出口38と、該空気の取入れ及び排出を行うためのファン(図示せず)とを有している。上記空気取入れ口37及び上記空気排出口38は、上側カバー部材23の前端部及び後端部にそれぞれ形成されており、上記ファンは、上記空気排出口38の近傍に配設される。そして、上記ファンの作動により、空気取入れ口37より空気(外気)が取り入れられ、その空気が、バッテリユニット21内部におけるバッテリモジュール22と上側カバー部材23及び下側カバー部材24との間を前側から後側へと流れて空気排出口38から排出されることで、バッテリユニット21内(バッテリモジュール22)が冷却される。
【0032】
上側カバー部材23は、前側から順に、第1部23a、第2部23b及び第3部23cに分割されており、第1部23a及び第2部23bは第1搭載部21aに位置し、第3部23cは第2搭載部21bに位置する。第1部23aは、第1搭載部21aの4つのバッテリモジュール22の上側に位置し、第2部23bは、後述の電子部品装着部27の上側に位置する。第3部23cの上面は、フロントフロア部1a及びリヤフロア部1bの高さ位置に対応して、第1部23a及び第2部23bの上面よりも上側の高さ位置に位置する。また、下側カバー部材24は、第1部24a及び第2部24bに分割されており、第1部24aは第1搭載部21aに位置し、第2部24bは第2搭載部21bに位置する。下側カバー部材24の第1部24a及び第2部24bの下面は同じ高さ位置にある。
【0033】
上側カバー部材23の第3部23cの上面には、蓋部材25が設けられている。この蓋部材25は、不図示の安全プラグをプラグ受け35(図4参照)に差し込むために第3部23cの上面に設けられたプラグ差込み用孔(図示せず)を覆っている。この安全プラグは、安全上の観点から、バッテリユニット21の製造時に高圧回路の一部を遮断しておくためのものであり、安全プラグをプラグ受け35に差し込むことで、遮断されていた箇所が接続されることになる。バッテリユニット21の車両搭載前は、蓋部材を取り付けないで、プラグ差込み用孔を開放しておく。そして、そのバッテリユニット21を車室フロア1の下側に搭載した後に、車室側から安全プラグをプラグ受け35に差し込む。すなわち、後席シート下側におけるリヤフロア部1bにはサービスホールが形成されており、このサービスホール及びプラグ差込み用孔を介して、安全プラグをプラグ受け35に差し込み、しかる後にプラグ差込み用孔を蓋部材25により覆う。
【0034】
バッテリユニット21の前端部には、バッテリユニット21と上記車両に搭載された車両駆動モータとの間に介在するインバータと、該バッテリユニット21と、を電気的に接続するためのインバータ接続用端子31が配設されている。このインバータ接続用端子31は、フレーム部材40における後述の第1支持部40aの枠状フレーム部41の前部41aに設けたインバータ接続用端子支持部44に支持されている。また、バッテリユニット21の後端部には、上記車両の外側面に設けられかつ該バッテリユニット21のバッテリモジュール22を充電する際に外部電源と接続される電力入力端子と、該バッテリユニット21と、を電気的に接続するための電力入力用端子32が配設されている。この電力入力用端子32は、フレーム部材40における後述の第2支持部40bの補強フレーム部68(電力入力用端子支持部73)に支持される。
【0035】
図4に示すように、バッテリユニット21における複数のバッテリモジュール22は、同一形状であり(但し、後述のガス案内部材22cを除く)、バッテリモジュール22の長手方向から見た断面形状が長方形である。つまり、各バッテリモジュール22は略直方体形状をなしている。各バッテリモジュール22は、その内部に複数(百ないし数百個程度)の円筒状のセルを収容するものである。バッテリモジュール22において上記長方形の長辺が延びる方向を幅方向といい、上記長方形の短辺が延びる方向を厚み方向という(後述のモジュール本体22aにおいても同じ)。
【0036】
図8及び図11に示すように、上記各バッテリモジュール22は、バッテリモジュール2内で発生したガス(バッテリモジュール22の異常時に発生する500℃程度の高温のガスであって、一酸化炭素や水素等のガスである)をバッテリモジュール22外へ導出する導出口22dを有している。具体的には、各バッテリモジュール22は、モジュール本体22aと、該モジュール本体22aの外側面に設けられ、該モジュール本体22a内で発生したガスをモジュール本体22a外へ排気するための排気口22bと、該モジュール本体22aの外側面(長手方向一側の端面)に設けられ、上記導出口22dが形成されているとともに、上記排気口22bから排気されたガスを該導出口22dへ案内するガス案内部材22cとを有している。上記複数のバッテリモジュール22のモジュール本体22aは、ガス案内部材22cが同じ面(モジュール本体22aの長手方向一側の端面)に設けられた同一形状のものである。
【0037】
図8に示すバッテリモジュール22は、第1搭載部21aのものである。この第1搭載部21aにおいては、バッテリモジュール22が、その長手方向が車幅方向と一致しかつバッテリモジュール22(モジュール本体22a)の長手方向から見た断面における長方形の短辺が縦辺となる(バッテリモジュール22の厚み方向が上下方向と一致しかつバッテリモジュール22の幅方向が車両長さ方向と一致する)ように、車両長さ方向に並んで複数(本実施形態では、4個)配置されている。すなわち、第1搭載部21aのバッテリモジュール22は、フレーム40に対して、上記長方形が横長となるように横置きにされている。
【0038】
第1搭載部21aのバッテリモジュール22の案内部材22cは、モジュール本体22aの長手方向一側の端面(車両右側を向いている端面)において上部に位置する排気口22bを覆うように車両長さ方向に延びている。図9及び図10に示すように、ガス案内部材22cとモジュール本体22aの上記端面との間には、ガス案内通路22fが形成されている。ガス案内部材22cの周囲全周は、モジュール本体22aに密着されて、そこからガスが漏れることはない。そして、ガス案内部材22cにおける車両右側を向いている面(図8の手前側の面)の下部(後述の枠状フレーム部41の右側側部41cに隣接する部位)には、突出部22gが形成されて、この突出部22gの先端部に上記ガス案内通路22fと連通する上記導出口22dが形成されている。尚、ガス案内通路22fは、モジュール本体22aの長手方向一側の端面において、排気口22bに対応して上側寄りに形成されている。排気口22bは、モジュール本体22a内のセルにおけるガスが発生し易い極の側に形成される。
【0039】
一方、図11に示すバッテリモジュール22は、第2搭載部21bのものである。この第2搭載部21bにおいては、バッテリモジュール22が、その長手方向が車両長さ方向と一致しかつ上記断面における長方形の長辺が縦辺となる(バッテリモジュール22の幅方向が上下方向と一致しかつバッテリモジュール22の厚み方向が車幅方向と一致する)ように、車幅方向に並んで複数(本実施形態では、10個)配置されている。すなわち、第2搭載部21bのバッテリモジュール22は、フレーム40に対して、上記長方形が縦長となるように縦置きにされている。このように第1搭載部21aと第2搭載部21bとでは、フレーム40に対するバッテリモジュール22の置き方が互いに異なる。第1搭載部21aの4個のバッテリモジュール22を含むバッテリモジュール群は、本発明の第1バッテリモジュール群に相当し、第2搭載部21bの10個のバッテリモジュール22を含むバッテリモジュール群は、本発明の第2バッテリモジュール群に相当する。
【0040】
第2搭載部21aのバッテリモジュール22のガス案内部材22cは、モジュール本体22aの長手方向一側の端面(車両後側を向いている端面)において左側部又は右側部に位置する排気口22b(相隣接するバッテリモジュール22で、左右逆の位置関係になる)を覆うように上下方向に延びている。図12に示すように、ガス案内部材22cとモジュール本体22aの上記端面との間には、ガス案内通路22fが形成されている。ガス案内部材22cの周囲は、下側を除いてモジュール本体22に密着されている。そして、このガス案内部材22cの下端部(後述の下部枠状フレーム部61の後部61bにおける部材61gに隣接する部位)に、ガス案内通路22fと連通する上記導出口22dが形成されている。第2搭載部21aのバッテリモジュール22のガス案内部材22cには、上記第1搭載部21aのバッテリモジュール22のガス案内部材22cに設けられているような突出部22gは存在しない。尚、ガス案内通路22fは、モジュール本体22aの長手方向一側の端面において、排気口22bに対応して左側寄り又は右側寄りに形成されている。
【0041】
第1及び第2搭載部21a,21bのバッテリモジュール22(第1及び第2のバッテリモジュール群におけるバッテリモジュール22)のガス案内部材22cは、上記導出口22dないしその近傍部を除いて略同じ形状のものである。すなわち、第1及び第2搭載部21a,21bのバッテリモジュール22のガス案内部材22cは、導出口22dの位置が互いに異なっており、この相違に伴う部分が互いに異なる。導出口22dは、バッテリモジュール22の置き方に対応して、ガス案内部材22cにおけるフレーム部材40に隣接する部位に形成され、これにより、導出口22dの位置が互いに異なることになる。
【0042】
第1搭載部21aは、例えばバッテリモジュール22に対する充放電制御等に関連する、ICや、抵抗、リレー等の電子部品(図示せず)が装着される電子部品装着部27を有している。上記車両に搭載されたバッテリユニット21の第1搭載部21aにおける該電子部品装着部27は、フロントフロア部1aの後部(後席シートに着座した乗員の足置き場1d)の下側に位置する。そして、第1搭載部21aにおけるフロントフロア部1aの前部の下側位置(つまり電子部品装着部27の前側)に、上記4つのバッテリモジュール22が配置されることになる。
【0043】
上記電子部品装着部27は、装着される電子部品の形状に対応した形状をなす上面を有するトレイ28を含む。このトレイ28上に上記電子部品が装着される。そして、上記車両に搭載されたバッテリユニット21の第1搭載部21aにおける電子部品装着部27のトレイ28に装着された電子部品の最大高さ位置は、該第1搭載部21aにおけるバッテリモジュール22の上面よりも低い位置にある。これにより、上記の如く、フロントフロア部1aの後部(後席シートに着座した乗員の足置き場1d)を、フロントフロア部1aの前部よりも下側の高さ位置に位置させることができる。
【0044】
図5は、上記フレーム部材40を示す。フレーム部材40における上記第1搭載部21aに相当する部分を第1支持部40aといい、フレーム部材40における上記第2搭載部21bに相当する部分を第2支持部40bという。第1支持部40aは、第1搭載部21aにおける複数のバッテリモジュール22(第1バッテリモジュール群に含まれるバッテリモジュール22)及び上記電子部品装着部27のトレイ28を支持する。第2支持部40bは、第2搭載部21bにおける複数のバッテリモジュール22(第2バッテリモジュール群に含まれるバッテリモジュール22)を支持する。
【0045】
第1搭載部21aにおける複数のバッテリモジュール22と、第2搭載部21bにおける複数のバッテリモジュール22とは、平面視で電子部品装着部27を挟んで前後に互いに離れた位置に配設されている。そして、第1及び第2支持部40a,40bは、上記互いに離れた位置に配設されたバッテリモジュール22をそれぞれ支持する。
【0046】
第1支持部40aは、前部41a、後部41b及び左右一対の側部41cを含む枠状フレーム部41を有する。枠状フレーム部41の前部41aは車幅方向に延びて、その両端部が前後方向に延びる左右の側部41cの前端部とそれぞれ連結されている。枠状フレーム部41の後部41bは、左右の側部41cよりも車幅方向外側まで延びており、両側部41cは、後部41bの車幅方向中間部に連結されている。枠状フレーム部41の前部41aには、インバータ接続用端子31を支持するインバータ接続用端子支持部44が設けられている。枠状フレーム部41の前部41a、後部41b及び両側部41cは、断面長方形で内部が中空とされている。そして、前部41a、後部41b及び両側部41cの内部は互いに連通しており、枠状フレーム部41の内部全周が連通していることになる。
【0047】
また、第1支持部40aは、枠状フレーム部41の左右の側部41cの前後方向中間位置(4箇所)において、該両側部41c同士を連結する4つの中間フレーム部42を更に有する。これら4つの中間フレーム部42及び枠状フレーム部41の前部41aは、第1搭載部21aの4つのバッテリモジュール22の幅方向の端部の下部を支持する。上記4つの中間フレーム部42のうち最後部の中間フレーム部42は、第1搭載部21aの4つのバッテリモジュール22のうちの最後部のバッテリモジュール22を支持することに加えて、枠状フレーム部41の後部41bと共に上記トレイ28を支持する。すなわち、トレイ28は、最後部の中間フレーム部42及び後部41bにそれぞれ設けたトレイ支持部45に支持される。最後部を除く3つの中間フレーム部42は、相隣接するバッテリモジュール22間に位置して、各バッテリモジュール22の幅方向の端部の下部を支持するとともに、各バッテリモジュール22のセット位置を区画する役割をも有する。
【0048】
また、第1支持部40aは、枠状フレーム部41の左右の側部41c間の中央を前後方向に延びかつ第1搭載部21aのバッテリモジュール22の上部を支持する上部フレーム部43を更に有する。この上部フレーム部43は、中間フレーム部42に支柱46を介して支持されるとともに、その前端が上記インバータ接続用端子支持部43に支持されている。上部フレーム部43の前寄りの位置には、上記インバータ接続用端子31から延びる配線が接続される接続端子33を支持する接続端子支持部47が設けられている。
【0049】
上記枠状フレーム部41の両側部41cの車幅方向外側の面には、左右のフロントフロアフレーム7にそれぞれ締結固定される固定部48が4つずつ設けられている。最も前側の左右2つの固定部48は、フロントフロアフレーム7とフロントサイドフレーム8との連結部に固定される。最も後側の左右2つの固定部48は、枠状フレーム部41の後部41bにも結合されている。これらの固定部48が左右のフロントフロアフレーム7に締結固定されることで、第1搭載部21a(第1支持部40a)が左右のフロントフロアフレーム7に支持されることになる。
【0050】
上記枠状フレーム部41の後部41bの左右両端部には、左右のリヤサイドフレーム9の前端部(サイドシルとの連結部)に締結固定される固定部49がそれぞれ設けられている。枠状フレーム部41の後部41bは、第2支持部40bにおける後述の下部枠状フレーム部61の前部61aと連結されて一体化されているため、上記両固定部49が左右のリヤサイドフレーム9にそれぞれ締結固定されることで、第2搭載部21b(第2支持部40b)がリヤサイドフレーム9に支持されることになる。
【0051】
図5及び図6に示すように、上記第2支持部40bは、車幅方向に延びかつ複数のバッテリモジュール22の前端部の下部を支持する前部61a、車幅方向に延びかつ該複数のバッテリモジュール22の後端部の下部を支持する後部61b、及び、上記前部61a及び後部61bの車幅方向両端部同士をそれぞれ連結し、かつ該複数のバッテリモジュール22のうちの車幅方向両端に位置する2つのバッテリモジュール22の車幅方向外側端部の下部を支持する左右一対の側部61cを含む下部枠状フレーム部61を有する。この下部枠状フレーム部61の両側部61cの間隔は、上記第1搭載部21aのフレーム部材40における枠状フレーム部41の両側部41cの間隔よりも大きい。すなわち、枠状フレーム部41の両側部41cの間隔が、下部枠状フレーム部61の両側部61cの間隔よりも小さく、下部枠状フレーム部61の両側部61cが枠状フレーム部41の両側部41cよりも車幅方向外側にそれぞれ位置している。
【0052】
上記下部枠状フレーム部61の前部61aは、断面長方形で内部が中空の2つの部材61dが前後方向に重ねられて一体化されたものである。これら2つの部材61dの断面における長方形の短辺が縦辺となっている。また、下部枠状フレーム部61の後部61bは、断面長方形で内部が中空の2つの部材61eが前後方向に重ねられて一体化されたものである。但し、枠内側(前側)の部材61eの断面における長方形の短辺が縦辺となっているが、枠外側(後側)の部材61eの断面における長方形の長辺が縦辺となっている。さらに、下部枠状フレーム部61の各側部61cは、断面長方形で内部が中空の2つの部材61fが車幅方向に重ねられて一体化されたものである。枠内側(車幅方向内側)の部材61fの断面における長方形の短辺が縦辺となっているが、枠外側(車幅方向外側)の部材61fの断面における長方形の長辺が縦辺となっている。
【0053】
上記後部61bにおける枠内側の部材61eと枠外側の部材61eとで形成されるコーナー部に、断面逆L字状の部材61gが固定されて両部材61eに一体化されている。この部材61gと2つの部材61eとの間に、空間が形成されている。この空間は、枠外側の部材61eの内部と連通している(図12参照)。枠外側の部材61eの内部は、後部61bの車幅方向両端部で、両側部61cにおける枠外側の部材61fの内部と連通している。また、両側部61cにおける枠外側の部材61fの内部は、両側部61cの前端部で、第1支持部40aの枠状フレーム部41の後部41bの内部と連通している(図9参照)。これにより、第1及び第2支持部40a,40bは、その内部が互いに連通するように連結されていることになる。
【0054】
また、第2支持部40bは、上記複数のバッテリモジュール22の後端部の上部を支持する後側上部フレーム部62と、該後側上部フレーム部62と上記下部枠状フレーム部61の後部61bとを連結する、内部が中空の連結フレーム部63と、前側に向かって下側に傾斜して延び、該連結フレーム部63の上部と上記下部枠状フレーム部61の前部61aとを連結する斜めフレーム部64と、上記下部枠状フレーム部61の前部61aと後部61bとを連結する中間フレーム部65と、下部枠状フレーム部61の両側部61cの前後方向中央部同士を連結する中央フレーム部66と、上記複数のバッテリモジュール22の前端部の上部を支持する前側上部フレーム部67とを更に有する。
【0055】
上記中間フレーム部65は、相隣接するバッテリモジュール22間に位置して(全部で9つある)、各バッテリモジュール22の厚み方向の端部の下部を支持するとともに、各バッテリモジュール22のセット位置を区画する役割をも有する。各中間フレーム部65の前後方向中央部は、上記中央フレーム部66によって支持されている。
【0056】
上記前側上部フレーム部67は、左から3番目と7番目の中間フレーム部65の前端部及び下部枠状フレーム部61の両側部61cに支柱70を介して、車幅方向に延びるように支持される。前側上部フレーム部67の前端には、第2搭載部21bのバッテリモジュール22の前端面の上部と係合する9つの係合部67aが形成されている。各係合部67aは、相隣接する2つのバッテリモジュール22の前端面の上部と係合する。また、前側上部フレーム部67には、上記安全プラグに差し込まれるプラグ受け35(図4参照)が支持されるプラグ受け支持部71が設けられている。
【0057】
上記連結フレーム部63及び上記斜めフレーム部64は、互いに車幅方向に間隔をあけて複数(本実施形態では、4つ)設けられている。4つの斜めフレーム部64は、左から2番目及び3番目のバッテリモジュール22間、左から4番目及び5番目のバッテリモジュール22間、左から6番目及び7番目のバッテリモジュール22間、及び、左から8番目及び9番目のバッテリモジュール22間にそれぞれ位置する。最も左側の連結フレーム部63及び斜めフレーム部64は、左から2番目の中間フレーム部65と車幅方向において同じ位置に位置し、左から2番目、3番目及び4番目(最も右側)の連結フレーム部63及び斜めフレーム部64は、それぞれ、左から4番目、6番目及び8番目の中間フレーム部65と車幅方向において同じ位置に位置する。そして、図7に示すように、最も左側の斜めフレーム部64の前端部は、下部枠状フレーム部61の前部61aに連結されるとともに、左から2番目の中間フレーム部65の前端部(下部枠状フレーム部61の前部61aに連結される)にも連結されている。同様に、左から2番目、3番目及び4番目(最も右側)の斜めフレーム部64の前端部は、それぞれ、左から4番目、6番目及び8番目の中間フレーム部65の前端部に連結されている。すなわち、各斜めフレーム部64は、該斜めフレーム部64と車幅方向において同じ位置にある中間フレーム部65と一体化されてなる。尚、斜めフレーム部64の後端部は、連結フレーム部63の上部ではなくて、後側上部フレーム部62の、車幅方向において斜めフレーム部64と同じ位置に連結されるようにしてもよい。
【0058】
上記最も左側の斜めフレーム部64(及び最も左側の連結フレーム部63)は、上記第1搭載部21aのフレーム部材40における枠状フレーム部41の左側側部41cと車幅方向において同じ位置に位置し、最も右側の斜めフレーム部64(及び最も右側の連結フレーム部63)は、上記枠状フレーム部41の右側側部41cと車幅方向において同じ位置に位置している。
【0059】
上記後側上部フレーム部62の断面は逆L字状をなし、その両端面は三角形状をなしている。後側上部フレーム部62の後面には、最も左側の連結フレーム部63と最も右側の連結フレーム部63との間の全体に亘って車幅方向に延びる、内部が中空の補強フレーム部68が、後側上部フレーム部62と一体化されて設けられている。この補強フレーム部68は、後側上部フレーム部62の一部と見做すことができる。この補強フレーム部68に各連結フレーム部63の上端部が連結されている。最も左側の連結フレーム部63及び最も右側の連結フレーム部63の上端部は、補強フレーム部68の車幅方向両端面と後側上部フレーム部62の後面における補強フレーム部68が存在しない部分とに連結され、左から2番目及び3番目の連結フレーム部63は、補強フレーム部68の下面に連結されている。
【0060】
上記補強フレーム部68は、上側カバー部材23の後端部に設けられた上記空気排出口38からバッテリユニット21の外側に突出している。この補強フレーム部68の後面には、上記クロスメンバ10に締結固定される3つの固定部72と、上記電力入力用端子32を支持する電力入力用端子支持部73とが設けられている。上記固定部72がクロスメンバ10に締結固定されかつ上記固定部49がリヤサイドフレーム9に締結固定されることで、第2搭載部21b(第2支持部40b)が、クロスメンバ10及び第1支持部40aにおける枠状フレーム部41の後部41bを介して、リヤサイドフレーム9に支持されることになる。そして、上記固定部48のフロントフロアフレーム7への締結固定並びに上記固定部49のリヤサイドフレーム9への締結固定及び上記固定部72のクロスメンバ10への締結固定によって、バッテリユニット21が、車体の骨格となるフロントフロアフレーム7及びリヤサイドフレーム9に支持されて、バッテリユニット21の支持性が向上する。
【0061】
上記連結フレーム部63の内部は、その下端部で、下部枠状フレーム部61の後部61bにおける枠外側の部材61eの内部と連通し、連結フレーム部63の上端部で、補強フレーム部68の内部と連通している(図12参照)。
【0062】
図5、図9及び図10に示すように、上記第1支持部40aにおける枠状フレーム部41の右側側部41cには、第1搭載部21aの各バッテリモジュール22のガス案内部材22cの導出口22dとそれぞれ対向する部位に、該各バッテリモジュール22の導出口22dより導出されたガスをフレーム部材40内へ導くための導入口80が形成されている。この各導入口80と上記各導出口22dとがそれぞれ接続されている。これにより、第1搭載部21aのバッテリモジュール22内(モジュール本体22a内)でガスが発生した場合に、そのガスは、ガス案内通路22f、導出口22d及び導入口80を順に通って、枠状フレーム部41の右側側部41c内へ導入される。この導入されたガスは、右側側部41cの内部から、直接後部41bへ、又は、前部41a及び左側側部41cの内部を通って後部41bへと流れ、そこから、第2支持部40bの下部枠状フレーム部61の左側側部61c又は右側側部61cにおける枠外側の部材61f、後部61bにおける枠外側の部材61e及び連結フレーム部63の各内部を順に通って、補強フレーム部68の内部へと流れて、後述の排出口85から排出される。枠状フレーム部41の前部41a、後部41b及び両側部41c、下部枠状フレーム部61の後部61b及び両側部61c、連結フレーム部63並びに補強フレーム部68は、本発明の、ガスが導入される中空のフレーム部材に相当する。
【0063】
図6、図12及び図13に示すように、上記第2支持部40bにおける下部枠状フレーム部61の後部61bの部材61gには、第2搭載部21bの各バッテリモジュール22のガス案内部材22cの導出口22dとそれぞれ対向する部位に、該各バッテリモジュール22の導出口22dより導出されたガスをフレーム部材40内へ導くための導入口81が形成されている。この各導入口81と上記各導出口22dとがそれぞれ接続されている。これにより、第2搭載部21bのバッテリモジュール22内(モジュール本体22a内)でガスが発生した場合に、そのガスは、ガス案内通路22f、導出口22d及び導入口81を順に通って、下部枠状フレーム部61の後部61bにおける部材61gと2つの部材61eとの間の空間内へ導入され、そこから、枠外側の部材61eの内部及び連結フレーム部63の内部を通って、補強フレーム部68の内部へと流れて、後述の排出口85から排出される。
【0064】
上記補強フレーム部68の後面(バッテリユニット21の外側に位置する)には、上記導入口80,81からフレーム部材40内に導入されたガスを、バッテリユニット21外へ排出するための排出口85が形成されている(図1及び図12参照)。すなわち、上記導入口80よりフレーム部材40の枠状フレーム部41の右側側部41c内に導入されたガス、又は、上記導入口81よりフレーム部材40の下部枠状フレーム部61の後部61b内に導入されたガスは、上記排出口85からバッテリユニット21外へ排出されることになる。
【0065】
上記排出口85は、第1及び第2支持部40a,40bに共通のものである。すなわち、排出口85は、フレーム部材40における枠状フレーム部41(内部全周が連通している)以外の部分に配設されていることになる。これにより、ガスを枠状フレーム部41内を通して冷却しながら排出口85へ導くことができる。特に枠状フレーム部41の前部41aの前面、両側部41cの車幅方向外側の面は、外気に面しているので、ガスの冷却効果が高まる。また、第1支持部40aにおける電子部品装着部27が、第1搭載部21aのバッテリモジュール群と第2搭載部21bのバッテリモジュール群との間に配設されているが、電子部品装着部27の幅方向両側に位置する両側部41c内をガスが通るので、電子部品装着部27に装着された電子部品がガスに晒されてダメージを受けるようなことはない。
【0066】
第2支持部41bの下部枠状フレーム部61の両側部61の車幅方向外側の面、後部61bの後面も外気に面しているので、ガスが冷却されて排出口85から排出される。このようにガスを冷却してから排出可能な位置に排出口85を形成するのが好ましいが、高温のガスを排出しても問題がない位置であれば、排出口85の位置をどこに形成してもよく、第1及び第2支持部40a,40bに共通の排出口85を第1支持部40aに設けることも可能である。また、第1及び第2支持部40a,40bのそれぞれに排出口85を形成してもよい。そして、特にフレーム部材40における外気に面している面に排出口85を形成するようにすれば、ガスをバッテリユニット21外へ容易に排出することができる。また、排出口85の位置は、バッテリユニット21の上側(車室フロア1に近い側)である方が好ましい。このようにすれば、排出口85から雨水等の水滴が入り難くなり、水滴浸入防止の対策を施さなくても済む。
【0067】
したがって、本実施形態では、バッテリモジュール22内で発生したガスを、中空のフレーム部材(枠状フレーム部41の前部41a、後部41b及び両側部41c、下部枠状フレーム部61の後部61b及び両側部61c、連結フレーム部63並びに補強フレーム部68)の内部へ導いて、排出口85からバッテリユニット21外へ排出するようにしたので、そのガスを、専用のガス排出配管を設けることなく、バッテリユニット21外へ効率的に排出することができる。
【0068】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、第1搭載部21aが電子部品装着部27を有しているが、これは必ずしも必要ではなく、電子部品装着部27の位置にバッテリモジュール22を搭載するようにしてもよい。但し、この場合、後席シートに着座した乗員の足置き場1dの高さ位置が上がる可能性がある。
【0070】
また、上記実施形態では、第1搭載部40aと第2搭載部40bとでバッテリモジュール22の置き方を異ならせたが、全てのバッテリモジュール22が同じ置き方であってもよい。また、モジュール本体22aの形状が異なるバッテリモジュール22を搭載するようにしてもよい。特に第2搭載部40bでは、バッテリモジュール22の搭載空間が大きいので、大型のバッテリモジュール22を搭載することができる。
【0071】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、車室フロアの下側にバッテリユニットが搭載された電動車両(電気自動車等)のバッテリ搭載構造に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 車室フロア
1a フロントフロア部
1b リヤフロア部
7 フロントフロアフレーム
9 リヤサイドフレーム
21 バッテリユニット
21a 第1搭載部
21b 第2搭載部
22 バッテリモジュール
22a モジュール本体
22b 排気口
22c ガス案内部材
22d 導出口
27 電子部品装着部
40 フレーム部材(支持部材)
40a 第1支持部
40b 第2支持部
41 枠状フレーム部
80 導入口
81 導入口
85 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室フロアの下側に、複数のバッテリモジュールと該複数のバッテリモジュールを支持する支持部材と該複数のバッテリモジュールの周囲を覆うカバー部材とを有するバッテリユニットが搭載された電動車両のバッテリ搭載構造であって、
上記各バッテリモジュールは、該バッテリモジュール内で発生したガスをバッテリモジュール外へ導出する導出口を有し、
上記支持部材の少なくとも一部は、中空のフレーム部材で構成され、
上記フレーム部材は、上記各バッテリモジュールの導出口より導出されたガスを該フレーム部材内へ導くための導入口と、該導入口からフレーム部材内に導入されたガスを、上記バッテリユニット外へ排出するための排出口とを有していることを特徴とする電動車両のバッテリ搭載構造。
【請求項2】
請求項1記載の電動車両のバッテリ搭載構造において、
上記バッテリユニットは、電子部品が装着される電子部品装着部を有し、
上記複数のバッテリモジュールは、平面視で上記電子部品装着部を挟んで互いに離れた位置に配設され、
上記フレーム部材は、上記互いに離れた位置に配設されたバッテリモジュールをそれぞれ支持する第1及び第2支持部を有し、
上記第1及び第2支持部は、その内部が互いに連通するように連結され、
上記第1及び第2支持部の一方に、両者に共通の上記排出口が形成されていることを特徴とする電動車両のバッテリ搭載構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電動車両のバッテリ搭載構造において、
上記フレーム部材は、内部全周が連通する枠状フレーム部を有し、
上記排出口は、上記フレーム部材における上記枠状フレーム部以外の部分に配設されていることを特徴とする電動車両のバッテリ搭載構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の電動車両のバッテリ搭載構造において、
上記複数のバッテリモジュールは、それぞれ、モジュール本体と、該モジュール本体に設けられ、該モジュール本体内で発生したガスをモジュール本体外へ排気するための排気口と、該モジュール本体の外側面に設けられ、上記導出口が形成されているとともに、上記排気口から排気されたガスを該導出口へ案内するガス案内部材とを有し、
上記複数のバッテリモジュールのモジュール本体は、上記ガス案内部材が同じ面に設けられた同一形状のものであり、
上記各バッテリモジュールは、上記フレーム部材に対するバッテリモジュールの置き方が互いに異なる第1及び第2のバッテリモジュール群のいずれか一方に含まれ、
上記第1及び第2のバッテリモジュール群におけるバッテリモジュールのガス案内部材は、上記導出口ないしその近傍部を除いて略同じ形状のものであり、
上記第1及び第2のバッテリモジュール群におけるバッテリモジュールのガス案内部材の導出口は、該バッテリモジュールの置き方に対応して、該ガス案内部材における上記フレーム部材に隣接する部位に設けられており、
上記フレーム部材における上記導出口と対向する部位に上記導入口が形成されて、該導入口と上記導出口とが互いに接続されていることを特徴とする電動車両のバッテリ搭載構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の電動車両のバッテリ搭載構造において、
上記フレーム部材の外側面の一部が外気に面していることを特徴とする電動車両のバッテリ搭載構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の電動車両のバッテリ搭載構造において、
上記バッテリユニットは、該バッテリユニット内に外気を取り入れ、該取り入れた外気を、上記バッテリモジュールと上記カバー部材との間を通ってバッテリユニット外へ排出させる冷却構造を有していることを特徴とする電動車両のバッテリ搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−251621(P2011−251621A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126570(P2010−126570)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】