電動送風機およびそれを用いた電気掃除機
【課題】ブラシレスモータの冷却を小型でかつ低圧損の構成で実現し、高い送風性能を有する電動送風機およびそれを用いた電気掃除機を提供する。
【解決手段】ロータ3外周に配置され巻線4とコア5aで構成されるステータ6aと、コア5a外周部に直線状の溝7aを設け嵌合固定した案内翼8aと、回転軸2に固定されたインペラ12と、インペラ12を覆うファンケース13と、フレーム前10aの外周面との間に通気路14となる空間を設けて配置した円錐形状のモータケース15aと備え、複数の案内翼8aは、ステータ6aと熱伝導性樹脂でモールド成形され、通気路14内に複数の案内翼8aで複数の風路17を形成したことで、複数の風路17を流れる際に、ステータ6aで発生した熱は翼体に伝導し、ステータの熱を効率よく気流に伝達させてブラシレスモータ11a外部へ逃がすことができる。
【解決手段】ロータ3外周に配置され巻線4とコア5aで構成されるステータ6aと、コア5a外周部に直線状の溝7aを設け嵌合固定した案内翼8aと、回転軸2に固定されたインペラ12と、インペラ12を覆うファンケース13と、フレーム前10aの外周面との間に通気路14となる空間を設けて配置した円錐形状のモータケース15aと備え、複数の案内翼8aは、ステータ6aと熱伝導性樹脂でモールド成形され、通気路14内に複数の案内翼8aで複数の風路17を形成したことで、複数の風路17を流れる際に、ステータ6aで発生した熱は翼体に伝導し、ステータの熱を効率よく気流に伝達させてブラシレスモータ11a外部へ逃がすことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータの冷却を小型でかつ低圧損の構成で実現し、高い送風性能を有する電動送風機およびそれを用いた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動送風機は家庭用の電気掃除機に多く利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。電気掃除機の入力電力は限られており、より強い吸引力を得るためには電動送風機の送風性能を向上する必要がある。同時に、掃除のしやすさの視点から掃除機本体の小回りが良いことが望まれており、電動送風機を小型化する必要がある。
【0003】
図19は、特許文献1に記載された従来の電動送風機の断面構成を示す図である。斜流型ブレード31を有したインペラ32と、インペラ32の下流側に配置されたエアガイド33と、回転軸34の軸端にインペラ32を固着した電動機35と、回転軸34の軸端に設けられたハブ36とを備え、インペラ32から流出した気流が電動機35のフレーム外部37を通過する電気掃除機用電動送風機38が開示されている。
【0004】
図20は、特許文献2に記載された従来の電動送風機の断面構成を示す図である。回転軸39を有した回転子40と、巻線を有した固定子41と、固定子41を内包し回転軸39を支持する軸受42を保持したフレーム43とにより構成されたブラシレスモータを備えるとともに、複数枚のブレード44を有し回転軸39に固定されたインペラ45と、インペラ45の外周に配置されたエアガイド46と、インペラ45およびエアガイド46を内包し、中央部に吸気口47を配置し、フレーム43に固定されたファンケース48を備え、前記フレーム43の外側に設けた外筒49との間に、インペラ45によって発生させ、エアガイド46に導かれた空気をフレーム43外周に沿って流す通気路50を構成し、この外筒49の外側に駆動用半導体素子51を設置し、外筒49の内部には他端がフレーム43に当接し、気流と長手方向が一致するような冷却フィン52を設け、冷却フィン52と外筒49、フレーム43によって囲まれた独立通路の断面積が下流方向に徐々に拡大するようにフレーム43又は外筒49が傾斜した電動送風機53が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−307985号公報
【特許文献2】特開平11−336696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の電動送風機の構成では、エアガイドと電動機とが別体で構成されているため、電動機内部で発生した熱を十分にエアガイドの静翼に伝導することができず、電動機の放熱性が低く、電動機内部を十分に冷却できないという課題を有していた。
【0007】
また、特許文献2に記載の従来の電動送風機の構成では、冷却フィンによって駆動用半導体素子を冷却することは可能であるが、冷却フィンと電動機のフレームとが当接するのみであるため、冷却フィンと電動機のフレームとの熱的な接触抵抗が大きく、電動機内部で発生した熱が冷却フィンに伝導しにくく、特許文献1と同様に電動機内部を十分に冷却できないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ブラシレスモータの冷却を小型でかつ低圧損の構成で実現し、高い送風性能を有する電動送風機およびそれを用いた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動送風機は、回転軸を有するロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置され巻線が巻かれたコアで構成されるステータと、前記ステータに固定された翼体と、前記回転軸の軸受を保持し前記ステータを覆うフレームとから構成されるブラシレスモータと、前記回転軸に固定されたインペラと、前記インペラを覆うファンケースと、前記フレーム外周面との間に通気路となる空間を設けて配置されたモータケースとを備え、前記翼体は前記フレームから突出して前記インペラ外周から前記フレーム側面に沿った複数の風路を前記通気路内に形成し、かつ前記複数の風路は各々の風路内を流れる気流に対してディフューザ作用を有するように構成されている。
【0010】
これによって、ブラシレスモータを駆動した際に、ステータで発生した熱は翼体に伝導し、インペラで発生した気流が翼体で形成された複数の風路を流れる際に翼体を強制冷却することで、効率よくステータの熱を気流に伝達させてブラシレスモータ外部へ逃がすことができる。また、翼体で形成された各々の風路はディフューザ作用を有しているため、ブラシレスモータを冷却すると同時に、気流の動圧を静圧に変換して小型で高い送風性能を有する電動送風機を実現することができる。
【0011】
また、本発明の電気掃除機は、小型で高い送風性能を有する電動送風機を搭載しているので、強い吸引力を有しゴミ取れ性が良好であり、電動送風機が軽量なので、小回りの利く使い勝手がよい電気掃除機となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動送風機は、ステータで発生した熱を翼体を通じてフレーム外部へ伝熱させて、インペラで発生した気流で第2の案内翼を強制冷却することで連続的に放熱すると共に、気流の動圧を静圧に変換することで、ブラシレスモータを効率よく冷却することが可能な小型で高い送風性能を有する電動送風機を実現できる。
また、このような電動送風機を用いた電気掃除機は、強い吸引力を有し、ゴミ取れ性が良好であり、電動送風機が軽量なので、小回りの利く使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電動送風機の一部断面図
【図2】同電動送風機の一部断面斜視図
【図3】同電動送風機のインペラの一部断面斜視図
【図4】同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図
【図5】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図
【図6】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図
【図7】同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図
【図8】同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図
【図9】同電動送風機を用いた電気掃除機の構成を表す縦断面図
【図10】同電動送風機の背面図
【図11】本発明の第2の実施の形態における電動送風機の一部断面図
【図12】同電動送風機の一部断面斜視図
【図13】同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図
【図14】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図
【図15】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図
【図16】同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図
【図17】同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図
【図18】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図
【図19】従来の電動送風機の縦断面図
【図20】従来の電動送風機の一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、回転軸を有するロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置され巻線が巻かれたコアで構成されるステータと、前記ステータに固定された翼体と、前記回転軸の軸受を保持し前記ステータを覆うフレームとから構成されるブラシレスモータと、前記回転軸に固定されたインペラと、前記インペラを覆うファンケースと、前記フレーム外周面との間に通気路となる空間を設けて配置されたモータケースとを備え、前記翼体は前記フレームから突出して前記インペラ外周から前記フレーム側面に沿った複数の風路を前記通気路内に形成し、かつ前記複数の風路は各々の風路内を流れる気流に対してディフューザ作用を有するよう構成した電動送風機としたものである。
【0015】
これによって、ブラシレスモータを駆動した際に、ステータで発生した熱は翼体に伝導し、インペラで発生した気流が翼体で形成された複数の風路を流れる際に翼体を強制冷却することで、効率よくステータの熱を気流に伝達させてブラシレスモータ外部へ逃がすことができる。また、翼体で形成された各々の風路はディフューザ作用を有しているため、ブラシレスモータを冷却すると同時に、気流の流速を風路の上流から下流にかけて徐々に減速させながら、動圧を静圧に変換することができ、小型で高い送風性能を有する電動送風機を実現することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明のインペラが、入口から流入した気流を軸方向と径方向との中間の角度で流出させる斜流型ブレードを有しているので、遠心型ブレードを有するインペラと比べて外形サイズを小さくできると共に、風路の途中に曲率の大きな湾曲部を設ける必要がないため、圧損の少ないディフューザを構成することができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の翼体は、複数の案内翼から構成され、コア外周部に設けた凹部に嵌合固定されているので、インペラで発生した気流が複数の案内翼で形成された複数の風路を流れる際に各々の案内翼から熱を奪い、コアと複数の案内翼との間に温度差が生じることで、ステータで発生した熱を複数の案内翼を伝導させて連続的に放出することができる。
【0018】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の翼体は、環状体に設けられた複数の案内翼から構成され、コア外周部に嵌合固定されているので、複数の案内翼の位置が環状体で決まりコアへの固定が容易になると共に、コアと翼体との接触面積を広げることができるので接触熱抵抗を低減して、ステータで発生した熱を環状体を通じて効率的に複数の案内翼へ伝導することができる。また、環状体が熱を効率的に拡散させるヒートスプレッダの機能を果たすようになり、ステータから環状体へ伝導する熱に分布の偏りがある場合でも、各々の案内翼に伝導する熱分布の偏りが少なくなり、気流へ効率的に熱を伝達することができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の翼体は、コアより熱伝導率の高い材質を用いているので、コアと翼体との温度差が大きくなり、翼体への熱伝導が促進されるため、ステータで発生した熱を効率的に放熱することが可能になる。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の翼体は、コアとの接触面に熱抵抗低減材を介して固定されているため、コアと翼体との接触熱抵抗が小さくなり、コアから翼体への熱伝導がしやすくなるため、ステータで発生した熱を効率的に放熱することが
できる。
【0021】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明のステータは、コアと巻線とを樹脂でモールド成形して構成されているため、モールドされていない場合に比べて、コイルからコアへの熱伝導率が小さくなりコイルのジュール熱がモールド部を通じてコアへ伝導しやすくなるため、コアとコイルの双方で発生する熱を効率的に気流に伝達することができ、ブラシレスモータの冷却効果を向上することができる。
【0022】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の翼体は、ステータと一体でモールド成形されているので、ステータで発生した熱がコアから翼体だけでなく、コイルから翼体へも伝導しやすくなり、ステータで発生した熱をさらに効率よくブラシレスモータ外部へ放出して冷却効果を高めることができる。
【0023】
第9の発明は、特に、第7または第8の発明のモールド部の樹脂は、熱伝導性の高い樹脂を用いているので、ステータから翼体へ伝導する単位時間あたりの熱量が大きくなり、ステータから放出できる熱量が増えて、ブラシレスモータの冷却効果を向上することができる。
【0024】
第10の発明は、特に、第9の発明のモールド部の樹脂は、フィラーを充填しているので、樹脂の内部に熱の通り道となる熱伝導路が形成されて、樹脂の熱伝導性を容易に高めることができ、ブラシレスモータ内部からの放熱をさらに向上することができる。
【0025】
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれか1つの発明の翼体は、コア外周部との交点を通過する接線と所定の角度で交わる平面で形成される案内翼を有し、かつ外形を徐々に通気路上流から下流にかけて大きくした構成にすることで、複数の案内翼で形成される風路の断面積を通気路上流から下流にかけて徐々に大きくすることができ、シンプルな形状の案内翼でディフューザを容易に構成することができる。
【0026】
第12の発明は、特に、第1〜10のいずれか1つの発明の翼体は、モータケース内壁にかけて曲面で形成される案内翼を有しているので、限られたモータケースの長さ及び外径においても、平面形状に比べて複数の案内翼の放熱面積を大きくすることができるようになり、ブラシレスモータの冷却効果をさらに向上することができると共に、ディフューザとして使用できる複数の風路長を大きくして圧力回復量を増やすことで、電動送風機の送風性能を向上することができる。
また各々の風路を伝播する騒音に対して、案内翼が遮音壁として機能するため電動送風機外部へ伝播する騒音を低減することができる。
【0027】
第13の発明は、特に、モータケースは、内壁に複数の凹部を有し翼体に嵌合固定されているので、当接させる場合に比べて各々の風路が確実に独立風路として形成されるため、各々の風路間での2次流れの発生を防止して、さらに電動送風機の送風性能を向上することができる。
【0028】
第14の発明は、特に、第1〜13のいずれか1つの電動送風機を搭載した電気掃除機とすることにより、強い吸引力を有しゴミ取れ性がよく、本体サイズが小さいので小回りの利く使い勝手がよい電気掃除機となる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1〜図9は、本発明の実施の形態1における電動送風機の構成を示すものである。図1は同電動送風機の一部断面図であり、図2は同電動送風機の一部断面斜視図であり、図3は同電動送風機のインペラの一部断面斜視図であり、図4は同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図であり、図5は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図であり、図6は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図であり、図7は同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図であり、図8は同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図を示している。図9は同電動送風機を用いた電気掃除機の構成を表す断面図である。
【0031】
図1〜図8に示すように、電動送風機1aは、回転軸2を有するロータ3と、ロータ3外周に隙間を設けて配置され巻線4が巻かれたコア5aで構成されるステータ6aと、コア5a外周部に直線状の溝7aを設け嵌合固定した複数のアルミニウム平板を用いた案内翼8aと、回転軸2の軸受9を保持しステータ6aを覆うフレーム前10aとフレーム後10bとで構成されるブラシレスモータ11aと、回転軸2に固定され3次元曲面で形成された斜流型ブレード12aを有するインペラ12と、インペラ12を覆うファンケース13と、フレーム前10aの外周面との間に通気路14となる空間を設けて配置されたモータケース15aと備え、複数の案内翼8aはコア5a外周部との交点を通過する接線と所定の角度16で交わる平面で形成され、フレーム前10aに設けられた直線状の溝7aから突出してモータケース15a内壁に当接しており、通気路14内にインペラ12外周からフレーム前10aの側面に沿った複数の風路17を形成している。
【0032】
各々の案内翼8aとコア5aとの交点での角度16は、インペラ12から気流が噴出す角度16に合わせて決定される。モータケース15aは通気路14上流から下流にかけて所定の角度16で拡がる円錐形状を有しており、それに伴ない、各々の風路17は、通気路14の上流から下流にかけて流路断面積が連続的に大きくなっている。
【0033】
また図4に示すように、コア5a外周部には、複数の案内翼8aの枚数と同じ数の複数の直線状の溝7aができるように予め複数の電磁鋼板を所定形状に打ち抜き、それらを積層させてコア5aを形成した。次に図5、図6に示すように、コア5aに巻線4を巻いた後、コア5a外周部に設けた溝に熱伝導性の高い接着剤を用いて複数の案内翼8aを嵌合させて接着固定した。その後、図7に示すように、コア5aと巻線4、そして案内翼8aの両端をポニフェニレンサルファイド(PPS)に絶縁性フィラーを充填させて熱伝導性を向上させた熱伝導性樹脂でモールド成形し、複数の案内翼8aをステータ6aのモールド部18に保持させた。
【0034】
このようにして構成した複数の案内翼8aを有するステータ6aの前方からフレーム前10aをスライドさせながらかぶせた後、フレーム後10bを後方からフレーム前10aに圧入した。またインペラ12入口先端部とファンケース13とは、インペラ12が回転駆動可能な状態でPTFE樹脂のリング19を介して動的シールされている。
【0035】
図9において、電気掃除機20は、本体吸気口21に連通した集塵室22と本体排気口23を備えた送風室24とを有する掃除機本体25と、集塵室22に本気吸気口と気密に装着された集塵袋26と、送風室24に設置された電動送風機1aと、電動送風機1aを覆う難燃樹脂製の防音カバー27と、送風室24の上下に配置された吸音材28とから構成されている。なお、図示していないが、本体吸気口21には、ホース、延長管が順次接続され、延長管の先端には床面上の塵埃を吸引するノズルが取りつけられている。
【0036】
以上のように構成された電動送風機1aおよびそれを用いた電気掃除機20について、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
まず、電動送風機1aの動作について説明する。図1において、巻線4を励磁することで回転磁界が発生し、回転磁界と同期してロータ3が回転し、回転軸2に固定されたインペラ12が回転する。インペラ12の回転で生じる遠心力により、インペラ12内部の空気がインペラ12内部の外周かつ後方へと押しやられ、インペラ12内部が負圧になり、前方からインペラ12内部へ流れ込む気流が発生する。
【0038】
気流はインペラ12の入口から軸方向に流入し、斜流型ブレード12aで形成された複数の内部流路に沿って流れた後、軸方向と径方向との中間の角度16でインペラ12から流出する。インペラ12から流出した気流は、通気路14に複数の案内翼8aで形成された各々の風路17に流入した後、フレーム前10aの外周面に沿って流れて電動送風機1a外部へと流出する。その際、各々の風路17の流路断面積は上流から下流にかけて大きくなるため、風路17を流れる気流の流速は減速されながら、動圧が静圧へと変換される。
【0039】
電動送風機1aの送風性能は、電動送風機1aを駆動するために入力した電力と、電動送風機1aが行う仕事(インペラ12が回転することで発生する真空度と流量の積で求まる空気出力)との比で現わされる。そのため、実際に使用する流量において電動送風機1aが発生する真空度(静圧)を大きくすることが、電動送風機1aの送風性能をあげる上で大変重要となる。
【0040】
斜流型ブレード12aを有するインペラ12は、気流を軸方向と径方向との中間の角度16でさせるため、インペラ12外周にディフューザ作用を有する風路17を放射状に必要とする遠心型のインペラ12に比べて外形サイズを小さくできると共に、風路17の途中に曲率の大きな湾曲部を設ける必要がないため、小型で圧損の少ない風路17を構成することが可能である。特に、曲がり損失は湾曲部での二次流れや、流れのはく離に起因する損失で、流速の二乗に比例して大きくなるため、電気掃除機20に使用されるような流速の大きい電動送風機1aにおいては送風性能を向上する上で大変重要となる。
【0041】
また、ブラシレスモータ11aの発熱は、銅損、鉄損、機械損によるものがある。銅損は巻線4を流れる電流によって生じるジュール熱であり、電流の二乗に比例して大きくなる。また、鉄損はヒステリシス損と渦電流損に分けられる。ヒステリシス損は、モータの磁路を形成する電磁鋼板の物性が原因で発生するもので、回転による磁界の変化で磁束密度が変化することに起因する。
【0042】
また渦電流損は、コア5aに通る磁束の変動により磁束線のまわりに渦状の電流が流れ、その際の電気抵抗で発生するものである。機械損は、軸受9部の摩擦やロータ3とステータ6a間の空気の攪拌抵抗に起因するものである。特に、鉄損については、ヒステリシス損及び渦電流損共に運転周波数に依存して大きくなるため、ブラシレスモータ11aを高速回転で使用する際には、鉄損での発熱が大きくなり、これをいかに効率よく放熱させるかが重要となる。電気掃除機20では、電動送風機1aは高速回転領域での使用が大半であるため、小型で高い送風性能を得るためにはコア5aの冷却が大変重要である。
【0043】
コア5aで発生した熱は、コア5a外周部に設けられた直線状の溝7aに固定された複数の案内翼8aへと伝導し、各々の案内翼8aの表面から風路17を流れるインペラ12からの気流に対して熱伝達されてブラシレスモータ11a外部へ放出される。コア5aと複数の案内翼8aは熱伝導性の高い接着剤で接着されているので、嵌合部に微小な隙間ができて熱接触抵抗が大きくなるのを防ぎ、コア5aから複数の案内翼8aへの熱伝導性を向上することができる。
【0044】
また、複数の案内翼8aはアルミ平板でできており、コア5aを構成する電磁鋼板より
も熱伝導率が高いため、コア5aで発生した熱は複数の案内翼8aへ伝導しやすく、コア5aから伝導した熱も案内翼8a全体に伝わりやすい。さらに、複数の案内翼8aはインペラ12からの気流によって連続的に強制冷却されているため、ブラシレスモータ11aを駆動している間は、各々の案内翼8aとコア5aとの間には常に温度差が生じ、コア5a内部の熱伝導が促進されて効率よくコア5aの熱をブラシレスモータ11a外部へ逃がすことができる。つまり、ディフューザ作用を有する風路17を形成している複数の案内翼8aを放熱フィンとして扱うことができるようになるため、ブラシレスモータ11aを効率よく冷却することが可能であると共に、電動送風機1aの小型化が実現できる。
【0045】
また、巻線4で発生した熱は、熱伝導性樹脂で成形されたモールド部18を伝導して、両端を保持されている複数の案内翼8aへと伝わり、コア5aで発生した熱と同様の過程を経てインペラ12からの気流に伝達して、ブラシレスモータ11a外部へ放出される。モールド部18には熱伝導性樹脂を用いているため空気に比べて熱伝導率が飛躍的に高くなり、巻線4で発生した熱についても効率的に放熱することができる。
【0046】
また、複数の案内翼8aの材質としては、できればコア5aよりも熱伝導率の高い材質を選定するのが好ましい。アルミニウムの他にも、銅、銀などの金属材料や、熱伝導性の硬い金属や炭素の粉末や繊維などの充填剤(フィラー)を含有させることで熱伝導性を向上させた熱伝導性樹脂を用いてもよく、コア5aの熱を複数の案内翼8aへ伝えて放熱面積を大きくし、ブラシレスモータ11aの冷却効果を高めることが可能である。熱伝導性樹脂としては、ポリフェニレンサンファイド樹脂(PPS)、ナイロンおよび液晶ポリマー(LCP)が知られている。
【0047】
導電性のフィラーとしては金属粉末、グラファイト、カーボンブラックなどが用いられ、絶縁性のフィラーとしては窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナなど焼結セラミックが用いられており、絶縁性の有無に応じて選択するフィラーを部位ごとに使い分ける必要がある。但し、放熱フィンとして機能する複数の案内翼8aには、導電性フィラーを配合した樹脂を用いる方が、絶縁性フィラーを配合した樹脂に比べて熱伝導性を大きくすることができるため、導電性フィラーを配合した樹脂を用いるのが望ましい。充填剤の配合比率を大きくすると、溶融時の粘度が大きくなって成形性が低下するため、注意が必要である。
【0048】
また、複数の案内翼8aの厚みと翼枚数は、通気路14に形成される風路17に対し、ディフューザと必要な流路断面積および面積拡大率とステータ6aの冷却に必要な放熱能力の双方から決定する必要があり、実験的に最適値を求める必要がある。
【0049】
次に、電気掃除機20の動作について説明する。図9において、電動送風機1aのインペラ12が回転すると、集塵室22が負圧状態になり、ノズル(図示せず)から吸引された塵埃を含む気流が本気吸気口を通過して集塵室22へ流入する。集塵袋26で塵埃を濾過分離した清潔な気流は、電動送風機1aのインペラ12へ流入し、通気路14に設けられた複数の風路17を通過した後、防音カバー27の排気口から流出して掃除機本体25外部へと放出される。
【0050】
電気掃除機20は、小型で送風性能の高い電動送風機1aを搭載しているため、強い吸引力を有し、ゴミ取れ性がよく、電動送風機1aの本体サイズが小さくて、重量が軽いので、小回りが利いて使い勝手がよい。また、掃除機本体25内に吸音材28を配置可能な空間の拡大を図り、掃除機本体25内に設ける吸音材28の設置面積を大きくすることで、吸音面積を拡げて運転音の小さな電気掃除機20にすることも可能である。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、コア5a外周部に設けた直線状の溝7aにア
ルミニウム平板を用いた複数の案内翼8aを嵌合させて熱伝導性の高い接着剤で接着固定させ、かつ複数の案内翼8aの両端を熱伝導性樹脂でモールド成形してステータ6aに保持すると共に、複数の案内翼8aをフレーム前10aから通気路14へ突出させて、通気路14内にインペラ12外周からフレーム前10aの側面に沿った連続的に流路断面積が大きくなる複数の風路17を形成することで、コア5aおよび巻線4で発生した熱を複数の案内翼8aへ伝導させ、各々の風路17を流れる気流に熱伝達させてブラシレスモータ11a外部へ放出することで、ステータ6aを効率的に冷却することができると共に、各々の風路17はインペラ12で発生した気流に対してディフューザとしての機能も果たすため、ブラシレスモータ11aの冷却とディフューザ作用を複数の案内翼8aで両立させることで、小型で高い送風性能を有する電動送風機1aを実現することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、モータケース15aの一端に案内翼8aが一体に設けられた事例で説明したが、これに限られるものではなく、複数の案内翼8aとモータケース15a外郭とを別体として構成してもよく同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、ファンケース13をモータケース15aに固定することで、電動送風機1aの外郭を構成した事例で説明したが、電動送風機1aの外郭をファンケース13とモータケース15aを一体にした外郭ケースで覆ってもよく、同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、モータケース15aと複数の案内翼8aが当接する事例で説明したが、図10に示すように、モータケース15a内壁に複数の案内翼8aを嵌めこむための凹部を設けて嵌合させてもよく、当接させる場合に比べて各々の風路17が確実に独立した風路17として形成されるため、各々の風路17間での2次流れの発生を防止して、さらに電動送風機1aの送風性能を向上することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、コア5a外周に設けられた直線状の溝7aに熱伝導性の高い接着剤を用いて複数の案内翼8aを接着固定した事例で説明したが、複数の案内翼8aを溝に圧入させて固定することも可能であり、予め各々の溝に熱伝導性の高いグリスを塗布しておき、各々の案内翼8aを圧入固定すれば、コア5aと複数の案内翼8aとの接触熱抵抗を低減できるため、熱伝導促進に有効である。
【0056】
(実施の形態2)
図11〜図17は、本発明の実施の形態における電動送風機の構成を示すものである。図11は同電動送風機の一部断面図であり、図12は同電動送風機の一部断面斜視図であり、図13は同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図であり、図14は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図であり、図15は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図であり、図16は同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図であり、図17は同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図である。なお、実施の形態と同一要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図11〜図15において、電動送風機1bは、円管形状をした環状体29と、環状体29に設けられモータケース15b内壁にかけて曲面形状を有する複数の案内翼8bを有する翼体30とを備えており、コア5b外周に熱伝導率の高いグリスを塗布した後、環状体29が嵌合固定されている。
【0058】
次に、図16、図17に示すように、コア5bと巻線4、そして環状体29の両端を絶縁性フィラーを充填させたナイロンでモールド成形して、環状体29をステータ6bのモールド部18に保持させ、フレーム前10aをスライドさせながらかぶせた後、フレーム
後10bを後方からフレーム前10aに圧入した。各々の案内翼8bは、風路17の上流から下流側にかけて厚みが徐々に小さくなっており、それに伴ない通気路14に形成された各々の風路17は、通気路14の上流から下流にかけて流路断面積が連続的に大きくなっている。なお、複数の案内翼8b及び環状体29は、導電性フィラーを充填したポリフェニレンサンファイド樹脂(PPS)を射出成形して作製した。
【0059】
以上のように構成された電動送風機1bについて、以下その動作、作用を説明する。
【0060】
まず、電動送風機1bの動作について説明する。図11において、巻線4を励磁することで回転磁界が発生し、回転磁界と同期してロータ3が回転し、回転軸2に固定されたインペラ12が回転する。インペラ12の回転で生じる遠心力により、インペラ12内部の空気がインペラ12内部の外周かつ後方へと押しやられ、インペラ12内部が負圧になり、前方からインペラ12内部へ流れ込む気流が発生する。気流はインペラ12の入口から軸方向に流入し、枚の斜流型ブレード12aに沿って流れた後、軸方向と径方向との中間の角度でインペラ12から流出する。インペラ12から流出した気流は、複数の独立した風路17に流入した後、それに連通する複数の独立した風路17をフレーム前10aの外周面に沿って流れて電動送風機1b外部へと流出する。その際、独立した風路17と独立した風路17とで形成される一連の独立した風路17の断面積は上流から下流にかけて大きくなるため、気流は減速されながら、動圧が静圧へと変換される。
【0061】
コア5bで発生した熱は、コア5b外周に嵌合固定された環状体29へ伝導し、環状体29に設けられた各々の案内翼8bへ伝導して、各々の案内翼8bの表面から風路17を流れるインペラ12からの気流に対して熱伝達されてブラシレスモータ11b外部へ放出される。コア5bと複数の案内翼8bは熱伝導性の高いグリスを介して固定されているため、嵌合部に微小な隙間ができて熱接触抵抗が大きくなるのを防ぎ、コア5bから複数の案内翼8bへの熱伝導性を向上することができる。
【0062】
また、巻線4で発生した熱は、熱伝導性樹脂で成形されたモールド部18を伝導して、両端を保持されている環状体29へと伝わり、複数の案内翼8bの表面から気流に熱伝達して、ブラシレスモータ11b外部へ放出される。モールド部18には熱伝導性樹脂を用いているため空気に比べて熱伝導率が飛躍的に高くなり、巻線4で発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0063】
また、複数の案内翼8bには、コア5bよりも熱伝導率の高い材料を用いる方が好ましいが、複数の案内翼8bの材質として金属を用いた場合、熱伝導性は高くすることが可能だが、加工のしやすさや加工精度およびコストの面から平面形状の方が有利である。一方で、複数の案内翼8bの材質に熱伝導性樹脂を用いた場合には、複数の案内翼8bの形状の自由度が拡がり曲面形状にすることで平板に比べて放熱面積を大きくすることができ、金属に比べて熱伝導性が低い点をカバーすることができる。
【0064】
また、複数の案内翼8bは曲面形状を有しているため、限られたモータケース15bの長さ及び外径においても、放熱面積を平板に比べて大きくすることができるため、ブラシレスモータ11bの冷却効果をさらに向上することができると共に、ディフューザとして使用できる独立した風路17を長くして圧力回復量を増やすことで、電動送風機1bの送風性能を向上することができる。
【0065】
さらに、複数の案内翼8bは、空気伝播する騒音に対して遮音壁の役割を果たし、掃除機本体25へ放射される騒音が低減される。結果、電気掃除機20の音源である電動送風機1bの騒音を小さくすることができるので、電気掃除機20としての運転音を大幅に小さくすることができる。特に、耳障りな騒音として問題となる電動送風機1bの回転騒音
は、可聴周波数域の高い周波数域の騒音であり伝播する際に直進性を有しているため、曲面形状を有する複数の案内翼8bは遮音壁として有効に機能する。
【0066】
また、吸音する周波数域を回転騒音の周波数域に合わせた吸音材28を掃除機本体25内に配置することで、消音効果を更に高めることができる。また特定周波数の音を大幅に減衰させることが可能な共鳴型の消音構成を合わせて設けることで回転騒音に対する消音効果を向上することができる。
【0067】
また、環状体29が存在することで、複数の案内翼8bの位置決めがしやすくなるほか、コア5bへの固定が容易になると共に、コア5bと翼体30との接触面積を広げることができるので接触熱抵抗を低減して、ステータ6bで発生した熱を環状体29を通じて効率的に複数の案内翼8bへ伝導することができる。また、環状体29が熱を効率的に拡散させるヒートスプレッダの機能を果たすようになり、ステータ6bから環状体29へ伝導する熱に分布の偏りがある場合でも、各々の案内翼8bに伝導する熱分布の偏りが少なくなり、気流へ効率的に熱を伝達することができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態においては、導電性フィラーを充填した熱伝導性樹脂を用いた曲面形状を有する複数の案内翼8bを設けた環状体29を有する翼体30をコア5b外周に嵌合固定した構成にすることで、コア5bおよび巻線4で発生した熱を環状体29で熱分布の偏りを小さくして各々の案内翼8bへほぼ均一に熱伝導させて効率的に冷却することができると共に、複数の案内翼8bで形成される複数の風路17の風路17長を限られたモータケース15bの長さ及び外径においても、平板状の案内翼8bに比べて放熱面積を大きくすることができ、ブラシレスモータ11bの冷却効果をさらに向上することができると共に、ディフューザとして使用できる独立した風路17を長くして電動送風機1bの送風性能を向上することができる。また複数の風路17を伝播する騒音に対して遮音効果を向上して電動送風機1bの騒音を低減することもできる。
【0069】
また、本実施の形態では、環状体29が円管形状である事例で説明したが、これに限られるものではなく、図18に示すように、コア5bの外形をDカット形状にして環状体29を嵌合させてもよく、コア5bを形成する電磁鋼板の打ち抜き加工のしやすさや、環状体29の固定しやすさを考慮して決定すればよい。
【0070】
なお、上述した各実施の形態1と2の構成は、これに限定されるものではなく、必要に応じて適宜組み合わせて構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる電動送風機は、ステータで発生した熱をモールド成形でステータに保持された複数の案内翼に伝熱させて、インペラで発生した気流で案内翼を強制冷却することで連続的に放熱すると共に、気流の動圧を静圧に変換することで、ブラシレスモータを効率よく冷却しながら小型で高い送風性能を有するので、家庭用は勿論のこと、業務用の電気掃除機に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1a、1b 電動送風機
2 回転軸
3 ロータ
4 巻線
5a、5b コア
6a、6b ステータ
7a 溝
8a、8b 案内翼
9 軸受
10a フレーム前
10b フレーム後
11a、11b ブラシレスモータ
12a 斜流型ブレード
12 インペラ
13 ファンケース
14 通気路
15a、15b モータケース
16 角度
17 風路
18 モールド部
20 電気掃除機
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータの冷却を小型でかつ低圧損の構成で実現し、高い送風性能を有する電動送風機およびそれを用いた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動送風機は家庭用の電気掃除機に多く利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。電気掃除機の入力電力は限られており、より強い吸引力を得るためには電動送風機の送風性能を向上する必要がある。同時に、掃除のしやすさの視点から掃除機本体の小回りが良いことが望まれており、電動送風機を小型化する必要がある。
【0003】
図19は、特許文献1に記載された従来の電動送風機の断面構成を示す図である。斜流型ブレード31を有したインペラ32と、インペラ32の下流側に配置されたエアガイド33と、回転軸34の軸端にインペラ32を固着した電動機35と、回転軸34の軸端に設けられたハブ36とを備え、インペラ32から流出した気流が電動機35のフレーム外部37を通過する電気掃除機用電動送風機38が開示されている。
【0004】
図20は、特許文献2に記載された従来の電動送風機の断面構成を示す図である。回転軸39を有した回転子40と、巻線を有した固定子41と、固定子41を内包し回転軸39を支持する軸受42を保持したフレーム43とにより構成されたブラシレスモータを備えるとともに、複数枚のブレード44を有し回転軸39に固定されたインペラ45と、インペラ45の外周に配置されたエアガイド46と、インペラ45およびエアガイド46を内包し、中央部に吸気口47を配置し、フレーム43に固定されたファンケース48を備え、前記フレーム43の外側に設けた外筒49との間に、インペラ45によって発生させ、エアガイド46に導かれた空気をフレーム43外周に沿って流す通気路50を構成し、この外筒49の外側に駆動用半導体素子51を設置し、外筒49の内部には他端がフレーム43に当接し、気流と長手方向が一致するような冷却フィン52を設け、冷却フィン52と外筒49、フレーム43によって囲まれた独立通路の断面積が下流方向に徐々に拡大するようにフレーム43又は外筒49が傾斜した電動送風機53が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−307985号公報
【特許文献2】特開平11−336696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の電動送風機の構成では、エアガイドと電動機とが別体で構成されているため、電動機内部で発生した熱を十分にエアガイドの静翼に伝導することができず、電動機の放熱性が低く、電動機内部を十分に冷却できないという課題を有していた。
【0007】
また、特許文献2に記載の従来の電動送風機の構成では、冷却フィンによって駆動用半導体素子を冷却することは可能であるが、冷却フィンと電動機のフレームとが当接するのみであるため、冷却フィンと電動機のフレームとの熱的な接触抵抗が大きく、電動機内部で発生した熱が冷却フィンに伝導しにくく、特許文献1と同様に電動機内部を十分に冷却できないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ブラシレスモータの冷却を小型でかつ低圧損の構成で実現し、高い送風性能を有する電動送風機およびそれを用いた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動送風機は、回転軸を有するロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置され巻線が巻かれたコアで構成されるステータと、前記ステータに固定された翼体と、前記回転軸の軸受を保持し前記ステータを覆うフレームとから構成されるブラシレスモータと、前記回転軸に固定されたインペラと、前記インペラを覆うファンケースと、前記フレーム外周面との間に通気路となる空間を設けて配置されたモータケースとを備え、前記翼体は前記フレームから突出して前記インペラ外周から前記フレーム側面に沿った複数の風路を前記通気路内に形成し、かつ前記複数の風路は各々の風路内を流れる気流に対してディフューザ作用を有するように構成されている。
【0010】
これによって、ブラシレスモータを駆動した際に、ステータで発生した熱は翼体に伝導し、インペラで発生した気流が翼体で形成された複数の風路を流れる際に翼体を強制冷却することで、効率よくステータの熱を気流に伝達させてブラシレスモータ外部へ逃がすことができる。また、翼体で形成された各々の風路はディフューザ作用を有しているため、ブラシレスモータを冷却すると同時に、気流の動圧を静圧に変換して小型で高い送風性能を有する電動送風機を実現することができる。
【0011】
また、本発明の電気掃除機は、小型で高い送風性能を有する電動送風機を搭載しているので、強い吸引力を有しゴミ取れ性が良好であり、電動送風機が軽量なので、小回りの利く使い勝手がよい電気掃除機となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動送風機は、ステータで発生した熱を翼体を通じてフレーム外部へ伝熱させて、インペラで発生した気流で第2の案内翼を強制冷却することで連続的に放熱すると共に、気流の動圧を静圧に変換することで、ブラシレスモータを効率よく冷却することが可能な小型で高い送風性能を有する電動送風機を実現できる。
また、このような電動送風機を用いた電気掃除機は、強い吸引力を有し、ゴミ取れ性が良好であり、電動送風機が軽量なので、小回りの利く使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電動送風機の一部断面図
【図2】同電動送風機の一部断面斜視図
【図3】同電動送風機のインペラの一部断面斜視図
【図4】同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図
【図5】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図
【図6】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図
【図7】同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図
【図8】同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図
【図9】同電動送風機を用いた電気掃除機の構成を表す縦断面図
【図10】同電動送風機の背面図
【図11】本発明の第2の実施の形態における電動送風機の一部断面図
【図12】同電動送風機の一部断面斜視図
【図13】同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図
【図14】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図
【図15】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図
【図16】同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図
【図17】同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図
【図18】同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図
【図19】従来の電動送風機の縦断面図
【図20】従来の電動送風機の一部断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、回転軸を有するロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置され巻線が巻かれたコアで構成されるステータと、前記ステータに固定された翼体と、前記回転軸の軸受を保持し前記ステータを覆うフレームとから構成されるブラシレスモータと、前記回転軸に固定されたインペラと、前記インペラを覆うファンケースと、前記フレーム外周面との間に通気路となる空間を設けて配置されたモータケースとを備え、前記翼体は前記フレームから突出して前記インペラ外周から前記フレーム側面に沿った複数の風路を前記通気路内に形成し、かつ前記複数の風路は各々の風路内を流れる気流に対してディフューザ作用を有するよう構成した電動送風機としたものである。
【0015】
これによって、ブラシレスモータを駆動した際に、ステータで発生した熱は翼体に伝導し、インペラで発生した気流が翼体で形成された複数の風路を流れる際に翼体を強制冷却することで、効率よくステータの熱を気流に伝達させてブラシレスモータ外部へ逃がすことができる。また、翼体で形成された各々の風路はディフューザ作用を有しているため、ブラシレスモータを冷却すると同時に、気流の流速を風路の上流から下流にかけて徐々に減速させながら、動圧を静圧に変換することができ、小型で高い送風性能を有する電動送風機を実現することができる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明のインペラが、入口から流入した気流を軸方向と径方向との中間の角度で流出させる斜流型ブレードを有しているので、遠心型ブレードを有するインペラと比べて外形サイズを小さくできると共に、風路の途中に曲率の大きな湾曲部を設ける必要がないため、圧損の少ないディフューザを構成することができる。
【0017】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の翼体は、複数の案内翼から構成され、コア外周部に設けた凹部に嵌合固定されているので、インペラで発生した気流が複数の案内翼で形成された複数の風路を流れる際に各々の案内翼から熱を奪い、コアと複数の案内翼との間に温度差が生じることで、ステータで発生した熱を複数の案内翼を伝導させて連続的に放出することができる。
【0018】
第4の発明は、特に、第1または第2の発明の翼体は、環状体に設けられた複数の案内翼から構成され、コア外周部に嵌合固定されているので、複数の案内翼の位置が環状体で決まりコアへの固定が容易になると共に、コアと翼体との接触面積を広げることができるので接触熱抵抗を低減して、ステータで発生した熱を環状体を通じて効率的に複数の案内翼へ伝導することができる。また、環状体が熱を効率的に拡散させるヒートスプレッダの機能を果たすようになり、ステータから環状体へ伝導する熱に分布の偏りがある場合でも、各々の案内翼に伝導する熱分布の偏りが少なくなり、気流へ効率的に熱を伝達することができる。
【0019】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明の翼体は、コアより熱伝導率の高い材質を用いているので、コアと翼体との温度差が大きくなり、翼体への熱伝導が促進されるため、ステータで発生した熱を効率的に放熱することが可能になる。
【0020】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の翼体は、コアとの接触面に熱抵抗低減材を介して固定されているため、コアと翼体との接触熱抵抗が小さくなり、コアから翼体への熱伝導がしやすくなるため、ステータで発生した熱を効率的に放熱することが
できる。
【0021】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明のステータは、コアと巻線とを樹脂でモールド成形して構成されているため、モールドされていない場合に比べて、コイルからコアへの熱伝導率が小さくなりコイルのジュール熱がモールド部を通じてコアへ伝導しやすくなるため、コアとコイルの双方で発生する熱を効率的に気流に伝達することができ、ブラシレスモータの冷却効果を向上することができる。
【0022】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の翼体は、ステータと一体でモールド成形されているので、ステータで発生した熱がコアから翼体だけでなく、コイルから翼体へも伝導しやすくなり、ステータで発生した熱をさらに効率よくブラシレスモータ外部へ放出して冷却効果を高めることができる。
【0023】
第9の発明は、特に、第7または第8の発明のモールド部の樹脂は、熱伝導性の高い樹脂を用いているので、ステータから翼体へ伝導する単位時間あたりの熱量が大きくなり、ステータから放出できる熱量が増えて、ブラシレスモータの冷却効果を向上することができる。
【0024】
第10の発明は、特に、第9の発明のモールド部の樹脂は、フィラーを充填しているので、樹脂の内部に熱の通り道となる熱伝導路が形成されて、樹脂の熱伝導性を容易に高めることができ、ブラシレスモータ内部からの放熱をさらに向上することができる。
【0025】
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれか1つの発明の翼体は、コア外周部との交点を通過する接線と所定の角度で交わる平面で形成される案内翼を有し、かつ外形を徐々に通気路上流から下流にかけて大きくした構成にすることで、複数の案内翼で形成される風路の断面積を通気路上流から下流にかけて徐々に大きくすることができ、シンプルな形状の案内翼でディフューザを容易に構成することができる。
【0026】
第12の発明は、特に、第1〜10のいずれか1つの発明の翼体は、モータケース内壁にかけて曲面で形成される案内翼を有しているので、限られたモータケースの長さ及び外径においても、平面形状に比べて複数の案内翼の放熱面積を大きくすることができるようになり、ブラシレスモータの冷却効果をさらに向上することができると共に、ディフューザとして使用できる複数の風路長を大きくして圧力回復量を増やすことで、電動送風機の送風性能を向上することができる。
また各々の風路を伝播する騒音に対して、案内翼が遮音壁として機能するため電動送風機外部へ伝播する騒音を低減することができる。
【0027】
第13の発明は、特に、モータケースは、内壁に複数の凹部を有し翼体に嵌合固定されているので、当接させる場合に比べて各々の風路が確実に独立風路として形成されるため、各々の風路間での2次流れの発生を防止して、さらに電動送風機の送風性能を向上することができる。
【0028】
第14の発明は、特に、第1〜13のいずれか1つの電動送風機を搭載した電気掃除機とすることにより、強い吸引力を有しゴミ取れ性がよく、本体サイズが小さいので小回りの利く使い勝手がよい電気掃除機となる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1〜図9は、本発明の実施の形態1における電動送風機の構成を示すものである。図1は同電動送風機の一部断面図であり、図2は同電動送風機の一部断面斜視図であり、図3は同電動送風機のインペラの一部断面斜視図であり、図4は同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図であり、図5は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図であり、図6は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図であり、図7は同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図であり、図8は同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図を示している。図9は同電動送風機を用いた電気掃除機の構成を表す断面図である。
【0031】
図1〜図8に示すように、電動送風機1aは、回転軸2を有するロータ3と、ロータ3外周に隙間を設けて配置され巻線4が巻かれたコア5aで構成されるステータ6aと、コア5a外周部に直線状の溝7aを設け嵌合固定した複数のアルミニウム平板を用いた案内翼8aと、回転軸2の軸受9を保持しステータ6aを覆うフレーム前10aとフレーム後10bとで構成されるブラシレスモータ11aと、回転軸2に固定され3次元曲面で形成された斜流型ブレード12aを有するインペラ12と、インペラ12を覆うファンケース13と、フレーム前10aの外周面との間に通気路14となる空間を設けて配置されたモータケース15aと備え、複数の案内翼8aはコア5a外周部との交点を通過する接線と所定の角度16で交わる平面で形成され、フレーム前10aに設けられた直線状の溝7aから突出してモータケース15a内壁に当接しており、通気路14内にインペラ12外周からフレーム前10aの側面に沿った複数の風路17を形成している。
【0032】
各々の案内翼8aとコア5aとの交点での角度16は、インペラ12から気流が噴出す角度16に合わせて決定される。モータケース15aは通気路14上流から下流にかけて所定の角度16で拡がる円錐形状を有しており、それに伴ない、各々の風路17は、通気路14の上流から下流にかけて流路断面積が連続的に大きくなっている。
【0033】
また図4に示すように、コア5a外周部には、複数の案内翼8aの枚数と同じ数の複数の直線状の溝7aができるように予め複数の電磁鋼板を所定形状に打ち抜き、それらを積層させてコア5aを形成した。次に図5、図6に示すように、コア5aに巻線4を巻いた後、コア5a外周部に設けた溝に熱伝導性の高い接着剤を用いて複数の案内翼8aを嵌合させて接着固定した。その後、図7に示すように、コア5aと巻線4、そして案内翼8aの両端をポニフェニレンサルファイド(PPS)に絶縁性フィラーを充填させて熱伝導性を向上させた熱伝導性樹脂でモールド成形し、複数の案内翼8aをステータ6aのモールド部18に保持させた。
【0034】
このようにして構成した複数の案内翼8aを有するステータ6aの前方からフレーム前10aをスライドさせながらかぶせた後、フレーム後10bを後方からフレーム前10aに圧入した。またインペラ12入口先端部とファンケース13とは、インペラ12が回転駆動可能な状態でPTFE樹脂のリング19を介して動的シールされている。
【0035】
図9において、電気掃除機20は、本体吸気口21に連通した集塵室22と本体排気口23を備えた送風室24とを有する掃除機本体25と、集塵室22に本気吸気口と気密に装着された集塵袋26と、送風室24に設置された電動送風機1aと、電動送風機1aを覆う難燃樹脂製の防音カバー27と、送風室24の上下に配置された吸音材28とから構成されている。なお、図示していないが、本体吸気口21には、ホース、延長管が順次接続され、延長管の先端には床面上の塵埃を吸引するノズルが取りつけられている。
【0036】
以上のように構成された電動送風機1aおよびそれを用いた電気掃除機20について、以下その動作、作用を説明する。
【0037】
まず、電動送風機1aの動作について説明する。図1において、巻線4を励磁することで回転磁界が発生し、回転磁界と同期してロータ3が回転し、回転軸2に固定されたインペラ12が回転する。インペラ12の回転で生じる遠心力により、インペラ12内部の空気がインペラ12内部の外周かつ後方へと押しやられ、インペラ12内部が負圧になり、前方からインペラ12内部へ流れ込む気流が発生する。
【0038】
気流はインペラ12の入口から軸方向に流入し、斜流型ブレード12aで形成された複数の内部流路に沿って流れた後、軸方向と径方向との中間の角度16でインペラ12から流出する。インペラ12から流出した気流は、通気路14に複数の案内翼8aで形成された各々の風路17に流入した後、フレーム前10aの外周面に沿って流れて電動送風機1a外部へと流出する。その際、各々の風路17の流路断面積は上流から下流にかけて大きくなるため、風路17を流れる気流の流速は減速されながら、動圧が静圧へと変換される。
【0039】
電動送風機1aの送風性能は、電動送風機1aを駆動するために入力した電力と、電動送風機1aが行う仕事(インペラ12が回転することで発生する真空度と流量の積で求まる空気出力)との比で現わされる。そのため、実際に使用する流量において電動送風機1aが発生する真空度(静圧)を大きくすることが、電動送風機1aの送風性能をあげる上で大変重要となる。
【0040】
斜流型ブレード12aを有するインペラ12は、気流を軸方向と径方向との中間の角度16でさせるため、インペラ12外周にディフューザ作用を有する風路17を放射状に必要とする遠心型のインペラ12に比べて外形サイズを小さくできると共に、風路17の途中に曲率の大きな湾曲部を設ける必要がないため、小型で圧損の少ない風路17を構成することが可能である。特に、曲がり損失は湾曲部での二次流れや、流れのはく離に起因する損失で、流速の二乗に比例して大きくなるため、電気掃除機20に使用されるような流速の大きい電動送風機1aにおいては送風性能を向上する上で大変重要となる。
【0041】
また、ブラシレスモータ11aの発熱は、銅損、鉄損、機械損によるものがある。銅損は巻線4を流れる電流によって生じるジュール熱であり、電流の二乗に比例して大きくなる。また、鉄損はヒステリシス損と渦電流損に分けられる。ヒステリシス損は、モータの磁路を形成する電磁鋼板の物性が原因で発生するもので、回転による磁界の変化で磁束密度が変化することに起因する。
【0042】
また渦電流損は、コア5aに通る磁束の変動により磁束線のまわりに渦状の電流が流れ、その際の電気抵抗で発生するものである。機械損は、軸受9部の摩擦やロータ3とステータ6a間の空気の攪拌抵抗に起因するものである。特に、鉄損については、ヒステリシス損及び渦電流損共に運転周波数に依存して大きくなるため、ブラシレスモータ11aを高速回転で使用する際には、鉄損での発熱が大きくなり、これをいかに効率よく放熱させるかが重要となる。電気掃除機20では、電動送風機1aは高速回転領域での使用が大半であるため、小型で高い送風性能を得るためにはコア5aの冷却が大変重要である。
【0043】
コア5aで発生した熱は、コア5a外周部に設けられた直線状の溝7aに固定された複数の案内翼8aへと伝導し、各々の案内翼8aの表面から風路17を流れるインペラ12からの気流に対して熱伝達されてブラシレスモータ11a外部へ放出される。コア5aと複数の案内翼8aは熱伝導性の高い接着剤で接着されているので、嵌合部に微小な隙間ができて熱接触抵抗が大きくなるのを防ぎ、コア5aから複数の案内翼8aへの熱伝導性を向上することができる。
【0044】
また、複数の案内翼8aはアルミ平板でできており、コア5aを構成する電磁鋼板より
も熱伝導率が高いため、コア5aで発生した熱は複数の案内翼8aへ伝導しやすく、コア5aから伝導した熱も案内翼8a全体に伝わりやすい。さらに、複数の案内翼8aはインペラ12からの気流によって連続的に強制冷却されているため、ブラシレスモータ11aを駆動している間は、各々の案内翼8aとコア5aとの間には常に温度差が生じ、コア5a内部の熱伝導が促進されて効率よくコア5aの熱をブラシレスモータ11a外部へ逃がすことができる。つまり、ディフューザ作用を有する風路17を形成している複数の案内翼8aを放熱フィンとして扱うことができるようになるため、ブラシレスモータ11aを効率よく冷却することが可能であると共に、電動送風機1aの小型化が実現できる。
【0045】
また、巻線4で発生した熱は、熱伝導性樹脂で成形されたモールド部18を伝導して、両端を保持されている複数の案内翼8aへと伝わり、コア5aで発生した熱と同様の過程を経てインペラ12からの気流に伝達して、ブラシレスモータ11a外部へ放出される。モールド部18には熱伝導性樹脂を用いているため空気に比べて熱伝導率が飛躍的に高くなり、巻線4で発生した熱についても効率的に放熱することができる。
【0046】
また、複数の案内翼8aの材質としては、できればコア5aよりも熱伝導率の高い材質を選定するのが好ましい。アルミニウムの他にも、銅、銀などの金属材料や、熱伝導性の硬い金属や炭素の粉末や繊維などの充填剤(フィラー)を含有させることで熱伝導性を向上させた熱伝導性樹脂を用いてもよく、コア5aの熱を複数の案内翼8aへ伝えて放熱面積を大きくし、ブラシレスモータ11aの冷却効果を高めることが可能である。熱伝導性樹脂としては、ポリフェニレンサンファイド樹脂(PPS)、ナイロンおよび液晶ポリマー(LCP)が知られている。
【0047】
導電性のフィラーとしては金属粉末、グラファイト、カーボンブラックなどが用いられ、絶縁性のフィラーとしては窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナなど焼結セラミックが用いられており、絶縁性の有無に応じて選択するフィラーを部位ごとに使い分ける必要がある。但し、放熱フィンとして機能する複数の案内翼8aには、導電性フィラーを配合した樹脂を用いる方が、絶縁性フィラーを配合した樹脂に比べて熱伝導性を大きくすることができるため、導電性フィラーを配合した樹脂を用いるのが望ましい。充填剤の配合比率を大きくすると、溶融時の粘度が大きくなって成形性が低下するため、注意が必要である。
【0048】
また、複数の案内翼8aの厚みと翼枚数は、通気路14に形成される風路17に対し、ディフューザと必要な流路断面積および面積拡大率とステータ6aの冷却に必要な放熱能力の双方から決定する必要があり、実験的に最適値を求める必要がある。
【0049】
次に、電気掃除機20の動作について説明する。図9において、電動送風機1aのインペラ12が回転すると、集塵室22が負圧状態になり、ノズル(図示せず)から吸引された塵埃を含む気流が本気吸気口を通過して集塵室22へ流入する。集塵袋26で塵埃を濾過分離した清潔な気流は、電動送風機1aのインペラ12へ流入し、通気路14に設けられた複数の風路17を通過した後、防音カバー27の排気口から流出して掃除機本体25外部へと放出される。
【0050】
電気掃除機20は、小型で送風性能の高い電動送風機1aを搭載しているため、強い吸引力を有し、ゴミ取れ性がよく、電動送風機1aの本体サイズが小さくて、重量が軽いので、小回りが利いて使い勝手がよい。また、掃除機本体25内に吸音材28を配置可能な空間の拡大を図り、掃除機本体25内に設ける吸音材28の設置面積を大きくすることで、吸音面積を拡げて運転音の小さな電気掃除機20にすることも可能である。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、コア5a外周部に設けた直線状の溝7aにア
ルミニウム平板を用いた複数の案内翼8aを嵌合させて熱伝導性の高い接着剤で接着固定させ、かつ複数の案内翼8aの両端を熱伝導性樹脂でモールド成形してステータ6aに保持すると共に、複数の案内翼8aをフレーム前10aから通気路14へ突出させて、通気路14内にインペラ12外周からフレーム前10aの側面に沿った連続的に流路断面積が大きくなる複数の風路17を形成することで、コア5aおよび巻線4で発生した熱を複数の案内翼8aへ伝導させ、各々の風路17を流れる気流に熱伝達させてブラシレスモータ11a外部へ放出することで、ステータ6aを効率的に冷却することができると共に、各々の風路17はインペラ12で発生した気流に対してディフューザとしての機能も果たすため、ブラシレスモータ11aの冷却とディフューザ作用を複数の案内翼8aで両立させることで、小型で高い送風性能を有する電動送風機1aを実現することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、モータケース15aの一端に案内翼8aが一体に設けられた事例で説明したが、これに限られるものではなく、複数の案内翼8aとモータケース15a外郭とを別体として構成してもよく同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、ファンケース13をモータケース15aに固定することで、電動送風機1aの外郭を構成した事例で説明したが、電動送風機1aの外郭をファンケース13とモータケース15aを一体にした外郭ケースで覆ってもよく、同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、モータケース15aと複数の案内翼8aが当接する事例で説明したが、図10に示すように、モータケース15a内壁に複数の案内翼8aを嵌めこむための凹部を設けて嵌合させてもよく、当接させる場合に比べて各々の風路17が確実に独立した風路17として形成されるため、各々の風路17間での2次流れの発生を防止して、さらに電動送風機1aの送風性能を向上することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、コア5a外周に設けられた直線状の溝7aに熱伝導性の高い接着剤を用いて複数の案内翼8aを接着固定した事例で説明したが、複数の案内翼8aを溝に圧入させて固定することも可能であり、予め各々の溝に熱伝導性の高いグリスを塗布しておき、各々の案内翼8aを圧入固定すれば、コア5aと複数の案内翼8aとの接触熱抵抗を低減できるため、熱伝導促進に有効である。
【0056】
(実施の形態2)
図11〜図17は、本発明の実施の形態における電動送風機の構成を示すものである。図11は同電動送風機の一部断面図であり、図12は同電動送風機の一部断面斜視図であり、図13は同電動送風機のモールド成形前のステータの斜視図であり、図14は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の斜視図であり、図15は同電動送風機のモールド成形前のステータおよび翼体の正面図であり、図16は同電動送風機のステータおよび翼体の一部断面斜視図であり、図17は同電動送風機のブラシレスモータの一部断面斜視図である。なお、実施の形態と同一要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図11〜図15において、電動送風機1bは、円管形状をした環状体29と、環状体29に設けられモータケース15b内壁にかけて曲面形状を有する複数の案内翼8bを有する翼体30とを備えており、コア5b外周に熱伝導率の高いグリスを塗布した後、環状体29が嵌合固定されている。
【0058】
次に、図16、図17に示すように、コア5bと巻線4、そして環状体29の両端を絶縁性フィラーを充填させたナイロンでモールド成形して、環状体29をステータ6bのモールド部18に保持させ、フレーム前10aをスライドさせながらかぶせた後、フレーム
後10bを後方からフレーム前10aに圧入した。各々の案内翼8bは、風路17の上流から下流側にかけて厚みが徐々に小さくなっており、それに伴ない通気路14に形成された各々の風路17は、通気路14の上流から下流にかけて流路断面積が連続的に大きくなっている。なお、複数の案内翼8b及び環状体29は、導電性フィラーを充填したポリフェニレンサンファイド樹脂(PPS)を射出成形して作製した。
【0059】
以上のように構成された電動送風機1bについて、以下その動作、作用を説明する。
【0060】
まず、電動送風機1bの動作について説明する。図11において、巻線4を励磁することで回転磁界が発生し、回転磁界と同期してロータ3が回転し、回転軸2に固定されたインペラ12が回転する。インペラ12の回転で生じる遠心力により、インペラ12内部の空気がインペラ12内部の外周かつ後方へと押しやられ、インペラ12内部が負圧になり、前方からインペラ12内部へ流れ込む気流が発生する。気流はインペラ12の入口から軸方向に流入し、枚の斜流型ブレード12aに沿って流れた後、軸方向と径方向との中間の角度でインペラ12から流出する。インペラ12から流出した気流は、複数の独立した風路17に流入した後、それに連通する複数の独立した風路17をフレーム前10aの外周面に沿って流れて電動送風機1b外部へと流出する。その際、独立した風路17と独立した風路17とで形成される一連の独立した風路17の断面積は上流から下流にかけて大きくなるため、気流は減速されながら、動圧が静圧へと変換される。
【0061】
コア5bで発生した熱は、コア5b外周に嵌合固定された環状体29へ伝導し、環状体29に設けられた各々の案内翼8bへ伝導して、各々の案内翼8bの表面から風路17を流れるインペラ12からの気流に対して熱伝達されてブラシレスモータ11b外部へ放出される。コア5bと複数の案内翼8bは熱伝導性の高いグリスを介して固定されているため、嵌合部に微小な隙間ができて熱接触抵抗が大きくなるのを防ぎ、コア5bから複数の案内翼8bへの熱伝導性を向上することができる。
【0062】
また、巻線4で発生した熱は、熱伝導性樹脂で成形されたモールド部18を伝導して、両端を保持されている環状体29へと伝わり、複数の案内翼8bの表面から気流に熱伝達して、ブラシレスモータ11b外部へ放出される。モールド部18には熱伝導性樹脂を用いているため空気に比べて熱伝導率が飛躍的に高くなり、巻線4で発生した熱を効率的に放熱することができる。
【0063】
また、複数の案内翼8bには、コア5bよりも熱伝導率の高い材料を用いる方が好ましいが、複数の案内翼8bの材質として金属を用いた場合、熱伝導性は高くすることが可能だが、加工のしやすさや加工精度およびコストの面から平面形状の方が有利である。一方で、複数の案内翼8bの材質に熱伝導性樹脂を用いた場合には、複数の案内翼8bの形状の自由度が拡がり曲面形状にすることで平板に比べて放熱面積を大きくすることができ、金属に比べて熱伝導性が低い点をカバーすることができる。
【0064】
また、複数の案内翼8bは曲面形状を有しているため、限られたモータケース15bの長さ及び外径においても、放熱面積を平板に比べて大きくすることができるため、ブラシレスモータ11bの冷却効果をさらに向上することができると共に、ディフューザとして使用できる独立した風路17を長くして圧力回復量を増やすことで、電動送風機1bの送風性能を向上することができる。
【0065】
さらに、複数の案内翼8bは、空気伝播する騒音に対して遮音壁の役割を果たし、掃除機本体25へ放射される騒音が低減される。結果、電気掃除機20の音源である電動送風機1bの騒音を小さくすることができるので、電気掃除機20としての運転音を大幅に小さくすることができる。特に、耳障りな騒音として問題となる電動送風機1bの回転騒音
は、可聴周波数域の高い周波数域の騒音であり伝播する際に直進性を有しているため、曲面形状を有する複数の案内翼8bは遮音壁として有効に機能する。
【0066】
また、吸音する周波数域を回転騒音の周波数域に合わせた吸音材28を掃除機本体25内に配置することで、消音効果を更に高めることができる。また特定周波数の音を大幅に減衰させることが可能な共鳴型の消音構成を合わせて設けることで回転騒音に対する消音効果を向上することができる。
【0067】
また、環状体29が存在することで、複数の案内翼8bの位置決めがしやすくなるほか、コア5bへの固定が容易になると共に、コア5bと翼体30との接触面積を広げることができるので接触熱抵抗を低減して、ステータ6bで発生した熱を環状体29を通じて効率的に複数の案内翼8bへ伝導することができる。また、環状体29が熱を効率的に拡散させるヒートスプレッダの機能を果たすようになり、ステータ6bから環状体29へ伝導する熱に分布の偏りがある場合でも、各々の案内翼8bに伝導する熱分布の偏りが少なくなり、気流へ効率的に熱を伝達することができる。
【0068】
以上のように、本実施の形態においては、導電性フィラーを充填した熱伝導性樹脂を用いた曲面形状を有する複数の案内翼8bを設けた環状体29を有する翼体30をコア5b外周に嵌合固定した構成にすることで、コア5bおよび巻線4で発生した熱を環状体29で熱分布の偏りを小さくして各々の案内翼8bへほぼ均一に熱伝導させて効率的に冷却することができると共に、複数の案内翼8bで形成される複数の風路17の風路17長を限られたモータケース15bの長さ及び外径においても、平板状の案内翼8bに比べて放熱面積を大きくすることができ、ブラシレスモータ11bの冷却効果をさらに向上することができると共に、ディフューザとして使用できる独立した風路17を長くして電動送風機1bの送風性能を向上することができる。また複数の風路17を伝播する騒音に対して遮音効果を向上して電動送風機1bの騒音を低減することもできる。
【0069】
また、本実施の形態では、環状体29が円管形状である事例で説明したが、これに限られるものではなく、図18に示すように、コア5bの外形をDカット形状にして環状体29を嵌合させてもよく、コア5bを形成する電磁鋼板の打ち抜き加工のしやすさや、環状体29の固定しやすさを考慮して決定すればよい。
【0070】
なお、上述した各実施の形態1と2の構成は、これに限定されるものではなく、必要に応じて適宜組み合わせて構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる電動送風機は、ステータで発生した熱をモールド成形でステータに保持された複数の案内翼に伝熱させて、インペラで発生した気流で案内翼を強制冷却することで連続的に放熱すると共に、気流の動圧を静圧に変換することで、ブラシレスモータを効率よく冷却しながら小型で高い送風性能を有するので、家庭用は勿論のこと、業務用の電気掃除機に適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1a、1b 電動送風機
2 回転軸
3 ロータ
4 巻線
5a、5b コア
6a、6b ステータ
7a 溝
8a、8b 案内翼
9 軸受
10a フレーム前
10b フレーム後
11a、11b ブラシレスモータ
12a 斜流型ブレード
12 インペラ
13 ファンケース
14 通気路
15a、15b モータケース
16 角度
17 風路
18 モールド部
20 電気掃除機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置され巻線が巻かれたコアで構成されるステータと、前記ステータに固定された翼体と、前記回転軸の軸受を保持し前記ステータを覆うフレームとから構成されるブラシレスモータと、前記回転軸に固定されたインペラと、前記インペラを覆うファンケースと、前記フレーム外周面との間に通気路となる空間を設けて配置されたモータケースとを備え、前記翼体は前記フレームから突出して前記インペラ外周から前記フレーム側面に沿った複数の風路を前記通気路内に形成し、かつ前記複数の風路は各々の風路内を流れる気流に対してディフューザ作用を有するよう構成した電動送風機。
【請求項2】
インペラは、入口から流入した気流を軸方向と径方向との中間の角度で流出させる斜流型ブレードを有する請求項1に記載の電動送風機。
【請求項3】
翼体は、複数の案内翼から構成され、コア外周部に設けた凹部に嵌合固定した請求項1または2に記載の電動送風機。
【請求項4】
翼体は、環状体に設けられた複数の案内翼から構成され、コア外周部に嵌合固定した請求項1または2に記載の電動送風機。
【請求項5】
翼体は、コアより熱伝導率の高い材質を用いた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項6】
翼体は、コアとの接触面に熱抵抗低減材を介して固定された請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項7】
ステータは、コアと巻線とを樹脂でモールド成形して構成された請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項8】
翼体は、ステータと一体でモールド成形した請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項9】
モールド部の樹脂は、熱伝導性の高い樹脂を用いた請求項7または8に記載の電動送風機。
【請求項10】
モールド部の樹脂は、フィラーを充填している請求項9に記載の電動送風機。
【請求項11】
翼体は、コア外周部との交点を通過する接線と所定の角度で交わる平面で形成される案内翼を有し、かつ外形を徐々に通気路上流から下流にかけて大きくした構成の請求項1〜10のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項12】
翼体は、モータケース内壁にかけて曲面で形成される案内翼を有した構成の請求項1〜10のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項13】
モータケースは、内壁に複数の凹部を有し翼体に嵌合固定された請求項1〜12のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の電動送風機を搭載した電気掃除機。
【請求項1】
回転軸を有するロータと、前記ロータの外周に隙間を設けて配置され巻線が巻かれたコアで構成されるステータと、前記ステータに固定された翼体と、前記回転軸の軸受を保持し前記ステータを覆うフレームとから構成されるブラシレスモータと、前記回転軸に固定されたインペラと、前記インペラを覆うファンケースと、前記フレーム外周面との間に通気路となる空間を設けて配置されたモータケースとを備え、前記翼体は前記フレームから突出して前記インペラ外周から前記フレーム側面に沿った複数の風路を前記通気路内に形成し、かつ前記複数の風路は各々の風路内を流れる気流に対してディフューザ作用を有するよう構成した電動送風機。
【請求項2】
インペラは、入口から流入した気流を軸方向と径方向との中間の角度で流出させる斜流型ブレードを有する請求項1に記載の電動送風機。
【請求項3】
翼体は、複数の案内翼から構成され、コア外周部に設けた凹部に嵌合固定した請求項1または2に記載の電動送風機。
【請求項4】
翼体は、環状体に設けられた複数の案内翼から構成され、コア外周部に嵌合固定した請求項1または2に記載の電動送風機。
【請求項5】
翼体は、コアより熱伝導率の高い材質を用いた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項6】
翼体は、コアとの接触面に熱抵抗低減材を介して固定された請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項7】
ステータは、コアと巻線とを樹脂でモールド成形して構成された請求項1〜6のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項8】
翼体は、ステータと一体でモールド成形した請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項9】
モールド部の樹脂は、熱伝導性の高い樹脂を用いた請求項7または8に記載の電動送風機。
【請求項10】
モールド部の樹脂は、フィラーを充填している請求項9に記載の電動送風機。
【請求項11】
翼体は、コア外周部との交点を通過する接線と所定の角度で交わる平面で形成される案内翼を有し、かつ外形を徐々に通気路上流から下流にかけて大きくした構成の請求項1〜10のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項12】
翼体は、モータケース内壁にかけて曲面で形成される案内翼を有した構成の請求項1〜10のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項13】
モータケースは、内壁に複数の凹部を有し翼体に嵌合固定された請求項1〜12のいずれか1項に記載の電動送風機。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の電動送風機を搭載した電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図5】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図5】
【図10】
【公開番号】特開2012−255413(P2012−255413A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129898(P2011−129898)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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