説明

電動過給機

【課題】ラジアル軸受の外側にスラスト軸受を備え、スラスト軸受とコンプレッサインペラの間に電動機を内蔵する場合でも、シャフトのオーバーハング量を短縮し、かつコンプレッサ方向の大きなスラスト力を受けるスラスト面へ十分な量の潤滑油を供給し、かつ潤滑油をスラスト面から円滑に排出することができる電動過給機を提供する。
【解決手段】タービン軸12に作用するスラスト力を回転可能に支持するスラスト軸受30を備える。スラスト軸受30は、タービン軸と共に回転する小径円板状のスラストカラー32と、スラストカラーの軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング34及びコンプレッサ側スラストベアリング36とからなる。コンプレッサ側スラストベアリング36は、スラストカラーと接するほぼ同径のスラスト面を有する小径リング部37と、タービン側でハウジング16に固定されるフランジ部38aを有しこれらを軸方向に異なる位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機を内蔵した電動過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機により密度を高めた空気を機関(エンジン)に供給することを過給(supercharging)といい、このうち排気エネルギにより圧縮機の駆動仕事をまかなうものを排気タービン過給機(exhaust‐gas turbocharger)と呼ぶ。
【0003】
図4は、従来の排気タービン過給機の一例を示す図である。この図に示すように、従来の排気タービン過給機は、一般的に、軸受ユニット40を挟んで配置されたコンプレッサ41とタービン42からなり、コンプレッサ41はコンプレッサインペラ41aを、タービン42はタービンインペラ42aをそれぞれ内蔵する。コンプレッサインペラ41aとタービンインペラ42aは、軸受ユニット40で支持された連結軸(シャフト43)で互いに連結されており、エンジンの排ガスでタービンインペラ42aを回転駆動し、この回転力をシャフト43を介してコンプレッサインペラ41aに伝達し、コンプレッサインペラ41aで空気を圧縮してエンジンに過給するようになっている。
【0004】
また、この図において、軸受ユニット40は、シャフト43のラジアル力を支持するラジアル軸受44とスラスト力を支持するスラスト軸受45とを有する。ラジアル軸受44はこの例では、フルフローティングベアリングであるが、セミフローティングベアリングの場合もある。
スラスト軸受45はこの例では、シャフト43と共に回転する円板状のスラストカラー46と、スラストカラー46の軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング47及びコンプレッサ側スラストベアリング48とからなる。
【0005】
一方、上述した排気タービン過給機において、低速回転時の加速を補助するために電動機を内蔵したものが既に提案されている(例えば特許文献1)。以下、このような電動機を内蔵した排気タービン過給機を単に「電動過給機」と呼ぶ。
【0006】
特許文献1のターボチャージャは、図5に示すように、ロータを回転駆動する電動機(固定子51と回転子52)を備える。ロータは、タービンインペラ53、コンプレッサインペラ54およびこれらを連結するシャフト55及び電動機の回転子52が取り付けられたスペーサカラー56とからなる。シャフト55は単一のセミフローティングベアリング57で支持される。このセミフローティングベアリング57は、タービン53のハブ53aとスペーサカラー56に係合するスラスト面57a,57bを有する。
この構成により、ロータに作用するスラスト力をセミフローティングベアリング57のタービンのハブ53aとスペーサカラー56に係合するスラスト面57a,57bで支持するようになっている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,449,950号明細書、「ROTOR AND BEARING SYSTEM FOR ELECTRICALLY ASSISTED TURBOCHARGER」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
排気タービン過給機では、一般的にタービンインペラに作用する圧力がコンプレッサインペラに作用する圧力より高いため、コンプレッサインペラに向かう方向に大きなスラスト力が発生する。
そのため、排気タービン過給機の回転軸を支持するスラスト軸受には十分な量の潤滑油を供給する必要がある。
【0009】
しかし、ラジアル軸受の外側にスラスト軸受を備え、スラスト軸受とコンプレッサインペラの間に電動機を内蔵する場合、スラスト軸受及び電動機の長さ分、シャフトのオーバーハング量が大きくなる問題があった。
【0010】
例えば、図4の従来例では、コンプレッサインペラ41aとシールプレート49の間に、電動機の固定子及び回転子を内蔵すると、少なくとも電動機の固定子に相当する分、シャフトのオーバーハング量を長くする必要があり、高速回転時の回転安定性が低下するおそれがあった。
【0011】
また、電動機の固定子及び回転子を内蔵した図5の従来例では、セミフローティングベアリング57の両端のスラスト面57a,57bの間隔が長いので熱膨張等によりスラスト方向に隙間(ガタ)が出やすい問題点があった。またこの例では、コンプレッサインペラに向かう方向の大きなスラスト力を受けるスラスト面57aへ十分な量の潤滑油を供給し、排出するのが困難であった。
【0012】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ラジアル軸受の外側にスラスト軸受を備え、スラスト軸受とコンプレッサインペラの間に電動機を内蔵する場合でも、シャフトのオーバーハング量を短縮し、かつコンプレッサ方向の大きなスラスト力を受けるスラスト面へ十分な量の潤滑油を供給し、かつ潤滑油をスラスト面から円滑に排出することができる電動過給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、コンプレッサインペラと、ハウジング内に固定されたモータステータと、該モータステータで回転駆動されるモータロータとを備えた電動過給機であって、
タービン軸に作用するスラスト力を回転可能に支持するスラスト軸受を備え、
該スラスト軸受は、タービン軸と共に回転する小径円板状のスラストカラーと、該スラストカラーの軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング及びコンプレッサ側スラストベアリングとからなり、
コンプレッサ側スラストベアリングは、スラストカラーと接するほぼ同径のスラスト面を有する小径リング部と、スラストカラーよりタービン側でハウジングに固定されるフランジ部を有し、これらの小径リング部とフランジ部が軸方向に異なった位置で配置されている、ことを特徴とする電動過給機が提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、モータステータのタービン側コイルエンドは、内面がタービン側に広がるテーパ面に形成されており、
さらに、コンプレッサ側スラストベアリングとモータステータの間を仕切るシールプレートが、前記テーパ面の内側に位置する切頭円錐形に形成されている。
【0015】
また、小径リング部と切頭円錐部は、一体構造又は別体構造である。
【0016】
また、前記コンプレッサ側スラストベアリングの切頭円錐部内面とこれと対向するハウジング外面には、互いに対向しかつ排油口に向かって延びる凹溝が設けられ、この組み合わせにより排油口に向かう排油路を形成する。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の構成によれば、タービン軸と共に回転する小径円板状のスラストカラーと、該スラストカラーの軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング及びコンプレッサ側スラストベアリングとからなるので、タービン側スラストベアリング及びコンプレッサ側スラストベアリングでスラストカラーを把持して、タービン軸に作用する両方向のスラスト力を回転可能に支持することができる。
【0018】
また、コンプレッサ側スラストベアリングが、小径リング部と切頭円錐部とからなり、該切頭円錐部のタービン側端部がスラストカラーよりタービン側でハウジングに固定されるので、コンプレッサ側スラストベアリングの固定位置よりもコンプレッサ側までラジアル軸受を伸ばすことができ、その分、シャフトのオーバーハング量を短縮できる。
【0019】
さらに、モータステータのタービン側コイルエンドは、内面がタービン側に広がるテーパ面に形成されており、コンプレッサ側スラスト軸受とモータステータの間を仕切るシールプレートが、前記テーパ面の内側に位置する切頭円錐形に形成されていることにより、それぞれ切頭円錐形のコンプレッサ側スラストベアリング、シールプレートおよびモータステータのタービン側内面を同一の軸方向位置で半径方向に重ねることができる。
従って、この構成により、スラスト軸受とコンプレッサインペラの間に電動機を内蔵する場合でも、シャフトのオーバーハング量を短縮することができる。
【0020】
また、小径リング部と切頭円錐部を、一体構造にすることで、部品点数を減らすことができる。また、逆に別体構造で嵌め込み等で一体化することで製造コストを下げることができる。
【0021】
また、前記コンプレッサ側スラストベアリングの切頭円錐部内面とこれと対向するハウジング外面に、互いに対向しかつ排油口に向かって延びる凹溝を設け、この組み合わせにより排油口に向かう排油路を形成することにより、排油の向きをコントロールし、排油性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施例を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明の電動過給機の全体構成図である。この図において、本発明の電動過給機10は、タービン軸12、コンプレッサインペラ14、およびハウジングを備える。ハウジングは、この例では、ベアリングハウジング16、タービンハウジング18、及びコンプレッサハウジング20からなる。
【0024】
タービン軸12は、タービンインペラ11を一端(図で左端)に有する。この例において、タービンインペラ11はタービン軸12に一体的に形成されているが、本発明はこれに限定されず、タービンインペラ11を別に取り付ける構成であってもよい。
【0025】
コンプレッサインペラ14は、タービン軸12の他端(図で右端)に軸端ナット15により一体で回転するように連結されている。
【0026】
ベアリングハウジング16は、タービン軸12をラジアル軸受17で回転可能に支持する。また、タービン軸12は、スラスト軸受30により軸方向に移動しないように支持されている。
【0027】
タービンハウジング18は、タービンインペラ11を回転可能に囲み、かつベアリングハウジング16に連結されている。このタービンハウジング18は、内部に外部から排ガスが導入されるスクロール室18aと、スクロール室18aからタービンインペラ11まで排ガスを案内する環状に形成された流路18bを有する。
さらに、流路18bには、複数のノズル翼19が周方向に一定の間隔で配置されている。このノズル翼19は、可変ノズル翼であり、その間に形成される流路面積を変化できることが好ましいが、本発明はこれに限定されず固定ノズル翼であってもよい。
【0028】
コンプレッサハウジング20は、コンプレッサインペラ14を回転可能に囲み、かつベアリングハウジング16に連結されている。このコンプレッサハウジング20は、内部に圧縮空気が導入されるスクロール室20aと、コンプレッサインペラ14からスクロール室20aまで圧縮空気を案内する環状に形成された流路20bを有する。
【0029】
上述した構成により、エンジンの排ガスでタービンインペラ11を回転駆動し、この回転力をタービン軸12を介してコンプレッサインペラ14に伝達し、コンプレッサインペラ14で空気を圧縮してエンジンに過給することができる。
【0030】
また図1において、本発明の電動過給機10は、さらに、モータロータ22およびモータステータ24を備える。
モータロータ22は、電動機の回転子であり、モータステータ24は、電動機の固定子である。モータロータ22とモータステータ24によりブラシレスの交流電動機が構成される。
本発明において、モータステータ24のタービン側コイルエンド24aは、内面がタービン側に広がるテーパ面に形成されている。このテーパ面の形成は、コイルエンド24aすなわち巻き線を機能を損なわない範囲で、プレス等で変形させるのがよい。
また、モータロータ22は、モータステータ24よりも軸長が短く、好ましくはタービン軸12のコンプレッサインペラ14に近接して固定されている。
【0031】
この交流電動機は、タービン軸12の高速回転(例えば少なくとも10〜20万rpm)に対応でき、かつ加速時の回転駆動と減速時の回生運転ができることが好ましい。またこの交流電動機の駆動電圧は、車両に搭載されたバッテリの直流電圧(例えば12V)と同一あるいはそれより高い(例えば24〜36V)ことが好ましい。駆動電圧を高めることにより、交流電動機を小型化することができる。
【0032】
図2は、図1の部分拡大図である。
この図に示すように、本発明のスラスト軸受30は、タービン軸12と共に回転する小径円板状のスラストカラー32と、スラストカラー32の軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング34及びコンプレッサ側スラストベアリング36とからなる。
コンプレッサ側スラストベアリング36は、小径リング部37と切頭円錐部38とからなる中央がコンプレッサ側に膨らんだ切頭円錐形状である。この例において、小径リング部37と切頭円錐部38は、部品点数を減らすために一体構造である。
【0033】
小径リング部37は、スラストカラー32と接するほぼ同径のスラスト面37aを有する。切頭円錐部38は、小径リング部37の外周面からタービン側に漸増する円錐状の外面を有し、そのタービン側端部38a(すなわちフランジ部)がスラストカラー32よりタービン側でハウジングに固定されている。
言い換えれば、コンプレッサ側スラストベアリング36は、スラストカラー32と接するほぼ同径のスラスト面を有する小径リング部37と、スラストカラー32よりタービン側でハウジングに固定されるフランジ部38aを有し、これらの小径リング部37とフランジ部38aが軸方向に異なった位置で配置されている
従って、フランジ部は小径リング部37よりタービン側に位置する。
【0034】
コンプレッサ側スラストベアリング36は、油供給流路36aを有する。
油供給流路36aは、スラストカラー32と接する表面(図で左面)にベアリングハウジング16内から潤滑油を供給する機能を有する。
【0035】
また、コンプレッサ側スラストベアリング36の切頭円錐部38の内面とこれと対向するベアリングハウジング16の外面には、タービン軸12より下方に、互いに対向しかつ排油口に向かって延びる凹溝38b,16bが設けられ、この組み合わせにより排油口に向かう排油路を形成している。
【0036】
図3は、コンプレッサ側スラストベアリングの別の構成図である。
この図において、コンプレッサ側スラストベアリング36は、小径リング部37と切頭円錐部38とからなる中央がコンプレッサ側に膨らんだ切頭円錐形状である。またこの例において、小径リング部37と切頭円錐部38は、製造コストを下げるために、嵌め込み等で一体化する別体構造である。この例でもタービン側端部38a(すなわちフランジ部)がスラストカラー32よりタービン側でハウジングに固定されており、フランジ部38aは小径リング部37よりタービン側に位置する。
その他の構成は図2と同様である。
【0037】
上述した本発明の構成によれば、タービン軸12と共に回転する小径円板状のスラストカラー32と、該スラストカラーの軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング34及びコンプレッサ側スラストベアリング36とからなるので、タービン側スラストベアリング34及びコンプレッサ側スラストベアリング36でスラストカラー34を把持して、タービン軸12に作用する両方向のスラスト力を回転可能に支持することができる。
【0038】
また、コンプレッサ側スラストベアリング36が、小径リング部37と切頭円錐部38とからなり、該切頭円錐部38のタービン側端部38aがスラストカラー32よりタービン側でベアリングハウジング16に固定されるので、コンプレッサ側スラストベアリング36の固定位置よりもコンプレッサ側までラジアル軸受を伸ばすことができ、その分、シャフトのオーバーハング量を短縮できる。
【0039】
また、コンプレッサ側スラストベアリング36の切頭円錐部38の内面とこれと対向するベアリングハウジング16の外面に、互いに対向しかつ排油口に向かって延びる凹溝38b、16bを設け、この組み合わせにより排油口に向かう排油路を形成することにより、排油の向きをコントロールし、排油性を向上することができる。
【0040】
図1〜図2において、モータロータ22は、コンプレッサ側スラスト軸受36とコンプレッサインペラ14の間に設けられている。
また、本発明の電動過給機は、さらに、シールプレート26、油切り部材28、及びシール部材29を有する。
シールプレート26は、この例ではベアリングハウジング16に固定され、コンプレッサ側スラスト軸受36とモータロータ22の間を仕切る隔壁である。本発明では、シールプレート26は、上述したモータステータ24のタービン側テーパ面の内側に位置し、切頭円錐形に形成されている。
【0041】
この構成により、それぞれ切頭円錐形のコンプレッサ側スラストベアリング36、シールプレート26およびモータステータ24のタービン側内面を同一の軸方向位置で半径方向に重ねることができる。
従って、この構成により、スラスト軸受とコンプレッサインペラの間に電動機を内蔵する場合でも、シャフトのオーバーハング量を短縮することができる。
【0042】
また油切り部材28は、固定隔壁26とコンプレッサ側スラスト軸受36との間に位置し、タービン軸12に固定され、タービン軸12と共に回転する。この油切り部材28は、コンプレッサ側スラスト軸受36の中空貫通孔より大きく、かつタービン軸12にほぼ直交する垂直面28aを有する。
シール部材29は、油切り部材28と固定隔壁26との間を液密にシールする。
【0043】
この構成により、環状凹溝36bで捕捉できずに環状凹溝36bを超えて電動機側に流れ、油切り部材28の垂直面28aまで達した潤滑油を油切り部材28の高速回転による遠心力で半径方向外方に振り飛ばすことができる。
従って、垂直面28aの軸方向反対側に位置するシール部材29まで達する潤滑油量を大幅に低減することができ、電動機のシール部に到達する潤滑油量を減らし、シールの性能を確保し、電動過給機全体の信頼性を高めることができる。
【0044】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の電動過給機の全体構成図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】コンプレッサ側スラストベアリングの別の構成図である。
【図4】従来の排気タービン過給機の一例を示す図である。
【図5】特許文献1のタービチャージャの構成図である。
【符号の説明】
【0046】
10 電動過給機、11 タービンインペラ、12 タービン軸、
14 コンプレッサインペラ、15 軸端ナット、
16 ベアリングハウジング、16b 凹溝、17 ラジアル軸受、
18 タービンハウジング、18a スクロール室、18b 流路、
19 ノズル翼、20 コンプレッサハウジング、
20a スクロール室、20b 流路、22 モータロータ、
24 モータステータ、24a タービン側コイルエンド、
26 固定隔壁、28 油切り部材、29 シール部材、
30 スラスト軸受、32 スラストカラー、
34 タービン側スラストベアリング、
36 コンプレッサ側スラストベアリング、
36a 油供給流路、
37 小径リング部、38 切頭円錐部、
38a タービン側端部(フランジ部)、38b 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンインペラを一端に有するタービン軸と、タービン軸で回転駆動されるコンプレッサインペラと、ハウジング内に固定されたモータステータと、該モータステータで回転駆動されるモータロータとを備えた電動過給機であって、
タービン軸に作用するスラスト力を回転可能に支持するスラスト軸受を備え、
該スラスト軸受は、タービン軸と共に回転する小径円板状のスラストカラーと、該スラストカラーの軸方向移動を阻止するタービン側スラストベアリング及びコンプレッサ側スラストベアリングとからなり、
コンプレッサ側スラストベアリングは、スラストカラーと接するほぼ同径のスラスト面を有する小径リング部と、タービン側でハウジングに固定されるフランジ部を有し、これら小径リング部とフランジ部の軸方向位置が異なる、ことを特徴とする電動過給機。
【請求項2】
モータステータのタービン側コイルエンドは、内面がタービン側に広がるテーパ面に形成されており、
さらに、コンプレッサ側スラストベアリングとモータステータの間を仕切るシールプレートが、前記テーパ面の内側に位置する切頭円錐形に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電動過給機。
【請求項3】
前記コンプレッサ側スラストベアリングの切頭円錐部内面とこれと対向するハウジング外面には、互いに対向しかつ排油口に向かって延びる凹溝が設けられ、この組み合わせにより排油口に向かう排油路を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の電動過給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−321698(P2007−321698A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154517(P2006−154517)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】