説明

電動遠心送風機及びこれを用いた電気掃除機

【課題】聴感を改善しつつ、回転バランスの調整を容易に行うことができる電動遠心送風機等を提供する。
【解決手段】電力の供給により駆動する電動機と、電動機の駆動により回転する回転軸と、回転軸を囲むように電動機に設けられ、回転軸側から回転軸とは反対側へとつながる空間を有したディフューザ風路部と、ディフューザ風路部の電動機側かつ回転軸側で、回転軸に設けられたハブと、ディフューザ風路部の回転軸側で、ハブの電動機とは反対側に所定間隔をあけて回転軸周りに設けられた複数の回転翼と、ディフューザ風路部の電動機とは反対側かつ回転軸側で、複数の回転翼のハブとは反対側に設けられ、回転軸周りに開口部を有するとともに、複数の回転翼の外周半径よりも大きい外周半径を有したシュラウドと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動遠心送風機及びこれを用いた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気掃除機には、電動遠心送風機が利用される。電動遠心送風機には、羽根車が搭載される。羽根車は、ハブ、11枚〜15枚の回転翼、シュラウドを組み立てて製造される。羽根車は、電動遠心送風機の回転軸に取り付けられる。回転軸は、軸受に回転自在に保持される。
【0003】
この電動遠心送風機においては、羽根車の回転数が45000rpmの場合、騒音の周波数のピークが約8200Hz〜11200kHzになる。この周波数帯は、人間にとって聞き辛い周波数帯である。このため、聴感を改善することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−342690号公報
【0005】
しかしながら、回転翼は、40000rpm前後の高速で回転する。このため、羽根車の重心と回転軸とのずれが大きい場合には、回転軸の径方向にかかる力が大きくなる。その結果、軸受が磨耗する。また、電動遠心送風機全体が振動する。
【0006】
そこで、羽根車のバランス調整が行われる。当該バランス調整は、シュラウドの外周縁部の一部に切断削除部を形成することにより行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、回転翼の枚数が多いと、切断削除部を形成すべき箇所に回転翼が位置する場合がある。この場合、羽根車のバランス調整を適切に行うことができない。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、聴感を改善しつつ、回転バランスの調整を容易に行うことができる電動遠心送風機等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電動遠心送風機は、電力の供給により駆動する電動機と、前記電動機の駆動により回転する回転軸と、前記回転軸を囲むように前記電動機に設けられ、前記回転軸側から前記回転軸とは反対側へとつながる空間を有したディフューザ風路部と、前記ディフューザ風路部の前記電動機側かつ前記回転軸側で、前記回転軸に設けられたハブと、前記ディフューザ風路部の前記回転軸側で、前記ハブの前記電動機とは反対側に所定間隔をあけて前記回転軸周りに設けられた複数の回転翼と、前記ディフューザ風路部の前記電動機とは反対側かつ前記回転軸側で、前記複数の回転翼の前記ハブとは反対側に設けられ、前記回転軸周りに開口部を有するとともに、前記複数の回転翼の外周半径よりも大きい外周半径を有したシュラウドと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、聴感を改善しつつ、回転バランスの調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1における電動遠心送風機の側面図である。
【図2】図1の要部の拡大図である。
【図3】この発明の実施の形態1における電動遠心送風機の羽根車と静翼の平面図である。
【図4】この発明の実施の形態2における電動遠心送風機を利用した電気掃除機を概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における電動遠心送風機の側面図である。
【0014】
図1において、1は電動遠心送風機である。電動遠心送風機1には、整流子電動機2が設けられる。整流子電動機2には、ステータ、ロータ(ともに図示せず)が設けられる。整流子電動機2は、ブラケット3に覆われる。ブラケット3の上面には、孔4が形成される。整流子電動機2の中心には、出力軸5が設けられる。出力軸5は、軸受(図示せず)に回転可能に支持される。出力軸5は、ブラケット3から上方に突出する。
【0015】
ブラケット3中央の上面には、ディフューザプレート6が設けられる。図1においては、ディフューザプレート6は、断面図で示される。ディフューザプレート6は、略円形状に形成される。ディフューザプレート6の外周縁部は、中央部よりも一段高くなるように形成される。
【0016】
ディフューザプレート6の外周縁部上面側には、複数の静翼7が設けられる。図1においては、静翼7は、回転投影したときの子午面形図で示される。複数の静翼7は、出力軸5を囲むように所定間隔をあけて配置される。各静翼7の出力軸5側の縁部7aは、上方に向かうにつれて出力軸5から離れる方向に傾斜する。
【0017】
ディフューザプレート6の外周縁部下面側には、複数の戻り静翼8が取り付けられる。図1においては、戻り静翼8は、回転投影したときの子午面形図で示される。各戻り静翼8は、静翼7に対応して配置される。
【0018】
出力軸5と同軸上には、回転軸9が配置される。回転軸9は、出力軸5と一体形成される場合もある。回転軸9は、出力軸5から動力伝達されるように形成される場合もある。
【0019】
本実施の形態においては、出力軸5に羽根車10が直接固定される。羽根車10は、静翼7と接触しないための距離を確保した位置に配置される。羽根車10は、ハブ11、複数の回転翼12、シュラウド13を備える。ハブ11、複数の回転翼12、シュラウド13は、例えば、アルミニウム合金等の薄板状の合金で形成される。図1においては、ハブ11、断面図で示される。回転翼12は、回転投影したときの子午面図で示される。シュラウド13は、断面図で示される。
【0020】
ハブ11は、略円形状に形成される。ハブ11は、中心で回転軸9と垂直に交わるように回転軸9に取り付けられる。ハブ11は、ディフューザプレート6の外周縁部の回転軸9側で、ディフューザプレート6の外周縁部と同等の高さとなるように配置される。
【0021】
複数の回転翼12は、ハブ11の整流子電動機2とは反対側に設けられる。複数の回転翼12は、所定間隔をあけて配置される。複数の回転翼12は、静翼7の回転軸9側で、静翼7と同等の高さとなるように配置される。複数の回転翼12の枚数は、静翼7の枚数よりも多い。複数の回転翼12は、例えば、16枚からなる。複数の回転翼12の上縁部は、外周側に向かうにつれて滑らかにハブ11に近接するように形成される。複数の回転翼12は、後ろ向きとなるように形成される。すなわち、複数の回転翼12の外周側は、回転軸9の回転方向とは反対方向に湾曲するように形成される。
【0022】
シュラウド13は、ハブ11と対向するように、複数の回転翼12のハブ11とは反対側に設けられる。シュラウド13は、回転軸9周りに流入開口部14を有するように環状に形成される。シュラウド13は、回転翼12の上縁部に沿って、外周側に向かうにつれて滑らかにハブ11に近接するように形成される。シュラウド13は、回転翼12の外周縁部よりも回転軸9から離れた箇所が回転軸9の長手方向に対して垂直な平面で形成される。シュラウド13の外周縁部は、静翼7の上縁部の回転軸9側で、静翼7の上縁部と同等の高さの位置に配置される。
【0023】
ディフューザプレート6、静翼7、戻り静翼8、羽根車10は、電動遠心送風機1とは反対側からファンカバー15によって覆われる。図1においては、ファンカバー15は、断面図で示される。ファンカバー15は、回転軸9周りに開口部を有するように環状に形成される。ファンカバー15の外周縁部は、ブラケット3の外周縁部に固定される。ファンカバー15の回転軸9周りには、ベルマウス16が一体に取り付けられる。図1においては、ベルマウス16は、断面図で示される。
【0024】
回転翼12の外周方向の外側では、ディフューザプレート6、静翼7、ファンカバー15、ディフューザ風路17が形成される。ディフューザ風路17は、回転軸9から回転軸9とは反対側へとつながる空間を有する。
【0025】
静翼7の下方では、ブラケット3、戻り静翼8、ディフューザプレート6によって、風路18が形成される。風路18は、回転軸9とは反対側から孔4へとつながる空間を有する。
【0026】
次に、図2を用いて、羽根車10等の径方向の寸法関係を説明する。
図2は図1の要部の拡大図である。
【0027】
図2において、R1は回転翼12の外周の回転軌跡の半径である。R2はハブ11の外周半径である。R3はシュラウド13の外周半径である。R4は静翼7のディフューザプレート6に接する内周半径である。R5は静翼7のファンカバー15に接する内周半径である。
【0028】
図2に示すように、ハブ11の外周半径R2は、回転翼12の外周半径R1と略同一か回転翼12の外周半径R1よりも僅かに大きい。シュラウド13の外周半径R3は、回転翼12の外周半径R1とハブ11の外周半径R2とよりも大きい。静翼7のファンカバー15側の内周半径R5は、静翼7のディフューザプレート6側の内周半径R4とシュラウド13の外周半径R3とよりも大きい。
【0029】
次に、図3を用いて、羽根車10のバランス調整を説明する。
図3はこの発明の実施の形態1における電動遠心送風機の羽根車と静翼の平面図である。
【0030】
図3に示すように、羽根車10のバランス調整は、羽根車10の製造時に、刃物を備える工具でシュラウド13の外周縁の一部に切断削除部13aを形成することにより行われる。切断削除部13aは、回転翼12の外周半径R1よりも回転軸9から離れた領域に形成される。すなわち、切断削除部13aは、回転軸9の長手方向の投影面上において回転翼12と重ならない領域に形成される。切断削除部13aによって、羽根車10の回転重心が調整される。
【0031】
次に、図1を用いて、電動遠心送風機1が動作した際の空気の流れを説明する。
電動遠心送風機1においては、整流子電動機2に電力が供給されると、出力軸5が回転する。当該回転に追従して、回転軸9が回転する。当該回転に追従して、羽根車10が回転する。この際、羽根車10内の空気は、羽根車10の作用により、羽根車10の外周方向へ移動する。
【0032】
図1において、19は空気の流れである。空気の流れ19は、白抜き矢印で示される。すなわち、回転軸9上方の空気は、ベルマウス16と流入開口部14とを介して羽根車10の内部に取り込まれる。当該空気は、羽根車10の作用により、羽根車10の外周方向へ排出される。
【0033】
当該空気は、ディフューザ風路17を回転軸9から離れる方向に移動する。当該空気は、ディフューザプレート6の外周側の隙間を通過して、風路18に移動する。当該空気は、風路18を回転軸9に近づく方向に移動する。当該空気は、孔4を通過して下方に移動する。当該空気は、整流子電動機2のステータやロータを冷却した後、整流子電動機2の下方から外部に流出する。
【0034】
次に、図3を用いて、回転翼12による騒音を説明する。
図3において、20は回転軸9の回転方向である。したがって、回転翼12の圧力面は12aとなる。これに対し、回転翼12の負圧面は12bとなる。
【0035】
羽根車10の内部において、圧力面12a付近の空気は、回転翼12の面に沿って流れる。これに対し、負圧面12b付近の空気は、外周に向かうにつれて剥離して回転翼12に面に沿わなくなる。すなわち、圧力面12a付近の排出空気の流速と方向は、負圧面12b付近の排出空気の流速と方向と異なる。その結果、羽根車10の排出空気は、静翼7の縁部7aに衝突する際に、騒音を発生させる。この際の騒音は、羽根車10の回転数と枚数とに応じた周波数に強いピークを持つ。
【0036】
ここで、羽根車10は、強度上の観点から、約35000〜45000rpmで回転する。本実施の形態の回転翼12の枚数は、16枚である。この場合、騒音の周波数のピークは、約9300〜12000Hzとなる。
【0037】
これに対し、人間は、騒音スペクトルの約2000Hz〜8000Hzの周波数帯に顕著なピークを持つ音を聞くと耳障りに感じる。従って、上記騒音の周波数帯は、人間にとって聞き辛い周波数帯である。このため、聴感に優れた良質の音質を備えた電動遠心送風機1となる。
【0038】
回転翼12を15枚とした場合、騒音の周波数のピークは、約8700〜11200Hzとなる。当該周波数帯は、人間にとって聞き辛い周波数帯である。このため、聴感に優れた電動遠心送風機1となる。
【0039】
次に、図1と図3を用いて、シュラウド13の切断削除部13aによる騒音を説明する。
【0040】
図1に示すように、流入開口部14の端部とベルマウス16の端部との間には、僅かな隙間が形成される。また、シュラウド13の外周側端部とファンカバー15との間にも、僅かな隙間が形成される。ここで、流入開口部14側の隙間の圧力は、シュラウド13の外周側の隙間の圧力よりも高い。このため、羽根車10の排出空気の一部は、循環漏れ流れとなって、シュラウド13の外周側の隙間からシュラウド13とファンカバー15の間の空間を通過し、流入開口部14側の隙間から羽根車10の内部に戻る。
【0041】
一方、図3に示すように、切断削除部13aは、回転軸9に近づくように形成される。このため、図1の電動遠心送風機1において、切断削除部13aとファンカバー15との隙間は、シュラウド13の他の箇所とファンカバー15との隙間よりも大きくなる。このため、切断削除部13aにおいて、循環漏れ流れの量が多くなる。シュラウド13外周方向において、循環漏れ流れの量が部分的に異なる場合、羽根車10の排出空気の流れの状態も部分的に異なる。
【0042】
この場合、静翼7に衝突する空気の流れにも影響する。当該影響により、羽根車10の回転数に対応した周期の騒音が発生する。つまり、羽根車10の回転数が約35000〜45000rpmの場合、騒音の周波数のピークは、約580〜750Hzとなる。当該周波数帯は、人間にとって聞こえやすい周波数帯である。このため、聴感が悪化し得る。
【0043】
しかしながら、図3に示すように、シュラウド13の外周半径R3は、複数の回転翼12の外周半径R1よりも大きい。このため、回転翼12の外周半径R1の位置に切断削除部13aを形成する場合よりも、同一重量のモーメントが大きくなる。このため、本実施の形態の切断削除部13aの面積は、比較的小さい。
【0044】
また、切断削除部13aは、回転軸9の長手方向から見た投影面上で回転翼12と重ならない位置に容易に形成される。すなわち、バランス調整を繰り返す必要がない。その結果、切断削除部13aの面積が大きくなることもない。
【0045】
したがって、本実施の形態においては、循環漏れ流れが変動することを抑制できる。つまり、静翼7の縁部7aに衝突する際の空気の流れが羽根車10の回転数に対応した周期で変動することを抑制できる。その結果、静翼7の縁部7aで発生する騒音が小さくなる。このため、聴感の悪化が抑制される。
【0046】
次に、図1と図2とを用いて、羽根車10の排出空気の流れを説明する。
【0047】
図1に示すように、空気は、流入開口部14を介して羽根車10に流入する。当該空気は、向きを略90度曲げて羽根車10の外周方向に移動する。この際、ハブ11側の空気の曲がり半径は、シュラウド13側の空気の曲がり半径よりも大きい。このため、ハブ11側の空気の流速は、シュラウド13側の空気の流速よりも速くなる。その結果、羽根車10の外周縁部近傍においても、ハブ11側の空気の流速は、シュラウド13側の空気の流速よりも速くなる。すなわち、ディフューザ風路17においても、ハブ11側の空気の流速は、シュラウド13側の空気の流速よりも速くなる。
【0048】
図2に示すように、静翼7のファンカバー15側の内周半径R5は、静翼7のディフューザプレート6側の内周半径R4よりも大きい。すなわち、静翼7の縁部7aは、ハブ11とシュラウド13とに近接するように、ハブ11側からシュラウド13側に向かうにつれて回転軸9から離れる方向に傾斜する。このため、静翼7が羽根車10と接触しないための距離を確保しつつ、排気空気の流速が速いハブ11側においても、羽根車10とディフューザ風路17との距離が短くなる。
【0049】
その結果、羽根車10の排出空気の混合による損失が抑制される。また、排出空気の減速により動圧が小さくなることも抑制される。このため、ディフューザ風路17で静圧回復できる程度が小さくなることを抑制できる。すなわち、損失を小さくし、昇圧の低下を小さくすることができる。
【0050】
以上で説明した実施の形態1によれば、シュラウド13の外周半径R3は、複数の回転翼12の外周半径R1よりも大きい。このため、聴感を改善するために多くの回転翼12が設けられていても、切断削除部13aを回転翼12と重ならない位置に形成することができる。すなわち、羽根車10のバランス調整を容易に行うことができる。
【0051】
当該バランス調整により、羽根車10の回転時の振れ周りが小さくなる。その結果、電動遠心送風機1の振動が小さくなる。このため、羽根車10の回転時の騒音が小さくなる。更に、軸受にかかる力が小さくなる。その結果、軸受の損失が小さくなる。このため、電動遠心送風機1の長期使用に対する信頼性を向上することができる。
【0052】
また、シュラウド13は、回転翼12の外周縁部よりも回転軸9から離れた箇所が回転軸9の長手方向に対して垂直な平面で形成される。このため、バランス調整の際に、シュラウド13の切断削除部13aの周囲が歪むことを抑制できる。その結果、当該歪みにより空気の流れが乱れることを抑制できる。当該抑制により、静翼7の縁部7aに衝突する際の空気の流れが羽根車10の回転数に対応した周期で変動することを確実に抑制できる。当該抑制により、静翼7の縁部7aで発生する騒音がより小さくなる。このため、聴感の悪化をより確実に抑制することができる。
【0053】
また、本実施の形態の電動遠心送風機1では、ハブ11の外周半径R2は、回転翼12の外周半径R1とほぼ一致する。すなわち、羽根車10において、シュラウド13の外周寄りのみが羽根車10の径方向外側に突出する。このため、切断削除部13aを形成する際に工具がハブ11や回転翼12に干渉することを防止できる。その結果、バランス調整の作業性を向上することができる。
【0054】
なお、回転翼12の枚数は、15枚以上が好ましい。この場合、羽根車10の回転数を約35000〜45000rpmとした際に、聴感に優れる電動遠心送風機1となる。
【0055】
また、静翼7の縁部7aは、ハブ11とシュラウド13とに近接するように、ハブ11側からシュラウド13側に向かうにつれて回転軸9から離れる方向に傾斜する。このため、静翼7が羽根車10と接触しないための距離を確保しつつ、損失を小さくし、昇圧の低下を小さくすることができる。その結果、省エネ性能に優れた電動遠心送風機1を得ることができる。
【0056】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2における電動遠心送風機を利用した電気掃除機を概要図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図2において、21は掃除機本体である。掃除機本体21の前部には、ホース22の後端が接続される。ホース22は、屈曲自在に形成される。ホース22の前端には、パイプ23の後端が接続される。パイプ23は、棒状に形成される。パイプ23の前端には、吸引口24が取り付けられる。掃除機本体21内部の前側には、集塵ボックス25が収納される。掃除機本体21内部では、集塵ボックス25の後方に、実施の形態1の電動遠心送風機1が収納される。
【0058】
この電気掃除機においては、電動遠心送風機1が動作すると、吸引風が発生する。当該吸引風により、吸引口24、パイプ23、ホース22を介して空気とともに塵埃が吸引される。吸引された塵埃は、集塵ボックス25にたまる。
【0059】
以上で説明した実施の形態2によれば、電動遠心送風機1は、実施の形態1で説明したように、低騒音、高効率(高仕事)である。このため、騒音低減、高効率を実現した電気掃除機を得ることができる。
【0060】
なお、電動遠心送風機1は、電気掃除機以外でもハンドドライヤー等の家庭用電化機器に適用できる。また、電動遠心送風機1は、液体用ポンプ等の産業機器にも適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 電動遠心送風機
2 整流子電動機
3 ブラケット
4 孔
5 出力軸
6 ディフューザプレート
7 静翼
7a 縁部
8 戻り静翼
9 回転軸
10 羽根車
11 ハブ
12 回転翼
12a 圧力面
12b 負圧面
13 シュラウド
13a 切断削除部
14 流入開口部
15 ファンカバー
16 ベルマウス
17 ディフューザ風路
18 風路
19 空気の流れ
20 回転方向
21 掃除機本体
22 ホース
23 パイプ
24 吸引口
25 集塵ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給により駆動する電動機と、
前記電動機の駆動により回転する回転軸と、
前記回転軸を囲むように前記電動機に設けられ、前記回転軸側から前記回転軸とは反対側へとつながる空間を有したディフューザ風路部と、
前記ディフューザ風路部の前記電動機側かつ前記回転軸側で、前記回転軸に設けられたハブと、
前記ディフューザ風路部の前記回転軸側で、前記ハブの前記電動機とは反対側に所定間隔をあけて前記回転軸周りに設けられた複数の回転翼と、
前記ディフューザ風路部の前記電動機とは反対側かつ前記回転軸側で、前記複数の回転翼の前記ハブとは反対側に設けられ、前記回転軸周りに開口部を有するとともに、前記複数の回転翼の外周半径よりも大きい外周半径を有したシュラウドと、
を備えた電動遠心送風機。
【請求項2】
前記シュラウドは、前記回転翼の外周縁部よりも前記回転軸から離れた箇所が前記回転軸の長手方向に対して垂直な平面となるように形成された請求項1記載の電動遠心送風機。
【請求項3】
前記ハブは、外周半径が前記複数の回転翼の外周半径と一致するように形成された請求項1又は請求項2に記載の電動遠心送風機。
【請求項4】
前記複数の回転翼は、15枚以上からなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電動遠心送風機。
【請求項5】
前記ディフューザ風路部は、前記回転翼側の縁部が前記ハブと前記シュラウドとに近接した状態で前記ハブ側から前記シュラウド側に向かうにつれて前記回転軸から離れる方向に傾斜するように形成された請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電動遠心送風機。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電動遠心送風機で塵埃を吸引するための吸引風を発生させる電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−79625(P2013−79625A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220883(P2011−220883)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】