説明

電圧制御発振器

【課題】電源電圧に重畳されたノイズにより発生する発振器の位相雑音を低減することができ、しかも簡単な回路構成で実現でき、発振器の小型化を図ることのできる電圧制御発振器を提供すること。
【解決手段】この電圧制御発振器1は、直流電源端子16にコレクタが接続された発振用トランジスタ11と、発振用トランジスタ11のエミッタ・接地間に接続された第1の抵抗21と、発振用トランジスタ11のベース・接地間に接続された共振回路27と、発振用トランジスタ11のエミッタと第1の抵抗21との接続点と直流電源端子16とを接続する結合ラインL1上に設けられた第1のキャパシタ22とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振周波数を制御する電圧制御発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムの基地局用シンセサイザーシステムがデジタル化されており、位相雑音の低減が重要となっている。特に、数kHz〜数MHzまでのオフセット周波数の位相雑音は、雑音レベルが−100dBc/Hz以上と高く、その積分値への影響が大きいので低減が望まれている。また、携帯端末の基地局用シンセサイザーでは、製品の小型化とコスト削減のため、レギュレータ(電源回路)以外でのノイズ対策が必要とされ、電圧制御発振器での位相雑音に対する対策が望まれている。
【0003】
位相雑音を低減した電圧制御発振器として、バラクタダイオードの浮遊容量を制御して位相雑音を低減した電圧制御発振器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる電圧制御発振器は、バラクタダイオードのバイアス電圧を制御し、バラクタダイオードのバイアス電圧の変化による周波数の変動と発振用トランジスタの浮遊容量の変化による発振周波数の変動とを相殺することにより、発振信号の周波数の変動を抑制して位相雑音を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−162641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電圧制御発振器においては、電源電圧から侵入する低周波ノイズを簡単な構成で、かつ低コストで抑制することは困難であった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電源電圧に重畳された低周波ノイズにより発生する発振器の位相雑音を低減することができ、しかも簡単な回路構成で実現でき、発振器の小型化を図ることのできる電圧制御発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電圧制御発振器は、電源端子にコレクタが接続された発振用トランジスタと、前記発振用トランジスタのエミッタ・接地間に接続された第1の抵抗と、前記発振用トランジスタのベース・接地間に接続された共振回路と、前記発振用トランジスタのエミッタと前記第1の抵抗との接続点と前記電源端子とを接続する結合ライン上に設けられた第1のキャパシタと、を具備することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、電源電圧に重畳して発振用トランジスタのコレクタに入力するノイズと同一のノイズを結合ラインを経由して位相反転させずに発振用トランジスタのエミッタにフィードバックして相殺することができるので、電源電圧に重畳されたノイズによって発生する発振信号の位相雑音を低減することができる。
【0009】
本発明は、上記電圧制御発振器において、前記発振用トランジスタのコレクタが接地用キャパシタを介して高周波的に接続され、前記電源端子と前記接地用キャパシタとの間に第1のインダクタが接続されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、発振用トランジスタのコレクタに入力されるノイズの大きさに合わせてエミッタ側に伝送されるノイズの大きさを調整でき、発振信号中のノイズを効率良く低減することができる。
【0011】
また本発明は、上記電圧制御発振器において、前記結合ライン上には、前記第1のキャパシタと直列に第2のインダクタが接続されたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、第1のキャパシタと第2のインダクタとで構成される直列共振回路の共振周波数を調整することにより、低減対象のノイズだけを発振用トランジスタのエミッタ側に伝送でき、効率良くノイズを低減できる。また、第2のインダクタと組み合わせることで、結合ライン上に単独で第1のキャパシタを設ける場合に比べて、第1のキャパシタの容量を小さくすることができ、回路の小型化を実現できる。
【0013】
また本発明は、上記電圧制御発振器において、前記発振用トランジスタのエミッタと前記第1の抵抗との間に第2の抵抗が接続され、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点に前記結合ラインの端部が接続されたことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、発振用トランジスタのエミッタ側にフィードバックするノイズを第1の抵抗と第2の抵抗の比で調整することができ、効率良くノイズを低減できる。
【0015】
また本発明は、上記電圧制御発振器において、前記発振用トランジスタのエミッタと前記第1の抵抗との間に第3のインダクタが接続され、前記第1の抵抗と前記第3のインダクタとの接続点に前記結合ラインの端部が接続されたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、発振用トランジスタのエミッタ側にフィードバックするノイズを第3のインダクタで調整でき、発振用トランジスタに流れる電流を第1の抵抗だけで調整でき、パラメータの調整が容易になる。
【0017】
本発明の電圧制御発振器は、電源端子にコレクタが接続された発振用トランジスタと、前記発振用トランジスタのエミッタ・接地間に接続された第1の抵抗と、前記発振用トランジスタのベース・接地間に接続された共振回路と、前記発振用トランジスタのコレクタ・接地間に接続された接地用キャパシタと、前記発振用トランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の帰還キャパシタと、前記発振用トランジスタのエミッタ・接地間に接続された第2の帰還キャパシタと、前記第2の帰還キャパシタにカソードが接続されたバラクタダイオードと、前記バラクタダイオードのアノード・接地間に接続された第3の帰還キャパシタと、前記バラクタダイオードのアノードと前記電源端子とを接続する結合ライン上に設けられた第1のキャパシタと、具備したことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、第2の帰還キャパシタとグラウンドとの間にバラクタダイオードを設け、バラクタダイオードのアノードに電源電圧に重畳したノイズの一部を結合ライン経由で入力し、電源電圧に重畳するノイズ変動に応じた発振器自体の発振周波数変化を抑制する方向に共振回路の共振周波数を制御でき、電源電圧に重畳したノイズによる位相誤差を抑制することができる。
【0019】
本発明は、上記電圧制御発振器において、前記電源端子と前記接地用キャパシタとの間に第1のインダクタが接続され、前記結合ライン上に前記第1のキャパシタと直列に第2のインダクタが接続されたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、第1のキャパシタと第2のインダクタとで直列共振回路を構成することができるので、相殺したいノイズだけを発振用トランジスタのエミッタ側にフィードバックできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電源電圧に重畳された低周波ノイズにより発生する発振器の位相雑音を低減することができ、しかも簡単な回路構成で実現でき、発振器の小型化を図ることのできる電圧制御発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電圧制御発振器の回路構成図である。
【図2】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る電圧制御発振器の位相ノイズの劣化幅の試験結果を示す図であり、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る電圧制御発振器から結合ラインL1を除いた場合の位相ノイズの劣化幅の試験結果を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る電圧制御発振器の回路構成図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電圧制御発振器の回路構成図である。
【図5】(a)は、一般的な電圧制御発振器の電源電圧変動と発振周波数との関係を示す図である。(b)、(c)は、一般的なバラクタダイオードのアノードとカソードの電圧差の変化と容量及び共振周波数の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る電圧制御発振器の回路構成図である。
本実施の形態に係る電圧制御発振器1は、発振用トランジスタ11と、発振用トランジスタ11のエミッタ・ベース間に接続される第1の帰還キャパシタ12と、発振用トランジスタ11のエミッタ・コレクタ間に接続される第2の帰還キャパシタ13と、発振用トランジスタ11のコレクタ・ベース間に接続されるインダクタ14とを備え、発振用トランジスタ11のコレクタが高周波的に接地されたコレクタ接地型のコルピッツ発振回路として構成されている。但し、本発明は、コルピッツ型の発振回路に限定されるものではなく、発振用トランジスタを備えた発振回路であれば適用可能である。
【0024】
発振用トランジスタ11のコレクタは、ストリップラインで構成される第1のインダクタ15を介して直流電源端子16に接続されると共に、バイパスキャパシタ17を介して高周波的に接地されている。第1のインダクタ15の一端は、発振用トランジスタ11のコレクタに接続され、他端が直流電源端子16に接続されている。発振用トランジスタ11のエミッタは、直流カットキャパシタ18を介して出力端子19に接続されると共に、2つの抵抗20、21を直列に介して接地されている。接地側の抵抗21が第1の抵抗となり、エミッタ側の抵抗20が第2の抵抗となる。
【0025】
2つの抵抗20,21の接続点と第1のインダクタ15の電源側端部との間にキャンセル用信号の結合ラインL1が接続されている。結合ラインL1は、電源側に設けられた第1のキャパシタ22と、発振用トランジスタ11のエミッタ側に設けられた第2のインダクタ23とを備えており、電源電圧に重畳した低周波ノイズ(発振用トランジスタ11で変調された時に希望波に対してノイズ成分となる信号成分)を共振周波数とする直列共振回路を形成している。
【0026】
ここで、結合ラインL1は電源電圧に重畳するノイズ成分を分岐しキャンセル用信号として発振用トランジスタ11のエミッタ側に結合できれば良いので、第1のキャパシタ22があれば必ずしも第2のインダクタ23は必要ではない。しかし、キャンセル用信号は低周波数の場合には第1のキャパシタ22を大きな容量に設定する必要があり、サイズが大型化する。そこで、本実施の形態では第1のキャパシタ22に第2のインダクタ23を組み合わせ、第1のキャパシタ22の容量を小さく抑えている。また、結合ラインL1に流れるキャンセル用信号と発振用トランジスタ11のコレクタ側に流れる位相反転ノイズとをバランスさせるために、発振用トランジスタ11のエミッタ側に接続された2つの抵抗20、21の抵抗値の大小を適切な比に調整する。抵抗20が抵抗21よりも大きいほど結合ラインL1の流れるキャンセル用信号が大きくなる。
【0027】
発振用トランジスタ11のベースは、分圧用抵抗24及び第1のインダクタ15を介して直流電源端子16に接続されると共に、分圧用抵抗25を介して接地されている。また、発振用トランジスタ11のベースには、直流カットキャパシタ26を介して共振回路27が接続されている。
【0028】
共振回路27は、ストリップラインで構成されるインダクタ14とキャパシタ28とを並列接続してなる並列共振回路として構成されている。インダクタ14の一端及びキャパシタ28の一端が接続され、インダクタ14の他端及びキャパシタ28の他端はそれぞれ接地されている。また、共振回路27のホット側は、キャパシタ29を介してバラクタダイオード30が接続されている。キャパシタ29とバラクタダイオード30のカソードとの接続点には、チョーク用インダクタ31を介して電圧制御端子32(Vctl)が接続されている。また、電圧制御端子32はバイパスキャパシタ33を介して接地されている。
【0029】
次に、本実施の形態に係る電圧制御発振器1の動作について説明する。
発振用トランジスタ11のベースには、共振回路27に印加された電圧制御信号Vctlに応じた共振周波数信号が印加される。発振用トランジスタ11は、ベースに印加された共振周波数信号によって発振動作する。発振用トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間には、ベースに印加された共振周波数信号に応じた電流が流れ、エミッタ側に現れた発振信号が第1の帰還キャパシタ12を介して発振用トランジスタ11のベースに帰還されると共に、出力端子19から出力される。
【0030】
一方、電源側から電源電圧に重畳して入力するノイズ(例えば、レギュレータノイズ)は、発振用トランジスタ11のコレクタ側と結合ラインL1側とに分岐される。発振用トランジスタ11のコレクタ側へ分岐したノイズ信号は発振用トランジスタ11のコレクタ・エミッタ間を通って位相反転される。また、結合ラインL1に分岐したノイズは結合ラインL1に形成した直列共振回路を通過し、ノイズ信号だけが結合ラインL1を通り、位相反転されずに発振用トランジスタ11のエミッタ側に伝送される。
【0031】
発振用トランジスタ11のコレクタ−エミッタ間を通って位相反転したノイズ信号と、結合ラインL1を取って発振用トランジスタ11のエミッタ側にバイパスさせたノイズ信号とを混合することによりノイズが相殺される。その結果、発振信号中に重畳されるノイズが抑制され、低周波ノイズによる影響が少ない安定した発振信号が出力端子19から出力される。
【0032】
次に、図1に示す回路構成の電圧制御発振器1を基本モデルとして、結合ラインL1を設けた場合と、結合ラインL1を設けなかった場合のノイズ低減効果についての実験結果について説明する。電源側にはノイズ源となるレギュレータを設けている。
【0033】
図2(a)は、本実施の形態に係る電圧制御発振器1(結合ラインL1あり)の位相ノイズの劣化幅の試験結果を示す図であり、図2(b)は、図1の電圧制御発振器1から結合ラインL1を除いた場合の位相ノイズの劣化幅の試験結果を示す図である。
【0034】
図2(a)に示すように、本実施の形態によれば、レギュレータのない状態(A)とレギュレータのある状態(B)とで位相ノイズの劣化幅が最大でも8dB前後に抑えることができている。一方、図2(b)に示すように、結合ラインL1を除いた場合には、レギュレータのない状態(A)とレギュレータのある状態(C)とで位相ノイズの劣化幅が最大で17dB前後まで増大している。
【0035】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧に重畳するノイズ(低周波ノイズ)を位相反転させずに発振用トランジスタ11のエミッタ側に伝送するので、発振用トランジスタ11から位相反転を伴って出力されるノイズを相殺でき、電源電圧から混入するノイズによる位相雑音を低減することができる。
【0036】
なお、上記第1の実施の形態では、発振用トランジスタ11のエミッタ側に接続した2つの抵抗20,21の比によって結合ラインL1を流れるキャンセル用信号と発振用トランジスタ11のコレクタ−エミッタ間を流れるノイズのバランスを調整していた。この場合、抵抗21を調整して、キャンセル用信号と発振用トランジスタ11を流れる電流の双方を調整しなければならない。図3に示すように、発振用トランジスタ11のエミッタ側に接続した2つの抵抗20,21のうちの1つである抵抗20を、第3のインダクタ34に代えても良い。このように構成すれば、第3のインダクタ34で結合ラインL1を流れるキャンセル用信号を調整でき、抵抗21では発振用トランジスタ11を流れる電流のみを調整すればよくなるので、パラメータの調整が容易になる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態に係る電圧制御発振器について説明する。
図4は第2の実施の形態に係る電圧制御発振器の回路構成図である。なお、前述した第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して、説明の重複を避ける。
【0038】
本実施の形態に係る電圧制御発振器3では、第2の帰還キャパシタ13とグラウンドとの間に、バラクタダイオード41と第3の帰還キャパシタ42からなる直列回路を接続している。バラクタダイオード41のアノードと第3の帰還キャパシタ42との接続点に、結合ラインL1の一端を接続している。また、バラクタダイオード41のカソードには直流電圧Voが印加されている。バラクタダイオード41のアノードの電位が不安定になることを防止するために、バラクタダイオード41のアノードを抵抗43を介してグランドに接続している。その他の構成は第1の実施の形態と同一である。
【0039】
次に、本実施の形態に係る電圧制御発振器3の動作について説明する。ここでは、第1の実施の形態に係る電圧制御発振器1との動作の相違点について主に説明する。
【0040】
電圧制御発振器3においては、電源電圧に重畳して入力するノイズは、発振用トランジスタ11のコレクタ側に入力すると共に、一部が分岐して結合ラインL1経由でバラクタダイオード41のアノードに印加される。バラクタダイオード41はアノード印加電圧に応じて容量が変化する。第1から第3の帰還キャパシタ12,13,42及びバラクタダイオード41からなる合成容量は、共振回路27のインダクタ14に対して並列に接続される。したがって、バラクタダイオード41の容量が変動すると、発振用トランジスタ11のベースに印加される共振信号の周波数が変化する。
【0041】
図5(a)は、一般的な電圧制御発振器の電源電圧変動と発振周波数との関係を示す図である。発振用トランジスタのベースに印加される電源電圧変動に対応して発振周波数が変動する。具体的には、電源電圧(ΔVcc)が増加方向に変動すると、発振周波数(ΔF)も追従して増加方向に変動する。したがって、電源電圧に重畳したノイズの影響で発振用トランジスタへのベース印加電圧が変化すれば、それに合わせて発振周波数も変化する。
【0042】
本実施の形態は、電源電圧に重畳したノイズの影響によって発振用トランジスタ11の発振周波数が増加する場合は、共振回路27で生成される共振周波数を下げるように調整し、逆に発振用トランジスタ11の発振周波数が低下する場合は、共振回路27で生成される共振周波数を上げるように調整する。共振回路27で生成される共振周波数を電源電圧に重畳したノイズに同期させるために、バラクタダイオード41のアノードに結合ラインL1を経由して分岐ノイズを印加している。
【0043】
図5(b)に示すように、一般的なバラクタダイオードは、アノードとカソードの電圧差ΔVが大きくなるのに応じて容量Cが減少し、電圧差ΔVが小さくなるのに応じて容量Cが増大する。図4に示すバラクタダイオード41は、結合ラインL1を介して入力するノイズが大きくなると電圧差ΔVが小さくなり(容量増大)、ノイズが小さくなると電圧差ΔVが大きくなる(容量減少)。
【0044】
したがって、図5(c)に示すように、結合ラインL1を介して入力するノイズが大きくなると電圧差ΔVが小さくなり(容量増大)、共振回路27の共振周波数dFが低下する。また、結合ラインL1を介して入力するノイズが小さくなると電圧差ΔVが大きくなり(容量減少)、共振回路27の共振周波数dFが増大する。
【0045】
すなわち、電源電圧に重畳するノイズが高くなると、発振器自体の発振周波数は高くなろうとするが、共振回路27の共振周波数が低下するので、発振器全体としては発振周波数が変動しないように動作する。
【0046】
以上のように、本実施の形態に係る電圧制御発振器3によれば、第2の帰還キャパシタ13とグラウンドとの間にバラクタダイオード41を設け、バラクタダイオード41のアノードに電源電圧に重畳したノイズの一部を結合ラインL1経由で入力し、電源電圧に重畳するノイズ変動に応じた発振器自体の発振周波数変化を抑制する方向に共振回路27の共振周波数を制御したので、電源電圧に重畳したノイズによる位相誤差を抑制することができる。
【0047】
本発明は上述した実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0048】
1、2、3 電圧制御発振器
11 発振用トランジスタ
12 第1の帰還キャパシタ
13 第2の帰還キャパシタ
14、31 インダクタ
15 第1のインダクタ
16 直流電源端子
17 バイパスキャパシタ
18、26、28、29、33 キャパシタ
19 出力端子
20、21、43 抵抗
22 第1のキャパシタ
23 第2のインダクタ
24、25 分圧用抵抗
L1 結合ライン
27 共振回路
30、41 バラクタダイオード
32 電圧制御端子
34 第3のインダクタ
42 第3の帰還キャパシタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子にコレクタが接続された発振用トランジスタと、
前記発振用トランジスタのエミッタ・接地間に接続された第1の抵抗と、
前記発振用トランジスタのベース・接地間に接続された共振回路と、
前記発振用トランジスタのエミッタと前記第1の抵抗との接続点と前記電源端子とを接続する結合ライン上に設けられた第1のキャパシタと、
を具備することを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項2】
前記発振用トランジスタのコレクタが接地用キャパシタを介して高周波的に接続され、
前記電源端子と前記接地用キャパシタとの間に第1のインダクタが接続されたことを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項3】
前記結合ライン上には、前記第1のキャパシタと直列に第2のインダクタが接続されたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電圧制御発振器。
【請求項4】
前記発振用トランジスタのエミッタと前記第1の抵抗との間に第2の抵抗が接続され、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点に前記結合ラインの端部が接続されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電圧制御発振器。
【請求項5】
前記発振用トランジスタのエミッタと前記第1の抵抗との間に第3のインダクタが接続され、前記第1の抵抗と前記第3のインダクタとの接続点に前記結合ラインの端部が接続されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電圧制御発振器。
【請求項6】
電源端子にコレクタが接続された発振用トランジスタと、
前記発振用トランジスタのエミッタ・接地間に接続された第1の抵抗と、
前記発振用トランジスタのベース・接地間に接続された共振回路と、
前記発振用トランジスタのコレクタ・接地間に接続された接地用キャパシタと、
前記発振用トランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の帰還キャパシタと、
前記発振用トランジスタのエミッタ・接地間に接続された第2の帰還キャパシタと、
前記第2の帰還キャパシタにカソードが接続されたバラクタダイオードと、
前記バラクタダイオードのアノード・接地間に接続された第3の帰還キャパシタと、
前記バラクタダイオードのアノードと前記電源端子とを接続する結合ライン上に設けられた第1のキャパシタと、
具備したことを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項7】
前記電源端子と前記接地用キャパシタとの間に第1のインダクタが接続され、前記結合ライン上に前記第1のキャパシタと直列に第2のインダクタが接続されたことを特徴とする請求項6記載の電圧制御発振器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−283646(P2010−283646A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135956(P2009−135956)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】