電子カムの制御方法
【課題】 同期制御区間と非同期制御区間の変位点において加速度等がスムーズにつながることができ、振動等が発生しない電子カム制御方法を提供すること
【解決手段】 サーボモータを使用した電子カムの制御方法である。制御対象物を一定速度で移動させるための制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物を移動させるための制御を行なう非同期制御区間とを有し、前記非同期制御区間における制御が、電子カムの位置制御に5次関数を使用し、電子カムの速度制御に4次間数を使用し、電化カムの加速度制御に3次関数を使用することにより、前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの動作を滑らかに制御する。
【解決手段】 サーボモータを使用した電子カムの制御方法である。制御対象物を一定速度で移動させるための制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物を移動させるための制御を行なう非同期制御区間とを有し、前記非同期制御区間における制御が、電子カムの位置制御に5次関数を使用し、電子カムの速度制御に4次間数を使用し、電化カムの加速度制御に3次関数を使用することにより、前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの動作を滑らかに制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機械等の各種の産業機械は、駆動源としてサーボモータ等の速度制御可能なモータが用いられる。包装機械は、包装機本体と、帯状の包装フィルムを連続して引き出して包装機本体に供給するフィルム供給手段と、包装機本体に対して被包装物を所定間隔ごとに供給する被包装物供給手段と、を備えている。包装機本体は、供給された包装フィルムを、被包装物を包み込むことができる形態になるように適宜加工(例えば、筒状に製袋,ポケット成型等)するとともに、その加工された包装フィルム内に被包装物を収納する装置を備える。さらに包装機本体は、包装フィルムに被包装物を収納した状態で搬送し、その搬送途中で包装フィルムの適宜位置をシールしたり、カットしたりすることにより個々の包装体を製造する装置を備える。
【0003】
包装フィルムに対するシール処理は、進行方向に沿ったフィルム側縁と、進行方向と直交する方向とに対して行なう。各シール部位は、それぞれ異なるタイプのシール装置を用いてシール処理が行なわれる。
【0004】
包装機械の場合、例えば、フィルム供給手段において帯状のフィルムを連続的に引き出す処理や、被包装物供給手段にて被包装物を搬送するとともに包装機本体に供給する処理や、包装機における各シール装置の駆動源として、それぞれサーボモータやその他のモータが用いられる。
【0005】
包装フィルムに対して進行方向と直交する方向にシールするためのエンドシール装置は、上下一対のエンドシーラ(ヒータ内蔵)を備え、そのエンドシーラを所定の軌跡で移動させ、エンドシーラの先端のシール面同士で包装フィルムを上下から所定の圧力で挟み込むことで包装フィルムの接触部位を溶融し、熱シールするようになっている。エンドシーラのシール面の移動軌跡は、大別すると円形と、略矩形状に代表される非円形の2種類がある。前者の円形の軌跡を採るエンドシール装置は、ロータリーモーション式とも称され、上下一対の回転軸にそれぞれエンドシーラを取り付け、回転軸を一定方向に回転させることでエンドシーラを回転移動させるように構成される。エンドシーラのシール面は、円弧状に形成しているとともに、その円弧の曲率半径は円形の軌跡曲率半径とほぼ一致させている。これにより、一対のエンドシーラが回転すると、互いのシール面は、進行方向前方側から徐々に線接触し、結果としてシール面の幅に相当するエンドシール部位が形成される。
【0006】
略矩形状等の非円形の軌跡を採るエンドシール装置は、ボックスモーション式やクランクモーション式がある。いずれの方式も、上下一対のエンドシーラがフィルムを挟み込んだ状態で水平移動することで、シール面が包装フィルムのエンドシール部位と接触している時間を長くする。この方式は、フィルムに対する加熱時間を長くできるので、包装フィルムが溶融・軟化しづらく、熱シールしにくいフィルム材の場合に、適用される。
【0007】
なお、エンドシール装置では、エンドシーラのシール面にカッターを内蔵させ、包装フィルムを横方向にエンドシールするとともに切断することで、包装フィルムの先頭から順に被包装物を収納した包装体を1つずつ分離製造するようになる。
【0008】
さらに、エンドシール装置は、エンドシーラが1回転(1公転)移動する都度、包装フィルムの所定部位(前後の被包装物の間のフィルム部位)を横方向にシールする。従って、包装フィルムのエンドシールを施す所定部位がエンドシール装置の設置箇所に来るタイミングに合わせて一対のエンドシーラが包装フィルムを挟み込むように制御する必要がある。つまり、包装フィルムが一定速度で搬送するように制御されている場合、同一の製品を包装する場合には、包装ピッチ(包装フィルムのエンドシールする部位の間隔)も等しいため、一定の時間(搬送速度×包装ピッチ)間隔でエンドシーラ同士がフィルムを挟み込む動作を行なう必要がある。
【0009】
一方、エンドシーラが包装フィルムを挟み込んでいる間は、包装フィルムの搬送速度とエンドシーラのシール面の移動速度を等しくする必要がある。そして、多くの場合、エンドシーラが1回転(1公転)する全期間中のエンドシーラのシール面の移動速度を一定にした場合には、所望のエンドシール部位を一対のエンドシーラで挟み込むことができなくなる。
【0010】
そこで、通常は、エンドシーラのシール面同士が包装フィルムを挟み込んでいる期間は、包装フィルムの搬送速度に同期させてエンドシーラのシール面が搬送速度と同一速度で移動するように制御し、シール面が包装フィルムから離反している期間ではシール面の移動速度を適宜制御し、次にシール面同士が包装フィルムを挟み込む際には、包装フィルムにおける正しいエンドシール部位に接触し、熱シールできるようにする。
【0011】
エンドシール装置用の駆動源としてサーボモータを用いた場合、サーボモータを用いた電子カム制御により、エンドシーラに上述した動作(速度変化)を行なわせるようにしている。ここで、フィルムの搬送速度に同期している期間を同期制御区間と称し、フィルムの搬送速度に同期しない期間を非同期制御区間と称する。同期制御区間では、電子カム制御はフィルムの搬送速度により一義的に特定されてしまう。具体的には、ロータリーモーション式の場合には、サーボモータの回転速度は等速となり、ボックスモーション式やクランクモーション式の場合には、所定のパターンによりサーボモータの回転速度を加減速制御する。
【0012】
上述したごとく同期制御区間におけるサーボモータの回転速度は、包装フィルムの搬送速度により一義的に特定されてしまい、エンドシールを施す包装ピッチ(包装間隔)と包装フィルムの搬送速度から、1回の同期制御区間の時間と1回の非同期制御区間の時間がそれぞれ一義的に求められる。従って、単純に考えると、非同期制御区間においてエンドシーラが移動すべき距離(モータの回転角度)を、その非同期制御区間に割り当てられた時間で割ることにより、非同期制御区間を等速運動させることで次の同期制御区間開始位置に所望のタイミングでエンドシーラのシール面を位置させることができる。
【0013】
この種のサーボモータを用いた電子カム制御として、従来特許文献1に開示された技術がある。この特許文献1に開示された制御方法は、フィルムを横方向にカットするロータリーカッター装置や、フィルムを横方向にシールするシール装置についてのサーボモータを用いた電子カム制御の一例であり、電子カムの位置と速度について、非同期制御区間から同期制御区間への変化点付近の制御を滑らかにすることを目的としている。
【0014】
具体的には、特許文献1に開示された技術は、ロータリーモーション式に適用したものであるため、同期制御区間では直線(等速度)とし、非同期制御区間では3次曲線となるように電子カムの速度が制御される。
【0015】
【特許文献1】特開2000−198094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した特許文献1に開示された発明では、電子カムの加速度については、非同期制御区間から同期制御区間への変化点付近の制御を滑らかにできなかった。このように加速度波形が非同期制御区間と同期制御区間との間で不連続であると、そこで振動が生じるおそれがある。特に、単位時間当たりの製造個数が増加し、高速動作の要求が高くなるにつれて、非同期制御区間から同期制御区間に切り替わる変化点付近で振動を起こしやすくなり高速制御の障害となっていた。
【0017】
さらに、オフラインで電子カム制御用のカムテーブルを作成する方法では、オンラインでの同期曲線の同期開始位置、同期範囲、同期比率の変更、また機械干渉を防ぐ為に特定点の通過等の変更指示に関して、リアルタイムに非同期カム曲線を生成して行くことができず、再度カムテーブルの作成が必要で、効率性が低下する。
【0018】
この発明は、同期制御区間と非同期制御区間の変位点において電子カムの加速度等がスムーズにつながることができ、振動等が発生しない電子カムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る電子カムの制御方法は、サーボモータを使用した電子カムの制御方法であって、制御対象物である従軸を主軸位置に対して同期して動作させる制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物である従軸を主軸位置対して同期せずに動作させるための制御を行なう非同期制御区間とを有する。そして、前記非同期制御区間における制御が、
電子カムの位置制御に5次関数を使用し、
電子カムの速度制御に4次関数を使用し、
電化カムの加速度制御に3次関数を使用して前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの加速度が0に近づくようにすることにより、前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの動作を滑らかに制御するようにした。
【0020】
また、非同期制御区間の終了位置情報として主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度の値を各関数の入力パラメータとして随時受付可能とするとよい。
【0021】
さらに、前記非同期制御区間の開始位置情報としてコントローラの制御サイクルごとに前回の制御サイクルで求めた主軸位置,カム位置,カム速度,カム加速度の値を各関数の入力パラメータとするとよい。
【0022】
さらにまた、前記非同期制御区間の途中特定通過点として設定された主軸位置に対するカム位置を通るように前記5次関数を求め、その途中特定通過点のカム加速度が0になるように前記3次関数を求めるようにするとよい。
【0023】
一方、本発明に係るサーボモータ制御システムは、制御対象物である従軸を主軸位置に対して同期して動作させる制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物である従軸を主軸位置対して同期せずに動作させるための制御を行なう非同期制御区間とを有するサーボモータ制御システムであって、非同期制御区間の開始位置および終了位置についての主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度を設定する境界点条件設定手段と、取得した主軸位置に基づき、同期制御区間内か非同期制御区間内かを判断する判断手段と、その判断手段の判断結果が、非同期制御区間の場合に前記非同期制御区間の開始位置および終了位置におけるカム位置、カム速度、カム加速度に基づき、5次関数からなる主軸位置に対するカム位置の非同期曲線と、4次間数からなる主軸位置に対するカム速度の非同期曲線と、3次関数による主軸位置に対する加速度の非同期曲線を求める制御曲線作成手段と、その制御曲線作成手段により求めた各非同期曲線と、前記取得した主軸位置とに基づきサーボモータを動作させるための出力情報を作成し出力する手段とを備えて構成した。
【0024】
そして、非同期制御区間中であってもその非同期制御区間の終了位置の主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度の値の入力を可能とし、前記制御曲線作成手段はその入力された各値に基づいて前記各非同期曲線を逐次作成するようにするとよい。
【0025】
前記制御曲線作成手段は、非同期制御区間中の制御サイクルごとに前のサイクルの主軸位置、カム位置、カム速度 、カム加速度を非同期曲線の開始位置として今回の制御サイクルにおける非同期曲線を作成する機能を備えるようにするとよい。
【0026】
さらにまた、前記非同期制御区間の途中特定通過点を設定する手段を備え、前記制御曲線作成手段は、非同期制御区間中に非同期曲線を作成するに際し、前記設定された途中特定通過点の主軸位置に対するカム位置を通るように前記5次関数を求め、その途中特定通過点のカム加速度が0に近づくように前記3次関数を求める処理をするように構成してもよい。
【0027】
さらに、前記制御曲線作成手段は、前記同期制御区間では、ボックスモーション曲線あるいはクランクモーション曲線に基づいて設定される同期曲線を作成する機能を備えることができる。
【0028】
本発明によれば、非同期曲線に主軸位置に対するカム位置の特性を5次曲線を用いることにより、非同期制御区間と同期制御区間での間で過速度等をスムーズにつなげることができる。また、非同期制御区間中にも制御サイクルで非同期曲線を逐次算出することで、目標位置が変更されても対応できる。また、前の制御サイクルで求めた各値を次の制御サイクルの非同期制御区間の開始位置の情報に設定することにより、仮に目標値が変更してもスムーズに対応できる。
【0029】
[用語の定義]
ここで、主軸とは、システムの全体の時間基準を取る為の軸のことを言う。例えば、この軸にエンコーダをつけてその主軸の信号を取ることで、主軸の位置(主軸位置)を求めることができる。また、時間基準を取る為のものなので、システムを制御するコントローラが生成する内部信号(例えば、内部タイマを用いて生成する信号)を主軸として使うこともできる。また、同期制御中の従軸は、主軸の動きに対して、何かしらの関数,変数,係数,定数を通して、動作する軸である。非同期制御中の従軸は、主軸の動きと関係なく動作する。
【0030】
同期制御は、例えば、主軸に繋がるワークと、従軸の機構の特定指定部分とが、所定の時期に所定の位置にあるように制御することである。よって、必然的に同期制御時の主軸と従軸の関係を特定する関数が決定される。この関数により表されるのが同期曲線となる。
【0031】
また、カム位置とは、主軸と従軸の位置関係を表す物をいう。例えば、実施の形態で言うと角度θは従軸の位置で、xは主軸の位置であるため、カム位置は
θ=f(x)
で表現することができる。従って、上記式をxで微分すると、カム速度(dθ/dx)になる。具体的には、
dθ/dx=df(x)/dx
となる。さらに、上記式をxで微分するとカム加速度(d2θ/dx2)となる。
【0032】
d2θ/dx2=d2f(x)/dx2
非同期制御は、上述した同期制御を行なわない区間における制御である。つまり、同期制御を終了後、次の同期制御が開始するまで、カム位置,カム速度,カム加速度を制御し、本発明では、非同期制御の終了時、つまり、次の同期制御が開始する時点でカム位置、カム速度、カム加速度を繋ぐ(切れることなく連続する)ように制御する。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、同期制御区間と非同期制御区間の変位点においてカム加速度等をスムーズにつながることができ、振動等が発生しないようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明が適用される制御システムの一例として、包装機械に対する制御システムを示している。まず、制御対象の包装機械について説明する。包装フィルム1は、一対のフィードローラ2によって挟まれ、そのフィードローラ2の回転に伴い連続して一定速度で引き出される。そのようにして引き出された包装フィルム1は、製袋器3を通過することで筒状に製袋される。また、製袋器3の上流側に設けられた被包装物搬送供給装置(フィンガーコンベア等)4により一定間隔ごとに搬送された被包装物5が、所定のタイミングで製袋器3内に供給される。これにより、筒状に製袋された包装フィルム1内には所定間隔ごとに被包装物5を内包する状態となり、その状態のまま搬送される。製袋器3の下流側には、センターシール装置6,エンドシール装置7が配置される。センターシール装置6は、一対の加熱ローラからなり、筒状に製袋された包装フィルム内の両側縁1aの重合部位を挟み込み、当該両側縁1aがセンターシール装置6を通過することにより、熱シールされる。エンドシール装置7は、筒状に製袋された包装フィルム1の所定位置(前後の被包装物の間)を横方向にシールするとともにカットするもので、後述するようにボックスモーション式,クランクモーション式など各種のタイプがある。いずれのタイプのものも、上下一対のエンドシーラを備え、そのエンドシーラの先端対向面がシール面となる。エンドシーラのシール面が無端状の所定の軌跡で移動し、その一対のエンドシーラのシール面は、エンドシーラが1回転するごとに1回包装フィルムを上下から挟み込み、加熱・加圧して熱シールする。また、そのエンドシーラのシール面には、カッターが内蔵されており、包装フィルムを熱シールするとともにカットして包装体8を製造する。
【0035】
フィードローラ2,センターシール装置6並びにエンドシール装置7は、それぞれ駆動モータM1〜M3に連携される。各駆動モータM1〜M3は、コントローラ10から指令値を受けて、所定の回転速度で回転駆動する。このコントローラ10は、包装機械に取り付けられ、この包装機械用のコントローラとして機能する。
【0036】
本実施の形態では、包装フィルム1は等速度で移動させることから、第1駆動モータM1も一定速度で等速回転している。また、第2駆動モータM2は、センターシール装置6の加熱ローラの周縁(包装フィルム1の両側縁1aに接触する部位)の移動速度が包装フィルム1の移動速度と等しいか、若干速い速度で動作するように一定速度で回転駆動する。なお、各種の要因により第1駆動モータM1の速度が加減速して包装フィルムの搬送速度が変動した場合には、それに追従して第2駆動モータM2の回転速度も加減速制御する。
【0037】
第3駆動モータM3は、サーボモータを用いて構成され、包装フィルム1の搬送状態に応じて回転速度を加減速制御する。すなわち、包装フィルム1は、その一方の側縁に一定間隔ごとにマークが印刷されている。このマークは、エンドシール部位に対して所定距離(0の場合も含む)だけずらした位置に印刷されている。従って、マークセンサS1からエンドシール装置7に至るまでの包装フィルム1の移動距離並びに包装フィルム1の搬送速度がわかっているため、マークセンサS1によりマークを検知してから、そのマークに対応するエンドシール部位がエンドシール装置7に至るタイミングが求められる。そこで、エンドシーラが包装フィルム1から離反している期間は、包装フィルム1の次のエンドシール部位がエンドシール装置7に来たときに一対のエンドシーラが包装フィルムを挟み込めるように、包装フィルム1の搬送速度,エンドシール部位の現在位置と関係なく第3駆動モータM3の回転速度が制御される。よって、この離反している期間の制御は、非同期制御となる。エンドシーラが包装フィルムのエンドシール部位を挟み込んでいる期間は、エンドシーラのシール面の移動速度を包装フィルム1の搬送速度に一致させるように第3駆動モータM3が制御される。よって、この挟み込んでいる期間の制御は、同期制御となる。
【0038】
この包装機械は、コントローラ10の制御信号に基づき動作する。コントローラ10は、電源ユニット11と、モーションコントロールユニット(モーションコントローラ)14と、そのモーションコントロールユニット14に対してデータ設定を行なうデータ設定コントロールユニット(データ設定コントローラ)15とを備えている。これらの各ユニットは、バックプレインバスその他の方式により、電気的、機械的に連結される。もちろん、これ以外のユニットを連結しても良い。なお、本実施形態では、サーボモータを用いた電子カム制御を司る専用のコントローラであるが、モーションコントロールユニット14とデータ設定コントロールユニット15を、プログラマブルコントローラ(シーケンス制御を行なう電子装置)を構成するユニットとし、CPUユニットやIOユニット等とともに連結し、プログラマブルコントローラと一体化しても良い。
【0039】
包装フィルム1の移動に基づきエンドシール装置7の動作を制御しているため、包装フィルムの搬送が主軸となり、エンドシール装置7側の動作(第3駆動モータM3)が従軸となる。主軸の動作(包装フィルム1の搬送)は、主軸エンコーダPG1の出力に基づいて求められる。この主軸エンコーダPG1は、例えば、主軸エンコーダPG1の回転軸を包装フィルム1に接触させ、包装フィルム1の移動に伴い主軸エンコーダPG1が回転するようにしても良いし、フィードローラ2の回転軸に連結しても良く、各種の形態がとれる。
【0040】
この主軸エンコーダPG1の検出信号は、モーションコントロールユニット14に与えられる。また、このモーションコントロールユニット14には、マークセンサS1の検出信号も入力される。そして、モーションコントロールユニット14内で演算処理し、その演算結果に基づく指令値(もしくはパルス列)をサーボドライバ20に向けて出力する。サーボドライバ20は、モーションコントロールユニット14から与えられた指令値と、従軸サーボモータである第3駆動モータM3に連携された従軸エンコーダPG2の出力信号とに基づき、第3駆動モータM3の回転動作を制御(同期制御,非同期制御)する。
【0041】
次に、本発明の要部となるデータ設定コントロールユニット15ならびにモーションコントロールユニット14の内部構成について説明する。図2は、説明の便宜上、包装機械側を模式的に記載している。制御対象となるエンドシール装置7は、従軸となる電子カムを、円を用いて模式的に示している。この電子カムを1周する都度、エンドシーラが所定の軌跡で1サイクル移動し、その途中で1度包装フィルム1を上下から挟み込み、シール・カットするようになる。
【0042】
主軸エンコーダPG1からの出力に基づき、基準位置からの包装フィルムの移動距離が求められる。本実施形態では、移動距離(変位)を1個の包装体を製造する都度リセットするのではなく、逐次積算していくように処理する。これに伴い、従軸(電子カム)の位相(カム位置:角度θ)も積算していく。つまり、仮に図2中、上側のエンドシーラのシール面が上方を向いている位置を従軸の基準位置とした場合、1回目は0度から360度までカム位置が変化していくが、2回目は360度からスタートし720度までカム位置が変化することになる。以下、リセットされるまで積算が継続する。
【0043】
データ設定コントロールユニット15は、図2に示すように、条件設定部15aと、カム境界点作成部15bとを備えている。条件設定部15aは、動作開始位置と、同期開始位置と、同期範囲と、同期比率と、非同期区間指定通過点と、動作終了位置との入力を受ける。受け付けた各条件は、カム境界点作成部15bに与えられる。
【0044】
ここで、動作開始位置,動作終了位置は一連の包装などの動作がどこから始まってどこで終わるかの設定をするものである。一般的に従軸の位相(角度θ)は0度から始まって、360度×n(nは正の整数)となる。
【0045】
同期開始位置は、電子カムの同期制御区間の開始位置を指定するもので、従軸の位相(角度θs)で設定する。
【0046】
同期範囲は、同期開始位置から、どのくらいの長さ同期させて、シールなどの動作をさせるかを設定する。同期開始位置+同期範囲を求めることで、同期終了位置を算出できる。
【0047】
同期比率は、主軸位置に対して掛け算,割り算することにより、同期しながら従軸の速度比率を変えるための条件を設定するものである。この同期比率により、同期制御区間における主軸の移動距離(位置)に応じた従軸の位置(カム位置:角度θ)が決定され、従軸の角速度等も特定される。つまり、同期制御区間における同期曲線が特定される。
【0048】
非同期区間指定通過点は、非同期制御区間中で通過すべき位置がある場合に指定する。例えば、主軸位置に対する従軸の位置等を指定することになる。
【0049】
これらの各条件の設定(データ入力)は、例えば、包装機械に取り付けられた操作パネル(プログラマブル表示器,タッチパネル等)を用いて、操作者が初期入力をする。また、実際の包装処理などの状況を見て人が再設定したり、センサー出力に基づいて自動的に再設定したりする。
【0050】
カム境界点作成部15bは、条件設定部15aで設定される基準となる各条件と、モーションコントロールユニット14経由で取得した現在の主軸位置xに基づき同期曲線と非同期曲線の境界点におけるカム位置,カム速度並びにカム加速度を求める。同期曲線は、制御対象のエンドシール装置の機構並びにフィルム搬送速度から一義的に決定されるもので、具体的には同期比率により決定される。そこで、同期制御区間から非同期制御区間へ切り替わる境界点における主軸位置,カム位置,カム速度並びにカム加速度と、非同期制御区間から同期制御区間へ切り替わる境界点における主軸位置,カム位置,カム速度並びにカム加速度とは、それぞれ同期曲線に基づいて求める。つまり、非同期曲線終了位置は、同期曲線開始位置を意味し、その境界点における4つの値である、
xe=主軸位置
θe=カム位置
ωe=カム速度
αe=カム加速度
を求める。
【0051】
同様に、非同期曲線開始位置は同期曲線終了位置を意味し、その境界点における4つの値である
xs=主軸位置
θs=カム位置
ωs=カム速度
αs=カム加速度
を求める。
【0052】
具体的には、1回目の包装処理における各変位点の主軸位置xe,xsは、条件設定部15aより与えられ、同期曲線も予めカム境界点作成部15bに与えておくことで、各主軸位置におけるカム位置,カム速度,カム加速度を演算により求めることができる。さらに、上述したように、主軸位置やカム位置は積算されていくため、2回目以降の包装処理を行なう際の各境界点における主軸位置xe,xsは、包装ピッチ(エンドシール間隔)の距離だけ順次加算することで求めることができる。また、各境界点におけるカム位置θe,θsは、360度を加算することで求めることができる。なお、条件設定の変更がなければ、各境界点におけるカム速度とカム加速度は、2回目以降の包装処理においても同じ値をとる。現在が何回目の包装処理をしているかは、モーションコントロールユニット14から主軸位置情報を取得しているため、その値から認識でき、必要に応じて新しい境界点の各値を算出し、モーションコントロールユニット14に設定する。
【0053】
一方、非同期区間指定通過点が設定されている場合には、非同期曲線に基づき指定された通過点(特定点)における4つの値
xm=主軸位置
θm=カム位置
ωm=カム速度
αm=カム加速度
を非同期曲線に基づいて算出する。
【0054】
ここで非同期曲線は、カム位置については5次曲線となり、カム速度については4次曲線となり、カム加速度については3次曲線になるようにする。つまり、カム位置は、非同期制御区間中において非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)と非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)を通るような5次曲線が基本的な非同期制御区間における制御曲線となる。そして、この非同期区間指定通過点が指定されている場合には、この指定された通過点(特定点)も通るような5次曲線を求め、それを非同期制御区間の制御曲線(非同期曲線)とする。
【0055】
図2に示すように、モーションコントロールユニット14は、主軸の現在の位置情報等を取得する現在情報取得部14aと、制御曲線作成部14bと、カム設定部14cと、命令設定部14dと、現在位置リセット部14eとを備えている。
【0056】
現在情報取得部14aは、リングカウンターを備え、主軸エンコーダPG1からのパルス出力をそのリングカウンターにてカウントアップすることで、現在の主軸位置(基準位置からの距離)を求め、さらに、単位時間当たりの主軸位置の移動距離から現在の主軸速度を演算し、さらにその主軸速度の変化分から主軸加速度を演算して求める。算出した現在の主軸位置,主軸速度,主軸加速度は、カム境界点作成部15bと、制御曲線作成部14bと、命令設定部14dに与える。
【0057】
現在位置リセット部14eは、現在情報取得部14aのリングカウンターをリセットし、基準位置を0からリスタートするためのものである。例えば、マークセンサS1からの検出信号に基づき、随時発することができる。例えば、別途用意されたリセットスイッチ(機械式のスイッチ,操作パネル(プログラマブル表示器,タッチパネル等)のタッチに基づく電子的のスイッチなど)が押下された後でマークセンサS1からマークの検出信号を受けたことを条件に現在情報取得部14aに対してリセット命令を発する。このように、ユーザによる入力に限ることはなく、例えば、正常運転開始後にマークセンサS1からマーク検出信号を入力したときや、マークセンサS1によるマーク検出が一定数に達した時など予め決めた条件に合致した場合に自動的にリングカウンターをリセットするようにしても良い。
【0058】
制御曲線作成部14bは、同期曲線並びに非同期曲線を作成するものである。すなわち、制御曲線作成部14bは、データ設定コントローラ15のカム境界点作成部15bから非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)における4つの値(xe=主軸位置,θe=カム位置,ωe=カム速度,αe=カム加速度)と、非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)における4つの値(xs=主軸位置,θs=カム位置,ωs=カム速度,αs=カム加速度)と、同期比率とを取得する。そして、現在情報取得部14aから、現在の主軸位置xを受け取る。
【0059】
そして、取得した現在の主軸位置が同期制御区間内か否かを判断し、同期制御区間内であれば、同期曲線を作成し、非同期制御区間内であれば非同期曲線を作成する。同期曲線は、具体的には、同期比率に基づき、同期位置曲線と、同期速度曲線と、同期加速度曲線とを生成する。
【0060】
一方、非同期曲線は、取得した主軸位置(x)の値を下記式に代入し、カム位置を規定する5次曲線と、カム速度を規定する4次曲線と、カム加速度を規定する3次曲線とをそれぞれ算出する。
【数1】
【0061】
上述した式において、非同期曲線終了位置に関する4つの値は、データ設定コントローラユニット15のカム境界点作成部15bから取得したデータを用いる。ただし、非同期曲線開始位置に関しては、非同期制御区間内に入った1回目の非同期曲線作成処理時には、当該カム境界点作成部15bから取得したデータを用いるもののコントローラ10の次の制御サイクルからは、前回の制御サイクルで求めた主軸位置xs,カム位置θs,カム速度ωs,カム加速度αsを非同期曲線開始位置として設定する。これらの各値は、次段のカム設定部14cで算出した値を用いて設定する。コントローラは、設定された演算処理,入出力のリフレッシュ処理,周辺処理等をサイクリックに繰り返し実行する。制御サイクルは、これら一連の処理を一回実行することである。一回の制御サイクルを実行することで、制御曲線を求める演算処理も一回実行され、各設定値が求められる。換言すると、制御サイクルごとに設定値が算出される。
【0062】
このようにすることにより、サーボシステムにおける5次曲線による同期曲線に対してのリアルタイム補間制御ができる。つまり、1回の包装処理中に目標値の変更があった場合、常に前回の制御サイクルで求めた各値を非同期曲線開始位置とし、その非同期曲線開始位置と目標値との間を通る5次曲線その他の各曲線を求めることで、指令値が離散的に急激に変化することを抑制できる。もちろん、係るリアルタイム補間制御を必要としない場合には、非同期曲線開始位置もカム境界点作成部15bから取得したデータを用いるようにして良い。
【0063】
カム設定部14cは、制御曲線作成部14bで作成された各曲線(同期曲線,非同期曲線)を取得するとともに、現在情報取得部14aで取得した主軸の現在位置xを取得し、現在の主軸位置に対するカム位置,カム速度並びにカム加速度を設定するものである。
【0064】
すなわち、制御曲線作成部14bが現在の主軸位置に応じて同期曲線か非同期曲線のいずれかを作成し、その作成した曲線をカム設定部14cに与える。従って、カム設定部14cは、与えられた曲線を示す関数中の変数であるxに現在の主軸位置の値を代入することで、カム位置,カム速度,カム加速度をそれぞれ求める。
【0065】
そのようにして求めたカム位置θ,カム速度dθ/dx並びにカム加速度d2θ/dx2は、次の制御サイクルのために制御曲線作成部14bに渡すとともに、命令設定部14dに渡す。命令設定部14dは、現在情報取得部14aから主軸速度dx/dt(mm/sec)と、主軸加速度d2x/dt2(mm/sec2)も取得する。これらの取得した情報に基づき、下記式に基づき、従軸位置,従軸速度,従軸加速度を求め、サーボドライバ20に与える。
【数2】
【0066】
図3は、モーションコントローラユニット14の動作フローチャートを示している。この動作フローチャートが、制御サイクルごとに実行される。すなわち、まず現在情報取得部14aが主軸エンコーダPG1より主軸の現在位置xを取得する(S1)。そして、制御曲線作成部14bが、取得した現在位置xに基づき、主軸位置が同期制御区内か否かを判断し(S2)、同期制御区間の場合には、同期曲線を作成し(S3)、同期制御区内でない(非同期制御区内である)場合には、非同期曲線(5次曲線,4次曲線,3次曲線)を作成する(S4)。なお、各曲線の具体的な処理は、上述した通りである。
【0067】
ついで、カム設定部14cが、処理ステップS3またはS4を実行して作成された曲線(同期曲線/非同期曲線)に基づいて、電子カムの現在の値(カム位置,カム速度,カム加速度)を設定する(S5)。そして、その設定した各値は、次の制御サイクル時における非同期曲線開始位置として制御曲線作成部14bに渡す(S6)。
【0068】
処理ステップS5を実行して求められたカムの各値に基づき、サーボドライバ20に対する指令値を求め、出力する(S7)。そして、継続するか否かを判断し(S8)、継続する場合には処理ステップS1に戻り次の制御サイクルにはいる。継続するか否かの判断は、例えば、包装処理の終了命令,停止命令が入力されるか否かや、予め設定した条件(包装個数,終了時間)を合致するか否かなどにより求める。
【0069】
上記した非同期制御区間内の制御曲線(非同期曲線)の一例を示すと、図4から図6に示すようになる。図4は、位相(主軸位置)に対する変位(従軸のカム位置)の相関関係を示し、図5は位相(主軸位置)に対する速度の相関関係を示し、図6は位相(主軸位置)に対する加速度の相関関係を示している。仮に同期目標位置(非同期制御区間の終了位置や開始位置などの境界点)の変更がないとすると、非同期制御区間内におけるカム位置,カム速度,カム加速度は、各図に示した曲線に従って繰り返し実行する。処理ステップS6にて現在の主軸位置に基づいて設定した各値を次の制御サイクル時における非同期曲線開始位置として非同期曲線を作成する場合も同様である。そして、いずれの場合も境界点における速度並びに加速度が0(ほぼ0)になっているため、同期制御区間における同期曲線とスムーズにつなげることができ、境界点において振動・衝撃等を生じることが無い。
【0070】
ここで、図7から図9に示すように、非同期曲線開始位置の主軸位置xs=200mm、従軸位置θs=225deg、速度ωs=0.382deg/mm、加速度αs=−0.00509deg/mm2として設定する。当初非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)の主軸位置xe=271mm、従軸位置θe=495deg、速度ωe=0.267deg/mm,加速度αe=0.00250deg/mm2として設定する。
【0071】
この状態において主軸位置が255mmの時に、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)の主軸位置xe=271mm、従軸位置θe=600deg、速度ωe=0.763deg/mm,加速度αe=0.02012deg/mm2に変更する。すると、その主軸位置が255mmの直前の位置、速度、加速度と、変更された各値を結ぶ非同期曲線が再設定されるため、機械の衝撃、振動を防ぐことができる。
【0072】
なお、仮に、主軸位置が255mmの時に上記のように各目標値の変更があった場合に、今回の非同期制御区間の開始位置である主軸位置xs=200mmと、新目標値を結ぶ制御曲線(非同期曲線)を再設定すると、255mmの時の各値(位置,速度,加速度)は現在の255mmの時の各値に比べ大きく異なることがあり、そうすると、図示したように連続した曲線で接続されなくなり、その非連続点において機械の衝撃、振動を生じるおそれがある。
【0073】
本実施形態の装置は、制御サイクルごとに制御曲線を算出するため、同期制御区間内での速度が一定でなく、加速度が両端で発生するような同期曲線に対しても、位置,速度,加速度をつなぐことができるとともに、次の同期曲線の開始位置、速度、加速度が途中で変わってとしても、位置、速度、加速度を繋いで、サーボシステムを動かすことができる。よって、本実施形態の装置は、機械系に与える衝撃、振動を少なくすることができ、同期曲線の開始位置、速度、加速度の変更に対してもスムーズな動作が可能となる。
【0074】
次に、非同期制御区間内における途中特定通過点を指定した場合の対応について説明する。データ設定コントローラユニット15の条件設定部15aにより非同期区間指定通過点(非同期制御区間内における途中特定通過点)が設定されている場合には、その途中特定通過点に関する情報(xm=主軸位置,θm=カム位置,ωm=カム速度,αm=カム加速度)が、カム境界点作成部15b経由で制御曲線作成部14bに与えられる。
【0075】
制御曲線作成部14bは、現在の主軸位置が非同期制御区間内の場合には、非同期曲線を作成するが、このとき、現在の主軸の位置xがxs≦x≦xmの場合には、上述した各非制御曲線を求める際の演算式において、xe=xm、θe=θmとして設定する。そして、主軸現在位置xがxmを越えた時点で、上述した各非同期曲線を求める際の演算式において、xs=xm 、θs=θmとして設定する。つまり、指定された中間点を通るようにして、5次曲線同士で結ぶ。これにより、中間点では、加速度が0(ほぼ0)になる。
【0076】
図10から図12は、主軸位置が非同期制御区間内に存在する場合に生成される非同期曲線の一例を示している。図10は、主軸位置と従軸位置の関係を示している。図10においては、非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)から途中特定通過点を通って、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)に至る5次曲線が示されている。2つの5次曲線が途中特定通過点の付近も滑らかな曲線となっている。
【0077】
図11は、主軸位置と従軸速度の関係を示し、図12は、主軸位置と従軸加速度の関係を示している。図11及び図12においても、非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)から途中特定通過点を通って、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)に至る5次曲線が示されている。そして、図12においては、途中特定通過点で加速度が0に近づくように非同期曲線が示されている。
【0078】
非同期曲線開始位置の主軸位置xs=200mm、従軸位置θs=225deg、速度ωs=0.382deg/mm、加速度αs=−0.00509deg/mm2として設定する。非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)の主軸位置xe=271mm、従軸位置θe=495deg、速度ωe=0.267deg/mm、加速度αe=0.00250deg/mm2として設定する。途中特定通過点は主軸位置:xm=250mm,従軸位置θm=400deg,速度ωm=(θe−θm)/(xe−xm)=4.524deg/mm,速度αm=0(deg/mm2)と設定する。すると、図11の位相と速度の特性に示すように速度を停止させることなく、図12の位相と加速度の特性に示すように、加速度を繋いで滑らかな動作が可能である。
【0079】
次に、エンドシール装置7がボックスモーションタイプの場合について説明する。図13は、ボックスモーション式のエンドシール装置を模式的に示した図である。この図13に示すように、サーボモータからなる第3駆動モータM3の回転力をベルト,チェーン等の動力伝達手段7aを介して回転板7bに伝達する。回転板7bには、径方向に沿って、往復移動可能なスライダ7cを備える。このスライダ7cは、回転板7bの回転に追従して公転移動するとともに、その公転移動時に径方向に移動可能となる。スライダ7cは、ボックス状のカイダ7dに連係される。これにより、回転板7bの回転に伴い、スライダ7cは公転するが、その移動軌跡はガイド7dにより規定される無端状の軌跡に沿うことになる。よって、ガイド7dの包装フィルム1に沿って水平に移動する区間7d′を作ることで、スライダ7cは、包装フィルム1に沿って一定期間同一の距離を保ちながら前進移動し、その後上昇移動→後退移動→下降移動を経て基の水平に移動する区間7dに至るように動作する。尚、図では便宜上、上側のみ記載しているが、下側にも同様の機構がある。
【0080】
そして、このスライダ7cをエンドシーラに連結して一体化することで、エンドシーラもスライド7cの移動軌跡に沿って移動する。このとき、上記の水平に移動する区間7d′を移動中のエンドシーラのシール面が包装フィルム1に接触し、上下から挟み込むことができ、エンドシーラの移動速度と包装フィルム1の搬送速度が一致するように回転板7bを回転させることで同期制御が行なえる。また、それ以外の区間が非同期制御区間となる。
【0081】
なお、図13ではエンドシーラのシール面の移動軌跡は略矩形状(各コーナは円弧)の軌跡(2点鎖線)を示しているが、非同期制御区間の軌跡は任意である。さらに、係る所定の軌跡で移動させるための機構も各種の形態をとれ、回転板7bなど無くても良いし、エンドシーラ自体がスライダ7cとなっていても良い。要は、第3駆動モータM3の回転に伴い、エンドシーラが所定の無端状の軌跡で移動し、その移動途中に包装フィルム1と平行に移動(このときは、包装フィルムを挟み込んでシールする)する区間を備えていれば良く、係る軌跡で移動させるための機構は任意である。また、第3駆動モータM3が1回転するごとに、回転板7bが1回転するようにしてもよいし、異なっていても良い。上述した電子カムの角度は、図13でいうと回転板7bの回転角度に対応する。
【0082】
図14は、ボックスモーションの機構を抽象化し、電子カムと包装フィルム1を示している。図14に示すように、主軸の包装フィルム1が基準位置(0mm)からx1まで搬送されてきたときに同期が開始し、主軸位置がx2に来たときに同期が終了する。従って、同期制御区間における包装フィルム1の移動距離は、x2−x1となる。一方、従軸では電子カムの位置が0度の基準位置から包装処理が開始したとし、1回目の包装処理では、θ1の時から同期が開始し、θ2の時まで同期制御を行なう。従って、同期制御区間はθ2−θ1の角度範囲となる。
【0083】
その後、非同期制御区間になり、その非同期制御区間の終了位置(次の同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx3で、従軸のカム位置がθ3となり、その同期制御区間の終了位置(次の非同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx4で、従軸のカム位置がθ4となっている。
【0084】
包装機械におけるボックスモーションのカム曲線は以下の通りである。主軸x,従軸θが、それぞれx1≦x≦x2,θ1≦θ≦θ2のときが同期制御区間となる。この同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2のそれぞれの同期曲線は、下記式[数3]のようになる。
【数3】
【0085】
上記の式に従い、以下の同期制御区間中は、主軸の位置に基づき以下の位置、速度、加速度について、コントローラの制御サイクルごとに設定して動かす。
【0086】
主軸の速度 dx/dt(mm/sec)
主軸の加速度 d2x/dt2(mm/sec2)
従軸位置=カム位置θ
従軸速度 dθ/dt(deg/sec)=(dθ/dx)*(dx/dt)
従軸加速度 d2θ/dt2(deg/sec2)=
(d2θ/dx2)*(dx/dt)2+(dθ/dx)*(d2x/dt2)
【0087】
そして、上述した式に基づくボックスモーションの同期制御区間における動作曲線例は、図15から図17に示す通りであり、各図では、実単位を入れて示している。x0=0mm,x1=50mm,x2=200mm,θ0=0deg,θ1=135deg,θ2=225deg,R=106mm,y=75mmである。
【0088】
次に、非同期制御区間の制御曲線の算出について説明する。まず、非同期曲線開始位置(ボックスモーションカム同期曲線終了位置)では、主軸x=x2(mm)となる。同期開始点の変動がないとすると、上記した同期曲線を特定する各式は、以下の[数4]で示すようになり、その[数4]の式中にx=x2を代入することで、[数5]に示すように同期終了位置における各カム位置,カム速度,カム各速度の値を求めることができる。
【数4】
【数5】
【0089】
これにより、xs=x2、θs=θ2、ωs=ω2、αs=α2を、非同期曲線を求める際の前のカムの値として取り込む。
【0090】
また、目標値の変更がない場合には、次の同期制御区間は、主軸位置x=x3になった時から開始し、主軸位置がx3≦x≦x4の間、同期曲線に従って制御する。そして、係る次の同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2は、それぞれ下記式[数6]に示す同期曲線にしたがって制御される。
【数6】
【0091】
そして、この同期制御区間の開始位置(x=x3)における各カム位置,カム速度,カム各速度の値は、[数7]を実行し、求めることができる。そして、その求めた各値が、主軸xの位置が、x2≦x≦x3までの間の非同期制御区間における終了位置の各値、つまり、当該非同期制御区間におけるそれぞれの目標値となる。換言すると、xe=x3、θe=θ3、ωe=ω3、αe=α3として、非同期曲線に随時設定される。
【数7】
【0092】
そして、主軸位置がx=x2の時の目標値(非同期制御区間の終了位置における主軸位置)xeはx3であるため、両点を通るような5次曲線を作成する。そして、主軸現在位置x(mm)がxs≦x≦xe、つまり、x2≦x≦x3の時、毎制御サイクルごとに5次曲線を求め、動かす。また、一度非同期制御区間内に入り、各設定値(カム位置,カム速度,カム加速度)を求めたならば、図3のフローチャートの処理ステップS6の実行に伴い、次の制御サイクルにおける非同期曲線開始位置に設定される。このように非同期曲線開始位置を逐次更新しながら主軸位置x=x3になるまで5次曲線に基づく非同期制御を行なう。
【0093】
以後、制御動作区間と非制御動作区間とを交互に繰り返し実行することになり、途中で目標値が変更された場合には、その都度演算処理をし、非同期曲線は5次曲線で同期曲線とつなぐことになる。
【0094】
一例を示すと、図18から図21に示すようになる。つまり、図18に示すように、位相と変位のごとくボックス曲線の同期を開始する場所や、同期比率を変えても、図19に示す位相と速度の特性に示すように境界点でスムーズに速度が繋がる。同様に図20に示す位相と加速度の特性においても、図21の拡大図で確認できるように加速度も境界点で繋がる。よって、衝撃と振動が発生しにくい。そして、制御サイクルごとに従軸のサーボの目標位置,目標速度,目標加速度を設定しているので、オンラインで同期を開始する場所、比率を変えても対応が可能である。
【0095】
次にエンドシール装置7が、クランクモーションタイプの場合について説明する。図22は、クランクモーション式のエンドシール装置を模式的に示した図である。この図22に示すように、サーボモータからなる第3駆動モータM3の回転力をベルト,チェーン等の動力伝達手段7aを介して回転板(クランクアームのような機能を有する)7bに伝達する。回転板7bの周縁付近にはクランクピン7fが設けられ、そのクランクピン7fに連接棒7gの一端が回転可能に連結される。この連接棒7gの他端には、スライダ7hが連結され、このスライダ7hがガイドレール7i内を往復直線移動可能となる。これにより、第3駆動モータM3の回転に伴い回転板7bが回転すると、それに伴いクランク機構によりスライダ7hが往復直線運動を繰り返し行なう。そして、このスライダ7hにエンドシーラを上下移動可能に連結する。
【0096】
図22では包装フィルム1の上側の機構のみ記載しているが、同様の機構を下側にも設置する。そして、所定タイミングでエンドシーラを上下移動させ、同期開始点に来たときに包装フィルムを上下から挟み込み、その状態のまま前進移動させ、同期終了点に来たならばエンドシーラが離反する。その後所定の軌跡でシーラが前後進移動し、基の同期開始点に至る。
【0097】
このように、エンドシーラが包装フィルムを挟み込んでいるときは、エンドシーラつまりスライダ7h野前進移動速度が、包装フィルム1の搬送速度と一致するように回転板7bの回転速度を制御(同期制御)し、それ以外の非同期制御区間では、包装フィルムの次のエンドシール部位が同期開始点に来たときにエンドシーラが当該同期開始点に至るように制御することになる。
【0098】
図23は、クランクモーションの機構を抽象化し、クランク機構と包装フィルム1を示している。図23に示すように、主軸の包装フィルム1が基準位置(0mm)からx1まで搬送されてきたときに同期が開始し、主軸位置がx2に来たときに同期が終了する。従って、同期制御区間における包装フィルム1の移動距離は、x2−x1となる。一方、従軸では電子カムの位置が0度の基準位置から包装処理が開始したとし、1回目の包装処理では、θ1の時から同期が開始し、θ2の時まで同期制御を行なう。従って、同期制御区間はθ2−θ1の角度範囲となる。
【0099】
その後、非同期制御区間になり、その非同期制御区間の終了位置(次の同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx3で、従軸のカム位置がθ3となり、その同期制御区間の終了位置(次の非同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx4で、従軸のカム位置がθ4となっている。
【0100】
クランクモーションのカム曲線は、以下の通りである。主軸x,従軸θが、それぞれx1≦x≦x2,θ1≦θ≦θ2のときが同期制御区間となる。この同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2のそれぞれの同期曲線は、下記式[数8]のようになる。
【数8】
【0101】
上記の式に従い、以下の同期制御区間中は、主軸の位置に基づき以下の位置、速度、加速度についてコントローラの制御サイクルごとに設定して動かす。
【0102】
主軸の加速度 d2x/dt2(mm/sec2)
従軸位置=カム位置θ
従軸速度 dθ/dt(deg/sec)=(dθ/dx)*(dx/dt)
従軸加速度 d2θ/dt2(deg/sec2)=
(d2θ/dx2)*(dx/dt)2+(dθ/dx)*(d2x/dt2)
【0103】
上述した式に基づくクランクモーションの同期制御区間における動作曲線例は、図24から図26に示す通りであり、各図では、実単位を入れて示している。x0=44.2mm,x1=200mm,θ0=135度,θ1=225度,R=70mm,y=70mm,L=200mmである。
【0104】
次に、非同期制御区間の制御曲線の算出について説明する。まず、非同期曲線開始位置(クランクモーションカム同期曲線終了位置)では、主軸x=x2(mm)となる。同期開始点の変動がないとすると、上述した同期曲線を特定する各式は、以下の[数9]で示すようになり、その[数4]の式中にx=x2を代入することで、[数10]に示すように同期終了位置における各カム位置,カム速度,カム各速度の値を求めることができる。
【数9】
【数10】
【0105】
これにより、xs=x2、θs=θ2、ωs=ω2、αs=α2を、非同期曲線を求める際の前のカムの値として取り込む。また、目標値の変更がない場合には、次の同期制御区間は、主軸位置x=x3になった時から開始し、主軸位置がx3≦x≦x4の間、同期曲線に従って制御する。そして、係る次の同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2は、それぞれ下記式[数11]に示す同期曲線にしたがって制御される。
【数11】
【0106】
そして、この同期制御区間の開始位置(x=x3)における各カム位置,カム速度,カム各速度の値は、[数12]を実行し、求めることができる。そして、その求めた各値が、主軸xの位置が、x2≦x≦x3までの間の非同期制御区間における終了位置の各値、つまり、当該非同期制御区間におけるそれぞれの目標値となる。換言すると、xe=x3、θe=θ3、ωe=ω3、αe=α3として、非同期曲線に随時設定される。
【数12】
【0107】
そして、主軸位置がx=x2の時の目標値(非同期制御区間の終了位置における主軸位置)xeはx3であるため、両点を通るような5次曲線を作成する。そして、主軸現在位置x(mm)がxs≦x≦xe、つまり、x2≦x≦x3の時、毎制御サイクルごとに5次曲線を求め、動かす。また、一度非同期制御区間内に入り、各設定値(カム位置,カム速度,カム加速度)を求めたならば、図3のフローチャートの処理ステップS6の実行に伴い、次の制御サイクルにおける非同期曲線開始位置に設定される。このように非同期曲線開始位置を逐次更新しながら主軸位置x=x3になるまで5次曲線に基づく非同期制御を行なう。
【0108】
以後、同期制御区間と非同期制御区間とを交互に繰り返し実行することになり、途中で目標値が変更された場合には、その都度演算処理をし、非同期曲線は5次曲線で同期曲線とつなぐことになる。
【0109】
一例を示すと、図27から図29に示すようになる。つまり、図27に示すように、位相と変位のごとくボックス曲線の同期を開始する場所や、同期比率を変えても、図28に示す位相と速度の特性に示すように境界点でスムーズに速度が繋がる。同様に図29に示す位相と加速度の特性においても、加速度が境界点で繋がる。よって、衝撃と振動が発生しにくい。そして、制御サイクルごとに従軸のサーボの目標位置,目標速度,目標加速度を設定しているので、オンラインで同期を開始する場所、比率を変えても対応が可能である。
【0110】
上述した各実施形態では、いずれも包装機械のエンドシール装置用の駆動モータ(サーボモータ)の制御に適用した例を示したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、包装フィルムに被包装物を供給する被包装物搬送供給手段の駆動モータ(サーボモータ)に対する制御にも利用できる。すなわち、被包装物の搬送速度と包装フィルムの搬送速度は通常異なるので、例えば、包装フィルムを一定の速度で搬送している場合に、被包装物を包装フィルムに供給する間だけ、被包装物の搬送速度を包装フィルムの搬送速度に同期してあわせ、それ以外の期間は包装フィルムの搬送速度と非同期制御をし、所定の非同期曲線(5次曲線等)により制御することができる。
【0111】
エンドシール装置7の一形態として、上述のボックスモーション式やクランクモーション式以外に、ロータリーモーションと称されるものタイプもある。このロータリーモーションタイプのエンドシール装置7は、上下一対の回転軸にそれぞれエンドシーラを直接または間接的に取り付ける。そして、回転軸の回転に伴いエンドシーラも回転し、所定のタイミングで上下のエンドシーラが包装フィルムを上下から挟み込んでシールし、カットする。
【0112】
ここで、上述した各タイプのエンドシール装置と同様に、最初の同期制御区間開始位置における主軸位置がx1で従軸位置がθ1とし、同期制御区間終了位置(非同期制御区間開始位置)における主軸位置がx2で従軸位置がθ2とする。そして、次の同期制御区間開始位置における主軸位置がx3で従軸位置がθ3とし、同期制御区間終了位置(非同期制御区間開始位置)における主軸位置がx4で従軸位置がθ4とする。すると、θ1≦θ2≦θ3≦θ4,x1≦x2≦x3≦x4なる関係が生じる。
【0113】
そして、同期曲線は、
(θ−θ1)=(θ2−θ1)/(x2−x1)*(x−x1)
で表される。ここで、θは従軸の位置であり、xは主軸の位置である。
【0114】
上記の式をxで微分すると、
dθ/dx=(θ2−θ1)/(x2−x1)
となる。つまりカム速度は、
ω1=ω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)
である。更に上記の式をxで微分すると、
d2θ/dx2=0となり。カム加速度は0である。
【0115】
同様に、次の同期曲線は
(θ−θ3)=(θ4−θ3)/(x4−x3)*(x−x3)
で表される。
【0116】
上記の式をxで微分すると、
dθ/dx=(θ4−θ3)/(x4−x3)
となる。
【0117】
カム速度は
ω3=ω4=(θ4−θ3)/(x4−x3)
である。更にxで微分すると、
d2θ/dx2=0となり、カム加速度は0である。
【0118】
上述の各値、つまり、xs=x2,xe=x3,θs=θ2,θe=θ3を[数12]の式に代入すると、
ωs=ω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)
ωe=ω3=(θ4−θ3)/(x4−x3)
αs=0 αe=0 として代入して同期曲線間を繋ぐ非同期曲線を作る。
【0119】
これにより、滑らかな波形が可能である。そして、上述した実施形態によれば、xs、θs、ωs、αsに前のカムの値が入るため、次の同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【0120】
ボールネジ、ラックアンドピニオンによる同期動作に適用する場合を考える。従軸のサーボモータをボールネジ或いはラックアンドピニオンの機械系につけるとする。ボールネジ或いはラックアンドピニオンは主軸のワークに平行に置かれている。この場合の動作は以下のようになる。
【0121】
y=p×θ
ここで、yはボールネジあるいはラックアンドピニオンの移動量であり、一般的にmmで示される。そして、ボールネジの場合は、
P=ボールネジのピッチ/360(度)
となり、ラックアンドピニオンの場合は、
P=ピニオン径×π/360(度)
となる。
【0122】
xは主軸の位置で
y2=p×θ2、y1=p×θ1
の関係があるので、同期曲線は、
(y−y1)=(y2−y1)/(x2−X1)*(x−x1)
から、
(θ−θ1)=(θ2−θ1)/(x2−X1)*(x−x1)
で表される。ここで、θは従軸の位置、xは主軸の位置、θ2は従軸の同期曲線終了位置、θ1は従軸の同期曲線開始位置、x2は主軸の同期曲線終了位置、x1は主軸の同期曲線開始位置である。
【0123】
上記の式をxで微分すると、
dθ/dx=(θ2−θ1)/(x2−x1)
となる。つまりカム速度は
ω1=(θ2−θ1)/(x2−x1)
である。
【0124】
更にxで微分すると、
d2θ/dx2=0となり、カム加速度は0である。
【0125】
従軸が動き出す位置つまり非同期曲線開始位置は、主軸の位置がx0,従軸の位置がθ0,カム速度ω0=0,カム加速度α0=0、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)は主軸の位置がx1、従軸の位置はθ1となる。
【0126】
そして、カム速度は、
ω1=(θ2−θ1)/(x2−x1)
カム加速度は、
α1=0
となる。
【0127】
そして、上述した[数12]の式にxs=x0,xe=x1,θs=θ0,θe=θ1,ωs=ω0=0、ωe=ω1=(θ2−θ1)/(x2−x1),αs=0,αe=0を代入することで同期曲線間を繋ぐ非同期曲線を作る。
【0128】
同期曲線終了位置(非同期曲線開始位置)は、主軸の位置x2,従軸の位置はθ2となる。カム速度はω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)、カム加速度は0である。従軸が停止する位置つまり非同期曲線終了位置は、主軸の位置がx3,従軸の位置がθ3である。そして、カム速度,カム加速度α0は0となる。
【0129】
同様にxs=x2,xe=x3,θs=θ2,θe=θ3,ωs=ω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)、ωe=0,αs=0,αe=0として[数12]に代入して同期曲線間を繋ぐ非同期曲線を作ることができる。
【0130】
ボールネジやラックアンドピニオンは両端には限界があるため停止が必要である。そこで、本発明を用いることにより、滑らかな波形が可能となる。さらに、上述した実施形態を適用することによりxs、θs、ωs、αsには前のカムの値が入るため、同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【0131】
さらに、シール装置ではなく、単独のカッター装置にも適用できる。また、シールやカットの対象物は、包装フィルムに限らず、各種のシート状のものに適用できる。
【0132】
上述した実施形態では、包装機械に適用した例を示したが、本発明これに限ることはなく、各種の装置に対する制御に適用できる。一例を示すと、印刷機械に有効である。印刷機械は紙等の被印刷物と、印刷面があるロール部分が同期して動作する。この動作の中で印刷を開始する場所を前後に補正したい場合がある。この補正動作に本発明の5次曲線による非同期制御を使うことによって、滑らかに補正動作を行うことが可能となる。
【0133】
また、建材の同期切断、同期により流れてくる電子部品や基盤に対しての加工や部品の挿入、ガラスへの同期切断や加工、ラインを流れている自動車へ同期して加工や部品の挿入等の同期制御に関して、非同期区間を本発明の非同期制御を使うことによって、滑らかな波形が可能となる。さらに、上述した実施形態を適用することにより同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【0134】
さらにまた、直交系のロボット、水平、円筒、垂直ロボットの複数軸の同期制御に関しても、非同期区間における、ロボット各軸の動作に本発明の非同期制御を使うことによって、滑らかな波形が可能となる。さらに、上述した実施形態を適用することにより同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の好適な一実施形態が適用される包装システムの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る制御システムの一実施形態を示す図である。
【図3】モーションコントロールユニットの機能を示すフローチャートである。
【図4】非同期制御区間内における非同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図5】非同期制御区間内における非同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図6】非同期制御区間内における非同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図7】非同期制御区間内における目標値を変更した場合の非同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図8】非同期制御区間内における目標値を変更した場合の非同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図9】非同期制御区間内における目標値を変更した場合の非同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図10】非同期制御区間内における通過すべき特定点を指定した場合の非同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図11】非同期制御区間内における通過すべき特定点を指定した場合の非同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図12】非同期制御区間内における通過すべき特定点を指定した場合の非同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図13】ボックスモーション式のエンドシール装置の一例を示す模式図である。
【図14】ボックスモーションの機構を抽象化し、電子カムと包装フィルムの関係を示した図である。
【図15】ボックスモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図16】ボックスモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図17】ボックスモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図18】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−位置特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図19】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図20】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−加速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図21】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−加速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す拡大図である。
【図22】クランクモーション式のエンドシール装置の一例を示す模式図である。
【図23】クランクモーションの機構を抽象化し、電子カムと包装フィルムの関係を示した図である。
【図24】クランクモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図25】クランクモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図26】クランクモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図27】クランクモーション式のエンドシール装置における位相−位置特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図28】クランクモーション式のエンドシール装置における位相−速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図29】クランクモーション式のエンドシール装置における位相−加速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
10 コントローラ
14 モーションコントロールユニット
14a 現在情報取得部
14b 制御曲線作成部
14c カム設定部
14d 命令設定部
14e 現在位置リセット部
15 データ設定コントローラユニット
15a 条件設定部
15b カム境界点作成部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装機械等の各種の産業機械は、駆動源としてサーボモータ等の速度制御可能なモータが用いられる。包装機械は、包装機本体と、帯状の包装フィルムを連続して引き出して包装機本体に供給するフィルム供給手段と、包装機本体に対して被包装物を所定間隔ごとに供給する被包装物供給手段と、を備えている。包装機本体は、供給された包装フィルムを、被包装物を包み込むことができる形態になるように適宜加工(例えば、筒状に製袋,ポケット成型等)するとともに、その加工された包装フィルム内に被包装物を収納する装置を備える。さらに包装機本体は、包装フィルムに被包装物を収納した状態で搬送し、その搬送途中で包装フィルムの適宜位置をシールしたり、カットしたりすることにより個々の包装体を製造する装置を備える。
【0003】
包装フィルムに対するシール処理は、進行方向に沿ったフィルム側縁と、進行方向と直交する方向とに対して行なう。各シール部位は、それぞれ異なるタイプのシール装置を用いてシール処理が行なわれる。
【0004】
包装機械の場合、例えば、フィルム供給手段において帯状のフィルムを連続的に引き出す処理や、被包装物供給手段にて被包装物を搬送するとともに包装機本体に供給する処理や、包装機における各シール装置の駆動源として、それぞれサーボモータやその他のモータが用いられる。
【0005】
包装フィルムに対して進行方向と直交する方向にシールするためのエンドシール装置は、上下一対のエンドシーラ(ヒータ内蔵)を備え、そのエンドシーラを所定の軌跡で移動させ、エンドシーラの先端のシール面同士で包装フィルムを上下から所定の圧力で挟み込むことで包装フィルムの接触部位を溶融し、熱シールするようになっている。エンドシーラのシール面の移動軌跡は、大別すると円形と、略矩形状に代表される非円形の2種類がある。前者の円形の軌跡を採るエンドシール装置は、ロータリーモーション式とも称され、上下一対の回転軸にそれぞれエンドシーラを取り付け、回転軸を一定方向に回転させることでエンドシーラを回転移動させるように構成される。エンドシーラのシール面は、円弧状に形成しているとともに、その円弧の曲率半径は円形の軌跡曲率半径とほぼ一致させている。これにより、一対のエンドシーラが回転すると、互いのシール面は、進行方向前方側から徐々に線接触し、結果としてシール面の幅に相当するエンドシール部位が形成される。
【0006】
略矩形状等の非円形の軌跡を採るエンドシール装置は、ボックスモーション式やクランクモーション式がある。いずれの方式も、上下一対のエンドシーラがフィルムを挟み込んだ状態で水平移動することで、シール面が包装フィルムのエンドシール部位と接触している時間を長くする。この方式は、フィルムに対する加熱時間を長くできるので、包装フィルムが溶融・軟化しづらく、熱シールしにくいフィルム材の場合に、適用される。
【0007】
なお、エンドシール装置では、エンドシーラのシール面にカッターを内蔵させ、包装フィルムを横方向にエンドシールするとともに切断することで、包装フィルムの先頭から順に被包装物を収納した包装体を1つずつ分離製造するようになる。
【0008】
さらに、エンドシール装置は、エンドシーラが1回転(1公転)移動する都度、包装フィルムの所定部位(前後の被包装物の間のフィルム部位)を横方向にシールする。従って、包装フィルムのエンドシールを施す所定部位がエンドシール装置の設置箇所に来るタイミングに合わせて一対のエンドシーラが包装フィルムを挟み込むように制御する必要がある。つまり、包装フィルムが一定速度で搬送するように制御されている場合、同一の製品を包装する場合には、包装ピッチ(包装フィルムのエンドシールする部位の間隔)も等しいため、一定の時間(搬送速度×包装ピッチ)間隔でエンドシーラ同士がフィルムを挟み込む動作を行なう必要がある。
【0009】
一方、エンドシーラが包装フィルムを挟み込んでいる間は、包装フィルムの搬送速度とエンドシーラのシール面の移動速度を等しくする必要がある。そして、多くの場合、エンドシーラが1回転(1公転)する全期間中のエンドシーラのシール面の移動速度を一定にした場合には、所望のエンドシール部位を一対のエンドシーラで挟み込むことができなくなる。
【0010】
そこで、通常は、エンドシーラのシール面同士が包装フィルムを挟み込んでいる期間は、包装フィルムの搬送速度に同期させてエンドシーラのシール面が搬送速度と同一速度で移動するように制御し、シール面が包装フィルムから離反している期間ではシール面の移動速度を適宜制御し、次にシール面同士が包装フィルムを挟み込む際には、包装フィルムにおける正しいエンドシール部位に接触し、熱シールできるようにする。
【0011】
エンドシール装置用の駆動源としてサーボモータを用いた場合、サーボモータを用いた電子カム制御により、エンドシーラに上述した動作(速度変化)を行なわせるようにしている。ここで、フィルムの搬送速度に同期している期間を同期制御区間と称し、フィルムの搬送速度に同期しない期間を非同期制御区間と称する。同期制御区間では、電子カム制御はフィルムの搬送速度により一義的に特定されてしまう。具体的には、ロータリーモーション式の場合には、サーボモータの回転速度は等速となり、ボックスモーション式やクランクモーション式の場合には、所定のパターンによりサーボモータの回転速度を加減速制御する。
【0012】
上述したごとく同期制御区間におけるサーボモータの回転速度は、包装フィルムの搬送速度により一義的に特定されてしまい、エンドシールを施す包装ピッチ(包装間隔)と包装フィルムの搬送速度から、1回の同期制御区間の時間と1回の非同期制御区間の時間がそれぞれ一義的に求められる。従って、単純に考えると、非同期制御区間においてエンドシーラが移動すべき距離(モータの回転角度)を、その非同期制御区間に割り当てられた時間で割ることにより、非同期制御区間を等速運動させることで次の同期制御区間開始位置に所望のタイミングでエンドシーラのシール面を位置させることができる。
【0013】
この種のサーボモータを用いた電子カム制御として、従来特許文献1に開示された技術がある。この特許文献1に開示された制御方法は、フィルムを横方向にカットするロータリーカッター装置や、フィルムを横方向にシールするシール装置についてのサーボモータを用いた電子カム制御の一例であり、電子カムの位置と速度について、非同期制御区間から同期制御区間への変化点付近の制御を滑らかにすることを目的としている。
【0014】
具体的には、特許文献1に開示された技術は、ロータリーモーション式に適用したものであるため、同期制御区間では直線(等速度)とし、非同期制御区間では3次曲線となるように電子カムの速度が制御される。
【0015】
【特許文献1】特開2000−198094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した特許文献1に開示された発明では、電子カムの加速度については、非同期制御区間から同期制御区間への変化点付近の制御を滑らかにできなかった。このように加速度波形が非同期制御区間と同期制御区間との間で不連続であると、そこで振動が生じるおそれがある。特に、単位時間当たりの製造個数が増加し、高速動作の要求が高くなるにつれて、非同期制御区間から同期制御区間に切り替わる変化点付近で振動を起こしやすくなり高速制御の障害となっていた。
【0017】
さらに、オフラインで電子カム制御用のカムテーブルを作成する方法では、オンラインでの同期曲線の同期開始位置、同期範囲、同期比率の変更、また機械干渉を防ぐ為に特定点の通過等の変更指示に関して、リアルタイムに非同期カム曲線を生成して行くことができず、再度カムテーブルの作成が必要で、効率性が低下する。
【0018】
この発明は、同期制御区間と非同期制御区間の変位点において電子カムの加速度等がスムーズにつながることができ、振動等が発生しない電子カムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る電子カムの制御方法は、サーボモータを使用した電子カムの制御方法であって、制御対象物である従軸を主軸位置に対して同期して動作させる制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物である従軸を主軸位置対して同期せずに動作させるための制御を行なう非同期制御区間とを有する。そして、前記非同期制御区間における制御が、
電子カムの位置制御に5次関数を使用し、
電子カムの速度制御に4次関数を使用し、
電化カムの加速度制御に3次関数を使用して前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの加速度が0に近づくようにすることにより、前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの動作を滑らかに制御するようにした。
【0020】
また、非同期制御区間の終了位置情報として主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度の値を各関数の入力パラメータとして随時受付可能とするとよい。
【0021】
さらに、前記非同期制御区間の開始位置情報としてコントローラの制御サイクルごとに前回の制御サイクルで求めた主軸位置,カム位置,カム速度,カム加速度の値を各関数の入力パラメータとするとよい。
【0022】
さらにまた、前記非同期制御区間の途中特定通過点として設定された主軸位置に対するカム位置を通るように前記5次関数を求め、その途中特定通過点のカム加速度が0になるように前記3次関数を求めるようにするとよい。
【0023】
一方、本発明に係るサーボモータ制御システムは、制御対象物である従軸を主軸位置に対して同期して動作させる制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物である従軸を主軸位置対して同期せずに動作させるための制御を行なう非同期制御区間とを有するサーボモータ制御システムであって、非同期制御区間の開始位置および終了位置についての主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度を設定する境界点条件設定手段と、取得した主軸位置に基づき、同期制御区間内か非同期制御区間内かを判断する判断手段と、その判断手段の判断結果が、非同期制御区間の場合に前記非同期制御区間の開始位置および終了位置におけるカム位置、カム速度、カム加速度に基づき、5次関数からなる主軸位置に対するカム位置の非同期曲線と、4次間数からなる主軸位置に対するカム速度の非同期曲線と、3次関数による主軸位置に対する加速度の非同期曲線を求める制御曲線作成手段と、その制御曲線作成手段により求めた各非同期曲線と、前記取得した主軸位置とに基づきサーボモータを動作させるための出力情報を作成し出力する手段とを備えて構成した。
【0024】
そして、非同期制御区間中であってもその非同期制御区間の終了位置の主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度の値の入力を可能とし、前記制御曲線作成手段はその入力された各値に基づいて前記各非同期曲線を逐次作成するようにするとよい。
【0025】
前記制御曲線作成手段は、非同期制御区間中の制御サイクルごとに前のサイクルの主軸位置、カム位置、カム速度 、カム加速度を非同期曲線の開始位置として今回の制御サイクルにおける非同期曲線を作成する機能を備えるようにするとよい。
【0026】
さらにまた、前記非同期制御区間の途中特定通過点を設定する手段を備え、前記制御曲線作成手段は、非同期制御区間中に非同期曲線を作成するに際し、前記設定された途中特定通過点の主軸位置に対するカム位置を通るように前記5次関数を求め、その途中特定通過点のカム加速度が0に近づくように前記3次関数を求める処理をするように構成してもよい。
【0027】
さらに、前記制御曲線作成手段は、前記同期制御区間では、ボックスモーション曲線あるいはクランクモーション曲線に基づいて設定される同期曲線を作成する機能を備えることができる。
【0028】
本発明によれば、非同期曲線に主軸位置に対するカム位置の特性を5次曲線を用いることにより、非同期制御区間と同期制御区間での間で過速度等をスムーズにつなげることができる。また、非同期制御区間中にも制御サイクルで非同期曲線を逐次算出することで、目標位置が変更されても対応できる。また、前の制御サイクルで求めた各値を次の制御サイクルの非同期制御区間の開始位置の情報に設定することにより、仮に目標値が変更してもスムーズに対応できる。
【0029】
[用語の定義]
ここで、主軸とは、システムの全体の時間基準を取る為の軸のことを言う。例えば、この軸にエンコーダをつけてその主軸の信号を取ることで、主軸の位置(主軸位置)を求めることができる。また、時間基準を取る為のものなので、システムを制御するコントローラが生成する内部信号(例えば、内部タイマを用いて生成する信号)を主軸として使うこともできる。また、同期制御中の従軸は、主軸の動きに対して、何かしらの関数,変数,係数,定数を通して、動作する軸である。非同期制御中の従軸は、主軸の動きと関係なく動作する。
【0030】
同期制御は、例えば、主軸に繋がるワークと、従軸の機構の特定指定部分とが、所定の時期に所定の位置にあるように制御することである。よって、必然的に同期制御時の主軸と従軸の関係を特定する関数が決定される。この関数により表されるのが同期曲線となる。
【0031】
また、カム位置とは、主軸と従軸の位置関係を表す物をいう。例えば、実施の形態で言うと角度θは従軸の位置で、xは主軸の位置であるため、カム位置は
θ=f(x)
で表現することができる。従って、上記式をxで微分すると、カム速度(dθ/dx)になる。具体的には、
dθ/dx=df(x)/dx
となる。さらに、上記式をxで微分するとカム加速度(d2θ/dx2)となる。
【0032】
d2θ/dx2=d2f(x)/dx2
非同期制御は、上述した同期制御を行なわない区間における制御である。つまり、同期制御を終了後、次の同期制御が開始するまで、カム位置,カム速度,カム加速度を制御し、本発明では、非同期制御の終了時、つまり、次の同期制御が開始する時点でカム位置、カム速度、カム加速度を繋ぐ(切れることなく連続する)ように制御する。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、同期制御区間と非同期制御区間の変位点においてカム加速度等をスムーズにつながることができ、振動等が発生しないようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明が適用される制御システムの一例として、包装機械に対する制御システムを示している。まず、制御対象の包装機械について説明する。包装フィルム1は、一対のフィードローラ2によって挟まれ、そのフィードローラ2の回転に伴い連続して一定速度で引き出される。そのようにして引き出された包装フィルム1は、製袋器3を通過することで筒状に製袋される。また、製袋器3の上流側に設けられた被包装物搬送供給装置(フィンガーコンベア等)4により一定間隔ごとに搬送された被包装物5が、所定のタイミングで製袋器3内に供給される。これにより、筒状に製袋された包装フィルム1内には所定間隔ごとに被包装物5を内包する状態となり、その状態のまま搬送される。製袋器3の下流側には、センターシール装置6,エンドシール装置7が配置される。センターシール装置6は、一対の加熱ローラからなり、筒状に製袋された包装フィルム内の両側縁1aの重合部位を挟み込み、当該両側縁1aがセンターシール装置6を通過することにより、熱シールされる。エンドシール装置7は、筒状に製袋された包装フィルム1の所定位置(前後の被包装物の間)を横方向にシールするとともにカットするもので、後述するようにボックスモーション式,クランクモーション式など各種のタイプがある。いずれのタイプのものも、上下一対のエンドシーラを備え、そのエンドシーラの先端対向面がシール面となる。エンドシーラのシール面が無端状の所定の軌跡で移動し、その一対のエンドシーラのシール面は、エンドシーラが1回転するごとに1回包装フィルムを上下から挟み込み、加熱・加圧して熱シールする。また、そのエンドシーラのシール面には、カッターが内蔵されており、包装フィルムを熱シールするとともにカットして包装体8を製造する。
【0035】
フィードローラ2,センターシール装置6並びにエンドシール装置7は、それぞれ駆動モータM1〜M3に連携される。各駆動モータM1〜M3は、コントローラ10から指令値を受けて、所定の回転速度で回転駆動する。このコントローラ10は、包装機械に取り付けられ、この包装機械用のコントローラとして機能する。
【0036】
本実施の形態では、包装フィルム1は等速度で移動させることから、第1駆動モータM1も一定速度で等速回転している。また、第2駆動モータM2は、センターシール装置6の加熱ローラの周縁(包装フィルム1の両側縁1aに接触する部位)の移動速度が包装フィルム1の移動速度と等しいか、若干速い速度で動作するように一定速度で回転駆動する。なお、各種の要因により第1駆動モータM1の速度が加減速して包装フィルムの搬送速度が変動した場合には、それに追従して第2駆動モータM2の回転速度も加減速制御する。
【0037】
第3駆動モータM3は、サーボモータを用いて構成され、包装フィルム1の搬送状態に応じて回転速度を加減速制御する。すなわち、包装フィルム1は、その一方の側縁に一定間隔ごとにマークが印刷されている。このマークは、エンドシール部位に対して所定距離(0の場合も含む)だけずらした位置に印刷されている。従って、マークセンサS1からエンドシール装置7に至るまでの包装フィルム1の移動距離並びに包装フィルム1の搬送速度がわかっているため、マークセンサS1によりマークを検知してから、そのマークに対応するエンドシール部位がエンドシール装置7に至るタイミングが求められる。そこで、エンドシーラが包装フィルム1から離反している期間は、包装フィルム1の次のエンドシール部位がエンドシール装置7に来たときに一対のエンドシーラが包装フィルムを挟み込めるように、包装フィルム1の搬送速度,エンドシール部位の現在位置と関係なく第3駆動モータM3の回転速度が制御される。よって、この離反している期間の制御は、非同期制御となる。エンドシーラが包装フィルムのエンドシール部位を挟み込んでいる期間は、エンドシーラのシール面の移動速度を包装フィルム1の搬送速度に一致させるように第3駆動モータM3が制御される。よって、この挟み込んでいる期間の制御は、同期制御となる。
【0038】
この包装機械は、コントローラ10の制御信号に基づき動作する。コントローラ10は、電源ユニット11と、モーションコントロールユニット(モーションコントローラ)14と、そのモーションコントロールユニット14に対してデータ設定を行なうデータ設定コントロールユニット(データ設定コントローラ)15とを備えている。これらの各ユニットは、バックプレインバスその他の方式により、電気的、機械的に連結される。もちろん、これ以外のユニットを連結しても良い。なお、本実施形態では、サーボモータを用いた電子カム制御を司る専用のコントローラであるが、モーションコントロールユニット14とデータ設定コントロールユニット15を、プログラマブルコントローラ(シーケンス制御を行なう電子装置)を構成するユニットとし、CPUユニットやIOユニット等とともに連結し、プログラマブルコントローラと一体化しても良い。
【0039】
包装フィルム1の移動に基づきエンドシール装置7の動作を制御しているため、包装フィルムの搬送が主軸となり、エンドシール装置7側の動作(第3駆動モータM3)が従軸となる。主軸の動作(包装フィルム1の搬送)は、主軸エンコーダPG1の出力に基づいて求められる。この主軸エンコーダPG1は、例えば、主軸エンコーダPG1の回転軸を包装フィルム1に接触させ、包装フィルム1の移動に伴い主軸エンコーダPG1が回転するようにしても良いし、フィードローラ2の回転軸に連結しても良く、各種の形態がとれる。
【0040】
この主軸エンコーダPG1の検出信号は、モーションコントロールユニット14に与えられる。また、このモーションコントロールユニット14には、マークセンサS1の検出信号も入力される。そして、モーションコントロールユニット14内で演算処理し、その演算結果に基づく指令値(もしくはパルス列)をサーボドライバ20に向けて出力する。サーボドライバ20は、モーションコントロールユニット14から与えられた指令値と、従軸サーボモータである第3駆動モータM3に連携された従軸エンコーダPG2の出力信号とに基づき、第3駆動モータM3の回転動作を制御(同期制御,非同期制御)する。
【0041】
次に、本発明の要部となるデータ設定コントロールユニット15ならびにモーションコントロールユニット14の内部構成について説明する。図2は、説明の便宜上、包装機械側を模式的に記載している。制御対象となるエンドシール装置7は、従軸となる電子カムを、円を用いて模式的に示している。この電子カムを1周する都度、エンドシーラが所定の軌跡で1サイクル移動し、その途中で1度包装フィルム1を上下から挟み込み、シール・カットするようになる。
【0042】
主軸エンコーダPG1からの出力に基づき、基準位置からの包装フィルムの移動距離が求められる。本実施形態では、移動距離(変位)を1個の包装体を製造する都度リセットするのではなく、逐次積算していくように処理する。これに伴い、従軸(電子カム)の位相(カム位置:角度θ)も積算していく。つまり、仮に図2中、上側のエンドシーラのシール面が上方を向いている位置を従軸の基準位置とした場合、1回目は0度から360度までカム位置が変化していくが、2回目は360度からスタートし720度までカム位置が変化することになる。以下、リセットされるまで積算が継続する。
【0043】
データ設定コントロールユニット15は、図2に示すように、条件設定部15aと、カム境界点作成部15bとを備えている。条件設定部15aは、動作開始位置と、同期開始位置と、同期範囲と、同期比率と、非同期区間指定通過点と、動作終了位置との入力を受ける。受け付けた各条件は、カム境界点作成部15bに与えられる。
【0044】
ここで、動作開始位置,動作終了位置は一連の包装などの動作がどこから始まってどこで終わるかの設定をするものである。一般的に従軸の位相(角度θ)は0度から始まって、360度×n(nは正の整数)となる。
【0045】
同期開始位置は、電子カムの同期制御区間の開始位置を指定するもので、従軸の位相(角度θs)で設定する。
【0046】
同期範囲は、同期開始位置から、どのくらいの長さ同期させて、シールなどの動作をさせるかを設定する。同期開始位置+同期範囲を求めることで、同期終了位置を算出できる。
【0047】
同期比率は、主軸位置に対して掛け算,割り算することにより、同期しながら従軸の速度比率を変えるための条件を設定するものである。この同期比率により、同期制御区間における主軸の移動距離(位置)に応じた従軸の位置(カム位置:角度θ)が決定され、従軸の角速度等も特定される。つまり、同期制御区間における同期曲線が特定される。
【0048】
非同期区間指定通過点は、非同期制御区間中で通過すべき位置がある場合に指定する。例えば、主軸位置に対する従軸の位置等を指定することになる。
【0049】
これらの各条件の設定(データ入力)は、例えば、包装機械に取り付けられた操作パネル(プログラマブル表示器,タッチパネル等)を用いて、操作者が初期入力をする。また、実際の包装処理などの状況を見て人が再設定したり、センサー出力に基づいて自動的に再設定したりする。
【0050】
カム境界点作成部15bは、条件設定部15aで設定される基準となる各条件と、モーションコントロールユニット14経由で取得した現在の主軸位置xに基づき同期曲線と非同期曲線の境界点におけるカム位置,カム速度並びにカム加速度を求める。同期曲線は、制御対象のエンドシール装置の機構並びにフィルム搬送速度から一義的に決定されるもので、具体的には同期比率により決定される。そこで、同期制御区間から非同期制御区間へ切り替わる境界点における主軸位置,カム位置,カム速度並びにカム加速度と、非同期制御区間から同期制御区間へ切り替わる境界点における主軸位置,カム位置,カム速度並びにカム加速度とは、それぞれ同期曲線に基づいて求める。つまり、非同期曲線終了位置は、同期曲線開始位置を意味し、その境界点における4つの値である、
xe=主軸位置
θe=カム位置
ωe=カム速度
αe=カム加速度
を求める。
【0051】
同様に、非同期曲線開始位置は同期曲線終了位置を意味し、その境界点における4つの値である
xs=主軸位置
θs=カム位置
ωs=カム速度
αs=カム加速度
を求める。
【0052】
具体的には、1回目の包装処理における各変位点の主軸位置xe,xsは、条件設定部15aより与えられ、同期曲線も予めカム境界点作成部15bに与えておくことで、各主軸位置におけるカム位置,カム速度,カム加速度を演算により求めることができる。さらに、上述したように、主軸位置やカム位置は積算されていくため、2回目以降の包装処理を行なう際の各境界点における主軸位置xe,xsは、包装ピッチ(エンドシール間隔)の距離だけ順次加算することで求めることができる。また、各境界点におけるカム位置θe,θsは、360度を加算することで求めることができる。なお、条件設定の変更がなければ、各境界点におけるカム速度とカム加速度は、2回目以降の包装処理においても同じ値をとる。現在が何回目の包装処理をしているかは、モーションコントロールユニット14から主軸位置情報を取得しているため、その値から認識でき、必要に応じて新しい境界点の各値を算出し、モーションコントロールユニット14に設定する。
【0053】
一方、非同期区間指定通過点が設定されている場合には、非同期曲線に基づき指定された通過点(特定点)における4つの値
xm=主軸位置
θm=カム位置
ωm=カム速度
αm=カム加速度
を非同期曲線に基づいて算出する。
【0054】
ここで非同期曲線は、カム位置については5次曲線となり、カム速度については4次曲線となり、カム加速度については3次曲線になるようにする。つまり、カム位置は、非同期制御区間中において非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)と非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)を通るような5次曲線が基本的な非同期制御区間における制御曲線となる。そして、この非同期区間指定通過点が指定されている場合には、この指定された通過点(特定点)も通るような5次曲線を求め、それを非同期制御区間の制御曲線(非同期曲線)とする。
【0055】
図2に示すように、モーションコントロールユニット14は、主軸の現在の位置情報等を取得する現在情報取得部14aと、制御曲線作成部14bと、カム設定部14cと、命令設定部14dと、現在位置リセット部14eとを備えている。
【0056】
現在情報取得部14aは、リングカウンターを備え、主軸エンコーダPG1からのパルス出力をそのリングカウンターにてカウントアップすることで、現在の主軸位置(基準位置からの距離)を求め、さらに、単位時間当たりの主軸位置の移動距離から現在の主軸速度を演算し、さらにその主軸速度の変化分から主軸加速度を演算して求める。算出した現在の主軸位置,主軸速度,主軸加速度は、カム境界点作成部15bと、制御曲線作成部14bと、命令設定部14dに与える。
【0057】
現在位置リセット部14eは、現在情報取得部14aのリングカウンターをリセットし、基準位置を0からリスタートするためのものである。例えば、マークセンサS1からの検出信号に基づき、随時発することができる。例えば、別途用意されたリセットスイッチ(機械式のスイッチ,操作パネル(プログラマブル表示器,タッチパネル等)のタッチに基づく電子的のスイッチなど)が押下された後でマークセンサS1からマークの検出信号を受けたことを条件に現在情報取得部14aに対してリセット命令を発する。このように、ユーザによる入力に限ることはなく、例えば、正常運転開始後にマークセンサS1からマーク検出信号を入力したときや、マークセンサS1によるマーク検出が一定数に達した時など予め決めた条件に合致した場合に自動的にリングカウンターをリセットするようにしても良い。
【0058】
制御曲線作成部14bは、同期曲線並びに非同期曲線を作成するものである。すなわち、制御曲線作成部14bは、データ設定コントローラ15のカム境界点作成部15bから非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)における4つの値(xe=主軸位置,θe=カム位置,ωe=カム速度,αe=カム加速度)と、非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)における4つの値(xs=主軸位置,θs=カム位置,ωs=カム速度,αs=カム加速度)と、同期比率とを取得する。そして、現在情報取得部14aから、現在の主軸位置xを受け取る。
【0059】
そして、取得した現在の主軸位置が同期制御区間内か否かを判断し、同期制御区間内であれば、同期曲線を作成し、非同期制御区間内であれば非同期曲線を作成する。同期曲線は、具体的には、同期比率に基づき、同期位置曲線と、同期速度曲線と、同期加速度曲線とを生成する。
【0060】
一方、非同期曲線は、取得した主軸位置(x)の値を下記式に代入し、カム位置を規定する5次曲線と、カム速度を規定する4次曲線と、カム加速度を規定する3次曲線とをそれぞれ算出する。
【数1】
【0061】
上述した式において、非同期曲線終了位置に関する4つの値は、データ設定コントローラユニット15のカム境界点作成部15bから取得したデータを用いる。ただし、非同期曲線開始位置に関しては、非同期制御区間内に入った1回目の非同期曲線作成処理時には、当該カム境界点作成部15bから取得したデータを用いるもののコントローラ10の次の制御サイクルからは、前回の制御サイクルで求めた主軸位置xs,カム位置θs,カム速度ωs,カム加速度αsを非同期曲線開始位置として設定する。これらの各値は、次段のカム設定部14cで算出した値を用いて設定する。コントローラは、設定された演算処理,入出力のリフレッシュ処理,周辺処理等をサイクリックに繰り返し実行する。制御サイクルは、これら一連の処理を一回実行することである。一回の制御サイクルを実行することで、制御曲線を求める演算処理も一回実行され、各設定値が求められる。換言すると、制御サイクルごとに設定値が算出される。
【0062】
このようにすることにより、サーボシステムにおける5次曲線による同期曲線に対してのリアルタイム補間制御ができる。つまり、1回の包装処理中に目標値の変更があった場合、常に前回の制御サイクルで求めた各値を非同期曲線開始位置とし、その非同期曲線開始位置と目標値との間を通る5次曲線その他の各曲線を求めることで、指令値が離散的に急激に変化することを抑制できる。もちろん、係るリアルタイム補間制御を必要としない場合には、非同期曲線開始位置もカム境界点作成部15bから取得したデータを用いるようにして良い。
【0063】
カム設定部14cは、制御曲線作成部14bで作成された各曲線(同期曲線,非同期曲線)を取得するとともに、現在情報取得部14aで取得した主軸の現在位置xを取得し、現在の主軸位置に対するカム位置,カム速度並びにカム加速度を設定するものである。
【0064】
すなわち、制御曲線作成部14bが現在の主軸位置に応じて同期曲線か非同期曲線のいずれかを作成し、その作成した曲線をカム設定部14cに与える。従って、カム設定部14cは、与えられた曲線を示す関数中の変数であるxに現在の主軸位置の値を代入することで、カム位置,カム速度,カム加速度をそれぞれ求める。
【0065】
そのようにして求めたカム位置θ,カム速度dθ/dx並びにカム加速度d2θ/dx2は、次の制御サイクルのために制御曲線作成部14bに渡すとともに、命令設定部14dに渡す。命令設定部14dは、現在情報取得部14aから主軸速度dx/dt(mm/sec)と、主軸加速度d2x/dt2(mm/sec2)も取得する。これらの取得した情報に基づき、下記式に基づき、従軸位置,従軸速度,従軸加速度を求め、サーボドライバ20に与える。
【数2】
【0066】
図3は、モーションコントローラユニット14の動作フローチャートを示している。この動作フローチャートが、制御サイクルごとに実行される。すなわち、まず現在情報取得部14aが主軸エンコーダPG1より主軸の現在位置xを取得する(S1)。そして、制御曲線作成部14bが、取得した現在位置xに基づき、主軸位置が同期制御区内か否かを判断し(S2)、同期制御区間の場合には、同期曲線を作成し(S3)、同期制御区内でない(非同期制御区内である)場合には、非同期曲線(5次曲線,4次曲線,3次曲線)を作成する(S4)。なお、各曲線の具体的な処理は、上述した通りである。
【0067】
ついで、カム設定部14cが、処理ステップS3またはS4を実行して作成された曲線(同期曲線/非同期曲線)に基づいて、電子カムの現在の値(カム位置,カム速度,カム加速度)を設定する(S5)。そして、その設定した各値は、次の制御サイクル時における非同期曲線開始位置として制御曲線作成部14bに渡す(S6)。
【0068】
処理ステップS5を実行して求められたカムの各値に基づき、サーボドライバ20に対する指令値を求め、出力する(S7)。そして、継続するか否かを判断し(S8)、継続する場合には処理ステップS1に戻り次の制御サイクルにはいる。継続するか否かの判断は、例えば、包装処理の終了命令,停止命令が入力されるか否かや、予め設定した条件(包装個数,終了時間)を合致するか否かなどにより求める。
【0069】
上記した非同期制御区間内の制御曲線(非同期曲線)の一例を示すと、図4から図6に示すようになる。図4は、位相(主軸位置)に対する変位(従軸のカム位置)の相関関係を示し、図5は位相(主軸位置)に対する速度の相関関係を示し、図6は位相(主軸位置)に対する加速度の相関関係を示している。仮に同期目標位置(非同期制御区間の終了位置や開始位置などの境界点)の変更がないとすると、非同期制御区間内におけるカム位置,カム速度,カム加速度は、各図に示した曲線に従って繰り返し実行する。処理ステップS6にて現在の主軸位置に基づいて設定した各値を次の制御サイクル時における非同期曲線開始位置として非同期曲線を作成する場合も同様である。そして、いずれの場合も境界点における速度並びに加速度が0(ほぼ0)になっているため、同期制御区間における同期曲線とスムーズにつなげることができ、境界点において振動・衝撃等を生じることが無い。
【0070】
ここで、図7から図9に示すように、非同期曲線開始位置の主軸位置xs=200mm、従軸位置θs=225deg、速度ωs=0.382deg/mm、加速度αs=−0.00509deg/mm2として設定する。当初非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)の主軸位置xe=271mm、従軸位置θe=495deg、速度ωe=0.267deg/mm,加速度αe=0.00250deg/mm2として設定する。
【0071】
この状態において主軸位置が255mmの時に、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)の主軸位置xe=271mm、従軸位置θe=600deg、速度ωe=0.763deg/mm,加速度αe=0.02012deg/mm2に変更する。すると、その主軸位置が255mmの直前の位置、速度、加速度と、変更された各値を結ぶ非同期曲線が再設定されるため、機械の衝撃、振動を防ぐことができる。
【0072】
なお、仮に、主軸位置が255mmの時に上記のように各目標値の変更があった場合に、今回の非同期制御区間の開始位置である主軸位置xs=200mmと、新目標値を結ぶ制御曲線(非同期曲線)を再設定すると、255mmの時の各値(位置,速度,加速度)は現在の255mmの時の各値に比べ大きく異なることがあり、そうすると、図示したように連続した曲線で接続されなくなり、その非連続点において機械の衝撃、振動を生じるおそれがある。
【0073】
本実施形態の装置は、制御サイクルごとに制御曲線を算出するため、同期制御区間内での速度が一定でなく、加速度が両端で発生するような同期曲線に対しても、位置,速度,加速度をつなぐことができるとともに、次の同期曲線の開始位置、速度、加速度が途中で変わってとしても、位置、速度、加速度を繋いで、サーボシステムを動かすことができる。よって、本実施形態の装置は、機械系に与える衝撃、振動を少なくすることができ、同期曲線の開始位置、速度、加速度の変更に対してもスムーズな動作が可能となる。
【0074】
次に、非同期制御区間内における途中特定通過点を指定した場合の対応について説明する。データ設定コントローラユニット15の条件設定部15aにより非同期区間指定通過点(非同期制御区間内における途中特定通過点)が設定されている場合には、その途中特定通過点に関する情報(xm=主軸位置,θm=カム位置,ωm=カム速度,αm=カム加速度)が、カム境界点作成部15b経由で制御曲線作成部14bに与えられる。
【0075】
制御曲線作成部14bは、現在の主軸位置が非同期制御区間内の場合には、非同期曲線を作成するが、このとき、現在の主軸の位置xがxs≦x≦xmの場合には、上述した各非制御曲線を求める際の演算式において、xe=xm、θe=θmとして設定する。そして、主軸現在位置xがxmを越えた時点で、上述した各非同期曲線を求める際の演算式において、xs=xm 、θs=θmとして設定する。つまり、指定された中間点を通るようにして、5次曲線同士で結ぶ。これにより、中間点では、加速度が0(ほぼ0)になる。
【0076】
図10から図12は、主軸位置が非同期制御区間内に存在する場合に生成される非同期曲線の一例を示している。図10は、主軸位置と従軸位置の関係を示している。図10においては、非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)から途中特定通過点を通って、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)に至る5次曲線が示されている。2つの5次曲線が途中特定通過点の付近も滑らかな曲線となっている。
【0077】
図11は、主軸位置と従軸速度の関係を示し、図12は、主軸位置と従軸加速度の関係を示している。図11及び図12においても、非同期曲線開始位置(同期曲線終了位置)から途中特定通過点を通って、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)に至る5次曲線が示されている。そして、図12においては、途中特定通過点で加速度が0に近づくように非同期曲線が示されている。
【0078】
非同期曲線開始位置の主軸位置xs=200mm、従軸位置θs=225deg、速度ωs=0.382deg/mm、加速度αs=−0.00509deg/mm2として設定する。非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)の主軸位置xe=271mm、従軸位置θe=495deg、速度ωe=0.267deg/mm、加速度αe=0.00250deg/mm2として設定する。途中特定通過点は主軸位置:xm=250mm,従軸位置θm=400deg,速度ωm=(θe−θm)/(xe−xm)=4.524deg/mm,速度αm=0(deg/mm2)と設定する。すると、図11の位相と速度の特性に示すように速度を停止させることなく、図12の位相と加速度の特性に示すように、加速度を繋いで滑らかな動作が可能である。
【0079】
次に、エンドシール装置7がボックスモーションタイプの場合について説明する。図13は、ボックスモーション式のエンドシール装置を模式的に示した図である。この図13に示すように、サーボモータからなる第3駆動モータM3の回転力をベルト,チェーン等の動力伝達手段7aを介して回転板7bに伝達する。回転板7bには、径方向に沿って、往復移動可能なスライダ7cを備える。このスライダ7cは、回転板7bの回転に追従して公転移動するとともに、その公転移動時に径方向に移動可能となる。スライダ7cは、ボックス状のカイダ7dに連係される。これにより、回転板7bの回転に伴い、スライダ7cは公転するが、その移動軌跡はガイド7dにより規定される無端状の軌跡に沿うことになる。よって、ガイド7dの包装フィルム1に沿って水平に移動する区間7d′を作ることで、スライダ7cは、包装フィルム1に沿って一定期間同一の距離を保ちながら前進移動し、その後上昇移動→後退移動→下降移動を経て基の水平に移動する区間7dに至るように動作する。尚、図では便宜上、上側のみ記載しているが、下側にも同様の機構がある。
【0080】
そして、このスライダ7cをエンドシーラに連結して一体化することで、エンドシーラもスライド7cの移動軌跡に沿って移動する。このとき、上記の水平に移動する区間7d′を移動中のエンドシーラのシール面が包装フィルム1に接触し、上下から挟み込むことができ、エンドシーラの移動速度と包装フィルム1の搬送速度が一致するように回転板7bを回転させることで同期制御が行なえる。また、それ以外の区間が非同期制御区間となる。
【0081】
なお、図13ではエンドシーラのシール面の移動軌跡は略矩形状(各コーナは円弧)の軌跡(2点鎖線)を示しているが、非同期制御区間の軌跡は任意である。さらに、係る所定の軌跡で移動させるための機構も各種の形態をとれ、回転板7bなど無くても良いし、エンドシーラ自体がスライダ7cとなっていても良い。要は、第3駆動モータM3の回転に伴い、エンドシーラが所定の無端状の軌跡で移動し、その移動途中に包装フィルム1と平行に移動(このときは、包装フィルムを挟み込んでシールする)する区間を備えていれば良く、係る軌跡で移動させるための機構は任意である。また、第3駆動モータM3が1回転するごとに、回転板7bが1回転するようにしてもよいし、異なっていても良い。上述した電子カムの角度は、図13でいうと回転板7bの回転角度に対応する。
【0082】
図14は、ボックスモーションの機構を抽象化し、電子カムと包装フィルム1を示している。図14に示すように、主軸の包装フィルム1が基準位置(0mm)からx1まで搬送されてきたときに同期が開始し、主軸位置がx2に来たときに同期が終了する。従って、同期制御区間における包装フィルム1の移動距離は、x2−x1となる。一方、従軸では電子カムの位置が0度の基準位置から包装処理が開始したとし、1回目の包装処理では、θ1の時から同期が開始し、θ2の時まで同期制御を行なう。従って、同期制御区間はθ2−θ1の角度範囲となる。
【0083】
その後、非同期制御区間になり、その非同期制御区間の終了位置(次の同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx3で、従軸のカム位置がθ3となり、その同期制御区間の終了位置(次の非同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx4で、従軸のカム位置がθ4となっている。
【0084】
包装機械におけるボックスモーションのカム曲線は以下の通りである。主軸x,従軸θが、それぞれx1≦x≦x2,θ1≦θ≦θ2のときが同期制御区間となる。この同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2のそれぞれの同期曲線は、下記式[数3]のようになる。
【数3】
【0085】
上記の式に従い、以下の同期制御区間中は、主軸の位置に基づき以下の位置、速度、加速度について、コントローラの制御サイクルごとに設定して動かす。
【0086】
主軸の速度 dx/dt(mm/sec)
主軸の加速度 d2x/dt2(mm/sec2)
従軸位置=カム位置θ
従軸速度 dθ/dt(deg/sec)=(dθ/dx)*(dx/dt)
従軸加速度 d2θ/dt2(deg/sec2)=
(d2θ/dx2)*(dx/dt)2+(dθ/dx)*(d2x/dt2)
【0087】
そして、上述した式に基づくボックスモーションの同期制御区間における動作曲線例は、図15から図17に示す通りであり、各図では、実単位を入れて示している。x0=0mm,x1=50mm,x2=200mm,θ0=0deg,θ1=135deg,θ2=225deg,R=106mm,y=75mmである。
【0088】
次に、非同期制御区間の制御曲線の算出について説明する。まず、非同期曲線開始位置(ボックスモーションカム同期曲線終了位置)では、主軸x=x2(mm)となる。同期開始点の変動がないとすると、上記した同期曲線を特定する各式は、以下の[数4]で示すようになり、その[数4]の式中にx=x2を代入することで、[数5]に示すように同期終了位置における各カム位置,カム速度,カム各速度の値を求めることができる。
【数4】
【数5】
【0089】
これにより、xs=x2、θs=θ2、ωs=ω2、αs=α2を、非同期曲線を求める際の前のカムの値として取り込む。
【0090】
また、目標値の変更がない場合には、次の同期制御区間は、主軸位置x=x3になった時から開始し、主軸位置がx3≦x≦x4の間、同期曲線に従って制御する。そして、係る次の同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2は、それぞれ下記式[数6]に示す同期曲線にしたがって制御される。
【数6】
【0091】
そして、この同期制御区間の開始位置(x=x3)における各カム位置,カム速度,カム各速度の値は、[数7]を実行し、求めることができる。そして、その求めた各値が、主軸xの位置が、x2≦x≦x3までの間の非同期制御区間における終了位置の各値、つまり、当該非同期制御区間におけるそれぞれの目標値となる。換言すると、xe=x3、θe=θ3、ωe=ω3、αe=α3として、非同期曲線に随時設定される。
【数7】
【0092】
そして、主軸位置がx=x2の時の目標値(非同期制御区間の終了位置における主軸位置)xeはx3であるため、両点を通るような5次曲線を作成する。そして、主軸現在位置x(mm)がxs≦x≦xe、つまり、x2≦x≦x3の時、毎制御サイクルごとに5次曲線を求め、動かす。また、一度非同期制御区間内に入り、各設定値(カム位置,カム速度,カム加速度)を求めたならば、図3のフローチャートの処理ステップS6の実行に伴い、次の制御サイクルにおける非同期曲線開始位置に設定される。このように非同期曲線開始位置を逐次更新しながら主軸位置x=x3になるまで5次曲線に基づく非同期制御を行なう。
【0093】
以後、制御動作区間と非制御動作区間とを交互に繰り返し実行することになり、途中で目標値が変更された場合には、その都度演算処理をし、非同期曲線は5次曲線で同期曲線とつなぐことになる。
【0094】
一例を示すと、図18から図21に示すようになる。つまり、図18に示すように、位相と変位のごとくボックス曲線の同期を開始する場所や、同期比率を変えても、図19に示す位相と速度の特性に示すように境界点でスムーズに速度が繋がる。同様に図20に示す位相と加速度の特性においても、図21の拡大図で確認できるように加速度も境界点で繋がる。よって、衝撃と振動が発生しにくい。そして、制御サイクルごとに従軸のサーボの目標位置,目標速度,目標加速度を設定しているので、オンラインで同期を開始する場所、比率を変えても対応が可能である。
【0095】
次にエンドシール装置7が、クランクモーションタイプの場合について説明する。図22は、クランクモーション式のエンドシール装置を模式的に示した図である。この図22に示すように、サーボモータからなる第3駆動モータM3の回転力をベルト,チェーン等の動力伝達手段7aを介して回転板(クランクアームのような機能を有する)7bに伝達する。回転板7bの周縁付近にはクランクピン7fが設けられ、そのクランクピン7fに連接棒7gの一端が回転可能に連結される。この連接棒7gの他端には、スライダ7hが連結され、このスライダ7hがガイドレール7i内を往復直線移動可能となる。これにより、第3駆動モータM3の回転に伴い回転板7bが回転すると、それに伴いクランク機構によりスライダ7hが往復直線運動を繰り返し行なう。そして、このスライダ7hにエンドシーラを上下移動可能に連結する。
【0096】
図22では包装フィルム1の上側の機構のみ記載しているが、同様の機構を下側にも設置する。そして、所定タイミングでエンドシーラを上下移動させ、同期開始点に来たときに包装フィルムを上下から挟み込み、その状態のまま前進移動させ、同期終了点に来たならばエンドシーラが離反する。その後所定の軌跡でシーラが前後進移動し、基の同期開始点に至る。
【0097】
このように、エンドシーラが包装フィルムを挟み込んでいるときは、エンドシーラつまりスライダ7h野前進移動速度が、包装フィルム1の搬送速度と一致するように回転板7bの回転速度を制御(同期制御)し、それ以外の非同期制御区間では、包装フィルムの次のエンドシール部位が同期開始点に来たときにエンドシーラが当該同期開始点に至るように制御することになる。
【0098】
図23は、クランクモーションの機構を抽象化し、クランク機構と包装フィルム1を示している。図23に示すように、主軸の包装フィルム1が基準位置(0mm)からx1まで搬送されてきたときに同期が開始し、主軸位置がx2に来たときに同期が終了する。従って、同期制御区間における包装フィルム1の移動距離は、x2−x1となる。一方、従軸では電子カムの位置が0度の基準位置から包装処理が開始したとし、1回目の包装処理では、θ1の時から同期が開始し、θ2の時まで同期制御を行なう。従って、同期制御区間はθ2−θ1の角度範囲となる。
【0099】
その後、非同期制御区間になり、その非同期制御区間の終了位置(次の同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx3で、従軸のカム位置がθ3となり、その同期制御区間の終了位置(次の非同期制御区間の開始位置)は、主軸位置がx4で、従軸のカム位置がθ4となっている。
【0100】
クランクモーションのカム曲線は、以下の通りである。主軸x,従軸θが、それぞれx1≦x≦x2,θ1≦θ≦θ2のときが同期制御区間となる。この同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2のそれぞれの同期曲線は、下記式[数8]のようになる。
【数8】
【0101】
上記の式に従い、以下の同期制御区間中は、主軸の位置に基づき以下の位置、速度、加速度についてコントローラの制御サイクルごとに設定して動かす。
【0102】
主軸の加速度 d2x/dt2(mm/sec2)
従軸位置=カム位置θ
従軸速度 dθ/dt(deg/sec)=(dθ/dx)*(dx/dt)
従軸加速度 d2θ/dt2(deg/sec2)=
(d2θ/dx2)*(dx/dt)2+(dθ/dx)*(d2x/dt2)
【0103】
上述した式に基づくクランクモーションの同期制御区間における動作曲線例は、図24から図26に示す通りであり、各図では、実単位を入れて示している。x0=44.2mm,x1=200mm,θ0=135度,θ1=225度,R=70mm,y=70mm,L=200mmである。
【0104】
次に、非同期制御区間の制御曲線の算出について説明する。まず、非同期曲線開始位置(クランクモーションカム同期曲線終了位置)では、主軸x=x2(mm)となる。同期開始点の変動がないとすると、上述した同期曲線を特定する各式は、以下の[数9]で示すようになり、その[数4]の式中にx=x2を代入することで、[数10]に示すように同期終了位置における各カム位置,カム速度,カム各速度の値を求めることができる。
【数9】
【数10】
【0105】
これにより、xs=x2、θs=θ2、ωs=ω2、αs=α2を、非同期曲線を求める際の前のカムの値として取り込む。また、目標値の変更がない場合には、次の同期制御区間は、主軸位置x=x3になった時から開始し、主軸位置がx3≦x≦x4の間、同期曲線に従って制御する。そして、係る次の同期制御区間におけるカム位置θ,カム速度dθ/dx,カム加速度d2θ/dx2は、それぞれ下記式[数11]に示す同期曲線にしたがって制御される。
【数11】
【0106】
そして、この同期制御区間の開始位置(x=x3)における各カム位置,カム速度,カム各速度の値は、[数12]を実行し、求めることができる。そして、その求めた各値が、主軸xの位置が、x2≦x≦x3までの間の非同期制御区間における終了位置の各値、つまり、当該非同期制御区間におけるそれぞれの目標値となる。換言すると、xe=x3、θe=θ3、ωe=ω3、αe=α3として、非同期曲線に随時設定される。
【数12】
【0107】
そして、主軸位置がx=x2の時の目標値(非同期制御区間の終了位置における主軸位置)xeはx3であるため、両点を通るような5次曲線を作成する。そして、主軸現在位置x(mm)がxs≦x≦xe、つまり、x2≦x≦x3の時、毎制御サイクルごとに5次曲線を求め、動かす。また、一度非同期制御区間内に入り、各設定値(カム位置,カム速度,カム加速度)を求めたならば、図3のフローチャートの処理ステップS6の実行に伴い、次の制御サイクルにおける非同期曲線開始位置に設定される。このように非同期曲線開始位置を逐次更新しながら主軸位置x=x3になるまで5次曲線に基づく非同期制御を行なう。
【0108】
以後、同期制御区間と非同期制御区間とを交互に繰り返し実行することになり、途中で目標値が変更された場合には、その都度演算処理をし、非同期曲線は5次曲線で同期曲線とつなぐことになる。
【0109】
一例を示すと、図27から図29に示すようになる。つまり、図27に示すように、位相と変位のごとくボックス曲線の同期を開始する場所や、同期比率を変えても、図28に示す位相と速度の特性に示すように境界点でスムーズに速度が繋がる。同様に図29に示す位相と加速度の特性においても、加速度が境界点で繋がる。よって、衝撃と振動が発生しにくい。そして、制御サイクルごとに従軸のサーボの目標位置,目標速度,目標加速度を設定しているので、オンラインで同期を開始する場所、比率を変えても対応が可能である。
【0110】
上述した各実施形態では、いずれも包装機械のエンドシール装置用の駆動モータ(サーボモータ)の制御に適用した例を示したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、包装フィルムに被包装物を供給する被包装物搬送供給手段の駆動モータ(サーボモータ)に対する制御にも利用できる。すなわち、被包装物の搬送速度と包装フィルムの搬送速度は通常異なるので、例えば、包装フィルムを一定の速度で搬送している場合に、被包装物を包装フィルムに供給する間だけ、被包装物の搬送速度を包装フィルムの搬送速度に同期してあわせ、それ以外の期間は包装フィルムの搬送速度と非同期制御をし、所定の非同期曲線(5次曲線等)により制御することができる。
【0111】
エンドシール装置7の一形態として、上述のボックスモーション式やクランクモーション式以外に、ロータリーモーションと称されるものタイプもある。このロータリーモーションタイプのエンドシール装置7は、上下一対の回転軸にそれぞれエンドシーラを直接または間接的に取り付ける。そして、回転軸の回転に伴いエンドシーラも回転し、所定のタイミングで上下のエンドシーラが包装フィルムを上下から挟み込んでシールし、カットする。
【0112】
ここで、上述した各タイプのエンドシール装置と同様に、最初の同期制御区間開始位置における主軸位置がx1で従軸位置がθ1とし、同期制御区間終了位置(非同期制御区間開始位置)における主軸位置がx2で従軸位置がθ2とする。そして、次の同期制御区間開始位置における主軸位置がx3で従軸位置がθ3とし、同期制御区間終了位置(非同期制御区間開始位置)における主軸位置がx4で従軸位置がθ4とする。すると、θ1≦θ2≦θ3≦θ4,x1≦x2≦x3≦x4なる関係が生じる。
【0113】
そして、同期曲線は、
(θ−θ1)=(θ2−θ1)/(x2−x1)*(x−x1)
で表される。ここで、θは従軸の位置であり、xは主軸の位置である。
【0114】
上記の式をxで微分すると、
dθ/dx=(θ2−θ1)/(x2−x1)
となる。つまりカム速度は、
ω1=ω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)
である。更に上記の式をxで微分すると、
d2θ/dx2=0となり。カム加速度は0である。
【0115】
同様に、次の同期曲線は
(θ−θ3)=(θ4−θ3)/(x4−x3)*(x−x3)
で表される。
【0116】
上記の式をxで微分すると、
dθ/dx=(θ4−θ3)/(x4−x3)
となる。
【0117】
カム速度は
ω3=ω4=(θ4−θ3)/(x4−x3)
である。更にxで微分すると、
d2θ/dx2=0となり、カム加速度は0である。
【0118】
上述の各値、つまり、xs=x2,xe=x3,θs=θ2,θe=θ3を[数12]の式に代入すると、
ωs=ω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)
ωe=ω3=(θ4−θ3)/(x4−x3)
αs=0 αe=0 として代入して同期曲線間を繋ぐ非同期曲線を作る。
【0119】
これにより、滑らかな波形が可能である。そして、上述した実施形態によれば、xs、θs、ωs、αsに前のカムの値が入るため、次の同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【0120】
ボールネジ、ラックアンドピニオンによる同期動作に適用する場合を考える。従軸のサーボモータをボールネジ或いはラックアンドピニオンの機械系につけるとする。ボールネジ或いはラックアンドピニオンは主軸のワークに平行に置かれている。この場合の動作は以下のようになる。
【0121】
y=p×θ
ここで、yはボールネジあるいはラックアンドピニオンの移動量であり、一般的にmmで示される。そして、ボールネジの場合は、
P=ボールネジのピッチ/360(度)
となり、ラックアンドピニオンの場合は、
P=ピニオン径×π/360(度)
となる。
【0122】
xは主軸の位置で
y2=p×θ2、y1=p×θ1
の関係があるので、同期曲線は、
(y−y1)=(y2−y1)/(x2−X1)*(x−x1)
から、
(θ−θ1)=(θ2−θ1)/(x2−X1)*(x−x1)
で表される。ここで、θは従軸の位置、xは主軸の位置、θ2は従軸の同期曲線終了位置、θ1は従軸の同期曲線開始位置、x2は主軸の同期曲線終了位置、x1は主軸の同期曲線開始位置である。
【0123】
上記の式をxで微分すると、
dθ/dx=(θ2−θ1)/(x2−x1)
となる。つまりカム速度は
ω1=(θ2−θ1)/(x2−x1)
である。
【0124】
更にxで微分すると、
d2θ/dx2=0となり、カム加速度は0である。
【0125】
従軸が動き出す位置つまり非同期曲線開始位置は、主軸の位置がx0,従軸の位置がθ0,カム速度ω0=0,カム加速度α0=0、非同期曲線終了位置(同期曲線開始位置)は主軸の位置がx1、従軸の位置はθ1となる。
【0126】
そして、カム速度は、
ω1=(θ2−θ1)/(x2−x1)
カム加速度は、
α1=0
となる。
【0127】
そして、上述した[数12]の式にxs=x0,xe=x1,θs=θ0,θe=θ1,ωs=ω0=0、ωe=ω1=(θ2−θ1)/(x2−x1),αs=0,αe=0を代入することで同期曲線間を繋ぐ非同期曲線を作る。
【0128】
同期曲線終了位置(非同期曲線開始位置)は、主軸の位置x2,従軸の位置はθ2となる。カム速度はω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)、カム加速度は0である。従軸が停止する位置つまり非同期曲線終了位置は、主軸の位置がx3,従軸の位置がθ3である。そして、カム速度,カム加速度α0は0となる。
【0129】
同様にxs=x2,xe=x3,θs=θ2,θe=θ3,ωs=ω2=(θ2−θ1)/(x2−x1)、ωe=0,αs=0,αe=0として[数12]に代入して同期曲線間を繋ぐ非同期曲線を作ることができる。
【0130】
ボールネジやラックアンドピニオンは両端には限界があるため停止が必要である。そこで、本発明を用いることにより、滑らかな波形が可能となる。さらに、上述した実施形態を適用することによりxs、θs、ωs、αsには前のカムの値が入るため、同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【0131】
さらに、シール装置ではなく、単独のカッター装置にも適用できる。また、シールやカットの対象物は、包装フィルムに限らず、各種のシート状のものに適用できる。
【0132】
上述した実施形態では、包装機械に適用した例を示したが、本発明これに限ることはなく、各種の装置に対する制御に適用できる。一例を示すと、印刷機械に有効である。印刷機械は紙等の被印刷物と、印刷面があるロール部分が同期して動作する。この動作の中で印刷を開始する場所を前後に補正したい場合がある。この補正動作に本発明の5次曲線による非同期制御を使うことによって、滑らかに補正動作を行うことが可能となる。
【0133】
また、建材の同期切断、同期により流れてくる電子部品や基盤に対しての加工や部品の挿入、ガラスへの同期切断や加工、ラインを流れている自動車へ同期して加工や部品の挿入等の同期制御に関して、非同期区間を本発明の非同期制御を使うことによって、滑らかな波形が可能となる。さらに、上述した実施形態を適用することにより同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【0134】
さらにまた、直交系のロボット、水平、円筒、垂直ロボットの複数軸の同期制御に関しても、非同期区間における、ロボット各軸の動作に本発明の非同期制御を使うことによって、滑らかな波形が可能となる。さらに、上述した実施形態を適用することにより同期曲線が変更されてもカム位置、カム速度、カム加速度を繋いでいくことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の好適な一実施形態が適用される包装システムの一例を示す図である。
【図2】本発明に係る制御システムの一実施形態を示す図である。
【図3】モーションコントロールユニットの機能を示すフローチャートである。
【図4】非同期制御区間内における非同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図5】非同期制御区間内における非同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図6】非同期制御区間内における非同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図7】非同期制御区間内における目標値を変更した場合の非同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図8】非同期制御区間内における目標値を変更した場合の非同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図9】非同期制御区間内における目標値を変更した場合の非同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図10】非同期制御区間内における通過すべき特定点を指定した場合の非同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図11】非同期制御区間内における通過すべき特定点を指定した場合の非同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図12】非同期制御区間内における通過すべき特定点を指定した場合の非同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図13】ボックスモーション式のエンドシール装置の一例を示す模式図である。
【図14】ボックスモーションの機構を抽象化し、電子カムと包装フィルムの関係を示した図である。
【図15】ボックスモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図16】ボックスモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図17】ボックスモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図18】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−位置特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図19】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図20】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−加速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図21】ボックスモーション式のエンドシール装置における位相−加速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す拡大図である。
【図22】クランクモーション式のエンドシール装置の一例を示す模式図である。
【図23】クランクモーションの機構を抽象化し、電子カムと包装フィルムの関係を示した図である。
【図24】クランクモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−位置特性)を示す図である。
【図25】クランクモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−速度特性)を示す図である。
【図26】クランクモーション式の同期制御区間内における同期曲線(位相−加速度特性)を示す図である。
【図27】クランクモーション式のエンドシール装置における位相−位置特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図28】クランクモーション式のエンドシール装置における位相−速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【図29】クランクモーション式のエンドシール装置における位相−加速度特性における同期曲線と非同期曲線を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
10 コントローラ
14 モーションコントロールユニット
14a 現在情報取得部
14b 制御曲線作成部
14c カム設定部
14d 命令設定部
14e 現在位置リセット部
15 データ設定コントローラユニット
15a 条件設定部
15b カム境界点作成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータを使用した電子カムの制御方法であって、
制御対象物である従軸を主軸位置に対して同期して動作させる制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物である従軸を主軸位置対して同期せずに動作させる制御を行なう非同期制御区間とを有し、
前記非同期制御区間における制御が、
電子カムの位置制御に5次関数を使用し、
電子カムの速度制御に4次関数を使用し、
電化カムの加速度制御に3次関数を使用して前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの加速度が0に近づくようにすることにより、前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの動作を滑らかに制御することを特徴とする電子カムの制御方法。
【請求項2】
非同期制御区間の終了位置情報として主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度の値を各関数の入力パラメータとして随時受付可能とすることを特徴とする請求項1に記載の電子カムの制御方法。
【請求項3】
前記非同期制御区間の開始位置情報として制御サイクルごとに前回の制御サイクルで求めた主軸位置,カム位置,カム速度,カム加速度の値を各関数の入力パラメータとする請求項1または2に記載の電子カムの制御方法。
【請求項4】
前記非同期制御区間の途中特定通過点として設定された主軸位置に対するカム位置を通るように前記5次関数を求め、その途中特定通過点のカム加速度が0に近づくように前記3次関数を求めるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子カムの制御方法。
【請求項1】
サーボモータを使用した電子カムの制御方法であって、
制御対象物である従軸を主軸位置に対して同期して動作させる制御を行なう同期制御区間と、その同期制御区間の終了位置から次の同期制御区間の開始位置まで前記制御対象物である従軸を主軸位置対して同期せずに動作させる制御を行なう非同期制御区間とを有し、
前記非同期制御区間における制御が、
電子カムの位置制御に5次関数を使用し、
電子カムの速度制御に4次関数を使用し、
電化カムの加速度制御に3次関数を使用して前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの加速度が0に近づくようにすることにより、前記非同期制御区間と前記同期制御区間が切り替わる変化点付近の電子カムの動作を滑らかに制御することを特徴とする電子カムの制御方法。
【請求項2】
非同期制御区間の終了位置情報として主軸位置、カム位置、カム速度、カム加速度の値を各関数の入力パラメータとして随時受付可能とすることを特徴とする請求項1に記載の電子カムの制御方法。
【請求項3】
前記非同期制御区間の開始位置情報として制御サイクルごとに前回の制御サイクルで求めた主軸位置,カム位置,カム速度,カム加速度の値を各関数の入力パラメータとする請求項1または2に記載の電子カムの制御方法。
【請求項4】
前記非同期制御区間の途中特定通過点として設定された主軸位置に対するカム位置を通るように前記5次関数を求め、その途中特定通過点のカム加速度が0に近づくように前記3次関数を求めるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子カムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2007−328796(P2007−328796A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179296(P2007−179296)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【分割の表示】特願2005−329369(P2005−329369)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【分割の表示】特願2005−329369(P2005−329369)の分割
【原出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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