説明

電子タグを用いた位置情報追跡システム

【課題】 電子タグを用いた位置情報追跡システムに関し、GPS機能等に依存することなく、携帯電話に通信が不可能な状況に陥っても、児童等の管理対象者の位置情報を追跡する。
【解決手段】 固定物1に設置された固定電子タグ2と、識別番号が記録されるとともに、電磁波6を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーとからなり、携帯通信機器端末5は移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、移動体用電子タグ4は内蔵するバッテリを電源として電磁波6を発生させ、識別番号を固定電子タグ2へ発信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子タグを用いた位置情報追跡システムに関するものであり、特に、電子タグの機能を用いることによってGPS機能等の特別のシステムを使用せずに物品の移動または人物の移動を後から確実に追跡するための構成に特徴のある電子タグを用いた位置情報追跡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、物品に電子タグ、即ち、ICタグを付け、そのICタグ情報を読み取るICリーダーのシステムを応用して、様々なICタグ・システムが展開されている。
【0003】
例えば、従来、顧客が希望商品を在庫している商店の近くにさしかかったときに、その顧客の携帯電話に希望商品の在庫がある旨の情報を通知するようにした商品陳列場所通知システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このシステムは、希望商品の商品名、型番、サイズ、色などの詳細な商品特定情報、例えば、カタログ記載の商品番号などの情報を指定することができるので、希少な商品を探し出すのに有効である。
【0005】
これとは別に、au(登録商標)携帯電話を活用し子供の居場所や出欠状態を確認できる「通学ケータイ」の提供開始されている(例えば、非特許文献1参照)。
この「通学ケータイ」とは、au(登録商標)携帯電話ならではの高精度なGPS機能を生かし、学校の敷地や校舎外ではGPSを利用し位置情報を取得するものである。
【0006】
また、GPSに加えて、校舎などの建物内では、Bluetooth情報標識インフォサインR(登録商標)を利用して位置特定を行うことにより、半径10m程度のエリア単位までの正確な位置検知を行うことが可能となり、広範囲かつきめの細かい管理をするものである。
これにより、校内に限らず通学中の子供の居場所を確認することができ、安心して学校に子供を通わせることができる。
【0007】
この場合の通学中における位置情報の取得は、児童の持つ携帯電話に搭載されたBREWR(登録商標)アプリケーションが学校の登校/下校時間や出欠状態に合わせて自動的に行うため、携帯電話を持っている児童側からの操作は不要となる。
【0008】
保護者や教師は、インターネット接続環境にあるPC(パーソナルコンピュータ)や携帯電話から専用Webサイトにアクセスし、簡単に児童の現在位置を確認することが可能である他、出欠管理機能、防犯情報や連絡事項のメール配信機能も備えている。
【0009】
例えば、現在位置確認としては、児童の所持する携帯電話から自動送信される位置情報を取得することにより、児童の現在位置を専用のWeb画面、または携帯電話よりリアルタイムに確認することができる。
また、センタープッシュ機能を利用することにより、保護者や教師は、簡単に児童の現在位置をいつでも確認することができる。
【0010】
その他に、児童が登校/下校したことをインターネットを介してリアルタイムで保護者や学校にメールで通知する登校・下校・自動通知機能、専用のWeb画面により、クラスごとの出欠状況を確認することもできる出欠管理機能、児童からのお助けコールを受け取り、事前に通知先として登録されたメールアドレスに通知するお助けコール機能、防犯情報を学校や保護者等の登録されているメールアドレスに配信する防犯情報配信機能、及び、専用のWeb画面より、クラスの連絡網にアクセスする連絡網機能等も備わっている。
【特許文献1】特開2001−149773号公報
【非特許文献1】http://www.kddi.com/corporate/news_release/2005/1003a/besshi.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述のような携帯電話サービスを用いて、自分の子供の情報を得るシステムでは、
A.携帯電話でGPS信号が受信可能であること、
B.携帯電話の電源がオンしている状態であること、及び、 C.電話通信エリアであること
のA乃至Cの各要件が成り立たないと位置情報を得ることができないという問題がある。
【0012】
即ち、例えば、児童誘拐事件の場合、携帯電話で足取りが判ってしまうので、誘拐犯が携帯電話の電源を切ってしまう可能性が高く、また、携帯電話の電源が入ったままでも、通話エリアの外へ出てしまうと位置が判らなくなるため、これらの状況の場合には、児童の位置が検知できなくなる。
【0013】
したがって、本発明は、GPS機能等に依存することなく、携帯電話に通信が不可能な状況に陥っても、児童等の管理対象者の位置情報を追跡することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、電子タグシステムであって、固定物1に設置された固定電子タグ2と、識別番号が記録されるとともに、電磁波6を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーとからなり、携帯通信機器端末5は移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、移動体用電子タグ4は内蔵するバッテリを電源として電磁波6を発生させ、識別番号を固定電子タグ2へ発信することを特徴とする。
【0015】
このようシステムを構成することによって、GPS機能等に依存することなく、携帯電話等の携帯通信機器端末5の通話エリアにおいても、電信柱、交通信号機、或いは、交通標識等の固定物1に設置された固定電子タグ(ICタグ)2に、識別番号が記録されるため、後で足取りを追跡することが可能になる。
なお、この場合の移動体3とは、典型的には学童等の人間であるが、ペットに対しても適用されるものである。
【0016】
この場合、携帯通信機器端末5に追跡解除キーを備え、追跡解除キーを押すことによって、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信機能を一時停止させるように構成することが望ましく、それによって、移動体用電子タグ4からバッテリを電源として電磁波6が発生しないので、移動体用電子タグ4のバッテリ消費を防ぐと共に、無駄な情報を発信しないようにすることができる。
【0017】
この場合、追跡解除キーを押したのち、予め定めた所定時間(例えば、24時間)を経過した場合に、移動体用電子タグ4により内蔵するバッテリを電源として電磁波6を発生させ、識別番号を固定電子タグ2へ発信するように構成することが望ましい。
【0018】
通常、長い間、追跡解除キーをオフにすることは考えられないため、長時間セキュリティー解除されたままの場合、事件にまきこまれた可能性が高いので、自動的に移動体用電子タグ4から情報を発信するように機能させることによって、自動的に事件の発生を認識して追跡を開始することができる。
【0019】
また、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が途切えたのち、再度、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が再開された場合、移動体用電子タグ4における電磁波6の発生を中止するように構成することが望ましく、それによって、移動体用電子ICタグのバッテリ消費を防ぐとともに、無駄な情報を発信しないようにすることができる。
【0020】
なお、固定電子タグ2は、移動体用電子タグ4から発信された電磁波6から電力を得、移動体用電子タグ4から発信された識別番号を記録するように構成することが望ましく、それによって、固定電子タグ2にバッテリを搭載する必要がないため、非常に安価なコストで固定電子タグ2の網を張ることができる。
【0021】
また、固定電子タグ2に記録した情報は、予め定めた所定期間の経過後に消去するように構成することが望ましく、それによって、固定電子タグ2に搭載するメモリの容量を小さく、例えば、64kビット程度に抑えることができる。
なお、書き込みの上限まできた場合は、過去のデータから上書きするように構成しても良い。
【0022】
また、固定電子タグ2に記録された情報の読み取りの際に、暗号コードを必要とするように構成することが望ましく、それによって、盗聴マニア等の一般人がデータ収集することはできず、暗号コードを保持する警察・行政機関等のみが記録情報を読み取ることになるので、個人のプライバシーを保護することが可能になる。
【0023】
また、固定電子タグ2は、移動体用電子タグ4から発信された識別番号とととに、発信日時を記録できるように構成しても良く、それによって、どの様な経路で移動したか判断することが可能になる。
【0024】
また、他のシステム構成としては、固定物1に設置された固定電子タグ用リーダーと、固定電子タグ用リーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、識別番号が記録された移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーからなり、携帯通信機器端末5には移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、携帯通信機器端末5から管理サーバーに情報を発信し、固定電子タグ用リーダーから、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグ4の情報のみを読み取るように構成しても良い。
【0025】
このように構成することによって、リアルタイムで移動体用電子タグ4の情報を得ることができるようになるとともに、無駄な情報を収集しないため、回線負荷のかからない状態で、情報収集することができる。
【0026】
この場合、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が途切えたのち、再度、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が再開された場合、携帯通信機器端末5から管理サーバーに情報を発信し、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグ4の情報収集を中止するように構成することが望ましく、それによって、無駄な情報の収集を回避することができる。
【0027】
また、固定電子タグ用リーダーは、その通信範囲から移動体用電子タグ4に内蔵されている情報を読み取り、読み取った情報と得たい情報とを比較し、得たい情報と合致した場合のみ、電子タグ用リーダーのメモリ部へ読み取った情報を記憶するように構成することが望ましく、それによって、無駄な情報の収集を回避することができる。
【0028】
また、携帯通信機器端末5に追跡解除キーを備え、追跡解除キーを押すことによって、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信機能を一時停止させるとともに、携帯通信機器端末5の管理サーバーに対する通信機能を一時停止させるように構成することが望ましく、それによって、携帯通信機器端末5から管理サーバーに無駄な情報を発信することがなくなる。
【0029】
また、追跡解除キーを押したのち、予め定めた所定時間(例えば、24時間)を経過した場合に、携帯通信機器端末5から管理サーバーに情報を発信し、固定電子タグ用リーダーから、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグ4に内蔵されている情報のみを読み取るように構成することが望ましく、それによって、自動的に事件の発生を認識して追跡を開始することができる。
【0030】
また、他のシステム構成としては、固定物1に設置された固定電子タグ用リーダーと、固定電子タグ用リーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、識別番号が記録されるとともに電磁波6を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーとからなり、携帯通信機器端末5には移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、携帯通信機器端末5と移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、移動体用電子タグ4はバッテリを電源として電磁波6を発生させ、識別番号を固定物1電子タグ用リーダーへ発信するように構成しても良い。
【0031】
このように構成することによって、リアルタイムで移動体用電子タグ4の情報を得ることができるようになるとともに、無駄な情報を収集しないため、回線負荷のかからない状態で、情報収集することができる。
【0032】
また、管理サーバーが、識別番号の移動履歴の確認機能を有するように構成しても良く、それによって、誘拐事件等の事件が発生した場合は、直ちにモニターで監視・追跡することができる。
【0033】
また、この場合の移動体用電子タグ4の通信周波数としては、どのような周波数でも良いが、433MHz〜960MHz(UHF)が望ましく、13.56MHzや2.45GHzのICタグに比べて相対的に通信範囲が広くなる。
なお、一般の通信におけるUHFは300MHz〜3GHzの周波数帯を指すが、ICタグ分野においては、現在のところ433MHz帯、860MHz〜9690MHz帯を指す。
【0034】
また、移動体電子タグに内蔵されるメモリ部は、フラッシュメモリー、強誘電体メモリ、或いは、磁気ランダムアクセスメモリ(MFRAM)のうちのいずれかで構成すれば良く、特に、強誘電体メモリ(FeFRAM)は省消費電力で且つ書き込み読み出し速度が速いため好適である。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ICタグの網が児童等の移動体の履歴を残すため、どのような場所に隠れようとも足取りが追え、したがって、誘拐すること自体、犯人にとってリスクとなり、誘拐犯罪の発生減少に繋がる。
さらに、児童が誘拐された場合でも、直ぐに児童の追跡が可能となるため、近くの住民の聞き込み作業をせずとも捜査を進めることが出来るようになり、犯罪の抑制と、早期の事件解決に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、電信柱、交通信号機、或いは、交通標識等の固定物に設置された固定ICタグ(パッシブ型)と、学童等の人間やペット等の移動体に携行させるとともに識別番号を記録し、電磁波を発生させるリーダー機能とバッテリとを移動体用ICタグ(アクティブ型)と、携帯電話を代表とするモバイル端末等の携帯通信機器端末の端末ICリーダーとからシステムを構成し、携帯通信機器端末に移動体用ICタグと携帯通信機器端末とを一定の時間で間欠的に通信を繰り返す機能をもたせ、携帯通信機器端末と移動体用ICタグの通信が途切れた場合、移動体用ICタグが内蔵するバッテリを電源として電磁波を発生させ、識別番号を固定ICタグへ発信させて、移動体の行動を追跡するものである。
【0037】
また、本発明は、電信柱、交通信号機、或いは、交通標識等の固定物に設置された固定ICリーダーと、固定ICリーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、学童等の人間やペット等の移動体に携行させる識別番号を記録した移動体用ICタグ(パッシブ型)と、携帯電話を代表とするモバイル端末等の携帯通信機器端末の端末ICリーダーとからシステムを構成し、携帯通信機器端末に移動体用ICタグと携帯通信機器端末とを一定の時間で間欠的に通信を繰り返す機能をもたせ、携帯通信機器端末と移動体用ICタグの通信が途切れた場合、携帯通信機器端末から管理サーバーに情報を発信し、固定ICリーダーから、特定の識別番号の入っている移動体用ICタグの情報のみを読み取り、移動体の行動を追跡するものである。
【0038】
また、本発明は、電信柱、交通信号機、或いは、交通標識等の固定物に設置された固定ICリーダーと、固定ICリーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、学童等の人間やペット等の移動体に携行させるとともに識別番号を記録し、電磁波を発生させるリーダー機能とバッテリとを移動体用ICタグ(アクティブ型)と、携帯電話を代表とするモバイル端末等の携帯通信機器端末の端末ICリーダーとからシステムを構成し、携帯通信機器端末に移動体用ICタグと携帯通信機器端末とを一定の時間で間欠的に通信を繰り返す機能をもたせ、携帯通信機器端末と移動体用ICタグの通信が途切れた場合、移動体用ICタグは内蔵するバッテリを電源として電磁波を発生させ、識別番号を固定物ICリーダーへ発信して、移動体の行動を追跡するものである。
【実施例1】
【0039】
ここで、図2乃至図4を参照して、本発明の実施例1の位置情報追跡システムを説明する。
図2参照
図2は、本発明の実施例1の位置情報追跡システムの概念的構成図であり、例えば、児童等の移動体11に携行させる個人ICタグ20、典型的には携帯電話であるところのICリーダーを構成するモバイル端末30、電信柱等の固定物12に固定する固定ICタグ40によって構成される。
なお、この場合の各ICタグは、UHFタグとする。
【0040】
この場合、個人ICタグ20はシャツのボタン等の衣類に装着したり、腕時計の内部に装着したり、靴の中に装着すれば良く、一方、固定ICタグ40は、下図に示すように、所定の最小間隔を保つように例えば、道路に沿って設置されている電信柱、信号機、及び、交通標識に適宜設置・固定するものである。
なお、図においては、個人ICタグ20は1個としているが、複数個を異なった箇所、例えば、シャツのボタン、腕時計の内部及び靴の中に装着するようにしても良い。
【0041】
図3参照
この場合の個人ICタグ20は、上段図に示すように、バッテリを備えたアクティブ型ICタグからなり、アンテナ21、整流器22、復調器23、変調器24、制御部25、メモリ部26、及び、薄型乾電池等のバッテリ27で構成され、メモリ部26は書換え可能なFRAM261 と書換え不可のROM262 からなる。
【0042】
この場合のメモリ部26はICタグの用途に応じた種々の情報を記憶するものであり、ここでは、個人ICタグ20の携行者の識別番号を記憶するものとする。
また、制御部25は、ICタグの用途に応じた種々の処理を行う。
【0043】
アンテナ21が受信する信号は、整流器22及び復調器23に供給され、整流器22においては、アンテナ21自身のインダクタンスとコンデンサ(図示は省略)とによる共振作用により昇圧された交流電圧を直流電圧に整流して、復調器23、変調器24、制御部25、メモリ部26に供給する。
【0044】
一方、復調器23はアンテナ21を介して受信した信号を復調して制御部25に供給し、制御部25はメモリ部26から識別番号等の必要とする情報を読み出し、読み出した信号を変調器24で変調してアンテナ21を介して無線送信する。
【0045】
また、モバイル端末30は、中段図に示すように、アンテナ31、送信器32、受信器33、制御部34、メモリ部35、及び、バッテリ36で構成され、この場合のメモリ部35も書換え可能なFRAM351 と書換え不可のROM352 からなる。
【0046】
このモバイル端末30においては、送信器32からアンテナ31を介して個人ICタグ20に情報信号を含んだ電波を送信するとともに、個人ICタグ20からの信号をアンテナ31を介して受信器33で受信し、受信した識別番号等の情報を含む信号を制御部34に供給する。
【0047】
また、固定ICタグ40は、下段図に示すように、バッテリを備えないパッシブ型ICタグからなり、アンテナ41、整流器42、復調器43、変調器44、制御部45、及び、メモリ部46で構成され、メモリ部46は書換え可能なFRAM461 と書換え不可のROM462 からなる。
【0048】
この固定ICタグ40は、後述するように、個人ICタグ20とモバイル端末30との間の通信が途絶えた場合には、個人ICタグ20から発信される識別番号等の情報を含む信号をアンテナ41で受信し、受信した信号から整流器42において直流電力を発生させるとともに、復調器43において信号を復調して制御部45に供給し、制御部45においては、供給された識別番号等の情報をFRAM461 に格納する。
なお、この固定ICタグ40に備えられたFRAM461 の容量は、目的によって異なるが、簡単な位置情報追跡だけであるならば64kbit程度あれば十分である。
【0049】
図4参照
図4は、本発明の実施例1の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、
a.個人ICタグ20を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
c.任意の設定時間、例えば、2分毎に通信処理を行い、両者の間で通信が可能な場合に は、工程cのチェック動作を繰り返し、通信が不可能な場合には、
d.個人ICタグ20のバッテリ27を電源として、識別番号を含んだ電波を発信する。
次いで、
e.移動体11に直近の固定ICタグ40が個人ICタグ20から発信される電波をキャ ッチし、次いで、
f.固定ICタグ40においてキャッチした識別番号を含んだ情報をメモリ部46を構成 するFRAM461 に格納する。
【0050】
このd乃至fの工程は、移動体11が発見されるまで移動経路に沿って移動体11に直近の固定ICタグ40によって行われることになり、各固定ICタグ40のFRAM461 に格納された情報を集約することによって、GPS機能等に依存することなく、且つ、携帯通信機器端末5の通話エリア外においても追跡が可能になる。
なお、b及びcの工程における個人ICタグ20の動作電源としては、整流器21によって供給される電力を用いる。
【0051】
この実施例1においては児童誘拐を想定しているが、児童誘拐事件の場合、携帯電話で足取りが判ってしまうので、誘拐犯が携帯電話の電源を切ってしまう可能性が高く、それによって、モバイル端末30と個人ICタグ20との間の通信が不可能になるが、上記d乃至fの動作により移動痕跡が固定ICタグ40に記録されることになる。
また、位置追跡段階に入った時にはモバイル端末30の機能を使用していないので、モバイル端末30が通話エリアの外へ出てしまった場合にも、位置追跡が可能となる。
【実施例2】
【0052】
次に、図5を参照して、本発明の実施例2の位置情報追跡システムを説明するが、この場合には、基本的システム、各ICタグ及びICリーダーの構成は上記の実施例1と同様であるので、動作フローのみを説明する。
但し、この場合、モバイル端末30に位置情報追跡を解除する解除キーが設けられているものとし、学童等のモバイル端末30の携行者が学習塾や音楽会等のモバイル端末30の電源を切ることを要請される場所に入った場合を想定するものである。
【0053】
図5参照
図5は、本発明の実施例2の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、
a.個人ICタグ20を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
g.モバイル端末30の解除キーを押したか否かをチャックし、解除キーを押していない 場合には、定期的通信動作を繰り返し、一方、解除キーを押した場合には、
h.個人ICタグ20のFRAM261 に解除キーを押した時刻を記録する。次いで、再 び、上記の実施例1と同様に、
i.任意の設定時間、例えば、1時間経過したかをモバイル端末30でチェックし、所定 の設定時間が経過するまで定期的にチェックを繰り返し、所定の時間が経過した場合 には、
d.個人ICタグ20のバッテリ27を電源として、識別番号を含んだ電波を発信する。 次いで、
e.移動体11に直近の固定ICタグ40が個人ICタグ20から発信される電波をキャ ッチし、次いで、
f.固定ICタグ40においてキャッチした識別番号を含んだ情報をメモリ部46を構成 するFRAM461 に格納する。
【0054】
この場合も、d乃至fの工程は、移動体11が発見されるまで移動経路に沿って移動体11に直近の固定ICタグ40によって行われることになり、各固定ICタグ40のFRAM461 に格納された情報を集約することによって、GPS機能等に依存することなく、且つ、携帯通信機器端末5の通話エリア外においても追跡が可能になる。
【0055】
なお、上記のgの工程において、解除キーを押すためには、何らかの暗号コードを入力しないと解除できないようにすることが望ましく、犯人が解除キーを押すことによって時間的な余裕を作らせないようにするために有効となる。
【0056】
さらに、解除キーモードに入った場合には、任意で1時間、2時間、或いは、8時間等の時間設定が可能なように構成することが望ましく、例えば、飛行機に乗る場合に、フライト所要時間に合わせて時間設定を行うとともに、設定した時間を個人ICタグ20に転送して記憶させ、個人ICタグ20が作動しないように設定することができる。
【0057】
この実施例2においては、携帯電話の使用が憚られる学習塾や音楽会や美術展のような静寂さが要求される場所から誘拐される場合を想定しており、学習塾や音楽会や美術展において、所定時間経過した後も解除状態が継続されている場合には、児童誘拐事件が発生したと自動的に判断され、d乃至fの位置自動追跡動作が開始されることになる。
【実施例3】
【0058】
次に、図6を参照して、本発明の実施例3の位置情報追跡システムを説明するが、この場合も、基本的システム、各ICタグ及びICリーダーの構成は上記の実施例1と同様であるので、動作フローのみを説明する。
【0059】
図6参照
図6は、本発明の実施例3の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、上記の実施例1と全く同様に、
a.個人ICタグ20を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
c.任意の設定時間、例えば、2分毎に通信処理を行い、両者の間で通信が可能な場合に は、工程cのチェック動作を繰り返し、通信が不可能な場合には、
d.個人ICタグ20のバッテリ27を電源として、識別番号を含んだ電波を発信する。
次いで、
e.移動体11に直近の固定ICタグ40が個人ICタグ20から発信される電波をキャ ッチし、次いで、
f.固定ICタグ40においてキャッチした識別番号を含んだ情報をメモリ部46を構成 するFRAM461 に格納する。
【0060】
次いで、実施例3の特徴点である、
j.モバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信が再開されたか否かをチェック、 再開されていない場合には、位置情報追跡動作を継続し、通信が再開された場合には 、
k.個人ICタグ20における電波の発信を停止する。
【0061】
この実施例3においては、携帯電話を置き忘れた場合等を想定しており、携帯電話を取りに戻って通信が再開した場合には、誘拐事件ではないことになり、個人ICタグにおける電波の発信を停止することによって、無駄な情報を発信を回避するとともに、内蔵するバッテリーの無駄な消費を抑えることができる。
なお、通信が再開しない場合には、児童誘拐が発生しているとして、d乃至fの位置自動追跡動作が継続されることになる。
【実施例4】
【0062】
次に、図7を参照して、本発明の実施例4の位置情報追跡システムを説明するが、この場合には、基本的システム、各ICタグ及びICリーダーの構成は上記の実施例1と同様であるので、動作フローのみを説明する。
【0063】
図7参照
図7は、本発明の実施例4の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、上記の実施例1と全く同様に、
a.個人ICタグ20を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
c.任意の設定時間、例えば、2分毎に通信処理を行い、両者の間で通信が可能な場合に は、工程cのチェック動作を繰り返し、通信が不可能な場合には、
d.個人ICタグ20のバッテリ27を電源として、識別番号を含んだ電波を発信する。
次いで、
e.移動体11に直近の固定ICタグ40が個人ICタグ20から発信される電波をキャ ッチし、次いで、
f.固定ICタグ40においてキャッチした識別番号を含んだ情報をメモリ部46を構成 するFRAM461 に格納する。
【0064】
次いで、実施例4の特徴点である、
l.各固定ICタグ40に記録された特定の情報が記録から予め定めた所定の時間、例え ば、1週間経過したか否かをチェックし、経過していない場合にはチェックを継続し 、経過した場合には、
m.固定ICタグ40から該当する特定の情報の消去を行うか、或いは、特定の情報が格 納されたメモリセル領域の上書き禁止を解除して、他の情報を上書きを可能にする。
【0065】
この実施例4においては、メモリ部を構成するFRAMの容量が満杯になる前に一番古い情報から削除或いは上書きを可能にしているので、メモリ部を構成するFRAMの容量は64kbit等の安価な低容量メモリで充分となり、それによって、位置情報追跡システムを構成するために膨大な数を要する固定ICタグを安価な固定ICタグとすることによってシステムの低コスト化が可能になる。
【実施例5】
【0066】
ここで、図8乃至図10を参照して、本発明の実施例5の位置情報追跡システムを説明する。
図8参照
図8は、本発明の実施例5の位置情報追跡システムの概念的構成図であり、例えば、児童等の移動体11に携行させる個人ICタグ50、典型的には携帯電話であるところのICリーダーを構成するモバイル端末30、電信柱等の固定物12に固定する固定ICリーダー60、及び、固定ICリーダー60からの情報を管理する管理サーバー70とで構成され、固定ICリーダー60と管理サーバー70との間には情報ネットワークが形成される。
【0067】
なお、この場合のICタグ50は、UHFタグとし、この場合も、個人ICタグ50はシャツのボタン等の衣類に装着したり、腕時計の内部に装着したり、靴の中に装着すれば良く、一方、固定ICタグ40は、下図に示すように、所定の最小間隔を保つように例えば、道路に沿って設置されている電信柱、信号機、及び、交通標識に適宜設置・固定するものである。
【0068】
図9参照
この場合の個人ICタグ50は、上段図に示すように、バッテリを持たないパッシブ型ICタグからなり、アンテナ51、整流器52、復調器53、変調器54、制御部55、及び、メモリ部66で構成され、メモリ部56は書換え可能なFRAM561 と書換え不可のROM562 からなる。
【0069】
また、モバイル端末30は、中段図に示すように、上記の実施例1と全く同様に、アンテナ31、送信器32、受信器33、制御部34、メモリ部35、及び、バッテリ36で構成され、この場合のメモリ部35も書換え可能なFRAM351 と書換え不可のROM352 からなる。
【0070】
また、固定ICリーダー60は、下段図に示すように、モバイル端末30と同様に、アンテナ61、送信器62、受信器63、制御部64、メモリ部65、及び、バッテリ66で構成され、この場合のメモリ部65も書換え可能なFRAM651 と書換え不可のROM652 からなる。
なお、この場合のバッテリ66は、固定物12に備わっている電源を利用してもよい。
【0071】
図10参照
図10は、本発明の実施例5の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、
a.個人ICタグ50を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
c.任意の設定時間、例えば、2分毎に通信処理を行い、両者の間で通信が可能な場合に は、工程cのチェック動作を繰り返し、通信が不可能な場合には、
n.モバイル端末30から管理サーバー70に情報を発信する。次いで、
o.管理サーバー70から管理サーバー70と情報ネットワークを形成している各固定I Cリーダー60に情報、即ち、情報を収集する固定ICタグ50の識別番号を発信し 、次いで、
p. 固定ICリーダー60で近傍を通過する個人ICタグ50のメモリ部56に格納され ている識別番号の収集を開始し、固定ICリーダー60に必要な情報か否か、即ち、 通過する個人ICタグ50の識別番号か否かを判定し、必要な情報でない場合には情 報収集を繰り返し、必要な情報の場合には、
q.固定ICリーダー60のFRAM651 に収集した情報を記録する。次いで、
r.固定ICリーダー60から管理サーバー70へデータを送信する。
【0072】
この実施例5においては固定物12にICリーダーを固定し、この固定ICリーダー60と管理サーバー70との間に情報ネットワークを形成しているので、誘拐事件が発生した場合、管理サーバー70から送信された識別番号を有する固定ICタグ50の情報のみ収集するように構成しているので、リアルタイムで必要とする個人ICタグ50の情報を収集することができる。
また、必要とする特定の固定ICタグ50の情報しか収集・記録しないので、無駄な情報を収集することがなく、回線負荷のかからない状態で情報を収集することができる。
【実施例6】
【0073】
次に、図11を参照して、本発明の実施例6の位置情報追跡システムを説明するが、この場合には、基本的システム及び各ICタグ及びICリーダーの構成は上記の実施例5と同様であるので、動作フローのみを説明する。
【0074】
図11参照
図11は、本発明の実施例6の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、
a.個人ICタグ50を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
c.任意の設定時間、例えば、2分毎に通信処理を行い、両者の間で通信が可能な場合に は、工程cのチェック動作を繰り返し、通信が不可能な場合には、
s.モバイル端末30からモバイル端末30の通信範囲内にある固定ICリーダー60に 情報を発信する。次いで、
t.情報を受信した固定ICリーダー60から管理サーバー70に情報を転送する。次い で、
o.管理サーバー70から管理サーバー70と情報ネットワークを形成している各固定I Cリーダー60に情報、即ち、情報を収集する固定ICタグ50の識別番号を発信し 、次いで、
p. 固定ICリーダー60で近傍を通過する個人ICタグ50のメモリ部56に格納され ている識別番号の収集を開始し、固定ICリーダー60に必要な情報か否か、即ち、 通過する個人ICタグ50の識別番号か否かを判定し、必要な情報でない場合には情 報収集を繰り返し、必要な情報の場合には、
q.固定ICリーダー60のFRAM651 に収集した情報を記録する。次いで、
r.固定ICリーダー60から管理サーバー70へデータを送信する。
【0075】
この実施例6においては、まず、情報ネットワークが確立している近傍の固定ICリーダー60にモバイル端末30から情報を発信しているので、モバイル端末30の通信能力が低い場合にも、固定ICリーダー60を介して管理サーバー70に情報を送信することができ、リアルタイムに必要とする個人ICタグ50の情報を収集することができる。
【実施例7】
【0076】
ここで、図12及び図13を参照して、本発明の実施例7の位置情報追跡システムを説明する。
図12参照
図12は、本発明の実施例7の位置情報追跡システムの概念的構成図であり、例えば、児童等の移動体11に携行させるアクティブ型の個人ICタグ20、典型的には携帯電話であるところのICリーダーを構成するモバイル端末30、電信柱等の固定物12に固定する固定ICリーダー60、及び、管理サーバー70によって構成するとともに、固定ICリーダー60と管理サーバー70との間に情報ネットワークを形成する。
なお、この場合の各ICタグは、UHFタグとする。
【0077】
この場合、個人ICタグ20はシャツのボタン等の衣類に装着したり、腕時計の内部に装着したり、靴の中に装着すれば良く、一方、固定ICリーダー60は、下図に示すように、所定の最小間隔を保つように例えば、道路に沿って設置されている電信柱、信号機、及び、交通標識に適宜設置・固定するものである。
【0078】
なお、場合の個人ICタグ20及びモバイル端末30は上記の実施例1と全く同じ構成であり、また、固定ICリーダー60は上記の実施例5と全く同じ構成であるので図示は
【0079】
図13参照
図13は、本発明の実施例7の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートであり、まず、
a.個人ICタグ20を移動体11、例えば、学童等のシャツのボタンに取り付け、次い で、
b.移動体11が携行するモバイル端末30と個人ICタグ20との間で通信を開始する 。次いで、
c.任意の設定時間、例えば、2分毎に通信処理を行い、両者の間で通信が可能な場合も は、工程cのチェック動作を繰り返し、通信が不可能な場合には、
d.個人ICタグ20のバッテリ27を電源として、識別番号を含んだ電波を発信する。
次いで、
t.情報を受信した固定ICリーダー60から管理サーバー70に情報を転送し、次い で、
o.管理サーバー70から管理サーバー70と情報ネットワークを形成している各固定I Cリーダー60に情報、即ち、情報を収集する固定ICタグ20の識別番号を発信し 、次いで、
p. 固定ICリーダー60で近傍を通過する個人ICタグ20のメモリ部56に格納され ている識別番号の収集を開始し、固定ICリーダー60に必要な情報か否か、即ち、 通過する個人ICタグ50の識別番号か否かを判定し、必要な情報でない場合には情 報収集を繰り返し、必要な情報の場合には、
q.固定ICリーダー60のFRAM651 に収集した情報を記録する。次いで、
r.固定ICリーダー60から管理サーバー70へデータを送信する。
【0080】
上記の実施例5或いは実施例6の場合には、モバイル端末30が通信可能な状態を前提としているが、誘拐事件の場合には、犯人が被害者の所有するモバイル端末、典型的には携帯電話の電源をオフにする可能性が高いため、管理サーバーに情報を発信することが不可能な場合が多い。
【0081】
一方、この実施例7においては、個人ICタグとしてアクティブ型のICタグを用いているので、モバイル端末の電源がオフになってる場合にも、誘拐発生情報を管理サーバーに送信することができるので、リアルタイムに且つ無駄な情報を収集することなく位置追跡が可能となる。
【0082】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載した条件・構成に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、各実施例においては言及していないが、各固定ICタグ或いは各固定ICリーダーのメモリ部に格納された情報を集約するに当たっては、暗号コードを設定しておくことが望ましく、この暗号コードを警察や行政機関のみが保持することによって、盗聴マニア等の一般人にメモリ部に格納された情報を読み取られることを防止することができ、個人のプライバシーを保護することができる。
【0083】
また、上記の実施例5乃至実施例7においては、特に言及していないが上記の実施例2と同様に追跡解除キーの操作工程を同様の工程順序箇所に追加しても良いものであり、それによって、無駄な情報を発信・収集を回避することができる。
【0084】
また、上記の実施例5乃至実施例7においては、特に言及していないが上記の実施例3と同様に追跡解除キーの操作の後に、通信が再開した場合に、固定ICリーダー或いは管理サーバーに対してその旨の情報を発信して、固定ICリーダーによる特定識別番号の個人ICタグの情報収集を中止しても良いものであり、それによって、無駄な情報を発信・収集を回避することができる。
【0085】
また、上記の実施例5乃至実施例7においては、特に言及していないが上記の実施例4と同様に固定ICリーダーによる情報収集が一定期間を超えた場合に、固定ICリーダーのFRAMに記録した情報を消去しても良いし、或いは、一定期間経過した情報を記録しているメモリセル領域に対する上書きを可能にするようにしても良く、それによって、固定ICリーダーに内蔵するFRAMの容量を64kbit等の低容量メモリで構成することができ、それによって、固定ICリーダーの低コスト化、延いては、位置情報追跡システムを低コストで構築することが可能になる。
【0086】
また、上記の各実施例においては、メモリ部を構成する書き換え可能なメモリ部を、低消費電力性を考慮してFRAMで構成しているが、FRAMに限られるものではなく、フラッシュメモリ或いはMRAM等の他の不揮発性メモリを用いても良いものである。
【0087】
また、上記の各実施例においては、ICタグ或いはICリーダーの通信周波数帯域を通信可能距離を考慮してUHF帯域としているが、UHF帯域に限られるものではなく、13.56MHz或いは2.45GHz等の他の周波数帯域を利用するICタグ或いはICリーダーを用いても良いことは言うまでもない。
【0088】
また、上記の各実施例においては、モバイル端末として携帯電話を想定しているが、携帯電話に限られるものではなく、自己内臓電源によって固定ICリーダー或いは管理サーバーとの間で通信可能な性能を有するものであれば良い。
【0089】
また、上記の各実施例においては、学童誘拐或いは児童誘拐を想定しているが、位置情報追跡の対象となるのは、学童或いは児童に限られるものではなく、OLを始めとする一般人の失踪対策や、認知症患者の徘徊監視にも適用されるものである。
なお、認知症患者の徘徊監視の場合には、モバイル端末は、認知症患者の居住室や家庭内に固定しておけば良い。
【0090】
また、追跡対象は人間に限られるものではなく、愛玩用犬或いは愛玩用猫等の逃亡追跡にも適用されるものであり、この場合には、ペットの首輪等に個人ICタグを装着し、散歩の際にはモバイル端末を携行し、在宅の場合にはモバイル端末の追跡解除キーを押すとともに、追跡解除キーの有効期間を24時間等に設定するすることによって毎日の散歩の際の逃亡対策が可能になる。
【0091】
さらに、追跡対象は生物に限られるものではなく、美術品や搬送貨物の盗難対策にも適用されるものであり、例えば、美術品や搬送貨物の梱包物品単位に個人ICタグを装着し、美術品や搬送貨物の近傍にモバイル端末を配置して置けば良い。
但し、この場合には、個人ICタグをアクティブ型ICタグとするとともに、その通信可能エリアを広く設定することが望ましい。
【0092】
また、上記の実施例1乃至実施例4及び実施例7においては、アクティブ型ICタグに内蔵するバッテリとして薄型乾電池を想定しているが、乾電池に限られるものではなく、蓄電池等の二次電池を用いても良いものであり、この場合には、モバイル端末との間の定期的に通信を交わす工程において、情報収集に必要な時間以上にモバイル端末から電磁波を供給して、二次電池に電力を逐次供給するようにしても良く、位置情報を追跡が開示された場合には、固定ICリーダーから情報収集に必要な時間以上に電磁波を供給して、二次電池に電力を逐次供給するようにしても良い。
【0093】
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 固定物1に設置された固定電子タグ2と、識別番号が記録されるとともに、電磁波6を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーとからなり、前記携帯通信機器端末5は前記移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、前記携帯通信機器端末5と前記移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、前記移動体用電子タグ4は前記内蔵するバッテリを電源として電磁波6を発生させ、前記識別番号を固定電子タグ2へ発信することを特徴とする電子タグシステム。
(付記2) 上記携帯通信機器端末5が追跡解除キーを備えており、前記追跡解除キーを押すことによって、前記携帯通信機器端末5と上記移動体用電子タグ4の通信機能を一時停止させることを特徴とする付記1記載の電子タグシステム。
(付記3) 上記携帯通信機器端末5が追跡解除キーは、指紋照合或いは暗号入力からなる解除手段が実行された後に追跡解除処置が可能になることを特徴とする付記2記載の電子タグシステム。
(付記4) 上記携帯通信機器端末5の追跡解除処置において、任意の追跡解除時間を設定する機能を有することを特徴とする付記3記載の電子タグシステム。
(付記5) 上記携帯通信機器端末5の追跡解除処置において、設定した追跡解除時間を移動体用電子タグ4に転送することを特徴とする付記4記載の電子タグシステム。
(付記6) 上記追跡解除キーを押したのち、予め定めた所定時間を経過した場合に、上記移動体用電子タグ4により上記内蔵するバッテリを電源として電磁波6を発生させ、上記識別番号を固定電子タグ2へ発信することを特徴とする付記2乃至5のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記7) 上記携帯通信機器端末5と上記移動体用電子タグ4の通信が途切えたのち、再度、前記携帯通信機器端末5と前記移動体用電子タグ4の通信が再開された場合、前記移動体用電子タグ4における前記電磁波6の発生を中止することを特徴とする付記1乃至6のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記8) 上記固定電子タグ2は、上記移動体用電子タグ4から発信された電磁波6から電力を得、前記移動体用電子タグ4から発信された上記識別番号を記録することを特徴とする付記1乃至7のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記9) 上記固定電子タグ2に記録した情報は、予め定めた所定期間の経過後に消去することを特徴とすることを特徴とする付記1乃至8のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記10) 上記固定電子タグ2に記録された情報の読み取りの際に、暗号コードを必要とすることを特徴とする付記1乃至9のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記11) 上記固定電子タグ2は、上記移動体用電子タグ4から発信された識別番号とともに、発信日時を記録できることを特徴とする付記1乃至10のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記12) 固定物1に設置された固定電子タグ用リーダーと、前記固定電子タグ用リーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、識別番号が記録された移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーからなり、前記携帯通信機器端末5には前記移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、前記携帯通信機器端末5と前記移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、前記携帯通信機器端末5から前記管理サーバーに情報を発信し、前記固定電子タグ用リーダーから、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグ4の情報のみを読み取ることを特徴とする電子タグシステム。
(付記13) 上記携帯通信機器端末5と上記移動体用電子タグ4の通信が途切えたのち、再度、前記携帯通信機器端末5と前記移動体用電子タグ4の通信が再開された場合、携帯通信機器端末5から管理サーバーに情報を発信し、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグ4の情報収集を中止することを特徴とする付記12記載の電子タグシステム。
(付記14) 上記固定電子タグ用リーダーは、その通信範囲から移動体用電子タグ4に内蔵されている情報を読み取り、読み取った情報と得たい情報とを比較し、前記得たい情報があった場合のみ、前記電子タグ用リーダーのメモリ部へ前記読み取った情報を記憶することを特徴とする付記12または13に記載の電子タグシステム。
(付記15) 上記携帯通信機器端末5が追跡解除キーを備えており、前記追跡解除キーを押すことによって、前記携帯通信機器端末5と前記移動体用電子タグ4の通信機能を一時停止させて、前記携帯通信機器端末5の通信機能を一時停止させることを特徴とする付記12乃至14のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記16) 上記追跡解除キーを押したのち、予め定めた所定時間を経過した場合に、上記携帯通信機器端末5から上記管理サーバーに情報を発信し、上記固定電子タグ用リーダーから、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグ4に内蔵されている情報のみを読み取ることを特徴とする付記15記載の電子タグシステム。
(付記17) 固定物1に設置された固定電子タグ用リーダーと、前記固定電子タグ用リーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、識別番号が記録されるとともに電磁波6を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグ4と、携帯通信機器端末5の端末電子タグ用リーダーとからなり、前記携帯通信機器端末5には前記移動体用電子タグ4と該携帯通信機器端末5とを一定の時間で通信する機能を有し、前記携帯通信機器端末5と前記移動体用電子タグ4の通信が途切れた場合、前記移動体用電子タグ4は前記バッテリを電源として電磁波6を発生させ、前記識別番号を前記固定物1電子タグ用リーダーへ発信することを特徴とする電子タグシステム。
(付記18) 上記管理サーバーが、上記識別番号の移動履歴の確認機能を有することを特徴とする付記17記載の電子タグシステム。
(付記19) 上記移動体用電子タグ4の通信周波数帯が、433MHz〜960MHzであること特徴とする付記1乃至18のいずれか1に記載の電子タグシステム。
(付記20) 上記移動体電子タグに内蔵されるメモリ部が、フラッシュメモリー、強誘電体メモリ、或いは、磁気ランダムアクセスメモリのうちのいずれかからなる不揮発性メモリで構成されていることを特徴とする付記1乃至19のいずれか1に記載の電子タグシステム。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の活用例としては、児童誘拐対策が典型的なものであるが、学童に限られるものではなく、一般人にも適用されるものであり、さらには、犬や猫の逃亡・迷子対策等にも適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1の位置情報追跡システムの概念的構成図である。
【図3】本発明の実施例1における個人ICタグ、モバイル端末及び固定ICタグの構成説明図である。
【図4】本発明の実施例1の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【図5】本発明の実施例2の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【図6】本発明の実施例3の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【図7】本発明の実施例4の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【図8】本発明の実施例5の位置情報追跡システムの概念的構成図である。
【図9】本発明の実施例5における個人ICタグ、モバイル端末及び固定ICリーダーの構成説明図である。
【図10】本発明の実施例5の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【図11】本発明の実施例6の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【図12】本発明の実施例7の位置情報追跡システムの概念的構成図である。
【図13】本発明の実施例7の位置情報追跡システムにおける動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 固定物
2 固定電子タグ
3 移動体
4 移動体用電子タグ
5 携帯通信機器端末
6 電磁波
11 移動体
12 固定物
20 個人ICタグ
21 アンテナ
22 整流器
23 復調器
24 変調器
25 制御部
26 メモリ部
261 FRAM
262 ROM
27 バッテリ
30 モバイル端末
31 アンテナ
32 送信器
33 受信器
34 制御部
35 メモリ部
351 FRAM
352 ROM
36 バッテリ
40 固定ICタグ
41 アンテナ
42 整流器
43 復調器
44 変調器
45 制御部
46 メモリ部
461 FRAM
462 ROM
50 個人ICタグ
51 アンテナ
52 整流器
53 復調器
54 変調器
55 制御部
56 メモリ部
561 FRAM
562 ROM
60 固定ICリーダー
61 アンテナ
62 送信器
63 受信器
64 制御部
65 メモリ部
651 FRAM
652 ROM
66 バッテリ
70 管理サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定物に設置された固定電子タグと、識別番号が記録されるとともに、電磁波を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグと、携帯通信機器端末の端末電子タグ用リーダーとからなり、前記携帯通信機器端末は前記移動体用電子タグと該携帯通信機器端末とを一定の時間で通信する機能を有し、前記携帯通信機器端末と前記移動体用電子タグの通信が途切れた場合、前記移動体用電子タグは前記内蔵するバッテリを電源として電磁波を発生させ、前記識別番号を固定電子タグへ発信することを特徴とする電子タグシステム。
【請求項2】
上記携帯通信機器端末が追跡解除キーを備えており、前記追跡解除キーを押すことによって、前記携帯通信機器端末と上記移動体用電子タグの通信機能を一時停止させることを特徴とする請求項1記載の電子タグシステム。
【請求項3】
上記追跡解除キーを押したのち、予め定めた所定時間を経過した場合に、上記移動体用電子タグにより上記内蔵するバッテリを電源として電磁波を発生させ、上記識別番号を固定電子タグへ発信することを特徴とする請求項2記載の電子タグシステム。
【請求項4】
固定物に設置された固定電子タグ用リーダーと、前記固定電子タグ用リーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、識別番号が記録された移動体用電子タグと、携帯通信機器端末の端末電子タグ用リーダーからなり、前記携帯通信機器端末には前記移動体用電子タグと該携帯通信機器端末とを一定の時間で通信する機能を有し、前記携帯通信機器端末と前記移動体用電子タグの通信が途切れた場合、前記携帯通信機器端末から前記管理サーバーに情報を発信し、前記固定電子タグ用リーダーから、特定の識別番号の入っている移動体用電子タグの情報のみを読み取ることを特徴とする電子タグシステム。
【請求項5】
固定物に設置された固定電子タグ用リーダーと、前記固定電子タグ用リーダーから情報を抽出する情報ネットワークと、得られた情報を管理する管理サーバーと、識別番号が記録されるとともに電磁波を発生させるリーダー機能とバッテリとを有する移動体用電子タグと、携帯通信機器端末の端末電子タグ用リーダーとからなり、前記携帯通信機器端末には前記移動体用電子タグと該携帯通信機器端末とを一定の時間で通信する機能を有し、前記携帯通信機器端末と前記移動体用電子タグの通信が途切れた場合、前記移動体用電子タグは前記バッテリを電源として電磁波を発生させ、前記識別番号を前記固定物電子タグ用リーダーへ発信することを特徴とする電子タグシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−113308(P2008−113308A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295521(P2006−295521)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FRAM
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】