説明

電子プローブマイクロアナライザによる地質年代測定法

【課題】 電子プローブマイクロアナライザを用いる地質年代測定と年代マップの表示を効率よく行う。
【解決手段】 (a)の分析領域Rに設定されているグリッド状の分析点(白丸で示す)と(b)の分析領域に対応した反射電子像(原子番号の高い部分を黒く表示)の位置を対応させた状態が(c)である。(d)の棒グラフは、(c)の直線L上に位置する分析点L1〜L12における反射電子強度を表す。閾値H以上の反射電子強度を持つ分析点のみを測定対象とすると、(e)中のR1〜R3は反射電子強度が閾値H以上の条件を満たす測定対象領域である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いる地質鉱物試料の分析方法に関わり、とりわけ地質試料の年代測定法に関する。
【背景技術】
【0002】
EPMAはミクロン領域の定量分析が行える表面分析装置として多くの分野で広く使用されている。EPMAの主要分野の一つである地質鉱物分野において、モナザイトやジルコンなどの鉱物試料に含まれるウラン、トリウム、鉛(以下、元素記号U,Th,Pbで略記することがある)の定量分析値を用いて地質年代測定を行う方法がある。この方法はCHIME法(Chemical U-Th Total Pb Isochron Method)と称されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
以下にCHIME法について簡単に説明する。CHIME法の原理は、U及び/又はThの同位体が壊変してPbに変化する量が、鉱物の生成されてから現在までの時間に依存することを利用して鉱物の年代を算出する方法である。
ここで、質量数235と238のウラン同位体235U、238Uの現在量を235C、238Cとおき、質量数232のトリウム同位体232Thの現在量を232Cとおく。また、235U、238U、232Thの壊変定数(一般に知られている半減期とは、「半減期=0.693/壊変定数」の関係にある)をそれぞれλ235、λ238、λ232とおくと、時間tの間に生じた鉛の安定同位体(放射性起源の鉛)207Pb、206Pb、208Pbの質量207C、206C、208Cはそれぞれ、
207C=235C×(exp(λ235×t)−1) …(1)
206C=238C×(exp(λ238×t)−1) …(2)
208C=232C×(exp(λ232×t)−1) …(3)
である。鉱物中の全鉛量をPbCt、鉱物が生成されたときに取り込んだ初期鉛量をPbCiとすると、
PbCt=PbCi+207C+206C+208C …(4)
である。さらに、ウラン同位体の235Uと238Uとの現在比は
238C/235C=137.88 …(5)
である。ここで、ウラン同位体の現在合計量を235+238Cとおくと、式(1)〜(5)から、
PbCt=PbCi+232C×(exp(λ232×t)−1)+235+238C×((exp(λ238×t)+137.88×exp(λ238×t))/138.88−1) …(6)
が得られる。
【0004】
式(6)中の鉛、トリウム、ウランの現在量PbCt、232C、235+238CはEPMAの定量分析によって求めることができる。初期鉛量PbCiは直接求めることができないので、アイソクロン(Isochron:等時線)法により求める。アイソクロン法は、壊変により一定時間に蓄積する鉛量はウランやトリウムの量に比例して変わるが、経過時間が同じであれば蓄積する鉛量とウランやトリウムの残量との比は同じであることを利用して、複数の分析点で求められた鉛量とウランやトリウムの残量との関係をプロットしてグラフを作成し、そのグラフの勾配から年代(式(6)のt)を、切片から初期鉛量(式(6)のPbCi)を同時に求める方法である。初期鉛量をゼロと仮定した年代を「見掛け年代」と呼ぶが、モナザイトやジルコンのように生成時には殆ど鉛を取り込まない鉱物の場合は、アイソクロン法で求めた年代に近い値が得られる。
【0005】
CHIME法以外の地質年代測定法としては、ウランと鉛の同位体の二次イオン質量分析を行うSHRIMP法がある。分析精度はSHRIMP法の方が高いが、空間分解能はCHIME法が優っているというようにそれぞれ特徴を有している。
【0006】
反射電子を利用して分析位置を決める技術は、例えば、反射電子輝度レベルの変動と閾値の設定を連動させる技術が特許文献1の特開平11−233058号公報に開示されている。また、光学気宇式ウェハ検査装置において、ウェハ上の異物を検出するために反射電子の組成コントラストを用いる技術が特許文献2の特開平8−148111号公報に開示されている。
【0007】
【非特許文献1】鈴木和博他(1999),CHIME年代測定法とその造山帯形成過程解析への応用,地球化学,33,1,1-22,日本地球化学会
【特許文献1】特開平11−233058号公報
【特許文献2】特開平8−148111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
地質試料は熱変成作用により生じた年代累帯構造を持つことが多い。この構造を明確に知るためには、できるだけ広い領域でウラン、トリウム、鉛について多数点の定量分析を行う必要がある。しかし、一般に地質試料の中に含まれるウラン、トリウム、鉛の量は僅かなため、定量分析の精度を上げるためには測定時間を長くする必要がある。原理上は測定時間を長くすればするほど精度は向上するはずであるが、分光器や検出器のドリフトの影響などにより実際には精度が上がるどころか低下する恐れさえある。従って、できる限り余計な測定を行わずに、全体の測定時間を短縮することが望まれる。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、EPMAを用いて地質試料の年代を測定する分析法において、分析が不要な点の分析を省略して全体の分析時間を短縮し、年代分布を表す二次元マップを効率よく作成する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題を解決するために、請求項1記載の発明は、
鉛とウランとトリウムを含む地質鉱物試料に細く絞った電子線を照射し、試料から発生する鉛とウランとトリウムの特性X線を用いて地質鉱物試料の年代測定を行う電子プローブマイクロアナライザの地質年代測定法であって、
予め試料上にグリッド状に設定された複数の分析点について測定された反射電子強度を予め設定された閾値と比較し、比較結果に基づいて前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行うステップと、
前記定量分析が必要と判断された分析点について鉛とウランとトリウムの特性X線の測定を行うステップと、
前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析結果に基づいて前記地質鉱物試料の前記分析点における地質年代を算出するステップと、
前記分析点に対応した前記地質年代の分布を二次元の画像として表示するステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
また請求項2記載の発明は、前記試料上にグリッド状に設定された複数の分析点は、試料ステージ又は電子ビームを二次元的に走査してX線強度の測定を行うマッピング法における各画素が前記複数の分析点として設定されるようにしたことを特徴とする。
【0012】
また請求項3記載の発明は、前記反射電子強度は、試料ステージ又は電子ビームを二次元的に走査して反射電子強度の測定を行うマッピング法によって取得された反射電子像の反射電子強度であることを特徴とする。
【0013】
また請求項4記載の発明は、予め全ての分析点について鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行った結果を表すパラメータを付しておいて、前記定量分析が必要と判断された分析点について電子線を照射して鉛とウランとトリウムの特性X線の測定を行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
また請求項5記載の発明は、試料上にグリッド状に設定された複数の分析点について、分析点毎にX線強度の測定を始める前にその分析点の測定された反射電子強度と予め設定された閾値と比較して定量分析を行うか否かの判別を行い、前記定量分析が必要と判断された分析点について一点ずつX線強度の測定を行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
また請求項6記載の発明は、鉛とウランとトリウムを含む地質鉱物試料に細く絞った電子線を照射し、試料から発生する鉛とウランとトリウムの特性X線を用いて地質鉱物試料の年代測定を行う電子プローブマイクロアナライザであって、
グリッド状に複数の分析点を設定する設定手段と、
前記分析点を全て含む領域の反射電子像を取得する取得手段と、
測定された反射電子強度を予め設定された閾値と比較し、比較結果に基づいて前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行う判別手段と、
前記定量分析が必要と判断された分析点について鉛とウランとトリウムの特性X線の測定を行う測定手段と、
前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析結果に基づいて前記地質鉱物試料の前記分析点における地質年代を算出する算出手段と、
前記分析点に対応した前記地質年代の分布を二次元の画像として表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、長時間のX線強度の測定を必要とするウラン、トリウム、鉛についての定量分析点を絞って全体の分析時間を短縮し、年代分布を表す二次元マップを効率よく作成することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、マッピング法における各画素が分析点として設定されることによって効率よく分析点をグリッド状に設定することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、マッピング法によって設定された各画素の分析点に対応する反射電子像の反射電子信号強度を容易且つ正確に知ることができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、予め全ての分析点について鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行った結果を表すパラメータが付された分析点についてのみ測定を行うので、効率よく定量分析点を絞って全体の分析時間を短縮し、年代分布を表す二次元マップを効率よく作成することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、
分析点毎に定量分析が必要と判断された分析点について一点ずつ測定を行うようにしたので、効率よく定量分析点を絞って全体の分析時間を短縮し、年代分布を表す二次元マップを効率よく作成することができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば長時間のX線強度の測定を必要とするウラン、トリウム、鉛についての定量分析点を絞って全体の分析時間を短縮し、年代分布を表す二次元マップを効率よく作成することのできる電子プローブマイクロアナライザを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。各図において、同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付し、詳しい説明の重複を避ける。
【0023】
図1は本発明を実施するEPMAの概略構成例を示す図である。図1において、電子銃2から発生した電子線EBは集束レンズ3、対物レンズ4により細く絞られて試料6に照射される。デジタル制御された走査コイル5により電子線を二次元的に走査し、又は照射する位置を任意に変えることができる。電子銃2、集束レンズ3、対物レンズ4、走査コイル5の動作は、ホストコンピュータ17からインターフェース16を介して電子光学系駆動装置15により制御される。図示しない試料ホルダに取り付けられた試料6は試料ステージ13に載置され、ステージ駆動装置14により駆動されて、電子線EBの照射位置を変えることができるようになっている。
【0024】
電子線EBの照射により試料6表面から発生した反射電子BEは反射電子検出器11により検出され、検出された反射電子強度は反射電子信号処理装置12によりデジタル化される。デジタル化された反射電子信号はインターフェース16を経てホストコンピュータ17に送られる。また、電子線EBの照射により試料6表面から発生した特性X線XRは、X線分光器駆動装置8により制御される分光結晶7により分光されて、X線検出器9により検出され、X線信号処理装置10、インターフェース16を経てホストコンピュータ17に送られる。ホストコンピュータ17には、ディスプレイ18、マウス19、キーボード20が接続されている。
【0025】
次に本発明における分析点の設定方法について説明する。図3は本発明における分析点の設定方法の概念を説明するための模式図である。図3(a)は測定領域内にグリッド状に分析点(白丸「○」で示す)が設定されている状態を示す。実際の分析では、もっと多くの分析点を設定することが普通であるが、ここでは見易いように点数を減らしている。図3(b)は測定領域に対応した反射電子像である。通常の反射電子像は平均原子番号の高い部分が白く表示されるが、ここでは見易いように反転させて、原子番号の高い部分を黒く表示している。一般の造岩鉱物は主として原子番号が11Naから20Ca程度の元素によって構成されているが、地質年代測定に用いられるモナザイトやジルコン等の鉱物はウラン、トリウム、鉛を含むため平均原子番号が相対的に高くなる。即ち、ウラン、トリウム、鉛の含有量が多いほど、図3(b)の反射電子像において、より黒く表示されることになる。
【0026】
図3(c)は、グリッド状に設定された分析点とその全ての分析点を含むように収集された反射電子像との座標位置を対応させた状態を示す概念図である。図3(d)は、図3(c)における直線L上に位置する分析点L1〜L12における反射電子強度を表す棒グラフである。縦軸が反射電子強度、横軸がL上のX軸を表す。グリッド状に設定された分析点において鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行うために、反射電子強度の閾値を設定する。即ち、この閾値以上の反射電子強度を持つ分析点のみが、年代測定を行う意味のあるウラン、トリウム、鉛を含んでいることになる。ウラン、トリウム、鉛を含んでいたとしても、EPMAでは分析が不可能なほど微量であればその分析点は測定対象から外される。図3(c)の例では、L1〜L12のうちL2〜Ll5、L8〜L11が閾値以上となり測定を行う対象点として選択されている。図3(e)中のR1〜R3は、反射電子強度が閾値H以上の条件を満たす領域である。R1〜R3に対応する分析点は黒丸(「●」)で、測定を行わない分析点は白丸のままで表している。
【0027】
試料に照射する電子線の加速電圧、照射電流、反射電子検出器の増幅率を決めて反射電子像を収集することにより、経験的に閾値の値を適当な値に決めることが可能である。
【0028】
次に、分析点の設定から地質年代マップ表示までの手順を、図2のフロー図を参照しながら説明する。
ステップS1:操作者は年代マップを作成する分析領域及びその領域内で分析点をグリッド状に設定する。分析点の設定方法としては、試料ステージを水平方向に移動させてステージ座標を変える方法と、ステージ座標を分析領域の中心に設定し電子線をデジタル走査機能により偏向させる方法とがある。ステージ座標を変える方法が原則であるが、分析領域が数十ミクロンよりも小さい場合は電子線を偏向させる方法を採ってもよい。
【0029】
ステップS2:分析領域と同じ領域の反射電子像を取得する。取得方法はステップ1の分析点設定方法に対応させる。即ち、分析点の設定がステージ座標を変える方法の場合は、試料ステージを二次元的に走査させて測定を行うマッピング法により反射電子信号を取り込む方法を採る。分析点の設定が電子線を偏向させる方法の場合は、デジタル走査により電子線を二次元的に走査させて測定を行うマッピング法により反射電子信号を取り込む方法を採る。このように分析点設定方法と反射電子像の取得方法を対応させることにより、反射電子像上において分析点の位置をデジタル的に対応させることができる。なお、図2のフロー図では分析領域と分析点を指定してから反射電子像を取得するようになっているが、反射電子像を取得後にその領域内で分析点を設定するようにしてもよい。
【0030】
ステップS3及びステップS4:分析を行う必要のある点か否かを判別するための反射電子強度の閾値を設定し、実際に分析を行う分析点を判別する。この場合、予め全ての分析点について判別を行った結果を表すパラメータを付すようにしてもよいし、X線強度の測定を始める前に一点ずつ判別を行うようにしてもよい。
【0031】
ステップS5及びステップS6:分析条件(加速電圧、照射電流、測定時間等)を設定し、分析を行うように判別された分析点のみについて、ウラン、トリウム、鉛の特性X線強度を測定し質量濃度を求める。なお、分析を行わないと判別された分析点については、ダミーの分析値(例えば、質量濃度ゼロ)を作成しておく。
【0032】
ステップ7:定量分析によって得られたウラン、トリウム、鉛の質量濃度に基づいて分析点毎の地質年代を算出する。図5は、図3(e)中の黒丸で示す分析点で得られたトリウムの質量濃度を横軸、鉛の質量濃度を縦軸にとってプロットしたグラフの例である。グラフに示されるようにプロット点は直線で近似される二つのグループに分かれている。これらの直線は背景技術の中で述べたようにアイソクロンと呼ばれる。その勾配から年代を計算すると2.3億年と6.5億年が得られた。
【0033】
ステップ8:それぞれのグループに属する分析点を分析領域の分析点に戻した結果を地質年代マップとして表示する。図4に地質年代マップの例を示す。図4において、領域R1〜R3の内側に近い分析点(黒丸で表示している)が6.5億年、外側に近い分析点(灰色の丸で表示している)が2.3億年の地質年代に対応していることが分かる。実際のデータはもっと分析点数が多いので、分析誤差の範囲内で年代が同じになる分析点を同じ色で表示すれば、年代の擬似カラーマップを得ることができる。
【0034】
以上述べたように、ウラン、トリウム、鉛を含む地質年代試料の反射電子強度が相対的に高いことを利用して、グリッド状に設定した分析点の中から測定対象点を判別することにより、余計な測定を行わずに全体の測定時間を短縮し、地質年代マップを効率よく作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】

【図1】本発明を実施するEPMAの概略構成例を示す図。
【図2】本発明を実施する手順を説明するためのフロー図。
【図3】本発明における分析点の設定方法の概念を説明するための模式図。
【図4】本発明における地質年代マップの例を示す模式図。
【図5】定量分析の結果から分析点毎の年代を算出するためのグラフの例。
【符号の説明】
【0036】
(同一または類似の動作を行うものには共通の符号を付す。)
EB 電子線 BE 反射電子
XR 特性X線 L1〜L12 L上の分析点
R1〜R3 測定対象領域
2 電子銃 3 集束レンズ
4 対物レンズ 5 走査コイル
6 試料 7 分光結晶
8 X線分光器駆動装置 9 X線検出器
10 X線信号処理装置 11 反射電子検出器
12 反射電子信号処理装置 13 試料ステージ
14 ステージ駆動装置 15 電子光学系駆動装置
16 インターフェース 17 ホストコンピュータ
18 ディスプレイ 19 マウス
20 キーボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛とウランとトリウムを含む地質鉱物試料に細く絞った電子線を照射し、試料から発生する鉛とウランとトリウムの特性X線を用いて地質鉱物試料の年代測定を行う電子プローブマイクロアナライザの地質年代測定法であって、
予め試料上にグリッド状に設定された複数の分析点について測定された反射電子強度を予め設定された閾値と比較し、比較結果に基づいて前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行うステップと、
前記定量分析が必要と判断された分析点について鉛とウランとトリウムの特性X線の測定を行うステップと、
前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析結果に基づいて前記地質鉱物試料の前記分析点における地質年代を算出するステップと、
前記分析点に対応した前記地質年代の分布を二次元の画像として表示するステップとを備えることを特徴とする電子プローブマイクロアナライザの地質年代測定法。
【請求項2】
前記試料上にグリッド状に設定された複数の分析点は、試料ステージ又は電子ビームを二次元的に走査してX線強度の測定を行うマッピング法における各画素が前記複数の分析点として設定されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の地質年代測定法。
【請求項3】
前記反射電子強度は、試料ステージ又は電子ビームを二次元的に走査して反射電子強度の測定を行うマッピング法によって取得された反射電子像の反射電子強度であることを特徴とする請求項1乃至2の何れかに記載の地質年代測定法。
【請求項4】
予め全ての分析点について鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行った結果を表すパラメータを付しておいて、前記定量分析が必要と判断された分析点について電子線を照射して鉛とウランとトリウムの特性X線の測定を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の地質年代測定法。
【請求項5】
試料上にグリッド状に設定された複数の分析点について、分析点毎にX線強度の測定を始める前にその分析点の測定された反射電子強度と予め設定された閾値と比較して定量分析を行うか否かの判別を行い、前記定量分析が必要と判断された分析点について一点ずつX線強度の測定を行うようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の地質年代測定法。
【請求項6】
鉛とウランとトリウムを含む地質鉱物試料に細く絞った電子線を照射し、試料から発生する鉛とウランとトリウムの特性X線を用いて地質鉱物試料の年代測定を行う電子プローブマイクロアナライザであって、
グリッド状に複数の分析点を設定する設定手段と、
前記分析点を全て含む領域の反射電子像を取得する取得手段と、
測定された反射電子強度を予め設定された閾値と比較し、比較結果に基づいて前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析を行うか否かの判別を行う判別手段と、
前記定量分析が必要と判断された分析点について鉛とウランとトリウムの特性X線の測定を行う手段と、
前記分析点における鉛とウランとトリウムの定量分析結果に基づいて前記地質鉱物試料の前記分析点における地質年代を算出する算出手段と、
前記分析点に対応した前記地質年代の分布を二次元の画像として表示する表示手段とを備えることを特徴とする電子プローブマイクロアナライザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−89325(P2008−89325A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267512(P2006−267512)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】