説明

電子マネーシステム

【課題】電子マネー端末装置が複数種類の非接触式ICカードを検出した場合であっても、取引を行うことができる電子マネーシステムを提供する。
【解決手段】非接触式管理サーバ5に、複数種類の非接触式ICカードを1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループにおいて、特定の1枚の非接触式ICカードには優先カードであることを示す情報を付与した状態で記憶する記憶部18を設け、電子マネー端末装置2が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードが非接触式管理サーバ5の記憶部18に記憶されている場合、電子マネー端末装置2は、非接触式管理サーバ5の記憶部18に記憶されている優先カードを示す情報に従って、非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触式ICカードとの間で電子マネーを利用した取引を行う電子マネー端末装置と、該電子マネー端末装置に接続された管理サーバとから構成される電子マネーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードを用いた電子マネーの流通が活発になってきている。電子マネーはクレジットカードでは困難な小額支払いにも対応することができ、現金の取り扱いの不便さや現金を持ち歩くリスクを軽減することができる仕組みとして注目されている。
【0003】
ICカードを用いたプリペイド型の電子マネーでは、ユーザが保有するICカードに予め所定額の電子マネーを記録しておき、これを店舗等で利用することができるようになっている。なお、ICカードには専用の電子マネー補充装置に使用者が現金を投入することによって、その現金に対応する金銭的価値の電子マネーが補充される。
【0004】
また、ICカードには接触型のものと非接触型のものが存在し、主に非接触型のものが使用されている。非接触型のICカードには非接触ICチップに接続するアンテナが内蔵されており、ICカードはこのアンテナを介して電子マネー端末装置と近距離の無線通信を行うことができる。そして無線通信により電子マネーがICカードから電子マネー端末装置に送信される。また、ICカードを駆動するための電力も電子マネー端末装置から無線により送信される。
【0005】
そして例えば上記非接触型のICカードを利用して千円分の商品を購入する場合、ICカード使用者は予め千円以上の金額が補充されている非接触型ICカードが入っている状態のパスケースを電子マネー端末装置にかざす。すると、電子マネー端末装置はICカードから千円分の電子マネーを減額し、ICカードには千円減額された新たな残高が記憶され、電子マネー端末装置には、千円分の電子マネーが記憶される。これにより、ICカードを使用することで現金が無くても商品の購入をすることができる。
【0006】
このように、従来、利用者の購入した商品の金額が電子マネー取引装置本体に設けられている入力部から入力され、本体のアンテナ部に非接触式ICカードがかざされると、本体と非接触式ICカードとの間でデータ授受が行われ、カード残額から今回の利用額が本体側に記憶されるとともに、非接触式ICカードには新たな残額が記憶される電子マネー取引装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−149072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
今後、電子マネーの普及に伴い、複数種類(規格)の非接触式のICカードを所有する人が増加し、複数種類(規格)の非接触式ICカードでの取引(決済)を可能とした電子マネー端末装置が現れると予想される。
【0009】
しかしながら、複数種類の非接触式ICカードが入っている状態のパスケース等を電子マネー端末装置にかざしても、電子マネー端末装置側では全ての非接触式ICカードを検出してしまい、いずれの非接触型ICカードと取引を行えばよいのか認識することができず、その結果、取引を行うことができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明で設けた解決手段は、非接触式ICカードとの間で電子マネーを利用した取引を行う電子マネー端末装置と、該電子マネー端末装置に接続された管理サーバとから構成される電子マネーシステムにおいて、前記管理サーバには、複数種類の非接触式ICカードを1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループにおいて、特定の1枚の非接触式ICカードには優先カードであることを示す情報を付与した状態で記憶する記憶部が設けられ、前記電子マネー端末装置が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードが前記管理サーバの前記記憶部に記憶されている場合、前記電子マネー端末装置は、前記管理サーバの前記記憶部に記憶されている優先カードを示す情報に従って、前記同時に検出した複数の非接触式ICカードの中から優先カードに該当する非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子マネー端末装置が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードが管理サーバの記憶部に記憶されている場合、電子マネー端末装置は、管理サーバの記憶部に記憶されている優先カードを示す情報に従って、同時に検出した複数の非接触式ICカードの中から優先カードに該当する非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行うことにより、管理サーバに同一グループとして登録されている非接触式ICカードの組み合わせと同一組み合わせの非接触式ICカードを電子マネー端末装置が検出した時に、優先カードであることを示す情報に基づいて使用するカードを電子マネー端末装置側で自動的に選択するようになる。このように、電子マネー端末装置が複数種類の非接触式ICカードを検出した場合であっても、電子マネー端末装置はいずれのカードと取引を行えば良いのか分かる。その結果、取引を行うことができ、また使用者がカードを選択する煩わしさを解消することができる。更に、使用者が使用するカードを選択する必要が無いので、取引時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。なお、各図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0013】
図1は実施例1の電子マネーシステムの構成を示す説明図、図2は実施例1の電子マネー端末装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、電子マネーシステム1は、電子マネー端末装置2と、非接触式ICカードを発行し、管理する電子マネー管理会社(ここでは、電子マネー管理会社A3、電子マネー管理会社B4の2社とする)と、発行会社にかかわらず、予め登録されている会社から発行された非接触式ICカードを管理する非接触式ICカード管理サーバ(以下管理サーバーとする)5とから構成されており、電子マネー端末装置2と、電子マネー管理会社A3と、電子マネー管理会社B4と、管理サーバー5はそれぞれネットワーク6で接続されている。
【0015】
なお、管理サーバ5には、電子マネー端末装置2から送信されてくる情報を記憶する記憶部18が設けられており、記憶部18は、複数種類の非接触式ICカードのID番号を1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループにおいて、特定の1枚の非接触式ICカードのID番号には優先カードであることを示す情報を付与した状態で記憶する。
【0016】
また、電子マネー管理会社A3には、該電子マネー管理会社A3で発行したA社カード7に格納されている電子マネーを管理する電子マネー管理サーバ16が設けられ、電子マネー管理会社B4には、該電子マネー管理会社B4で発行したB社カード8に格納されている電子マネーを管理する電子マネー管理サーバ17が設けられている。
【0017】
電子マネー端末装置2は、電子マネー管理会社Aにより発行された、非接触式ICカードであるA社カード7、あるいは電子マネー管理会社Bにより発行された、非接触式ICカードであるB社カード8のように複数種類(規格)の非接触式ICカードでの取引(決済)が可能となっている。なお、A社カード7、及びB社カード8は図示せぬ記憶部を備えており、該記憶部には、専用の電子マネー補充装置にユーザが現金を投入することによって、その現金に対応する金銭的価値の電子マネーが記憶される。
【0018】
次に電子マネー端末装置2の構成を説明する。図2において、電子マネー端末装置2は電子マネー端末装置2を操作するオペレータ、及び非接触式ICカードを使用する使用者に知らせる情報を表示する表示部9と、複数種類(規格)の非接触式ICカードとの間で交信を行い、非接触式ICカードへの情報の送信、及び非接触式ICカードからの情報の受信を行うカード読み書き部10と、タッチパネル式のディスプレイ、あるいはキーボード等から構成され、装置に対する情報の入力が行われる、優先カード情報入力部、及びパラメータ情報入力部である入力部11と、カードの認証を行うカード認証部12と、非接触式ICカードに対して送信する情報、あるいは非接触式ICカードから受信した情報等を記憶する記憶部13と、ネットワーク6を介して外部との通信を行う通信制御部14と、電子マネー端末装置2全体の動作を制御する演算処理部15とから構成されている。
【0019】
次に上記構成における電子マネーシステム1の取引動作について図1、図2、図3、図4を参照し、図5、図6、図7に示すフローチャートに従って説明する。図3、図4は実施例1の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図、図5、図6、図7は実施例1の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【0020】
図1、図2において、使用者が複数の非接触式ICカード(今回はA社カード7、及びB社カード8)が入っている状態のパスケースを電子マネー端末装置2のカード読み書き部10にかざす。すると、カード読み書き部10はA社カード7のID番号、及びB社カード8のID番号を検出し、それぞれのカードのID番号を演算処理部15に送信する。演算処理部15はカード読み書き部10からA社カード7とB社カード8のID番号を受信すると、図5に示すフローチャートを開始する。
【0021】
ステップS1で演算処理部15はカード読み書き部10から送信されてくる情報に基づいて、カード読み書き部10が2種類以上の非接触式ICカードを検出したか否かを判断する。今回はカード読み書き部10から2種類のカードのID番号を受信することになるので、2種類以上の非接触式ICカードを検出したとしてステップS2へと進む。そして演算処理部15はID番号を受信すると1個のグループとして記憶部13に記憶する。なお、演算処理部15がカード読み書き部10から受信したカードのID番号が1種類のみの場合は、1種類の非接触式ICカードを検出したと判断し、ステップS1からステップS12へと進む。そしてステップS12で検出したカードのカード認証を行い、続いてステップS13で検出したカードから取引金額分の電子マネーを減額する、支払い処理を行う。そして処理を終了とする。なお、この支払い処理が行われることにより、非接触式ICカードの図示せぬ記憶部には、取引金額分が減額された新たな残高が記憶される。一方、電子マネー端末装置2の記憶部13には取引金額分の電子マネーがカード発行会社の情報と共に記憶される。
【0022】
ステップS1からステップS2へと進んだ場合には、演算処理部15は優先カードが登録されているか否かの問い合わせと、カード読み書き部10から受信したカードのID番号を通信制御部14、及びネットワーク6を介して管理サーバ5に対して送信する。そしてステップS3へと進み、管理サーバ5からの回答を待つ状態へと移行する。
【0023】
管理サーバ5は電子マネー端末装置2からカードのID番号と、優先カードが登録されているか否かの問い合わせを受信すると、図5に示すフローチャートを開始する。そしてステップS101で記憶部18に記憶されているそれぞれのグループに、今回受信した2種類のID番号の組み合わせと同一のID番号の組み合わせのグループが存在するか否かを調べる。そしてステップS102へと進み、同じ組み合わせのID番号のグループが登録されていると判断すると、ステップS103へと進む。そしてそのグループにおいて優先カードの情報が付与されている非接触式ICカードのID番号を読み出し、電子マネー端末装置2に送信する。そして処理を終了とする。一方、ステップS102において、記憶部18にID番号が同一のグループが存在しないと判断した場合には、ステップS104へと進み、優先カードの登録が行われていないことを示す情報を電子マネー端末装置2に送信する。そして処理を終了とする。
【0024】
電子マネー端末装置2の演算処理部15はネットワーク6、及び通信制御部14を介して管理サーバ5からの回答を受信するとステップS3からステップS4へと進む。ここで管理サーバ5から優先カードのID番号を受信した場合にはステップS12へと進み、一方、優先カードの登録が行われていないことを示す情報を受信した場合にはステップS5へと進む。
【0025】
ステップS4からステップS5へと進んだ場合には、演算処理部15は記憶部13に記憶してあるID番号を読み出し、該ID番号からカード名(A社カード、及びB社カード)を認識し、カード選択画面を表示させる指示と、カード名を示す情報を入力部11に送信する。入力部11は指示とカード名を受信すると、図3に示すようにA社カード7、あるいはB社カード8のいずれかを選択させる画面を表示する。
【0026】
そしてステップS6へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。使用者がカードを選択してA社カードボタン19、あるいはB社カードボタン20のいずれかに触れると、入力部11からA社カード、あるいはB社カードのいずれかを示す情報が演算処理部15に対して送信される。演算処理部15はいずれかのカードを示す情報を受信すると、ステップS6からステップS7へと進み、受信した情報から優先カードと指定されたカードを認識し、A社カード7、あるいはB社カード8のいずれかのカードのID番号に優先カードを示す情報を付与して、選択されなかったもう一方のカードのID番号と共に1個のグループとして記憶部13に記憶する。なお、今回はA社カード7が選択されたものとする。これにより、記憶部13には、優先カードであることを示す情報が付与されたA社カード7を示すID番号と、B社カード8を示すID番号が同一グループとして記憶される。
【0027】
そして演算処理部15は今回選択したA社カードのカード名を示す情報と、A社カードを優先カードとして登録するか否かを問い合わせる画面を表示させる指示を入力部11に送信する。入力部11はカード名と指示を受信すると、図4に示すようにA社カード7を優先カードとして登録するか否かを選択させる画面を表示する。
【0028】
そしてステップS8へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。ここで、使用者が登録することを示すボタン21、あるいは登録しないことを示すボタン22のいずれかに触れると、表示部9から「登録する」、あるいは「登録しない」のいずれかを示す情報が演算処理部15に対して送信される。演算処理部15は表示部9から「登録する」を示す情報を受信すると、ステップS8からステップS9へと進み、一方「登録しない」を示す情報を受信するとステップS12へと進む。
【0029】
ここで使用者が優先カードの登録を希望し、登録することを示すボタン21に触れ、ステップS8からステップS9へと進んだ場合、演算処理部15は記憶部13から、優先カードであることを示す情報が付与されたA社カード7を示すID番号と、B社カード8を示すID番号を読み出し、該情報と優先カードとして登録することを示す情報を、通信制御部14、及びネットワーク6を介して管理サーバ5に対して送信する。そしてステップS10へと進み、管理サーバ5からの回答を待つ状態へと移行する。
【0030】
管理サーバ5は電子マネー端末装置2から優先カードであることを示す情報が付与されたA社カード7を示すID番号と、B社カード8を示すID番号と、優先カードとして登録することを示す情報を受信すると、図6に示すフローチャートを開始する。そしてステップS111で優先カードであることを示す情報を付与したA社カード7を示すID番号と、B社カード8を示すID番号の組み合わせで1個のグループを作り、記憶部18に記憶する。そしてステップS112で優先カードに登録したカードのID番号と、優先カードの登録が行われたことを示す情報を電子マネー端末装置2に送信する。
【0031】
電子マネー端末装置2の演算処理部15はネットワーク6、及び通信制御部14を介して管理サーバ5から、優先カードに登録したカードのID番号と、優先カードの登録が行われたことを示す情報を受信すると、ステップS10からステップS11へと進む。そして演算処理部15は優先カードのID番号からカード名(A社カード7)を認識し、該カード名を示す情報と、優先カードとして登録されたことを表示する指示を表示部9に送信する。表示部9はカード名と指示を受信すると、A社カード7のカード名と、該A社カード7が優先カードに登録されたことを示す情報を表示する。これにより、使用者にA社カード7が優先カードとして登録されたことを確認させることができる。
【0032】
そしてステップS12へと進み、カード認証部12がA社カード7のカード認証を行い、続いてステップS13で支払処理を行い、A社カード7から取引金額分の電子マネーを減額する。そして処理を終了とする。
【0033】
なお、すでに優先カードであることを示す情報が付与されたA社カード7と、B社カード8の組み合わせのグループが管理サーバ5の記憶部18に記憶されている場合には、ステップS2で演算処理部15がカードのID番号と優先カードの登録が行われているか否かの問い合わせを管理サーバ5に対して送信し、ステップS3へと進み、管理サーバ5からの回答を待つ状態へと移行すると、管理サーバ5からA社カード7のID番号が送信されてくる。これにより演算処理部15はA社カード7が優先カードであることを認識することができるのでステップS4からステップS12へと進み、直ちに優先カードとして登録されているA社カード7のカード認証を行い、更に支払い処理を行う。
【0034】
このように電子マネー端末装置2から同時に送信した複数の非接触式ICカードのID番号と同一のID番号の組み合わせが、すでに特定の非接触式ICカードのID番号に優先カードであることを示す情報が付与された状態で管理サーバ5に登録されている場合には、カードの選択画面無しに自動的に使用するカードが選択されるようになる。
【0035】
以上本実施例1においては、複数種類の非接触式ICカードのID番号を1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループにおいて、特定の1枚の非接触式ICカードのID番号には優先カードであることを示す情報を付与した状態で記憶する記憶部18を管理サーバ5に設け、電子マネー端末装置2が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードのID番号と同じ組み合わせの非接触式ICカードのID番号が管理サーバ5の記憶部18に記憶されている場合、電子マネー端末装置2は、管理サーバ5の記憶部18に記憶されている優先カードを示す情報に従って、同時に検出した複数の非接触式ICカードの中から優先カードに該当する非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行うことにより、管理サーバ5の記憶部18に同一グループとして登録されている非接触式ICカードのID番号の組み合わせと同一組み合わせの非接触式ICカードのID番号を電子マネー端末装置2が検出した時に、優先カードであることを示す情報に基づいて使用するカードを電子マネー端末装置2側で自動的に選択するようになる。このように、電子マネー端末装置2が複数種類の非接触式ICカードを検出した場合であっても、電子マネー端末装置2はいずれのカードと取引を行えば良いのか分かる。その結果、取引を行うことができ、また使用者がカードを選択する煩わしさを解消することができる。更に、使用者が使用するカードを選択する必要が無いので、取引時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0036】
次に本発明の実施例2について説明する。なお、電子マネーシステムの構成は実施例1と同様であり、また電子マネー端末装置の構成も上記実施例1と同様である。本実施例2の電子マネーシステムにおいて上記実施例1の電子マネーシステムと異なる点は、管理サーバ5の記憶部18に、複数種類の非接触式ICカードのID番号を1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループには、複数種類の非接触式ICカードの中から取引を行う特定の1枚の非接触式ICカードを選択するためのパラメータ(条件)を合わせて記憶する点である。
【0037】
また電子マネー端末装置2の演算処理部15は、電子マネー端末装置2が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードのID番号と同じ組み合わせの非接触式ICカードのID番号が管理サーバ5の記憶部18に記憶されている場合、同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードのID番号と共に記憶されているパラメータに従って、取引を行う非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行う制御を行う。
【0038】
このようにパラメータを登録しておくことで、使用者が優先して使用する非接触式ICカードの選択方法を指定することができる。
【0039】
なお、その他の構成は上記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0040】
次に上記構成における電子マネーシステム1の取引動作について図1、図2、図8、図9、図10を参照し、図11、図12、図13に示すフローチャートに従って説明する。図8、図9、図10は実施例2の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図、図11、図12、図13は実施例2の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【0041】
図1、図2において、使用者が複数の非接触式ICカード(今回はC社カード、及びD社カード)が入っている状態のパスケースを電子マネー端末装置2のカード読み書き部10にかざす。すると、カード読み書き部10はC社カードのID番号、及びD社カードのID番号を検出し、それぞれのカードのID番号を演算処理部15に送信する。演算処理部15はカード読み書き部10からカードのID番号を受信すると、図8に示すフローチャートを開始する。
【0042】
ステップS201で演算処理部15はカード読み書き部10から送信されてくる情報に基づいて、カード読み書き部10が2種類以上の非接触式ICカードを検出したか否かを判断する。今回はカード読み書き部10から2種類のカードのID番号を受信することになるので、2種類以上の非接触式ICカードを検出したとしてステップS202へと進む。そして演算処理部15はID番号を受信すると1個のグループとして記憶部13に記憶する。なお、演算処理部15がカード読み書き部10から受信したカードのID番号が1種類の場合は、1種類の非接触式ICカードを検出したと判断し、ステップS201からステップS216へと進む。そしてステップS216で検出した非接触式ICカードのカード認証を行い、続いてステップS217で検出した非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する、支払い処理を行う。そして処理を終了とする。
【0043】
ステップS201からステップS202へと進んだ場合には、演算処理部15はパラメータが登録されているか否かの問い合わせと、カード読み書き部10から受信したカードのID番号を通信制御部14、及びネットワーク6を介して管理サーバ5に対して送信する。そしてステップS203へと進み、管理サーバ5からの回答を待つ状態へと移行する。
【0044】
管理サーバ5は電子マネー端末装置2からカードのID番号と、パラメータが登録されているか否かの問い合わせを受信すると、図11に示すフローチャートを開始する。そしてステップS301で記憶部18に記憶されているそれぞれのグループに、今回受信した2種類のID番号の組み合わせと同一のID番号の組み合わせのグループが存在するか否かを調べる。そしてステップS302へと進み、同じ組み合わせのID番号のグループが登録されていると判断するとステップS303へと進む。そしてそのグループにおいて設定されているパラメータを読み出し、電子マネー端末装置2に送信する。そして処理を終了とする。一方、ステップS302において、記憶部18にID番号が同一のグループが存在しないと判断した場合にはステップS304へと進み、パラメータの登録が行われていないことを示す情報を電子マネー端末装置2に送信する。そして処理を終了とする。
【0045】
電子マネー端末装置2の演算処理部15はネットワーク6、及び通信制御部14を介して管理サーバ5からの回答を受信するとステップS203からステップS204へと進む。ここで管理サーバ5からパラメータを受信した場合にはステップS215へと進み、一方、パラメータの登録が行われていないことを示す情報を受信した場合にはステップS205へと進む。ステップS204からステップS215へと進んだ場合、演算処理部15は受信したパラメータに基づき取引を行う非接触式ICカードを選択し、使用する非接触式ICカードを決定する。そしてステップS216へと進む。
【0046】
ステップS204からステップS205へと進んだ場合には、演算処理部15はパラメータを指定するか否かを問い合わせる指示を入力部11に送信する。入力部11は指示を受信すると、図8に示すようにパラメータを指定する、あるいはパラメータを指定しないかいずれかを選択させる画面を表示する。
【0047】
そしてステップS206へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。使用者がパラメータを指定することを示すボタン23、あるいはパラメータを指定しないことを示すボタン24のいずれかに触れると、入力部11からパラメータを指定する、あるいはパラメータを指定しないかのいずれかを示す情報が演算処理部15に対して送信される。ここで演算処理部15がパラメータを指定することを示す情報を受信すると、ステップS206からステップS207へと進み、一方、演算処理部15がパラメータを指定しないことを示す情報を受信するとステップS219へと進む。
【0048】
ここで使用者がパラメータを指定することを希望し、パラメータを指定することを示すボタン23に触れ、ステップS206からステップS207へと進んだ場合、ステップS207で演算処理部15は記憶部13に予め記憶されている複数個のパラメータ(例えば、残高、カード種別)を読み出し、入力部11に送信する。入力部11はパラメータを受信すると、図9に示すように、パラメータと、パラメータを選択することを求める表示を画面に表示する。そしてステップS208へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。
【0049】
使用者がいずれかのパラメータを示す表示箇所、今回は残高優先ボタン25、あるいはカード種別優先ボタン26のいずれかに触れると、入力部11から触れた箇所に対応する情報が演算処理部15に対して送信される。演算処理部15は入力部11から情報を受信するとステップS208からステップS209へと進み、受信した情報に基づき選択されたパラメータの種類を認識する。そして記憶部13に記憶されている、ステップS201で検出された複数の非接触式ICカードのID番号の組み合わせに対して設定されるパラメータとして、該パラメータを前記同時に検出した全ての非接触式ICカードのID番号と共に記憶する。
【0050】
次にステップS210で演算処理部15は今回選択したパラメータを登録するか否かを問い合わせる画面を表示させる指示を入力部11に送信する。入力部11は指示を受信すると、図10に示すようにパラメータを登録するか否かを選択させる画面を表示する。
【0051】
そしてステップS211へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。ここで、使用者がパラメータを登録することを示すボタン27、あるいはパラメータを登録しないことを示すボタン28のいずれかに触れると、入力部11から「パラメータを登録する」、あるいは「パラメータを登録しない」のいずれかを示す情報が演算処理部15に対して送信される。演算処理部15は入力部11から「登録する」を示す情報を受信するとステップS212へと進む。一方「登録しない」を示す情報を受信すると、演算処理部15はステップS215へと進み、ステップS209で記憶部13に記憶されたパラメータに基づき取引を行う非接触式ICカードを選択し、使用する非接触式ICカードを決定する。そしてステップS216へと進む。
【0052】
ここで使用者がパラメータを登録することを示すボタン27に触れ、ステップS211からステップS212へと進んだ場合、演算処理部15は記憶部13から、パラメータと、該パラメータと共に記憶されているID番号を読み出し、通信制御部14、及びネットワーク6を介して管理サーバ5に対して送信する。そしてステップS213へと進み、管理サーバ5からの回答を待つ状態へと移行する。
【0053】
管理サーバ5は電子マネー端末装置2からパラメータとID番号を受信すると、図13に示すフローチャートを開始する。そしてステップS311で受信したパラメータとID番号の組み合わせで1個のグループを作り、記憶部18に記憶する。そしてステップS312で登録したパラメータとID番号、及び登録が完了したことを示す情報を電子マネー端末装置2に送信する。そして処理を終了とする。
【0054】
電子マネー端末装置2の演算処理部15はネットワーク6、及び通信制御部14を介して管理サーバ5から、パラメータとID番号、及び登録が完了したことを示す情報を受信すると、ステップS213からステップS214へと進む。そして演算処理部15はカードのID番号からカード名(C社カード、及びD社カード)を認識し、該カード名を示す情報と、パラメータと、パラメータの登録が行われたことを表示する指示を表示部9に送信する。表示部9はカード名とパラメータと指示を受信すると、C社カードのカード名、及びD社のカード名と、この組み合わせのカードにおいて、特定のパラメータに従ってカードの選択が行われることを示す情報を表示する。これにより、使用者にC社カードとD社カードの組み合わせを検出した場合の、使用するカードの優先順位を決めるパラメータを確認させることができる。
【0055】
次にステップS215で演算処理部15は設定されたパラメータに従い、使用するカードを決定する。例えば設定されたパラメータが「残高」であった場合、C社カード、あるいはD社カードいずれか残高の多い方のカード(今回はC社カードとする)が使用するカードとして決定される。そしてステップS216でカード認証部12がC社カードのカード認証を行い、続いてステップS217で支払処理を行い、C社カードから取引金額分の電子マネーを減額する。そして処理を終了とする。
【0056】
なお、ステップS206からステップS219へと進んだ場合には、演算処理部15は記憶部13に記憶してあるID番号を読み出し、該ID番号からカード名(C社カード、及びD社カード)を認識し、カード選択画面を表示させる指示と、カード名を示す情報を入力部11に送信する。入力部11は指示とカード名を受信すると、C社カード、あるいはD社カードのいずれかを選択させる画面を表示する。
【0057】
そしてステップS220へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。ここで、使用者がカードを選択してC社カードボタン、あるいはD社カードボタンのいずれかに触れると、入力部11からC社カード、あるいはD社カードのいずれかを示す情報が演算処理部15に対して送信される。演算処理部15はいずれかのカードを示す情報を受信すると、ステップS220からステップS215へと進み、受信した情報から指定されたカードを決定する。そしてステップS216へと進み、指定されたカードのカード認証を行い、ステップS217で支払い処理を行う。そして処理を終了とする。
【0058】
なお、同時に検出したカードの組み合わせに対するパラメータが、既に管理サーバ5の記憶部18に記憶されている場合には、ステップS202で演算処理部15がカードのID番号とパラメータの登録が行われているか否かの問い合わせを管理サーバ5に対して送信し、ステップS203へと進み、管理サーバ5からの回答を待つ状態へと移行すると、管理サーバ5からパラメータが送信されてくる。これにより演算処理部15はパラメータを認識することができるのでステップS204からステップS215へと進み、直ちにパラメータに従ったカードの選択を行い、更にカード認証、及び支払い処理へと進む。
【0059】
このように電子マネー端末装置2から同時に送信した複数のID番号と同一のID番号の組み合わせに対するパラメータが、すでに管理サーバ5に登録されている場合には、パラメータに従って自動的に使用するカードが選択されるようになる。
【0060】
以上本実施例2においては、複数種類の非接触式ICカードのID番号を1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループには、複数種類の非接触式ICカードの中から取引を行う特定の1枚の非接触式ICカードを選択するためのパラメータを合わせて記憶する記憶部18を管理サーバ5に設け、電子マネー端末装置2が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードのID番号と同じ組み合わせの非接触式ICカードのID番号が管理サーバ5の記憶部18に記憶されている場合、電子マネー端末装置2は、同時に検出した非接触式ICカードのID番号と同じ組み合わせの非接触式ICカードのID番号と共に記憶されているパラメータに従って、取引を行う非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行うことにより、管理サーバ5に同一グループとして登録されている非接触式ICカードのID番号の組み合わせと同一組み合わせの非接触式ICカードのID番号を電子マネー端末装置2が検出した時に、特定のパラメータに従って使用するカードを電子マネー端末装置2側で自動的に選択するようになる。このように、パラメータを登録することで、取引に使用するカードを使用者の希望するパラメータに基づいて自動的に選択することができる。
【実施例3】
【0061】
次に本発明の実施例3について説明する。なお、電子マネーシステムの構成は実施例1、及び実施例2と同様であり、また電子マネー端末装置の構成も上記実施例1、及び実施例2と同様である。本実施例3の電子マネーシステムにおいては、電子マネー端末装置1の演算処理部15が、実施例1、あるいは実施例2の機能に加えて更に、優先カードに指定された非接触式ICカード、あるいはパラメータに従って選択された非接触式ICカードに格納されている電子マネーの金額が、取引金額未満である場合、優先カードの指定、あるいはパラメータに関わらず、同時に検出した非接触式ICカードの中から残高が取引金額以上の非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する制御を行う。更に、演算処理部15は、同時に検出した非接触式ICカードの中に残高が取引金額以上のカードが存在しない場合には、同時に検出した複数の非接触式ICカード間で残高を移行し、いずれかの非接触式ICカードの残高を取引金額以上とし、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する制御を行う。
【0062】
そしてこれにより、各々のカード残高では取引金額を下回っている場合であっても、合計金額では取引金額を上回っている場合に、非接触式ICカードに不足金額をチャージすることなく、自動で残高のやり取りを行い、取引を可能とすることができる。
【0063】
なお、その他の構成は上記実施例1、及び実施例2と同様であるので説明は省略する。
【0064】
次に本実施例における電子マネー端末装置1の取引動作について図14を参照し、図15、図16に示すフローチャートに従って説明する。図14は実施例3の電子マネー端末装置の表示画面を示す説明図、図15、図16は実施例3の電子マネー端末装置の取引動作を示すフローチャートである。なお、本フローチャートは、実施例1、及び実施例2において、選択された非接触式ICカードの残高が取引を行うには不足している場合に開始される。すなわち実施例1においては、ステップS13で演算処理部15が取引を行う時に残高が不足していると判断した場合に、図15に示すフローチャートが開始される。また、実施例2においては、ステップS217で演算処理部15が取引を行う時に残高が不足していると判断した場合に、図15に示すフローチャートの処理が開始される。
【0065】
ステップS401で演算処理部15は、表示部9に非接触式ICカードをカード読み書き部10にかざすことを表示させて、読み書き部10を介して同時に検出した全ての非接触式ICカードの残高を確認し、カード別に記憶部13に記憶する。次にステップS402で演算処理部15は記憶部13に記憶した情報に基づき利用金額、すなわち取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが存在するか否かを判断する。そして取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが存在すると判断した場合にはステップS403へと進み、一方、取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが存在しないと判断した場合にはステップS410へと進む。
【0066】
ここで取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが存在し、ステップS403へと進んだ場合、演算処理部15は記憶部13の情報から取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードを選択する。次にステップS404で演算処理部15は取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが2種類以上存在するか否かを判断する。
【0067】
そして取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが2種類以上存在すると判断した場合にはステップS405へと進み、一方、取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが1種類しか存在しないと判断した場合には、ステップS407へと進む。ここで演算処理部15が2種類以上の非接触式ICカードが存在すると判断し、ステップS405へと進んだ場合、演算処理部15は取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードのID番号からカード名(今回はE社カードとF社カードとする)を認識し、カード選択画面を表示させる指示と、カード名を示す情報を入力部11に送信する。入力部11は指示とカード名を受信すると、E社カード、あるいはF社カードのいずれかを選択させる画面を表示する。
【0068】
そしてステップS406へと進み、演算処理部15は入力部11から情報が送信されてくるのを待つ状態へと移行する。ここで、使用者がカードを選択してE社カードボタン、あるいはF社カードボタンのいずれかに触れると、入力部11からE社カード、あるいはF社カードのいずれかを示す情報が演算処理部15に対して送信される。演算処理部15はいずれかのカードを示す情報を受信すると、ステップS407へと進み、受信した情報から取引金額分の電子マネーを減額するカードを決定する。なお、今回はE社カードが選択されたものとする。
【0069】
そしてステップS408でカード認証部12がE社カードのカード認証を行い、続いてステップS409で支払い処理を行い、E社カードから取引金額分の電子マネーを減額する。そして処理を終了する。なお、ステップS404で演算処理部15が取引金額以上の残高を有する非接触式ICカードが1種類しか存在しないと判断した場合には、ステップS497へと進み、その非接触式ICカードが取引金額分の電子マネーを減額するカードとして決定される。そしてステップS408へと進む。
【0070】
一方、例えばカード使用者の取引金額が六千円であり、電子マネー端末装置2が検出した非接触式ICカードが残高がそれぞれ五千円のG社カード、三千円のH社カードであるとすると、ステップS402からステップS410へと進むことになる。そしてステップS410で演算処理部15はステップS401で残高が確認された、全ての非接触式ICカードの残高を合計する。これにより八千円となる。そしてステップS411で取引金額(六千円)とカード残高の合計金額(八千円)とを比較する。
【0071】
ここで演算処理部15は残高の合計金額が取引金額以上であると判断するのでステップS412へと進み、特定のカードにその他のカードの残高を移行する処理を行う。なお、特定のカードの選択は、上記ステップS405と同様に入力部11にカードの選択を求める画面を表示させて使用者に選択させても良いし、あるいは残高の最も多いカードであっても良いし、更には優先カードとして特定されたカードであっても良い。このようにして選択された特定の非接触式ICカードにその他の非接触式ICカードから残高が移行される。
【0072】
また特定の非接触式ICカードに移行させるその他の非接触式ICカードからの残高は、特定の非接触式ICカード以外のカードの残高全てであってもいいし、あるいは、特定の非接触式ICカードの残高が取引金額と同じ金額となる金額だけ移行させてもよい。
【0073】
なお、今回は特定のカードとして残高の最も多いカードを選択するものとし、また特定のカードと指定された以外のカードの残高全てが、特定のカードと指定されたカードに移行することにする。従って、今回は特定のカードとしてG社カードが選択され、H社カードの残高は全てG社カードに移行し、H社カードの残高は0円となる。
【0074】
このように残高を移行することによりG社カードの残高は八千円となり取引金額を上回ることになる。従ってステップS413でカード認証部12がG社カードのカード認証を行い、続いてステップS414で演算処理部15はG社カードから取引金額分の電子マネーを減額する、支払い処理を行う。そして処理を終了とする。なお、支払い処理後にはG社カードの残高は二千円、H社カードの残高は0円となる。
【0075】
なお、上記ステップS411において、カード残高の合計金額が取引金額未満であると判断した場合にはステップS415へと進み、演算処理部15は残高不足であり、取引を停止することを示す画面を表示させる指示を表示部9に送信する。表示部9は指示を受信すると、図14に示すように残高不足であることと、取引を停止することを示す画面を表示する。そして処理を終了とする。
【0076】
以上本実施例3においては、優先カードに指定された非接触式ICカード、あるいはパラメータに従って選択された非接触式ICカードに格納されている電子マネーの金額が、取引金額未満である場合、優先カードの指定、あるいはパラメータに関わらず、同時に検出した非接触式ICカードの中から残高が取引金額以上の非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する。更に、同時に検出した非接触式ICカードの中に残高が取引金額以上のカードが存在しない場合には、同時に検出した複数の非接触式ICカード間で残高を移行し、いずれかの非接触式ICカードの残高を取引金額以上とし、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する。これにより、カードに不足金額をチャージすることなく、取引可能状態とすることができる。従って、使用者の利便性を向上させることができ、負担を軽減することができる。その結果、使用者へのサービスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施例1の電子マネーシステムの構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の電子マネー端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図である。
【図4】実施例1の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図である。
【図5】実施例1の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例1の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【図7】実施例1の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【図8】実施例2の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図である。
【図9】実施例2の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図である。
【図10】実施例2の電子マネー端末装置の入力画面を示す説明図である。
【図11】実施例2の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【図12】実施例2の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【図13】実施例2の電子マネーシステムの取引動作を示すフローチャートである。
【図14】実施例3の電子マネー端末装置の表示画面を示す説明図である。
【図15】実施例3の電子マネー端末装置の取引動作を示すフローチャートである。
【図16】実施例3の電子マネー端末装置の取引動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 電子マネーシステム
2 電子マネー端末装置
5 非接触式ICカード管理サーバ
11 入力部
15 演算処理部
18 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触式ICカードとの間で電子マネーを利用した取引を行う電子マネー端末装置と、該電子マネー端末装置に接続された管理サーバとから構成される電子マネーシステムにおいて、
前記管理サーバには、複数種類の非接触式ICカードを1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループにおいて、特定の1枚の非接触式ICカードには優先カードであることを示す情報を付与した状態で記憶する記憶部が設けられ、
前記電子マネー端末装置が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードが前記管理サーバの前記記憶部に記憶されている場合、前記電子マネー端末装置は、前記管理サーバの前記記憶部に記憶されている優先カードを示す情報に従って、前記同時に検出した複数の非接触式ICカードの中から優先カードに該当する非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行うことを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項2】
前記電子マネー端末装置には、複数種類の非接触式ICカードの中から優先カードを指定する情報が入力される優先カード情報入力部が設けられ、
前記電子マネー端末装置が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードの組み合わせが前記管理サーバの前記記憶部に記憶されていない場合には、前記電子マネー端末装置は、前記優先カード情報入力部からの優先カードを指定する情報を受け、前記同時に検出した複数の非接触式ICカードの中から取引を行う優先カードを選択する請求項1記載の電子マネーシステム。
【請求項3】
前記電子マネー端末装置は、前記優先カードに指定された非接触式ICカードに格納されている電子マネーの金額が、取引金額未満である場合、前記優先カードの指定に関わらず、前記同時に検出した非接触式ICカードの中から残高が取引金額以上の非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する請求項1、又は請求項2記載の電子マネーシステム。
【請求項4】
前記電子マネー端末装置は、前記同時に検出した非接触式ICカードの中に残高が取引金額以上のカードが存在しない場合には、前記同時に検出した複数の非接触式ICカード間で残高を移行し、いずれかの非接触式ICカードの残高を取引金額以上とし、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する請求項3記載の電子マネーシステム。
【請求項5】
非接触式ICカードとの間で電子マネーを利用した取引を行う電子マネー端末装置と、該電子マネー端末装置に接続された管理サーバとから構成される電子マネーシステムにおいて、
前記管理サーバには、複数種類の非接触式ICカードを1個のグループとして記憶すると共に、各々のグループには、複数種類の非接触式ICカードの中から取引を行う特定の1枚の非接触式ICカードを選択するためのパラメータを合わせて記憶する記憶部が設けられ、
前記電子マネー端末装置が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードが前記管理サーバの前記記憶部に記憶されている場合、前記電子マネー端末装置は、前記同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードと共に記憶されているパラメータに従って、取引を行う非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードと取引を行うことを特徴とする電子マネーシステム。
【請求項6】
前記電子マネー端末装置には、前記パラメータの入力が行われるパラメータ情報入力部が設けられ、
前記電子マネー端末装置が、複数種類の非接触式ICカードを同時に検出した時に、該同時に検出した非接触式ICカードと同じ組み合わせの非接触式ICカードの組み合わせが前記管理サーバに記憶されていない場合には、前記電子マネー端末装置は、前記パラメータ情報入力部からのパラメータを指定する情報を受け、該パラメータに従って、前記同時に検出した複数の非接触式ICカードの中から取引を行う非接触式ICカードを選択する請求項5記載の電子マネーシステム。
【請求項7】
前記電子マネー端末装置は、前記優先カードに指定された非接触式ICカードに格納されている電子マネーの金額が、取引金額未満である場合、前記パラメータに関わらず、前記同時に検出した非接触式ICカードの中から残高が取引金額以上の非接触式ICカードを選択し、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する請求項5、又は請求項6記載の電子マネーシステム。
【請求項8】
前記電子マネー端末装置は、前記同時に検出した非接触式ICカードの中に残高が取引金額以上のカードが存在しない場合には、前記同時に検出した複数の非接触式ICカード間で残高を移行し、いずれかの非接触式ICカードの残高を取引金額以上とし、該非接触式ICカードから取引金額分の電子マネーを減額する請求項7記載の電子マネーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−158835(P2008−158835A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347274(P2006−347274)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】