説明

電子メール送信端末、電子メール認証方式設定方法、および電子メール認証方式設定プログラム

【課題】電子メールの認証に関する設定作業の負担を軽減する。
【解決手段】メールサーバー12に接続された電子メールの送信端末11において、電子メールの認証コマンドを認証方式毎にブロック化して予め記憶し(S1)、メールサーバー12で受ける認証方式の被認証者情報を入力し(S2)、入力された被認証者情報に対して、記憶された認証ブロックを順に選択し(S3)、選択した認証ブロックに記述された認証方式を実行し(S4)、メールサーバー12から認証成功の応答を受け取った場合(S4−Y)、その認証方式を使用して作成された認証テスト用電子メールを送信し(S8)、認証テスト用電子メールの送信が成功した場合(S9−Y)、選択された認証方式を、以後、メールサーバー12を利用する被認証者の電子メールの送信を行う際の認証方式として設定する(S10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メールサーバーで受ける認証方式を設定する電子メール送信端末、電子メール認証方式設定方法、および電子メール認証方式設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メールサーバーでは、SPAMメールやウイルスメール等の不正メールの送信を防止するために、標準規格に準じたPOP認証やSMTP認証が認証方式として使用されている。POP認証は、POPサーバーに接続する際の認証が成功したユーザーに対してのみ、SMTPサーバーによる電子メールの送信を許可するものであり、例えば「POP before SMTP」がある。またSMTP認証は、587番ポート等のサブミッションポートをSMTPアプリケーションで使用し、接続する際のAUTHコマンドによる認証が成功したユーザーに対してのみ、SMTPサーバーからの送信を許可するものであり、例えば「SMTP−AUTH」等がある。
【0003】
従来ユーザーは、これらのPOP認証やSMTP認証を行うため、パスワード等の被認証者情報はもちろん、ポート番号等のサーバー情報をメーラーの設定対象項目に記入する等、自らが設定や変更を行ったり、特許文献1のように特定の設定を記録した記憶媒体を用いて設定作業を行ったりしていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−177982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特にSMTP認証で「SMTP−AUTH」を利用する場合、ユーザーは、使用する送信端末に表示させたメーラーの複数のメニューの中から、「SMTP−AUTH」の設定対象項目欄を特定しなければならず、また特定した設定対象項目欄へ、認証を受けるためのポート番号等の認証情報を正確に入力しなければならない。このような設定作業は、メーラーやネットワークに関してある程度の知識が必要であり、一般的なユーザーにとっては、「SMTP−AUTH」の原理自体が分かりづらく、一般に広く普及しているメーラーであっても困難な場合が多かった。
【0006】
そこで、本発明では上記課題を鑑み、電子メールの送信の際にメールサーバーで受ける認証方式に関して、その設定作業の負担を軽減できる電子メール送信端末、電子メール認証方式設定方法、および電子メール認証方式設定プログラムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、所定の認証方式により予め登録された被認証者情報をもって認証を行うメールサーバーに、通信ネットワークを介して相互通信可能に接続され、前記メールサーバーで前記所定の認証方式による認証を受けて、電子メールを送信する電子メール送信端末において、前記認証を受ける際、前記被認証者情報を入力または事前に入力した被認証者情報を選択するための入力部と、複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための認証実行情報を予め記憶させた認証方式記憶部と、前記入力部で入力または選択された被認証者情報に基づき、前記メールサーバーにおいて受ける認証方式と同一の認証方式を、前記認証方式記憶部の中から選択する認証方式選択部と、前記被認証者情報、および前記認証方式選択部で選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成する認証テスト用電子メール作成部と、作成した前記認証テスト用電子メールを送信した結果、前記メールサーバーから異常の応答を受信しない場合、前記被認証者情報、および前記認証実行情報を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する認証方式設定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、前記認証方式記憶部が、少なくとも、POP before SMTP、と、SMTP−AUTH、との2つの認証方式について、それぞれの認証実行情報を予め記憶することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、所定の認証方式により予め登録された被認証者情報をもって認証を行うメールサーバーに、通信ネットワークを介して相互通信可能に接続され、前記メールサーバーで前記所定の認証方式による認証を受けて、電子メールを送信するように構成され、前記認証を受ける際、前記被認証者情報を入力または事前に入力した被認証者情報を選択するための入力部と、複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための認証実行情報を予め記憶させた認証方式記憶部と、を備える電子メール送信端末を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する電子メール認証方式設定方法であって、前記入力部で入力または選択された被認証者情報に基づき、前記メールサーバーにおいて受ける認証方式と同一の認証方式を、前記認証方式記憶部の中から選択し、前記被認証者情報、および前記選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成し、作成した前記認証テスト用電子メールを送信した結果、前記メールサーバーから異常の応答を受信しない場合、前記被認証者情報、および前記認証実行情報を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、所定の認証方式により予め登録された被認証者情報をもって認証を行うメールサーバーに、通信ネットワークを介して相互通信可能に接続され、前記メールサーバーで前記所定の認証方式による認証を受けて、電子メールを送信するように構成され、前記認証を受ける際、前記被認証者情報を入力または事前に入力した被認証者情報を選択するための入力部と、複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための認証実行情報を予め記憶させた認証方式記憶部と、を備えるコンピュータに、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する処理を行わせる電子メール認証方式設定プログラムであって、前記入力部で入力または選択された被認証者情報に基づき、前記メールサーバーにおいて受ける認証方式と同一の認証方式を、前記認証方式記憶部の中から選択する認証方式選択処理と、前記被認証者情報、および前記認証方式選択処理で選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成する認証テスト用電子メール作成処理と、作成した前記認証テスト用電子メールを送信した結果、前記メールサーバーから異常の応答を受信しない場合、前記被認証者情報、および前記認証実行情報を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する認証方式設定処理と、を前記コンピュータに行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1〜4の発明によれば、「POP before SMTP」や「SMTP−AUTH」等の電子メール送信を行う際に受ける認証方式を完全に理解していない一般ユーザーであっても、煩雑な認証方式の設定に煩わされる事なく、認証テスト用電子メールの送信を行うだけの簡単な手間で適切な認証方式が設定でき、設定作業の負担を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る電子メール送信端末(以下、送信端末)、電子メール認証方式設定方法(以下、設定方法)、電子メール認証方式設定プログラム(以下、設定プログラム)、および記憶媒体の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。図1は、本設定方法を実施するとともに本設定プログラムを起動可能に導入した本送信端末11を備えてなる電子メール通信システム1の構成説明図である。また図2は、本送信端末11の構成説明図であり、図3は、本送信端末11をPCで実現した場合の構成説明図である。また図4(a)、(b)は、本設定方法および本設定プログラムの手順を示すフローチャートである。
【0013】
図1のシステム1は、電子メールの作成、表示および送受信等の電子メールに関する処理を行うためのアプリケーションソフトウェアであるメーラー26が起動可能に導入された送信端末11と、送信端末11に通信ネットワークであるインターネット17を介して相互通信可能に接続され、TCP587番ポートを備えたSMTPサーバー13と同110番ポートを備えたPOPサーバー14とからなるメールサーバー12と、を備えて構成されている。
ここで、同一の通信ネットワーク上のホスト同士および他の通信ネットワーク間は、TCP/IPによって相互通信可能に接続される。
【0014】
図2の送信端末11は、記憶領域の一部が、電子メールに関連する複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための実行コマンド等の認証実行情報を、認証方式毎にブロック化して、予め記憶する認証方式記憶部27と、メールサーバー12で所定の認証方式による認証をユーザーが受ける際に使用される認証方式の被認証者情報として、例えばユーザー名およびパスワードに相当する固有の文字列をユーザーが入力または事前に入力して選択する被認証者情報入力部28と、入力または選択した被認証者情報を記憶する被認証者情報記憶部35と、被認証者情報入力部28で入力または選択した被認証者情報を被認証者情報記憶部35から読み出し、メールサーバー12で正常に認証が行われるまで認証方式記憶部27で記憶された認証ブロックのコマンドを順に選択実行する事により、読み出した被認証者情報に基づき、メールサーバー12で受ける認証方式と同一の認証方式を選択する認証方式選択部29と、被認証者情報、および認証方式選択部29で選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成する認証テスト用電子メール作成部31と、メールサーバー12へ認証テスト用電子メールを送信する認証テスト用電子メール送信部32と、作成した認証テスト用電子メールをメールサーバー12に送信した結果、メールサーバー12から異常の応答を受信しない場合、その被認証者情報、および認証実行情報を用いて、送信する電子メールに関する認証方式を設定する認証方式設定部33と、各部27〜33、35を動作制御する制御部34と、を備えて構成されている。
【0015】
図3の送信端末11は、住宅内の通信ネットワークであるLANに接続された、例えば、住宅内の一室に設置されたいわゆるパーソナルコンピュータ(以下、PC)を用いて構成されている。送信端末11は、キーボード、マウス、タッチパネルや各種操作ボタン等の入力部4、インターネット17に接続するための通信インターフェイス(I/F)部5、内部或いは外部に接続された不揮発性記憶装置であるメモリ部6、ディスプレイ7、CD−ROMドライブ9等、および入力された命令に従い各部の動作制御を行うCPU8とを備えて構成されている。
【0016】
ここで、認証方式記憶部27はメモリ部6に相当し、被認証者情報入力部28は入力部4に相当し、認証テスト用電子メール送信部32は通信I/F部5に相当し、認証テスト用電子メール作成部31は入力部4およびディスプレイ7に相当し、各部27〜33、35を動作制御する制御部34はCPU8に相当する。
【0017】
メールサーバー12は、被認証者であるユーザーに対して所定の認証方式により認証可能に構成され、予め被認証者情報が登録されている。所定の認証方式による認証をメールサーバー12で受けるユーザーは、被認証者情報を入力部4で入力または既に入力し被認証者情報記憶部35に記憶されている被認証者情報の中から選択してメールサーバー12へ送信し、メールサーバー12に登録された情報と一致した場合に正規のユーザーとして認証され電子メールの送信が可能となる。
【0018】
本システム1において、送信端末11のユーザーは所定の認証方式として「POP before SMTP」または「SMTP−AUTH」のいずれかによる認証をメールサーバー12で受けるものとする。前者の認証方式を第1認証方式、後者の認証方式を第2認証方式とし、メールサーバー12はどちらかの認証方式を用いてユーザーを認証可能に構成されている。
【0019】
また、メールサーバー12のSMTPサーバー13は、中継、転送を行う基本的なSMTPコマンドだけでなく、拡張されたESMTPコマンドに対応するように構成されている。
【0020】
メーラー26は、ライセンス契約したユーザー毎に、送信端末11によってCD−ROMドライブ9を介して読取可能なCD−ROM10等の記憶媒体に記憶された状態で提供元から提供される。メーラー26は、CD−ROM10から読み取られメモリ部6に記憶されると同時に、送信端末11であるPCのOS上で、構成各部と協働して電子メールに関する諸動作を行うように導入される。
【0021】
メーラー26は、電子メールを送信するユーザーの認証方式として、RFC(Request For Comments)で公表された複数の認証方式について、それぞれの認証方式によってユーザー認証を実行するための実行コマンド等の認証実行情報を、認証方式毎にブロック化し、メモリ部6に予め記憶する認証方式記憶処理と、接続するメールサーバー12による認証時、メールサーバー12で受ける認証方式について、被認証者情報を入力部4で入力または事前に入力して選択する被認証者情報入力処理と、入力または選択した被認証者情報を被認証者情報記憶部35に記憶する被認証者情報記憶処理とを、送信端末11に行わせるように構成されている。
【0022】
さらに、メーラー26は、入力部4で入力または選択した被認証者情報に基づき、メールサーバー12において受ける認証方式と同一の認証方式を、認証方式記憶部27の中から選択する認証方式選択処理と、被認証者情報、および認証方式選択処理で選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成する認証テスト用電子メール作成処理と、メールサーバー12へ認証テスト用電子メールを送信する認証テスト用電子メール送信処理と、作成した認証テスト用電子メールをメールサーバー12に送信した結果、メールサーバー12から異常の応答を受信しない場合、その被認証者情報、および認証実行情報を用いて、送信する通常の電子メールに関する認証方式を設定する認証方式設定処理と、を送信端末11に行わせるための設定プログラムを含んで構成されている。
【0023】
認証方式記憶処理では、RFCで公表されている電子メールを送信するユーザーの認証方式として、例えば、「POPサーバー」の認証を利用した「POP before SMTP」、および「SMTPサーバー」の認証を利用した「SMTP−AUTH」をそれぞれ実行するための一連の実行コマンドを認証実行情報として記述し、これら2種類の認証方式毎にブロック化して選択可能に予めメモリ部6に記憶する。
【0024】
ここで、「POP before SMTP」の認証実行情報が記述されたブロックを第1認証ブロックとし、同様に「SMTP−AUTH」のブロックを第2認証ブロックとする。第1、第2認証ブロックは、CPU8の制御によりメモリ部6の所定領域に割り当てた認証方式記憶部27に読み出し可能に記憶される。以下のように、第1、第2認証ブロックには、対応する実行コマンドがそれぞれ記述されている。
【0025】
<第1認証ブロック(POP before SMTP)>
01 telnet メールサーバー名 110
02 USER ユーザー名
03 PASS パスワード
04 QUIT
【0026】
<第2認証ブロック(SMTP−AUTH)>
01 telnet メールサーバー名 587
02 EHLO メールサーバー名
03 AUTH PLAIN
04 ユーザー名+パスワード
05 QUIT
【0027】
被認証者情報入力処理では、ユーザーがメールサーバー12で受ける認証に使用される「ユーザー名」、「パスワード」、およびメールサーバー12を特定するドメイン名のそれぞれ対応する入力欄および過去に入力されて被認証者情報記憶部35に記憶されている被認証者情報の選択欄を送信端末11のディスプレイ7上に表示させ、それらの入力欄にキーボード等の入力部4によってユーザーが入力または選択した被認証者情報をメモリ部6の所定領域に読み出し可能に記憶する。
【0028】
認証方式選択処理では、被認証者情報入力処理で入力または選択した被認証者情報を読み出し、メールサーバー12で正常に認証が行われるまで認証方式記憶処理で記憶された認証ブロックのコマンドを順に選択実行する事によりメールサーバー12で受ける認証方式と同一の認証方式を選択する。
【0029】
認証テスト用電子メール作成処理では、通常の電子メールと同様のテキスト形式で作成されたメッセージのひな形を備え、認証方式選択処理で選択された認証方式をテストするための認証テスト用電子メールを、そのメッセージのひな形を含めた状態で送信可能に作成する。メッセージのひな形は、差出人、宛先、件名、認証等に関するコマンドを記述するヘッダフィールドが設けられたヘッダ部と、メール本文が記載されたボディ部と、を備えている。認証テスト用電子メールは、「SMTP−AUTH」等SMTPサーバー13で認証を行う方式の場合、このメッセージのひな形に、認証方式選択処理で選択された認証方式に対応する認証ブロックに含まれた実行コマンドを転記処理して構成される。
【0030】
例えば、認証方式として「SMTP−AUTH」を使用することが選択された場合、認証テスト用電子メールは、下記のように作成される。
【0031】
<認証テスト用電子メール(SMTP−AUTH)>
01 ヘッダ部 /*SMTP−AUTHの実行コマンド記述
02 DATA
03 ボディ部 /*メール本文記載
04 QUIT
【0032】
認証テスト用電子メール送信処理では、ディスプレイ7に押下操作可能な認証テスト用電子メール送信ボタンを表示させ、この認証テスト用電子メール送信ボタンを押下することによって、認証テスト用電子メール作成処理で作成された認証テスト用電子メールを送信する。
【0033】
認証方式設定処理では、認証テスト用電子メール作成処理によって作成した認証テスト用電子メールを認証テスト用電子メール送信処理によって送信した結果、メールサーバー12から異常の応答を受信しない場合、認証方式選択処理で選択した認証方式に対応する被認証者情報、および認証実行情報を用いて、電子メールに関する認証方式を設定する。この認証方式の設定によって、以後の電子メールは、送信する際に、選択した認証方式による認証をメールサーバー12で受けるように設定される。
【0034】
次に、上記構成のメーラー26による本設定プログラムおよび方法の手順を、図4(S1〜S11)を参照して説明する。
先ず、送信端末11に対するメーラー26の導入について説明する。
ユーザーは、メーラー26の提供元から提供されたCD−ROM10をCD−ROMドライブ9に挿入して、メーラー26を送信端末11に導入する。送信端末11には、メモリ部6の所定領域に、認証方式記憶処理、被認証者情報入力処理、認証方式選択処理、認証テスト用電子メール作成処理、認証テスト用電子メール送信処理、および認証方式設定処理を行う設定プログラムが、メーラー26に含まれた状態で格納される。
【0035】
メーラー26は、導入時に、送信端末11のメモリ部6の所定領域に、認証方式記憶処理によって認証ブロックを事前登録する(S1)。さらに、メーラー26は、導入時に、電子メールの送受信を行うための初期設定を行う。初期設定は、電子メールの送受信を行うために必要となる初期設定情報を送信端末11に対して登録する設定操作である。初期設定情報は、予めCD−ROM10に書き込まれているものを自動設定しても良いし、ユーザーに入力を促す形でも良い。
【0036】
メーラー26は、初期設定情報として、最低一つの被認証者情報の他、ユーザーの名前情報、ユーザー固有のメールアドレス情報、ユーザーが使用するメールサーバー12におけるSMTPサーバー13およびPOPサーバー14のメールサーバー名またはIPアドレス情報等を送信端末11のメモリ部6の所定領域に格納する。
【0037】
導入後、ユーザーによって起動されたメーラー26は、ディスプレイ7上に、電子メールの作成や送受信等を行うための操作枠を所定の形状および位置にレイアウト表示する。操作枠内には、作成、送受信した電子メールの内容を表示する内容表示枠、電子メールのリスト表示枠や、任意の電子メールの送信処理を開始させる電子メール送信ボタンやその他の各種操作処理を行うため操作ボタンが表示される。さらにこの電子メール送信ボタンとは別の位置に、認証テスト用電子メール送信処理による認証テスト用電子メールの送信処理を開始させる認証テスト用電子メール送信ボタンが表示される。そして、メーラー26は、認証テスト用電子メール送信ボタンの押下操作をユーザーに促す旨のコメントをディスプレイ7上に表示させる。
【0038】
メーラー26は、ユーザーによる認証テスト用電子メール送信ボタンの押下操作に応じて、被認証者情報入力処理による被認証者情報の入力欄および選択欄を表示し、ユーザーに対して被認証者情報の入力または選択を促す(S2)。そして、認証方式選択処理によってまず第1認証ブロックを選択する(S3)。
【0039】
そして、入力または選択された被認証者情報と選択された第1認証ブロックに記述された認証実行情報を用いて、この場合まず「POP before SMTP」による認証を実行する(S4)。すなわち、送信端末11からメールサーバー12へ接続要求のPOPコマンドを送信してPOPサーバー14のTCP110番ポートに接続する。そして、ユーザーが入力欄に入力または選択した被認証者情報をPOPサーバー14へ送信し、POPサーバー14でPOP認証を受ける。POPサーバー14は、受信した被認証者情報が予め登録されているものと一致した場合、正規のユーザーであると判断して、認証成功の応答を送信端末11に返す。これに対して、一致しなかった場合、正規のユーザーでないと判断して、認証失敗の応答を返す。
【0040】
認証方式選択処理によって、POPサーバー14から認証成功の応答を受け取った場合(S4−Y)、「POP before SMTP」をメールサーバー12で使用する認証方式として選択する。一方、認証失敗の応答を受け取った場合(S4−N)、ディスプレイ7上の所定位置に「認証失敗」の文字列を表示させる(S5)。
【0041】
認証失敗の応答を受け取った場合、認証方式選択を繰り返し、第2認証ブロックを選択する(S6)。
【0042】
そして、入力または選択された被認証者情報と選択された第2認証ブロックに記述された認証実行情報を用いて、この場合「SMTP−AUTH」による認証を実行する(S4)。すなわち、送信端末11からメールサーバー12へ接続要求のSMTPコマンドを送信してSMTPサーバー13のTCP587番ポートに接続する。そして、ユーザーが初期設定の際に入力した被認証者情報を読み出してSMTPサーバー13へ送信し、SMTPサーバー13でSMTP認証を受ける。SMTPサーバー13は、受信した被認証者情報が予め登録されているものと一致した場合、正規のユーザーであると判断して、認証成功の応答を送信端末11に返す。これに対して、一致しなかった場合、正規のユーザーでないと判断して、認証失敗の応答を返す。
【0043】
このように、認証方式選択処理によって、メールサーバー12から認証成功の応答を受け取り認証方式が選択されるか、全ての認証ブロックの選択実行が試行されるまで認証方式選択を繰り返す(S7)。
【0044】
また、認証成功の応答を受け取った場合、認証テスト用電子メール作成処理は、選択された認証方式、例えば「SMTP−AUTH」を使用して前述の認証テスト用電子メールを作成する。この時、認証テスト用電子メールは、認証者情報入力処理によって入力された「SMTP−AUTH」の被認証者情報、および認証方式選択処理で選択された「SMTP−AUTH」の認証実行情報を用いて作成される。そして、認証テスト用電子メール送信処理によって、作成された認証テスト用電子メールは、選択された認証方式を使用してテスト送信される(S8)。
【0045】
メーラー26は、認証方式設定処理によって、認証テスト用電子メールを送信した結果、異常応答が無ければ(S9−Y)、選択された認証方式を使用するために必要な情報をメモリ部6の所定領域に記憶させ、以後、今回認証を行った被認証者情報を用いて電子メールの送信を行う際の認証方式として設定する(S10)。
【0046】
異常応答があれば(S9−N)、ディスプレイ7上の所定位置に「認証失敗」の文字列を表示させ、入力した被認証者情報の確認を促し、再設定が必要である旨を伝える(S11)。
【0047】
上記構成の送信端末、設定方法、および設定プログラムによれば、「POP before SMTP」や「SMTP−AUTH」等の電子メール送信を行う場合の認証方式を完全に理解していない一般ユーザーであっても、認証方式で使用されるユーザー名およびパスワードを正しく入力できれば、より詳細な認証方式の設定に煩わされる事なく、認証テスト用電子メールの送信操作を行うだけの簡単な設定作業で適切な認証方式を設定でき、設定作業の負担を軽減できる。また、運用開始後にプロバイダ側で認証方式を変更した場合でも、ユーザーは認証テスト用電子メールを送信するだけで良く、認証方式を再設定する必要が無い。
【0048】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、下記のように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)メーラーは、住宅内のPCに限らず、例えば、住宅外の他の通信ネットワークに接続された携帯電話やPC等の他の外部送信端末に導入することも可能である。
(2)認証方式記憶部には、全ての認証方式が必要に応じて記憶可能であり、運用開始後に追加する事も可能とする。
(3)認証方式記憶部には、同一の認証方式で暗号化等のセキュリティ強度が異なるもの、例えば「SMTP−AUTH」における「AUTH PLAIN」と「AUTH CRAM-MD5」を列記することもできる。
(4)認証方式記憶処理では、POPサーバーや、SMTPサーバーに限らず、IMAPサーバーやAPOPサーバー等の他の種類のサーバーを備える場合、他の種類のサーバー毎に認証ブロックを設けて、選択対象とし、通常の電子メールの送信で使用する認証方式となるように記憶させることもできる。
(5)認証方式選択処理は、第2認証ブロックを先に選択しても良い。選択の順番は任意である。
(6)認証テスト用電子メールの宛先は、メッセージの差出人と同一とするに限らず、他のメールアドレスとしても良い。
(7)メーラーは、CD−ROMに限らず、DVD等の他の記憶媒体や、インターネットを介して提供元からダウンロードしたり、送信端末に予め組み込んでユーザーに提供しても良い。
(8)通信ネットワークは、インターネットに限らず、ローカルネットワークとしても良い。
(9)本発明は、認証テスト用電子メール送信処理を省いて構成しても良い。この場合、通常の電子メールを送信する際にエラーとなったら、認証方式を自動変更して再送を試みるシステムも構築できる。また、SMTP−AUTHのようにメール送信先のSMTPサーバーで認証を行う方式の場合、認証確認と認証テスト用電子メール送信を一度に行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る電子メール送信端末を用いた電子メール通信システムの構成説明図である。
【図2】本発明に係る電子メール送信端末の構成説明図である。
【図3】図2の電子メール送信端末をPCで実現した場合の構成説明図である。
【図4】本発明に係る電子メール認証方式設定手順に関し、(a)は導入処理のフローチャート、(b)は認証方式設定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1・・システム、4・・入力部、5・・通信I/F部、6・・メモリ部、7・・ディスプレイ、8・・CPU、9・・CD−ROMドライブ、10・・CD−ROM、11・・送信端末、12・・メールサーバー、13・・SMTPサーバー、14・・POPサーバー、17・・インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の認証方式により予め登録された被認証者情報をもって認証を行うメールサーバーに、通信ネットワークを介して相互通信可能に接続され、前記メールサーバーで前記所定の認証方式による認証を受けて、電子メールを送信する電子メール送信端末において、
前記認証を受ける際、前記被認証者情報を入力または事前に入力した被認証者情報を選択するための入力部と、
複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための認証実行情報を予め記憶させた認証方式記憶部と、
前記入力部で入力または選択された被認証者情報に基づき、前記メールサーバーにおいて受ける認証方式と同一の認証方式を、前記認証方式記憶部の中から選択する認証方式選択部と、
前記被認証者情報、および前記認証方式選択部で選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成する認証テスト用電子メール作成部と、
作成した前記認証テスト用電子メールを送信した結果、前記メールサーバーから異常の応答を受信しない場合、前記被認証者情報、および前記認証実行情報を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する認証方式設定部と、
を備える、
ことを特徴とする電子メール送信端末。
【請求項2】
前記認証方式記憶部は、
少なくとも、POP before SMTP、と、SMTP−AUTH、との2つの認証方式について、それぞれの認証実行情報を予め記憶する、
請求項1に記載の電子メール送信端末。
【請求項3】
所定の認証方式により予め登録された被認証者情報をもって認証を行うメールサーバーに、通信ネットワークを介して相互通信可能に接続され、前記メールサーバーで前記所定の認証方式による認証を受けて、電子メールを送信するように構成され、前記認証を受ける際、前記被認証者情報を入力または事前に入力した被認証者情報を選択するための入力部と、複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための認証実行情報を予め記憶させた認証方式記憶部と、を備える電子メール送信端末を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する電子メール認証方式設定方法であって、
前記入力部で入力または選択された被認証者情報に基づき、前記メールサーバーにおいて受ける認証方式と同一の認証方式を、前記認証方式記憶部の中から選択し、
前記被認証者情報、および前記選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成し、
作成した前記認証テスト用電子メールを送信した結果、前記メールサーバーから異常の応答を受信しない場合、前記被認証者情報、および前記認証実行情報を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する、
ことを特徴とする電子メール認証方式設定方法。
【請求項4】
所定の認証方式により予め登録された被認証者情報をもって認証を行うメールサーバーに、通信ネットワークを介して相互通信可能に接続され、前記メールサーバーで前記所定の認証方式による認証を受けて、電子メールを送信するように構成され、前記認証を受ける際、前記被認証者情報を入力または事前に入力した被認証者情報を選択するための入力部と、複数種類の認証方式について、それぞれの認証方式を実行するための認証実行情報を予め記憶させた認証方式記憶部と、を備えるコンピュータに、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する処理を行わせる電子メール認証方式設定プログラムであって、
前記入力部で入力または選択された被認証者情報に基づき、前記メールサーバーにおいて受ける認証方式と同一の認証方式を、前記認証方式記憶部の中から選択する認証方式選択処理と、
前記被認証者情報、および前記認証方式選択処理で選択された認証方式の認証実行情報を用いて、認証テスト用電子メールを作成する認証テスト用電子メール作成処理と、
作成した前記認証テスト用電子メールを送信した結果、前記メールサーバーから異常の応答を受信しない場合、前記被認証者情報、および前記認証実行情報を用いて、送信する前記電子メールに関する所定の認証方式を設定する認証方式設定処理と、
を前記コンピュータに行わせる、
ことを特徴とする電子メール認証方式設定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−92111(P2010−92111A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258796(P2008−258796)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】