説明

電子レンジ用調理容器

【課題】 電子レンジ用調理容器において、蓋全体を高温に対応できる材料にするとコストアップとなる。
【解決手段】 アルミニウムなどの金属材料から形成され、裏面にマイクロ波を吸収して発熱する発熱体15が配置された角皿6と、該角皿6の周縁部(鍔部19)に接し、前記角皿6を覆う樹脂製の蓋8と、から構成され、前記蓋8は、前記角皿6の周縁部に載置される鍔部(蓋縁部29)を有し、該鍔部(蓋縁部29)には、前記蓋8より耐熱温度の高い樹脂材料で形成された蓋ガード33が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで使用される電子レンジ用調理容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、内部に水を収容する高周波透過材の下部容器と、前記下部容器の底部から離隔されるように前記下部容器の上端に外縁部が載置され、蒸気が透過するように多数の小孔が形成された高周波遮断材の飲食物支持板と、前記下部容器を覆うように構成され、蒸気排出孔が形成された高周波遮断材の上部カバーとを含んでなり、前記上部カバーの下端が前記飲食物支持板の縁部から所定間隔だけ離隔されて所定量の高周波が前記間隔を通して前記上部カバー内に流入するように、前記上部カバーの下端は前記下部容器の上端に載置される電子レンジ用調理容器が良く知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる構成において、電子レンジの加熱室内部に照射されるマイクロ波を用いて蒸気を発生させることができるものである。
【0004】
また、マイクロ波を透過する耐熱性誘電体材料によって形成され且つその底部に貯水可能な容器と、この容器の開口部を着脱自在に閉塞するマイクロ波を透過する耐熱性誘電体で形成した蓋と、前記容器の底部外表面に配置されマイクロ波を吸収して発熱する発熱体と、前記容器内の底部に設けられ食品が載置される多数の通気穴を有する仕切板とを有する電子レンジ用調理容器も、既に知られている(特許文献2参照)。
【0005】
かかる構成により、発熱体で発生した熱により容器の底部に貯水した水を加熱し、蒸気を発生させて食品に湿りを与えることができるものである。
【0006】
一方、食品載置面を有し少なくともその一部がマイクロ波を吸収して発熱する発熱体で形成された本体と、この本体に前記食品載置面を略気密的に覆うように着脱される蓋とから成り、前記食品載置面には水用凹部が形成された電子レンジ用調理容器も、既に知られている(特許文献3参照)。
【0007】
かかる構成により、電子レンジで餃子等の食品を蒸し焼きにできるものである。
【特許文献1】特開2004−167208号公報
【特許文献2】実開昭48−34944号公報
【特許文献3】実開平2−55822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、マイクロ波を吸収して発熱する発熱体は200度以上の高温となるため、周辺の構成部品の耐熱温度を高く設計する必要がある。特に、例えば特許文献3に記載のような蒸し焼き調理の場合、蒸気がなくなると蓋のうち皿との接触部分が非常に高温となるため、蓋の変形が発生する虞がある。そのため、特許文献3に記載のような耐熱ガラス製の蓋や、耐熱温度を高くした樹脂材料、例えばガラス繊維を含ませたポリエチレンテレフタレート(FRPET)製等の蓋を使用する必要があるが、蓋全体を高温に対応できる材料にするとコストアップとなる。
【0009】
また、耐熱ガラス製の場合は重量も重く、FRPETの場合は、ガラス繊維を含ませているので透明度が低く、蓋を被せると、中の食品が見えなくなってしまう。これは、特許文献1に記載のような金属製の蓋を使用した場合にも言えることである。
【0010】
また、特許文献1や特許文献2のような蒸し調理に使用する蓋は、常に内部に蒸気があり温度的には極端に上昇することがないことから、現在主流となっているマイクロ波が加熱室の下面側から照射される電子レンジのような場合、金属製の皿で下方からのマイクロ波を遮断して食品に直接照射されないようにすれば、ポリプロピレン(PP)のような耐熱温度が余り高くない低コストで透明感も得られる樹脂を使用することも可能であるが、このような蓋を上述の蒸し焼き調理に使用すると変形が発生するので、同じ蓋を蒸し調理と蒸し焼き調理で共通に使用することができない。
【0011】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明は、アルミニウムなどの金属材料から形成され、裏面にマイクロ波を吸収して発熱する発熱体が配置された角皿と、該角皿の周縁部に接し、前記角皿を覆う樹脂製の蓋と、から構成され、前記蓋は、前記角皿の周縁部に載置される鍔部を有し、該鍔部には、前記蓋より耐熱温度の高い樹脂材料で形成された蓋ガードが配置されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、前記蓋は、前記蓋ガードと前記鍔部との隙間を覆うように、前記蓋ガード内側に蓋リブを立設して成ることを特徴とする。
【0014】
また、前記蓋ガードのうち前記蓋リブに対向する位置に蓋ガードリブを立設することを特徴とする。
【0015】
そして、前記蓋リブは、前記蓋ガードリブ側に形成された段部に係止する爪部を有し、前記蓋ガードリブは、前記蓋リブの爪部の近傍に係合するフック部を有することを特徴とする。
【0016】
さらに、前記蓋ガードリブの高さは、前記蓋リブの高さより高いことを特徴とする。
【0017】
また、前記蓋の樹脂材料は、前記蓋ガードより透明度が高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、裏面に発熱体が配置された角皿の周縁部に接する蓋の鍔部に、蓋より耐熱温度の高い樹脂材料で形成された蓋ガードが配置されていることから、角皿の周縁部が高温になっても対応できるので、同じ蓋を蒸し調理と蒸し焼き調理で共通に使用することができ、かつ、高温耐熱のコストの高い材料の使用量を少なくすることでコストダウンにつながる。
【0019】
さらに、蓋ガードと鍔部との隙間を覆うように蓋リブが立設されているので、調理終了後に蓋の内側を上にして取り扱う際に、蓋の内側に付着して高温となった水滴が蓋ガードと鍔部との隙間を通って流出するのを防止でき、使用者にとって予見できない部分から高温の水滴が出てくることがなくなって、使用者の安全性を確保することができる。
【0020】
また、蓋リブに対向する位置に蓋ガードリブを立設することで、蓋を角皿に容易に位置決めセットできると共に、セットされた状態で蓋リブを蓋ガードリブによって角皿の周縁部の高温から保護することができる。
【0021】
そして、蓋リブの爪部によって、蓋の鍔部に対して蓋ガードの着脱を確実かつ容易に行うことができ、かつ、蓋と蓋ガードに材料の違いによる熱膨張率の差があっても、蓋ガードリブのフック部によって蓋リブを抑えて、熱により蓋が変形するのを防いで形状を保持させ、蓋の収縮により蓋リブの爪部の係止状態が外れて蓋ガードが脱落するのを防ぐことができる。
【0022】
さらに、蓋ガードリブの高さは蓋リブの高さより高いことから、調理終了後に蓋を半開きの状態にしても蓋リブが高温の角皿周縁部に直接接触することがないので、蓋リブを角皿周縁部の高温からより確実に保護することができる。
【0023】
また、蓋の樹脂材料は蓋ガードより透明度が高いので、耐熱温度を高めるために蓋の透明度が犠牲になって蓋を被せると中の食品が見えなくなることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1及び図2において、1は電子レンジ本体、2は食品を収納する加熱室、3は加熱室2の前面開口を開閉するドア、4は電子レンジ本体(オーブンレンジ)1に加熱条件の設定や加熱開始の指示を行う設定入力部4aや設定条件や残り加熱時間などを表示する表示部4bを有するコントロールパネルである。
【0025】
前記加熱室2は、上面2a、下面2b、左側面2c、右側面2d及び後面2eから構成されており、下面2bには下方に図示しないマグネトロンから供給されるマイクロ波を拡散する回転アンテナが配置され、該回転アンテナから放射されるマイクロ波を透過する食品載置板5を配置している。即ち、加熱室2内へのマイクロ波の供給は食品載置板5を介して行われるのである。
【0026】
6は底部の外壁面(裏面)にマイクロ波を吸収して発熱する発熱体を有する角皿、7は角皿6に載置される蒸し調理用のすのこ、8はすのこ7の上面開口を閉塞するすのこ蓋である。9は加熱室2の左側面2c及び右側面2dの上部に配置した角皿6の載置用上部レール、10は同じく加熱室2の左側面2c及び右側面2dの中央よりやや下部に配置した角皿6の載置用中央レール、11は加熱室2の左側面2c及び右側面2dの下部に配置した角皿6の載置用下部レールである。つまり、載置用上部レール9に角皿6を載置したときは上面2a近くに角皿6が配置されることになり、載置用中央レール10に角皿6が載置されたときは、角皿6は加熱室2内の中央と食品載置板5との中間位置に配置され、さらに載置用下部レール11に角皿6が載置されたときは、載置用中央レール10の少し下部で、開放したドア3に角皿6を載置し加熱室3内に押し込んだとき、自動的にレール上に導かれる高さ、すなわちほぼ食品載置板5の直上付近に角皿6が配置される。
【0027】
図3乃至図8において、前記角皿6、すのこ7及びすのこ蓋8は、角皿6内に水を貯留し、後述する発熱体15の熱により加熱して蒸気を発生させ、すのこ7内に蒸気を供給して、すのこ7内の食品を蒸し調理するための調理容器12を構成している。
【0028】
まず前記角皿6は、金属材料、例えば全体をアルミニウムを主成分とする材料で形成され、底面に食品を載置する食品載置部13と、該食品載置部13に食品を載置したとき食品と接触するとともに、食品から染み出た油を食品と接触させずに下方に貯める複数の食品支持凸部14と、食品載置部13の外壁面(裏面)に貼り付けなどにより配置されたマイクロ波を吸収して発熱するフェライトからなる発熱体15、食品載置部13の周囲から上方に延設させた下段周壁16、該下段周壁16の上端から略水平方向で調理容器12の外方に延設させた段部17、該段部17の周囲から上方に立設し、延設させた上段周壁18、該上段周壁18の上端から調理容器12の外方に延設させた鍔部19とから構成されている。
【0029】
また、鍔部19には、耐熱温度が140度程度のポリプロピレンなどの樹脂から形成され、角皿6を加熱室2の載置用レール9、10、11に載置するときに、それぞれのレールと接触し、レールと角皿6の鍔部19との間で放電が発生しないような距離に保つための樹脂ガード20を有している。該樹脂ガード20は、角皿6を台所の調理台などの上に載置する際に、脚部となる下方に突出した凸部21も設けている。
【0030】
前記食品載置部13と下段周壁16で形成された部分は、発熱体15の熱により加熱して蒸気を発生させるために水溜め可能な容器部に相当し、下段周壁16の高さは、蒸し調理を実行する際に、必要な水の量に相当する高さとしている。つまり、水を段部17付近まで注いで蒸し調理を実施するので、使用者は分量を計ることなく、容易に適量の供給を判断できるのである。
【0031】
また、角皿6の大きさは、図5に示すように、加熱室2の下面2b(点線で示した大きさ)と比較すると、角皿6のコーナー部分が円弧を描いている関係で、隙間が開いている以外は、ほぼ同じ大きさで形成されている。
【0032】
次にすのこ7は、前記樹脂ガード20と同じ材料で形成され、蒸気が通過可能な貫通孔22が複数個穿設された食品載置面23と、該食品載置面23の下方全周囲に設けられた高さ5mm程度のすのこ脚部24と、前記食品載置面23の周囲上方に立設され、延設されたすのこ側壁25と、該すのこ側壁25の上端からすのこ7の外方に延設されたすのこ段部26と、該すのこ段部26の周囲から上方に立設した立設壁27を介して側方に延設したすのこ縁部28とから構成されている。
【0033】
前記すのこ脚部24は、角皿6の段部17上の全周に接触して載置される。この構成により、角皿6の食品載置部13と下段周壁16とすのこ脚部24と食品載置面23とで、食品載置面23に穿設された貫通穴22以外で閉塞された空間が形成される。
【0034】
さらにすのこ蓋8は、すのこ7と比べて耐熱温度の低いポリプロピレンなどの樹脂材料から形成され、すのこ7の縁部28上に載置される蓋縁部(鍔部)29と、該蓋縁部29の内周全周に下方へ突出し、すのこ7の立設壁27に係合する蓋リブ30と、前記蓋縁部29の内周から上方に、断面円弧形状に膨出させ、中央部を平面に維持させた蓋本体部31と、該蓋本体部31の断面円弧形状に膨出させた部分に設けた取手32とから構成されている。
【0035】
また、蓋縁部29の下部には、すのこ蓋8の耐熱温度より高い耐熱温度を有する樹脂、具体的にはガラス繊維を含ませたポリエチレンテレフタレート(FRPET)で形成された蓋ガード33が着脱自在に取り付けられている。該蓋ガード33は、前記蓋リブ30の外周面に沿って全周に、蓋リブ30より高い蓋ガードリブ34を備えている。前記蓋リブ30の高さは、少なくとも蓋縁部29の下面と蓋ガード33との隙間から、蓋本体部31の裏面に結露した水滴が侵入することを阻止できる高さがあればよい。
【0036】
これは、使用者が加熱中または加熱終了後にすのこ蓋8を持ち上げたときに、蓋本体部31の裏面に結露した熱い水滴が、蓋縁部29の下面と蓋ガード33との隙間から、使用者の腕にかかることを防止するためである。すなわち、図10に示すように、蒸し調理などの終了後に蓋8を開けて裏面に付着した熱い水滴が滴り落ちないように蓋8の内側を上にして取り扱う際に、蓋ガード33の内側に蓋リブがないと、蓋8の内側に付着している高温となった水滴wが矢印で示すように蓋8の蓋縁部29の下面と蓋ガード33との隙間を通って蓋8の外側に出てくる。使用者にとっては、予見できない部分から高温の水滴が出てくることとなるので危険である。これに対して、図11に示すように、蓋ガード33の内側全周に蓋リブ30を設けることにより、高温となった水滴wが蓋縁部29と蓋ガード33との隙間を通ることを防止でき、一般的な蓋と同様に水滴wが矢印で示すように流れ出てくる状態が使用者から見えるようになるため、この水滴wに触れると危険であることを一般的な蓋を扱うときと同様に容易に察知できる。従って、使用者の安全性を確保することができる。なお、図11において、30aは蓋リブ30の要所に形成されて、蓋ガードリブ34側に形成された段部34aに係止する爪部である。
【0037】
かかる構成において、蒸し調理を実行する手順を説明する。
【0038】
まず、使用者は角皿6内の食品載置部13に水を注ぐ。水の注ぐ量は、段部17付近の高さまで注げば適量となる。次に、段部17上にすのこ7を載置し、食品載置面23上に、茶碗蒸しなどの蒸し調理用食品を載置する。最後に、すのこ蓋8ですのこ7の上面開口を閉塞する。
【0039】
次に、使用者は、電子レンジ本体1のドア3を開放し、すのこ7などが載置された角皿6を持ち上げ、開放したドア3上に一旦載置する。そして、角皿6をスライドさせて加熱室2内に押し込み、載置用下部レール11上を摺動させて、加熱室2内に収納する。その後、ドア3を閉塞してコントロールパネル4の設定部4aを操作して、蒸し調理を実行するのである。
【0040】
蒸し調理が開始すると、加熱室2内にはマグネトロンからのマイクロ波が供給され、該マイクロ波を発熱体15が吸収して発熱し、この熱で角皿6内の水を加熱し、蒸気を発生させる。発生した蒸気は、すのこ7の食品載置面23の貫通孔22を貫通し、載置された食品を蒸気加熱する。設定された時間蒸気加熱を行うと蒸し調理は終了するのである。
【0041】
蒸し調理終了後は、収納の仕方と逆の手順により加熱室2から取り出し、蒸し調理が行えるのである。
【0042】
また、角皿6は蒸し調理以外に、発熱体15の熱により食品に焦げ目をつけながら調理する焼き調理や蒸し焼き調理にも使用できる。例えば、焼き餃子やハンバーグなどが調理としてあげられる。
【0043】
蒸し焼き調理を行う際は、図12に示すように、角皿6の鍔部19にすのこ蓋8の蓋縁部29を載置することで、すのこ蓋8が蒸し焼き調理時の角皿6の蓋を兼用している。図12において、角皿6と蓋8により餃子等の食品を蒸し焼き調理するための本発明の調理容器36を構成している。なお、図12は蓋リブ30の爪部30aが見えるように切断した断面図であり、また角皿6の鍔部19の樹脂ガード20は図中左側のみを図示して右側は図示省略している。かかる構成により、食品から蒸発する水分や注いだ水で蒸らしつつ、食品内まで早く加熱する蒸し焼き調理を実行することができるのである。この蒸し焼き調理中、角皿6は200度以上の高温となるため、載置するすのこ蓋8がこの熱により変形しないように、角皿6の鍔部19に接触する部分には蓋本体部31とは異なる耐熱温度の高い樹脂材料(ここではFRPET)の蓋ガード33を設けているのである。
【0044】
耐熱温度の高い樹脂(FRPET)は、耐熱温度の低い樹脂に比べて、ガラス繊維量など耐熱温度を高くするための材料を多く混入しているため、その分重量が重くなる。しかし、すのこ蓋8の大部分を占める蓋本体部31は耐熱温度の低い樹脂(PP)で形成し、角皿6と接触する部分のみ耐熱温度の高い樹脂を使用することで、少しでも軽量化を図っているのである。そして、高温耐熱のコストの高い材料の使用量を少なくすることでコストダウンにつながる。また、蓋8全体をFRPETで形成すると、FRPETはガラス繊維を含ませているので透明度が低く、蓋8を被せると、中の食品が見えなくなってしまうが、蓋本体部31は耐熱温度の低い樹脂(PP)で形成することにより、PPはFRPETより透明度が高いので、耐熱温度を高めるために蓋8の透明度が犠牲になって蓋8を被せると中の食品が見えなくなることもない。
【0045】
また、蓋ガード33の蓋ガードリブ34の所々には、図9に示すように、すのこ蓋8の蓋リブ30に接触している部分に、断面コ字形状のフック部35を設け、蓋リブ30に係合している。かかるフック部35は、熱によりすのこ蓋8を変形させず、形状を保持させるためのものである。具体的に説明すると、図13は蓋ガード33を取り外した蓋8の裏面図であり、蓋8の蓋縁部29の内側全周に蓋リブ30が形成され、その4辺のそれぞれ中央部とその両側に間隔を開けて前述した爪部30aが形成されている。一方、図14に示す蓋ガード33側には、蓋ガードリブ34に上記爪部30aに対応して爪部30aが係止される前述の段部34aが形成されると共に、それらの間に上述のフック部35が形成されている。従って、蓋8の蓋縁部29に蓋ガード33を取り付けると、図14に示すように、蓋リブ30の爪部30aの近傍に、蓋リブ30に対向する位置に立設された蓋ガードリブ34のフック部35が係合することになる。
【0046】
以上のことより、食品載置部13の温度が発熱体15の発熱により230度程度上昇しているのに対し、図9等に示したように、すのこ7が載置される段部17は、食品載置部13と下段周壁16を介して接続されているため、発熱体15と距離があけられ、水が角皿6内に注がれていない状態で130度から150度程度の温度上昇に抑えられることができ、角皿6内に水が注がれた状態でも、水が100度に達していたとしても90度程度に抑えられ、すのこ7の材料を耐熱温度が低い樹脂で形成することを可能とし、コストアップを抑制すると共に、すのこ7自体の重量も軽量化を図ることが可能となる。
【0047】
また、角皿6の下段周壁16の高さは、角皿6に注がれる蒸し調理用の水の水面が、角皿6の段部17の面より下方となるような高さとされ、またすのこ脚部24は角皿6の段部17上の全周に接触して載置されているため、角皿6に注がれた水がすのこ7のすのこ脚部24内側に配置されるようになるので、発生した蒸気が全てすのこ7内を通過させることができるようになる。
【0048】
さらに、角皿6は金属材料で形成されており、また加熱室2の下面2bとほぼ同じ大きさの形状であるため、加熱室2の下面2b下方から供給されるマイクロ波は、角皿6により反射され、角皿6の上部側にほとんど供給されない構成となっている。このため、発熱体15に吸収されるマイクロ波がほとんどで、他のマイクロ波によりすのこ7内の食品の加熱に寄与しない。このような構成とすることで、蒸気による蒸し調理を実現していることになる。従って、すのこ7やすのこ蓋8は、樹脂で形成しても良くなり、この点でも調理容器の軽量化を図ることができる。
【0049】
また、蓋リブ30に対向する位置に蓋ガードリブ34を立設することで、蓋8をすのこ7や角皿6に容易に位置決めセットできると共に、セットされた状態で蓋リブ30を蓋ガードリブ34によって角皿6の鍔部19の高温から保護することができる。また、蓋リブ30の爪部30aによって、蓋8の蓋縁部29に対して蓋ガード33の着脱を確実かつ容易に行うことができ、かつ、蓋8と蓋ガード33に材料の違いによる熱膨張率の差があっても、蓋ガードリブ34のフック部35によって蓋リブ30を抑えて、熱により蓋8が変形するのを防いで、形状を保持させ、蓋8の収縮により蓋リブ30の爪部30aの係止状態が外れて蓋ガード33が脱落するのを防ぐことができる。また、前述したように、蓋ガードリブ34の高さは蓋リブ30の高さより高いので、調理終了後に蓋8を半開きの状態にしても蓋リブ30が高温の角皿6の鍔部19に直接接触することがないので、蓋リブ30を角皿6の周縁部19の高温からより確実に保護することができる。
【0050】
なお、蓋8の蓋縁部29に蓋ガード33を接着やネジ止めにより固定した状態に配置することも考えられるが、熱膨張率の異なる樹脂材料を接着により固定すると離脱や変形が生じ、ネジ止めではどうしても隙間が生じてしまい、隙間に汚れが溜まって汚くなる。従って、上述したような構成で着脱自在とすることは、離脱や変形を防げ、隙間に溜まった汚れも使用者が蓋縁部29から蓋ガード33を簡単に外して洗浄することができるので、極めて有効であり、上述したように同じ蓋8を蒸し調理と蒸し焼き調理で共通に使用することができることと相俟って、使い勝手が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の電子レンジの外観斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】本発明の電子レンジ用蒸し調理容器の外観斜視図である。
【図4】蒸し調理容器の角皿、すのこ及びすのこ蓋の外観斜視図である。
【図5】蒸し調理容器の上面図であり、加熱室の下面との大きさを比較した図である。
【図6】図5中のA−A断面図である。
【図7】図6中のW部分の拡大図である。
【図8】図7中のX部分の拡大図である。
【図9】蓋ガードリブのフック部を説明するために、蓋ガードリブのフック部が存在する部分において図8と同方向に切断した断面拡大図である。
【図10】蓋リブがない場合の不具合の説明図である。
【図11】蓋リブがある場合の作用の説明図である。
【図12】本発明の電子レンジ用蒸し焼き調理容器の断面図で、蓋リブの爪部が見えるように切断した断面図である。
【図13】蓋ガードを取り外した蓋の裏面図である。
【図14】蓋ガードの裏面図である。
【図15】蓋の蓋縁部に蓋ガードを取り付けた裏面図で、(a)は全体図、(b)は(a)のY部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電子レンジ本体
2 加熱室
6 角皿
7 すのこ
8 すのこ蓋
12 蒸し調理用調理容器
13 食品載置部
14 食品支持凸部
15 発熱体
16 下段周壁
17 段部
18 上段周壁
19 角皿の鍔部
23 食品載置面
24 すのこ脚部
29 蓋縁部
30 蓋リブ
30a 爪部
31 蓋本体部
33 蓋ガード
34 蓋ガードリブ
34a 段部
35 フック部
36 蒸し焼き調理用調理容器
















































【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウムなどの金属材料から形成され、裏面にマイクロ波を吸収して発熱する発熱体が配置された角皿と、
該角皿の周縁部に接し、前記角皿を覆う樹脂製の蓋と、から構成され、
前記蓋は、前記角皿の周縁部に載置される鍔部を有し、該鍔部には、前記蓋より耐熱温度の高い樹脂材料で形成された蓋ガードが配置されていることを特徴とする電子レンジ用調理容器。
【請求項2】
前記蓋は、前記蓋ガードと前記鍔部との隙間を覆うように、前記蓋ガード内側に蓋リブを立設して成ることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ用調理容器。
【請求項3】
前記蓋ガードのうち前記蓋リブに対向する位置に蓋ガードリブを立設することを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ用調理容器。
【請求項4】
前記蓋リブは、前記蓋ガードリブ側に形成された段部に係止する爪部を有し、前記蓋ガードリブは、前記蓋リブの爪部の近傍に係合するフック部を有することを特徴とする請求項3に記載の電子レンジ用調理容器。
【請求項5】
前記蓋ガードリブの高さは、前記蓋リブの高さより高いことを特徴とする請求項3または請求項4のうちいずれか1つに記載の電子レンジ用調理容器。
【請求項6】
前記蓋の樹脂材料は、前記蓋ガードより透明度が高いことを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか1つに記載の電子レンジ用調理容器。


























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−87842(P2006−87842A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285538(P2004−285538)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】