説明

電子写真用現像ローラの製造方法、電子写真用現像ローラ

【課題】高濃度で、且つ白スジが無いプリント画像が得られる電子写真用現像ローラの製造方法及び電子写真用現像ローラの提供。
【解決手段】基体の外周に粗さ付与粒子を含有する塗布液を塗布して被覆層を形成する工程を有する電子写真用現像ローラの製造方法において、該塗布液を基体の外周に塗布して被覆層を形成するとき、塗布直後のWet膜厚と乾燥後のDry膜厚との膜厚比(Dry膜厚/Wet膜厚)が0.2〜0.5であることを特徴とする電子写真用現像ローラの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用現像ローラの製造方法及び電子写真用現像ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
現在広く用いられている電子写真方式の画像形成方法は、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に接触或いは非接触で供給し、静電潜像を顕像化する現像過程を経て形成したトナー像を、転写材に転写し、さらに定着して最終画像を形成するものである。
【0003】
トナー像を形成するための現像方法には、キャリアとトナーとから構成される2成分現像剤を用いる2成分現像方式と、トナーのみからなる現像剤を現像ローラにより搬送し、現像剤規制部材などとの摩擦で帯電させ現像する1成分現像方式がある。この1成分現像方式ではキャリアを使用しないため現像装置が簡略化でき、幅広く使用されている。特に、近年のカラー化の流れに伴い、磁性体を含有しないトナーを用いる非磁性1成分現像方式はカラー化も可能であるため、注目されている。
【0004】
非磁性1成分現像方式は、2成分現像方式とは異なり、キャリアを使用せず、トナーのみを帯電部材(規制部材)と摩擦させ、或いは、現像ローラの表面等に押圧することにより帯電させるものであり、現像装置の機構が簡略で、且つコンパクトにできるという大きなメリットがある。その結果、通常、現像機構を4個以上必要とするカラー画像形成装置にも適用し易い特徴も有する。
【0005】
この非磁性1成分現像方式に用いる現像ローラとしては、導電性の円筒状又は円柱状の基体の外周に摩擦帯電性制御、搬送性制御及び画像欠陥防止のために、表面に導電性微粒子が分散した被覆層を形成したものが知られている。この導電性微粒子により被覆層の抵抗値や表面粗さが調整されることにより、現像ローラに担持されたトナーの帯電量及び搬送量が適切な値に制御され、現像ゴースト等の画像欠陥の発生が抑制される。
【0006】
これまでに基体の外周に被覆層を設けた現像ローラを製造する方法が検討されてきた。例えば、基体の外周に被覆層を形成する方法としては、特開平10−90995号公報にされている。基体を回転させながらその表面に塗布液を噴霧するエアスプレー塗布法としては、特開2001−183900号公報に記載されている。基体を塗布液の入った塗布槽中に浸漬した後に引き上げる、いわゆる、浸漬塗布法で塗布する方法としては、特開2005−246277号公報に記載されている。アプリケーションロールとピックアップロールとを有するロールコータ塗布装置で基体の表面に塗布液を塗布する方法としては、特開2005−295052号公報に記載されている。
【0007】
これらエアスプレー法、浸漬(ディップ)塗布法、ロールコータ塗布法の中で、浸漬塗布法が異物混入による塗布故障が比較的少なく、装置構成が比較的簡単で、生産性が高い等の点で他の塗布方法より有利であることから広範にわたり使用されている。
【0008】
現像ローラの被覆層の形成に用いられる塗布液は、被覆層に導電性や適切な表面粗さを持たせるために多量のフィラーや、乾燥後の被覆層の厚さ(例えば、数μm〜数10μm)に対して同等かそれ以上の大きさを持つ粒子等を含むことが多い。このため、塗布ムラやスジ等の塗布欠陥が発生し易い。このような塗布欠陥を有する現像ローラを用いると、現像ローラ表面に担持されるトナーに搬送ムラや帯電ムラが生じるためプリント画像に画像欠陥が生じる。
【0009】
又、浸漬塗布を行う場合、塗布液の濃度や粘度といった塗布液の液物性や基体の引き上げ速度により、塗布ムラやスジが発生するという問題があった。
【0010】
浸漬塗布法により基体の外周に被覆層を形成するとき発生する塗布ムラやスジに対してこれまでに対策が検討されてきた。
【0011】
例えば、基体を塗布槽中から引き上げるに際して、塗布槽側壁と基体との間に存在している塗布液の平均流速と、基体の引き上げ速度とが一定の範囲内になるように塗布液を塗布槽に送り込み、循環させることで塗布むらやすじの発生を防止するようにした塗布方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−177717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は粘度をはじめとする塗布液の液物性が考慮されておらず、粗さ付与粒子を含有する塗布液を基体の外周に塗布する場合、塗布槽中で粗さ付与粒子が沈降したり、乾燥時に粗さ付与粒子が偏在したりして場所により粗さ付与粒子の付き量が不均一になるという問題があった。
【0013】
粗さ付与粒子の付き量が不均一になると、同一電子写真用現像ローラ(以下、単に現像ローラともいう)中で位置により被覆層表面の凹凸が不均一になる。この現像ローラを用いて非磁性1成分トナー(以下、単にトナーともいう)で画像形成するとトナーの搬送量が不均一になり所定の画像濃度が得られなくなったり、プリント画像上に白スジが発生するという問題が発生する。
【0014】
本発明は、粗さ付与粒子の付き量を均一化させて、被覆層表面の凹凸を均一化させることにより、高濃度で且つ白スジが無いプリント画像が得られる電子写真用現像ローラの製造方法及び電子写真用現像ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、下記構成を採ることにより達成される。
【0016】
1.基体の外周に粗さ付与粒子を含有する塗布液を塗布して被覆層を形成する工程を有する電子写真用現像ローラの製造方法において、
該塗布液を基体の外周に塗布して被覆層を形成するとき、
塗布直後のWet膜厚と乾燥後のDry膜厚との膜厚比(Dry膜厚/Wet膜厚)が0.2〜0.5であることを特徴とする電子写真用現像ローラの製造方法。
【0017】
2.前記塗布直後のWet膜厚が、15〜30μmであることを特徴とする前記1に記載の電子写真用現像ローラの製造方法。
【0018】
3.前記1又は2に記載の電子写真用現像ローラの製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真用現像ローラ。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電子写真用現像ローラの製造方法及び電子写真用現像ローラにより、高濃度で且つ白スジが無いプリント画像が得られるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
電子写真方式の画像形成において、静電潜像を顕像化する現像ローラは、静電潜像を現像する領域にトナーを適量搬送するため、現像ローラ表面に凹凸を有する。
【0021】
現像ローラの表面の凹凸は、一般に粗さ付与粒子を含有する塗布液を基体の外周に塗布して形成される。
【0022】
しかしながら、粗さ付与粒子を含有する塗布液を基体の外周に塗布すると、表面の凹凸が均一とならず不均一となることが多かった。この不均一な凹凸を有する現像ローラを用いて画像を形成するとべた画像に白スジが発生し問題となっていた。
【0023】
本発明者らは、基体の外周に粗さ付与粒子を含有する塗布液を塗布した直後の被覆層の膜厚(被覆塗膜)であるWet膜厚と、乾燥後の被覆層の膜厚であるDry膜厚の関係に着目し検討を行った。
【0024】
検討の結果、粗さ付与粒子を含有する塗布液を基体の外周に塗布して被覆層を設けるとき、Wet膜厚とDry膜厚との膜厚比(Dry膜厚/Wet膜厚)を特定の範囲にすると、被覆層表面に均一な凹凸を有する現像ローラが得られることを見いだした。即ち、Wet膜厚とDry膜厚比(Dry膜厚/Wet膜厚)が0.2〜0.5であるとき、被覆層表面に均一な凹凸を有する現像ローラが得られることを見出したのである。
【0025】
図1は、塗布直後の塗布塗膜が、乾燥により溶剤が除去され、被覆層が形成される様子を示す模式図である。
【0026】
図1において、aはWet膜厚、bはDry膜厚、1は基体、10は塗布塗膜、20は被覆層、23は粗さ付与粒子を示す。
【0027】
本発明の現像ローラの製造方法は、粗さ付与粒子23を含有する塗布液を基体1の外周に塗布して塗布塗膜10を形成後、塗布塗膜10を乾燥して被覆層20を設けるとき、Wet膜厚aと塗膜Dry膜厚bの膜厚比を特定の範囲になるようよう制御し、被覆層表面に均一な凹凸を有する現像ローラを製造することを特徴としている。
【0028】
Wet膜厚とDry膜厚の膜厚比の制御は、塗布液処方、塗布塗膜の厚さ、乾燥方法等を制御することにより行うことができる。
【0029】
粗さ付与粒子を含有する塗布液の固形分濃度を高くし、塗布膜厚を薄くし、Wet膜厚とDry膜厚の膜厚比を大きくすると、粗さ付与粒子の沈降を防ぎ、且つ、Wet膜厚を薄くすることで乾燥時に塗膜中で発生する対流が小さくなり、粗さ付与粒子の偏在を防ぎ、表面凹凸の均一化を図ることができる。
【0030】
しかしながら、塗布液の固形分濃度を高くしすぎると、塗布面のレベリングがしにくくなり塗布ムラが発生しやすくなる。
【0031】
塗布液の固形分濃度を低くすると、塗布面のレベリング性がよくなり塗布性は良くなるが、液ダレ、乾燥ムラ、粗さ付与粒子の沈降が起こりやすくなり、凹凸の均一化が損なわれやすくなる。
【0032】
尚、本発明において、Wet膜厚とは塗布液を基体の外周に塗布した未乾燥状態の塗布塗膜の膜厚をいい、Dry膜厚とは塗布塗膜を乾燥して得られた被覆層の膜厚をいう。
【0033】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0034】
《現像ローラの層構成》
本発明の現像ローラの製造方法で得られる現像ローラは、基体である導電性シャフトの外周に粗さ付与粒子を有する被覆層を設けたものである。被覆層の層構成は特に限定されず単層構成でも、下層と上層の2層構成でも良い。又、基体との接着性を良好にするために必要であれば更に基体と被覆層の間に接着層を設けた層構成でも良い。
【0035】
上記2層構成のものは、例えば樹脂溶液中に粗さ付与粒子を分散して得られた塗布液を基体の外周に塗布して下層を作製し、この下層の上に樹脂溶液を塗布して下層より薄い上層を形成して得ることができる。
【0036】
下記にその例を図を用いて説明する。
【0037】
図2は、本発明に係わる現像ローラの層構成の一例を示す断面模式図である。
【0038】
図2において、25は現像ローラ、1は基体、20は被覆層、22は上層、21は下層、23は粗さ付与粒子を示す。
【0039】
図2の(a)は現像ローラの模式図を示す。(b)は基体1の外周に被覆層20が形成された単層構成の現像ローラ25を示す。(c)は基体1の外周に下層21と上層22からなる被覆層20が設けられ、下層に粗さ付与粒子23が存在している2層構成の現像ローラを示す。
【0040】
《塗布塗膜の厚さ》
塗布塗膜のwet膜厚は、5〜30μmが好ましい。尚、被覆層を下層と上層の2層構成とする場合は、粗さ付与粒子を含有する下層のwet膜厚は5〜25μm、上層のwet膜厚は2〜5μmが好ましい。
【0041】
塗布塗膜のwet膜厚を5〜30μmとすることで、均一な凹凸を有する被覆層が形成できる。
【0042】
塗布塗膜のWet膜厚は、Dry膜厚/Wet膜厚が0.2〜0.5になるように制御される。
【0043】
本発明では、塗布塗膜のWet膜厚は、塗布塗膜を形成するのに要した塗布液の量から計算で求める。被覆層のDry膜厚は、現像ロールを切断し、断面の顕微鏡写真を撮り、被覆層の粗さ付与粒子が無い部分の層厚から求める。
【0044】
尚、塗布塗膜の膜厚は、塗布液処方(例えば、固形分濃度、粘度)、塗布速度(例えば、引き上げ速度)により制御する方法が好ましい。被覆層の膜厚は、塗布塗膜の膜厚、乾燥条件等により制御する方法が好ましい。
【0045】
望ましい凹凸(例えば、表面粗さ、表面粗さの平均間隔)を有する被覆層を作製する方法としては、塗布液の表面張力、粘度、溶剤の沸点、固形分濃度、塗布量等を制御することにより、望ましい凹凸を形成することが可能である。
【0046】
《粗さ付与粒子》
粗さ付与粒子の粒径は、体積基準における平均メディアン径(D50)5〜30μmのものが好ましく、7〜20μmのものがより好ましい。又、粗さ付与粒子の形状は球形状のものが好ましい。
【0047】
粗さ付与粒子は、その体積抵抗が1×1015Ω・cm以上で、被覆層の形成に用いる塗布液に溶解せず、塗布液中に良好に分散するものが好ましい。
【0048】
粗さ付与粒子としては、無機粒子や樹脂粒子を用いることがでる。
【0049】
無機粒子の具体例としては、シリカ、チタニア、アルミナを挙げることができる。
【0050】
樹脂粒子の具体例としては架橋アクリル系樹脂粒子、ナイロン6等のポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子等が挙げられる。
【0051】
これらの中では架橋アクリル系樹脂粒子が好ましく用いられる。
【0052】
被覆層中に含有する粗さ付与粒子の量は、5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0053】
粗さ付与粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)は、「マルチサイザー3」(コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
【0054】
体積基準におけるメディアン径(D50)の測定手順としては、粗さ付与粒子0.02gを、界面活性剤溶液20ml(粗さ付与粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、粗さ付与粒子の分散液を作成する。この粗さ付与粒子の分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを30000個に設定して測定する。尚、マルチサイザー3のアパーチャー径は100μmのものを使用する。
【0055】
《トナーの搬送量》
本発明で製造した現像ローラを用いることにより、トナーを現像装置の現像領域へ好ましい量を安定して搬送することができる。
【0056】
好ましいトナーの搬送量は、装着される現像装置により左右されるが、5.5〜6.8g/m2が好ましい。
【0057】
トナーの搬送量が多いと、高濃度の画像濃度が得られるが、非画像部にかぶりが発生したりトナー飛散が発生する。逆にトナーの搬送量が少ないと、高濃度の画像濃度が得られない。
【0058】
特に、高品質のフルカラー画像形成を形成するには、トナーを現像ローラの全幅においてむらなく搬送することが要求とされる。
【0059】
トナーの搬送量にむらがあると、ハーフトーン部に濃度むらが生じ、高品質のプリント画像が得られない。
【0060】
トナー搬送量のむらは0.5g/m2以下が好ましく、0.3g/m2以下がより好ましい。
【0061】
現像ローラにより搬送されるトナーの搬送量は以下の方法で測定する。
【0062】
図3は、トナーの搬送量を測定する装置の一例を示す模式図である。
【0063】
測定手順は、
1.濾紙(T100A047A:アドバンテック社製)を装着したトナー捕集ユニットの質量(W1)を分析用天秤により測定する。
2.トナー捕集ユニットを吸引ポンプに装着する。
3.現像装置に装着した現像ローラ表面の約7cm2の領域(吸引面積)にあるトナーを吸引ポンプによって濾紙上に捕集し、トナー捕集ユニットを吸引ポンプから取り外し、トナー捕集後のトナー捕集ユニットの質量(W2)を測定する。
4.下記式によってトナーの搬送量を求める。
【0064】
トナーの搬送量(g/m2)=(W2−W1)/吸引面積
《表面粗さ》
現像ローラの表面粗さ(Ra)は、0.5〜4.0μmが好ましく、1.0〜3.0μmがより好ましい。
【0065】
又、現像ローラの表面粗さの平均間隔(RSm)は、30〜400μmが好ましく、50〜200μmがより好ましい。
【0066】
更に、現像ローラ表面の表面粗さ(Ra)は、現像ローラ表面の場所によるばらつきが少ないことが好ましい。具体的には、以下で定義したRaのばらつき(ΔRa)が0.3μm以下であることが好ましい。
【0067】
Raのばらつき(ΔRa)=5つの位置でのRaの最大値−最小値
尚、Raは、現像ローラの軸方向の中心位置と中心位置から両側に向かって50mm、100mm離れた位置の計5つの位置で測定する。
【0068】
現像ローラ表面の表面粗さの平均間隔(RSm)は、現像ローラ表面の場所によるばらつきが少ないことが好ましい。具体的には、以下で定義したRSmのばらつき(ΔRSm)が50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
【0069】
RSmのばらつき(ΔRSm)=5つの位置でのRSmの最大値−最小値
尚、Ra及びRSmは、現像ローラの軸方向の中心位置と中心位置から両側に向かって50mm、100mm離れた位置の計5つの位置で測定する。
【0070】
図4は、表面粗さ(Ra)及び表面粗さの平均間隔(RSm)の測定場所を示す模式図である。
【0071】
図4に示すように、長さ方向で5カ所の位置(A〜Eで)表面粗さ(Ra)及び表面粗さの平均間隔(RSm)を測定する。
【0072】
現像ローラの表面粗さ(Ra)とそのばらつき(ΔRa)及び表面粗さの平均間隔(RSm)とそのばらつき(ΔRSm)を上記範囲とすることによりトナーの搬送性が良好になり、白スジの発生を防止できる。
【0073】
図5は、表面粗さ(Ra)を測定した粗さ曲線の一例を示す模式図である。
【0074】
表面粗さ(Ra)は、図5に示すような粗さ曲線を測定し、数式1を用い、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均した値である。
【0075】
Ra=(1/L)∫|f(x)|dx
図6は、表面粗さの平均間隔(RSm)を測定した粗さ曲線の一例を示す模式図である。
【0076】
表面粗さの平均間隔(RSm)は、図6に示すような粗さ曲線を測定し、数式2を用い、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、1つの山及びそれに隣り合う谷に対応する平均線の長さの和を求め、平均値をミリメートル(mm)で表したものである。
【0077】
RSm=(1/n)ΣRSmi
表面粗さ(Ra)及び表面粗さの平均間隔(RSm)は、表面粗さ計「サーフコム1400D」(東京精密社製)で測定する。但し、誤差範囲内で同一の結果を生じる測定器であれば、他の測定器を用いても良い。
【0078】
測定条件
測定長さL :4.0mm
基準長さLr :0.8mm
カットオフ波長λc :0.8mm
触針先端形状 :先端角度60°円錐
触針先端半径 :2μm
測定速度 :0.3mm/sec
測定倍率 :10000倍
《現像ローラの製造》
本発明に係わる現像ローラは、基体の外周に粗さ付与粒子を含有する塗布液を塗布し、乾燥して被覆層を形成して製造することができる。
【0079】
以下、現像ローラの製造で用いる部材について説明する。
【0080】
〈基体〉
基体としては、現像ローラ表面に蓄積される電荷をリークさせる部材も兼ねるため、導電性の金属で構成される基体が好ましい。代表的なものとして、直径1〜30mmのステンレス鋼(例えばSUS303)、鉄、アルミニウム、ニッケル、アルミニウム合金、ニッケル合金等の導電性金属があり、又導電性樹脂で構成される基体を画得ることができる。
【0081】
〈塗布液〉
塗布液は、下記組成物を混合装置を用いて樹脂を溶解後、分散機を用いて粗さ付与粒子を分散させることにより調製することができる。
【0082】
組成物としては、樹脂成分、前述の粗さ付与粒子、溶剤、導電剤(電子導電剤、イオン導電剤)、非導電性充填剤等を挙げることができる。
【0083】
〈溶剤〉
溶剤としては、樹脂成分を溶解し、粗さ付与粒子を溶解しないものであれば特に限定されず公知の溶剤を用いることができる。
【0084】
具体的には、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、エステル系溶剤等が使用可能である。
【0085】
先ず、ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。又、アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
【0086】
又、エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。更に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤やジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらの有機溶剤を単独又は混合して使用することが可能である。
【0087】
〈導電剤〉
導電剤としては、電子導電剤とイオン導電剤を挙げることができる。導電剤の種類やその配合量により抵抗値を調整することができる。
【0088】
(電子導電剤)
電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫一酸化アンチモン固溶体、酸化錫一酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被膜された絶縁性物質などの微粉末を用いることができる。この内、カーボンブラックが、比較的容易に入手でき良好な帯電性が得られるので好ましく用いられる。
【0089】
カーボンブラックは、その種類には、特に制限はなく、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等の従来公知の種々のカーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックの配合量は、使用するカーボンブラックの種類によって異なるために特に限定されないが、通常、樹脂成分100質量部に対して5〜50質量部とするのが好ましく、より好ましくは10〜40質量部の範囲において、被覆層に要求される導電性及びユニバーサル硬さに応じて適宜設定される。
【0090】
カーボンブラックの配合量を50質量部以下とすると、現像ローラの導電性及びユニバーサル硬さが適切なものとなり、更に、被覆層内での分布の均一性が上がるため、導電性の均一性も向上する。一方、カーボンブラックの配合量を5質量部以上とすると、好ましいレベルの導電性を確保することができる。更に、添加したカーボンブラックを十分パーコレートすることが可能となり、導電性を安定させることができる。
【0091】
(イオン導電剤)
イオン導電剤としては、従来から無機イオン塩や有機イオン塩として公知のものが、何れも適宜に選択使用できる。具体的には、LiCl、NaI、NaBr、KI等のアルカリ金属ハライド、LiClO4、KClO4、CuC12Mg(ClO42等の過塩素酸塩、LiSCN、NaSCN、CsSCN等のチオシアン酸塩等のごとき無機イオン塩や、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加リン酸エステル塩、4級アンモニウム塩、ベタイン等の有機イオン塩を挙げることができる。これらの中で特に好ましいものとして、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。このイオン導電剤は、1種類で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0092】
イオン導電剤の配合量は、特に制限はなく各種状況に応じて適宜選定されるが、被覆層を形成する樹脂成分100質量部に対し0.001〜5質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましい。
【0093】
これにより、1×104〜1×1010Ω・cmの抵抗領域で、電気抵抗の位置偏差が少なく、且つ電気抵抗の電圧依存性が少ない上、温湿度の環境変化に対する電気抵抗の変動が少ない導電性を有する被覆層が得られる。
【0094】
尚、上記の添加剤が添加される場合には、例えば、粒子状であるものを添加するとしても本発明における粗さ付与粒子より、少なくとも2オーダー、通常3オーダー程度は粒径が小さなものを用いるのが好ましい。
【0095】
次に、基体に塗布液を塗布して被覆層を形成する方法について、浸漬(ディップ)塗布装置を例に挙げて説明する。
【0096】
図7は、浸漬塗布装置の一例を示す模式図である。
【0097】
図7において、浸漬塗布装置4は、塗布部401と基体の供給部402とを有している。塗布部401は、塗布槽401aと、塗布槽401aの開口部401a3から溢れる塗布液を受けるため塗布槽401aの上部に配設されたオーバーフロー受け槽401bと、塗布液供給タンク401cと、送液ポンプ401dとを有している。
【0098】
塗布槽401aは底部401a1と、底部の周面から立ち上げられ側壁401a2を有し、上部が開口部401a3なった構造となっている。401a4は塗布槽401aの底部401a1に設けられた送液ポンプ401dから送られてくる塗布液の塗布液供給口を示す。塗布槽401aの形状は特に限定はなく、例えば円筒状、逆円錐台が挙げられる。本図は円筒状の場合を示している。
【0099】
401b1はオーバーフロー受け槽401bの蓋を示し、中央に孔401b2を有している。401b3はオーバーフロー受け槽401bの塗布液を塗布液供給タンク401cに戻す塗布液戻し口を示す。6は塗布液を示す。401c1は撹拌用の羽根を示す。
【0100】
供給部402は、ボールネジ402aと、ボールネジ402aを回転させる駆動部402bと、ボールネジの回転速度を制御する制御部402cと、ボールネジ402aに螺合されている昇降部材402dと、ボールネジ402aの回転に伴い昇降部材402dを上下方向(図中の矢印方向)に移動させるガイド部材402eとを有している。402fは昇降部材402dに取り付けられた基体5の保持部材を示す。保持部材402fは、保持された基体5が塗布槽401aのほぼ中央に位置する様に昇降部材402dに取り付けられている。
【0101】
ボールネジ402aの回転に伴い、昇降部材402dが上下方向に移動することでし、昇降部材402dに取り付けられた保持部材402fに保持された基体5は、塗布槽401aの中の塗布液に浸漬され、その後引き上げられることで基体5の表面に塗布液が塗布される。
【0102】
基体5の引き上げる速度は、使用する塗布液の粘度により適宜変更する必要があり、例えば塗布液の粘度が10mPa・s〜250mPa・sの場合は、塗布均一性、塗布生産性等を考慮し、2mm/sec〜20mm/secが好ましい。
【0103】
送液ポンプ401dとしては、摺動部が少なく、剪断性の少ない容積式ポンプ(例えば、ベーンポンプ、ロータリーポンプ、スクリュウポンプ等が挙げられる)を使用することが好ましい。
【0104】
現像ローラは、図7に示す浸漬塗布装置を使用し、基体の表面に塗布液を塗布した後は乾燥工程(不図示)で塗膜の中の溶剤を除去し、被覆層を形成して製造することができる。尚、必要に応じ基体の両端の近傍の表面の被覆層を除去しても良い。
【0105】
〈現像装置〉
次に、本発明に係わる現像ローラが好ましく用いられる現像装置について一例を挙げて説明する。
【0106】
図8は、本発明に係る現像装置の一例を示す断面概略図である。
【0107】
図8に示す現像装置20は、現像ローラ25に隣接してバッファ室26を、バッファ室26に隣接してホッパ27等を有する。
【0108】
バッファ室26にはトナー規制部材であるブレード28が現像ローラ25に圧接させた状態で配置されている。ブレード28は、現像ローラ25上のトナーの帯電量及び付着量を規制するものである。又、現像ローラ25の回転方向に対してブレード28の下流側に、現像ローラ25上のトナー帯電量・付着量の規制を補助するための補助ブレード29を更に設けることも可能である。
【0109】
現像ローラ25には供給ローラ30が押圧されている。供給ローラ30は、図示しないモータにより現像ローラ25と同一方向(図中反時計回り方向)に回転駆動する。供給ローラ30は、導電性の基体と基体の外周に被覆層を有する。
【0110】
ホッパ27には非磁性1成分トナーであるトナーTが収容されている。又、ホッパ27にはトナーTを撹拌する回転体31が設けられている。回転体31には、フィルム状の搬送羽根が取り付けられており、回転体31の矢印方向への回転によりトナーTを搬送する。搬送羽根により搬送されたトナーTは、ホッパ27とバッファ室26を隔てる隔壁に設けられた通路32を介してバッファ室26に供給される。尚、搬送羽根の形状は、回転体31の回転に伴い羽根の回転方向前方でトナーTを搬送しながら撓むとともに、通路32の左側端部に到達すると真っ直ぐの状態に戻るようになっている。このように羽根はその形状を湾曲状態を経て真っ直ぐに戻るようにすることでトナーTを通路32に供給している。
【0111】
又、通路32には通路32を閉鎖する弁321が設けられている。この弁はフィルム状の部材で、一端が隔壁の通路32右側面上側に固定され、トナーTがホッパ27から通路32に供給されると、トナーTからの押圧力により右側に押されて通路32を開けるようになっている。その結果、バッファ室26内にトナーTが供給される。
【0112】
又、弁321の他端には規制部材322が取り付けられている。規制部材322と供給ローラ30は、弁321が通路32を閉鎖した状態でも僅かな隙間を形成する様に配置される。規制部材322は、バッファ室26の底部に溜まるトナー量が過度にならないように調整するもので、現像ローラ25から供給ローラ30に回収されたトナーTがバッファ室26の底部に多量に落下しないように調整される。
【0113】
現像装置20では、画像形成時に現像ローラ25が矢印方向に回転駆動するとともに供給ローラ30の回転によりバッファ室26のトナーが現像ローラ25上に供給される。現像ローラ25上に供給されたトナーTは、ブレード28、補助ブレード29により帯電、薄層化された後、感光体との対向領域に搬送され、感光体上の静電潜像の現像に供される。現像に使用されなかったトナーは、現像ローラ25の回転に伴って除電ブレード24により除電され、現像ローラとトナーの静電的な付着力を低減させた後、供給ローラ30により現像ローラ25から掻き取られ回収される。
【0114】
〈画像形成装置〉
次に、本発明に用いられる画像形成装置の一例として、フルカラー画像形成装置について説明する。
【0115】
図9は、フルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【0116】
図9に示すフルカラー画像形成装置においては、回転駆動される感光体ドラム10の周囲に、この感光体ドラム10の表面を所定の電位に均一に帯電させる帯電ブラシ111や、この感光体ドラム10上に残留したトナーを掻き落すクリーナ112が設けられている。
【0117】
又、帯電ブラシ111によって帯電された感光体ドラム10をレーザビームによって走査露光するレーザ走査光学系20が設けられており、このレーザ走査光学系20はレーザダイオード,ポリゴンミラー,fθ光学素子を内蔵した周知のものであり、その制御部にはイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送されるようになっている。そして、このレーザ走査光学系20は、上記の各色毎の印字データに基づいて、順次レーザビームとして出力し、感光体ドラム10上を走査露光し、これにより感光体ドラム10上に各色毎の静電潜像を順次形成するようになっている。
【0118】
又、このように静電潜像が形成された感光体ドラム10に各色のトナーを供給してフルカラーの現像を行うフルカラー現像装置30は、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各非磁性1成分トナーを収容させた4つの色別の現像器31Y、31M、31C、31Bkが設けられており、支軸33を中心として回転し、各現像器31Y、31M、31C、31Bkが感光体ドラム10と対向する位置に導かれるようになっている。
【0119】
又、このフルカラー現像装置30における各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおいては、上記7に示すように、回転してトナーを搬送する現像ローラ25の外周面にトナー規制部材が圧接されており、このトナー規制部材により、現像ローラ25によって搬送されるトナーの量を規制すると共に、搬送されるトナーを帯電させるようになっている。尚、このフルカラー現像装置30においては、現像ローラ25によって搬送されるトナーの規制と帯電とを適切に行うために、トナー規制部材を2つ設けるようにしても良い。
【0120】
そして、上記のようにレーザ走査光学系20によって感光体ドラム10上に各色の静電潜像が形成される毎に、上記のように支軸33を中心にして、このフルカラー現像装置30を回転させ、対応する色彩のトナーが収容された現像器31Y、31M、31C、31Bkを感光体ドラム10と対向する位置に順々に導き、各現像器31Y、31M、31C、31Bkにおける現像ローラ25を感光体ドラム10に接触させて、上記のように各色の静電潜像が順々に形成された感光体ドラム10上に、帯電された各色のトナーを順々に供給して現像を行うようになっている。
【0121】
又、このフルカラー現像装置30より感光体ドラム10の回転方向下流側の位置には、中間転写体40として、回転駆動される無端状の中間転写ベルト40が設けられており、この中間転写ベルト40は感光体ドラム10と同期して回転駆動されるようになっている。そして、この中間転写ベルト40は回転可能な1次転写ローラ41により押圧されて感光体ドラム10に接触するようになっており、又この中間転写ベルト40を支持する支持ローラ42の部分には、2次転写ローラ43が回転可能に設けられ、この2次転写ローラ43によって記録紙等の転写材Sが中間転写ベルト40に押圧されるようになっている。
【0122】
更に、前記のフルカラー現像装置30とこの中間転写ベルト40との間のスペースには、中間転写ベルト40上に残留したトナーを掻き取るクリーナ50が中間転写ベルト40に対して接離可能に設けられている。
【0123】
又、普通紙等の転写材Sを中間転写ベルト40に導く給紙手段60は、転写材Sを収容させる給紙トレイ61と、この給紙トレイ61に収容された転写材Sを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62と、上記の中間転写ベルト40上に形成された画像と同期して給紙された転写材Sを中間転写ベルト40と上記の2次転写ローラ43との間に送るタイミングローラ63とで構成されており、このようにして中間転写ベルト40と2次転写ローラ43との間に送られた転写材Sを2次転写ローラ43によって中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40からトナー像を転写材Sへ押圧転写させるようになっている。
【0124】
一方、上記のようにトナー像が押圧転写された転写材Sは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置70に導かれるようになっており、この定着装置70において転写されたトナー像が転写材S上に定着され、その後、この転写材Sが垂直搬送路80を通して装置本体100の上面に排出されるようになっている。
【0125】
次に、このフルカラー画像形成装置を用いてフルカラーの画像形成を行う動作について具体的に説明する。
【0126】
先ず、感光体ドラム10と中間転写ベルト40とを同じ周速度でそれぞれの方向に回転駆動させ、感光体ドラム10を帯電ブラシ11によって所定の電位に帯電させる。
【0127】
そして、このように帯電された感光体ドラム10に対して、上記のレーザ走査光学系20によりイエロー画像の露光を行い、感光体ドラム10上にイエロー画像の静電潜像を形成した後、この感光体ドラム10にイエロートナーを収容させた現像器31Yから前記のようにトナー規制部材によって荷電されたイエロートナーを供給してイエロー画像を現像し、このようにイエローのトナー像が形成された感光体ドラム10に対して中間転写ベルト40を1次転写ローラ41によって押圧させ、感光体ドラム10に形成されたイエローのトナー像を中間転写ベルト40に1次転写させる。
【0128】
このようにしてイエローのトナー像を中間転写ベルト40に転写させた後は、前記のようにフルカラー現像装置30を支軸33を中心にして回転させ、マゼンタトナーが収容された現像器31Mを感光体ドラム10と対向する位置に導き、上記のイエロー画像の場合と同様に、レーザ走査光学系20により帯電された感光体ドラム10に対してマゼンタ画像を露光して静電潜像を形成し、この静電潜像をマゼンタトナーが収容された現像器31Mによって現像し、現像されたマゼンタのトナー像を感光体ドラム10から中間転写ベルト40に1次転写させ、更に同様にして、シアン画像及びブラック画像の露光,現像及び1次転写を順々に行って、中間転写ベルト40上にイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像を順々に重ねてフルカラーのトナー像を形成する。
【0129】
そして、中間転写ベルト40上に最終のブラックのトナー像が1次転写されると、転写材Sをタイミングローラ63により2次転写ローラ43と中間転写ベルト40との間に送り、2次転写ローラ43により転写材Sを中間転写ベルト40に押圧させて、中間転写ベルト40上に形成されたフルカラーのトナー像を転写材S上に2次転写させる。
【0130】
そして、このようにフルカラーのトナー像が転写材S上に2次転写されると、この転写材Sを上記の搬送手段66により定着装置70に導き、この定着装置70によって転写されたフルカラーのトナー像を転写材S上に定着させ、その後、この転写材Sを垂直搬送路80を通して装置本体1の上面に排出させるようになっている。
【実施例】
【0131】
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0132】
〈現像ローラの製造〉
以下の手順で現像ローラを製造した。
【0133】
《基体の準備》
現像ローラの基体として、SUS303の中空筒状の導電性シャフトを準備した。これを「基体1」とする。
【0134】
《粗さ付与粒子の準備》
体積基準におけるメディアン径(D50)が17μmの球状の硬化アクリル樹脂粒子を粗さ付与粒子として準備した。これを「粗さ付与粒子1」とする。
【0135】
《現像ローラ1の製造》
下記組成物を、サンドミルを用いて2時間分散して、固形分濃度が22質量%の塗布液を調製した。これを「塗布液1」とする。この塗布液の粘度は、50mPaであった。
【0136】
メチルエチルケトン 500質量部
ウレタン樹脂「ニッポラン5199」(日本ポリウレタン社製)100質量部
「ケッチェンブラックEC300J」(ライオン社製) 20質量部
トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート 0.001質量部
「粗さ付与粒子1」 20質量部
尚、粘度は、「B型粘度計(ローター:1型、回転数:60rpm、液温:25℃)(東京計器社製)」を用いて測定した値である。
【0137】
上記で調製した「塗布液1」を、「基体1」の外周に、図7に記載の浸漬塗布装置を用いてWet膜厚が26μmになるよう塗布して塗布塗膜を形成した。その後、120℃で1時間乾燥を行い被覆層を形成し「現像ローラ1」を製造した。尚、被覆層の膜厚は5.2μmであった。
【0138】
《現像ローラ2〜9》
現像ローラ1の製造において、塗布液を製造するときの溶剤量、塗布引き上げ速度を表1のように変更して固形分濃度、膜厚を変えた以外は同様にして、「現像ローラ2〜9」を製造した。
【0139】
《現像ローラ10》
現像ローラ1の製造において、「粗さ付与粒子1」を添加しなかった以外は同様にして「現像ローラ10」を製造した。
【0140】
表1に、現像ローラの製造に用いた塗布液の各特性、塗布速度、Wet膜厚、Dry膜厚、Wet膜厚/Dry膜厚の膜厚比(Wet/Dry比)を示す。尚、各膜厚は前記の方法で測定した。
【0141】
【表1】

【0142】
《評価》
〈表面粗さ〉
表面粗さの各特性は、前記の方法で測定した。
【0143】
〈トナー搬送量〉
トナーの搬送量は、前記の方法で測定した。
【0144】
〈実写評価〉
現像ローラの実写評価は、画像形成装置としてカラーレーザプリンター「Magicolor2430DL(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」を準備し、該画像形成装置の現像装置に上記で製造した現像ローラを順次装着し、常温常湿(20℃ 50%RH)環境下でプリントし、得られたプリント画像で行った。尚、評価は◎と○を合格とする。
【0145】
(画像濃度)
画像濃度は、プリント画像のベタ部の濃度を反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて12点測定し、その平均値を画像濃度として評価した。
【0146】
評価基準
◎:画像濃度が1.4以上で良好
○:画像濃度が1.2以上、1.4未満で実用上問題なし。
【0147】
×:画像濃度が1.2未満で実用上問題有り。
【0148】
(白スジ)
被覆層の凹凸に起因するプリント画像上の白スジを目視にて評価した。
【0149】
評価基準
◎:被覆層の凹凸に起因する白スジの発生無し
○:被覆層の凹凸に起因する白スジの発生は見られたが、実用上問題ないレベル
×:被覆層の凹凸に起因する白スジの発生が見られ実用上問題有り。
【0150】
表2に、評価結果を示す。
【0151】
【表2】

【0152】
表2に示すように、本発明に該当する実施例1〜6の「現像ローラ1〜6」は全ての評価結果が良好であったのに対し、本発明外の比較例1〜3の「現像ローラ7〜9」は何れかの評価結果に問題が見られ、本発明の効果が発現されないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】塗布直後の塗布塗膜が、乾燥により溶剤が除去され、被覆層が形成される様子を示す模式図である。
【図2】本発明に係わる現像ローラの層構成の一例を示す断面模式図である。
【図3】トナーの搬送量を測定する装置の一例を示す模式図である。
【図4】表面粗さ(Ra)及び表面粗さの平均間隔(RSm)の測定場所を示す模式図である。
【図5】表面粗さ(Ra)を測定した粗さ曲線の一例を示す模式図である。
【図6】表面粗さの平均間隔(RSm)を測定した粗さ曲線の一例を示す模式図である。
【図7】浸漬塗布装置の一例を示す模式図である。
【図8】本発明に係る現像装置の一例を示す断面概略図である。
【図9】フルカラー画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0154】
a Wet膜厚
b Dry膜厚
1 基体
10 塗布塗膜
20 被覆層
23 粗さ付与粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の外周に粗さ付与粒子を含有する塗布液を塗布して被覆層を形成する工程を有する電子写真用現像ローラの製造方法において、
該塗布液を基体の外周に塗布して被覆層を形成するとき、
塗布直後のWet膜厚と乾燥後のDry膜厚との膜厚比(Dry膜厚/Wet膜厚)が0.2〜0.5であることを特徴とする電子写真用現像ローラの製造方法。
【請求項2】
前記塗布直後のWet膜厚が、15〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用現像ローラの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子写真用現像ローラの製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真用現像ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−58865(P2009−58865A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227471(P2007−227471)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】