説明

電子印鑑認証会計監査システム

【課題】会計監査の工数が削減でき、監査が正確に効率よく行えるシステムを提供する。
【解決手段】タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータに接続された電子印鑑認証サーバとを有し、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記電子印鑑認証サーバは、前記クライアントコンピュータ側のタブレット上で用いる電子印鑑の印影情報を電子印鑑ID情報と関連付けて登録する電子印鑑登録管理部と、クライアントコンピュータを用いる利用者に関する情報、該利用者が利用する電子押印文書に関する情報、電子押印文書の承認フローに関する情報を管理するデータベース部と、前記利用者が、タブレット上で電子印鑑を押印する押印イベントが生じて、その情報が電子印鑑認証サーバ側に送られた際に、その正当性を判断した上で受付ける電子印鑑認証部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子印鑑の印影のみならず、押印権限や押印履歴をも認証及び管理して会計監査を支援するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
会計監査が適切に行われているか否かは、投資家及びその関係者にとって重要な意味を持つものである。そのために、会計監査を適切に行う資格として公認会計士制度ができている。すなわち、事業に投資を必要とする起業家や企業責任者の立場からは、自己の会計処理が一般に認められた基準に従って実務処理が行われ、それを公平にかつ適切に行われていることを判断し証明してくれる資格者として公認会計士の価値がある。
しかし、現実の監査業務では経験ある公認会計士が必ずしもコンピュータの専門化であるとは言えないために、システム化が監査の立場からどこまで許容できるものなのかについて明確な回答を与えることができていない。たとえば、ID及びパスワードで本人を認証する場合を考えると、責任の大きい人ほどコンピュータについては不慣れであり、秘書や部下などの他人が代行して入力する場合が考えられる。又、コンピュータのブラウザなどにID及びパスワードを記憶させて運用している例もある。IDパスワードを記入したメモを見えやすいように貼り付けていることもある。定期的にパスワードを変更することも考えられるが、その場合には更に覚えづらく又混乱のもとになりやすい。また、意図的に第3者にパスワードを盗まれても、盗まれた本人がその事実になかなか気づかない重大な事故が起こったことが判明して初めて気がつくという事態が考えられる。そのような運用がされていると知りながら監査人の立場でそのシステムを容認することはできない。その場合に監査人としては、「内部統制がルール通りに行われているとすれば」という条件付の監査証明書を発行せざるを得ず、そのような条件付監査証明書がどれほどの役に立つかは大きな疑問が生じる。
また、経理部長が銀行交渉に出かけていく場合、業務はどうなるか?業務が止まり、帰社後に業務が再開する企業ならば規律がしっかりしている例である。経理部長が留守の間、課長が代行して部長印を押すような企業では内部統制が取れていないといえる。経理部長が出張の場合はどうであろうか?代行者は当然決められるであろうが、権限を委譲できる範囲は限界があり、それを超える状況も現実のビジネスでは発生しうる。すなわち、承認者が不在の場合、決済を停滞させると会社として効率的な運用ができないし、代理者が決済すると監査する立場から見て必ずしも好ましいとはいえない事態が生じ得る。このように、コンピュータ化による運営上の効率化ができたとしても、会社を監査する側から決済運用を見た場合、会社で決めたルールに従って運用しているとは言いがたく、適性かつ正確な監査証明書を出すことができないことがある。
【0003】
特許文献1には、ワークフローシステムにおいて、紙葉での処理と同様に任意位置への押印を可能とし、押印の有無により文書の送付先を決定するシステムが開示されている。しかし、電子印鑑を用いるものでもないし、認証するものでもない。
特許文献2には、1つのフロー定義を複数の業務で利用するワークフロー管理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−241355号公報
【特許文献2】特開2000−222500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者は、従来のワークフローである押印作業を取り入れた電子印鑑認証を中心とする会計監査システムを構築すれば、本来の組織内の内部統制を考える立場にある会計士にとっても歓迎できるものになると考えた。本発明が解決しようとする課題は、電子印鑑の印影のみならず、押印権限や押印履歴をも認証及び管理する会計監査システムを提供することにある。さらにいえば、電子印鑑で押印・認証ができる押印欄(ワークフローの設定ができる)を作成し、既存電子文書に貼り付けるだけで押印文書が出来上がり、電子印鑑による認証と押印ができるシステムであって、会計監査の工数が削減でき、監査が正確に効率よく行えるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
解決手段は2つある。第1に電子印鑑を用いることである。第2に伝票フローが業務規定に従ってしか行えないルールを設定することである。
【0007】
電子印鑑はIDを記録するチップを内蔵するものであって、パスワードなどを本人が記憶していなくてもその本人を確認できる。又、同じものは1個しか作られないから同時に異なる2箇所で用いられる可能性もなく、盗難や紛失の際にもその事実に気づいて届け出ることがしやすい。
伝票フローが業務規定に従ってしか行えないルールとは、代行者によらずに押印すべき者が自身で押印する原則を外出中であろうと出張中であろうと休暇中であろうと一定の機材を持ち運ぶことによって徹底して守ることをいう。
【0008】
本発明に係る電子印鑑認証会計監査システムは、通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記電子印鑑認証サーバは、前記クライアントコンピュータ側の前記タブレット上で用いる前記電子印鑑の前記押印面にて紙への押印をした印影の画像情報である印影情報を前記ICチップに記録されたID番号情報である電子印鑑ID情報と関連付けて登録する電子印鑑登録管理部と、クライアントコンピュータを用いる利用者に関する情報、該利用者が利用する電子押印文書に関する情報、電子押印文書の承認フローに関する情報を管理するデータベース部と、前記利用者が、クライアントコンピュータ側のタブレット上で電子印鑑を押印する押印イベントが生じて、前記電子印鑑の前記ID番号情報がコンピュータネットワークを介して電子印鑑認証サーバ側に送られた際に、その正当性を判断した上で受付けて、電子印鑑の認証が肯定的に行われた場合に、クライアントコンピュータに向けて、当該電子印鑑の印影情報を送る電子印鑑認証部とを有し、前記クライアントコンピュータは、前記電子印鑑認証部から送られた印影情報に基づいて、印影を表示する印影表示部を有するものである。
【0009】
また、通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記電子印鑑認証サーバは、あらかじめ利用者の電子印鑑ID、印影情報、利用者に関する情報、承認フローに関する情報を登録する印鑑登録手段と、クライアントコンピュータからの要求に応じて、公開鍵の情報を含む初期情報を引き渡す初期情報引渡し手段と、押印イベントを受け取った際に、電子認証サーバ側のデータベースの情報と照らし合わせて、押印の正当性を判断する電子押印認証手段と、該電子押印認証手段にて押印が正当であると判断した際に、当該電子印鑑の印影情報をクライアントコンピュータ側に送る印影情報送付手段とを有し、前記クライアントコンピュータは、電子印鑑認証サーバへ要求をして、前記公開鍵の情報を含む初期情報を受け取る初期情報取得手段と、クライアントコンピュータ側に接続されたタブレット上で電子印鑑が押されて押印イベントが生じた際に、電子印鑑IDを前記公開鍵で暗号化して電子印鑑認証サーバに送る押印イベント通知手段と、前記印影情報送付手段により送られた情報に基づいて、電子押印文書の押印欄に印影を表示する印影表示手段とを有するものとすることができる。
【0010】
さらにまた、通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記クライアントコンピュータは、該クライアントコンピュータに組み込まれて動作し、前記電子印鑑による押印のための文書である押印文書を作成する押印文書作成手段を有し、該押印文書作成手段は、押印文書の押印枠を含む図形又はテキストを作成し又は編集してそれらを含むテンプレートを作成するテンプレート作成手段と、既存の文書作成装置により作成された既存の電子文書の印刷出力を該押印文書作成手段に取り込み可能な形式に出力する既存電子文書擬似印刷手段と、該既存電子文書擬似印刷手段により出力された既存電子文書の出力を、前記テンプレートと合体させる文書合体手段とを有し、前記テンプレート作成手段が作成する押印枠は、その属性として、押印すべき複数の利用者がどの順序で押印手続をするかに関する承認順位の情報をもつものとすることができる。
【0011】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記クライアントコンピュータは、該クライアントコンピュータに組み込まれて動作し、前記電子印鑑による押印のための文書である押印文書を作成する押印文書作成手段を有し、該押印文書作成手段は、押印文書の押印枠を含む図形又はテキストを作成し又は編集してそれらを含むテンプレートを作成するテンプレート作成手段と、既存の文書作成装置により作成された既存の電子文書の印刷出力を該押印文書作成手段に取り込み可能な形式に出力する既存電子文書擬似印刷手段と、該既存電子文書擬似印刷手段により出力された既存電子文書の出力を、前記テンプレートと合体させる文書合体手段とを有し、前記テンプレート作成手段が作成する押印枠は、その属性として、押印すべき複数の利用者がどの順序で押印手続をするかに関する承認順位の情報、及び複数の押印者を利用者の組織にしたがって複数のグループ別とした承認ルートグループに関する情報をもつものとすることができる。
【0012】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記クライアントコンピュータは、該クライアントコンピュータに組み込まれて動作し、前記電子印鑑による押印のための文書である押印文書を作成する押印文書作成手段を有し、該押印文書作成手段は、押印文書の押印枠を含む図形又はテキストを作成し又は編集してそれらを含むテンプレートを作成するテンプレート作成手段と、既存の文書作成装置により作成された既存の電子文書の印刷出力を該押印文書作成手段に取り込み可能な形式に出力する既存電子文書擬似印刷手段と、該既存電子文書擬似印刷手段により出力された既存電子文書の出力を、前記テンプレートと合体させる文書合体手段とを有し、前記テンプレート作成手段が作成する押印枠は、その属性として、押印すべき複数の利用者がどの順序で押印手続をするかに関する承認順位の情報、複数の押印者を利用者の組織にしたがって複数のグループ別とした承認ルートグループに関する情報、及びこの押印文書が最終押印者の承認を得るまでどのくらいの期間を有するかを予測した上で設定される数値であって、それを過ぎればこの文書に押印しようとしても押印できなくなる有効期間に関する情報をもつものとすることができる。
【0013】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと、電子押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバにより管理される電子押印文書は、押印枠を有するテンプレートと既存の電子文書とを合体させたものであり、該押印枠は承認順位に関する情報をその属性として有しており、前記文書管理サーバは、押印枠が属性として有する承認順位に関する情報に従い、承認すべきユーザに対して、押印手続を促すものとすることができる。
【0014】
前記電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバは、誰がいつどの文書に押印したかに関する押印履歴情報を管理する押印履歴情報管理部を有するものとすることができる。
【0015】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと電子押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバにより管理される電子押印文書は、前記クライアントコンピュータに組み込まれて機能する押印文書作成手段により作成され、該押印文書作成手段は、空の情報を有するテンプレートに名前をつけて保存する空テンプレート保存手段と、既存の電子文書のサンプルイメージを擬似印刷手段により出力するサンプルイメージ印刷手段と、該サンプルイメージ出力手段により出力された既存の電子文書のサンプルイメージを、前記空テンプレート保存手段により保存されたテンプレートと合体させる空押印文書作成手段と、該空押印文書作成手段にて合体させた空押印文書を参照しつつ、前記空テンプレートに対して、押印枠を含む図形要素を作成し、保存するテンプレート完成手段と、電子文書の作成を欲する元の文書を読み込み擬似的に印刷出力する元文書印刷手段と、該元文書印刷手段にて出力された既存の電子文書を前記完成させたテンプレートと合体させる押印文書合体手段とを有し、押印文書の改ざんを許さないものとすることができる。
【0016】
前記電子印鑑認証会計監査システムであって、前記押印文書作成手段を構成する前記テンプレート完成手段にて作成する押印枠は、押印する位置を特定するのみならず、その属性として承認順位に関する情報を有するものとすることができる。
【0017】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと電子押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバは、前記電子押印文書の有する承認順位に関する情報に従って、当該電子押印文書を押印すべき利用者に対して押印手続を促す押印手続促進手段と、該押印手続促進部が押印手続を促したことに基づいて、当該押印すべき利用者が押印手続をした旨の情報を取得する押印履歴情報取得手段と、該押印履歴情報取得手段が取得した押印履歴情報を、利用者の求めに応じて提供する押印履歴情報提供手段とを有するものとすることができる。
【0018】
前記電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバは、押印すべきすべての利用者が押印を完了した際に、当該電子押印文書を作成した作成者に通知を送る押印完了通知手段をさらに有するものとすることができる。
【0019】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと電子押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバは、前記電子押印文書の有する承認順位に関する情報に従って、当該電子押印文書を押印すべき利用者に対して押印手続を促す押印手続促進手段と、該押印手続促進部が押印手続を促したことに基づいて、当該押印すべき利用者が押印手続をした旨の情報を取得する押印履歴情報取得手段と、該押印履歴情報取得手段が取得した押印履歴情報に基づいて、他の押印すべき利用者に既に配布した当該電子押印文書を書き換える電子押印文書書換え手段とを有するものとすることができる。
【0020】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと電子押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバは、前記電子押印文書の有する承認順位に関する情報に従って、当該電子押印文書を押印すべき利用者に対して押印手続を促す押印手続促進手段と、該押印手続促進部が押印手続を促したことに基づいて、当該押印すべき利用者が押印手続をした旨の情報を取得する押印履歴情報取得手段と、該押印履歴情報取得手段が取得した押印履歴情報に基づいて、押印者の押印完了をイベントとして、ワークフローに基づく次の押印者へ当該押印文書を電子メールに添付して配信する電子押印文書配信手段とを有するものとすることができる。
【0021】
通常の印鑑と同様の形状を有し、ID番号を記録したICチップと座標指示装置とが組み込まれ、先端には朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面が設けられ、側面には押印イベントを発生させる押印ボタンを備えた電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取る機能と該電子印鑑に埋め込まれた前記ICチップ内の情報を読み込む機能と該電子印鑑の側面に備えられた前記押印ボタンのクリックイベントを取得する機能とを備えたタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと電子押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、不正の疑いの生じた場合に、押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックすることにより、会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築を支援し、ひいては投資家のために透明度の高い会社経営・会計監査を支援するとともに、組織内会計処理の内部統制の正当性を監査証明することを支援する電子印鑑認証会計監査システムであって、前記文書管理サーバは、前記電子押印文書の有する承認順位に関する情報に従って、当該電子押印文書を押印すべき利用者に対して押印手続を促す押印手続促進手段と、該押印手続促進部が押印手続を促したことに基づいて、当該押印すべき利用者が押印手続をした旨の情報を取得する押印履歴情報取得手段と、該押印履歴情報取得手段が取得した押印履歴情報を、利用者の求めに応じて提供する押印履歴情報提供手段とを有し、会計監査の必要がある際に、上位者によるチェックが可能であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上により構成されているから、電子印鑑を織り込んだシステムが会計監査に起こりうる疑問点に対する有効な解決策をもたらしている。一部の役員が横暴やごり押しをする可能性や権限越えの承認など従業員による不正を減らして内部統制の行き届いた会社組織を構築するのに電子印鑑の果たす役割は大きい。押印履歴情報に関して個々の認証者を取り出してチェックできるシステムとなるため、不正の疑いの生じた場合にチェックすることが容易である。コンピュータに強いシステム管理者などによる統制ではなく会計監査に明るく経験豊富な上位者による統制が利きやすい組織の構築が可能となる。ひいては、当該企業に投資しようとする投資家のために透明度の高い会社経営、会計監査を支援するシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】管理者権限で電子印鑑認証システムにログインする際のログイン画面である。
【図2】電子印鑑認証システムのメニュー画面である。
【図3】ユーザマスタの画面である。
【図4】印影登録処理の画面である。
【図5】アプリケーションマスタの画面である。
【図6】電子印鑑認証サーバとクライアントパソコンとの基本プロトコルを示す図である。
【図7】電子印鑑認証システムのハードウェア構成を示す図である。
【図8】電子印鑑認証サーバのハードウェア構成を示す図である。
【図9】電子印鑑50を詳細に説明した図である。
【図10】クライアントパソコンが電子印鑑認証サーバとの協働により電子印鑑によるログイン処理を実行する際のフローを示す図である。
【図11】クライアントパソコンが電子印鑑認証サーバとの協働により電子印鑑による押印処理を実行する際のフローを示す図である。
【図12】認証サーバ管理権限を与えられた管理者がログインする処理を示す図である。
【図13】クライアントパソコンと、電子印鑑認証サーバとの協働により、印影登録処理を実行するフローチャートである。
【図14】クライアントパソコンがコンピュータネットワーク(インターネット又はイントラネット)を介して、電子印鑑認証サーバ及び文書管理サーバと協働する様子を示した図である。
【図15】押印文書作成手段の有する3つの機能を表示した機能ブロック図である。
【図16】文書管理サーバの有する4つの機能を表示した機能ブロック図である。
【図17】クライアントパソコンにおいて押印処理を実行する際のフローチャートである。
【図18】サーバとクライアントパソコンとの間をインターネットまたはLANで結ぶ様子を示した図である。
【図19】クライアントパソコンで押印文書を作成する際のログイン画面である。
【図20】押印文書の初期設定のうち基本設定をする画面を示している図である。
【図21】押印文書の初期設定のうち、サーバー設定の画面を示した図である。
【図22】押印文書に文書番号が付される様子を示した図である。
【図23】押印文書に押印すべき者が係長、課長、部長の3人である場合、3人がそれぞれ印鑑を押す際にサーバとのやりとりを行って押印権限を、電子印鑑認証サーバにおいて照合し押印文書中の押印履歴情報を書き換えて文書管理サーバに保存することを示す図である。
【図24】押印すべき押印者がクライアントパソコンを用いて押印手続を行おうとする際の文書管理サーバ及び電子印鑑認証サーバとのやり取りを示す図である。
【図25】クライアントパソコンを用いて押印しようとする者がアプリケーションの内容に変更を加えようとする場合のフローチャートである。
【図26】押印文書閲覧手段を用いて押印者がまさに押印した場合のフローチャートである。
【図27】押印文書閲覧手段の初期設定を示す図である。
【図28】押印文書作成手段において押印文書のテンプレートの初期設定を行う場合にテンプレートとして3ページで構成されるものを作成し、3枚目以降を繰り返しを指定して普通伝票の設定を用いるケースを示した説明図である。
【図29】納品先、品名、数量、金額などが入力された1ページだけで構成される文書を元に請求書、納品書、受領書で構成される3枚綴りの請求納品書を作成する場合に複写伝票を選択して3枚複写を指定する場合を説明する図である。
【図30】設計図などの元になる文書にカバーページを付ける場合を説明する図である。
【図31】押印文書作成手段60を起動してテンプレートを作成しようとする際に表示される初期画面である。
【図32】テンプレートを元になる文書と合体させないで単独で保存する場合の保存画面である。
【図33】電子押印文書を作る際に元になる文書を作成したプログラムにおいて印刷メニューを選択しプリンタとして現実のプリンタではなく仮想的に作られた擬似プリンタに出力する操作を示す画面である。
【図34】擬似プリンタのプロパティの設定画面である。
【図35】テンプレートの選択画面である。
【図36】パスワードの入力画面である。
【図37】bwbファイルの保存画面である。
【図38】「請求納品書サンプルイメージ」という名前の押印文書を押印文書作成手段で開いた画面である。
【図39】押印文書作成手段がテンプレートファイルを開く画面である。
【図40】テンプレートファイルを開いた状態で更にさきほど作った「請求納品書サンプルイメージ」というbwbファイルを開く画面である。
【図41】テンプレートファイルを開いた状態で更にbwbファイルを開いて重ね合わせて表示した図である。
【図42】サンプルイメージを参照しつつ前述の図形作成手段やテキスト作成手段を用いてテンプレートを編集する様子を示した図である。
【図43】押印枠を作成する様子を示した図である。
【図44】テンプレートファイルのファイル情報の表示画面である。
【図45】完成させたテンプレートファイルのプレビュー表示画面である。
【図46】押印文書作成手段の有する印鑑メニューを説明する図である。
【図47】押印枠の設定画面である。
【図48】印鑑タブの設定画面である。
【図49】印鑑ダイアログボックスの印鑑タブでのワークフローの指定をする部分図である。
【図50】複数の押印者の誰から押印してもよく押印順序を指定しない場合の承認ルートグループ及び承認順位を示す図である。
【図51】複数の押印者間で押印順序を指定する場合の承認ルートグループ及び承認順位を示す図である。
【図52】複数の承認ルートを設ける場合の押印枠を示す図である。
【図53】複数の承認ルートを設ける場合の承認ルートグループ及び承認順位を示す図である。
【図54】押印枠を一旦作成した後にその大きさの変更をする予想を示した図である。
【図55】レイアウトの調整の画面である。
【図56】図形の属性を変更するためのプロパティ画面である。
【図57】新たな押印文書の作成をするために元となる文書を表計算ソフトにより作成した画面である。
【図58】表計算ソフトの印刷メニュー画面である。
【図59】擬似プリンタのプロパティ画面である。
【図60】テンプレート選択画面である。
【図61】パスワード入力画面である。
【図62】電子押印文書の保存画面である。
【図63】出来上がった電子押印文書の押印欄を示す図である。
【図64】bwbファイルのアイコンを示す図である。
【図65】係長が押印手続きをした後の押印欄を示す図である。
【図66】押印文書作成手段60の機能ブロック図である。
【図67】押印文書表示手段820の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態を説明する。図7は、本発明の電子印鑑認証システムのハードウェア構成を示す図である。クライアント側の構成は、電子印鑑50とタブレット40とパソコン30とからなる。電子印鑑50には、チップICと座標指示装置とが組み込まれている。チップICには、その電子印鑑50のID番号が記録されている。タブレット40は、電子印鑑50の位置を読み取るための装置であり、USBケーブルにてパソコン30と繋がっており、電子印鑑50の位置及びID番号をパソコン30に通知するとともに押印のイベント(タブレット40の上で電子印鑑50が押されたという情報)を通知することができるものである。電子印鑑50をより詳細に説明したのが図9である。電子印鑑50の内部にはタブレット40とやりとりするのに必要な回路が含まれており、特に内蔵ICチップ51には個々の電子印鑑を識別可能なID番号が組み込まれている。このID番号は印鑑ごとに固有なデータであり同じものは存在しない。押印ボタン52は押印時にクリックするのに用いられる。押印面53は現実の紙の上に押印することも可能なものであり、名前が刻印されている。朱肉を付けて押印するか、インク内蔵タイプのものとするかは選択可能である。
パソコン30で取得した電子印鑑50のID番号、そして押印のイベントをインターネット90を介して、電子印鑑認証サーバ10に送る。電子印鑑認証サーバ10は、データベース部100、サーバ設定管理部170、電子印鑑登録管理部180及び電子印鑑認証部190とを有している。図8は、電子印鑑認証サーバのハードウェア構成を示す図である。データベース部100はユーザマスタ110、アプリケーションマスタ120及びエクセル入出力部(図示は省略する。なお「エクセル」は米国マイクロソフト社の商標。)を含む。ユーザマスタ110はこのシステムを使用する者の会社名、部署、名前、役職、電話、メールアドレス、有効期限、パスワード(使う場合のみ)などのマスタ情報を登録する部分である。アプリケーションマスタ120は押印権限やワークフローに関する情報、回覧順に関する情報などを登録する部分である。ここで「ワークフロー」とは、稟議書や押印申請書などをその組織内の決められた手続に従って回覧、押印する流れのことをいう。エクセル入出力部はクライアントコンピュータとの間の入出力インターフェイスを司る部分である。
【0025】
サーバ設定管理部170はサーバにアクセスする権限を有する者のみがアクセスし設定することができる部分である。この電子印鑑認証サーバを複数の会社で共用する場合もあるので階層的に管理者を特定してサーバの設定やデータベースのアクセス許可権限レベルを設定する。電子印鑑認証サーバ10へのログインも電子印鑑を用いて行うことができる。電子印鑑登録管理部180は電子印鑑ID番号と印影情報を登録して管理する部分である。電子印鑑認証部190は電子印鑑認証サーバ10が受信した電子印鑑ID番号とサーバに登録されている電子印鑑ID番号及びマスタ情報と一致しているか否かを照合し、一致していれば認証履歴をサーバへ書き込み、クライアントには押印許可を与え登録印影を送信する。押印許可を得たクライアントは受け取った印影を押印したファイルへ書き込む。ここで認証履歴とは会社コード、ユーザコード、サーバ番号、会社名、ユーザ名、認証種(電子印鑑かIDパスワードか、またはその両方のうちのいずれか)、受付日、受付時刻などを含む情報であって必要ならばクライアント側パソコンのIPアドレスやMACアドレスなどを含めることもできる。クライアントとサーバとの通信データは公開鍵を用いた暗号処理を行うことにより改ざんされるリスクを避けることができる。
【0026】
次にある会社組織がこのシステムを導入した場合の電子印鑑認証サーバの動作を説明する。まずユーザの会社のシステム管理者が電子印鑑認証サーバへログインしてログイン画面で電子印鑑を押印して認証を受ける。その会社の利用者全員の電子印鑑のID番号とそれを使うユーザ情報を登録する。クライアントのパソコンにタブレットを接続し電子印鑑とその印影データを保管したフレキシブルディスクを準備する。管理者権限で電子印鑑認証サーバに接続しログインする(図1)。システム管理者が自分の電子印鑑をすでに登録している場合には自分の電子印鑑を押印欄に押す動作をすることによってログインが可能である。まだ登録してない場合にはIDとパスワードでログインすることになる。ログインが完了すればメニュー画面が現れる(図2)。今システム管理者がユーザ情報の登録を行うので図2のメニュー画面の中の「ユーザマスタ」のボタンを選択し、クリックするとユーザマスタの画面が現れる(図3)。ユーザマスタは、会社コード、会社名などの会社情報、ユーザコード、ユーザ名、電話番号、ファクシミリ番号、部署名、役職名、スーパーバイザーか否か、電子メールアドレス、ユーザIDとパスワード、有効期間、印影ID、登録の有無などのユーザの情報を設定、登録、管理などをする。ここでスーパーバイザーとは、会社閲覧権限の有無をいい、この権限を持つユーザのみ他のユーザに対しスーパーバイザー権限と会社閲覧権限を設定することができる。権限ないユーザがログインした場合はこの項目は表示されない。電子印鑑を新しく登録するにはユーザマスタの画面から「電子印鑑登録」のボタンを押して印影登録処理の画面に進む(図4)。
【0027】
印影登録用のパスワードを入力してから登録することにより、印影登録処理がなされる。電子印鑑の中にあるIDチップのIDと印影情報が対応づけられて登録される。すでに登録済みの印影を削除する際は、図4の印影削除ボタンをクリックする。図2のメニュー画面でアプリケーションマスターのボタンを選択することにより、アプリケーションマスター画面が現れる(図5)。画面上部の会社名の欄でプルダウンボタンをクリックして会社を選択する。すると、選択した会社に登録されているアプリケーションが表示される。ここでアプリケーションとは、押印申請書、契約書管理、見積書デモ、社内業務、通販システム、テストシステムなどの当該会社で社内文書として通用しているものをいう。右上の欄には選択したアプリケーションに登録されているアプリフェーズが表示される。ここでアプリフェーズとは、係長、課長、総務受付、総務部長など、当該文書を承認する権限を有し押印すべき役職をいう。さらにその下の欄には選択したアプリフェーズに登録されているユーザが表示される。アプリフェーズのひとつひとつの役職に対応する人間がどのユーザなのかをユーザ名、会社名などを特定して表示する。選択されたアプリフェーズのユーザの有効期限を定めることができ、ユーザ名の下に表示される。右下には終了ボタンの隣に修正ボタン及び照会ボタンが設けられている。データを修正する必要があるときは修正ボタンを押して修正モードに変更する。デフォルトでは照会モードになっている。図2に示すメニューには、エクセル入出力ボタンが設けられているが、ユーザマスタの情報やアプリケーションマスタの情報を電子印鑑認証サーバの機能を用いて入力する以外に他のコンピュータでエクセル(米国マイクロソフト社の商標)の入力をしてファイル化したものを取り込むことも可能であり、また逆に電子印鑑認証サーバの機能を用いて入力した情報をエクセル出力して他のコンピュータに出力することも可能である。
【0028】
図6は、電子印鑑認証サーバとクライアントパソコンとの基本プロトコルを示している。初期処理において押印処理を実行するクライアントパソコン側は公開鍵の情報を電子印鑑認証サーバから取得する。クライアントパソコンにUSBケーブルなどで接続されたタブレットなどで電子印鑑を押印すると、クライアントパソコンは電子印鑑内部にあるチップIDが有するID情報を先ほど取得した公開鍵によって暗号化して電子印鑑認証サーバに送る。それを受け取った電子印鑑認証サーバでは、電子印鑑認証処理をユーザマスタやアプリケーションマスタを比較することによって実行する。クライアントパソコン側で押印イベントが発生すると、電子印鑑認証サーバ側ではその情報を取得して印影情報をクライアント側に送る。クライアント側はその印影情報を取得して画面上に押印した印影を表示させる。押印履歴情報についてもクライアント側と電子印鑑認証サーバ側とでやりとりされる。押印履歴情報とは、誰がいつどこでどの文書に押印したかを特定するための情報である。
【0029】
図10は、クライアントパソコン30または35が電子印鑑認証サーバ10との協働により電子印鑑によるログイン処理を実行する際のフローを示したものである。まず初期処理がなされ、電子印鑑認証サーバから初期情報を取得する(電子印鑑認証サーバ10はこのとき会社情報及び公開鍵をクライアントパソコンに返す)。クライアントパソコンを用いてユーザの誰かがログインのための押印動作をすると押印イベントが発生し、クライアントパソコンはその押印に用いられた電子印鑑のチップIDをタブレットを通じて取得する。初期処理で取得した公開鍵を用いて電子印鑑のチップIDを暗号化してファンクションコード及び付帯情報と共に電子印鑑認証サーバ10に送る。電子印鑑認証サーバ10は、受け取ったチップID(公開鍵で暗号化されたもの)とファンクションコードを元に当該ユーザがログイン権限を持っているかどうかを判断する(このログイン権限の正当性の判断は暗号をかけた状態で比較するのが望ましい。ID番号を盗まれるリスクを回避するためである)。ログイン処理が正常に行われた場合は受付番号、印影情報、押印履歴情報をクライアントパソコンに返す。クライアントパソコンでは、印影情報及び押印履歴情報を取得してログイン画面に印影を表示する。
【0030】
図11は、クライアントパソコン30または35が電子印鑑認証サーバ10との協働により電子印鑑による押印処理を実行する際のフローを示したものである。まずクライアントパソコン30または35に受付番号がセットされているかどうか判断する。されていた場合は、その受付番号をサーバに送る。電子印鑑認証サーバ10は、受け取った受付番号を元に印影及び押印履歴情報をクライアントパソコン側に渡す。クライアントパソコン30または35は、サーバ側から印影及び押印履歴情報を取得し、押印文書の押印欄に既に押された印影を表示する。押印欄は通常複数あるので、その複数の押印欄のうちまだ受付番号がセットされていないものがあれば、図10と同様に初期処理がなされ、電子印鑑認証サーバから初期情報を取得する(電子印鑑認証サーバ10はこのとき会社情報及び公開鍵をクライアントパソコンに返す)。クライアントパソコンを用いてユーザの誰かが押印動作をすると押印イベントが発生し、クライアントパソコンはその押印に用いられた電子印鑑のチップIDをタブレットを通じて取得する。初期処理で取得した公開鍵を用いて電子印鑑のチップIDを暗号化してファンクションコード及び付帯情報と共に電子印鑑認証サーバ10に送る。電子印鑑認証サーバ10は、受け取ったチップID(公開鍵で暗号化されたもの)とファンクションコードを元に当該ユーザがログイン権限を持っているかどうかを判断する。ログイン処理が正常に行われた場合は受付番号、印影情報、押印履歴情報をクライアントパソコンに返す。クライアントパソコンでは、印影情報及び押印履歴情報を取得して押印文書に印影を表示する。
【0031】
図12は、認証サーバ管理権限を与えられた管理者がログインする処理を示すものである。図10に示す一般利用者のログインとフローチャートはほとんど同じであるが、ファンクションコードの内容や、スーパーバイザー機能の違いなどがある。
【0032】
図13は、クライアントパソコン30または35と、電子印鑑認証サーバ10との協働により、印影登録処理を実行するフローである。図11に示すフローと似ているが、電子印鑑認証サーバ10において行われる処理が印鑑ID及び印影の登録処理である点が異なる。
【0033】
図14は、クライアントパソコン30または35がコンピュータネットワーク(インターネット又はイントラネット)を介して、電子印鑑認証サーバ10及び文書管理サーバ20と協働する様子を示した図である。クライアントパソコン30または35の内部には、押印文書作成手段60があり、押印文書作成手段60はエディタ及びライタを含んでいる。エディタは押印欄をテンプレート上に作成する機能を有する。押印文書作成手段60は後述するように擬似プリンタをも有しており、一般的なワープロ文書や表計算ソフトの出力を擬似的なプリンタ上に出力してそれをテンプレート(押印欄を有するもの)とライタの機能により合体させて一つのファイル(ここではbwbという拡張子を有するもの)を作り、電子押印文書を作成するものである。
【0034】
電子印鑑により押印することとなる電子押印文書を作成するには、そのユーザは、押印文書作成手段60がインストールされたクライアントパソコン30または35を用いる必要があるが、単に電子押印文書を閲覧し、押印するだけのユーザは押印文書作成手段60を使わずに押印文書閲覧手段80を用いればよい。押印文書閲覧手段80は、文書の中身を修正することはできない。押印欄に押印履歴情報を付け加えたり印影を表示させたりすることができるものである。
【0035】
図15は、押印文書作成手段60の有する3つの機能を表示した機能ブロック図である。初期設定、エディタ、ライタの3つの機能はそれぞれコンピュータプログラムによって実現されるものであって、コンピュータのCPUがその時々に応じて他の機器と共に果たす機能を便宜上空間的に示したものである。
【0036】
図16は、図14に示した文書管理サーバ20の有する4つの機能を表示した機能ブロック図である。文書管理データベース210は、押印文書を様々な情報と関連付けて管理する部分である。押印状況管理手段220は、押印文書に押印すべき社内のワークフローがどこまで進んでいるかを管理する部分である。電子メール配信手段230は、次の押印すべき人に押印文書をメールに添付して送る機能を有する部分である。押印文書作成手段または電子印鑑認証サーバとの通信手段240は、インターネット又はイントラネットを介して他のコンピュータと通信する機能を有する部分である。
【0037】
図17は、クライアントパソコン30または35において押印処理を実行する際のフローチャートである。ステップ1700で始まり、ステップ1705において印刷する。この印刷は前述したbwb文書を作成して画面に表示することを意味する。ステップ1710において図示しない電子印鑑認証サーバ10とのやり取りの結果、ログイン処理がなされ、ログイン権限有りと認められたユーザーであることを前提にステップ1715に進む。ステップ1715では、この利用者が押印文書のワークフローやアプリフェーズなどの設定変更を希望する場合に、認証サーバからアプリフェーズを取得して(ステップ1720)ワークフロー設定画面にて設定変更処理を行う(ステップ1730)。そうしてできた押印文書が新規文書となる場合には(ステップ1740でYES)の場合にはシリアル番号を生成し(ステップ1745)、文書管理サーバに情報を送信し、文書番号を取得し(ステップ1750)、bwbファイルにデータを書き込む(ステップ1760)。ステップ1740で新規文書ではないと判断された場合には、文書管理サーバに情報を送信し(ステップ1755)、bwbファイルにデータを書き込む(ステップ1760)。その結果新規文書となった場合または最終押印となった場合には文書管理サーバにbwbファイルを送信して(ステップ1765)終了する(ステップ1775)。新規文書でもなく最終押印でもない場合は一旦処理が終了するが、次の押印者によりステップ1700からの処理が繰り返される。
【0038】
図18は、サーバとクライアントパソコンとの間をインターネットまたはLANで結ぶ様子を示した図である。左側に文書管理サーバ20と電子印鑑認証サーバ10を描いてあり右側にクライアントパソコン30及び35を描いている。文書管理サーバ20は押印文書を管理するサーバであって、文書管理機能のほかその押印文書が複数の人に承認して押印手続をしてもらう必要がある性格上、システム管理機能を持ち電子メールなどの通信を管理する機能を備えている。電子印鑑認証サーバ10は、電子印鑑の認証、IDパスワードの認証、マスタファイルの管理、文書番号の発行、管理を行うサーバである。この図では2つのサーバを分けて描いてあるが、1つのサーバコンピュータで両者の機能を併せ持つ実施例も可能である。クライアントパソコン30は、押印文書作成手段60を有するコンピュータであって、押印文書はこの機能を用いて作成される。クライアントパソコン35は押印文書閲覧手段80を有するコンピュータであって、押印文書を書き換える機能は持たないがその押印文書を承認すべき利用者が電子印鑑を用いて押印手続を行うのに用いられるコンピュータである。図18に示すようにサーバ側とクライアントパソコン側とはデータトランスミットにはウェブサービスやHTTPプロトコルが用いられ、フレームワーク、ソープ(SOAP)などの通信プロトコルを用いてやりとりされる。
【0039】
図19は、クライアントパソコン30で押印文書を作成する際のログイン画面である。押印文書を作成する者が、適切な権限を持っていることを電子印鑑認証サーバに問い合わせてマスタファイルとの照合などにより確認した上で文書作成許可を取得して作業を開始することになる。図20は、押印文書の初期設定のうち基本設定をする画面を示している。用紙サイズの選択、カバーページの有無、有効期間、帳票形式、パスワードの設定を基本設定として設定する。有効期間とは、この押印文書が最終押印者の承認を得るまでどのくらいの期間を有するかを予測した上で設定される数値であって、その有効期間を過ぎれば、この文書に押印しようとしても押印できなくなる。帳票形式では普通伝票か複写伝票かを選択できる。普通伝票は、例えば請求書が複数枚あって、それに対してまとめて承認を受ける必要がある場合に用いる。複写伝票は、納品書、請求書、領収書などのように中身が同じで伝票の罫線の色とタイトルが違うなどの場合に用いられる。パスワードは、必要な場合に設定される機能であってパスワードを知らない押印者にこの文書を見せないために用いられる。基本設定の内容が決定したらOKボタンを押して確定させる。
【0040】
図21は、押印文書の初期設定のうち、サーバー設定の画面を示したものである。電子印鑑認証サーバのURLを記述することによりこの押印文書の文書番号の発行、押印された電子印鑑の認証、IDパスワードの認証、マスタファイルの参照をすべきサーバコンピュータの特定がなされる。複数の会社に渡ってスーパーバイズする権限を持つ管理者が見る場合は、会社名はプルダウンボタンをクリックすることによって選択される。通常は1つの会社のみで押印文書のやりとりがなされるのでこのプルダウンボタンをクリックしてもその会社しか選択できない。アプリケーション名ではプルダウンボタンをクリックすることにより押印申請書、請求書、稟議書、事業計画書などその社内で定型的に用いられている社内文書の種類が選択できる。文書管理サーバのURLを記述することによって当該押印文書を保管すべきサーバコンピュータの特定がなされる。自動連番のチェックボタンをクリックすることにより文書番号の採番が自動的になされる。また押印の同期のチェックボタンをクリックすることにより、他の押印者による押印の事実が瞬時に反映される。ここでOKボタンをクリックすることによって設定が確定される。
【0041】
図22は、押印文書に文書番号が付される様子を示した図である。押印文書が作成される過程においてクライアントパソコン30と電子印鑑認証サーバ10とのやり取りにより文書番号の取得がなされ、押印文書の右上などの適切な位置にそれが付される。文書管理サーバ20においてもこの文書番号を頼りにしてデータベースが構築され、文書の管理がなされる。
【0042】
図23は、押印文書に押印すべき者が係長、課長、部長の3人である場合、3人がそれぞれ印鑑を押す際にサーバとのやりとりを行って押印権限を、電子印鑑認証サーバ10において照合し押印文書中の押印履歴情報を書き換えて文書管理サーバ20に保存することを示す図である。
【0043】
図24は、押印すべき押印者がクライアントパソコン35(押印文書閲覧手段80)を用いて押印手続を行おうとする際の文書管理サーバ20及び電子印鑑認証サーバ10とのやり取りを示す図である。ここでは押印文書の初期設定において押印の同期が選択されていないものとする。その場合、押印文書閲覧手段80は文書管理サーバ20へ印鑑情報を要求する。この押印文書に他人がした押印文書手続を反映させるためである。文書管理サーバ20はそこに保存している押印文書において押印されている印鑑ID及び押印の受付番号をCSV形式でクライアントパソコン35に返す。クライアントパソコン35は当該押印文書に受領コードを書き込み対応する電子印鑑の印影情報を電子印鑑認証サーバ10に要求する。電子印鑑認証サーバは対応する印影情報をクライアントパソコン35に渡すと、クライアントパソコン側はそれを取得し押印文書にその印影を書き込む。これにより、クライアントパソコン35の画面上に押印した印影が表示されるから紙の文書に押印するのと同等の使い勝手をもたらす。
【0044】
図25は、クライアントパソコン35を用いて押印しようとする者がアプリケーションの内容に変更を加えようとする場合のフローチャートである。アプリケーションについて設定を変更しようとする内容(会社コード、アプリケーションコード、印鑑名、印鑑ID)を文書管理サーバ20に送る。文書管理サーバ20は、その情報をアプリケーションファイルに書き込む。
【0045】
図26は、押印文書閲覧手段80を用いて押印者がまさに押印した場合のフローチャートを示す。当該押印文書がいまだに文書番号を取得していない初めての文書であった場合には、文書管理サーバ20に対して文書番号を要求する。文書管理サーバ20は、押印文書データベースに新規レコードを作成し、押印文書閲覧手段に文書番号を返す。押印文書閲覧手段80はその文書番号を取得し押印文書に文書番号を登録する。押印した文書が初めての文書でなかった場合は文書閲覧手段80は押印された情報を文書管理サーバに送信し、文書管理サーバ20は押印情報を文書データベースのレコードに書き込む。(文書番号の発行は最初の押印者が押印完了した直後になされることを前提にしているが、文書番号発行を最初の押印の際にはせずに、2番目の押印者あるいは3番目の押印者など他の押印のタイミングで実行することもできる。2番目あるいは3番目の押印者が誤字脱字などを発見し電子押印文書をより完全なものにすることが考えられるので、完成度の高い文書になった段階で文書番号を発行することが無駄のない文書管理の面で好ましいからである。)
【0046】
図27は、図20と同様に押印文書閲覧手段の初期設定を示す画面であるが、この例では会社コードやアプリケーションコードの設定も可能となっている実施例を示している。
【0047】
図28は、押印文書作成手段60において押印文書のテンプレートの初期設定を行う場合にテンプレートとして3ページで構成されるものを作成し、3枚目以降を繰り返しを指定して普通伝票の設定を用いるケースを示した説明図である。押印文書作成手段60は、後述するようにテキスト作成手段や図形作成手段を有しておりそれを用いて罫線や押印欄などを含むテンプレートを作成する機能を有する。図28の左上に示す元になる書類はここでは見積書であって1枚目は表紙で2枚目は説明書きで3枚目と4枚目と5枚目が実際の見積書(この見積書には罫線や押印欄などは含まれていない。)である。そしてこの書類は一般的なワープロソフトまたは表計算ソフトで作成されたものとし、その電子ファイルも手元にある。押印文書作成手段60は、図28の左下に示すような3ページに渡るテンプレートを電子的に作成するものである。1枚目のテンプレートには押印欄が設けられ、必要ならば3枚目のテンプレートにも押印欄が設けられる。元になる書類をそれを作成するのに用いたプログラムを立ち上げた上で印刷メニューを選択し、プリンターとして現実のプリンターではなく押印文書作成手段60が有する擬似印刷手段を出力先とすることによりここで作成したテンプレートと元になる文書とを合体させて1つのファイル(押印文書)として保存することが可能になる。こうして保存された押印文書はここではbwbを拡張子とする電子ファイルであって、文書の内容は書き換えることができず押印に関する情報(押印履歴情報)のみを書き換えられるものである。今普通伝票の設定で3枚目以降繰り返しを指定した場合には、図28の右側に示すように作成された電子押印文書においては3ページ目以降のページがテンプレートの3ページ目以降のデザインを適用して作成される。
【0048】
図29は、納品先、品名、数量、金額などが入力された1ページだけで構成される文書を元に請求書、納品書、受領書で構成される3枚綴りの請求納品書を作成する場合に複写伝票を選択して3枚複写を指定する場合を説明する図である。この場合、テンプレートは3ページから構成されるが、その各々はほぼ同じデザインを踏襲するものであってタイトルや罫線の色が異なるのみである。この設定で1ページからなる元の書類にテンプレートを適用すると作成される電子押印文書は3枚綴りの請求納品書のそれぞれに納品先、品名、数量、金額が読み込まれた文書として作られる。
【0049】
図30は、設計図などの元になる文書にカバーページを付ける場合を説明する図である。元になる書類は設計図だけであるが、テンプレートがカバーページとテンプレート1ページで構成され「カバーページ有り」、「普通伝票」、「1枚目以降繰り返し」を指定することにより図30の右側に示すような電子押印文書が作成される。
【0050】
図31は、押印文書作成手段60を起動してテンプレートを作成しようとする際に表示される初期画面である。図31に示すように図形作成機能やテキスト編集機能などの通常図面を作成するための機能のほか印鑑を押す押印欄を作成する手段やそれに対応してワークフローを設定する手段などが含まれている。新規にテンプレートを作成しようとする際には図31に示すように何等まだテンプレートが作られていない真っ白な状態で表示されるが、既成のテンプレートのファイルを開いたときには図31に示す画面に作成済みのテンプレートが表示される。
【0051】
図32は、テンプレートを元になる文書と合体させないで単独で保存する場合の保存画面である。ここではテンプレートと名づけられたフォルダに請求納品書という名前で保存される場合を示しており、拡張子はmgtとなっている。このように保存されたテンプレートは社内的に異なる部署でも使われる可能性がある汎用性の高いものである。また長期にわたって使う可能性のあるものである。
【0052】
図33は、電子押印文書を作る際に元になる文書(ワープロ文書や表計算シート)を作成したプログラムにおいて印刷メニューを選択しプリンタとして現実のプリンタではなく仮想的に作られた擬似プリンタ(ここではB2winB Driver/C)に出力する操作を示す画面である。特にこの図では表計算ソフトの印刷出力画面となっている。この操作により元になる文書の印刷イメージがそれを作成したプログラムから独立した形で電子押印文書作成手段に取り込み可能なものとなる。図34は、この擬似プリンタのプロパティの設定画面でありここではA4の横サイズで出力することを選んでいる。ここでOKボタンを押して印刷画面に戻りさらに印刷画面でOKボタンを押すと図35が表示される。図35は、テンプレートの選択画面である。前述したテンプレートフォルダに保存されているテンプレートが選択可能であり、今「請求納品書」が選択可能となっている。これを選択し選択ボタンをクリックすると、図36の画面が表示される。図36は、パスワードの入力画面であり今選択したテンプレートがパスワードを要求するものである場合にこの画面が表示される。正しいパスワードを入力してOKボタンを押すことにより元の文書と当該テンプレートの合体がコンピュータ上でなされてbwbを拡張子とする電子押印文書のファイルが作成されることになる。図37は、そのようにしてできるbwbファイルの保存画面である。図37においては、ファイル名が請求納品書サンプルイメージとなっている。
【0053】
押印文書作成手段60は、前述したように図面作成手段やテキスト作成手段や押印欄作成手段を有するものであるがテンプレート(拡張子がmgt)のファイルを読み込んで編集することができるのみならず、押印文書(拡張子がbwb)のファイルを読み込んで編集することもできる。その編集成果はテンプレートとしての保存もできるし押印文書としての保存もできる。テンプレートとして保存した場合には、ワープロソフトや表計算ソフトで作成された元の文書とは切り離されてテンプレートとして独立して保存される。まったくゼロからテンプレートを作成しようとする場合は、レイアウトなどを決めるために試行錯誤を必要とするから図37では作業途中のものであることを示すために「請求納品書サンプルイメージ」としたものである。
【0054】
図38では、「請求納品書サンプルイメージ」という名前の押印文書(bwbファイル)を押印文書作成手段60で開いた画面である。ここでは、まだテンプレートの中身ができていない状態で空のテンプレートであるために罫線も押印欄もない状態である。従ってワープロソフトまたは表計算ソフトで作成した文書イメージがそのまま表示されている。ただし、元の文書を作成したプログラムとは関係なくイメージとして表示されているだけであるから、その内容についての編集はできない。
【0055】
図38のbwbファイルを一旦閉じて今度は「請求納品書」という名前のテンプレートファイルを編集して完成させるために開く。図39は、押印文書作成手段60がテンプレートファイルを開く画面である。図40は、テンプレートファイルを開いた状態で更にさきほど作った「請求納品書サンプルイメージ」というbwbファイルを開く画面である。押印文書作成手段60は、このようにテンプレートファイルを開いた状態で更にbwbファイルを開いて重ね合わせて表示することができる(図41)。これによりワープロや表計算で作られた元の文書に適切なレイアウトを有するテンプレートの作成が可能になる。
【0056】
図42は、サンプルイメージを参照しつつ前述の図形作成手段やテキスト作成手段を用いてテンプレートを編集する様子を示した図である。図43は、押印枠を作成する様子を示した図である。ここでは部長、課長、係長の3つの押印枠が作成されている。レイアウト機能や拡大縮小機能などを用いて全体的なデザインの調整が図られる。テンプレートの1ページ目が完成したら、必要に応じて2ページ目やカバーページなどの作成などもする。図44は、テンプレートファイルのファイル情報の表示画面である。ファイル名や作成日時、更新日時は自動的に入力される。管理の都合上必要ならばタイトルやコメント欄にそのテンプレートを識別する情報や説明する内容などを入れることができる。図45は、完成させたテンプレートファイルのプレビュー表示画面である。出来上がりを確認した上で必要ならば印刷もできる。出来上がりを確認して問題なければ完成したテンプレートを保存する。このとき特にサンプルイメージを気にすることなくテンプレートの保存を実行すればテンプレートのみがサンプルイメージと切り離されて保存される。
【0057】
図46は、押印文書作成手段60の有する印鑑メニューを説明する図である。押印枠は3つないし5つほど連ねて設けることが通常なされる。そこで3連、4連、5連などのメニューが準備されており例えば3連のメニューを選んで押印すべきスペースの左上に一旦マウスカーソルを落として押印すべきスペースの右下までドラッグすることによって自動的に3つの押印枠が作成される。それぞれの押印枠の中央には「押印」という文字が表示される。この押印という文字の表示は、その位置に押印者が押印すべきことを意味する。一旦作った上で再調整も可能である。
【0058】
図47は、押印枠の設定画面(印鑑ダイアログボックス)である。本発明においては押印枠は単に印鑑を押印するだけでなく、押印履歴情報(押印日時、場所などに関する情報)やワークフロー(回覧や押印の順番)の情報をも有するものである。押印枠を選択した上でプロパティを選択するかまたは押印枠をダブルクリックすることにより印鑑ダイアログボックスが表示される。「全体タブ」では作成する押印枠全体について押印者名の文字のフォント、押印枠の線の色、押印枠の線種を指定する。印鑑タブは、押印枠の数と同じだけ準備され、ここでは3連なので、印鑑1、印鑑2、印鑑3の3つのタブが準備されている。図48は、印鑑タブの設定画面である。押印者名、押印欄に表示するキャプション等の設定である。ここで押印欄のキャプションとは、押印枠の中に表示する文字であって、例えばその押印者がワークフロー上押印できる場合に「押印」と表示し、承認ルートの前の順序の押印者がまだ押印していないためこの押印欄に押印できない場合に「未承認」と表示することをいいその表示する文字列をこの印鑑タブ設定画面で設定できる。従って、図48で表示されている「押印」の部分に「印を押してください」とし、「未承認」のところに「まだ押せません」とすると電子押印文書の押印枠にその通りに表示されることになる。ワークフローの設定もこの画面でできる。ルートA、ルートBなどの設定をするがそれについては別の図面を参照しつつ後述することにする。
【0059】
図49は、印鑑ダイアログボックスの印鑑タブでのワークフローの指定をする部分図である。図49に示すようにプルダウンボタンによりAからZのアルファベットを選択する欄と数値を入力する欄の2つで構成される。アルファベットの指定は承認ルートのグループの指定であり、社内の部署の違いなどによりAグループ、Bグループ、Cグループなどに分かれる。数値の指定は同一の承認ルートグループ内での承認順位をゼロから始まる数値で指定する。同じ承認ルートグループ内では、承認順位で指定した順序で承認が行われる。承認順位が前の人が押印しなければ後の順位の人は押印できない。複数の承認ルートグループが存在する場合は、それらの承認ルートグループは並行して動作する。つまりABC3つのグループが存在する場合、それぞれの承認ルートで別々に承認が行われる。
【0060】
図50は、複数の押印者の誰から押印してもよく押印順序を指定しない場合の承認ルートグループ及び承認順位を示す図である。ここでは承認ルートグループはすべてAに属し承認順位はすべてゼロとなっている。それに対応して押印枠には5つとも全部押印という文字が表示されている。押印可に対するキャプションが「押印」の文字表示と指定しているからである。図51は、複数の押印者間で押印順序を指定する場合の承認ルートグループ及び承認順位を示す図である。係長、課長、部長の順に押印順序を指定するので承認順位が部長が2、課長が1、係長が0となっている。係長が押印しなければ課長は押印できない、課長が押印しなければ部長は押印できない。押印枠に表示される文字はまだ誰も押印していない状態では係長の押印枠のみが「押印」となっており、他の枠では「未承認」と表示される。承認ルートグループはすべて同じAグループとなっている。次に図52及び図53を参照しつつ複数の承認ルートを設ける場合について説明する。営業の部署に1課と2課があり、営業部長、1課課長、2課課長、1課係長、2課係長、1課担当者、2課担当者がいるものとする。1課と2課で並行して承認を行いたい場合に図53に示すように1課の承認ルートグループをAグループ、2課の承認ルートグループをBグループとし、承認順位は担当者を0、係長を1、課長を2、部長を3とし、部長の承認ルートグループは便宜上Aとする。これにより、営業1課、営業2課それぞれ同時に並行して担当者、係長、課長の順に承認が行われ、1課、2課の課長が両方とも承認した後に営業部長の承認が行われる。初期段階では押印枠の中には1課担当者及び2課担当者のみ「押印」と表示され、他の押印枠には「未承認」と表示される。
【0061】
図54は、押印枠を一旦作成した後にその大きさの変更をする予想を示した図である。マウスによるクリックで押印枠を選択した状態ではその周辺の四隅と辺の中ほどにマウスで掴むことができるハンドル(小さい四角形)が表示される。それをドラッグすることにより大きさの調整が可能である。
【0062】
図55は、レイアウトの調整の画面である。作成した図形のうち調整したい図形あるいはテキスト、押印枠をクリックすることによって選択し、変更対象とすることができる。外見でなく属性の変更をしたい場合は、プロパティを選択することによって色や幅、文字のピッチなどの変更も可能である。図56は、図形の属性を変更するためのプロパティ画面である。変更内容すべて入力してから適用ボタンを押して保存することにより、テンプレートが完成する。出来上がったテンプレートは適切な名前を付けてテンプレートフォルダに保存する。
【0063】
図57は、新たな押印文書の作成をするために元となる文書を表計算ソフトにより作成した画面を示す。元となる文書が完成したらその表計算ソフト上で印刷メニューを選択する。図58は、表計算ソフトの印刷メニュー画面である。プリンタの選択をプルダウンボタンをクリックすることにより行い、あらかじめインストールされた擬似プリンタ(電子押印文書作成手段が用意した仮想的なプリンタドライバ)を選択する。プリンタ選択欄の隣にあるプロパティボタンをクリックするとその擬似プリンタのプロパティ画面が表示される(図59)。紙のサイズ、縦か横かの設定をする。プロパティの設定が完了したら、OKボタンを押して、印刷メニューに戻り、そこでOKをクリックするとテンプレート選択画面が現れる(図60)。テンプレートフォルダに保存されているテンプレートが帳票名の欄に表示されているのでその中から必要な帳票を選んで選択ボタンをクリックする。選んだテンプレートにパスワードが設定されている場合は図61に示すパスワード入力画面が現れ、正しいパスワードを入力してOKボタンをクリックすると元の文書とテンプレートとを合体する処理がなされる。こうしてできた電子押印文書に名前を付けて保存する(図62)。ファイル名はテンプレート名の後に年月日、時刻を追加したものが自動生成される。必要があればこのファイル名を変えることができる。このファイルの拡張子はbwbとなっている。
【0064】
図63は、出来上がった電子押印文書(bwbファイル)の押印欄の表示を示している。この例では係長の押印がされないと課長、部長の押印ができない設定であるので、部長と課長の欄は「未承認」と表示され、係長の欄は押印されることが期待されていることを示すために「押印」の文字及び「ID」「PASS」の表示がなされている。このbwbファイルを閉じると図64のようなアイコンで表示される。係長が押印手続きをした後は、押印欄が図65のように表示される。係長の押印欄には印影が表示され、課長の欄には「押印」の文字及び「ID」「PASS」の表示がなされている。部長は課長の押印がなされなければ押印できないので「未承認」と表示がされている。
【0065】
以上、押印文書作成手段60を実際に使用する手順を追って説明してきたが、以下、電子押印文書作成手段60の機能ブロック図を参照しつつ説明する。図66は、押印文書作成手段60の機能ブロック図である。押印文書作成手段60は、テンプレート作成手段610、テンプレート保存手段617、擬似印刷手段616、電子印鑑認証サーバまたは文書管理サーバとの通信手段650、ワークフロー設定手段615を有する。テンプレート作成手段610は、罫線やタイトルや押印枠を作成する手段であって、テキスト作成手段611、図形作成手段612、押印欄作成手段613、レイアウト調整手段614などを有する。テキスト作成手段611は、文書のタイトルなどのテキストを入力、編集する手段である。図形作成手段612は多角形、円、楕円、直線などの作図機能を有するものであり、罫線などの作成もできる。押印欄作成手段613は、単に図形としての押印枠を作成するのみならず、ワークフロー設定手段615と協働して承認ルート、押印順序などを設定し、その情報を管理するための押印枠のプロパティ情報をも作成する。ワークフロー設定手段615は、押印権限や押印順序の設定にあたって必要に応じて電子印鑑認証サーバ又は文書管理サーバとの通信手段650を介してサーバー側の情報(ユーザマスタ、アプリケーションマスタ)を参照してワークフローに関する情報を生成する。レイアウト調整手段614は、テキスト、図形、押印枠などの図形のレイアウトを調整する手段である。
【0066】
テンプレート保存手段617は押印文書作成手段60で作成したテンプレート(罫線、押印枠などを含むもの)を元の文書とは切り離した独立の電子ファイルとして保存する手段である。前述したようにテンプレートはここではtmgファイル(拡張子がtmgのファイル)として保存される。ワープロソフトや表計算ソフトで作成された電子データにこのテンプレートを重ね合わせることによって押印文書が作成され、ここではbwbファイル(拡張子がbwbのファイル)として保存される。その重ね合わせの処理において重要な役割を果たすのが擬似印刷手段616である。擬似印刷手段616はプリンタドライバとしてコンピュータにインストールされるプログラムである。仮想的なプリンタであり、現実に紙に印刷するプリンタではない。表計算ソフトまたはワープロソフトを起動して必要な文書を読み込んだ状態で印刷メニューに入り、プリンタとしてこの擬似印刷手段616を選択し印刷を実行するとこの押印文書作成手段60が起動し、テンプレートの選択を促す。そこで押印文書作成者がテンプレートを選択すると押印文書作成手段60は元の文書とテンプレートとを合体する処理をする。そして電子印鑑認証サーバまたは文書管理サーバとの通信手段650を介して当該文書が保存される。
【0067】
こうして保存された押印文書は、押印枠のプロパティとしてワークフローに関する情報を持っているので、文書管理サーバ20はそのワークフローに従って押印すべきユーザに対して電子メールにファイルを添付するなどの手段により押印を促す処理をする。その後、前述したようにクライアントパソコン側と電子印鑑認証サーバ10と文書管理サーバ20との協働により押印手続きが進んでいくことになる。
【0068】
図67は、押印文書表示手段820の構成を示す機能ブロック図である。押印者のうち自らは押印文書を作成せず、押印手続きをするのみの者が用いるクライアントパソコンには押印文書作成手段60をインストールする必要は無い。文書を閲覧し押印手続きを処理する手段である押印文書閲覧手段80がインストールされればよい。押印文書閲覧手段80は押印文書表示手段820と押印イベント取得手段830、印影表示手段840、電子印鑑認証サーバとの通信手段850を有する。押印文書表示手段820は押印を必要とする文書を表示する手段である。押印イベント取得手段830はクライアントパソコン35に繋がるタブレット上で電子印鑑を押すイベントを取得する手段である。印影表示手段840は電子印鑑認証サーバ10が持っている印影情報を取得し、それに基づいてクライアントパソコン側の押印文書に印影を表示する手段である。電子印鑑認証サーバとの通信手段850は電子印鑑IDを公開鍵を用いて暗号化してやり取りしたり押印履歴情報や印影情報のやり取りをクライアントパソコンとサーバ側との間で実行する手段である。
【0069】
以上述べた押印手続きでは、押印者は押印文書を閲覧してそれを承認するか否かの二者択一であることを前提としたがクライアントパソコン35にはタブレットが繋がっており、タブレットから手書き線を入力することも可能なので、手書きコメントを追加した上で承認するという業務フローとする実施例も可能である。電子印鑑認証サーバと文書管理サーバが独立して設置してあるように記載しているが、1個のサーバ内に両方設置することもできるし、別々のサーバ上に設置することもできる。
【0070】
また、前述した押印手続きでは文書作成者が作成した押印枠の中にのみ押印することを前提としたが押印枠以外の自由な場所に何度でも押印して訂正印として使用する他の実施例も考えられる。また、タブレットを使用しているので、押印文書に手書き線を書き加えることができる。押印の回覧途中に手書きコメントを追加することも可能である。「サイン」プラス「押印」という形態で文書を承認するという業務方式を採用するときこの付加機能を使える。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の会計システムによれば、高度なセキュリティを確保しながら決済が簡単にできるIDパスワードに相当するものは、印鑑内部に格納されており覚える必要はないし、目で見ることができない。作業は、押印する文書(伝票、領収書、請求書、決済文書など)の自分の押印欄に押印するだけで済むので簡単である。電子印鑑は紛失したり盗まれたらすぐに気づく。承認者が出張の折でも出張先で承認できるので、会社で定めたルール通りの運用がされていることが確認できる。また、文書管理サーバに保管されている文書はすべて認証履歴と併せて保存されているので、特定の押印者に絞った帳票の検索も簡単にでき、より精細・正確な監査を行える。しかも、紙ベースで特定の押印者に絞った押印文書の検索を行うより、遥かに効率的である。また、本発明では押印行為だけに限定して説明したが、最終処理の押印と同時に会計計算などと連動するように構成すれば、さらに効率の良いシステムができる。
【符号の説明】
【0072】
10 電子印鑑認証サーバ
20 文書管理サーバ
30,35 パソコン
40 タブレット
50 電子印鑑
51 内蔵ICチップ
52 押印ボタン
53 押印面
60 押印文書作成手段
80 押印文書閲覧手段
90 インターネット
100 データベース部
110 ユーザマスタ
120 アプリケーションマスタ
170 サーバ設定管理部
180 電子印鑑登録管理部
190 電子印鑑認証部
210 文書管理データベース
220 押印状況管理手段
230 電子メール配信手段
240 押印文書作成手段または電子印鑑認証サーバとの通信手段
610 テンプレート作成手段
611 テキスト作成手段
612 図形作成手段
613 押印欄作成手段
614 レイアウト調整手段
615 ワークフロー設定手段
616 擬似印刷手段
617 テンプレート保存手段
820 押印文書表示手段
830 押印イベント取得手段
840 印影表示手段
850 電子印鑑認証サーバとの通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子印鑑と、該電子印鑑の位置を読み取るタブレットと、該タブレットが接続されたクライアントコンピュータと、該クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続された電子印鑑認証サーバと、該電子印鑑認証サーバにて押印の当否を認証する押印文書を管理する文書管理サーバとを有し、押印権限や押印履歴をも認証及び管理する電子印鑑認証会計監査システムであって、
前記電子印鑑は、
前記タブレット上で座標を指示する座標指示装置と、
個々の電子印鑑を識別可能なID番号が組み込まれた内蔵ICチップと、
前記電子印鑑の側面に設けられ、押印時にクリックし、押印イベントを発生する押印ボタンと、
朱肉を付け通常の印鑑のように紙への押印もできる押印面と
を有し、
前記タブレットは、
前記電子印鑑の位置を読み取る位置読取手段と、
前記電子印鑑の前記内蔵ICチップに組み込まれたID番号を読み取るID番号読取手段と、
前記電子印鑑の押印ボタンがクリックされたことを検知する押印ボタンクリック検知手段と
を有し、
前記クライアントコンピュータのうち、前記押印文書を作成する者が用いるクライアントコンピュータは、
文書のタイトル・項目名のテキストを入力・編集するテキスト作成手段、多角形・円・楕円・直線を含む図形を作図する図形作成手段、図形としての押印枠を作成するとともに承認ルート・押印順序を設定しその情報を管理する押印枠のプロパティ情報をも作成する押印欄作成手段、テキスト・図形・押印枠のレイアウトを調整するレイアウト調整手段を備えタイトル・罫線・押印枠を作成するテンプレート作成手段と、
前記電子印鑑認証サーバ・文書管理サーバの情報を参照してワークフローに関する情報を生成し前記押印欄作成手段と協働して前記押印枠のプロパティ情報を設定するワークフロー設定手段と、
前記テンプレート作成手段が作成した罫線・押印枠を含むテンプレートを元の文書とは切り離した独立の電子ファイルとして保存するテンプレート保存手段と、
前記テンプレート作成手段と表計算ソフト・ワードプロセッサソフトの既存文書との重ね合わせを実現すべく仮想的なプリンタとしてインストールされる擬似印刷手段と、
前記電子印鑑認証サーバ・前記文書管理サーバとの通信手段と
からなる押印文書作成手段を有し、
前記クライアントコンピュータのうち、前記押印文書を承認する者が用いるクライアントコンピュータは、
押印を必要とする文書を表示する押印文書表示手段と、
前記クライアントコンピュータにつながる前記タブレット上で前記電子印鑑の押印ボタンをクリックするイベントを取得する押印イベント取得手段と、
前記電子印鑑認証サーバが持っている印影情報を取得し、それに基づいて前記クライアントコンピュータの押印文書に印影を表示する印影表示手段と、
前記電子印鑑IDを公開鍵を用いて暗号化してやりとりし、押印履歴情報・印影情報を前記クライアントコンピュータと前記電子印鑑認証サーバとの間でやり取りする電子印鑑認証サーバとの通信手段と
からなる押印文書閲覧手段を有し、
前記電子印鑑認証サーバは、
このシステムを使用する者の会社名・部署・名前・役職・電話・メールアドレス・有効期限・パスワードを含むマスタ情報を登録するユーザマスタと、押印権限に関する情報・組織内の決められた手続にしたがって回覧・押印する流れであるワークフローに関する情報・回覧順に関する情報を登録するアプリケーションマスタとを備えたデータベース部と、
サーバにアクセスする権限を有する者のみがアクセスし設定することができる部分であるサーバ設定管理部と、
電子印鑑ID番号と印影情報とを登録して管理する電子印鑑登録管理部と、
前記クライアントコンピュータから受信した電子印鑑ID番号とサーバに登録されている電子印鑑ID番号及びマスタ情報と一致しているか否かを照合し、一致していれば会社コード・ユーザコード・サーバ番号・会社名・ユーザ名・認証種・受付日・受付時刻を含む情報である認証履歴をサーバへ書込み、前記クライアントコンピュータには押印許可を与え登録印影を送信する電子印鑑認証部と
を有し、
前記文書管理サーバは、
押印文書を様々な情報と関連付けて管理する文書管理データベースと、
押印文書に押印すべき社内のワークフローがどこまで進んでいるかを管理する押印状況管理手段と、
次の押印すべき者に押印文書をメールに添付して送る電子メール配信手段と、
イントラネット又はインターネットを介して他のコンピュータと通信する通信手段と
を有し、
前記押印文書は、伝票、領収書、請求書、決済文書を含むものであって、
前記文書管理サーバに保管されている押印文書は、認証履歴とあわせて保存され、特定の押印者に絞った押印文書検索手段を有しており、
監査を行うのに適することを特徴とする電子印鑑認証会計監査システム。
【請求項2】
請求項1に記載した電子印鑑認証会計監査システムであって、
前記押印文書の最終処理の押印と同時に会計計算と連動するように構成したことを特徴とする電子印鑑認証会計監査システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate

【図53】
image rotate

【図54】
image rotate

【図55】
image rotate

【図56】
image rotate

【図57】
image rotate

【図58】
image rotate

【図59】
image rotate

【図60】
image rotate

【図61】
image rotate

【図62】
image rotate

【図63】
image rotate

【図64】
image rotate

【図65】
image rotate

【図66】
image rotate

【図67】
image rotate


【公開番号】特開2010−186490(P2010−186490A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104927(P2010−104927)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2004−110053(P2004−110053)の分割
【原出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【出願人】(301073543)株式会社ネクステージ (5)
【Fターム(参考)】