説明

電子回路基板のメッキ方法及びメッキシステム

【課題】 メッキラインで使用するメッキ治具内の電子回路基板のメッキ厚をほぼ均一にし、メッキ不良品の製造を防止する。
【解決手段】 メッキすべき電子回路基板をメッキ治具23に取り付けて保持し、前記メッキ治具23をメッキラインのメッキ治具搬送装置21へ取り付けた後、このメッキラインにて前記メッキ治具23内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された測定値が予め設定された抵抗設定値以下のときはメッキ処理を行い、一方、前記測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記メッキ治具23をメッキラインから除外することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子回路基板のメッキ方法及びメッキシステムに関し、特に電子回路基板を保持するメッキ治具を用いて前記電子回路基板にメッキするメッキラインにて、前記メッキ治具内の電子回路基板のメッキ厚をほぼ均一にするために、メッキラインで使用する製造設備の機能向上を図った電子回路基板のメッキ方法及びメッキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハやプリント配線基板等の電子回路基板の表面に配線パターンを形成する製造工程において、例えば特許文献1に示されているように、ウェハは反応容器内で所定の処理を受ける際、ウェハの温度の最適・高精度な温度制御を行うために、ウェハの抵抗率を測定し、このウェハの抵抗率の測定値を基に前記ウェハの温度を算出する方法が行われている。所謂、このときのウェハの抵抗測定は、ウェハの温度を演算して管理、制御するために行われている。なお、ウェハの抵抗値を測定する際に、ウェハの下面に一対のプローブを当ててウェハ抵抗率を測定している。あるいは、2対のプローブを当てて、2つの回路で広がり抵抗→ウェハ抵抗率→ウェハ温度を求め、それらの平均値を求める方法や、4探針法、あるいは他の測定方法を用いることが記載されている。
【特許文献1】特開平5−67662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のウェハの抵抗測定の目的は、所謂、半導体ウェハの製造工程における反応容器内で所定の処理を受けるときにウェハの温度を演算して管理、制御するために行われているのであって、半導体ウェハの製造工程の一つであるメッキ工程においてメッキ厚のバラツキを小さくしてメッキ工程における不良品を無くすためのものではない。
【0004】
従来のウェハのメッキ工程では、ウェハをメッキ治具に収納し、このメッキ治具をメッキラインにて搬送し、メッキ装置にてメッキ処理が行われるのであるが、ウェハのメッキ状態は実際にメッキされた後でなければ分からないために、メッキ厚のバラツキが大きくなって不良品が発生するという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明の電子回路基板のメッキ方法は、メッキすべき電子回路基板をメッキ治具に取り付けて保持し、前記メッキ治具をメッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けた後、このメッキラインにて前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された測定値が予め設定された抵抗設定値以下のときはメッキ処理を行い、一方、前記測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記メッキ治具をメッキラインから除外することを特徴とするものである。
【0006】
また、この発明の電子回路基板のメッキ方法は、メッキすべき電子回路基板をメッキ治具に取り付けて保持し、前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された測定値と予め設定された抵抗設定値とを比較し、前記測定値が前記抵抗設定値以下のときは前記メッキ治具をメッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けてメッキ処理を行い、一方、前記測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記電子回路基板を再度前記メッキ治具にセットし直してから再び前記電子回路基板の抵抗値を測定して前記抵抗設定値と比較することを特徴とするものである。
【0007】
また、この発明の電子回路基板のメッキ方法は、メッキすべき電子回路基板をメッキ治具に取り付けて保持し、前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された第1測定値と予め設定された抵抗設定値とを比較し、前記第1測定値が前記抵抗設定値以下のときは、前記メッキ治具をメッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けた後、このメッキラインにて前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を再度測定し、この測定された第2測定値が前記抵抗設定値以下のときはメッキ処理を行い、一方、前記第2測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記メッキ治具をメッキラインから除外することを特徴とするものである。
【0008】
また、この発明の電子回路基板のメッキ方法は、前記電子回路基板のメッキ方法において、前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗測定点が、少なくとも3点であることが好ましい。
【0009】
また、この発明のメッキシステムは、メッキすべき電子回路基板を保持すると共にメッキする際に前記電子回路基板に給電するための給電端子部を備えたメッキ治具と、このメッキ治具をメッキラインのメッキ槽へ搬送するメッキ治具搬送装置を有するメッキ装置と、メッキ処理する前に予め前記電子回路基板の抵抗値を測定する抵抗測定端子部を有する測定部と、この測定部で測定した測定値が予め設定した抵抗設定値以下か否かを判定する比較判定部と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明のメッキシステムは、前記メッキシステムにおいて、前記測定部の抵抗測定端子部が、メッキ装置における前記メッキ治具搬送装置に設けられると共に前記メッキ治具搬送装置に装着したメッキ治具の前記給電端子部に接触・離反自在に設けられていることが好ましい。
【0011】
また、この発明のメッキシステムは、前記メッキシステムにおいて、前記測定部の抵抗測定端子部が、電子回路基板を装着したメッキ治具をホールドするメッキ治具ホルダに設けられると共に前記メッキ治具ホルダにホールドしたメッキ治具の前記給電端子部に接触・離反自在に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明の電子回路基板のメッキ方法によれば、メッキラインにてメッキ治具内の電子回路基板の抵抗値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキ処理されるので、メッキ治具への電子回路基板のセット不良、メッキラインへのメッキ治具の装着不良及びメッキラインのメッキ治具搬送中における外乱による電子回路基板のセット不良を除外できるので、メッキ不良品の製造を防止することができる。
【0013】
また、メッキラインにおいて電子回路基板の抵抗測定を自動で行えると共に、データ取りも自動化されるため測定者のデータ転記ミスを防止できる。
【0014】
また、この発明の電子回路基板のメッキ方法によれば、メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けられるので、メッキ治具への電子回路基板のセット不良を除外できるため、メッキ不良品の製造を防止することができる。
【0015】
また、この発明の電子回路基板のメッキ方法によれば、メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値の第1測定値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けられるので、メッキ治具への電子回路基板のセット不良を除外できる。さらに、メッキラインにてメッキ治具内の電子回路基板の抵抗値が再び測定され、この第2測定値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキ処理されるので、メッキ治具への電子回路基板のセット不良、メッキラインへのメッキ治具の装着不良及びメッキラインのメッキ治具搬送中における外乱による電子回路基板のセット不良を除外できるので、メッキ不良品の製造を防止することができる。
【0016】
また、メッキラインにおいて電子回路基板の抵抗測定を自動で行えると共に、データ取りも自動化されるため測定者のデータ転記ミスを防止できる。
【0017】
また、この発明のメッキシステムによれば、メッキ処理する前に、測定部に備えた抵抗測定端子部をメッキ治具の給電端子部に接触せしめて電子回路基板の抵抗値を測定でき、この測定値が比較判定部により抵抗設定値以下か否かを判定でき、前記測定値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキ処理できる。
【0018】
その結果、メッキ治具への電子回路基板のセット不良、メッキラインへのメッキ治具の装着不良及びメッキラインのメッキ治具搬送中における外乱による電子回路基板のセット不良を除外できるので、メッキ不良品の製造を防止することができる。
【0019】
また、上記のことから、メッキラインにおいて電子回路基板の抵抗測定を自動で行えると共に、データ取りも自動化されるため測定者のデータ転記ミスを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図9(A),(B)を参照するに、この実施の形態に係るメッキ装置1は、例えばセミアディティブ法により、半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」という)やプリント配線基板等の電子回路基板の表面に配線パターンを形成する際に用いられるものである。
【0022】
一般的に、セミアディティブ法は、例えば、Siなどのベース基板の表面に銅などの導電性物質でなるシード層が形成され、このシード層にレジスト層が塗布された後、このレジスト層を露光及び現像して配線パターンのレジスト溝を形成する。次いで、電気メッキなどのメッキ装置により、前記レジスト溝内には、銅などの導電性物質が析出される。その後、レジスト層が除去され、かつ、配線パターンに無関係なシード層の部分がエッチングされて、微細な配線パターンを有したプリント配線基板が製造される。
【0023】
この実施の形態のメッキ装置1は、メッキすべき電子回路基板としての例えばウェハを銅メッキする装置であり、図9(A),(B)において右端から左側へ順に、第1シャワー水洗槽3、酸洗槽5、2つの第1水洗槽7、5つの銅メッキ槽9、3つの第2水洗槽11、第2シャワー水洗槽13、アンローダエリア15、ローダエリア17が備えられ、ほぼ一直線上に配置されている。さらに、このメッキ装置1には、上記の各処理槽のラインにほぼ平行に配置したLMガイドレール19上を走行移動して前記ウェハを前記各処理槽へ搬送するためのメッキ治具搬送装置21が備えられている。また、上記の各処理槽のラインとメッキ治具搬送装置21との間には、前記各処理槽の高さ程度の隔壁Pが設けられている。
【0024】
なお、メッキ治具搬送装置21についての詳細な説明は後述するが、メッキ治具搬送装置21には、銅メッキすべきウェハを保持するメッキ治具をクランプ・アンクランプするクランプ装置と、このクランプ装置でクランプしたメッキ治具を上記の各処理槽内へ投入するために下降させ、かつ、処理後のメッキ治具を各処理槽から引き上げるための治具上下動装置が備えられている。
【0025】
上記の図9(A),(B)のメッキ装置1における動作の概略を説明すると、上記のローダエリア17には、予めウェハを保持したメッキ治具が幾つも収容されており、この中の所望のメッキ治具がメッキ治具搬送装置21のクランプ装置でクランプされ、次いで治具上下動装置により引き上げられてから、図9(B)の矢印で示されているように右端の第1シャワー水洗槽3へ搬送される。
【0026】
メッキ治具が第1シャワー水洗槽3内へ投入され、メッキ治具内のウェハがシャワー水洗される。その後、酸洗槽5へ搬送され、この酸洗槽5内で銅メッキの前処理工程として前記ウェハの表面が酸洗いされる。次いで、第1水洗槽7へ搬送され、この第1水洗槽7で水洗されることにより前記ウェハの表面に付着した酸が除去される。
【0027】
なお、2つの第1水洗槽7が設置されているのは、次に処理されるウェハを保持したメッキ治具が水洗されるときに、もう一つの第1水洗槽7を用いるためにある。つまり、各第1水洗槽7にはきれいな水が常時流入して浄化するようになっており、上記のように酸洗い後のウェハが水洗されると、第1水洗槽7内の水が酸で汚れるので、浄化されるには少しの時間がかかることになる。したがって、続いて処理されるウェハは、2つの第1水洗槽7を交互に用いて水洗されることで、各第1水洗槽7内の水がきれいになるように時間差を設けている。
【0028】
上記のように水洗されたメッキ治具は、5つの銅メッキ槽9のうちの1番目の銅メッキ槽9へ搬送され、この1番目の銅メッキ槽9で銅メッキされる。この銅メッキ処理には例えば約5分程度かかる。したがって、メッキ治具搬送装置21は前記銅メッキ槽9内に投入してメッキ液へ浸漬されたメッキ治具をアンクランプした後に、ローダエリア17へ移動する。
【0029】
そして、メッキ治具搬送装置21は、ローダエリア17の中の次に処理される2番目のウェハを保持したメッキ治具をクランプ装置でクランプし、この2番目のメッキ治具を第1シャワー水洗槽3へ搬送する。前述した1番目のメッキ治具と同様に、第1シャワー水洗槽3にてシャワー水洗され、次いで酸洗槽5で酸洗いされてから、もう一つの第1水洗槽7にて水洗し、次いで2番目の銅メッキ槽9へ搬送されて銅メッキされる。
【0030】
メッキ治具搬送装置21は、1番目の銅メッキ槽9の場合と同様に、2番目の銅メッキ槽9内へ投入されたメッキ治具をアンクランプした後に、ローダエリア17へ移動し、3番目のメッキ治具をクランプしてから、1番目と2番目のメッキ治具と同様に各処理槽で処理してから3番目の銅メッキ槽9に搬送して銅メッキする。4番目、5番目のメッキ治具も同様に行われる。
【0031】
なお、この実施の形態では、一つのメッキ治具が第1シャワー水洗槽3から第1水洗槽7までの処理にかかる時間は、約1分30秒程度であるので、4番目のメッキ治具が銅メッキ槽9に搬送されて銅メッキが開始される頃には、1番目のメッキ治具内のウェハが5分ほど経過することになる。
【0032】
したがって、この実施の形態では、5番目のメッキ治具内のウェハが銅メッキ処理される前に、1番目の銅メッキ槽9内のメッキ治具がメッキ治具搬送装置21のクランプ装置で再びクランプされ、次いで治具上下動装置により引き上げられてから、図9(B)の矢印で示されているように第2水洗槽11へ搬送される。
【0033】
1番目のメッキ治具が第2水洗槽11内へ投入され、メッキ治具内のウェハが水洗されることにより前記ウェハの表面に付着したメッキ液が除去される。
【0034】
上記のように水洗された1番目のメッキ治具は、第2シャワー水洗槽13へ搬送され、この第2シャワー水洗槽13内でメッキ治具内のウェハがシャワー水洗されるので確実に清浄される。その後、1番目のメッキ治具はアンローダエリア15の水槽内へ投入され、メッキ治具搬送装置21のクランプ装置からアンクランプされる。なお、銅メッキを完了したウェハを保持したメッキ治具がアンローダエリア15の水槽内に投入されるのは、ウェハの表面の銅メッキが酸化するのを防止するためである。
【0035】
以上のように、2番目、3番目及びそれ以降のメッキ治具は、上記の1番目のメッキ治具と同様に処理される。
【0036】
次に、上記のメッキ治具23について詳しく説明する。
【0037】
図3を参照するに、メッキ治具23としては、治具本体25が、内部にウェハ27を保持するための矩形の平板状で、塩化ビニル製からなり、上部にはクランプ用穴部29が設けられており、下部にはウェハ27の表面に銅メッキするためのメッキ用穴部31が設けられている。さらに、メッキ用穴部31の周囲には、ほぼ均等な配置で少なくとも3箇所にウェハ27に通電するための接点が、この実施の形態では、3つの接点33A,33B,33Cが突出している。また、上記のクランプ用穴部29より下側には内部のウェハ27に給電するための少なくとも3つの給電端子部としての例えば電極ピン35が露出されており、各電極ピン35と上記の接点33A,33B,33C間を導通するための導電線37が配線されている。
【0038】
上記の接点33A,33B,33Cの上に載置されたウェハ27が押当て板39と治具本体25との間で挟み込まれることにより、ウェハ27が接点33A,33B,33Cへ押圧されて導通する構成である。なお、押当て板39は塩化ビニル製でほぼ楕円形の平板状である。治具本体25には上記の3つの接点33A,33B,33Cより外側に位置して複数の締付けボルト41が突出しており、押当て板39には前記各締付けボルト41を挿通する長穴部43が設けられている。
【0039】
上記構成により、ウェハ27が3つの接点33A,33B,33Cの上に載置されてから、このウェハ27を押当て板39と治具本体25との間で挟み込むようにして、治具本体25の締付けボルト41を押当て板39の長穴部43に挿通し、各締付けボルト41で締め付けてウェハ27が接点33A,33B,33Cへ押圧されて導通することになる。したがって、ウェハ27には単なる一つの直線的な導通ではなく、幅広く離れた位置の少なくとも3箇所に通電されるので、ウェハ27の面的にほぼ均等な通電状態となるために、ウェハ27の全体にほぼ均等なメッキ厚でメッキ処理を行うことができる。
【0040】
なお、ウェハ27にほぼ均等な通電状態とするためには、ウェハ27と3つの接点33A,33B,33Cとの接触抵抗が小さいことが必要条件であり、上記の3つの接点33A,33B,33Cに対するウェハ27の配置状態や接触状態、並びに各締付けボルト41の締め付け状態などの要素が前記接触抵抗に影響を及ぼすものである。そこで、この実施の形態では、予め設定した抵抗設定値を例えば2Ωとし、上記の3つの接点33A,33B,33Cの抵抗値が上記の抵抗設定値2Ω以下であれば、ウェハ27の全体にほぼ均等なメッキ厚でメッキ処理できるものである。
【0041】
そこで、この実施の形態の主要部を構成するメッキ方法及びメッキシステムとしては、メッキ治具23をメッキラインに載せる前に、ウェハ27のメッキ治具23へのセット状態、すなわち3つの接点33A,33B,33Cの抵抗値が上記の抵抗設定値2Ω以下であることを確認した後に、メッキ治具23をメッキラインに載せることとした。
【0042】
図4を参照するに、メッキライン前(オフライン)のウェハの抵抗測定装置45について説明すると、ウェハの抵抗測定装置45はメッキ治具23を所定位置へホールドするためのメッキ治具ホルダ部47と、メッキ治具ホルダ部47にセットされたメッキ治具23の電極ピン35に接触、離反する抵抗測定端子部としての例えば抵抗測定ピン49を備え、かつ前記メッキ治具ホルダ部47にヒンジ部51を介して回動自在に設けた平板状の測定ピン押付け部53と、前記抵抗測定ピン49に転送ケーブル55を介して導通して各接点33A,33B,33Cの抵抗値を測定するための抵抗測定部57と、この抵抗測定部57で測定された抵抗値の測定データが転送ケーブル55を介して転送されると共に前記測定データが予め設定した抵抗設定値以下か否かを判定して管理するための比較判定部としての例えばデータ管理ユニット59(PLC)と、から構成されている。
【0043】
なお、上記の抵抗測定ピン49と転送ケーブル55と抵抗測定部57が、オフライにおけるメッキ治具23のウェハ27の抵抗値を測定するための測定部の基本的な構成である。
【0044】
なお、上記の抵抗測定ピン49は、この実施の形態では3つの電極ピン35に対応しており、各抵抗測定ピン49は図示しないスプリング等により常時前方へ付勢されている。また、メッキ治具ホルダ部47の図4(A)において左右両側には、測定ピン押付け部53の図4(A)において左右両側を吸着する磁石61が設けられている。この磁石61により、測定ピン押付け部53の3つの各抵抗測定ピン49が前記スプリングの付勢力に抗して3つの電極ピン35へ押圧されて確実に導通することになる。
【0045】
また、上記の抵抗測定部57には、操作ボックス63に、測定開始ボタン65、抵抗測定器67、測定・調整切換スイッチ69、OK・NG判定ランプ71等の各種スイッチや表示灯が設けられている。なお、測定・調整切換スイッチ69は、例えば接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間のいずれの抵抗を測定するかを切り換えるスイッチであり、OK・NG判定ランプ71は、接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各測定値が、それぞれ抵抗設定値以下のときは図4(A)において左側のOKランプ71Aが点灯し、抵抗設定値より大きいときは図4(A)において右側のNGランプ71Bが点灯する構成である。
【0046】
上記構成により、ウェハ27をセットしたメッキ治具23が、測定ピン押付け部53を開放した状態のメッキ治具ホルダ部47の所定位置にセットされた後、前記測定ピン押付け部53を回動して抵抗測定ピン49をメッキ治具23の電極ピン35に当接せしめると、測定ピン押付け部53が磁石61でメッキ治具ホルダ部47に吸着されるので、測定ピン押付け部53の各抵抗測定ピン49が図示しないスプリングにより前方へ常時付勢されているために3つの電極ピン35へ一定の押圧力で確実に押圧されて導通する。
【0047】
次に、抵抗測定部57の測定・調整切換スイッチ69を抵抗調整側に切り換える。測定開始ボタン65を押す毎に抵抗測定箇所がリレーによって切り替わり、接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各抵抗設定値が2Ωとなるように調整する。
【0048】
次いで、抵抗測定部57の測定・調整切換スイッチ69を抵抗測定側に切り換える。測定開始ボタン65を押すと、抵抗測定箇所が自動的にリレーで切り替わり、接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各測定値が抵抗測定器67で測定される。各測定データは測定データ転送モードに切り替えて転送ケーブル55によって転送され、PLC59に取り込まれる。このとき、PLC59により各測定値が抵抗設定値2Ω以下であるか否かをモニターされ、その判定結果がOK・NG判定ランプ71のOKランプ71AとNGランプ71Bのいずれかに点灯することになる。
【0049】
なお、もし、作業者がテスターを用いて手動にて抵抗測定すると、個人差による測定値のバラツキや測定データの入力ミスが生じるが、以上のごとく抵抗測定装置45を用いて測定作業を行うことにより、作業者の個人差による測定は無くなり、測定データの入力ミスも無くなるので、正確なデータ管理を行うことができ、測定値が抵抗設定値の2Ω以下であるか否かを正確に判別できる。
【0050】
上記の接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各測定値がいずれもOKであれば、ウェハ27にはその全体にほぼ均等なメッキ厚でメッキ処理できることになる。
【0051】
ここで、上記の抵抗値のバラツキがメッキ厚の均一性に影響している点について説明する。
【0052】
まず、上記の3つの接点33A,33B,33Cのうちの1つの接点がウェハ27から外れた状態で、前記ウェハ27が銅メッキされたときのメッキ厚を前記ウェハ27の全体を満遍なく17箇所の点で測定した結果、メッキ厚の目標値が例えば9μmに対して測定値の平均値は9.3〜9.8μmであったが、メッキ厚のバラツキは48.4〜52.3%であり、標準偏差が1.06〜1.13であった。また、Cpkは0.80〜0.91であった。
【0053】
一方、上記の接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各測定値がいずれもOKの状態で、ウェハ27が銅メッキされたときのメッキ厚を前記ウェハ27の全体を満遍なく17箇所の点で測定した結果、メッキ厚の目標値が9μmに対して測定値の平均値は9.2〜9.4μmであった。しかも、メッキ厚のバラツキは21.6〜25.9%であり、標準偏差が0.52〜0.71であった。また、Cpkは1.37〜1.76であった。
【0054】
以上の両者を比較考慮すると、Cpkは統計学的に1.33以上で良好と判断されており、前者の場合はメッキ厚のバラツキが大きく、Cpkが1.33以下であったのに対し、後者の場合はメッキ厚のバラツキが小さく、Cpkが1.33以上であった。したがって、抵抗値のバラツキがメッキ厚の均一性に大きく影響していることが分かる。
【0055】
次に、この発明の実施の形態のメッキ方法及びメッキシステムの主要部を構成するメッキ治具搬送装置21について詳しく説明する。
【0056】
図1及び図2を参照するに、メッキ治具搬送装置21は、上記のLMガイドレール19の上を走行移動するベース部73と、このベース部73に立設された支柱部75と、この支柱部75に沿って上下方向に延びるように配置した治具上下動装置としての例えばLMガイドアクチュエータ77と、このLMガイドアクチュエータ77で上下方向に駆動され、かつ、前記各処理槽のライン側へ延びるように配置されたキャリア部79と、このキャリア部79に設けられて、銅メッキすべき電子回路基板としての例えばウェハ27を保持するメッキ治具23をクランプ・アンクランプするクランプ装置81と、から構成されている。
【0057】
なお、LMガイドアクチュエータ77は、クランプ装置81でクランプしたメッキ治具23を上記の各処理槽内へ投入するために下降させ、かつ、処理後のメッキ治具23を各処理槽から引き上げるための治具上下動装置である。
【0058】
また、上記の支柱部75の下部とキャリア部79との間にはメッキ治具搬送装置21を作動せしめる電流を供給するための電線のケーブルベア83が設けられている。
【0059】
なお、図2ではメッキ治具23の内部を視ている図であり、メッキ治具23の内部のウェハ27は、各処理槽で満遍なく処理できるように、メッキ用穴部31により外部に開放された状態で保持されている。
【0060】
図5(A)、(B)を併せて参照するに、上記のクランプ装置81は、2本のクランプ軸部85がキャリア部79の図5(A)において左右に、キャリア部79の長手方向と同方向に向けて配置されており、各クランプ軸部85の両端部が図2において左右の軸受部87に軸承されている。前記2本のクランプ軸部85には断面L字形状をなすクランプアーム89が例えばボルトBTで固定されており、前記2本のクランプ軸部85が回転すると、2つのクランプアーム89がメッキ治具23の両側から挟み込んだり、開放したりする動作をするように構成されている。また、一方のクランプアーム89の下部には、メッキ治具23のクランプ用穴部29に挿入して掛止するための2つの掛止部91が突出されており、他方のクランプアーム89の下部には、前記掛止部91が挿入する掛止用穴部93が設けられている。
【0061】
また、前記2本のクランプ軸部85の図2において左側の端部には歯車95が固定されており、前記歯車95に噛合するラック97がキャリア部79の上部に設けたクランプ用シリンダ99のシリンダシャフト101に設けられている。なお、クランプ用シリンダ99のストロークST1は図5(B)に示されている程度である。
【0062】
上記構成により、クランプ用シリンダ99のシリンダシャフト101が上記のストロークST1だけ下降すると、図5(A)に示されているようにラック97が下降し、図5(A)の左側の歯車95が時計回り方向に回転すると共に図5(A)の右側の歯車95が反時計回り方向に回転するので、2つのクランプアーム89がメッキ治具23をアンクランプする方向に回動することになる。
【0063】
一方、クランプ用シリンダ99のシリンダシャフト101が上記のストロークST1だけ上昇すると、図5(B)に示されているようにラック97が上昇し、図5(B)の左側の歯車95が反時計回り方向に回転すると共に図5(B)の右側の歯車95が時計回り方向に回転するので、2つのクランプアーム89がメッキ治具23をクランプする方向に回動することになり、一方のクランプアーム89の2つの掛止部91が、メッキ治具23のクランプ用穴部29に挿通してから他方のクランプアーム89の2つの掛止用穴部93へ挿入される。
【0064】
また、キャリア部79の上部には、図2に示されているように、弱電供給ピン103がその先端をメッキ治具23の上端に突き当てる位置で上下方向に移動可能に支持されており、かつ、スプリング105を介して常時下方へ突出する方向へ付勢されている。したがって、クランプ装置81でメッキ治具23をクランプするために、キャリア部79が下降するときに弱電供給ピン103の先端がメッキ治具23の上端に突き当てられ、さらにスプリング105の付勢力に抗してキャリア部79が下降する。次いで、メッキ治具23が2つのクランプアーム89でクランプされることになる。
【0065】
また、上記のメッキ治具搬送装置21には、この実施の形態のメッキ方法及びメッキシステムの主要部を構成するメッキラインにおけるウェハの抵抗測定装置107が設けられている。
【0066】
その理由としては、メッキ治具23をメッキ治具搬送装置21にセットするとき、メッキ治具23をぶつけたりすると、その衝撃によってメッキ治具23内のウェハ27が接点33A,33B,33Cから離れてしまい、メッキ厚の均一性で問題となりメッキ不良品を製造してしまう可能性がある。また、メッキ治具23がメッキ治具搬送装置21によって搬送されるときでも衝撃等の何らかの外乱でウェハ27が接点33A,33B,33Cから外れる可能性がある。
【0067】
そこで、ウェハ27がメッキ処理される前に、メッキラインにてウェハの抵抗測定装置107によりメッキ治具23内のウェハ27の各接点33A,33B,33Cの抵抗値を再度測定し、各測定値が抵抗設定値の2Ω以下であることを確認してからメッキ処理を行い、一方、上記の各測定値が前記抵抗設定値の2Ωより大きいときはメッキ治具23をメッキラインから除外し、再度調整する方法をとっている。
【0068】
図6(A)、(B)を併せて参照するに、上記のウェハの抵抗測定装置107としては、1本の測定ピン用軸部109がキャリア部79の図6(A)において左側に、キャリア部79の長手方向と同方向に向けて配置されており、測定ピン用軸部109の両端部が図2において左右の軸受部111に軸承されている。前記測定ピン用軸部109には断面L字形状をなす測定ピン用アーム113が例えばボルトBTで固定されており、前記測定ピン用軸部109が回転すると、測定ピン用アーム113の先端部に備えた抵抗測定端子部としての例えば抵抗測定ピン115がメッキ治具23の図6(A)において左側の電極ピン35へ当接、離反する動作をするように構成されている。
【0069】
また、前記測定ピン用軸部109の図2において左側の端部には歯車117が固定されており、前記歯車117に噛合するラック119がキャリア部79の上部に設けた測定ピン回動用シリンダ121のシリンダシャフト123に設けられている。なお、測定ピン回動用シリンダ121のストロークST2は図6(B)に示されている程度である。
【0070】
メッキラインにおけるウェハの抵抗測定装置107は、上記の構成に加えて、図1に示されているように、前記抵抗測定ピン115に転送ケーブル125を介して導通してメッキ治具23の各接点33A,33B,33Cの抵抗値を測定するための抵抗測定部127と、この抵抗測定部127で測定された抵抗値の測定データが転送ケーブル125を介して転送されると共に前記測定データが予め設定した抵抗設定値以下か否かを判定して管理するための比較判定部としての例えばデータ管理ユニット59(PLC)が設けられている。なお、抵抗測定部127は、前述したメッキライン前(オフライン)のウェハの抵抗測定装置45で用いられている抵抗測定部57と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
なお、上記の抵抗測定ピン115と転送ケーブル125と抵抗測定部127が、メッキラインにおけるメッキ治具23のウェハ27の抵抗値を測定するための測定部の基本的な構成である。
【0072】
上記構成により、測定ピン回動用シリンダ121のシリンダシャフト123が上記のストロークST2だけ下降すると、図6(A)に示されているようにラック119が下降し、図6(A)の歯車117が時計回り方向に回転するので、測定ピン用アーム113も矢印の時計回り方向に回転し、測定ピン用アーム113の先端部に備えた抵抗測定ピン115がメッキ治具23の図6(A)において左側の電極ピン35から離反する。
【0073】
一方、測定ピン回動用シリンダ121のシリンダシャフト123が上記のストロークST2だけ上昇すると、図6(B)に示されているようにラック119が上昇し、図6(B)の歯車117が矢印の反時計回り方向に回転するので、測定ピン用アーム113も反時計回り方向に回転し、測定ピン用アーム113の先端部に備えた抵抗測定ピン115がメッキ治具23の図6(B)において左側の電極ピン35へ当接する。
【0074】
したがって、メッキラインにおいて、メッキ治具搬送装置21のキャリア部79が下降し、クランプ装置81の2つのクランプアーム89でメッキ治具23をクランプし、測定高さまで上昇する。次いで、上述したように、測定ピン用アーム113が自動的に回動して抵抗測定ピン115がメッキ治具23の電極ピン35へ当接する。
【0075】
そして、メッキ治具23の接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各測定値が抵抗測定部127で測定され、各測定データは測定データ転送モードに切り替えて転送ケーブル125によって転送され、PLC59に取り込まれる。このとき、PLC59により各測定値が抵抗設定値の2Ω以下であるか否かをモニターされ、抵抗設定値以下でなければ、警報アラームを出して作業者に知らせる。あるいは、前述したメッキライン前(オフライン)のウェハの抵抗測定装置45で用いられている抵抗測定部57と同様に、上記のモニターされた判定結果がOK・NG判定ランプ71のOKランプ71AとNGランプ71Bのいずれかに点灯するようにしても良い。
【0076】
上記の接点33A−33B間、接点33B−33C間、接点33C−33A間の各測定値がいずれもOKであれば、警報アラームが鳴らず、ウェハ27にはその全体にほぼ均等なメッキ厚でメッキ処理できることになる。
【0077】
以上のように、メッキ治具搬送装置21にウェハの抵抗測定装置107が設置されているので、メッキ工程内の任意の箇所でメッキ治具23のウェハ27の抵抗値を測定できる。また、ウェハ27と接点33A,33B,33Cとの外れによるメッキ不良品の製造を防止できる。
【0078】
次に、前述した銅メッキ槽9について図面を参照して詳しく説明する。
【0079】
図7を参照するに、銅メッキ槽9の内部にはメッキ治具23を挿入するためのメッキ治具挿入部129があり、メッキ治具23の幅方向の両側をガイドして前記メッキ治具挿入部129へ挿入するための治具挿入ガイド部131がレール状に設けられている。さらに、銅メッキ槽9の図7及び図8(A)において左側の側壁133には、メッキ治具23の5つの電極ピン35と同じ間隔で配置された5本の給電シャフト135が前記側壁133に設けた給電シャフト用穴部137に挿通されて銅メッキ槽9の内部へ突出しており、この5本の給電シャフト135はメッキ治具挿入部129に挿入されたメッキ治具23の5つの電極ピン35に突き当てる方向に進退移動自在に設けられている。
【0080】
銅メッキ槽9の図7及び図8(A)において左側の外側には、5本の給電シャフト135を進退移動するための給電シャフト駆動部としてのエアシリンダ139が載置台141の上に載置されており、エアシリンダ139のシリンダシャフト143の先端には5本の給電シャフト135を保持するための支持ブラケット145が固定されている。前記支持ブラケット145は、図8(A)において前後の支持片147A,147Bで断面y字形状をなしており、5本の給電シャフト135がメッキ治具23の5つの電極ピン35と同じ間隔で支持ブラケット145の前後の支持片147A,147Bで前後方向に移動自在に支持されている。
【0081】
上記の各給電シャフト135は、長手方向の中間の位置に外周方向に突出するフランジ部149が設けられており、前記フランジ部149と支持ブラケット145の後の支持片147Bとの間に設けたスプリング151を介して常時前方へ付勢されており、前記フランジ部149が支持ブラケット145の前の支持片147Aに当接している。なお、5本の給電シャフト135はそれぞれ導電線153で給電される構成である。また、上記のエアシリンダ139及び5本の給電シャフト135は、全体が給電シャフトカバー155により覆われている。
【0082】
上記構成により、メッキ治具23が銅メッキ槽9の内部のメッキ治具挿入部129へ挿入されると、エアシリンダ139のシリンダシャフト143が図8(A)において右方向の矢印へ移動することにより、支持ブラケット145が右方向へ移動するので、図8(B)に示されているように、5本の給電シャフト135が同時に前記側壁133に設けた各給電シャフト用穴部137を通過して前進し、各給電シャフト135の先端が対応する各電極ピン35に突き当てられる。エアシリンダ139のシリンダシャフト143がさらに僅かに前進しても、スプリング151の付勢力に抗して前進可能であり、各給電シャフト135の先端はスプリング151の付勢力により確実に対応する各電極ピン35に突き当てられた状態となる。このようにして、メッキ治具23内のウェハ27が銅メッキ槽9で銅メッキされる。
【0083】
銅メッキ終了後は、エアシリンダ139のシリンダシャフト143が図8(B)において左方向へ移動することにより、支持ブラケット145が左方向へ移動するので、5本の給電シャフト135が同時に後退し、各給電シャフト135の先端が対応する各電極ピン35から離反し、図8(A)に示される原位置まで後退する。
【0084】
以上のことから、メッキ治具23内のウェハ27の抵抗値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキラインのメッキ治具搬送装置21へ取り付けられるので、メッキ治具23へのウェハ27のセット不良を除外できる。
【0085】
さらに、メッキラインにてメッキ治具23内のウェハ27の抵抗値が抵抗設定値以下である場合にのみ、メッキ処理されるので、メッキ治具23へのウェハ27のセット不良、メッキラインへのメッキ治具23の装着不良及びメッキラインのメッキ治具23の搬送中における外乱によるウェハ27のセット不良を除外できるので、メッキ不良品の製造を防止することができる。
【0086】
また、メッキラインにおいてウェハ27の抵抗測定を自動で行えると共に、データ取りも自動化されるため測定者のデータ転記ミスを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の実施の形態のメッキ装置の主要部を構成するメッキ治具搬送装置を示す概略的な斜視図である。
【図2】図1の左側から視た側面図である。
【図3】メッキ治具の分解斜視図である。
【図4】(A)はオフラインにおけるウェハの抵抗測定装置の平面図で、(B)は(A)のメッキ治具ホルダの右側から視た側面図である。
【図5】(A),(B)は、図2の矢視V−V線におけるクランプ装置の概略的な断面図である。
【図6】(A),(B)は、図2の矢視V−V線におけるウェハの抵抗測定装置の概略的な断面図である。
【図7】この発明の実施の形態における要部断面を含むメッキ槽の正面図である。
【図8】(A),(B)は、図7のVIII部の動作状態を示す拡大図である。
【図9】この発明の実施の形態のメッキ装置の全体的なレイアウトを示すもので、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 メッキ装置
9 銅メッキ槽(メッキ槽)
15 アンローダエリア
17 ローダエリア
19 LMガイドレール
21 メッキ治具搬送装置
23 メッキ治具
25 治具本体
27 ウェハ(半導体ウェハ;電子回路基板)
29 クランプ用穴部
31 メッキ用穴部
33A,33B,33C 接点
35 電極ピン(給電端子部)
37 導電線
39 押当て板
41 締付けボルト
43 長穴部
45 抵抗測定装置
47 メッキ治具ホルダ部
49 抵抗測定ピン
51 ヒンジ部
53 測定ピン押付け部
55 転送ケーブル
57 抵抗測定部
59 データ管理ユニット(PLC、比較判定部)
61 磁石
63 操作ボックス
65 測定開始ボタン
67 抵抗測定器
69 測定・調整切換スイッチ
71 OK・NG判定ランプ
77 LMガイドアクチュエータ(治具上下動装置)
79 キャリア部
81 クランプ装置
83 ケーブルベア
89 クランプアーム
91 掛止部
93 掛止用穴部
107 ウェハの抵抗測定装置
109 測定ピン用軸部
111 軸受部
113 測定ピン用アーム
115 抵抗測定ピン(抵抗測定端子部)
121 測定ピン回動用シリンダ
123 シリンダシャフト
125 転送ケーブル
127 抵抗測定部
135 給電シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキすべき電子回路基板をメッキ治具に取り付けて保持し、前記メッキ治具をメッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けた後、このメッキラインにて前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された測定値が予め設定された抵抗設定値以下のときはメッキ処理を行い、一方、前記測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記メッキ治具をメッキラインから除外することを特徴とする電子回路基板のメッキ方法。
【請求項2】
メッキすべき電子回路基板をメッキ治具に取り付けて保持し、前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された測定値と予め設定された抵抗設定値とを比較し、前記測定値が前記抵抗設定値以下のときは前記メッキ治具をメッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けてメッキ処理を行い、一方、前記測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記電子回路基板を再度前記メッキ治具にセットし直してから再び前記電子回路基板の抵抗値を測定して前記抵抗設定値と比較することを特徴とする電子回路基板のメッキ方法。
【請求項3】
メッキすべき電子回路基板をメッキ治具に取り付けて保持し、前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を測定し、この測定された第1測定値と予め設定された抵抗設定値とを比較し、前記第1測定値が前記抵抗設定値以下のときは、前記メッキ治具をメッキラインのメッキ治具搬送装置へ取り付けた後、このメッキラインにて前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗値を再度測定し、この測定された第2測定値が前記抵抗設定値以下のときはメッキ処理を行い、一方、前記第2測定値が前記抵抗設定値より大きいときは前記メッキ治具をメッキラインから除外することを特徴とする電子回路基板のメッキ方法。
【請求項4】
前記メッキ治具内の電子回路基板の抵抗測定点が、少なくとも3点であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の電子回路基板のメッキ方法。
【請求項5】
メッキすべき電子回路基板を保持すると共にメッキする際に前記電子回路基板に給電するための給電端子部を備えたメッキ治具と、
このメッキ治具をメッキラインのメッキ槽へ搬送するメッキ治具搬送装置を有するメッキ装置と、
メッキ処理する前に予め前記電子回路基板の抵抗値を測定する抵抗測定端子部を有する測定部と、
この測定部で測定した測定値が予め設定した抵抗設定値以下か否かを判定する比較判定部と、
を備えてなることを特徴とするメッキシステム。
【請求項6】
前記測定部の抵抗測定端子部が、メッキ装置における前記メッキ治具搬送装置に設けられると共に前記メッキ治具搬送装置に装着したメッキ治具の前記給電端子部に接触・離反自在に設けられていることを特徴とする請求項5記載のメッキシステム。
【請求項7】
前記測定部の抵抗測定端子部が、電子回路基板を装着したメッキ治具をホールドするメッキ治具ホルダに設けられると共に前記メッキ治具ホルダにホールドしたメッキ治具の前記給電端子部に接触・離反自在に設けられていることを特徴とする請求項5記載のメッキシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−291463(P2007−291463A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122036(P2006−122036)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】