説明

電子安全エレベータ

【課題】エレベータシステムの高機能化に対応すると共に、安全コントローラを適切に配置可能とし、信頼性及び安全関連の保守を容易にする。
【解決手段】乗りかごの運行を制御するエレベータ制御システムに対して異常な運転を防止する電子安全エレベータにおいて、エレベータ制御システム3への電源供給及び遮断を制御する安全回路4と、エレベータ制御システム3によって制御され、乗りかごに制動を与えるブレーキ8と、を備え、安全回路4及びブレーキ8は、複数の安全機能を実現する安全コントローラ1によって安全機能毎に制御可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全センサ,安全装置(安全コントローラ,非常止め装置など)が設けられ、異常,危険な恐れの運転を防止するエレベータに関し、特に、より高機能に電子化されたものに好適である。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベータシステムは制御機能が高度化し、複数台の乗りかごを制御する群管理、乗りかごの振動抑制、などの複雑な制御が組み込まれ、エレベータの運行制御と安全関連の制御が複雑に絡み合い、予期せぬ不具合が生じる恐れがあった。
【0003】
従来、エレベータの安全運転を促進し、かつ危険な状態が検出された場合に安全な停止を可能にするため、マイクロプロセッサベースのコントローラと種々のセンサとの間で制御およびデータ信号の交換を通信バスで行う電子安全システムが知られ、例えば、特許文献1に記載されている。また、電子安全コントローラが実質的に無くなっている状態がないようにするため、エレベータ制御部と電子安全コントローラとを通信可能し、所定のタイミングで電子安全コントローラとの通信状態を確認可能とすることが知られ、例えば、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−538061号公報
【特許文献2】国際公開第2006/106575号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術においては、マイクロプロセッサベースのコントローラと種々のセンサとで通信によりデータを伝送しているので、それらの間で通信が機能していることを確認することは行われているが、種々のセンサ(安全装置群)に対する必要とされる応答速度、あるいは応答遅れなどについては十分考慮されていない。
【0006】
特に、終端階強制減速機能(ETS機能)においては、非常止め及びブレーキなどは極めて即応性が要求され、特許文献2に記載のものでは、ETS装置は、調速機シーブの回転に応じた検出信号を発生する調速機エンコーダからの信号により、かごの走行速度及び位置を求め、終端階付近でのかごの走行速度がETS監視過速度に達したかどうかを監視し、昇降路内に設けられた基準位置センサの検出信号に基づいて、ETS装置内で求めたかごの位置の情報を修正している。
【0007】
したがって、安全コントローラを昇降路あるいは乗りかごのいずれに設置したとしても通信に必要とされる伝送経路が長く必要とされるので、非常止め及びブレーキが所望の性能を十分に達成できない可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、エレベータシステムの高機能化に対応すると共に、種々のセンサ(安全装置群)に対して安全コントローラを適切に配置可能とし、信頼性及び安全関連の保守を確実,容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、乗りかごの運行を制御するエレベータ制御システムに対して異常な運転を防止する電子安全エレベータにおいて、前記エレベータ制御システムへの電源供給及び遮断を制御する安全回路と、前記エレベータ制御システムによって制御され、前記乗りかごに制動を与えるブレーキと、を備え、前記安全回路及び前記ブレーキは、複数の安全機能を実現する安全コントローラによって前記安全機能毎に制御可能とされたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安全回路及びブレーキは、安全コントローラによって安全機能毎に制御可能とされているので、エレベータ制御システムによる制御機能と、複数の安全機能とが機能毎に独立し、エレベータシステムの高機能化に対応して安全コントローラを適切に配置可能とし、信頼性及び安全関連の保守を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明における一実施形態を示すブロック図。
【図2】本発明における一実施形態の配置を示す側面図。
【図3】本発明における一実施形態によるフロチャート。
【図4】本発明における一実施形態によるフロチャート。
【図5】本発明における他の実施形態を示すブロック図。
【図6】本発明における他の実施形態の配置を示す側面図。
【図7】さらに、他の実施形態を示すブロック図。
【図8】さらに、他の実施形態を示すブロック図。
【図9】図8の実施形態を説明する参考図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るエレベータシステムについて、図を参照して説明する。
図1は、システムの基本構成を示すブロック図、図2はエレベータ昇降路まで含めた配置を示す側面図であり、エレベータは、建屋に形成された昇降路内を複数の階床間に跨って移動する乗りかご20がロープ21を介しておもり22に接続されている。
【0013】
乗りかご20の移動は、モータ9によって行われ、モータ9には、エレベータ制御システム3による電力変換によって駆動用の電力供給が行われる。また、エンコーダなどのパルス発生器がモータ9に取り付けられており、モータ9の回転によって生じるパルスをエレベータ制御装置3が計数することにより、モータ9の速度、乗りかご20の昇降路移動方向の等価的な位置、移動距離などが計算され、乗りかごの乗り場への着床が行われる。乗りかご20には、乗り場側ドア23と係合して開閉する乗りかご側ドアが設けられている。
【0014】
昇降路内には、リミットスイッチ24が設けられ、これは乗りかご20が通常の移動範囲を超えた場合に動作し、電源遮断や非常止めを動作させエレベータを速やかに停止させる安全スイッチである。
【0015】
図1において、エレベータ制御システム3は、安全回路4を介して電源10と接続され、モータ9を駆動して乗りかごを移動、複数階床のうち所定階へ停止させるエレベータの基本的な動作を実施する。電源10は三相電源であることが多く、安全回路4は、複数の入力端子を持つコンタクタ(電磁接触器、又はソリッドステート・リレー)回路であり、エレベータを非常停止させる場合や異常があった場合に電源10を遮断し、エレベータ制御システム3への電源供給を停止させる。
【0016】
マイクロプロセッサにより構成された安全コントローラ1は、乗りかごに設置され乗りかごの位置、特に階床を検出する位置センサ6、速度を検出するローラ型の速度センサ7の信号が入力され、安全回路4の複数の入力端子のうち一方へ遮断指令、モータあるいは巻上機のブレーキ8(乗りかごに制動を与える)の動作指令、乗りかごに設置された電動の非常止め5を動作指令、を出力する。エレベータ制御システム3で異常を検出した場合、その信号を安全回路4の他方の入力端子へ遮断指令を出力する。
【0017】
安全装置群11(安全スイッチ)は、昇降路に設置されるリミットスイッチ24、乗り場側に設置され乗り場ドアの開閉を検出する乗り場ドアスイッチ、昇降路の底部に設置されたピットスイッチなどがあり、その信号が安全コントローラ1に入力される。
【0018】
また、安全コントローラ1が示す安全状態は、安全コントローラ1に接続された保守装置17へ出力され、安全コントローラ1に入力される信号の状況,動作状態安全関連の動作状況として出力される。安全関連の動作状況はディスプレイやLEDなどに表示され、保守員は保守装置を確認することにより、保守作業をより円滑に進めることができる。
【0019】
安全コントローラ1の機能である安全装置群11の動作検出について、図3を参照して説明する。この機能は、昇降路内に設置された安全スイッチに対するものであり、乗りかご20の過速保護以外を個別に取り込み処理する機能となる。また、昇降路内に設置された安全スイッチのいずれかが動作した場合、エレベータは危険な状態と判断される。つまり、取り込んだ入力に変化が生じた場合(S101)は、安全コントローラ1は「エレベータは危険な状態である」と判定し(S102)、安全回路4へ電源を遮断する指令を出力し、乗りかごをただちに停止させるためにブレーキ8を動作させる指令を出力する(S103)。
【0020】
また、どの安全装置(安全スイッチ)が異常を起こしたかログを取る(異常情報の履歴を記録する)こと(S104)で、保守装置17にログ情報を表示するので、保守員は必要なときにはいつでも保守情報を確認することができる。
【0021】
安全コントローラ1による他の機能であるETS機能について図4を参照して説明する。ETS機能は、乗りかご20の過速を検出しエレベータを停止させるものであり、乗りかごの位置情報を位置センサ6,速度情報をローラ型の速度センサ7より得る。乗りかご20を停止させるための処理は二段階(S201〜S203とS206〜S208)で行われる。
【0022】
位置センサ6と速度センサ7より乗りかごの現在位置と速度情報を検出し(S201)、現在位置・速度におけるブレーキ動作指令出力テーブルの閾値と比較する(S202)。現在位置における速度が閾値よりも小さい場合(S204)は、正常運行状態であり、処理を終了する。つまり、ブレーキ動作指令出力テーブルは、乗りかごの位置毎に許容できる速度の値を記録したデータテーブルである。
【0023】
現在位置における乗りかご速度が所定の閾値よりも大きい場合、第一段階の処理として安全回路4へ電源を遮断する指令と、モータのブレーキ8を動作させる指令を出力する(S206)。
【0024】
現在の速度と現在位置における非常止め動作指令テーブルの速度閾値を比較する(S207)。現在の速度が閾値よりも小さい場合は、引き続き乗りかごが停止するまでブレーキと電源遮断による停止を継続する(S209)。現在の速度が閾値よりも大きい場合は、第二段階の処理として電動の非常止め5を動作させる指令を出力する(S211)。
【0025】
ローラ型の速度センサ7は、乗りかご側からローラをガイドレールに押し付けローラに取り付けられたエンコーダにて乗りかご20の速度を検出する。速度センサは、乗りかご20上で乗りかご速度を検出可能であれば良く、例えば、非接触型速度センサとして、音波・電波で検出するセンサ、磁気テープやレールの磁化など磁界を利用して検出するセンサ,光の反射を利用して検出する反射型光電センサなどが良い。
【0026】
位置センサ6は、乗りかご20の昇降路内での絶対位置を検出すれば良く、乗りかご側に設置された光電センサと昇降路内に設置された反射板・遮蔽板の組み合わせ、磁界と金属の被検出体を利用した組み合わせなどが良い。また、絶対位置は位置センサのみで連続で検出するものでなく、昇降路内に設置された不連続な反射板の検出を、エンコーダなどで補間処理してもよい。さらに、位置センサ6が検出する位置情報から乗りかご20の速度情報が検出可能な場合は、位置センサが速度センサの機能を兼用してもよい。
【0027】
以上によれば、安全回路4及びブレーキ8は、安全コントローラ1によって昇降路内に設置された安全装置群16に対する機能と、乗りかごの位置及び速度情報による終端階強制減速機能と言う安全機能毎に制御可能とされている。したがって、通信による種々のセンサ(安全装置群)に対する必要とされる応答速度、あるいは応答遅れなどを考慮して、安全コントローラ1を図のように昇降路側となる制御盤に設置したり、乗りかご側に設置したり、することができるので、安全関連の各機能により最適な安全コントローラの配置や分散された構成をとることが可能となり、応答遅れや信号消失などを防ぐことが容易となる。特に、設計の自由度が増すことにより、ETS機能においては応答遅れ等を減らすことにより、昇降路長を短縮することも可能となる。
【0028】
また、エレベータ制御システムより安全関連機能を独立させることができ、安全関連の動作状況が表示されることから保守、安全関連機能の検証が容易となり、安全に関する信頼性が向上する。
【0029】
安全回路4,ブレーキ8は安全コントローラ1に対して独立した他の安全コントローラが接続及び制御可能とされており、安全コントローラ1を機能分散して独立したマイクロプロセッサで構成すればより信頼性を向上できる。
【0030】
図5,図6は、安全コントローラを二つに機能分散した他の実施形態を示し、制御盤側に第二安全コントローラ2を、乗りかご側に安全コントローラ1を設けている。
【0031】
昇降路16内に設置された安全装置群11(安全スイッチ)の信号は、第二安全コントローラ2に入力される。第二安全コントローラ2は、安全装置群11の動作により、安全回路4の複数の入力端子の一つへ遮断指令,モータあるいは巻上機のブレーキ8の動作指令を出力する。
【0032】
安全コントローラ1は、図6に示すように第二安全コントローラ2とは独立に、例えば、マイクロプロセッサとしても別となるように乗りかごに設置され、同じく乗りかごに設置された乗りかごの位置を検出する位置センサ6、速度を検出するローラ型の速度センサ7の信号が入力され、安全回路4の複数の入力端子のうち一つへ遮断指令、乗りかごに設置された電動の非常止め5を動作指令、を出力する。第二安全コントローラ2は図3の処理フローで表現される安全装置群11の動作検出の機能を、安全コントローラ1は図4の処理フローで表現されるETS機能を実施する。
【0033】
安全コントローラ1は乗りかご20に設けられているので、第二安全コントローラ2と機能分散させたことになり、信頼性を向上でき、特に、ETS機能に関係する位置センサ6,速度センサ7,電動の非常止め5との通信のための伝送距離を短縮でき、より高速の通信も信頼度が高く可能となり、応答遅れも減少できるなど性能を向上させることができる。
【0034】
つまり、ETS機能では、各センサの応答遅れが大きいほど乗りかごの空走距離が大きくなるので、昇降路のピット深さを長くして余裕を取らなければならず、その影響により昇降路を短縮できる長さが制限される。
【0035】
特に、従来のように、昇降路内にガバナを設置し、ガバナのプーリにエンコーダを設けて乗りかごの速度を検出する場合は、乗りかご20を制動する電動の非常止め5が乗りかごにある関係上、安全コントローラの位置に関わらず昇降路から乗りかごへ速度情報を伝達する通信遅れが増大し、昇降路長を短縮することが困難となる。また、情報を伝送する経路長を長くすることにより、通信エラーや断線などのリスクも高まる。このため、本例のようにETS機能で必要な構成要素を全て乗りかご20に集約する構成が良い。
【0036】
また、安全回路4は、複数(図5では三つ)入力が可能となっており、エレベータ制御システム3で異常を検出した場合、その信号を安全回路4のいずれかの入力端子へ遮断指令を出力する。
【0037】
さらに、第二安全コントローラ2が示す安全状態は、第二安全コントローラ2に接続された(第一)保守装置17へ、安全コントローラ1が示す動作状態は第二保守装置18へ出力される。
【0038】
以上によれば、エレベータ制御システム、第二安全コントローラ2による安全装置群11(安全スイッチ)の動作機能、安全コントローラ1によるETS機能が各々の独立したマイクロプロセッサでシステム構成できるので、安全関連機能ごとに検証作業を行うことが可能となり、安全に関する信頼性が向上する。また、安全関連機能ごとに適した場所に安全コントローラを設置すること、ETS機能を行う安全コントローラ1を第二安全コントローラ2よりも高速なものとすること、が可能となり、安全機能に合わせて機器間の応答遅れ・通信遅れや、信号消失といった影響を排除でき、制御性能の向上及び信頼性の向上が可能となる。
【0039】
図7は、さらに、他の実施形態を示し、安全コントローラ1より第二安全コントローラ2を介してブレーキ動作及び電源遮断の指令を伝達する手段20が設けてあり、保守装置21が第二安全コントローラ2のみに設けている。
【0040】
手段20は、第二安全コントローラ2と制御システムとをバス結合したり、ワイヤ伝送したり、により通信を利用する。安全コントローラ1は、直接的にブレーキ及び電源遮断を行うのではなく、第二安全コントローラ2にブレーキ動作及び電源遮断を実施する指令を伝達する。つまり、安全コントローラ1は、第二安全コントローラ2から見て見かけ上、昇降路内の安全装置の一つとしてみることができる。
【0041】
安全コントローラ1が直接的にブレーキ動作及び電源遮断を行う図5のような場合は、配線を安全コントローラ1からブレーキ及び安全回路まで引き回す必要があるが、本構成にすることで第二安全コントローラ2まで配線すればよく、省配線化による低コスト化や故障リスクの低減の効果がある。
【0042】
また、図5に示した場合は、安全コントローラ1と第二安全コントローラが完全に独立しているので、電動非常止めが動作した場合は、第二安全コントローラ2側では電動非常止めの動作状況を把握することができない。このため、各安全コントローラに保守装置が設けられている。しかしながら、図7のようにすることで、第二安全コントローラ2で安全装置の動作状況を一括して把握することが可能になり、一つの保守装置21のみで全ての安全関連機能の状態を知ることができる。
【0043】
以上によれば、安全コントローラ1より第二安全コントローラ2へブレーキ動作及び電源遮断の指令伝達手段を設けることにより、昇降路内の配線及びコネクタ類を省略でき、低コスト化及び故障リスク低減によるシステム信頼性の向上に寄与できると共に、第二安全コントローラ2に設けた保守装置のみで、昇降路内の安全装置の状態を把握することが可能になり、保守員の作業性が向上する。
【0044】
図8は、さらに、他の実施形態を示し、第二安全コントローラ2よりエレベータ制御システムに情報を送信するための手段30を設けている。この手段は、第二安全コントローラ2と制御システムとをバス結合、あるいはワイヤ伝送により通信を利用する。また、第二安全コントローラ2には安全コントローラ1よりブレーキ動作及び電源遮断を実施するための指令が入力されている。第二安全コントローラ2とエレベータ制御システム3が接続されているのは、エレベータ制御システム3側でも乗りかご運行制御に安全装置群11の信号を利用することができる。例えば、乗り場ドアの開閉を検出するスイッチは安全装置群11の一つであるが、エレベータを運行する場合、エレベータ制御システム3側で扉の開閉状態を認識して乗りかごを動かすため、安全機能だけでなく制御機能としても利用される。
【0045】
安全装置の信号をエレベータ制御システム3にも入力する構成として、図9に示すような第二安全コントローラ2とエレベータ制御システム3に平行に入力する場合、第二安全コントローラ2とエレベータ制御システム3それぞれに入力用の配線及びコネクタなどが必要となり、部品数増加により信頼性が低下する。
【0046】
しかし、第二安全コントローラ2からエレベータ制御システム3に必要な信号を送信することで、配線・部品などを省略し故障リスクを低減し、システムの信頼性を高めることが可能となる。
【0047】
また、エレベータ制御システム3が安全装置の組み合わせによる信号から安全装置やその他エレベータ装置の異常を事前に察知する診断を行い、安全コントローラがエレベータを停止させる前にエレベータ制御システムによる故障通知や停止が可能となる。
【0048】
診断は通常運転シーケンス中や、診断運転モードなどで実施される。エレベータシステムが行う診断は、故障の度合いによってエレベータを最寄階移動後に停止させるか、通常運転を継続するかなどを判断する。故障箇所は遠隔保守装置などにより保守センターに通知し保守情報として利用する。
【0049】
以上によれば、第二安全コントローラ2よりエレベータ制御システム3に情報を送信するための手段30を設けることで、配線・部品を省略しシステムの信頼性を高めることができる。また、エレベータ制御システム3に診断機能を設けることにより、第二安全コントローラ2がエレベータを停止させる前に装置の異常を検出し、保守情報に利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 安全コントローラ
2 第二安全コントローラ
3 エレベータ制御システム
4 安全回路
5 非常止め
6 位置センサ
7 速度センサ
8 ブレーキ
9 モータ
11 安全装置群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごの運行を制御するエレベータ制御システムに対して異常な運転を防止する電子安全エレベータにおいて、
前記エレベータ制御システムへの電源供給及び遮断を制御する安全回路と、
前記エレベータ制御システムによって制御され、前記乗りかごに制動を与えるブレーキと、
を備え、前記安全回路及び前記ブレーキは、複数の安全機能を実現する安全コントローラによって前記安全機能毎に制御可能とされたことを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、前記複数の安全機能は、昇降路内に設置された安全装置群に対する機能と、前記乗りかごの位置及び速度情報による終端階強制減速機能を有することを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項3】
請求項1に記載のものにおいて、前記乗りかごに設置され前記乗りかごの位置を検出する位置センサと、該位置センサの信号が入力される前記安全コントローラと、を備え、前記安全コントローラは、前記位置センサの信号に基づいて、前記安全回路、前記ブレーキへ動作指令を出力することを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項4】
請求項1に記載のものにおいて、前記乗りかごの位置を検出する位置センサと、該位置センサの信号が入力される前記安全コントローラと、が前記乗りかごに設置されたことを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項5】
請求項1に記載のものにおいて、昇降路に設置された安全装置群の信号が前記安全コントローラへ入力され、前記安全コントローラは、前記安全装置群の信号により、前記安全回路、前記ブレーキへ動作指令を出力することを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項6】
請求項1に記載のものにおいて、前記乗りかごに設置され前記安全コントローラへ前記乗りかごの速度を入力する速度センサを有し、前記安全コントローラは、前記乗りかごの位置及び前記乗りかごの速度に基づいて前記ブレーキを制御することを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項7】
請求項1に記載のものにおいて、前記乗りかごに設置された非常止めを有し、該非常止めは、前記安全コントローラによって制御されることを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項8】
請求項1に記載のものにおいて、前記安全コントローラは、前記安全機能に対応して独立したマイクロプロセッサで構成されることを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項9】
請求項1に記載のものにおいて、昇降路に設置された安全装置群の信号が入力される第二安全コントローラを有し、該第二安全コントローラは、前記安全装置群の信号により、前記安全回路、前記ブレーキへ動作指令を出力することを特徴とする電子安全エレベータ。
【請求項10】
請求項1に記載のものにおいて、昇降路に設置された安全装置群の信号が入力される第二安全コントローラを有し、前記安全コントローラは、前記位置センサの信号により、前記第二安全コントローラを介して前記安全回路、前記ブレーキへ動作指令を出力することを特徴とする電子安全エレベータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−121726(P2011−121726A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281106(P2009−281106)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】