説明

電子材料用研磨液

【課題】電子材料製造工程中の研磨工程において、従来の研磨液と比較してスクラッチが入りにくく、また、研磨後の基板に付着するパーティクル数を低減する電子材料用研磨液および、この研磨液を使用して電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 重量平均分子量が1,000 〜200,000である中和塩(AB)および水を必須成分として含有する電子材料用研磨液、およびこの研磨液を使用して電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料用研磨液、この研磨液を用いて電子材料中間体を研磨する研磨方法、及び、この研磨方法で電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法に関する。
さらに詳しくは、電子材料製造工程中の研磨工程において使用し、従来と比較して研磨速度の持続性が良く、かつ電子材料の表面品質が向上する電子材料用研磨液、およびこの電子材料用研磨液を用いて電子材料中間体を研磨する研磨方法、及び、この研磨方法で電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子材料、とりわけ磁気ディスクは、年々小型化、高容量化の一途をたどっており、磁気ヘッドと磁気ディスク基板間の距離がますます小さくなってきている。そのため、磁気ディスク基板の製造での研磨工程直後の洗浄工程で、研磨に使用した研磨粒子や発生した研磨屑等のパーティクルの残留が極力発生しない基板が求められている。これに加えて、近年は特に、スクラッチやピット等の表面欠陥の低減が求められるようになってきている。
【0003】
磁気ディスク製造工程は、基板用の板を面取り加工する工程であるラッピング工程と、平坦化した基板を作成する工程であるサブストレート製造工程と、磁性層をこの基板上に形成する工程であるメディア工程を含む。
これらのうち、ラッピング工程では、基板を粗く面取りするためにダイヤモンド等の砥石を樹脂で固定した研磨パッドと研磨液を用いて、基板の主表面や端面の研磨をおこない、それに続く洗浄工程で基板の主表面や端面の研磨屑を除去した後、乾燥工程を経て、加工された基板はサブストレート工程に輸送される。
また、サブストレート工程では、基板の平坦化のために研磨パッドと、コロイダルシリカ、酸化セリウム等の研磨粒子を含む研磨液による研磨を行い、それに続く洗浄工程で基板表面の研磨粒子や発生した研磨屑等のパーティクルを除去した後、乾燥工程を経て、加工された基板は所定の容器に梱包されメディア工程に輸送される。
【0004】
研磨液中の研磨粒子や発生した研磨屑は非常に細かいため凝集しやすく、これらの凝集物は、基板を研磨する工程において、基板の表面品質に影響を与えることがある。例えば、これら凝集物と基板との間に抵抗が生じて基板上にスクラッチが発生することがある。基板上に発生したスクラッチは、例えば後のメディア工程での磁性膜との基板との密着不良の原因となり、磁気ディスクの高容量化を妨げる一因となりうる。
そのため、前述したスクラッチ発生の低減や研磨速度の低下を抑制するために、従来からベンゾトリアゾール等のアゾール類やマレイン酸、芳香族スルホン酸塩などを含有する研磨液が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
また、基板表面へのパーティクル付着を低減するために、従来からヒドロキシエチルセルロースを含有する研磨液が提案されている(例えば特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−92064号公報
【特許文献2】特開2005−138197号公報
【特許文献3】特開平8−109389号公報
【特許文献4】特開平11−116942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜4に代表されるような従来の研磨液では研磨中のスクラッチ発生やパーティクルの付着等を抑える効果が十分でなく、高容量化を実現するために許容される基板品質に対応できるものではなかった。
そこで、電子材料製造工程中の研磨工程において、従来の研磨液と比較してスクラッチ等の基板の欠陥が少なく、研磨で発生した研磨屑を容易に除去でき、さらに、研磨工程での研磨速度を持続できる電子材料用研磨液および、この研磨液を使用して電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、重量平均分子量が1,000 〜200,000である中和塩(AB)および水を必須成分として含有する電子材料用研磨液、この電子材料用研磨液を用いて電子材料中間体を研磨する研磨方法、及び、この研磨方法で電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法を提供することを目的とする。
中和塩(AB):分子内に少なくとも1つの酸基(X)を有する酸性化合物(A)と、プロトン付加反応における生成熱変化(Q2)が10〜152kcal/molである窒素含有塩基性化合物(B)との塩であって、前記酸基(X)の酸解離反応における生成熱変化(Q1)が3〜200kcal/molである中和塩。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子材料用研磨液は、従来の研磨液と比較して、研磨工程において被研磨物の表面に生じるスクラッチ発生を格段に低減する効果を有する。また、研磨中のパーティクルの付着を低減して、その後に続く洗浄工程において上記パーティクルを基板から除去しやすくする効果を有する。
そのため、スクラッチやピットなどの表面欠陥やパーティクルの残留が少ない電子材料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における電子材料とは、製造工程中に研磨パッドを用いて研磨する工程を含む電子材料であれば特に限定するものではない。
例えば、(1)ハードディスク用ガラス基板および表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされたハードディスク用アルミ基板等の磁気ディスク用基板、(2)半導体素子及びシリコンウェハ等の半導体基板、(3)SiC基板、GaAs基板、GaN基板、AlGaAs基板等の化合物半導体基板、(4)LED等のサファイヤ基板等が挙げられる。
【0010】
これらのうち、生産効率向上の観点で好ましくはハードディスク用基板であり、具体的にハードディスク用ガラス基板、および表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされたハードディスク用アルミ基板である。更に好ましくはハードディスク用ガラス基板である。
【0011】
本発明における研磨液とは、材料を砥石や研磨粒子を用いて平坦に加工する工程で使用する研磨液のことを指し、例えば砥石が固定された研磨パッドを用いて粗く面取りするラッピング工程時に使用するラップ液や、研磨粒子を用いて精密に平坦化する研磨工程時に使用する研磨スラリーを含む。
【0012】
研磨する工程において使用する研磨パッドとは、ポリウレタン樹脂製やポリエステル樹脂製のパッドであり、表面にダイヤモンド等の砥石が固定されているパッドを含む。また、発泡タイプであってもスエードタイプであっても良く、様々な硬さのものが使用できる。これら研磨パッドは特に限定するものではなく、市販されている研磨パッドを使用することができる。
研磨パッドは、前述した粗く面取り加工するラッピング工程や、研磨粒子を用いて精密に平坦化する研磨工程で、研磨装置の定盤に貼り付けて使用される。
【0013】
本発明の電子材料用研磨液は、重量平均分子量が1,000〜200,000である中和塩(AB)および水を必須成分として含有する電子材料用研磨液であることを特徴とする。
【0014】
本発明における中和塩(AB)は、酸性化合物(A1)と化合物(B)との中和塩(AB1)及び/又はポリマー(A2)と化合物(B)との中和塩(AB2)からなる。
中和塩(AB1)は、酸解離反応における生成熱変化(Q1)が3〜200kcal/molである酸の酸基(X1)と炭素数が1〜36の疎水基(Y)とをそれぞれ少なくとも1つ有する酸性化合物(A1)と、プロトン付加反応における生成熱変化(Q2)が10〜152kcal/molである化合物(B)との中和塩であって、(X1)がスルホン酸基、硫酸基、カルボキシメチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、(ジ)カルボキシメチルアミノ基及び(ジ)カルボキシエチルアミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である中和塩であり、中和塩(AB2)は、分子内に少なくとも1つの酸基(X2)を有するポリマー(A2)と、プロトン付加反応における生成熱変化(Q2)が10〜152kcal/molである化合物(B)との中和塩である。
【0015】
酸性化合物(A1)は、酸解離反応における生成熱変化(Q1)が3〜200kcal/molである酸の酸基(X1)と炭素数が1〜36の疎水基(Y)とをそれぞれ少なくとも1つ有するものであり、ポリマー(A2)は、分子内に少なくとも1つの酸基(X2)を有するものである。酸基(X2)も、酸解離反応における生成熱変化(Q1)が3〜200kcal/molであるものが好ましい。
酸基(X1)、(X2)の酸解離反応における生成熱変化(Q1)とは、下記式(1)に示す酸(HX)の酸解離反応におけるHXの生成熱とXとの生成熱との差を意味する。
HX→H+X (1)
なお、酸基(X1)の酸解離反応における生成熱変化は、疎水基(Y)を水素原子と仮定した値である。
また、酸基(X2)の酸解離反応における生成熱変化は、酸基(X2)が結合しているポリマー鎖を水素原子と仮定した値である。
例えば、スルホン酸基(−SOH)の場合、H−SOHとして計算した値;硫酸基(−OSOH)の場合、H−OSOHとして計算した値;カルボキシル基(−COOH)の場合、H−COOHとして計算した値;カルボキシメチルオキシ基(−OCHCOOH)の場合、H−OCHCOOHとして計算した値;カルボキシエチルオキシ基(−OCHCHCOOH)の場合、H−OCHCHCOOHとして計算した値;(ジ)カルボキシメチルアミノ基(−NRCHCOOH又は−N(CHCOOH))の場合、H−NHCHCOOHとして計算した値;(ジ)カルボキシエチルアミノ基(−NRCHCHCOOH又は−N(CHCHCOOH))の場合、H−NHCHCHCOOHとして計算した値である。なお、Rは水素原子または炭素数1〜24のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルなど)を表す。
【0016】
すなわち、生成熱変化(Q1)は下記式(2)で表される。
Q1=ΔHX−ΔX− (2)
[式中、ΔHX、ΔX−は、それぞれ順に、HX、Xについての真空中における生成熱を表す。]
【0017】
ここで、生成熱(Δ)の値は、J.Chem.Soc.PerkinTrans.2,p.923(1995)に記載の半経験的分子軌道法(MOPACPM3法)を用いて計算することができる。
この生成熱の値は、たとえば、富士通株式会社製「CAChe Worksystem6.01」を用いて真空中における生成熱(25℃)として計算できる。すなわち、この生成熱の値は、計算したい分子構造を「WorkSpace」上で書き、分子力場法である「MM2 geometry」で構造最適化した後、半経験的分子軌道法である「PM3 geometry」で計算することにより得られる。
【0018】
また、酸基(X1)または(X2)の酸解離反応における生成熱変化(Q1)(kcal/mol、25℃)は、3〜200が好ましく、ゼータ電位を下げるという観点等から、さらに好ましくは10〜150、特に好ましくは20〜65である。
【0019】
酸基(X2)としては、スルホン酸基(−SOH)(Q1=32kcal/mol)、硫酸基(−OSOH)(Q1=46kcal/mol)、カルボキシル基(−COOH)(Q1=21kcal/mol)などが挙げられる。
なお、カルボキシル基としては、カルボキシル基(−COOH)の他に、カルボキシメチルオキシ基(−OCHCOOH)(Q1=19kcal/mol)、カルボキシエチルオキシ基(−OCHCHCOOH)(Q1=20kcal/mol)、(ジ)カルボキシメチルアミノ基(−NRCHCOOH又は−N(CHCOOH))(Q1=26kcal/mol)、(ジ)カルボキシエチルアミノ基(−NRCHCHCOOH又は−N(CHCHCOOH))(Q1=20kcal/mol)などが含まれる。
これらの酸基のうち、パーティクルの再付着防止性および工業的に生産しやすい観点等から、スルホン酸基、硫酸基及びカルボキシル基が好ましく中和塩(AB2)の加水分解の防止の観点等から、さらに好ましくはスルホン酸基及びカルボキシル基である。
【0020】
酸基(X1)としては、上記で例示した酸基(X2)の内、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシメチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、(ジ)カルボキシメチルアミノ基、(ジ)カルボキシエチルアミノ基などが挙げられる。
これらの酸基のうち、パーティクルの再付着防止性および工業的に生産しやすい観点等から、スルホン酸基、硫酸基、カルボキシメチルオキシ基及びカルボキシエチルオキシ基が好ましく、中和塩(AB1)の加水分解の防止の観点等から、さらに好ましくはスルホン酸基、カルボキシメチルオキシ基及びカルボキシエチルオキシ基である。
【0021】
酸性化合物(A1)中の疎水基(Y)としては、脂肪族炭化水素基、芳香環含有炭化水素基等が含まれる。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜36のアルキル基、炭素数2〜36のアルケニル基、炭素数3〜36のシクロアルキル基等が含まれる(直鎖状又は分岐状のいずれでもよい)。
アルキル基としては、メチル、エチル、n−又はi−プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどが挙げられる。
アルケニル基としては、n−又はi−プロペニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニルなどが挙げられる。
【0022】
シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。
【0023】
芳香環含有炭化水素基としては、炭素数7〜36の芳香族炭化水素等が含まれ、メチルフェニル、エチルフェニル、n−又はi−プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、オクチルナフチル、ノニルナフチルなどが挙げられる。
【0024】
疎水基(Y)のうち、脂肪族炭化水素基および芳香環含有炭化水素基が好ましく、さらに好ましくは、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、ドデシルフェニル、オクチルナフチル、ノニルナフチル、ドデシルナフチル、特に好ましくはオクチル、ノニル、ドデシル、オクチルフェニル、ドデシルフェニル、オクチルナフチルである。
【0025】
疎水基(Y)の炭素数は、1〜36であり、さらに好ましくは4〜24、特に好ましくは8〜24である。これらの疎水基は、水素原子の一部又は全部が他の原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)または官能基(水酸基、アミノ基、メルカプト基、パーフルオロアルキル基、カルボキシル基や、エーテル結合、アミド結合、又はエステル結合を含む有機基など)で置換されていてもよく、またこの官能基には1個以上のオキシアルキレン基を含んでもよい。
【0026】
酸性化合物(A1)としては、以下の化合物等が含まれる。
スルホン酸基を有する化合物(A1−1)
アルキルスルホン酸(オクチルスルホン酸、デシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ミリスチルスルホン酸、セチルスルホン酸、ステアリルスルホン酸など)、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸(トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、エイコシルベンゼンスルホン酸など)、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(メチルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、エイコシルナフタレンスルホン酸など)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸(ポリオキシエチレンオクチルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホン酸など)等のうち重量平均分子量が1,000以上のものが挙げられる。
【0027】
硫酸基を有する化合物(A1−2)
アルキル硫酸エステル(オクチル硫酸エステル、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル、ミリスチル硫酸エステル、セチル硫酸エステル、ステアリル硫酸エステルなど)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル(ポリオキシエチレンオクチルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルなど)、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルなど)等のうち重量平均分子量が1,000以上のものが挙げられる。
【0028】
これらのうち、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキロイルアミノエチルスルホン酸、アルキル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル、アシルアミドアルキル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのカルボキシメチル化物のうち重量平均分子量が1,000以上のものが好ましく、さらに好ましくはアルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、スルホコハク酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキロイルアミノエチルスルホン酸のうち重量平均分子量が1,000以上のものである。
酸性化合物(A1)は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0029】
酸性化合物(A1)のHLB値は、5〜30が好ましく、さらに好ましくは7〜17、特に好ましくは10〜15、最も好ましくは10.5〜14.5である。
なお、本発明において、HLB値は、小田法により、式(3)を用いて算出される値である(藤本武彦著、界面活性剤入門(三洋化成工業株式会社)、p212(2007))。
【0030】
HLB=10×(無機性/有機性) (3)
なお、式中の有機性、無機性とは、分子を構成する原子及び官能基ごとに定められた数値の合計値であり、上記文献中に記載された値を用いることができる。
【0031】
酸性化合物(A1)のpKaは、8.0以下が好ましく、ゼータ電位を下げるという観点等から、さらに好ましくは7.0以下、特に好ましくは5.5以下、最も好ましくは3.0以下である。また、好ましくは0.5以上である。ここでpKaとは一段階目の酸解離定数を意味する。なお、pKaは、公知の方法{例えば、J.Am.Chem.Soc.,1673(1967)}等により得られる。
【0032】
酸基(X2)を少なくとも1つ有するポリマー(A2)としては、パーティクルの再付着防止性の観点等から、スルホン酸基を有するポリマー(A2−1)、硫酸基を有するポリマー(A2−2)、及びカルボキシル基を有するポリマー(A2−3)が好ましく、さらに好ましくはスルホン酸基を有するポリマー(A2−1)及びカルボキシル基を有するポリマー(A2−3)である。
【0033】
スルホン酸基を有するポリマー(A2−1)としては、スルホン酸基を有する不飽和モノマー(aX−1)を用いてラジカル重合により得られるポリマー(A2−1−1)、分子内にスルホン酸基を有する芳香族化合物(aY−1)を用いてホルムアルデヒドとの重縮合反応によって得られるポリマー(A2−1−2)などが挙げられる。
【0034】
硫酸基を有するポリマー(A2−2)としては、硫酸基を有する不飽和モノマー(aX−2)を用いてラジカル重合により得られるポリマー(A2−2−1)などが挙げられる。
【0035】
カルボキシル基を有するポリマー(A2−3)としては、カルボキシル基を有する不飽和モノマー(aX−3)を用いてラジカル重合により得られるポリマー(A2−3−1)、などが挙げられる。
【0036】
ポリマー(A2)の内で、パーティクル再付着防止性の観点等から、カルボキシル基を有するポリマー(A2−3)、スルホン酸基を有するポリマー(A2−1)が好ましく、さらに好ましくは(A2−3−1)、(A2−1−1)及び(A2−1−2)である。
本発明に用いるポリマー(A2)は、単独で用いても良いが、2種以上の混合物として用いることもできる。
【0037】
スルホン酸基を有する不飽和モノマー(aX−1)としては、炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸(ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸など)、炭素数6〜24の芳香族不飽和スルホン酸(スチレンスルホン酸、p−ノニルスチレンスルホン酸など)、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート{2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸など}、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド{2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、など}などが挙げられる。
これらの内、重合性および水中における耐加水分解性の観点等から、炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸、芳香族不飽和スルホン酸及びスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドが好ましく、さらに好ましくはビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸である。
【0038】
硫酸基を有する不飽和モノマー(aX−2)としては、水酸基含有モノマーの硫酸エステルなどが挙げられる。
これらの内、重合性の観点等から、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの硫酸エステルが好ましく、さらに好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの硫酸エステルである。
【0039】
カルボキシル基を有する不飽和モノマー(aX−3)としては、不飽和モノカルボン酸{(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、アリル酢酸、(イソ)クロトン酸、シンナミック酸およびアクリル酸2−カルボキシエチルなど}、不飽和ジカルボン酸およびそれらの無水物{(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、メサコン酸など}が挙げられる。
これらの内、重合性および水中における耐加水分解性の観点等から、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸およびそれらの無水物が好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸及び(無水)イタコン酸である。
【0040】
不飽和モノマーを用いてラジカル重合により得られるポリマー(A2−1−1)〜(A2−3−1)には、スルホン酸基を有する不飽和モノマー(aX−1)、硫酸基を有する不飽和モノマー(aX−2)、カルボキシル基を有する不飽和モノマー(aX−3)以外のラジカル重合性不飽和モノマーを共重合させることができる。
【0041】
モノマー(aX−1)〜(aX−3)は、それぞれ、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。共重合体の場合は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれの構造であってもよい。
【0042】
ポリマー(A2−1−1)の具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、ポリ{2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸}、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/アクリルアミド共重合体、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸/スチレン/アクリルアミド共重合体などが挙げられる。
【0043】
ポリマー(A2−2−1)の具体例としては、ポリ{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート硫酸エステル}、2−ヒドロキシエチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルアクリレート硫酸エステル共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート硫酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0044】
ポリマー(A2−3−1)の具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニル共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0045】
不飽和モノマーを用いてラジカル重合により得られるポリマー(A2−1−1)〜(A2−3−1)の合成方法としては、公知のラジカル重合法が利用できる。例えば、モノマー(aX−1)〜(aX−3)と必要によりその他のラジカル重合性不飽和モノマーからなるモノマーと、ラジカル開始剤(過硫酸塩、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスイソブチルニトリルなど)を、モノマーに対して0.1〜30重量%用い、水またはアルコール系溶剤などの溶媒中で30〜150℃の温度にて重合する。必要であれば、メルカプタンなどの連鎖移動剤を用いてもよい。
【0046】
ポリマー(A2−1−2)を合成する際に用いるスルホン酸基を有する芳香族化合物(aY−1)としては、アリールスルホン酸(ベンゼンスルホン酸など)、アルキル(炭素数1〜24)アリールスルホン酸(トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、モノブチルビフェニルスルホン酸など)、多環芳香族スルホン酸(ナフタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸、ヒドロキシアントラセンスルホン酸など)、アルキル(炭素数1〜24)置換多環芳香族スルホン酸{アルキル(炭素数1〜24)ナフタレンスルホン酸(メチルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、ラウリルナフタレンスルホン酸、エイコシルナフタレンスルホン酸など)、メチルアントラセンスルホン酸、ラウリルアントラセンスルホン酸、エイコシルアントラセンスルホン酸など}、フェノールスルホン酸(フェノールスルホン酸、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸など)、アルキル(炭素数1〜24)フェノールスルホン酸(クレゾールスルホン酸、ノニルフェノールスルホン酸、エイコシルフェノールスルホン酸など)、芳香族アミノスルホン酸(アニリンスルホン酸など)、リグニンスルホン酸(リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸)、トリアジン環を有するスルホン酸基含有化合物(メラミンスルホン酸など)などが挙げられる。
これらの内で再付着防止性の観点等から、アルキル(炭素数1〜24)アリールスルホン酸、多環芳香族スルホン酸、アルキル(炭素数1〜24)置換多環芳香族スルホン酸が好ましく、さらに好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸である。
【0047】
ポリマー(A2−1−2)には、スルホン酸基を有する芳香族化合物(aY−1)以外に、必要によりその他の芳香族化合物(aO)や尿素等を構成成分とすることができる。
その他の芳香族化合物(aO)としては、ベンゼン、アルキルベンゼン(アルキル基の炭素数1〜20)、ナフタレン、アルキルナフタレン(アルキル基の炭素数1〜20)、フェノール、クレゾール、ヒドロキシナフタレン、アニリンなどが挙げられる。
【0048】
ポリマー(A2−1−2)の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ジメチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、オクチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸−メチルナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸−オクチルナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物、ヒドロキシナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ヒドロキシナフタレンスルホン酸−クレゾールスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アニリンスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。
【0049】
ポリマー(A2−1−2)の合成方法としては、公知の方法が利用できる。例えば、上記スルホン酸基を有する芳香族化合物(aY−1)と、必要によりその他の化合物(aO)や尿素、触媒として用いる酸(硫酸など)またはアルカリ(水酸化ナトリウムなど)を反応容器に仕込み、70〜90℃の攪拌下で所定量のホルマリン水溶液(例えば37重量%水溶液)を1〜4時間かけて滴下し、滴下後、還流下で3〜30時間攪拌して冷却する方法が挙げられる。
また化合物(aY−1)は、予め一部または全部のスルホン酸基を化合物(B)で中和したものを用いて、ポリマー(A2−1−2)を合成すると同時に直接中和塩(AB2)を得てもよい。
その他の化合物(aO)を用いる場合、(aY−1)と(aO)とのモル比{(aY−1)/(aO)}は、1〜99/99〜1が好ましく、さらに好ましくは10〜90/90〜10、特に好ましくは30〜85/70〜15、最も好ましくは50〜80/50〜20である。
【0050】
尿素を用いる場合、(aY−1)と尿素とのモル比{(aY−1)/尿素}は、1〜99/99〜1が好ましく、さらに好ましくは10〜90/90〜10、特に好ましくは30〜85/70〜15、最も好ましくは50〜80/50〜20である。
【0051】
また、(aY−1)または(aO)は2種以上の混合物として用いてもよい。
ポリマー(A2)のpKaは、8.0以下が好ましく、ゼータ電位を下げるという観点等から、さらに好ましくは7.0以下、特に好ましくは5.5以下、最も好ましくは3.0以下である。pKaは、前記の方法により求めることができる。
【0052】
ポリマー(A2)の重量平均分子量(以下、Mwと略記。)は、スクラッチ低減等の表面品質向上および低泡性の観点等から、300〜200,000が好ましく、さらに好ましくは1000〜100,000である。
上記Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記。)によって、ポリエチレンオキシドを標準物質として40℃で測定される値である。たとえば、装置本体:東ソー(株)製HLC−8120、カラム:東ソー(株)製TSKgelG5000 PWXL、G3000PW XL、検出器:装置本体内蔵の示差屈折計検出器、溶離液:0.2M無水硫酸ナトリウム、10%アセトニトリル緩衝液、溶離液流量:0.8ml/分、カラム温度:40℃、試料:1.0重量%の溶離液溶液、注入量:100μl、標準物質:東ソー(株)製TSK SE−30、SE−15、SE−8、SE−5。
【0053】
次に、中和塩(AB1)及び(AB2)を構成する化合物(B)について説明する。
本発明では、化合物(B)として、プロトン付加反応における生成熱変化(Q2)が10〜152kcal/molであるものを用いる。
本発明において、プロトン付加反応における生成熱変化(Q2)とは、下記式(4)に示す化合物(B)のプロトン付加反応におけるBの生成熱とHBの生成熱との差を意味する。
B+H→HB (4)
【0054】
すなわち、Q2は下記式(5)で表される。
Q2=ΔH+B−Δ (5)
[式中、ΔH+B、Δは、それぞれ順に、HB、Bについての真空中における生成熱を表す。]
【0055】
生成熱(Δ)の値は、上述したように、半経験的分子軌道法(MOPACPM3法)を用いて計算することができる。
なお、HBの生成熱を計算する際のHを付加させる位置は、化合物(B)に含まれる窒素原子上である。また窒素原子が複数個存在する場合、各窒素原子ごとに生成熱を計算し、Bの生成熱とHBの生成熱の差が最小になる時の値を生成熱変化(Q2)とする。
【0056】
化合物(B)のプロトン付加反応における生成熱変化(Q2)(kcal/mol、25℃)は、10〜152であり、ゼータ電位を下げるという観点等から、好ましくは30〜148、更に好ましくは40〜145、特に好ましくは50〜143、最も好ましくは100〜141ある。
【0057】
化合物(B)は、上記のプロトン付加反応における生成熱変化(Q2)が10〜152kcal/molの範囲にあれば制限なく、例えば、分子内に少なくとも1つのグアニジン骨格を有する化合物(B−1)、分子内に少なくとも1つのアミジン骨格を有する化合物(B−2)などが含まれる。
【0058】
化合物(B)の分子体積(nm)は、0.025〜0.7が好ましく、ゼータ電位を下げるという観点等から、さらに好ましくは0.050〜0.5、特に好ましくは0.12〜0.36である。
ここで分子体積とは、分子の等電子密度面でできる空間の体積を指し、分子力場法であるMM2(Allinger,N.L.,J.Am.Chem.Soc.,99,8127(1977))及び半経験的分子軌道法であるPM3(Stewart,J.J.P.,J.Am.Chem.Soc.,10,221(1989))を用いて計算した最適化構造から得ることができる。たとえば、前記の富士通株式会社製「CACheWorksystem6.01」を用いて、同様に構造最適化した後、「ProjectLeader」上で半経験的分子軌道法である「PM3 geometry」により、計算することができる。なお、計算の結果、分子体積の値が複数個得られた場合については、最大値を用いる。
【0059】
化合物(B−1)の具体例としては、グアニジン{グアニジン(Q2=147kcal/mol、分子体積=0.062nm)、メチルグアニジン(Q2=144kcal/mol、分子体積=0.084nm)、テトラメチルグアニジン(Q2=145kcal/mol、分子体積=0.147nm)、エチルグアニジン(Q2=142kcal/mol、分子体積=0.104nm)、フェニルグアニジン(Q2=141kcal/mol、分子体積=0.139nm)など}、単環式グアニジン[2−アミノ−イミダゾール{2−アミノ−1H−イミダゾール(Q2=146kcal/mol、分子体積=0.080nm)、2−ジメチルアミノ−1H−イミダゾール(Q2=138kcal/mol、分子体積=0.113nm)など}、多環式グアニジン{1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン(以下TBDと略記)(Q2=147kcal/mol、分子体積=0.159nm)や1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン(以下MTBDと略記)(Q2=139kcal/mol、分子体積=0.180nm)など}などが挙げられる。
【0060】
化合物(B−2)の具体例としては、イミダゾール{1H−イミダゾール(Q2=147kcal/mol、分子体積=0.067nm)、2−メチル−1H−イミダゾール(Q2=144kcal/mol、分子体積=0.113nm)、2−エチル−1H−イミダゾール(Q2=143kcal/mol、分子体積=0.113nm)、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール(Q2=147kcal/mol、分子体積=0.113nm)、2−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール(Q2=147kcal/mol、分子体積=0.113nm)、2−エチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール(Q2=145kcal/mol、分子体積=0.119nm)など}、下記一般式(6)で表される2環式アミジンなどが挙げられる。
【0061】
【化1】

【0062】
{式中、R及びRは、互いに独立して水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数7〜30のアリールアルキル基を表し、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びアリールアルキル基中の水素原子の一部又は全部が水酸基、アミノ基、(ジ)アルキル(炭素数1〜24)アミノ基、(ジ)ヒドロキシアルキル(炭素数2〜4)アミノ基、メルカプト基またはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)によってさらに置換されていてもよい。また2つのR及び2つのRは、同一であってもよいし異なっていてもよく、互いに結合(炭素−炭素結合、エーテル結合等)して炭素数4〜12の環を形成してもよい。mおよびnは互いに独立して1〜12の整数を表す。}
【0063】
炭素数1〜24のアルキル基又は炭素数2〜24のアルケニル基としては、疎水基(Y)で例示したアルキル基又はアルケニル基の内、炭素数1〜24のものが挙げられる。
炭素数2〜30のアルキニル基としては、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−又は2−ドデシニル、1−又は2−トリデシニル、1−又は2−テトラデシニル、1−又は2−ヘキサデシニル、1−又は2−ステアリニル、1−又は2−ノナデシニル、1−又は2−エイコシニル、1−又は2−テトラコシニルが挙げられる。
【0064】
炭素数6〜30のアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル及びメチルナフチルなどが挙げられる。
炭素数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、7−フェニルヘプチル、8−フェニルオクチル、10−フェニルデシル、12−フェニルドデシル、ナフチルメチル、ナフチルエチルなどが挙げられる。
【0065】
2つのR又は2つのRが互いに結合して炭素数4〜12の環を形成する場合、2つのR又は2つのRは、2価の有機基(炭素数4〜12のアルキレン基等)を形成する。
炭素数4〜12のアルキレン基としては、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、デシレン、ドデシレンなどが挙げられ、これらのアルキレン基はエーテル結合等で結合されていてもよい。
【0066】
一般式(6)で表される化合物の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(以下DBUと略記。なお、DBUはサンアプロ社の登録商標である。)(Q2=137kcal/mol、分子体積=0.185nm)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(以下DBNと略記)(Q2=141kcal/mol、分子体積=0.146nm)、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]デセン−7(Q2=142kcal/mol、分子体積=0.166nm)、1,4−ジアザビシクロ[3.3.0]オクテン−4(Q2=146kcal/mol、分子体積=0.126nm)などが挙げられる。
【0067】
化合物(B)としては、ゼータ電位の観点等から、(B−1)の内、グアニジン、メチルグアニジン、エチルグアニジン、(B−2)の内、DBU、DBNであり、さらに好ましくはDBUならびにDBNである。
化合物(B)は、単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0068】
また化合物(B)のpKaは、10〜30が好ましく、ゼータ電位を下げるという観点等から、さらに好ましくは11.5〜30、特に好ましくは12〜25である。
なお、化合物(B)のpKaは、公知の方法{例えば、Can.J.Chem.65,626(1987)}等により得られる。
【0069】
本発明において、酸性化合物(A1)と化合物(B)との中和塩(AB1)、ポリマー(A2)と化合物(B)との中和塩(AB2)は、酸基(X1)又は(X2)の一部若しくは全部が(B)で中和されていればよい。
【0070】
中和塩(AB1)の具体例としては、以下の化合物等が含まれる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩(トルエンスルホン酸グアニジン塩、トルエンスルホン酸DBU塩、トルエンスルホン酸DBN塩、キシレンスルホン酸グアニジン塩、キシレンスルホン酸DBU塩、キシレンスルホン酸DBN塩、ドデシルベンゼンスルホン酸グアニジン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸DBU塩、ドデシルベンゼンスルホン酸DBN塩など)、ナフタレンスルホン酸塩(ナフタレンスルホン酸グアニジン塩、ナフタレンスルホン酸DBU塩、ナフタレンスルホン酸DBN塩など)、
アルキルナフタレンスルホン酸塩(メチルナフタレンスルホン酸グアニジン塩、メチルナフタレンスルホン酸DBU塩、メチルナフタレンスルホン酸DBN塩、ドデシルナフタレンスルホン酸グアニジン塩、ドデシルナフタレンスルホン酸DBU塩、ドデシルナフタレンスルホン酸DBN塩など)、
【0071】
中和塩(AB2)の具体例としては、以下の化合物等が含まれる。
ポリアクリル酸塩(ポリアクリル酸DBU塩、ポリアクリル酸DBN塩など)、
ポリスチレンスルホン酸塩(ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩、ポリスチレンスルホン酸DBU塩、ポリスチレンスルホン酸DBN塩など)、
ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物グアニジン塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物DBU塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物DBN塩など)、
アルキルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩(メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物グアニジン塩、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物DBU塩、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物DBN塩、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物TBD塩、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物MTBD塩、オクチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物グアニジン塩、オクチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物DBU塩、オクチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物DBN塩など)、
ナフタレンスルホン酸−アルキルナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物の塩(ナフタレンスルホン酸−オクチルナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物グアニジン塩、ナフタレンスルホン酸−オクチルナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物DBU塩、ナフタレンスルホン酸−オクチルナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物DBN塩など)、
(AB1)、(AB2)は、単独または2種以上の混合物であってもよい。
【0072】
中和塩(AB1)は、ゼータ電位を低下させる観点等から、(Q1)と(Q2)との比{Q2/(Q1×n)}が式(7)を満たすことが好ましく、さらに好ましくは式(8)、特に好ましくは式(9)、最も好ましくは式(10)を満たすことが好ましい。ここでnは1個のQ2をQ1で中和するのに必要な個数を表す。例えば、アルキルスルホン酸DBU塩の場合はn=1となる。
0.01≦{Q2/(Q1×n)}≦3.0 (7)
0.1≦{Q2/(Q1×n)}≦2.5 (8)
0.2≦{Q2/(Q1×n)}≦2.3 (9)
0.5≦{Q2/(Q1×n)}≦2.2 (10)
【0073】
中和塩(AB)のMwは、1,000〜200,000であり、スクラッチ低減等の表面品質向上および低泡性の観点等から、好ましくは3,000〜100,000である。なお、中和塩(AB)のMwは、ポリマー(A2)と同様にGPCにより得られる値である。
【0074】
本発明の電子材料用研磨液は、中和塩(AB1)及び(AB2)の少なくとも1つ含有すればよいが、スクラッチ低減等の表面品質向上の観点等から、中和塩(AB2)を含むものが好ましい。
【0075】
中和塩(AB1)または(AB2)は、酸性化合物(A1)又はポリマー(A2)と窒素含有塩基性化合物(B)との中和反応により得ることができる。例えば、温調、撹拌が可能な反応容器に(A1)及び/又は(A2)の水溶液を仕込み、撹拌しながら室温(約25℃)で(B)(必要により水溶液)を投入して均一混合するか、または予め水を仕込んだ反応容器に、撹拌しながら(A1)及び/又は(A2)並びに(B)を同時または別々に投入して均一混合することにより得ることができる。中和反応時の濃度は、目的により適宜選択することができる。
【0076】
本発明の電子材料用研磨液は、酸基(X1)及び(X2)の解離度が大きいため、パーティクルおよび基板のゼータ電位を効果的に下げることができ、パーティクルの再付着を防止することができる。
【0077】
電子材料用研磨液中の中和塩(AB)の濃度は、研磨液の重量に基づいて0.001〜5重量%であり、スクラッチ低減の観点から0.01〜1重量%が好ましい。
【0078】
本発明の電子材料用研磨液の必須成分である水は、清浄度の観点から電気抵抗率が18MΩ・cm以上の純水が好ましく、超純水、イオン交換水、逆浸透水(RO水)、蒸留水などが挙げられる。
【0079】
本発明の電子材料用研磨液には、前述した中和塩(AB)、水のほかに研磨粒子(C)及び/又は潤滑成分(F)を含有しても良い。研磨粒子(C)、潤滑剤成分(F)を含有することで、平坦性に優れた電子材料を製造することができる。
【0080】
研磨粒子(C)としては、電子材料研磨用の市販の研磨粒子が使用でき、特に限定するものではない。研磨粒子(C)の材質としては、コロイダルシリカ、酸化セリウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、ダイヤモンド、酸化マンガン、酸化チタン、炭化ケイ素、窒化ホウ素等が挙げられ、スクラッチ低減の効果の観点から、好ましくはコロイダルシリカ、酸化セリウム、アルミナ、ダイヤモンドである。
【0081】
研磨粒子(C)の粒子径は、使用される研磨粒子によって異なり、コロイダルシリカの場合、通常5nm〜50nmであり、酸化セリウムの場合、0.1μm〜3.0μmであることが生産性の観点で好ましい。
研磨粒子(C)の使用時における濃度は、研磨液中の重量に基づいて、0〜20重量%であり、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0082】
潤滑成分(F)は、従来使用されている潤滑成分が使用することができる。
潤滑成分として脂肪酸アミン塩(F1)、ポリオキシプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物(F2)などが挙げられる。
【0083】
脂肪酸アミン塩(F1)としては、炭素数8〜22の脂肪酸(例えばオレイン酸等)をアミンで完全にもしくは一部を中和したものである。
アミンとしては、モノエタノールアミン等の1級アミン;ジエタノールアミン等の2級アミン;トリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
【0084】
ポリオキシプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物は、ポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドを付加したものである。
ポリオキシプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物のMwは、潤滑性の観点から1,000〜30,000であることが好ましい。
【0085】
潤滑成分(B)の使用時における濃度は、従来使用されている潤滑成分の濃度と同様であり、0.1〜30重量%が好ましい。
【0086】
本発明の研磨液には、上記(AB)、水以外に、硝酸、硫酸、塩酸、フタル酸等のエッチング剤成分、前述した(AB)および(F)以外の界面活性剤等の添加剤を含有してもよい。これら添加剤は、従来研磨液として使用されてきたものを使用することができ、特に限定するものではない。
【0087】
本発明の研磨方法は、電子材料の製造工程において、本発明の電子材料用研磨液を用いて電子材料中間体を研磨する研磨方法である。
【0088】
本発明の別の実施態様は、研磨工程で前述した研磨液を用いて電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法である。
【0089】
ここで、電子材料中間体とは、電子材料になる前の状態の被研磨物のことを指し、例えばハードディスク用ガラス基板の場合、酸化セリウム等で粗研磨される前のガラス基板や、コロイダルシリカ等で精密研磨される前のガラス基板等は全て電子材料中間体のことを意味する。
【0090】
本発明の研磨液を用いた電子材料の製造工程(一部)の一例として、ハードディスクガラス基板のラッピング工程を例にとり、以下に述べる。
(1)研磨装置のキャリアにガラス基板をセットし、ダイヤモンド砥石が固定された研磨
パッドが貼られた定盤でガラス基板を挟む。
(2)研磨液を定盤に供給しながら、荷重をかけ、定盤およびキャリアを回転させる。
(3)一定膜厚が研磨したことを確認し、回転を止める。
(4)ガラス基板をキャリアから取り出し、流水リンスする。
(5)流水リンス後、基板を乾燥する。
【0091】
また、別の例として、ハードディスクガラス基板のサブストレート工程を例にとり、以下に述べる。
(1)上記のラッピングされたガラス基板を研磨装置のキャリアにセットし、ポリウレタ
ン製の研磨パッドが貼られた定盤でガラス基板を挟む。
(2)酸化セリウムを含む研磨液を供給しながら荷重をかけ、定盤およびキャリアを回転
させる。
(3)一定膜厚が研磨したことを確認し、回転を止める。
(4)ガラス基板を流水リンスし、キャリアから取り出し、洗浄剤で浸漬洗浄もしくはス
クラブ洗浄する。
(5)流水リンスしたガラス基板を研磨装置のキャリアにセットし、コロイダルシリカを
含む研磨液を用いて上記と同様に研磨する。
(6)研磨後の基板を流水リンス、洗浄し、再び流水リンスする。
(7)乾燥、梱包する。
【0092】
研磨機としては、市販の研磨機を使用することができ、特に限定するものではない。
【0093】
回転数、研磨時間、揺動数、荷重は、従来の研磨液で研磨するときの条件を使用することができる。
【0094】
本発明の電子材料の製造方法で製造される電子材料は、前述したように、製造工程中に研磨工程を含む電子材料であれば特に限定するものではなく、例えば、ハードディスク基板、シリコン半導体基板、化合物半導体基板、サファイヤ基板等が挙げられる。
これらのうち、生産効率向上の観点で好ましくはハードディスク用基板であり、具体的にハードディスク用ガラス基板、および表面がニッケル−リン(Ni−P)メッキされたハードディスク用アルミ基板である。
【実施例】
【0095】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0096】
製造例1 (ポリアクリル酸DBU塩の製造)
温調及び攪拌が可能な反応容器にイソプロピルアルコール300部及び超純水100部を仕込み、反応容器内を窒素で置換後、75℃に昇温した。30rpmで撹拌下、アクリル酸の75%水溶液407部及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートの15%イソプロピルアルコール溶液95部を3.5時間かけてそれぞれ同時に滴下した。
滴下終了後、75℃で5時間撹拌した後、系内が固化しないように超純水を間欠的に投入し、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去した。得られたポリアクリル酸水溶液をDBU450部でpHが7.0になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、ポリアクリル酸DBU塩(AB−1)の40%水溶液を得た。
なお、ポリアクリル酸DBU塩のMwは10,000であった。
【0097】
製造例2 (ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物DBU塩の製造)
攪拌付き反応容器にナフタレンスルホン酸21部、超純水を10部仕込み、撹拌下、系内の温度を80℃に保ちながら、37%ホルムアルデヒド8部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃に昇温して25時間反応した後、室温(約25℃)まで冷却して水浴中、25℃に調整しながらDBUを徐々に加え、pH6.5に調製した(DBU約15部使用)。超純水を加えて固形分を40%に調整して、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のDBU塩(AB−2)の40%水溶液を得た。尚、(AB−2)のDBU塩のMwは、5,000であった。
【0098】
製造例3 (ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩の製造)
温調、還流が可能な攪拌付き反応容器にエチレンジクロライド100部を仕込み、攪拌下、窒素置換した後に90℃まで昇温し、エチレンジクロライドを還流させた。スチレン120部と、予め2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.7部をエチレンジクロライド20部に溶かした開始剤溶液を、それぞれ別々に6時間かけて反応容器内に滴下し、滴下終了後さらに1時間重合を行った。重合後、窒素シール下で20℃に冷却した後、温度を20℃にコントロールしながら無水硫酸105部を10時間かけて滴下し、滴下終了後さらに3時間スルホン化反応させた。反応後、溶媒を留去し固化させた後、超純水345部を投入して溶解し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をグアニジンでpHが7に成るまで中和し、超純水で濃度調整することにより、ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩(AB−3)の40%水溶液を得た。なお、(AB−3)のMwは、40,000、スルホン化率は97%であった。
【0099】
製造例4 (オレイン酸トリエタノールアミン塩水溶液の製造)
撹拌が可能な反応容器にトリエタノールアミン159部及び超純水200部を仕込み、常温で、30rpmで撹拌し、均一化した。さらに、30rpmで撹拌下で、オレイン酸283部を30分かけて滴下して中和した。
滴下終了後、超純水をさらに418部加えて、オレイン酸トリエタノールアミン塩(F−1)の40%水溶液を得た。
【0100】
比較製造例1 (ポリアクリル酸Na塩の製造)
温調及び攪拌が可能な反応容器にイソプロピルアルコール300部及び超純水100部を仕込み、反応容器内を窒素で置換後、75℃に昇温した。30rpmで撹拌下、アクリル酸の75%水溶液407部及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートの15%イソプロピルアルコール溶液95部を3.5時間かけてそれぞれ同時に滴下した。
滴下終了後、75℃で5時間撹拌した後、系内が固化しないように超純水を間欠的に投入し、イソプロピルアルコールが検出できなくなるまで水とイソプロピルアルコールの混合物を留去した。得られたポリアクリル酸水溶液を水酸化ナトリウム70部でpHが7.0になるまで中和し、超純水で濃度調整することにより、ポリアクリル酸Na塩(AB’−1)の40%水溶液を得た。
なお、ポリアクリル酸Na塩のMwは10,000であった。
【0101】
比較製造例2(ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩の製造)
温調、還流が可能な攪拌付き反応容器にエチレンジクロライド80部を仕込み、攪拌下、窒素置換した後に90℃まで昇温し、エチレンジクロライドを還流させた。スチレン200部と、予め2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.0部をエチレンジクロライド20部に溶かした開始剤溶液を、それぞれ別々に6時間かけて反応容器内に滴下し、滴下終了後さらに1時間重合を行った。重合後、窒素シール下で20℃に冷却した後、温度を20℃にコントロールしながら無水硫酸105部を10時間かけて滴下し、滴下終了後さらに3時間スルホン化反応させた。反応後、溶媒を留去し固化させた後、超純水345部を投入して溶解し、ポリスチレンスルホン酸水溶液を得た。得られたポリスチレンスルホン酸水溶液をグアニジンでpHが7に成るまで中和し、超純水で濃度調整することにより、ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩(AB’−2)の40%水溶液を得た。なお、(AB’−2)のMwは、224,000、スルホン化率は97%であった。
【0102】
実施例1〜34、および比較例1〜35
表1〜6に記載の組成で、全部が100部となるように、各成分を配合し、25℃、マグネチックスターラーで40rpm、20分間攪拌して、本発明の研磨液および比較のための研磨液を得た。
なお、表1〜6中の略号および化合物は以下のとおりである。
(AB−1):ポリアクリル酸DBU塩(Mw:10,000)
(AB−2):ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のDBU塩(Mw:5,000)
(AB−3):ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩(Mw:40,000)
(AB’−1):ポリアクリル酸Na塩(Mw:10,000)
(AB’−2):ポリスチレンスルホン酸グアニジン塩(Mw:224,000)
(AB’−3):ラウリル硫酸ナトリウム
(F−1):オレイン酸トリエタノールアミン塩
(F−2):ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体(ニューポールPE−62;三洋化成工業(株)製)
DTPA:ジエチレントリアミンペンタ酢酸
HEDP:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
ヒドロキシエチルセルロース:(HECダイセルSP400;ダイセル化学工業(株製)
芳香族スルホン酸塩:パラトルエンスルホン酸Na塩(和光純薬工業(株)製)
コロイダルシリカ:フジミインコーポレイデッド製「COMPOL80」(平均粒径80nm、有効成分濃度40重量%)
酸化セリウム:昭和電工製「HS−8005」(平均粒径0.5μm)
アルミナ:フジミインコーポレイデッド製「WA#20000」(平均粒径0.4μm)
ダイヤモンド:ナノファクター製「1/10PCS−WB2」(平均粒径100nm)
【0103】
研磨液の性能評価として、スクラッチ低減性能、パーティクル付着低減性能および研磨速度持続性能の評価試験は下記の方法で行った。
なお、本評価は大気からの汚染を防ぐため、クラス1,000(FED−STD−209D、米国連邦規格、1988年)のクリーンルーム内で実施した。
【0104】
[評価1 コロイダルシリカを配合した研磨液でガラス基板を研磨する場合]
<スクラッチ低減性能の評価>
実施例1〜6の研磨液、比較例1〜6の研磨液をさらにイオン交換水で10倍希釈し、試験液を得た。
(1)2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板およびポリウレタン製の研磨パッド(フジボウ製、「H9900S」)を研磨装置(ナノファクター製、「FACT−200」)にセットした。
(2)回転数を30rpm、揺動回数を60回/分、押し付け圧を50g重/cmに設定し、上記の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら5分間研磨した。
(3)上記の研磨したガラス基板を研磨装置から取り出し、1分間流水ですすいでリンスした後、研磨装置から基板を取り外して窒素ブローで乾燥させ、評価用基板を作成した。
(4)光を評価用基板上のスクラッチに当て、発生する微弱な散乱光を集光、増幅させることで表面の微細なスクラッチを強調し、検査することができる表面検査装置(ビジョンサイテック社製、「MicroMax VMX−6100SK」)を使って、評価用基板表面を任意に5箇所(10mm×10mm角)選んでその範囲内のスクラッチ数を数え、5箇所の平均値を算出した。
なお、比較例1の基板上スクラッチの平均数は50個であった。
【0105】
それぞれの基板上のスクラッチ数を比較例1(ブランク)の基板上スクラッチ数と比較し、下記の判断基準に従い基板表面のスクラッチ発生を抑える効果を評価し、判定した。
結果を表1に示す。
5:ブランクの20%未満
4:20%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0106】
<パーティクル付着低減性能の評価>
(1)スクラッチ低減性能の評価と同様の評価用基板を作成した。
(2)光を評価用基板上の残留パーティクルに当て、発生する微弱な散乱光を集光、増幅させることで強調し、表面の微細な残査を検査することができる上記の表面検査装置を使って、評価用基板表面を任意に5箇所(10mm×10mm角)選んでその範囲内のパーティクル数を画像解析ソフト(三谷商事製、WinRoof)で集計し、5箇所の平均値を算出した。
なお、比較例1の基板上パーティクル数は1950個であった。
【0107】
それぞれの基板上のパーティクル数を比較例1(ブランク)の基板上パーティクル数と比較し、下記の判断基準に従い、研磨工程でのパーティクルの付着を低減する効果を評価し、判定した。
結果を表1に示す。
5:ブランクの20%未満
4:20%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0108】
<研磨速度持続性能の評価>
(1)重量を測定した2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板およびポリウレタン樹脂製の研磨パッド(フジボウ製、「H9900S」)を研磨装置(ナノファクター製、「FACT−200」)にセットした。
(2)回転数を30rpm、揺動回数を60回/分、押し付け圧を50g重/cmに設定し、上記の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら30分間研磨した。
(3)上記の研磨したガラス基板を研磨装置から取り出し、1分間流水ですすいでリンスした後、窒素ブローで乾燥させ、重量測定を行った。
【0109】
(1)〜(3)を10回繰り返し、1回目と10回目の重量変化量を比較することで、下記の判断基準に従い、研磨速度持続性能の評価を判定した。(10回目の重量変化量/1回目の重量変化量×100)
結果を表1に示す。
5:80%以上
4:60%〜80%未満
3:40%〜60%未満
2:20%〜40%未満
1:20%未満
【0110】
【表1】

【0111】
[評価2 コロイダルシリカを配合した研磨液でアルミ基板を研磨する場合]
<スクラッチ低減性能の評価>
実施例7〜12の研磨液、比較例7〜12の研磨液をさらにイオン交換水で10倍希釈し、試験液を得た。
(1)3.5インチの磁気ディスク用アルミ基板及びポリウレタン樹脂製の研磨パッド(フジボウ製、「H9900S」)を研磨装置(ナノファクター製、「FACT−200」)にセットした。
(2)回転数を30rpm、揺動回数を60回/分、押し付け圧を50g重/cmに設定し、上記の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら5分間研磨した。
(3)上記の研磨したアルミ基板を研磨装置から取り出し、1分間流水ですすいでリンスした後、研磨装置から基板を取り外して窒素ブローで乾燥させ、評価用基板を作成した。
(4)光を評価用基板上のスクラッチに当て、発生する微弱な散乱光を集光、増幅させることで表面の微細なスクラッチを強調し、検査することができる表面検査装置(ビジョンサイテック社製、「MicroMax VMX−6100SK」)を使って、評価用基板表面を任意に5箇所(10mm×10mm角)選んでその範囲内のスクラッチ数を数え、5箇所の平均値を算出した。なお、比較例7の基板上スクラッチの平均数は100個であった。
【0112】
それぞれの基板上のスクラッチ数を比較例7の基板上スクラッチ数と比較し、下記の判断基準に従い基板表面のスクラッチ発生を抑える効果を評価し、判定した。
結果を表2に示す。
5:ブランク(100個)の20%未満
4:20%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0113】
<パーティクル付着低減性能の評価>
(1)スクラッチ低減性能の評価と同様の評価用基板を作成した。
(2)光を評価用基板上の残留パーティクルに当て、発生する微弱な散乱光を集光、増幅させることで強調し、表面の微細な残査を検査することができる上記の表面検査装置を使って、評価用基板表面を任意に5箇所(10mm×10mm角)選んでその範囲内のパーティクル数を画像解析ソフト(三谷商事製、WinRoof)で集計し、5箇所の平均値を算出した。
なお、比較例7の基板上パーティクル数は1200個であった。
【0114】
それぞれの基板上のパーティクル数を比較例7の基板上パーティクル数と比較し、下記の判断基準に従い、研磨工程でのパーティクルの付着を低減する効果を評価し、判定した。
結果を表2に示す。
5:ブランク(1200個)の20%未満
4:20%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0115】
<研磨速度持続性能の評価>
(1)重量を測定した3.5インチの磁気ディスク用アルミ基板及びポリウレタン製の研磨パッド(フジボウ製、「H9900S」)を研磨装置(ナノファクター製、「FACT−200」)にセットした。
(2)回転数を30rpm、揺動回数を60回/分、押し付け圧を50g重/cmに設定し、上記の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら30分間研磨した。
(3)上記の研磨したアルミ基板を研磨装置から取り出し、1分間流水ですすいでリンスした後、窒素ブローで乾燥させ、重量測定を行った。
【0116】
(1)〜(3)を10回繰り返し、1回目と10回目の重量変化量を比較することで、下記の判断基準に従い、研磨速度持続性能の評価を判定した。(10回目の重量変化量/1回目の重量変化量×100)
結果を表2に示す。
5:80%以上
4:60%〜80%未満
3:40%〜60%未満
2:20%〜40%未満
1:20%未満
【0117】
【表2】

【0118】
[評価3 酸化セリウムを配合した研磨液でガラス基板を研磨する場合]
実施例13〜18の研磨液、比較例13〜18の研磨液をさらにイオン交換水で10倍希釈し、試験液を得た。評価1と同様にして、スクラッチ低減性能、パーティクル付着低減性能および研磨速度持続性能の評価を行った。なお、比較例13(ブランク)の基板上スクラッチの平均数は70個であり、比較例13(ブランク)の基板上パーティクル数は1000個であった。結果を表3に示す。
【0119】
【表3】

【0120】
[評価4 アルミナを配合した研磨液でアルミ基板を研磨する場合]
実施例19〜24の研磨液、比較例19〜24の研磨液をさらにイオン交換水で10倍希釈し、試験液を得た。評価1と同様にして、スクラッチ低減性能、パーティクル付着低減性能および研磨速度持続性能の評価を行った。なお、比較例19(ブランク)の基板上スクラッチの平均数は150個であり、比較例19(ブランク)の基板上パーティクル数は1000個であった。結果を表4に示す。
【0121】
【表4】

【0122】
[評価5 ダイヤモンドを配合した研磨液でアルミ基板を研磨する場合]
実施例25〜30の研磨液、比較例25〜30の研磨液をさらにイオン交換水で10倍希釈し、試験液を得た。評価1と同様にして、スクラッチ低減性能、パーティクル付着低減性能および研磨速度持続性能の評価を行った。なお、比較例25(ブランク)の基板上スクラッチの平均数は70個であり、比較例25(ブランク)の基板上パーティクル数は500個であった。結果を表5に示す。
【0123】
【表5】

【0124】
[評価6 砥石固定研磨パッドを使用し、ノニオン性界面活性剤を配合した研磨液でガラスを研磨(ガラスラッピング)する場合]
<パーティクル付着低減性能の評価>
実施例31〜36の研磨液、比較例31〜36の研磨液をさらにイオン交換水で10倍希釈し、試験液を得た。
(1)2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板およびダイヤモンド砥石固定研磨パッド(住友3M製、「トライザクト677XA」)を研磨装置(ナノファクター製、「FACT−200」)にセットした。
(2)回転数を100rpm、揺動回数を60回/分、押し付け圧を100g重/cmに設定し、上記の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら5分間研磨した。
(3)上記の研磨したガラス基板を研磨装置から取り出し、1分間流水ですすいでリンスした後、研磨装置から基板を取り外して窒素ブローで乾燥させ、評価用基板を作成した。
(4)表面検査装置(ビジョンサイテック社製、「MicroMax VMX−6100SK」)を使って、評価用基板表面を任意に5箇所(10mm×10mm角)選んでその範囲内のパーティクル数を画像解析ソフト(三谷商事製、WinRoof)で集計し、5箇所の平均値を算出した。
なお、比較例31の基板上パーティクル数は4500個であった。
【0125】
それぞれの基板上のパーティクル数を比較例31の基板上パーティクル数と比較し、下記の判断基準に従い、研磨工程でのパーティクルの付着を低減する効果を評価し、判定した。
結果を表6に示す。
5:ブランク(4500個)の20%未満
4:20%〜40%未満
3:40%〜60%未満
2:60%〜80%未満
1:80%以上
【0126】
<研磨速度持続性能の評価>
(1)重量を測定した2.5インチの磁気ディスク用ガラス基板およびダイヤモンド砥石固定研磨パッド(住友3M製、「トライザクト677XA」)を研磨装置(ナノファクター製、「FACT−200」)にセットした。
(2)回転数を100rpm、揺動回数を60回/分、押し付け圧を100g重/cmに設定し、上記の試験液を1mL/秒の速度で基板に注ぎながら30分間研磨した。
(3)上記の研磨したアルミ基板を研磨装置から取り出し、1分間流水ですすいでリンスした後、窒素ブローで乾燥させ、重量測定を行った。
【0127】
(1)〜(3)を2回繰り返し、1回目と2回目の重量変化量を比較することで、下記の判断基準に従い、研磨速度持続性能の評価を判定した。(2回目の重量変化量/1回目の重量変化量×100)
結果を表6に示す。
5:80%以上
4:60%〜80%未満
3:40%〜60%未満
2:20%〜40%未満
1:20%未満
【0128】
【表6】

【0129】
対カチオンが有機強塩基であり、Mwが特定範囲内の中和塩を含む実施例1〜34の本発明の研磨液は、中和塩を含まないブランクと比較してスクラッチ数とパーティクル付着量を大きく低減することができることがわかる。
一方、無機塩基を対カチオンに持つ中和塩や、分子量カ゛一定範囲内にない中和塩を用いた比較例4〜6、10〜12,16〜18,22〜24,28〜30、33〜35の研磨液は、ブランクと比較すると一定のスクラッチ発生とパーティクルの付着を抑える効果が多少は認められるが、高容量化のために許容できるスクラッチ数とパーティクルの付着量には及ばない。
また、ベンゾトリアゾールを用いた比較例2、8、14、20、26の研磨液は、ブランクと比較して、ガラス基板研磨後のスクラッチ数がほとんど変わらず、スクラッチ発生とパーティクルの付着を抑える効果が小さい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の電子材料用研磨液は、研磨する工程中のスクラッチ発生を抑える効果が優れ、また、研磨でのパーティクル付着低減効果にも優れているため、製造工程に研磨する工程を含む電子材料用研磨液、例えば磁気ディスク用ガラス基板、磁気ディスク用Ni−Pメッキされたアルミ基板、半導体用シリコン基板、LED用サファイヤ基板製造用の研磨液として有用である。
また、本発明の研磨液を用いて研磨する工程を含む電子材料の製造方法は、研磨中のスクラッチ発生が非常に少なく、また、研磨でのパーティクル付着が少ない製造方法であるので、磁気ディスク用ガラス基板、磁気ディスク用Ni−Pメッキされたアルミ基板、半導体用シリコン基板、LED用サファイヤ基板等の製造方法として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量平均分子量が1,000〜200,000である中和塩(AB)および水を必須成分として含有する電子材料用研磨液。
中和塩(AB):分子内に少なくとも1つの酸基(X)を有する酸性化合物(A)と、プロトン付加反応における生成熱変化(Q2)が10〜152kcal/molである窒素含有塩基性化合物(B)との塩であって、前記酸基(X)の酸解離反応における生成熱変化(Q1)が3〜200kcal/molである中和塩。
【請求項2】
該中和塩(AB)がポリアクリル酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の中和塩(AB2)である請求項1記載の電子材料用研磨液。
【請求項3】
該窒素含有塩基性化合物(B)が1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7である請求項1または2に記載の電子材料用研磨液。
【請求項4】
さらに潤滑成分(F)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子材料用研磨液。
【請求項5】
潤滑成分(F)が脂肪酸アミン塩(F1)及び/又はポリオキシプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物(F2)である請求項5記載の電子材料用研磨液。
【請求項6】
請求項4または5に記載の研磨液が、ラッピング工程で使用されるラップ液であることを特徴とする電子材料用研磨液。
【請求項7】
研磨粒子(C)を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子材料用研磨液。
【請求項8】
研磨粒子(C)がコロイダルシリカ、酸化セリウム、アルミナおよびダイヤモンドからなる群から選ばれる1種以上である請求項7記載の電子材料用研磨液。
【請求項9】
該電子材料がハードディスク用ガラス基板または表面がニッケル−リンメッキされたハードディスク用アルミ基板である請求項1〜8のいずれかに記載の電子材料用研磨液。
【請求項10】
電子材料の製造工程において、請求項1〜9のいずれかに記載の電子材料用研磨液を用いて電子材料中間体を研磨する研磨方法。
【請求項11】
製造工程中に研磨工程を含む電子材料の製造方法であって、請求項10に記載の研磨方法で電子材料中間体を研磨する工程を含む電子材料の製造方法。

【公開番号】特開2013−31914(P2013−31914A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141155(P2012−141155)
【出願日】平成24年6月22日(2012.6.22)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】