説明

電子棚札システム

【課題】電子棚札と管理装置からなる電子棚札システムにおいて、電子棚札での消費電力を小さくし、また電子棚札への表示データの通信を早期に完了させる。
【解決手段】電子棚札が、受信部へ電力を供給する電力供給手段、受信部への電力供給量が異なる通常モードと節電モードを切り換える動作モード制御手段を備え、管理装置からの命令送信によって電子棚札を節電モードから通常モードに変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列された商品の近傍に電子棚札を配置しこの電子棚札に商品の価格を表示するようにした電子棚札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットを始めとする小売店などにおいて、陳列された商品の近傍に設置されて、その商品の価格を電子的に表示する電子棚札が利用されている。電子棚札は、一般的に、容量の小さなボタン電池で駆動されるよう構成されており、駆動時間を長くするには消費電力を抑えることが必要である。また、商品の価格情報などの表示データは、例えば上位の管理装置から不定期に変更されて送信されることが多いが、このように不定期に送信されるデータを受信するためには、受信部を常時受信可能な状態にしておくことが望ましい。
【0003】
消費電力を抑えつつ不定期に送信されるデータを受信する技術として、ホスト(管理装置)と電子棚札が無線通信可能な電子棚札システムにおいて、電子棚札の電池から無線受信部へ電力を供給する経路の途中にスイッチを設け、このスイッチをタイマを利用して所定の時間間隔でオンすることで無線受信部に間欠的に電池の電力を供給するようにするとともに、電力供給のタイミングをホスト側と同期させることでデータを受信するようにした方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−57617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、節電の効果を上げるために無線受信部に電力を供給する時間を短くすると、電子棚札が通信可能な時間が短くなることとなり、ホストとの同期が精度上とれなくなってしまう。また、ホストから電子棚札へのデータ通信が完了するまで長い時間がかかるようになってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子棚札での消費電力が小さく、また電子棚札への表示データの通信を早期に完了することが可能な電子棚札システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、陳列した商品の近傍に配置されて、受信部により受信した該商品の価格データを価格情報として表示する電子棚札と、前記電子棚札を識別する棚札番号毎に前記商品を特定する商品コードおよび該商品の価格データ等からなる商品データを記憶し、各電子棚札に少なくとも前記価格データを送信する管理装置とを含む電子棚札システムにおいて、前記電子棚札は、前記受信部へ電力を供給する電力供給手段と、前記受信部への電力供給が連続的に行われ、あるいは交互に電力供給期間T1と電力遮断期間T2が繰り返されて所定の電力供給率r=T1/(T1+T2)で間欠的に電力供給が行われる通常モードと、前記電力供給率より小さい電力供給率で間欠的に電力供給が行われる節電モードとを選択的に切り換えて前記電力供給手段を動作させる動作モード制御手段とを備え、前記管理装置は、前記電子棚札を節電モードから通常モードに変更させる命令を送信するモード変更命令送信手段を備えることを特徴とする電子棚札システムである。
【0007】
この発明に係る電子棚札システムにおいて、電子棚札は、受信部への電力供給時間が長い、あるいは受信部へ常時電力供給を行う通常モードと、受信部への電力供給時間が短い節電モードの2つの動作モードを備えており、管理装置から所定の命令を送信することによって、電子棚札の動作モードが節電モードから通常モードへ変更させられる。したがって、受信部へ電力が間欠的に供給される節電モードで電子棚札が動作している状態であっても、初めに管理装置からの所定の命令の通信に多少の時間がかかるだけで済み、この命令を受信することによって電子棚札が通常モードに移行した後は、直ちに管理装置から電子棚札へ表示されるべき価格データを送ることができる。すなわち、消費電力の低い節電モードを利用して節電効果を上げることが可能であるとともに、データの更新等が必要な時点で通常モードへ変更することで管理装置から目的のデータを早期に送信して電子棚札で受信することが可能である。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子棚札システムにおいて、前記命令は、前記管理装置から前記電子棚札への一方向の通信のみからなる通信プロトコルによって送信されることを特徴とする。
【0009】
この発明において、電子棚札の動作モードを通常モードに変更するための命令は、管理装置から電子棚札へ一方向で送信されることにより通信が完了する。すなわち、電子棚札では当該命令を正しく受信したことを示す確認応答などを返信する必要がない。したがって、電子棚札には送信部が不要となり、電子棚札を安価にすることができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子棚札システムにおいて、前記電子棚札は、前記命令を受信した場合に前記価格情報の表示を停止するとともに、その後通常モードにおいて前記価格データを受信したとき、該受信した価格データの価格情報を表示することを特徴とする。
【0011】
この発明において、電子棚札が動作モードを通常モードに変更するための命令を受信すると、一旦価格情報の表示が停止し、前記命令により通常モードとなって価格データを受信すると、受信した価格データの価格情報が表示される。これにより、上記の命令を一方向通信の通信プロトコルで送信する際に、当該通信においてエラーが発生したとしても、間違った商品の価格を表示してしまうといった誤表示の虞を取り除くことができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の電子棚札システムにおいて、前記管理装置は、前記命令を、前記節電モードにおける電力遮断期間に該命令のフレーム長の少なくとも2倍を加えた時間繰り返して送信することを特徴とする。
【0013】
この発明において、管理装置が電子棚札の動作モードを通常モードに変更するための命令を繰り返して送信する期間内には、必ず電子棚札の電力供給期間が含まれるので、電子棚札は確実に前記命令を受信して通常モードに移行することができる。すなわち、前記命令の送信期間は電力遮断期間よりも該命令のフレーム長の2倍以上長いため、当該送信期間の先頭と末端が電力供給期間と必ずオーバーラップすることになり、かつ当該先頭と末端のオーバーラップ部分のいずれか一方は前記命令のフレーム長より長い。したがって、電子棚札は前記命令を必ず受信することが可能となっている。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの項に記載の電子棚札システムにおいて、前記管理装置は、前記電子棚札が記憶すべき前記価格データを含むデータを送信する場合に、該送信に先立って前記命令を送信することを特徴とする。
【0015】
この発明において、電子棚札が記憶すべきデータを送信するのに先立って、管理装置は電子棚札の動作モードを通常モードに変更するための命令を送信するので、電子棚札は上記記憶すべきデータを通常モードにて確実に受信することができる。また、前記命令が送信されるまでは、電子棚札は節電モードにて待機することができ、節電を効果的に行うことができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子棚札システムにおいて、前記管理装置は、複数の前記電子棚札に対して各電子棚札が記憶すべき前記価格データを含むデータを送信する場合に、該送信に先立って各電子棚札が同時に読み取り可能な形式で前記命令を送信することを特徴とする。
【0017】
この発明において、複数の電子棚札に対して各電子棚札が記憶すべきデータを送信するのに先立って、管理装置は電子棚札の動作モードを通常モードに変更するための命令を送信する。すなわち、当該命令は複数の棚札(例えば店内に設置された全ての電子棚札)に対して共通の命令として送信すれば済むため、当該命令の送信回数を少なくすることができる。これにより、各電子棚札を素早く通常モードに移行させることができ、上記記憶すべきデータの送信を複数の電子棚札に対して早期に完了することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子棚札システムにおいて、電子棚札の消費電力を小さくすることができるとともに、電子棚札への表示データの通信を早期に完了することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による電子棚札システムの全体構成を示すブロック図である。本実施形態による電子棚札システムは、電子棚札コントローラ100(管理装置)と、電子棚札コントローラ100に有線または無線を通じて接続された補助装置200と、電子棚札コントローラ100もしくは補助装置200に接続されたトランシーバ300a、300bと、トランシーバ300a、300bと無線を通じてデータ通信を行う電子棚札400とから構成されている。
【0020】
トランシーバ300aは電子棚札コントローラ100に接続されており、トランシーバ300bは補助装置200を介して電子棚札コントローラ100に接続されている。電子棚札コントローラ100にて売価データ等が変更された場合、トランシーバ300aを通じて各電子棚札へ変更された売価データが送信される。また、それ以外の時には、トランシーバ300a、300bそれぞれから、各電子棚札へ一定の周波数のキャリア信号が周期的に送信される。ここで、キャリア信号とはデータのない搬送波のみの信号をいう。各電子棚札では、トランシーバ300a、300b両方から送信されるキャリア信号を受信することができ、各電子棚札でいずれかのキャリア信号を受信している間は、トランシーバと通信可能であると認識し、各電子棚札は記憶部に記憶された売価データを表示部に表示している。補助装置200は、例えば電子棚札コントローラ100と同様のハードウェア構成からなるものである。
【0021】
図2は、本実施形態の電子棚札システムにかかる電子棚札コントローラ100の構成を示すブロック図である。図2の電子棚札コントローラ100は、CPU101と、電子棚札コントローラ100の動作制御用プログラムの記憶されたROM102と、データの一時記憶を行うRAM103と、商品ファイル等が記憶され、外付け又は内蔵で取り付けられた記憶部104と、データ入力、選択するためのマウス、キーボード等からなる操作部105と、モニター画面に表示を行うための表示部106と、ネットワークLを通じて他の機器と通信を行うための通信部107等とから構成される。
【0022】
電子棚札コントローラ100は、記憶部104内に棚札IDファイル、商品ファイル、実績ファイルなどを保持している。図3に、記憶部104に記憶された棚札IDファイルの一例を示す。棚札IDファイルは、商品コードと棚札IDの各欄を有し、商品コード毎に棚札IDが対応付けられて記憶されている。ここで、商品コードは各商品を一意に識別する数字若しくは文字列であり、棚札IDは各電子棚札400に割り当てられた例えば6桁の固有の識別番号である。棚札IDファイルは、陳列されたどの商品をどの電子棚札400が担当しているかを表すものであり、この棚札IDファイルによって、商品の陳列位置を把握することができるようになっている。
【0023】
図4に、電子棚札コントローラ100の記憶部104に記憶された商品ファイルの一例を示す。商品ファイルには、商品コード、商品名、売価、内容量などからなる商品データが商品毎(商品コード毎)に対応付けられて格納されている。また、図5に、記憶部104に記憶された商品実績ファイルの一例を示す。商品実績ファイルには、商品コード、売上金額、売上点数、在庫数が商品毎に対応付けられて格納されている。なお、本実施形態では、商品ファイルと棚札IDファイルを別ファイルとして構成しているが、一つの共通ファイルとして構成してもよい。
【0024】
図6は、本実施形態の電子棚札システムにかかる電子棚札400の構成を示すブロック図である。図6に示す電子棚札400は、CPU401と、電子棚札400の動作制御用プログラムが記憶されたROM402と、データを一時記憶するためのRAM403と、無線により電子棚札コントローラ100からのデータを受信する受信部404と、商品の価格データが表示されるLCD表示部405と、電子棚札400の故障時などに点灯表示するLEDランプ406と、駆動用の電源であるボタン電池408と、ボタン電池408から受信部404への電力供給をオンオフする電力供給スイッチ409と、電力供給スイッチ409のオンオフを制御する電力制御部410とから構成されている。
【0025】
受信部404は、トランシーバ300a、300bから送信される売価データやキャリア信号を受信する。受信された売価データはRAM403に記憶されるとともに、LCD表示部405に表示される。表示すべき売価データがRAM403内に存在しない場合や受信部404で売価データの受信に失敗したような場合には、商品の売価を表示することなく、例えば売価を表示すべき部分に“−−−”などのマイナス表示を行う。なお、本実施形態における電子棚札400では、受信機能のみを有し、送信機能のブロックを設けない構成とすることにより、コストダウンを図っている。
【0026】
図7は、電子棚札400の表面(LCD表示部405)の外観の一例を示す外観図である。図7において、LCD表示部405は、5桁数値を表示する大型の表示エリア405a(例えば、特売セールの時の特売価格が表示される)と、5桁数値を表示する小型の表示エリア405b(例えば、通常価格が表示される)と、3桁数値を表示する小型の表示エリア405c(例えば、特売価格が設定されている場合の割引率を示す数字が表示される)とから構成される。また、電子棚札400の表面には、LEDランプ406が設けられるとともに、商品情報ラベル405dと、棚札ID405eと、バーコード405fと、商品名405gとが表示される。
【0027】
図7の例では、電子棚札400は商品「ABCビスケット」について表示を行っており、通常価格200円に対して特売価格が100円に設定され、割引率が5割引であることが表示されている。また、図8は、図7と同様の電子棚札400の表示例であり、マイナス表示が行われている様子を示す図である。
【0028】
次に、図9を参照して、電子棚札400におけるボタン電池408から受信部404への電力供給タイミングについて説明する。電子棚札400は、電力供給タイミングに関して、通常モードと節電モードの2つの動作モードで動作することができるようになっている。これら動作モードは、電力制御部410が電力供給スイッチ409をオンオフ制御することによって実現されている。
【0029】
図9において、通常モードでは、受信部404へ常に(連続的に)電力が供給されており、電子棚札400はトランシーバ300a、300bから送信されるデータをいつでも受信することが可能な状態となっている。
【0030】
また、節電モードでは、受信部404へ電力が供給される電力供給期間(この期間の長さをT1とする)と受信部404への電力が遮断される電力遮断期間(この期間の長さをT2とする)が交互に繰り返されて、電子棚札400はトランシーバ300a、300bから送信されるデータを間欠的に受信することができるようになっている。すなわち、電子棚札400は、電力供給期間においてのみデータを受信でき、電力遮断期間ではデータを受信することができないようになっている。
【0031】
より詳しく説明すると、節電モードでは、電力供給期間の長さT1に対して電力遮断期間の長さT2は数倍以上(例えば数百倍)に設定されている。このようにすることで、電力供給・遮断の一周期(=T1+T2)の大部分を占める電力遮断期間では受信部404へ電力が供給されないことから、消費電力が小さくなり、高い節電効果が得られるようになっている。また、電力供給期間(すなわち、データを受信可能な期間)の長さT1は、後述するWU命令送信テキストや一般データ送信テキストのフレーム長(それぞれTWU、Tdataとする)の2倍以上の長さに設定され(すなわち、T1≧2・TWU、T1≧2・Tdata)、さらに、電子棚札コントローラ100からWU命令送信テキストを送信する場合には、電力遮断期間に当該WU命令送信テキストのフレーム長の2倍を加えた時間より長い時間を送信時間tとして、当該テキストを連続的に繰り返して送信する(すなわち、t>T2+2・TWU)。このようにすることで、WU命令送信テキストが繰り返し送信される期間と電力供給期間が必ずオーバーラップすることとなり、しかも、繰り返して送信される上記テキストの最初または最後のいずれか一方は、必ず電力供給期間内に含まれることになる。よって、電子棚札400は節電モードの電力供給期間において、送信されたWU命令送信テキストを必ず受信することが可能である。なお、電子棚札400が複数用いられており、これら電子棚札400において互いに電力供給・遮断の一周期にタイミングのずれがある場合でも、各電子棚札400について上記した時間的関係が成り立っているので、全ての電子棚札400はWU命令送信テキストを必ず受信することが可能である。
【0032】
図10は、WU命令送信テキストと一般データ送信テキストのデータ構造を示した図である。WU(ウェイクアップ)命令送信テキストは、節電モードにある電子棚札400を通常モードに変更させる場合に送信されるデータであり、その先頭に所定のスタートコード(第1スタートコードS1)を有し、これに続いて“W”と“U”の2つのキャラクタデータ(WU命令)が配置されている。電子棚札400は、第1スタートコードS1を受信するとWU命令を受け取る。
【0033】
一般データ送信テキストには、先頭に所定のスタートコード(第2スタートコードS2)、次に送信先の電子棚札400のアドレスデータが配置され、これに続いて、例えば電子棚札400で表示すべきデータ(売価データ等)やその他商品に関するデータ(価格、値引き額、在庫数、売上実績等)を含む一般データが配置される。電子棚札400は、第2スタートコードS2を受信すると、次に自己のアドレスと一致するアドレスデータを持つ一般データを受け取る。
【0034】
次に、図11から図13を参照して、本実施形態にかかる電子棚札システムの動作について詳細に説明する
図11は、電子棚札コントローラ100の動作を示したフローチャートである。
【0035】
図11において、電子棚札コントローラ100は、まず電子棚札400に表示させるためのデータが有るか否かを判断する(ステップS101)。例えば、操作部105からの入力操作によってRAM103内の商品ファイルの売価が変更された場合、当該変更された売価のデータが電子棚札400に表示させるためのデータである。
【0036】
電子棚札400に表示させるためのデータが存在しない場合には、電子棚札コントローラ100は、オペレータの操作入力に応じた処理や、店舗内のサーバとの通信や、電子棚札400に送信するデータの作成処理等の処理を行う(ステップS102)。
【0037】
一方、電子棚札400に表示させるためのデータが有る場合は、電子棚札コントローラ100は、さらに当該データが全ての電子棚札400へ送信されるべきものであるか否かを判断する(ステップS103)。具体的には、商品ファイルや商品実績ファイルにおいて、全ての電子棚札400が共通して記憶する価格データや売上実績等のデータに対して所定のフラグをセットするようにしておき、これらのフラグをチェックする。例えば、商品ファイルを新規に作成したり、前日の売上実績を全ての電子棚札400に送信したりする場合には、上記のフラグが立っているので、それらのデータは全ての電子棚札400へ送信されるべきものであると判断されることになる。
【0038】
全ての電子棚札400への送信であると判断された場合、電子棚札コントローラ100は、WU命令送信テキストをトランシーバ300a、300bを介して全ての電子棚札400へ送信する(ステップS104)。そして、WU命令送信テキストを送信時間t>T2+2・TWUだけ繰り返して送信したか否かを判断し(ステップS105)、送信していなければ当該送信時間tの間繰り返してWU命令送信テキストを送信する。
【0039】
WU命令送信テキストの送信により、上述したように全ての電子棚札400は通常モードで動作を行っている。この状態で、電子棚札コントローラ100は、電子棚札400毎に一般データ送信テキストを作成して、各電子棚札400へ送信する(ステップS106)。
【0040】
ステップS103において、全ての電子棚札400への送信ではなかった場合は、ある一つの特定の電子棚札400への送信である。この場合電子棚札コントローラ100は、一般データ送信テキストを当該電子棚札400へ送信する(ステップS107)。
そして、ステップS105と同様に、電力遮断期間に一般データ送信テキストのフレーム長の2倍を加えた時間より長い時間を送信時間t(>T2+2・Tdata)として、当該一般データ送信テキストを連続的に繰り返して送信したか否かを判断し(ステップS108)、送信していなければ当該送信時間tの間繰り返して一般データ送信テキストを送信する。この結果、節電モードにおける電力供給・遮断の一周期内で確実に電子棚札400は一般データ送信テキストを受信できる。
【0041】
図12は、電子棚札400の動作を示したフローチャートである。
まず、電子棚札400は、受信部404によりWU命令送信テキストを受信したか否かを判断する(ステップS201)。具体的には、上述したように第1スタートコードS1が受信された場合に、WU命令送信テキストの受信であると判断されることになる。
【0042】
WU命令送信テキストを受信していなかった場合、電子棚札400は、さらにアドレスデータが自己のアドレスと一致する一般データ送信テキストを受信したか否かを判断する(ステップS202)。
アドレスデータが自己のアドレスと一致する一般データ送信テキストを受信した場合、電子棚札400は、当該テキスト中の一般データを抽出し、その抽出した一般データに従ってRAM403の各ファイルの対応する項目を更新するとともに、更新した内容をLCD表示部405に表示する(ステップS203)。ここで、初めにLCD表示部405に通常の価格表示が行われていた場合には、受信された一般データに含まれる価格データにより最初の価格表示が更新されることになり、また、初めにLCD表示部405に価格を表示しないマイナス表示が行われていた場合には、受信された一般データに含まれる価格データにより価格表示が行われることになる。
【0043】
その後、電子棚札400は、動作モードを節電モードに変更する(ステップS204)。例えば、所定の設定ファイルに動作モードを表すフラグを設けておき、このフラグを節電モードに対応するフラグにセットする。電力制御部410はセットされたフラグに従って電力供給スイッチ409を制御し、図9に示した節電モードの電力供給タイミングを実現する。
【0044】
一方、ステップS201でWU命令送信テキストを受信した場合、電子棚札400は、動作モードを通常モードに変更して、受信部404へ電力を連続的に供給する(ステップS205)。そしてその後、LCD表示部405の全ての価格データを“−−−”のようにマイナス表示として、データを更新中である旨を報知する(ステップS206)。
【0045】
図13は、電子棚札400におけるタイマー割込み処理の動作を示したフローチャートである。このタイマー割込み処理は、電力制御部410が電力供給タイミングを調整する目的で実行されるものである。
まず、電子棚札400は、設定ファイルにセットされている動作モードを表すフラグをチェックして、節電モードであるか否かを判断する(ステップS301)。
節電モードの場合は、受信部404に電力を供給するタイミングを判断するためのフラグ(Pフラグと称する)をチェックして、Pフラグ=1であるか否かを判断する(ステップS302)。ここで、Pフラグ=1は電力の供給を指示し、Pフラグ=0は電力の遮断を指示するものとして定義する。
【0046】
Pフラグ=1の場合、電子棚札400はCPU401が備えるタイマー割込みのタイマーに電力供給期間T1をセットし(ステップS303)、これにより電力制御部410は受信部404へ電力を供給する(ステップS304)。そして、電子棚札400はPフラグを0にセットして(ステップS305)割込み処理を終了する。
【0047】
また、ステップS302においてPフラグ=0の場合には、電子棚札400はタイマーに電力遮断期間T2をセットし(ステップS306)、これにより電力制御部410は受信部404への電力を遮断する(ステップS307)。そして、電子棚札400はPフラグを1にセットして(ステップS308)割込み処理を終了する。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による電子棚札システムについて説明する。この電子棚札システムは、その構成は図1から図10に示したものと同じであるので説明を省略し、以下同システムの動作を説明する。
図14は、第2の実施形態における電子棚札コントローラ100の動作を示したフローチャートである。
【0049】
図14において、電子棚札コントローラ100は、まず電子棚札400に表示させるためのデータが有るか否かを判断する(ステップS401)。例えば、操作部105からの入力操作によってRAM103内の商品ファイルの売価が変更された場合、当該変更された売価のデータが電子棚札400に表示させるためのデータである。
【0050】
電子棚札400に表示させるためのデータが存在しない場合には、電子棚札コントローラ100は、オペレータの操作入力に応じた処理や、店舗内のサーバとの通信や、電子棚札400に送信するデータの作成処理等の処理を行う(ステップS402)。
【0051】
一方、電子棚札400に表示させるためのデータが有る場合は、電子棚札コントローラ100は、WU命令送信テキストをトランシーバ300a、300bを介して全ての電子棚札400へ送信する(ステップS403)。そして、WU命令送信テキストを送信時間t>T2+2・TWUだけ繰り返して送信したか否かを判断し(ステップS404)、送信していなければ当該送信時間tの間繰り返してWU命令送信テキストを送信する。
【0052】
WU命令送信テキストの送信により、上述したように全ての電子棚札400は通常モードで動作を行っている。この状態で、電子棚札コントローラ100は、電子棚札400毎に一般データ送信テキストを作成して、各電子棚札400へ送信する(ステップS405)。
【0053】
本実施形態では、上記のようにして全ての電子棚札400に対して必ずWU命令送信テキストを送信した後に、一般データ送信テキストを送信するようにしている。そのため、全電子棚札400が常に節電モードに設定されていても、WU命令送信テキストにより各電子棚札400を通常モードに変更してから一般データ送信テキストを受信させることができ、しかも、電子棚札400が最初に受信するのはWU命令送信テキストであることから、節電モードにおける電力供給期間T1は最短でWU命令送信テキストのフレーム長の2倍(T1=2・TWU)に設定しておけばよく、(一般データ送信テキストが送られてくる場合に備えてT1≧2・Tdata(但しTdata≫TWU)に設定しておくのに比べて)節電効果をより高くすることができる。
【0054】
なお、複数の電子棚札400のうち一部にしか新しいデータを送信しない場合には、新しいデータを送信する必要のない電子棚札400に対しては現在当該電子棚札400がRAM403に記憶しているのと同じデータをステップS405で送信すればよい。こうすることで、当該電子棚札400がWU命令送信テキストを受信後、一般データ送信テキストが送られてこないことにより、図8のようなマイナス表示がいつまでも行われてしまうことを防止できる。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による電子棚札システムについて説明する。この電子棚札システムは、その構成は図1から図10に示したものと同じである(但し図10のWU命令送信テキストのデータ構造は後述するように違いがある)ので説明を省略する。以下同システムの動作を中心に説明する。
図15は、第3の実施形態における電子棚札コントローラ100の動作を示したフローチャートである。
【0056】
図15において、電子棚札コントローラ100は、まず電子棚札400に表示させるためのデータが有るか否かを判断する(ステップS501)。例えば、操作部105からの入力操作によってRAM103内の商品ファイルの売価が変更された場合、当該変更された売価のデータが電子棚札400に表示させるためのデータである。
【0057】
電子棚札400に表示させるためのデータが存在しない場合には、電子棚札コントローラ100は、オペレータの操作入力に応じた処理や、店舗内のサーバとの通信や、電子棚札400に送信するデータの作成処理等の処理を行う(ステップS502)。
【0058】
一方、電子棚札400に表示させるためのデータが有る場合は、電子棚札コントローラ100は、さらに当該データが全ての電子棚札400へ送信されるべきものであるか否かを判断する(ステップS503)。具体的には、商品ファイルや商品実績ファイルにおいて、全ての電子棚札400が共通して記憶する価格データや売上実績等のデータに対して所定のフラグをセットするようにしておき、これらのフラグをチェックする。例えば、商品ファイルを新規に作成したり、前日の売上実績を全ての電子棚札400に送信したりする場合には、上記のフラグが立っているので、それらのデータは全ての電子棚札400へ送信されるべきものであると判断されることになる。
【0059】
全ての電子棚札400への送信であると判断された場合、電子棚札コントローラ100は、WU命令送信テキストをトランシーバ300a、300bを介して全ての電子棚札400へ送信する(ステップS504)。そして、WU命令送信テキストを送信時間t>T2+2・TWUだけ繰り返して送信したか否かを判断し(ステップS505)、送信していなければ当該送信時間tの間繰り返してWU命令送信テキストを送信する。
【0060】
WU命令送信テキストの送信により、上述したように全ての電子棚札400は通常モードで動作を行っている。この状態で、電子棚札コントローラ100は、電子棚札400毎に一般データ送信テキストを作成して、各電子棚札400へ送信する(ステップS506)。なお、ここまでの処理は第1の実施形態の場合と同じである。
【0061】
ステップS503において、全ての電子棚札400への送信ではなかった場合は、ある一つの特定の電子棚札400への送信である。この場合電子棚札コントローラ100は、WU命令送信テキストを上記のステップS504およびステップS505と同様の手順により当該電子棚札400へ送信する(ステップS507、ステップS508)。これにより上記特定の電子棚札400は通常モードに移行する。その後、電子棚札コントローラ100は、当該電子棚札400へ一般データ送信テキストを送信する(ステップS509)。
【0062】
ここで、ステップS507で送信されるWU命令送信テキストとしては、図16のデータ構造を用いる。すなわち、本実施形態のWU命令送信テキストは、先頭に一般データ送信テキストと同じ所定のスタートコード(第2スタートコードS2)、次に送信先の電子棚札400のアドレスデータが配置され、これに続いて“W”と“U”の2つのキャラクタデータ(WU命令)が配置されている。このように送信先の電子棚札400のアドレスデータが定義されているので、当該アドレスの電子棚札400へWU命令送信テキストが送信される。
【0063】
本実施形態における電子棚札400の動作は、基本的には図12に示したフローチャートに従って実行される。但し、ステップS201においては、受信したWU命令送信テキストのスタートコードが第1スタートコードS1であればそのままステップS205へ進み、第2スタートコードS2であれば第2スタートコードS2に続くアドレスデータが自己のアドレスと一致する場合のみステップS205へ進むようにする。
【0064】
本実施形態では、第2の実施形態と同様に、一般データ送信テキストが送信される前に必ずWU命令送信テキストが送信される。そのため、節電モードにおける電力供給期間T1は最短でWU命令送信テキストのフレーム長の2倍(T1=2・TWU)に設定しておけばよいので、一般データ送信テキストが送られてくる場合に備えてT1≧2・Tdata(但しTdata≫TWU)に設定しておく必要のある第1の実施形態に比べて高い節電効果を得ることができる(但し、本実施形態のWU命令送信テキストには上述のようにアドレスデータが含まれるので、第2の実施形態に比べるとその分だけ電力供給期間T1は長くなる)。
【0065】
また、特定の電子棚札400にのみ一般データ送信テキストを送信する場合には、第1と第2の実施形態のいずれよりも早くその処理を完了することができる。さらに、第2の実施形態のように新しいデータを送信する必要のない電子棚札400にマイナス表示をさせてしまうことがない。
【0066】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、通常モードは図9に示すように受信部404へ連続的に電力が供給されるモードであるとして説明したが、節電モードの電力供給期間よりも長い電力供給期間を有するようにして間欠的に電力供給を行うようにすることもできる。
【0067】
また、節電モードにおいて、電力供給・遮断の一周期より大幅に長い期間、キャリア信号や所定の定期的な信号が受信されなかった場合に、通信異常が発生したとみなして例えばマイナス表示をするようにしてもよい。こうすることで、特に電子棚札400に送信機能を省略した一方向通信では、通信状態の確認ができて便利である。
【0068】
また、いわゆるポーリング/セレクティング方式のように、電子棚札コントローラ100から順次電子棚札400のアドレスを送信し、該当する電子棚札400がACK等の所定の信号を返す方式で通信を行う場合には、電子棚札400は、上記アドレスの受信からACKの返信までの間で回線を専有している状態において、(節電モードから移行して)通常モードで動作するようにしてもよい。すなわち、当該受信したアドレスをWU命令送信テキストとみなすことで、節電モードから通常モードへの変更を実現することもできる。
【0069】
さらに、トランシーバ300a、300bと電子棚札400との間の通信は、電波、赤外線、光、音波など、どのような媒体を利用したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態による電子棚札システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態の電子棚札システムにかかる電子棚札コントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】棚札IDファイルの一例である。
【図4】商品ファイルの一例である。
【図5】商品実績ファイルの一例である。
【図6】第1の実施形態の電子棚札システムにかかる電子棚札の構成を示すブロック図である。
【図7】電子棚札に備えられたLCD表示部の外観の一例を示す外観図である。
【図8】電子棚札に備えられたLCD表示部の外観の他の例を示す外観図である。
【図9】受信部への電力供給タイミングについて説明する図である。
【図10】WU命令送信テキストと一般データ送信テキストのデータ構造を示した図である。
【図11】電子棚札コントローラの動作を示したフローチャートである。
【図12】電子棚札の動作を示したフローチャートである。
【図13】電子棚札におけるタイマー割込み処理の動作を示したフローチャートである。
【図14】第2の実施形態における電子棚札コントローラの動作を示したフローチャートである。
【図15】第3の実施形態における電子棚札コントローラの動作を示したフローチャートである。
【図16】第3の実施形態におけるWU命令送信テキストのデータ構造を示した図である。
【符号の説明】
【0071】
100…電子棚札コントローラ 101…CPU 102…ROM 103…RAM 104…記憶部 105…操作部 106…表示部 107…通信部 200…補助装置 300…トランシーバ 400…電子棚札 401…CPU 402…ROM 403…RAM 404…受信部 405…LCD表示部 406…LEDランプ 408…ボタン電池 409…電力供給スイッチ 410…電力制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列した商品の近傍に配置されて、受信部により受信した該商品の価格データを価格情報として表示する電子棚札と、
前記電子棚札を識別する棚札番号毎に前記商品を特定する商品コードおよび該商品の価格データ等からなる商品データを記憶し、各電子棚札に少なくとも前記価格データを送信する管理装置とを含む電子棚札システムにおいて、
前記電子棚札は、前記受信部へ電力を供給する電力供給手段と、
前記受信部への電力供給が連続的に行われ、あるいは交互に電力供給期間T1と電力遮断期間T2が繰り返されて所定の電力供給率r=T1/(T1+T2)で間欠的に電力供給が行われる通常モードと、前記電力供給率より小さい電力供給率で間欠的に電力供給が行われる節電モードとを選択的に切り換えて前記電力供給手段を動作させる動作モード制御手段とを備え、
前記管理装置は、前記電子棚札を節電モードから通常モードに変更させる命令を送信するモード変更命令送信手段を備える
ことを特徴とする電子棚札システム。
【請求項2】
前記命令は、前記管理装置から前記電子棚札への一方向の通信のみからなる通信プロトコルによって送信される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子棚札システム。
【請求項3】
前記電子棚札は、前記命令を受信した場合に前記価格情報の表示を停止するとともに、その後通常モードにおいて前記価格データを受信したとき、該受信した価格データの価格情報を表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子棚札システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記命令を、前記節電モードにおける電力遮断期間に該命令のフレーム長の少なくとも2倍を加えた時間繰り返して送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの項に記載の電子棚札システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記電子棚札が記憶すべき前記価格データを含むデータを送信する場合に、該送信に先立って前記命令を送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかの項に記載の電子棚札システム。
【請求項6】
前記管理装置は、複数の前記電子棚札に対して各電子棚札が記憶すべき前記価格データを含むデータを送信する場合に、該送信に先立って各電子棚札が同時に読み取り可能な形式で前記命令を送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の電子棚札システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−11972(P2008−11972A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184418(P2006−184418)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】