説明

電子楽器

【課題】 タップテンポ値の変更があった場合に、そのテンポに合った伴奏パターンへの変更が可能な電子楽器を提供する。
【解決手段】 演奏者の鍵盤部114の押鍵により、算出部14で算出されたタップテンポ値に応じて、設定部16により、そのタップテンポ値にあった曲調パターンの伴奏データが曲データ格納部10より読み出される。すなわち、変更される伴奏データは、タップテンポ値に応じてアレンジの異なる複数のものから最適なものが読み出されることができるようになり、変化に富んだ伴奏が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押鍵のテンポに応じて種々のパターンの伴奏データが、小気味よく変更されながら半自動で演奏され電子楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
予め電子楽器に内蔵されたメロディパート/伴奏パートからなる曲データに対し、演奏者がメロディパートの各音符の譜割(リズム)に合わせて任意の鍵盤をタッピング(押鍵)することで、押鍵したキーオン情報(押鍵データに含まれる)により、後述するように、メロディパートの各音符の譜割(リズム)に合わせて任意の鍵盤を、演奏者がタッピング(押鍵)し、該メロディパートの1音が発音される毎に、次のメロディーパートの1つの音符までの間にある下段の伴奏パート数音を自動伴奏したり、例えば3/4拍子の1拍ずつ演奏者が押鍵する度に1拍分のメロディーパートと伴奏パートの数音を自動伴奏する、半自動演奏機能がある。
【0003】
下記特許文献1は、そのような機能を備えた電子楽器の構成の提案を行っている。同構成では、メロディパートの各音符の譜割りに合わせて押鍵される度に、そのキーオンの時間情報と曲データ中のノートデータの時間情報から、タップテンポ値を算出する。
【0004】
曲の進行は、このタップテンポ値に従い、押鍵時に該当するメロディ音と、次のメロディ音の間にある伴奏パートの伴奏音まで、上記キーオンのベロシティ値に比例した音量で進められる。
【特許文献1】特開2003−122355号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、曲データは、1つのメロディパートと1つの伴奏パートで構成されており、また押鍵の行われる鍵盤からはキーオン情報とタイミング情報しか検出していないので、押鍵によるキーオンが、テヌートで弾かれようが、スタッカートで弾かれようが、伴奏パートのアレンジは、用意された(予め記憶された)1つの伴奏パートのデータによるだけで、奏法によって変わるものではない。
【0006】
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、タップテンポ値の変更があった場合に、そのテンポに合った伴奏パターンへの変更が可能な電子楽器を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明に係る電子楽器は、
1曲につき、1つのメロディパート用のノートデータ及びテンポに応じた2種以上のパターンの伴奏パート用のノートデータで夫々構成される自動演奏のための曲データが格納された曲データ格納手段と、
押鍵を検出する検出手段と、
検出された押鍵データと曲データ中のノートデータからタップテンポ値を算出する算出手段と、
押鍵毎に、上記曲データ中のメロディデータを所定量ずつ順次読み出すと共に、上記伴奏データは、2種以上の夫々のパターンの中から、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データを所定量ずつ順次読み出す設定手段と、
上記のように読み出されたメロディデータと伴奏データに従って、楽音を発生・出力する楽音出力手段と
を有することを基本的特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、演奏者の押鍵によるタップテンポ値に応じて、設定手段により、そのタップテンポ値にあった曲調パターンの伴奏データが読み出される。すなわち、変更される伴奏データは、タップテンポ値に応じてアレンジの異なる複数のものから最適なものが読み出されることができるようになり、変化に富んだ伴奏が可能となる。そのため、タップテンポ値の変更があった場合に、そのテンポに合った伴奏パターンへの変更が可能となり、1曲の曲データに対して1の伴奏データしか記憶されていない従来技術の構成のように、押鍵によるキーオンが、テヌートで弾かれようが、スタッカートで弾かれようが、伴奏パートのアレンジは、用意された(予め記憶された)1つの伴奏パートのデータによるだけで、奏法によって変わらないというものではない。
【0009】
本願第2の発明の構成は、上記第1の発明の構成における、上記設定手段による伴奏データの読み出し処理を次のような構成にするものである。すなわち、上記設定手段による伴奏データの読み出しは、2種以上の夫々のパターンの伴奏データに対して、算出されたタップテンポ値に応じて適用される、各伴奏データの音量を調節するための各係数を、上記押鍵データのキーオンの音量値に夫々演算して、得られた値に設定することで、行われることを特徴としている。
【0010】
このように、第2の発明の構成は、演算に使用する係数の値の取り方により、後述する第3の発明の構成ように、フェードイン・フェードアウト処理や、高速消音、各パート毎の音量のミュートなど、様々なことが可能となる。
【0011】
さらに第3の発明の構成は、上記第2の発明の構成を限定的に規定した構成であり、より具体的には、上記係数の設定を、切り替えられる側のパターンの伴奏データと、反対に切り替える側のパターンの伴奏データとの間で、各パターンの伴奏データに掛け合わせられる係数の値を逆方向のベクトルで増減する値とし、各フェードアウト及びフェードインした状態で、各パターンの伴奏データの切り替えを行うことを特徴とするものである。
【0012】
第4の発明〜第8の発明までの構成は、1曲につき、テンポに応じて、2種以上のパターンの伴奏データが曲データ格納手段に格納されている上記構成において、タップテンポ値がどのような値を取るか、また押鍵データ中のノートオンを示すカウンタによる音の数がいくつか乃至ペダル検出手段からのペダルオン情報の検出によって、上記設定手段により、どのような曲調・アレンジの伴奏データに変更するかを、具体的に示す構成である。
【0013】
そのうち、第4の発明の構成は、タップテンポ値がプリセット値(予め設定された値)未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、低速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定する構成である。
【0014】
第5の発明の構成は、上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、標準速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定する構成である。
【0015】
第6の発明の構成は、上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、中高速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定する構成である。
【0016】
第7の発明の構成は、上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、標準速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定する構成である。
【0017】
第8の発明の構成では、上記電子楽器にサスティーンペダルのペダル検出手段が備えられており、且つ上記タップテンポ値がプリセット値未満であると判断され、該ペダル検出手段からペダルオン情報が検出された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、低速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定する構成である。
【0018】
次に第9の本発明の構成は、第1の発明の構成の上記設定手段による伴奏データの読み出しについて規定するもので、該構成は、2種以上の夫々のパターンの全伴奏データを読み出し、そのうち、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データのみを、楽音出力手段に送ることで実行されることを特徴としている。上記構成のように、係数の音量値への演算処理などをせず、単純に読み出した伴奏データのうち、算出されたタップテンポ値に最もふさわしい伴奏データについて、上記設定手段が、楽音出力手段に送ってやれば良いことになり、演算負荷はより少なくなる。
【0019】
第10の発明の構成は、同じく第1の発明の構成の上記設定手段による伴奏データの読み出しについて規定するもので、該構成は、上記第9の構成の場合と異なり、2種以上の夫々のパターンの伴奏データに対して、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データのみを上記設定手段により読み出すことで行われることを特徴としている。この場合は、読み出しに先立って、算出されたタップテンポ値にふさわしい伴奏データが、上記設定手段に選ばれ、楽音出力手段に送られて実行されることになり、この構成もまた、演算負荷はより少なくなる。
【0020】
第11の発明〜第15の発明までの構成は、1曲につき、テンポに応じて、2種以上のパターンの伴奏データが曲データ格納手段に格納されている第9の発明又は第10の発明の構成において、タップテンポ値がどのような値を取るか、また押鍵データ中のノートオンを示すカウンタによる音の数がいくつか乃至ペダル検出手段からのペダルオン情報の検出によって、上記設定手段により、どのような曲調・アレンジの伴奏データに変更するかを、具体的に示す構成である。
【0021】
第11の発明の構成は、上記第9の発明又は第10の発明の構成について、伴奏パターンデータの読み出し切り替え処理の1例を提案しており、より具体的には、上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、低速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを規定している。
【0022】
第12の発明の構成は、同じく上記第9の発明又は第10の発明の構成について、伴奏パターンデータの読み出し切り替え処理の1例を提案しており、より具体的には、上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、標準速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを規定している。
【0023】
第13の発明の構成は、同じく上記第9の発明又は第10の発明の構成について、伴奏パターンデータの読み出し切り替え処理の1例を提案しており、より具体的には、上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、中高速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを規定している。
【0024】
第14の発明の構成は、同じく上記第9の発明又は第10の発明の構成について、伴奏パターンデータの読み出し切り替え処理の1例を提案しており、より具体的には、上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、標準速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを規定している。
【0025】
第15の発明の構成は、同じく上記第9の発明又は第10の発明の構成について、伴奏パターンデータの読み出し切り替え処理の1例を提案しており、より具体的には、上記電子楽器にサスティーンペダルのペダル検出手段が備えられており、且つ上記タップテンポ値がプリセット値未満であると判断され、該ペダル検出手段からペダルオン情報が検出された時点で、上記設定手段により、低速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを規定している。
【発明の効果】
【0026】
第1の本発明の構成乃至第15の発明の構成によれば、予め電子楽器に内蔵されたメロディパート/伴奏パートからなる曲データに対し、演奏者がメロディパートの各音符のリズムに合わせて任意の鍵盤をタッピングすることで、押鍵したキーオン情報により、後述するように、該メロディパートの1音が発音される毎に、次のメロディーパートの1つの音符までの間にある下段の伴奏パート数音を自動伴奏したり、例えば3/4拍子の1拍ずつ演奏者が押鍵する度に1拍分のメロディーパートと伴奏パートの数音を自動伴奏する、半自動演奏機能がある電子楽器の構成において、タップテンポ値の変更があった場合に、そのタップテンポ値に合ったパターンの伴奏データへの変更(伴奏データは、アレンジの異なる複数のものから、テンポに応じたものが読み出されること)が可能になるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施例にかかる電子ピアノ100の外観構成を示す斜視図、図2は該電子ピアノの基本回路図、図3は本発明の機能ブロックを示すブロック図である。上記電子ピアノ100には、押鍵操作(タッピング)するタイミング毎に、自動演奏情報として提供される曲データ中の対応する楽音を、該タッピングに合わせて発音せしめ、該曲データの演奏を進行させる後述する半自動演奏機能が備えられている。
【0029】
上記電子ピアノ100は、図2に示すように、システムバス110上に、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)112、ROM(Read Only Memory)113、キースキャン回路114aを介して接続された鍵盤部114、パネルスキャン回路115aを介して接続されたパネル操作部115、表示制御回路116aを介して接続された表示部116、ペダルスキャン回路117aを介して接続されたペダル部117、音源による64チャンネル同時発音可能な楽音発生回路118が、各接続されており、該システムバス110を通じてこれらのデバイスに各種命令やデータの受け渡しがなされる。また上記楽音発生回路118の出力側には、発生された楽音をデジタルからアナログに変換するD/A変換回路119と、それを増幅する増幅器及び外部に発音せしめるスピーカなどのサウンドシステム120が電気的に接続されている。
【0030】
上記CPU111は、前記ROM112のプログラムメモリ記憶部に記憶されている制御プログラムに従って、本発明構成を含む電子ピアノ100の各部を制御するものであり、また上記プログラムメモリ記憶部に記憶されたアプリケーションプログラムを実行し、必要に応じて、RAM112を作業領域として使用し、さらにROM113に記憶された種々の固定データを使用しながらデータ処理を行う構成である。
【0031】
上記RAM112は、装置のステータス情報を記憶したり、CPU111の作業領域として使用されるものである。尚、当該電子ピアノ100を制御するための各種レジスタやフラグ等は、RAM112に定義されており、このRAM112は、CPU111により、システムバス110を介してアクセスされる。
【0032】
上記ROM113は、上述のように、本電子ピアノ100全体を制御するプログラムを格納している他、CPU111が使用する種々の固定データ(デモンストレーション用曲データを含む)が記憶されている。尚、該ROM113は、後述する曲データ格納部10を構成している。
【0033】
さらに必要に応じて、この電子ピアノ100のシステムバス110に設けられたインターフェース(図示無し)を介してリムーバブルに接続できるフラッシュメモリ(図示無し)を、このROM113や上記RAM112の一部として利用しても良い。
【0034】
上記鍵盤部114は、電子ピアノ100の鍵盤で構成されており、複数の鍵盤と、これらの押鍵や離鍵に連動して開閉する鍵盤スイッチからなる。この鍵盤部114とシステムバス110の間に介在するキースキャン回路114aは、鍵盤スイッチの状態を調べ、そのキーオン(ON)/キーオフ(OFF)を示す信号と、それらから鍵盤タッチの強さ(速さ)を示すタッチデータを生成すると共に、キーオン及びキーオフ信号の情報とその鍵盤ナンバーを出力するものである。このキーオン及びキーオフ信号の情報及び鍵盤ナンバー、タッチデータは、押鍵データ(マニュアルキー)として、システムバス110を介してCPU111に送られる。この鍵盤部114とキースキャン回路114aにより、後述する検出部12を構成している。
【0035】
上記半自動演奏機能では、パネル操作部115により半自動演奏モードに設定されることで、通常鍵盤部114のタッピング(押鍵操作)によって、タッピングするタイミング毎に、キースキャン回路114a(鍵盤部114と共に検出部12を構成)からこれらの押鍵データが送出され、後述するようにして曲データ格納部10から選択された自動演奏情報の曲データ(メロディデータの他、低速用テンポ・標準速用テンポ・中高速用テンポのアレンジの異なる3種のパターンが一緒に格納されている伴奏データ)が、最初はデフォルトで設定されている標準速用テンポの伴奏データと上記メロディデータが、所定の分だけ設定部16によって読み出されて、楽音出力部18に送られ(楽音発生回路118により演奏され)、その後(半自動演奏モードに設定された時より2タッピング目から)後述する算出部14で算出されたタップテンポ値に合わせて、メロディデータが読み出されると共に、後述する設定部16により、上記曲データ格納部10に格納されている該タップテンポ値に対応するアレンジの伴奏データが(タップテンポ値が変わらなければ標準速用テンポの伴奏データのまま)読み出され、それらのメロディデータと伴奏データが、後述する楽音出力部18を構成する楽音発生回路118に送られ、楽音として発音せしめられ、演奏が進行されることになる。
【0036】
従って上記半自動演奏機能で演奏されるメロディパートは、演奏者により任意にタッピングされることで、所定の音符分だけそのまま自動演奏されることになる。また最初の、又は途中で切り替った伴奏パートは、半自動演奏されたメロディパートの音符分だけそのまま(低速用テンポ、標準速用テンポ、或いは中高速用テンポの伴奏データが)自動演奏され、メロディパートの1音が発音される毎に、次のメロディーパートの1つの音符までの間にある下段の伴奏パート数音が自動伴奏されたり、例えば3/4拍子の1拍ずつ演奏者が押鍵する度に1拍分のメロディーパートと伴奏パートの数音が自動伴奏されることになる。
【0037】
本構成では、このような半自動演奏モードに設定されることで、1曲に対して、そのメロディデータの他、上記曲データ格納部10に一緒に格納されている、低速用テンポ・標準速用テンポ・中高速用テンポのアレンジの異なる3種のパターンの伴奏データの中から、CPU111で構成される設定部16により、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データの読み出しがなされることになる。
【0038】
上記パネル操作部115は、電源スイッチ、音色選択スイッチなど各種スイッチ及び曲選択タッチパネル、モード選択タッチパネル、ボリューム可変器などが設けられている。このパネル操作部115とシステムバス110の間に介在する前記パネルスキャン回路115aは、上記パネル操作部115に設けられた各スイッチやタッチパネルのセット/リセット状態を調べ、ON状態になっているパネルスイッチデータを検出してCPU111に送出するものである。
【0039】
上記表示部116は、表示制御回路116aを介してシステムバス110につながれており、CPU111からの制御により、上記パネル操作部115の各種操作状態や、電子ピアノ100の動作状態、後述する曲データ選択読出部13で読み出しが行われる曲のタイトルなどを表示する構成である。
【0040】
尚、上記パネル操作部115、パネルスキャン回路115a、表示部116及び表示制御回路116aは、後に説明する本実施例の構成で、曲データ格納部10から演奏者が任意の曲データを選択指定できる曲データ指定部30を、構成することになる。
【0041】
上記ペダル部117は、アコースティックピアノのサスティンペダルに相当する、電子ピアノ100のフットペダルで構成されており、図では3つのペダルと、該ペダルを踏んだり、離したりの操作に連動して開閉するペダルスイッチ、及びこのペダル部117とシステムバス110の間に介在するペダルスキャン回路117aからなる。該ペダルスキャン回路117aは、ペダルスイッチの状態を調べ、そのペダルオン/ペダルオフを示す信号を生成し、出力するものである。これらのペダルオン/ペダルオフ信号は、ペダル情報として、システムバス110を介してCPU111に送られる。
【0042】
図3は、電子ピアノ100において上記半自動演奏機能の実行される構成として組み込まれた本発明に係る構成の機能ブロック図である。
【0043】
この半自動演奏モードが設定されて、本実施例となる構成は、同図に示されるように、メロディパートと伴奏パートとに別れ、且つ1のメロディデータに対して、低速用テンポ・標準速用テンポ・中高速用テンポのアレンジの異なる3種のパターンの伴奏データが1曲の曲データとして格納されている上記ROM113で構成される曲データ格納部10と、キースキャン回路114aでスキャンされた鍵盤部114の押鍵データを検出する検出部12と、該押鍵データと上記曲データ中のメロディデータからタップテンポ値を算出するCPU111で構成される算出部14と、押鍵毎に、上記曲データ中のメロディデータは所定量ずつ順次読み出し、また上記3種の伴奏データは、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データを所定量ずつ順次読み出す、同じくCPU111で構成される設定部16と、該設定部16により読み出されたメロディデータと伴奏データに従って、楽音を発生・出力する、楽音発生回路118、D/A変換回路119及びサウンドシステム120で構成される楽音出力部18とを有している。
【0044】
尚、本実施例では、演奏者がペダル部117を踏むことで、ペダルスキャン回路117aがペダルオンイベントを検出し、それを設定部16に伝えるペダル検出部20の構成が備えられている。また、曲データ格納部10に格納される曲データから演奏者が任意の曲データを選択指定できるようにするために、上述した、パネル操作部115、パネルスキャン回路115a、表示部116及び表示制御回路116aで構成される曲データ指定部30を有している。さらに、上記設定部16と楽音出力部118との間には、設定部16で読み出された曲データ(メロディデータ及び伴奏データ)、必要に応じて鍵盤部114で実際に押鍵されて得られた押鍵データ(マニュアルキー)を受けて、各パート(楽音発生回路118の所定のチャンネル)に割り当てるキー&トーンアサイナ32を有している。
【0045】
上記曲データ格納部10は、ROM113で構成されている。そして自動演奏情報として、1曲の曲データにつき、メロディデータと、タップテンポ値に応じてテンポ及びアレンジの異なる3つの伴奏データを含む曲データが複数格納されており、上記パネル操作部115を介して曲データ格納部10に自動演奏すべき曲データの選択指示が出力され(曲選択)、以後メロディデータと、タップテンポ値に応じてテンポ及びアレンジの異なる3つのうちの1つが選択された伴奏データとが、自動演奏データとして、設定部16により読み出されることになる。
【0046】
上記検出部12は、鍵盤部114とキースキャン回路114aにより構成され、該キースキャン回路114aの構成により、鍵盤部114の鍵盤スイッチの状態を調べ、そのキーオン(ON)/キーオフ(OFF)を示す信号と、それらから鍵盤タッチの強さ(速さ)を示すタッチデータを生成すると共に、キーオン及びキーオフ信号の情報とその鍵盤ナンバーを出力する構成である。
【0047】
上記算出部14は、CPU111及びRAM112で構成されており、半自動演奏モードが設定されている時に、通常鍵盤部114のタッピング(押鍵操作)によって、タッピングするタイミング毎に、上記キースキャン回路114aから、鍵盤部114の鍵盤スイッチのキーオン(ON)を示す信号、すなわち、キーオン信号を受けて、タップテンポ値を算出する。
【0048】
上記算出部14により、検出された押鍵データと曲データ中のノートデータからタップテンポ値を算出する構成としては、以下の2つが具体的に考えられるが、これらに限定されるわけではない。
【0049】
1)1つ目の算出法
a.前回のキーオン時に発音した曲データ中のメロディパートのノートから次のノートまでの4分音符単位時間Td(秒)を求める。4分音符単位時間は4分音符にかかる時間を1秒とする時間である。例えば8分音符間隔ならば0.5秒となる。この4分音符単位時間は、音符長ではない。各ノートの音符長は、ノート間の時間に関係なく、曲想により決めるからである。
b.前回のキーオンイベントから今回のキーオンイベントまでの時間Tk(秒)を求める。
c.テンポN(4分音符表記)=(Td÷Tk)×60
このテンポN(4分音符表記)は「60秒間に演奏される4分音符がN拍分である速度」を示すものである。
【0050】
2)2つ目の算出法
押鍵イベントの間隔の想定値(TapClock)と、実際に測定した押鍵イベントの間隔(Taptime)とを比較し、実測値の方が短い場合には、テンポを現状の値より高く設定し、逆に、実測値の方が長い場合には、テンポを現状の値より低く設定する。具体的には、例えば、押鍵イベントが与えられる毎に、以下の式におり、自動演奏のテンポ(NewTempo)を設定し直す。
(NewTempo)=(OldTempo)×(TapClock)/(Taptime)
OldTempo:例えば、前回の外部イベントがあった際に、上記の式に従って設定したテンポをいう。
【0051】
上記設定部16は、同じくCPU111及びRAM112で構成されており、半自動演奏モードのモード設定がされている時に、鍵盤部114のタッピング(押鍵操作)によって、タッピングするタイミング毎に、キースキャン回路114aから、押鍵データを受信すると共に、算出部14からタップテンポ値を受信し、併せて曲データ格納部10から、曲データのメロディデータ、及び伴奏データI(低速用伴奏データ)、伴奏データII(標準速用テンポの伴奏データ)、伴奏データIII(中高速用伴奏データ)を受信する。
【0052】
この時、演奏者がメロディパートの各音符の譜割(リズム)に合わせて鍵盤部114の任意の鍵盤をタッピング(押鍵)することで、押鍵データに含まれる押鍵したキーオン情報により、所定の音符分だけそのまま自動演奏されることになる。また伴奏パートは、図4に示すように、メロディパートの1音が発音される毎に、次のメロディーパートの1つの音符までの間にある下段の伴奏パート数音が自動伴奏されたり、図5に示すように、例えば3/4拍子の1拍ずつ演奏者が押鍵する度に1拍分のメロディーパートと伴奏パートの数音が自動伴奏される半自動演奏が行われ、該設定部16から、キー&トーンアサイナ32を経て、楽音出力部18にメロディデータが出力され、サウンドシステム120から楽音が発生せしめられる。
【0053】
同時に、最初はデフォルトで設定されている標準速用テンポの伴奏データIIと上記メロディデータが、所定の分だけ設定部16によって読み出されて、楽音出力部18に送られ、楽音発生回路118により演奏される。
【0054】
だが、次のタッピングが検出部12で検出されると、算出部14で算出された演奏者の押鍵によるタップテンポ値に応じて、設定部16は、そのタップテンポ値にあった曲調パターンの伴奏データの読み出しを行う。すなわち、伴奏データは、算出部14で算出された上記タップテンポ値とプリセット値(例えば標準速用テンポの値)とが比較判断された後、タップテンポ値に応じて(そのプリセット値未満か、或いはそれ以上かと設定部16で判断されて)、アレンジの異なる3つのものの中から最適なものが読み出される。
【0055】
その際に、前の伴奏データと新たな伴奏データの切り替えは、本実施例では、次のように行われる。すなわち、上記設定部16による伴奏データの読み出しは、2種以上の夫々のパターンの伴奏データに対して、算出部14で算出されたタップテンポ値に応じて適用される、各伴奏データの音量を調節するための各係数を、上記押鍵データのキーオンの音量値に夫々演算して、得られた値に設定することで、行われることになる。
【0056】
より詳しくは、上記係数の設定を、切り替えられる側のパターンの伴奏データと、反対に切り替える側のパターンの伴奏データとの間で、各パターンの伴奏データに掛け合わせられる係数の値を逆方向のベクトルで増減する値とし、各フェードアウト及びフェードインした状態で、各パターンの伴奏データの切り替えを行うことで、達成される。
【0057】
このように、選択された自動演奏情報の曲データ(メロディデータの他、低速用テンポ・標準速用テンポ・中高速用テンポのアレンジの異なる3種のパターンが一緒に格納されている伴奏データ)につき、曲データ格納部10から、タッピングに応じてメロディデータが所定の分だけ、また最初はデフォルトで設定されている標準速用テンポの伴奏データが上記メロディデータに追随して、設定部16によって読み出されて、楽音出力部18に送られ、2タッピング目から以降は、算出部14で算出されたタップテンポ値に合わせて、設定部16により、上記曲データ格納部10に格納されている該タップテンポ値に対応するアレンジの伴奏データが(タップテンポ値が変わらなければ標準速用テンポの伴奏データのまま)、メロディデータと共に、上記任意の分だけ読み出され、それらのメロディデータと伴奏データが、楽音出力部18を構成する楽音発生回路118に送られることで、最終的にサウンドシステム120から楽音として出力され、選択曲の半自動演奏が実行される。
【0058】
本実施例では、さらに、上記ペダルスキャン回路117aによるペダルオンイベントの検出がなされ、次のような処理が設定部16によりなされる。すなわち、算出部14で算出されたタップテンポ値が上記プリセット値未満であると設定部16で判断され、上記ペダルスキャン回路117aでペダルオンイベントが検出された時点で、上記設定部16により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、低速用テンポパターンの伴奏データIに基づく伴奏楽音が上記楽音出力部18から出力されるように、該係数を設定するというものである。
【0059】
このペダルオンイベントは、サスティンペダルが踏まれたことに相当し、減衰音が残る状態であるため、通常は、伴奏パートもわりとゆっくりとしたものとなる。そのため、算出されたタップテンポ値が上記プリセット値未満であり、上記ペダルオンイベントが検出された場合には、低速用テンポパターンの伴奏データIに基づく伴奏楽音が上記楽音出力部18から出力されるように、設定部16によって、各伴奏音量の調節係数を変更している。
【0060】
以上のような実施例構成では、この電子ピアノ100で演奏しようとする者が、電源をONにすると、図6のメイン処理ルーチンに示すように、電子ピアノ100の電子回路の初期化が行われる(ステップS100)。
【0061】
そしてパネルスキャンがなされ(ステップS102)、該パネルスキャン結果に基づくイベント処理が行われる。本実施例では、上記の半自動演奏モードがオンになっているか否かがチェックされる(ステップS104)。
【0062】
半自動演奏モードがオンになっていれば(ステップS104;Y)、次に半自動演奏される曲の選択処理がなされる(ステップS106)。
【0063】
この曲選択処理は、具体的には、表示部116で曲の選択がなされた後、曲データの読み出しアドレス設定がなされ、初期テンポ(通常選択曲毎にプリセットされているテンポ値)の設定、音色の設定、音量(ボリューム情報)の設定処理がなされる。
【0064】
その後、上記検出部12にてキースキャン回路114aによる鍵盤部114のキースキャン処理、ペダル検出部20にてペダルスキャン回路117aによるペダルスキャン処理が行われる(ステップS108)。
【0065】
また上記ステップS104において、半自動演奏モードがオンになっていない場合(ステップS104;N)、半自動演奏処理は行われず、通常のマニュアル演奏による電子ピアノ100の発音処理に移行するため、上記ステップS106の曲選択処理はジャンプされ、上記キースキャン処理及びペダルスキャン処理が実施される(ステップS108)。
【0066】
この処理後、キーオンイベントが有ったか又はペダルオンイベントが有ったかがチェックされる(ステップS110)。
【0067】
これらのいずれのイベントもない場合(ステップS110;N)、メイン処理ルーチンは、上記ステップS102のパネルスキャン処理に移行する。
【0068】
反対にこれらのいずれかのイベントがある場合(ステップS110;Y)、半自動演奏モードがオンになっているか否かがチェックされる(ステップS112)。
【0069】
半自動演奏モードがオンになっていれば(ステップS112;Y)、後述する半自動演奏処理がなされる(ステップS114)。反対に半自動演奏モードがオンになっていなければ(ステップS112;N)、通常発音処理がなされることになる(ステップS116)。
【0070】
図7は、上記ステップS114の半自動演奏処理の処理フローを示すフローチャートである。同図に示すように、まず、算出部14において、タップテンポ値の算出を行う(ステップS200)。
【0071】
次にメロディデータを所定のアドレス分だけ、読み進めながら発音処理を行い、読み出しアドレスを次のデータまで進める(ステップS202)。
【0072】
また伴奏データについては、次のメロディデータの読み出し位置まで伴奏データI、II及びIIIをタップテンポ値のテンポで順次読み出す(ステップS204)。
【0073】
そしてタップテンポ値が、上記プリセット値未満であるか否かがチェックされる(ステップS206)。
【0074】
このタップテンポ値が、上記プリセット値未満でなければ(ステップS206;N)、押鍵データのノートオン・カウントが1であるか否かがチェックされる(ステップS216)。
【0075】
押鍵データのノートオン・カウントが1であれば(ステップS216;Y)、同時に押鍵されている音は1音のみであり、例えばスタッカートのように、1音1音がはっきり区切って演奏される。その場合は、上記設定部16により、伴奏データの音量を調節するための係数変更による伴奏データ切替処理がなされ(ステップS218)、上記伴奏データIII(中高速用)が、次のメロディデータの読み出し位置まで、タップテンポ値のテンポで順次読み出され、発音処理される(ステップS220)。
【0076】
また押鍵データのノートオン・カウントが1でなければ(ステップS216;N)、上記設定部16により、伴奏データの音量を調節するための係数変更による伴奏データ切替処理がなされ(ステップS222)、上記伴奏データII(標準速用)が、次のメロディデータの読み出し位置まで、タップテンポ値のテンポで順次読み出され、発音処理される(ステップS224)。
【0077】
上記ステップS206に戻り、このタップテンポ値が、上記プリセット値未満であれば(ステップS206;Y)、さらにペダルオンイベントが有るか否かがチェックされる(ステップS208)。
【0078】
ペダルオンイベントがない場合(ステップS208;N)、さらに押鍵データのノートオン・カウントが2以上であるか否かがチェックされる(ステップS210)。
【0079】
押鍵データのノートオン・カウントが2以上でなければ(ステップS210;N)、上記と同様、上記設定部16により、伴奏データの音量を調節するための係数変更による伴奏データ切替処理がなされ(ステップS222)、上記伴奏データII(標準速用)が、次のメロディデータの読み出し位置まで、タップテンポ値のテンポで順次読み出され、発音処理される(ステップS224)。
【0080】
反対に押鍵データのノートオン・カウントが2以上であれば(ステップS210;Y)、同時に押鍵されている音は2音以上であり、例えばテヌートのように、音の長さを十分保ちながら、最初の音の上に次の音が重なるように演奏される。その場合は、上記設定部16により、伴奏データの音量を調節するための係数変更による伴奏データ切替処理がなされ(ステップS212)、上記伴奏データI(低速用)が、次のメロディデータの読み出し位置まで、タップテンポ値のテンポで順次読み出され、発音処理される(ステップS214)。
【0081】
上記ステップS208で、ペダルオンイベントがある場合(ステップS208;Y)、上述のステップS212に処理が移行する。従って、上記設定部16により、伴奏データの音量を調節するための係数変更による伴奏データ切替処理がなされ(ステップS212)、上記伴奏データI(低速用)が、次のメロディデータの読み出し位置まで、タップテンポ値のテンポで順次読み出され、発音処理される(ステップS214)。
【0082】
上記設定部16による伴奏データの読み出しは、3つのパターンの伴奏データI、II及びIIIに対して、算出部14で算出されたタップテンポ値に応じて適用される、各伴奏データの音量を調節するための各係数を、上記押鍵データのキーオンの音量値に夫々演算して、得られた値に設定することで、行われている。
【0083】
また、上記伴奏データ切替処理では、上記係数の設定を、切り替えられる側のパターンの伴奏データと、反対に切り替える側のパターンの伴奏データとの間で、各パターンの伴奏データに掛け合わせられる係数の値を逆方向のベクトルで増減する値とし、各フェードアウト及びフェードインした状態で、各パターンの伴奏データの切り替えを行っている。
【0084】
上記実施例の構成では、上記設定部16により、曲データ格納部10から、伴奏データI、II及びIIIが、次のメロディデータの読み出し位置まで、タップテンポ値のテンポで順次読み出されており、発音処理するか否かは、設定部16において、伴奏データの音量を調節するための係数変更による伴奏データ切替処理がなされるか否かによって決まる。だが、全パターンの伴奏データの読み出しを行わずに、上記設定部16による伴奏データの読み出しは、夫々のパターンの伴奏データI、II又はIIIに対して、算出されたタップテンポ値に応じたパターンのいずれかの伴奏データのみを読み出すことで行うようにしても良い。
【0085】
上記実施例では、半自動演奏モードに設定した時の、初期では曲データ中標準速用テンポの伴奏データIIで自動演奏が行われ、その後算出されたタップテンポ値に応じて、設定部16により、そのタップテンポ値にあった曲調パターンの伴奏データが読み出される。すなわち、変更される伴奏データは、タップテンポ値に応じてアレンジの異なる伴奏データI、II又はIIの中から最適なものが読み出されることができるようになり、変化に富んだ伴奏が可能となる。
【0086】
そのため、タップテンポ値の変更があった場合に、そのテンポに合った伴奏パターンへの変更が可能となり、1曲の曲データに対して1の伴奏データしか記憶されていない従来技術の構成のように、押鍵によるキーオンが、テヌートで弾かれようが、スタッカートで弾かれようが、伴奏パートのアレンジは、用意された(予め記憶された)1つの伴奏パートのデータによるだけで、奏法によって変わらないという、変化のない面白くないものではなくなる。
【0087】
尚、本発明の電子楽器は、上述の電子ピアノ100にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。たとえば、押鍵タッチの強さが併せて検出され、曲データ中の伴奏パートに、上記押鍵タッチの強さがベロシティ情報として反映されるようにすれば、操作者の押鍵タッチの強弱が、曲データ中の伴奏情報にも反映されて自動演奏が行われるようになり、操作者の鍵盤の弾き方によって、自分の意図する曲のメリハリを付けて、演奏を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施例にかかる演奏制御装置構成が搭載された電子ピアノ100の外観構成を示す斜視図である。
【図2】該電子ピアノ100の基本回路図である。
【図3】本発明に係る実施例の機能ブロックを示すブロック図である。
【図4】メロディパートの1音が発音される毎に、次のメロディーパートの1つの音符までの間にある下段の伴奏パート数音が自動伴奏される半自動演奏機能の場合の演奏例を示す譜面説明図である。
【図5】演奏者が押鍵する度に1拍分のメロディーパートと伴奏パートの数音が自動伴奏される半自動演奏機能の場合の演奏例を示す譜面説明図である。
【図6】本電子ピアノ100のメイン処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】ステップS114の半自動演奏モードの演奏処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
10 曲データ格納部
12 検出部
14 算出部
16 設定部
18 楽音出力部
20 ペダル検出部
30 曲データ指定部
32 キー&トーンアサイナ
100 電子ピアノ
110 システムバス
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 鍵盤部
114a キースキャン回路
115 パネル操作部
115a パネルスキャン回路
116 表示部
116a 表示制御回路
117 ペダル部
117a ペダルスキャン回路
118 楽音発生回路
119 D/A変換回路
120 サウンドシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1曲につき、1つのメロディパート用のノートデータ及びテンポに応じた2種以上のパターンの伴奏パート用のノートデータで夫々構成される自動演奏のための曲データが格納された曲データ格納手段と、
押鍵を検出する検出手段と、
検出された押鍵データと曲データ中のノートデータからタップテンポ値を算出する算出手段と、
押鍵毎に、上記曲データ中のメロディデータを所定量ずつ順次読み出すと共に、上記伴奏データは、2種以上の夫々のパターンの中から、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データを所定量ずつ順次読み出す設定手段と、
上記のように読み出されたメロディデータと伴奏データに従って、楽音を発生・出力する楽音出力手段と
を有することを特徴とする電子楽器。
【請求項2】
上記設定手段による伴奏データの読み出しは、2種以上の夫々のパターンの伴奏データに対して、算出されたタップテンポ値に応じて適用される、各伴奏データの音量を調節するための各係数を、上記押鍵データのキーオンの音量値に夫々演算して、得られた値に設定することで、行われることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
【請求項3】
上記係数の設定を、切り替えられる側のパターンの伴奏データと、反対に切り替える側のパターンの伴奏データとの間で、各パターンの伴奏データに掛け合わせられる係数の値を逆方向のベクトルで増減する値とし、各フェードアウト及びフェードインした状態で、各パターンの伴奏データの切り替えを行うことを特徴とする請求項2記載の電子楽器。
【請求項4】
上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、低速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の電子楽器。
【請求項5】
上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、標準速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の電子楽器。
【請求項6】
上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、中高速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の電子楽器。
【請求項7】
上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、標準速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の電子楽器。
【請求項8】
上記電子楽器にサスティーンペダルのペダル検出手段が備えられており、且つ上記タップテンポ値がプリセット値未満であると判断され、該ペダル検出手段からペダルオン情報が検出された時点で、上記設定手段により、各伴奏データの音量を調節するための係数が変更されて、低速用テンポパターンの伴奏データに基づく楽音が上記楽音出力手段から出力されるように該係数を設定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の電子楽器。
【請求項9】
上記設定手段による伴奏データの読み出しは、2種以上の夫々のパターンの全伴奏データを読み出し、そのうち、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データのみを、楽音出力手段に送ることで実行されることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
【請求項10】
上記設定手段による伴奏データの読み出しは、2種以上の夫々のパターンの伴奏データに対して、算出されたタップテンポ値に応じたパターンの伴奏データのみを読み出すことで行われることを特徴とする請求項1記載の電子楽器。
【請求項11】
上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、低速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを特徴とする請求項9又は10記載の電子楽器。
【請求項12】
上記タップテンポ値がプリセット値未満であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、標準速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを特徴とする請求項9又は10記載の電子楽器。
【請求項13】
上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが1音であると判断された時点で、上記設定手段により、中高速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを特徴とする請求項9又は10記載の電子楽器。
【請求項14】
上記タップテンポ値がプリセット値以上であり、且つ押鍵データ中のノートオンを示すカウンタが2音以上であると判断された時点で、上記設定手段により、標準速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを特徴とする請求項9又は10記載の電子楽器。
【請求項15】
上記電子楽器にサスティーンペダルのペダル検出手段が備えられており、且つ上記タップテンポ値がプリセット値未満であると判断され、該ペダル検出手段からペダルオン情報が検出された時点で、上記設定手段により、低速用テンポパターンの伴奏データの読み出し乃至楽音出力手段への転送によって、楽音として上記楽音出力手段から出力されるようにすることを特徴とする請求項9又は10記載の電子楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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