説明

電子機器、液晶表示装置

【課題】液晶表示装置のバックライトのように光を発生する電気部品を備えた電子機器において、その光を有効活用して省電力化を図ること。
【解決手段】バックライト19の背面側に設けられたシート状のベース部材21bに光発電素子21aが実装された光発電素子シート21と、光発電素子21aによる発電電気の電圧を、電源回路の出力電圧Eb(AC)、Ea(DC)に対応した目標電圧Ed、Ecに変換する回路25及び26と、電源回路の出力電気(電圧Eb、Ea)と、光発電素子21aによる発電電気(電圧変換後)とを混合してバックライト19等の電気部品に供給する混合回路15、6と、電流の逆流を防止する逆流防止回路27、30とを備え、電源回路から電気部品への電気供給ラインに光発電素子21aによる発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び液晶表示装置に関し、特に、省電力化に好適な電子機器及び液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器が備える電気部品には光を発生するものがあり、その光は十分に利用されていないことがある。また、電子機器の省電力化に対する要求は、益々厳しくなってきている。
ところで、電子機器の一例である液晶表示装置は、他の表示装置に比べて消費電力が少ないという特徴を有するが、液晶パネルの大型化が進む中、液晶パネルの背面照明用のバックライト(蛍光管やLED等)が大型化しており、そのバックライトの光量及び消費電力が増大してきている。このような大型の液晶表示装置においても、省電力化の要請が強い。
一方、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電素子(光起電力型の光電変換素子ともいう)を発光部を有する電子機器に適用すれば、電子機器の省電力化を図ることができる。この光発電素子は、一般に、太陽光発電に利用されるものである。
例えば、特許文献1には、商用交流電源と太陽光発電による補助電源とを併用した太陽電池システムが示されている。
【特許文献1】特開平7−281774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、液晶表示装置のように、バックライト等の光を発生する電気部品を備えた電子機器において、従来はその光が十分に利用されていないという問題点があった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液晶表示装置のバックライトのように光を発生する電気部品を備えた電子機器において、その光を有効活用して省電力化を図ることができる電子機器及び液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は、電気部品とその電気部品に電気を供給する電源回路とを備えた電子機器に適用されるものであり、前記電気部品から発生する光により発電する光発電素子と、前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに前記光発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるエネルギー循環手段とを具備することを特徴とする電子機器である。
例えば、その電子機器が、液晶表示パネルと、その液晶表示パネルの背面のほぼ全領域を照明する背面照明手段と、その背面照明手段を含む電気部品に電気を供給する電源回路とを具備する液晶表示装置に本発明を適応すれば好適である。
この場合、前記背面照明手段から発生する光により発電する光発電素子と、前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに前記光発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるエネルギー循環手段とを備えた液晶表示装置として構成される。
これにより、液晶表示パネルの背面照明手段(バックライト)のように、発光する電気部品を備えた電子機器において、有効に利用されていない無駄な光を有効活用して省電力化を図ることができる。
【0005】
前記エネルギー循環手段のより具体的な構成としては、例えば、前記光発電素子による発電電気の電圧を前記電源回路の出力電圧に対応した目標電圧に変換する発電電圧変換回路と、前記電源回路の出力電気と前記発電電圧変換回路の出力電気とを混合して前記電気部品に供給する混合回路と、前記発電電圧変換回路から前記混合回路に至る電気の伝送経路において電流が前記発電電圧変換回路側へ逆流することを防止する逆流防止回路とを具備するものが考えられる。
これにより、前記光発電素子を電源とする前記発電電圧変換回路の出力電圧が十分なレベルにあるときは、その出力電気が電気部品に供給されて有効活用される。一方、前記発電電圧変換回路の出力電圧が不足するときは、前記電源回路の出力電気のみが電気部品に供給されるとともに、その出力電気が前記発電電圧変換回路側へ流入(逆流)することが防止される。
【0006】
また、前記電子機器が液晶表示装置である場合、複数の前記光発電素子が、前記背面照明手段の前記液晶表示パネル側とは反対の側のほぼ全領域にわたって設けられたシート部材(以下、第1のシート部材という)に実装された構成を有するものであれば好適である。
これにより、前記背面照明手段から発生する無駄な光を効率的に回収できる。
さらにこの場合、前記第1のシート部材が、前記光発電素子とともに、前記背面照明手段から発生する熱により発電する複数の熱発電素子が併せて実装されたものであり、前記エネルギー循環手段が、前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに、前記光発電素子による発電電気及び前記熱発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるものが考えられる。
これにより、無駄に発生する光と熱との両方を有効活用して省電力化を図ることができる。
その他、前記背面照明手段から発生する熱により発電する複数の熱発電素子が実装されるとともに、前記第1のシート部材に対し前記背面照明手段と反対の側に重ね合わされたシート部材(以下、第2のシート部材という)を具備し、前記エネルギー循環手段が、前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに、前記光発電素子による発電電気及び前記熱発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるものであっても同様である。
また、前記光発電素子が実装された前記第1のシート部材が、前記背面照明手段の光を前記液晶表示パネル側に向けて反射する反射シートを兼ねるものでれば、部品点数を少なくできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液晶表示パネルの背面照明手段(バックライト)のように、発光する電気部品を備えた電子機器において、未利用の無駄な光を光発電素子を用いて有効活用し、省電力化を図ることができる。
また、前記電子機器が液晶表示装置である場合に、複数の前記光発電素子が、液晶表示パネルの背面照明手段(バックライト)の前記液晶表示パネル側とは反対の側のほぼ全領域にわたって設けられたシート部材に実装された構成を有するものであれば、前記背面照明手段から発生する無駄な光を効率的に回収できる。
さらに、光発電素子に加えて熱発電素子を併用すれば、無駄に発生する光と熱との両方を有効活用してさらなる省電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の実施形態に係る液晶表示装置Xの主要部の概略回路図、図2は従来の液晶表示装置Aの主要部の概略回路図、図3は液晶表示装置Xにおける液晶表示部Z1の概略構造を表す斜視図、図4は液晶表示装置Xが備える光発電素子シートの概略斜視図、図5は光発電素子シートの内部構造を模式的に表した図、図6は本発明の実施例に係る液晶表示装置が備える熱発電素子シートの内部構造を模式的に表した図である。
【0009】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置(電子機器の一例)は、図1に示すように、大別して液晶表示部Z1と、電源回路部Z2と、電気循環回路部Z3とを有している。
図3に液晶表示部Z1の概略構造を斜視図により示している。
液晶表示部Z1は、図3に示すように、液晶表示パネル17(以下、液晶パネルという)と、偏光・拡散シート18と、複数の蛍光管を備えたバックライト19及びこれを保持するランプホルダ24と、反射シート20と、光発電素子シート21と、バックライトシャーシ22とを備えている。また、前面側から背面側へ、液晶パネル17、偏光・拡散シート18、バックライト19(蛍光管)及びランプホルダ24、反射シート20、光発電素子シート21、バックライトシャーシ22の順番で配設されている。
【0010】
バックライト19は、液晶パネル17の背面の全領域を照明するよう蛍光管が複数配列された照明手段である。バックライト19を構成する複数の蛍光管は、液晶パネル17の幅方向全域にわたって伸びて形成され、液晶表示パネルに対して平行な面に沿って、その液晶パネル17の縦方向ほぼ全域にわたって配列された状態でランプホルダ24により保持されている。
この他、複数の蛍光管と赤色照明を補強するための複数の赤色LEDとを有するハイブリッド型のバックライトが採用される場合もある。また、赤色、緑色及び青色の3色のLED各々が複数配列されたLEDバックライトが採用される場合もある。本発明は、これらいずれのタイプのバックライトが採用された場合でも適用可能である。
偏光・拡散シート18は、バックライト19と液晶パネル17との間に配置され、バックライト19の光を液晶パネル17側へ透過しつつ、偏光及び拡散するシート状の部材である。
反射シート20は、バックライト19の光を液晶パネル17側に向けて反射するものである。この反射シート20は、バックライト19の背面側(液晶パネル側とは反対の側)のほぼ全領域にわたって設けられ、通常は、プラスチック製の薄膜フィルム等により構成された白色のシート状の部材である。
図4は、光発電素子シート21の概略構成を表す斜視図、図5は、光発電素子シート21の内部構造を模式的に表した図である。
【0011】
光発電素子シート21は、図4に示すように、反射シート20と同様に、バックライト19の背面側(液晶パネル側とは反対の側)のほぼ全領域にわたって設けられたシート状のベース部材21bに、複数の薄い板状の光発電素子21aがほぼその全面にわたって実装されて構成されたものである。このシート状のベース部材21bに対する光発電素子21aの実装は、例えば、エッチングとモールド等により行われる。
光発電素子21aは、バックライト19(電気部品の一例)から発生する光により発電を行うものであり、太陽光発電等に用いられる光起電力型の光電変換素子である。
光発電素子21aは、P型シリコン21pとN型シリコン21nとが接合(半導体p−n接合)されたものであり、P型シリコン21pには電極21Hが、n型シリコン21nには光の反射防止膜21f及び電極21Lが設けられている。
【0012】
また、光発電素子シート21には、N型シリコン21nが前面側(バックライト19側)、P型シリコン21pが背面側(バックライトシャーシ22側)となるように、光発電素子21aが実装されている。このような構成により、両電極21H、21Lの間に電荷Qi(iは各光発電素子21aの番号、i=1、2、…、n)が生じる。これら電極21H、21Lを並列接続すると、電荷量Q0(=Q1+Q2+…+Qn)の電気が得られる。これにより、各光発電素子21aで発生する電荷Qiは小さくても、全体として大きな電荷量Q0の電気が得られる。
また、複数の光発電素子21aが実装された光発電素子シート21は、その背面側(バックライト19側とは反対側)で金属製のバックライトシャーシ22(背面筐体)により保持されている。
なお、反射シート20を省略し、光発電素子21aが実装された光発電素子シート21が、バックライト19の光を液晶パネル17側に向けて反射する反射シートを兼ねる構成とすることも考えられる。これにより、部品点数を少なくできる。
【0013】
前記電源回路部Z2は、装置外部の商用電源から得た電気を、電圧変換してバックライト19及びその他の負荷9を含む各種電気部品に供給する電源回路である。
図1に示すように、電源回路部Z2は、整流回路2、コンデンサ3、チョークコイル5及び力率改善IC4を備え、これらが装置外部の商用AC電源から得た交流電気を所定電圧の直流電気に変換するDC電源回路を構成している。
このDC電源回路の出力電圧Eaは、降圧トランス7により13Vに降圧され、さらにレギュレータ回路8により5Vに降圧される。
さらに、電源回路部Z2は、インバータコントロールIC10、ドライブトランジスタ11、ドライブトランス12、降圧トランス13、電圧検出コンデンサ14及び昇圧トランス16を備え、これらと前記DC電源回路とにより、装置外部の商用AC電源から得た交流電気を所定電圧の交流電気に変換するインバータ回路(AC電源回路)を構成している。このインバータ回路は、バックライト19(蛍光管)を点灯させるための交流電源である。
ここで、インバータコントロールIC10は、DC電源回路の出力電圧が降圧トランス7及びレギュレータIC8により降圧された5VのDC電圧により動作する。インバータ回路は、インバータコントロールIC10の出力と、DC電源回路から得た電圧Eaとから、交流電気(電圧Eb)を生成して出力する。さらに、インバータコントロールIC10は、2つの電圧検出コンデンサ14により分圧された電圧を検出し、その電圧に基づいて、出力電圧Ebが過電圧とならないよう制御している。
以上に示した電源回路部Z2の構成は、従来の一般的なDC電源回路及びインバータ回路の構成である。
なお、図2に、この電源回路部Z2を含む従来の液晶表示装置Aの主要部の概略回路図を示す。図2に示すように、従来の液晶表示装置Aは、電気循環回路Z3が存在しない点、及び液晶表示部Z1’に光発電素子シート21が存在しない点において、液晶表示装置Xと異なる。
【0014】
前記電気循環回路Z3は、電源回路部Z2からバックライト19やその他の負荷9への電気供給ラインに、光発電素子シート21に実装された光発電素子21aによる発電電気を帰還させることにより、エネルギーを循環させるものである(エネルギー循環手段の一例)。
電気循環回路Z3は、図1に示すように、蓄電池装置23、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25、交流電圧制御回路26、直流ドライブ&電圧変換回路28、直流電圧制御回路29、逆流防止回路27、30、DC混合回路6、AC混合回路15を備えている。
蓄電池装置23は、光発電素子21aによる発電電気を貯めるもの(コンデンサ)である。
交流ドライブ&電圧変換&位相回路25は、蓄電池装置23に貯められた電気(光発電素子21aによる発電電気)を交流電気に変換するとともに、その電圧E0を、交流電圧制御回路26からの制御指令に従って変換する回路である。なお、変換後の交流電気の位相は、インバータ電源回路の出力の位相と同期させる。
交流電圧制御回路26は、前記インバータ電源回路の出力電圧Ebと、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25の出力電圧Edとを入力し、その出力電圧Edが、インバータ電源回路の出力電圧Ebよりもわずかに高い電圧となるように、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25を制御する。
即ち、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25及び交流電圧制御回路26は、光発電素子21aによる発電電気の電圧を、インバータ電源回路の出力電圧Ebに対応した目標電圧Edに変換する(発電電圧変換回路の一例)。
【0015】
同様に、直流ドライブ&電圧変換回路28は、蓄電池装置23に貯められた電気(光発電素子21aによる発電電気)の電圧E0を、直流電圧制御回路29からの制御指令に従って変換する回路である。
直流電圧制御回路29は、前記DC電源回路の出力電圧Eaと、直流ドライブ&電圧変換回路28の出力電圧Ecとを入力し、その出力電圧Ecが、DC電源回路の出力電圧Eaよりもわずかに高い電圧となるように、直流ドライブ&電圧変換回路28を制御する。
即ち、直流ドライブ&電圧変換回路28及び直流電圧制御回路29は、光発電素子21aによる発電電気の電圧を、DC電源回路の出力電圧Eaに対応した目標電圧Ecに変換する(発電電圧変換回路の一例)。
なお、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25及び直流ドライブ&電圧変換回路28のいずれも、バックライト19の消灯時等、電気エネルギーの元となる光発電素子21aの起電力が小さい場合には、目標電圧Ed、Ecを維持できない。
【0016】
前記AC混合回路15は、前記インバータ電源回路の出力電気(電圧Eb)と、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25の出力電気(電圧Ed)とを混合してバックライト19(電気部品の一例)に供給する回路である。
同様に、前記DC混合回路6は、前記DC電源回路の出力電気(電圧Ea)と、直流ドライブ&電圧変換回路28の出力電気(電圧Ec)とを混合し、インバータ電源回路を通じてバックライト19に供給する回路である。これにより、電源とバックライト19との間でエネルギーが循環する。なお、DC混合回路6の出力電気は、バックライト19以外の所定の負荷9(電気部品)にも供給される。
また、逆流防止回路27(AC用)は、ダイオード等により構成され、交流ドライブ&電圧変換&位相回路25からAC混合回路15に至る電気の伝送経路において、電流が交流ドライブ&電圧変換&位相回路25側へ逆流することを防止する回路である。
同様に、逆流防止回路30(DC用)は、ダイオード等により構成され、直流ドライブ&電圧変換回路28からDC混合回路6に至る電気の伝送経路において、電流が直流ドライブ&電圧変換回路28側へ逆流することを防止する回路である。
このような構成により、光発電素子21aを電源とする電圧変換回路25、28の出力電圧Ed、Ecが十分なレベルにあるときは、その出力電気がバックライト19や他の負荷9等の電気部品に供給されて有効活用される。一方、電圧変換回路25、28の出力電圧Ed、Ecが不足するときは、前記インバータ電源回路及び前記DC電源回路の出力電気のみが電気部品に供給される。また、出力電圧の切り替え時に、瞬時停電状態となることなく円滑な出力切り替えが行われる。
その結果、比較的発光量が大きなバックライト19等の電気部品を備えた大型の液晶表示装置において、発生光を有効活用して省電力化を図ることができる。
また、以上に示した光発電素子21a及び電気循環回路部Z3を、発光する電気部品及び前記電源回路部Z2と同様の電源回路を備えた他の電子機器に適用すれば、電気部品の発生光を有効活用して省電力化を図ることができる。
【0017】
ところで、バックライト19が発生する光エネルギーと熱エネルギーとの両方により発電してエネルギー循環を行う実施例も考えられる。
図6は、そのような実施例に用いる熱発電素子シート21’の内部構造を模式的に表した図である。
熱発電素子シート21’は、図6に示すように、光発電素子シート21と同様に、バックライト19の背面側(液晶パネル側とは反対の側)のほぼ全領域にわたって設けられたシート状のベース部材21b’に、複数の薄い板状の熱発電素子21a’がほぼその全面にわたって実装されて構成されたものである(第2のシート部材の一例)。このシート状のベース部材21b’に対する熱発電素子21aの実装は、例えば、パターンエッチングにより行われる。
熱発電素子21a’は、バックライト19(電気部品の一例)から発生する熱により発電を行うものであり、ペルチェ素子で構成されている。
ペルチェ素子は、P型半導体21p’及びN型半導体21n’と、両半導体21p’、21n’各々の一方の面を導通させる電極21L’(以下、ベース電極という)と、P型半導体21p’の前記ベース電極21L’とは反対側の面に設けられた電極21Hp(以下、P電極という)と、N型半導体21n’の前記ベース電極21L’とは反対側の面に設けられた電極21Hn(以下、N電極という)とを備えている。
【0018】
また、熱発電素子シート21’には、P電極21Hp及びN電極21Hnが前面側(バックライト19側)、ベース電極21L’が背面側(バックライトシャーシ22側)となるように、熱発電素子21a’が実装されている。このように、P電極21Hp及びN電極21Hnが高温部に向けられ、ベース電極21L’が低温部に向けられることにより、P電極21HpとN電極21Hnとの間に起電力(電圧Ei’:iは各熱発電素子21a’の番号、i=1、2、…、n)が生じる。これらN電極21Hn及びP電極21Hpを図6に示すように直列接続すると、電圧E0’(=E1’+E2’+…+En’)の電力が得られる。これにより、各熱発電素子21a’の起電力Ei’は小さくても、全体として高電圧の電力が得られる。
また、複数の熱発電素子21a’が実装された熱発電素子シート21’は、前記光発電素子シート21の背面側に重ね合わされ、さらにその背面側(バックライト19側とは反対側)で金属製のバックライトシャーシ22(背面筐体)により保持される。その際、熱発電素子シート21’は、その背面がバックライトシャーシ22と密着した状態で保持される。
これにより、熱発電素子21a’の前面側と背面側との温度差を確保でき、熱発電素子21a’の発電効率が高まる。
【0019】
図6に示すような熱発電素子シート21’が設けられた場合、前記光発電素子シート21に実装された光発電素子21aにより発生した電気と、熱発電素子シート1’に実装された熱発電素子21a’により発生した電気との両方が、蓄電池装置23に貯まるように構成する。
これにより、前記電気循環回路Z3は、前記インバータ電源回路及び前記DC電源回路から、バックライト19及びその他の負荷9(電気部品)への電気供給ラインに、光発電素子21aによる発電電気と熱発電素子21a’による発電電気との両方を帰還させて、エネルギーを循環させるものとなる。
このように、光発電素子21aに加えて熱発電素子21a’を併用すれば、無駄に発生する光と熱との両方を有効活用してさらなる省電力化を図ることができる。
なお、前記光発電素子シート21(第1のシート部材の一例)が、光発電素子21aとともに、バックライト19の発生熱により発電する複数の熱発電素子21a’を併せて(混在して)実装されたものとしても同様の作用効果が得られる。なお、この場合も、光発電素子21aにより発生した電気と、熱発電素子21a’により発生した電気との両方が、蓄電池装置23に貯まるように構成することはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、液晶表示装置等の電子機器への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置Xの主要部の概略回路図。
【図2】従来の液晶表示装置Aの主要部の概略回路図。
【図3】液晶表示装置Xにおける液晶表示部Z1の概略構造を表す斜視図。
【図4】液晶表示装置Xが備える光発電素子シートの概略斜視図。
【図5】光発電素子シートの内部構造を模式的に表した図。
【図6】本発明の実施例に係る液晶表示装置が備える熱発電素子シートの内部構造を模式的に表した図。
【符号の説明】
【0022】
X…液晶表示装置
Z1…液晶表示部
Z2…電源回路部
Z3…電気循環回路部
6…DC混合回路
15…AC混合回路
17…液晶パネル
19…バックライト
21…光発電素子シート
21’…熱発電素子シート
21a…光発電素子
21a’…熱発電素子
22…バックライトシャーシ
23…蓄電池装置
25…交流ドライブ&電圧変換&位相回路
26…交流電圧制御回路
27…逆流防止回路(交流用)
28…直流ドライブ&電圧変換回路
29…直流電圧制御回路
30…逆流防止回路(直流用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品と該電気部品に電気を供給する電源回路とを備えた電子機器であって、
前記電気部品から発生する光により発電する光発電素子と、
前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに前記光発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるエネルギー循環手段と、
を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記エネルギー循環手段が、
前記光発電素子による発電電気の電圧を前記電源回路の出力電圧に対応した目標電圧に変換する発電電圧変換回路と、
前記電源回路の出力電気と前記発電電圧変換回路の出力電気とを混合して前記電気部品に供給する混合回路と、
前記発電電圧変換回路から前記混合回路に至る電気の伝送経路において電流が前記発電電圧変換回路側へ逆流することを防止する逆流防止回路と、
を具備してなる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
液晶表示パネルと、該液晶表示パネルの背面の略全領域を照明する背面照明手段と、該背面照明手段を含む電気部品に電気を供給する電源回路とを具備する液晶表示装置であって、
前記背面照明手段から発生する光により発電する光発電素子と、
前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに前記光発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるエネルギー循環手段と、
を具備してなることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
複数の前記光発電素子が、前記背面照明手段の前記液晶表示パネル側とは反対の側の略全領域にわたって設けられた第1のシート部材に実装されてなる請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1のシート部材が、前記光発電素子とともに、前記背面照明手段から発生する熱により発電する複数の熱発電素子が併せて実装されたものであり、
前記エネルギー循環手段が、前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに、前記光発電素子による発電電気及び前記熱発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるものである請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記背面照明手段から発生する熱により発電する複数の熱発電素子が実装されるとともに、前記第1のシート部材に対し前記背面照明手段と反対の側に重ね合わされた第2のシート部材を具備し、
前記エネルギー循環手段が、前記電源回路から前記電気部品への電気供給ラインに、前記光発電素子による発電電気及び前記熱発電素子による発電電気を帰還させることによりエネルギーを循環させるものである請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記光発電素子が実行された前記第1のシート部材が、前記背面照明手段の光を前記液晶表示パネル側に向けて反射する反射シートを兼ねるものである請求項4〜6のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−212851(P2007−212851A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33808(P2006−33808)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】