説明

電子機器監視システム及び該システムに用いられる電子機器監視方法

【課題】秘匿性が要求される屋内に設置される電子機器の動作を監視する場合に、電子機器の可搬性及び秘匿性が確保される電子機器監視システムを提供する。
【解決手段】光空間伝送手段(光送信ユニット10、光受信ユニット20)により、監視対象装置1から出力される監視信号dsが、同監視信号dsに含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光dpに変換されて屋内の空間に伝送させ、伝送された各可視光dpが受光されて受光出力信号psに変換されて出力される。そして、監視装置30により、上記光空間伝送手段から出力される受光出力信号psに基づいて、監視対象装置1に対する動作監視が行われる。光送信ユニット10は、監視対象装置1に外付けされ手いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器監視システム及び該システムに用いられる電子機器監視方法に係り、たとえば防衛分野向けの通信機器など、秘匿性が要求される屋内に設置される電子機器に対して、動作を監視する場合に用いて好適な電子機器監視システム及び該システムに用いられる電子機器監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防衛分野向けの通信機器など、秘匿性が要求される屋内に設置される電子機器に対して、動作監視を行う電子機器監視システムでは、同電子機器から、その動作状態(たとえば、正常/異常、動作モードなど)を表す監視信号が出力され、同監視信号が監視装置に入力される。この場合、電子機器と監視装置とを電波又は赤外線を介して無線接続すると、監視信号は、遮蔽物に対する透過性が高いため、秘匿性が確保されないという問題点がある。このため、電子機器は、監視信号を伝送するためのメタルケーブル又は光ケーブルを介して、監視装置に有線接続される。
【0003】
この種の電子機器監視システムは、たとえば図7に示すように、監視対象装置1に接続されているケーブル2と、電気/光変換部3と、光ケーブル4と、監視装置5とから構成されている。監視対象装置1は、たとえば防衛分野向けの通信機器など、秘匿性が要求される屋内に設置されている電子機器である。
この電子機器監視システムでは、監視対象装置1から、その動作状態(たとえば、正常/異常、動作モードなど)を表す監視信号ds(電気信号)が出力され、ケーブル2(メタルケーブル)を経て電気/光変換部3に入力されて光信号に変換され、光ケーブル4を経て監視装置5へ送出される。監視装置5により、監視対象装置1に対する動作監視が行われる。
【0004】
上記の電子機器監視システムの他、この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された光伝送システムがある。
この光伝送システムは、プラント内で遠隔制御若しくは遠隔監視を行う遠隔制御システムに適用されるもので、送信側と、受信側とを備えている。送信側では、レーザ光源により、複数のセンサ信号が個々に若しくはグルーピング化され、それぞれ波長の異なるレーザ光が出力され、拡散光学系により、同レーザ光が伝送空間に拡散送出される。受信側では、伝送空間を介して得られたレーザ光が、集光手段により受光位置に集光され、集光されたレーザ光が受光器で波長選択的に受光される。そして、コントローラにより、受光器で得られたセンサ信号に基づいて、遠隔制御若しくは遠隔監視が行われる。
【0005】
また、特許文献2に記載された空間光伝送装置では、移動可能に設置された移動局と、定位置に設置された固定局との間で、空間に放射された光によりデータが双方向に伝送される。この場合、固定局には、通信ログを一定時間毎に継続して一時記憶するメモリが設けられている。また、固定局に対してネットワークを介して情報端末が接続され、情報端末は、障害発生時などに、固定局に対してアクセスし、メモリに記録された通信ログを読み出してディスプレイに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−274753号公報
【特許文献2】特開2009−071368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、図7の電子機器監視システムでは、監視対象装置1にケーブル2を介して電気/光変換部3が接続されているので、監視信号dsに対する秘匿性は確保されるが、同監視対象装置1を自由に移動できないという課題がある。また、ケーブル類の物理的な接続工事が必要となり、この電子機器監視システムの規模が大きくなれば、必然的に工事規模が大きくなるという課題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載された光伝送システムでは、受光器で得られたセンサ信号に基づいて、遠隔制御若しくは遠隔監視が行われるが、この発明とはハード構成や処理方法が異なり、秘匿性が要求される屋内で可搬性が確保されて用いられるものではない。
【0009】
特許文献2に記載された空間光伝送装置では、作業者に負担をかけることなく、障害発生時点の通信ログが確実に収集されて、原因の究明が行われるが、この発明とはハード構成や処理方法が異なり、秘匿性が要求される屋内で可搬性が確保されて用いられるものではない。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、秘匿性が要求される屋内に設置される電子機器の動作を監視する場合に、可搬性及び秘匿性が確保される電子機器監視システム及び該システムに用いられる電子機器監視方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、電子機器に対して動作監視を行い、前記電子機器は、秘匿性が要求される屋内で用いられて該電子機器の動作状態を表す監視信号を出力する構成とされている電子機器監視システムに係り、前記電子機器から出力される前記監視信号を、該監視信号に含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させ、伝送された前記各可視光を受光して受光出力信号に変換して出力する光空間伝送手段と、該光空間伝送手段から出力される前記受光出力信号に基づいて、前記電子機器に対する動作監視を行う監視装置とから構成されていることを特徴としている。
【0012】
この発明の第2の構成は、電子機器に対して動作監視を行い、前記電子機器は、秘匿性が要求される屋内で用いられて該電子機器の動作状態を表す監視信号を出力する構成とされている電子機器監視システムに用いられる電子機器監視方法に係り、光空間伝送手段が、前記電子機器から出力される前記監視信号を、該監視信号に含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させ、伝送された前記各可視光を受光して受光出力信号に変換して出力する光空間伝送処理と、監視装置が、前記光空間伝送手段から出力される前記受光出力信号に基づいて、前記電子機器に対する動作監視を行う監視処理とを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の構成によれば、秘匿性が要求される屋内に設置される電子機器の動作を監視する場合に、可搬性及び秘匿性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態である電子機器監視システムの要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1中の光送信ユニット10の電気的構成を示す回路図である。
【図3】図2中の駆動部11の電気的構成を示す回路図である。
【図4】図1中の光受信ユニット20の構成を示す図である。
【図5】図4中の電気/光変換部22の電気的構成を示す回路図である。
【図6】図1の電子機器監視システムの動作を説明するタイムチャートである。
【図7】関連技術に係る電子機器監視システムの電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記光空間伝送手段(光送信ユニット、光受信ユニット)は、上記電子機器(監視対象装置)に取り付けられ、同電子機器から出力される上記監視信号を上記複数の可視光に変換して上記屋内の空間に伝送させる光信号送信部と、伝送された上記各可視光を受光して上記受光出力信号に変換して出力する光信号受信部(光受信ユニット)とから構成されている電子機器監視システムを実現する。
【0016】
また、上記光信号送信部(光送信ユニット)は、上記監視信号に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、同駆動部から出力される上記駆動信号に基づいて上記複数の可視光を発光して上記屋内の空間に伝送させる発光部とから構成され、上記光信号受信部(光受信ユニット)は、上記屋内の空間に伝送された上記各可視光を受光して各受光電気信号に変換して出力する受光部と、同受光部から出力される上記各受光電気信号を上記受光出力信号に変換する信号変換部(電気/光変換部)とから構成されている。
【0017】
また、上記駆動部は、上記監視信号が1つのシリアルデータの場合にパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路と、上記監視信号が1つのシリアルデータの場合に上記シリアル/パラレル変換回路で変換された上記パラレルデータを入力する一方、上記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合にそのまま入力して複数の上記駆動信号を出力する発光素子駆動回路(LEDドライブ回路)とから構成され、上記発光部は、同発光素子駆動回路から出力される上記各駆動信号に基づいて上記各可視光をそれぞれ発光する複数の発光素子(LED)から構成されている。
【0018】
また、上記受光部は、上記各可視光を受光して上記各受光電気信号に変換して出力する複数の受光素子を有し、上記信号変換部は、上記各受光素子から出力される上記各受光電気信号に対して所定の増幅を行って各出力電気信号を出力する増幅部(増幅回路)と、同増幅部から出力される上記各出力電気信号をパラレルからシリアルに変換してシリアル出力信号を出力するパラレル/シリアル変換回路と、上記増幅部から出力される上記各出力電気信号を時分割で多重化して多重化出力信号を出力するマルチプレクサ回路と、上記監視信号が1つのシリアルデータの場合に上記シリアル出力信号を選択する一方、上記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合に上記多重化出力信号を選択して出力する選択部(スイッチ)とから構成されている。
【0019】
また、上記信号変換部は、上記選択部(スイッチ)から出力される上記シリアル出力信号又は上記多重化出力信号を電気信号から光信号に変換して上記受光出力信号として出力する電気/光変換回路(E/O変換回路)を有し、上記監視装置は、上記電気/光変換回路から出力される上記受光出力信号を入力する構成とされている。
【実施形態】
【0020】
図1は、この発明の一実施形態である電子機器監視システムの要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態の電子機器監視システムは、同図に示すように、監視対象装置1に接続されているケーブル1aと、光送信ユニット10と、光受信ユニット20と、光ケーブル23と、監視装置30とから構成されている。監視対象装置1は、たとえば防衛分野向けの通信機器など、秘匿性が要求される屋内で用いられる電子機器であり、その動作状態(たとえば、正常/異常、動作モードなど)を表す監視信号ds(電気信号)を出力する。ケーブル1aは、メタルケーブルで構成され、監視信号dsを光送信ユニット10へ伝送する。
【0021】
光送信ユニット10は、監視対象装置1に外付けされ、同監視対象装置1からケーブル1aを経て伝送される監視信号dsを、同監視信号dsに含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光dpに変換して上記屋内の空間に伝送させる。特に、この実施形態では、光送信ユニット10は、駆動部11と、発光部12とから構成されている。駆動部11は、監視信号dsに基づいて駆動信号dmを出力する。発光部12は、駆動部11から出力される駆動信号dmに基づいて複数の可視光dpを発光して屋内の空間に伝送させる。
【0022】
光受信ユニット20は、光送信ユニット10の可視光dpの光軸上に位置し、伝送された各可視光dpを受光して受光出力信号psに変換して出力する。特に、この実施形態では、光受信ユニット20は、受光部21と、電気/光変換部22とから構成されている。受光部21は、屋内の空間に伝送された各可視光dpを受光して各受光電気信号erに変換して出力する。電気/光変換部22は、受光部21から出力される受光電気信号erを受光出力信号psに変換する。光ケーブル23は、受光出力信号psを監視装置30へ伝送する。監視装置30は、伝送される受光出力信号psに基づいて、監視対象装置1に対する動作監視を行う。
【0023】
図2は、図1中の光送信ユニット10の電気的構成を示す回路図である。
この光送信ユニット10は、図2に示すように、駆動部11と、発光部12とから構成されている。駆動部11は、監視信号dsに基づいて、駆動信号dmとして、駆動信号dr,dg,dbを出力する。発光部12は、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)(R、赤)41と、LED(G、緑)42と、LED(B、青)43とを有している。LED(R)41は、駆動信号drに基づいて、赤色光rp(可視光)を発光する。LED(G)42は、駆動信号dgに基づいて、緑色光gp(可視光)を発光する。LED(B)43は、駆動信号dbに基づいて、青色光bp(可視光)を発光する。
【0024】
図3は、図2中の駆動部11の電気的構成を示す回路図である。
この駆動部11は、図3に示すように、シリアル/パラレル変換回路51と、LEDドライブ回路52とから構成されている。シリアル/パラレル変換回路51は、監視対象装置1から出力される監視信号dsが、複数のデータがシリアルで伝送される1つのシリアルデータ(入力[1])の場合に、複数のデータがパラレルで伝送されるパラレルデータに変換する。LEDドライブ回路52は、監視信号dsが上記1つのシリアルデータ(入力[1])の場合に、シリアル/パラレル変換回路51で変換された上記パラレルデータを入力する一方、監視信号dsが複数の独立したシリアルデータ(監視信号A,B,C)(入力[2])の場合に、そのまま入力して駆動信号dm(駆動信号dr,dg,db)を出力する。
【0025】
図4は、図1中の光受信ユニット20の構成を示す図である。
この光受信ユニット20は、図4に示すように、受光部21と、電気/光変換部22とから構成されている。受光部21は、フィルタ(R)61と、フィルタ(G)62と、フィルタ(B)63と、PD(フォトダイオード)(R)64と、PD(G)65と、PD(B)66とから構成されている。フィルタ(R)61は、LED(R)41から発される赤色光rpの波長に合わせた光学フィルタであり、赤色光rpを透過させる。フィルタ(G)62は、緑色光gp(可視光)を透過させる。フィルタ(B)63は、青色光bp(可視光)を透過させる。PD(R)64は、フィルタ(R)61を透過した赤色光rpを受光して受光電気信号raに変換して出力する。PD(G)65は、フィルタ(G)62を透過した緑色光gpを受光して受光電気信号gaに変換して出力する。PD(B)66は、フィルタ(B)63を透過した青色光bpを受光して受光電気信号baに変換して出力する。電気/光変換部22は、受光電気信号erとして受光電気信号ra,ga,baを入力し、受光出力信号ps(光信号)に変換して光ケーブル23へ送出する。
【0026】
図5は、図4中の電気/光変換部22の電気的構成を示す回路図である。
この電気/光変換部22は、図5に示すように、増幅回路71と、パラレル/シリアル変換回路72と、マルチプレクサ回路73と、スイッチ74と、E/O変換回路(電気/光変換回路)75とから構成されている。増幅回路71は、受光電気信号ra,ga,baに対して所定の増幅を行って出力電気信号rh,gh,bhを出力する。パラレル/シリアル変換回路72は、増幅回路71から出力される出力電気信号rh,gh,bhをパラレルからシリアルに変換してシリアル出力信号ssを出力する。マルチプレクサ回路73は、増幅回路71から出力される出力電気信号rh,gh,bhを時分割で多重化して多重化出力信号msを出力する。
【0027】
スイッチ74は、監視信号dsが、複数のデータがシリアルで伝送される1つのシリアルデータの場合に、コモンcが接点n1に接続されてシリアル出力信号ssを選択する一方、監視信号dsが、複数の独立したシリアルデータ(すなわち、監視信号A,B,C)の場合にコモンcが接点n2に接続されて多重化出力信号msを選択して出力するように操作される。E/O変換回路75は、スイッチ74から出力されるシリアル出力信号ss又は多重化出力信号msを電気信号から光信号に変換して受光出力信号ps(光信号)として出力する。この場合、監視装置30は、E/O変換回路75から出力される受光出力信号ps(光信号)を入力する構成とされている。
【0028】
図6は、図1の電子機器監視システムの動作を説明するタイムチャートである。
この図を参照して、この形態の電子機器監視システムに用いられる電子機器監視方法の処理内容について説明する。
この電子機器監視システムでは、光空間伝送手段(光送信ユニット10、光受信ユニット20)により、監視対象装置1から出力される監視信号dsが、同監視信号dsに含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光dpに変換されて屋内の空間に伝送させ、伝送された各可視光dpが受光されて受光出力信号psに変換されて出力される(光空間伝送処理)。そして、監視装置30により、上記光空間伝送手段から出力される受光出力信号psに基づいて、監視対象装置1に対する動作監視が行われる(監視処理)。
【0029】
この場合、監視対象装置1から監視信号ds(デジタル信号)が駆動部11に送られると、図6に示すように、同駆動部11が、監視信号dsの論理値(“0”/“1”)に合わせて発光部12の発光素子、すなわちLED(R)41、LED(G)42及びLED(B)43をオン/オフ(ON/OFF)駆動する。上記発光素子がオン/オフ駆動されることで、同発光素子から放出される可視光dpが点滅を繰り返し、この光(点滅情報)が屋内の空間を経て受光部21に送られる。受光部21では、可視光dpの点滅に合わせて、受光素子、すなわち、PD(R)64、PD(G)65及びPD(B)66から受光電気信号er(受光電気信号ra,ga,ba)が出力される。受光電気信号erは、電気/光変換部22にて受光出力信号ps(光信号)に変換され、光ケーブル23を経て監視装置30に送られる。
【0030】
すなわち、上記光空間伝送処理では、監視対象装置1に外付けされた光送信ユニット10により、同監視対象装置1から出力される監視信号dsが、色の異なる前記複数の可視光dpに変換されて屋内の空間に伝送される(光信号送信処理)。光受信ユニット20により、伝送された各可視光dpが受光されて受光出力信号psに変換されて出力される(光信号受信処理)。この場合、上記光信号送信処理では、駆動部11により、監視対象装置1から出力される監視信号dsに基づいて駆動信号dmが出力され(駆動処理)、発光部12により、駆動部11から出力される駆動信号dmに基づいて複数の可視光dpを発光して屋内の空間に伝送させる(発光伝送処理)。また、上記光信号受信処理では、受光部21により、屋内の空間に伝送された各可視光dpが受光されて受光電気信号erに変換されて出力される(受光処理)。電気/光変換部22により、受光部21から出力される受光電気信号erが受光出力信号psに変換される(信号変換処理)。
【0031】
上記駆動処理では、シリアル/パラレル変換回路51により、監視対象装置1から出力される監視信号dsが、複数のデータがシリアルで伝送される1つのシリアルデータの場合に、複数のデータがパラレルで伝送されるパラレルデータに変換される(シリアル/パラレル変換処理)。LEDドライブ回路52により、監視信号dsが、上記1つのシリアルデータの場合にシリアル/パラレル変換回路51で変換されたパラレルデータが入力される一方、監視信号dsが複数の独立したシリアルデータ(監視信号A,B,C)の場合に、そのまま入力されて駆動信号dmが出力される(発光素子駆動処理)。上記発光伝送処理では、複数の発光素子(LED(R)41、LED(G)42及びLED(B)43)により、LEDドライブ回路52から出力される駆動信号dmに基づいて可視光dpが発光される。
【0032】
上記信号変換処理では、増幅回路71により、各受光素子(PD(R)64、PD(G)65及びPD(B)66)から出力される受光電気信号er(受光電気信号ra,ga,ba)に対して所定の増幅が行われて出力電気信号rh,gh,bhが出力される(増幅処理)。パラレル/シリアル変換回路72により、増幅回路71から出力される出力電気信号rh,gh,bhがパラレルからシリアルに変換されてシリアル出力信号ssが出力される(パラレル/シリアル変換処理)。マルチプレクサ回路73により、増幅回路71から出力される出力電気信号rh,gh,bhが時分割で多重化されて多重化出力信号msが出力される(多重化処理)。スイッチ74により、監視信号dsが上記1つのシリアルデータの場合にシリアル出力信号ssが選択される一方、監視信号dsが複数の独立したシリアルデータ(監視信号A,B,C)の場合に多重化出力信号msが選択されて出力される(選択処理)。E/O変換回路75により、スイッチ74から出力されるシリアル出力信号ss又は多重化出力信号msが電気信号から光信号に変換されて受光出力信号psとして出力される(電気/光変換処理)。監視装置30により、E/O変換回路75から出力される受光出力信号psが入力され、監視対象装置1に対する動作監視が行われる。
【0033】
以上のように、この実施形態では、監視対象装置1に外付けされた光送信ユニット10により、同監視対象装置1から出力される監視信号dsが、同監視信号dsに含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光dpに変換されて屋内の空間に伝送され、伝送された各可視光dpが光受信ユニット20により受光されて受光出力信号psに変換されて出力されるので、同監視対象装置1に接続するケーブル類の引き回しが不要となり、同監視対象装置1の可搬性が高められ、また、各色の信号を組み合わせたパラレル伝送及び色毎に独立したシリアル伝送が行われ、応用範囲が広げられる。また、監視信号dsが可視光dpに変換されて屋内の空間に伝送されるので、遮蔽が容易であるだけでなく、その照射範囲が目視にて確認されるため、秘匿性を確保した無線伝送が行われる。
【0034】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、図4中の受光素子として、PD(R)64、PD(G)65及びPD(B)66に代えて、2次元イメージセンサ(カラー撮像用)を用いても良い。この場合、光学フィルタは使用せず、イメージセンサの前部に光学レンズを取り付けて、同イメージセンサの撮像面での焦点合わせを可能としたカメラ構造とする。また、発光素子として使用する発光ダイオード(LED)については、3色(R,G,B)のLEDを一体化した3色LED(フルカラーLED)で構成しても良い。また、受光部21に使用するフォトダイオード(PD)と光学フィルタについては、3色(R,G,B)のフォトダイオードを一体化したカラーセンサで構成しても良い。また、監視装置30は、受光出力信号として電気信号を入力する構成としても良い。この場合、図5中のE/O変換回路75が削除される。
【0035】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0036】
(付記1)
電子機器に対して動作監視を行い、前記電子機器は、秘匿性が要求される屋内で用いられて該電子機器の動作状態を表す監視信号を出力する構成とされている電子機器監視システムであって、
前記電子機器から出力される前記監視信号を、該監視信号に含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させ、伝送された前記各可視光を受光して受光出力信号に変換して出力する光空間伝送手段と、
該光空間伝送手段から出力される前記受光出力信号に基づいて、前記電子機器に対する動作監視を行う監視装置とから構成されている電子機器監視システム。
【0037】
(付記2)
前記光空間伝送手段は、
前記電子機器に取り付けられ、該電子機器から出力される前記監視信号を前記複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させる光信号送信部と、
伝送された前記各可視光を受光して前記受光出力信号に変換して出力する光信号受信部とから構成されている付記1記載の電子機器監視システム。
【0038】
(付記3)
前記光信号送信部は、
前記監視信号に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、
該駆動部から出力される前記駆動信号に基づいて前記複数の可視光を発光して前記屋内の空間に伝送させる発光部とから構成され、
前記光信号受信部は、
前記屋内の空間に伝送された前記各可視光を受光して各受光電気信号に変換して出力する受光部と、
該受光部から出力される前記各受光電気信号を前記受光出力信号に変換する信号変換部とから構成されている付記2記載の電子機器監視システム。
【0039】
(付記4)
前記駆動部は、
前記監視信号が1つのシリアルデータの場合にパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路と、
前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル/パラレル変換回路で変換された前記パラレルデータを入力する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合にそのまま入力して複数の前記駆動信号を出力する発光素子駆動回路とから構成され、
前記発光部は、
該発光素子駆動回路から出力される前記各駆動信号に基づいて前記各可視光をそれぞれ発光する複数の発光素子から構成されている付記3記載の電子機器監視システム。
【0040】
(付記5)
前記受光部は、
前記各可視光を受光して前記各受光電気信号に変換して出力する複数の受光素子を有し、
前記信号変換部は、
前記各受光素子から出力される前記各受光電気信号に対して所定の増幅を行って各出力電気信号を出力する増幅部と、
該増幅部から出力される前記各出力電気信号をパラレルからシリアルに変換してシリアル出力信号を出力するパラレル/シリアル変換回路と、
前記増幅部から出力される前記各出力電気信号を時分割で多重化して多重化出力信号を出力するマルチプレクサ回路と、
前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル出力信号を選択する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合に前記多重化出力信号を選択して出力する選択部とから構成されている付記3又は4記載の電子機器監視システム。
【0041】
(付記6)
前記信号変換部は、
前記選択部から出力される前記シリアル出力信号又は前記多重化出力信号を電気信号から光信号に変換して前記受光出力信号として出力する電気/光変換回路を有し、
前記監視装置は、
前記電気/光変換回路から出力される前記受光出力信号を入力する構成とされている付記5記載の電子機器監視システム。
【0042】
(付記7)
電子機器に対して動作監視を行い、前記電子機器は、秘匿性が要求される屋内で用いられて該電子機器の動作状態を表す監視信号を出力する構成とされている電子機器監視システムに用いられる電子機器監視方法であって、
光空間伝送手段が、前記電子機器から出力される前記監視信号を、該監視信号に含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させ、伝送された前記各可視光を受光して受光出力信号に変換して出力する光空間伝送処理と、
監視装置が、前記光空間伝送手段から出力される前記受光出力信号に基づいて、前記電子機器に対する動作監視を行う監視処理とを行う電子機器監視方法。
【0043】
(付記8)
前記光空間伝送処理では、
前記電子機器に取り付けられた光信号送信部が、前記電子機器から出力される前記監視信号を前記複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させる光信号送信処理と、
光信号受信部が、伝送された前記各可視光を受光して前記受光出力信号に変換して出力する光信号受信処理とを行う付記7記載の電子機器監視方法。
【0044】
(付記9)
前記光信号送信処理では、
駆動部が、前記監視信号に基づいて駆動信号を出力する駆動処理と、
発光部が、前記駆動部から出力される前記駆動信号に基づいて前記複数の可視光を発光して前記屋内の空間に伝送させる発光伝送処理とを行い、
前記光信号受信処理では、
受光部が、前記屋内の空間に伝送された前記各可視光を受光して各受光電気信号に変換して出力する受光処理と、
信号変換部が、前記受光部から出力される前記各受光電気信号を前記受光出力信号に変換する信号変換処理とを行う付記8記載の電子機器監視方法。
【0045】
(付記10)
前記駆動処理では、
シリアル/パラレル変換回路が、前記監視信号が1つのシリアルデータの場合にパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換処理と、
発光素子駆動回路が、前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル/パラレル変換回路で変換された前記パラレルデータを入力する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合にそのまま入力して複数の前記駆動信号を出力する発光素子駆動処理とを行い、
前記発光伝送処理では、
複数の発光素子が、前記発光素子駆動回路から出力される前記各駆動信号に基づいて前記各可視光をそれぞれ発光する付記9記載の電子機器監視方法。
【0046】
(付記11)
前記受光部は、前記各可視光を受光して前記各受光電気信号に変換して出力する複数の受光素子を有し、
前記信号変換処理では、
増幅部が、前記各受光素子から出力される前記各受光電気信号に対して所定の増幅を行って各出力電気信号を出力する増幅処理と、
パラレル/シリアル変換回路が、前記増幅部から出力される前記各出力電気信号をパラレルからシリアルに変換してシリアル出力信号を出力するパラレル/シリアル変換処理と、
マルチプレクサ回路が、前記増幅部から出力される前記各出力電気信号を時分割で多重化して多重化出力信号を出力する多重化処理と、
選択部が、前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル出力信号を選択する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合に前記多重化出力信号を選択して出力する選択処理とを行う付記9又は10記載の電子機器監視方法。
【0047】
(付記12)
前記信号変換処理では、
電気/光変換回路が、前記選択部から出力される前記シリアル出力信号又は前記多重化出力信号を電気信号から光信号に変換して前記受光出力信号として出力する電気/光変換処理を行い、
前記監視装置が、前記電気/光変換回路から出力される前記受光出力信号を入力する付記11記載の電子機器監視方法。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、秘匿性が要求される屋内に設置される電子機器の動作を監視する電子機器監視システム全般に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 監視対象装置(電子機器)
10 光送信ユニット(光空間伝送手段の一部、光信号送信部)
11 駆動部(光信号送信部の一部)
12 発光部(光信号送信部の一部)
20 光受信ユニット(光空間伝送手段の一部、光信号受信部)
21 受光部(光信号受信部の一部)
22 電気/光変換部(光信号受信部の一部、信号変換部)
30 監視装置
41,42,43 LED(発光部、発光素子)
51 シリアル/パラレル変換回路(駆動部の一部)
52 LEDドライブ回路(発光素子駆動回路)
61,62,63 フィルタ
64,65,66 PD(フォトダイオード)(受光部、受光素子)
71 増幅回路(信号変換部の一部、増幅部)
72 パラレル/シリアル変換回路(信号変換部の一部)
73 マルチプレクサ回路(信号変換部の一部)
74 スイッチ(信号変換部の一部、選択部)
75 E/O変換回路(電気/光変換回路)(信号変換部の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に対して動作監視を行い、前記電子機器は、秘匿性が要求される屋内で用いられて該電子機器の動作状態を表す監視信号を出力する構成とされている電子機器監視システムであって、
前記電子機器から出力される前記監視信号を、該監視信号に含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させ、伝送された前記各可視光を受光して受光出力信号に変換して出力する光空間伝送手段と、
該光空間伝送手段から出力される前記受光出力信号に基づいて、前記電子機器に対する動作監視を行う監視装置とから構成されていることを特徴とする電子機器監視システム。
【請求項2】
前記光空間伝送手段は、
前記電子機器に取り付けられ、該電子機器から出力される前記監視信号を前記複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させる光信号送信部と、
伝送された前記各可視光を受光して前記受光出力信号に変換して出力する光信号受信部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器監視システム。
【請求項3】
前記光信号送信部は、
前記監視信号に基づいて駆動信号を出力する駆動部と、
該駆動部から出力される前記駆動信号に基づいて前記複数の可視光を発光して前記屋内の空間に伝送させる発光部とから構成され、
前記光信号受信部は、
前記屋内の空間に伝送された前記各可視光を受光して各受光電気信号に変換して出力する受光部と、
該受光部から出力される前記各受光電気信号を前記受光出力信号に変換する信号変換部とから構成されていることを特徴とする請求項2記載の電子機器監視システム。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記監視信号が1つのシリアルデータの場合にパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路と、
前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル/パラレル変換回路で変換された前記パラレルデータを入力する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合にそのまま入力して複数の前記駆動信号を出力する発光素子駆動回路とから構成され、
前記発光部は、
該発光素子駆動回路から出力される前記各駆動信号に基づいて前記各可視光をそれぞれ発光する複数の発光素子から構成されていることを特徴とする請求項3記載の電子機器監視システム。
【請求項5】
前記受光部は、
前記各可視光を受光して前記各受光電気信号に変換して出力する複数の受光素子を有し、 前記信号変換部は、
前記各受光素子から出力される前記各受光電気信号に対して所定の増幅を行って各出力電気信号を出力する増幅部と、
該増幅部から出力される前記各出力電気信号をパラレルからシリアルに変換してシリアル出力信号を出力するパラレル/シリアル変換回路と、
前記増幅部から出力される前記各出力電気信号を時分割で多重化して多重化出力信号を出力するマルチプレクサ回路と、
前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル出力信号を選択する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合に前記多重化出力信号を選択して出力する選択部とから構成されていることを特徴とする請求項3又は4記載の電子機器監視システム。
【請求項6】
前記信号変換部は、
前記選択部から出力される前記シリアル出力信号又は前記多重化出力信号を電気信号から光信号に変換して前記受光出力信号として出力する電気/光変換回路を有し、
前記監視装置は、
前記電気/光変換回路から出力される前記受光出力信号を入力する構成とされていることを特徴とする請求項5記載の電子機器監視システム。
【請求項7】
電子機器に対して動作監視を行い、前記電子機器は、秘匿性が要求される屋内で用いられて該電子機器の動作状態を表す監視信号を出力する構成とされている電子機器監視システムに用いられる電子機器監視方法であって、
光空間伝送手段が、前記電子機器から出力される前記監視信号を、該監視信号に含まれる情報の種類に対応して色の異なる複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させ、伝送された前記各可視光を受光して受光出力信号に変換して出力する光空間伝送処理と、
監視装置が、前記光空間伝送手段から出力される前記受光出力信号に基づいて、前記電子機器に対する動作監視を行う監視処理とを行うことを特徴とする電子機器監視方法。
【請求項8】
前記光空間伝送処理では、
前記電子機器に取り付けられた光信号送信部が、前記電子機器から出力される前記監視信号を前記複数の可視光に変換して前記屋内の空間に伝送させる光信号送信処理と、
光信号受信部が、伝送された前記各可視光を受光して前記受光出力信号に変換して出力する光信号受信処理とを行うことを特徴とする請求項7記載の電子機器監視方法。
【請求項9】
前記光信号送信処理では、
駆動部が、前記監視信号に基づいて駆動信号を出力する駆動処理と、
発光部が、前記駆動部から出力される前記駆動信号に基づいて前記複数の可視光を発光して前記屋内の空間に伝送させる発光伝送処理とを行い、
前記光信号受信処理では、
受光部が、前記屋内の空間に伝送された前記各可視光を受光して各受光電気信号に変換して出力する受光処理と、
信号変換部が、前記受光部から出力される前記各受光電気信号を前記受光出力信号に変換する信号変換処理とを行うことを特徴とする請求項8記載の電子機器監視方法。
【請求項10】
前記駆動処理では、
シリアル/パラレル変換回路が、前記監視信号が1つのシリアルデータの場合にパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換処理と、
発光素子駆動回路が、前記監視信号が1つのシリアルデータの場合に前記シリアル/パラレル変換回路で変換された前記パラレルデータを入力する一方、前記監視信号が複数の独立したシリアルデータの場合にそのまま入力して複数の前記駆動信号を出力する発光素子駆動処理とを行い、
前記発光伝送処理では、
複数の発光素子が、前記発光素子駆動回路から出力される前記各駆動信号に基づいて前記各可視光をそれぞれ発光することを特徴とする請求項9記載の電子機器監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−253456(P2012−253456A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122733(P2011−122733)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(599161890)NECネットワーク・センサ株式会社 (71)
【Fターム(参考)】