説明

電子機器

【課題】 機能性や使い勝手を犠牲にすることなく電子機器のデザイン性向上を図る。
【解決手段】 カメラの電源がオフのときには、調光ガラス22に電圧が印加されず、両者は不透明状態に保持される。不透明状態にある調光ガラス22は、前カバー11とほぼ同色で同様の見え方をするため、一見しただけでは両者の区別がつかない。つまり、調光ガラス22を不透明とすることで、撮影光学系21が隠蔽されるだけでなく、レンズ窓11aの存在そのものが隠蔽される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の電子機器に関し、デザイン性の向上を図ったものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは、撮影光学系を介して取り込んだ被写体光束を撮像素子にて撮像し、その撮像信号から画像データを得る。画像データは、液晶モニタ等に表示することが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般にデジタルカメラを購入しようとする者は、機種選択にあたり、機能性や使い勝手だけでなく、見栄えの善し悪しも重視する。このため、各メーカーともカメラの外観的なデザインや色彩等を工夫しているが、いずれのカメラも「前面に撮影光学系、背面に液晶モニタ」という図式は変わらない。デジタルカメラ以外の電子機器においても、基本的なデザインはほぼ統一されているといってよい。かかる現状において、購入者の購買意欲を煽るには、より斬新なデザインが求められるが、デザインに拘り過ぎると機能性や使い勝手を犠牲にしがちである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る電子機器は、光を入射または射出させるための窓を有する外カバーと、
前記窓またはその内側に配置され、窓の存在をカモフラージュ可能な隠蔽部材とを備えることを特徴とする。
隠蔽部材として、光の透過率が変更可能な透過率可変部材を用い、その透過率可変部材の透過率を調整することで窓を露出/隠蔽するようにしてもよい。その際、透過率可変部材を外カバーとほぼ同色とすることで、窓の存在を隠蔽してもよい。
透過率可変部材として、電気信号によって透過率が変化する部材を用いることができる。また、透過率変化部材として、湾曲性のある紙状の部材を用いることができる。
上記窓は、外カバー内に配置された撮影光学系に外光を導くための導光窓であってもよいし、外カバー内に配置された発光部材の光を外部に照射するための射出窓であってもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、機能性や使い勝手を犠牲にすることなく斬新なデザインの電子機器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1〜図6により本発明をデジタルカメラに適用した場合の一実施形態を説明する。
図1,図2は本実施形態におけるデジタルカメラの正面図および背面図、図3は図2のIII−III線断面図である。カメラの外カバーを構成する前カバー11および背面カバー12は、それぞれ透明の樹脂の裏面に白色塗装13を施して構成される。こうすることで、カバー11,12は、外側から見たときに光沢および透明感のある白色に見える。
【0007】
カバー内に配置された撮影光学系21は、屈曲光学系とされ、前カバー11のレンズ窓11aから取り込んだ被写体光束を下方に折り曲げて撮像素子(不図示)に導く。このような屈曲光学系を用いることで、カメラの薄型化が図れる。
【0008】
レンズ窓11aには調光ガラス22が嵌め込まれ、その表面は前カバー11の表面と面一とされる。調光ガラス22は、公知のように透過率が可変のガラスであり、例えば2枚のガラス板の間に液晶フィルムを挟み込んで構成される。液晶フィルムの表裏両面に透明電極膜が設けられ、透明電極を介して液晶フィルムに電圧を印加すると、液晶フィルムが透明となり、電圧印加を解除すると不透明となる。透明状態では、撮像に十分な光量を撮影光学系21に導くことが可能である。一方、不透明状態では、液晶フィルムが白濁状態となるので、レンズ窓11aは、前カバー11と同様に光沢および透明感のある白色に見える。
【0009】
背面カバー12の内側には、画像表示が可能な液晶モニタ23が設けられ、その画面前面には電子ペーパー24が配置されている。背面カバー12のうち、電子ペーパー24と対向する矩形の部分12aだけは白色塗装が施されておらず、モニタ視認窓として透明性が確保される。電子ペーパー24は、公知のように薄く、湾曲性があるので、湾曲した背面カバー12の裏面に密着して配置することができる。
【0010】
電子ペーパー24は、一般的には下部に吸収層を設け、素子(例えば、コレステリック液晶)の状態を部分的に変えることで、文字や絵柄を表示するのに用いられる。本実施形態では吸収層を廃し、光の透過率を変える部材として電子ペーパー24を用いる。すなわち、素子に電圧を印加することで透明状態とし、電圧を断つことで白色の不透明状態とする。透明状態では、モニタ視認窓12aおよび電子ペーパー24を介して液晶モニタ23の表示を視認可能である。一方、不透明状態では、背面カバー12を介して電子ペーパー23を見ることになるので、モニタ視認窓12aは、背面カバー12と同様に光沢および透明感のある白色に見える。
【0011】
カメラを操作するための電源ボタンやレリーズボタン、その他の操作ボタン類は、カメラの上面に設けてもよいし、モニタ表示窓にタッチスイッチを設け、タッチ操作により各動作が指示できるようにしてもよい。
【0012】
図6はカメラの制御ブロック図である。CPU31には、操作部32、カメラ制御部33、モニタ制御部34、調光ガラス制御部35および電子ペーパー制御部36が接続されている。カメラ制御部33は、撮像素子や画像処理回路、画像記録回路といった通常のカメラ動作を実現するための機構部である。モニタ制御部34は、液晶モニタ23を制御して画像表示やメニュー表示等を行う。調光ガラス制御部35および電子ペーパー制御部36は、それぞれ調光ガラス22および電子ペーパー24を構成する各素子への印加電圧を制御する。
【0013】
以上のように構成されたカメラにおいて、電源がオフのときには、調光ガラス22および電子ペーパー24のいずれにも電圧が印加されず、両者は不透明状態に保持される(図1,図2)。これらを不透明状態とすることで、レンズ窓11aおよびモニタ視認窓12aの存在をカモフラージュすることができる。すなわち、不透明状態にある調光ガラス22は、上述のように前カバー11とほぼ同色で同様の見え方をするため、一見しただけでは両者の区別がつかない。つまり、調光ガラス22を不透明とすることで、撮影光学系21が隠蔽されるだけでなく、レンズ窓11aの存在そのものが隠蔽されることになる。同様に、不透明状態にある電子ペーパー24は、背面カバー12とほぼ同色で同様の見え方をするため、この場合も一見しただけでは両者の区別がつかない。つまり、電子ペーパー24を不透明とすることで、液晶モニタ23が隠蔽されるだけでなく、モニタ視認窓12aの存在そのものも隠蔽される。
【0014】
このように、電源オフ時のカメラは、前面および背面とも同色で統一され、また凹凸もないことから、これまでになくスッキリとした好ましい外観となる。撮影光学系21も液晶モニタ23も見えないため、精密機器との印象を与えず、機械の苦手な人も重圧を感ずることがない。
【0015】
カメラの電源を投入すると、CPU31は調光ガラス22および電子ペーパー24に電圧を印加し、両者を透明状態とする(図4,図5)。これにより、何もないところに撮影光学系21および液晶モニタ23が突如出現したように見え、通常のカメラにはない視覚効果が楽しめる。またCPU31は、電源オンに伴って撮像を開始し、生成された画像を液晶モニタ23に逐次更新表示する(スルー画表示)。スルー画表示の開始後に電子ペーパー24に電圧を印加するようにすれば、画面のないところに画像を出現させる視覚効果を実現できる。このとき、電子ペーパー24の複数の画素を同時に透明化するのではなく、時間差を持たせて透明化してゆくことで、画像が徐々に浮かび上がるような演出も可能である。
【0016】
なお、レンズ窓11aに電子ペーパーを配置してもよいし、モニタ視認窓12aに調光ガラスを配置してもよい。また、調光ガラスや電子ペーパー等の透過率可変部材を適用する箇所は、レンズ窓11aやモニタ視認窓12aに限定されない。例えば図7,図8は、レンズ窓11aに加えて、電子閃光装置の発光窓11bおよびAF補助光の発光窓11cにも透過率可変部材を適用し、それぞれの窓11a〜11cを隠蔽できるようにした例を示している。この場合、各窓にそれぞれ透過率可変部材を配してもよいし、1枚の大型の透過率可変部材を3つの窓11a〜11cに跨るように配置してもよい。各窓それぞれに透過率可変部材を配置した場合は、例えば電源オン時にはレンズ窓11aを出現させ、閃光発光が指示されたときに発光窓11bを出現させ、AF補助光が必要なときに発光窓11cを出現させるといった個別制御が可能である。
【0017】
透過率可変部材に変えて、窓の内側に挿脱可能な隠蔽部材を設けてもよい。例えば、図示したカメラにおいて、前カバー11の裏面の一部に白色塗装を施さないことでレンズ窓を形成し、そのレンズ窓の裏面に、前カバー11と同色の隠蔽部材(例えば、板状の部材)を挿脱可能に配置することが考えられる。この隠蔽部材をレンズ窓の裏面に挿入することで、レンズ窓の存在を隠蔽し、レンズ窓から退避させることでレンズ窓(撮影光学系)を露出する。
【0018】
さらに、本発明はデジタルカメラに限定されず、光照射窓または導光窓を持つあらゆる電子機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態におけるカメラの正面図で、電源オフ時の状態を示す。
【図2】図1のカメラの背面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】上記カメラの正面図で、電源オン時の状態を示す。
【図5】図4のカメラの背面図。
【図6】カメラの制御ブロック図。
【図7】他の実施形態におけるカメラの正面図で、電源オフ時の状態を示す。
【図8】図7と同様の正面図で、電源オン時の状態を示す。
【符号の説明】
【0020】
11 前カバー
11a レンズ窓
11b 電子閃光装置の発光窓
11c AF補助光の発光窓
12 背面カバー
21 撮影光学系
22 調光ガラス
23 液晶モニタ
24 電子ペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を入射または射出させるための窓を有する外カバーと、
前記窓またはその内側に配置され、前記窓の存在をカモフラージュ可能な隠蔽部材とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記隠蔽部材は、光の透過率が変更可能な透過率可変部材であり、前記透過率可変部材の透過率を調整することで前記窓を露出/隠蔽することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記窓の存在を隠蔽するときの前記透過率可変部材は、前記外カバーとほぼ同色であることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記透過率可変部材は、電気信号によって透過率が変化する部材であることを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記透過率変化部材は、湾曲性のある紙状の部材であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記窓は、前記外カバー内に配置された撮影光学系に外光を導くための導光窓であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記窓は、前記外カバー内に配置された発光部材の光を外部に照射するための射出窓であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−258731(P2008−258731A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96348(P2007−96348)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】