説明

電子機器

【課題】本発明は、複数の電力供給源(電源)が同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことが可能な電源排他回路を備える電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る電子機器1は、第1及び第2の電力制御部26、25を有する電源排他回路2を備えている。第1の電力制御部26は、PSE電源50aから電子回路部3へ電力が供給されている場合に、電力検出部23が外部電源7から供給される電力を検出したとき、PSE電源50aから電子回路部3へ供給される電力を停止するように制御するとともに、外部電源7から電子回路部3への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、第2の電力制御部25は、許容信号の切替が行われたとき、外部電源7から電子回路部3に電力を供給するように制御するとともに、許容信号の切替が行われていないとき、外部電源7から電子回路部3への電力供給経路21を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に、電源排他回路を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データ通信を行うためのLAN配線を介して電子機器に電力を供給するPoE(Power over Ethernet)技術(IEEE802.3af)や、USB配線を介して電子機器に電力を供給する技術が規格化されている。そのため、LAN配線やUSB配線(以下、データ通信配線)と接続する電子機器は、交流電源や直流電源の外部電源以外から電力の供給を受けることが可能になった。
【0003】
しかし、データ通信配線を介して電力の供給を受けることが可能な電子機器であっても、データ通信配線を介して供給できる電力が限られていることや、ユーザの要求により、外部電源からも電力の供給を受けることを可能にすることが望まれる場合がある。
【0004】
そこで、データ通信配線を介して電力を供給する経路と、外部電源から電力を供給する経路との二つの電力供給経路を有する電子機器が開発されている。例えば、特許文献1には、データ通信配線、及び外部電源から電力を供給するための電源配線が接続され、データ通信配線、及び電源配線から電力の供給を受けるプログラマブルコントローラが開示してある。このようなプログラマブルコントローラは、通常、データ通信配線と電源配線のいずれか一方のみを介して電力の供給を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−259084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、データ通信配線及び外部電源から電力を供給するための電源配線が接続された電子機器は、誤ってデータ通信配線を介して供給される電力と、電源配線を介して供給される電力とがともに(同時に)供給される可能性がある。例えば、データ通信配線を介して電力の供給を受けているときに、ユーザが誤って外部電源を接続したような場合などである。このような場合、データ通信配線に接続された電源の電圧(例えば48V)と外部電源の電圧(例えば24V)との差により、データ通信配線に接続された電源と外部電源との間に過大な電流が流れ、電子機器が故障するおそれが生じる。
【0007】
また、例えばデータ通信配線を介して電力を供給する経路と、外部電源から電力を供給する経路とを物理的に切り替えるスイッチを設けられた電子機器は、スイッチの大きさに制限され、小型化できず、電力を供給した状態でスイッチを切り替えると接点が溶着して確実に電源を切り替えることができない等の問題がある。その結果、電子機器が故障するおそれがある。
【0008】
さらに、データ通信配線を介して電力を供給する経路、及び外部電源から電力を供給する経路のそれぞれに電源切り替え用のダイオードを設けられた電子機器は、ダイオードの発熱が大きく、ダイオードの電圧降下を無視できない場合がある。その結果、電子機器が故障するおそれがある。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の電力供給源(電源)が同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことが可能な電源排他回路を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る電子機器は、少なくともデータ信号を重畳して電力を供給する電力供給経路を介して第1の電力供給源と接続する第1の電力供給源接続部と、電力を供給する電力供給経路を介して第2の電力供給源と接続する第2の電力供給源接続部と、前記第1の電力供給源又は前記第2の電力供給源から供給される電力により所定の処理を行う電子回路部と、前記第1の電力供給源接続部から電力を供給する前記第1の電力供給源と、前記第2の電力供給源接続部から電力を供給する前記第2の電力供給源とを切り替えて、前記電子回路部に電力を供給する電源排他回路とを備える電子機器において、前記電源排他回路は、前記第1の電力供給源又は前記第2の電力供給源から供給される電力を検出する電力検出部と、前記第1の電力供給源又は前記第2の電力供給源のいずれか一方の電力供給源から前記電子回路部へ電力が供給されている場合に、前記電力検出部が前記他方の電力供給源から供給される電力を検出したとき、前記一方の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、前記他方の電力供給源から前記電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行う第1の電力制御部と、前記許容信号の切替が行われたとき、前記他方の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、前記許容信号の切替が行われていないとき、前記他方の電力供給源から前記電子回路部への電力供給経路を遮断する第2の電力制御部とを有する。
【0011】
また、第2発明に係る電子機器は、第1発明において、前記電力検出部は、前記第2の電力供給源から供給される電力を検出する第1の電力検出部と、前記許容信号の切替に基づいて、前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出する第2の電力検出部とを有し、前記第1の電力制御部は、前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ電力が供給されている場合に、前記第1の電力検出部が前記第2の電力供給源から供給される電力を検出したとき、前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、前記第2の電力供給源から前記電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、前記第2の電力制御部は、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出していないとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部への電力供給経路を遮断する。
【0012】
また、第3発明に係る電子機器は、第2発明において、前記第1の電力検出部及び前記第2の電力検出部には、入力側と出力側とが電気的に絶縁される電子部品を用いる。
【0013】
また、第4発明に係る電子機器は、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記第2の電力制御部は、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したタイミングに対して、前記他方の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するタイミングを遅延させる遅延回路を有する。
【0014】
また、第5発明に係る電子機器は、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記第2の電力供給源から供給される電力の電圧極性が逆極性の場合に、前記第1の電力検出部は、前記第2の電力供給源から供給される電力を検出可能であるとともに、前記第2の電力制御部は、前記第2の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給しないように制御する。
【0015】
また、第6発明に係る電子機器は、第1乃至第5発明のいずれか一つにおいて、前記第2の電力制御部は、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出していないとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部への電力供給経路を遮断するスイッチング素子を備えている。
【0016】
また、第7発明に係る電子機器は、第6発明において、前記スイッチング素子は、トランジスタであって、ドレイン・ソース間に寄生ダイオードを有している。
【0017】
また、第8発明に係る電子機器は、第1乃至第7発明のいずれか一つにおいて、前記第1の電力供給源と接続する前記第1の電力供給源接続部は、前記電子機器の筐体の長辺方向の一端に、別の電子機器と接続する接続部は、前記電子機器の筐体の長辺方向の他端にそれぞれ設ける。
【0018】
第1発明では、電子機器に備える電源排他回路は、電力検出部と、第1の電力制御部と、第2の電力制御部とを有し、第1の電力制御部は、第1の電力供給源又は第2の電力供給源のいずれか一方の電力供給源から電子回路部へ電力が供給されている場合に、電力検出部が他方の電力供給源から供給される電力を検出したとき、一方の電力供給源から電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、他方の電力供給源から電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、第2の電力制御部は、許容信号の切替が行われたとき、他方の電力供給源から電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、許容信号の切替が行われていないとき、他方の電力供給源から電子回路部への電力供給経路を遮断するので、他方の電力供給源からステップ状の電圧を有する電力が供給された場合であっても、第2の電力制御部が電力供給経路を予め遮断し、ステップ状の電圧を有する電力が供給されても、瞬間に過大電流が電子回路部に流れることを防止することができる。そのため、複数の電力供給源(電源)が同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことが可能となる。また、第2の電力供給源接続部が短絡しても、第2の電力制御部が電力供給経路を予め遮断してあるので、第2の電力供給源接続部を介して電子回路部に過大電流が流れることを防止できる。
【0019】
第2発明では、第1の電力制御部は、第1の電力供給源から電子回路部へ電力が供給されている場合に、第1の電力検出部が第2の電力供給源から供給される電力を検出したとき、第1の電力供給源から電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、第2の電力供給源から電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、第2の電力制御部は、第2の電力検出部が第1の電力供給源から電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したとき、第2の電力供給源から電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、第2の電力検出部が第1の電力供給源から電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出していないとき、第2の電力供給源から電子回路部への電力供給経路を遮断するので、第1の電力供給源と第2の電力供給源との接続を誤操作した場合であっても電子機器の故障を防ぐことができる。
【0020】
第3発明では、第1の電力検出部及び第2の電力検出部は、入力側と出力側とが電気的に絶縁されるので、第1の電力供給源の第2の電力供給源に対する電気的な絶縁を確保することができる。
【0021】
第4発明では、第2の電力制御部は、第2の電力検出部が第1の電力供給源から電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したタイミングに対して、他方の電力供給源から電子回路部に電力を供給するタイミングを遅延させる遅延回路を有するので、第1の電力供給源からの電力の供給と、第2の電力供給源からの電力の供給との衝突を回避して、複数の電力供給源(電源)が同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことが可能となる。
【0022】
第5発明では、第2の電力供給源から供給される電力の電圧極性が逆極性の場合に、第1の電力検出部は、第2の電力供給源から供給される電力を検出可能であるとともに、第2の電力制御部は、第2の電力供給源から電子回路部に電力を供給しないように制御するので、第1の電力供給源及び第2の電力供給源から供給される電力をともに停止することができ、電子機器を安全に停止することができる。
【0023】
第6発明では、第2の電力制御部は、第2の電力検出部が第1の電力供給源から電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したとき、第2の電力供給源から電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、第2の電力検出部が第1の電力供給源から電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出していないとき、第2の電力供給源から電子回路部への電力供給経路を遮断するので、複数の電力供給源(電源)が同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことが可能となる。
【0024】
第7発明では、スイッチング素子は、トランジスタ(例えば、電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタ)であって、ドレイン・ソース間に寄生ダイオードを有しているので、寄生ダイオードを介して電力を供給し、電力供給源から電力を供給するタイミングを調整することができる。
【0025】
第8発明では、第1の電力供給源と接続する第1の電力供給源接続部は、電子機器の筐体の長辺方向の一端に、別の電子機器と接続する接続部は、電子機器の筐体の長辺方向の他端にそれぞれ設けることにより、第1の電力供給源接続部と接続部とのデータ信号を双方向に流す配線を、直線的に配置することが可能となり、電子機器の筐体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る電源排他回路を備える電子機器は、電源排他回路が、電力検出部と、第1の電力制御部と、第2の電力制御部とを有し、第1の電力制御部は、第1の電力供給源又は第2の電力供給源のいずれか一方の電力供給源から電子回路部へ電力が供給されている場合に、電力検出部が他方の電力供給源から供給される電力を検出したとき、一方の電力供給源から電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、他方の電力供給源から電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、第2の電力制御部は、許容信号の切替が行われたとき、他方の電力供給源から電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、許容信号の切替が行われていないとき、他方の電力供給源から電子回路部への電力供給経路を遮断するので、他方の電力供給源からステップ状の電圧を有する電力が供給された場合であっても、第2の電力制御部が電力供給経路を予め遮断し、ステップ状の電圧を有する電力が供給されても、瞬間に過大電流が電子回路部に流れることを防止することができる。そのため、複数の電力供給源(電源)が同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る電源排他回路を備える電子機器の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電力検出部の回路図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る電力検出部の回路図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る第2の電力制御部の回路図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電源排他回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子機器の外観を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電源排他回路を備える電子機器をより概念的に説明するための機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る電源排他回路を備える電子機器の機能ブロック図である。図1に示す電子機器1は、電源排他回路2、電子回路部3、第1の電力供給源接続部4、第2の電力供給源接続部5を備える。例えば、電子機器1は、プログラマブルコントローラや通信ユニット等である。電子機器1は、データ通信配線であるLAN配線40を第1の電力供給源接続部4に接続することで、LAN配線40を介してPSE(Power Sourcing Equipment)50と接続する。また、電子機器1は、電源配線6を第2の電力供給源接続部5に接続することで、電源配線6を介して汎用の外部電源(第2の電力供給源)7(例えば、電圧24Vの直流又は交流電源)と接続する。LAN配線40は、データ通信が可能であるとともに電力を供給することが可能なPoE(Power over Ethernet)技術を採用している。なお、LAN配線40を介して電力を供給する場合の電源は、PSE50の電源(第1の電力供給源)50a(以下、PSE電源50a)である。
【0029】
電源排他回路2は、第2の電力供給源接続部5を介して外部電源7と電子回路部3とを繋ぎ、外部電源7から電子回路部3へ電力を供給する電力供給経路21と、第1の電力供給源接続部4を介してPSE電源50aと電子回路部3とを繋ぎ、PSE電源50aから電子回路部3へ電力を供給する電力供給経路22との二つの経路を備えている。電力供給経路22は、LAN配線40を介して電力を供給する経路であるため、電子回路部3へ電力を供給するとともに、データ信号も重畳して供給する。なお、電力供給経路は、二つの経路に限定されるものではなく、電力供給源の数に合わせて三つ以上の経路を備えても良い。
【0030】
電力供給経路21は、外部電源7から供給される電力を検出する電力検出部(第1の電力検出部)23を備えている。図2は、本発明の実施の形態に係る電力検出部23の回路図である。図2に示す電力検出部23は、外部電源7から供給される電力に基づいて検出結果を出力する電力供給検知素子であるフォトカプラ素子PC1を備えている。フォトカプラ素子PC1は、外部電源7から供給される電力によって印加される電圧で発光する発光ダイオード201と、該発光ダイオード201の光を検出するフォトダイオード202とを有している。そのため、発光ダイオード201は、外部電源7から電力が供給されると発光し、該発光をフォトダイオード202が検出して信号を出力するので、電力検出部23は、外部電源7から供給される電力を検出して、検出結果を出力することができる。なお、フォトカプラ素子PC1は、二つの発光ダイオード201が逆向きに並列接続されているため、外部電源7から供給される電力の電圧極性が逆極性であっても電力を検出することができる。これにより、外部電源7から供給される電力の電圧極性が逆極性の場合に、PSE50aから電子回路部3へ電力を供給しないように制御することができる。なお、電力検出部23は、電力供給経路21の電圧を検知することにより電力を検出してもよいし、電力供給経路21の電流を検知することにより電力を検出しても良い。
【0031】
図1に戻って、電力供給経路22は、PSE電源50aから供給される電力の供給停止を検出する電力検出部(第2の電力検出部)24を備えている。図3は、本発明の実施の形態に係る電力検出部24の回路図である。図3に示す電力検出部24は、PSE電源50aから供給される電力に基づいて検出結果を出力する電力供給検知素子であるフォトカプラ素子PC2を備えている。フォトカプラ素子PC2は、PSE電源50aから供給される電力(本実施の形態では、後述する第1の電力制御部26から供給される電力)によって印加される電圧で発光する発光ダイオード301と、該発光ダイオード301の光を検出するフォトダイオード302とを有している。そのため、発光ダイオード301は、PSE電源50aから電力が供給されると発光し、該発光をフォトダイオード302が検出して信号を出力するので、電力検出部24は、PSE電源50aから供給される電力を検出して、検出結果を出力することができる。なお、フォトカプラ素子PC2は、(コネクタの形状などにより)PSE電源50aから供給される電力の電圧極性が逆極性となることを想定していないため、発光ダイオード301は一つであるが、電圧極性が逆極性となることを想定している場合は、二つの発光ダイオード301が逆向きに並列接続される。また、電力検出部24は、電力供給経路22の電圧を検知することにより電力を検出してもよいし、電力供給経路22の電流を検知することにより電力を検出しても良い。
【0032】
図1に戻って、電力供給経路22は、別の電力供給経路21に設けられた電力検出部23の検出結果に基づいてPSE電源50aから供給される電力を停止するように制御する第1の電力制御部26を備えている。そのため、電源排他回路2は、別の電力供給経路21を介して外部電源7から供給されている電力を検出する電力検出部23の検出結果に基づいて、電力供給経路22に供給される電力を停止するように第1の電力制御部26で制御するので、電子回路部3に電力を供給するPSE電源50aと外部電源7とが同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことができる。第1の電力制御部26は、電力検出部23の検出結果に基づいて、PSE電源50aから供給される電力を停止する例えばスイッチング素子(図示せず)を備えている。また、LAN配線40がPoE技術を採用している場合、PoE技術の規格(IEEE802.3af)により、PSE電源50aから供給される電力の電圧は48Vである。さらに、第1の電力制御部26は、後述するように絶縁電源として機能し、電力検出部23が外部電源7から供給される電力を検出したとき、PSE電源50aから電子回路部3へ供給される電力を停止するように制御するとともに、外部電源7から電子回路部3への電力供給を許容する許容信号の切替を行う。本実施の形態に係る第1の電力制御部26は、該第1の電力制御部26から供給される電力を電力検出部24に検出させて、(例えば、電力検出部24が第1の電力制御部26における所定端子の電圧変化を検出して)許容信号を第2の電力制御部25に送信する構成であるが、第1の電力制御部26が能動的に第2の電力制御部25に許容信号を送信する構成でも良い。また、第1の電力制御部26が電子回路部3へ電力を供給するか否かにより許容信号の切替を行い、電力検出部24は、許容信号の切替に基づいて、PSE電源50aから電子回路部3へ供給される電力の供給停止を検出しても良い。
【0033】
さらに、電力供給経路21は、別の電力供給経路22に設けられた電力検出部24の検出結果に基づいて外部電源7から電力を供給するよう制御する、又は外部電源7からの電力供給経路21を遮断する第2の電力制御部25を備えている。本実施の形態に係る第2の電力制御部25は、許容信号の切替が行われたとき(例えば、オフ状態からオン状態への切替)、外部電源7から電子回路部3に電力を供給するように制御するとともに、許容信号の切替が行われていないとき(例えば、オフ状態からオフ状態のまま)、外部電源7から電子回路部3への電力供給経路21を遮断するので、電子回路部3に電力を供給するPSE電源50aと外部電源7とが同時に接続された場合であっても、電子機器の故障を防ぐことができる。図4は、本発明の実施の形態に係る第2の電力制御部25の回路図である。図4に示す第2の電力制御部25は、電力検出部24の検出結果に基づいて、外部電源7からの電力供給経路21を遮断するスイッチング素子401を備えている。なお、第2の電力制御部25は、外部電源7から供給される電力の電圧極性が逆極性の場合、外部電源7からの電力供給経路21を遮断することができるスイッチング素子401を備えている。そのため、誤って電圧極性が逆極性となるように外部電源7を電子機器1に接続した場合でも、第2の電力制御部25は外部電源7からの電力供給経路21を遮断し、電力検出部23の検出結果に基づいて第1の電力制御部26がPSE電源50aから供給される電力を停止するように制御するので、電子回路部3を含む電子機器1を安全に停止することができる。また、電力検出部23、24には、入力側と出力側とが電気的に絶縁されるフォトカプラ素子PC1、PC2を用いるので、電力供給経路21と電力供給経路22とは電気的に絶縁され、PSE電源50aの外部電源7に対する電気的な絶縁を確保することができる。例えば、PSE電源50aを使用する場合に、規格上、電気的な絶縁を要求されている場合であっても、その規格を満たすことができる。
【0034】
また、第2の電力制御部25は、外部電源7から電力を供給するタイミングを、電力検出部24がPSE電源50aから供給される電力の供給停止を検出したタイミングに対して遅延させる遅延回路402を有する。そのため、第2の電力制御部25は、PSE電源50aから供給される電力の電圧が十分に降下してから外部電源7から電力を供給することが可能になり、電子回路部3に電力を供給するPSE電源50aと外部電源7とをより確実、安全に切り替えることができる構成となっている。遅延回路402を設けることで、第2の電力制御部25は、PSE電源50aから供給される電力の電圧が十分に降下してから外部電源7から電力を供給することが可能になるのは、外部電源7の電圧が遅延回路402に印加されても、遅延回路402内の抵抗402a及びコンデンサ402bによりバイポーラトランジスタ402cのベース端子に印加される電圧が遅延し、バイポーラトランジスタ402cが直ちにオン状態となることを防ぐことができるためである。逆に、外部電源7の電圧が遅延回路402に印加されなくなると、電力検出部24が出力した電圧(GND電圧)によりコンデンサ402bの電荷がGNDに流れ、バイポーラトランジスタ402cが直ちにオン状態となり、スイッチング素子401がオフ状態となる。そのため、スイッチング素子401は、オフ状態からオン状態への切替には遅延時間を有しているが、オン状態からオフ状態への切替には遅延時間を有していないので、ユーザが誤って、外部電源7の抜き差しを複数回連続して行うような場合であっても、外部電源7を抜いた瞬間にはスイッチング素子401が直ちにオフ状態となり電力供給経路21を遮断するので、再び外部電源7を差しても電子回路部3に過大電流が流れることを防止することができる。なお、上述した遅延回路402の抵抗402aやコンデンサ402bは、回路設計者が適宜選択することができるので、結果として、上述した遅延時間を調整することができる。また、スイッチング素子401にトランジスタ(例えば、電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタ)を採用し、ドレイン・ソース間の寄生ダイオード(ボディーダイオード)を利用することで、外部電源7から電力を供給するタイミングを調整して、電子回路部3に電力を供給するPSE電源50aと外部電源7とをスムーズに切り替えることができる。具体的には、後述する本発明の実施の形態に係る電源排他回路2の動作において、寄生ダイオード(ボディーダイオード)を利用した第2の電力制御部25の動作を説明する。
【0035】
電子回路部3は、電子機器1の機能を構成する電子部品等で構成された回路部であり、電圧24Vで駆動できるように構成されている。しかし、PSE電源50aから電力を電子回路部3に供給する場合、PSE電源50aから供給される電力の電圧を48Vから24Vに変圧する必要がある。そのため、第1の電力制御部26は、PSE電源50aから供給される電力を変圧する回路(図示せず)を備えている。なお、第1の電力制御部26は、スイッチング素子と、変圧する回路とを備えるので、電力検出部23の検出結果に基づいて電力の供給をオン・オフする絶縁電源として機能している。また、第1の電力制御部26の構成は例示であり、48Vから24Vに変圧する回路を備える構成や絶縁電源として機能する構成に限定されるものではない。
【0036】
次に、本発明の実施の形態に係る電源排他回路2の動作を説明する。ここでの電源排他回路2の動作は、電子機器1は、PSE電源50aから電力の供給を受けている状態で、ユーザが誤って外部電源7を接続し(時刻b)、ユーザがその誤り(誤操作)に気づき、外部電源7の接続を外す(時刻e’)場合を想定している。なお、時刻bは、予め外部電源7が電子機器1に接続されている場合は外部電源7のスイッチを入れたタイミングである。時刻e’は、予め外部電源7が電子機器1に接続されている場合は外部電源7のスイッチを切ったタイミングである。本発明の実施の形態に係る電源排他回路2は、上述のような場合であっても、PSE電源50aと外部電源7との切替を制御して電子機器1の故障を防ぐことができる。図5は、本発明の実施の形態に係る電源排他回路2の動作を説明するためのタイミングチャートである。図5に示すタイミングチャートは、電子回路部3の電圧、第1の電力制御部26の電圧(PSE電源50aの電圧を第1の電力制御部26で変圧して出力される電圧)、外部電源7の電圧、フォトカプラ素子PC1、PC2の状態、第1の電力制御部26のスイッチング素子の状態、第2の電力制御部25のスイッチング素子401の状態、ボディーダイオードの状態、電子回路部3に電力を供給している電源をそれぞれ示している。
【0037】
まず、タイミングチャートの時刻aにおいて、第1の電力制御部26の電圧が定格電圧であるため、フォトカプラ素子PC2がPSE電源50aから供給される電力を検出してオン状態となり、第2の電力制御部25のスイッチング素子401をオフ状態にする。一方、外部電源7の電圧が0(ゼロ)Vであるため、フォトカプラ素子PC1が外部電源7から供給される電力を検出せずオフ状態となり、第1の電力制御部26のスイッチング素子をオン状態にする。従って、電子回路部3に電力を供給している電源はPSE電源50aであり、電子回路部3の電圧はPSE電源50aの電圧を第1の電力制御部26で変圧した電圧(第1の電力制御部26の電圧)となる。
【0038】
次に、タイミングチャートの時刻bにおいて、外部電源7の電圧がフォトカプラ素子PC1の閾値以上の電圧であるため、フォトカプラ素子PC1が外部電源7から供給される電力を検出してオン状態となり、第1の電力制御部26のスイッチング素子をオフ状態にする。第1の電力制御部26のスイッチング素子がオフ状態であるため、フォトカプラ素子PC2がPSE電源50aから供給される電力を検出せずオフ状態となる。しかし、第2の電力制御部25は、遅延回路402を有しているため第2の電力制御部25のスイッチング素子401はオフ状態のままである。つまり、第2の電力制御部25は、PSE電源50aから供給される電力の電圧が十分に降下するまで、外部電源7から電子回路部3に電力を供給しない。より具体的にいえば、図4を用いて説明したように、外部電源7から電力が供給されても、遅延回路402内のコンデンサ402bに電荷が蓄積され、バイポーラトランジスタ402cのベース端子の電圧が外部電源7の電圧になるまでの時間、スイッチング素子401がオン状態になるのを遅延させることができるので、電子回路部3に外部電源7から電力を供給するタイミングを遅延させる。第2の電力制御部25のスイッチング素子401がオフ状態のままであるため、電子回路部3に電力を供給している電源はPSE電源50aのままとなり、電子回路部3の電圧は第1の電力制御部26の電圧とともに降下する。
【0039】
次に、タイミングチャートの時刻cにおいて、電子回路部3の電圧と外部電源7の電圧とが約同電圧になると、第2の電力制御部25のスイッチング素子401のボディーダイオードがオン状態となる。スイッチング素子401のボディーダイオードがオン状態となることで、第2の電力制御部25のスイッチング素子401がオフ状態のままであっても、第2の電力制御部25のスイッチング素子401のボディーダイオードを介して外部電源7から電子回路部3に電力を供給することができる。つまり、第2の電力制御部25のスイッチング素子401のボディーダイオードを利用することで、第1の電力制御部26の電圧が十分に降下する前に、外部電源7から電力を供給することで、電子回路部3の電圧の変化を小さくして、電子回路部3に電力を供給するPSE電源50aと外部電源7とをスムーズに切り替えることができる。電子回路部3に電力を供給している電源はPSE電源50aから外部電源7に切り替わり、電子回路部3の電圧は外部電源7の電圧とともに上昇する。
【0040】
次に、タイミングチャートの時刻dにおいて、第1の電力制御部26の電圧が十分に降下した後に、第2の電力制御部25のスイッチング素子401がオン状態になる。なお、タイミングチャートの時刻dは、遅延回路402の遅延時間により変更することができ、遅延回路402の遅延時間は、抵抗402a及び/又はコンデンサ402bの値、又は抵抗402aに直列に接続された遅延回路402の外に設けた抵抗403の値を調整することで変更可能である。第2の電力制御部25のスイッチング素子401がオン状態となることを利用することで、スイッチング素子401のボディーダイオードを介して外部電源7から電子回路部3に供給していた電力を、オン状態のスイッチング素子401を介して外部電源7から電子回路部3に供給することになる。電子回路部3に電力を供給している電源は外部電源7であり、電子回路部3の電圧は外部電源7の電圧とともに上昇する。
【0041】
次に、タイミングチャートの時刻eにおいて、外部電源7の電圧が定格電圧であるため、フォトカプラ素子PC1が外部電源7から供給される電力を検出してオン状態となり、第1の電力制御部26のスイッチング素子をオフ状態のまま維持する。一方、第1の電力制御部26の電圧が0(ゼロ)Vであるため、フォトカプラ素子PC2がPSE電源50aから供給される電力を検出せずオフ状態となり、第2の電力制御部25のスイッチング素子401をオン状態のまま維持する。従って、電子回路部3に電力を供給している電源は外部電源7であり、電子回路部3の電圧は外部電源7の電圧と同じ定格電圧となる。
【0042】
次に、タイミングチャートの時刻fにおいて、外部電源7の電圧が降下して、外部電源7の電圧がフォトカプラ素子PC1の閾値より小さい電圧となると、フォトカプラ素子PC1が外部電源7から供給される電力を検出せずオフ状態となり、第1の電力制御部26のスイッチング素子をオン状態にする。第1の電力制御部26のスイッチング素子をオン状態にすることで、フォトカプラ素子PC2がPSE電源50aから供給される電力を検出してオン状態となり、第2の電力制御部25のスイッチング素子401をオフ状態にする。従って、電子回路部3に電力を供給している電源は、タイミングチャートの時刻fの後、外部電源7の電圧と第1の電力制御部26の電圧とが交差する時点で外部電源7からPSE電源50aに切り替わり、その後電子回路部3の電圧は第1の電力制御部26の電圧とともに上昇する。
【0043】
次に、タイミングチャートの時刻gにおいて、第1の電力制御部26の電圧が定格電圧であるため、フォトカプラ素子PC2がPSE電源50aから供給される電力を検出してオン状態となり、第2の電力制御部25のスイッチング素子401をオフ状態のまま維持する。一方、外部電源7の電圧が0(ゼロ)Vであるため、フォトカプラ素子PC1が外部電源7から供給される電力を検出せずオフ状態となり、第1の電力制御部26のスイッチング素子をオン状態のまま維持する。従って、電子回路部3に電力を供給している電源はPSE電源50aであり、電子回路部3の電圧はPSE電源50aの電圧を第1の電力制御部26で変圧した電圧(第1の電力制御部26の電圧)となる。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態に係る電子機器1の外観を示す概略図である。図6(a)は、本発明の実施の形態に係る電子機器1の平面図、図6(b)は、図6(a)に示す電子機器1のA面での側面図、図6(c)は、図6(a)に示す電子機器1のB面での側面図である。図6に示す電子機器1は、PSE電源50aから電力を供給するためのLAN配線40を接続するための第1の電力供給源接続部4と、外部電源7から電力を供給するための電源配線6を接続するための第2の電力供給源接続部5と、別の電子機器と接続する接続部63とを備えている。第1の電力供給源接続部4は、PSE電源50aを有するPSE50と接続し、PSE50はさらにPLC(プログラマブルコントロール)と接続してある。接続部63は、複数のファイバセンサと接続してあり、例えば一つのファイバセンサには投光器及び受光器が接続してある。
【0045】
第1の電力供給源接続部4は電子機器1内で電力供給経路22と接続するので、第1の電力供給源接続部4にLAN配線40を接続することで電力供給経路22を介してPSE電源50aから電子回路部3に電力を供給することができる。第2の電力供給源接続部5は電子機器1内で電力供給経路21と接続するので、第2の電力供給源接続部5に電源配線6を接続することで外部電源7から電子回路部3に電力を供給することができる。接続部63は、別の電子機器にデータ信号及び電力を供給するためのデータ通信配線を接続することができる。
【0046】
データ信号を重畳して供給する電力供給経路22と接続する第1の電力供給源接続部4は、電子機器1の筐体の長辺方向の一端(図6(a)の紙面に向かって上側)に、別の電子機器と接続する接続部63は、電子機器1の筐体の長辺方向の他端(図6(b)の紙面に向かって下側)にそれぞれ設ける。そのため、第1の電力供給源接続部4と接続部63との間にデータ信号等を双方向に流す配線を、直線的に配置することが可能となり、電子機器1の筐体を小型化することができる。
【0047】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電源排他回路2を備える電子機器1は、電源排他回路2が、電力検出部23、24と、第1の電力制御部26と、第2の電力制御部25とを有し、第1の電力制御部26は、第1の電力供給源であるPSE電源50aから電子回路部3へ電力が供給されている場合に、電力検出部23が第2の電力供給源である外部電源7から供給される電力を検出したとき、PSE電源50aから電子回路部3へ供給される電力を停止するように制御するとともに、外部電源7から電子回路部3への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、第2の電力制御部25は、許容信号の切替が行われたとき、外部電源7から電子回路部3に電力を供給するように制御するとともに、許容信号の切替が行われていないとき、外部電源7から電子回路部3への電力供給経路21を遮断するので、外部電源7からステップ状の電圧を有する電力が供給された場合であっても、第2の電力制御部25が電力供給経路21を予め遮断し、ステップ状の電圧を有する電力が供給されても、瞬間に過大電流が電子回路部3に流れることを防止することができる。そのため、複数の電力供給源(外部電源7、PSE電源50a)が同時に接続された場合であっても、電子機器1の故障を防ぐことが可能となる。また、第2の電力供給源接続部5が短絡しても、第2の電力制御部25が電力供給経路21を予め遮断してあるので、第2の電力供給源接続部5を介して電子回路部3に過大電流が流れることを防止できる。また、図5に示したように、PSE電源50aと外部電源7とをスムーズに切り替えることができるので、電源を切り替えることによる電力ロスを低減することができる。
【0048】
なお、電力供給経路21、22は、一の電力供給経路がデータ信号を重畳して供給しない経路で、別の電力供給経路がデータ信号を重畳して供給する経路である場合に限定されるものではなく、少なくとも一の電力供給経路がデータ信号を重畳して供給する経路であれば良く、全ての電力供給経路がデータ信号を重畳して供給する経路でも良い。
【0049】
また、データ信号を重畳して供給しない電力供給経路に接続する電力供給源は外部電源7に限定されるものではなく、バッテリ等の電子機器1の内蔵電源等であっても良い。
【0050】
図7は、本発明の実施の形態に係る電源排他回路2を備える電子機器1をより概念的に説明するための機能ブロック図である。図7に示すように、第1の電力制御部26は、第1の電力供給源接続部4に接続された電源から電子回路部3へ電力が供給されている場合に、電力検出部23が第2の電力源接続部5に接続された電源から供給される電力を検出したとき、第1の電力供給源接続部4に接続された電源から電子回路部3へ供給される電力を停止するように制御するとともに、第2の電力源接続部5に接続された電源から電子回路部3への電力供給を許容する許容信号の切替を行う。そして、第2の電力制御部25は、許容信号の切替を検知すると、第2の電力源接続部5に接続された電源から電子回路部3に電力を供給するように制御する一方、許容信号の切替を検知していないとき、第2の電力源接続部5に接続された電源から電子回路部3への電力供給経路21を遮断する。このように、本発明の実施の形態に係る電子機器1では、第2の電力制御部25の機能として、許容信号の切替に基づいて、電力供給経路21を接続したり(通電状態にしたり)遮断したり(非通電状態にしたり)する機能(図中ではスイッチング素子として示している)を有している。なお、本発明に係る電子機器1では、例えば図1に示す電力検出部24を省略することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電子機器
2 電源排他回路
3 電子回路部
4 第1の電力供給源接続部
5 第2の電力供給源接続部
40 LAN配線
50 PSE
50a PSE電源(第1の電力供給源)
6 電源配線
7 外部電源(第2の電力供給源)
21 電力供給経路
22 電力供給経路
23 電力検出部(第1の電力検出部)
24 電力検出部(第2の電力検出部)
25 第2の電力制御部
26 第1の電力制御部
63 接続部
201、301 発光ダイオード
202、302 フォトダイオード
401 スイッチング素子
402 遅延回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともデータ信号を重畳して電力を供給する電力供給経路を介して第1の電力供給源と接続する第1の電力供給源接続部と、
電力を供給する電力供給経路を介して第2の電力供給源と接続する第2の電力供給源接続部と、
前記第1の電力供給源又は前記第2の電力供給源から供給される電力により所定の処理を行う電子回路部と、
前記第1の電力供給源接続部から電力を供給する前記第1の電力供給源と、前記第2の電力供給源接続部から電力を供給する前記第2の電力供給源とを切り替えて、前記電子回路部に電力を供給する電源排他回路と
を備える電子機器において、
前記電源排他回路は、
前記第1の電力供給源又は前記第2の電力供給源から供給される電力を検出する電力検出部と、
前記第1の電力供給源又は前記第2の電力供給源のいずれか一方の電力供給源から前記電子回路部へ電力が供給されている場合に、前記電力検出部が前記他方の電力供給源から供給される電力を検出したとき、前記一方の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、前記他方の電力供給源から前記電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行う第1の電力制御部と、
前記許容信号の切替が行われたとき、前記他方の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、前記許容信号の切替が行われていないとき、前記他方の電力供給源から前記電子回路部への電力供給経路を遮断する第2の電力制御部と
を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項2】
前記電力検出部は、
前記第2の電力供給源から供給される電力を検出する第1の電力検出部と、
前記許容信号の切替に基づいて、前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出する第2の電力検出部と
を有し、
前記第1の電力制御部は、前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ電力が供給されている場合に、前記第1の電力検出部が前記第2の電力供給源から供給される電力を検出したとき、前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力を停止するように制御するとともに、前記第2の電力供給源から前記電子回路部への電力供給を許容する許容信号の切替を行い、
前記第2の電力制御部は、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出していないとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部への電力供給経路を遮断することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の電力検出部及び前記第2の電力検出部には、入力側と出力側とが電気的に絶縁される電子部品を用いることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の電力制御部は、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したタイミングに対して、前記他方の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するタイミングを遅延させる遅延回路を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の電力供給源から供給される電力の電圧極性が逆極性の場合に、前記第1の電力検出部は、前記第2の電力供給源から供給される電力を検出可能であるとともに、前記第2の電力制御部は、前記第2の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給しないように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2の電力制御部は、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出したとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部に電力を供給するように制御するとともに、前記第2の電力検出部が前記第1の電力供給源から前記電子回路部へ供給される電力の供給停止を検出していないとき、前記第2の電力供給源から前記電子回路部への電力供給経路を遮断するスイッチング素子を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記スイッチング素子は、トランジスタであって、ドレイン・ソース間に寄生ダイオードを有していることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の電力供給源と接続する前記第1の電力供給源接続部は、前記電子機器の筐体の長辺方向の一端に、
別の電子機器と接続する接続部は、前記電子機器の筐体の長辺方向の他端にそれぞれ設けることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−221588(P2011−221588A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86576(P2010−86576)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】